10/05/09 12:24:39 XIqGVRpf
では
『犯罪者』
帰り道、突然男に手首を掴まれた。俺は何事かと抗議したが、意にも解さぬ様子で乱暴に警察まで連れてこられ、そのまま痴漢として取り調べを受けた。
被害者である女は俺の前に座っていた。俺を警察まで引っ張ってきた男が隣で腕組みしている。二人は警察官に問われると、
「この人がやりました」
と俺を指差した。わけがわからない。そもそも会ったことすらない。俺は抗議した。
「しらばっくれるな!自分が何をしたか分からないのか!!反省しろ!恥知らずが!」
警察官は俺が犯人だと決めつけている。これでは話にならないと思い弁護士を呼ぶよう頼んだが拒否された。痴漢冤罪のいびつさを思い知る。
「やましいことがあるから弁護士が要るんだろう!!いい加減罪を認めたらどうだ!!」
意味不明だった。全く話の筋が通っていない。しかし警官の様子に被害者と、その付き添いらしき男も同調した。
「弁護士を呼びたいなんて、自分から犯人だと言っているも同然だ!」
「この期に及んで何を言っているんですか。反省してください」
俺は何度か論理的に説明を試みたが全くの無駄だった。
一時間ほど拘束されて、やっと解放された。開放されるときには名前と住所と電話番号に加え、呼び出しがあったら速やかに出頭するという誓約書まで書かされた。
怒りと屈辱で胸の中をいっぱいにしながら家路に就いていると、前方に先程の二人がいた。
二人はアパートの前で話をしている。どちらの部屋か知らないが、俺の家の近所に住んでいるらしい。
馬鹿か、と思った。
俺は急いで帰宅した。そして倉庫からハンマーをとり出すと、再びこっそりとアパート前まで戻ってきた。
二人はまだ話しこんでいた。俺は気づかれないように男の後ろに回り込むと、ハンマーを振り上げ後頭部に思い切りたたきこんだ。