09/01/12 22:28:31 KZ1rEni5
>>229
橘木京大教授「格差社会」への「反論」
経済協力開発機構(OECD)が発表した「対日経済審査報告書」で引用され、2006年7月に日本の格差拡大を示すデータとして
日本のマスコミにも紹介された相対的貧困率のデータをかかげた(厳密には「対日経済審査報告書」で示されたデータとは異なるが
同じ概念のデータである)。
「相対的貧困率」という概念そのものに積極的な意味を見出せなかったのでこれまで図録化して来なかったデータであるが、新聞や
啓蒙書(例えば橘木俊詔「格差社会」岩波新書(06年))などに引用され影響力をもつようになっているので取り上げることとした。
確かに日本は米国に次いで貧困層が多くなっている。
別の角度から取られている所得格差や貧困度のデータ(図録4652、4653、1305参照)と食い違っている点をどう考えたらよいのか。
これをもって日本は先進国の中で2番目に貧困度の高い国といってよいのか。
実は相対的貧困率は年齢別の所得格差によって影響されていると考えられる。生涯所得においてまったく平等な国が2つあるとする。
片一方は、若い頃200万円の年収で中高年になると800万円の年収となるが平均年収(年収のばらつきの中央値)は500万円の国であり、
もう片一方は、年齢にかかわりなく年収が500万円の国であるとする。前者では相対的貧困率は年収250万円以下の者の比率であるから
一定程度の比率となるが、後者では定義上ゼロ%である。前者の国の貧困度が大きいというのは定義上そうであるにすぎない。
年齢別賃金格差と相対的貧困率との相関図を参考に掲げたが、対象国数は少ないものの年齢格差が大きい国ほど相対的貧困率も高い
という結果になっている。このように日本は年齢格差が大きいから相対的貧困率も高く出るという側面があり、このことを無視して
貧困度を論ずることは妥当ではなかろう。