官僚によるマインドコントロール()捕鯨問題-9at SEIJI
官僚によるマインドコントロール()捕鯨問題-9 - 暇つぶし2ch331:名無しさん@3周年
09/01/06 13:57:52 2JkU9N5I
一方、南極海のミ
ンククジラの肉は極めてクリーンであるために、通常の家畜の肉ではアトピーを起こす子供でも安心して食べられる動物蛋白源のひとつとなっている。また、ベーコンの原料となる皮脂の場合は、汚染物質の濃度が高い場合にはさらし処理などによって全く害が無いレベル
にして販売されている。さて価格だが2006年現在、肉類の市場への1キロ当たりの卸価格は以下のようになっている。ミンククジラの赤肉の場合、2000年における3760円という価格からは半分近くに下がっているが、末端の小売価格ではあまり実感が無い。小売り段階では3
倍程度の価格となっていると言われており、末端レベルでの価格をもう少し下げて欲しいものである。
2005-06年の南極海調査捕鯨分 鯨種 尾肉 尾肉徳用 赤肉特選 赤肉 赤肉徳用 ミンククジラ 無し 7000 6000 1950 1700 ナガスクジラ 無し 9500 7000 1950 17002005年の北太平洋調査捕鯨分(沖合) 鯨種 尾肉 赤肉 赤肉徳用 ミンククジラ 無し 1950 1700
イワシクジラ 18000 1900 1700 ニタリクジラ 16000 1950 1700 また、従来は調査研究機関である日本鯨類研究所から、調査船や乗組員を提供している共同船舶を経由して市場へ売られていたが、2006年春から新たに 鯨食ラボ という会社が5年限定のプロジェクト会社とし
て新市場の開拓に加わった。 IWCの管轄外の捕鯨によるものIWCが管理の対象にすべきかどうか長年の論争に決着がついていない小型鯨類であるツチクジラ(商業捕鯨停止後、年間54頭の捕獲上限を設定してきたが、1999年からは北海道南部の日本海側で8頭の枠を追加)、
ゴンドウクジラ(商業捕鯨停止後の捕獲上限は100頭程度)、イルカ類などは日本で資源状態を調査した上で自主的に捕獲上限を設定して捕られている。これらはいずれも歯クジラ類だが、流通過程では単に「鯨」と表記される場合が多く、ミンククジラのようなヒゲクジラ
類とは風味が違う事を考えると、やはり最低限「歯クジラ」か「ヒゲクジラ」かの区別は書いて欲しいものである。

332:名無しさん@3周年
09/01/06 13:58:22 2JkU9N5I
そうでないと、昔親しんだヒゲクジラの味を求めて店で買った鯨肉の味が、「なんか違うなあ」という事になりかねない。 他の捕鯨国から輸入された肉
ククジラが643トン、ゴンドウ鯨、ツチ鯨、イルカ類などが416トンで全体の97%であった。
更に同じ鯨種でも、例えば南極海のミンククジラが食べるのはオキアミなどの動物プランクトン類が主体なのに対して、北太平洋のミンククジラは魚類の摂取比率が高いために汚染物質の蓄積具合も異なる。北太平洋のミンククジラを例にとると、肉における汚染の程度が
許容範囲以上で販売されなかった例は過去にほんの数体で、高齢のために汚染物質の蓄積が進んだオスであったと記憶している(メスの場合は1~2年ごとの出産のたびに赤ん坊に汚染物質が一部移動するため、メス自身の蓄積濃度は薄められるという)。
IWCでは1977年に非加盟国からの鯨製品の輸入を禁じる決議が採択され、日本もそれに従っているため、IWCを脱退する前のアイスランドから1991年を最後に輸入されたナガスクジラの肉などがこれに相当する。第2次大戦頃までは鯨の肉の冷凍保存期間は3-4年が限度だったよ
うだが、現在ではマイナス25度程度で保存し、グレージングという処理で肉の表面が乾燥しないように管理するなどして20年程度までは持つようである。 以下の鯨肉は比較的近年に正式に輸入されたものである。ただし、いずれの種も2006年現在においては日本の調査捕鯨で
捕獲されているために長期保存し続ける理由も見当たらなく、既に消費されつくしているかもしれない。
ナガスクジラ アイスランド (1991)、 スペイン (1986)イワシクジラアイスランド (1990)ニタリクジラペルー (1986)
ミンククジラノルウェー (1989)、 ソビエト (1989)、 ブラジル (1986)、 韓国 (1986)
1999年11月末に544業者を対象にし、うち416の業者から回答が得られた調査結果によると、捕獲禁止種の肉の在庫量は、ニタリクジラが1.7トン、イワシクジラが0.1トン、ナガスクジラが17.7トン、マッコウクジラが11.2トンで、いずれも上記輸入肉の残りか、または、商業捕
鯨停止前に捕獲されたものである事が判っている。例外として、仕入先不明のザトウクジラの肉が0.9トン見つかった。当局の目を逃れて密輸されたものなのか、次に述べる混獲クジラなのかは断定されていない。なお、調査捕鯨や小型捕鯨で捕獲されている鯨種の在庫は、ミン

333:名無しさん@3周年
09/01/06 14:06:07 2JkU9N5I
なお、調査捕鯨や小型捕鯨で捕獲されている鯨種の在庫は、ミンククジラが643トン、ゴンドウ鯨、ツチ鯨、イルカ類などが416トンで全体の97%であった。上記の鯨種はいずれも、ワシントン条約では絶滅に瀕した種を掲載する付属書 I に記載されているが、実際の資源状態とは
かけはなれた分類なので、日本はこれらについて留保している。条約上では、ある鯨が合法的に捕獲されたものであり、捕獲国がIWCの加盟国であって、日本とその国の双方がその鯨種のCITESの付属書 I への掲載について留保していれば、両政府の輸出入の許可の許可によって合
法的に輸入できる。例えば、日本とノルウェーは共にIWC加盟国であり、共にミンククジラの付属書 I への掲載を留保しているので、双方の政府が許可すれば、ノルウェーで捕獲されているミンククジラから、ノルウェーで消費されない部分(ベーコンの材料や肉の一部)を日本へ
輸出する事は可能であり、実際ノルウェーは2001年1月に日本への輸出を開始する旨の発表をした(ただし、日本国内からは価格下落を懸念して反対があったために実現しなかったようである)。定置網での混獲された鯨の肉 以前は、海辺に座礁したり、漁網に絡まったりした鯨は
、生きている場合は海へ返すが、死んだ鯨は、焼却や埋め立てなどの処分の他、地域内での消費に限定する事で肉の消費が認められる場合もあった。ただし、金銭の授受を伴う売買は認められていなかった。しかし、漁民にとっては魚網などに経済的被害を受けた上に、何の経済的
見返りを受けることなく肉を分けたり、あるいは更にお金を払って焼却や埋葬するのでは踏んだり蹴ったりである事から、実際には、これらの鯨の肉が出回っている場合もあった(1)。そのため、鯨のDNAを登録するなどの手続きをした上で、肉の市場への流通を認める方向で法令の
変更が検討され、2001年7月から実施された。具体的には、定置網に鯨が混獲された場合、肉片のサンプルを水産庁か日本鯨類研究所へ送り、写真を撮って報告書に添付するなどの所定の手続きを取ることによって販売が可能になる。ただし、大型鯨類の中ではシロナガスクジラと
ホッキョククジラは対象外であり、定置網以外の巻き網や刺し網での混獲は対象外である。初年度(2001年の後半)には52頭の混獲クジラが販売された(すべてミンククジラであったという)。

334:名無しさん@3周年
09/01/06 14:10:06 2JkU9N5I
なお、海外から違法に密輸して摘発された例や密漁の例があるが(2)、それらの肉が実際に市場で流通しているという確たる証拠はなく、仮に流通してもやがて露見して長続きはしない事は想像にかたくない。ちなみに、密輸の場合は30万円以下の罰金もしくは3年以下の懲役、
密漁の場合は200万円以下の罰金もしくは3年以下の懲役、となる。また、上記4の最後に述べた法令改定に伴い、違法鯨肉を扱った流通業者や小売店も罰則の対象にする事が検討されている。現在では鯨肉の不足感もないため、リスクを犯して密漁するメリットもあまり無いよ
うに思われる。密輸や密猟は反捕鯨団体が好んで取り上げ、捕鯨に反対する口実にしたがるトピックだが、過去において「生物学的に適切な捕獲枠が設定されたが、密猟などの違反が横行したために絶滅の危機に瀕した」鯨種は存在しないという事実には留意しておきたい。
IWC以前に捕鯨によって絶滅した系統群はいくつかあるが、それは「適切な捕獲枠」の概念などなかったり、捕獲枠が設定されていない時代の話である。 IWCの時代になっても鯨種別に捕獲枠を設定したのは1970年前後以降であり(BWU制の廃止時期は南氷洋とその他の海域で
は異なる)、国際監視員制度の実施も70年代からと、時代によって大きく変化している。こういう過去における資源管理の有無や、その方法の違いを無視して同等に扱い、商業捕鯨が再開されたらすべての鯨種が再び絶滅の危機に瀕するかのような「捕鯨性悪説」的な雑な議論
を展開し宣伝しているのが反捕鯨団体である。なお、1990年代にIWCが開発した捕獲枠算定方式であるRMP(Revised Management System - 改定管理方式)では、計算される捕獲枠が種々の安全措置によってかなり控えめな上、報告された捕獲量が実際の捕獲量の半分であるよう
な極端な場合でも資源に悪影響を与える事なく管理できる事がシミュレーションで確認されている。
さて、関連する例だが、1994年に反捕鯨団体のEarth Trustなどの資金提供のもと、オークランド大学のC.S. Baker博士とハワイ大学のS.R. Palumbi博士が日本の市場で得た鯨肉のDNA分析でザトウクジラなど違法な鯨種が見つかったとの論文をScience誌の1994年9月9日号
(第265号)に発表し、欧米の著名なメディアでも広く報道された。

335:名無しさん@3周年
09/01/06 14:11:00 2JkU9N5I
同年10月31日付けのタイム誌によると、Earth Trustのエージェントがあらかじめ日本国内で鯨肉を買い集めて用意した検体を、1ヶ月後にBakerが東京のホテルの一室にポータブルの機器を持ち込んでDNAを
コピーし、既存の標本と照合したものだという。論文はニュージーランド政府からIWCにも提出されたが正式な論文とは認められず、科学委員会では検討の対象にもならなかった。内容に疑問点が多いため(3)、すぐに日本側がサンプルの提供を求めたものの、いまだに応じ
ていないのは何か不都合でもあるのだろうか。
その後Bakerは、かつてグリーンピース・ジャパンの活動家として南氷洋で日本の調査捕鯨の妨害に従事し、その後IFAW(International Fund for Animal Welfare - 国際動物福祉基金)に移った舟橋直子の協力のもと、 1997、98、99年に同様のサンプリング調査を行い、
現在捕獲されていない(過去の合法的在庫はある)鯨種の肉が流通している事をもって、日本では密輸や密猟が野放しであるかのように発表している。 IWC科学委員会では Bakerの論文について、サンプル鯨肉がどこで捕獲されたものなのかについて必要な情報がそろって
ない事が確認されている。 注意すべきなのは、このような疑わしい調査結果でも一方的に「事実」として英語のメディアに載って世界的に報道されると人々には事実として記憶されるという点である。反捕鯨国の一部の強硬な世論の背景には、この例のような一方的情報が
長年にわたって「事実」として報道され続けてきた事があるのは疑いないと思う。実際、ネット上で海外の人間と議論していても、「調査捕鯨では鯨を生きたまま解剖している」という類の与太話を信じている例にすら出くわす。
ただ残念なのは、流通過程において鯨製品のラベル表示にいいかげんな例が多いことで、私自身、北太平洋の調査捕鯨で捕られたニタリクジラの肉を買ったら、ラベルの原産地表示が南氷洋になっていて驚いたことがある。南極海のミンククジラが「オーストラリア産」
として売られていたという、笑い話のような例もあったと聞く。産地ならまだしも、違う鯨種が表記されている例も多い。一部の流通業者によるこの種のいいかげんなラベル表示が反捕鯨団体の格好の餌食となって、IWCの場で宣伝材料に使われる事態も起きていて、早急な
改善が求められる。



336:名無しさん@3周年
09/01/06 14:15:49 2JkU9N5I
ネット上での捕鯨に関する議論において、海外の反捕鯨論者が他の野生動物の狩猟や漁業と違って「いくら鯨の数が多くても捕ってはいけない」という極端な政策を支持する根拠にあげるのが「鯨は知能が高いから特別だ」という点である。実際、オーストラリアが70年代終りに
自国民の捕鯨を禁止する際、当時のマルコム・フレーザー(Malcolm Fraser)首相は、「特別で存在であり知能の高い鯨を銛で殺す事が多くの人に不快感を与えている」と述べていて、反捕鯨国の捕鯨に関する政策決定の背後に鯨類の知能に関する俗説への信奉がある事をのぞか
せている。また、カナダの人類学者ミルトン・フリーマン(Milton Freeman)が1992年初頭にカナダのギャラップ社に依頼して、オーストラリア、イギリス、ドイツ、アメリカ、日本、ノルウェーの6ヵ国で行った世論調査(サンプル数はアメリカが1000名、他はそれぞれ500名)
においても、「あなたは”鯨のような知能の高い生き物を殺すなんて信じられない”という主張に同意できますか?」という設問において、「イエス」の割合がそれぞれ 63.9、64.2、55.8、57.0、24.6、21.8 パーセントとなっていて、「知能が高い鯨」を殺す事に対する反感が
反捕鯨国で高い事をうかがわせている(ちなみに「ノー」の割合は 21.7、20.1、23.5、24.8、47.9、57.1パーセントである)。
そこで、以下知能面を中心に鯨類は特別かどうかについてまとめてみる。まず指摘しておかなければならないのは、70種類以上ある鯨類の中で、その知能が研究されているのはバンドウイルカなどほんの数種の小型鯨類であるという事である。シロナガスクジラやミンククジラな
どのヒゲ鯨や、マッコウクジラのような大型歯鯨について、その知能が研究され、それが人間に近い事が実証されたり、それを示唆するような事実が見つかったという話は聞いたことがない。しかし、例えばグリーンピース・オーストラリアが1992に発行した"Are whales almost
human?"と題したパンフレットでは記述の対象をイルカに限定せずに鯨類全般のこととして「疑いもなく知能が高く・・・」と書いている。チンパンジーの知能が高いからといってメガネザルの知能も同等のレベルにあると思い込む人はいないと思うが、鯨類に関しては「イルカ
は賢い」->「鯨類は賢い」->「鯨を食べるのは人食いと同様な野蛮な行為である」とメチャクチャな飛躍でもって論旨が発展して、

