10/05/19 23:51:35 M3BEk81r
夏の陽は、長い。
まだ明るい神社の境内は、早くも人が大勢いた。
屋台で彼女にわたあめを買ってあげ、僕もラムネを飲みながらお祭りを見物して歩いた。
こういう、ジャンクなものを食べたり飲んだりしていると、思い浮かぶのは……
「あ」
僕は、真剣な眼差しでいけすの金魚を狙っている幼馴染の横顔を見た。
「フン、このオレの手から逃れられると思うなよ……水中型キメラが」
金魚すくいのおじさんは呆れ果てていて、
もうこいつには何も言うまい、というセリフを全身で表現していた。
「ライス・サルベージ、ウォータープルーフヴァージョン!!」
―あちゃあ、やっぱり……
僕は頭を押さえた。
セコい。セコすぎる。
水飴を挟む薄焼きせんべいをどこからともなく出しては、金魚をすくう柄杓が破れてもすぐに復元して……