08/10/27 20:15:48 T18UydBH
ダイア「単刀直入に聞く。何があったの?」
ぴくん、と。一瞬だが彼女の体が跳ねた気がした。
ダイア「何かあったなんて。そんなこと、今更聞くまでもないよね」
暗い表情で俯く彼女の姿を見ていれば、返事を待たずとも答えは自ずと見えてくる。
ダイア「悩んでることがあるんでしょ? ずっとナナを見てるから、私にはわかるんだから」
ナナ「・・・・・ダイアにわかるわけないよ」
返ってきた言葉は思いもしなかった拒絶を含んだ言葉。
底知れぬ焦りが苛立ちへと変わり、一瞬の衝動に駆られ口が開いてしまう。
ダイア「そりゃそうでしょ。なんにも話てくれないんだし、私にわかるわけないじゃん」
少し乱暴な言い回しになったが、何も激情に任せて放っただけではない。
この言葉に込められた意味、それが私の一番伝えたい事。それを彼女は理解してくれるだろうか。
ダイア「私はナナのことを友達だと思ってる。ナナは私のこと、どう思ってる?」
ナナ「ともだち・・・・・・ダイアは一番の友だちだけど・・・・」
そこまで分かっていながら何を躊躇するんだ。
ダイア「教えて。何があったのか。私に」
ナナ「そ、それは・・・・・・うぅ・・・・」
吃りながらもはっきりと伝わる心の迷い。葛藤するその胸の内を信じたくはない。それを認めたくなかった。
751: ◆N5ofkAac1A
08/10/27 20:17:37 T18UydBH
ダイア「いまのナナをこれ以上見ていたくないんだよ・・・・・・・」
ナナ「ダイア・・・・・」
ダイア「心配だから! だから・・・・だから知りたいんだって! 私達、友だちなんだよね?!」
もはや一方的だった。
思い通りにならない現実に目を背け、自らの主張を強引に叫ぶだけの愚者に見られても仕方ないと覚悟していた。
ナナ「話せばダイアはもっと心配になるし、イヤになると思うから・・・・・」
ダイア「なにを・・・・!!」
悲しみよりも怒りが。沸点を越えたそれは今にも爆発しそうな勢いにまで膨れ上がってしまう。
ダイア「ああぁっもう! じゃあナナにも教えてやる!! 私が嫌なのは一つ!
目の前で友達が傷ついているのに、何も知らずに、何も出来ずに!!
ただ見ていることしか出来ない自分が嫌なのッ!!」
ナナ「だ、ダイア・・・・・」
知らない事がどれ程罪深い事か。言い訳にすらならない。
愚かしいと思う。汚らわしいとさえ思う。何があろうと、私はそんな色に染まりたくはなかった。
752: ◆N5ofkAac1A
08/10/27 23:26:17 T18UydBH
ナナ「・・・・なんでだろ。ダイアは全部知ってる気がする」
私の身勝手な我が儘に付き合わせているだけなのかもしれない。
ダイア「詳しいことはわかんないって。でも、なんとなくならわかる。
ナナがこんなにも思い詰める時って、自分以外の誰かのためだって時だけだし」
もし、彼女が私を心から嫌に思っているのだとしたら、互いにここまでの関係を築いていたりはしない。
ナナ「へへへ。やっぱりダイアには隠し事は出来ないね」
苛つく時だってたまにはある。というより、無いほうがおかしいじゃない。
ダイア「話す気になった?」
ナナ「うん。ちょっと恥ずかしいけど・・・・・・」
それを全て承知の上。気の合う仲だからこそ、私達は互いに友だちと呼べる関係に至ったんだ。
ダイア「あはははっ。いいよ、ゆっくりで」
ナナ「うん!」
やっと、ようやく一歩前進といった所か。
ダイア「すみませーん! ミルクレープ、3つ追加で!」
荷を軽くしてあげたかった。一人で抱え込ませず、共に背負う事で。
753:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/28 18:28:45 ViuKHi8R
頑張ってんなアロエ
754:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/29 04:13:13 7Q//6NXL
すまんがダイアの元ネタがまったくわからんオレに誰か画像ぷりーず
755:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/31 08:06:19 QjUwgu8y
マジパでググれカス
756:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/02 14:38:52 yH/Vhua6
ググっても出ねーよボケさっさと画像貼れ
757:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/06 04:12:50 p8MClCCw
まだー
758:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/09 14:40:45 cXe5WmmE
今更で悪いけどダイヤだよな?
759:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/09 17:43:55 mvSVdUP3
なにこのスレ・・・
760:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/10 08:34:10 EYKhOq0C
アロエちゃんを見守るスレ
761:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/11 00:01:08 7wOAG3//
今更このスレ通して読んだけど、アロエに本気で惚れたww
これからも頑張ってください!
良スレage
762:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/11 07:52:10 rAwAu+He
なんという信者を装ったアンチ
763:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/13 18:20:14 ioPerpB+
まだでつか
764: ◆N5ofkAac1A
08/11/15 07:48:51 45nyjmqS
また日が空いてしまいました・・・・待っていてくださる方々、本当にごめんなさい。
そして応援してくださる方、ありがとうございまっす!