337:名無しさん@3周年
09/01/06 14:19:28 2JkU9N5I
捕鯨という漁業 - 漁業自体は反捕鯨国も含めて世界中で行われているごく普通の行為だが - を特別に罪悪視して抑圧する有力な論拠に使われているのが現状である。
1.脳から見た知能レベル 例えばバンドウイルカの脳は約1.6キロと、人間の1.5キロに近く、見かけも人間のものにけっこう似ていなくもない。ただ、脳の絶対重量や体重との相対比率については、知能との相関はないようである。アジア象の脳は人間のものより5倍重いが、
人間より賢いという兆候は全く見られないし、バンドウイルカの5倍近い重さの脳を持つマッコウクジラに、より高い知能を示唆する行動が観察されているわけでもない。そもそも脳は体全体をコントロールする役割を持っているから、大まかな傾向として、大きな動物ほど大
きな脳を要するのは、コントロールする対象が多いのだから当然であるここで「大まかな」と言ったのは、例えば同じ大きさの動物でも爬虫類のような変温動物と哺乳類のような恒温動物では、体の機構の複雑性が根本的に違っていて単純比較などできないからである。では、
体重に対する脳の重さの比率が大きい事が指標になるかというと、小型のマウスが高い数値を示すのである。そもそも、脳において知能をつかさどるのはごく一部分である事を考えると、脳全体の重量でなにか知能に関わる指標を得ようとする事自体が、的外れではないだろうか。
様々な動物の脳の重さ、体重、体重に占める脳の重さの比率(High North Allianceのホームページより)
Species Brain weight Body weight Brain weight
(gram) (tonn) as % of body weight
Man 1500 0.07 2.1 Bottlenose dolphin 1600 0.17 0.94
Dolphin 840 0.11 0.74 Asian elephant 7500 5.0 0.15
Killer whale 5620 6.0 0.094 Cow 500 0.5 0.1
Pilot whale 2670 3.5 0.076 Sperm whale 7820 37.0 0.021
Fin whale 6930 90.0 0.008 Mouse 0.4 0.000012 3.2

338:名無しさん@3周年
09/01/06 14:23:58 2JkU9N5I
次に脳そのものについて言えば、シワは人間より多いのだが、知能に大きく関わるとされる大脳新皮質は人間の半分程度に薄く、神経細胞の密度も低い。もっとも新皮質が脳全体に占める量が多い方が知能が高いかというと、実際にはハリモグラの方が人間より多く、やはり量
のみでなく質的な分析が求められる。鯨類の祖先が陸上の哺乳類で、6500万年から7000万年前に海での生活を始めた事は、今日ではよく知られていると思う。陸上哺乳動物において、脳の新皮質の最後の進化が始まったのは5000万年程前と考えられているが、鯨類の祖先はそれ
よりはるか以前に海へ移ったために、同じ哺乳類といっても、現世の陸上哺乳類とは違い、新皮質の層の数が6つではなく5つしかなく、構造もはるかに単純であるなど、質的な違いも大きい。また、海中という、視覚から入ってくる情報だけでは不十分な環境で生きているために、
音波を発して、その反射波から周囲の状況を把握するエコーロケーション(Echo location)という機能が発達しているため、音波の処理に必要な箇所が発達して、このような比較的重い脳を持つに至った、と考えている学者もいる。
というわけで、イルカの脳は見かけに反して質的にはかなり人間のものと違い、人間に匹敵する知能の存在を万人に納得させる決定的な材料は、今のところない、のである。
2.行動からみた知能レベル 10年ほど前であるが、ある新聞報道を見て苦笑した事がある。内容は、オーストラリアの海で溺れた人間をイルカが岸まで押したために命が救われたというようなものだった。苦笑したのは、どうもあちらの国では優しいイルカが溺れた人間を見て、
助けようという善意で押した、と勝手に人間本意の理屈で解釈している様子が文面からうかがえたからである。このような解釈が妥当であるためには、1.「イルカは溺れている人間の挙動から、危険な状態にあると判断した」、2.「イルカは危険な状態にある人間を助けたいと
思った」、3.「イルカは人間を助けるには、人間を岸まで連れていくのが解決策であると認識した」事が検証されてなくてはならないが、無論、そのような事を証明した研究などはない。実際にはイルカは生き物に限らず、木や生き物の死体などでも海で沈みかかっているもの
を支えたり、浮いている比較的大きな物を押して運ぶ習性があるから、

339:名無しさん@3周年
09/01/06 14:25:40 2JkU9N5I
上記のような民間信仰はあくまでも人間側の希望的心理の基づく解釈にすぎなく客観的根拠がない。あまり知られてないようだが、現実には泳いでいる人間が突然イルカに攻撃されたり、沖合いの方向へ押されるというトラブルも報告されているのである。
また、イルカには集団行動にみられる社会性や、教えられた動作を行う、遊ぶといった行動も見られるが、これらは他の動物にも見られるもので、特にイルカが抜きん出ているわけでもない。更に、イルカには人間と違って創造性というものを発揮する様子はほとんど見られない。
かつて欧米人に「俺達のやった事を猿まねする日本人」という言い方で蔑視する風潮が強かった事を思い起こすと、この点は若干興味深い。このように行動面では特に際立ったものはないようだが、ただ、陸上動物でそれほど目を引かない行動でも海洋動物が行うと、特に過去の
歴史において海の生き物とそれほど接点が無かった国々の人々の目には新鮮に映り、心が舞い上がってしまうのかも知れない。また、イルカの顔が可愛いという事も、行動を好意的に増幅して解釈しようとする心理に関係しているとも思われる。例えば、学習能力にすぐれ、様々
な遊びを楽しむカラスについて、イルカと同様の思い入れをし、「どんな事があってもカラスを殺すべきではない」という政策を取りいれる国は聞いた事がない。もし仮にカラスとイルカの知能が大差ないレベルのものだとすると、前者を殺す行為と後者を殺す行為に、政策上で
善悪の差を導入するという事は、喩えて言えば「人気のある芸能人を殺すのは一般の人を殺すよりも罪が深い」というような差別法を導入するようなものであり、到底、誰もが受け入れられるものではない事は多くの人が納得できると思う。 なお、付け加えると、あの可愛い顔で
(おそらく表情を多彩に変化させる事は不可能なのだろうが)仲間どうしのイジメがあったり他のイルカ類を殺したりしているのも、TV番組などでは取り上げられないが、事実である。
3.会話能力鯨類が音声をコミュニケーションに用いているのは事実である。ただ、「音声」が気分をうなり声レベルで表現するものなのか、それとも一つの物や概念を一定の音声で表現するレベルかとなると全く知見はなく、体系的な言語と呼べるものを持っていて、それでもっ
て仲間どうしの会話が行われている証拠は全く見つかっていない。

340:名無しさん@3周年
09/01/06 14:27:58 2JkU9N5I
飼育されたイルカにいくつかの名詞や動詞などの単語を教え、それらの組み合わせて作った様々な文章を理解できた、というような報告は読んだ事があるが、これはあくまで人間に教えられて達成した事であって、野生のイルカが自発的に行っているのが発見されたわけではなく、
また、実験そのものも、もっと多くの研究者によって追試されてからでないと、確かな事は言えないであろう。イルカ語のようなものがあって、それを人間の言葉に翻訳でき、イルカと様々なやりとりができる、という可能性は現在では全く見通しがたっていないし、おそらく達成
されないと思う。そもそも、人間とは違う形態を持ち生活環境も異なる動物の知能というものが、人間の知能でもって解釈できるものかどうかも疑問である。例えばサッカーとテニスは共に球技であるが、全く形態の異なるスポーツであって、単に用語を入れ替える事によってサッ
カーのルールブックをテニスのそれに変える事など不可能である。動物の知能も似たようなもので、異なる体を持ち異なる環境で生きている様々な動物の知能は、それぞれの動物の必要性に応じて異なった方向に発達しているものであって、ある動物にとっての知性は他の動物にと
って知性として認識されるとは限らないのではないかという気がする。イルカと会話が可能であると思っている方は、試しに本屋で幼児向けの童話でも買って、そこに使われている言葉に対応するものがイルカの生活に存在するかどうか考えてみるとよい。人間の世界でも、ある外
国語の単語が示す概念が自国語にないために翻訳に苦労するのはよくある事だが、相手は何もかも違うイルカである。百歩譲ってイルカが人間の言葉に翻訳可能な言語を持って仲間どうし会話しているとしても、「王子様」、「ごほうび」、「お祈り」、「結婚式」など、そもそも
イルカの世界に存在していそうになく、従って翻訳などできそうもない言葉に満ちている事がわかるはずである。子供向けの本ですらこの有り様では、鯨類高等知能教の教祖であるジョン・リリー(John Lilly)が言うように、イルカを相手に地球や宇宙の様々な事象について語り
合い、哲学的認識を深めるなど、夢のまた夢であって、せいぜい「あっちの方にイワシがたくさんいた」と教えてもらうのが関の山であろう。しかもこれは、

341:名無しさん@3周年
09/01/06 14:34:45 2JkU9N5I
「百歩譲ってイルカが人間の言葉に翻訳可能な言語を持っている」と仮定した場合の話であり、その前提すら現在では怪しいのである。実際、イルカの音声コミュニケーションについての過去の様々な研究について考察したある科学者は、彼らが「誰が」、「どこで」、「何を」
といった情報は伝達できるものの、「いつ」、「どのようにして」、「なぜ」といった情報をやりとりしている形跡はないとしている。このように考えると、鯨が人間に近い高度な知能を持った生き物であると信じ、それを捕鯨に関する政策に反映させるという行為は、喩えて言
うなら、カリフォルニアの砂漠で空飛ぶ円盤に乗ってきた金星人とテレパシーで会話したという、1950年代初頭のジョージ・アダムスキーの話を鵜呑みにして、「金星の方々に迷惑がかからないように、探査機を送り込むのはやめましょう」というのと同レベルであって、カルト
・グループの仲間うちならまだしも、政治レベルでまかり通る事が私には不思議に思える。同じ知能レベルである事が明白な他国の人間に対して、文化的背景に基づく社会・経済上の制度の様々な違いに難癖をつけ、自分たちの制度が世界の標準や理想であると強弁し、時にはそ
のような口実から経済制裁や軍事的対立にまで発展させる一方で、鯨類の知能レベルについての怪しげな巷説を盲信し、ヒステリックなまでに鯨類を保護する政策をとり続け、しかも自分たちの鯨観に基づく政策を世界中に強要しなければ気が済まない国々を見る時、なにか病ん
だ精神のようなものを感じてしまうのは、私だけであろうか。最後に、鯨類の知能に関して巷で信じられている事と科学者レベルで解明された事実のギャップが大きいのも注目に値する。客観的に様々な実験や多くの科学者の意見をもとに、他の動物と比較してイルカがずばぬけ
た知性の持ち主である事を立証してみせたTV番組や雑誌記事は、私の知る限りでは無いようである。だが、なんとなくイルカは動物の中で特別な知性を持っているかのような印象を与えるTV番組でのナレーションに接したり、思わせぶりなタイトルの本を目にする事は多いと思う
。たぶんこのあたりに、イルカが人間に近いレベルの知能を持っているとボンヤリ思いながらも、それを理路整然と説明する事などおぼつかないという事の原因がありそうである。

342:名無しさん@3周年
09/01/06 14:38:07 2JkU9N5I
かつてナチス・ドイツの宣伝相であったヨーゼフ・ゲッベルス(Joseph Goebbels)は「豚の事をライオンであると100回言えば、豚はライオンとして通用する」というような事を言っていたと思うが、似たような状況にあるのが鯨類の知能をめぐる世間の認識の状況である。
鯨や魚など水産資源の捕獲枠を決める際の重要な概念が「最大持続生産量(Maximum Sustainable Yield - MSY)」というもので、これは今現在のIWCの捕獲枠算定方式である改訂管理方式(Revised Management Procedure - RMP)や70年代半ばに採用された新管理方式
(New Management Procedure - NMP)を理解する上で欠かせない。そこで、この概念について簡単に解説しておく。
今、ミンククジラの集団があるとする(別に他の鯨種であっても、魚類であってもいいのだが)。人間がこの集団から捕獲しない場合、環境の激変などがないかぎり、頭数はだいたい一定である。この時の頭数を初期資源量という(環境が許容する最大限の量という事で
「環境収容量」という言葉もある。 これは当然、環境の変化に応じて時間的に変わるから、初期資源量は「捕獲開始直前における環境収容量」といってもよいであろう)。これは、この集団で毎年死ぬクジラと生まれてくるクジラの頭数がだいたい釣り合っている事を意味
する。仮に最初の頭数を10000頭として、毎年300頭が自然上の理由で死に(シャチなどの天敵に襲われる場合も含む)、300頭程度が生まれているとする。さて、この集団から何年か捕獲を続けて頭数が6000頭に減ったとする。この時、自然上の理由で死ぬ頭数と新しく生まれ
る頭数は釣り合っているだろうか?このような状況に関する数多くの野生生物の研究で、新しく生まれる頭数の方が自然死するものより多い事が知られている。一種の法則のようなものである。これは、マクロの視点から見ると、あたかも集団が頭数を元に回復しようとして
いる一種の防御機能のように見えるが、ミクロというか個体レベルの視点では頭数が減る事によって群れの密度が減少し一頭当たりの餌の量が増えたりストレスも減るなど、繁殖を促進する要素が効いてくるためである。このような回復力があるからこそ、過去に過剰に捕獲
した鯨種も、捕獲をやめればだんだんと資源量が回復してくるわけである。

343:名無しさん@3周年
09/01/06 15:24:49 2JkU9N5I
ただし、ものごとには限度というものがあり、あまり頭数が減ってしまうと回復も難しくなる(極端な話、数10頭まで減ってしまうと思わぬ災害で全滅する可能性もでてくる)。
この様子をグラフで簡単に表すと下図のようになる。横軸が集団の頭数で、縦軸が頭数の自然増加分(= 生まれる頭数 - 死ぬ頭数)である。この曲線のピークに対応する増加分
をMSY(最大持続生産量)といい、その状態になる頭数をMSYレベルといい、初期資源量の50%から70%程度の場合が多いようである。 さて、10000頭いたクジラの集団のMSYレベル
が7000頭であり、捕獲によって現在7000頭にまで減って、毎年410頭が生まれて200頭が死んでいるとする(数値はあくまで例えである)。この状態では余剰分は 410-200、すな
わち翌年までに210頭増える事になる。「MSYレベルが7000頭」という事は、頭数が6000頭や8000頭の場合でもさらに増加はするが、毎年の増加分は頭数が7000頭の場合の210より
は少ない、というわけである。さて、ここでこの集団から捕獲しなければ、翌年には頭数は7210頭に増えるが、もしここで210頭捕獲すると、来年までに増えているはずの頭数は
また7000になり、同じ状況がくりかえされて、410頭生まれて200頭自然死し、翌年また210頭捕獲すれば総頭数は7000という状況が再現される事になる。総頭数が7000頭以外の場
合には、毎年の増加分はこの210頭より少ないので、従って、このレベルで捕獲を続けていくのが、もっとも効率よく安定した生産を続ける事ができるわけである。また、捕獲量
を210頭より少なく設定すれば、捕獲を続けていながら頭数も当初の10000頭に向けて徐々に増えていく。 以上が1931年にイギリスのラッセルによって提唱され、その後の漁業資
源管理に大きく影響を与えたMSY理論の考え方の概要である。無論、実際の捕獲においては捕獲するクジラの雄と雌の比率や年齢なども考慮に入れるなど複雑な要素が入ってくる
し、現実の自然界では、捕獲を開始する前だからといって資源量が安定しているとは限らないのだが、基本的な考え方は以上のようなものである。

