THE IDOLM@STER アイドルマスター part4at MITEMITETHE IDOLM@STER アイドルマスター part4 - 暇つぶし2ch■コピペモード□スレを通常表示□オプションモード□このスレッドのURL■項目テキスト300:「世界はキラキラ」 8/9 10/02/27 01:05:45 itQLFhRm * * * 今日、テレビ局でオーディションが行われる。 かなりハイレベルなオーディションだ。参加者は全部で十人で、合格は二枠。厳しい闘いだ。 その、更衣室。 電灯は消され、部屋の中は暗い。何も見えないそこに―― きぃ、とドアが開き、誰かが入ってきた。 誰かはロッカーの一つを開けて、ごそごそと何かをやっている。 ――私は電灯のスイッチを入れた。 「!?」 白く光り出した電灯が照らす人影は、 東豪寺麗華のものだった。 「……桜井夢子」 彼女は、さっきからずっと、壁に寄りかかっていた私を睨む。その表情に慌てたものはない。 私は彼女がいじっていたロッカーに近づく。彼女が手に持っていたのはワセリンで、ロッカーに 入っていた靴の、底に塗っていたようだった。 「まぁ大体分かってたけど、あなただったのね」 「……それが、何か?」 フン、と麗華は鼻を鳴らして髪をかきあげた。 「私が大声をあげて、あなたがイタズラしてるところを見た、と言ってもいいのよ? 桜井夢子さ ん」 なるほど。私に見つかっても実害はない。麗華らしい、狡猾な作戦だと思った。 「前科のあるあなたと、八方美人な私。みんなはどっちを信じるかしら?」 勝ち誇ったように笑う麗華。 しかし。 「すれば?」 「……え?」 「あなたには私にイタズラをする権利がある。だから、好きなだけするといいわ」 「……」 淡々と認める私を不審に思ったのだろうか。麗華は目を細める。 「けどね」 私は再びロッカーを覗きこむ。そこは私のロッカーではない。誰か別の、知らないアイドルのも のだ。 「私以外の誰かにするのは、やめておきなさい。それはもう仕返しじゃないわ。あなたは、昔の私 に成り下がってるだけ」 「……ふざけないで」 低い声で、麗華は言った。顔は俯き、拳を震わせながら。 「あなたに何が分かるの! 私はあなたのせいでオーディションに負けた! 負けちゃいけないオー ディションだった! そのせいでこんなランクでくすぶってる! 桜井夢子さん、あなたが教えてくれたことよ! オーディションで勝つために何をしてもいいっ てね! それの何が悪いの!」 「……そうね。返す言葉もないわ。私も昔、そう思ってたから」 けど、と私は問いかける。麗華をまっすぐ見て。 「それであなたは、何かを得られたの?」 「――――」 麗華が口を閉ざした。 「私は得られなかった。総てを失う羽目になったわ。プライドも、アイドルを志した動機もね」 ふぅ、と息をつく。 「……私の知り合いに、どうしようもないバカな男がいるの。あいつは“闘う”って言ってたわ」 「闘う……」 「そう。闘う。芸能界は嫌なことだらけよ。差別と偏見に満ちてる。隣を見れば足の引っ張りあい。 ……でもね」 そんな中でも、秋月涼は、いつだって輝いている。 「私は、涼の隣を歩けるようになりたいの」 だから。 「私には、好きなだけイタズラをするといい。いくらでも耐えてみせる。……その上で、実力だけ でのし上がってみせる。それが、私の闘いよ」 私は麗華の顔を見ずに、踵を返す。 「イタズラして、ごめんなさい」 最後にそれだけ言って、私は控え室を出ていった。 背後から、麗華のすすり泣きが聞こえてきたが、きっと気のせいだろう。 次ページ最新レス表示レスジャンプ類似スレ一覧スレッドの検索話題のニュースおまかせリストオプションしおりを挟むスレッドに書込スレッドの一覧暇つぶし2ch