>>758
まさかツッコミが入るとは思いませんでした。その通り、公式では彼女の名前はダイヤ。
まあ元々原形をとどめていないお話なので軽くあしらってくださると幸いです。
明日は時間が出来たので、多分、結構な量を投下出来るかも。
では、少ないですが続きをどうぞ。
765: ◆N5ofkAac1A
08/11/15 07:56:41 45nyjmqS
元々、誰かに私達の秘密を口外するつもりなどなかったんだ。
だって私には、あの人と交わした暗黙のルールを守り通す義務があったのだから。
ナナ「ねぇ、夢夢ちゃん」
ムム「ん? なぁに??」
ナナ「明日ね、学校の友達が遊びに来たいって言ってるの。
夢夢ちゃんの邪魔になると嫌だからその場では断ったんだけど・・・・」
ムム「ん~~。本音としては、呼びたかったってこと?」
やはり適当な形で読まれてしまう。昔からこうだった。
不思議な事に、考えている事の大体を彼女に当てられてしまうのだ。
顔や仕草に妙な癖でも出てしまうのだろうか、理由を聞いても未だその真相を教えてもらえない。
ナナ「う、うん・・・・・夢夢ちゃんに紹介したいな、って。
すっごく良い子なんだよ! きっと夢夢ちゃんも・・・・・・・・・・っ!」
言葉が詰まる。意思とは関係なく、これより先の言葉を口に出そうとしても体が拒む。
ナナ「む、むむちゃ・・・んも・・・・・」
ぱくぱくと。水槽の中の金魚のように口を開く事しか出来ない。
ムム「私が、なあに?」
何故ならば、誰よりも光る笑顔を持つ筈の彼女が。
誰の目にも明らかな拒絶の意を込め、意味深な笑みを浮かべていたからだ。
766: ◆N5ofkAac1A
08/11/15 08:00:49 45nyjmqS
ナナ「な、なんでもないの。本当に、なんでも・・・・」
ムム「ふふ・・・・なんでもないって顔はしてないけどね」
ナナ「・・・・・ごめんなさい」
ムム「あははっ! なんで謝るのよ~。それよりさ、明日はどこにいこっか?!」
忘れもしない。あの時見た、私の知らない夢夢ちゃん。
何がいけないのか。何故いけないのか。あの時の私にはわからなかった。
でも、それはいけない事なのだ。やっちゃいけない事なのだと、それだけは理解出来た。
ムム「どうしたの? ナナちゃん変なカオして~」
ナナ「な、なんでもないから」
ムム「ふーん、それならいいんだけど・・・・・くすくす」
そういえば、彼女が誰かを家に招いた記憶が、私の覚えている限りでは一度だってない。
あの人にとってこの家は絶対不可侵の聖域だと、改めて認識し直す必要があった。
何者も寄せ付けず、私生活は一切誰にも何も話さない。
きっとそうする事で、夢夢ちゃんは自分の居場所を守ってきたんだと思う。
・・・・私達の境遇を考えれば、それが当然の判断だったんだから。
767: ◆N5ofkAac1A
08/11/15 08:05:13 45nyjmqS
『次のニュースです。昨夜、都内で起こった魔事件について、警察からは連続事件として扱う発表が、』
ムム「ふぅああああぁ・・・・・ぅあーーぁ・・・。朝からヤなニュースばっかりぃ」
ナナ「こわい・・・・近くで起きたらどうしよう」
ムム「近くねぇ・・・・・じゃあ、遠くならいいんだ」
ナナ「そ、そういう意味で言ったんじゃない。嫌な言い方しないで・・・・・」
ムム「起きたら起きたで、その時はナナちゃんが狙われるかも。なんだかそんなカンジだしぃ」
ナナ「やめてよ! 冗談でもそんなの・・・怖いよ・・・・」
ムム「あははっ。大丈夫だいじょーぶ。何かある前に、私がやっつけちゃうから」
ナナ「ほ、ほんと?」
ムム「ふーん。私がだれだか忘れちゃったのかな~?
心配しないで。ナナちゃんには指一本触れさせやしないから。近付いて来た瞬間パンチだおりゃあ!」
ナナ「夢夢ちゃん・・・・・また早起きして飲んだでしょ」
ムム「いひひ。もちろん、ナナちゃんだけじゃないよ。この街の平和を守るのが私の役目なんだから」
ナナ「・・・・どうして、こんな酷いことするのかなあ」
ムム「愉快犯なんだよ。きっと」
ナナ「ユカイハン?」
768: ◆N5ofkAac1A
08/11/15 08:08:26 45nyjmqS
ムム「最低の最低。あんな嫌らしい奴ら、罰せられて当然なんだから。絶対に許せない。
誰かを貶めることでしか自分を満足させられない卑劣な族・・・・恥知らず・・・ッ!!」
ナナ「む、夢夢ちゃん?」
ムム「んま、ナナちゃんとは一生縁のない存在かな。うりうり」
ナナ「むぅー!」
ムム「私を邪魔する奴はどうなるんだろうね・・・・・くすくす」
ナナ「ぇ? 聞こえな、いたっ、はなしてよー! お酒くさいの移るからー!」
ムム「・・・・もう少しだけ。お願い」
ナナ「ぁ・・・う、うん」
ムム「きひ・・・・邪魔しちゃうやつは・・・・ろす・・・・・くすくす」
ふと思い出した、あの時の何気ない日常の会話。
その意味を、私は今になって痛感させられる事になった。
769: ◆N5ofkAac1A
08/11/15 08:12:24 45nyjmqS
ナナ「何から話せばいいのかな・・・・・んっと」
話したい事は頭に山積している。ただ、それを上手くまとめて言葉に出来ないだけ。
彼女の様子を見ていればそれは一目瞭然。
ナナ「うーん・・・・・・・」
頭を悩ませ、唇を尖らせる愛らしい仕草に頬が緩んだ。
ダイア「じゃあ、まずはその大切な人について教えてほしいな」
ナナ「・・・・う、うん。えっと、ぅー・・・・・その人は・・・」
ここから先は少し記憶が曖昧だ。
理由は追々話すとして、ナナの言うその人についての人物像は案外楽に想像出来た。
ナナ「でね、私の考えてることがなんでもわかるんだ!」
はいはい、ナナは単純だもんねー。
彼氏は感受性が強く洞察力に長けている、と。それで?
770: ◆N5ofkAac1A
08/11/15 08:17:13 45nyjmqS
ナナ「普段はお調子者なんだけど、いざって時にはすごくかっこよくって・・・・・
皆には見せない部分も私にだけは見せてくれるし、強くて優しくて・・・・えへへ」
そのギャップにやられたと。あーあ、顔真っ赤にしちゃってさあ。で?
ナナ「たくさんの人から慕われてるんだ。なのに、私みたいなダメな子の相手をしてくれる。
きっといろんな人から告白されたんだと思うんだ。なのに私を・・・あうぅ・・・・・・」
患者には重度の妄想癖あり。
また証言の内容にも一部虚言や憶測が含まれているため信用度は低い、と。
で、まだあるの?
ナナ「なんにもない日なのに、プレゼントを買ってきてくれる時もあるんだぁ。
記念日とか、これが欲しいって言ったわけじゃないのに。えっとね・・・・・・・
な、ナナがいてくれるだけで、ま、まま、毎日がとく、とと、とく、とくべつぅぅうぅ!」
患者はロマンチシズムに乱酔の傾向あり。
外界からの刺激に敏感な年齢を考慮すれば問題無し。
むしろ憧れる、と。終わりまだー?
