人に言えないような恥ずかしい妄想を書き込むスレ6at WMOTENAI
人に言えないような恥ずかしい妄想を書き込むスレ6 - 暇つぶし2ch84:彼氏いない歴774年
09/05/14 22:34:12 E3upTzQC
おお、こんなにレスありがとう。でも脇は勘弁www
一応こんな感じにワッフルしてみた
文才なくてすまん

昭和十五年七月。
かって南太平洋の覇者だった日本軍は、沖縄すら失陥していた。
連日特攻機が沖縄沖へと向かう。
歴史的大敗のミッドウェー海戦から生き残った日比谷大尉は、数少ない手練れとして防空のため連夜出撃していた。
だが、既に戦闘部隊は全ての手を使いつくし、パイロットは皆乾ききって力ない。
最後の戦闘部隊は、特攻部隊になろうとしていた。
日比谷大尉もまた、喪上川少尉に力なく微笑むだけだった。

若いパイロットが沖縄沖へと飛び立っていく。
隣に佇んだ日比谷大尉に、喪上川はぽつりと呟く。
「もう晴れなんか、無ければいいのに」
焼き付くような、憎いほど青い空。
大気は乾燥し、風も強くない。
気圧は高く、この天気は暫く続くと予想された。
絶好の出撃日和だ。それが悲しい。
「そうだなァ」
「こんなに空は青いのに、私にはもう空の青色が見えんのです」
「・・・そうか」
日比谷大尉は、空を見上げて息を吐く。
「俺には青だよ。燃えるような蒼だ」
目を細めた彼の瞳に、空の色が映える。

その日出撃した日比谷大尉の機は、発動機故障の無電を最後に、航路から永遠に消えた。
そして暑く晴れた八月十五日、戦争は終わる。


同年十一月
もう階級章もない、復員服を着た細い背中が墓前に佇む。
「日比谷大尉、もうこんなに寒くなりました。あっという間です」
手向けた線香の香りが、山あいの墓地にたなびく。
「今日であの日から四ヶ月も過ぎたんですね」
墓守りを失った日比谷家の墓に、ぽつりぽつりと喪上川は語りかける。
涸れ果てた涙はもう流れないけれど、瞳に悲しみは消えない。
「今でもまだ、私には空は色のない青のままです」

ひゅうひゅうと冬風にもがり笛が響く。
「見せたかった悲しみのない空の青は、この色かもしれないのに」

応える声が、ふと聞こえた気がした。
「俺は見えるよ、望んだ空の色が」
喪上川はゆっくりと振り向いた。
その目が見開かれる。

「日比谷・・・大尉」

誰よりも帰りを待ったそのひとが、そこにいた。
「お前に色のある空を見せたかった」

沖縄沖で不時着し、恥を忍んで捕虜になったこと。
助かったからには、もう一目喪上川を見たくてそう決めたこと。
帰ってきたときには基地は接収され、喪上川は消えていたこと。



次ページ
続きを表示
1を表示
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch