09/09/15 22:51:26 toaqnNLz
■全般
・支援はあくまで規制を回避するシステムなので必要以上の支援は控えましょう。
(連投などに伴う規制について参考>>3-あたり)
・次スレ建設について。
950レスもしくは460kBオーバーしたら、「スレを立てる?」か訊くこと。立てる人は宣言してから。
重複などを防ぐために、次スレ建設宣言から建設完了まで投稿(SS・レス共に)は控えてください。
※SS投稿中に差し掛かった場合は別です。例)940から投稿を始めて950になっても終わらない場合など。
・誤字修正依頼など。
保管庫への要望、誤字脱字等の修正依頼は次のアドレス(geass_lc_ss@yahoo.co.jp)に。
※修正依頼の際には、作品のマスターコード
(マスターコード:その作品の投稿が始まる、スレ番号-レス番号。保管庫の最優先識別コード)
を必ず記述して下さい。
例)0003-0342 のタイトルを○○に カップリングを○○に
(↑この部分が必須!)
マスターコードを記述されず○スレ目の○番目の……などという指定だと処理ができなくなる場合があります。
■SSを投下される方へ
1.投下前後に開始・終了の旨を書いたレスを入れて下さい。(または「何レス目/総レス」を名前欄に)
2.前書き・後書き含めて10レス以上の連投になると同一IDからの投稿が規制されます。(←「さる」状態)
間に他IDからの「支援」が入ることで規制は回避できますので、規制にかかりそうな長文投稿の際は
投下前に支援を要請して下さい。逆に、必要ない場合は支援の要らない旨を書いてください。
前レス投稿から40秒ほどで次レスを投稿することができます。(投稿に関する規制については >>3- あたり参考)
3.投下前は、他作品への割り込みを防ぐ為に必ずリロード。尚、直前の投下完了宣言から15分程度の時間を置いてください。
4.投下許可を求めないこと。みんな読みたいに決まってます!
5.なるべくタイトル・カップリング・分類の表記をして下さい。(特にタイトルはある意味、後述の作者名よりも重要です)
・読む人を選ぶような内容(オリキャラ・残酷描写など)の場合、始めに注意を入れて下さい。
6.作者名(固定ハンドルとトリップ)について。
・投下時(予告・完了宣言含む)にだけ付けること。その際、第三者の成りすましを防ぐためトリップもあるとベスト。
(トリップのつけ方:名前欄に「#(好きな文字列)」#は半角で)
・トリップがあってもコテハンがないと保管庫に領地が作れず、??????自治区に格納されます。
7.規制により投下できない場合は>>1の 代理投下依頼専用スレッドに投下し、代理で投下してもらう方法もあります。
(代理投下依頼の際は各レスの容量のチェックを推奨。SSチェッカー>>3- が便利です)
前書きの中に、以下のテンプレを含むことが推奨されます。(強制ではありません)
【メインタイトル】
【サブタイトル】
【CP・または主な人物】
【ジャンル】
【警告】
【背景色】
【基本フォント色】
3:創る名無しに見る名無し
09/09/15 22:54:34 toaqnNLz
■創作発表板での投稿規制について。 参考(暫定)
1レスで投稿可能な容量
・X:1行の最大 / 255byte
・Y:最大行数 / 60(改行×59)
・Byte :最大容量 / 4095Byte
但し、改行に6Byte使うので注意。例えば60行の文なら59回改行するので
6Byte×59=354Byte これだけの容量を改行のみで消費する。
※1レス分の容量の投稿の可否を判断できるツールが投稿トーマス卿の保管庫からDLできます
TOP→通常→保管嚮団→保管嚮団本部入室→SSチェッカー
<使用法>
1.ダウンロードしたものを解凍する
2.SS.xls を開く
3.SSをテキストエディタで開く → Ctrl A で全文コピー
4.貼り付けシートのH11セルを選択
5.右クリック → 形式を選択して貼り付け → 値
6.レスを区切るところに
<<<<<レス区切り>>>>>
をコピペ(H6セルのものをコピペする)
限界値は自由に変えられます。いろいろお試しください。
さるさん( 過剰数の投稿に対する規制 )
・1時間に投稿できる数は10レスまで。それを超えると規制対象に。
・毎時00分ごとにリセット。00分をはさめば最長20レスの連投が可能。
・規制されるのは2人まで。身代わりさるさん2人で、00分を待たずにリセット。
連投規制( 連続の投稿に対する規制。短い間隔で連続の投稿ができない )
・40秒以上の間隔をあければ投稿可。
おしりくさい虫など( 携帯のみ?同一内容の投稿に対するマルチポスト規制 )
・「支援」などの同じ言葉を繰り返し投稿することでも受ける規制。
違う内容を投稿すれば解除される。スペースを挟むだけでも効果あり。
4:創る名無しに見る名無し
09/09/15 22:56:30 toaqnNLz
■画像投稿報告ガイドライン
ロスカラSSスレ派生画像掲示板
PC用 URLリンク(bbs1.aimix-z.com)
携帯用(閲覧・コメントのみ) URLリンク(bbs1.aimix-z.com)
1.タイトルとコテハン&トリップをつけて絵を投稿する。
尚、コテハン&トリップについては、推奨であり強制ではありません。
・挿絵の場合は、誰の何のSSの挿絵と書く。
・アニメ他公式媒体などにインスパイアされた場合は、それを書く。(例:R2の何話をみてテンさんvsライを描きました)
2.こちらのスレに以下のことを記入し1レスだけ投稿報告。
(SSの投下宣言がでている状態・投下中・投下後15分の感想タイムでの投稿報告は避けてください)
例)「挿絵(イメージ画像)を描いてみました。 画像板の(タイトル)です。
~(内容・注意点などを明記)~ よかったら見てください」
・内容:挿絵の場合は、SSの作者、作品名等。それ以外のときは、何によってイメージして描いたのかなど。
・注意点:女装/ソフトSM(首輪、ボンテージファッションなど)/微エロ(キス、半裸など)
/ゲテモノ(爬虫類・昆虫など) など(絵はSSに比べて直接的に地雷になるので充分な配慮をお願いします)
画像掲示板には記事No.がありますので、似たタイトルがある場合は記事No.の併記をおすすめします。
*ただし、SSの投下宣言がでている状態・投下中・投下後15分の感想タイムでの投稿報告は避けてください。
3.気になった方は画像掲示板を見に行く。
画像の感想は、原則として画像掲示板に書き、SSスレの投稿報告レスには感想レスをつけないこと。
画像に興味ない人は、そのレスをスルーしてください。
4.SSスレに投稿報告をした絵師は以下の項目に同意したものとします。
・SSスレに投稿報告した時点で、美術館への保管に同意したものと見なされます。
・何らかの理由で保管を希望しない場合は、投稿報告時のレスにその旨を明言してください。
・美術館への保管が適当でないと判断された場合、保管されない場合もあります。
(ロスカラ関連の絵とは言えない、公序良俗に反するなど)
----以上、テンプレ終了----
5:創る名無しに見る名無し
09/09/15 22:59:58 KTiarqrX
>>1乙!
6:創る名無しに見る名無し
09/09/15 23:00:33 LM3RFDck
>>1
乙!
7:創る名無しに見る名無し
09/09/15 23:48:52 Zo7o+au+
>>1
乙だが、リンクは最新のものにしないとな
■前スレ(42)
スレリンク(mitemite板)
8:名無し ◆BPxI0ldYJ.
09/09/16 00:51:55 XRPDkpUr
>>1
乙であります。
新スレですね。
気分を変えてぱーっといければいいなぁ。
そんなわけで、続き投下します。
支援は要らないと思います。
なお、パラレルなので、そういうものが駄目な人はスルーよろしくです。
9:名無し ◆BPxI0ldYJ.
09/09/16 00:53:17 XRPDkpUr
ドアが激しく開かれる。
来たか……。思ったより早かったな。
ゼロはそう思いつつ、入ってきたカレンの方を向いた。
その瞬間、プリントされた紙がディスクに手と一緒に叩きつけられた。
「これはどういうことなんですかっ」
その語尾は怒りに震えている。
その紙には、見つけた記事がプリントされていた。
「ふむ……。そういうことだが……」
そのゼロの言葉に、カレンの怒りが爆発する。
「何考えてんのよっ、あんたはっ!!」
怒りに任せ、ゼロの胸元を締め上げる。
今までのカレンなら絶対にしないことだろう。
ゼロは、絶対の尊敬すべき人物であり、彼にしたがっていればいいと考えていたからだ。
だが、今のカレンは違う。
そう、カレンは変わってしまった。
ライという愛する人を見つけてからというもの。
そして、彼を失うことを恐れ、彼の為なら何でもするだろう。
それは、ゼロにとって少し寂しいことだった。
だが、これで……。
ゼロは、仮面の中でニヤリと笑った。
《OPスタート OP曲「彼と私の世界は……」TVサイズバージョン 歌/紅月カレン》
歌姫、舞う!! 第3話「思い」
《スポンサー紹介 メインスポンサー/万歳なみこー サブスポンサー/べくたー 》
10:名無し ◆BPxI0ldYJ.
09/09/16 00:55:53 XRPDkpUr
「痛いじゃないか、カレン。まずは放して欲しいものだ。これでは、言い訳も出来ない」
ぬけぬけしく言うゼロの言葉に、ますますカレンの怒りが燃え上がる。
私の大切な人を……よくも……。
だが、その怒りを抑え、何とか手を放す。
「ふう~……。助かった……」
ぎろりと怒りの炎に燃えるカレンの目がゼロを睨みつける。
それにも、怯えるどころか、楽しむかのようにゼロはしゃべりだした。
「先に言っておくが、今回のことは、私は何も強要もしていないし、私が考えたわけでもない。それだけは、絶対だ」
だが、その言葉を鵜呑みに出来るほどの余力は今のカレンにはない。
「じゃあ、どういうことなのよ。説明してよ」
その剣幕を受け流すかのように、ゼロは話し出す。
「今回の件は、ブリタニアかにり提案なのだ。そして、ライは応じた。ただ、それだけなのだよ」
「信じられないわ」
ばっさりと切り捨てるカレンの言葉に、苦笑するゼロ。
だが、すぐに言葉を続けた。
「そういえば、今度、ベストヒットロードに出ることが決まったな。何でだと思うかね」
まるでからかう様な口調。
だが、その方が効果的だったのだろう。
怒りに燃え上がるカレンの頭の中で、点と点が繋がっていく。
「まさか……」
「そう、そのまさかだよ。君のベストヒットロード出演を条件に提案されたのだよ、今回のことは……」
その言葉に、カレンの膝から力が抜け、ガクガクと身体が振るえ、その場に力なく座り込む。
「そんな……。そんなことって………」
そんなカレンを見下ろして、言葉を続けるゼロ。
「君と一緒にいたからこそ、ライはこのチャンスを逃したくなかったのだと思う」
ゼロの諭すような言葉。
だが、それはカレンにとって受け入れられない言葉だった。
「じゃあ、出ないっ。ベストヒットロードなんて、もう出ないっ。だから……、だから……ライを呼び戻してよぉ……」
カレンの顔がくしゃくしゃに歪み、目から涙があふれ始める。
怒りが一気に心細さと悲しみに変わっていく。
そして、気が付く。
彼がいつもカレンを支えていたことを……。
そのやさしい思いにいつも包まれていたことを。
だから、言葉が……。
出演を拒絶する言葉が、無意識のうちに漏れる。
だが、それは間違いなく彼女の本音だった。
だが、それは一喝された。
ゼロの言葉で……。
「馬鹿か、貴様はっ!!!」
その言葉に、悲しみと心細さに溺れかけていたカレンの心が我に返る。
「何の為に、ライはやりたくもないことをやっていると思っているんだっ。いい加減にしろっ。ライの努力を無駄にするつもりかっ!!!!」
次々と言葉の刃が、弱いカレンの心に突き刺さる。
だが、そうなのだ。
ゼロの言葉。それは正論。
なのに……、カレンにはそれがとても辛い。
愛とは、強さであり、そして、弱さなのだ。
今、カレンの心を支配しているのは、弱さ。
そして、ゼロの言葉は、強さを求めている言葉なのだ。
「でも……」
言葉に詰まるカレン。
彼女にしてみれば、正論など関係ない。
ただ、彼が傍にいて欲しいだけなのだ。
しばしの沈黙が部屋を支配する。
ただ、嗚咽を繰りかえすカレンの声だけが響く居心地の悪い時間。
そして、最初に折れたのはゼロだった。
「はぁ……。ライの言うとおりだな……」
その言葉にカレンの涙が止まる。
11:名無し ◆BPxI0ldYJ.
09/09/16 00:58:05 XRPDkpUr
「え?!」
「ほらっ……。ライからの手紙だっ」
机の中から出された封筒をカレンに渡すゼロ。
それを奪うような勢いで受け取り、中の手紙を開いて貪るように読むカレン。
泣き顔だったカレンの顔が、ほっとしたものに変わっていく。
それを溜息交じりで見るゼロの心境は複雑だった。
「でだ。落ち着いたな……」
「……はい。済みませんでした」
「ふう……。わかればよろしい。ただ、今の気持ちを忘れるな。それが今回の肝だからな……」
ゼロの言葉にきょとんとするカレン。
それはそうだろう。
意味がわからない。
「まぁ、待て。今から説明する」
ゼロはそういうと1枚の紙を渡す。
そこには、歌の歌詞らしきものが書き込まれていた。
「連中がきちんと約束を守るとは限らんからな。その曲で一波乱起こすぞ。以前のお前なら無理だが、今のお前ならその曲は十分歌えるだろう」
ゼロはそう言い切る。
そして、楽しそうに笑い出した。
「ふふふはぁははははははははははははははっ……。シャナイゼルめ、お前の思ったとおりに進むと思うなよっ」
《アイキャッチ カレンバージョン》
《万歳 ブルーレイソフト「歌姫舞う!」1巻 予約CM》
予約特典----初回限定版 カレン等身大抱き枕
全巻購入特典----ライ抱き枕
《べくたー OP、EDシングルCD + オリジナルサウンドトラック CM》
3点を集めて、劇中に出てきたユーフェミアの写真集をゲットしようキャンペーン開催
《アイキャッチ ユーフェミアバージョン》
12:名無し ◆BPxI0ldYJ.