ナナ「たまに寝苦しい夜があるんだけど、そんな時はムムちゃんの隣りにいれば
安心出来るっていうか・・・・・んふふ~」
そうでちゅかそうでちゅかーそれはよかったでちゅねーはいはいおやすみなさ~い。
大体、ムムちゃんねぇ・・・・や、本人同士がいいんならそれでいいんじゃないの?
まあ恋人同士なんだしぃ、お互いの呼び方なんてお好きにどうぞ、みたいなカンジよー。
ただね、こっちとしてはクソ寒いっつーの。
ムムちゃん? はん! 女みたいな名前して。ほら、早くしてよ。
771: ◆N5ofkAac1A
08/11/15 08:21:11 45nyjmqS
ナナ「あ、甘えたいなーって思う時があるんだけど・・・・・・
そ、そういうの、あんまり得意じゃなくて・・・・・
も、もやもや・・・ってしたらね・・・・ぅう・・・してくれるの・・・・」
何を?
ナナ「ぎゅって・・・・・」
それだけ?
ナナ「ちゅって・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・へぇ。
ナナ「毎晩隣りで甘い言葉を囁いてくれるし・・・・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ナナ「でね、でね! 家に帰ってきたらまず、」
ダイア「ごめんナナ。ストップ。もう限界」
ナナ「えーっ、まだ終わってないよー」
ダイア「こ、これ以上聞いてたら、あ、あああ、頭が、おかしくなりそうで・・・!」
ナナ「そうなの? あ、お薬出すから待ってて」
ダイア「・・・・何も言えねぇ」
772: ◆N5ofkAac1A
08/11/15 08:23:59 45nyjmqS
初めての経験だった。
ナナ「どんな時でも私のことを一番に考えてくれる。
何よりも誰よりも、私を優先してくれるんだあ!」
誰かの事をこんなにも嬉しそうに話し、満面の笑みを浮かべる彼女の姿。
確信に近い自信で裏付けされた言い切り方。
そのどちらもが私の目に眩しく映った。
ダイア「ナナも女になったんだ・・・・・」
ナナ「そ、その言い方はどうだろ」
彼女は内面外面共に、年相応とはいかない幼なげな雰囲気を持っている。
昨日までそう思っていた。
ダイア「・・・・ふーん」
でも、それは私の勝手な思い違い。
容姿はともかくとして、その胸の内は私の想像を超えるものだったようだ。
ダイア「ナナも恋しちゃう年頃になったんだねー」
反射的というか、無意識の内に鋭いトゲを含んだ皮肉を飛ばしてしまう。
私の中の黒い部分が幅を利かせる中、複雑に絡む嫌な思いに理性が揺らいだ。
ナナ「ぶぅ・・・・」
子ども扱いされた事に腹を立てたのか、それとも話の腰を折った事にだろうか。
ナナの機嫌は先程と比べると、明らかな変化を遂げていた。それも悪い方に。
773: ◆N5ofkAac1A
08/11/15 08:26:32 45nyjmqS
ダイア「ナナの気持ちはわかった。その人を好きって気持ち、すごく伝わってきたな」
ナナ「んー、好きとか好きじゃないとか、そういうのじゃなくて・・・」
何か間違った事でも口にしてしまったのだろうか。
イマイチぴんと来ていないナナはもごもごと吃った様子だ。
ダイア「あれだけ聞かされれば誰にだってわなるって。好きなんでしょ?」
ナナ「好き、だけど・・・・・ダイアの言ってる好きとはちょっと違う気がする」
曖昧な指摘に内心イラっとする。
何が間違っているのか、彼女が何を言いたいのかがわからない。
ダイア「じゃあさ、私の好きとナナの言う好き。どう違うのか説明してよ」
ナナ「ぇ、それは・・・・・んっと・・・・・・・・」
こういう態度を取られるのが大嫌い。相手が彼女であろうと何ら変わりない。
ダイア「ほーら、説明出来ないんなら一緒じゃん。あ、もしかして今更恥ずかしがってるとか?」
ナナ「ちがうもん・・・・・・」
私の言葉が気に障ったのか、彼女はムッとした表情でこちらへ軽い睨みを利かせた。
774: ◆N5ofkAac1A
08/11/15 08:29:38 45nyjmqS
ダイア「・・・・・・・・・・・・・」
多分、私も彼女と同じ表情をしていたんだと思う。
ナナ「・・・・・・・・・・・・・・」
先程とはまるで違う気まずい空気が漂う中、先に頭を下げたのは彼女からだった。
ナナ「・・・・ごめん」
ダイア「こっちこそ」
それを待っていたかのように間を置かず自分なりの詫びを入れる。
ナナ「あ、あはは。自分でも変なこと言ったって思う・・・・そうだよ。好き、なんだよねきっと」
ダイア「そうそう。こういのってさ、難しい方向に考える必要ないと思う。
好きなら好き。それでいいじゃん。素直が一番! あっはっはっは!」
まただ。
ナナ「ふふ。そうだよね、好きならそれでいいよね!」
ダイア「よーし、ここは私も何か協力しないとね!」
頭が痛い。
ナナ「え、ええぇ!? だ、ダイアがァァ!?!?」
ダイア「・・・・なによその反応」
自分でもわかってる。悪い癖だって。
ナナ「ご、ごめん・・・・つい・・・へへ」
ダイア「せっかくここまで聞いたんだし、何かナナの力にならないとね!」
なんて嫌な奴なんだ。この嘘つき。
ナナ「その気持ちだけで充分。ありがと、ダイア」
ダイア「気持ちだけじゃなぁ・・・・あ、そうだ! おまじない」
嫌い。あんたなんか、大嫌い。
775: ◆N5ofkAac1A
08/11/15 13:54:14 45nyjmqS
ナナ「おまじない?」
ダイア「ナナの恋がうまくいくように、おまじないをしてあげようかなって」
虫酸が走る。だって、言ってる事とやってる事がまるで違うじゃないか。
ナナ「おまじないって、どんな?」
ダイア「それは明日のお楽しみ」
くだらないプライド。こんな意地なんて、捨ててしまえたらいいのに。
ナナ「気になるよー!」
ダイア「アレ、結構効くみたいだし・・・・・・」
変わりたい。この殻を剥いで外の世界を自由に飛び回りたい。
ナナ「アレ?」
ダイア「だーかーらー。明日まで秘密だってー」
申し訳ないとすら思う。こんな私に彼女を付き合わせてしまって。
ナナ「じ、じゃあその言い回しやめてよ! 気になるんだけど・・・・」
ダイア「ごめんごめん。つい、ね。へへっ」
変わりたい。その願いだけは強いのに、実際は何も変わりはしない。
一体、私に何が足りないというのか。これだけ強く願うのに、一体どうして。
焦りは心に靄をかけ、苛立ちを加速させる。
こんな一方的な言い分ばかりの私なんかにわかる筈がなかったんだ。
思いや願いだけでは世界は変えられない。
愛読する漫画や小説とはまったく違う。
現実はそう簡単に、思い通りになりはしなかった。
「大ッ嫌い!! こんな・・・・こんな私なんか・・・ッ!」
776:ササクレ ◆ajvovvGIEs
08/11/15 18:23:01 UIqslenL
|・⊥・)
777:ササクレ ◆ajvovvGIEs
08/11/15 18:23:34 UIqslenL
| スルリスルリスルリ (((( ・⊥・)
778:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/16 13:04:25 P7jT8Src
がんばりーなアロエリーナ
779: ◆N5ofkAac1A
08/11/17 13:51:07 mwe1QD6o
ごめんなさい。今日です。何時になるかわかりませんが、今日こそは頑張ります!
