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【シェア】チェンジリング・デイ 2【昼夜別能力】 - 暇つぶし2ch220:創る名無しに見る名無し
10/04/21 13:26:03 t7gzjGIX
連載小説 タイ~ホ日記 
シャブでパクられる中年のオッサンの爆笑小説 

 タイ~ホ日記でググってみよう





221:Satan ◆wHsYL8cZCc
10/04/23 21:55:00 ybA3S+m7
 彼は頂点に居た。
 今、彼は世界における最強の力を持っている。『権力』だ。

「首相、封建国家連合の第三陸戦大隊と第四大隊が合流しました。我が軍が展開している旧エジプト地域への侵攻の恐れが」
「現地のレジスタンスに因ると、総数は四万近いそうです。さらには発掘された兵器を再現したと思われる機甲部隊も……」

 彼は大臣達の報告に驚きもせず答える。
「……数で攻めようが、その戦術はもはや過去の遺物だろう。烏合の衆を集めたとて私一人に敵わない」
「ですが首相、旧エジプトの防衛戦力は数百名のサイキックしか……」
「彼らには核兵器を持たせてある。使用許可を出します。それより……」

 彼の表情は変わる。恐れていた。たった二匹のネズミの行動を。
「ソドムの火は見つかったか?」
「いいえ、手掛かりすら……」
「早く見つけるんだ。それさえあれば戦争は終わる。一瞬で……」

 彼は求めている。人類が生み出した、『神に挑む武器』を。

「ネズミの始末も急げ。何を仕出かすか解らん」
「はい。首相……」

 窓の外を見る。たった五十年で地球の様子は完全に変わった。
 国家も宗教も、あまつさえ生態系さえも。

 本来ならば回避出来ただろう。だが、彼がそれを許さなかった。
 だからこそ五十年前、彼はミニットマンとヒューストンを攻撃したのだ。
 全ては大いなる終末の為に。

 夜が来る。
 いまだ夜の能力は発現していない。まだ敵が現れては居ないからだろうか。
 だが、その時が近いのは感じている。

「もうすぐだ。現れるがいい」

 彼もまた天に選ばれた。彼の胸に刻まれた痣ははっきりとその役目を示している。

『666』
 悪魔の寵児は待っている。 

222:prophecy ◆wHsYL8cZCc
10/04/23 21:56:25 ybA3S+m7
 身体は既にまともには動かなかった。腕は枯れ枝のように細くなり、目は既にぼんやりと光を捉える程度だった。
 長年に渡り見続けた未来の光景はもはや見えなくなっている。
 破滅が近いのか、または見る必要が無い世界へと生まれ変わるのか―
 その老人には解らなかった。どちらにせよ、あまりもう長くは無い。
 それだけはビジョンを用いずとも理解していた。

 チェンジリングデイの後、彼が最初にビジョンで見たのは少年と老人の戦い。
 そしてそれぞれを支持する人間達の戦争。

 少年と老人の戦いは恐らく、いままでのどんな人類でも遠く及ばぬ次元で繰り広げられるだろう。
 そして人類は「ソドムの火」とサイキックを持って殺し合う。
 今起きている小競り合いなど比較にならない、文字通り世界を二分する戦い。

 導かねばならない。
 いずれここへ訪れるであろう、史上唯一の救世主を。人類最後の預言者として。

 同時に楽観もしている。
 彼は見たのだ。いや、正確には「会った」のだ。
 その姿は目に焼き付いている。その言葉はかつてモーセに語った事を、キリストへと伝えた事を、ムハンマドが感じた事のさらに先を彼に伝えた。

「新エルサレムは間もなく現れる」
 彼は譫言のように言う。
「人類は新たな地平へと到達する」
「救世主は東から来る」
「そして真の誓いと契約を人々と私は結ぶだろう」
「そして私はあらゆる可能性を認め、時空を超えた先の世界に行く事を私は許可する」

 彼のビジョンはもう見えない。この世界の未来は確定されたのだろうか。
 そして彼は別の世界に行く事はもう無いだろう。

 平行する別の世界。
 神はその存在を認めたのだ。

223: ◆wHsYL8cZCc
10/04/23 21:58:17 ybA3S+m7
終了。
自分でも方向性が解らなくなってきたでござる。

224:創る名無しに見る名無し
10/04/23 22:12:43 ybA3S+m7
何故かsageてたし。

225:創る名無しに見る名無し
10/04/24 00:12:30 uSrS8Tb4
住人ドン引きジュセヨ……

226:創る名無しに見る名無し
10/04/24 00:21:34 4p+1lZUo
非常に申し訳ない。
一応書いててぼんやりと昼夜能力とか世界感の設定は出来たんだがw
いかんせんそこを投下するまでが………。
申し訳ない。

227:創る名無しに見る名無し
10/04/24 14:52:39 rfbb/PaC
小出しよりまとめて投下してくれた方が助かる

228:創る名無しに見る名無し
10/04/24 23:51:06 gkeP4F2/
キャラを前面に出さない話って個人的に感想書きにくいのよ…
戦争期待

229:創る名無しに見る名無し
10/05/02 05:40:45 3q/X9w6O
投下します

230: ◆KazZxBP5Rc
10/05/02 05:42:07 3q/X9w6O
奴と出会ったのは、夜、いつもの“パトロール”をしているときだ。
奴は学生服姿で、ガードレールに腰掛けて月を眺めていた。
その姿に俺はある感覚を抱く。だから俺は奴の目の前に立ってこう言った。
「貴様から俺と同じ匂いを感じる。」
そう、俺と同じ、このくだらぬ俗世から切り離された存在としての“匂い”が。
奴は一寸目を強くつぶってゆっくりと開いた。そしてガードレールから飛び降りて叫ぶ。
「はっ! 何者かは知らねえが、俺は神に叛く男、岬月下。かかってくるならかかって来やがれ!」
「神に叛く男……か。俺の前でその肩書きを名乗ったことを後悔するんだな。」

雲が月を覆っていく。
奴は未だ気付いていない。俺が既に能力を発動していることに。
「俺は神の使者。名は……刹那。」
「上等だ、神の使者! あの世に帰って神に伝えな、俺を倒すならてめえで来いってな!」
そう言って奴は虚空から大根を取り出した。
俺が驚きのポーズを取ってみせると、奴は得意げに大根を振りかざす。全く、くだらない。
奴は足を上げようとして、だが、その場でひざをついた。
「な……!?」
「世界の基本は“美しさ”から成る。物理法則、数学の公式などは皆美しい。」
ビルの窓に映る自分の姿を見た奴は愕然としていた。
奴の耳には入っていないかもしれないが、俺は解説を続ける。
「俺は神に叛く者への罰として、貴様の“美しさ”を奪った。」
俺が奴にした事、それは奴の体内の脂肪を増加させる事。
大量の脂肪を蓄えた奴は、太った人間というよりは肉塊と呼ぶに相応しい醜い姿へと変化していた。
奴は浅く早く息をしている。これだけの細胞に酸素を行き渡らせるには呼吸が足りないのだろう。
「残りの時間でせいぜい自分の過ちを後悔するんだな。」
俺は奴から背を向けた。もはや直接手を下すまでもない。