09/09/16 00:59:53 XRPDkpUr
「どうですか、ライさんっ」
「すごいですね……。ユーフェミアさま」
そう聞かれ、僕は笑って誤魔化すしかなかった。
もちろん、味はまったくわからないほど、緊張していた。
そりゃそうだろう。
ずらりと並ぶ面子を知っていれば、言葉も選ぶし、緊張もする。
なぜなら、夕食を招待されて行ってみたら……。
「ふふふふ、君がライ君だね。実際に会うのを楽しみにしていたんだよ。今夜は楽しんでいってほしい」
やさしそうな2枚目の男性が、呆然としている僕にそう話しかけてくる。
ブリタニアのシャナイゼル福社長だ。
「あ、ありがとうございます。でも、僕なんかこんなところにいてもいいのでしょうか……」
そんな僕にシュナイゼルは苦笑する。
「なぁに、今夜の君は主催者のパートナーだからね。いてもらわなくては困るよ」
そうなのだ。
今日は……ユーフェミアの誕生日であり、誕生会に僕は呼ばれたのだった。
そして、来てみたら……ずらりと並ぶブリタニアの関係者。
あ、あそこに見えるは、世界的有名なコミックバンド「純潔派」のヴォーカリストのオレンジこと……。
えーと……名前なんだっけ……。
まぁいいや。
うわー……。
伝説のロックバンド「ラウンドオブナイツ」のメンバーまでいるぞ……。
すごすぎ……。
本当にすごすぎる豪華なメンバーばかり……。
それに、ユーフェミアの身内の人も多く来ている。
姉のコーネリアや社長のオデッセウス……。
これって、本当に僕はいていいのかよ。
困惑している僕をシュナイゼルは楽しそうに見ていたが、すぐに秘書のカノンに呼ばれ、「では、失礼するよ。楽しんでいって欲しい」という言葉を残して別の人の方に行ってしまった。
で、ユーフェミアは、祝いを述べる人々と楽しそうにおしゃべりをしている。
ふう……。
困ったよなぁ。
帰るに帰れず、仕方なく壁際でぼんやりと見ていると、「貴様がライか……」と声をかけられる。
その声には、とてつもない威圧感と僕を吟味するものがあった。
「え?!」
慌ててその声のほうを向くと、白髪の大男が立っていた。
その圧倒的な威圧感と存在感。
そして、僕を値踏みする視線。
そう、この男こそ、ブリタニアの会長であり、世界の芸能界の三分の一を支配するブリタニアの王 シャルル・ジ・ブリタニア。
ぎろりっ……。
その視線の前に、僕は威圧され身動きが取れない。
これが……王の風格というものなのかもしれない。
「ふむ……」
しばらく僕を見た後、シャルルは豪快に笑いだす。
「ふはははははははははははっ。気に入ったぞ、ライとやらっ。ユーフェミアのやつは、男を見る目はしっかりしているようだな」
その言葉を残し、シャルルは僕の傍から離れていった。
その瞬間、緊張が解ける。
ふう……。
生きた心地がしなかった。
それがシャルルと始めて会ったライの感想だった。
13:名無し ◆BPxI0ldYJ.
09/09/16 01:02:04 XRPDkpUr
「よしっ、いい感じだっ」
ゼロが歌い終わったカレンに言う。
「だがまだだっ、カレン。今のお前なら、その場にいる全員の心を虜にするほどのものが出来るはずだっ」
そう、ここは、黒の騎士団のスタジオ。
そこでは、ライの手紙を読み、まるで別人のような決心をしたカレンが歌の特訓をしていた。
2日後の番組生放送出演を前にして……。
つまり、出演に新曲披露を行い、よりインパクトを強くする。
それが、ゼロとライの作戦であった。
その為に長年温存していた歌の封印を解除することを決心したのだ。
今のカレンなら、歌えると確信して……。
だが、そんな二人に茶々を入れる人物がいた。
演奏をつき合わされている玉城だ。
「おい、親友よ。これきちんとこなしたら、約束どおり役職と出番増やしてくれるんだろうな……」
その言葉にめんどくさそうにゼロが答える。
「わかっているとも。玉城、だから心配しないで手伝ってくれないかっ」
「よしっ。任しとけっ。このゼロの親友を信じろって」
そう言うと、ころっと態度を変えてニコニコとしている。
ふー……。簡単に騙される小物の典型的なタイプだな。
そんなことをゼロが思っていることを知らずに……。
「シュナイゼル様、これが例の報告書や書類関係でございます」
秘書のカノンが書類の束を差し出す。
それに目を通すシュナイゼル。
彼らの姿は、パーティ会場から少し離れた一室にあった。
「ふー、これでいいか……」
最初は、ここまでやるつもりはなかったが、ライと直接会って決心した。
あの男は、有能だ。
わが駒として、ぜひ欲しい。
そう思った男だった。
「番組の特番放送の映像編集のほうはどうかね」
「はい。無事滞りなく……」
「露骨に変なものにはしないように」
「わかっております」
カノンが恭しく頭を下げる。
これで手は打った。
後は……。
すべては、ベストヒットロードの放送終了後にはっきりすることになる。
つ・づ・く
14:名無し ◆BPxI0ldYJ.
09/09/16 01:04:24 XRPDkpUr
《EDスタート ED曲「貴方が好き好き~、大好きなの」TVサイズバージョン 歌/ユーフェミア・リ・ブリタニア》
次回予告
「ついにベストヒットロードの放送の当日ね」
「そうだね。がんばって、カレン……」
「ところが、その日………」
「えーと……どうしたんだいっ、カレンっ」
「次回 歌姫、舞う!!第4話『波乱万丈な一日の始まり』にご期待くださいっ」
「どうなるんだっ……」
「えーっと……、ライは見てるだけでいいから……」
「そりゃないよぉーーっ、カレンっ」
(音声、画面フェードアウト……)
15:名無し ◆BPxI0ldYJ.
09/09/16 01:06:05 XRPDkpUr
以上で終了です。
続きは、また準備できたら投下したいと思います。
あと、前回、感想ありがとうございました。
大変励みになります。
では~
16:創る名無しに見る名無し
09/09/16 01:12:23 bmHCpGLK
>>15
今回もGJです!
ば、バカな…ゼロが頑張ってるだと(ぉぃ
そしてシュナイゼルさんはやっぱり腹黒いです。まさに芸能界っぽい…
17:創る名無しに見る名無し:
09/09/16 07:10:55 gqRGX7zr
GJです!
芸能界の裏を見た気がした
18:創る名無しに見る名無し
09/09/16 11:59:34 a2x6NtMu
>>15
GJ!
編集だと・・まさか・・
マジ震えてきやがった・・こわいです・・
しかもゼロの高笑いという失敗フラグのおまけつき・・
>予約特典----初回限定版 カレン等身大抱き枕 うん、妥当だ
全巻購入特典----ライ抱き枕 おいィ?
次の投下を待っています
19:創る名無しに見る名無し
09/09/16 13:32:17 a2x6NtMu
前スレ749
軽いノリが楽しすぎるw GJです!
20:創る名無しに見る名無し
09/09/16 14:20:53 u6jv80m8
前スレ埋まったみたいだな、乙
21:創る名無しに見る名無し
09/09/16 14:43:06 7fhpxqkz
1レスネタ
タイトルの通りのパロディ
適当なので嫌いな人はスルーしてください
ウソ予告
反逆裁判
~初めての反逆~
「無実の罪の人間を救うんだ」その信念が彼の原点
無実を証明し真犯人を見つけるのは彼の生きがい
自分の信念を貫く彼にライバル達は容赦なく襲いかかる
「疑わしき罪は全て有罪だよ。ライ…」
「それは違うよルルーシュ…」
ライの言葉は変わり果てた親友に届くのか?
「信じ抜くのが弁護士だよ、君のなりたかった本当の弁護士さ…」
幾つかの事件を解決する度に見え隠れするルルーシュの過去
そしてルルーシュの変わり果ててしまった事件にライは挑む
親友の為に
信念の為に
そして自分の為に…
その為に今日も彼は法廷で叫ぶ「異議あり!!」
…と
という適当予告
全く今の自分が書いてるのと関係ないですw
携帯いじってたら思いついたので投下してみました
本番は明日ぐらいに投下予定です
本番は完全コメディです
ではまた明日ぐらいに
22:創る名無しに見る名無し
09/09/18 01:18:00 CvIDc7Nx
>>21
おぉ、こちらも裁判ネタか!
本編、楽しみにしています!
23:創る名無しに見る名無し
09/09/18 12:01:08 1TP9T6sv
前スレのぎあすっ!!にクソワロタ、GJ
24:創る名無しに見る名無し
09/09/18 17:56:59 3VVu4UKS
前スレ埋め投下今頃読んで笑った
かわいいなチクショウ!
乙でした
25:創る名無しに見る名無し
09/09/19 22:32:47 g05NXfD5
前スレの埋めネタGJ!
にしても
うが~~ってww
26:創る名無しに見る名無し
09/09/20 07:24:50 vOw7voYO
>>1
リンク貼り付け忘れ。
コードギアス 反逆のルルーシュR2 TURN1057+1760(本スレ)
スレリンク(anime2板)
コードギアス反逆のルルーシュ LOST COLORS 22
LOST COLORS本スレ
スレリンク(gal板)
忘れている方もいらっしゃるかと思いますんで・・・・。
27:創る名無しに見る名無し
09/09/20 07:48:16 A4Fd8I0I
>>26
そこは、関連スレ扱いされてないよ?
向うもこっちを関連スレだと思ってないだろうしね。
28:創る名無しに見る名無し
09/09/20 22:45:40 WFk+2pa3
>>26
クソスレ貼り付けてんじゃねえよカスが
29:創る名無しに見る名無し
09/09/20 23:25:30 BKt4cKPQ
糞アニメの本スレとか要らん
30:創る名無しに見る名無し
09/09/21 00:03:13 zrWq7JD4
ここはあなたのいう糞アニメのゲームのSSスレなんだが
31:創る名無しに見る名無し
09/09/21 04:36:05 rshEMqYl
R2派とロスカラ派って仲悪いんか?
まぁ俺も、R2は黒歴史レベルの駄作とは思っているけど。
どうなん?
32:創る名無しに見る名無し
09/09/21 04:55:19 LIWdlLNO
Ao
URLリンク(www.youtube.com)
33:創る名無しに見る名無し
09/09/21 09:46:32 rshEMqYl
ようつべにはなぜロスカラ動画が無いのか?
34:創る名無しに見る名無し
09/09/22 19:31:02 64ulJgjT
>>33
おまえライスレ潰した異常粘着キチガイだろ
35:創る名無しに見る名無し
09/09/22 19:53:46 zyqFi65s
誰だそれ>>34
36:あぼーん
あぼーん
あぼーん
37:創る名無しに見る名無し
09/09/22 20:15:09 tDTzTRi1
>>36
もうどっちでもいいが、ここはSSスレなんだぞ
ageとかそういうSSに関係ない別スレのレスを貼り付けるのを止めろよ
38:創る名無しに見る名無し
09/09/22 20:30:49 64ulJgjT
じゃあ別人だということにしておこうか。とりあえずまずsageてくれ
39:創る名無しに見る名無し
09/09/22 22:15:24 tc7rfvWO
基地外でもカプ厨でも何でもいいが
早く死ねばいいのに
40:創る名無しに見る名無し
09/09/22 23:13:17 mQmE7Nrm
SSスレの歴史もこれで終わりか……
41:創る名無しに見る名無し
09/09/22 23:24:07 Axl2mq6+
そんな事いうなよ、、、、といいたいが、今の状態じゃなぁ
せめて投下があれば空気も変わってると思うが逆にこんな空気じゃしにくいな。
終わる時はあっという間だな、、、、、今ごろ荒らしはほくそえんでるだろうな。
42:創る名無しに見る名無し
09/09/23 00:08:40 2pAl4iLd
こんなこと言いたくないけどさ
ただでさえ過疎ってたところにトーマスの更新やめます宣言でとどめさされたようなもんでしょ
なんで余計なところでしゃしゃりでてくることしか頭にないんかなああの人?
43:創る名無しに見る名無し
09/09/23 00:16:53 KZRbC0oF
この程度で終わったとか言うなよw
毎回荒れる度に言われてるが、荒らしは徹底的にスルーだ
挑発的なレスを返して来ても相手にしない事
44:創る名無しに見る名無し
09/09/23 00:17:35 6R9nwhNT
別にトーマス卿のまとめが閉鎖してなきゃ過去スレ分は読めるし、最近のはwikiにちゃんと管理してくれてる方がいるから大した問題じゃないだろ
45:創る名無しに見る名無し
09/09/23 01:18:05 VoK7TP0N
まだ最近でもここに落としてくれる職人さんっていたっけ。
目に見えて減った気がする。
46:創る名無しに見る名無し
09/09/23 01:26:59 F9MF5t6L
キャラゲーで発売からこれだけ経っても継続的に投下があるってだけで幸せな話だよね。
これだけ愛されてるキャラゲーなんて滅多にないよ。
どうこう言って週1ぐらいは投下があるんだから騒ぐほど過疎ってもいない。
何ヶ月も前と比べて過疎ったもう駄目だ、って過去を引き摺りすぎじゃないかね。
次第に先細っていくのは仕方のないことなんだし、いちいち個人のせいにしたり
嘆いたりするほどのことじゃない。
衰退していくこともまとめて楽しんでいく余裕ないとキャラゲーのSSスレと良い付き合いなんて出来ないよ。
47:創る名無しに見る名無し
09/09/23 01:46:17 g11XksXK
ロスカラは好きだが他のキャラゲーも好きだから二行目以外には同意だ
過疎った過疎ったいちいち騒ぐ方がアホの所業にしか見えん
48:創る名無しに見る名無し
09/09/23 04:08:47 OmvRCUDw
初代から一年半くらいか…。
そりゃ短編ネタも尽きるよなぁ。長編は基本未完がSSの世界だし。
それでも待ってる作品も待ってる職人さんもいるので頑張って欲しいところ。
俺は気長に待ってるよ。
49:創る名無しに見る名無し
09/09/23 06:06:02 FtyBOicw
来月の重大ニュースはロスカラ2の発表とみた
50:創る名無しに見る名無し
09/09/23 06:07:57 FtyBOicw
コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS SSスレ 32
スレリンク(gal板)
609 名無しくん、、、好きです。。。 2009/09/22(火) 06:32:18 ID:rYUFgr7A
やはりR2(外伝)は超駄作なんだな、本編(ロスカラ)の良さが分からないから、R2に支配されている邪教徒はロスカラをそういう風に見てしまうのね・・・・。
自分では何にも出来ないクズキャラばっかりだからなぁ→R2
51:創る名無しに見る名無し:
09/09/23 07:56:30 qzEOzX/z
ああ・・・このスレはどうなることか
52:創る名無しに見る名無し
09/09/23 12:29:45 FtyBOicw
>>51
ネタ無いから本編叩きで行こう。
53:創る名無しに見る名無し
09/09/23 20:30:02 W2x3NBlG
コードギアス【ロスカラエロパロSSスレ】 (18歳未満は立ち入り禁止です)
URLリンク(jbbs.livedoor.jp)
801SS投稿スレ (18歳未満は立ち入り禁止です)
URLリンク(jbbs.livedoor.jp)
前スレから間違ってましたので一応はっときます。
54:創る名無しに見る名無し
09/09/23 23:23:40 7smu5Z1o
>>53
スレ41で「全年齢板なんだから、18禁の直リンは止めないか?」で、頭の「h」は取ってるんだが……
55:あぼーん
あぼーん
あぼーん
56:創る名無しに見る名無し
09/09/24 08:59:35 /Pmlw4vg
これくらい静かなら、したらばに引っ越す方がまったりできていいかも。管理人ならやるぜ?
