08/07/26 22:47:59 NBZLoCEb
に(´・ω・`)
3::○○の中には好きな名前をどうぞ
08/07/26 23:05:15 HKtNDF9R
前スレ>>535続き。自分で立てといて自分が初投稿ってのもなんですが・・・
----------------------------------
ヒデヨシ「お母さん大丈夫!?」
先代「あらあら、騒々しいわね。」
○○「・・・母上がお倒れになったと聞き、そのまま飛び出していきまして。申し訳ございません。」
先代「なんとも無いわ、少し疲れただけよ。ほら、ヒデヨシも落ち着いて。」
ヒデヨシ「は~い。ねえねえお母さん!」
母はヒデヨシと楽しそうに話しはじめた。見たところいつもと変わらぬ様に見えるが。
○○「・・・で、本当のところどうなんだ?」
重臣「はい・・・。医者の話では今すぐに、と言うことではありませんが、もうそんなに長くはないそうです・・・。」
○○「そうか・・・。」
楽しく話す二人を横目に、俺は重臣と母の容態について話し合った。その口調から察するに話の内容は本当のようだ。
あまり長居はしない方がいいだろう。俺もあまりこの場にはいたくないしな・・・。
○○「さあヒデヨシ、そろそろ戻ろう。長居しては母上のお体に触る。」
ヒデヨシ「え~、やだ!もっとお母さんとお話しする!」
○○「わがままを言うんじゃない。さっ、戻るぞ。」
ヒデヨシ「ぶ~。じゃあまた来るね!お母さん。」
先代「ええ、いつでもいらっしゃい。あ、そうだ○○ちょっと。」
母に呼び止められた俺は、重臣にヒデヨシを頼みそのまま部屋に残った。・・・母と二人っきりになるのも何年ぶりかな。
先代「ごめんなさいね。色々苦労をかけて。」
○○「・・・いえ、役目ですから。」
先代「そう。残ってもらったのは、ちょっと聞いて欲しいことがあるからなのよ。」
○○「・・・はっ、なんなりと。」
先代「そんなによそよそしくしなくてもいいわよ、二人きりなんだから。ね?」
○○「いえ・・・、お互いに立場がありますので。」
先代「そう・・・、まあいいわ。話と言うのはね、私がいなくなった後の事。」
母は庭の花を見ながら話し始めた。相変わらず美しい横顔だ。俺は不謹慎にも一瞬そうおもってしまった。
○○「何をおっしゃいます。まだまだ母上には元気でいてもらわなくては。」
先代「自分の身体は自分が一番分かってるわ。もう私は長くないでしょう。
その前にどうしても、あなたに伝えなくてはいけないことがあるの。」
ついにきたか・・・。覚悟してはいたが、いざその場面になると、緊張するな。
○○「自分にですか?一体、なんでしょうか?」
先代「ええ、実はね。私が亡くなったら、あなたに私の後を継いでもらいたいのよ。」
○○「えっ?」
予想と違う母の言葉に、俺は思わず間抜けな声を出してしまった
4:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/26 23:24:13 Iq78tLYz
>>1
乙
5:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/26 23:57:21 9f/G87v+
おぉ、ついに2スレ目に。
今回はほぼ○○が主役だな(*´∀`)
ヒデヨシ出番少なす
6::○○の中には好きな名前をどうぞ
08/07/27 00:57:22 I3l6oAdP
>>3続き。話を膨らませすぎて、主役の出番が少なくなって本末転倒になって本当に申し訳・・・。
--------------------------------
○○「何を、おっしゃいます・・・。自分は男ですよ?それにヒデヨシというれっきとした跡継ぎがいるではありませんか。」
先代「それは充分に承知しています。ですが、それを承知で敢えてあなたにこの国を頼みたいのです。」
○○「いや、それは・・・。無理ですよ、それに自分はそもそもそんな器ではありません。
それに比べて、ヒデヨシの人をひきつける魅力は天性のものです。アイツこそ、時代の君主にふさわしい。何も心配することはないでしょう。」
先代「確かに、ヒデヨシのそれは天性のものでしょう。しかし、ヒデヨシはあまりに幼すぎます。
とても、君主としてやっていける年齢ではありません。それに、アナタの才能は私が一番良く知っています。」
○○「そうかもしれませんが、それでも自分があとを継ぐというのは。さすがに家中の者達が納得しないでしょう。」
俺は母の突然の申し出に、頭が混乱しながらも何とか断りの返事を口に出した。
実際、俺はヒデヨシが生まれた時から後を継ぐ気など、さらさらなかった。それに、例の件も絡んでなおその気は無かった。
先代「皆には私から説明します。だから―。」
○○「無理ですよそんなの。・・・誰も納得しません。」
先代「・・・ごめんなさいね。私がアナタを拾ってしまったばっかりに。
他の誰かに拾われれば、あなたをこんなに苦しめることはなかったのに・・・。」
○○「なっ!?」
別に恨んでなどいなかった。だが、面と向かって謝罪の言葉を聞くと、母も苦しんでいたことを知った。
そう考えていたら、俺はなんだかスッキリしてきた。今まで気にしていたのが何だかアホらしくなってくる。
○○「・・・わかりました。母上の願い聞き入れましょう。」
先代「まあ・・・、では。」
○○「ええ、母上の跡目、俺なんかでよければ。」
先代「○○、本当にありがとう・・・。」
○○「親子じゃないですか、水臭い。・・・でも条件があります。」
先代「わかっています。ヒデヨシが成長したら、その役目を終えたいというのですね?」
○○「はは、お見通しでしたか。もとから、君主の座なんて興味はないですからね。」
先代「まったくこの子は、いいわ。無理させるのもなんだしね。でも、その役目を終えた後もここに残って、ヒデヨシのことを頼むわね?」
○○「それは、モチロン。子供の時に母上と約束しましたから。」
先代「何だ覚えていたの。やっぱりアナタは私が見込んだとおりの男ね。ふふふ。」
そう言って母は微笑むと、昔と変わらぬ美しい笑顔を俺に向けた。
その後、母は家臣達全員の前で俺を次の君主にすると伝え。自分は引退すると発表した。
もちろん家臣達は大騒ぎしたが、母の毅然とした物言いにひとまず沈静化した。
ヒデヨシは何のことかいまいち分かっていなかった様だが、俺が君主になることを自分のことのように喜び祝福してくれた。
のんきなもんだ、そのうち自分がなるのに・・・。
母は安心したのか、その後しばらくして旅立っていった。その顔はなんとも安らかだった。
7::○○の中には好きな名前をどうぞ
08/07/27 03:17:39 I3l6oAdP
ヒデヨシ「あー!また昼間っからお酒呑んでるー!ダメだよ、お兄ちゃん!」
またうるさいのがやってきた。人が美しい思い出に浸っていると言うのに・・・。
○○「なんだヒデヨシか、良いんだよ、良い天気なんだから。」
ヒデヨシ「ふ~ん。じゃあアタシも!」
○○「って、おい!お前は仕事しろ!サボるな!重いから人の上に乗るなあ!」
ヒデヨシ「~♪」
怒り顔から一変、笑顔になったヒデヨシは俺の膝の上に飛び込んできた。
あの後、何年か君主の座についた俺だったが、当然家来達からの信頼はゼロだった。
そして、ようやく一人前になったヒデヨシに位を譲り、ようやく悠々自適の暇人生活を送れるようになった。
だが、目を離すとすぐに遊びまわってしまうこの遊び癖は、どうにかならんものか・・・。
ヒデヨシ「あ~、ポカポカして気持ち良いな~。なんだか眠くなってきちゃった・・・。」
○○「こらっ!毎度毎度、人の上で寝るな!」
ヒデヨシ「スースー。ムニャムニャ。」
○○「また早いな、おい・・・。ったく、まだまだ子供だな。」
あっというまに、俺の膝の上で眠ってしまったヒデヨシの頭をなでながら、おれは苦笑するしかなかった。
まあ、正直ここで昼寝していても大丈夫なくらい最近の世の中は平和だ。
他国との争いは確かにあるが、ここのところは戦国乙女たちの実力が拮抗しているためか、
その争いも小競り合い程度で済んでいる。
少し気になることと言えば、正体不明の勢力が、しばしば他の乙女たちと戦を起こしていることぐらいだろうか。
連中の目的は不明だが、見境無く攻撃をしかけているようだ。いつうちにも仕掛けてくるかワカランが、
まあ少しくらいならいいだろう。にしても・・・。
ヒデヨシ「えへ~。お兄ちゃん変な顔~。ムニャムニャ。」
○○「む、勝手に人を夢に・・・。しかも、何て夢をみてやがるんだ。」
ヒデヨシ「お~、結構跳んだあ。」
○○「こいつ、また人をひょうたんでぶっ飛ばす夢をみてるな・・・。」
ヒデヨシ「むふふ~。」
なんともけしからん夢を見ているヒデヨシを眺めているうちに、ふと思った。
こいつは俺と血のつながりが無いことを、知っているのだろうか?まあ。どっちでもいいか。
そろそろ良い時間になってきた。これ以上サボらせたら、さすがにちとマズイ。
○○「おい、ヒデヨシ、起きろ。そろそろ時間だぞ。」
ヒデヨシ「これぞ、お兄にぎり~。ふえ?」
○○「なんだそれは・・・。ほら寝ぼけてないで起きろ。そろそろ、仕事にもどれ。」
ヒデヨシ「ええ~、めんどくさいな。ふあ~あ。」
○○「そう文句を言うな。終わったらちゃんと遊んでやるから。」
ヒデヨシ「ほんとに!?約束だよ!」
○○「うお、声がデカイってば・・・。ビックリするだろ。ああ、約束だ。」
ヒデヨシ「やったあ!絶対にだよ?破ったら、ひょうたん百叩きだからね!」
○○「お前は俺を、この世から物理的に抹消する気か・・・。わかったから、さっさいけ。」
ヒデヨシ「うん!じゃあね、お兄ちゃん!」
ニッコリ笑ったヒデヨシの笑顔に思わずドキッとしながらも、俺はヒデヨシを送り出した。
8:Original Fire
08/07/27 03:47:36 eK6EYZuQ
まずは疾走感溢れるパンクミュージック、【サウンド・オブ・ナイブス】だ。
ドラムスのスティックのタイミングに合わせ、16分ビートを刻み始める。
スネア、タム、バスタムの準備が整ったら、いざ、マサムネが空気のように入り込む。これで、安心感がよりいっそう増した。
そこへ、風が流れ込むようにサイドギターのケンシンが得意のカッティングで入り、音の土台を作り、観客を飲み込んでゆく。
そして、待ってましたのミツヒデがハイ・ポジションからの単音ソロで、オーディエンスは片手を挙げて縦ノリを始めた。
俺「すげぇ、すげぇよ! サニーサイドアップ!!」
雷神の如く全てを叩きのめすドラムス・・・。
まるでボディーブローを連続で食らっているかのような、シャープで際どいベース・・・。
死角のない完璧なリズムでメンバー全員の息をまとめるサイドギター・・・。
圧倒的な存在感であらゆる視線と言う視線を集めるリードギター・・・。
カリスマ的な声量で、見る人、聴く人の全てを奪い去るボーカル・・・。
イエヤス「次は新曲の【ラウド・プラウド】です! デス! Death!!」
観客「うぁおおおおおおお~~~~!!!!!!!!」
イエヤス&観客「です!! デス!! Death!!」
そして、皆の息が一つになる。
ヨシモト「やっぱり、最高ですわね・・・」
俺「あ、ヨシモトさん」
今川ヨシモト。
月刊誌「ギター・モンスター」の編集部員である。
彼女もまた、一昔前はやはり音楽界において、相当のクセモノだったらしいが、今となってはそれは黒歴史と化されている。
???「いや、いまいちだな」
俺「えっ」
不意に声をかけられ、驚いて振り向くと、赤い頬と髪をした女がジャック・ダニエルを片手に難しい顔をしていた。
この人は・・・・・・たしか「ホット・ロッド」の入り口に座り込んでいた人じゃないか。
ヨシモト「あなた・・・・・・元ウォー・ヘッズのボーカル、ノブナガ様じゃありませんこと?」
俺「何だって! あのロック界のカリスマ、ノブナガ様だって!? でも、そんな面影は・・・・・・」
たしかに、今の彼女は、どこからどうみても、ただのイカれた飲んだくれだった。頬はこけ、声もガラガラだ。
ウォー・ヘッズは三年前、メンバー内の音楽的思想の食い違いから解散を余儀なくされた。だが、今でもファンの間では再結成の噂が後を絶たない。
ノブナガ「特にミツヒデの存在だ。やつはいけねぇ」
俺「何でです? 最高のギタープレイヤーじゃないですか」
ノブナガ「へっ、素人が。何も分かっちゃいねぇ。たしかにやつは最高だ。だがな、最高であるが故にそこに穴があるものさ」
ノブナガがジャック・ダニエルをラッパ飲みしながら言ったことを、俺はまだよく理解できていなかった。
9:○○○○夢想
08/07/27 15:31:36 bu4PKx1S
???「はぁっ…はぁっ…」
夜の森の中を、家来と思しき兵達と共に駆けていく小さな影。
後ろからは、大勢の馬の蹄の音と喊声。どうやら影達は追われているようだ。
兵士「……様!このままでは…このままでは、追いつかれてしまいます!」
兵士の一人が情けない声を上げる。
???「…はぁっ…はぁっ…大丈夫…もう少し…もう少しの辛抱です!ここを抜ければ…」
走っていく奥の方にボンヤリと明かりが見える。月明かりでもない…あれは…松明の光だ。
─── 抜けた!
抜けた先に広がる、広い空間…そこには何列にも並んだ多数の兵士が弓を構えていた。
弓は全てこちらを向いており、一声かければ全ての矢が放たれる…そういった様子である。
???「……」
影は立ち止まった…汗が頬を伝っていく。刀を持つ手は更に強く握られる。
後ろからは騎馬隊…前には弓隊…
─── ついに騎馬隊が森の中から姿を現した!
10:○○○○夢想
08/07/28 00:58:39 lv3YIO1M
???「弓隊第一陣!斉射ぁ!!」
ピュン ピュン!!ピュン!!
影から発せられた幼さの残る声を皮切りに、一斉に弓矢が発射された。
矢は、影達の頭上を越え、騎馬隊に降り注ぐ。
敵兵「うわぁ!」 「きゃぁ~!」 「ひ、退け~!」
???「続いて第二陣!斉射ぁ!!」
ピュンピュンピュン!!
