10/01/07 06:15:06 uYIAOlEQ
( ゚д゚) 『・・・やっぱり期待してしまいますよね』
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/_
\/ /
 ̄ ̄ ̄
( ゚д゚ )
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/_
\/ /
 ̄ ̄ ̄
ええい言い訳なんぞしないっ!
レシPですごぶさた。つうよりこの局面で出てくるあたり俺自意識過剰過ぎワロス
小鳥さんで『七草十草』、4レスお借りします。
147:七草十草(1/4) ◆KSbwPZKdBcln
10/01/07 06:15:54 uYIAOlEQ
2010年のお正月もそろそろおしまいです。三が日もとうに過ぎ、週の終わりには学校の
授業が始まります。
芸能プロダクションである私たちの会社では、仕事納めや正月休みはむしろよくない
ジンクスになってしまいますが、去年から今年にかけてはありがたいことに、社長や私や
他のスタッフの皆さんはほぼ休日返上となりました。ええ、初詣も事務所の裏の神社です。
いいんです縁結びの神様だっていう話ですし。
なにより、私たちよりずっと頑張っているアイドルのみんなのために、私たちにできる
ことがあるんですから、それを喜ばなければなりません。
「お疲れさまです……おっと、小鳥さんだけですか?」
「あら、プロデューサーさん」
事務所のドアを開けて入ってきたのはプロデューサーさんでした。
「お疲れ様です。皆さん上がりですよ、もうこんな時間ですしね」
「えっ、まさか小鳥さん、俺のために事務所開けててくれたんですか?」
「いいええ。1月って営業日数少ないんですよね」
申し訳なさそうな表情になるプロデューサーさんを牽制します。気を使わせたいわけでは
ありません。
現在の765プロで、プロデューサーの肩書きを持つのは彼だけです。765プロは昔から
少数精鋭主義ですが、この人のように一人で10人ものアイドルをプロデュースできるような
人は滅多にいません。
「プロデューサーさん、やよいちゃん送ってきたんですよね。場合によっては直帰するって
電話でおっしゃってませんでした?」
「ああ、いや、早く体が空いてしまいまして。年が明けて一週間たつっていうのに事務所にも
顔出してませんでした、まあ生存証明をと」
「あ、そういえばそうですね」
プロデューサーさんの顔を見たのは、大晦日の打ち上げ以来でした。新春の生番組が
たくさんあり、彼はその立ち会いをしながら得意先回りや打ち合わせをこなしていた
のです。それで思い出しました。
「じゃあプロデューサーさん、改めて、あけましておめでとうございます。電話では言い
ましたけど、面と向かってはまだでしたから」
「あ、こりゃどうも。こちらこそあけましておめでとうございます」
お辞儀した私につられるように、ひょいと頭を下げてくれました。そして顔を上げる
と、なにか考えながら私の顔を見つめます。
「どうかしましたか?」
「……いや、小鳥さんの顔見るのも一週間ぶりだなって」
「な」
他意なく言ったのだと思います。この人はそういう人ですから。アイドルのみんなや仕事
相手、誰にでもふと心の芯をくすぐるようなことを言うのです。
でも、頭でわかっていても顔に血が上ってしまいました。
「っな、なに言ってるんですかプロデューサーさん、こっ、こんな私みたいな顔なんか
見たってなんにもなりませんよっ」
「あ、いやそんなつもりじゃ」
だ、だいたい毎日若くてきれいなアイドルのみんなと一緒にいて、お仕事先でも美男美女
ばっかりで、こんな私なんか箸にも棒にも引っかからないなんてこと充分わかってます。
わかりきってます。
でも、それでも……気になる人にこんな風に言われると、平静ではいられません。
148:七草十草(2/4) ◆KSbwPZKdBcln
10/01/07 06:16:48 uYIAOlEQ
そんな私を見て怒らせたと解釈したのでしょうか、プロデューサーさんは慌てて言い訳
をしました。
「からかった訳じゃないですよ小鳥さん、なにか気に障ったならすみません」
「べ、別にそんな」
上背のある大きな体で両手をぶんぶん振り回して、その焦り様が少し面白く、私はすぐに
機嫌を直してしまいました。我ながら簡単な精神構造です。
「気に入らないとかじゃないです、ちょっとびっくりしただけで」
「はあ」
「そんなに怖がらなくても経費伝票却下したりしませんから」
「それは助かります、ってそういうことでもないですよ、俺の方も」
「ふふ」
どうにかいつものテンションを取り戻して、プロデューサーさんと笑い合います。
「収録の方はうまく終わりましたか?」
「やよい、頑張りましたよ。満点ですね。むしろ俺たちフロア組の腹の音がマイクに拾われ
はしないかとヒヤヒヤしましたが」
今日のお仕事はグルメ番組でした。やよいちゃんはゲストの一人で、出演者それぞれの
アイデア料理を紹介し合う内容。当然ですがプロデューサーさんがご相伴にあずかる
ことはなく、美味しそうな匂いの立ち込めるスタジオで他のスタッフさんともども指を
くわえていたとのこと。
「やよいが、一緒に出演したアイドルの子と意気投合しちゃいましてね。種子島の出身って
言ったかな、彼女の実家も生活がちょっと大変な時期、あったらしくて」
「ああ、あの。境遇似てるかもって思ってました。明るい子ですよね」
「プロデューサーとしてはキャラクターがカブるんで少々心配なんですがね。けっこう歳も
離れてるっていうのに当人同士はもうすっかり仲良しですよ。番組的にも東西対決みたい
になって盛り上がりましたし、収録後も二人で話がしたいって言われたんで、俺は途中で
お役御免になってしまった」
「帰社時間が電話で聞いたのより早いって思ってたんです。そうだったんですか」
話題の終わりに、訊ねたかったことを聞いてみました。
「ところでプロデューサーさん、お腹空いてます?」
「えっ?そうですね、実はいささか。収録が収録だったんで胃袋をしこたま刺激されましてね」
「よかった。お雑炊の用意があるんですよ、召し上がりませんか?」
「雑炊?なんでまた」
「今日は1月7日ですから」
「ははあ、七草粥ですか」
「今日だけじゃないですよ。765プロではお正月の収録があると、事務所にお食事を用意
しておくんです。三が日はおせちがありましたし、昨日まではお餅も残っていたので
お雑煮もお汁粉もできました」
去年の春に来たプロデューサーさんはご存知ではなかったようです。
芸能界というところはせっかくのお正月だというのにお仕事がたくさんある業界です。
年若いアイドルのみんなは特に、ご家族とも別行動になってしまいます。せめて楽しい
収録になるよう、言ってみれば事務所が家の代わり、私たち事務スタッフが家族の
代わりをしているのです。
「あー、やよいがそんな話してたな、そう言えば」
「千早ちゃんや伊織ちゃんなんかオフの日も来て何やかや摘んでましたよ。いかがですか?」
「わざわざ作るんでしょう?なんか悪いな」
「お気にめさらず。私も今日はもうお仕事終了ですし、ごはんがまだ少し余ってるんです。
それにその、七草の方は日持ちもしませんし、残してももったいないですからね」
「そうですか。では、遠慮なく」
149:七草十草(3/4) ◆KSbwPZKdBcln
10/01/07 06:17:41 uYIAOlEQ
少しアピールし過ぎたかな、と思ったのは私だけだったようで、プロデューサーさんは
嬉しそうに笑ってくれました。
「今日の番組のメインテーマも鍋だったんです。やよいたちが締めの雑炊をがんがん
たいらげて行くのを見ていて、スタジオ乱入まで一瞬考えてしまいました」
「あはは、あぶなかったですね。作ってきますから、少し待っていていただけますか」
「小鳥さん」
「はい?」
「……あの、そばで見ていてもいいですか?」
「ふえ」
たぶん、何の気なしに言っただけでしょう。そういう人なのですから。空腹が先立って
いるだけなんだと思います。
「ぅ、い、いいですけど、男の人は面白くないんじゃないですか?」
「いやその……すでに待ちきれなくなりまして」
ね、やっぱり。
「は、はいはい。急いで作りますね」
でも、なぜでしょう。私の頬は緩みどおしです。
臨時のキッチンになっている給茶室で、熱湯に塩を一つまみ入れて七草をゆでます。
「普通なら七草ですが、今年は『十草』で作ってみましたよ」
「十種類?七草は『芹・薺・御形・繁縷・仏之座・菘・蘿蔔』ですよね」
「正解。それに人参、椎茸と豆苗を入れるんです」
水に取って絞り、1cmに刻んで取りおきました。これは最後に雑炊に混ぜます。
「色味を加えるつもりなのと、ほら、うちには今アイドルが10人いるでしょう?」
「ああ、そういう意味ですか」
誰がどれ、ということは考えていませんでしたが、頑張って働いているみんなになぞらえて
あげられたら、そう思ってあとから買い増したのです。
「でもそれじゃ、亜美か真美のどっちかが怒りませんでしたか?」
「ぬかりはありませんよ。もやしと同じ大豆で出来た油揚げも入れてあげました」
お鍋にご飯を2膳、鶏がらスープの素を小さじ1杯、ひたひたの水で煮立たせます。
「もっとも『もやしならやよいっちじゃないの?』って言われましたけどね」
「はは、俺も今そう思いました」
「カブや大根はともかく、あとはぜんぶ野草ですからね、言ってみれば雑草です。あんまり
深く突っ込んで割り振るとかえって雰囲気悪くしそうなんで誤魔化しました」
「ねえ、小鳥さん。これも入れてもらえませんか?」
ふつふつと小さな泡が立ち始めた頃です。プロデューサーさんが突然こんなことを言い
ました。怪訝に思って振り返ると鞄から出したのでしょうか、手にタッパーを持っています。
「なんですか?それ」
「さっき言ったアイドルの子からのおすそ分けなんです。やよいもずいぶん貰いましたが、
俺にもって。料理しない身にはちょっと困ってしまうんですよね、こういうもの」
今日の収録に持参した余りだったとのことで、彼女の出身である九州では七草粥にも
入れるのだそうです。名前を忘れたが西日本で生える野菊の仲間だそうだ、と言われて
察しがつきました。
「関東で生えるのは食べられないんですよね。珍しいものをいただきました」
「小鳥さん、ご存知なんですか」
「昔教わった、くらいですかね」
150:七草十草(4/4) ◆KSbwPZKdBcln
10/01/07 06:18:33 uYIAOlEQ
詳しくは説明しないまま、ゆがいて他の野草に足しました。
溶き玉子を流し入れ、七草を混ぜて、塩と醤油で調味をしたら『七草雑炊』の出来上がり
です。
「お待たせしました。その子の地方ですよ、こうして具沢山のお雑炊にして食べるのって」
「いただきます。へえ、そうなんですか」
器に盛って渡すなりお箸で掻き込むのを、給茶室のテーブルの反対側で眺めます。
美味しそうに嬉しそうに、息もつかずに食べる姿が可愛らしくさえあります。
「少し多めに作りましたけど、食べられそうですか?」
「うん、美味い。これならその鍋の倍でもいけそうです」
「七草はお正月に食べすぎた胃を休める意味もあるんですよ?逆効果じゃないですか」
すでに一杯目は空でした。注ぎ直した茶碗もみるみるうちに減っていきます。
「ああ、すみません小鳥さん、小鳥さんも一緒に食べませんか」
「あ、そうですね。いただきます」
「ふう、いつもこんなの食えたらなあ」
……純粋にお腹が空いてるだけだと思います。この人はそういう人です。
「ま、またなにか作って差し上げましょうか?」
「嬉しいなあ、ありがとうございます小鳥さん」
「いえ」
でも、耳が赤くなっているのに気づかれやしないでしょうか。
私が一膳食べる間にもプロデューサーさんの箸が止まることはなく、またたく間にお鍋が
空っぽになってしまいました。大根とカブの身で作っておいた浅漬けもすっからかんです。
「ぷふう、ごちそうさまでした」
「ひょっとして足りませんか?七草はもうないですけど、なにか作りましょうか?」
「そこまでお手を煩わせるわけには行きませんよ」
プロデューサーさんは椅子の背に体重を乗せ、お腹をさすりました。
「でもよかったです、この野草も無駄にならずにすみましたし」
そしてこんなことを言うのです。
「なにより『ひと草』増やせた」
「はあ」
「だって」
彼は私に向かって、にっこりと微笑みました。
「765プロには、アイドルは11人いるんですから。亜美真美のことじゃなく、ね」
「……え」
「うん、小鳥さん、あなたです」
……ど、どっ……。
どうせ、ただの茶目っ気で言ってるだけです。な、なにしろプロデューサーさんは
そういう人なんです。
でも、でも。……でも。
でも、そんなこと言われたら、意識せずにいられないじゃないですか。
だって、プロデューサーさんが貰ってきた野草は。
『私だ』って足してくれた野菊の名前は。
……『嫁菜』、って、言うんです。
知ってるんですか、プロデューサーさん?
おわり
151:七草十草(あとがき) ◆KSbwPZKdBcln
10/01/07 06:23:52 uYIAOlEQ
以上です。ありがとうございました。
えー、言い訳しないって書いたので言い訳しませんが、12月にはたくさん(未完)マークのついた
作品を生み出しました(出せてねえ)。いつか完成させたい。
2010年1本目でございます。ええ食い物祭りになってるのでのこのこ出てまいりましたとも。
いろいろググったら鹿児島では七草は雑炊にしてむしろがっつり食う、と書いてあったので
ネタにしました。種子島の貧乏アイドルもいつか顔出させたいと思っていたので好都合でした。
どうしよう、腹が減ってまいりました。
皆様のお口に合えば幸い。ご意見ご指導よろしくお願いします。
前作『美希曜日よりの使者』ご感想ありがとうございます。すぐ次の作品書けるって思ってたら
こんな有様ですorz
>>55
俺自身、美希というと金髪のイメージなのです。で、髪切らなくても美希って変わっていきますので、
こういう感じのゆるやかな変革が彼女らしいかな、という解釈でした。
>>56
覚醒美希はスペックがピーキーな感じがします。だからいよいよになると記憶に支障が出たりして。
その守りたさも魅力なのでしょうが、やはりのんびりゆっくりの美希が可愛らしいですよね。
>>57
流えええぇぇぇーーーッ!