57:創る名無しに見る名無し
09/09/24 10:21:10 dzJgiZJi
オリジナルのKMF描きたい
58:創る名無しに見る名無し
09/09/24 13:46:25 A+aebrHK
>>56
まだ動きを起こす段階でもないと思うけどな。
これがもうしばらく続くようなら考えても良いと思うけど。
59:もっふー ◆Moffuu/mUE
09/09/24 13:50:48 gLEjVbm4 BE:1159749465-2BP(0)
wikiでぎあすっ!!の作家名が[―{}@{}@{}-]になってるけど、これp2&串で出ちゃう単なるミスです。特に意味は無いんです。すみません。
規制回避用に使ってるだけだからいまいち慣れなくてね。
別に修正しなくてもいいんだけど、気になったので一応。
↓お詫びに小ネタ
60:ライとカレンのラジオ☆クロキシ! ◆Moffuu/mUE
09/09/24 13:53:27 gLEjVbm4 BE:541216272-2BP(0)
「おはこんばんちわー! 黒の騎士団・零番隊隊長、紅月カレンでーす!」
「お、おは……? ええと、同じく作戦補佐のライです」
「『ライとカレンのラジオ☆クロキシ!』始まりましたっ! 全国のアンダーグラウンドラジオリスナー聞いてるー!?」
「こ、この番組は入団希望者の増加を目指し、僕達が黒の騎士団の魅力や活動を面白おかしく宣伝していくラジオ番組です……え、なにこれ」
「じゃあまずは簡単な自己紹介から。私、紅月カレンは零番隊の隊長です。零番隊っていうのはゼロの親衛隊みたいなものかな」
「実質、エース的な役割だよね」
「そうね。使用ナイトメアは紅蓮弐式。初の純日本製ナイトメアよ! 赤い色が目印だから、日本人のみんなもゲットーで見かけたら手を振ってね!」
「手を振ってどうするんだ」
「ふふん、ライ。紅蓮は器用だから手を振り返すファンサービスもできるのよ? ―こんな感じで」
「ねぇ今右腕上げたよね!? そっち輻射波動だよ怖っ!」
「黒の騎士団で紅蓮と握手!」
「死ねと!?」
「じゃあ本日の一曲目、ゼロで『正義の味方~黒の騎士団のテーマ~』」
「あれ? 僕の紹介は―ってゼロも何歌ってるんだーっ!」
『正義の味方~黒の騎士団のテーマ~』 作詞・作曲 桃色ぷにぷに
黒き炎を身に纏い 命を賭して戦う戦士
奇跡と運命(さだめ)を与えられた そう我々は黒の騎士団(※)
世界が力におびやかされる 日本が名前を変えられる
飢餓や(貧困!) 支配や(差別!) 力と力の弱肉(強食!)
許さない 許せない
絶望乗り越え その先の 輝く勝利を手に入れろ
Sight!(サイッ!) ブリタニアの悪事 見逃すな
Fight!(ファイッ!) ブリタニアの脅威 打ちくだけ
Knight!(ナイッ!) ブリタニアの支配 終わらせろ
黒き刃に全てを託し 死を覚悟して戦う戦士
(※)くり返し
「改めまして、紅月カレンです」
「……ライです。っていうか今の……その……」
「黒の騎士団に入ると、毎朝日本国旗を見上げてこれを歌います」
「何言ってるんだ!? っていうか減るだろう入団希望者!」
「あ、さっそくリスナーからFAXで反応がきてるわね」
「きょうびFAXって……。―そういえば今気づいたけどこれ生放送なのか。なら最初の挨拶で全時間向けにした意味は……」
「基本生放送だけど、地域によってはラジオを聞くのもままならない所もあるから、録音で聞く人のためにね」
「なんだ、その急な生々しい設定」
「はい、じゃあFAX読むわよ。シズオカゲットーにお住まいの、クロキシネーム、木下さんから」
「ほお、シズオカゲットーから」
「『ブリタニア軍だ助けて』」
「緊急事態!? というかラジオ聞いてる場合か!」
「こんな時、黒の騎士団に入っていたら援軍が来てくれるわけです」
「助けに行かないの!?」
「あ……ここでニュースをお伝えします。シズオカゲットーのレジスタンス組織のうち、《木下グループ》がたった今壊滅しました」
「木下ぁーっ!」
「続きましてヨコハマにお住まいの、クロキシネーム、双葉さんから。『ライさんカレンさん初めまして。トークがとても楽しく、これから毎週聞こうと思います。ところで、騎士団のお二人は休日はどのように過ごしているんでしょう。やっぱり休みとかは無いんですか?』」
「普通だ……打って変わって、ふつおたが来た……!」
「黒の騎士団だって休みはあるわよ」
「ま、まあ……団員の士気にも関わるから……不定期なのはしょうがないけど」
「今度、団結式もやるのよね。ライが幹事で」
「ん……?」
「慰安旅行形式の宴会でね。やっぱり行くとしたら温泉旅館かしら」
「―って待ってくれカレンそれは危ないフラグがたっている気がするっ!」
「混浴フラグねドンと来い! ―あっ、そろそろ時間。また来週も聞いてね」
「また急だな。ああ……でも来週はもう解散してるかも……」
「お相手は紅月カレンと!」
「ライでした……もう疲れた」
61:創る名無しに見る名無し
09/09/24 18:12:49 1dX9Sw0h
木下ァァァァァァ!!!
>>60
GJでした、ピンクもふもふ卿!
温泉はダメだwバッドエンド直行www
次の投下を楽しみにしています
62:創る名無しに見る名無し
09/09/24 23:08:00 Y+Qy7z6v
もっふー!
学生時代によく聞いたラジオを思い出したよ
ありがとう
63:蒼い鴉 ◆F.9o83kBbA
09/09/25 00:16:25 H/jjZ0RS
こんな、ハードボイルドの夜にはペプシコーラのオンザロックに限る・・・
どうも、お酒が飲めないハーフボイルド野郎こと蒼い鴉です。
今から、5分後に投下を行いたいと思います。
ライ×コーネリアでタイトルは「Dorping Kiss」です。13KBほどありますので支援お願いします。
64:蒼い鴉 ◆F.9o83kBbA
09/09/25 00:22:19 H/jjZ0RS
「Dorping Kiss」
「……行きますよ、コーネリア殿下」
「あ、あぁ」
紫がかった髪と軍服に身を包んだ豊満で均整のとれた体に腕を回してソファの上に倒すと、ライはそのように呟き、彼女はそれに答える。
手袋を外し、素肌でコーネリアの髪を梳くように一撫でして、その手を頬に移すと、コーネリアはピクンッと肌を震わせて、甘えるようにライのその手に擦り寄り、小さな甘い吐息を漏らす。
猫のようにとも、犬のようにともとれる行動はとてつもなく可愛く愛しいものであった。
それは、厳格な雰囲気を身に纏わせるエリア11の総督であると同時にブリタニア皇族である彼女からは想像できるものではなかった。
互いの視線を交換し、二人の顔はうっすらと赤みを帯びる。
そして、ゆっくりと二人の唇が近づいていく。
距離の縮まる唇と唇。近づくにつれて大きく動く互いの心臓。
しかし、残り数センチといったところで互いの唇の動きが止まった。
そして、コーネリアが静かに声を出す。
「…何をしておられるのですか、エニアグラム卿?」
それは自分の上にいるライに向けられた言葉ではなく、その上でライの頭を両手で押しているナイトオブナインに向けられた言葉であった。
「いや、私のことはお気になさらずに」
「気にしますっ!」
思わず、コーネリアはライを挟みながら剃刀のように目を鋭くさせてノネットに対して声を張り上げる。
「気にしなくともよろしいのに……」
どこか残念そうな声を出すノネットはライが淹れたブランデー入りの紅茶を飲む。しっかりと紅茶に於けるゴールデンルールを守ったその紅茶は自分の領地へ引き取った時からのお気に入りであった。
「ですから、気にすると申しているのです!エニアグラム卿!」
向かい側に座っていたコーネリアはヒビでも入れんばかりにテーブルを叩き、紫がかったの髪を振り回しながら荒い声を出す。
65:創る名無しに見る名無し
09/09/25 00:22:54 5wCU6Pxb
支援
66:蒼い鴉 ◆F.9o83kBbA
09/09/25 00:23:50 H/jjZ0RS
その隣に居るライが「まぁまぁ」と宥める。すると、彼女は素直に、若干むくれた顔をしながらライが差し出した紅茶を飲み始める。
もし、今より昔にコーネリアという女性を知る者がいたら、どのような顔をするのであろう。
神聖ブリタニア帝国第二皇女コーネリア・リ・ブリタニアが、各エリアで様々な武勲を立てた女傑がたった一人の少年の言葉を素直に聞いたのだ。
しかも、先程の行為の最中の彼女は子猫同然であった。
どんな人間でも愛しい者の前ではチョコレートのように蕩けてしまうという良い例だ。
「しかし……」
紅茶を半分ほど飲み干すと、ノネットはカップをソーサーに置く。
「未だにできていないのですか、キス」
ノネットの言葉、主に最後のキスという部分にコーネリアは頬を紅潮させる。その反応でノネットは若干呆れたような表情をする。
戦や軍に関することは満点でも、愛やそれに関することはほぼ0点と言った所か。だが、それだけ彼女が学生時代などで如何に武門に打ち込んでいる証明でもあった。
「殿下、いちいち恥ずかしがっては先に進みませんよ?あと数週間もすれば本国で結婚式なのに、本番ではそれは通用しないんですから」
その言葉に紅潮させた顔を更に赤くさせたコーネリアは呆れたような口調で紡ぐノネットに反論をした。
「さ、先程のはできそうだったのです!あと少しもすれば…」
「でも、結局できませんでしたよね」
「ぬぅ……」
ノネットの言葉に思わず口ごもるコーネリア。
「それに、ライ。お前もお前だ!男だったらきっちりと女性をエスコートしてハートを鷲掴みにしてしまえ!」
「鷲掴みって……」
向けられた少々厳しめの視線に対してライは苦笑を浮かべて頬を掻く。
「お前もエニアグラムの名を持つ者として、殿下の夫となる者としてそれぐらいはしろ、ってことだ」
67:蒼い鴉 ◆F.9o83kBbA
09/09/25 00:25:31 H/jjZ0RS
今から、一年と少し前にここエリア11ではコーネリアの妹でもあるユーフェミアが提唱した行政特区日本が設立した。
その式典の最中、ノネットが遅れながらに記念式典の会場に到着した時に肩からの血で腕を濡らしたライを見つけた。
何があったのかを頑として言わず、しまいには自分を殺せなどと言ったのだ。ただ事ではないことを察知したノネットはライを自分の領地へと連れ帰った。
そして、一年後にはエニアグラムの名を持つことになった銀髪の少年はコーネリア・リ・ブリタニアにプロポーズを行ない、コーネリア自身もこれを受け、二人は結ばれることになり、数週間後には結婚式を迎えることとなった。
だが、先程も言ったようにこの二人―特にコーネリアは恋を始めて知った初心な少女のようにライとのキスに対して戸惑いと恥ずかしさを覚えている為か今まで何度も挑戦するが結局できずにいた。
ノネットも最初の内は微笑ましいと言って多めに見てきたが、さすがに本国での結婚式の日が迫る中で多少の焦りを覚えて、ライとコーネリアのキスを無理やりサポートを行うこととなったのだ。
「まぁ、確かにいくら何でも無理矢理なサポートでキスを交わしたとしても嬉しくはないでしょう」
そう言ってノネットはソファから腰を上げるとその横にある四角い物体に手を伸ばす。プラスチックのケースであるところからクーラーボックスであると考えられる。
蓋を開けると、白い煙が姿を見せる。その中に手を入れ、ノネットが取り出したのは二つのグラスであった。
縦長で、飲み物の量が多く入るタイプだ。だが、ライとコーネリアはそれの出現に良い顔をしなかった。正確には、グラスの中に注がれている液体にだった。
その液体は血の色を宿し、まるで本物の血が注がれているようであった。
「あ、あのノネットさん…」
「ん?どした」
隣にいるコーネリアの眉をしかめた顔を見たライは恐る恐るとノネットに尋ねる。尋ねられたノネットはグラスを二人に近づけながら答えた。
「コレってまさか本当の血じゃ……」
「あぁ、本物のマムシの生き血だが?」
68:創る名無しに見る名無し
09/09/25 00:26:31 5wCU6Pxb
支援
69:蒼い鴉 ◆F.9o83kBbA
09/09/25 00:26:39 H/jjZ0RS
あっさりと言うノネット。それに対して開いた口の塞がらないコーネリア、ライはというと別段驚く表情を見せなかった。
本国に居たとき、今以上の行動を何度も見せつけられていたので『驚く』というよりも『驚けない』のだ。
「どこから持ってきたんですか、こんなモノ…」
マムシと言うんだから、イレブンで手に入れたんであろうが。
「いやぁ、特派のセシルに相談してみたらこれが効果的と聞かされてな?枢木に頼んで生け捕りにしてきてもらったんだ。大丈夫だ!鮮度に問題はない」
「いえ、そういう問題じゃなくて」
マムシの生き血が精力剤として効果的、だという話はライも耳にしたことがある。だが、あくまで迷信のようなものと考えていたので試そうとは思わなかった。
まさか、時を経てこのような形で迷信を試すことになろうとは考えつかなかった。
「エニアグラム卿、お気遣い感謝致しますがこのようなあからさまな方法は少し……」
「お言葉ですが、殿下」
コーネリアの異議を唱える言葉を止めたノネットの言葉には、力強いものが宿っていた。
「恐れながら、このようなドーピングまがいの事をしなくては殿下とライの距離はいつまでも縮まらないと実感いたしました」
ノネットの言葉にコーネリアもさすがに思いつくところがあってか息を呑む。
「いつまで経ってもキスに対して戸惑いを持ち続けているのは、いかがなものかと」
「………」
更にノネットの言葉は続く。
「これでは、ブリタニア第二皇女、コーネリア・リ・ブリタニアの名が泣いてしまいますぞ?」
その言葉により、コーネリアが守った沈黙は破かれた。テーブルを手の平で叩きつけ、剃刀のような鋭さを持つ目がノネットを捉える。
「そ、それでは!エニアグラム卿!エニアグラム卿はしたことがあるというのですか!?その……キ、キス…を」
キスという単語を発する際に頬を紅潮させながらもコーネリアはノネットに問い掛けることができた。
「えぇ、ありますけど」
またしてもアッサリと言うとノネットは顎に指を添えて、ライの方にちらりと視線を送る。ライがその視線に気づくとノネットは視線を逸らした。頬を薄く紅潮させながら。
「!」
「?」
ノネットのその行動はある者に衝撃を与え、ある者には頭の中にクエスチョンマークを思い浮かばせた。その次の瞬間、ライは己の横から冷たいものを感じ取った。横を振り向けば、そこには今まで見たことのないような顔をしたコーネリアがいた。