─── 騎馬隊は総崩れ、兵の大半を失い退いていったようだ。
???「はぁ…なんとか撃退できた…」
影はホッと一息つくと、その場に座り込んだ。
小さな身体を、雲に隠れていた月の光が照らす。
汗で光る、緑色の綺麗な短い髪。
兵士「流石です、コタロウ様!一時はどうなるかと思いましたが…」
兵士「こういった窮地にこそ、コタロウ様の提唱する兵法が効果覿面ですね!」
笑顔ではしゃぐ兵達に、コタロウも笑顔で返す。
コタロウ「ボクは何も…この作戦がうまくいったのも、全てはみなさんのおかげです。
よくやってくれました、ありがとうございます…」
兵士「…もう!謙虚なコタロウ様も可愛いです!ぎゅぅ~!」
コタロウ「わっ!?く、苦しいですぅ~!」
── 彼女の名はコタロウ。荒ぶる戦国の世を生き抜く戦国乙女だ。
小さな身体ながらも、その軍師としての腕、知識、さらには実力も折り紙つきである。
悩みは男の子に間違えられ易いことと、背が小さいこと。
日々、その二つを克服するため牛乳を飲むのが日課となっている。
家臣にはそのルックスや振る舞いから、絶大な人気?があるようだ…
コタロウ「さ、さぁみなさん、追手に気をつけて、本陣まで退却しましょう…」
兵士「は~い♪」
11:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/28 09:27:13 qIrVEW2c
まさか、コタロウ夢想に突入!?
(*´∀`*)
確かに最近、コタロウ強くなったもんなぁ…
orz
12:コタロウ夢想
08/07/28 17:46:34 ycpzccG4
ボクたちは無事城に戻った。
小さな国だが、これでもボクが城主を務めている。
母上から譲り受けたこの国は、資源もそこそこ豊かで、土地も悪くない。
それゆえ、あまり目を付けられることがなかったが、近頃戦況が悪化したため、狙われるようになってしまった。
ボクとしては、あまり戦いたくはないし、中立の立場を貫きたかったのだけれど…
戦況がそれを許してはくれない。
部屋に戻ったボクは、数々の書状を眺めた。宣戦布告…または臣下に下れという内容のものばかりだ。
一応目は通したが、ひどいものばかりだ。そんな中、一通だけ気になるものがあった。
差出人は…オウガイ。
オウガイといえば、近頃名を上げてきた武将で、身の丈は六尺七寸にもなろうという大女で
筋骨隆々、向かうところ敵なしという噂だ。似顔絵を見たことがあるが、とても恐ろしかったのを覚えている。
内容は『貴公と一度話しがしたい』…これだけだ。
頭ごなしに降伏を迫ったり、罵詈雑言が書いてあるような書状とは違い、とても簡素で実直だ。
一度会ってみるのもいいかもしれない…そう思わせる書状だった。
コタロウ「…誰かいますか?」
兵士「はい、ここに」
コタロウ「すみませんけど、すずりと筆を用意してくれませんか?」
兵士「只今お待ち下さい!」
ボクはつたない字で返事を書く…
『あなたのお気持ちはわかりました。後日伺うことに致します。』
噂通りの人だと怖いけど、文面を見る限り、威厳を感じる。斬って捨てられることもないだろう…
あわよくば協力を取り付け、この戦国の世を乗り切りたいものだ。
13:コタロウ夢想
08/07/28 18:06:58 ycpzccG4
ボクの国からオウガイの国はそう遠くはなかった。むしろ一番近い国かもしれない。
二日ほどたった日の朝、ボクはオウガイの国へ向かうため、準備を始めた。
家臣1「コタロウ様ぁ…大丈夫ですか?噂では馬をも投げ飛ばす怪力女だとか…」
家臣2「私たちのコタロウ様が、そんな奴にハチャメチャにされたら…私もう!」
コタロウ「心配しなくても大丈夫ですよ…すぐ戻ってきますから」
家臣3「絶対ですよ!帰ったら一緒にお風呂入りましょうね!」
家臣2「私がコタロウ様のお身体を洗います!」
家臣1「なによ、私が洗うのよ!」
コタロウ「まぁまぁ…みんなで仲良く入りましょうよ」
むずがる家臣たちをなだめ、ボクはお付き一人を連れ、旅立った。
── 馬に揺られ数刻、昼過ぎに国境の砦に着いた。
兵士「コタロウ様ですね…お話は伺っております。さぁどうぞ」
門を通り、あちら側の兵士に付き添われ、進む。
緑豊かな土地だなぁ…暮らしている人々の顔も晴れやかだ。
城下に着いた。結構大きな国なんだなぁ。ボクの国とは大違いだ。
商売も盛んで、みな笑顔で往来を行きかっている。民の暮らしぶりから、城主の手腕の大きさが伺える。
ただ粗暴で腕っ節が強いというだけでは、ここまでできないだろう。
やはり睨んだとおりの大人物のようだ…。気を引き締めよう。
14:コタロウ夢想
08/07/28 18:42:01 ycpzccG4
しばらくしたら来るというので、ボクは広間にて待たされることになった。
従者「ももも、もし、コタロウ様が脅されるようなことになったら、私は…!」
コタロウ「心配しすぎですよ…きっと大丈夫です…」
従者「ででで、でもですね…。!!ひっ、あ、足音が!来ます!」
コツ…コツ…とこちらに近づいてくる足音。そして広間の扉が大きく開けられる。
── 赤く逆立った髪、きりりとした美しくも気高い顔立ち、その顔の右部分に彫られた刺青…
大きな身体に装着された燃えるような赤い鎧に、外套。そこから覗く、筋肉質の肌…
噂とは随分違う…とても優しそうな顔立ちをしている。身の丈も六尺といったところかな…。
筋肉もそんなに筋骨隆々というわけではなく、付くべき所に付いているという感じだ。
きっとその強さに恐れをなした者が、誇張して彼女を表現したのだろう。
それでも六尺もあるので、見上げて話すことになるけれど。
オウガイ「遅れて申し訳ない。我はオウガイ…書状にて綴った此度の会合…受けていただき
誠に嬉しく思う。お主の名は噂に聞いておる。なんでもその軍師の腕は一級品であるとか…」
風体に似合わず、とても澄んだ綺麗な声だなぁ…思わずボクは聞きほれてしまった。
オウガイ「…ん?どうなされた?」
コタロウ「え、あ、いえ…ボクはコタロウです。一度話し合ってみたく思ったので、参った所存です」
オウガイ「このような味気ない所で話すのもなんだ…よければ風呂場にて語り合ってみぬか?」
コタロウ「風呂場…ですか?」
オウガイ「そうだ。我が城の風呂は他と違ってな、源泉をそのまま引いておる。なかなかの名湯だぞ」
互いに丸腰で話し合おうという意図だろうか…随分デキる武将だ…その意図に乗ることにしよう。
…それに、温泉というのも初めてだから、少し胸が躍ります…
15:コタロウ夢想
08/07/29 01:40:41 uitWUpV3
カポーン
コタロウ「はぁ…いいお湯です…これが温泉というものですか…」
オウガイ「ふふふ…しかも、温泉につかりながらの酒はまた極上なのだぞ」
そういって一気に酒を煽る。大きな胸が揺れる。…うらやましい。
ボクは持参した牛乳を酒で割ったものを呑む。うん、おいしい…確かに格別だ。
オウガイ「さて、お主と話し合いたいというのは、単刀直入に言うとだな…」
きました…。これでこの人の真意がわかる…。
オウガイ「っと、その前に我の夢を話しておこう」
ふぇ?
オウガイ「我の夢は、天下を統一することだ」
なんだ…他の武将と同じだ。結局は天下を手に入れたいんだなぁ…
オウガイ「だが他の武将は力で天下を支配しようとしているが、我は違う」
コタロウ「…と、言いますと?」
オウガイ「我の目指すところは、天下泰平の世…争いの無い世を築くことだ。
争いを無くすといっても力で支配するのではなく、平和の志を以ってこれを成す」
── ボクとしたことが、見る目を誤っていたようです。
この人は…デカい。志も夢も…。ボクの理想とする世にとても近いものを持っている。
オウガイ「もしこの志を理解して貰えるなら…同盟を…是非とも我に手を貸していただきたい。
配下などではなく…友人として」
コタロウ「えぇ…あなたとならいい友人になれそうです…オウガイ」
オウガイ「ありがとう…コタロウ」
杯を交わし、それぞれの国の情勢、民の暮らしぶりなどを色々話し合った。
オウガイはよく笑い、楽しそうに話す。明るい人だ…きっとこの人なら天下を獲れるだろう…そう確信した。
16:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/29 19:12:44 QUMTAhTp
書いたの上げようと思ったらまさかPC規制とは・・・。
17:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/30 19:22:42 e9N530lJ
ムラサメ「オウガイにコタロウちゃん、ちょっとぉ、私がシロをちょっと抱いたら、二人とも順番にワン?と言うのよ」
オウガイ「何だいきなり?」
コタロウ「ムラサメさん何企んでいるんですか?」
ムラサメ「いいから、いいから、ほらシロを抱いたわよ」
オウガイ「ワン?」
コタロウ「ワン?」
シロ「わぉーん?」
ムラサメ「ワンワンすろとぉ~れんだぁ~」
オウ&コタ「( ゚д゚)ポカーン」
18:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/30 20:07:55 EjQi2wvA
コタロウ夢想が読めるのは、このスレだけ!
夢想先生(仮名)へのファンレターは、このスレに
わっふるわっふる
(*´∀`*)
19:コタロウ夢想
08/07/31 00:28:30 P+8ooQ8H
カラカラ…
オウガイ「誰だ!……っと」
ん、なんでしょうか…湯気でよく見えませんが、何か小さい影が…
???「くぅ~ん?」
オウガイ「なんだ、シロか…」
コタロウ「!?!?!?」
そこにいたのは、真っ白な毛並みをした、犬…?犬のような…二足歩行の生物。
シロと呼ばれたそれは、手ぬぐいを手にすると、自らの身体を洗い始めた…
コタロウ「あ、あの!あれは一体…」
オウガイ「ん?あぁあれは、以前裏手の森で彷徨っているところを拾ってな…
シロと名付け、我が城にて飼っておるのだが…中々可愛いであろう?」
コタロウ「か、かぁいいにゃぁ~」
オウガイ「へ!?」
コタロウ「え?あ、いや…コホン。えっと…あれは犬…ですよね?」
オウガイ「犬以外見えんであろう」
コタロウ「ま、まぁそうですよね」
どうやら洗い終わったらしく、シロは湯船に入ってきた。
シロ「わふ~」
とても気持ちよさそうに浮いている…
コタロウ「あ、あの!だ、抱いてみてもいいですか…?」
オウガイ「別に構わぬが…あれは中々人に懐かぬ犬でな…まぁ試してみるのも一興だ」
20:コタロウ夢想
08/07/31 00:49:22 P+8ooQ8H
コタロウ「シ、シロ~?」
恐る恐る呼んでみる。シロがこちらを向いた…かぁいい…
パチャパチャ。え?こ、こっちに泳いでくる…!
シロ「くぅ~ん」
シロは自らボクの腕の中に飛び込んできた。
オウガイ「む…。我でさえ、懐くのに数日かかったというに…。なんだか妬けてしまうな、ふふ」
コタロウ「は、はうぅ~柔らかくて…もふもふして…気持ちいぃよぉ~、かぁいいにゃぁ~」
シロ「わんわん!」
オウガイ「…ヨダレがたれておるぞ」
コタロウ「はっ…!コ、コホン。す、すごく可愛いですね…」
オウガイ「はは、どうやら相思相愛のようだな」
シロ「くぅ~ん」
オウガイ「お?わ、はは!こら、舐めるでない!ははは!こやつめ!」
シロは一通り戯れた後、泳いでどこか行ってしまった…名残惜しいです…
オウガイ「…どうやらお主とは利害も一致しておる。良き友になるだけでなく、互いに夢を追おうではないか」
コタロウ「えぇ…今日はありがとう。そしてこれから末永く…共に手を取り…」
ボクらは風呂からあがった。従者の娘は、今にも泣きそうな顔で迎えてくれた。
従者「コタロウ様ぁ~、心配したのですよ~」
そんな彼女も、オウガイの兵と将棋をして楽しんでたのをボクはさっき見た。
これならうまくやっていけそうかな…
そんなこれからの展望を見据え、ボクは城へと戻った。
21:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/31 04:42:24 ub1jeKb4
夢想様、○○様わっふるわっふる(*´∀`)
お二人とも前スレからわふわふしながら読ませてもらってます
22:コタロウ夢想
08/07/31 19:29:49 qPqyupYe
オウガイと同盟を結んだボクは、恥ずかしながらシロ目当てに、結構な頻度で城に通い詰めていた。
オウガイはムラサメという女性とも同盟を組んでいた。彼女は幼馴染のようだ。
神秘的な雰囲気を携えた彼女は、とても美しく、聡明な人だった。ボクもいつかはあぁなりたいものだ…。
── 同盟から一月、ボクはいつものようにシロのところへ来ていた。
オウガイ「お主は随分とシロに入り浸りだな」
コタロウ「だって可愛いんですもん…オウガイだってそうでしょう?」
オウガイ「まぁそれはそうだがな…」
コタロウ「ボクだって、シロを散歩させたいんです!いつもオウガイばかりでずるいです」
オウガイ「ふふん、我は飼い主だから当然なのだ!」
コタロウ「むぅ~、まぁいいです。それじゃあ散歩させてきますね」
オウガイ「気をつけてな~」
たまにこうやってシロと散歩する時間は、とても楽しい。
厳しい戦国の世にあって、こういうのどかな時間は必要です…。
城の外周に沿って、散歩していると、目の前を歩くシロが立ち止まった。
コタロウ「シロ?どうしたんです?」
シロ「くんくん…」
なにやら何かの匂いを感じ取っているようだ…
しきりにあたりを見回している。もしや、外敵では…?
── すると、突然前方の森の中で何かが光り輝いた!
な、何だ!?一体あの光は…
その時、シロが一目散にその光のところへ走り出した。
シロ「わんわん!」
コタロウ「あ、シロ!待ってよー!」
少しばかり森の中へ入ったところで、シロが何かの周りをうろうろしている。
あれは…人?見たことのない格好をしている…。
倒れて動けないみたいだけど…まさか死んでいるのでは…
シロ「くぅ~ん…」 ペロペロ
???「……ぅ」
あ、息があるみたいだ!ボクは急いで、その人の所へ駆け寄った。
23:コタロウ夢想
08/08/01 01:33:52 VaG8vRWk
倒れていたその人は男の人で、見たことのない服装…ムラサメが言っていた外国の服だろうか?
外傷は…ないみたいだ。気を失っていたのだろうか?でもなぜこんなところで?