231:刹那 ◆KazZxBP5Rc
10/05/02 05:42:52 3q/X9w6O
だが、それからわずか二秒後、背後から奴の声が聞こえた。
「感謝するぜ、“弾”を増やしてくれて。」
振り返ると、すっかり元に戻った奴と、その周りに転がる大量のスイカが目に入った。
「貴様……!」
野菜を出すと体重が減る、といったところか。しかしこれはまずい、非常にまずい。
俺のあの能力“ゴッズ・ラブ・セヴェランス”は、一度使うと四時間は空けないと再び使うことが出来ない。
奴はスイカをひとつ拾ってぽんぽんと叩いた。
たしか“弾”とか言っていたな。まさか……投げるつもりか?
まさかこの俺が……。頭は逃げろと命令するのに、足がすくんで動かない。
「これで……終わりだっ!」
緑と黒の縞が目の前に迫る。何を突っ立ってるんだ俺は! 動けっ! 動けっ!
もう駄目だ、と覚悟した瞬間、スイカが跡形もなく消え去った。

「フトシー、何してたでやんすか?」
「くっ、ゼロか……。」
突然現れたのは、この俗世で俺の兄ということになっている男、刹那零。
零は坊主頭にボロボロの野球服という出で立ちでだった。
ちなみにフトシ……太志というのは、俺の世を忍ぶ仮の名だ。
「まーた天使ごっこでもしていたでやんすか?」
「ごっこではない。俺は……」
「はいはい。帰るでやんすよ。」
「おい待てよ!」
奴がもう一個スイカをぶん投げてくる。
「無駄でやんす。オラはフトシと帰るでやんす。」
零がそう宣告した途端、奴の周りに落ちているものも含め全てのスイカが消滅した。
「オラはなんでも消せるでやんす。カーチャンが怒ると怖いからさっさとおいとまするでやんす。」
零は台詞通りさっさと先に帰ってしまった。
「次に会った時こそ、貴様を罰せさせてもらうぞ。」
俺は、口をぽかんと開けたままの奴にそう告げて、ビル街を後にした。
空を見ると、月が再び雲間から顔を覗かせていた。

おわり

232:刹那 ◆KazZxBP5Rc
10/05/02 05:44:09 3q/X9w6O
キャラ紹介

・刹那 太志(せつな ふとし)
零の弟。中二病で自らを神の使者と思い込む。

《昼の能力》
不明

《夜の能力》
名称 … ゴッズ・ラブ・セヴェランス(God's Love Severance)
【意識性】【操作型】
相手の脂肪を増やし太らせる。
一度使うと約四時間使えない。


・刹那 零(せつな ゼロ)
太志の兄。坊主頭のいかにも田舎少年な風貌。「~でやんす」を多用。

《昼の能力》
不明

《夜の能力》
名称不明
【意識性】【操作型】
対象の物体を消滅させる。

233:創る名無しに見る名無し
10/05/02 05:50:16 3q/X9w6O
というわけで例のラジオのアレでした

陽太ありがとう
(前の作品で言い忘れてたから一緒に。忍とソラもありがとう)

234:創る名無しに見る名無し
10/05/03 20:56:53 B/VhT096
なんか一気に盛り下がっちゃったなこのスレ……

235:創る名無しに見る名無し
10/05/04 01:46:46 jnIk6oAC
避難所が盛り上がってるから問題ない

236:創る名無しに見る名無し
10/05/05 00:39:30 K80isMaF
ぐおおおお、先が気になって寝れねえwww

237:創る名無しに見る名無し
10/05/05 01:04:59 K80isMaF
毒竜が昼ってことは口が裂けても言えない。

238:創る名無しに見る名無し
10/05/06 02:53:58 HfNU1EIf


始めまして。僕の名は比留間慎也(ヒルマ シンヤ)だ。
普段はとある組織で“隕石に起因する超能力”の研究分析を行っている。



 『月下の魔剣~邂逅~』



はきはきと自己紹介をするその姿は、まさに第一回講義。メディアに初めて姿を現した比留間慎也そのもの。
当時より重ねた年齢をまるで感じさせない、若々しい比留間博士の姿だった。

「チェンジリング・デイから10年経った今、能力の研究は日々進みつつあるけれど、未だ謎めいた部分が多い。
より深く研究を進めるためには、より大きな…特殊な現象を及ぼす能力者の協力が不可欠なんだ」

そう言って、比留間は柔和な笑みを浮かべる。

「そこで見つけたのが君の能力だ、水野晶さん」
「えっ!? 僕の能力って…そんな大したものじゃ…」
「君自身が気付いていないだけさ。君の能力は人に大きな影響を及ぼすものだ」
「待てよ」

僕と比留間の話を遮るように、陽太が口を出す。

「有名な博士のあんたがなぜこんなまわりくどい真似をする? あんたが声をかければ能力者なんていくらでも集まるはずだ」
「それで集まる能力者はほんの一部さ。何せ全人類が能力者だ。限られた能力者を探すなら自ら調査に赴く必要がある」
「あの犬…キメラを操ってんのはお前か」
「能力の多くは、人が危機を感じた際に強く発現するものだ」
「てめえ…!」

声に静かな怒りをにじませて一歩踏み出す陽太。

「誤解しないでもらいたい。僕たちが使っているあれは、対象者に危機感だけ与えて危害は加えないようプログラムされている。
 怖がらせはするが、怪我をさせるようなことはないはずだ」

あれで…!?