70:蒼い鴉 ◆F.9o83kBbA
09/09/25 00:27:57 H/jjZ0RS
ライには即座にそれが怒りによるものだと察知した。親衛隊に属していた頃に怒りの顔を何度も見たことがあるが今回のは一層特別なモノとなっていた。
「で、殿下…お、落ち着いてください」
「……黙れ」
宥めようとするが、氷のような刃でライの言葉は一蹴されてしまう。普通の男ならば、諦めるだろうがライは違った。命令口調にも似た彼女の言葉を受けても宥めの言葉を止めようとしなかった。
「この、浮気者がぁ……!」
「落ち着いてください殿下!どう考えたって、ウソに決まってるでしょう!!」
迫り来るコーネリアはついにライの軍服の襟元を掴みだした。その力は強かった。必死に言葉を続けるが力を弱める素振りを見せようとしない。
「ウソ……だと?」
「そう!ウソなんですってば」
ライが発した言葉の中にあった単語を反芻したとき、彼女の手の力がほんの少しゆるくなった。更に身の潔白を証明しようと言葉を紡ぎ、力を緩めようとするが。
残念ながら、ライの考えは脆くも崩れ去ることとなった。
「ウソではないぞ?ラ・イ♪私の屋敷に居た時、お前が優しくしてくれたキスを私は忘れていないぞ?」
「ノネットさん!?」
ノネットの甘い声が耳に届いた頃、襟首を掴む手に力が再び篭り始めた。ライは咄嗟に声を出して言葉を中断させようとするがノネットは止まらなかった。それどころか、声高々に語り始め、自分を抱き締め、身を捩じらせながら聞く者を煽らせた。
「……あの時、お前は私を壁に押し付けて、体をピッタリとくっつけて…そして啄ばむように私の唇を……あぁ!」
「……ライ、貴様…」
「ノネットさん!本気で勘弁してください!言っていい冗談と悪い冗談が―」
その時、ライは最後まで言葉を紡げなかった。瑠璃色の瞳に拳を固めて今にもそれを振り下ろしかねないコーネリアの姿を捉えたからだ。
「ま…待ってくださっ」
71:蒼い鴉 ◆F.9o83kBbA
09/09/25 00:29:28 H/jjZ0RS
だが、いつまでたっても痛みはやって来ない。不審に思い、目を開ける。それと同時に耳の中に鈍い音が入り込む。
音の発生源を探ろうと、顔を横に向けると机の上に異変が起こっていた。二つグラスの中にあったマムシの生き血の一つが空となっていたのだ。
「……ライ」
自分を呼ぶ声にライは反応した。そこには頬を上気させ、手には生き血の入ったグラスを持つコーネリアの姿があった。
コーネリアはグラスの縁を口にゆっくりと近づけ、そしてそれを一気に煽った。ライの制止の声も空しく響き、それに呼応するかのように一気に減るグラスの中身。
「……ふぅ!」
勢いよく飲み干したコーネリアはグラスを叩きつけるようにテーブルの上に置いた。そして、ライの方に向き直った瞬間、コーネリアはライの両腕を掴み、彼の背中をソファに押し付けた。
「うわぁ!!」
思わず、悲鳴を上げるライ。
「キ、キスの一つくらい……わた、私…でも…!」
先程以上に顔を真っ赤に染め上げるコーネリアが紡ぐ言葉は舌足らずであったが、今から行う行動の推測には十分すぎるものであった。
ゆっくりと近づく唇。逃れることができない。少し近づくだけでも高まる心臓の鼓動。血が激動する感覚。そして、今落ちた―彼女の鼻血が。
「で、殿下…?」
顔に落ちてきた数滴の液体。見上げれば、顔を真っ赤に染め上げ、気絶する彼女の鼻から血が流れ出していた。
「殿下ーーー!?」
その夜、コーネリアの執務室内でライの声が良く響き渡った。
72:創る名無しに見る名無し
09/09/25 00:29:29 5wCU6Pxb
支援
73:蒼い鴉 ◆F.9o83kBbA
09/09/25 00:31:22 H/jjZ0RS
「………ふぅ、やれやれ」
濡らして絞ったハンカチをコーネリアの額の上に乗せるとライは一段落した声を出す。
あの後、大量の鼻血を出したコーネリア。ライとノネットの適切な処置によって、今は落ち着いてライに膝枕をしてもらい、キスに関して何かと魘されている。
「ノネットさん…気を遣っていただけるのは有り難いんですけど……」
「いや、すまんな。まさか、こうなるとは……」
「違いますよ。そういうことじゃなくて…」
テーブルの上に出ていたグラスとコーネリアの鼻血を処理しながらノネットは謝る。だが、ライは彼女の言葉を否定した。
「ユーフェミア様の事で悩んでおられる殿下の気を紛らせてくれたんですよね?」
コーネリアの妹、ユーフェミア・リ・ブリタニアが唱えた行政特区『日本』の構想。その新しい体制には、多くの賛同者が集まった。
かつて、エリア11で猛威を振るっていた反ブリタニア組織、黒の騎士団を闘わずにして無力化させるほどであった。だが、必ずもエリア11の全てが特区日本に賛成しているわけではない。
特区日本設立後も散発的に発生する反ブリタニア勢力によるテロ事件は後を絶たず、黒の騎士団の協力によって大きな惨事には至っていないが、平和を願うユーフェミアにとっては頭の痛い悩みの種だった。
ブリタニアとナンバーズを区別するコーネリアは特区に関してはユーフェミアに任せ、自分はエリア11の統治に力を注いでいる。
だが、その本心では愛しの妹の悩みを一刻も早く取り除いてあげたい、そんな思いなのである。
それは、ノネットも同じ気持ちであった。学友であるコーネリアの手助けを行いたい、しかし、ノネットは皇帝直属騎士団ナイトオブラウンズに属している。
軍とは別の独立した指揮系統を有する為、勅命以外ではおいそれと動くことはできないし簡単に行動を起こすこともできない。
唯一できることは張り詰めさせた気をほんの少しでも抜き、今だけでも女の幸せを、結婚式に向けて足を踏み出してもらうこと。
「大丈夫ですよ」
74:蒼い鴉 ◆F.9o83kBbA
09/09/25 00:32:40 H/jjZ0RS
ノネットの沈黙を肯定と取ったライは安心感を与える微笑をノネットに向けた。
「スザクを自分の専任騎士とした後に、スザクのことを話すユーフェミア様を見て少し、安心しました」
彼女はある意味で一人だった。まともに会話を交わせる人数は限られ、自分と同世代の人間など皆無であった。
「ユーフェミア様はしっかりと手にしましたよ。しっかりとね……」
優しく泣く子を宥める母親のような柔らかい声でライは言葉を紡ぎ、コーネリアの額に乗せていたハンカチを取ると彼女の頭と髪に指を這わせ、梳くように撫でる。
「もう『お飾り』ではありませんよ、今ある場所で多くのことを悩み、多くのことを語ってそこから答えを導き出せばいい……」
コーネリアの頭を撫でる動きが更に優しくなる。目を瞑っているが、撫でられている本人も満更ではない表情を醸し出している。
「……ライ、お前は人を観察することは得意みたいだな」
「そうですか?」
微笑んでノネットの言葉を返すライ。
「できれば、その観察眼をもう少し女心に活かしてほしいものだ」
軽く溜め息を吐くノネットにライはその言葉の意味が判らないのか、頭に疑問符を浮かべる。
「……そこまで、朴念仁でいるつもりはないんですが。それより、殿下を隣の部屋にあるベッドに移しましょう」
そう言ってライが立ち上がろうとしたとき、ノネットは見た。今まで気持ち良さそうな顔をしていたコーネリアが先程のライの言葉を聞いた途端に見る見る内に額に青筋を立てるのを。そして、立ち上がろうとするライの太腿を思いっきり抓るのを。
「アガッ!イデデデッ!で、殿下!?お、起きて…!アッ―!」
どうやら、もっと強くしかも抉るように抓られたようでライの声にならない悲鳴が執務室内を木霊した。
「で、殿下…いた、痛いですっ!ご、ごめんなさ」
その様子を見ていたノネットはまたも溜め息を吐いたがその顔はどこか微笑んでいた。
75:蒼い鴉 ◆F.9o83kBbA
09/09/25 00:33:55 H/jjZ0RS
投下終了です。支援してくださった方有難う御座います!
76:創る名無しに見る名無し
09/09/25 00:43:54 5wCU6Pxb
乙でした。キスの寸止め…実に惜しい。ノネットさん、確信犯過ぎる。
しかしライに身を任せるネリ様も、前に進もうとしてマムシの血を飲んで倒れるネリ様も、健気でかわいらしいです。
この二人には今後幸せになってほしいと思いました。
77:創る名無しに見る名無し
09/09/25 00:46:22 TrjWN2xJ
GJです。
1レス目を読んで「オイオイこの人投下する場所間違ってんじゃねえの?」
などと思ったおバカな私を許してねw
78:創る名無しに見る名無し
09/09/25 01:36:28 K8QFtgYJ
全滅してるとこがあるじゃねえかw
歌詞の中二病っぷりがそこはかとなくゼロらしくて困る、乙でしたw
79:創る名無しに見る名無し
09/09/25 01:46:12 K8QFtgYJ
って確認しないうちに次がw
ネリ様可愛いよネリ様。
ノネットさんは誰か止めてやらないと大変なことになるぞw
いやもうなってるが。
80:創る名無しに見る名無し
09/09/25 11:00:53 NEfmSRyq
>>75
GJでした!
ノネットさんのサポート、なんか微妙に間違えた方向な気が……
そしてマムシwwwシメたのか、その場でシメたのか!?
次の投下も待っています
81:創る名無しに見る名無し
09/09/25 16:26:09 QTG3UlBV
4:45分頃に投下します
82:創る名無しに見る名無し
09/09/25 16:28:50 +2l9sn3F
支援?
83:羽付き羊
09/09/25 16:44:12 QTG3UlBV
お久しぶりです。羽付き羊です今回は短編を一つ投下したいと思います
まず先週に投下しようと思っていたんですが、噂の新型にかかってしまい投下が遅れてしまったのをここで謝罪しておきます。どうもすみませんでした
カップリングなし
タイトル<反逆裁判~初めての反逆~>
ジャンル ギャグ
クロスじゃないです
注意
名前の通り完全にパロってるのでその手の話が嫌いな人はスルー
扇の扱いが悪いので扇好きな人もスルー(バドレーも)
ネタなので軽く読む人にお勧め、深読みすると後悔します。
一部キャラが崩壊しております
以上の事を踏まえて読んでもいいと思う人はぜひ読んでください。
支援は要らないと思います
84:創る名無しに見る名無し
09/09/25 16:45:55 +2l9sn3F
念押し支援
85:羽付き羊
09/09/25 16:46:08 QTG3UlBV
反逆裁判
~初めての反逆~
とあるマンションの一室で1人の女性が頭から血を流して横たわっている。
「くそ…何で私がこんな目に…」
そう言っている男の手にはチーズ君の置物を持っている、血まみれでそれが犯行に行われた凶器という事を物語っている。
「捕まりたくない…どうすれば…」
パニックを起こしそうだった頭に先程ここを訪れようとした男を思い出していた。
「そうだ…アイツのせいにするんだ、アイツのせいに…」
自分の罪を逃れる事ができる可能性が出てきた男は笑い始めた。
「くはははは…ははははは!」
狂気に満ちた悪魔の笑顔で…
8月3日 午前09:47
地方裁判所 被告人第2控え室
(うう~キンチョウするな~)
「お前もよくやるよなぁ~初めての弁護が殺人事件なんてな。」
僕の師匠のノネットさん言うように初めての弁護が殺人事件なんて正直嫌だった、しかしそうは言ってられない、何故なら…
「ライ~、オレ、アイツがいない人生なんて死んだ方がマシだ~。俺を有罪に、いや死刑にしてくれ!」
(無茶言うなよな…)
「アイツを殺したのは誰なんだ!?教えてくれよ、ライー」
(新聞にはお前って書いてあるんだけど…)
そう僕が初めての裁判をこの殺人事件にした理由はコイツ、リヴァルだ。殺人事件の犯人にされているコイツを救うために僕はココにいる。
コイツは色々バカな事はしていて“事件の影にヤッパリヴァル”なんて言われているが殺人なんてする奴じゃない、しかも自分が好きな人間を殺すなんて彼が物語の主人公になるくらいありえないのだ。
「おい!いくらなんでもそれは失礼だろ!?」
だからこそ僕はコイツの無罪を勝ち取らなければならないのだ!
「…無視かよ!もういい、死んでやる~」
「うるっさい!法廷の準備できるまで寝てろ!」
「ぐぎゃ」
…ノネットさん、被告人にボディブローは止めてくださいよ…
「だってコイツうるさいからな、もう聞くこと聞いたし裁判まで寝かした方が楽だろ?」
そうですけど…まぁいっか。
肝心なのは今日コイツの無実を証明する事なんだから…
あっ紹介が遅れたね。僕の名前はライ。3か月前から弁護士になりエニアグラム法律事務所で働いている新米弁護士だ。
今日は記念すべき初めての法廷に立つのだが…
なんというか初めての裁判が殺人事件で、しかもほぼ有罪確定の裁判の弁護をするのは敗北記念にピッタリな気がするんだけどね…
その事件の内容は至ってシンプル、マンションの一室で若い女性が殺された。捕まったのは不運にも彼女と付き合っていた男、リヴァル・カルデモンド。
一応、小学校からの親友というか悪友というかまぁそんな感じの付き合いだ。…さてコイツはさっきも言ったけど犯罪に手を染めるようじゃない、ただひたすらに運が悪い(ついでに女性運も)
ただ一つ言える事は今コイツは無実の罪を被せられようとしている。それを救うのが弁護士ってヤツだと僕は思っている。…そうアイツがそうだったように…
僕はコイツを救う、僕の弁護士人生にかけて!
「まだ始まってもないものをかけるなよ…」
ノネットさんそれは言わないでくださいよ…
86:羽付き羊
09/09/25 16:48:53 QTG3UlBV
8月3日 午前10時
地方裁判所 第2法廷
ざわざわざわ…
僕はどうも初めての裁判という事で僕は色々緊張しているらしい。何故なら裁判長の席に仮面を被った人物がいるという幻覚をみているからだ。
「またジェレミア裁判長仮面被ってるよ…あの人いつもあれだな…」
ええ!?僕の幻覚じゃなかったんですか?
「ん?まぁ近年犯罪の増加に伴い優秀な人材を裁判員にしたりして性格やら趣味やらは無視だったからな~」
…これでいいのかな?この国の将来は色々心配になってきましたよ…
「まぁ、あの人はあの人なりの真実ってやつを求めてんじゃないか?」
「おはようございました」
「…たぶん」
たぶんって…
「それではリヴァル=カルデモンドの法廷を開廷したいと思うが、検察側、弁護側準備は整っているのか?」
というのを聞いてやることはやりそうだなあと思いますよ、ノネットさん。
「そうだろ?」
「え~検察側準備完了です」
む、検事が何か言ってますよ?