ダメそれ俺の泣けるシーンベスト2なんだからダメ(ちなみにベスト1は黒炎を殴り飛ばす羽生パパ)
>>58
トンデモかバリバリか、というのは特に公式二次(ドラマCDとかDLCドラマとか)のような単発作品、
ゲーム本編のように成長を共に追って行けない作品で表現するのに適しているんだと思います。
だからこそそういうメディアであらわせない部分が見えたらいいなあと思いながら書いていました。
うまく出来てたら光栄です。
>>82
アイドルという職業や歌っているその場面は公式がプッシュすればいいわけで、普段見えてこない
私生活や日常の風景を描くことができるのが二次創作の旨味かと思っています。事務所でお茶
引いてるアイドルとか人知れぬ趣味に没頭するアイドル、妄想する事務員(それは公式も随分
やってんなあw)、etc……。これからも楽しく世界を広げて行きたいと思います。
>>107
「通常美希の方が地に足は付いてる感じ」禿堂。誤解を恐れず言えば、覚醒美希はハニーに
カンフル入れられた美希で、非覚醒美希の方は通常の栄養で育てられた美希。
今年もよろしくお願いします。仕事は春までこの調子だぜありがとうございますーっ!
152:創る名無しに見る名無し
10/01/07 08:24:31 hUzhsHeg
雪歩以外のゴミキャラどもが無残に死ぬ話が読みたい
153:創る名無しに見る名無し
10/01/07 08:46:31 O76lsnT2
>>151
期待どころか、既定路線かと思ってましたよっとw
冗談はともかく、その自覚と根性と姿勢には敬意を表します。乙。
さて、内容ですが
落ち着いた大人の会話に見える中で、初心な小鳥さん可愛いよ小鳥さん。
今朝は一段と寒いですが、読んであったまれました。
しかしこのP、アイドルの子たちのランク上がったら修羅場招くんじゃないかw?
そのP争奪戦で、この人はこういう人、と理解してしまってる小鳥さんは、
参戦もせずに不戦敗な予感が…
154:創る名無しに見る名無し
10/01/07 12:46:58 /SES6Twt
>>151
これはひどいジゴロ
無自覚ジゴロでなくジゴロ
最後のオチ、これはいくらなんでも口説いているようにしか読めないw
もっとさらりと、
「小鳥さん、ぬかりあったんですよ。御自身の草が足りなかった。さっきのコレでぴったりです」
くらいで、もう小鳥さんなら脳内がスゴいことになる、たぶん。
いいなあ、俺も粥食いたいなぁ。嫁菜入りの。
155:創る名無しに見る名無し
10/01/07 20:00:56 epx5hn6g
ところであとで書くと言っといて感想書いてなかったのが1本あったんでカキコ
>>108
文脈といいオチの切れ味といい、同じ創発板にある星新一スレにも堂々投下
できるネタだと思いましたw
飲み会だと告げる時に、相手が女性だとつい言い足してしまう小鳥さん。
そう言ったこと、プロデューサーと会話できたことでたぶん安心して、結局
いつものように深酒してしまう小鳥さん。
さりげなくメリークリスマスの予行演習を妄想しておく小鳥さん。
知り合いにメリーと言われないように微妙に人目を避けて歩く小鳥さん。
お掃除のおばちゃんにダメ押しされてもまだ前向きに捉えようとする小鳥さん。
>小鳥はちょっと心配したように訊いた。
……「ように」?
男声の電話と聞いてまだ諦めてなかった小鳥さんw
可愛らしい小鳥さんをいっぱい拝見できました。
ごちそうさまでした。
156:創る名無しに見る名無し
10/01/08 01:18:23 XtR2C3AA
>>151
意識されてる訳じゃないとわかってても律儀にときめいてしまう小鳥さんが初心可愛くてたまらんです。
でも、見方によったらPは本当に小鳥さんにアプローチしてるけど
Pが自分を選ぶはずが無い、と思い込んで天然ジゴロとして流してるとも見れますね。
完全な天然にしてはレベルが高過ぎますしねw
ともあれPは責任をとって小鳥さんを嫁に取るべきです、GJでした
157:創る名無しに見る名無し
10/01/09 03:16:42 d4OCw1+i
>>151
なんと。釣れたw
・・・いやいや、失礼。そこで決して期待を裏切らないところが最高です。
なんというか、小さな幸せを拾い集めて頬を緩める小鳥さんが実にかわいらしいところです。
うーん、少なくとも創発ピヨちゃんはものすごい非の打ち所ない優良物件だと思うんだけどなあw
なんでこんなに自信なさげなんだろうか。公式が明らかにすることは多分無いだろうけども・・・
そしてここでも、食べるのをにこにこと観察されてしまうプロデューサー。
この辺りを見ていると、男の子のハートは胃袋にある、は至言だと思います。
事務所で二人きり、ご飯を用意して待ってる小鳥さん、というシチュエーションは確か96Pの第一作も
ほぼ同様のシチュエーションかなと思うのですが、アプローチしつつもこの人はこういう人、みたいな
一歩引いた感じがする点がある意味ピヨちゃん視点固定を強調しているようでもあり。
なんだよこれはこれで結構しっかり女性してるじゃん、って感じ?w
予定したラストに持っていく小技も随所に効いていて、つながりの部品がうまく連鎖しているのも見事。
あ、でも「お気にめさらず」は意味合いとしては「お気になさらず」と同じにはなるはずかもだけど
一般的に「お気に召す」が「気に入る」の意味で使われることを考えると、ここで使うのは避けた方が無難かも?
あと、ちょっと個人的に気になったのが「千早ちゃんや伊織ちゃんなんかオフの日も来て何やかや摘んでましたよ」
ここでは微笑ましい一言ですまされている一方で、なぜ彼女らが正月だというのにプロデューサーがいるわけ
でもない事務所にオフでも来ているのか、とか考えてしまうと・・・千早はもとより伊織もそれなりに愛されてはいる
ものの「家族が構ってくれない」ことについてはそれなり以上に寂しい思いしてそうだしなあ、とSPのアイドラ見つつw
自宅に居場所がない同士のちはいおがたまたま鉢合わせ、みたいなシチュも面白いかも?
・・・えっと、ここにみんなのおうちがあって、血はどうであれ心のつながった家族がいるんだからねっ、とか
いやま、それ自体はともかく。そういう引っ掛かりをごくさりげなく用意しているとこが自然な深みを演出してるなあ
とか感心してみたり。
なんにしろ期待に違わぬご登場に感謝。読んで胃がほっこり温まってくれましたw
158:創る名無しに見る名無し
10/01/18 05:09:48 PpMJ4T5w
>>146-151
小鳥さんの優しさが、Pの目の前で零れ落ちてるよ
小鳥さんは不憫だなあwww
159:創る名無しに見る名無し
10/01/18 21:46:20 PpMJ4T5w
とても遅ればせながら、明けましておめでとうございます。
空気を読まずにギャグ(?)を投下します。
2レスお借りいたします。
160:日高愛は中二病 1/2
10/01/18 21:48:42 PpMJ4T5w
日高舞は家で掃除をしていた。その日の昼下がりには、中学校の授業は既に終わっていたが、
娘の姿は無い。彼女がアイドルとしてデビューしてからこのかた、
仕事やレッスンで時間は埋められ、昼に家へ帰ることは稀なことになっていた。
「あの子の部屋はどうなっているかしら。散らかってたらいけないわ」
母は呟いた。発せられた言葉とは裏腹に、明らかに楽しそうな顔をして、
娘の部屋へ近づいていく。思春期の少女ともなれば、父親は勿論、
同性の母親にも自分の部屋に勝手に入られることを嫌がるもので、
日高愛の場合もご多分に漏れず、部屋を探られる度に金切り声を上げて抗議するのだが、
その程度のことで自重する日高舞ではなかった。
ドアを開けて、実際に部屋を開けてみると、まるで既に掃除されたように整理整頓されていた。
「自分で片付けるから、入らないでなんて言ってたけど、本当に掃除してたのねえ」
舞はニヤリとすると、ずかずかと娘の部屋へ入っていった。
そして、躊躇無く机に向かい、中身を漁り始めた。
「手帳、手帳はどこかしら」
娘の様子に目を配るのは親の義務よねえ、などと勝手きわまりない言い訳を述べつつ、
引き出しの中身を泥棒のように荒らしていく。娘の日記を兼ねている手帳を盗み見ることが、
この母親の楽しみの一つとなっていた。自分の手帳を見られたと本人が知れば、
勿論、顔を真っ赤にして怒るわけだが、そんなことを気に掛けるぐらいなら、
愛が母のことで思い煩うこともなかろうというものである。
「あれえ、無いわねー手帳、さすがに何度も見つけられて学習したのかしら。ん…これは?」
引き出しの中の手に硬い感触を感じた舞は、それをつかんで中から引き摺り出した。
「CD?あの子ったら、私の知らないところで、一丁前に音楽を嗜んだりしてるのかしら」
CDケースの表には、暗色に覆われた絵が入っていた。
その絵の中央には、教会らしき建物が、藍色で描かれていて、
上側には何やら文字らしきロゴが入っており、絵の下側には、
CDのタイトルと思しき文字がアルファベットで「DE MYSTERIIS DOM SATHANAS」と記されていた。
「うーん、何て書いてあるのかしら、デ・ミステリイス・ドム・サザナス?読めないわ」
机の上にケースを置くと、意地の悪い笑みを浮かべ、舞は言い放った。
「聴いちゃお!」
そうと決まれば話は早い。同じ引き出しに入っていたポータブルCDプレイヤーを、
これまた拝借し、イヤホンを耳につけて、音楽を再生した。
その途端、工事現場のような音がしたので、一時停止ボタンを押した。
「な、何よ今の…」
舞は、見るものも無いのに、思わず目を逸らした。だが、
娘の趣味に対する好奇心と怖いもの見たさの感情が勝り、
再生ボタンを押し直した。イヤホンから再び騒音が聞こえてくる。
よく耳を利かせてみると、ドコドコ鳴っている工事現場のような音は、
物凄い速さで叩き出されるドラムの音であることがわかった。
その上に覆い被さるように、不気味なエレキギターの音が流れて、
おどろおどろしい雰囲気を醸し出していた。舞は額を手で拭った。
おかしな曲だ、彼女は内心そう思った。自分の音楽に関する常識とは
かけ離れた曲だとも思ったが、聴けないことはない。しかしながら、
そう考えていられるのも、歌声が入るまでだった。
「!?」
人間の声?これが人間の出す声なのか。音程は黙殺され、
そもそも歌として全く成立していない。何と言ってるのかも全くわからない。
何かを呪うような、おぞましい音がイヤホンを通じて舞に襲い掛かる。
彼女はそっと停止ボタンを押した。今一度額を拭う。手には脂汗がべったりと着いていた。
「な、な、何よコレー!?」
日高家に悲鳴が響き渡った。
161:日高愛は中二病 2/2
10/01/18 21:49:23 PpMJ4T5w
「ママ、ただいまー」
日高愛は事務所でのレッスンを終えて、帰ってきたが、いつも出迎えに来る母親の姿が無い。
怪訝な顔をしつつも、居間に入ると、その母から呼び止められた。
「愛、ここに座りなさい」
「何、ママ、急に改まって」
「これはなんなの!」
娘が座ると、母は「DE MYSTERIIS DOM SATHANAS」を机に突き出した。
「ああー、ママそれ聴いたのね、ねえ、ねえ、どうだった、それ聴いて」
愛は、悪びれることなく、かといって、怒るでもなく、しげしげと相手の顔を覗いてきたので、
舞は眉を顰めた。
「この怖いCDは何!説明しなさい!」
「これって、Mayhemの『DE MYSTERIIS DOM SATHANAS』だけど。メタルの名盤だよー。
アッティラ・シハーの呪詛ボイスに、ヘルハマーのブラストビートが最高なんだから!」
「えっ」
「えっ」
まるで常識であるかのように語る娘の姿に、母は当惑するが、
その姿に娘もどういうわけか困惑した表情を見せた。
「ママったら、ポップスしか聴いたことないから、びっくりしたかもしれないけど、
メタル界隈では、捨て曲無し、名曲揃いのアルバムって評価されてるんだから」
「メ、メタル?それって、髪染めたり、厚化粧したりするアレ?」
「そんなポーザーとMayhemを一緒にしたら困るなー。ブラックメタルのジャンルを
確立させた偉大なバンドなんだから。そもそも、ヘヴィメタルで髪染めたり、
化粧したりするのなんて、実際にはほとんどいないんだけど」
「ポーザー?ブラックメタル?訳がわからないけど、とにかく、
こんな危ない音楽を聴くのは止めなさい。正直、聴いてて気が狂いそうだったわよ」
「ええー、やーだー。気が狂いそうになるって言うけど、そういう狂気を歌ってるのが、
このアルバムなんだから。」
「狂気なんて音楽には必要無いの!音楽を聴くなら、私の曲でも聴いてなさい!」
「嫌よ、ポップスなんて音楽じゃないもん!」
「なっ!私の全業績を否定するようなこと言わないでくれる?」
娘の暴言に色を失う母。
「だってそうでしょ。J-POPなんて、プロダクションとレコード会社が結託して、
似たり寄ったりの曲を追っかけに売りつけてるだけじゃない。
そんな曲、音楽じゃないわっ、ゴミよ。いや、ゴミ以下よ!」
「きー、何てこと言うのよ。このCDが貴方をおかしくさせてるのね、なら、捨てちゃうから!」
舞は、「DE MYSTERIIS DOM SATHANAS」を取り上げると、ゴミ箱に捨てた。
「あーっ!何てことするの、もうママなんて知らない!」
愛は、投げ捨てられたCDケースを拾い上げ、玄関へひた走る。
「舞、どこに行くの!待ちなさい、待ちなさいったらー!」
わが子に伸ばした手は、あえなく空を切り、愛は夜空の下に走り去ってしまった。
「どうして、あの子ったらヘビメタなんかに走っちゃったのかしら…」
思春期特有の精神の変動に振り回される母親がここにも一人。その疑問に答えるものはいない。
その後、雪歩の家にて、愛が保護されたりするのだが、その話はまたの機会にするとしよう。
162:日高愛は中二病(後書き)
10/01/18 22:06:16 PpMJ4T5w
自分で書きながらなんですが、キャラ崩壊酷すぎワロタwww
愛シナリオのOPで、舞さんが娘の手帳をガサ入れしてるのを見て
この話を思いついたのですが。
愛ちゃんの母親に対するコンプレックスが、あさっての方向に
爆発したらどうなるだろうと思って、このSSを書きました。
いや、ぶっちゃけていうと、アイドルたちがメタルにはまっているのが
書きたかっただけなんですけどねwww
呪詛ヴォイスを張り上げるアッティラ・チハーに
吐き捨て系の絶叫ボイスを弾き語りで披露するアレキシ・ユキホ
豚の生肉を舌でペロペロするハルカ・マニアック
そして、喚き声を上げながら、速弾きするアイ・アラヤ
そういうのが凄く見たいんです、見たいんです、見たいんです。
大事なことなので三回言いました。
まあ、こんなネタに感想をつけてくれれば幸いです。
163:訂正
10/01/18 23:15:39 PpMJ4T5w
>>161
×「舞、どこに行くの!待ちなさい、待ちなさいったらー!」
○「愛、どこに行くの!待ちなさい、待ちなさいったらー!」
吾ながら酷い誤植を見た!