規制が激しいので支援が入ると助かるんですが、無いようなら多分10レス分くらいで猿さんかもです。
780:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/17 21:05:25 U8V1MEtv
そのまま飲みこんで。僕のエクスカリバー・・・
781:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/20 07:34:40 9SDPhEpf
まさか遂に規制されたか?
782:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/21 08:30:36 /pKTt+RR
`> ` ′ < 2日も待った‥‥
∠.. ヽ 下着1枚の姿で2日も‥‥!
∠,. , ./`ヘ. i. 、 l なのにこんな‥‥
/ ,ィ_l/ u ヽl>,ゝ、 :|
イ ィ.‐-ニjl l'∠-‐; |n | 規制なんかに‥‥!
. j fl|`u゚‐/ v゙ゝ゚~'u|fリ |
/ lj| v / _ 、 U v lレ' ゝ ‥‥‥‥
/ .ハ にニニ二} ,イ ハ.、_\
_∠イ |0ヽ. ー u/│ l ヽ `T!'ー- 、._ ぐっ‥‥‥‥‥‥
, -‐'''´ || / │ |::\./ O .|. j \|| `ゝ、
ハ |レ' lル'::::: u ,.イルi /o > / i ちくしょう‥‥‥!
/ l ∠o_o_/c| `::ー-‐0´:::::lyト、<o ,.イ! ,' l
〉 | ||. 〈ヽ| :::::::::::::::::::::::l0| ` ´ .|| i l ちくしょう‥‥‥‥
. / l__o_.||__,∨:::::::::::::::::::::::::|. L___」|_o___」 /| ちくしょう‥‥‥‥
ハ. |T¨「 ̄|. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ̄「 ̄「| ./ |
! ヽ. | | | | , ‐┐ , ─‐ 、 | | │| ハ 勃起がおさまらないっ‥‥!
∧ | L⊥._| ┐│ l ┌┐ | L.⊥._」 | / l
783:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/23 15:00:46 lcMZ90Up
シスクエの白成立時のベル抜きアロエはどうしてる?
テンプレには載ってないし
本スレで何回も質問したけどスルーされたよ
784:名無しさん@お腹いっぱい。
08/11/27 16:34:24 NAz3fPo3
まーだまだまだまだー?
785:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/03 04:30:44 nIH4JqGU
悔しいです!
786:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/03 06:40:33 SoTiA80u
シフォンのドスケベ画像
787:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/03 08:57:26 LWMJyHig
ないと思います。
788:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/05 01:57:21 nqwZxu/6
アロエタソまだかぁ~Σ(´□`;)
789:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/05 08:00:09 VzBmYJo1
今頃男にまたがって腰振ってんじゃね?
790:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/05 16:34:49 HWdlqhTA
あの控えめな胸にむしゃぶりつきたいお
791:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/09 21:25:31 F4dJRLgu
エロパロなのに
エロいこと書き込まれてないね
792:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/15 04:36:36 4pSMEfvl
勝負はこれからだ
793:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/21 21:43:58 JGcsd8Ql
あと20分
794: ◆HFewWlwr5A
08/12/28 10:03:57 oYgAB4Ps
おまたせしました。夜中にきます。
795:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/28 22:15:20 qmQ7ir55
ちょ、酉ちがうwww
796:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/29 15:23:49 cT3oMcqG
本物こいや
797:名無しさん@お腹いっぱい。
08/12/29 17:47:08 w4b2uYKj
マルーを擬人化したら最高だよな
798:名無しさん@お腹いっぱい。
09/01/03 12:06:20 Y+PeA+W7
ナナ「ダイア? ねぇ、ダイアったら!」
ダイア「ぅあ、・・・・あ、ごめん。なんだっけ」
ナナ「おまじないだよ~。明日、忘れないでね」
ダイア「オッケー。効果はお姉ちゃんの御墨付きだからね。期待していいよ~」
ナナ「・・・・お姉ちゃん? いたんだ、おねえちゃん」
ダイア「ぅん? 言ってなかったっけ。二人いる。お姉ちゃん」
ナナ「・・・・・へー」
気のせいだろうか。少し彼女の顔が曇った風に見えた。
ナナ「どうしたの? またぼーっとしてる」
もっと気を配ってあればよかったのだが、どうもこの調子だとそうもいかなかった。
