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平成17年9月に始まった「東洋堂FCはんこ広場って儲かるの」シリーズも７作目に突入する。
飲まず食わずながら最後の力を振り絞って必死でタイプしているが、このパソコンも数時間後には差し押さえられる運命にある。
今では会うことすら叶わない雲上人マツタケさんと高級料亭で愉快に談笑しながら加盟契約した時の思い出が、走馬灯のように駆け巡る。
数年間、信者の如く十一くんを実践し、彫れども刷れども生計がまったく立てられない愚かな商売を始めた自分が惨めだ。
一家は離散し、家屋敷を失い、無一文で孤独な老後に初めての河川敷での暮らしがいよいよ明日から待っている。
先日、念のため某所へ下見にいった折、すでに青いテントを張っている憔悴しきった元オーナーに偶然お会いした。
彼曰く、「はんこ広場に加盟した人たちは、いつかは公園生活を余儀なくされる世にも数奇な未来が待っている」と。
順風満帆なサラリーマン生活を強引に放棄させてまで、加盟をしつこく勧めた本部の人々に罪悪感はないのか。
自己の利益の為だけに蠢いた本部の人々は、敗残者をあざ笑い、財産をなくした者に用はないと誰憚ることなく放言する。
彼らは天性の鋭い嗅覚で善人の無防備な加盟者を次から次へと隈無く探し、己が利益のため鋭い牙をむく。
全国各地の独立フェアーに多額の費用をつぎ込んでも、貪欲な彼らは瞬く間に回収する術を心得ている。
彼らは、彫刻機が打出の小槌であり、加盟希望者が金の生る木であるというマツタケの掟を忠実に守っている。
そして、彫刻機をリース契約し、店のオープンが終了した時点で、彼らの仕事は、いかに早く閉店させるかという次の段階に移行する。
店仕舞いを引き延ばす店舗は、彼らの憎悪の対象となる。すなわち、赤字店を徹底的に放置するという不作為の悪行が常態化する。
彼らが一日千秋の思いで待ち焦がれるのは、赤字オーナーからの「閉店したい」という他でもない一本の電話であるいう。
今宵、彼ら３１名は、我が輩の電話を受け、義兄弟のスーパーも呼び、派手に上野の五つ星ホテルで歓喜の祝杯をあげるであろう．．．。