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大穴の正体、「アヒル」が探る グリーンランドの氷床
2008年9月1日9時30分
ムーランに流したおもちゃのアヒル
北極圏グリーンランド。厚さ千メートル前後の氷床に、夏になると巨大な穴「ムーラン」が数千、数万個も現れ、
氷の解けた水が滝となって流れ込む。その実態を探る米コロラド大と米航空宇宙局(NASA)の初の実験に同行した。
沿岸の町イルリサットからヘリコプターで30分。標高780メートルの氷床に降りると、縦横20メートルもある
ムーランが口を開けていた。深さは100メートルを超えている。1カ所で約450万トンの水が一夏に消える。そのメカニズムは謎だ。
高性能の観測機器1個と、おもちゃのアヒル90個をムーランに流した。アヒルが海で見つかれば、水路は海につながっていることになる。
また、観測機器の経路データから、水が岩盤上を流れているとなれば、その上にのっている氷床は海へ
滑り落ちやすい状態になっている可能性もある。コロラド大のコンラッド・シュテフェン教授は「氷床が滑り落ちれば、
温暖化による将来の海面上昇は、現在の予測を超え、1~1.5メートルになるかもしれない」と話す。(グリーンランド〈デンマーク領〉=中山由美)
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