164:創る名無しに見る名無し
10/01/18 23:43:28 Ny5IT3PX
愛の口調が引っかかる
165:創る名無しに見る名無し
10/01/19 00:51:01 ED4lCxxO
>>162
舞の型破り感が全く影を潜め、Typicalな「大人」にされちゃってるのにまず疑問が。
さらにはアイドルポップスそのものも全否定と来ちゃうと、
愛の物語そのものに対しても違和感が出てきちゃいます。
せめて、もう少し文章量を多くして、違和感をなくす理由付けや、
納得出来るオチを付けて欲しかったかなあ、と。
愛は単純なだけに、この愛とアイドルを目指して頑張る愛が結びつかないです。
166:創る名無しに見る名無し
10/01/19 00:58:31 4V6nVKLT
違和感と2chネタがはいったセリフ、アイマスにしては不気味な展開から、
これは夢オチとか妄想オチとかその類のがくるだろうと思っていたら、
そのまま発散してしまったので、よくわかりませんでした。
167:創る名無しに見る名無し
10/01/19 06:40:01 76frRmuS
>>162
ところが俺はHMに関してこういうスタンスの友人がいるので楽しめたw
ご本人おっしゃってる通りキャラ崩壊すごいですねな話なんですが、結末で雪歩んち行った
ってことは愛は雪歩にヘビメタ洗脳されていて、彼女のご高説は雪歩からの引き写しだった
(=雪歩がすでに感染してる)などと思うとすごく楽しいです。中二病の症例を垣間見た感じで
なかなかに背筋が凍りましたな。
雪歩の自室でソーユー系の音楽垂れ流しながら表情こそ明るいガールズトークで、でも
内容は常人に理解できない会話を繰り広げる雪歩と愛がもうSSの枠とかプロットとか飛び
越えて脳内に再現されました。と言うか再現されてしまいましたどうしてくれる。
……とはいえ。
すでに言われているとおり「そのキャラらしい立ち居振る舞い」になってないのがちょっぴり
残念な部分かと。具体的には舞さんが全然舞さんらしくないのが唯一最大。作中の愛の
言動は『中二病の愛』だと捉えればそうおかしくない(もともと愛はセリフや行動に極端な
特徴がないし、娘が母に対する態度としてはまあまあこんなもん)ですので、作中で舞さん
らしい舞さんを描写することで娘の中二っぷりを効果的に表現できたかも。
序盤は解釈の範囲内ですがヘビメタCDを発見したあたりから、舞かあさんというよりそれこそ
雪歩のお母様あたりならばしっくり来る行動と感じました。萩原家も大変だったに違いない。
またのお越しをお待ちしております。
168:創る名無しに見る名無し
10/01/19 18:13:59 QzVzUZX2
愛と舞の立場が逆の方が良かったかも
JPOP否定しても実績を残した舞と、JPOP肯定して母親越えを目指す愛だったら
キャラに合ってて納得できたような気がする
後書きが無いと、何を書きたかったのかSSだけでは伝わって来なかったのが難点
169:創る名無しに見る名無し
10/01/19 18:47:31 KdvlZFyC
ギャグと宣言されてるのに素直に笑えないし、
キャラ崩壊とストーリー発散で、後味がよろしくない。
しかもその上での最後の一説がなんとも。
そのお話はまたの機会、と使う以上は、もう少し興味を引く形にして欲しい。
激突!萩原組長VS豆タンク!お楽しみに!と〆てギャグに徹するとか、
保護された場所をとんでもない場所(八甲田山中とかアフガニスタンの首都カブールとか
八丈島の南東60kmの沖合とか876プロダクション地下25m地点とか)にするとか。
今のままだと、全然またのお話とする意味が感じられません。
170:島原薫 ◆DqcSfilCKg
10/01/19 20:41:45 e02CFjwR
前作へのご感想、まことにありがとうございました。島原薫です。
今回も投下いたします。
タイトルは『ちーちゃん』。メインは千早で3レス使用。百合表現がございますので苦手な方はご注意ください。
投下後終了宣言+前作レスへのお返しです。
171:ちーちゃん(1/3) ◆DqcSfilCKg
10/01/19 20:43:18 e02CFjwR
女同士なんて気持ち悪いと思った、のに。
更衣室ではいつも隅で身を縮こませながら着替えていたのが普通だった千早が、人並みに振舞えるようになったことに春香は内心、喜んでいた。
コンプレックスからか、人と一緒に着替えることさえ拒んでいた千早がここまで変わってくれるなんて。
まるで保護者のような感慨に浸りながら、当時のことを思い浮かべてはニヤニヤとした笑みを浮かべる春香。
そんな彼女にも、千早の視線が外れることはなかった。
ブラウスのボタンがひとつ、またひとつと外れていく度に千早の心はざわつく。
少し赤みがかった肌と白のブラジャーとの稜線が目に映るともう釘づけで、それでも片端に残った良心でもってチラチラと、
春香に気づかれないように観察を続けた。
無いものねだりだと、自分の胸を見て千早自身はそう片付けたつもりだった。
けれど、目に映る景色の中心には常に春香がいて、彼女よりもスタイルの良い女の子が並んでいても視線の向かう先はいつも同じ。
親友を羨む感情なんだと自分に言い聞かせているのに必死になって、
自分の中にいる、一番ちっちゃくてワガママなちーちゃんが口を開いてトドメをさされた。
すきなんでしょ?
着替え終えた春香がこちらを向いて、やっと自分の手が止まっていたことに気づく。
どうしたの? とクリクリとよく動く瞳が千早の胸を打つ。
やめて、そんな純粋な、綺麗な目で見ないで。
自分の中のちーちゃんがお腹を抱えて笑っているのを、千早は耳を塞いでやり過ごす。
少し春香の顔に怪訝そうな色が浮かび始め、「なんでもないわ」と、千早はボタンに手をかけた。
172:ちーちゃん(2/3) ◆DqcSfilCKg
10/01/19 20:45:15 e02CFjwR
滞りなくボタンを外すはずがなかなか終わらない。
やけに凝ったデザインの為か、小さくて数の多いボタンに苦労する。
それでも普段の千早ならなんてことはないのだけれど、俯いたまま目だけで正面を見ると、相変わらず笑顔の春香がそこにいた。
もう彼女は着替え終えている。
待っていると言われればそれだけのこと。けれど、微動だにしない(ように見える)春香にある種の恐怖すら覚え始めていた。
なんとかボタンを外し終え、今度は千早が胸を露にする。
春香は動かない。小刻みに震え始めた手にはもう気づいているのだろうか、あらゆるものが千早を不安にさせる。
ねえ、千早ちゃん。
なんと意地悪なタイミングなのだろう。
ビクリとして千早が顔を上げると、春香は先ほどまでの笑みを浮かべたままだった。
着替えてて良いよ、と言われたけれど上手く体が動いてくれないことに千早は更に焦る。
なにより、「私のこと、いつも見てるでしょ?」なんていわれた日には千早はパニックに陥るしかない。
内心、どこかの舞台から飛び降りたい気分でも着替えは続く。
次に何を言い出すのか、耳と心臓だけはせっせと働いていた。
「気づいてないと思った? いつからか分からないけどすぐ分かったよ」
震えが収まらない。
次に出てくるであろうと、勝手にシミュレーションしている最悪の言葉が秒刻みで更新されていく。
うなづくことも出来ない千早。その様子を見て、「正直ね」と、春香はひとつ大きな息をついて続けた。
気持ち悪かった。
173:ちーちゃん(3/3) ◆DqcSfilCKg
10/01/19 20:46:22 e02CFjwR
大きな大きな杭が胸を貫く。
何度味わっても、絶望に慣れることなんてないことを千早は改めて実感してしまう。
千早は考える。きっと春香の目には自分はなんて醜い生き物に見えるだろうと。
おこぼれを貰おうと下卑た笑顔で近づいてきた、今まで自分が拒否してきた人たちが小さいちーちゃんと共にせせら笑っているようにも思えた。
完全に挙動を停止した千早。他人から見れば、まるでその周囲の時間まで止まってしまったような空間が千早の中だけで広がっていく。
だから、「泣かないで千早ちゃん」と春香に言われ、やっと自分が泣いていることに千早は気づいた。
しかし、この絶望は到底、収まるものではない。
気持ち悪いと思っている人間とよく一緒にいられるものだと、一番外側にいる自分が強がりを言っていた。
でもね、と春香はハンカチを出して千早の頬に手を伸ばす。
イヤイヤと駄々っ子のようにかぶりを振る千早を無理矢理捕まえると、「お化粧、またやんなきゃね」と千早の頬を拭った。
「でもね、千早ちゃんなら良っかなって思ったんだ」
「……気持ち悪いのに?」
「うん。私もなんだかんだで見てるから」
「なら……春香も気持ち悪いわ」
「そうだね。気持ち悪いね」
人間はなんて現金な生き物なんでしょう。ほら、もう私の心は晴れているわ。現金ね。ずるいわね。
自分の中のちっちゃいちーちゃんが歌っている。千早はそっと近寄ってその子の頭を撫でてあげた。
お互いに涙でボロボロでみっともなかったけれど、自分のことを初めて可愛いと思った。
ちーちゃんはムッとした顔でそっぽを向くと、どこかへ行ってしまう。
千早はそんな愛おしい自分をずっと眺めていた。
おわり
174:島原薫 ◆DqcSfilCKg
10/01/19 20:47:09 e02CFjwR
投下終了です。以下、前作へのレス返しです。
>>89
こちらも言葉が過ぎていました。申し訳ありません。
アイマス勢でも特に幼い彼女に持たせてしまうあたり、罪深いのですが楽しいですよね。
>>90
たぶん涼くんともバカップルでしょうし、"いちおう"そういう勉強もしているんでしょうね。いやらしい子!
>>91
今回は飛び道具をこれでもかと使いました。書いた後、自分でも卑怯な作品だ、と思ったのは内緒。
>>92
推敲をなまけるツケがこういうところに現れてしまい、本当に恥ずかしい限りです。
どちらのミスも私のチェックミス、勘違いでした。ご指摘、ありがとうございます。
>>93
石川、武田あたりはまだ露出も少ないのでこちらが結構、好き勝手出来るのも利点というか、便利なところですね。
誤字の件は本当に申し訳ありません。
>>107
尾崎Pはアイマス世界には珍しく、ダメなところや嫌なところを多めに盛り込んだキャラで、
書く側としてはすごく魅力的な人物ですね。藪下Pは露出が少ないのもありますが、尾崎Pとは真逆な感じ。
これからもダメ尾崎Pを書いていきたいと思います。
>>123
仰るとおり、これを言ったらダメなんだろうな、という境界線を見ながらギャグやコメディーは書いております。
このラインを踏み越えたら不快、というのは見極めがなかなか難しいのですが、はまった時の爽快感めいたものは良いですよね。
武田が変態かどうかはこれからの活躍に期待ですw
あと、鹿学会は三谷映画『有頂天ホテル』のネタです。
それでは次回投下の際もよろしくお願いします。
175:創る名無しに見る名無し
10/01/20 18:47:19 j6flGsbl
>>174
女同士なんて気持ち悪いのに、私は彼女が気になって、
彼女がそれを知っていることを知って私は途方に暮れてしまい、
彼女も私を気にしていると判って私は嬉しくなってしまった。
はるちはキタ━(゚∀゚)━━!!!
……と手を打って喜ぶ感じじゃないテイストですけどw いろいろ考えてしまいました。
ほんの数十行の間に地獄と天国と迫害と寛容を味わう千早かわいいよ千早。
うまく書けませんがこんなことが繰り返されて千早は成長してゆくのだな、と
いうふうに感じました。
春香はなにをどこまでわかってんだかわかりませんが、当人的には百合とか
無関係で、けっこう単に大親友とでも思っててもいいなあ。
咀嚼のし甲斐がありました。GJ!