コタロウ「大丈夫…ですか?」
声をかけてみる。外国の人だとしたら、言葉が通じるかは定かではないけど…
やがてその人は、目をゆっくり開けた。まだ焦点が定まっていないようだ。そして…
???「あれ…ここは…?」
あ、言葉は通じるみたいだ。
???「あれ…?俺は確かバイクで…車に…あれ?」
コタロウ「あの…大丈夫ですか?」
???「う、うわ!?」
彼はいきなり飛び起きた。
なまりや、聞いたことの無い単語が言葉の節々にあるけれど、話せるみたいだ。
???「き、君は?ていうか…なにその格好…ここどこ?森?え?」
コタロウ「えっと…ボクはコタロウです。ここは、オウガイの城の近くの森ですけど…あなたは…何者ですか?」
???「おうがい…?城…?ちょ、ちょっと待って…え?ここ東京じゃ…」
コタロウ「とうきょう?」
???「いや、でも見た限り違うし…バイクで事故って…あぁわけわかんなくなってきた…」
コタロウ「敵ではないみたいですけど…頭かどこかを打って記憶が混乱しているのではないでしょうか?」
???「え?敵?いやいや、わけわかんないんだけど…」
コタロウ「ん~、あなた自分の名前はわかりますか?」
???「ヤスヒロだけど…」
ヤスヒロと名乗ったその人は、よくわからないけど、とうきょう?という所からやって来たらしいです。
今が戦国時代だというのを聞くと、ひどく驚いているようでした。
にわかには信じられませんが、どうやら違う時代から来たとのこと。
とりあえず城で、どこか身体に異常がないか調べることにしました。
24:コタロウ夢想
08/08/01 02:05:46 VaG8vRWk
コタロウ「肩お貸ししましょうか?一人で歩けます?」
ヤスヒロ「ん、なんとか大丈夫みたいだけど…」
シロ「わんわん!!」
ヤスヒロ「うわっ!?え!?なにこれ!?犬!?」
コタロウ「まぁ犬以外見えないでしょう?ボクも最初はちょっと思いましたけど…」
ヤスヒロ「ていうか何で二足歩行してんの!?何で兜みたいの被ってんの!?」
コタロウ「まぁ時代が時代ですし…シロも被りたがってたので…」
ヤスヒロ「戦国時代ねぇ…えっと、コタロウ…だっけ?君もその、兵士…なの?」
コタロウ「いえ、ボクはこう見えて武将なんですよ。自分の国だって持ってるんですからね!」
ヤスヒロ「武将?君が?へぇ…ちっちゃいのにすごいねぇ…」
コタロウ「あ、何か小馬鹿にした感じ…」
ヤスヒロ「い、いや、そんなことないって!」
とりあえず、城に移動したボクたちは、異常がないか調べるため、医務室へ行くことに。
途中会った兵士に、オウガイにこの人のことを伝え、後で目通りするようにしました。
随分辺りを珍しそうに見回したりするのを見て、違う時代かどうかはともかく、こういったところに
馴染みが無い人なのだというのは分かりました…。
─────────
ヤスヒロ(うわぁ…すっごい怖そう…)
コタロウ(そうですか?あぁ見えてすごく優しい人ですよ?)
オウガイ「お主が、例の行き倒れか」
ヤスヒロ「は、はい…」
オウガイ「随分と奇妙な出で立ちをしておるな…」
ヤスヒロ「いや、別に普通だけど…」
兵士「!!!オウガイ様に何と言う口の利き方を…」
オウガイ「あー、構わぬ、気にするでない」
兵士「は、はぁ…」
シロ「くぅ~ん」
ヤスヒロ「こ、こら、纏わりつくな!」
オウガイ「ほう…シロが懐くとはな…おもしろい男だな」
オウガイが笑った…この笑みは、気を許した相手に見せるもの…
きっとオウガイもこの人に害意はないとわかったのだろう。
25:コタロウ夢想
08/08/01 18:25:00 podMOwJP
オウガイ「ふむ…しかし珍しい拾い物をしたものだな」
コタロウ「行く宛てもないそうですし、どうですか?ここに置いてあげては」
オウガイ「別に構わぬが…男だからといって、特別扱いはせぬぞ」
ヤスヒロ「あ、ありがとうございます…」
コタロウ「ふふ、よかったですね。どうです?言ったとおり優しいでしょう?」
オウガイ「な!コ、コタロウ、お主そんなことを言っておったのか!
貴様も勘違いするでないぞ!捨てたままでは後味が悪いからだ!わかったな!!」
ヤスヒロ「は、はぁ…」
そういうとオウガイは顔を真っ赤にしてスタスタと広間を出て行ってしまった。
まったく、素直じゃないんですから…
─── 客間へヤスヒロさんを案内する。彼は多少落ち着いたみたいです。
ヤスヒロ「それにしても、すれ違う人みんな女の子なんだけど、ここはそういうとこなの?」
コタロウ「この時代では、女が戦場に立つのは普通のことですけど…」
ヤスヒロ「ふぇえ…随分と価値観が違うところだな…でも、コタロウは男の子なのに何で戦場に?」
コタロウ「……ボクだって女の子です!!!」
ヤスヒロ「え?あ!ご、ごめん!!女の子だったのか…」
コタロウ「ふん!もう知りません!」
ヤスヒロ「あぁぁ、ご、ごめん!!申し訳ない!!この通り!」
コタロウ「もう…そりゃよく間違われますけど…これから成長していくんです!」
ヤスヒロ「きっと綺麗になるよ…今はあれだけど…」
コタロウ「…何か言いました?」
ヤスヒロ「いえ!言ってないです!」
もう…!調子のいい人なんだから…!
でも…なんだか憎めない、そんな感じの人です…
この人がいることで何かが変わる…そんな予感がボクの胸に響き渡りました…
continued to オウガイ夢想
26:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/02 00:12:51 EgaXLrbm
シンゲン「ケンシン殿、ここであったが百年目、今こそ決着をつけるぞ!」
ケンシン「ん? あそこにいるのは超人気美人声優の植田佳奈さんでは?」
シンゲン「ん? どこだ?」
ケンシン「ふふふ、こんにちは~」
シンゲン「確かにこの声は植田さんだぁぁぁあ、待って植田さ~ん、無条件に好きだぁああ」
ケンシン「さぁ、城に帰るとするか」
27:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/02 02:08:52 NH2XLYuC
>>25
わっふるわっふる!
コタロウ夢想と聞いて『え?』と思ったけど外伝的な役割だったんですな(´∀`)
次のアイデアが浮かびましたらお願い致します!
わっふるわっふる
28:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/03 00:38:20 pjf7PtOu
さぁ、今年もやってきました、全国高等学校野球選手権大会!
開会から破竹の勢いで勝ち進み、並居る強豪を破り、今ここに12校が集いました!
まずは大阪府代表、薬多単高校!
トップバッターの豊臣ヒデヨシは小さい体ながらも、その長打力には定評があります!
新潟県代表、BI学園!
選手兼任監督でもある上杉ケンシンは、この甲子園でもきっと光るような戦略を見せてくれることでしょう!
東愛知代表、上底高校!
キャプテンの徳川イエヤスの安定したバッティングは脅威です!
静岡県代表、うつけ大学付属桶狭間高校!
ピッチャーの今川ヨシモトの奇妙な投球術が、各校を混乱に陥れることでしょう!
山梨県代表、尾必呉学院!
キャッチャーの武田シンゲンの豪快な采配が冴え渡ります!BI学園とはライバル同士です!
宮城県代表、独眼竜高校!
4番の伊達マサムネの、音が遅れて聞こえるほどのスイングは、ここ甲子園でも健在です!
西愛知代表、尾牌工業高校!
4番キャプテンの織田ノブナガの非情なまでの練習により、追随を許さないほどの強豪校となりました!
岐阜県代表、スリーデイズ商業高校!
ピッチャーの明智ミツヒデの巧みな投球は光るものがあります!得意技は隠し球です!
東東京代表、無双学園!
キャプテンで4番でピッチャーで兼任監督もこなす、パーフェクト超人オウガイ率いる無双学園は、優勝候補筆頭です!
西東京代表、板井高校!
この高校には一切の情報がありません!謎のムラサメ嬢がキャプテンをしている以外一切不明!その強さは未知数です!
東神奈川代表、朴陀手実業高校!
近年その強さを増してきた、コタロウ率いる朴陀手実業は、今大会のダークホースです!
西神奈川代表、輪恩学園!
トップバッターのシロは、あのイチローがお手本にしたと言われる、一本足打法の持ち主!今大会活躍が期待されます!
以上12校が勝ち進んだ甲子園大会!
乙女新聞社の協賛でお送りします!
29::○○の中には好きな名前をどうぞ
08/08/03 00:56:52 yjYpg+io
>>7続き。
あっという間に走り去っていったヒデヨシを見送りながら、俺は再び杯を手に取る。
何も考えず、ただ何も考えず、視界に広がる青い空や白い雲の流れの肴に酒をあおった。
しばらくすると、なにやら城内が騒がしくなってきた。いつもの騒がしさとは、少し様子が違うようだ。
いつもならば無視していたところだが、少し酔いがまわったせいだろうか、俺はふらふらと立ち上がり、
皆が集まっている大広間の入り口の陰に隠れ、話の内容を盗み聞きしていた。
重臣「それは本当なのね?」
伝令「はい。正体不明の軍勢が国境付近の砦を襲いつつ、先日完成したばかりの我が城へ向けて進軍中です。」
ヒデヨシ「よお~し!じゃあ、アタシがやっつけてくる!」
重臣「いや、その、少々おまちくださいね・・・?」
ヒデヨシ「え~。いいじゃん~。早くいこうよお~。」
重臣「そう言わずにですね・・・。んんっ!さ、続けて。」
伝令「は、はあ。ええっと、それでその城から援軍の要請を受けて、こちらまで参った次第です。」
重臣「そう、分かったわ。でも、一体連中は何者なのかしら、狙いは・・・。あ、ヒデヨシ様、もう結構ですよ。」
そうヒデヨシに促すと、つまらなそうに口を尖らせていたヒデヨシが、待ってましたと言わんばかりに立ち上がった。
ヒデヨシ「うんっ!よお~し、皆いっくよ~!」
家臣達「お、お~・・・。」
困惑した家臣達の掛け声とともに軍議は終了。家臣達はいっせいに立ち上がり、戦の準備をするべく駆け出していった。
ついに噂の謎の軍団が、我が国にもやってきたようだ。一体なんなんだ?連中は。・・・まあいいか、俺には関係ないしな。
残った酒でも呑んで一眠りしようと思い、その場を離れようとすると、後ろから突然声をかけられた。
重臣「あ、○○様。」
○○「ビクッ!な、なんだお前か。脅かすなよ。」
重臣「これは失礼。しかし、盗み聞きとはいけませんね。堂々とご出席なさればよろしいのに。」
○○「そんなことできる訳ないだろ。第一メンドクサイ。」
重臣「ふふ、そうおっしゃるとおもってました。で、どう思います?」
急に真面目な顔になった重臣は、俺に意見を求めてきた。
○○「ん~?さあ、さすがにあれだけじゃな。」
重臣「そうですか・・・。どうです?ヒデヨシ様とご一緒に出陣なされては?きっと喜ばれますよ。」
○○「なんでそうなるんだよ・・・。ヒデヨシなら大丈夫だよ。もう立派な総大将だ。」
重臣「ですがその、言いにくいのですけれど。駆け引きの段になると、未だに・・・。なので○○様がおられれば安心かと。」
○○「知恵袋ならお前達がいるじゃないか。俺なんかがいても、役に立たないよ。実戦からもだいぶ遠ざかってるし。」
重臣「ですが―。」
説得の言葉を続けようと口を開きかけたその時、背後からの元気一杯の声にそれはかき消された。
30::○○の中には好きな名前をどうぞ
08/08/03 02:08:41 yjYpg+io
>>29続き
ヒデヨシ「あー!お兄ちゃんだあ!」
目ざとく俺を見つけたヒデヨシは、そのままこちらに駆け出し、俺に飛びついてきた。
条件反射で思わずその小さな身体を受け止める。
○○「よっと。・・・出陣だって?」
ヒデヨシ「うん!悪い奴らやっつけてくるからね!」
○○「そっか。気をつけてな?」
ヒデヨシ「へへ~ん、平気だよ。すぐに、終わらせてくるからね!」
○○「まあなんだ、皆の言うこと良く聞くんだぞ?」
ヒデヨシ「もう!しつこいなあ!あたし、もう子供じゃないもん!」
・・・ふ~む、子供じゃない、か。しかし、この容姿を含めて色々なところが・・・。
特にこの、胸の辺りがね。何度か会った、ノブナガとかケンシンに比べると幾分か見劣りが。
いや、さすがにあの二人辺りと比べるというのは酷か・・・。でも、さすがに大人の女性とは―。
ヒデヨシ「もうっ!聞いてるの、お兄ちゃん!?」
○○「え?ああ、スマンスマン。ちょっと考え事を。」
ヒデヨシ「ふ~んだ、どうせまた別の女の子のこと考えてたんでしょ!もうお兄ちゃんなんかしらないよ!」
○○「いや、そんなことないって。な?悪かったって。(くっ、まれに鋭いなコイツ。)」
ヒデヨシ「つーん。」
ヒデヨシは完全に機嫌をそこね、ほっぺたを膨らませてそっぽを向いてしまった。出陣前だというのにこれはマズイ。
何とかヒデヨシの機嫌を直すべく、必死の説得を開始した。
○○「なあ、機嫌直してくれよ。これから出陣だろ?」
ヒデヨシ「しらないもーん。」
○○「ああ、ほら!この前言ってた、お菓子。終わったら一緒に食べに行こう!」
ヒデヨシ「いらないもーん。」
○○「じゃあ、そうだ!そろそろ夏だし、新しい浴衣でも買いに行こう!」
ヒデヨシ「い、いらないよ!」
○○「なら、あ、ほら。前に城下の店で見つけたカンザシ。あれきっとヒデヨシに似合うと思うんだけどな~。」
ヒデヨシ「そ、そうかなあ?」
○○「ああ、モチロン。ヒデヨシにぴったりだ。帰ってきたら、一緒に買いに行こう!」
ヒデヨシ「や、やっぱいらないもーん。」
○○「(くそ、これでもダメか)はーっ。なあいい加減機嫌直してくれよ。帰ったら一緒に遊んでやるからさあ。」
ヒデヨシ「・・・ほんと?」
○○「へ?あ、ああ。一緒に遊んでやる、ぞ?」
ヒデヨシ「ほんとに、ほんとだね?絶対約束だよ!?」
○○「おお、や、約束だ。」
ヒデヨシ「わーい!すぐ帰るからね、お兄ちゃん!」
○○「ああ、気をつけ―。ってもういないし。」
あっという間に走り去っていったヒデヨシの去っていった方向を見つめ、思わずため息が漏れる。
31::○○の中には好きな名前をどうぞ
08/08/03 03:36:27 yjYpg+io
>>30続き。
○○「あ~、疲れた。ったく、まだまだ子供じゃないか・・・。」
重臣「ふふふ、ご苦労様です。これで安心して出陣できます。」
○○「ぐう。助けてくれたっていいじゃんか。」
重臣「ヒデヨシ様をなだめることが出来るのは、あなた様しかいませんよ。・・・では、行って参ります。」
○○「ああ、お前も気をつけてな。ヒデヨシのこと、頼んだぞ・・・。」
重臣「はい。・・・なんだかんだ言っても、やはりご心配なされてるんですねえ。」
○○「う、うるさいな。じゃあな!」
重臣にからかわれ照れくさくなった俺は、足早に自室へと戻った。
多くの軍馬のいななきと武具の音を響かせ、多数の兵を引き連れたヒデヨシが城をあとにした。
まあ、正体不明の軍といっても、さすがに負けるようなことはないだろう。あの城も中々に出来た城だ。
自室に戻った俺は、部屋で書物を読んでいるうちにいつの間にか寝てしまった。
まあ、この陽気だ。仕方ないじゃないか、なあ?