344:名無しさん@3周年
09/01/06 15:34:15 2JkU9N5I
余談だが、IWCの歴史においてこのような考え方を鯨種ごとに当てはめて捕獲枠を設定したのは1970年代半ばからであり、また南氷洋のシロナガスクジラでは、このMSY理論が出るのとほぼ同じ(すなわち、まだ普及していない)1930/31シーズンに年間3万頭弱の捕獲が
行われてピークを迎えている。ちなみに当時の南氷洋捕鯨はノルウェーとイギリスがメインであり、日本が参加するのは遅れて1934/35シーズンからであった。よく反捕鯨団体の主張を見ると、商業捕鯨を再開させたら今世紀始めのような乱獲状態に逆戻りする、という
類の文を見かけるが、誇大妄想の感が強く、また捕鯨の資源管理の歴史に疎い一般市民をターゲットにしたプロパガンダと言っても良いと思う。さて、実際の例で見ると、例えば、コククジラ(Gray whales)の北東太平洋系統群は、初期資源は30000頭程度と考えられ
ているが、19世紀半ばからの過剰な捕獲によって20世紀初頭までには2000頭程度までに減ったと考えられている。その後資源は保護されたが1960年代終りから1980年代終りまで、回遊ルートの西側にあたるロシア沿岸で原住民のために年平均174頭捕獲されても、年3%
以上の増加を続け、その後も年間100数十頭の捕獲を続けながら1996年にはMSYレベルより若干高いレベルにあたる24000頭程度まで回復している。 MSYの推定値は670頭で、これは現在の頭数の3%程度に当たり、一方、原住民に許可された捕獲頭数は年平均で140頭程度に
すぎないから、今後も増えていく事が期待できる。また、ホッキョククジラ(Bowhead whales)も同様で、初期資源量が10000から20000頭程度と推定されるべーリング海系統群は過剰な捕獲によって激減し、1980年頃には3000頭程度だったが、その後、原住民生存捕鯨
で年間40頭程度の捕獲を続けながら、現在では8000頭以上にまで増えてきている。最近の研究では、資源量はMSYレベル近くまで回復してきており、年間100頭以上捕獲しても、なお増加し続けると考えられている(IWC 1998)。さて、商業捕鯨の最後の頃に日本が南氷洋
で捕っていたミンククジラの場合、状況はどうであろうか?

345:名無しさん@3周年
09/01/06 15:37:01 2JkU9N5I
まず、上の議論はそのまま単純に適用できない。これはどういう事かというと、南氷洋のミンククジラの初期資源量は、今現在の推定資源量の76万頭をはるかに下回るせいぜい20万頭程度というのが大方の科学者の見方で(日本が本格的捕獲を始める直前の1971年当時、
IWC科学委員会による推定資源量は15万頭から20万頭で推定MSYは5000程度であった。ただ、この時点ではIDCR調査航海は始まっていない)、つまりシロナガスクジラなどのようにオキアミというエサをめぐって競合する他の大型種が捕獲で激減しために、エサをめぐる環
境が好転してしまい、商業捕獲を開始する前にすでに数が当初より増えていたと考えられるからである(これは、今世紀前半からのミンククジラの妊娠率の増加や性成熟年齢の低下、成長曲線の経年変化などから考えられる)。南氷洋でのシロナガスクジラなども含めた
捕鯨が始まる前のミンククジラ資源量を基準に考えるべきか、それともミンククジラの本格的な捕獲が始まった1970年頃の資源量を「初期資源量」と見なすべきかは、素人の私には判らない。実際IWCでも新管理方式(NMP)という方法で捕獲枠を設定していた1970年代半
ば以降では、1970頃のミンククジラ資源量は初期資源量と見なせないとして、毎年の増加量(Replaceent Yield - RY)をもとに捕獲枠を決めていた。商業捕鯨が一時停止してから10年以上経つが、今仮に、「今現在の頭数を減らさない」事を指針にしたとすると、調査に
よって判っている年間5%前後という増加率と76万頭という90年代初頭の推定量から考えても、万単位の捕獲枠が出てくる。ただ、現在IWCで採用されている改訂管理方式(RMP)は「超」慎重に控え目な数字を出すように設計されているので2000頭程度の捕獲枠しか出てこ
ない。ミンククジラだけの事を考えているなら、これはこれでけっこうだが、シロナガスクジラを早く回復させたい野心家(?)には、生態系のバランスを更にミンククジラ有利に傾けかねない危ない数字に映るかもしれない。このように、10000トンの埋蔵量がある鉱脈
から毎年100トン採掘すれば100年で枯渇するのと違い、生物資源の場合には上手に利用すれば持続的に利用し続ける事が可能なわけである。MSYの説明もしたので、ここでIWCによる捕獲枠設定の歴史を見てみる。BWU(Blue Whale Unit - シロナガス換算方式)

346:名無しさん@3周年
09/01/06 15:41:21 2JkU9N5I
第2時大戦後にIWCが設立されて後、南氷洋などにおける捕獲枠の設定はBWUによって行われていた(BWU自身は戦前から用いられていた)。これは、ナガスクジラ(Fin Whales)は2頭、ザトウクジラ(Humpback Whales)は2.5頭、イワシクジラ
(Sei Whales)は6頭を、それぞれシロナガククジラ1頭の捕獲に等しいとするもので、鯨油の生産が目的であった西欧諸国が生産調整のために導入した方式である(戦前の換算ではイワシクジラは5頭であった)。例えば、捕獲枠が1500BWUの
場合、シロナガスクジラだけを捕った場合には1500頭の捕獲ができ、ナガスクジラだけを捕れば3000頭捕獲でき、あるいはシロナガスクジラを1000頭にナガスクジラを1000頭捕る事も可能である。、このように、鯨の種類ごとに捕獲枠を設定
するわけではないので、競って効率の良い大きい鯨種が狙われる事となり、大きい鯨種から順次資源状態が悪くなる事態を招いた。科学委員会ではすでに60年代から、南氷洋で鯨種別の捕獲枠を設定するように主張していたが、本会議レベルで
廃止が決まったのは70年代に入ってからで、1972/73シーズンからは捕獲枠が鯨種別に設定されるようになった(北太平洋では1960年代終りから鯨種別に捕獲枠が設定されていた)。
NMP(New Management Procedure - 新管理方式)1974年のオーストラリアの提案に基づいて、同年12月に科学委員会で細部が検討され、翌75年の会議で正式に採択されてさっそく適用されたもので、MSY理論の一種であるペラ・トムリンソン
(Pella-Tomlinson)モデルに基づいている。これによって、鯨の資源状態は以下の3種類に分類された。
初期管理資源(Initial Management Stocks)資源量がMSYレベルを基準にしてそれより20%以上のあるもの。捕獲限度はMSYの90%とする。
維持管理資源(Sustained Management Stocks)資源量がMSYレベルを基準に、マイナス10%からプラス20%の範囲にあるもの。捕獲限度は、ゼロからMSYの90%まで資源量に応じて決める。
保護資源(Protection Stocks)資源量がMSYレベルを基準に、それより10%以下のもの。捕獲限度はゼロ。 なお、MSYレベルは初期資源の60%に設定されたので、実質上の分類としては、初期管理資源は資源量が捕獲開始前の72%(72=60+20x0.6)

347:名無しさん@3周年
09/01/06 15:46:00 2JkU9N5I
初期管理資源の捕獲限度をMSYの90%としたのは、資源量など各種の推定値に伴う誤差を考慮に入れた安全措置だったようである。さて、このNMPでは初期資源量、現在の資源量、MSYの3つが判っていないと捕獲枠を設定できないが、これらを精度良く推定するのは難しい。
何がなんでも捕鯨を禁止したい勢力からすれば、初期資源量を大きめに推定したり、現在の資源量を少なく推定すれば、対象の鯨種を保護資源に分類させて捕獲をストップさせる事も可能となる。例えば、以前ミンククジラの資源量で取り上げた、反捕鯨派の科学者シド
ニー・ホルト(Sidney J. Holt)によるあまりにも低い資源量の推定値(1978年に2万頭説を唱えた)なども、こういう政治的意図に基づいている疑いが強いし、反捕鯨派科学者が少ない資源推定量を出すためにインチキ計算をした例もいくつか指摘されている。また、
使用した理論的モデルも鯨に適用して妥当だという裏付けがあった訳でなく、捕鯨側、反捕鯨側の間で使用するパラメーターの値をめぐって論争が続いた。 RMP(Revised Management Procedure - 改訂管理方式)NMPをめぐる上記のような背景から、1986年に、このよ
うな欠陥を改善して少ない知識で捕獲枠を算定できる新しい方式を開発する事が決められ、翌1987年にはNMPにとって替わる新しい方式の目標として以下の3つが採用されている。 捕獲限度枠が年によって大きく変動しない(捕鯨業のスムーズな進行のため)。
資源量がある一定の危険なレベル以下に枯渇しない。なるべく高い持続的な捕獲限度を与える。このような状況のもと、様々な科学者によって、NMPにとって替わる新しい管理方式が提案されたが、提案者の名前をとって以下のように呼ばれる。
de la Mareの方式(dlM Procedure) Cookeの方式(C Procedure)PuntとButterworthの方式(PB Procedure) SakuramotoとTanakaの方式(ST Procedure)MagnussonとStefanssonの方式(MS Procedure)最初の3つはNMPで用いられたのと同じMSY理論のモデルを用いる
ので、モデル依存型とよばれ、後の2つはそのようなモデルを仮定しないので、モデル独立型と呼ばれる。

348:名無しさん@3周年
09/01/06 15:48:29 2JkU9N5I
ただし、科学委員会と違ってIWC本会議は政治的動機が強く入って来る
場であり、「何が何でも捕鯨を再開させたくない」勢力が幅を利かせていたから、正式に本会議で採択されたのは1994年である。専門家が長年苦心して開発してきたRMPが本会議で採用されないのに抗議して、1993年の会議後に当時の科学委員会の議長であったフィリップ・ハ
モンド(Phillip Hammond)は辞任しているが、一方、この年のアメリカ政府代表であったマイケル・ティルマン(Michael Tillmann)は、RMP採択を阻止したとして翌年に反捕鯨団体の動物福祉協会(Animal Welfare Institute)からシュヴァイツアー賞(Albert Schweitzer
Medal)を授与され「感動し心から喜んでいる」と述べている。さて、ミンククジラの資源の頑健さが既に包括的資源評価によって確認され、捕獲枠算定方式も完成されたとあっては、商業捕鯨が再開されかねないので、反捕鯨国側は1992年にRMS(Revised Management Scheme
- 改訂管理制度)という監視・取締制度が完成するまで商業捕鯨を再開しない事を提案し、多数決で採択された。国際監視員制度などはすでに70年代から適用されており、その他の操業管理上の細目などは通常の漁業交渉などでは数時間の討議で決まる類のもので、本来数年
を要する代物ではないのだが、「鯨のような大きくて美しい動物を食べる必要はない」(1991年、オーストラリア政府代表のピーター・ブリッジウォーター(Peter Bridgewater))とか「捕鯨を禁止させる科学的な理由はもうないから倫理的な理由で反対していく」(1991年、
アメリカ政府代表のジョン・クナウス(John Knauss))という、条約目的とは異なった文化帝国主義的な動機で政策を決めている国が多数いるのがIWCの現状であるから、反捕鯨側はRMSの審議を遅らせる戦略によって商業捕鯨の再開を阻もうとしている。さらに南氷洋を鯨の
サンクチュアリー(聖域)にする事によって捕鯨再開を阻む事を企て、サンクチュアリーの設定には科学的認定に基づく、というIWCの条約第5条第2項を無視して科学委員会の勧告もないまま強引に多数決でもって1994年に成立させている。

349:名無しさん@3周年
09/01/06 15:54:12 2JkU9N5I
さて、ミンククジラの資源の頑健さが既に包括的資源評価によって確認され、捕獲枠算定方式も完成されたとあっては、商業捕鯨が再開されかねないので、反捕鯨国側は1992年にRMS(Revised Management Scheme - 改訂管理制度)という監視・取締制度が完成するまで商業捕鯨
を再開しない事を提案し、多数決で採択された。国際監視員制度などはすでに70年代から適用されており、その他の操業管理上の細目などは通常の漁業交渉などでは数時間の討議で決まる類のもので、本来数年を要する代物ではないのだが、「鯨のような大きくて美しい動物を食
べる必要はない」(1991年、オーストラリア政府代表のピーター・ブリッジウォーター(Peter Bridgewater))とか「捕鯨を禁止させる科学的な理由はもうないから倫理的な理由で反対していく」(1991年、アメリカ政府代表のジョン・クナウス(John Knauss))という、条約
目的とは異なった文化帝国主義的な動機で政策を決めている国が多数いるのがIWCの現状であるから、反捕鯨側はRMSの審議を遅らせる戦略によって商業捕鯨の再開を阻もうとしている。さらに南氷洋を鯨のサンクチュアリー(聖域)にする事によって捕鯨再開を阻む事を企て、サ
ンクチュアリーの設定には科学的認定に基づく、というIWCの条約第5条第2項を無視して科学委員会の勧告もないまま強引に多数決でもって1994年に成立させている。なお、RMPの明細はNMPに比べて複雑なので、詳細は専門家による解説などにまかせるが(例えば、自身も新しい
方式を提唱した田中昌一博士による解説 - 1 、 2 )、簡単に言えば捕獲データに加えて5年に一度義務付けられる資源推定調査の結果をフィードバックさせて、徐々に理想的な捕獲枠に近づけていこうとするもの、ということになるだろうか。また、系統群についての知識の誤
りなどが悪影響を与えないように、様々な安全措置が施されている。実際、RMPが与える捕獲限度が非常に控え目であるため、同種の手法が他の漁業にも適用されるとほとんどの漁業が商業的に成り立たなくなるという事が、1995年4月にIWCの事務局長を呼んで行われたEUの特別公
聴会における質疑で話題になっている。無論「100%安全」であるなどと保証はできないが、そのような事を求めるのは例えて言えば「交通事故がこの世からなくなるまで子供が外出するのを禁止しましょう」というのと同レベルの発想である。「100%安全とは保証できない」のは