数週間前の非現実空間を思い起こし、身震いする。あの漆黒の悪魔を。
地の底から響くような唸り声、むき出された牙、盛り上がる筋肉。
あれが危害を加えないなんてとても信じられなかった。

239:『月下の魔剣~邂逅~』
10/05/06 02:54:59 HfNU1EIf

「それに表に出にくいだけで、あれはそう珍しいものではないんだ。使っている個人、団体は数知れない。
 人に危害を加えた個体がいるとしても、それは僕たちの使っているキメラじゃない」
「ハッ! そいつは都合のいいことで」
「事実、君たちには怪我一つなかっただろう? 足も遅かったはずだ。君たちの速度に合わせていたからね」
「俺に敵わなかった負け惜しみにしか聞こえねえな」
「そう、そこだよ」

パチンと指を鳴らして人差し指を立てる比留間。意外な答えに僕と同様、陽太も目を丸くする。

「岬陽太君、君は実に予想外だった。今回もそうだ、見事な戦いぶりだった。
 僕は君の能力よりも、君自身に強く興味が湧いた。だからこうして自ら出向いてきたんだ。
 わざわざ来たかいがあったよ、君は実に素晴らしい」
「そっ………」

陽太は硬く強張った顔で、答えと反応に困っているようだった。それはそうだろう。

「そこで改めてお願いする。水野晶さん、そして岬陽太君。僕の研究に協力してくれないか?
 正式な研究だ。勿論危険はない。謝礼金も出す。長期間の拘束もしないと約束しよう。
 能力研究の発展のため、ゆくゆくは人類の未来のために、ぜひとも僕に協力してほしい」
「ッ………」

陽太は答えない。僕も答えることができなかった。
相手は比留間慎也。誰もが認める世界的な研究者。ここまで言われて断る理由はない、はずだった。
しかし、自らの仕業だと認めた、襲いかかるキメラ、不敵に口元を歪めるベンが脳裏に浮かんで。
比留間の浮かべる微笑みの奥に、深く暗い闇が潜んでいるように思えて。
そもそもなぜあんなことをしたのか。最初から正式に依頼していれば、こんな疑いは生まれなかったのに。

ふー…と、陽太が大きく息を吐いた。

「家族に話は」
「勿論させてもらう。心配をかけることはない」
「期間は」
「休日のみで約一か月といったところかな。それで十分さ」
「そうか…」

ちらりと僕を見て、ふっ…っと、ニヒルな微笑を浮かべる陽太。そして…

240:『月下の魔剣~邂逅~』
10/05/06 02:55:42 HfNU1EIf

「だが断る」

その口から出た言葉は、拒絶。僕の気持ちも同じだった。

「…何故?」
「おまえ以外のキメラともやりあったことがあんだよ俺は。まっとうな組織が使うモンじゃねえだろう、アレは。
 危害を加えねえってのも嘘だな。直接ぶつかりゃ一目瞭然、あの殺意は本物だった。
 あんな明らかに裏社会の人間に依頼するってのもな。例え有名な博士だろうと…」

渾身の力を込めて、相手に指を突きつける。

「お前は信じるに値しない!」

比留間は一瞬目を見開き、やれやれといった表情で目を閉じた。

「…水野晶さん、君は?」
「ぼ、僕も…お断りします!」
「やはりか……」

がくりと肩を落とし、サングラスをかけなおす比留間。

「残念だよ。実に残念だ」
「残念? よく言うぜ。まさに計画通りって顔しやがって」

落ち込んでいるように見えていた比留間。陽太の言葉にその顔をはっと見直して、僕も気付く。
目元は隠れているが、口角は僅かに上がっていて。くっくっと、小さな笑みが耳に届く。

「いやぁ、残念さ。何故かって…」

懐に手を入れて、ゆっくりと引き出す、棒状の何か。

「せっかくの若い才能がこんなところで…失われてしまうんだからねえ!」

比留間の内面に潜んでいた闇が。狂気が。その全身から噴き出したように見えた。
手にしたのは警棒、そう思った矢先、棒の表面に電気の光が走る。

241:『月下の魔剣~邂逅~』
10/05/06 02:56:45 HfNU1EIf

「スタンロッド!? また物騒なモンを」
「さあ! 僕に見せてくれ」

瞬間フッと消え、陽太の目の前に出現する比留間。ロッドはすでに頭上。

「君の能力を!」
「ッ!? レイディッシュ!!」

即座に振り下ろされるロッドを受け止める陽太の大根。バチチチと電気の音が耳に響く。

「ハハッ! やはり早いな!」
「……っく、だっ!」

両手で押してロッドをはねのけ、ブンと横に振るわれた大根を、ロッドで斜めに受け軌道を逸らす。
続けざまに振られる大根を、受け止め、逸らし、避ける。全ての攻撃が最小限の動きで防がれる。
比留間は力を使っていない。ただ、陽太の動きが完全に見切られている。

「さあ、どうした! それしかないのか?」
「っちっきしょ!!」

しかしそれ以上に、陽太の動きにキレがない。あきらかに疲労している。
比留間が積極的に攻撃してこないのが不幸中の幸いと言えるのか。
それにしたってこのままでは……

「はああああっ!!」

大上段から渾身の一撃が、涼しい顔で回避される。疲労も限界なのか、ついに膝をつく陽太。
緩んだ手から離れた大根が、ころころと地面を転がる。

「……結局この程度か。期待は」

 ビュオン!!

鋭く風を切る音が響く。その一瞬で何が起こったのか、すぐにはわからなかった。

その場から消え、陽太から離れた位置に立つ比留間。
立ち上がっていた陽太、水平に伸ばされた右手には黒く、長い…ゴボウが握られていた。

242:『月下の魔剣~邂逅~』
10/05/06 02:57:25 HfNU1EIf

「なん…だと…!?」
「…なるほど。さっきのは危なかった」

驚愕の声を上げる陽太と対照的に、感心したように声を出す比留間。

「白く目立つ大根を囮に、本命は闇に溶け込むゴボウか。タイミングも絶妙。常人ならまず反応できないだろうね」
「っくそっ!!」

すぐさまゴボウを手放し大量のクルミを右手に発生、一度に投げつける。
広範囲を高速で迫るクルミの嵐を前に、涼しい顔を見せる比留間。空の右手を前に伸ばし…
瞬間、その肩から先がぶれて、消えて。同時に全てのクルミが消えた。
一瞬後、戻った右手には…大量のクルミが収まっていた。

「なっ………!?」
「クルミか。効果的な攻撃だ。何より君自身の切り替えの早さがいい」

あのクルミを一瞬で…全て受け止めた!!?

絶句。ただそれしかできなかった。
陽太もまた、言葉を失っていた。

傾けた右手から次々と零れ落ちるクルミが、アスファルトとぶつかり硬質な音を立てる。
ふぅ…と、比留間は大きく息を吐いた。

「見事だったよ、岬陽太君。判断力、洞察力、機転、戦術。どれをとっても非常に優れている。
 君が成長すれば、きっと一流の戦士になれただろうね」

気だるげな様子で腰に手を伸ばす。

「だけど、残念ながら…」

取り出して、カチリと陽太に向ける、それは…

「僕は能力研究者なんだ」

黒く、冷たい光を放つ…拳銃だった。


<続く>


博士でやりたい放題。自重?なにそれおいしいの?