何か冴えない人ですね、あの人なら勝てそうな気がしますよ。
「アイツは扇検事!」
知ってる人ですかノネットさん?
「久しぶりだなノネット弁護士」
久しぶりとか言ってますよ?
「いや…噂だけしか聞いた事はないが、ずいぶん汚い噂しか聞かないぞ例えば…」
じゃあ何で久しぶりって言ってるんですかね?…例えば何ですか?
「記憶喪失の女の面倒をみたからといった理由であんな事やこんな事をしたり、このスレには書けないような事を毎晩したらしいぞ。」
「ちょっと…」
許せませんね!
「さらに自分が目立ちたいからと言って上司を裏切って今の地位にいるというヤツらしい…」
「おいってば」
絶対に許せませんね!
「さらにさらに今では記憶喪失の女は身ごもっているのだ!」
有罪にいや強姦罪で裁きましょう!裁判長もそう思うでしょう?
「死刑だな、絞首刑。」
「双方の同意があってしてるんだ!!!!結婚してるし、愛し合ってるんだからいいだろ!?」
顔真っ赤ですね…あの人冗談通じないんでしょうか?
「まったく空気読めん奴だな、色々な意味で終わってる。」
「全くだ…大体本当にそうなら今ココにいないだろうというのが分からんのか?」
「…アンタ等全員名誉棄損で起訴するぞ!」
裁判長、弁護側準備完了しています。
「では始めようか」
「………」
87:羽付き羊
09/09/25 16:49:35 QTG3UlBV
(睨んでるよ…こっち見ないでほしいね全く。)
「っごほん、え~弁護人は今回初めての法廷だと聞いたのだが間違いはないか?」
はい、その通りですが…
「依頼人が有罪になるか無罪になるかはお前次第だという事を肝に銘じておけ。」
もちろんです。
「じゃあ初めてという事だから手始めに被告人の名前を教えてもらおうか?」
よし、それならちゃんと調書を読んだから分かるぞ…
被告人は…
…ひ、被告人は…
ありゃりゃりゃ?
ってヤバっ、ど忘れしちゃった…
「ら、ら、ら、ライ、お前ってやつは…」
すいません、色々インパクト強すぎちゃって混乱したみたいです…
でもそんな痛い子をみる様な眼で僕を見ないで下さいよ…
「事件の事は法廷記録、法廷記録はRボタンでいつでも呼び出せるから、それで確認しとけ」
ノネットさんRボタンって何ですか?
「ああ、ここはアドバンスとかDSとかじゃなかったな~スマン、スマン、ボケていたみたいだ。普通に机の上にあるから見とけ。」
了解しました。ええ~と、あった、あった。
88:創る名無しに見る名無し
09/09/25 16:50:39 +2l9sn3F
支えん
89:羽付き羊
09/09/25 16:52:07 QTG3UlBV
被告人の名前は“リヴァル・カルデモンド”時々ラジオネームで“リカルデント”と呼ばれたりします。
「何で知ってんだよ!」
ははは、毎週反逆の山○DXを聞いていたから当然だよ。もはや中毒リスナーさ、
高槻えじゃないか~♪そじゃないか~♪ってね
「…それは引いたぞ?ライ…」
そんな眼で見るなよリヴァル…
「…ほ、ほう~リカルデントとはずいぶん歯に優しい名前だ。よろしい次は被害者の名前を」
(裁判長も少し引いてるし…)被害者の名前はC.C。というかこの人の本名が法廷記録にも残っていないんですが…
「それは大人の事情というものだ。よろしい次に被害者の死因は?」
死亡推定時刻は16:00~17:00までの間で、死因は鈍器で1発ガツンとやられていますね「よろしい…ところで扇検事?今の弁護人の発言の通り凶器は何だ?」
「凶器はこの《チーズ君》の置物です、死体のそばに転がっておりました。」
「証拠品として提出してくれ」
○チーズ君の置物
とあるピザ屋のマスコット《チーズ君》の形をした置物。
かなり重いし色までしっかり付いているかなり精巧。
「とまあ、こんな風に審理が続いていくと証拠品が増えるんだ。それはお前の武器になるからよく覚えておけよ?」
はい、ノネットさん。
この辺で法廷記録をまとめておくか…
○C.C.の解剖記録
死亡時刻は、7月31日
午後4時以降5時まで。
鈍器による一撃で失血死。(記録自体は8月1日に判明している)
なるほど…まぁ、これだけじゃあ証拠は不十分ですね…
「それは私以外の検事にあたった場合だ…君の依頼人はもう有罪を待つだけなんだよ、くははは!」
…僕は信じる、僕の依頼人は絶対に無実だ、それだけは誰にも譲れない!
「ふふ…その強がりが何時まで持つの…「さっさと被告人を呼べよ、この会話は時間の無駄だ」ぐぬぬぬ…ノネット弁護士!」
「早く呼べ、この犯罪者!」
「そうだ、このジェレミアからも要請する速やかに呼んでまいれ、この犯罪者!」
何で2人とも煽ってるんだ?
「「私もまだ結婚していないというのに…」」
…嫉妬かな?
「俺は犯罪者ではない!何度言ったら分かるんだ!」
「「まだ2回目だ、とっとと呼んで来い!」」
…この2人仲良いな~
「ぐぬぬぬぬにぃねぇぇ…」
あ~あ、あんなに歯ぎしり立てて大丈夫かな?
「お前ら3人まとめてこの裁判終わったら起訴してやるぅぅぅ!」
えっ?僕も入ってるの?
90:羽付き羊
09/09/25 16:54:00 QTG3UlBV
そうこうしてる内にリヴァルは証言台に立っちゃってるし…
「君は被害者に最近フラれたそうだね?」
普通に聞き始めたよ、あの極悪検事さん。
「んだと?今世紀最高のカップルに向かって何て事を言うんだ!」
リヴァル。お前に彼女できたなんて誰も知らなかったんだぞ?
「本当だって、ただ最近はこっちから連絡いれても出なくてさ…」
「それを“フラれた”て呼ぶんです。実際彼女は君にあまり会っていないし殺害される前の日も海外旅行から帰ってきたばかりだったんだ。」
「な、なんだって…」
「裁判長。被害者のパスポートです。亡くなる前日までニューヨークにいたようです。」
○パスポート
事件前日7月30日にニューヨークから帰国してきたらしい。
チーズの臭いが半端ないパスポート。何故こんなに臭いが?
「彼女はニートで収入がありませんが彼女には“下僕”がたくさんいたようです」
「げ、下僕?」
「彼女に貢ぐ男たちの事を彼女はそう呼んでたらしいです。」
な、なんて女だ…まるで魔女だな…
「何だって?」
リヴァルの眼を今日は見る事ができそうにないな、可哀想すぎる…
「嘘だ!俺はアイツに罵倒されたり、“童貞坊や”とか“サブキャラ”とか“忍者に生まれ代われ”とか言われてきたけど…」
その時点で付き合ってるのがすごいよ…
「俺が“ピザ”を作った時は『お前のピザはなかなかだな』って言って食べてくれたんだ!…俺の金で」
それはカモられているというのでは?
「…被害者のC.C.はそういう人間だったって事だ。君は彼女についてどう思うかな?」
「ちぃ…狡い手を使いやがって、ライ、この質問に答えさせたらややこしい事になるぞ?」
そうですね…リヴァルのヤツはたぶんこう言いますね
「「死んでやる…もう、死んでやる!天国でアイツを問い詰めるんだ!」」ってぐらいに言うんじゃないで…もう言っちゃいましたね
「もうダメかもな…」
「…では、審理を続けようか。」
裁判長…あっちに傾いてきてるよ…
「まぁ被告の動機は分かってもらえたと思います。」
「…うむ」
とほほほ…
「それと事件当日君は彼女の部屋に行っているね?」
「行ったよ?だから何?」
ざわざわざわ…
「静粛に!」
何で木槌じゃなくて仮面で叩いてるんですか?
「さぁ?気分じゃないのか?ときどきはちゃんと木槌だしな」
そんなんでいいんですか?この国ヤバいかもしれませんね…
91:羽付き羊
09/09/25 16:56:17 QTG3UlBV
「それで?貴公は?」
「ただ留守で会えなかったんだよ…結局…」
“異議ぁりぃ”
(何かイマイチ迫力にかけるな…)
「裁判長。彼は嘘をついております。我々には今のウソを立証する証人がいます。死体の発見者です死体を発見する直前に殺人現場から出てくる被告人を目撃しているのです!」
ざわざわざわ…
「静粛に!静粛に!今すぐその証人を呼んでまいれ!」
「はい。現場の第一発見者のバドレー・アスプリウスさんを入廷させて下さい。」
何だ?…どっからどうみてもあっちの人の方が怪しくないか?クネクネしすぎだし何より明らかにヅラ!何を考えてるんだ?いくらなんでもヅラが波平さんVer.はおかしいだろ!
「アナタが宗教団体“嚮団”の勧誘のバドレーさん?」
「は、はいさようでございますよ。」
「では、さっそく証言を言ってもらおうかね?」
な、何故誰も突っ込まないんだ?明らかにヅラだよ!上下10㎝以上髪が浮き沈みしてたら誰だってわかるだろう?
…もういいや、見なかったことにしよう…
<証言開始>
~事件の当日目撃したこと~
勧誘していたらとある部屋から男がでてきたんです。何か慌てていてドアを半開きにしたまま部屋を出て行きました。
おかしいと思って、ちょっと部屋を覗き込んでみたんですよ。
そしたら女の人が死んでいてね…それを見て私は恥ずかしながら腰を抜かしてしまいまして部屋に入れなかったんです。
私はすぐに警察に連絡を取ろうと思ったんですが…
彼女の部屋は電話が通じなくて近くの公衆電話から連絡したというわけです。
時間ははっきり覚えています午後2時でした。逃げた男は間違いなく被告の人です。
「なるほどな…」
(何か少し引っかかるワードがあったな…まさか本当にこの人が?)
「ところで何故現場の電話が通じなかったのだ?」
「現場はその時間は停電中でした。電話は停電中でも通じるんですが種類によっては子機は使えないんです。」
「つまり…現場はそのタイプの子機だったということだな…」
「はい、一応証拠品として提出します。」
○停電記録
事件当日の午後1時から6時頃まで、現場のマンションは停電だった。
因みにマンション名は“アーカシャの剣”らしい。
「では弁護人、“尋問”を」
じ、“尋問”ですか?
「ライ、こっからが本番だぞ。」
…あの尋問ってどうすればいいんですか?
「今の証言の“ウソ”を暴くんだ、もちろんな…」
つまり僕の依頼人が無実ならウソをついているのはあっちの方ということですね?でもどうやって?
「鍵を握ってるのは“証拠品”だ。“証言”と“証拠品のデータ”の間に決定的な食い違いすなわち“ムジュン”があるはずだ。それを突きつけろ!」
了解です。あの部分ですね…
92:羽付き羊
09/09/25 16:58:31 QTG3UlBV
<尋問開始>
~事件当日目撃したこと~
バドレーさん、アナタは死体を発見したのは“2時”で間違いはありませんか?
「ええ、2時ですよ。それがどうしたんですか?」
それはおかしいですね…扇検事も分かるでしょ?
「ん?何がおかしいんだ?」
(あの顔は本当に分かってないな?どんだけ~)
解剖記録のデータと明らかにムジュンしてるんですよ。被害者の死んだのは“午後4時より後”なんです。2時に死体を発見するのは絶対に不可能なんですよ。
どうして2時間もズレてるんでかね?
「……!それは…あの、」
(油汗まみれだな…やはりアイツがリヴァルを…)
“異議ぁりぃ”
「それは、些細なことですよ。単なる記憶違いでして…」
「私にはそうは思えんな、バドレー、どうして死体発見したのが2時だと?」
「…ええと、その、何というか…」
「見事なツッコミだぞ、ライ!そうやってムジュンをどんどん指摘していけばいいんだ。ウソは必ず次のウソを生み出すはずだ。そのウソをまた見抜いて、アイツを追い詰めろ!」
リヴァル、お前の無実を証明してやるからな…待ってろよ
「…あっ!そうそう、思い出しました!」
「ならもう一度“証言”してもらおうか?」
<証言開始>
~死体を発見した時間について~
死体を見つけた時、時間が聞こえてきたんです。あの音、時報みたいな感じでした、たぶんテレビだったかと。
でも、時報にしては2時間もズレがあったんですから被害者の方はビデオをみていたんじゃないですか?
それを聞いて勘違いしたのでしょね…どうもご迷惑をおかけしました…
「では弁護人、“尋問を”」
<尋問開始>
バドレーさん、テレビの音があの時聞こえたんですか?
「ええ、そうだと思います。」
また勘違いをしておられますね、そもそもマンションは“停電中”だったはずですよ?
証拠品の停電記録がそれを証明しています
「…?」
あの日は電化製品が使えるワケないって事ですよ!
「んにゃ!?」
今、一瞬ヅラが宙を舞ったぞ?
「バドレーよ、最初からちゃんとした証言をなぜ言わぬ?」
「ええと、何分死体をみたショックから気が動転したみたいで…すいません。」
いや、やつは絶対に何かを隠している。そうじゃなければここまでムジュンが続くはずがないんだ。
「…次からは真実だけを話せ、そうでなければお前を信じる事はできなくなるぞ…」
「は、はい…」
93:羽付き羊
09/09/25 16:59:42 QTG3UlBV
<証言開始>
~時間を聞いたことにつき~
「やっぱり、“見た”んじゃなくて“聞いた”んでした。現場には時計があったじゃないですか。ほら犯人が使った凶器のあれです…」
“待った!!”
ちょっと待ってくださいよ。“凶器”はこの通り置物ですよ?このどこが時計なんですか?
「ハンゲぅぃっぁ!!」
(今、完全にズラが宙を舞ったな…)
「何ですか…さっきから偉そうにベラベラ喋って、あれは時計なんですよぉ。間違いなく…」
「裁判長、ちょっとよろしいでしょうか?」
「何だね?扇検事」
「この置物は、証人の言うとおり実は置き時計なんですよ。首がスイッチになって時間をアナウンスするタイプです。時計には見えないんで<置物>として提出したんです。」
「なるほどな…ライよ、これでもう問題点はないか?」
問題だらけですよ…この証言こそがバドレーさんが真犯人だったという決定的な証拠です!
「「「何!?」」」
その置物が時計だということは実際に手をとってみないと分からない…しかし証人は“部屋には入っていない”と証言しているんです。これは明らかにムジュンしている!
「なるほど…」
なぜこれを証人が知っているか、それは事件当日、部屋に入ったからだ!
「な、なんだって、し、知らないぞ私は…」
アナタが殴ったんだろ?これで被害者を!彼女を殴った時にこの時計が鳴った、アナタはその音を聞いたんだ!