350:名無しさん@3周年
09/01/06 16:04:31 2JkU9N5I
反捕鯨国でも行われている他の漁業や狩猟における管理手法、果ては他の分野の様々な事柄でも同じであり、捕鯨に関してだけ特別に厳しい基準を要求するのは、鯨可愛さに目がくらんで上での世界中の誰にも殺させたくないという
愛好家心理の隠れ蓑としてか、あるいは今世紀中頃までの捕鯨の知識から受けた心理的トラウマ(例えていえば、一度水に溺れた人間が水泳を拒否し続けるような)や、捕鯨に関して嘘と誇張を交えたプロパガンダ情報だけに接して
きて自分で各種文献を当たった事がない事からくる思い込み、あるいは捕鯨だけにスポットを当てて他の人間の活動と客観的に比較した事がないというバランスに欠いた思考回路、といったものからであろう。 なお、今現在のRMPの
対象はヒゲ鯨類であり、雄が複数の雌とハーレムを形成するなど特異な集団構成を持つマッコウクジラをはじめ歯鯨類は対象外である。20世紀最後のIWC総会は去る7月3日から6日まで行われた。開催地はアメリカなどよりも強硬な反
捕鯨国であるオーストラリアで、しかもロバート・ヒル(Robert Hill)環境大臣の選挙区内のアデレード市であった。ヒル環境大臣といえば1997年9月に、全世界の海で永久的に捕鯨を禁止するグローバル・ホエール・サンクチュア
リー構想を明らかにした事で知られ、今回の南太平洋サンクチュアリー案はその第一歩とも見られる。部外者としては会議のなりゆきが気になったが、捕鯨の当事国である日本では全国紙での取り上げは簡単で、あまり詳細は伝わっ
てこない。各種投票結果などは、例えば農水省のプレスリリースページにある 結果の概要 にあり、表に現れる投票結果などでは従来から目立った進展はなかったが、ネット上での海外のニュースで注意をひいた点をいくつか書き留
めておく。 - ワシントン条約事務局長からIWCへの手紙 -今年は4月に、ワシントン条約(CITES)の締約国会議が開かれ、日本とノルウェーが提案していたミンククジラのダウンリスティング案は否決された。これまでのIWCに
よる公式の資源評価からみると、ミンククジラは全世界で100万頭に迫る数が生息していると見られ、とてもではないが、現在分類されているような「絶滅に瀕している種」ではない。当初はワシントン条約の事務局でも、現状は絶滅
に瀕した種と認定するための科学的基準に合わないとして、

351:名無しさん@3周年
09/01/06 16:06:11 2JkU9N5I
提案どおりミンククジラを付属書Iから付属書IIへ移す事を勧告していたが、反捕鯨勢力の圧力を受けたのか撤回し、事務局のお墨付きを失った格好になった提案は浮動票を集めきれず否決された。ただ、商業捕鯨のモラトリアム後の資
改訂管理制度を完成させるよう、催促の手紙を書いたのだが、その文面は反捕鯨国などの反発もあって、マスコミなどには非公開となった。ただ、中立系の国が、IWCの現状がその国際的信用を落とす事を恐れ、2001年2月までに改訂管理
制度の完成に向けた会合を開く事などを提案して合意された。
- ドミニカ騒動 -カリブ海には中部に「ドミニカ共和国」(Dominican Republic)という比較的大きな島国と、東部に「ドミニカ国」(Commonwealth of Dominica、あるいは単にDominica)という奄美大島より少し大きくて人口が7
万人程度の島国があるが、後者はIWCの加盟国であり、そこを舞台にひと騒動があった。以下、現地紙の「The Chronicle」をはじめ、この騒動を報じた複数の記事やネット上の情報、IWCの資料などからまとめてみる。
ドミニカでは今年1月の総選挙を受けて、連立内閣が誕生したが、自身は出馬しなかったものの通商産業協会の推薦を受けて農業・環境・企画大臣に就任していたAtherton Martin氏は、ドミニカがIWC総会でオーストラリアなどが提案し
た南太平洋のサンクチュアリー(聖域)案に反対票を投じたのに抗議して、「これは海外援助にからんで日本が圧力をかけたためだ」として、抗議のために辞任すると本国での記者会見で発表した。会見の席でMartin大臣は「内閣はIWC
におけるすべての投票で棄権する事を決めていた」と主張し、また彼自身がRoosevelt Douglas首相に対して、IWCへのドミニカ政府代表であるLloyd Pascal氏を召還するよう要請していたが、却下されたとも述べた。ドミニカではホエ
ール・ウォッチングが比較的盛んであり、Martin大臣はこれら観光産業の利益も主張している。

352:名無しさん@3周年
09/01/06 16:08:48 2JkU9N5I
大臣に就任するまでMartin氏はドミニカの反捕鯨団体であるドミニカ自然保護協会(Dominica Conservation Association - DCA)の会長だったが、後述する外国NGOとの関係を考慮してか、捕鯨問題に関する管轄はIWC開催前に外務省へと移管されていた。
Martin大臣の言い分に対し、Douglas首相は「代表団に対しては、現地で得られるすべての情報をもとに独自の裁量で投票するように指示してあった」と反論、「オーストラリアなどのサンクチュアリー案は(条約第5条で規定されているような)科学的
裏付けが得られていなかった」とも指摘し、7月10日にMartin大臣の辞任は受理された。 Douglas首相と同じドミニカ労働党に属するPascalコミッショナーも「Martin氏は海外の反捕鯨団体の影響下にある人物だ」とコメントし、またサンクチュアリーにつ
いてはIWCの長年の懸案である改定管理制度(RMS)が完成しても豊富な鯨種の捕獲を不可能にするもので、原則にそぐわないとの認識を示した。Martin氏の政治キャンペーンが、反捕鯨団体である国際動物福祉基金(International Fund for Animal Welfa
re - IFAW)のテレビ広告を活用して行われていた事から、DCAはIFAWの傀儡であると見る現地筋もあり、金銭関係も指摘されている。連立内閣においてMartin氏は自身の諸政策に対する他の閣僚の支持をとりつけるのに失敗してきていたという。 DCAは反捕
鯨団体としては日本ではなじみが薄いが、IWC総会には1995年から参加している。 1998年のIWC総会においては、IWCと同じ略称を持つ国際野生連合(International Wildlife Coalition)というNGOと共に、「日本はカリブ海諸国への経済援助と引き替えにI
WCでの支持を受けている」という今回同様の主張をはじめ脅迫めいた言説を含む開会声明を発表して日本とカリブ海諸国の猛反発を買い、結局IWC議長の働きかけにより国際野生連合の声明はIWCのドキュメントから削除されるという騒動があった。
東部カリブ海諸国(Antigua & Barbuda、St. Lucia、St. Vincent & Grenadines、St. Kitts & Nevis、Grenada、Dominica)は1970年代終りまでの植民地時代のバナナ・プランテーション的経済状態、すなわちバナナの輸出や観光で得た金で外国から安い肉
を買うといった状態から脱却して周囲の豊富な漁業資源を自分達で活用するために漁の加工や保存などで日本の技術援助を受けている。

353:名無しさん@3周年
09/01/06 16:13:18 2JkU9N5I
ドミニカについて言えば、従来のバナナ農業はハリケーンなどの気候の影響のために収穫が不安定であり、砂浜が少なく入り組んだ海岸線と国際空港の不在から観光産業の発展も難航していて、政府は海の利用に活路を求める政策を推し進めている。東部カリブ海諸国の多くは当初、
独立して間もない頃に欧米の反捕鯨団体の資金援助のもとにIWCに加盟したと言われ、事実、モラトリアム採択時には外国人の反捕鯨活動家が政府代表として投票していた国すらあった事は以前ふれた。その後は「科学的根拠に基づいて利用可能な海洋資源は合理的・持続的に利用す
る」という、考えてみればごく当たり前の立場に変わり、条約の範囲外である倫理的理由をかざして捕鯨に反対する欧米諸国とは一線を画していて、小国ながら雄弁な様子はIWCの議長報告書からもうかがえる。日本からの海外援助に関した反捕鯨NGOの宣伝に対しても「我々は日本
よりもEUからより多くの援助を受けているが、もし我々がEU諸国と同じ投票をしたら、カリブ海諸国はEUに買収されていると言うのですか?」と反論している。
なお、Martin大臣は会見で「今回の投票によってドミニカの観光産業は大打撃を受けるであろう」と述べていたが、IWCにおいて条約の規定を満たさない提案に反対票を投じた事が観光客の心理に重大な影響を与えると考えるのは誇大妄想というものではないだろうか。
21世紀最初のIWC総会は去る7月23日から27日までロンドンで開催された。近年共通の主要議題については、例年と大差ない議論が展開され、概要は 本家IWCのプレスリリース や 水産庁のプレスリリース を見ていただきたい。
- アイスランドの加盟問題 -
今年の諸議題のうち、過去に例を見ない揉め方をしたのがアイスランドの再加盟問題であったので、以下、この点をまとめてみる。 アイスランドは、北大西洋にポッカリと浮かぶ島国で、デンマーク領グリーンランド、イギリス、ノルウェーの間に位置する。面積は10万3000平方
キロで人口は28万弱(1999年)である、といってもピンとこないであろうから、少しわかりやすく書くと、北海道より2割ほど広い島国に、函館市と同程度の人口が住んでいることになる。日本同様の火山国で、氷河、火山、オーロラなどが観光客を引き寄せる源となっている。

354:名無しさん@3周年
09/01/06 16:16:14 2JkU9N5I
農耕には向かない地理的環境で漁業が盛んであり、輸出の7割を依存している。漁業政策上の理由により、EUには未加盟である。 IWCには設立当初から加盟しており、自国の近海でナガスクジラ、イワシクジラ、ミンククジラ、マッコウクジラなどを捕獲していた。
1982年にIWCでモラトリアムが採択された後、捕鯨国であった日本、ノルウェーは条約に定められた意義申し立てをした。 IWCの科学委員会が、ミンククジラなど資源量が豊富な鯨種がいる以上、全ての鯨種の捕獲を禁止する包括的モラトリウムに科学的根拠なしとする中で、
鯨を特別視する風潮にすっかり染まった大多数の加盟国が、条約第5条の「科学的認定」を無視してモラトリアムを可決した状況は、とうてい受け入れ難かったのである。日本は当時、アメリカには弱いことで定評があった中曽根総理の政権下であり、アメリカの水域内での
日本漁船への漁獲割り当てへの削減で脅されて、モラトリアムへの異議申し立てを撤回してしまう。やがて、異議申し立ての撤回によって守りぬいたと思った、アメリカの水域での漁獲割り当ても、先方からの一方的通告で失い、禍根を残す結果となった。
ノルウェーは、異議申し立てをしたまま、商業捕鯨は自主的に停止していたが、1990年代に入って再開し、今日に至っている。さて、捕鯨国であるアイスランドはモラトリアムへの異議申し立てはしなかった。モラトリアムの条文には「遅くとも1990年までに鯨資源の包括的
評価を行なって見直す」とあったので、見直しに備えて調査捕鯨でデータを集める路線を最初から選択した(1986年からの4年間の調査で捕獲した合計は、ナガスクジラが292頭、イワシクジラが70頭)。調査捕鯨に際しては、反捕鯨団体のシーシェパードに研究施設を破壊さ
れたり捕鯨船を沈められるという被害にも会っている。科学的に鯨資源の状況を示せば、モラトリアムは解除されると見込んでいたようだが、1990年にはIWCの科学委員会が鯨資源の包括的評価をしてもモラトリアムが解除されない中、1991年に自国で開催されたIWCの会議の
場で 脱退を表明 する。IWCから脱退すればもはやモラトリアムに拘束されることなく捕鯨はできるのだが、捕鯨再開の意思を国会決議で示すことはあっても、実際に行なうことはなかった。ただ、1992年に結成されたNAMMCO(North Atlantic Marine Mammal Commission、北大
西洋海産哺乳類委員会)には加盟している。

355:名無しさん@3周年
09/01/06 16:23:15 2JkU9N5I
IWC脱退後は、様々な国から再加盟するように要請されたが、そのような中、今年6月についに加盟の手続きをした。ただし、「モラトリアムには異議申し立てをする」という条件付きであった。これは、再加盟した後も、モラトリアムに束縛されることなく、ノルウェーのように
商業捕鯨を再開できることを意味する。過去にも、こういう「条件付き加盟」の例はあった。例えば、ペルーやチリが1979年に加盟した際、自国の200カイリ以内の水域では国際捕鯨取締条約の制約は受けない旨の注釈付きであった。エクアドルも同様の条件付きで加盟している。
IWCの国際捕鯨取締条約の条文には加盟については、「この条約に署名しなかった政府は、この条約が効力を生じた後、アメリカ合衆国政府に対する通告書によってこの条約に加入することができる。」(条約第10条2項)とあるだけで、IWCの既存の措置について意義を申し立て
たままでの加盟の可否については全く既定がない。そこで、国際条約や協定について定めた「ウィーン条約法条約(Vienna Convention on the Law of Treaties)」に照らし合わせると、「異議申し立てをした状態での加盟をIWCの国際捕鯨取締条約が禁止していない以上、国際法
的に問題なし」となる。個々の加盟国が、アイスランドとの2国間レベルで異議を唱えるのは勝手だが、条約機関であるIWCが組織として加盟を拒否できる問題ではないのである。 むろん、反捕鯨国にとっては異議申し立てをしたまま加盟されて捕鯨を再開される事態は容認できる
はずはないから、さっそく会議初日に「異議申し立て状態での加盟は認めない」という動議を出した。これに対し捕鯨国側が、国際法的にIWCはこの問題を扱う権限がないと反対したが、賛成19、反対18、棄権1で、この問題を扱うことが認められた。さらに「アイスランドを
投票権のないオブザーバーとする」動議が、賛成18、反対16、棄権3で採択された。「棄権3」は、「この件で投票すること自体が国際法的に根拠なし」という立場を表明していた、スイス、フランス、オーストリアである。 この結果に反対する捕鯨国側は、以後すべての議
案の投票において、アイスランドの票をカウントした分を正当なものと見なす旨のコメントを付け加えるという、前代未聞の会議となったのであった。2002年のIWC年次会議は、