ダイア「そろそろ帰ろっか。ほら、もうこんな時間だし」
テーブルの端に置いた、じゃらじゃらと騒がしい見た目の携帯を開き、それを彼女に見せる。
ナナ「ほんとだ、丁度お買い物にいく時間。あー、今日は泡麦茶の日・・・・・やだな・・・・・」
ダイア「泡麦茶? なにそれ?」
ナナ「わわっ! な、なんでもない! ほら、いこいこっ!」
ダイア「わっと、引っ張るなってば~」
精算した後、その日はこの場で彼女と別れた。
ダイア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁ」
忘れもしない。あの時見えた、夕日を背に出来た彼女の大きな大きな影。
騒がしく鳴き続ける無数の声が静まり始めた頃。
都会では目にしない筈である、派手にお尻を光らせた絢爛な奴らを偶然見つけた。
それが顔を横切ったその瞬間、ずっと隣りにいた彼女がどこか遠くへ離れていく。
そんな、底知れぬ不快な錯覚に見舞われた。
799:名無しさん@お腹いっぱい。
09/01/03 12:13:33 Y+PeA+W7
暑い。夏の到来を嫌でも感じさせる強い日差しが気力と体力を共に奪う。
ダイア「あふぅ・・・」
毎度ながら思う。何故、この学校にはプールが無いのだろうか。
市営の市民プールがあるにはあるらしいが、ここからだとだいぶ距離が離れているらしい。
実際にそのプールを利用した事のない私はよく知らないのだが。
ダイア「あーあー・・・・・ちぃよぉ・・・・・・・・」
これは何かの嫌がらせとしか思えない。この季節限定で転校したい気分。
この暑い中グラウンドで汗を流せなんて。生憎、私には関係の無い話だ。
ダイア「ぁぁあつぅ・・・・・」
グラウンドでは数人の男子と女子が入り混じり、白球を追い掛けている。
よくこの暑さで熱心になれるものだ。内心呆れながら、私はいつもの場所に非難する。
ダイア「はあぁ・・・・風がきもちいぃ・・・・・・」
この広いグラウンドの中、いつもひとりぼっちでいるあの大木へと。
『なんじゃ、また来たのか』
ダイア「だって暑いんだもん」
悪態をつきながら日陰に腰を降ろす。ジャリジャリとした地面の感触が少し気になった。
『わざわざそんな所に座らずともよかろう』
ダイア「ふふん。そうですかそうですか、っとと」
軽やかな動きで立ち上がる。
お尻についた砂をはたき落とし、腰を降ろすに適した丁度良い形で盛り上がっている巨木の根元に落ち着く。
ダイア「んーーーっ。やっぱいいなあ、ここ」
組んだ両手を空に突き上げ背伸びすると、涼しげな風が吹き抜け褐色に染まった髪を揺らした。
800:573
09/01/03 12:23:45 Y+PeA+W7
ダイア「ふぅいぃ~~~。きもちいい・・・・・・」
私のとまり木。この季節、涼を感じさせる貴重な空間を独り占めにしてやる。
『あの娘は休みか』
ダイア「そうだみたいだね」
『心配になるの』
ダイア「そうだね」
『むぅ、少し太ったか』
ダイア「この変態オヤジ」
ぺちりと幹をはたく。
『心配じゃ。これでもう、3日になるか』
ダイア「そうなるね」
『随分淡泊な反応じゃな』
ダイア「だって、何て言ったらいいかわかんないもん」
『・・・・・・・・・・・・・』
沈黙の続く中、蝉の声に時折混ざる甲高い声に耳を傾ける。
801:名無しさん@お腹いっぱい。
09/01/03 12:25:29 Y+PeA+W7
『元気な子ばかりじゃのぅ』
ダイア「よくこの暑さで走れるよねー」
『子どもは元気が一番じゃろう。お前ももう少し、』
ダイア「あー、パス。そういう話はいいや」
『・・・・・昔はもっと素直な子じゃったのに突然ひねくれおって。何が気に入らん?』
ダイア「多分、その気持ち悪い顔が気に入らないんだと思うな」
『ほっほっほっほっ』
ダイア「あ~~っもう! その笑いかたやめてよ!! 気分悪くなる!」
『ほっほっほっほっ』
ダイア「・・・・ひくっつーの」
べつにコイツが嫌いなわけじゃない。いってみれば、これが私たちのコミュニケーション。
こうして冗談を交えながら親交を深めているだけなのだ。
ダイア「大体、なんでこの木に憑いちゃうわけ?」
『丁度良かったんじゃ』
ダイア「何が丁度良いの?」
『眺め』
ダイア「・・・・・はっはーん。やっぱりそうきたか。
ここから女の子の着替えとか覗きながら鼻の下伸ばしてたんでしょー」
『ほっほっほっほっ』
ダイア「だ~か~ら~~っ! その笑いやめろって言ってんの!! あと子ども扱いすんな!」
『覗き見するにはちと刺激不足じゃ。わしの趣味には合わん。
うむぅ、どうせ覗くならもっとこう・・・・ばいーん! と。のぅ?』
ダイア「うぅわ、さいっっってぇ」
『ほっほっほっほっ。もう少し落ち着きを身につけたらどうじゃ。
一々冗談に反応していては、身が持たんぞ』
ダイア「・・・・なんかムカつく」
『アレじゃ。年頃の娘にしては・・・・こう、膨らみも足りんの』
ダイア「うぐッ! ・・・・・・・・・・・・・悪かったな」
802:名無しさん@お腹いっぱい。
09/01/03 12:29:39 Y+PeA+W7
だいぶ長い時間話し込んでいたのだろう。
グラウンドを走り回っていた子達が一ヵ所に集まっているのに気付いた。
そろそろ授業の終わりを告げるチャイムが流れる時間なのかもしれない。
ダイア「ここから出たくないなぁ・・・・・」
ゆっくりと立ち上がり、ぱたぱたとお尻をはたく。
じゃあねと浅く挙げた右手をぶらぶらと振り、巨木に背を向けた、その時。
『ダイア』
不意に呼び止められた。先程とは違う、真剣味を帯びた声色で。
『何を迷っておる?』
突然の事にぴたりと足が止まる。
私以外の誰かがこの言葉を聞いたとしても、その意図は理解出来やしないだろう。
ダイア「・・・・ぜーんぶお見通しか。あはっ、気持ちわる」
これは私にしかわからない問い。その本質を理解する事、それはあまりにも容易だった。
『伊達に長く生きておらんからの』
コイツとは長い付き合いになる。
誰に聞いたかは覚えてないが、私がまだ小さかった頃。
それこそ、世に生を受けた直後から。コイツはずっと私を見守ってきたそうだ。
