人に言えないような恥ずかしい妄想を書き込むスレ6at WMOTENAI
人に言えないような恥ずかしい妄想を書き込むスレ6 - 暇つぶし2ch134:彼氏いない歴774年
09/05/18 23:25:32 l2GS7YfO
壁のフレームを片手で掴み、まとわりつく髪を掻き上げた。
「ではこちらへ来てください」
バレッタでシニヨンにした髪はばさばさにほどけている。
胸ポケットのフラッシュメモリを取り出すと、彼は拳銃を構えたまま油断無く私を見た。
懐かしい、メスのように鋭い瞳。
出会った時から、本当に彼は変わらない。
そして、彼が何処から来て何処へ行くのか、永遠に知る術はない。
歩み寄る彼の目を真っ直ぐに私は見た。
そして変わらない名前で読んだ。

「教官」

不意に、いつかの夏の日を思い出した。
監視対象の部屋に取り付けた、盗聴器の電波を拾っていた時だった。
不意に流れ出したピアノの曲。
夕暮れのとろりとした赤い西日が射し込む部屋で、教官と私はその曲を聴いた。
とても有名で、優しくて寂しくて、でも曲の名前も思い出せない曲。
あの頃から私の思いは変わらない。
フラッシュメモリを教官が掴んだ瞬間を、私はずっと狙っていた。
全身で教官の拳銃を掴んで引き寄せ、足を払った。
私にはこれくらいしか出来ない。
そのまま、自由な空中が待つ後方に全体重をかける。

わたしは

教官の目が私を見た。
全てはもう遅い。

あなたに

事実を知る私は消される。
そして教官は不都合な事実の総ての責を負わされて、泥の中へ沈んでいくだろう。

なりたかった・・・

教官は目を見開いた。
そのときにはもう、空中に体が躍り出ていて、教官は初めて私だけを見ていた。

「私はあなたになりたかった」たとえあなたが私と同じに、顔の無い存在だったとしても。

呟いた声が聞こえていたかは分からない。
ただ教官は私の手首を折れるほどしっかりと掴んでいた。

自由落下を続けながら、ふとあの曲の名前を思い出した。

別れの曲。

この旋律を、叶わなかった願いと教官を連れていこう。


三文スパイ小説大好き
さて現実逃避してないで法規の勉強するかorz


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