しかし危なかった。エイプリルフールの嘘最終回が真最終回になるとこだった…
投下予告で自分を追い詰めるってのも時には必要だあね。
続きは割と早く投下する予定です。

243:創る名無しに見る名無し
10/05/07 00:37:15 kLSiaVaB
博士清々しいくらいに悪役だw
続きwktk

244:創る名無しに見る名無し
10/05/07 23:10:14 2T2KZ+dg
よっしゃ、本家キタ━━(゚∀゚)━━ !!!!!
しかも、比留間センセもダークで(・∀・)イイ!

好きなキャラ同士でバトルって、熱すぎるだろ! (自分的に)
続き期待


245:創る名無しに見る名無し
10/05/10 10:26:36 OOA+eSYh
おかしいな、作中の季節と合ってたはずなのに…

投下するよ!

246:東堂衛のキャンパスライフ ◆KazZxBP5Rc
10/05/10 10:27:44 OOA+eSYh
第二話

能力について専門的に扱う学部が日本の大学に初めて導入されたのは2002年のことだった。
以降、この若い学問は将来性を期待され、同じ系統の学部が全国の大学に次々と設置されることとなる。
そして現在、分野別の学生数では日本で一位を誇っている。
衛たちの通うS大学超能力学部もそのひとつであった。

「おはよう!」
衛と幸広が後ろから声をかけられたのは、売店で朝食にするパンを選んでいたときだった。
声の主は、衛たちのもうひとりの中学からの同級生、川端輪だ。
彼女はフレームだけの眼鏡をくいっと上げて微笑んでいる。
三人はいわゆる腐れ縁というもので、特に示し合わせて同じ進路を選んだわけではない。
選ぶのが遅かった方の衛がパンを手に取ったのを見計らって、輪は話を続けた。
「良いよねぇ、下宿生。私なんてどれだけ朝早いか分かる?」
学生の中には能力の都合上昼夜どちらかにしか通えない者もいる。
そのためS大学では同じカリキュラムを昼間部・夜間部の両方で実施している。
日が暮れるまでに終わらせられるように、昼間部は朝七時から開始だ。
輪は通学に時間が掛かるため、一番早い日だと四時には既に起きていないといけない。
「俺だって今日は一限目も無いのに衛に起こされたぜ。」
幸広はわざとらしく大きなあくびをしてみせながら言った。
そんな幸広の言葉に衛は苦笑いを浮かべる。
「そ、それよりさ、輪だってこっちに引っ越せばいいのに。」
と、レジに並びながら衛。
「私だってそうしたいんだけどね。親が許してくれなくて。」
「今時女の子だからってそう厳しくしなくても。」
財布を出しながら幸広。
「そうじゃなくて、うちの場合……さ。」
「ああ、アイツのことか……。」
アイツとは、三年前交通事故で亡くなった輪の弟のことだ。
彼のことは衛も幸広もよく知っていた。
「悪い。」
「ううん、もういいかげん吹っ切れた。」
そう言いながらも、輪の横顔は少し寂しそうだ。
「多分毎日顔見て安心したいんだと思う。」
しかしその表情も一瞬で、すぐにまた、元の明るい輪に戻る。
「ほら、さっさと行こ。」
輪はふわふわパーマのセミロングの髪を揺らして真っ先に売店を出て行った。

247:東堂衛のキャンパスライフ ◆KazZxBP5Rc
10/05/10 10:28:24 OOA+eSYh
ざわついた教室に、マイクで拡声されたしわがれ声が響く。
「あー、チェンジリング・デイ以降ー、私たちの暮らしはー、大変便利になりました。」
衛たちは「超能力の歴史と発展」という講義を受けていた。
この講義の担当は分厚い眼鏡を掛けた老夫、村主教授だ。
「たとえばー、あー、前のスクリーンをー、見てください。」
そこには猫がねずみを追いかけるコミカルな映像が映し出されている。
「これがー、私のー、あー、昼のー、能力です。
 私のー、記憶や思考をー、映像としてー、映すことがー、できます。」
その後、映像は1990年代の風景へと変化した。
衛が隣を見ると、幸広は既に爆睡状態、対照的に輪は真剣にメモを取りながら話を聞いている。
邪魔をするのも悪いので、衛も諦めて村主教授の間延びした声に耳を傾けるが、どうも頭に入らない。
結局のところ、講義中ずっと衛の意識を支配していたのは、早速留守を任せることになってしまったかれんのことだった。

幸運にも、その後、衛にはまるまる二時限分の空きがあった。
全く無計画に勢いだけでかれんを預かったので、昼食のことすら考えていなかった。
心配なので、二人に一旦別れを告げてアパートに向けて自転車を飛ばす。
幸広にかれんのことをバラされたのか、輪が衛を可哀想なものを見るような目で見ていた気がするが、忘れることにしよう。

248:東堂衛のキャンパスライフ ◆KazZxBP5Rc
10/05/10 10:29:05 OOA+eSYh
「ただいま!」
「あれ? 早かったですね。」
「いや、今丁度空き時間だったからね。」
かれんは棚にある漫画を読んでいた。
あらゆるものを創作する魔王が弟子と旅をする物語だ。
「お昼用意してなかったからコンビニで買ってきたんだけど……。」
「あっ、ありがとうございます。」
やはりまだどこか会話がぎこちない二人。
無言で衛が買ってきた弁当のビニール袋を剥がす。
衛は冷蔵庫からペットボトルのお茶を取り出してふたつのコップに注いだ。
「それじゃ、いただきます。」
「いただきます。」
「……からあげ欲しい?」
「いえ、別に。」
「そっか。」
とは言ったものの、小さな口を精一杯開けて美味しそうに食べるので、つい自分のおかずを分けてあげたくなる。
「ん? 顔に何か付いてますか?」
「いや。」
気が付けば衛は、自分の弁当には手をつけずに、かれんの食べる様子を眺めていた。
そんな自分が怖くなって慌てて話題を振る。
「そういえば、学校はどうするの?」
「パパとママがいなくなってからいろいろな所に住んでたから、ずっと学校行ってないんです。」
「そっか……今から市役所にでも行ってみるか。」
「えっ、でも……。」
「いいからいいから。さ、早く食べて。」

市役所でかれんの転入届は提出した。しかし転校には元の学校での手続きが必要らしい。
元の学校と言ってもかれんは数日前に中学生になったばかりなので一度も行っていない。
どうしようかと思ったが、そろそろ大学に向かわねばならない時間だったので、かれんの学校の件は後回しになった。