ひとつだけ確認です。
一番初め、『更衣室ではいつも~変わってくれるなんて』の2行だけ春香視点、なんですよね?
ここだけ意図が不明でした。
176:創る名無しに見る名無し
10/01/21 02:03:27 mKKPuqVv
>>162 えー、感想としては
・俺はわかるから楽しめたけど、(ブラック)メタル知らない人にはサッパリだよねえ……?
・言われっぱなしってのはやっぱり舞さんらしく無いかなー
といった所です。
個人的なイメージでは舞さんって、
「Mayhemときたら当然、Burzumもセットよね? あと、まさかVenomを聞いてないとか言わないでしょうね?」
「ママ、知ってるの!」
「知ってるというか……カウント・グリシュナックが逮捕されたのって私が返り討ちにしたからだし」
「ええええええええ」
「どんな音楽聞いたっていいけど、教会に放火なんてしちゃダメよ?」
ぐらいの台詞は言いそうかなーと。
もっと知らない人にもわかるような説明を入れないと、ちと厳しいのではないかと思う次第です。(説得力無いなあ)
177:創る名無しに見る名無し
10/01/21 10:14:45 jlWBSOQo
>>174
ある種のナルシズムであり、たぶん百合ネタに限らずこういった文章を書く人間のハートをゴンゴンと叩く内容ですな。
悶えろ俺! みたいな。
俺、百合千早はどうしても受け入れられないw
でも、自分が好きなキャラで百合ネタをされるとギャーッてなる理由が判ったので、面白かった。
ゴチでしたー
178:創る名無しに見る名無し
10/01/22 00:15:27 2/5dfo/e
>>162
厳しい意見が続きますが、発想そのものは面白いと思います。
まず失敗はここまで言われているように、日高家でやってしまったことではないかと。
てか、愛はこれでもいいんですが、この展開だと、むしろ愛の方が「ママの様子がおかしい?」って悩み始めてしまうレベルかと
普通に考えられる舞ママは明確に自分の邪魔をしない限りは娘の反抗期を放置するぐらい余裕ってタイプで、
そもそも娘がメタルにハマろうが、大して気にしないんじゃないかなーと
ぶっちゃけ、アイドル活動に固執する愛を見る目と大差なさそうというか
「はしかみたいなもんだろうし、好きにやってみたら?」って態度に終始した末に
「ママに判るわけないもん!」って飛び出したのはいいが、好きになったバンドが来日したときに
舞のサインもらって喜んでるってかむしろ拝んでるの見てしまった愛の図、なんて展開になりそうw
あるいは、>>168で先に言われてしまいましたが配役逆にして愛が家に帰ったら
「髪染めたり、厚化粧したりするアレ」が化粧台前に鎮座ましましていて、さらっと「あら、愛、おかえり」から始まり
「ままま、ママが壊れた!?」
「ていうか、メタルの人だってそんな真っ白けな人、今どきいないから!」
「やーよ、ポップスなんて音楽じゃないしー」
「自分の全業績を否定っ!?」
「だって私の業績を全否定できるのなんて、私自身しかいないじゃない?」
みたいなノリで結局舞が愛をふりまわす方がらしい気になってしまうんですな。
「母親に対するコンプレックスが、あさっての方向に爆発」に対して母親のパーソナリティが強いというかいい加減すぎて
フツーな母親というステレオタイプに収められず、こういうような常識ギャップがどうしても似合わない、という
その方向だとキャラに沿わすとどうしてもズレズレ親子の空回りになっちゃう感じ。
繰り返しになりますが、「アイドルたち、メタルにハマる」という発想そのものはなかなかアリだと思うので
後はその料理の仕方かな、という感じですね
配役を考え直してみる(例えば、同じ展開でも絵理とサイネリアorオザリンとかだとアリかも・・・いや、ベタ過ぎてダメか?)
あるいは>>167案に例があるように展開やシーンを考え直してみる、あるいは内容には手を加えないにしても文章そのものを
少し噛み砕き直す、などでその方向の話は充分作りようがありそうです
・・・でも、デス声は喉に悪いので、声でお仕事してる人は気をつけましょうね、とw
>>169
「~なのだが、それはまた別の話」とか「その話は別の機会に」みたいな結び方はよく見受けられるけど
案外状況を選ぶ方法なのかもしれないな、とはここのところ思ったり。
>>176
やっぱ、日高親子の力関係だとそんなふうになっちゃうよなあw
179:創る名無しに見る名無し
10/01/22 00:16:27 2/5dfo/e
>>174
うーん・・・自分としてはキライじゃないけども、ただ部品から客観視するとおそらくアウト、って感じかなあ。
その後の自分も気持ち悪い同士、につなぐことを前提としても、やはり千早に向かって気持ち悪い、と言い放ってしまう
春香というのは、それ「だけ」だと多分アウト・・・なんじゃないかなあ、と。本来は。
ところが、主観で見てみると、これが普通だったら違和感を覚えるはず、という基準に照らした結論ほど
ナシじゃなかったりするw
この辺りは、とりあえずなにか食べよう、バカリボンへたれ狼といった一連を読んだ結果として
「ちょっと原作とは違うけど、これはこれでアリじゃね?」という。例によっていつの間にかストライクゾーン広がっている結果かなあ、と。
これだけだと多分ダメだろうに、作中の言葉選びと積み重ねの結果として受け入れるに足る島原版が既に成立してる感じ
・・・とでも言えばいいか。 これは継続的に書き、投じている人の強みではあり。
人間関係の生々しさみたいなものを表現に取り込む試みについて、ここでは最も熱心に取り組んでいるのでは。
この辺り、前々から思っていましたが、なんとなく作中で登場人物同士がなにかいろいろとお互いの距離を
探り合っているようなのみならず、表現を通して書き手と読み手の間にも探り合いを持ち掛けられてるようなw
そういう印象を覚えるところ。
自分のネガな内心の声を「殊更にシニカルなモノの見方をするように造型した子ども時代の自分」として描く
心理描写とか、他人の目がこわい・他人の目に自分がどう映っているかこわい、という部分とか
なんか映像になった状態を想像するとTV版エヴァの終盤っぽいかも。
有頂天ホテルはまだ観てないなあ。ラジヲの時間は観たけど
765プロ版ラジヲの時間・・・って、聖白バラ女学院物語になるだけかw
180:創る名無しに見る名無し
10/01/22 15:04:03 D472HaU7
>>174
気持ち悪いの元は様々だもんなあ
虫を見て生理的嫌悪感からくる気持ち悪いも、
二日酔いで頭がガンガンする気持ち悪いも、
常識から外れることの不安からくる気持ち悪いも同じ言葉に表されてしまう
本文での気持ち悪い、がどの元をそれぞれどれくらいの比率で含んでいるのかまでは
春香自身が伝えようとしなければ千早には知りえない。
だから千早は一般的解釈に基づいて気持ち悪いの意味を捉えようとして傷ついた。
でも春香はそうじゃないよ、と。YESじゃないからってナイフのようなNOでもないよ、と。
背中のホクロみたいに今まで考えもしなかったしこれからも触れないまま
普通に生きていけることについて急に好きか嫌いか答えを出せと言われても
困っちゃう話なわけで。
その辺の誤解を解こうとするわた春香さんは可愛い、もとい納得がいくのに対して、
千早が百合に至る理由が弱いと感じた。
低ランク時代冬場地方ロケでツイン泊まったらエアコン調子悪くて
春香が一緒に寝れば暖かいよってベッドに入ってきてすやすや寝ちゃったとか、
ケーキバイキングに誘われるとこれおいしいよこっちのもおいしいよほらほらあーん
なんてされて向こうはそんな気ないのになぜか千早だけどぎまぎしちゃったとか、
そんなことがあったなら千早が百合るのもしかたないなと
思わせるエピソードがあれば受ける印象ももっと柔らかくなったかもしれない
181:創る名無しに見る名無し
10/01/22 20:26:44 i9DOJOPB
>>180
その辺りの過程を今回やるのは蛇足っぽくね?
当たりをただ柔らかくするんじゃなくて、インパクト狙いにきてる感じもする
>>179の言う以前までの作品が「作者レベルで」そういう緩衝にはなってる傾向はありそうだが
だが、それはそれとして
最初ツンケンして、馴れ合いに来たわけじゃないです、他人になんて興味ありません
人に合わせて活動もイヤです、デュオとか納得できないのですが、なちーちゃんが
「一緒に寝れば暖かいよってベッドに入ってきてすやすや」とか
「これおいしいよこっちのもおいしいよほらほらあーん」とか
そんなんなってるうちについには>>175っ・・・っていう過程は
別の話として読めればヨダレガデマスw
182:創る名無しに見る名無し
10/01/22 20:33:36 i9DOJOPB
誤>>175
正>>171
orz
もののついでに
>>177
ギャーッてなる理由って具体的にはどんなもん?
興味本位だがちょっと説明聞いてみたいw
183:創る名無しに見る名無し
10/01/23 01:07:02 k5x4TBGx
>>178 やっぱり絵理がメタルにハマると、
「オススメは?」
と聞かれ
「スカイラーク全部………?」
とか言ったりするのかな。
184:創る名無しに見る名無し
10/01/23 01:39:36 LiJd7bgU
>>182
概ね、>>177に書いたことが全部なのです。
以下、言い方を変えた冗長な表現。
自分が好きなキャラというか、アイマスかつ千早だからだけど、俺にとって千早が
恋をするのは、Aランクをも超え片翼となり一緒に羽ばたいてくれるPのハズなのです。
本編のベストエンディングですら、まだ千早は恋に気づいていて欲しくないとまで思う。
これはナルシズムだと思っている。俺の脳内にいる俺が考えた千早が好き、という。
百合だけでなく男同士でもそう思うんだけど、同性に性欲を感じるというのは、
ナルシズムにみえるのです。特に「相手も実はそうだった」系について。
物語の形を借りて性的なこころを描くことは、己の性癖の開陳にも似ていて、それをして
「こういった文章を書く人間のハートをゴンゴンと叩く内容」と表現し「悶えろ俺!」と表現しました。
まあ、多分に自分の不勉強があるのだと思う。世の中をみると、このレスの枠に収まるような
矮小なものではないはずだから。
しかし、こんな理屈は「一番しっくり来る俺がギャーッてなる説明」であって、ギャーッてなるのは
飽くまでも情動。これは屁理屈だ。
千早は俺のことが好きなんですね、って言いたいんだ。
185:創る名無しに見る名無し
10/01/25 11:53:21 vCVzPFpD
なるほどまずギャーッてなるのはあくまでも自分の中でって話で
それが他を否定するわけでない以上、そう思う人がいる分には普通だろう
「これはナルシズムだと思っている。俺の脳内にいる俺が考えた千早が好き、という」
「同性に性欲を感じるというのは、ナルシズムにみえるのです」
という二文があって、これらは共にナルシズムという同じ語でくくられてるが
「物語の形を借りて性的なこころを描くことは、己の性癖の開陳にも似て」
と含めて、自分の恋愛観・性愛観をキャラに投影して開示したいという
心理の一端だと考えそれはナルシズムだと解いてるってことでよさげ?
だとすると、それは何かを著さんとするものが共有する性癖でもあろうけど。
おそらくこちらも的外れに解釈してるんだろうが感覚の世界の話のようで
思うこと全部を受け止められるわけでなしという辺りで。
興味本位に対する丁寧な回答に感謝
186:創る名無しに見る名無し
10/01/26 04:10:05 3cCKSuXf
>>185
いえ、寸分違いなく。伝わってよかった。
重ねておくと、ナルシズムの否定ではなく、自分が百合モノの直接さを受け止めきれないんだと解ったのです。
ので、島原Pのこの作品はギャーッてなりつつも最後まで読めました。
※基本、食わず嫌いだけはすまいと、可能な限り読むのです。感銘を受けたら必ずレスをする迷惑なやつですw
187:創る名無しに見る名無し
10/01/26 22:03:07 O36/eTJt
>>174
容認意見が多いようなので、あえて。
>>185と本質は一緒なんだけど、こちらは春香に違和感を持ちました。
千早にこれだけの葛藤があるのに、春香には何もないのでしょうか。
恋愛感情なしに行為に走る春香、と解釈しても違和感があるし、
P以外に恋愛感情を持つ春香、と考えると更なる違和感が。
これまでの作品が伏線だと思うと、逆にこれまでの作品の評価を
この側面から考え直さないといけない、と思いました。
188:ダメP
10/01/29 06:27:24 HyV87+w6
初です。
第1話
P「っというわけで、君たちのデビューが決まった」
春香「えっ!」
千早「えっ!?」
P「何で聞き返すんだよ?」
俺はにやけてしまう。
P「だから、天海春香さんと如月千早さんのデビューが決まりました」
春香「えっ!」
千早「えっ!?」
P「…ケンカ売ってんのか?」
鼻から笑いがこぼれてしまう。
春香「だ、だって、わたしまだアイドル候補生で、歌も下手ですし、それにリボンですよ!?」
千早「天海さん、動揺し過ぎよ」
如月さんは天海さんを制す。
うんうん、如月さんは大人だな。
千早「わたしも天海さんに同意します。わたしの歌もまだ練習余地が残っていますし、それにまだ胸も成長していません!」
P「とりあえず落ち着こうか二人とも。やっぱり落ち着こうか二人とも」
俺は社長から来た書類を彼女たちに渡す。
P「まぁ、社長からの話で、来月に一組デビューさせなさいっつーことだ。で、」
春香「で?」
P「デビューさせたいアイドル候補生のうち、天海さんと如月さんを俺はプッシュした。で、」
千早「で?」
P「社長がいいよーって言ってくださったので、デビューが決まった」
春香・千早「いやいやいや!」
P「もうシンクロスタートか?」
春香「全然説明になってませんよ!?」
千早「何故わたしたちが!?」
P「う~ん、天海さんは明るくて歌に元気があるからかな。如月さんは、」
貧乳だから!