ざわざわざわ…
「静粛に!…おもしろいな…続けろ」
バドレーさん、アナタはかなり驚いたんでしょうね…だって被害者を殴った瞬間、置物が急に喋りだしたんですからね…
その声が強烈に印象に残った…だからアナタはその時計だけをはっきり覚えていたんだ。その時間と一緒にね…
“異議ぁりぃ”
「な、な、な、何を言ってるんだ君は?そんないい加減な事を言わないでくれ!」
いい加減?…僕の推理がいい加減ではない事は証人の顔とズラを見たら一目了然ですよ。
「ぬぐぐぐぐぐ…」
ズラが宙に浮いてるってどんな原理なんだよ…
「どうなんだ?証人?」
「私が聞いたのは…いや見たのは…うぐぐ…ぬぉぉ!」
ペチャ
ズラをコッチに投げないで下さい…いやマジで…
「るっせんだよ!細けぇ事を愚だ愚だ言いやがって、アイツが犯人なんだよ!さっさと有罪を食らわしやがれ!死刑だ!ぶっ殺せ!」
ざわざわざわ…
「静粛に!静粛に!」
「裁判長、今の弁護人には何の根拠もありませんよ!?」
「ライ、証人が聞いたという時報がこの時計だったという証拠はあるのか?」
そんなのは簡単な事ですよ、この場で時計を鳴らせばいいんですからね。裁判長、その時計をお貸しください。
94:創る名無しに見る名無し
09/09/25 17:00:48 +2l9sn3F
しえん
95:羽付き羊
09/09/25 17:02:07 QTG3UlBV
いいですか。…よ~く聞いてください。ポチっとな。
《マルゲリータ!9時25分だチーズよ。朝食にはピザだよね?》
「な、何というか…変なアナウンスをする時計だな…」
…まぁ、チーズ君ですからね(こんなキャラ設定だったのか、チーズ君…)
「で、これがどうかしたのか?」
扇検事、今の本当の時間は何時ですか?
「11時25分……ぬあっ!!」
2時間、遅れているんですよ。この置時計はね…そう殺人現場で、バドレーさんが…いや真犯人が聞いた時刻と同じく、ね。
さぁどうですか?言い逃れできますか?
「…へ…っへ、っへ!!アンタ、1つ見逃してるよ!」
(?何がだ?)
「その時計が、事件当日にも遅れていたかどうか。その証拠はあるのか?」
(く…そんな事どうやっても証明できないぞ…クソッ!あと一歩だったのに…)
「ライ、貴様はそれを証明できぬのか?」
……
「ならばこれでバドレーの尋問を終わらせなければならないな…」
「へっ!ヒトがわざわざ証言しに来たっていうのに、犯人よばわりかよ!全く弁護士ってのはクズ野郎だな!」
(クソっ!…ハゲめ!…すまない、リヴァル…もう少しだったのに…僕にはもうどうしよもない…)
“待った!!”
「ちょっと待て、バドレー・アスプリウス!」
の、ノネットさん…
「ライ、ここであきらめたらダメだ…考えろ!」
でもどうしたら?事件があった日に、時計が遅れていたなんて分かるわけが
「そうだな…ならいっそのこと発想を逆…ゴホン、発想に反逆するんだ!」
ノネットさん、今少し間違えましたね?これ一応は反逆裁判なんで、その辺よろしくお願いしますよ?
「う~む、本家の方のセリフは全部入ってるんだがな~、しかも次回は私は死ぬし…」
まぁ、その辺は何とかなるかもしれませんから、指で机に“の”の字を書かないで、ね?
「もう台本貰ったもん、私どうせ死ぬもん…」
大丈夫ですよ、その代わり人気は鰻上りですし逆にそっちからの活躍はミツル…ごほん、ルルーシュより活躍しますから、ね?
「出番減らない?」
ええ!
「人気出る?」
もちろん!
「ならいいや、では気を取り直して…発想に反逆するんだ、何故“時計が事件当日に2時間遅れていたか”ではなく、そもそも何故あの時計が“2時間も遅れていたのか”とその理由を考えてみるんだ!」
…!
「分かるか?」
はい!それなら分かります、この証拠品ですよね?
「どうなんだ、ライ、何故事件当日、2時間時計が遅れていたのか証明できるのか?」
…もちろんですよ
「できるもんならやってみろ!」
お前のそのふざけた感じもこれまでだ、だが…いい加減ズラを元に戻したらどうなんだ?
そう…本編までにな!
…続けばいいのに…
96:羽付き羊
09/09/25 17:02:59 QTG3UlBV
“待った!!”
「俺の出番はないままなのか?こんな服まで着てスタンバッてたんだぞ?」
ないっぽいね。まぁその赤い服が似合っているから、いいんじゃないか、ルルーシュ?
「ぶぅはははははは!!私など次回作があっても出番がないんだぞ?」
仕方ないじゃん、そこまで行くと面倒なんだってば…
「私に至っては、シリーズ通して自分が役に立つシーンがあまりない。ずっとライと一緒にいれるから十分だけど…」
まぁアーニャは原作に共通点があるしね…(乗り移られただけだけど…)
「何よ、私なんか次回のシリーズの鞭持った検事役なのよ?しかも縦巻きロールの娘役なのよ?冗談じゃないわよ!」
そのツンデレ加減で選ばれたんだよ…カレン(ほとんどツンのところね)
「仮面の検事役は私か?このビスマルクでいいのか?そうなのかライ?」
…さぁ?因みに3までしか僕ネタ知りませんよ?
さて楽しんでくれました?この物語が続くにしろ終わるにしろ僕が主人公には変わりありません。今後ともロスカラをライをお願いします。
“異議あり!!”
「「「「「まだ話は終わってない!」」」」」
却下です。その異議は認められません。
“待った!!”
「ちょっと待て、私は殺されたままなのか?」
…で、ではまたの機会に、さようなら~
「待て話は終わって…」
GAME OVER
→to be continued?
97:羽付き羊
09/09/25 17:03:52 QTG3UlBV
まぁネタなんですが、ネタなりに楽しんで頂けたら嬉しいです。さて需要があれば続きを書こうかなとも思ってますが、あまりにネタなのでたぶん続かないでしょうね…
ちなみにオチは公式のお試しのやつです。うろ覚えなんで適当ですが…
逆○裁判ネタたっぷり入っているんですが、知らない人でも楽しんで頂けるのがネタだと思ってたりするんで、知ってたら10倍面白いとかそんな感じだといいな…
ストーリー的には逆裁の台本をアレンジした物をアドリブを含ませながら演じるって感じです。
駄文に付き合ってもらって感謝です。
反逆者の願いの方は構想できてるけど表現力足りんので書き溜めして文章の肉付けをしている状況ですのでまだまだ時間がかかりそうですが、まぁ今年度には次回分はできるかなとおもいます。
ではまたの機会に…
98:創る名無しに見る名無し
09/09/25 20:49:41 NEfmSRyq
>>97
羽付き羊卿、GJでした!
昔やった体験版を思い出しながら読みました、矛盾がボロボロと出てくる様が懐かしい。
というか >殺されたままなのか? 当たり前だろうwwwww
次の投下もお待ちしております!
99:創る名無しに見る名無し:
09/09/25 20:59:08 eCvIU6Wv
>>97
乙です!
コメントが無くてすみません
それでも次の投下をお待ちしています
100:ロスカラwiki ◆1kC3aaXjik
09/09/25 21:47:35 5L1tBY9K
みなさん投下、乙でした。
いくつも読めて嬉しい。
>59
ページ更新しました。
「ぎあすっ!!」はもふもふさんのページに組み込みましたが
名無しでの収納の方が良ろしければ
wikiのスレッド掲示板等でご要望いただければ幸いです。
101:創る名無しに見る名無し
09/09/25 23:16:33 5wCU6Pxb
皆さん、投下乙でした。ここんとこ投下が続いてますね。
5分後くらいに、投下します。短いお話なので、支援なしでも大丈夫だと思います。
102:余暇 ◆kkvclxzIds
09/09/25 23:20:16 5wCU6Pxb
こんばんは、それでは投下します。
作者:余暇
タイトル:ゼロ、満開!
(注意)
・カッコいいゼロが好きな方、すみません。
・割とカオスだと思います。
103:余暇 ◆kkvclxzIds
09/09/25 23:21:25 5wCU6Pxb
『ゼロ、満開!』
「はぁ~い、探したわよ」
ある時、僕はアジトの中でラクシャータに声をかけられた。彼女の隣には、ゼロもいる。
「やあ、二人して僕に何か用事か?」
「うむ、ライにぜひ見て欲しい物がある。すぐに私の部屋まで来て欲しい」
「見て欲しい物?ゼロ、それは一体何なんだ?ラクシャータが一緒ということは、新型ナイトメアか新しい武装の図面かな。特区ができて戦争も収まってきたのに、本当に研究熱心だな」
僕がそう予想を立てると、ラクシャータがニッと笑う。
「フフ、残念ねぇ。悪いけど今回は、そっちじゃなかったのよぉ。まっ、ナイトメアの研究の片手間に、ゼロに頼まれて作った物なんだけど」
「へえ、そうなのか。何を作ったのか興味はあるな」
一体ゼロはラクシャータに何を頼んで、そして彼女は何を作ったんだろうか。
「まあ、一種の娯楽のようなものだよ。君も、そのつもりで気楽に見てもらえればいい。では行こうか」
僕はゼロやラクシャータと一緒に、彼の部屋へと向かうことにした。
104:余暇 ◆kkvclxzIds
09/09/25 23:22:14 5wCU6Pxb
そしてゼロの部屋に着くと、早速彼がラクシャータに指示を出す。
「よし、ラクシャータ。早速だが例のアレを」
「はいはい、せっかちな人ねぇ」
そしてラクシャータは部屋の隅へ行くと、一つの小さな球体を持って戻ってきた。
「私が作ったのは、これよぉ」
「……え、これって花の球根か?しかも、真っ黒じゃないか」
そう、僕が見せられているのは何かの植物の球根だった。しかも腐敗しているのかと勘違いするほど、黒い色をしている。
「うむ、私が彼女に頼んだのは、とある花の品種改良なのだよ。球根が真っ黒なのは改良を重ねた結果であり、決して腐敗などではない」
「花の品種改良だって?どうしてまた、そんなことを?」
僕が尋ねると、ゼロはポーズを決めながら答えた。
「よく聞いてくれた。特区日本が軌道に乗り、少しずつ平和がこの地に戻ってきた。だが特区を運営するには、何かと費用もかかるのは君も知っているだろう。
そこでだ、ゼロに関する斬新なグッズを大々的に世に売り出し、費用の足しにすることを決めたのだ」
「ざ、斬新なゼログッズ?もう少し普通の収入源は考えられなかったのか?」
するとゼロは、また別のポーズを決めながら話し始めた。いちいちポーズを決めないと話せないことなのか?