ダイア「おえっ・・・・・・」
『どうした?』
ダイア「な、なんでもない・・・・・」
考えてみれば、それはそれで不気味だし気分が悪くなってしまう。
軽いめまいに頭を抱えながらくるりと、その大木に振り返った。
『どうした?』
ダイア「あ、あははは。気にしないで」
803:名無しさん@お腹いっぱい。
09/01/03 12:35:16 Y+PeA+W7
『まったく、らしくないのぅ。
ワシの知るダイアなら、こういった時の行動力はあやつらに劣らないものを持っておった筈じゃが』
ダイア「お、お姉ちゃんと比べられても自信ないよ・・・・・」
『お前に弱気な態度は似合わん。真っ直ぐ前を見ろ。それからじゃ』
ダイア「・・・・ふん。簡単に言ってくれるけどさ、出来たらそうしてるって」
『ひねくれおって。ほっほっほっほっ』
ダイア「笑わないで」
『あの娘を助けたいんじゃなかったのか?』
ダイア「そうだけど・・・・・・正直、自信ないんだ・・・」
『やってみなければわからんぞ』
ダイア「そうかな。私にはわかる気がする・・・・・駄目だって」
それはきっと、間違いなく。そんな確信があった。
蟠りを持ったこの状態で彼女に会えば、
私もナナも互いに深く傷ついてしまい、取り返しのつかない事態になると。
決して拭う事の出来ない臆病さを持つ自分が腹立たしい。
ダイア「笑っちゃうよね。散々ナナのことお子様扱いしてたのに・・・・あははっ。
ぜーんぜんちがう。私なんかよりも、ナナはずっとずぅーっと先にいるんだもんなー」
いつも私の隣りにいて、同じ道を、共に同じ速度で歩いている。そう思っていた。
ダイア「・・・・・・・・・ははっ」
なんて愚かしいんだ。これが全て、私の勝手な願望だったなんて。
804:名無しさん@お腹いっぱい。
09/01/03 12:40:39 Y+PeA+W7
目を閉じればいつでも浮かぶ、あおの幼げな笑顔。
ナナ『おっはよーダイア~~』
普段からふわふわとしており、隙の多い彼女はどこか気の抜けた印象だった。
ダイア『おっはよー。どしたの。何かイイことでもあった?』
ナナ『へへへ。テレビの星座占いで一位だったんだよー!
良い事尽めの一日。たくさんの人から感謝される日でもあるでしょう。だって~!』
ダイア『へーっ。でも、たしか血液型占いでは最下位だったよね。
良くない事が起こる一日。外出せず、ひっそりと今日を過ごしましょう。ってさ』
ナナ『そ、そっちの方は見てないからセーフ! ・・・・・じゃダメかな?』
ダイア『あはは。私に聞かれたってわかんないよー』
ナナ『あーあ・・・・・せっかく一位だったのに・・・・』
ダイア『占いなんてそんなものでしょ。アテにはならないって』
ナナ『で、でもっ! 良い占い結果が出たらさ、なんだか嬉しくならない?
今日も一日頑張ろーって、私はそう思えるけどなぁ』
ダイア『ふふっ。ナナは単純だもんねー』
ナナ『ぶうぅ! ひどいよダイア~~』
805:名無しさん@お腹いっぱい。
09/01/03 12:43:04 Y+PeA+W7
まるで、昔の自分を見ているようだった。
社会の流行に流されやすく、女の子を地でいく彼女の姿。
それが私にはたまらなかった。誰からも好かれる人物であり、私だってナナが大好きだ。
だからこそ。卑しい感情が生まれる時が何度もあった。
羨んでいたのかもしれない。いや、怖かったのかもしれない。
ふと、隣りを見た時。後ろを振り向いた時。
彼女の姿が、何処にも見当たらなくなってしまう事が。
一緒にいたい。同じでいたい。幼稚で醜い、汚らしい感情が私の正常な思考を蝕んでいく。
もう、自分の意思だけでは止まれない。黒い感情が次々と溢れ出してくる。
『何を戸惑う必要がある。やるべき事はわかっておるんじゃろ?』
ダイア「・・・・さあね」
素っ気ない態度だと思われるかもしれない。
でも、こうする事でしか自分の気持ちに抗えない時だってあるんだ。
『らしくないのぅ』
ダイア「・・・・・ふん」
本当は嫌だった。これ以上憎まれ口を叩き、コイツを悩ます事が。
認めたくなかった。目を逸らしてしまいたい現実がある事を。
806:名無しさん@お腹いっぱい。
09/01/03 12:48:11 Y+PeA+W7
『どうやらとても簡単な事を忘れているようじゃな。
おぬしにとって、彼女とは一体なんじゃ?』
即答する。一番の友達だと。お互い、信頼に足る関係を築いていると。
『そこまでわかっていながら、何を躊躇する必要がある』
ダイア「ぁ・・・・・・・・」
あの時とは逆の光景。執着していた筈の気持ちが再び胸を高鳴らす。
『自分でもわかっている筈じゃろ。何を迷う必要がある? 何を躊躇する必要がある?』
ダイア「わかってる・・・・私だってそれくらいわかってるよッ!!」
何か。自分でもよくわからない何かが、胸の中で音を立てながら弾けた気がした。
『・・・・・言葉にする必要はないんじゃ』
ダイア「ぁ・・・・わ、わた・・し・・・・・ぁぁぁ・・・・!」
『その気持ちは誰かに伝える必要など無い。自分の胸の中に止どめておくものなんじゃ。
迷ったり悩んだりした時がきたら、その気持ちをもう一度思い出せ。もう一度自分を思い出せ』
ダイア「ぅぅ・・・・ぅうぅぅぅ!」
頬を伝う温かな何かに気付いたのは、それからもう少し先の事になる。
今は次々と溢れ出す不思議な感情の処理に手一杯だったのだから。
『気分はどうじゃ』
ダイア「わかんない・・・・わかんないよ・・・・・・ぐすっ」
『ワシには見えるぞ。一点の曇りもない、昔と変わらぬ笑顔がな』
ダイア「わらってる・・・・わたしが・・・・・?」
カレの言葉が信じられず、静かに両手を顔に添える。
ダイア「・・・・・へへっ」
不思議な気分だった。自らの意識の下に起こった出来事ではないのだから。
添えた両手から伝わる情報。感触だけでも、それがわかった。
807:名無しさん@お腹いっぱい。
09/01/03 12:55:42 Y+PeA+W7
ダイア「似合わない、か。・・・・いひひっ。たしかに似合わないね。
あんたにその台詞は。気障ったらしいし」
『ほっほっほっほっ』
ダイア「笑うなって言ってるでしょー」
