09/11/10 21:21:18 a9fY7qZx
ある日喪子が目を覚ますと、視界に赤白ツートンカラーのプラスチックボールが飛び込んで来た。
ボールは手の平サイズ。中心にスイッチのようなものがついており、
喪子が小さい頃夢中になった某N社のゲームや、それを基にして作られた
電気鼠と永遠の十一歳が仲間を増やして次の街に旅するネバーエンディングストーリーに出てきた「あのボール」に似ている。
「こんなおもちゃいつ買ったっけ」
喪子が寝起きの頭で何気なく中心のボタンを押すとボールはぱかっと割れ、中からまばゆい光が溢れ出す!
突然の閃光に驚いた喪子が目を開くとそこには………
ぐちゃぐちゃになった布団の上にちょこんと座る、あの有名ゲーム。ポケットの中の怪物。日本語に訳すと携帯獣の、
おおよそ有名ともかわいらしいとも言えないキャラの一体が。
あまりのことに口も聞けなくなった喪子に擦り寄り、甘えて鳴くその珍獣を放り捨て慌てて親を呼びに走る喪子だったが、
娘のただならぬ様子に部屋を覗いた両親は「なんだ、なんにもいないじゃない」と怪訝な顔をする。
親にはこの携帯獣が見えていないのだ。
朝食もそこそこに逃げるように学校へ向かう喪子だったが、どてどて走る足音がずっと後ろからついてくる。
振り返れば自分の入っていた紅白ボールを持った携帯獣が困ったように喪子を追いかけていた。ダッシュで逃げる喪子。追う携帯獣。
交差点に差し掛かり、信号の点滅しているところを強引に抜けようとした喪子だったが、そこにトラックが突っ込んでくる。