「ふっ、自分で言うのもおこがましいが、ゼロの人気は意外と高いのだぞ。それこそ上昇カーブ一直線だ!」
「カーブなのか直線なのか、どちらかにしてくれ。まあとにかく、この球根をどうやって売り込む気だ?何か人気が出るような、面白い特徴でもあるのか?」
するとゼロが、マントをはためかせて言った。
「愚問だな、ライ。当然用意してあるさ、ラクシャータ!」
「了解~」
ゼロに指示されたラクシャータが、土の入った植木鉢を持ってきた。僕は一体、これから何を見せられるのだろう。
105:余暇 ◆kkvclxzIds
09/09/25 23:23:26 5wCU6Pxb
「この球根だけど、みんなが『あっ』と驚くような特徴があるのよ。それをアンタに今から見せてあげるわぁ。まずは、球根を土に植えてっと」
「ふむ、土に植えるのは一緒なんだな」
「そして、お水をたっぷりあげるっと」
土の中に植えた球根に、ラクシャータがじょうろで水を与えていく。
「ラクシャータ。一体、この植物の特徴って何なんだ?まさか、すごく成長速度が速いとか?」
するとラクシャータが、ニヤッと笑ってみせる。
「いい所を突くわねぇ。そう、答えは……」
そう言ったラクシャータが、突然どこからかミニコンポを出してきた。そして一枚のCDをセットする。
「それじゃあ、ミュージック・スタートォ」
ラクシャータがスイッチを押すと、何やら軽快なメロディが聞こえてきた。だが何故だろう、この歌詞はどこかで聞き覚えがあるんだが。
「あの、この歌詞ってブリタニアでの式典か何かをテレビ中継している時に、聞いたような気がするんだが」
「ご名答ぉ、これはブリタニア国歌・ヒップホップヴァージョンよぉ。歌っているのは、最近デビューしたコルチャックwith不愉快な手下たちで……」
「ヒッ…ヒップホップ!?いいのかそれ、僕が気にすることじゃないけど。ていうか、そこは『不愉快な』ではなく『愉快な』にした方が…って!?」
僕は鉢植えに起きた異変に気づき、声を上げた。何と曲に合わせて、土の中から芽が出てくるではないか。
「ど、どういうことだ!」
「音楽のリズムに合わせて、自由に成長速度を変えられる。これが、この植物の特徴よぉ。面白いでしょ」
「お…面白いというか、むしろ不気味だぞ。何故か髪が勝手に伸びてくる、呪いの人形を想像してしまったぞ」
するとゼロが、抗議の声を上げる。
「失礼な男だな、私がせっかく提案したアイデアを、そのように評価するとは」
「って、君のアイデアだったのか!?しかし、これはさすがにシュール過ぎだろう」
「私もライの意見に同意するわぁ。自分の技術力を見せたいからあえて黙っていたけど、こんなのがニョキニョキ生えてきたら、小さな子供が泣かないとも限らないわよ?」
「んなっ!?ラクシャータ、君が以前私のアイデアを褒めてくれたのは、あれはウソだったと言うのか!」
ショックを受けたらしく、ゼロが頭を抱える。まさか共同開発者からこんなことを言われるとは、思いもしなかったろうな。
しかしラクシャータも、「開発前に指摘してやる」という選択肢はなかったんだろうか。今さら本音を言われても、余計にショックなだけだと思うのは僕だけだろうか。
「しかし…葉っぱも茎も全部真っ黒というのは、ゼロのグッズだからわからなくもないが、何となく縁起が悪そうだな」
「くっ、人が気にしていることを……。だがきっと、受け入れてもらえるはずだ!」
「あ、一応気にはなっていたんだな」
そんなことを話しているうちに、ブリタニア国歌・ヒップホップヴァージョンが終わった。そして植物はというと、これまた真っ黒なつぼみが、今にも開きかけている。
「五分もかからず、こんなに成長してしまうのか。ますます不気味だ」
「う、うるさい!さあ、もうすぐ花が咲くぞ」
僕たち三人が見つめる中、ついにつぼみは開いた。そしてその瞬間、僕は信じられない現象に遭遇することとなる。
『我が名は、ゼロ!』
「えぇっ!?は、花がしゃべった!」
ゼロの仮面に似た形の真っ黒な「ゼロの花」が咲いた瞬間、何とそれが言葉を発したのだ。当然僕は動揺し、頭の中が混乱してくる。
106:余暇 ◆kkvclxzIds
09/09/25 23:24:31 5wCU6Pxb
「フフッ、驚いたでしょ?この花はねぇ、何とゼロの言葉が話せちゃうのよ。それがもう一つの特徴にして、最大の売りなのよぉ」
「ラ、ラクシャータ。『売り』とは言うが、これは予備知識と心の準備がなければ、お年寄りだと体に響きそうだぞ。おもちゃじゃない限り、誰も花がしゃべるなんて思わないぞ」
「あら、仙波大尉はこれを見ても、『面白いものですな』とか言って笑っていたわよ?だからアンタが心配しなくても、大丈夫なはずよぉ」
「もう他の人で試したのか。ていうか、大尉で試しても一般の人との精神的強さが違い過ぎて、参考にならない気がする。あの人がどれだけ修羅場をくぐってきたと思っているんだ」
勝手に仙波大尉をお年寄りに分類しながら、僕はラクシャータに問題点と思ったことを指摘した。大尉には、後でそれとなく謝っておこう。
「ハハハ、この『ゼロ・チューリップ』の仕掛けに驚いているようだな」
「自分の仮面が、チューリップに似ているという認識はあったのか……」
ゼロが得意そうにポーズを決めながら、僕に話しかけてきた。
「だがこれで終わらないぞ。この花は、他にも言葉を話すのだよ」
「えっ、まだあるのか」
驚く僕をよそに、ゼロはチューリップに触れた。するとゼロ・チューリップが声を上げる。
『条件はすべてクリアされた!』
「よりによって…いや、何でもない」
ゼロのプライドを考えて、僕はあえて何も言わなかった。せめて、この企画が失敗しないように祈ってあげよう。
「フッ、最早言葉もないか」
「ああ、色々な意味でな。しかし、これをどう具体的に売り込むんだ?これは花屋というより、おもちゃ屋で売るべきなのか」
するとゼロが、またしてもポーズを決めながら言った。
「うむ、方法なら決まっているぞ。名づけて『百万本のゼロをあなたに』作戦だ!」
「ひゃ、百万本!?そんなに売り込む気なのか」
「そうだ。こいつを全世界に売り込み、資金を稼ぐのだ。そして見せてやろう、私が売り込む、忠実な花たちを!」
ゼロが高らかに宣言すると、懐からスイッチを取り出し、そのボタンを押した。
すると四方を囲んでいた部屋の壁が、まるで箱を解体した時のように外側に向かって倒れ、無数のゼロ・チューリップが三人を囲むようにして出現する。
『『『『我が名は、ゼロ!!』』』
「う、うわぁあああ!何だよこのチューリップ畑は!?ていうか、壁!壁が!」
頭の中が完全に混乱している僕をよそに、ゼロが話し始める。
「どうだ、この漆黒の花畑は!まさに壮観だろう!」
「まっ、待ってくれ!どこをどうツッコんだらいいかわからなくて、頭の中がグチャグチャだ!」
「なぁるほどね~、ライの頭の中がお花畑寸前ってことかぁ」
「待て、ラクシャータ!まだ思考回路まで放棄はしていないから!ていうか、何故平然としていられるんだ!」
頭の中を必死に整理しながら、僕はラクシャータにツッコむ。
「だってぇ~、これは私が作ったのよ。製作者が自分で作った物を見て動揺して、どうするのよ」
「くっ、理由が当然過ぎてツッコめない!」
何が何だかわからない僕の意識は、次第に白いモヤがかかってきた。思考を手放す時は、近いのかもしれない。
「喜べ、ライ。いつも帳簿を見てため息をつくお前の力に、もうすぐなってみせるぞ。私のカリスマ性と、この『ゼロ・チューリップ』の力でな!フハハハハハ!」
『『『フハハハハ!!』』』
百万と一人分のゼロの高笑いを聞きながら、僕の頭は思考を停止しようとしていた。
(ああ、悪い夢なら覚めてくれ。ていうか、そろそろ起きなきゃ。……え?起きる?起きるって―)
107:余暇 ◆kkvclxzIds
09/09/25 23:25:28 5wCU6Pxb
「うーん、うーん……はっ!?」
アジトのラウンジにあるソファの上で、僕は飛び起きた。仰向けになっていたせいか、背中が汗で濡れている。
「ゆ、夢かぁ…良かった。そう言えばさっき、疲れていたからソファの上で少し寝ようと、仰向けになったんだっけ。しかし、本当にとんでもない夢だった」
心の底から安どしながら、僕は床に足を下ろす。もうあんなカオスな夢は、二度と見たくないものである。
「はぁ~い、そこにいたのね。探したわよぉ」
するとそこへ、ラクシャータとゼロがやってきた。あれ?何か既視感が。
「どうした?二人して僕に何か用事か?」
頭の中に引っかかるものを覚えつつ、僕は二人に尋ねる。するとゼロが声を発した。
「うむ、ライにぜひ見て欲しい物がある。すぐ私の部屋まで来て欲しい」
(ちょっと待て、思い出したぞ。これって、さっきの夢の展開と同じじゃないか)
僕は少しずつ嫌な予感を胸の中で膨らませながら、一応尋ねてみる。
「見て欲しい物?ゼロ、それは一体何なんだ?ラクシャータが一緒ということは、新型ナイトメアか新しい武装の図面かな。特区ができて戦争も収まってきたのに、本当に研究熱心だな」
期せずして、夢の中と同じセリフを僕は口にした。するとラクシャータが、ニッと笑いながら言う。
「フフ、残念ねぇ。悪いけど今回は、そっちじゃなかったのよぉ。まっ、ナイトメアの研究の片手間に、ゼロに頼まれて作った物なんだけど」
(ま、まずい。ラクシャータのセリフまで夢の中と一緒じゃないか。いやいや、僕が気にし過ぎなんだ。そうだ、そうに違いない!)
僕は頑張って前向きな心を保つと、二人に言った。
「そ、そうなのか。何を作ったのか興味はあるな」
興味があるのは間違いない、怖いもの見たさとか色々な意味で。
「まあ、一種の娯楽のようなものだよ。君も、そのつもりで気楽に見てもらえればいい。では行こうか」
(ああ、正夢じゃなきゃいいなあ。さっきみたいに壁が倒れて百万本のゼロとかは、一応心の準備はできたがシュール過ぎる……)
僕は大きな不安を抱えながら、二人と一緒にゼロの部屋へと向かったのであった。
結論から言おう。ゼロの部屋で僕が見せられたのは、何と僕の愛機・試作型月下をモデルにしたボブルヘッド人形だった。触ると頭の部分がコミカルに揺れる、あのおもちゃのことだ。
実は黒の騎士団の女性団員たちの間で、僕及び試作型月下の人気が高まっているらしく、それを知ったゼロが、彼女たちのやる気向上のためにラクシャータに作らせていたらしい。
ちなみに僕はその事実を知った時、安心し切ってしまって思わず床にへたり込んでしまい、不思議がった二人に夢の話をして、大笑いされてしまったのであった。
108:余暇 ◆kkvclxzIds
09/09/25 23:26:54 5wCU6Pxb
以上で終了です。
109:創る名無しに見る名無し
09/09/26 01:02:32 cAMpTlfQ
>>108
投下お疲れさまです!最後辺りの文を見て安心してしまったのは俺だけではないはずw
ゼロ・チューリップなんてディートハルトしか買わないような気がw
次回のあなた様の投下を全力でお待ちしています
110:創る名無しに見る名無し:
09/09/26 08:08:06 bSkONXA0
>>108
投下乙!一面真っ黒な花だらけw
たしかにこれは怖い
次の投下を待っています
111:創る名無しに見る名無し
09/09/26 11:22:27 ab2JJz34
>>108
余暇卿、GJでした!
喋るゼロチューリップだと!? ……欲しい……
何気に「上昇カーブ一直線」がつぼに入ったwwwww
試作月下の人形も欲しいけどな!
次の投下を全力でお待ちしています!
112:ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark
09/09/26 19:43:36 6nbauhtW
こんばんわ。前作の続きを投下します。
【メインタイトル】コードギアス 反逆のルルーシュ L2
【サブタイトル】~ TURN04 太平洋奇襲作戦(前編)~
【 CP 】無し
【 警告 】●根幹は黒騎士ルートを準拠してのR2本編介入ものですが、展開の所々にオリジナルな設定と話が混ぜ込んであります。
●王様ライの性格は自分の考えに依存してます。苦手な方はご注意下さい。
それでは、投下行きます。
113:ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark
09/09/26 19:44:37 6nbauhtW
夜の帳が落ちたエリア11。
その闇夜にライトアップされた政庁が浮かんでいる。
ルルーシュは学園の屋上でその光景をただ無言で見つめ続けていた。
そんな彼の背後にはスザクが居た。
しかし、ルルーシュはスザクと向き合おうとしない。いや、今向き合う事は出来ないと言う方が正しいだろう。
ルルーシュの表情には隠しきれない程の苦悶と憎悪の色が浮かんでいたのだから。
原因は単純明快。
スザクは携帯片手に先程までルルーシュが会話していた人物、ナナリーと話しているからだ。
自分を売った男が何食わぬ顔をして最愛の存在と会話をしている。
幾らルルーシュと言えども、お得意のポーカーフェイスを貼り付ける事は不可能だった。
唯一の救いと言えるのは、スザクと話しているナナリーの声がルルーシュには聞こえない事だろうか。
ルルーシュは手摺に凭れ掛かり視線を落とす。そして、今度は心此所に有らずといった様子で中庭で行われている舞踏会を見つめた。
一方、スザクはそんなルルーシュの背中にチラリと視線を送った後、通話口から聞こえるナナリーの声に耳を傾けた。
『すいません。スザクさん』
「こっちこそごめん、ナナリー。変な期待させちゃったみたいで……」
ナナリーという単語にあらん限りの力で手摺を握りしめるルルーシュ。だが、背中が死角となりスザクがそれに気付く事は無かった。
『いえ、雰囲気が似ていたので驚いてしまって……あの……』
「何だい?」
言葉に詰まるナナリーに向けて、スザクは柔和な声色で問うた。だが……。
『学園の皆さんはお元気ですか?』
「っ!!」
返って来た問いにスザクは絶句した。すると、返答が無い事が余程不安だったのか通話口より響くのは震えるようなナナリーの声。
『スザク…さん?』
「えっ!? あぁ……うん……元気だよ」
『そうですか。よかった…よかった…』
依然としてナナリーの声は震えたまま。しかし、そこに先程までの不安の色は無い。
彼女が心の底から安堵している事が分かり、スザクは唇を噛み締める。が、今の彼の表情を知る由も無いナナリーは―。
『それでは来週エリア11で』
「うん」
『お会い出来る日を楽しみにしていますね』
待ち遠しさを隠しきれない様子で、やや高陽した口調と共に会話を切り上げた。
ナナリーとの通話が終わるとスザクは携帯を制服のポケットに仕舞い込む。
一方、漸く悪夢が終わりを告げた事に安堵したルルーシュは、気取られぬよう軽く一息吐くと振り向いた。
その顔に先程までの苦悶の色は無かった。仮面を貼り付けたルルーシュが問う。
「終わったか? スザク」
「終わったよ。ルルーシュ」
そう告げるとスザクはルルーシュの傍らまで歩み寄る。
ルルーシュは近づいて来るスザクに向けて極自然な笑みを浮かべてみせた。
「それじゃあ、行こうか。主賓が居ないままだと会長がふて腐れるぞ?」
「そうかな? 結構楽しんでるみたいだけど……分かったよ」
手摺より少し身を乗り出して中庭を見たスザクが苦笑すると、ルルーシュもそれに習う。その時、二人の視線が交差した。
目が合った彼等は互いに釣られるかのようにどちらとも無く気恥ずかしそうな笑みを浮かべると、肩を並べ出口に向かって歩き出した。
傍目に見れば、その光景は如何にも仲の良い友人同士だと映るだろう。
だが、彼等の間にはお互い一年前には想像も出来なかったような……深い谷が広がっていた。
―――――――――――
114:ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark
09/09/26 19:45:44 6nbauhtW
一見、庭園かと見紛うばかりに花が咲き乱れる一室。
その部屋の中央に彼女、ナナリー・ヴィ・ブリタニアは居た。
彼女の表情は芳しくない。ナナリーには3つの懸案事項があったからだ。
一つは言わずもがな、兄であるルルーシュの行方。そしてもう一つは学園メンバーの安否だった。
皇族として復帰したナナリーは、それらを調べる術を持ち得なかった。何故か。
ブラックリベリオン以降、父である皇帝シャルルに彼女は学園との接触、その一切を禁じられていたからだ。
それでも気になったナナリーは皇族への復帰もそこそこに訪ねて来たシュナイゼルへ真っ先に相談したが、逆にルルーシュの捜索はアッシュフォード家の立場を危うくするとの指摘を受けてしまう。
そのような事を言われてしまえば心優しい彼女が動ける筈も無い。
ナナリーはこの一年ただひたすらに兄や学園の仲間の安否を気遣う事しか出来なかった。
だが、ここに来てルルーシュの無事はナナリー本人によって確認された。
本来なら彼女にとって何よりも喜ばしい事の筈。が、ナナリーの表情は優れなかった。
それは単(ひとえ)にルルーシュから告げられた頼み事の真意と、その後のスザクの態度に起因する。
それらが新たな懸案事項として燻る事となったからだ。
―お兄様……スザクさんは嘘を吐いてるのかしら?