249:東堂衛のキャンパスライフ ◆KazZxBP5Rc
10/05/10 10:29:49 OOA+eSYh
「はぁ、疲れた……。」
五時限目、英語の教室に入った衛の第一声だ。
「本当にギリギリだったな。」
隣に座る幸広が声を掛けた。
「まだ先生来てないのか?」
「ここの先生はどんな人かな。」
輪が横から口を挟む。
幸広は意味ありげに衛の方を見てにやりとした。
「噂によるとな、」
しかし幸広の言葉は扉の開く音に遮られた。
中に入ってきたのは、なんとかれんと同じくらいの年齢の金髪少女だ。
「Hello everyone! My name is Naomi Wiseman.」
「あー、あーゆーあわーてぃーちゃー?」
とっさに誰かが尋ねたのも無理のないことだ。
「Yeah.」
彼女はこういう反応に慣れているのか、あっさりと肯定した。
現在十三歳の彼女はこの大学の准教授だ。秘密は彼女の能力にある。
昼の能力は思考に掛かる時間がゼロになる能力、夜の能力は記憶を整理する能力。
夜に覚えて昼に考える。このサイクルで彼女は常人には真似できない勉強効率を叩き出す。
そのおかげで、彼女はわずか八歳でアメリカの大学を卒業した。
「……ってことみたいよ。」
「輪、お前やっぱり英語凄いよな。」
「うん、ほんと。僕は半分くらいしか聞き取れなかった。」
「俺なんか全然だぞ。」
と、こんな感じで二人は―特に幸広は―輪に教えて貰いながら授業を終えた。

荷物を片付け教室を出ようとした所を「東堂君!」と呼び止る声が聞こえた。
「ナオミ先生? えっと……。」
「日本語でいいわよ。四分の一は日本人だって授業で言ったじゃない。」
「そ、そうですね。」
ナオミは呆れ顔だったが、すぐに真面目な目つきに変わる。
衛も雰囲気の変化を察して真剣に耳を傾けた。
静かな教室に時計の針の音だけが大きく聞こえる。
その音が五回目を刻んだとき、ナオミが口を開いた。
「東堂君、あなた、警戒した方がいいわよ。」
漠然とした忠告。
しかし漠然としているだけになにやら深い意味を含んでいるようだ。
衛は自分の心臓の鼓動が早くなるのを感じていた。

つづく

250:創る名無しに見る名無し
10/05/10 10:31:04 OOA+eSYh
以上です

251:創る名無しに見る名無し
10/05/10 22:04:39 38Pgn8Eq
>>250
おおっと続き来た! かれんかわいいよかれん。
そして教授はガチでこども教授っすかw
平和ながら、何か不穏な雰囲気…期待してます。

さぁて、書けた。>>238-242の続きですどうぞ。

252:『月下の魔剣~邂逅~』
10/05/10 22:05:36 38Pgn8Eq
氷のような汗が背中を伝う。

「強さも、戦術も、僕には興味がない。興味があるのはただひとつ、能力だけなんだ。
 君の能力は食材を発生させる、それだけだ。僕の研究対象には値しない」

陽太も、僕も、言葉を失ったまま。
回避も反撃も不可能な数歩の距離から銃口を向けられ、一歩も動けない。

「その強さにしても高が知れている。こんな珍しくもない武器に君は敵わない」

陽太を射止める、冷酷な言葉。

「さようなら、岬陽太君。君は必要ない」

僕は動かない喉から無理やり声を搾り出す。

「…やっやめっ!!!!」



 パン!


253:『月下の魔剣~邂逅~』
10/05/10 22:06:18 38Pgn8Eq
それは、小さな音だった。
研ぎ澄まされた感覚でこそ聞こえる、何かが破裂するような音だった。
向けられた拳銃は、依然沈黙を続けていて。

比留間は左手でサングラスを外し、まじまじと見つめる。
フレームの太いサングラス、つるの根元には小さな機械が付いていた。その機械が、僅かな煙を上げている。
ふむ…と小さく呟くと、それを折りたたんで懐にしまい、新たな取り出した普通のサングラスをかける。
銃口を上に向け、引き金を引く。カチリと小さな音とともに、銃口に火が灯った。

「ただのライターさ。驚かせて悪かったね」

緊張が一気に途切れる。足の力が抜け、へたり込んでしまった。
陽太は両手の平を向き合わせ、身構える。

「…てめぇ!」
「まあ、待ってくれ。これ以上君とやりあうつもりはない。今日のところは引かせてもらうよ」
「何を勝手な…!」
「勘違いしないでほしい」

次の瞬間、信じがたい速度で、陽太の眼前に電流の走るスタンロッドを突きつけていた。

「君を黙らせるのは容易い」

まるで氷のような声だった。ぞくりと背中が粟立つ。

「だけど岬陽太君、君の健闘を称えて。そして水野晶さん、君の強い意思に免じて。
 今日のところは君のことを諦めよう、そう言っているんだ」
「くっ…!」

歯を食いしばる陽太に、余裕な態度で背中を向ける比留間。
少し歩いてから、思いだしたように足を止め振り向く。

254:『月下の魔剣~邂逅~』
10/05/10 22:07:31 38Pgn8Eq
「そうそう、今日のことは人に言わないほうがいい。比留間慎也は今この時間、数百人を前に講演の真っ最中だ」
「アリバイ工作は完璧ってわけか」
「…そういうつもりじゃないんだけどな。そうじゃなくても、こんな突拍子のない話は誰も信じない」
「ハッ! どうだか。研究に行き詰った博士が犯罪まがいの行為に走る。なんともありがちな話だ」

そりゃあ陽太の厨二目線にしてみればありがちかもしれないけど…現実にはそうそうない話だと思う。
正直、僕は今この瞬間にも信じられないでいる。この男は、比留間慎也の名を語る別人なのではないか…

「僕は本物だよ、水野晶さん」

バクンと心臓が鳴った。
脳裏の疑問に対する、完璧な解答。決して口に出していない、能力も使っていないのに。
この男は、有名人の名を語るような小物ではないと。底知れない何かを感じずにはいられなかった。

「それでは、ごきげんよう。君とはまた後ほど会うことになるだろう。その時は好意的な返事を期待しているよ」

そう短く言いきると比留間は踵を返し、裏路地を抜け大通りの奥へと消えていった。
茫然と立ち尽くす僕。陽太はジョロキアの影響で赤くなった右手を見つめて、呟く。

「またひとつ…因果の鎖ができちまったってわけか……」

右手を力強く握って、比留間が消えた先へと拳を向ける。

「だがな比留間慎也、どんな力を持っていようと…お前の思い通りにさせはしない!」

その目には、決して揺るがぬ信念の光が宿っているように見えた。

グゥゥ~…

お腹の虫が盛大に鳴いているのは聞かなかったことにしようと思った。

255:『月下の魔剣~邂逅~』
10/05/10 22:08:13 38Pgn8Eq
とある研究所、個人研究室。
スーツの上から白衣を羽織り、慣れた椅子に深く腰掛けた比留間慎也は大きく息を吐いた。
すぐ隣には白衣に眼鏡、救急箱を抱えた女性がつき従う。

