09/09/12 21:56:51 aWcWk0NX
続き
好景気のときには世の中にお金がたくさん動いているから、ある程度貯蓄をしても(消費を抑えても)、所得が
減る心配は少ない。金利も高く、株価も上昇するから資産も効率よく増やせる。しかし、不況時に貯蓄を
増やすと、低価格のモノばかりを選択することになり、出回るお金は減る。前にも触れたように、景気が
悪化して企業業績も振るわず、所得にはね返る。まさに負のスパイラルである。
つまり、個人にとって節約はいいことであっても、すべての人が節約に励むと消費が減って景気は悪化し、
それにともない個々人の所得も減ってしまう。言い換えれば、節約で消費を削ることはミクロ経済学者的視点
では正しい行為なのだが、マクロ経済学者の視点で考えると、正しい行為とは言い切れなくなる。これを
経済用語で「合成の誤謬(ごびゅう)」という。個人にとっては合理的な行動も、多くの人が同じ行動をとると
好ましくない結果を招く、という意味である。
銀行にお金を預けると、企業への融資などに回るが、貸し渋りが起きるとお金は滞留して何も生み出さない。
企業の資金需要がなくなれば結果は同じである。規制緩和などビジネスチャンスを増やす施策も必要だが、
新しいビジネスを生み出す、個々人の「発想」「チャレンジ精神」を喚起していくことも重要だろう。
ビジネスマンの小遣いが減れば、本を読んだり、セミナーに足を運んだりして、発想の土壌をつくる機会も
少なくなっていく。仕事帰りに部下を誘って、酒の席で士気を高めることもままならない。「景気対策のために
小遣いを増やしてほしい」。そんな切り札で、世の奥様方の財布の紐を緩められないだろうか。
▽執筆者
柴山政行…公認会計士・税理士
▽ソース:PRESIDENT (Yahoo!ニュース) (2009/09/11)
URLリンク(zasshi.news.yahoo.co.jp)