356:名無しさん@3周年
09/01/06 16:27:50 2JkU9N5I
1993年の京都以来9年ぶりに日本での開催であり、捕鯨基地としての役割を果たしてきた山口県の下関市での開催であった。会議前に6カ国が新規加盟したため、今年の会議で懸案になると思われた日本の北西太平洋の調査捕鯨における捕獲鯨種の拡大に対する
反対決議案などでの採択に影響が出るかどうかが、例年と違う点だろうと予想していたが、原住民生存捕鯨をめぐる思わぬ展開に会議が振り回され、議題を全部消化することなく時間切れで閉幕という前代未聞の終わり方をした。ここで、IWCの原住民生存捕鯨
について簡単に記しておく。対象となっているのは、デンマーク領グリーンランドの原住民(ナガス鯨とミンク鯨)、ロシアのシベリア東部のチュコト半島のチュクチ族(コククジラとホッキョク鯨)、アラスカのエスキモー(ホッキョク鯨)、アメリカのワシ
ントン州のインディアンであるマカー族(コククジラ)、カリブ海のセント・ヴィンセントの原住民(ザトウ鯨)。捕獲枠は毎年決められるものではなく、数年に一度、「この地域のこの鯨種は、何年から何年の間に何頭」という「ブロック・クォータ」で決め
られる。地域によって、捕獲枠の更新年は違うが、今年は久しぶりに全部の原住民生存捕鯨の新捕獲枠が検討される年だった。捕獲枠は条約の附表に記載されるので、条約に沿えば本来はコンセンサスではなく4分の3の多数決で決められるべきだが、近年は投
票なしのコンセンサスで決定してきた。さて、日本は鮎川など捕鯨の伝統が文化に深く根付いた地域に対しても、原住民生存捕鯨と同等な特殊な扱いが認められるべきだと主張してきたし、これを裏付ける内外の文化人類学者の研究も数多くあるが、50頭のミ
ンク鯨をこれら捕鯨に縁のある地域に対する救済枠として認めるように求めた提案は過去十数年、反捕鯨勢力によって日の目を見なかった。そこで今年は、資源量が9000頭程度で毎年50頭前後捕られてきているホッキョク鯨の分について、多数決で決める
ことを日本が主張し、投票の結果、ホッキョク鯨の原住民生存捕鯨枠の案は拒否された。この背景には、商業捕鯨のための捕獲枠算定方式であるRMP(改定管理方式)を適用するならばホッキョク鯨の資源量は30年間は捕獲禁止措置になるほどの低さなのに対
し、

357:名無しさん@3周年
09/01/06 16:31:08 2JkU9N5I
原住民生存捕鯨のための捕獲枠算定方式であるSLA (命中枠算定法)では年間60頭の捕獲が認められるという事態に見られる「科学の2重基準」に対する日本側の反発もあったようだ。なお、ホッキョク鯨よりは資源量の多い他の鯨種の原住民生存捕鯨の捕獲枠はすべて通った。
一部の人は、現代とはかなり違った状況下での今世紀半ばまでの捕鯨を例にとって「商業=悪」のような図式で捕鯨問題を考えがちだが、IWCの違反委員会の記録を見ればわかるように、原住民生存捕鯨でも違反はけっこう報告されているのであり(この点は再開して10年ほど
になるノルウェーの商業捕鯨と対照的である)、資源量が少ない種においては原住民生存捕鯨だからといって、5年間のブロック・クォータを安直に設定する事態に疑問が起きても不思議ではないと思う。ここで、事情を知らない人は、ロシアとアラスカの原住民が飢えるので
はないかと思うだろうが(事実、反捕鯨団体は一般の知識不足につけこんで、そのような宣伝をしているが)、現実はそんな単純なものではない。まず、近年の 捕獲統計 を見ればわかるが、ロシアのチュクチ族は今回捕獲が認められたコククジラを年平均100頭以上捕って
いるのに対し、ホッキョク鯨は1頭そこそこであった(捕獲枠としては年平均5頭まで捕れたが)。彼らはIWCの管轄外である小型鯨類も捕獲しており、ホッキョク鯨が捕れなくなったからといって餓死することは考えられない。ただし、彼らの文化においてはコククジラを捕る
よりはホッキョク鯨を捕る方が重要らしい。一方、アラスカの町バーロウでホッキョク鯨を捕っているエスキモーはどうであろうか?以下は現地を訪れた方の描写である。
もし貴方が豊かであれば、民族はその食生活を転換出来ると安易に考えているのならば、私は北米大陸の北端にあるアラスカ州のバーロウの町を訪れることをお勧めしたい。バーロウでは、世界でも最も枯渇の水準が心配されている鯨種である北極セミ鯨(英語で Bowheadと呼
ぶ)を住民が捕獲することをIWCが許可しており、それは、これらの住民が豊かでないからではない。いや、むしろ豊かであるからこそ、捕鯨が催事として許可されているのである。町の公共施設は完備し、住民の多くはセントラルヒーティングのある広い住宅に住む。町のスー
パーマーケットには、牛肉から日本の白菜まで、あらゆる食品が揃っている。

358:名無しさん@3周年
09/01/06 16:34:49 2JkU9N5I
ビデオショップには、最新のハリウッド映画のビデオが揃っており、明け方まで、暴走族めいたスノーモービルやバギーカーの騒音でゆっくりと眠る時間もない。若者達は、私の訪問した9月の末の長い日照時間をフルにエンジョイしていた。バーロウで捕鯨のキャプテンの
地位を保持するのは、単に人望があるだけではなく、資産が必要であると私は何度も聞かされた。なぜならば、ここの捕鯨は原住民/生存捕鯨としてIWCが認定しており、その為には、金銀による鯨肉の取り引きが出来ないからである。捕鯨を続ける為には、近代化されたモー
ターボート(秋に氷が接岸していない時期に行う捕鯨には、非伝統的なモーターボートが必需品である)をはじめとし、ガソリン代、気象状況モニターの為に欠かす事の出来ないコンピュターや、高性能の無線機、モリ撃ちの銃、一隻に五人は要するクルーの日当、(時には、
一ケ月もの日数がかかる)など莫大な経費が必要であるからである。町は石油や天然ガスなどの資源開発に伴って、財政が豊かであり、財テクの専門家も郡役所に配置されている。 この豊かさをもって、住民は、米国本土から野性生物研究の科学者を雇用し、ワシントンには
弁護士を置き、連邦政府の内務省に人権問題であると訴え、その結果枯渇した北極セミ鯨の捕獲をIWCに認めさせたのである。 IWCの科学小委員会は、今でも、この北極セミ鯨の系統群が十分な資源状態にあるという意見はもってはいない。バーロウの町の統計には、鯨肉は住
民の 蛋白源のわずか8%程度であり、主食としての役割を果たしてはいないことが判る。・・・三崎滋子「ゲームの名は捕鯨問題 」、1994年、より」
もし、彼らが本当にホッキョク鯨の捕獲なしで窮状に陥るのなら、他国の人権事情に口出しするのが大好きなアメリカ政府のことだから、国際捕鯨取締条約に従って「異議申し立て」をした上で自国民に捕獲させるなどわけないことであり、ロシアとアラスカにおいて、今回の
騒動の果てにひもじい思いをする原住民は一人も出ないことは断言して良いだろう。 特別会合 この、ホッキョク鯨の捕獲枠設定の否決という事態を受けて、10月14日からイギリスのケンブリッジで特別会議が開催され、再度討議された。その結果、IWC科学委員会による
ホッキョク鯨の資源量評価の結果によっては捕獲量を修正するという条件のもとで、投票にかけずに合意のもとに捕獲枠は承認された。

359:名無しさん@3周年
09/01/06 16:39:15 2JkU9N5I
捕獲枠は、「2003年から2007までの5年間で280頭以内(年平均にして、アメリカが51頭、ロシアは5頭)、ただし、ある1年における捕獲は67頭を超えてはいけない」という、従来の数字と同じである。また、この特別会議において、アイスランドが商業捕鯨モラト
リアムへの異議申し立てをした状態で加盟する件も再度討議され、19対18の一票差で正式加盟が認められた。アイスランド政府は2006年までは捕鯨を再開しない旨言明しており、また、再開する際にはIWCが認める捕獲枠に従ってミンククジラ、ナガスクジラ、イワシ
クジラを捕ることになるだろうという。更に、日本が過去十数年求めながらも否決され続けてきた、伝統的な沿岸捕鯨地域での50頭のミンククジラの捕獲要求は投票にかけられたものの16対19(棄権2)で否決されたが、ホッキョク鯨の件が無事一件落着したアメ
リカとロシアは賛成票だった。特に過去と打って変わったアメリカの賛成票は目を引く。
捕鯨問題とは関係のない話題だが、今世紀半ばに活躍したオランダの著名な鯨類学者 E.J. シュライパー (E.J. Slijper)博士の著書「鯨」に以下のような記述がある
"イルカは昔からたまたま海岸に近づいたところを捕らえられた(図 15)。散発的に獲られたこともあり、あるいは規則的にしかも1つの産業といっていいほど多数獲られたこともある。たとえば、11世紀にノルマンディーの海岸で盛んに獲られ、1098年には法律による捕
獲制限が行なわれたくらいである。イルカの油はとも燈火用に使われ、肉は人間の食糧となった。イルカの肉は当時大変美味なものと考えられ、1426年の年代記によれば、英国のヘンリー6世はこれをとても好んだという。かれの後継者であるヘンリー7世の戴冠式の正餐
にもイルカの肉はいろいろに調理して、メインコースあるいはパイとして供せられたという。伝統的な国民ではあるが、イギリス人は今日ではイルカの肉を食べない。ただし宮廷では17世紀の終り頃までイルカの肉を食べる習慣があった。(細川宏・神谷敏郎訳、東京大
出版会、1984、42頁)日頃から、日本におけるイルカ肉の扱われ方に違和感があったので、中世からルネサンス期のヨーロッパにおけるイルカ料理について少し調べてみた。

360:名無しさん@3周年
09/01/06 17:11:51 2JkU9N5I
まず、上のヘンリー6世についての記述は若干疑問が残る。というのは、彼の生年は1421年であり、父のヘンリー5世が若くして死んだために生後9ヶ月で即位したものの、「年代記」の書かれた1426年には5歳前後で、いくら王とはいえ、子供の食事上の好みに
年代記が言及するだろうかという気はする。年代記の執筆年が誤りか、あるいは父のヘンリー5世の誤りである可能性はあると思う。なお、時代で言えば、ヘンリー6世はフランスとの間の百年戦争末期から、王室の後継争いのバラ戦争初期の王であり、代表的
なパブリック・スクールであるイートン校(Eton College)やケンブリッジ大学のキングス・カレッジ(King's College)は彼が創立した。また些細な事だが、上の引用部でヘンリー7世がヘンリー6世の「後継者」となっているが、実際には赤バラを紋章とす
るランカスター家のヘンリー6世の後は、白バラを紋章とするヨーク家のエドワード4世、エドワード5世、リチャード3世が即位し、バラ戦争の勝利者ヘンリー7世は、新たなテューダー朝の創始者であって、直接の後継者ではない点を注意しておく。
さて、当時のヨーロッパではキリスト教の力は強大であり、復活祭の前の40日間にわたる四旬節(Lent)や断食日(fast day)といった、肉食禁止の日が設けられていた。ただし、昔の日本と同様、イルカや鯨は魚類と見なされて、これらの日にも食べる事は
認められていた。例えば、ヘンリー6世の父であるヘンリー5世はフランスから迎えた妻キャサリンの王妃としての戴冠式を1421年の2月に行なっているが、この時期は四旬節の最中であったので、式典で供された食事は、30種類以上に及ぶシーフードが主であり
、イルカも含まれていた。イルカが哺乳類である事は、すでに古代ギリシャのアリストテレスが見抜いていたはずだが、こういう哲学とは無縁の業績は中世までには忘れ去られていたのだろうか。なお、食感が魚類よりは陸上の動物の肉に近いという点は鯨類
の肉が当時好まれた理由の1つのようである。 14世紀のミラノの医者 Maino de' Maineriが著した本で海産種で良いものとして挙げられているのはイルカ類、サメ、タラなどで、ヒメジ、ホウボウ、ツノガレイ、シタビラメなどがそれに続くという。

361:名無しさん@3周年
09/01/06 17:12:37 2JkU9N5I
ところで、英語ではイルカ類のうち、口がとがったものをドルフィン(dolphin)、そうでないものをポーパス(porpoise)というが、当時の料理を調べると後者の方をよく見かける。ヘンリー5世の上の儀式でもそうであり、また彼が開いた他の宴会のメニューには
「ロースト・ポーパス」(Roasted Porpoise)という料理も見られる。たぶん、イギリス南西部沿岸やノルマンディーで捕られたネズミイルカ(Harbor porpoise)ではないかと思う。なお、シイラ(dorado)という魚もdolphinと呼ばれることがあり、しかも料理さ
れるので、"dolphin"をキーワードに検索する際には要注意である。15世紀前半の家庭向けのメニューを集めた"John Russell's Boke of Nurture"にもイルカは登場するし、イングランド東部の町イプスウィッチ(Ipswich)の記録でも、魚市場でも、サケ、チョウザ
メ、ニシンなどと並んで鯨肉とイルカが並び、イルカやサケなどは一種の贅沢品として、その取引自体に料金が課せられた、とある。ロンドン市長の食卓にも鯨やイルカは並び、鯨については串に刺してローストしたり、ボイルされたものが豆と一緒に出され、舌と
尾の身が好まれた。イルカはまるごと調理されてナイフで切り分けてマスタードを付けて食べた、とある。 時代が変ってテューダー朝の時代に入っても宮廷では食べられ、ヘンリー8世やその娘であるエリザベス1世の時代にも、ごく普通に食べられていた。また、
イングランドのみならずスコットランドの宮廷でもイルカは食べられていたことが、女王メアリー・スチュアートの時代の16世紀半ばの記録にうかがえる。冒頭に引用したシュライパー博士の「宮廷では17世紀の終り頃までイルカの肉を食べる習慣があった」という
言葉からすると、スチュアート朝の末期の名誉革命に際して、国王ジェームズ2世の娘婿のオランダ総督がウィリアム3世として即位したあたりが、宮廷からイルカ料理が消えた頃、という事になるが、宮廷内の人的変化が原因というよりも、イギリス社会における畜
産の発展や、大航海時代に入って海外からもたらされる産物などによる食生活の変化によって、17世紀末に向けて徐々にすたれていったのではないかと想像する。