「本当にお怪我はございませんか比留間博士。頭痛は。吐き気は。身体のどこか不具合は」
「君もよくよく心配性だな。最初から問題ないと言っているだろう」
「ですが」
「カメラ越しでわからないことはあまりに多い。研究とはやはり自分で体験するに限る。
 いいじゃないか、僕としてはキメラ調査の数倍の成果が得られたと感じているんだ」
「ですが! それでも調査対象に直接接触するといった行為は許容しかねます。博士に万一のことがあっては」
「相変わらずの頑固者だな君は」
「私は所員一同の代表として言っているんです! 全員があなたのことを心配しているんですよ!」
「あー…わかった、わかったから。直接会うのはしばらくは控えるよ」
「永遠に控えてもらえないでしょうか」

はぁ、と比留間は溜息をつくと、内ポケットの機械付きサングラスを取り出して女性に渡す。
僅かな異変だが、少し見ただけで女性はその異変に気付き声を上げた。

「これは…!?」
「水野晶の能力波によるものだ。僕も驚いたよ。キメラを停止させた能力波の倍は耐えられる設計だったんだけどね。
 明らかに以前より増幅している。この成長は予想外だ」
「博士に影響は!?」
「だから大丈夫だって。危ないからすぐ引いたさ」
「それならいいのですが…」
「もうひとつ、非常に興味深いことがある」

女性からサングラスを受け取り、故障した機械を操作しようと試みる。が、すぐに諦めて机に置いた。

「彼女の能力波は同行者、岬陽太に危機が迫った際により高まる傾向があるようだ」

残念ながらデータは残ってないんだけどね。と肩をすくめながら付け加えた。

「それでは…」
「ああ。今後は彼とも積極的に係わっていくという形になる」
「かしこまりました」


256:『月下の魔剣~邂逅~』
10/05/10 22:08:56 38Pgn8Eq
女性が一礼をしたとき、沈黙していたパソコンのモニターにウインドウが開き、
聞き取りやすい男の声がスピーカーから流れる。

「比留間博士。ご報告します」
「何だい?」
「例の実験の準備が整いました」
「ほう、思ったより早かったね。対象の様子は?」
「保護の際に錯乱状態にあったため若干の薬物投与は行いましたが、今は健康精神状態ともに安定しています」
「いいだろう。ではさっそく今夜零時より実験を開始する」

比留間は椅子から気だるげに立ち上がって少し歩くと、ふらりと揺れて机にダンと手をついた。

「博士!!」

慌てて駆け寄る女性を手で制して、近場の椅子に崩れるように腰掛ける。

「やはりどこかお怪我を!? すぐに医療班を!!」
「待て待て違うって。ただの副作用だよ」
「副作用って…あの試薬を!? あれは初期実験段階ですよ!?」
「効果は十分に立証された。だがやはり肉体と精神に係る負担が大きすぎるね。下方修正が必要だ」

つりあがっていた女性の眉が下がる。声も一転、どこか弱々しく。

「比留間博士。どうか…どうかご無理をなさらないでください。所員一同の心からの願いです」

心から心配する女性の顔を見て、比留間はふぅ、と目を閉じた。

「…ああ、わかったよ。安全性が立証されるまでは使わないと約束する」
「今夜はお休みになられてください。実験はいつでも可能です」
「ああ、そうさせてもらおう」


世界的な能力研究の権威。若き天才、比留間慎也。彼の裏の顔を知る者は、実はあまり少なくない。

だが、最終的に彼が何を望むのか。その真の目的を知る者は、彼以外に唯一人の男だけである。


<おわり>

あー…難産だった!!

考察の作者様には改めて感謝。そして謝罪を。完っ璧に悪役でしかもラスボスですよ比留間博士。
『月下の魔剣』シリーズの主題が 比留間慎也vs陽太と愉快な仲間たち ですので。今後とも暴れますw
次回からはちょっとずつ仲間を増やしていく予定です。各キャラ作者様、この変なシリーズに巻き込まれるご覚悟を。

ちなみに「例の実験」の対象は既出の人物だったりする。この実験が次回につながります。
比留間博士の最終目的を知る男ってのは作者の俺ー! ごめんなさい嘘です。
他作品の展開も見てシェアしてみるつもりなんで今後ともよろしくお願いします。

最後に俺的キャラ紹介。

比留間慎也
『比留間慎也の考察』でお馴染み、世界的な能力研究の第一人者。メディアへの露出も多い有名人。
黒の短髪でスーツ、白衣を着用。年齢は30代と若く結構なイケメン。
複数のキメラを使用し能力者の調査、その他にも怪しげな実験を行っている模様。
その目的、能力ともに謎に包まれている。

考察してるのは2004年の比留間さん。
これは現在、2010年の比留間さんっつーことでw

257:創る名無しに見る名無し
10/05/10 22:09:49 38Pgn8Eq
ここまで代理レス

258:創る名無しに見る名無し
10/05/10 23:29:08 OOA+eSYh
晶はツッコンデレ…と
博士凄いな。何の能力も使わずにこの威圧感

>仲間
ついに…奴が月下本編に…

259:創る名無しに見る名無し
10/05/11 20:48:22 9F7C7Wwr
tesuto

260:『月下の小ネタ・資』
10/05/11 20:55:59 9F7C7Wwr

白夜「ふふふ…」
ドウラク「ふははははは!! 待ちかねたぞ晶君!」
晶「…なんでこんな夜に呼び出されなきゃなんないのさ。変なおじさ…ドウラクさんその子誰。妹さん?」
ドウラク「いやこの少女はだな」
白夜「なんて汚らわしい! 矮小なこの男とこの私が肉親ですって!? 
永久に巡り廻る輪廻の鎖、その一片たりともそんな可能性などありはしないわ!」
ドウラク「何だと!」
晶「うわぁ…(陽太の女の子バージョンだ…)」
白夜「私の名は白夜。夜の闇を祓う者、白夜よ」
晶「あー…よろしく…(陽太の言ってたゴスロリってこの子か…)」

