10/05/29 20:56:55 Oi5aQQHz
ディスプレイを睨み、マウスをクリックする。
一拍の長さを示すバーが、半拍のバーと休符に入れ替わる。
画面上のボタンをクリックすると、青年のヘッドホンにメロディが流れる。
―うん、これで少し締まった感じになった。あとは……ビートの打ち込み直しだな。
ビートボックスからいくつかのパターンを選び出し、BPMを合わせて流してみる。
時刻は、もう午前4時を回っていた。
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DTMという言葉が普及しだしたのは、10年以上前になるだろうか。
パソコンが身近なものになり、絵でも写真でも、クリエイティブな作業をパソコンで行うことが多くなった。
音楽も、例外ではない。もともと、プロの現場では、それこそ『PROTOOLs』と呼ばれる有名なレコーディング機材があり、
レコーディングした音源をデジタル処理して補正・加工などを行っていた。
そうした専門的な機材が無くとも、自宅のパソコンひとつで作曲・編曲ができるソフトが出始め、
「(楽器などを使わず)机上で作成する音楽」という意味でDesk Top Music、略してDTMという言葉が浸透した。
音楽は好きだけれど楽器は弾けない……という人は多い。
青年も、その一人だった。
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