P「言うまでもなく歌が上手いからだよ」
千早「少し考えたのが引っ掛かりますが…」
春香「なぜユニットなんですか?」
P「それは…」
なんとなく。
P「理由はあるが、まだ言えないんだ…」
春香「そんな…」
P「まぁまぁ、後で言うよ」
何か思い付いたら。
P「とりあえず、来月デビューしますので、ユニット名考えといてください。候補が無ければ、こちらで考えた物の中から選んで頂きます。
で、新曲のリリースが再来月頭だから、歌詞と振り付け覚えてくださいね。レコーディングは来月真ん中ぐらいにあります。後、デビューするに当たっての書類がわんさかあるから、とりあえずこれはお家の方に…」
春香「ちょ、ちょっとちょっと、ま、待ってください! 一辺に言われても頭が…」
P「とりあえず書類にサインだけよろしく! ではまた明日! 8時! ここに集合!」
189:創る名無しに見る名無し
10/01/29 12:29:11 t760+KG9
>>188
感想書かせていただきます。
まず最初読んでると違和感がありました。
その違和感の本は千早と春香がお互いを「如月さん」、「天海さん」と呼んでいる所で、
普段、千早は春香の事を「春香」と呼び、春香は千早の事を「千早ちゃん」と呼んでるのが自分の中でデフォ、
というか公式のラジオドラマなどではそういう風になってるんですよね。
だからお互いを「如月さん」、「天海さん」と言いあってるのが自分の中で非常に気になったのです。
しかし、考えてみるとこれはこれで正しいですよね。
そもそもラジオドラマでは二人(というかアイドル全員)がそれなりに打ち解けてる設定なんですよね。
だから「春香」「千早ちゃん」という呼び方が成立するわけで、
この作品の様にお互いが面識が無かった、もしくは少ない状態では確かに「如月さん」、「天海さん」と呼び合っていても不思議はないです。
というより自分たちに照らし合わせてみると、いきなり名前で呼び合うって普通そんな事は無いですよね。
だから最初読んだ時の違和感って言うのはこの作品に対するものよりむしろ自分の思い込みに対する違和感なのかもと思ったりしました。
190:創る名無しに見る名無し
10/01/29 13:32:44 E5xy4bsY
>>188
なにそれこわいのガイドラインかとw
ここから千早がどんな紆余曲折を経て天海さん→春香になったかを思うと
先が思いやられ…いや、先が楽しみだ
第一話てことはまだ投下あるの?
>>1にもあるけど投下終了したら一言添えてくれるだけで
こちらもレスるタイミングが取りやすくなるさー
191:ダメP
10/01/29 20:55:47 HyV87+w6
>>189
感想ありがとうございます。
感想書いてくださるとか、なんか感動ww
>>190
コメントありがとうございます。
投下宣言忘れておりました! 了解です。
いえ、適当な感じで「春香」になりますよ?ww
まだまだ続く予定ですが、終わり方も考えておりませんので、
だらだら続く可能性もあります。
ふと暇ができたら、ちまちま打つといった感じですので、何か書いてるな程度に見ていただけるとうれしいです。
192:創る名無しに見る名無し
10/01/29 22:31:23 b7o0hyL8
>>188
まず、ここまでキャラもPもその相互関係も崩壊させるなら、
連載型の分割投稿は、合わない気がします。
何より、その一部だけを読んだ時に、毎回同じ引っ掛かりを持つから。
どうせ引っ掛かるなら、一度限りで、同じ世界で全部通しで読ませた方が、印象は良くなると思うので。
とまあ、暗に言ってますが、キャラや関係の崩壊で印象が良くないです。
「春香、でいいかな?」の出会いを否定してまで、書きたいものがなんだったのか?
少なくとも今はそれが見えないです。
タイトル的にもギャグだと思うんですが、上記の引っ掛かりのせいで笑いには至りませんでした。
193:創る名無しに見る名無し
10/01/29 22:53:29 e2BK1WDr
>>188
まず、あくまでも個人的趣味として、ですが。
会話形式は良いんですが、
誰々「」
と発言前に発言者名を書く所謂台本形式は、あまり好きではありません。会話形式なら会話形式で文頭の記名に頼ることなく
発言者を理解させるまでは達成しておいて欲しいなあとか思いますので。
とはいえ、冒頭のなにそれこわいのガイドラインを思わせる不条理ギャグなど、少しキャラ壊しを交えつつの会話形式だと
台本形式の方が適切と言えば適切なのかもしれませんけども。
「ユニット組んでアイドル活動」をプロデューサー、春香、千早の三人でのコント風にゆるい雰囲気で書く格好かな?
今のところ気楽に読める文を志向しているようですので、流れと雰囲気を楽しみたいと思いますw
アイドラとかコミュみたいな形に脳内映像に直すとまた面白げですね
それにしてもこのプロデューサー、そのうちやるだろ、発言と内心の声の逆転w
>>189
まあ例えば貴音が水瀬伊織→伊織殿→伊織、
美希がそこの人→プロデューサーさん→プロデューサー→ハニー
こういうような呼称変更の例はあるのと同様、展開的に春香に会う前の千早あるいは千早に会う前の春香など
敢えてそういう呼称を使う理由がある場合もありますので、そういう明らかに書き手の意図がある場合とかは
ケースバイケースかなと
194:ダメP
10/01/30 19:48:39 dbAbKf7w
>>192
感想感謝です。
実生活の都合上、なかなか書くことができないので、ちょこちょこという形にさせていただきました。
あと、皆さんのこういう展開を期待する! みたいなのにも機敏に反応できますしwww
まとめての方が良いなら、いっぱい溜まったら投稿という形になるようにがんばります!!
キャラ崩壊の印象が良くないのは重々承知です。申し訳ありません。
「春香、でいいかな?」の出会いと仰るのはどのような意味でしょうか?
分かりませんでした…。
書きたいものは、結論から言うと「春香」ですね。それだけです。
正直、わたしは千早は大嫌いです。このマセガキが…と思ってしまってwww
>>193
感想、ありがとうございます。
そう言った方の表現も好きなのですが、仰る通り、コメディ系台本で、深く考えずに、だらだら読めるものをと思いました。
発言者を書かない普通の小説も書きますが、テンポ良く進むために、できるかぎり描写を省き、台詞のみで進めて行きたいかなーっと現在は思っています。
プロデューサーのこれからのお馬鹿な行動に期待してくださいw
(あと、疲れた時の息抜きに読んで欲しいなーっという思いが少しばかりあります)
確かに、いきなり「春香」「千早ちゃん」と呼び合うと、私はすごく不自然かな、と思います。
現実感が薄れる気がしてしまって…。(コメディに現実感もくそもないと言われればそうですが…)
っていうか、ここの人みんな率直な感想くれて嬉しいなwww
オラ、なんだかワクワクして来たぞwww
195:創る名無しに見る名無し
10/01/30 20:25:17 hzrW9VPu
>>194
>「春香、でいいかな?」の出会いと仰るのはどのような意味でしょうか?
確か、ゲーム本編でPと春香が始めてのミーティングをした時の会話だったかと。
二次創作でそう言った本編でのお約束とかを無視すると違和感持つ人が多いですよ。
それだけで、物語への没入度が落ちますし。
196:ダメP
10/01/30 22:10:20 dbAbKf7w
>>195
了解しました。感謝です。
それも、あんまこだわると自由度が下がりますねぇ。気持ちも分かるけど。
どうでもいいですが、遊びのつもりで書いた小説に
ここまで真摯にレスをくれる人たちが正直すごいなぁと思ったり、
申し訳ないなぁと思ったり。
197:創る名無しに見る名無し
10/01/30 23:58:24 Klb7sUHr
>>195
うーん、正直こういう漫画で言うとギャグ・コメディ系の4コマ、あるいは1ページ漫画みたいなというか
涼宮ハルヒで言うとこのハルヒちゃん、あるいはロードス島戦記に対するようこそロードス島へ!みたいな
たとえが古いな・・・そういうような系統だと、そういうとこってこだわりどこにする必要ないかな
とも思うのですが
どちらかというと、この文でのキャラ崩しが容認できるものだったかの問題で仮にそこをおさえても
別の部分で違和感を見つけてしまうのではないかと
198:192
10/01/31 00:50:24 UKTY+aan
本人ですw
中身としては、>>195の言う通りなんですが、>>197もまた真実。
活動開始後最初のPと春香のミーティングで、名前で呼ぶ際に、選択肢になって、
正解は「天海さん」じゃなくて「春香」で、その時のPの台詞が
「春香、でいいかな?」というものなんですよ。
春香自身が、Pに「天海さん」と呼ばれるよりも「春香」と呼ばれる方を好むわけなんです。
それが、春香のキャラ立ちの一部と思えるわけであり、
つまりは、春香のキャラそのもの、Pのキャラ、さらにその二人の関係、
それら全てが原作と別物になっちゃってる、と言いたかったのです。
自分もSS書きの端くれなわけですが、自分の書き方からすると、
そういった原作の端々からキャラを拾い、関係を拾い、
矛盾や不自然さがないように、と考えながら書いて行くわけで、
それを無視して別物にするからには、何らかの意味があるはず、と考えるのです。
その「何らかの意味」が、結局わからなかった、というのが>>192の結論です。
そういう話じゃない、全然別ものと考えるべき、というのであれば、
出来れば、全然別ものであるという示唆が欲しいですね。
Pの描写とか、設定とかが一番でしょうが、まるで違う世界なんだよ、と示す部分が。
俺だったら、ギャグにするんだったら、例えば最終節、
もう少し春香と千早のキャラを生かして、Pが片っ端から情報を垂れ流して並べた後で、
春香は意味もわからず「頑張ります!」ととりあえず姿勢だけは前向きで、
千早がそこで冷静にツッこむ、ただしツッこみどころは変、とかやらせますねえ。
199:創る名無しに見る名無し
10/01/31 03:26:24 oVnTWnHs
>>117のいさしげPです。いつのまに規制解けてれぅ
ぶっちゃけ「やよいが可愛ければ」のノリで書いたため
温かいレスを頂けて驚きもののき山椒の(r
ご指摘下さった形式・視点切替を含め見返すほどに拙い文章ですね(苦笑)
精進したいです、いやします。
>>129
テラシュールw 冬のアイスは良く聞きますがこれは……!
文章もとても軽快で大変面白かったです
うすた作品は自分も好きだ~オージィ ビーフとかw
>>138
読む側にまで充足感が伝わるようですね
運動直後の蛋白質・炭水化物の摂取……結構な事じゃないですか
決して精神攻撃ではない幸せのお裾分けをありがとう
近くの店が高ぇんだよチキショウ
>>151
なにこのプロポーズ、2828しちゃうw
揺れる小鳥さんの乙女心、"乙"が取れる日も近いか?
さあ次は13人分だ
後の方のは自分では感想等書きづらいっすね……
ただ千早が勝手にヘビメタを歌うコミュがあったような
200:ダメP
10/02/03 08:35:46 jmDc55Pu
キャラ崩壊注意です!