本当に簡単な事だったのだ。理由が無いなら、後で考えればいい。
適当な理由が思い付かずとも、それはそれそれでいいじゃないか。
だって理由なんて、一番の大事じゃないんだもん。
ダイア「ありがと。・・・・今回はモッキーのおかげかな」
『魔女の端くれならわかるじゃろ。そう思うんなら代価を頂くとするかのぅ。ほっほっほ』
ダイア「代価? ・・・・・うん、いいよ」
心地良い風に揺られながら、しっかりと大地に根を張るこの大きな大木に宿る精。
辛い時や悲しい時、俯いてしまった時は自然とここに足が向いてしまう。
ダイア「の、ノーカンだよね・・・・相手は木なんだし・・・・・・」
こんな気持ち、恥ずかしくて口に出せるはずもない。
だが声や顔に出さずとも、私の気持ちはいつだって変わらない。もちろん、これからも。
大好きなお姉ちゃん。
小煩いイタズラ好きな三人組み。
いつから住み着いたのかは覚えていない黒猫。
いつもそばにいる私達姉妹の写し身。
本当なら私の隣にいる筈のキキ。
他にも、たくさん。
私の住む館はいつも騒がしく、そして賑やかだった。
そして忘れもしない。庭に佇む、今では何の変哲もない一本の大木。
その木に宿った精は今はこうして私の眼前に腰を据えている。
少し前にここへ引っ越しをしたのだと言う。その引っ越しの理由は大体の見当がついていた。
なんとなく、伝わってきたんだ。
それが私の自惚れである可能性もある。でも、たとえそうだとしても。
どんな憎まれ口を利こうとも、私はカレを信じている。
信頼し、信用している。
本当に、感謝している。
808:名無しさん@お腹いっぱい。
09/01/03 13:01:16 Y+PeA+W7
だから、今日だけ。今日だけの特別。
これが最初で最後。・・・・・・たぶん。
ダイア「ありがと。本当に」
ゆっくりと、目の前の大木に顔を寄せる。そして。
『・・・・・・!』
乾いた香りと共に生まれた淡い感情を胸に刻み、心の奥底へとそれを閉まった。
ダイア「ざらざらぁ・・・・うげぇ・・・」
『ほっ、・・・・ほっほっほっほっ。ほーっほっほっほっほっほっ!!』
ダイア「・・・・・本気で気持ちわるいから」
『せめてキモいと言ってほしかった』
直ぐ調子に乗る所は嫌いだけど。
ダイア「じゃ、行ってくるね」
『気をつけてな』
ダイア「友達と会うだけだもん。何も気をつける必要はないって」
『・・・・ほっほっ』
既に心は決まった。あとは行動を起こす。それだけだ。
先程とは違う決意を胸に新たな一歩を踏み出す。
その一歩は私にとってとても深く、重い意味をもっている。
そんな思いとは裏腹に、私の足取りは今までに感じた事の無い程にとても軽やかなものであった。
ダイア「んーーーっし! 久しぶりにやっちゃうかな!」
何故だろう。今日の風はいつもより気持ちがいい。
809:名無しさん@お腹いっぱい。
09/01/03 17:09:53 Z+FQitzi
アロエちゃまあけおめ
愛してるよ
810:名無しさん@お腹いっぱい。
09/01/03 19:17:28 /r+Mxee9
来てるなら来てるって言ってよバーニィ!!!!!!!!!!!!!
811:名無しさん@お腹いっぱい。
09/01/03 21:10:25 Y+PeA+W7
拝啓
酷暑の砌、いかがお過ごしでしょうか。
日焼けした子どもをよく見掛ける、海の恋しい季節がやってまいりました。
ダイア「えぇっと、ここをこうで・・・・・・・あら?」
さて、私事ではありますが。
ダイア「ぁ・・あれぇ?」
私、只今迷子になっております。
ダイア「あ、ここをこう曲がったから・・・・・ぅん?」
かなりの時間真上で輝く陽に当てられながら、片手に持った小さなメモ用紙と睨み合い悪戦苦闘していた。
ダイア「ああんもう! こんな粗末な地図じゃわかんないって・・・・」
正直な所、きまりが悪いというか。まさかこの歳でとは思いもしなかった。
もし、こんな抜けた所を知り合いに見られてでもしたら。
ダイア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぅあ!!」
どちらかというと、焦りよりも気恥ずかしい気持ちでいっぱいだった。
ダイア「あんのボンクラじじぃ・・・・!!」
ぐしゃりと。お構いなしに拳を握ったせいで用紙がシワだらけになってしまう。
ダイア「ぅぅうううう!! あいつコロ助。帰ったら絶ッ対、ぶっコロ助!」
そう、何もこうなってしまった原因全てが私にあるわけではないのだ。
812:名無しさん@お腹いっぱい。
09/01/03 21:13:48 Y+PeA+W7
ダイア「せんせー、お腹痛いんで帰ってもいいですかー?」
お昼休み。
冷房の効いた少し肌寒いくらいに冷えた職員室を訪ねた私の開口一番、先生はわなわなと体を震わせ始めた。
ダイア「・・・・うわっ」
おでこに青筋が綺麗に浮き立ち、ぴくぴくと脈打っているのが見ているだけで嫌でもわかる。
先生「お前、学校舐めてるだろ」
怒りに満ち、低くドスの効いた声によって申し出は早々に却下された。
ダイア「こ、こわっ・・・」
まあ、始めから許可は貰えないと内心決め付けていたので、こちらとしてはまったく問題はない。
むしろ助かったとも言える。安易い許可が降りでもしたら、予定が狂ってしまうのだから。
ダイア「コホン。えっと、お腹痛いんでぇ、帰ってもいい・・・・ですよね?」
若干気圧されながらも気を取り直して再び尋ねる。
先生「ま、まだ言うか・・・・・」
先生は既に怒りの感情を通り越したのか、呆れた表情へと変わっていた。
ダイア「あ、あははは。やっぱり駄目ですよねー。そっかそうっかぁ・・・・・」
先生「ふざけてないで教室に戻れ。昼休みはもう直ぐ終わるんだから・・・・・ん。
そういえば、お前たしか先月の補習を欠席していたなあ。
風邪か何か知らんが、ちゃんと補習は受けなさい。なんなら先生が」
ダイア「おりゃ!!」
もはや問答無用。わざわざ説教をされにここへ来たわけではない。
813:名無しさん@お腹いっぱい。
09/01/04 04:29:44 BgVOy1lq
あとどれくらいで終わりそう?
