10/04/09 17:49:08 xO7uuXYz
>>796
>建築物はその後もくりかえし江戸時代でも原色で作られ
江戸時代の原色の建物って、日光の寺社や仙台の瑞巌寺とか極めて稀な例だよ。
例えば、江戸時代の城郭建築を見てもわかるが、白漆喰壁に黒~灰色瓦という
モノトーンなかりだよ。武家屋敷も公家屋敷も漆喰、素木、漆、黒瓦という
モノトーンが基本。寺院の伽藍は朱塗りで作られることもあったが、
江戸時代にもなるとそれさも減って、江戸時代に作られた贅を尽くした
建物でも少なくとも外観に彩色が施されることは少なかった。
桂昌院が創建した江戸の護国寺の観音堂も、東本願寺の御影堂や阿弥陀堂も、
知恩院の山門や御影堂も、東寺の五重塔も、いずれも徳川家なり幕府なりが
威信をかけて建築した寺院だが朱は塗らず素木で作られた。
伽藍建築は奈良時代ではほとんど朱塗りで作られたし、仏像も金箔や彩色が
施されていたけど、平安時代中期くらいになると伽藍建築も仏像も素木の
ままの仕上げになることが増え始めた。
鎌倉時代以降はその傾向が顕著になっている。官として作る寺院は朱塗りや
金箔を貼った仏像が多いのだが、私的(私的といっても摂関家とか、将軍家とか、
宮家とか公より財力がある人たち)に作る寺院にはほとんど彩色がなくなった。
一応、寺院の伽藍は柱梁は朱塗り、連子窓は緑色に塗るのがしきたりなわけだし、
仏像も尊格ごとに決まった彩色があるわけだから、公的な寺院の場合は
どうしてもしきたりが優先されて、個人的な嗜好は反映しづらいけど、
私的な寺院の場合は、個人的な趣味が色濃く反映される。
個人的な嗜好としては、極彩色はあまり好まれなかったといえる。
寺院や仏像にあえて彩色を行わないというのは、世界的に見てもかなり特殊。
仏教が伝わって間がない奈良時代あたりまでは、日本もグローバルスタンダードな
寺を建てていたんだけど、時代が下ると日本人的な趣味が優先されだした。
別に色あせたからくすんだ色になっているものばかりじゃなくて、
作られた時から彩色されていないものも多いんだよ。