その日の夜更け―。
ドタバタ、ドタバタ。
○○「んあ?あれ?もう夜か。ふあ~あ、寝すぎたか。にしても、うるさいな。」
もう夜中だというのに、なにやら城内が異常に騒がしい。ヒデヨシたち、もう帰ってきたのか?
一応、約束した手前ヒデヨシの顔を見に行くことにした。夜中なのにうるさいんだろうな・・・。
○○「おーい、ヒデヨシー。もう帰ったの、か・・・。っておい!」
ヒデヨシの部屋の戸を開けた俺の目に、信じられない光景が飛び込んできた。
重臣「あ、○○様・・・。」
○○「これは、どうなってんだ・・・?おい!」
そこにいたのは、所々包帯を巻いて気を失っているヒデヨシの姿だった。
重臣「申し訳、ございません・・・。我らがついていながらこのような。」
○○「そんな事はどうでもいい!何があったっていってんだ!」
重臣「は、はい。それが―。」
城を出発して数刻、目的地の城に着いたが、城門は閉まって敵に襲撃されたような様子は無い。
城を含めまわりもいたって静かな空気だった。
重臣「これは一体?いかが致しましょうかヒデヨシ様?」
ヒデヨシ「ええ~、悪いやついないの~?つまんない。」
重臣「また、そんな・・・。」
ヒデヨシの言葉に思わずがっくり肩を落とした重臣は、大きなため息をついて城を見上げた。その時―。
???「わーっはっはっはっはっは!今頃来るとは、のんきなものだな!」
重臣「何者だ!」
???「は、お前らごときに名乗る名など無いわ!そんなことより、この城は我が軍が貰い受けた!」
突如、城門の上に躍り出た巨大な人影は、豪快な笑い声と共にヒデヨシたちを見下ろした。
暗くてよくは見えないが、その身体はクマのように大きく、手にしている得物は普通の人間の身長ぐらいの長さをしていた。
そしてなにより、その身体から発せられる異様な殺気に、その場にいる全員が飲まれていた。ただ一人を除いて。
ヒデヨシ「何だお前は!あたしがやっつけてやるから覚悟しろ!」
???「ほう、なかなかの胆の据わりようだな。さすがは総大将と言ったところか。よかろう!相手になってやる!」
ヒデヨシと巨大な影は得物を構えると、互いに全身に力をこめて相手目掛けて一気に飛びかかった。
32:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/03 08:09:30 LlLFzsb3
ヒデヨシの人、待ってたぜ!
ワッフルワッフル
>>28
時期的にいいネタだw
33:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/03 11:49:13 Ux1Y8H8n
>>28
各校名にワロタwww
34:ムラサメ夢想
08/08/03 15:22:28 cT8HdR8r
ある日の昼下がり、突然ムラサメが城にやってきた。どうやら暇になったから来たらしい。
まぁ天下泰平の世だからいいようなものの、それで城主が務まるのだろうか?
ハルナ「むらさめねぇさま~遊んで~」
ムラサメ「仕方ないわねぇ…」
ハルナ「やった~!」
ムラサメ「だいぶ大きくなったわね…オウガイに少し似てきたかしら…」
ハルナは積み木で遊び始めた。見た感じ城を作っているのだろうか。さすがは戦国乙女の娘だ。
ムラサメ「あら、これはお城かしら?すごいわねぇ、防壁の形状が理想的だわ…」
ハルナ「えへへ!」
ムラサメ「母譲りの才能ね…父上とは似ても似つかないわねぇ。本当に血が入っているのかしら?」
俺「それは随分じゃないか…。息子のほうは俺そっくりだよ」
ムラサメ「男のくせに剣で遊ぶし…確かにそんなところはあなたそっくりね」
ヤスヒロ(息子)は最近外で剣を持ち遊んでいる。これが中々にセンスがある。
オウガイはハルナにも剣を教えたいと言っていたが、彼女が自分から剣に興味を持たない限り
強制するのはよそう、ということにした。
周りの話では、オウガイは1歳の頃から剣を持っていたという…まさに末恐ろしいというか何というか…。
ムラサメ「オウガイも小さい頃から剣の腕は凄かったわ。周りの大人でさえ勝てないんですもの」
俺「ふ~ん…」
ムラサメはオウガイと幼馴染だから、小さい頃の事も知っているのだろう。
…ムラサメの事を今まで聞くタイミングを逃していたりしてたから、ちょっと聞いてみよう。
俺「そういえば、俺はあまり二人の昔の事を知らないんだけど…小さい頃から仲良しだったの?」
ムラサメ「…えぇ、そうよ」
俺「それにムラサメの小さい頃とかあまり聞かないし…どんな子だったのさ」
ムラサメ「……」
黙ってしまった。何だか聞いちゃいけないことだったのかな…。
壮絶な過去があったという噂も聞いたことがあるし…。
ムラサメ「聞いてもあまり楽しいことではないわ」
そう言ってムラサメは話を切り上げ、ハルナと遊び始めてしまった。
やっぱり知られたくないこともあるのだろう。でもやっぱり気になるなぁ…
35:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/03 18:08:46 f/Aanf13
スゲーwww
オウガイ夢想は、現在(?本編)
コタロウ夢想は、過去
ムラサメ夢想は、未来(本編後)
構成にビビった
…
シロ夢想に期待…
36:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/03 18:31:00 8AgCGd2F
シロ夢想はあれだな、我輩は猫である視点。
人の言うことは理解できるが、自らの意思を伝えることが出来ない。
しかし、犬だからこそ見える事もある。
そんな、シロならではのエッセイ。
みたいな感じで。
37::○○の中には好きな名前をどうぞ
08/08/03 23:02:25 quKpT1Yy
>>31続き
ヒデヨシは渾身の力をこめて、謎の巨影めがけ愛用の巨大ひょうたんをたたきつけた。
家臣の誰もがヒデヨシの実力を信じて疑わなかった。だから、その一撃で敵は地面にひれ伏すものと確信していた。
だが―。
???「ふはははは!そのナリにしては、中々の豪打ではないか!だがっ!」
ヒデヨシ「そ、そんなっ!」
???「うおおおお!!!!!」
ヒデヨシ「きゃあっ!」
ヒデヨシの渾身の一撃を、謎の女は難なく受け止め、そのままヒデヨシを弾き飛ばし、全身から尋常ではない気を発し始めた。
先ほどの気が殺気ならば、今度の気は闘気と言っていいかもしれない。実際、この女の周りの空気は、目に見えるほどのゆがみが生じていた。
???「ふふふ、ヒデヨシ!その命貰ったっ!」
ヒデヨシ「あっ!」
謎の女は巨大な剣を大きく頭上に掲げると、呼吸を整えヒデヨシ目掛けて一気に振り下ろした。
体勢を崩されていたヒデヨシは、不利な体勢ながらも雷の様な一撃を何とか受け止めた。
しかし、さすがのヒデヨシといえど、不利な体勢からの攻撃を完全に受け止めきれず、
まるで強弓からは放たれた矢のように、はるか後方の城壁まで吹き飛ばされた。
ヒデヨシ「ぐっ・・・!ううう・・・。」
???「ふはははは!中々楽しかったぞ、ヒデヨシ!だが、これで終わりだ!」
壁に叩きつけられた衝撃で、半ば気を失ったヒデヨシのもとに、不敵な笑みを浮かべゆっくりと近づいていった巨大な女は、
ヒデヨシを足元に見下ろすと、勝利を確信しトドメを刺すべくゆっくりと大刀を振り上げた。
???「お主もそのような身分でなかったら、一人のおなごとして平穏な人生を送れたものを・・・。」
ヒデヨシ「ううう・・・。お、にいちゃ、ん・・・。」
???「・・・せめて苦しまずに送ってやろう。さらばだっ!ぬっ・・・!?」
ヒデヨシ目掛け、巨大な刀が振り下ろされそうになったその刹那―。
謎の女は人間離れした跳躍で、突如その場から離れた。
38::○○の中には好きな名前をどうぞ
08/08/04 00:16:24 8gauQw5h
>>37続き。
???「・・・どういうつもりだ?お主がなぜこやつを助ける?」
謎の女は誰もいないはずの暗闇を見つめ、飛んできたクナイを投げ捨て不機嫌そうにつぶやいた。
すると、暗闇からメガネをかけた静かなたたずまいの女性が姿を現した。
ミツヒデ「なに、その子がやられるとなにかと不便でね。この国には、わが国の盾になってもらわねば。ふふふ。」
???「お主も冷酷な女よな。しかし、さすが我らの存在に唯一気づいているだけのことはある。」
ミツヒデ「ふふふ、お褒めいただき恐悦至極。さて、実は今アナタに我が軍秘蔵の火縄銃が向けられているのだが。どうします?」
そうメガネを光らせたミツヒデは、横目で森の奥をチラリと見た。
確かに、ほのかに何かがこげる匂いがする。どうやら、引っ掛けではないようだ。
???「ふん。にしても飛び道具が好きなやつめ。たまには、お主自身が刀を握って掛かってきたらどうだ?」
ミツヒデ「ふふふ、このクナイ1つ1つが私にとっては刀そのものなのさ。」
???「まったくお主は、口だけならば乙女たちの中でも突出しておるな。」
ミツヒデ「さて、口だけかどうか、身をもってお試しになってみるかな?オウガイ殿?」
オウガイ「軽々しく我が名を呼ぶな!この卑怯者風情が!」
オウガイと呼ばれたその女は、鬼のような形相でミツヒデをにらんだ。しかし、当のミツヒデはさらりとその視線を受け流す。
オウガイの顔に彫られた炎のような刺青が、赤々と月明かりに照らされた。
ミツヒデ「おお、怖い。さすがは万夫不当のオウガイ殿。それで、まだやるのかしら?」
オウガイ「ふんっ!興がそがれたわ。まあ良い、ここは引こう。おぬしとて、我がいるこの城を落とせはしまい?」
ミツヒデ「さて、どうかな。ふふふふふ・・・。」
オウガイ「まあせいぜい、お得意の策でもめぐらせるのだな。そこのちびっ子にも、無駄な努力はよせといっておけ。
何者も、このオウガイに勝てる道理などないのだからな!わーっはっはっはっはっは!!!。」
そう高らかに笑ったオウガイは、軽く城壁を飛び越え城内に姿を消した。
オウガイの気配がなくなったのを確認したミツヒデは、後方に控えていた部下に合図を送り、警戒を解かせた。
ミツヒデ「ふふふ、我が火縄銃も中々の威力だな。」
そういって森から出てきた部下たちの手には、ただ火がついただけの縄が一本握られていた。
ミツヒデ「さて、この子の具合は。ふむ、案外軽症だな。さすが、元気だけは人一倍だな。ふふふ。」
未だに気を失っているヒデヨシの具合を見たミツヒデは、何故か少し安心したような笑顔を浮かべ、手勢に撤収を命じた。
39:ムラサメ夢想
08/08/04 01:31:38 35aWZdcC
次の日、オウガイが仕事が早く切り上げられたということで、久しぶりに子供達を連れ、外に出た。
城の近くの原っぱで、子供達は無邪気に走り回る。
俺とオウガイは近くに腰を下ろし、その様子を眺めていた。
やっぱり平和が一番だな…安心して子供達が外で駆け回れるんだから。
オウガイ「ふふ…今日は弁当を作って持ってきたのだ。こういう時間も久しぶりだからな」
俺「お~、嬉しいな。どんな弁当か楽しみだな…」
今まではビクついていた俺だが、今は違う!
