10/03/28 23:02:06 0T7Q+Q+B
彼は一時の思いつきで死んだのではない。
おそらく三十年、あるいはそれ以上、死を自分のすぐ背後に感じ続けて生きたと思う。死を背負い続けたと思う。
…彼が死なねばならぬとはっきり考え始めたのはいつか。東大紛争時における日本の文化的指導者(体制側だけでなく、
学生騒動に便乗して売名を図った人々まで含めて)の醜さを痛感したからではないか。
…勿論ずっと以前から、日本の崩れてゆくのを、彼はじっと忍耐しながら見ていたのであろうが、殊にあの事件の時に
絶望的な暗黒をつくづく見たのではないか。
三谷信
「級友 三島由紀夫」より