晶「…で。こんな夜中でしかも屋外に僕だけ呼ばれた理由は何」
ドウラク「あー…コホン。実はだな、次回より少年が本格的に仲間を増やすという話を聞いたのだ。
当然そこは能力相性に優れ、かつ人気も高い私がなるべきであろう?」
晶「えー…相性良かったのアレ…人気ってのも疑問だし」
ドウラク「だがそこで対抗馬が現れた」
白夜「皇剣・朧夜(こうけん・おぼろよ)」ブン
ドウラク「あうちっ!」バキッ
白夜「私を馬などと愚かな獣に例えるなど許されないことよ!」
晶「ええっと…何これ。カニなの? でっかいカニのはさみなの?」
白夜「私の夜間能力、異形錬金【ヘレティック・アルケミスト】。2つの物質を結合させ、その特徴を併せ持つ
新種の物質を生成する力。これは岬月下の生み出したゴボウとカニを融合させ生み出した剣。皇剣・朧夜よ」
晶「あー…なるほど。これは相性良いわ」
白夜「わかるでしょう? 貴女は愚者ではないようね。決め手に欠ける岬月下を救済すべきはこの私なのよ」
晶「うーん…確かに大根振ってるよりは様になるけど…」
ドウラク「いいのか晶君。二人の厨二は共鳴し高め合い、君のツッコミ労力は倍以上に跳ね上がるぞ」
晶「それは困る!」
白夜「黙りなさい! そう言った点では貴方も大差ないでしょう?」
晶「ああ確かに」

ドウラク「まあ、この通り。話し合いでは決めかねる。そこで、真に少年の仲間になるべきはどちらか、
その決着をつけるために我々はここに集ったのだ」
白夜「岬月下と悠久の時を過ごしてきた貴女こそ、このダンスパーティーを見届ける者としてふさわしいわ」
晶「悠久って…まいいけどさ。ダンスパーティーって何さ」
ドウラク「勝負の方法は紳士のスポーツ、チェスだ」ドン
晶「チェスって…将棋と同じで戦場のゲームじゃないの?」
ドウラク「その見解が一般的だが、それでは将棋で言う飛車角の動きを併せ持つ女王、クイーンの強さは不可解だろう?
チェスの盤面は、一説にはダンスパーティーの舞台といわれているのだよ」
晶「へぇー…(無駄に博識だこの人)」
ドウラク「さて、役者も揃い、満月も天頂に達した。さあ白夜よ」
白夜「さあジェントル、始めましょう。この醜くも美しいダンスパーティーを」

晶「(ああ…なるほど)」
晶「(月下の席を求めて、白の紳士と黒の少女がチェスで対決…か。確かに絵になるかもしれない)」

261:『月下の小ネタ・資』
10/05/11 20:57:22 9F7C7Wwr

白夜「巡る輪廻の鎖、永久に続く苦しみより私を解放し勝利へと誘え。ポーン!」
晶「 !? 」
ドウラク「紳士たる私に敗北はない! 約束された勝利への第一歩を踏み出せ。ポーン!」
晶「え? え?」
白夜「さあ、運命の道を。栄光へと続く道を開きなさい。ポーン!」
ドウラク「さらに踏み出せポーン! 戦場深くへ侵攻し全てを薙ぎ払え!」
晶「ダンスって言ってたよね。ねえダンスって言ってたよねドウラクさん」
白夜「貴女の道は開けたわ。その力を解き放ち盤面を支配しなさい。クイーン!」
ドウラク「力押しなど浅はかだぞ白夜! これぞ紳士の戦略! 駆け抜けろ、ナイト!」
晶「っていうか…何? その前口上は必ず言わなきゃいけないわけ…?」
白夜「私のクイーンに触れるなど許されない! その穢れた騎士に咎を与えなさい。ビショップ!」
ドウラク「好きにやらせはしない! 出ろルークよ 女王の自由を奪うのだ!」
白夜「かかったわね! そのルークの命、刈り取らせてもらうわ! ビショップ!」
ドウラク「ぐわああああああっ!!」
晶「チェスってこんなにぎやかなゲームだったっけ」
ドウラク「ふ…ふふふふふふ…」
白夜「何がおかしいの? 私の鮮やかな戦略にあてられ気が触れてしまったのかしら?
まだほんの戯れだというのに、愚者とは哀れなものね」
ドウラク「ふははははは!! そのルークは囮だったのだよ! 見事に綺麗な道を空けてくれたものだ!」
白夜「な、なんですって!?」
ドウラク「さあ貫け! 敵陣深くへと切り込み蹂躙せよクイイイイン!!」
白夜「キャアアアアアッ!!」
晶「うるさい上無駄に長いよ! まだ全然序盤だよねこれ」
白夜「…愚者のくせにやるわね」
ドウラク「お前もな」
晶「…もう勝手にして」

~五時間後~

晶「…くぅ…くぅ…」
ドウラク「ふ…ふははははははっ!」
白夜「…くっ!!」
ドウラク「長かった戦いもようやく終焉を迎えるときがきたようだな! 白夜の王にもはや逃げ道はない!」
白夜「まだわからないわっ! 貴方の王もすでに丸裸! さあ、必死に守りなさい!!」
ドウラク「見苦しいぞ白夜! わかっているのだろう、次の一手で君の王は詰む!」

パァァァァ(朝日)

ドウラク「ふふふ。昇る朝日も私の勝利を祝福しているではないか…」
白夜「くうううぅ…」
ドウラク「さあ終わりだ! 主人公の座は私がもらったああああ!! チェックメイ」
白夜「天導者の詩【エコーズ・オブ・フォールン】!!!!」
ドウラク「ぎゃああああああっ!!!!」
チェス盤「バシャーン」
晶「…くぅ…う…ふぁっ!? 何!?」

白夜「………」
ドウラク「うああああああっ!!」
晶「…何この状況」

262:『月下の小ネタ・資』
10/05/11 20:58:16 9F7C7Wwr

陽太「…こんな朝っぱらから外で何してんのお前ら」
晶「あ、陽太おはよー」
白夜「 !? 」
ドウラク「あああぁぁっ……。………? 何だったんださっきのは」
陽太「なんでオッサンと白夜が一緒にいんだよ。ドクトルJはどうしたんだ」
ドウラク「オッサンじゃない紳士だっ! それより見たまえこのチェス盤を…ってあああああっ!!」
チェス盤「グッシャリ」
白夜「突如錯乱した貴方が蹴り飛ばしたの。きっと貴方の内心は主人公となることを恐れているのよ」
ドウラク「何だと!? 馬鹿な!? そんなはずはないっ!!」
陽太「主人公って何の話だオイ」
白夜「そんなことより岬月下、貴方の仲間となるべきは私よね。貴方に勝利を与えるのは私の剣。そうでしょう岬月下」
ドウラク「何を言うか! 巨大な敵に立ち向かえるのは私のシザーゴーレムのみ! 少年よ、仲間とすべきは私だろう!」
陽太「あー…その話か。ええっとそれはだな………」
白夜「………」ドキドキ
ドウラク「………」ドキドキ

