10/06/13 20:39:54 +luwOXr9
『オカエリナサイ』
ある日の晩。
夕食を終え、新聞の夕刊を広げていたニホンママは、食器のあとかたづけをしている
ニホンちゃんとウヨ君に声をかけました。
「さくら、武士。洗い物が終わったらたまには庭に出てみない? 星がきれいよ」
「どうしたのママ?めずらしい~」
ニホンちゃんの問いに、ふふりと笑顔で答えるニホンママ。
よっぽどいいことがあったのか、今日のママはとても嬉しそうです。
「私だって、星が見たくなる日くらいあるわよ。それに・・・・」
(今日は・・・・あの子が、今夜帰ってくるのだから。)
ニホンママは誰にも聞き取れない様な小さな声でひとりごちました。
***
「キレイ!」
庭に出たニホンちゃんは思わず声を上げました。
彼女の目に映ったのは夜空に輝く無数の星々。切り取られた宇宙の欠片。
まるで宝石を散りばめたかの様な光景が広がります。
それらを地上から見上げる姉弟の目に、煌めく一筋の光が零れました。
「あ、流れ星・・・・」
漆黒の夜空を流れる星に手を合わせるニホンちゃんとウヨ君。
そしてふたりは顔を合わせ、笑い合います。
「武士は何をお願いしたの?」
「僕は新しいおもちゃ! 姉さんは?」
「わたしはね、世界に戦争がなくなりますように・・・・
世界中の人が仲良く平和に暮らせるようにって、祈ったわ。」
その様子をニホンママは微笑ましく見守っていたのでした。
その夜、はやぶさ 及び 彼が採取した小惑星のサンプルが帰還した。
オカエリナサイ