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なぜ大崩壊が起ったのだろうか。2004年に発表された論文 (Hjermann et al. 2004)が
いくらかの回答を与えている(これは最初の二つの大崩壊しか扱っていない)。
生態系と漁業の両者が役割をはたしている。
カラフトシシャモは寿命の短い魚であり、最長5歳で一度だけ産卵をすると死ぬ。
タイセイヨウタラは油ののったカラフトシシャモの成魚を食べる。若いニシンはカラフト
シシャモの稚魚を食べる。バレンツ海のニシン個体群は1960年代後期と1970年代初期に
ほとんど獲り尽くされたが、1980年代後期から回復をはじめた(Hjermann et al. 2004)。
バレンツ海のタイセイヨウタラは減耗しているにもかかわらず、生き残っている最後の
大タラ個体群であり、産卵個体群生物量は60万トンと推定されている(このpdf、Table 3.4.1.3 参照)。
カラフトシシャモの過剰漁獲が崩壊の発端をつくった。問題はタイセイヨウタラが、その
産卵場へ向かう回遊のために、油脂の多い成長したカラフトシシャモを食べてエネルギー
を備蓄する必要があるということである。カラフトシシャモの数が相対的に少なくなっても、
タイセイヨウタラはわざわざ彼らを捜し出すのである。このことがカラフトシシャモ個体群
の回復を遅らせた。