以下より投下
第2話
~待合室~
千早「な、なんという強引なプロデューサー…」
春香「デビューは嬉しいんだけどね…」
ソファでぐだーっとするわたしたちに、小鳥さんが近付いて来た。
小鳥「あ、お二人さんおめでとうです」
春香「あ、音無さん」
小鳥「小鳥、でいいわよ。デビューするのに浮かない顔ねぇ」
千早「いや、ちょっと…」
春香「プロデューサーさんって、今日初めてお話ししたんですけど、あ、顔は前から知ってたんですけどね、その、どんな感じの人なんですか?」
小鳥「どんな感じの人って…。天海さんは何が聞きたいのかな?」
春香「あ、春香でいいですよ。あはは…」
千早「何か、少しぶっきらぼうのような感じがします」
小鳥「……(それはあなたでは? いやいや、)確かに、プロデューサーさんは適当な人に見えるかも知れないわ。でもね、彼の行動は一つ一つが深い考えに基づいているの。彼のすごい所はそれを微塵も感じさせない所なのよ。如月さんもいつか分かるわ」
千早 「…間が気になりますが、そういうものですか…」
小鳥「えぇ…」
春香「はぁ~、小鳥さんってすごいですねぇ」
小鳥「そう? あ、ありがとう」
千早「あ、千早でいいです!」
小鳥「え?」
千早「その、如月さんとかじゃなくて、千早で…」
小鳥「うん。千早ちゃんっ」
春香「小鳥さん、ありがとうございますー」
小鳥「うん。頑張って~」
小鳥さんを見送ったわたしたちは、また天井を見上げた。
春香「とりあえずユニット名考えなきゃ…」
千早「うん…」
一方プロデューサーは、仕事中にも関わらず、事務室の机でゲームをしていた。
P「(あ~、眠い…。あ! くそっ! 後ろから撃ちやがって! 卑怯だぞ!)」
と、プロデューサーの携帯が振動する。
P「ん? …小鳥さん?」
携帯の画面には、メールが写っていた。
「"今晩何かおごれピヨ(*`Θ´*)!"」
P「ん? …何で?」
201:ダメP
10/02/03 08:37:17 jmDc55Pu
第3話-1
~翌日~
春香「書類です」
千早「……」
P「あい、ありがとう」
春香「……」
千早「……」
P「ん。確かに頂きました。っていうか何? その目つきは…」
春香「いや…、その…」
千早「プロデューサー、お酒臭いです」
P「あぁー、昨日は小鳥さんと飲んでたもんで…。ごめん」
千早「飲むのは構いませんが、次の日に臭いを残すのは社会人としておかしくはありませんか?」
P「うっ…。おかしいとは思う。でも!」
プロデューサーはいきなり立ち上がった。
春香と千早は怒られるのかと思い、少し体に力が入る。
が、プロデューサーはそのまま出口に行き、ドアを開けた。
ドアの向こうでは、小鳥さんがソファに寝っ転がって、いびきをかいていた。
春香・千早「あ…」
プロデューサーはドアを閉め、またイスに腰掛ける。
P「小鳥さんよりはマシだと思うよ…」
千早・春香「(駄目だこの事務所…)」
P「お酒の臭いはごめんね。滅多にお酒を飲むことはないんだ」
春香「あ、そうなんですか」
P「うん。お酒もタバコも実は嫌いで…、あ、タバコは吸ったことないけどね。麻薬や覚醒剤もしたことないよ」
千早・春香「(誰も聞いてないのに…)」
P「とりあえず小鳥さんと飲みに行くのはやめるよ…」
腰を叩くプロデューサー。
P「あ、ユニット名決めた?」
春香「えっ!?」
千早「昨日の今日ですよ!?」
P「うん。社長に言わなきゃならないのはどうでもいいとして、営業ってか根回ししとかなきゃいけないからねぇ」
春香「根回し…」
P「今日中に決まると有り難いんだけどなぁ」
千早「今日中…」
P「とりあえず俺が考えたのは『だらっ娘2010』って感じかな」
春香「だらっ娘…」
千早「2010…」
春香「それって、来年は2011とかに変わるんですか?」
P「うん。なんなら2009にしてもいいけど」
千早「いや、っというかそのワンクール流したらOKっていうアニメ業界みたいな名前の付け方どうにかならないんですか」
P「如月さん変に詳しいなぁ…。どうかな? それでいい?」
202:ダメP
10/02/03 08:38:31 jmDc55Pu
第3話-2
春香「あぁ、」
千早「いいですよ」
P「ほんと!?」
春香「なんて言うわけないじゃないですか!?」
千早「ふざけるのもいい加減にしてください!!」
P「えぇっ!? 何そのコンビネーション!?」
この人、顔とスタイルはなかなかなのに、センス悪過ぎなんじゃなかろうかと、二人は思った。
P「じゃあ、何がいい?」
春香「って言っても、何も考えて来てませんし…。ねぇ如月さん」
千早「……あ、」
P「まぁいいや。また考えよー」
千早「あの、」
春香「そうですね」
千早「あの!」
千早はテーブルを叩く。
P・春香「うぉうっ!?」
千早「あ、ごめんなさい。あの…」
P「何?」
千早「ユニット名の件ですが…」
春香「…?」
千早「あの…、その…、A.I.E.Nってのは…、その、どうでしょうか?」
春香「如月さん…」
P「如月さん…。ごめん、それ何て読むの?」
春香「いやいやいやいやいやいや」
千早「エイエンです! 永遠!」
P「永遠? 何でまた?」
千早「その、」
P「イニシャルとか?」
春香「それだとイサラギ・アハヤとナマミ・エルカになっちゃいますが」
千早「永遠に歌い続けたいからです…」
P「それなら『永遠に歌い続けたい』ってユニット名でいいんじゃないかな?」
春香「いやいやいやいやいやいや」
千早「初めのAは、常に一番で有り続けようって意味で、その…」
P「初めのAは麻美のAじゃないの?」
春香「いやいやいやいやいやいや」
千早「…だ、駄目ですか?」
P「いいんじゃないの?」
春香「いやいやいやいやいやいやって、え?」
P「何でもいいよ。天海さんと如月さんが好きなユニット名なら」
何でもいいよはないだろと、二人は思った。
千早「え、天海さんは…?」
春香「え、わたし?」
春香は、にっと笑った。
春香「いいと思うよ。…いや、それがいいよ! 二人で一番になって、永遠に歌い続けましょう!」
千早「えぇ…!」
P「二人はこの先に降り注ぐ地獄の日々を、まだ知る由は無かった…」
春香「勝手にナレーションしないでください!」
千早「早く営業行ってください!」
P「えっ!? ハブられてる!?」
203:ダメP
10/02/03 08:41:04 jmDc55Pu
以上です。
まとめて投稿したいとこなのですが、時間的制約で…。
申し訳ない…。
204:創る名無しに見る名無し
10/02/03 19:18:03 ZqmUTSBw
勘違いしてたが、ダメPってタイトルじゃなくてペンネームなのか…?
だったら、タイトルくらい付けるべき。
205:創る名無しに見る名無し
10/02/03 22:59:43 Wi2F539/
アハヤはそこはかとなくエロく聞こえる名前だな
206:創る名無しに見る名無し
10/02/03 23:09:07 kWazoCmX
『批評バッチコーイ』って書いてないのにいきなり重くて固いもの振りかぶったらダメだ諸君www
まー書き手氏けっこうHPありそうなのでいいのかもしれませんが、力加減ヨロ。
>>203
まとめて読み返してなんとなく解ってきましたw
ようこそ創発へ。投下されたSSに対してはおざなりGJとか乙で流されるスレではないので、
それも含め楽しんでいただければと思います。
前回と今回を比べて、やはり1レスではなく数レス分はまとめて投下してほしいかも。会話文メインで
ざくざくって読んでしまうSSだと、1カット描写でまた来週では少し物足りないです。今回の3レスは
場面転換もあり、キャラたちが動き始めてることもあって楽しめました。ピヨ助だらしねえw
総評的なものはまだ無理っぽいですが、週に1回くらいのペースで来る分にはいろいろ
面白くできそう、と感じました。ラジオや現実世界のネタ混ぜ込んでもークタクタに煮込んでも
いいんじゃね?ってトコです。
これからもよろしくお願いします。
俺もタイトル欲しいな。
次回にでも考えてみてくださいませ。候補が無ければ、こちらで考えた物の中から選んで(ry
207:ダメP
10/02/04 06:41:09 ZRYBuFfw
>>204
タイトルのつもりだったんですが、普通の投稿の方でも出てしまってますねwww
申し訳ない。(タイトルなんかどうでもえぇよ…)
募集中で。
>>205
何故に?
>>206
感想感謝です。
まぁ、それだけアイマス好きがいるってことだと思います。
私だったら絶対批評とかできませんし。(そこまでアイマスが好きなわけではwww)
そうですね。ある程度まとめて投稿します。
ちなみに、続きを考えてないので、こういうネタを追加するんだ! みたいなのがあればよろしくです。
タイトルは考えてwww そんなセンスないですww
208:ダメP
10/02/04 06:43:42 ZRYBuFfw
アイマス小咄
第4話
P「とりあえず、作戦会議だ」
春香・千早「はい」
P「有名になるには、テレビ出演して、CD売り上げを伸ばして、コンサートをやるってのがあるが、ぶっちゃけ地道過ぎて面倒くさい」
春香・千早「ぶっちゃけ過ぎです」
P「で、社長からはアイドルアルティメイトというのはどうかと言われた」
春香「アイドル」
千早「アルティメイト?」
P「あぁ。まぁアイドル決定戦みたいな感じだ。例えるならM-1みたいなもんかな。地区予選で勝って、全国大会に出たら有名になれたも同然だ。敗者復活戦が無いのはM-1とは違うがな」
千早「なら甲子園に例えれば良いのでは…」
春香「何故漫才…」
P「とにかく、それで勝てばいい」
千早・春香「はい!」
P「優勝は無理だから、何としても全国大会には出てくれ。そしたら全国のお茶の間に君たちの漫才が流れるし」
春香「歌っ! 歌ですっ!」
千早「なぜ優勝が無理だと決めつけるんですか?」
P「それはうちの事務所に金がないからだ!」
春香「え?」
千早「は?」
P「金を払えば払うほど優勝するんだ。だが、うちは金が無いからな…」
春香「いやいやいや」
千早「そんな、賄賂で決まるのですか?」
P「当たり前じゃないか。芸能界をなんだと思ってるんだ?」
春香「え…」
千早「そんな…」
P「いいか。うちの事務所は金がない。で、社長も賄賂を渡すのではなく、アイドルは正々堂々、ボーカルとダンスとビジュアルで勝負するべきだと思ってる。
だから、アイドルアルティメイトに賄賂は払わない。なので、優勝は無理だけど、全国大会には頑張って出場してねってわけだ」
春香・千早「いやいやいやいやいやいや」
P「では、とりあえず君たちはレッスンを受けたまえ。わたしは根回しに行ってくるのでね。ほっほっほっ」
春香「……」
千早「……」
209:ダメP
10/02/04 06:44:38 ZRYBuFfw
アイマス小咄(タイトル募集中)
第5話
レッスンが終わり、シャワーを浴びている春香と千早。
春香「芸能界がそんなにドロドロしたものだなんて、考えもしなかったね…」
千早「そうね」
春香「でも、だからこそ勝ちたいよね」
千早「そうね」
春香「アイドルデビューか…。夢みたいに思ってたけど、もう現実なんだよね…」
千早「そうね」
春香「絶対頑張ろうね! 如月さん!」
千早「そうね」
春香「あ、そうだ…。せっかくユニットを組むんだし、呼び方が如月さんじゃ、ちょっと無愛想だよね…」
千早「そうね」
春香「ほんとっ!? じゃあ、千早ちゃん…て呼んでもいいかな?」
千早「そうね」
春香「ありがとっ! わたしも春香って呼んでねっ!」
千早「そうね」
と、春香が自分のボディソープが無いことに気付く。
春香「あ、千早ちゃん、えへへ…。ボディソープ取ってもらってもいいかな?」
千早「そうね」
春香「あ、あれ…? 千早ちゃん?」
頭から浴びていたシャワーを止め、千早の方に振り返る春香。
春香「千早ちゃん…。なんでシャワー浴びないでこっち見てるの? 鼻血出てるよ? 大丈夫?」
千早「……」
春香「…千早ちゃん?」
千早「…そうね」
春香「いやいや、千早ちゃん?」
千早の方に近付く春香。
千早「ブシュッ!」
春香「きゃぁあっ!」
大量の鼻血を噴出する千早。
春香「きゅ、救急車! 救急車! 千早ちゃん!? 千早ちゃん!?」
210:ダメP
10/02/04 06:45:57 ZRYBuFfw
アイマス小咄(タイトル募集中)
第6話
翌日、またまたレッスンを頑張る春香たちをよそに、営業活動に打ち込むプロデューサーであった。
P「……」
小鳥「プロデューサーさん、鼻くそほじって飛ばさないでください」
P「……」
小鳥「…鼻くそほじらない!」
P「はいはい~……」
小鳥「何してるんですか?」
P「メール送ってます」
小鳥「何の?」
P「A.I.E.Nに仕事くださいってメール」
小鳥「永遠に仕事を? 何ですかその都合のいい話」
P「いや、ユニット名です…」
小鳥「へ~。永遠って言うんですか」
P「エーアイイーエヌです」
小鳥「へ~。由来は?」
P「…何だったかな。確かわっほわっほ言ってた気が…」
小鳥「プロデューサーさん、そっちお花入ってるよ」
P「んくっんくっ」
小鳥「すごいんだよー」
(トラックが通る音)
(カメラズームアップ)
P「ちゅっ!」
小鳥「はいっ! はいっ!」
P「うふふー」
小鳥「来たらどうすんの!? もし本当に麻ちゃんのチュー来たらどうすんの」
P「口? 口はいややぁ~。わたしそういうのは守りたいタイプなの~」
小鳥「全然守られてなかったよね~」
P「いきなり何なんですか!?」
小鳥「気にしない気にしない」
P「ったく。ところで小鳥さんは何してるんですか?」
小鳥「スレを見てます」
P「スレ?」
小鳥「ゲホンゲホン、いえ、仕事ですよ」
P「そうですか」
小鳥「何ですか?」
P「また嘘言ってるなぁと思って」
小鳥「プロデューサーさんたまにいじわるですね…」
P「そっかなぁ。毎日いじわるしようと思ってるんですが…、送信と」
小鳥「何ですか?」
P「いや、だから仕事くださいメールです」
小鳥「外に行きゃいいのに…」
P「今時飛び込みで話聞いてくれる会社なんか無いですよ。アポ取らないと…」
小鳥「ですよね」
P「小鳥さんコロコロ意見変えますよね」
小鳥「さ、仕事仕事…」
211:ダメP
10/02/04 06:46:44 ZRYBuFfw
アイマス小咄(タイトル募集中)
第7話
P「で、何の話で?」
千早「天海さんの件です」
P「うん」
千早「単刀を直輸入に言います。彼女は歌が下手すぎます」
P「単刀直入ね。そっか、そんなにズコーか」
千早「かなり下手です。足が引っ張られて迷惑です」
P「う~ん。天海さんには言ったの?」
千早「いえ、いきなり歌が下手と言うのは可哀想かと思いまして…」
P「…分かった。俺が遠回しに言ってみるよ」
千早「ありがとうございます」
ガチャッ。
春香「あ、ここにいたー。プロデューサーと千早ちゃん二人きりで何してるんですかぁ?」
P「あ、天海さん」
春香「春香でいいですよっ」
P「じゃ、春香」
春香「はいっ!」
P「あんた歌下手すぎて救いようがないからどうにかして欲しいんだって」
春香「え…」
P「って、千早がめっちゃ文句言ってた」
春香「…え?」
千早「こんちくしょー!!」
212:ダメP
10/02/04 06:47:38 ZRYBuFfw
アイマス小咄(タイトル募集中)
第8話
P「とりあえず練習するしかないと思うんだ」
春香「は、はい…。ぐすっ。ひっく…」
P「春香、泣くな…」
春香「ぷろじゅーしゃーしゃん…」
P「泣いても水分が減るだけで、水道代がもったいないぞ」
春香「え? は…はい…。ぐすっ」
P「ほら、如月さんもあぁして謝ってるじゃないか…」
千早「ごめんなさい天海さん(プロデューサーのせいだろが…)」
P「さ、3人で、もう一度頑張ろう! 泣いても笑っても来月デビューなんだからな」
春香「は…はい!」
P「じゃ、俺は帰るわ。もう定時だし」
春香・千早「え?」
P「じゃね」
春香「あ…」
バタン。
千早「え?」
春香「何で…」
千早「…帰るの?」
春香・千早「……」
千早「わたし、あの人がよく分からないわ…」
春香「あははっ」
千早「ど、どうしたの天海さん?」
春香「いや、プロデューサーさんさ、わたしがすっごく真面目に考えてるのに、すごくさっぱりしてるんだなぁと思って」
千早「あれはザックリでしょ。もしくはバッサリ…」
春香「バッサリ・エリオットって呼ぼうか」
千早「何それ?」
笑いあう二人。
春香「千早ちゃん、千早ちゃん」
千早「?」
春香「わたしのことさ、春香って呼んでって言ったじゃん」
千早「そ、そうだったかしら?」
春香「んもうっ。春香って呼んでください。如月さん」
千早「え、えぇ。…春香」
春香「…千早ちゃん」
千早「は、春香……ちゃん?」
春香「ぶっ。呼び捨てでいいよ…」
千早「そ、そうね…」
赤くなる千早。
千早「…春香」
春香「…千早ちゃん」
一方プロデューサーは、急いで帰っていた。
P「今日はゲームの発売日だからな…。アイドルに構っている暇はないんだ…」
だが、あまりに急いでおり、左右を見ずに道路を横断しようとしたため、車に轢かれた。
213:ダメP
10/02/04 06:48:45 ZRYBuFfw
とりあえず投下終了です。
今から、道路に軍手を落とす仕事に行って来ます。
214:レシP ◆KSbwPZKdBcln
10/02/04 18:00:17 +M+XUyrf
>>213
おおっとw これはダメな感じだwww
上り調子のところ申し訳ないですが、207のカッコ内のような発言は自重でよろしく。何故かは
お察しいただけますよね?
