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5月2日付・てんとう虫
2008/05/02 09:24
「スバル360」以来の伝統を誇る富士重工業が、軽自動車生産からの撤退を決めた。
同車は昭和33(1958)年の3月3日に発表され、スバルブランドの原点となった
歴史的名車で、スバルブランドは今年50周年を迎えたばかりだった。
斬新なアイデアを結集して設計されたこの356cc、4人乗りのミニカーは、日本初の
国民車となった自動車だった。軽自動車から撤退する同社は今後、ダイハツ工業から
軽自動車と小型車の供給を受けるという。
折しもイタリア・フィアット社の代表的ミニカー「フィアット500」が、50年ぶりに全面改良
されて日本でも発売されるというニュースがあったばかり。アニメ「ルパン三世」の愛車の
一つとしても有名なあの車である。
単なるノスタルジーでは経営は成り立たないだろう。だがフィアット500が世界中のファン
から「チンクエチェント」(イタリア語で500の意)と呼ばれたように、スバル360も
「てんとう虫」との愛称があった。それほど愛されたミニカーの伝統が消えるのは残念でならない。
チンクの新車は1200ccだが、てんとう虫も名前とデザインを残して斬新な小型車を
造り出す道はなかったか。対比されたフォルクスワーゲンの「かぶと虫」(ビートル)も、
チンク同様に昔のデザインを踏襲しつつ生まれ変わっているのに。
歴史遺産のように車を愛し、乗り継ぐ欧州の人々。東西で同時期に開発された名ミニカー
の対照的な話題に、自動車に対する文化の違いを感じる。
四国新聞
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