09/11/27 06:38:39 J5eRaFiy
「まあ、君も男だ……そういうものに興味を持つことは、けして悪いことではない」
ぶっちゃけ泣きたかった。よもやこんなコメントを貰う為にアイドルをやってるわけでも、武田と懇意になったわけでもない。
しかして嗚呼、悲劇かな。
こういったものはみっともないほどに言い訳をすればするほど墓穴を掘るわけで。
「いやそのこれはですね、愛ちゃんが持ってきたものでしてけして僕がそういうものの為につかうわけではないわけでしてその」
「僕達は聖人君主ではない。相応の性欲を持つことは、人類の発展においても必要不可欠だ……むしろ、取り繕う君の言葉の是非を問う」
ああ、なんかそれっぽいこと言ってるけどつまり、『いいわけすんじゃねーよ、つまりそれでシ○るんだろ認めろよアン?』ってことだよね。
ここで大人しくハイの一言を言ってしまえばいいのだけれど、思いのほか、重大な問題へと武田氏の中で昇華されている現在、
おいそれと認めてしまうのもそれはそれでまずい気が、と基本的にヘタレな彼のロジックはどこまでも逃げ腰だ。
「君も男だろう?」という武田の言葉に意識を戻す。そう、その一言の重みを君は乗り越えてきたはず。
アイドルアルティメイトを間近に控えた現在、この程度の苦境で潰れるようでは到底。そう武田の目は物語っているような気がした。
彼の視線を受け止め、涼は力強く頷く。
そうだ、この程度でへこたれるほど、僕は弱くないはずだ。自分を信じて!
なんだかんだで、涼もちょっとアレ気な部類なのだろう。
涼は典雅なソレを手に取り、武田の心にも届くように言葉に力をこめた。
「はいっ。僕はこれを使います! 目一杯!」
「……よくぞ言った。桜井君。彼はやはり素晴らしい人物だ。そう思わないかい?」
「え?」
振り向いた先、閉じたばかりのドアの前で桜井夢子は汚物を見る目で彼ら二人に向けていた。
おわり