362:名無しさん@3周年
09/01/06 17:16:42 2JkU9N5I
なお、今日のイギリス料理の味に対する評価を考えると「イルカの肉は当時大変美味なものと考えられ」という記述に疑念をいだく人も多いであろうが、フランスのアンジュー伯がイギリスのヘンリー2世となった12世紀半ば以降、百年戦争に敗北するまでは、イングランド王は
フランスにも領地を持っていて宮廷にもフランスからの人間は大勢いたようだから、料理をめぐる文化的状況は近代国家成立後とは違ったであろうと思う。フランスでもイルカや鯨肉は中世の市場で売られてきており、著名なレストランのトゥール・ダルジャン(Tour d'Argent)
が16世紀のパリにオープンした際にもメニューにはイルカのパイ(Porpoise pie)があった。と、ここまで書いてくると、当時のイルカ料理はどのようなものだったのか知りたくなるのだが、中世やルネサンス期の料理を紹介し、そのレシピも書いてある本やホームページはいく
つかあるものの、イルカのように今日のヨーロッパ圏では食卓から消えた食材を扱ったものは、取り上げられるのが稀なようである。今回ネット上を検索していて見つかったのは、以下に挙げるイルカのプディング(Pudding of porpoise)くらいである。
イルカのプディング イルカの血と脂を取り出し、オートミールと混ぜて、塩、胡椒、ショウガで味を付け、イルカの腸(Gut)につめる。お湯に入れて、強火でゆでた後に火を弱める。お湯から取り出して、よく水分を切り、表面がパリパリになるまで火であぶり、出来上がり。
ただ、古語を直訳した文と現代文による解説を比較してみると、「腸」と訳した言葉(大文字で始まる"Gut")は内蔵を取り除いた体全体、という意味かもしれない( URLリンク(www.godecookery.com) 参照 )。つまりイルカの体全体に詰め物をした、というわ
けで、先にでてきたイルカをまるごと調理したものが、この料理かも知れない。いったいどのような味がするのか興味をかき立てられる。さて、現代の日本に話を戻すと、商業捕鯨のモラトリアム以後、鯨肉の代用品としてイルカの捕獲量が増大し、イシイルカ(Dall's porpois
e)を中心に年間2万頭ほど捕られているが、「イルカ肉」ではなく「鯨肉」のラベルを貼られて店頭に並ぶ事は珍しくない。日本では様々な食材が料理されているが、伝統的な材料においても、様々な手法によって新しい料理が創られている。

363:名無しさん@3周年
09/01/06 17:22:08 2JkU9N5I
その事をふまえて、上に挙げた、日本ではまだ試された事がないであろうイルカ料理の事を考えると、単に鯨の代用品として風味の異なるイルカを扱うのは、何かもったいないように思う。「鯨肉」とラベルを貼られ、買って食べた消費者から「昔食べた味と違うなあ」と
思われるのでは、死んだイルカも哀れではないだろうか。鯨類は、とかく伝統的な料理にスポットが当られがちで、イルカについても一部の地方に伝統料理はあるのだが、今日では、昔と比べて様々な調味料があり、様々な調理器具があるのである。ならば、積極的にそれ
らを駆使して、今日の日本で調理しうる美味しいイルカ料理とはどのようなものか、挑戦して創り上げる料理人がいても良いように思うのだが。
シロナガスクジラは海獣類(海産哺乳類)のみならず、これまで地球上に生息した動物の中では最大の体長を持ち(植物の中にはもっと大きな物はあるが)、平均して25m程度にまで成長する(亜種のピグミー・シロナガスでは20m程度)が過去に捕獲された例では30mを越
える個体もあったという。「シロナガス」と言うものの、鈴木その子のように白いわけではなく、青と灰色の中間のような色に薄い斑点状の模様が散らばっている。ヒゲクジラ亜目のナガスクジラ科に属するが、体の背中側が黒くて腹が白っぽいというナガスクジラ科の他
の種と違って、腹部の側も白くない。多くの人にとって本物を見る機会はないだろうが、東京・上野の国立科学博物館の敷地には専門家の助言のもとに作られた、実物大の模型がある。なお、肉質はピンク色で脂がのっているというが、IWCが禁漁にしたのが1960年代半ば
であるから、極めて残念ながら食べた事はない。 同じヒゲ鯨でも脂肪が豊富で太ったセミクジラなどとは違い、スマートで泳ぐ速度が速く、死ぬと短時間で沈んでしまうシロナガスクジラ、ナガスクジラ、イワシクジラなどは、昔の捕鯨技術ではなかなか捕獲が難しい種
であり、本格的に捕られ始めたのは、ノルウェーのスヴェン・フォイン(Svend Foyn)が、ロープの付いた銛を高速の船に載せた捕鯨砲から撃つ方法を導入した19世紀後半以降である。 南氷洋における捕獲開始前のシロナガスクジラ資源量は20万頭程度と推定されている。
余談だが、今世紀初めに南氷洋がいかに鯨が多い海であったかという逸話を記しておこう。

364:名無しさん@3周年
09/01/06 17:28:10 2JkU9N5I
1912年に日本人として初めて南極探検を行なった白瀬中尉の記録である。
「ロス海に突入して一つの湾に船を寄せようとすると、まるで算盤の玉を並べた様に大きな丘が海中一面にある。調べてみると皆鯨だから驚いた。隊員の中には、この鯨の大群の中をどうして通り抜けることが出来るだろうかと心配した者さえあった。構わずどんどん進んでい
くと、流石に鯨も船には恐れたのか、通り路だけは開けてくれたので、やっと安心したが、一時はどうなるだろうかと少々不安に思った。これが即ち鯨湾である。」(板橋守邦著「南氷洋捕鯨史」、1987年、中公新書 842) 南氷洋のシロナガスクジラはほとんどオキアミだけを
たべるという極端な偏食である。同じ南氷洋でもミンククジラやナガスクジラなどはオキアミ以外にもカイアシ類などの他の動物プランクトンや小魚も状況に応じて食べるのとは違っている。これは、オキアミにありつけなくなると、やがて集団の繁殖にも支障をきたす事態に
なる事を暗示しているが、事実、南氷洋でシロナガスクジラが減ったためにミンククジラやカニクイアザラシなどが大量の余剰オキアミを得て増える一方、それが長年捕獲が禁止されたシロナガスの回復を阻害しているという、何人かの科学者による説と整合する。このシロナ
ガスクジラの空白を埋めるように、それまで高緯度海域ではあまり見かけなかったイワシクジラも索餌域が南下してきたといわれている。さて南氷洋における今世紀前半の 捕獲統計 を見ると、すさまじい量の鯨が捕獲されている。シロナガスクジラでいえば、1930/31漁期には
3万頭にせまる頭数が捕られ、その後も1930年代半ばには毎シーズン1万5千頭以上も捕獲されていて、現代どころか捕鯨問題が世間の注目を浴び出した1970年代初頭の資源管理でも考えられない量である。 1930年代終りに捕鯨操業を管理するための国際捕鯨協定は作られたが、
捕獲枠などは設定していなく、また間もなく第2次大戦に突入して南氷洋での捕鯨は2シーズン中断した。第2次大戦が終りかかる1944年、7ヵ国が会議を開いて捕獲枠を戦前の捕獲実績の2/3程度に当たる16000BWUに抑える取り決めを交し、1946年に新たに作られた国際捕鯨取締条
約のもとでIWCが捕鯨を管理するようになってからもこのレベルの捕獲は続くが、当時はまだ、国際的な鯨の資源調査が行なわれていない時代であり、

365:名無しさん@3周年
09/01/06 17:31:49 2JkU9N5I
また、各国の科学者が自国の操業海域のデータをもとに、シロナガスなどの資源の減少を警告しても、南氷洋全域でデータをまとめた研究がないなど、業界の利益優先の風潮を覆すには説得力が欠け、さらに捕獲枠は鯨種ごとではなく BWU制 で決められている時代であった。ま
た、例えば10万頭いる鯨の集団から仮に3000頭捕獲するにしても、この集団における年齢構成が違えば捕獲の影響は全く違うが(たとえば年寄が多くて若い鯨が少ない集団と、その逆の構成の集団では、捕獲がその後の繁殖に与える影響は異なる)、ヒゲ鯨の年齢査定法をイギリ
スのパーヴェス(P.E. Purves)が見いだしたのは1955年になってからと遅い。当時と今では鯨の資源量の解析手法やデータの質と量、鯨に対する需要、管理手法など何もかも違うのであるが、こうした昔と今の違いなど無視して、商業捕鯨を再開すると当時のような乱獲が再び
始まると宣伝しているのが内外の反捕鯨団体である。さて、表題の「3人委員会」であるが、このように、科学委員会が業界を説得しきれずに、過剰と確信される捕獲枠が設定され続ける状況を打開するために、資源統計や解析に明るい外部の科学者に委託して、各国の長年のデ
ータをまとめて解析して捕獲枠への助言を行なうために、1960年のIWC年次会議においてその設置が決められた。任命されたのはFAO(国連食糧農業機関)のホルト(Sidney J. Holt), ワシントン大学のチャップマン(Douglas G. Chapman)、ニュージーランド水産局のアレン
(Kay Radway Allen)であり、遅くとも1964年7月末までには彼らの結果に従った捕獲枠を設定する事になっていた。 1963年には任期の1年延長に伴って英国水産研究所のガランド(John A. Gulland)も加わって4人委員会になり、1964年に彼らの任期が終わった後の数年間はFAO
が資源評価の作業を引き継いだ。3人委員会の解析の結果は1963年6月の第15回年次会議に報告された。シロナガスクジラとザトウクジラは資源の回復に50年以上見込まれるためただちに捕獲を禁止するよう勧告され、またナガスクジラは年間の捕獲量を7000頭以下に減らす事が勧
告された。各国のデータを総合して当時の最先端の手法で分析した勧告がようやく出たわけである。なお、資源評価の継続やこれまでIWC内部でも検討されたBWU制の廃止も勧告されたが、後者が実現したのは70年代に入ってからである。

366:名無しさん@3周年
09/01/06 17:34:08 2JkU9N5I
さっそくザトウクジラとシロナガスクジラは1963/64シーズンから捕獲禁止になり(ただし、捕獲歴史の浅い亜種のピグミー・シロナガスは1963/64には捕獲が認められた)、総捕獲枠は前年の15,000BWUから10,000BWUへと削減された。南氷洋のシロナガスクジラはついに安息の時
を得たというわけである(なお、北大西洋のシロナガスクジラはすでに戦前から保護されており、北太平洋では1966年から保護された)。翌年の1964年の会議は4人委員会の結果に従った捕獲枠を設定する期限であった。前シーズンの捕獲量を考慮に入れて4人委員会が出した勧告
はナガスクジラは4000頭、まだ情報の少ないイワシクジラについては2400から8000の間という範囲内での低めの数字が推奨された。会議では合意がまとまらず、結局会議後に捕鯨国が自主的に8000BWUに決めて落ち着いたが、鯨種別の捕獲枠ではないために実際の操業では捕鯨各国
によるナガスクジラの総捕獲は7000頭以上に達した。これがBWU制の怖い点である。もっとも、以後BWU捕獲枠は年々コンスタントに削減され、60年代後半には安全を見込んでナガスクジラとイワシクジラの推定持続生産量の合計よりも低めの捕獲枠を設定するなど、遅まきながら
削減傾向は定着していった。第2次大戦後に14,500BWUから16,000BWUの間で変動していた捕獲枠は、1971/72シーズンには2,300BWUまでに削減され、これを最後にBWU捕獲枠制度は廃止され、鯨種ごとに捕獲枠が設定されるようになった。 こうした時期、すなわち1970年代初頭にア
メリカのニクソン政権が捕鯨に関する管轄を商務省から大統領府に移し、当時の代表的な反捕鯨団体プロジェクト・ヨナなど連携して反捕鯨政策を大々的に開始し、別の機会に述べようと思うが、1972年の国連人間環境会議において「IWCのもとで商業捕鯨の10年間のモラトリアム
を実施するように求める」決議を通らせたものの、直後に開催されたIWCの年次会議ではアメリカのチャップマンが議長を務める科学委員会において、鯨種ごとの資源状態が違うにもかかわらずすべての鯨種の捕鯨モラトリアムを実施する事は科学的に必要性なし、として全会一致
で退けられ、総会でも否決された。余談になるが、この1972年のIWCでの敗北の後、アメリカ政府はIWCへ送り込む科学者を大幅に入れ替えるなど、いかにもニクソン政権らしい行動に出た。また、ホルトのように反捕鯨団体に取り込まれた科学者も出てきて、

367:名無しさん@3周年
09/01/06 17:39:29 2JkU9N5I
科学委員会の様相も変る。かつての3人委員会のメンバーは反捕鯨派に変貌した上に(4人目のガランドだけは別で、例えば後年FAOのオブザーバーとして1982年のモラトリアム採択に際しても、それを批判する声明を出している)、反捕鯨団体の資金援助を受けたり縁の深い科学
者が続々と科学委員会に登場する。よく目にする名前は、 Jutine G. Cooke (IUCN)、 John R. Beddington (イギリス)、 William K. de la Mare (オーストラリア)、 J.G. van Beek (オランダ)、 K. Lankester (オランダ)、 Elisabeth Slooten(ニュージーランド)
、 C.S.Baker(ニュージーランド) といった面々である。すでに最近のIWCには登場していない顔触れもあるが、逆にここには載っていない名前もまだまだある。彼らの特徴は、自分でデータを収集して科学的な真実を追求するというよりは、もっぱら捕鯨国側の科学者が出した
データを基にいかに反捕鯨に有利な結論や仮説に導いたり、捕鯨国側の科学者の見解にケチをつけるかという、政治的動機で動いている点にあるといえる。比較的近年では、日本が北太平洋でミンククジラの調査捕鯨を開始するキッカケになった系統群分類の仮説などが、そのほ
んの一例である。科学委員会のレポートを読んでいて「大多数のメンバーの見解では○○××だが、何人かのメンバーは××△△であると主張した」というような記述があって、その「××△△」がいかにも反捕鯨側に都合の良いような場合は、この「何人か」というのが、これ
らの面々であると見て大体間違いない。そして、科学委員会内部では少数であった彼らの意見が、英語圏のメディアによって大多数の見解のように宣伝されたり、それらに沿った措置が本会議では反捕鯨国の数的優位によって採決されるというのが、70年代半ば以降の捕鯨問題に
おける一つのパターンである。例えば、手もとにあるイギリスのガーディアン紙の記事(1989年1月31日付)には、南氷洋のミンククジラの資源量について「(捕鯨開始前の)半分に減ったと推定されている」とあるが、科学委員会がこのような見解で合意したためしはない。それ
どころか、全会一致の合意ではないものの、シロナガス鯨の激減による餌の余剰によってミンククジラは増加したというのが大方の見方であり、従って捕獲が本格的に開始した1970年代初頭の資源量は初期資源量とは見なせないために、 MSY(最大持続生産量)