ところでナンセンスギャグ(自称)は以前もいたと思うけどどこ行ったんだ?w
こういう系統の作品、長く続けるのはやはり大変なのでしょうね……と言うより、読む側に
けっこう許容力が必要なのではないかと思います。
キャラ崩壊ってことはそのキャラをまっすぐ好きな人にとっては苦痛ですからね。例えば
勝つために平気で汚い手を使う伊織なんか出されたら俺なら読むのやめるか、少なくとも
感想レスは書かないと思いますし。今回終盤でようやく春香と千早が春香と千早っぽく
なってきましたが、これにしたってそれまでの仕打ちを許せない人はいるでしょうからまあ
お気をつけて、ってトコです。
コレ読むためにはまず心を落ち着けてってこと考えると、週1回~10日に1回くらいが
個人的には気持ちいいかな。
お仕事も頑張ってください。いい軍手落としてくださいねっ♪
でさて、台詞メインということでわたくしも一つ投下。前SSから半日でかぶせる不躾をお許しください。
『きみはともだち』、1レスものです。
215:きみはともだち ◆KSbwPZKdBcln
10/02/04 18:01:34 +M+XUyrf
「
ははっ、なんだよ、そんなことで落ち込むなんて。きみらしくないよ、元気出して。
ぼくがきみの役に立つって言うんなら、いつだって飛んで行くし、いつまでだってそばにいてあげる。
うまく言葉が見つからないけど、もしもぼくの声がきみの心を癒せると言うのなら、ぼくにも相槌を
打つくらいならできるから。
思えばきみとぼくは、まるで合わせ鏡みたいだね。きみが笑えばぼくも釣られて笑って、きみが
怒ればぼくも負けずに意地張って……でも、でもね。
ぼくが寂しい時に、わざわざぼくに付き合って上手く話を聞いてくれたきみ。それこそ相槌ひとつで
心を軽くしてもらったこと、今ではすごく感謝してる。
だから今は。今きみが泣いていても、ぼくは一緒に泣いたりしない。
だってそれじゃ何も変わらないし、それでいつかきみがいなくなりでもしたら、ぼくは本当に困るから。
うん、その、つまり、そういう事。
きみはぼくの、大切な。
とても大切な……ともだち、だから。
」
****
「あ、おはようございます、真さん」
「おっはよー涼っ!今日はいい天気だねえあっははははー」
「真さん、なんだかすごく楽しそうですね。なにかいいこと、ありましたか?」
「んー、わかる?わかる?昨日はなんていうか、ボクと雪歩との深く熱い友情を再確認できた日
っていうか、そんなとこ?」
「昨日?真さん、テレビ局で雪歩さんの収録上がり待ってるところで会ったんでしたっけ」
「歌、あんまり上手くいかなかったってヘコんでたから一生懸命励ましてあげてさ。最後はやっと
笑ってくれたよ。嬉しかったな」
「……ああ、それで。なんにせよ、よかったですね」
「ん?それに引き替え涼はテンション低め?……ってちょっと!そのほっぺたどうしたの!?」
「えっ、な、何が?」
「ぱっと見わかんなかったよ。手形、よく見ると隠せてない」
「ええっ?いけない、ファンデ薄かったかな」
「涼は……夢子ちゃんと会うって言ってたね、ケンカでもしたの?」
「いえ、オーディション失敗して落ち込んでたから、元気づけてあげられないかなって……」
「慰めてあげたんだ?じゃあ、なんでソレ?」
「よくわかんないけど地雷踏んじゃったみたいです」
おわり
216:きみはともだち(あとがき) ◆KSbwPZKdBcln
10/02/04 18:03:09 +M+XUyrf
以上です。短くて申し訳ない。
ご存知平井堅『キミはともだち』の歌詞がお気に入りでして、一人称が『ぼく』のキャラに
当てはめてみました。
ご感想などいただければ幸いです。
年初の『七草十草』のご感想もありがとうございます。
まず>>157に一言。
アナタは絶妙なトコ突っ込みすぎだw いやありがとうございます。掛け値なしに嬉しいw
それから「お気にめさらず」はおっしゃるとおりですね。「お気に召す」の否定形っていう使い方は
一般的に言ってヘンテコでした。
>>153
>>154
>>156
>>157
普段キャラスレで扱いがひどい分、きれいな小鳥さんは書いててとても楽しいのです。この
パターンの時のプロデューサーはアイドル山ほどプロデュース中できっと何ヶ月かあとには
とんでもない人間関係が構築されているに違いなくw
「小鳥さん、千早がオフに付き合えって言うんですよ。どこ連れてこうっていうんだろう」
「なにか話したいことでもあるんじゃないでしょうか?そうですね、落ち着いた色味の服を着て
行ったらいいですよ、そんな気がするんです」
「美希はイメチェンかなんか考えてるんでしょうか?髪のこと聞かれたんですが」
「いえ、プロデューサーさんの好みが聞きたかったんですよ、きっと。なんて答えたんです?
短い方がいい?へえ、ショートカットっていいですよね、ね?」
「まいりましたよ小鳥さん、あずささんが『友人の結婚式に一緒に出席してくれ』って」
「あずささんの気持ち、なんとなく判りますよ。しっかりエスコートしてあげてくださいね」
てなことアドバイスしながらそのたんびに夜
「ううっ、わたしのバカわたしのバカ」
ってやけ酒あおるんですきっと。
そんで、きっと最後の最後まで『プロデューサーさんはどうしてわたしを頼るんだろう』という
疑問には思い至らないんです。かわいいなあ小鳥さん。
>>158
不憫と思うならその『www』はナニかとw(←あっ)
>>199
乙女心から"乙"が取れるってのはなにやらいい表現ですな。しかし13人とか無茶言いなw
レシPでした。ではまた。
217:創る名無しに見る名無し
10/02/05 22:28:37 bFstIOcs
>>206
このスレ、感想書きの方も自分が思ったことをどうにか漠然としたモノで片付けず言葉にしようとする傾向がありますからな
その分、ちょっと重すぎる発言が飛び交うことも少なくはありませんが、その辺はまあバランスよく行きましょうということで
>>203
概ねについては>>206で言われてしまった気分だったりしますが
個人的な気分で言うと、全体的にもう一段階練り込みがほしいな、というところ
例えば、この一連の千早の言動で考えると・・・
「あ、千早でいいです!」 というのは唐突な印象を覚えるとこなので、もうワンクッションおくか
あるいはもうちょっと距離を置いたかたちにするとかで当たりをそれっぽくした方がらしいかもです。
お約束のネタとしては
「あの、音無さん。如月さんではなく千早、でよろしいかと」
「え、あ、うんじゃあ千早ちゃん、でいいかな?」
「ええ、そのやはり 年 上 の方にさん付けで呼ばれるのは落ち着かないですし」
で、ピヨちゃんにオチを回してしまうとか。
ユニット名についても最初のうちは「歌う機会が与えられるならなんでも構いません」ぐらいでいたのが
プロデューサーから『だらっ娘2010』、さらに春香にも何かビミョーな発言させて
だめだこいつら、早くなんとかしないと状態を強めてから「あの!」 に行くなりで「らしさ」をより追求しつつ
お約束を積む余地があったかもしれないです。
らしくない行動やキャラ崩壊が悪いわけでありませんが、お約束攻めなら流れに沿わせた方が書くも読むもより楽かなと。
4~8話についても、速攻数撃ちに転じたせいか、さらに練り込み不足の印象を感じるところがもったいないです。
軽く読めるもの、という視点は良いと思いますが、思いついたネタをただ素で出すのではなく
一旦脳内で転がして膨らませる工程をもう少し重視していただけると幸いかと。
()で括られている部分のコメントについては敢えて触れずにおきます、と言ってしまった段階で触れたのと同じですが・・・w
>>215
ああ、なるほど、つまり
「きみはぼくの、大切な。 」
「大切な・・・なに?」
「とても大切な……ともだち、だから。」
の後が
「真ちゃん・・・!」「雪歩!」(ひしっ)だったか
「涼の・・・」「え?」「涼の、ぶぅわかぁ~っ!!」(ばっちーん)だったかの違い、とw
壮大な前振りから入って、ちょっと考えオチの要素がある落語の小話のような仕上がりですな
ああ、となったとこの納得度の高さがイイ感じです。
まあ、真もわりと相手に悪気なく地雷踏まれてヘコむ側になることが多いキャラしてますけども。
まこみきだと「男の子からファンレター来たよ!」「え、ファンレターて普通男のコから来るモノだよね?」「あ、うん・・・そうだね」
とか、まこゆきだと女の子らしくとか悩んでるタイミングでカッコイイ方向で持ち上げられて傷深めたりとかw
でも、この状況だとあんまり涼の味方にはなってくれそうにないおとめちっくまこぴーでしたとさ。
・・・ついでに、いおちはピヨのお正月~オフ編~は結構本気でみたかったりなんかしてw
218:創る名無しに見る名無し
10/02/05 23:57:46 Ncmi70wf
>>216
>一人称が『ぼく』のキャラに当てはめてみました。
ほう、では僕は呼んでもらえないという事かな……いや、聞いてみただけ
とまあ冗談はともかく「真が雪歩に言った台詞」であり、
「涼が夢子に言った台詞」であり、「真と涼の関係」でもあると考えると
上手い台詞を持ってきたなぁと素直に関心しました。
219:96p
10/02/07 23:39:48 a1/8tXBc
>>109,110,111,121,155
皆様、レスありがとうございました。
>>109
感想を読ませていただいて、ちゃんとしたストーリーもエンディングもないぶん、自由に話を
作ることのできる小鳥さんは、かえって幸せなのかなあ、と思いました。
>>111
SSの後の話まで想像していただいてありがとうございました。かえって自分の方が楽しめて
しまいました。「シャイでウブでちょっと迂闊で間の悪い」という書かれ方がとても好きに
なりました。
>>121
スレが新しくなって、投稿時の名前どうしようとか思っていたら、リストに96Pって書いて
あったので、そのまま便乗ということに。
>>155
七草のSS、拝見いたしました。人様の書く小鳥さんはどうしてこうすてきなんでしょうか。
(というより、短時間で書けるスキルが凄まじいです)
それでは、また一本投下させていただきます。三分割です。
220:ファイナル・ステージ1/3
10/02/07 23:41:22 a1/8tXBc
ファイナル・ステージ
その日春香は、いつもより早く目が覚めた。恐らく緊張からだろう。無理もない、今日は
彼女にとって、今までの総決算となるべき大事な日なのだ。ずっとずっと追いかけてきた
自分の夢が、今日、ようやく一大イベントとして実を結ぼうとしている。
春香は、ベッドの上で起きあがったまま、ぼんやりと今までのことを考えた。アイドルとして
デビューしたあの日が、もう遠い遠い昔のことのように思えた。それから、今日これから
大勢の人の前でなすべきこと、終わった後のこと、そして明日からのことを考えた。
昼過ぎになると、プロデューサーが彼女を車で迎えに来た。本当は、春香も自宅から
両親たちと一緒にタクシーで向かい、プロデューサーと現場で合流するという予定のはずだった。
「いくら私の家が遠いからって、わざわざ迎えに来るだなんて…」春香は笑った。
確かにこんなのは破格の始まり方だ。だが、プロデューサーは、どうしても春香を
連れて行っておきたい場所があると言う。
予定外のできごとでびっくり顔の春香の両親に、くれぐれもよろしくお願いしますと
頭を下げられ、プロデューサーは恐縮してしまった。
「それはこちらのセリフです。オレ…いや、ぼくの方こそ、ずっと彼女に助けられて
きたんですから」プロデューサーはそう言って、両親以上に深々と頭を下げた。
車に乗った春香は、緊張が続いていたのか、言葉少なだった。プロデューサーも、無理に
話をしようとせず、ただ黙って運転していた。やがて車は都心に入り、野外音楽堂のある
大きな公園のそばで停まった。
「春香、おぼえてるか、ここ」
「はい、もちろんですよ」
そこは、二人が新米プロデューサーと新米アイドルとして出会った最初の場所だ。
この場所で二人が会ったから、今があると言ってもいい。プロデューサーは春香に、
「ちょっと歌ってみないか」と言った。春香はにっこり笑って、あのときと同じように、
発声練習をした。力強く、澄んだ声がホールに反射し、空気の中へ融けていった。
プロデューサーは一人、拍手をした。
「春香はあのころから比べると、ずいぶん変わったなあ」
「そ、そうですか?私、今でもあのときのままだと思ってるんですけど…」
「いや、こんなに成長したんだ、変わったよ」プロデューサーは、春香の肩に手を載せた。
「…いい意味、ですよね?」
「もちろんだ。ドジでおっちょこちょいはそのままだけどな」
「ひ、ひどいです…」
「ははは」
「えへへ」
221:ファイナル・ステージ2/3
10/02/07 23:42:11 a1/8tXBc