なんとオウガイは3年の間に料理の腕が凄まじいほど上達していたのだ。
やはり母親となるに当たって、周りもその腕を心配したのだろう。
俺にとっては、つい最近までその恐ろしい料理を堪能していたわけだが…。
俺「ふぁ~あ…しかしいい陽気だ…眠くなるねぇ」
オウガイ「……」
オウガイが自分の膝をポンポンと叩く。
オウガイ「どうしても…というなら、膝を貸してやらんでもないぞ?」
俺「ん~、じゃあ遠慮しておこうかな~?」
オウガイ「むぅ…いいから横になれ!」
強引に膝枕の態勢にもってかれた。まったく素直じゃないんだから…まぁ、そういうところも好きなんだけど。
── オウガイの膝枕を堪能しつつ、俺は昨日のムラサメの顔を思い出していた。
どことなく陰のあった横顔…あまり踏み込んではいけない気もしたけど、やっぱり気になる。
俺「ねぇオウガイ…」
オウガイ「ん、なんだ…」
俺「ちょっとムラサメの事について聞きたいんだけど…イデデデッ!!」
み、耳がちぎれるぅ!!飛び起きて見るとオウガイが口をとがらせている。
オウガイ「せっかくの二人の時間だというのに…他の女の話題など…」
俺「い、いや…そういうつもりで言ったわけじゃ…」
オウガイ「わかっておる。わかっておるが、釘を刺す意味でな…」
ヤキモチ妬きのところも相変わらずだ。
40:ムラサメ夢想
08/08/04 01:57:57 35aWZdcC
俺「ほら…二人って幼馴染なんでしょ?俺、二人の昔のこととかあまり知らないからさ…」
オウガイ「本人に直接聞けばよいだろう」
俺「いや、それとなく聞いたんだけど…どうにも答えたくなさそうな雰囲気だったから…」
オウガイ「本人が嫌というなら、嫌なのであろう。だというのに探る様な真似をしていては…」
俺「う~ん、まぁねぇ…」
ハルナ「ちちうえ~!ははうえ~!みてみて~!きれーでしょ~!」
子供達が駆けて来る。母譲りの赤髪に、花の冠が乗っかっている。
我が娘ながら、なんとかわいいことか。親バカかもしれないが。
ヤスヒロ「ボクがつくってあげたんだよ!」
オウガイ「ほー、ヤスヒロは器用だなぁ…。ハルナもよく似合っておるぞ」
ハルナ「えへへ~」
二人の頭を撫でるオウガイ。ちなみにヤスヒロは、俺と同じ黒髪だ。
その後、オウガイの特製弁当を4人で仲良く食べた。
うまいうまい。今までの消し炭が嘘のようだ。
そうだ…過去は過去、今は今だ。オウガイの料理が今こうして凄く美味しいものになっているように、
過去の事を気に留めることはないんだ。
ムラサメがあぁやって健在している以上、過去など意味を成さない…。
帰途に着く間、俺はそんなことを思っていた。
41::○○の中には好きな名前をどうぞ
08/08/04 02:04:06 8gauQw5h
>>38続き
○○「・・・・・・。」
重臣「それで、その後ヒデヨシ様を丁重にお連れして、城に引き返した次第です。」
ヒデヨシが負けたことにも驚きだったが、あのミツヒデがヒデヨシを助けたことにも驚いた。一応は、良好な国交を築いてはいたが。
何より驚いたのは、そのオウガイとかいうバケモノのことだ。ヒデヨシを軽く一蹴したばかりか、簡単にあの城を落とすなんて。だが、今はそんなことよりも・・・。
○○「で、ヒデヨシの容態はどうなんだ?」
重臣「はい。ケガも思ったより軽く、少し安静にしていればすぐに良くなるとのことです。ですが・・・。」
○○「ですが、なんだよ?」
とてもいいにくそうにしている重臣に、俺は発言を促した。
重臣「その、敵将のオウガイとか言うものに負けた悔しさが原因なのか、一向に目を覚ます様子が無く・・・。」
○○「なんだって?」
蒲団で寝ているヒデヨシの表情を覗き込むと、顔に汗を浮かべ、悔しそうな顔をしてうなされている。
俺は枕元に置かれた水桶に手ぬぐいを浸すと、ヒデヨシの汗を拭って、その小さな顔をなでてやった。
頬に手を置くと、ヒデヨシは安心した寝顔を浮かべ、呼吸も落ち着いてきた。
○○「まったく昔から変わらないな。風邪引いた時なんか、よくこうやって看病してやったな。」
ふと、昔の思い出が頭をよぎる。昔からコイツは手が掛かるな。
しばらく、ヒデヨシの寝顔を眺めていた俺は、最後にヒデヨシの顔を優しくなでると、静かに立ち上がった。
重臣「○○様・・・。あの、どちらへ?」
○○「んっ?いや、ちょっと風呂でも入ろうかと。ヒデヨシも落ち着いたみたいだし。」
重臣「・・・まさか、お一人でオウガイに立ち向かうおつもりではないでしょうね?」
○○「んな訳ないだろ?ヒデヨシが全く歯が立たなかった相手だぞ?俺が一人でかなう訳無いじゃないか。」
重臣「そ、それはそうですが・・・。」
○○「だから、安心してくれ。そんなことしないからさ。・・・もしかして一緒に入りたいとか?」
重臣「な!?そんなわけ無いでしょう!こんな時にからかわないで下さい・・・。」
○○「ごめんごめん。じゃ、また後で。・・・じゃあなヒデヨシ。」
最後に、誰にも聞きとれないような声でヒデヨシに語りかけると、俺はヒデヨシの部屋を後にした。
○○「さてと・・・。ま、アイツを泣かせた奴を、このまま許しておくわけには、な。
あれ、あいつ泣いてたっけ?どっちでもいいか。」
廊下を歩きながらブツブツと独り言をつぶやいていた俺の顔は、とてつもなく物騒な顔をしていたと、後に侍女の子から教えられた。
自分の部屋に戻った俺は、押入れの奥からホコリの被った、大きなつづらを取り出した。
42::○○の中には好きな名前をどうぞ
08/08/04 02:06:48 8gauQw5h
>>41続き。
○○「この中身を出すのも何年ぶりかな。」
つづらの蓋を開け、中に納まっている品々を懐かしい気持ちで眺めた。
中には、まだ俺が君主だったころに身に着けていた数々の戦道具が納まっていた。
鎖帷子に軍配。そして、母から送られた見事な刺繍が施された戦装束。
やたら派手なのは母の趣味だ。「総大将たるもの常に目立たなくてはいけません」が口癖だった。
しばらく、中身を眺めていると、うしろで戸が静かに開く音がした。
重臣「・・・お手伝いします。」
○○「風呂に入る着替えくらい、一人で出来るぞ?もう、ガキじゃない。」
重臣「お二人ともワタクシから見れば、まだまだ子供ですから。」
○○「ふぅ~。かなわないねえ、人生経験豊富なおばさんには。何でもお見通しか。」
重臣「・・・手元が狂って、首が絞まりますよ?うふふふふ。」
○○「ちょ、調子に乗りすぎました・・・。ゴメンナサイ。」
重臣「何をおっしゃっているんです?うふふふふふふ。」
この世でもっとも恐ろしい何かの威圧の手伝いを受けながら、俺は身支度を整えた。
重臣「うん。立派な男ぶりでございますよ。○○様。」
○○「まあ、そういう男は世の中的には変なんだがな。」
重臣「よいではありませんか。たまにそんな男性がいても。・・・お気をつけて。」
○○「ま、いいか。・・・じゃあ、ちょっと行って来るよ。」
43:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/05 08:17:09 qz+HVeyY
夢想さんも○○さんも(・∀・)イイ!
毎朝わふわふフルボッキしながら楽しみにしてます
44:ムラサメ夢想
08/08/06 01:23:44 lw/RnqeV
その夜、子供達を寝かしつけたオウガイは、一人外を見ながら少しばかり酒をやった。
いつもならヤスヒロと一緒なのだが、今日は一人で呑みたい気分になった。
昼間ヤスヒロが言っていたムラサメの事が頭に残っていたのだ。
ムラサメ…自由奔放で飄々とした性格の幼馴染…根は変わっておらぬが、やはり昔と比べるとなると…
あんなことがなければ、また違った風であったのだろうか…
─────────────
数年前、まだ二人が幼かった頃の話…
臣下「御館様!オウガイ様の御姿が見当らぬのですが…御心当たりはございませんか?」
臣下のひとりが慌しく広間に入ってきた。
その声に反応したのか、玉座のほうから煙がフウッと浮かび上がる。
玉座に腰を下ろしているのは、燃えるような赤い髪でキセルを燻らせる、凛々しい顔立ちをした女性…
??「どうせ隣国のムラサメのところであろう…。あの子ももう十になる、心配する歳ではあるまい」
臣下「ですが、今は勉学の時間ゆえ…抜け出して遊びに行かれるなどと…」
??「はは…子供は元気なのが一番じゃ。遊べるうちに遊ぶのが賢い生き様というものだ」
臣下「しかし…!」
??「もうすぐあれもこの国を継ぐ事になる…その時には嫌でも学ぶことになるさ、今は好きにさせておくがいい」
臣下「はぁ…」
この落ち着いた風体の主こそ、オウガイの母親である。
剣術の腕、切れる頭脳、全てにおいて優秀であり、各国に名を轟かせる勇将である。
オウガイもまさにその血を色濃く継いでいると言える。
一方その頃隣国では…
45:ムラサメ夢想
08/08/06 09:07:17 CvYeKudq
あたり一面広がる花畑の中に、とても美しい紫の髪をした女性が座り、花を摘んでいる。
歳の頃は十といったところだろうか。それでも大人の様な雰囲気を醸し出す、まさに美人である。
??「あら…」
彼女は何かの気配に気付いたか、立ち上がった。
??「やはりここにいたか。お主はここが好きだものな」
??「今の時間ですと…勉学の時間ではありませんか?」
??「な、なはは!抜け出してきちまった…」
??「もう…母君が理想というなら、ちゃんと勉強しなくてはいけませんよ?」
??「そうはいったものの…退屈なんだよ…俺の性に合わんのだ」
そういってポリポリと頭をかいたのは、若かりし頃のオウガイ…
そしてもう一方は…
オウガイ「そういえばムラサメ。先ほどお主の叔父上が城に来ておったぞ」
ムラサメ「あら、叔父上が…一体何用でしょうか…」
オウガイ「さぁな…。お、それは花の冠ではないか」
ムラサメ「えぇ…とても綺麗に咲いていたので、少しばかり摘ませて頂いて作りましたの…ほら」
そう言ってオウガイの頭に冠を載せる。
オウガイ「は、恥ずかしいだろ…」
ムラサメ「ふふ、お似合いですわよ…天下を獲った暁には、是非着けて頂きたいですわ」
オウガイ「そ、そうか…?よし!天下を獲ったら、いっぱいの花畑を作ってやるからな!」
ムラサメ「うふふ、楽しみにしてます」
──── オウガイの城
母「しかし、奴も奴の娘も、随分と穏やかな性格じゃ…。戦国の世ゆえ、ちと不安じゃのう」
臣下「近頃、隣国を狙う輩も増えていると聞きます…」
母「奴とは幼い頃からの腐れ縁だ…ふふ、姉妹といっても過言ではあるまい」
臣下「…守りを固めますか?」
母「もちろんだ。隣国に兵を送っておけ。少しばかりしたら、我も出向こう。話しをしておかねばな…」
46:ムラサメ夢想
08/08/06 09:33:15 CvYeKudq
花畑に座り、話し込む二人。
オウガイ「ムラサメは剣を持たぬのか?」
ムラサメ「えぇ…それこそ、性に合わない…ですわ」
オウガイ「しかし、この前一緒に訓練した時は、中々に鋭い太刀筋だったぞ」
ムラサメ「そうですか?私なんてとても…こうやって花を愛でている方が好きですわ」
オウガイ「ふふ、確かにお主は綺麗だから、花畑にいると一層映えるものな」
ムラサメ「やだ…オウガイだって綺麗よ」
オウガイ「そ、そんなことないよ…。さぁ、そろそろ飯の時間だ!行こうぜ!」
ムラサメ「うちのご飯が目当てでしたの?」
オウガイ「な、なはは!ばれたか…うちの飯は何だか味気なくてな…」
─────
兵士「あ、オウガイ様。ちょうどよいところに」
ガツガツと広間でご飯を平らげていると、見慣れた兵士がオウガイの元にやってきた。
オウガイ「ん?なんだお前か…今俺は飯で忙しいんだ!」
ムラサメ「ほら、ご飯粒飛んでるわよ…それで、いかがなさいましたの?」
兵士「あ、はい。夜になったら御館様がこちらに参られますので、帰りはご一緒の方が都合が良いかと…」
オウガイ「ん?母上が来るのか…一体なんだろうな」
ムラサメ「抜け出してばかりの娘を叱りに…じゃないですか?」
オウガイ「うぅ…それはやだな…ん?」
オウガイはただならぬ気配を感じた…。廊下を歩くその影から、異様な気が…
通りかかったのは、ムラサメの叔父…こちらを一瞥し、立ち去ってしまった。
オウガイ「……」
ムラサメ「…どうしましたの?」
オウガイ「お主の叔父上は随分腕が立ちそうだな」
ムラサメ「えぇ…男ながらに凄いのですよ。私にもとても優しくしてくれるし、素敵な方ですよ」
オウガイ「ふぅん…」
─── そして全ての歯車が壊れる、長い一夜がやってきた。
47:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/06 13:38:16 LvRKSXQj
夢想さん(・∀・)キター!
あんな穏やかだったムラサメになにが起こったのか・・・・多分悲しいことなんだろうなぁ
わふわふわっふる!!!!
48:ムラサメ夢想
08/08/07 01:32:59 iM4Pq6YI
オウガイはその夜、用意されたという部屋へ通された。
しかも兵士が護衛に立つという優遇ぶりだ。
もう少しムラサメと話していたかったが、なにやら会合があるとかで、会ってはいけないらしい。
しかたないので書物を読んで過ごしていた。
─── ムラサメの父親の部屋
ムラサメ「母上…今日はとても楽しかったですわ。オウガイったら、また城を抜け出して…」
ムラ母「ふふ…あの子も親に似て自由な子ね」
ムラ父「そういえば、私の弟が話があるとか言っていたが…まだ来ぬのかのぅ」
スーッ…
叔父「兄上…お待たせいたしました」
ムラ父「おお、来たか。ムラサメ、お前は席を外していなさい」
ムラサメ「わかりました、父上」
ムラサメは隣の母親の部屋で待つことにした。
母親の布団に横になり、ゴロゴロと転げる。
ムラサメ「うふふ…母上の匂い…」
隣からは何やら話し合う声がかすかに聞こえる。
叔父「……ゆえ……頼む……」
父「……いや……お前は……」
叔父「……とても……せる額では……後生だ……」
父「……自得だ……などに……」
叔父「……頼む、どうしても……が必要……儂は……」
父「くどい……のだ……」
── しばしの静寂。ムラサメはうつらうつらと眠りかけていた。
母「きゃああぁぁぁ!!!」
悲痛な叫び声でムラサメは目が覚めた。
この声は…母上…!?
49:ムラサメ夢想
08/08/07 01:52:06 iM4Pq6YI
オウガイは何となく不安を抱いていた。
昼間みたムラサメの叔父の目つき…かなり思いつめている人間のそれであった。
母上に目通りする人々の中にも、そういう目をした者は何人か見てきた。
あれは、何かをしでかす目だ…。
オウガイは行動あるのみと考え、様子を見に行こうと思い立った。
オウガイ「あのぅ…」
兵士「ん?どうなさいました?まだ会合中のはずですが」
オウガイ「…厠へ」
兵士「あぁ、それでしたら…」
オウガイは抜け出すと、念のため刀を持ち、記憶を頼りにムラサメの父上の部屋へ向かった。
しばらく進むと、前方から女の悲鳴が聞こえた!
この声は…ムラサメの母上!?