368:名無しさん@3周年
09/01/06 17:43:35 2JkU9N5I
の代わりに毎年の加入量の推定を基に捕獲枠を決めていたはずである。また、この記事には日本での鯨肉の消費について「大部分は60歳以上の人間によって特別な機会に食べられている」とあるが、「大部分」の消費がこのような「特別な機会」に限られたものなら、全国の鯨料理店
はとっくに店じまいを余儀なくされていたであろう。大御所のホルトは、かつてミンククジラを資源が大幅に減少した保護資源に分類すべく、2万頭説を提唱して逆に科学委員会で失笑を買ったが、グリーンピース・イタリアの設立に関わったり、イタリアがIWCに加盟する前年の1997
年のIWC総会ではイタリア人ではない彼がイタリア代表団の「通訳」として本会議に参加するなど、もはや活動分野は科学者としてのそれから遊離しているようだが、まだまだ後継者には不足していないようである。
Q1: 鯨は何種類いますか。
鯨は大きく分けてヒゲクジラと歯クジラの2種類に分かれます。ヒゲクジラは主として沖アミや小さな魚を海水と共に口の中に入れ、ヒゲでこして呑み込みます。シロナガスクジラやミンククジラなど10数種類がいます。歯クジラはイカや魚を歯でとらえて呑み込みます。マッコウ
クジラやイルカ類など70種類にのぼります。鯨には80種類程度のものが知られていますが、このうち伝統的に捕鯨の対象となったのは、シロナガスクジラ、ナガスクジラ、イワシクジラ、マッコウクジラ、ミンククジラなどです。
Q2: 鯨はすべて絶滅に瀕しているのではないですか。
捕鯨の対象でないカワイルカなど、少数の種類を除けば、本当に絶滅に瀕している鯨はいません。一口に鯨といっても大きいものは体長30メートルに達するシロナガスクジラから、小さいものは1メートルそこそこのコビトイルカまで多様です。普通4メートルより大きいものをク
ジラ、これより小さいものをイルカと呼んでいます。かつての鯨乱獲時代に大型の鯨であるシロナガスクジラ、ナガスクジラ、セミクジラなどはきわめて低い水準にまで減少しました。しかし、これらの鯨類は完全に保護されています。一方、南氷洋や北西大平洋および北大西洋のミ
ンククジラ、あるいは北西太平洋のニタリクジラのように、捕獲の対象にできるほど資源状態のよい種類もあります。

369:名無しさん@3周年
09/01/06 17:46:54 2JkU9N5I
Q3: しかし、それでも国際捕鯨委員会(以下IWCと略称)は72年以降、ナガスクジラ、イワシクジラ、マッコウクジラ等の資源を、保護資源に指定しています。乱獲は、1982年の商業捕鯨モラトリアム(一時中止)の成立まで続いたのではないですか。
票の上で圧倒的な力を持つ反捕鯨勢力が乱獲を許すわけがありません。ただ、国連人間環境会議が開催された1972年以降、科学委員会に大きな変化が生まれました。その直後に開催されたIWCの科学委員会が、国連人間環境会議が採択した「捕鯨の10年禁止決議には
正当な科学的根拠がない」と全会一致で結論したからです。このため翌年から米、英などの反捕鯨国は、自国の科学者の総入れ替えに近いことを行い、保護主義的色彩の濃い科学者、反捕鯨団体のリーダーたちを科学委員会に大量に送りこみました。その結果、73年以降の
科学委員会では、以前のように答申を一本化しようとする努力は行われなくなり、反捕鯨の立場に立つ学者は、むしろ自己の意見をそのまま答申の中に独立した提案として盛り込み、本会議では、票の力で、これを採択し、次々と自分たちに都合のよい結論を押しつけたので
す。しかし、それにもかかわらず、「捕鯨モラトリアムには科学的正当性や必要性がない」とする科学委員会の判断には、最後まで彼らもチャレンジできませんでした。 (わずかでも捕獲すれば、生態系が乱されるなどという主張が、科学的に成立するわけがないのは当然です)
Q4: くどいようですが、76年の南氷洋のナガスクジラの保護資源指定 -- 禁猟など一連の禁猟決定は、例え、保護主義の色彩の強い学者の発言でも、それなりの科学的根拠があったのではないですか。
IWCが定義する保護資源には、75年以降とそれ以前では、本質的な差があります。1960年代前半までに、英国、オランダが採算上の理由から、南氷洋捕鯨から撤退すると、IWCは急に規制の強化に乗り出し、70年代に入って、シロナガスクジラ等、乱獲によりいため
られた資源を保護資源に指定しました。遅すぎた保護といってもよいと思います。しかし、75年以後の禁猟措置をこれと同列に置くことはできません。新しい資源管理のルールが採択され、保護資源にまったく新しい定義が導入されたからです。前にも触れましたが、

370:名無しさん@3周年
09/01/06 18:26:11 2JkU9N5I
前にも触れましたが、IWCの科学委員会は、1972、73年の会議で再度にわたり、「捕鯨モラトリアムには科学的正当性も必要性もない」と全会一致で答申しました。このため1975年、ついに米国はオーストラリアなどと図り、捕鯨モラトリアムに代わる措置として、
新しい資源管理方式を提案し、これが翌年採択されました。この方式は、捕鯨の対象を資源状態が極めて良いものに限定し、もし、その資源が最大持続的生産量を実現する水準(MSYレベル)以下と判定されれば、これを保護資源に指定するというシステムです。以前の保護
資源の定義が、絶滅の危険のある水準を念頭においたものとすれば、新しい定義は、資源の年々の増加が最大になる水準を基準に考え、捕鯨の対象をこの水準を超えた豊かな資源に限定したのです。しかし、この新しい定義には、当時、日本の学者が指摘していたように学問的
にいろいろ困難があります。具体的にどこにその水準を設定するのか、いろいろな仮定を置く必要があります。保護主義の立場に立つ学者は、これをうまく利用しました。例えば、彼らは処女資源水準(資源が開発される以前の水準)を不当に高く推定する一方、現在の資源水
準を非常識と思われるほどの低いレベルに推定することによって、できるだけ多くの鯨種を保護資源におとす提案をし、票の力をもって本会議で採択させるという手段をとったのです。しかし、そうした彼らのやり方をもってしても、南氷洋のミンククジラや北西太平洋のニタ
リクジラなどについては、最後まで新しい定義による保護資源に分類することはできなかったのです。
Q5: IWC科学委員会では、世界の鯨資源量をどの程度に推定しているのですか。
IWC科学委員会が推定している主要鯨種の資源量は次のとおりです。
種類 海域 生息頭数 ミンククジラ 南氷洋北太平洋西系北大西洋全体 760、300 (d)28、000 (e)74、700 ー 145、200 (d) ニタリクジラ 全海域北太平洋西系 90、000 (a)22、600 (c) マッコウクジラ 全海域 1、950、000

371:名無しさん@3周年
09/01/06 18:31:58 2JkU9N5I
(a) ホッキョククジラ アラスカ系 7、800 (a) セミクジラ 南半球 3、000 (a) コククジラ カリフォルニア系 24、400 (g) ザトウクジラ 北大西洋西系 5、800 (b) シロナガスクジラ 全海域 14、000 (a) ナガスクジラ 全海域 120、
000 (a) イワシクジラ 全海域 54、000 (a) ツチクジラ 日本沿岸 4、220 (f) 注: (a) Oceanus 32(1): 12 - 3 (1989)(b) Rep. int. Whal. Commn 34:54 (1984)(c) Rep. int. Whal. Commn 36:249 - 55 (1986)(d) Rep. int. Whal. Commn 41:(in press) (19
91)(e) Rep. int. Whal. Commn 32:283 - 6 (1982)(f) Rep. int. Whal. Commn 39:117 (1989)(g) IWC/SC/44/PS1 (1992)
Q1: IWCで商業捕鯨中止が採択されたあとも、世界の各地で捕鯨が行われていますが、なぜですか。
現在、世界で行われている捕鯨は次の3つのタイプです。
(イ) IWCがみとめている原住民生存捕鯨 アラスカでのホッキョククジラ、ロシア・極東地方でのコククジラ、デンマーク(グリーンランド)でのナガスクジラとミンククジラ、セントビンセントでのザトウクジラなどが、原住民の生存のための捕鯨として認められています。
(ロ) IWCの管轄外にある小型鯨類の捕獲 IWCは大型鯨種だけを管轄しており、イルカ類などの小型鯨類は管轄の対象にしておりません。日本の沿岸では昔からツチクジラ、ゴンドウクジラ、イルカなどの小型鯨種を捕獲しており、日本政府の監督下で行われています。もち
    ろん、資源量に見合った捕獲枠も設けられています。日本以外でも、デンマーク(フェロー諸島)などがゴンドウクジラなどの小型鯨類を少量捕獲しています。
(ハ) IWC非加盟国による捕獲 カナダのホッキョククジラ、インドネシアのマッコウクジラ・ニタリクジラ、スリランカのマッコウクジラ、南太平洋諸国のザトウクジラなどが捕獲されています。 これらの国は、IWCに加盟していないため、IWCの規制を受けません。
Q2: 伝統的な捕鯨国である、アイスランドとノルウェーは、現在捕鯨をしているのですか。
捕鯨を重要な産業としているアイスランドは1992年にIWCを脱退しました。

372:名無しさん@3周年
09/01/06 18:34:11 2JkU9N5I
前にも触れましたが、IWCの科学委員会は、1972、73年の会議で再度にわたり、「捕鯨モラトリアムには科学的正当性も必要性もない」と全会一致で答申しました。このため1975年、ついに米国はオーストラリアなどと図り、捕鯨モラトリアムに代わる措置として、
新しい資源管理方式を提案し、これが翌年採択されました。この方式は、捕鯨の対象を資源状態が極めて良いものに限定し、もし、その資源が最大持続的生産量を実現する水準(MSYレベル)以下と判定されれば、これを保護資源に指定するというシステムです。以前の保護
資源の定義が、絶滅の危険のある水準を念頭においたものとすれば、新しい定義は、資源の年々の増加が最大になる水準を基準に考え、捕鯨の対象をこの水準を超えた豊かな資源に限定したのです。しかし、この新しい定義には、当時、日本の学者が指摘していたように学問的
にいろいろ困難があります。具体的にどこにその水準を設定するのか、いろいろな仮定を置く必要があります。保護主義の立場に立つ学者は、これをうまく利用しました。例えば、彼らは処女資源水準(資源が開発される以前の水準)を不当に高く推定する一方、現在の資源水
準を非常識と思われるほどの低いレベルに推定することによって、できるだけ多くの鯨種を保護資源におとす提案をし、票の力をもって本会議で採択させるという手段をとったのです。しかし、そうした彼らのやり方をもってしても、南氷洋のミンククジラや北西太平洋のニタ
リクジラなどについては、最後まで新しい定義による保護資源に分類することはできなかったのです。
Q5: IWC科学委員会では、世界の鯨資源量をどの程度に推定しているのですか。
IWC科学委員会が推定している主要鯨種の資源量は次のとおりです。
種類 海域 生息頭数 ミンククジラ 南氷洋北太平洋西系北大西洋全体 760、300 (d)28、000 (e)74、700 ー 145、200 (d) ニタリクジラ 全海域北太平洋西系 90、000 (a)22、600 (c) マッコウクジラ 全海域 1、950、000

373:名無しさん@3周年
09/01/06 18:36:52 2JkU9N5I
Q4: そんなに費用がかかるのにどうして毎年実施するのですか。2 - 3年に1度でもよいと思いますが。
南氷洋は広大な海域です。採取標本数は限られており、また1回で調査できる範囲は限られています。ですから毎年、調査を実施する必要があります。また、鯨資源の管理に必要なデータは、時系列的なものでなければなりません。継続的な標本採取は資源調査の精度を高める
ことに不可欠です。
Q5: 鯨を殺さないで、皮膚の1部だけをとってDNA等を調べれば十分という声もありますが。
日本鯨類研究所はバイオプシーという、皮膚を採取して検査するための皮膚採取銃を開発して、すでにこの種の鯨の非致死調査を行っています。しかし、皮膚のDNAからは、性別、親子関係など、ごく限られた情報しか得られません。このため捕獲調査によってしか得られな
い耳こう栓や、卵巣などの標本を取り、年齢構成、妊娠状態や妊娠歴などを調べています。
Q1: 捕鯨論争はいまや資源などの科学面を超えて、鯨に対する動物観の違いに移っているようです。欧米諸国のほとんどが捕鯨に反対しているのであれば、日本も国際協調の精神から捕鯨を放棄したほうがプラスになるのではないですか・・・。
そうは思いません。動物観の違いは民族の文化そのもので、お互いが干渉したり、非難したりすべきものではありません。反捕鯨国は鯨を聖獣視し、「人道的捕殺がなされていない」「捕鯨は倫理に反する」ということを言います。それでは昔、欧米の実施していた捕鯨は人道
的捕殺をし、倫理にも反さなかったのでしょうか。この反論に対し欧米人は「だから捕鯨を止めた」と言うでしょう。
しかし、それは詭弁です。欧米の捕鯨は昔の帆船式捕鯨や近代捕鯨でも採油が目的でした。石油や他の食用油が出回り、産業として成り立たなくなったため、自然に消滅したのです。一方、日本は肉を主体に丸ごと利用し、鯨肉に対する強い嗜好があるため、依然として産業と
して立派に成り立つのです。

374:名無しさん@3周年
09/01/06 18:42:44 2JkU9N5I
欧米では、反捕鯨の風潮が強いのは確かですが、決して100%ではありません。アングロサクソン系の国は一般に反捕鯨ですが、アイスランド、ノルウェー、デンマークなどの国は鯨を食料の対象と見ています。またアングロサクソン系の国でも極端な反捕鯨運動に疑問を呈する
声は上がっています。例えば92年6月30日付け英国のタイムス紙は「動物の福祉という問題を国際協定によってしばるのは適切でない」と指摘し、資源が大きいミンククジラの捕獲禁止は条約の主旨からみて、もはや適当ではないと結論しています。私たちは捕鯨の是非をあく
までも資源を中心にした科学論に基づくべきとの考えを持っています。それがもっともフェアーな論拠だと考えます。
Q2: 公海の鯨は世界人類共通の資源であり、日本人だけが獲るのは許されない、との声が上がっていますが・・・。
短絡的な、偏った意見です。1982年の国連海洋法条約は、海の資源をすべて人類共有の資源という見方から、その存続と合理的利用の責任と義務を、200カイリ内については当該沿岸国に、200カイリの外の公海部分については、国際社会に負託することとしています。
国際捕鯨取締条約は、1948年に発効した古い条約ですが、その点ではさらに一歩進め、対象資源が領海内にあっても、これを人類共有の資源とみなし、その保存と合理的利用を締約国の合意、つまり国際社会に負託することとしています。また、わが国だけが独占的に、また特
権的に利用することを主張しているわけではありません。資源のごく一部、経済でいえば、年々資本から生ずる利子の一部を利用するというのが、わが国の基本的立場です。その立場は、沿岸であろうと、公海であろうと、基本的には変わる所はありません。一方、いろいろな思惑
から捕鯨に限らず公海での漁業を禁止したり、極端に制限したりする動きがあることも事実です。しかし、こうした考え方は、海洋資源の合理的利用に有害なだけではなく、結局は海洋分割につながる思想です。不健全なエゴイズムという外はありません。
Q3: 南氷洋は鯨類の最後の宝庫です。ここを鯨のサンクチュアリ(禁猟区)とすることは世界の人にロマンと安堵感を与えます。日本は自国の200カイリ内だけで捕鯨を続けるべきでないですか。