814:名無しさん@お腹いっぱい。
09/01/04 13:13:35 aU0HYZQO
広末「え、ちょっとあなた誰ですか?」
彼女は腰を抜かした
815:名無しさん@お腹いっぱい。
09/01/08 16:06:01 XERvASwj
つまり逆押しでいいん?バカでスマソ…orz
816:名無しさん@お腹いっぱい。
09/01/08 21:12:24 W4U3Yx38
正解は立ちバックだ
817:名無しさん@お腹いっぱい。
09/01/12 10:30:20 ROwVn5uy
ほしゅ
818:名無しさん@お腹いっぱい。
09/01/22 10:01:50 fOJ9P2bu
まだかなぁ
819:名無しさん@お腹いっぱい。
09/01/29 07:51:01 9U5dioiC
なんてくだらない世界なのだろう。
「みんな~~! 今日はありがとう~~~!」
「「「ワーーーーッ!!」」」
この下劣で低俗な光景を見ても、今更思う事など何一つとしてない。
「じゃあね~! みんなー、また戻って来るから~~!!」
「「「うおおおおおおおおおお!!」」」
当たり前の日常をただ平穏に暮らしているだけのあんた達なんかに、この気持ちがわかるもんか。
「お疲れ様です。どうぞ」
「ふん」
スーツ姿の男から渡されたタオルを乱暴に受け取り、流れ出る汗を丁寧に拭き取った。
「「「「アンコール! アンコール!!」」」」
外からの汚らしい歓声が沸き立つ中、私の機嫌は更なる下降の一途を辿るだけ。
「・・・・どうされます?」
恐るおそる、控え目な口調で訊ねる気弱な男に、
私の意向全てを込めた言葉を吐き捨てるようにして言ってやった。
「どうして、このあたしが?」
「・・・・・はい」
たった一言。男は何事も無かったように、素早く私の視界から消え去ってしまう。
820:名無しさん@お腹いっぱい。
09/01/29 07:54:46 9U5dioiC
「うっさいな・・・・・・・」
外からは未だ忌むべき呪いの言葉が吐かれている。
べつに意に介する気はなかったのだが、嫌でも聞こえてくるそれには無性に腹が立った。
「のどかわいた」
その一言を待っていたかのように、再び私の視界に現れた男は手早く小さなボトルを差し出してきた。
「ふん」
男は軽い会釈をすると私の後ろに一歩下がる。
それと同時に、耳障りな濁声をあげる主が陽気な調子でこちらに近付いて来るのがわかった。
「いやあ、お疲れ様です。お疲れ様です」
汚らしい声と相応の醜い身なり。
この、だらしなく緩んだ肥満型の体を笑わずにはいられなかった。
「いやあ、本当に素晴らしいステージでした。私もね、年甲斐も無く、興奮しちゃいましたよお!
ガッハッハッハッハ!! いやあ、本当に素晴らしい! ガッハッハッハッハ!!」
声や容姿だけでなく、その口調までも。
この大男の全てが私の美的観念から外れたものであり、それが許せない。
「・・・・・どうか、この場だけでも」
後ろの男は私にしか聞き取れない程の小さな声でこちらの抑制を計ろうとする。
「・・・・ふん」
本当にこの男は何もわかっていない。この程度の戯れに一々噛み付く程、私は幼稚ではないというのに。
821:名無しさん@お腹いっぱい。
09/01/29 07:57:52 9U5dioiC
「ガッハッハッハッハ! ん、どうされましたかな?」
「いえ、ステージの余韻がまだ抜け切れなくて」
「ほう、それでしたらもう一曲どうです? 観客もまだ物足りない様子ですしなあ」
「うふふ、どうかお気になさらずに」
「んーそれは残念ですなあ。いやあ、結構結構。ガッハッハッハッハ!」
「契約上、そのような件は含まれておりませんので・・・・どうか」
お互いに牽制を掛け合うこの場に一瞬緊張が走るも、大男の言葉で平静を保たれる。
「いやあ、何もそんなつもりで言ったわけではなくてですねえ。まあ、いいでしょう。
追加分という事で一つ、ここは手打ちにしてはいただけないでしょうか・・・・ねえ」
「それでしたら・・・・・・」
ちらりと。鋭い視線で男にサインを送る。
「・・・・・その、額につきましては」
「なあに、心配なさらずとも弾みますよお。これだけのステージだ。その価値がある!」
見え透いた世辞に歯が浮き立つも、薄い微笑を浮かべて会釈を返した。
822:名無しさん@お腹いっぱい。
09/01/29 07:59:36 9U5dioiC
「こちらとしてはそれで構いません。よろしいですか?」
「ええ、私も構いません。むしろ、もう一度このステージに立てる事を光栄に思います」
「謙遜なさる必要などありませんよお! いやあ、本当に謙虚な方だあ!
マネージャーさんもさぞ誇らしいでしょうに!」
「・・・・・いえ」
どうやら私と同じく、向こうもこちらに苦手意識を持っているらしい。
ギラギラとした大男の瞳には黒い感情が渦巻いているのが見ているだけで嫌でもわかった。
「・・・・では、お願いします」
「くれぐれも、よろしくお願いしますよお・・・・・ジャムさん」
言われなくてもわかってる。
そう、心の中で悪態をつき品の無いマイクを片手にステージへと飛び出した。
「「おおおおぉーーーっ!!!」」
ジャム「う~~っ! 私はまだ、歌い足りないぞ~~~!!」
「「「「うあああああああ! ジャムちゃああああああん!!」」」」
ジャム「1、2、3、4!」
「「「いえーーーい!!!!!」」」
823:名無しさん@お腹いっぱい。
09/01/29 21:04:21 ga2vV4OC
きたきた