兵士も数人気付いたようで、皆声のした方へ走り出した。
──────
ムラサメ「母上っ!」
襖を空けたムラサメの目に飛び込んできたのは、横たわる父親と、それにすがる母親。
刀を持ち、息を荒げる叔父…
ムラサメ「い…いやああぁあぁぁぁ!!!父上えぇぇぇ!!」
その声に反応し、こちらを振り向く叔父。
その目は焦点が定まっておらず、不敵な笑みを浮かべていた。
叔父「ひ、ひひ…」
母「こ、この狼藉者!!」
母は腰の短刀を振りかざし、叔父に向かっていった。
しかし……
母「……あ……ぐっ……」
その胸には、無念にも深々と剣が突き刺さった。
母はムラサメのほうに目をやり、口を開け言葉を発しようとしたが、声にならない。
その目からは涙が流れ落ち、力なくその身体は倒れてしまった。
ムラサメ「は、母上…?あ……あぁぁ……」
ムラサメは混乱していた…夢…これは夢よ…こんなことが…
50:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/07 02:05:37 +x1mK+Zi
ムラサメ夢想わっふるわっふる
叔父上ゆるせぬ(# ;Д;)
51:ムラサメ夢想
08/08/07 02:06:11 iM4Pq6YI
叔父は父の身体を弄り、懐から鍵を取り出した。
叔父「ふ、ふひ…これが蔵の鍵…ひひ…」
そして叔父はこちらを向いた。
ムラサメ「あぁ…あ……」
叔父「き、貴様は、しかるべき所にう、売れば…金になるか…」
へたり込んだムラサメの髪を叔父はグイと掴んだ。
ムラサメ「い、いやぁ!いやだぁ!!あぁ!」
叔父「ぐ…優しくしてやった恩も忘れたか…こ、この糞餓鬼が!!」
叔父はムラサメの横っ面を殴りつけた。
ムラサメ「ぐぇ…うぐ…あぁ…」
叔父「ひ、ひひ…大人しくしていれば…」
その時兵士達がようやく駆けつけた。
兵士1「こ、これは!?あぁ!御館様!!」
兵士2「き、貴様!気でも狂ったか!!」
叔父「……」
しかし、叔父がかなりの手練れであることを知っている皆は、中々近づけないでいる。
そしてオウガイも駆けつけた。
オウガイ「ムラサメ!う、こ、これは…貴様ぁよくも!!!」
飛び掛るオウガイ。しかし、いくらオウガイでもいとも簡単に弾き飛ばされてしまった。
叔父「が、餓鬼の剣が儂に敵うとでも思うたか!」
オウガイ「うぐっ……」
叔父「ひ、ひひ………ごぶ…ぇ?」
叔父の後ろの襖から異様に大きな剣が突き出ており、叔父の腹を貫いている。
叔父「な……け、気配など…なかっ……たぞ…ぐぅぅっ!」
ズボッ!!剣が抜かれ、叔父は倒れこんだ。
そしてその剣は迷うことなく一瞬にしてその首を跳ねた。
襖が破れ姿を現したのは、オウガイの母上であった。
52:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/07 02:20:53 +x1mK+Zi
( ゚∀゚)o彡°オウガイ!カアチャン!
53:ムラサメ夢想
08/08/07 02:23:50 iM4Pq6YI
オウガイ母「すまぬ…もう少し早く駆けつけておれば…」
兵士1「い、いえ…この狼藉者の首を跳ねていただき、誠感謝の極み…」
母「オウガイ…怪我はないか」
オウガイ「は、はい…母上……。はっ…ムラサメ…ムラサメ!」
オウガイはムラサメに駆け寄る。
ムラサメ「あぁ…あ…!」
オウガイ「おい!しっかりしろ!」
母「無理も無い…目の前で両親が…このような…くそっ!!」
──────
ムラサメの両親は、夜を徹して治療、蘇生に当たったが、その命は戻ることはなかった…。
ムラサメは大きな外傷はなかったが、精神を病んでしまったようだ。
声も出ず、目の焦点は合わず、完全に塞ぎこんでしまった。
母上「オウガイよ…お前だけはあの子を信頼し、裏切ってはならぬ。わかるな?」
オウガイ「はい、母上…」
母上「いつ立ち直るかはわからぬが…側にいて、力になってあげるのだ…必ずな」
オウガイ「もちろんです…」
母上「他人を信じることは、簡単そうに見えて難しいもの…」
──────
三日後、ムラサメの姿が城から消えた。
辺りを隈なく捜索したが、穿いていた草履だけは見つかった。
周りの判断は、両親の死を苦にしての自殺…という結論に落ち着いた。
軽率に判断する大人たちにオウガイは怒りを覚えた。
しかし、現にムラサメの姿はない…それでもオウガイは信じることを忘れなかった。
俺が信じてやらねば、誰が彼女を信じる…
54:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/07 02:27:32 +x1mK+Zi
オウガイもオウガイ母も良い人だ。・゚・(ノД`)・゚・。
わふわふしすぎて眠れない
55:ムラサメ夢想
08/08/07 02:38:31 iM4Pq6YI
─── 数年後
オウガイは国を継ぎ、今まで臨時に当主を立てていた隣国を同時に治めることとなった。
いつムラサメが戻ってきても大丈夫なように、玉座はあけることにした。
無心に鍛えたその身体は、すでに母を越え、逞しく育っていた。
ある日、オウガイは数里離れた港のほうに、今後の貿易に関連しての下見に出向いた。
オウガイ「ここか…いやぁ、海を見るのも久しぶりだな」
従者「そうですね…あ、あちらが今後易を結ぶこととなる船のようです」
オウガイ「おぉ、やはり大きいな。ふむふむなるほど…」
下見を終え、オウガイは港町を見ていくことにした。
初めて見るものも多く、オウガイはとても興味をそそられた。
オウガイ「お、あそこは酒屋か…どれ、少しばかり…」
従者「オウガイ様…ほどほどにお願いしますよ」
オウガイ「わかったわかった。大丈夫だからな、少しだけ…」
中に入り、色々品定めをする。
オウガイ「おい店主、珍しい酒は置いていないのか?」
店主「そうですなぁ…これなんぞいかがでしょう…舶来の洋酒など」
オウガイ「洋酒…ほう初めて見るが…ん?」
オウガイは奥で酒を嗜んでいる一人の女性に目が向いた。
どこかで見たような…あの紫色の髪は…まさか!
オウガイはその女性に近づき、声を掛けた。
オウガイ「…ムラサメ…か?」
56:ムラサメ夢想
08/08/07 02:54:46 iM4Pq6YI
その女性はゆっくりとこちらを見た。
物凄く美しい容姿と裏腹に、その目は冷たく鋭い眼差しをしている。
そしてゆっくりと口を開いた。
???「…人違いでなくて」
オウガイ「…いや、そんなことはない…面影もある!その声も!やはりお主は…」
???「違うと言っている!」
喉元に、短刀をあてられる。油断していたとはいえ…凄まじく早い…!この我が遅れを取るとは…。
???「ふん…しらけたわ…」
そういうと女性はスタスタ出口へ歩いていった。
オウガイも後を追いかけたが、外を見回しても姿が見当たらなかった。
オウガイ「おい店主!あの女の事、何か知ってるか!」
店主「名前は知らないが、よく来ておるよ。…なにやら良くない噂も聞くがね」
オウガイ「なんだそれは…」
店主「人殺しさ。金で請け負い、誰であろうとその命を奪うという…。関わらないほうが身の為さ」
オウガイ「剣客…ということか?」
まさかあのムラサメがそんなことを…?いや、そんなことをする奴ではないはずだ。
しかし、あの声、そして面影…全てがムラサメであるということを我に告げている…。
どういうことなのだ…
──────
某所にて。
???「…こいつを消してもらいたい…」
???「……」
???「近頃オウガイとかいう奴にうまく取り入って商売し始めた奴らだ…」
???「……」
???「こちとら商売あがったりだ…ついでに船を燃やしてくれるとありがたいのだが…」
???「…それは私がすることではない。ただ、こちらの件に関しては請け負うわ…」
???「ありがたい…」
57:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/07 03:16:09 +x1mK+Zi
わ、わっふるわっふる
まさかムラサメがオウガイに牙をむいたことがあるとは(;´Д`)
文庫本なんかで発行されるといいなあ
58:ムラサメ夢想
08/08/07 11:13:45 5rjY/4EZ
─── その夜、船上にて。
貿易商「いやぁ、オウガイ様、この度は我らを御相手に選んでくださり、誠に光栄…」
オウガイ「なに、そう堅くなることではない。他国の事を知るよい契機になる。我が国も変革していかねばな」
貿易商「誠にその通りでございます…」
予定を早め、オウガイは契約を決めることにした。
というのも、ムラサメと思しき女性が気になるため、もう少しこの地に留まりたいと思ったからだ。
オウガイ「しかし船とはなかなか気持ちのいいものだな。海風が心地よい…」
潮風に吹かれ、オウガイは昼間の事を思い出していた。
あの凍りつくような冷たい目…他人を一切信じない目…
もしあの女がムラサメだとすると、やはりあの一件が心に深く根付いているのだろう。
信じていた叔父に両親を殺され、心に深い傷を負ったあの日が…。
ずっとこの地で一人で暮らしてきたのだろうか。悲しみに任せずっと人を斬り続けて来たのだろうか…。
船はしばらくし、港に着いた。
オウガイ「では今後ともよろしく頼む」
貿易商「こちらこそ、よろしくお願いいたします…」
オウガイ「……待たれよ。降りないほうがいい」
貿易商「へ?」
船着場に人の気配がする。そしてこの殺気…もしや!
人影はゆっくりと船へ上がってきた。
得物は両刀の薙刀…舶来の衣装を見に纏うその影は…
オウガイ「ムラサメ…」
女は凍るような目でこちらを一瞥すると、口を開いた。
ムラサメ「人違いと言ったはずよ…あなたに用はないわ。後ろの男に用がある」
貿易商「ひぃっ!」
オウガイ「それは困るな…我が国の発展がかかっておるからな」
ムラサメ「邪魔立てするというのなら…」
オウガイ「…おぬしは船室にでも逃げておくのだな」
貿易商「は、はいぃ!」
向かい合う両者。なんという冷たい目をしておるのだろうか…。そして一切の隙を見せない…。
伊達に人斬りではないということか。
59:ムラサメ夢想
08/08/07 11:26:48 5rjY/4EZ
オウガイ「ムラサメ…このような形でお主と再会したくはなかったが…」
???「くどいっっ!!」
言葉を遮るように飛んでくる刃。
キィン!! 思わず背筋が凍るほどの速さだ。油断していると…死ぬ…!
オウガイ「ムラサメ!お願いだ!お主と闘いたくは…」
???「はああぁぁっ!!」
ヒュッ!!キィン!ガキィン!!
息をつく間もない連撃。強い…!
オウガイ「ムラサメ!!」
???「…その名はもう捨てた!!」
オウガイ「何故だ!何故こんな…!」
ムラサメ「……何故?分かりきったことを!!」
ガキィィィン!! 膠着する両者。
ムラサメ「この世で信じられるのは自分だけ…それだけよ!」
オウガイ「くっ…!そんなことはない!我は…!」
── 間合いを取るムラサメ。
ムラサメ「オウガイ…あなたには分からないわ…。信じていた者に裏切られるという事が、どんなものか!!」
薙刀がスーッ…とこちらに向けられる。一瞬、未曾有の寒さに襲われた気がした。
そして一気に間合いが詰められ、薙刀が振るわれた。
ズブッ… 肉に刃が突き刺さる鈍い音…
60:ムラサメ夢想
08/08/07 11:47:18 5rjY/4EZ
静まり返った船上では、波と風の音、そして地の滴り落ちる音だけが響いている…。
ムラサメ「……どうして……どうして避けないのよ…!」
薙刀の先は、オウガイの脇腹を貫通している。
オウガイ「うぐっ…ふ、ふふ……そう言う割には……なぜ急所を打たぬ……?」
ムラサメ「…くっ」
オウガイ「お主の受けた……心の傷み……この痛さより、ずっと……ずっと痛かったのであろうな……」
ムラサメ「……」
オウガイ「それに……ぐっ…我は…お主を信じているから……」
ムラサメ「……っ!!どうして…どうしてあなたはそうなのよ…!」
へたり込むムラサメ。オウガイは薙刀を脇腹から抜き取った。
オウガイ「ぐううぅぅっ!!がっ!がはッ…はぁ…はぁ……」
カランカランッ
オウガイは座り込むムラサメを抱き寄せた。
オウガイ「頼む…全てを信じろとは言わぬ…だが、我だけは信じてくれ…な?」
ムラサメ「…こんなときまで…そんな笑顔…馬鹿…馬鹿ぁっ!」
ムラサメは数年分ためこんでいたかのように、オウガイの胸の中で泣き続けた…。
母上…あなたの云った通り…人を信じるのは難しいものなのですね…
でももう、きっとムラサメは大丈夫…そんな気がする。
────────
ムラサメ「その頑丈さ…昔から変わらないのね……」
オウガイ「はは…これだけが取り得みたいなもんだ…」
オウガイは町医者の元で治療をし、すっかり回復した。
オウガイ「どうだ…戻ってきてはくれぬか?お主のために、玉座は空けてある」
ムラサメ「少し…考えさせて…」
オウガイ「うむ…いつでも待っておるからな」
ムラサメ「えぇ…全ての穢れを払ってから…きっといつか戻るわ」
オウガイ「…ようやく笑顔を見せたな」
ムラサメ「…え?」
オウガイ「やはりお主には笑顔が似合っておる…」
ムラサメ「…ふふ」
61:ムラサメ夢想
08/08/07 11:59:47 5rjY/4EZ
数ヶ月が立ち、母上が亡くなった。
いかに勇猛な将といえど、病には勝てぬ…とはいっても煙草が原因では…なんとも…
母上の墓標は、仲の良かったムラサメの母上の横に立てることにした。
数日前から、ムラサメの両親の墓には、新しい花が毎日毎日供えられている。
ようやく…決心がついたのだろう…
─── そしてある日、いつものように墓へ向かうと、見覚えのある女性が墓の前で手を合わせていた。
オウガイ「戻ってきてくれたのか…」
女性は振り向かず、ただ声だけで返した。
???「別に…あなたのためではないわ。母上…父上のため…私はこの国を守ると…」
オウガイ「ふ、ふふ…口の減らないやつめ!」
???「きゃっ!ちょ、ちょっと…!」
オウガイは力いっぱいムラサメを抱きしめた。
ムラサメ「もう…!馬鹿力なんだから、加減しなさい…!うふふ…」
オウガイ「よく…よく帰って来てくれた…うう…」
ムラサメ「泣かないの…あなただって、笑顔が一番似合うんだから…」
─── そう言って、ムラサメは眩しいほどの笑顔を顔に浮かべた。
62:ムラサメ夢想
08/08/07 12:12:24 5rjY/4EZ
─── いつの間に寝ていたのだろう。昔の事に浸っている途中寝てしまったのか…
外を見ると、朝靄がかかっていた。起きるにはまだ早いが、少しばかり散歩をしたくなった。
裏手の花畑のほうへ、足が向いた。なんとなく感傷的になったからだろうか。
だが、こんな時間だというのに、先客がいた。
オウガイ「ムラサメ…」
花畑の中に佇む女性は、こちらを振り向いた。
ムラサメ「あら…早いのね…」
オウガイ「お主こそ…」
ムラサメは手に花の冠を持っていた。
オウガイ「それは…」
ムラサメ「ハルナが…花冠を着けて帰ってきたとき、なんとなく昔の事を思い出したの…」
オウガイ「はは、実は我も先ほど夢で見たのだ…昔の事をな…」
ムラサメ「私…戻ってきた時、嬉しかったわ…。約束どおり花畑が沢山あったんですもの…」
そう言うと、ムラサメはオウガイの方へ歩き出した。
ムラサメ「あなたは約束を守ってくれた…だから私も約束を果たさないと、ね?遅くなったけど…」
ムラサメはオウガイの頭に花冠をすっと載せた。
『天下を獲った暁には、花冠を着ける』それは、遥か昔に交わした小さな約束事…
オウガイ「な、なんだか、恥ずかしいな…」
ムラサメ「お似合い…よ?ふふふ…」
end.
63:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/07 12:27:30 +x1mK+Zi
超ъ(゚Д゚)グッジョブ!! ムラサメとオウガイ、何人も裂く事はできない親友ですね
すべての物語がつながる、本当によくできたストーリーです!
毎日毎日わふわふしてました。次はシロがでてくるかな?w
64:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/07 14:52:33 KfMIY8iY
ただでさえ、無敵のオウガイ、鉄壁のムラサメなのに
こんなエエ話し聞いたら勝てる気がしない
(´・ω・`)
夢想先生、ムラサメ夢想お疲れ様でした
(*´∀`*)
65:シロ夢想?
08/08/08 20:42:47 jQNpORbl
わがはいはシロである。けらいはまだない。
どこでうまれたかとんとけんとうがつかぬ。
なんでもうすぐらいじめじめしたところでワンワンないていたことだけはきおくしている。
じゆうきままにくらし、もりにたべものをさがしにはいったところで、いのししとからすにおいかけられ
つかれはてていたところをごしゅじんにひろわれた。
ごしゅじんのなはオウガイという。
とてもおおきく、わがはいのからだのすうばいはあろうかといったところだ。
ごしゅじんはこわいかおをしているがとてもやさしい。
ちかごろはこどもができたようで、こどももごしゅじんににてやさしくしてくれる。
わがはいはきょうもゆっくりきままにすごすしだいだ。はやくけらいがほしいものだ。
ヤスヒロ「シロ~、ごはんだよ」
ヤスヒロだ。ごしゅじんのおっとらしい。ずいぶんまえまですがたをみせないとおもったら
ちかごろまたみかけるようになった。
わがはいがもりのなかでみつけたにんげんで、いまいちばんけらいにちかいかもしれぬ。
わがはいのせわをよくしてくれていて、とてもやさしい。だいすきだ。
コタロウ「シロ~、元気にしてた~?あ、ヤスヒロさん、こんにちは!」
ヤスヒロ「コタロウか、久しぶりだね」
コタロウ「シロ~…ん~、今日ももふもふしてる~」
コタロウだ。わがはいはコタロウがだいすきだ。コタロウにだかれるときもちがよい。
いっしょにヤスヒロをみつけたのもコタロウだ。そしてコタロウもしばらくすがたをみせなかったが
ちかごろまたみかける。うれしいかぎりである。
─── 夜 ───
よるのさんぽはおちつく。
みはりのものがてをふる。ワンとこたえておこう。
このしろはたびたびおそわれることもあったが、すべてわがはいがかいけつした。
ちいさいふたりぐみがせめてきたときも、わがはいのけんにてちめいしょうをあたえた。
ヤスヒロがぼうそうしたときも、わがはいのよぶこえにてしょうきをとりもどした。
わがはいがいなければ、いまのこのくにはなかったといえる。
66:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/08 21:52:49 Tck8XbQ+
シロ夢想キター!(゚∀゚)
しかし…
>ちいさいふたりぐみがせめてきたときも、わがはいのけんにてちめいしょうをあたえた。
ってww
あの時はたしかノビてる所を発見されたはず…ww
続き期待してます、わっふるわっふる(´ω`)
67:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/09 00:11:35 AA4CGP4a
家来をつくる気、満々のシロ萌えwww
(*´∀`*)
68:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/10 00:59:33 jk4diebG
シロの強さランキング
猪、カラス〉シロ〉ちいさいふたりぐみ
猪、カラスがヤヴィなw
69:シロ夢想?
08/08/10 02:07:34 1V0t8SmG
しばらくあるいていると、やみよにまぎれてにんげんのけはいがする。
めをこらしてよくよくみると、がんたいをしたしのびがなにやらこそこそしている。
あそこはごしゅじんのへやだ。かべにみみをあてている。
???「わぁ…オウガイ様ってば大胆…えぇ!?コタロウ様まで…!お二人でヤスヒロ殿を…いやん!」
わがはい「わふ?」
???「わぁっ!?あ、シロじゃない…驚かさないでよ、もぅ…」
ごしゅじんのへやのふすまがあいた。ごしゅじんがしのびをにらみつける。
オウガイ「お主、また盗み聞きか…」
???「あ、いえ…その…」
オウガイ「まぁよい。せっかくだからお主も混ざっていけ。ヤスヒロももうすこしで達するところだ」
???「え?いいんですか!?じゃあちょっとだけ!」
コタロウ「ヤスヒロさんってば花札弱いんですよ~。もうすこしで負けが天井に達しそうなんですよ」
ヤスヒロ「い、いや!ここから俺は巻き返す!」
なんだかたのしそうでなによりだ。わがはいはもうすこしさんぽすることにする。
──────────
みまわりもかねたさんぽもそろそろおわりにしよう。
かえりぎわに、とおりかかったのはごしゅじんのおきゃくがとまるへやだ。
えんがわにこしかけてほんをよんでいるにんげんがいる。ムラサメだ。
ムラサメ「ん…あら、シロじゃない」
わがはい「わんわん!」
ムラサメのかたわらにはくろいえきたいのはいったとうめいなさかずきがある。
わがはいはあれがにがてだ。まえになめさせてもらったが、にがくてしぶかったのをおぼえている。
ムラサメ「…誰もいないわね。…おいでおいで」
わがはい「わふ?」
ちかづくと、ムラサメはあたりをみまわした。そしてわがはいにてをのばした。
ムラサメ「んふふ、もふもふ~…」
だきしめられてわるいきはしないものである。
ここのものはみなわがはいにやさしくしてくれる。
なによりおいしいごはんがまいにちたべられる。
しかし、いつまでもここでのんびりしているわけにもいかぬ。
わがはいにはてんかをとういつするというゆめがある。そのためにはけらいがひつようだ。
しかしけらいもなかなかみつからないし、やはりまだまだここでちからをたくわえないといけない。
しかたがないので、しばらくはここでくらしてやるしだいである。
end.
70::○○の中には好きな名前をどうぞ
08/08/10 03:45:43 goUwb4CR
>>42続き。
愛馬にまたがり、全速力で目的の城を目指す。もうそろそろ、夜が明けそうな気配もする。
目的の城に到着すると、ヒデヨシと敵将のオウガイとやらが戦った後であろう痕跡が、まだ残っていた。
肝心の城内はところどころ明かりが照らされているのか、少しだけ明るさが見えるが、人がいるのかと疑うくらいの静寂さだった。
○○「見張りも無しとはな。自信があるのか、油断してるのか、はてさて。」
さて、勢いに任せて来ては見たものの、こう静かだとイマイチ拍子抜けだ。
こっそり忍び込んで、オウガイとかいうバケモノじみた奴だけを狙い打つ策も考えたが、まあこう静かだと入ってもすぐばれそうだ。
○○「う~ん。正面から乗り込んでもいいけど、雑兵相手に消費しちゃあオウガイとやりあう前に空っぽになるかもしれんし・・・。ん?なんだ?」
どこからともなく飛んできた小石が、頭に当たった。誰もいないはずなのに、一体誰が投げ―。
○○「・・・・・・無視したいけど、怒られそうだし、ね。」
辺りを見回すと、森の入り口で余りに不自然すぎる素敵な笑顔を浮かべた女性が手を振っている。
○○「・・・何か用ですか?危ない儲け話は間に合っておりますので。」
ミツヒデ「ふふふ、そうか残念だ。話は変わるが、最近発明した特殊な金属で作ったクナイなのだが、斬れ味を試してみるかい?」
○○「ゴ、ゴメンナサイ。・・・で?真面目な話、何だよ。お前まだいたのか?」
ミツヒデ「おや?それが、大事な妹君の命の恩人に対する態度なのかな?ふむ、まあ貴方のことだ。
一人でノコノコ来るんじゃないかと思って、一応警戒してたら案の定。・・・全く、妹の事となると相変わらずね。」
○○「ほっとけ。用はそれだけか?俺は今忙しいんだ、嫌味なら後で聞いてやるから、今はほっといてくれ。」
ミツヒデ「まあ、君たちの城がどうなろう構わないのだけどね、占領したのがあの連中となると。少し、話が違ってくるのよ。」
○○「なんだそりゃ?お前、連中についてなんか知ってるのか?」
ミツヒデ「なあに、大したことじゃないさ。それよりも、敵将に用があるみたいね?」
○○「また大事なところは、いつもはぐらかすねえ。用があるのは正解だが、どうやってご挨拶しようか考えていたところさ。」
そう、言うとミツヒデはなにやら満足げな顔をしつつ、うんうんとうなずいて、やたら顔を近づけてきた。彼女の髪からは、何か甘くて不思議な匂いがした。
そしてその顔は、月明かりに照らされ、より一層彼女の美しさを引き立たせる。その顔はとても魅惑的な雰囲気をしていた。
思わず、俺はその顔に引き寄せられそうになったが、済んでのところで我に返った。
ミツヒデ「おっと、惜しい。あと少しで、ふふふふふ・・・。」
○○「な、何か言った・・・?」
ミツヒデ「いえ、何も。さて、○○殿?我が策を用いれば、難なく敵将とご対面できるのだが、いかが?」
○○「本当か?また人を罠にはめる気じゃあ無いだろうな?」
ミツヒデ「これは、人聞きの悪い。これまで私が、貴方を罠にはめようとしたことがあるかな?」
○○「真面目に言ってるのなら、お前相当ヒドイ奴だぞ・・・。」
ミツヒデ「ふふふ、古来より世界は悪女まわしてきたという話をしっているかい?・・・で、どうするの?」
○○「・・・まあ、他にいい考えも浮かばなかったし、一応聞いておくよ。」
ミツヒデ「よろしい、これで貸しが一つということで。」
○○「・・・成功したらな。で?」
ミツヒデ「ふむ、まあよいか。まずは、コショコショコショ・・・。」
○○「ふんふん・・。ううっ・・・。ああああ・・・・。」
たまに襲ってくる、ミツヒデの微妙な息遣いに何とか耐えつつ、俺は策の内容を聞き終えた。
○○「確かに良い策だな。でも、いいのかお前は?」
ミツヒデ「言っただろう?あの連中は何かと厄介でね。貴方達ならまだしも、連中が近くにいるのはイヤなのでね。」
○○「まあ、助けてくれるなら今はなんでもいいさ。・・・ありがとう。」
ミツヒデ「う、うむ。まあ、き、気にするな。私と貴方の仲だ。さ、始めようか。」
○○「おう。」
71::○○の中には好きな名前をどうぞ
08/08/10 04:11:52 goUwb4CR
>>70続き。
兵士「オ、オウガイ様!敵襲です!」
オウガイ「落ち着け!また、ヒデヨシ軍か!?」
兵士「そ、それが旗印はミツヒデのものです!」
オウガイ「なにぃ?あやつ、まだおったのか。よかろう、そんなに死にたくば望みどおりにしてやる!」
大刀を手に取ったオウガイは、肩を怒らせ城門へと歩みを進める。既に城門は破られ、城門付近で両軍入り乱れた乱戦が繰り広げられていた。
戦場に現れたオウガイは、静かに息を吸い込むと、大刀を大きくなぎ払い、ミツヒデの兵十数人を、一気に城の外まで吹き飛ばした。
ミツヒデ軍はオウガイの力を目の当たりにして、そのまま一気に退却を始めた。
オウガイ「逃がすな!二度と刃向かえぬようにしてやれ!」
オウガイの号令のもと、オウガイ軍の兵もまた、全員城外へと押し出した。
オウガイ「ふっ、ミツヒデにしては中々まともな戦法だったが。・・・まてよ、手ごたえが無さ過ぎる。
それに、あやつがこんなまともな手を使うとは―。」
○○「いやあ、さすがはミツヒデ。見事な用兵だ。」
オウガイ「何者じゃ!」
○○「俺は○○って言うものです。お初にお目にかかるオウガイ殿。・・・へ~。」
オウガイ「何だ?人の顔をジロジロと、無礼なやつめ。何か言いたいことでもあるのか!」
○○「いやあ、ヒデヨシがクマみたいなバケモノに襲われたってきいてたけど。結構整った顔してるなあ、と思って。」
オウガイ「な、何をイキナリ!無礼者め!」
○○「あ、ゴメンゴメン。でも嘘じゃないよ。
(ホントは、想像がちょっと大げさだっただけなんだけど。充分迫力あるぜ、こりゃ。ん?)」
オウガイ「そ、そのような事を面と向かって言われたのは初めてじゃ・・・。」
○○「へ、へ~・・・。そうなんですかあ・・・。」
オウガイ「う、うむ。・・・・・・・。お主!嫁はおるのか!」
○○「・・・え?」
オウガイ「ええいっ!おるのか、おらんのか、どっちなのじゃ!」
○○「は、はいぃ!い、今はまだ独り身ですっ!」
オウガイ「そうか・・・、ふむ、ふむ・・・。」
なにやらオウガイは顔を赤らめ、しきりにうなずいている。たまに、こちらをチラチラ見て来るのが非常に気になるが・・・。
その時、何だか分からないが、急に俺の全身に寒気が走った。
オウガイ「よし、決めたぞ!お主!我が夫となるが良い!」
○○「・・・・・。はあああああ!???!!!!」
余りに突然のオウガイの発言に、俺は思わず頭の中が真っ白になった。
○○「な、なんで・・・。」
オウガイ「男から、その、容姿を誉められたのは初めてじゃ・・・。おぬしの言葉に、我としたことが、思わず、ときめいてしまった・・・。
このような気持ちになるのも、今まで無かったことじゃ。お主は、お主こそは、我が運命の御仁に違いない。うむ!きっとそうじゃ!」
○○「運命って・・・。」
オウガイ「我の背後に、難無く立っていた事からも察するに、お主中々の腕と見た!その実力から見ても、我が夫となるに相応しい!」
○○「いやいやいやいやいや!俺はあんたと、戦いにきただけだから!」
オウガイ「・・・なにぃ?そういえば、先ほどヒデヨシがどうとか。お主、あのチビの仲間か?!」
○○「ま、まあ一応アイツの兄貴やってます。」
オウガイ「なんだと!・・・おのれ、おのれヒデヨシめ!・・・よし、わかった!」
○○「な、なにが?」
オウガイ「なあに。お主は、ヒデヨシのカタキを討ちに来たのであろう?」
○○「ああ、そうだ。」
オウガイ「うむ。そこで、お主が勝ったらこの城をおとなしく返そう。」
○○「え?本当に?」
オウガイ「おお!我に二言はない!・・・だがの。」
○○「なんだよ。」
オウガイ「その、わ、我が勝ったら。お、お主には大人しく我の元にきて、もらうぞ・・・?」
72:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/10 13:56:34 Uc3ocilE
シロ夢想( ´∀`)bグッ!