375:名無しさん@3周年
09/01/06 18:45:47 2JkU9N5I
この提案は、昨年のIWC会議に突如提案されてきたもので、何が何でも捕鯨を阻止したいとする反捕鯨国の最後のあがきであることは明白です。また南氷洋を含め、すべての水域に合理的な鯨類の保存と利用に関するシステムを作りたいと願うわが国と、それより自国沿岸での
捕鯨の再開を願うノルウェー、アイスランド、デンマーク等との間を分断したいとの狙いであり、せめて南氷洋にだけ、捕鯨の禁止を実現したいと考えての提案に違いありません。しかし、76万頭以上も生息する南氷洋のミンククジラについて、科学者の認める量の捕鯨も認めず、
10万頭の北大西洋ミンククジラについて、これを認めるというのも、科学的にみて納得のいかない話です。 サンクチュアリ提案には、実は、伏線もありました。92年6月、リオ・デ・ジャネイロで開かれた国連環境開発会議にニュージーランドが捕鯨の10年禁止を提案した
ことです。提案の中で、同国政府は「IWCで改定管理法式が完成すれば、捕鯨の再開は阻止できない」と述べています。反捕鯨側は、科学を葬るための最後の切り札としてサンクチュアリを出してきたのです。1992年のIWCでは、本格審議に至らなかったため、93年に改め
て議題にのぼることになっています。なお、92年のIWCでは、改定管理法式によって南氷洋ミンククジラの捕獲枠を試算したところ、年間2000頭という数字が出てきました。わが国はこれを根拠に商業捕鯨の設定を強く主張する方針です。南氷洋をサンクチュアリへとするこ
とは、決して健全な生態系を取り戻すことにはなりません。生態系の一部、とくに、その頂点にある生物を完全保護することは、それが、低水準にあるときを除けば、かえって生態系のバランスを損ない、また、ひいては当該保護資源の不安定化をも招くというのが常識です。また、
IWC科学委員会が提案している改定管理方式は、大きな資源からわずかな量を、しかも広い海域から薄く捕獲させるというもので、これが生態系に対する不安定要因になりうるなどとは、冗談以外の何ものでもありません。
Q4: ツチクジラ、ゴンドウクジラ、イルカなどの小型鯨類はなぜIWCが管理していないのですか。当然IWCが一括して管理すべきだと思いますが・・・。
IWC条約は、条約の中で規制対象鯨種を限定しており、ツチクジラなどの小型鯨類は、この中に入っていません。

376:名無しさん@3周年
09/01/06 18:48:08 2JkU9N5I
これらの小型鯨類は沿岸性であり、世界単一の資源ではなく、狭い海域ごとに系統群が分かれています。このような鯨種については、沿岸の漁業資源との関連があるので、IWCで一括して管理するより各国、あるいは関係地域の漁業機関で管理する方が適切な措置が取れます。
また、実際問題としても関係国は内陸国を除くすべての沿岸国になりますから、100カ国を超えることになり、とてもIWCで管理するなど現実的ではありません。IWC加盟国の多くも、小型鯨類の管理は、それぞれの国に任せるべきであると考えています。日本近海の小型
鯨類については、水産庁が資源調査に基づいて毎年の捕獲枠を決めています。
Q5: 反捕鯨の主張の中には、鯨類の頭脳の高さが強調されています。どの程度頭がいいのでしょう。
鯨の知能が高いと主張する人たちは、その根拠として、鯨の脳が大きいことをあげています。大きな頭部を持つ鯨の脳が他の動物の脳より大きなことは当然です。動物の脳の大きさを比較する場合は、単に重さだけでなく、体重比で見るべきです。シロナガスクジラの脳の体重比
は平均0.007%で、人間の場合は1.93%です。鯨類でもっとも高いのはネズミイルカの0.85%です。それでは、ネズミイルカは人間の半分ぐらい知能が高く、シロナガスクジラはネズミイルカの100分の1以下の知能しかないかというと、決してそうではありませ
ん。脳重の体重比率で、知能の高低を判定することはできないのです。鯨の世界的権威の故シュライパー博士は「鯨のように主に尻尾を振って運動する動物が、手足を巧みに使うサルより、高度に分化した脳を必要とするのか理解できない」といっています。
また、英国ケンブリッジ大学の教授であり、IUCN(国際自然保護連合)の種生存委員会の委員長であるマーガレット・クリノウスカ博士は、「大多数の鯨の脳は特に大きくもなく、複雑でもない」と断じた後、「鯨類の行動様態にも、牛とか鹿の群れ以上の複雑性は認められ
ない」と述べています。

377:名無しさん@3周年
09/01/06 18:50:43 2JkU9N5I
Q1: IWCの加盟国数と補鯨国、反捕鯨国、中立国の内訳は。
IWCは1946年に締結された国際捕鯨取締条約によって1948年に設立されました。当初は捕鯨国とかつての捕鯨国15カ国で発足しましたが、鯨の乱獲により採算が取れなくなったオランダ、英国が、捕鯨をやめた1960年代からは鯨の保護に力を入れるようになり
ました。1970年代後半からは捕鯨禁止をめざす国の加盟が目立ち、1982年には多数決で商業捕鯨のモラトリアムを採択しました。現在の加盟国は38カ国。捕鯨再開を強く主張する国は日本、ノルウェー、デンマーク、ロシアなど少数です。中立国としては中国、韓国、
セントルシア、セントビンセント、ドミニカ連邦などがあり、あとは反捕鯨国です。この中でもっとも強硬な反捕鯨国はニュージーランド、豪州、イギリス、アメリカなどアングロサクソン系の国々です。
Q2: 国際捕鯨取締条約の目的は何ですか。
同条約の目的として (イ)鯨類の保存と適切な利用、(ロ)捕鯨産業の健全な育成などが、前文に明記されています。しかし、反捕鯨NGO(非政府機関)をバックにした多数の反捕鯨国に思うままに運営されたIWCは、条約の目的から逸脱した規則を次々と打ち出してきま
した。条約違反のもっとも顕著な例が、商業捕鯨モラトリアムの採択です(1982年)。条約によると、すべての資源保存措置は科学的根拠に基づかなければならないとなっています。一方IWCの科学委員会は過去に一度もモラトリアムを勧告していません。グリーンピース
などのNGOが捕鯨と全く関係のない国々をIWCに加盟させ、本会議で多数の力を持ってモラトリアムを採択したのです。この条約は1946年に締結されていますが、締約国がこのように、条約の目的や規定を公然と無視することは、単にIWC条約の違反だけでなく、条約
の忠実な実行を求めるウィーン条約の違反でもあり、許さるべきことではありません。

378:名無しさん@3周年
09/01/06 18:58:30 2JkU9N5I
捕鯨問題をめぐる往復書簡  世界自然保護基金(WWF)日本委員会 / 三浦 淳(”nemo”第2号、1995より。
三浦 淳 (新潟大学人文学部)
1.1993年5月5日付朝日新聞に掲載されたWWFの意見広告 2.三浦淳よりWWFへ
前略
 5月5日付朝日新聞に載った貴委員会の意見広告に対して質問を致したく存じます。お答いただければ幸いです。
(一)WWFの使命の(2)に「自然資源の持続的利用の推進」という項がありますが、これはその後で述べられている「クジラは人類と調和して共存する自然の一部として位置づけ、みだりに人間が手を加えるべきでない」と矛盾しているように思われます。
   この論理的矛盾をご説明願います。
(二)(一)に関連することですが、鯨を捕るべきでない理由として「一部の人間の嗜好品として利用されている」からだとあります。私は、何を必要と感じるか贅沢と感じるかはみだりに他者から規定されるべき問題ではないと考えます。また鯨利用者が
   少数であることを理由とする鯨保護論は、少数者の文化の圧殺につながりかねないと思います。WWFはこの点についてどうお考えでしょうか。
(三)鯨の資源量に関して、「現在南氷洋のヒゲクジラ(ミンククジラを含む)の生体容量は、商業捕鯨開始以前の約8%まで激減してしまった」と述べられています。しかし現在日本が要求している捕鯨の対象はミンク鯨であり、ヒゲ鯨なら何でも捕らせ
   よと主張しているわけではありません。ヒゲ鯨を一緒くたにして現在の生体容量を掲げるのはおかしいのではないでしょうか。少なくとも、当面捕鯨対象にすべきかどうか議論になっているミンク鯨については独立して生体容量を掲げるべきではない
   でしょうか。

379:名無しさん@3周年
09/01/06 19:05:17 2JkU9N5I
(四)クジラは回遊性が高い生物であるため(…)容易に『増えている』と判断すべきでない」とあるのは、IWC科学委員会のミンク鯨に関する資源量の議論に疑問を投げかけられているわけです。そうでありながら、ASOCの鯨生体容量の報告に信頼がおけるとお考えに
   なるのはどういう理由からでしょうか。
(五)最初のところで、WWFは「クジラだから」ではなく「クジラについても」保護を求めている、と書かれています。これは大事なことで、私の意見では、絶滅の危機にある全ての生物に関して保護を訴える人は信用できますが、捕鯨に関してのみ反対意見を表明する人は
   人種差別主義者の疑いが濃厚だからです。そこで、WWFが鯨だけではなく種の危機にある他のあらゆる生物のために平等に活動している証拠をお示しいただきたいのです。例えば、新潟県に生息しているトキは絶滅の危機に瀕しています。その危機の度合は、鯨につい
   て3分の2ページの広告を一度出すならトキについては全ページの広告を毎日出さねばならないほどでしょう。トキに限らず鯨などよりはるかに絶滅の危機にある生物は数多く存在します。それらの生物のために鯨に劣らぬ精力と資金が費やされているのかどうか、お教え
   いただきたいと思います。以上の疑問に対する回答を、今月末までにお寄せいただければ幸甚に存じます。

1993年5月6日          三浦 淳  

WWF JAPAN 御中

3.WWFより三浦淳へ 1993年7月30日 三浦 淳 様

(財)世界自然保護基金日本委員会 S〔個人名省略〕

 前略
 さて、5月に当会が新聞に掲載いたしましたクジラ保護に関する意見広告に対してご質問やご意見をいただきましたが、お返事が遅れましたことをお詫び申し上げます。本来ならば、個々にお返事すべきところですが、たくさんのお問い合わせをいただきましたので、
 WWFの考え方をご説明し、代表的なご質問にお答えする形で、お返事させていただきたく存じます。WWFの自然保護の理念とクジラ保護の考え方に関して皆さまのご理解をいただくことができれば幸いです。

380:名無しさん@3周年
09/01/06 19:10:32 2JkU9N5I
 なお、WWF Japanが今年のIWC会議に向けて作成いたしましたパンフレットを同封いたしますので、合わせてご一読ください。
● はじめにWWF Japanが商業捕鯨に反対する根拠についてご説明いたします。
 WWFは、「WWFミッション(*1)」と「Caring for the Earth(CFE)・かけがえのない地球を大切に(*2)」を基に、長期的展望に立って地球の将来を考え、自然保護の戦略をたて実践しています。これまで人類は「自然資源は人間のために存在し、利用できるものは
 あくまで利用する」という考えのもとに、時には一部の人間の欲を満たすため必要以上に自然を搾取し続けてきました。そしてこの傾向は、人類が高度の技術をもつようになった20世紀以降に加速され、多くの野生動物が絶滅の危機にひんしているのはご存知のことと思います。
 先進国における現在の生活態度(資源やエネルギーの浪費など)は、従来の考え方に根ざしたものでCFEの精神からかけ離れています。人類が存続するには、すみやかに、過去のあやまちを認識して生活態度を改めること、資源の持続的利用を図ることが必要です。資源(自
 然資源)の持続的利用を考えるとき、その利用は生存に必要最低限を満たすレベルで行うことが必要となります。現在、世界中から大量の食糧を集め、浪費している日本の自然資源に対する姿勢は問い直す必要があるのではないでしょうか。先進国は世界の環境保全に積極的に
 責任を負うべきであり、もはや文化や習慣をふりかざしてのわがままは許されない時代になっています。過去の自然資源の利用のあやまちを反省せずに、日本が世界から食糧を集めているその一方で、途上国では環境破壊や資源の乱獲が起きていることを私たちはもっと認識す
 る必要があるでしょう。クジラ保護は、海洋生態系の保護を図る上で重要な課題です。WWFは世界中で20に及ぶクジラの生態研究および保護プロジェクトを行っており、今後とも力を入れて行きたいと考えています。(*1)WWFミッション:WWFが1990年に策定した活
 動指針。人類が自然と調和して共存するような未来の実現を図ることを目標として、(1)生物の多様性を守る(2)自然資源の持続的利用の推進(3)資源エネルギーの浪費の防止の3つを使命としている。(*2)CFE:WWFが1991年にIUCNとUNEPと共同で策定・刊行
 した。

381:名無しさん@3周年
09/01/06 19:15:38 2JkU9N5I
持続可能な生活様式実現のための9つの基本原則と13の行動様式を提言している。● とくに多くの方からいただきましたご質問2つにお答えいたします。
 ◆ クジラが絶滅しそうなら捕るべきではないが、どうして76万頭まで増えたという科学的データのある南氷洋のミンククジラまで保護しようとするのか
 ミンククジラの個体数についてはまだ正確にわかっていません。ミンククジラの数が76万頭(政府広報・水産庁)とは、91年のIWCに提出された数値を、加算したものです。(表(1)参照)。ただし、データを加算することをIWCで認めているわけではありません。
 個体数調査は南氷洋を6海区に分けて、毎年1海区ずつ調査していますが、回遊経路などクジラの生態が分からない時点で、年度の違ったデータを加算することの有効性が認められないのは当然でしょう。ちなみに今年のIWCでは、新たなデータ(87~92年)が提出さ
 れ、それを加算すれば45万頭という数値がでてきます(表(2)参照)。しかしこれについてのマスコミの報道はほとんどありませんでした。
 (1)クジラは広域を回遊し、その行動もはっきりわかっていない(2)ミンククジラが増加しているかどうかを知るには、長期間にわたる調査が必要である、などの点からも個体数を推定するには限界があります。少なくとも現段階では毎年減った増えたといった議
 論を科学的にすることはできないのです。WWFは、クジラの保護が海洋生態系の保護を図る上で重要な課題であると考えています。たとえ現在個体数が安定している種であっても、海洋環境の悪化などで将来的には楽観できないため、クジラを脅かす要因である捕鯨
 再開には反対しています。
◆クジラも家畜も同じ生き物なのに、クジラを食べるのは「ダメ」で家畜は「OK」なのはおかしいではないか。
 これは非常に難しい問題を含んでいるように思います。「無用な殺生はしないこと」には洋の東西を問わず異論はありませんが、日本人の多くは「家畜でもクジラでも殺生に変わりはない」と考え、欧米人の多くは「家畜は神が人間に与えたもの」として、一般野生生
 物とは区別するようです。繁殖をはじめとして生存のほとんどすべてを人間によってコントロールされている家畜と、大自然の営みの中で生きる野生生物のクジラを区別して考える必要があるのではないでしょうか。


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