ナナリーは一人思考の海に沈む。が、未だルルーシュの真意は分からず仕舞い。
出口の見えない迷宮に迷い込みそうになったナナリーは、ひとまず残りの懸案事項へと思考を切り替えた。
―学園の皆さんは元気……良かった。本当に……。
スザクから告げられた言葉を胸の内で反芻した時、ナナリーはやっと表情を和らげた。
と、同時に最後の懸案事項も霧散していった。
最後の懸案事項。それは、突如として現れた新しい異母兄、ライ皇子に関する事だった。
学園での記憶を奪われたライは一年近く前、皇族としてオデュッセウスを始めとする他の皇族達と顔合わせをしていた。
そこにシャルルの意図があったのかは定かでは無いが、復帰したばかりのナナリーはその場には呼ばれなかった。
8年近くも他の兄姉とは疎遠となっていた彼女をオデュッセウスやシュナイゼルは快く迎え入れたが、対するギネヴィアやカリーヌはナナリーを疎ましく思う傾向が強く、会話らしい会話を交わしていない。
特にカリーヌは殊の外ナナリーを毛嫌いしており、久方ぶりの再会であるというのに陰湿な言葉を浴びせた程だ。
結果として、その事をナナリーに知らせたのはオデュッセウスだった。
当初、その名を聞いたナナリーは大層困惑し執拗に問うたが、オデュッセウスが知っているのは容姿程度で詳しい事は一切知らされていなかった。
しかし、余りにも執拗に問うナナリーに困り果てたオデュッセウスは「何れ会う機会もあるだろうから、その際に尋ねてみるといいよ」と窘めるとその場を後にしてしまう。
困ったナナリーはシュナイゼルにも同じ事を問うたのだが、シュナイゼルに至っては「彼の事は放っておこう」との一点張りでライに関する情報は一切引き出せなかった。
初めて見せるシュナイゼルの頑な態度を若干不思議に思いつつも、ナナリーが次に訪ねたのは警護担当として赴任してきたアーニャだった。
が、アーニャの答えはオデュッセウスのものとそう大差が無かった。
その為、最後にナナリーは藁にも縋る思いでアーニャと同じくその場に居たというスザクに尋ねた。
だが、スザクは「殿下は彼とは別人だ」と断言してしまう。
スザクの発言は嘘と言えば嘘になるが、聞きようによっては真実とも言える。あのライはライでは無くライゼルなのだから……。
ナナリーはその時のスザクの悲しそうな口振りが気になりつつも、やっと安心する事が出来た。
そうして、やっぱり有り得ない事だった、同名の別人なのだとの結論に至った。
至ったのだがそれでも妙な胸騒ぎが消える事は無く、それは彼女の心を燻り続けた。
その結果、近いうちに会って自分自身で確認すればいいと己に言い聞かせたのだが、彼女の思惑とは別に二人は終ぞ出会う事は無かった。
ナナリーは先程のスザクの言葉を今一度反芻する。
そして、その中には当然ライも入っているのだと思った。いや、思い込んでしまった結果、ナナリーの懸案事項は一つとなった。
但し、その事で彼女の気が楽になる事は無い。
彼女にとってルルーシュの真意が分からない事は何よりも心苦しいのだから。
しかし、今はそれよりも重要な事が有るのをナナリーはまだ知らない。
暴君と化したライが今この時、銀色の仮面を被りカリフォルニア基地を騒がせていたという事を……。
115:ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark
09/09/26 19:47:07 6nbauhtW
―――――――――――
コードギアス 反逆のルルーシュ L2
~ TURN04 太平洋奇襲作戦(前編)~
―――――――――――
機情の長を出迎えるべく、左右に分かれた兵士達が居並ぶメインターミナル。
当初、そこに現れたカリグラの姿を見た兵士達は、ゼロを彷彿とさせるその容姿に慌て蓋めいた。
が、幸いにも到着前に皇帝の身辺警護を司る特務総督府より連絡が入っていた為、警戒こそすれカリグラを拘束しようという動きは無い。
尤も、彼に対してそのような行為に及べばこの場に居る者達全員良くて人形、悪ければ屍に成り果てるだけだが。
ざわめく兵士達を余所に悠々と歩みを進めるカリグラ。そんな彼の視線の先には二人の男女が居た。
二人の傍まで歩み寄ると仮面の奥でライはその内の一人、眼鏡を掛けた男を見定めた。
「出迎エ御苦労。オ前ガ"ロイド・アスプルンド"カ?」
「そうだよ。そういう君がカリグラ卿だね?」
問われた男、ロイドは飄々とした口調で返す。するとロイドの傍に居た女が慌てて咎める。
「ちょっとロイドさん!……も、申し遅れました。セシル・クルーミーです」
全く物怖じしないロイドにセシルは気が気でなかった。
しかし、カリグラは特に気にも止めずにセシルの名乗りに小さく首肯して返すと言った。
「早速ダガ、私ノ軍馬ヲ見タイ」
「軍馬? 面白い表現をするね。まぁいいや、どうぞどうぞ」
足取り軽く案内役を買って出たロイド。そんな彼の後ろをカリグラは無言で続く。
喧噪醒めやらぬメインターミナルが視界に入っていないのか。
まるで無視するかのようにその場を後にする二人の姿に、皆の奇特な視線が痛いセシルは一人肩を竦めながら後に続いた。
メインターミナルを抜けた三人は連絡通路を進む。
通路のガラス窓の向こうには、滑走路と無数の巨大な航空艦が離陸前の整備を受けている光景が広がっている。
カリグラは歩きながらガラス窓の向こうに見えるその光景を眺めていた。
隣には相変わらずの態度で楽しげに語るロイドの姿。
その後方を歩むセシルは憮然とした態度であったが、最早咎める気も起きないようだ。
「いやぁ、君の騎乗データを見せてもらった時は本当に驚いたよ?」
「………」
「何せ久々だったからねぇ。スザク君クラスのデータを見るのはさ」
反応が無い事などまるでお構いなしといった様子で嬉しそうに語り続けるロイド。
しかし、スザクという名が出た時カリグラはやっと反応を示した。
「"ナイトオブセブン"……」
「そうそう。君の反応速度は彼には及ばないみたいだけど、それも僅かな差……いや、部隊指揮のシュミレートじゃ完全に上回ってる。よく似た身体能力なのに、タイプは全く違うよねぇ。ンフフ」
脳裏で二人のデータを思い浮かべているのか、ロイドは恍惚の笑みを浮かべていた。
そんなロイドの台詞に背後からセシルが追従する。
「そうですね。スザク君は例えるなら一騎当千の騎士ですけど、あなたはまるで―」
「ソレ以上ハ止メテオケ。帝国デソノ名ヲ冠スル事ガ出来ルノハ皇帝陛下只オ一人」
「し、失礼しました!」
カリグラが振り向く事無く窘めると、セシルは慌てて謝罪した。
すると、ロイドは意外だとでも言いたげな口調で呟いた。
「ふ~ん。優しいところもあるんだねぇ」
「何ガダ?」
「君の噂は色々と聞いてるよ? 機密情報局長官、カリグラ。公爵さえも粛清する男。一部の人達は君を帝国の影の暴君だって言って畏れてる」
公爵・粛清。それら二つの単語を聞いたセシルは瞳を見開いた。
「えっ!? あの事件って……」
「そう、彼の仕事だよ」
告げられた事実にセシルは今更ながら目の前を歩む男、カリグラに畏怖の眼差しを送った。
一方、ロイドは「ねぇ?」とでも言いたげな視線でカリグラを見やるが、カリグラの視線は相変わらず窓の向こう。
「ヨク知ッテイルナ」
「貴族社会は狭いからねぇ―っと、着いたよ」
特に気にした様子を見せず、ロイドは壁に埋め込まれたパネルに指を走らせアヴァロンへと続く扉を開いた。
116:ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark
09/09/26 19:48:15 6nbauhtW
◇
そのアヴァロン内部にあるナイトメアの格納庫。
そこには新型のヴィンセント指揮官機を初めとする数体のナイトメアが鎮座しており、格納庫内では慌ただしく動き回る技術者が多数見受けられる。
だが、そこには明らかに技術者では無いと分かる二人の男が居た。ギルフォードとデヴィッドだ。
デヴィッドは眼前に佇む一機のナイトメアを見上げると疑問を口にする。
「この機体は何なのでしょうか? ギルフォード卿……」
問われたギルフォードもまた、デヴィッドと同じくその機体を見上げると顎に手を当てた。
「枢木卿のランスロットに似ているが……頭部が全く違う。それに、あれはフロートユニットか? 初めて見る形だ……」
「しかし、フロートにしては少々小さ過ぎませんか? この大きさの機体を飛ばせる程の出力があるのでしょうか?」
「……見た目だけでは判断出来ないな」
二人は互いに言葉を交わしながら、眼前に佇むナイトメアについて考察していた。
ギルフォードが言ったようにそのナイトメアは傍にある彼等の機体、ヴィンセント量産型や指揮官機とは明らかに違っていた。
外殻はランスロットを基調としているようでもあるが、頭頂部にその存在を雄弁に主張する1本角と深い海のような蒼い双眸、そして輝く銀色の体躯。
その間接部位は黒色で、それが銀色と相まってこの機体の存在を更に際立たせている。
更に特筆すべきはその大きさ。隣に控えるヴィンセントより頭二つ程抜け出ていた。
「枢木卿専用の新型でしょうか?」
「それは……無いだろう。先程ロイド博士はコンクエスターの整備に手間取った、と仰っていたからな」
ギルフォードはやや困惑した様子で返すと、格納庫の中央に主の如く佇む白いナイトメアに視線を移す。
「あれがコンクエスターだろう」
「では、これは?」
「分からない。しかし……」
再度の問いにギルフォードは言葉に詰まった。するとその時、入口より楽しげに語るロイドの声が格納庫に響いた。
二人はほぼ同時に背後を振り向く。
すると、ロイドの隣を歩む仮面の男が視界に入ったデヴィッドは思わず吐き捨てるかのように言った。
「彼奴は……」
「やめておけ」
「……はい」
しかしギルフォードに咎められてしまい、デヴィッドは渋々といった様子で口を噤んだ。
「お久しぶりです。カリグラ卿」
ギルフォードが軍隊式の敬礼で出迎えるとデヴィッドは無言で後に続く。
すると、カリグラが応じる前にロイドが口を開いた。
「あれ? 知り合いだったの?」
「えぇ、ですが―」
「実際、コウシテ直ニ会ウノハ初メテダガ……久シ振リダナ、"ギルフォード卿"。アノ作戦以来カ……」
「その節は……申し訳無い」
ギルフォードは若干表情を強張らせつつ謝罪した。
しかし、カリグラたるライとしてはほぼ思惑通りに動いたギルフォードを咎めるような気は起きなかった。かといって、褒めるのかと言えばそれこそ有り得ない。
「謝罪ハ不要。結果デ示セ。ソウダナ……案外近イウチニ訪レルヤモシレナイナ」
「近いうちに?……まさかっ!!」
「可能性ハ有ル」
短く頷くカリグラを見たギルフォードの瞳が光る。
「そう思うに至る情報を掴んでいると?」
「タダノ勘……イヤ、コレハ願望ダナ。ダガ、貴公ハ何モ思ワナイノカ?」
直ぐ傍で二人の会話を憮然とした態度で聞いていたデヴィッドは、その何とも曖昧な返答を聞いた瞬間、露骨に訝しんだ。
だが、ギルフォードは違った。彼は一言断りを入れると自身の思いを吐露した。
「いえ……ゼロは油断ならない男です。アプソン将軍にもご忠告申し上げたのですが、聞き入れては……護衛も不要とまで言い出される始末で……」
「危機管理能力ノ欠如。アレハ所詮ソノ程度ノ男ダ……デハ、共ニ行クカ」
その場に居た一同はカリグラの提案に心底驚いた様子で一斉に瞳を丸くした。その中で、皆を代表するかのようにセシルが問う。
「あ、あの……カリグラ卿もお乗りに?」
「アァ、陛下ヨリ允可ハ得テイル」
カリグラは面食らった様子のセシルに向き直ると外套の下から封筒を取り出した。
受け取ったセシルは中身を確認して一言、「た、確かに……」と述べると、満足げに頷いたカリグラは指示を下す。
117:ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark
09/09/26 19:51:02 6nbauhtW
「"レーダー網"ニ引ッ掛カラナイヨウ艦隊ノ後方ヲ飛ベ。"アプソン"ニ気取ラレルノハ面倒ダ」
「こちらの方が先に進発する予定ですけど……」
セシルは少々不満げに言った。既に管制塔には飛行計画を提出済みであり、作成したのは彼女だったからだ。
だが、当然それはカリグラには関係の無い事だった。
「修正スレバイイ」
平然と告げられたセシルは、思わず視線でロイドに助けを求めた。が―。
「従うしか無いんじゃない?」
「……他人事ですね」
ロイドに裏切られた格好となってしまったセシル。
が、カリグラの手前声高に拒否する訳にもいかず抗議の眼差しを浮かべるしか無かった。
一方、ロイドはそんな寒々しいまでの視線を受けても「雑務は任せてるからね~」と何とも軽いノリで告げるのみ。
カリグラに至っては、見向きもしていない。
そんな中で唯一焦った素振りを見せたのはギルフォードだった。
「で、では、我々はこれで。皇女殿下へのご挨拶に伺いますので……」
セシルの不機嫌さを感じ取ったギルフォードは、デヴィッドを引き連れるとそそくさとその場を後にした。
ロイドはヒラヒラと手を振りギルフォード達を見送った後、カリグラの前方に歩み出る。そうして振り向くと両手を広げ嬉々とした笑みで告げた。
「おめでとぉ~。これが君の機体だよ」
しかし、対するカリグラは何のリアクションを見せる事無く、腕を組むと眼前に佇む機体を無言で見上げていた。
ロイドもまた、それ以上語る事無く機体に視線を移す。
暫しの沈黙が流れる。
やがて、未だ眺め続ける二人の傍を気を取り直したセシルが通り過ぎる。
彼女は機体の足下にある機器類にまで至ると書類を手に取り説明を始めた。
「多少違う箇所もありますが、外郭はランスロットを基調としています」
銀色の仮面の下。ライは機体に宿る蒼色の双眸を見つめつつ、セシルの解説に耳を傾ける。
「全高は5.65m。全備重量は9,327kg。装備目録はこちらになります」
セシルは機器類の上に置いてあった厚手のファイルをカリグラに手渡すと、やや誇らしげな面持ちで概要を語り始めた。
「指揮官機をご希望との事でしたので、各種の情報処理能力とデータリンク。他にはECCMへの抗堪性及び索敵能力を強化しました。それらは隣にある指揮官機より上です」
「何しろ予算は潤沢だったから」
セシルの解説にロイドが合いの手を入れた。余談ではあるが、ロイドはその資金を幾らかランスロットに回していたりする。
二人の説明を聞きつつ、カリグラは書類を読み進める。
「麾下"ナイトメア"及ビ艦船ノ発射管制サエモ統治下ニ置ケルカ」
「はい。この機体に搭載されている命令権限を上書き出来るのは皇族方の直接命令のみです。しかし、ラウンズ専用機には元より拒否権限が与えられています」
「ソレラヲ除ケバ概ネ絶対遵守ノ命令ニナルトイウ訳カ……」
カリグラの呟きに対してセシルは小さく頷くと説明を続ける。
「他の装備は現行のランスロット・コンクエスターと概ね同じですが、ハドロンブラスターは取り除いています。その代わりと言っては何ですが、遠距離用装備として強化型ヴァリスを採用しています」
「理由ハ?」
「ハドロンブラスターは、発射時に姿勢制御を必要とするので機動性に難点が残ります。その点、この機体は現行のナイトメアの機動性能を限界まで追求していますから」
「ソレニシテハ、ヤヤ大型ノ機体ダガ?」
「ですから新型のフロートユニット、エナジーウィングを搭載しました………試作型ですけど」
「成ル程………待テ、試作型ダト?」
最後の一言が引っ掛かったカリグラは顔を上げると問うた。が、それに対する答えは直ぐ横に居たロイドから発せられた。
「そうだよ。理論は彼女が完成させてるんだけど、なにぶん実戦データが不完全でね。いきなり僕のランスロットに装備する訳にはいかなかったからさ」
「私ノ"データ"ヲ使ウ気カ?」
ロイドの意味する所を察知したカリグラは二人を交互に見据えた。視線が合った気がしたセシルは自然と後退る。
しかし、ロイドは「そうだけど?」とあっさり白状すると特に悪びれる様子も無く笑った。
そんな無邪気な子供のような笑みを向けるロイドを見て、カリグラは少し拍子抜けした。