シロめ・・・・知らず知らずのうちに美しい乙女たちに
抱きしめられまくっててずるいぜorz
○○さんъ(゚Д゚)グッジョブ!!
まさかオウガイのツンデレぶりが見れるとは
○○武将とオウガイがくっつきますように( ´∀`)つ≡≡≡愛愛愛)Д`)グシャ
73::○○の中には好きな名前をどうぞ
08/08/11 00:37:48 lpluc5Ns
>>71続き。
○○「ちっ、仕方ねえな。約束守れよ!(こりゃあ、大変なことになった・・・。)」
オウガイ「おう!我が名にかけて!いざっ!」
互いに得物を構え、戦闘態勢に入る。既にオウガイの目は殺気に満ちている。まさに、野獣の目といったところか。
オウガイから放たれる気で、俺の全身はあわ立っている。とてつもない恐怖の他に、ほのかによぎる強敵と出会った喜び。
これほどの力量を持った相手と立ち会えることは、滅多にあることではないだろう。
そんな俺の心の内を知ってかしら知らずか、オウガイがふいに話しかけてきた。
オウガイ「お主・・・、何を笑っている?」
○○「は・・・?」
どうやら、俺は感情の高ぶりを抑えきれず、つい笑みがこぼれてしまったようだ。
○○「いや、どうやら武者振るいが度を越えちまったらしい。気にしないでくれ。」
オウガイ「そうか、この状況で笑うとは・・・。益々気に入ったぞっ!」
その瞬間、両目を大きく開いたオウガイは一切の迷いが無い太刀筋で、一気に俺との間合いをつめにかかった。
だが俺も、最小限の動きでその一撃をかわし、オウガイの無防備なわき腹目掛け、一気に刀を振りぬく。
オウガイ「ほう、居合いか・・・。中々鋭い太刀筋ではないか。」
○○「・・・お褒めにあずかり光栄だ。(なんて反応だ。これを受けるとは・・・。)」
俺の渾身の一撃を、オウガイは難無く片手で掴んだ大刀の柄で受け止め、空いた片手で岩のような拳を俺の急所に叩き込む。
○○「うおっ!」
オウガイ「かわすかっ!ますます面白い!」
飛んできたオウガイの拳を、済んでのところで身体をずらし、紙一重でかわす。
しかし、かわしたはずの攻撃だが拳圧とでもいうのか、狙われた所に少し違和感を感じた。
オウガイ「我が初手だけでなく、二の手もかわしたのは主が初めてじゃ。男にしておくには惜しい逸材よな。」
○○「へへへ、昔からよく言われたよ。・・・ック。」
オウガイの拳が狙ってきた場所から、徐々に痛みを感じ始めた。かわしたのに、この痛み。
どうやら、とんでもないバケモノとやりあうことになってしまったようだ。
オウガイ「そろそろ夜も明けるころじゃ。我もいつまでも、こんな所にいるほどヒマではないのでな。・・・次で、決めさせてもらうぞ。」
○○「・・・。」
74::○○の中には好きな名前をどうぞ
08/08/11 00:55:01 lpluc5Ns
>>73続き。
その言葉に嘘は無いだろう。オウガイの全身から燃える様な熱気を感じると同時に、風も無いのにオウガイの辺りの草木のみが、ザワザワと揺らめき始めた。
次が最後。そんな考えが頭をよぎる。だんだん痛みも激しさを増してくる。正直、この状態で奴の攻撃はかわせない、恐らくは・・・。
だが、ここで退けばこの場に来た意味が無い。アイツの無念を晴らすためにも、一矢報いなくては。例え倒せないとしても・・・。
オウガイ「ゆくぞっ!」
○○「こい!オウガイ!」
俺とオウガイは、同時に地面を蹴り相手目掛け突撃した。オウガイの突風のような一撃が俺を襲う。
とっさに刀でオウガイの攻撃を防ぐごうとするも、刀ごと砕かれまともにその一撃をくらい、俺の身体は木の葉のように吹き飛ばされる。
そのまま吹き飛ばされた俺は、城壁を衝き抜け城外の巨木に叩きつけられた。
○○「がはっ!」
オウガイ「安心せい。みね打ちじゃ。・・・その、殺したら、何にもならぬからな。」
○○「へへへ・・・。その情けが命取りになっても、しらねえぜ・・・?」
オウガイ「ほう、まだ減らず口が叩けるか。・・・もう、いいであろう。しばし、眠っていてもらうぞ。」
俺を見下ろしたオウガイは、俺の意識を刈り取るべく、大刀を振り上げる。
だがその瞬間、オウガイの表情が一瞬苦痛でゆがむ。
オウガイ「・・・ッ!?」
○○「どうよ。俺の攻撃も、中々のもんだろう・・・?」
オウガイ「確かにな・・・。まさか、我よりも先に一太刀繰り出していたとは。」
そういったオウガイの片腕から、ゆっくりと血が流れ落ち、肩口からは血が吹き出した。
オウガイ「ぐうっ!おのれ、まさかここまで我に手傷を負わせられる者が、この世にいようとはな。」
○○「へへ・・・。ゴホッゴホッ!」
もう俺は、オウガイに言葉を返すことすら出来なかった。意識も徐々に遠くなっていくのが分かる。ここまでか・・・。
オウガイ「しかし、もう立ち上がることも出来まい。・・・今度こそ終わりじゃ。」
遠のく意識の中、何故か俺は今の状況を冷静に分析していた。
―あ~あ、このままオウガイにさらわれてコイツの旦那になるのか・・・。
なんともかっこ悪い結果だな。かっこつけてヒデヨシのカタキを討ちに来たってのに。
こうも、アッサリやられちゃあな。アイツにあわせる顔がねえや・・・。
ゴメンなヒデヨシ。ダメな兄貴で。もうちょっと、お前と一緒にいたかったのになあ。
俺がいなくても、ちゃんとみんなの言うこと聞けよ?―
思わず諦めの笑みがこぼれる。それを合図にするかのようにオウガイのトドメの一撃が俺に襲い掛かった。
と、その時。紙一重のところで、大刀が止まる。
75::○○の中には好きな名前をどうぞ
08/08/11 00:58:59 lpluc5Ns
>>74続き。
兵士「お、オウガイ様ー!た、大変です!」
オウガイ「なんじゃ!こんな時に!下らぬことであったら、承知せぬぞ!」
兵士「そ、それが裏手からヒデヨシ軍が!」
オウガイ「なんじゃと!」
オウガイの驚きの声と同時に、裏手からときの声があがる。オウガイが一瞬その方向に目をそらした、その時。
俺の身体は、オウガイの遥か上空を浮いていた。嗅ぎ覚えのある、甘い匂いが鼻をくすぐる。
ミツヒデ「やれやれ、ご兄妹そろってイノシシ武者だな。」
○○「ミツ・・・、ヒデ・・・?なんで・・・?」
ミツヒデ「まあ、女の感とでも思ってくれ。これで貸しは2つだぞ?でも、決め手は妹君のおかげかしらね。」
○○「ヒデ、ヨシの・・・?」
ミツヒデ「ああ、ほら下を。」
そう、ミツヒデに促された俺は、地上を見下ろした。するとそこには、
自信満々の笑みを浮かべたヒデヨシが、愛用の巨大なひょうたんを担ぎ、迫り来る敵兵を仁王立ちで迎えた。
○○「アイツ・・・!何やってんだあんなところで!オウガイにやられて、寝込んでたはずだぞ!」
ミツヒデ「ほう、そうなのか?だが、あの様子じゃ元気満々と言ったところだが。」
城の屋根に下ろされた俺は、ミツヒデの肩を借り、眼下のヒデヨシの様子を見続けた。
敵兵1「かかれー!」
敵兵2「おーっ!」
オウガイ軍の猛者であろう二人の兵が、ヒデヨシ目掛け襲い掛かった。
だが、軽く鼻をこすったヒデヨシは、巨大なひょうたんを振り上げると、天高く飛び上がった。
ヒデヨシ「てえりゃあああああ!!!!!!!」
地面に叩きつけられたヒデヨシのひょうたんからは、とてつもない衝撃波が起こり、そのままオウガイ軍の二人を弾き飛ばした。
その衝撃波は、まるで地を走る竜のように、そのまま走り続け、後方に控えていた他の敵兵もまとめて吹き飛ばした。
○○「す、すげえ・・・。」
ミツヒデ「これはこれは、なんという馬鹿じ・・・。おほん、なんという一撃。」
俺とミツヒデが目の前の状況に思わず呆気に取られていると、こちらに気づいたヒデヨシが大きく手を振り、声をあげた。
ヒデヨシ「あ!お兄ちゃ~ん!む、なんでミツヒデが隣にいるのお!?」
片手をブンブンを千切れんばかりに振り、満面の笑みでこちらを見上げている。
ミツヒデ「ふふ、まるで主人に尾を振る子犬のようだな。愛されているねえ、○○殿?妬けてしまうよ。」
○○「こんな時にからかうなよ・・・。」
ミツヒデ「ふむ、これは本心なのだが。ま、いいわ、下りるわよ?」
76::○○の中には好きな名前をどうぞ
08/08/11 01:02:48 lpluc5Ns
>>75続き。
ミツヒデは再び俺を抱えると、ヒデヨシのもとへと降り立った。
ヒデヨシは一目散に俺の胸に飛び込み、ぎゅっ、と俺を抱きしめた。
○○「ヒデヨシ・・・。なんでお前がここに?オウガイにやられて、寝込んでいたはずじゃあ・・・。」
ヒデヨシ「うん、そうなんだけどね。何だかわかんないんだけど、お兄ちゃんが城を出た後に、急に目が覚めたの!」
○○「俺が出た後に?」
ヒデヨシ「うん!それでね、おばちゃんから話を聞いてね、急いでお兄ちゃんを助けに駆けつけたってわけ!」
えっへん、と言わんばかりに胸を反らしたヒデヨシの話を聞き終えると、そこに重臣が駆けつけた。
重臣「○○様!ご無事ですか!?」
○○「お前・・・。これは一体、どういう状況なんだ?」
重臣「はい。それが、○○様が城を出た後私も後を追うべく兵を編成しなおしていたのですが、突然ヒデヨシ様が目をお覚ましになり
そのまま兵を率いて共に駆けつけたのですが。城が全くの無防備であったのを目の当たりにしていると、ミツヒデ殿の伝令が来て詳細を知らせてくれ、
それで、一気に城内へ突入した次第です。」
○○「そうだったのか・・・。」
チラリとミツヒデのほうを見ると、ぱちりと片目を閉じ笑った。喰えない奴だ・・・。そんなこんなで皆がほっとした、その時だった。
オウガイ「貴様ら・・・、よくもやってくれたな!」
○○「オ、オウガイ・・・!」
しまった、そういえばまだコイツがいたんだった。しかも、その表情は怒りに満ちあふれていた。
77:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/11 12:15:30 KsSVC4aM
○○強いよ○○
わっふる!
78:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/12 00:28:36 ctqtbiic
このスレに限っては、オウガイはまさに強カワ系で描かれるな
79:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/13 02:47:44 aJJ7bC5S
今川ヨシモト邸にて…座敷に集まる乙女武将一同
シンゲン「ヨシモトに呼ばれ、来てみたはいいが…」
ノブナガ「一体なんだというのじゃ」
マサムネ「世界の…ヨシモトしょう?」
ミツヒデ「なにやら余興のようだが…」
ふいに座敷の明かりが消され、部屋が真っ暗になる!
ヒデヨシ「わっ!?なになに?」
ケンシン「一体何が始まるというの…」
イエヤス「あっ…出てきましたよ」
灯篭の明かりが灯り、しずしずとヨシモトが琴の調べに乗り舞台へ現れた。
ヨシモト「みなさま…本日はお忙しい中、お集まりいただきありがとうございますですわ…」
シンゲン「めしは出ないのか?」
ノブナガ「酒はどこじゃ」
ミツヒデ「菓子も出んのか」
ヨシモト「そこ、静かになさい!…コホン。え~では、早速始めさせていただきますわ」
ヒデヨシ「ドキドキ…」
ヨシモト「私は世界のヨシモト…これから、とても面白いこと…つまり、ヨシモー!な芸をさせて頂きますわ。
四の倍数と四のつく数字の時にうつけになり…さらに八の倍数の時に、敵将のシロになりますわ」
ケンシン「なんだそれは…」
ヨシモト「参ります…。いち、に、さん、よん!!ご、ろく、しち、はちぉ~ん、きゅう、じゅう、じゅういち…」
ノブナガ「これは…おもしろいのか?」
ミツヒデ「私にはさっぱり…」
イエヤス「…帰りたいです」
ケンシン「これのためにわざわざ足を運んだというのか…」
ヨシモト「にじゅうさん、にじゅし!!わおん!にじゅうご、にじゅうろく、にじゅうしち、にじゅはち!!にじゅうく、さんじゅう…」
ヒデヨシ「つまんな~い!」
マサムネ「時間の無駄だな」
シンゲン「めしは~?」
ヨシモト「さんじゅうく、よんじゅわん!!よんじゅいち!よんじゅに!よんじゅさ!よんじゅし!よんじゅご!よんじゅろ!
よんじゅち!よんじゅわふ!!よんじゅく!…ごじゅう!!へい!よしもー!!」
し~ん
ヨシモト「あ、あら?誰もいませんわ…」
座敷の外に潜む4つの影…
オウガイ「くっ…不覚…面白いではないか!!」
コタロウ「ぼ、ぼくだって…!あのくらいは!」
ムラサメ「あほらし…」
シロ「くぅ~ん…」