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人気声優たちが、妹や恋する女の子などになりきって、「おにいちゃん」「愛してる」などと延々と語りかけるだけの「妄想ボイスCD」がインディーズで登場。
シリーズ5作がいずれも1万枚以上というヒットを記録している。オタクの“萌え心”をくすぐった異色企画誕生の裏側を探った。【立山夏行】
「妄想ボイスCD」シリーズは06年8月、「機動戦艦ナデシコ」のミスマル・ユリカ役などで知られる桑島法子さんら12人の声優が、妹になって、怒った口調や
悲しげな口調など100のシチュエーションでひたすら「おにいちゃん」とだけ呼びかける「おにいちゃんCD」で始まった。
企画したのは、CD制作のNRプロ。秋葉原でコスプレ居酒屋なども経営する右高靖智社長が、「秋葉原では“妹萌え”がブーム。ひたすら『おにいちゃん』と
言われたい男性は絶対いるはず」と発案、1200回「おにいちゃん」と繰り返すだけ、というぶっ飛んだCDが誕生した。
発案者の右高社長自身、インディーズ盤だけに、それほど売れる自信はなかったが、発売されるや「脳ミソが溶ける」、「とても最後まで聞けない」など購入
したユーザーの感想がブログや掲示板に掲載され、話題が広がり、ネタとして購入するという連鎖反応が生まれ、じわじわと売れ始め、テレビや雑誌などで
紹介されると、インディーズでは異例の1万5000枚を超える大ヒットとなった。
続いて、普段はツンツンしているが、時折デレデレしてしまう“ツンデレ”をテーマに、「ばか、ばか、ばか」、「今度やったら許さないよ」など「おしかり」のせりふ
を繰り返す第2弾「おしかりCD」を発売。さらに、「好きです、付き合ってください」など愛の告白を人気声優の小清水亜美さんらがささやく「告白CD」。
「そばを食べながら」など異常なシチュエーションで告白する「ありえない告白CD」を相次いでリリースした。第4弾では、桑島さんらが学級委員長にふんして
「アンタに権限なんてないんだからね!」、などと“指導”する「委員長CD」まで登場。いずれも1万枚を超えるヒットとなり、「妄想」シリーズはすっかり定番となった。