陽太「悪い。お前らもうしばらく待機な」

ドウラク「はっ!!!?」
白夜「えええっ!!!?」
陽太「じゃ。そういうことでっ」スタタタッ

晶「行っちゃったね」
ドウラク「………」
白夜「………」
晶「いいことあるって」

白夜「エコーズオブフォールーーーーン!!!!」
ドウラク「ぎゃああああああああっ!!!!」

晶「…もうこの二人で組めばいいんじゃないだろうか」

<おわり>

>>258からパッと思い浮かんだ小ネタ。思いのほか長くなってもーた。
やっぱり難しいよ白夜厨二テキスト再現できないよ白夜。誰か厨二力を俺にわけてくれ。
なお次回に仲間になるのはこの二人のどっちでもなく、どちらかと言えばツッコミ役のキャラですので悪しからず。

263:創る名無しに見る名無し
10/05/11 21:14:39 6ysSmsdF
なにこのチェス無駄に面白そうw

264:創る名無しに見る名無し
10/05/13 02:08:58 bY3Lgz7M
大分先の方に使うかもしれない妄想設定でも書いてみる

チェンジリング・デイ以降におけるスポーツ
 能力を使ってよい競技と能力が禁止される競技に分けられる。
 能力が禁止される競技においては、
 通常の審判の他に、誰かが能力を使っているか特定できる専門の審判が置かれる。

265: ◆akuta/cdbA
10/05/13 21:34:21 eoFv8Qqe
月野の昼能力はキャラ紹介でしか書いてなかったなーと思い。
URLリンク(loda.jp)

ファングぼこぼこにしていいよと許可もらったんでお借りしました

266:創る名無しに見る名無し
10/05/13 21:39:11 bY3Lgz7M
毛糸かわいい
最後なんちゅう解釈だwww

267:創る名無しに見る名無し
10/05/13 21:49:59 99BVn+Pf
容赦ない月野さん可愛いよ月野さん
そしていきなり腕焼き切られたファングさん可愛そうだよファングさん

268:創る名無しに見る名無し
10/05/13 21:50:10 +AFI3luw
>>265の約一時間後……。

フール「あれぇ? ファングさん、どうしたんですか? その手」 
ファング「なに、ちと火遊びが過ぎただけだ……っとやっと生えて来た」 
フール「いやぁ、相変わらず化け物地味た再生能力ですねぇ。流石ケダモノ」 
ファング「……おいこらフールテメェ! 結局は俺をケダモノ呼ばわりしてぇだけだろ!!」 
フール「わー、ケダモノが怒った―!」
ファング「待てゴルァ!!」

ヨシユキ「……なぁ、いつもこうなのか? この組織って」
ルロー「残念だけどそうニャ」
ヨシユキ「(……なんか、帰りてぇー)」

269:創る名無しに見る名無し
10/05/13 21:55:43 bY3Lgz7M
ヨシユキ頑張れw

270:創る名無しに見る名無し
10/05/13 22:16:18 sCoEYg7t
やたー規制解けたーーー!!!

>>265
月野おっかないなー さすが炎使い


>>268
>>265から続くコンボはッ……! GJ以外のなにものでも無い
このファング×フールの小ネタ、地味に好きだったりする
ヨシユキ……ww



271:創る名無しに見る名無し
10/05/13 22:49:28 bY3Lgz7M
規制解除おめ

272:創る名無しに見る名無し
10/05/17 01:15:37 BwSkrGwF
避難所に投下アリ

273:創る名無しに見る名無し
10/05/19 23:48:33 M3BEk81r
つまんない小ネタですが、投下しちゃいます
すみません、クリアランスはとってないです
しかも、某スレのつづきだったりします



274:創る名無しに見る名無し
10/05/19 23:51:35 M3BEk81r

夏の陽は、長い。
まだ明るい神社の境内は、早くも人が大勢いた。

屋台で彼女にわたあめを買ってあげ、僕もラムネを飲みながらお祭りを見物して歩いた。

こういう、ジャンクなものを食べたり飲んだりしていると、思い浮かぶのは……


「あ」

僕は、真剣な眼差しでいけすの金魚を狙っている幼馴染の横顔を見た。


「フン、このオレの手から逃れられると思うなよ……水中型キメラが」

金魚すくいのおじさんは呆れ果てていて、
もうこいつには何も言うまい、というセリフを全身で表現していた。


「ライス・サルベージ、ウォータープルーフヴァージョン!!」


―あちゃあ、やっぱり……

僕は頭を押さえた。

セコい。セコすぎる。

水飴を挟む薄焼きせんべいをどこからともなく出しては、金魚をすくう柄杓が破れてもすぐに復元して……



275:創る名無しに見る名無し
10/05/19 23:54:23 M3BEk81r

僕はつかつかと陽太のそばに寄り、耳を引っ張った。

「痛ててててててててて!!」
「こら陽太! セコい真似しない!!」


「ふざけんなよ晶!!」
「ふざけてんのは、あんたでしょ!」

陽太は耳を真っ赤にして、僕を見上げる。

と、そのとき。

一瞬、陽太の目が見開いたと思うと、黙ってしまい、さっきの威勢はどこへやら。

視線が僕の顔から下に降りて、タンクトップのロゴのあたりを見て、
さらに下に降りて、それにつれて顔が真っ赤になっていって、僕のスニーカーまで下りたあと、

「へ、へん、と、とにかく、オレの邪魔はすんなよな!!」

顔と耳を真っ赤にしながら、目も合わせずにぷいっと顔をそむけると、陽太は逃げるように去っていった。


―(屋台のおじさんの)邪魔をしてるのはあんたでしょ。

僕は呆れて、幼馴染の後ろ姿を見送った。

傍らでは彼女が、僕らのやりとりをぽかんと見ていた。


.

276:創る名無しに見る名無し
10/05/19 23:57:55 M3BEk81r
↑以上で
オチが無くってすみません

>>262
無断でお借りしちゃいました、つい出来心で……申し訳ないっす

277:創る名無しに見る名無し
10/05/20 00:23:37 MNjj/JVm
タイトル付け忘れてた……orz

>>274-275は
『カルピス、くし、ペリカン』です


278:創る名無しに見る名無し
10/05/20 00:50:37 XuZCjJjW
陽太何やってんだw
てか晶服装エロいよ服装

279:創る名無しに見る名無し
10/05/20 01:26:55 KfrVQdiX
陽太、ズルはいかんズルはw
そして何だかんだ言いながらもやっぱ彼も純情な中学生なんだな。


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