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血液がんの一種の悪性リンパ腫が起きる仕組みを、小川誠司・東京大病院特任准教授(血液腫瘍(しゅよう)学)
らが解明し、4日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。一部の悪性リンパ腫では、胃炎など慢性的な炎症
が引き金だった。炎症抑制が悪性リンパ腫の治療につながる可能性を示す成果として注目されそうだ。【西川拓】
悪性リンパ腫は、免疫機能を担うリンパ球にできるがんで、国内で年約8500人死亡している。
研究チームは、遺伝子を構成する物質「塩基」の配列の個人差を高効率で検出する技術を開発、悪性リンパ腫患
者約300人で調べた。すると、主に消化管にできる「マルトリンパ腫」など2種類の悪性リンパ腫では、約2割の患者
が、遺伝子A20の配列に変異があり働いていなかった。
この遺伝子は、炎症発生時にリンパ球が際限なく増殖しないようブレーキ役となっている。A20が働かない悪性リ
ンパ腫細胞をマウスに移植すると、リンパ球が異常増殖、がんを発症した。A20が機能しない悪性リンパ腫細胞も、
炎症で生じる刺激物質がないと増殖せず、炎症の有無ががん細胞増殖を左右していることが判明した。
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