二人はたがいに笑い合った。思い返せば、楽しいことだけでは決してなかった。悲しい時期も
あった。さみしい時も、つらいこともあった。だが、春香はそれに耐え、がんばった。春香は、
プロデューサーの顔を見て言った。
「私、絶対忘れません、今日のこと。ずっとずっと、いくつになっても忘れません。
この風景も、この空気も、この気持ちも」
「そうだな。おれも忘れないよ」
二人はまた車に乗り、目的地へ向かった。すでに陽は傾き始め、薄いオレンジ色に染まった
大きな建物が次第に近づいてくると、車の中からずっとそれを見上げていた春香の呼吸が、
だんだん荒くなってきた。
「春香、緊張してるのか?」駐車場に停めた車の中でプロデューサーが話しかけた。
「そ、そりゃしてますよ。自分がこんなところに立てる日が来るだなんて…でも、本当は、
ずっと今日を待っていたのかもしれません。ひょっとしたら、子供のころから…生まれた
ときから…。私の…私たちの、最後の…そして、始まりの日…」
春香は決意を秘めた目で、プロデューサーを見据えた。
「よし、いつものおまじないをしてやろう」
「は、はい」
プロデューサーは、春香の頭に手をのせて、自分の方へ引き寄せた。春香は彼の胸に顔を
押しつけた格好のまま、黙っている。二人の鼓動はまるで同期しているかのようだ。
「落ち着いたか?」
「す、すみません、全然落ち着きません!」春香は真っ赤になってプロデューサーから離れた。
「まあ、少し緊張してるくらいでいいのかもな」プロデューサーは笑った。
「あの、緊張してるのって、私だけですか?」
プロデューサーは、わざと青ざめたような顔をした。
「実を言うと、オレもめちゃめちゃ緊張してる」
「なあんだ」春香は自分の口に手を当てて、くすくす笑った。どうやら、彼女の緊張も少しは
ほぐれたらしい。
「よし、じゃあ行こうか。みんなが待ってる」
「はい!」
大事な一日はこうして幕を開け、そして大喝采のうちに閉じた。
222:ファイナル・ステージ3/3
10/02/07 23:43:26 a1/8tXBc
それぞれの役目を終えた二人は、大勢いた客がみんな帰ってしまった後も、どこへも行かず、
冷たい月の光を浴びながら、人目を避けるようにして建物の裏手で話をしていた。
「それにしても、本当に大丈夫なのか?このまま仕事を続けても」彼はいままでもさんざん
訊いてきた質問をくりかえした。
「はい、今日のことで多少はハンデがついちゃうかもですけど、やっぱり歌をやめたくありません」
「それにしても、少しぐらいは休みを入れた方がよかったんじゃないのか?」
「…やっぱり、そう思います?」
「まあ、普通はそうするだろう、ってだけで、おれは春香の意志を尊重するよ」
「はい、なるべくならブランクを作りたくないんです。休むのは、きっとこれだっ、っていう
機会が絶対あるはずですし、その時にまとめて休んじゃいましょう!」
「そうか。じゃあ、その時を楽しみに、またがんばろうか!」プロデューサーは、手に持っていた
赤い小さな手帳を二、三度振ると、ポケットにしまい込んだ。
「はい、楽しみはとっとくもんですよ!」
「よし、じゃあ帰るぞ」
「は、はいっ!」
「大丈夫か?なんだか昼間より緊張してるみたいだぞ」
「え、そ、そうですか?」
「改めてこれからもよろしくな、春香」プロデューサーは右手を差し出した。
「はい、私たちには新しい明日が待ってるんですよね!」春香は彼の手を両手で握り、いつか
どこかで聞いたような言葉を返した。
その日の夜、春香は一度目を覚ました。灯りをつけずに起き上がり、暗い部屋の中で静かに
深呼吸をしてから、自分の幸せを改めてかみしめた。本当に、なんて素敵な一日だったのだろう。
カーテンの隙間から月がぼんやりと見え、春香はしばらくそれをじっとながめていた。
彼女は、これからも歌を歌い続けるという道を選んだ。だから、明日からも、彼女の仕事は続く。
プロデューサーと、それこそ今まで以上に二人三脚で。
翌日、プロデューサーは春香を765プロの駐車場まで送り届け、自分は別の仕事先へそのまま
直行した。春香が事務所のドアを開けると、早出をしていた社長がびっくりしたように声をかけた。
「もう今日から仕事なのかね、天海くん…おっと、まだ慣れてなくてね。いやあ、それにしても、
きのうの結婚式は見事だったね」
end.
223:創る名無しに見る名無し
10/02/08 00:44:26 E1wN0HgG
>>220
ナイスオチです。
しかし、あのフラクラPをどうやって攻略したんだ春香は。
224:創る名無しに見る名無し
10/02/08 15:49:42 HDKVc+DV
>>220
222-L16でオチに気づけなかった、くやしい
225:創る名無しに見る名無し
10/02/08 17:21:33 KbofAJmF
>>220
やられた。
本気でやられた。
タイトルもいいし、情報の出し方も充分。
なのに思いが全く至らなかった。
キャラが春香なのも、想像を正解の方向に行かせないストッパーになってる。
それを含めて見事。
しかもハッピーエンドだから、やられたけど後味がいい。
気持ちいいやられかたをした。
226:創る名無しに見る名無し
10/02/08 19:25:55 3ncpgXPQ
>>220-222
上手い、と心から賞賛します。>>225氏も言ってますがどこからどう読んでも「あの」EDにつながる話じゃないのに、
最後の社長の一言を聞かされるまで読者をうまく目くらましさせちゃうのが見事。
しかしそれって、言い換えると俺らが春香を語ると「あの」EDをどーにも切り離せないってことでもあるんですよねぇ。
メタ的なレベルでもうーんと唸らされてしまいました。お見事です。
227:創る名無しに見る名無し
10/02/09 00:17:33 vbkmuA97
上手い下手よりも、春香が幸せで凄く嬉しいSSだった。
ただの幸せというわけでなく、ちゃんと「春香」な春香が幸せなのがいい。
この後も、いろいろありそうだけど、けどいいなあ、こういうハッピーエンド。
ゴチでしたー!
228:創る名無しに見る名無し
10/02/09 00:58:35 WzYtUtTa
>>220
えーと、取りあえず難の方から。
改行の位置をもうちょっと考えて文字をほぐしてやるとぐんと読みやすくなるかなと。
それと、文をもう少し物語的というか情感的というか、そういう方向を習得するともっと効果的な気がします
今の状態だと、まだまだちょっとつっけんどんな感じがしてしまうので。
内容的には、ラストシーンまで持っていくところをむしろ出発点に、きちんと計算して組み上げた印象。
ラストまで読み切って、ようやくあちこちに仕掛けられた「それじゃない」示唆に気付かせる辺りは一体どこの匠の業かとw
気付けるはずの情報は出してあるのに、アイマスを知っていればいるほどまず気付かない。見事な狙いぶりです。
けども、思い返してみるに96Pの以前までの各編は必ずと言っていいぐらい、文章を積み重ねて示唆し続け、
作ってきた状況を最後のワンフレーズで一気にすぱっと結論に持ち込む流れを意識しているようで、
ある意味もはや定番と言っていい手法になっているのかも。
初作のピヨちゃんにしても神様、きっかけを下さい的な流れ→どうやら神様は二人の味方らしい。
hot lineでは様々な案内表示や道標の線を提示しながら、最後の最後にそれを「赤い糸」に収束。
クリスマスは言うに及ばず、そして今回。
こうやって並べてみると、手法的な好みとして見える感じで、そこがまた面白いところ。
舞台装置を扱う演出技法は今回並外れて光って見えました。課題も明らかではありますが
その辺りは経験的に身に付く部分でもある、と思うのでまだまだ向上していくと思います
なにより、今回はそのセンスに脱帽でした。
229:160
10/02/11 01:20:37 n+aUX0Cj
卒論や研修が立て込んでいたため、遅レスですが、
文士の皆様に、暖かいご指導頂き感謝しております。
確かに舞さんのキャラが普通の母さんになってしまったのは、
キャラクターの魅力を削いでしまったと思います。
後、オチが落ちていないのは、まったく弁解できないことでして、
今後反省していきたいと思います。
どうもありがとうございました。
230:創る名無しに見る名無し
10/02/12 00:35:34 /dikVi4M
>>220
規制解除された!感想が書き込める!
途中で違和感を感じたけど、結局最後まで気付けなかった。
完全にしてやられました。お見事です。
231:創る名無しに見る名無し
10/02/14 01:23:10 XSCFAPor
涼が全アイドルに弄ばれるようなのがみたい
232:みなとP ◆bwwrQCbtp.
10/02/15 00:12:38 BHTMz03i
こんばんは。
実は前作「one night before」の後日談、誰かさんに負けない甘々春香を
書こうとしていたのですが、なんか全然甘々にならない上に、
>>220に非常にいい感じの春香それからが出てしまったので、
とりあえずお蔵入りすることにしました。
で、その代わりに、長年温めていた話が、ようやく完成したので、
久しぶりにちょっと長めなのを投稿してみようかな、と。
あ、長年かかってるくらいですから、バレンタインとかそういう時事ネタは
全てスルーする感じで。
ということで、12レスほどお借りします。
「春香エンジェル」
行きます。
233:春香エンジェル 第1話
10/02/15 00:14:17 BHTMz03i
ええと・・・志望動機、志望動機は、と。
俺はもう一度、手元のメモに目を落とす。
『世界的な大恐慌と言われるこの経済危機の状況において、業種を問わず各企業が業績を落とし、喘いでいる
中、業容を拡大しようという御社の意欲、並びにその伸びゆく業績に対して、大きな将来性を感じ、私自身の
経験を御社のために役立てると共に未来に以下略
ヤバい。
覚えきれない。
っていうか、昨夜一度は完全に覚えたはずなのに、メモリクリア。
どうしよう?
もう、そろそろ本番だぞ。
てか、落ち着け俺。こんなの初めてじゃないだろ。
「では、次の方、どうぞ」
え?
次って、俺じゃん?
まずい、とにかく返事しないと・・・
「はぃいいぃ」
ど、どうした、俺の声?裏返るんじゃねえ!
「それでは、まずは当社を志望した理由を聞かせてください」
「あ、は、はい!動機は・・・ですね・・・」
なんだっけ?
・・・・
ダメだ。思い出せる気がしない。
でも、何か、何か言わないと!
「あ、あの・・・あ・・・」
「あ?」
いやいやいやいや、『あ』に大した意味なんてないですから、聞き返さないで下さいよ、そこのお姉さん。
「あの・・・あ・・・」
「落ち着いて下さいね。あ?なんですか?」
いやだから、『あ』じゃなくて、いや、『あ』と言えば、そうそう。いや違う。
「あ・・・あ・・・あああああああ!」
「お、落ち着いて下さい!」
これが落ち着いてなどいられるか!『あ』と言えば、決まってるだろ!
「天海春香さんのいる事務所で、働きたかったんです!」
234:春香エンジェル 第2話
10/02/15 00:15:12 BHTMz03i
・・・・・
あれ・・・?
やっちまった?俺?
俺的にはNGワード指定してたつもりの台詞を、叫んだ気がする。
ヤバい。
緑の服のお姉さん、固まっちゃったよ。
そりゃそうだよな。明らかに所属のアイドル目当ての応募なんて。
普通なら、真っ先に落とされる。
うん。そうだよな。
・・・終わったな。
俺の人生最大の賭けが、終わった・・・。
やっぱり、受かるまで前の会社辞めるべきじゃなかった・・・。
いくら春香さんの事務所がスタッフ募集してるからって、受かるとは限らないじゃん。
いやでも、会社も辞めて絶対765プロのスタッフになるという、背水の陣で臨む作戦だったし。
「なんといい答えだ!ピーンと来た!君のような人材を求めていたんだ!」
あれ?
なんか声が聞こえる。
「しゃ、社長?!」
あ、真っ暗だと思ってたところに、人がいたのか。
社長・・・とか言ってるな。
「音無君、そうは思わないかね。彼は我が社のアイドルを、心から愛してくれている。彼の様な人間こそ、
新規スタッフにふさわしいのではないかね。」
「あ、あの・・・社長、普通は芸能プロダクションでは、所属タレント目当ての応募は、敬遠するんです
が・・・」
「うむ。しかし、彼は、おそらくそれを知っての上で、あえて春香君と同じ事務所で働きたい、と堂々と
宣言したのだよ。なかなか出来る事ではない。私は、その心意気を買いたいと思うのだよ!」
「心意気・・・ですか。」
「そうだ。そこのキミ、明日から早速、よろしく頼むよ。」
「えっと、ということで、採用決定です。詳しくは後で説明しますので、先ほどの待合室の方でお待ち
下さいね。」
なんだかよくわからないことになった。
「は、はい。では、失礼します。」
こうして俺は、社長の直感により765プロの社員となった。