コードギアス反逆のルルーシュLOST COLORS SSスレ41at MITEMITE
コードギアス反逆のルルーシュLOST COLORS SSスレ41 - 暇つぶし2ch2:誕生日:7/10 スザク
09/06/04 11:28:25 RJkJxwb9
■全般
・支援はあくまで規制を回避するシステムなので必要以上の支援は控えましょう。
 (連投などに伴う規制について参考>>3-あたり)
・次スレ建設について。
 950レスもしくは460kBオーバーしたら、「スレを立てる?」か訊くこと。立てる人は宣言してから。
 重複などを防ぐために、次スレ建設宣言から建設完了まで投稿(SS・レス共に)は控えてください。
  ※SS投稿中に差し掛かった場合は別です。例)940から投稿を始めて950になっても終わらない場合など。
・誤字修正依頼など。
 保管庫への要望、誤字脱字等の修正依頼は次のアドレス(geass_lc_ss@yahoo.co.jp)に。
  ※修正依頼の際には、作品のマスターコード
   (マスターコード:その作品の投稿が始まる、スレ番号-レス番号。保管庫の最優先識別コード)
   を必ず記述して下さい。
   例)0003-0342 のタイトルを○○に カップリングを○○に
     (↑この部分が必須!)
   マスターコードを記述されず○スレ目の○番目の……などという指定だと処理ができなくなる場合があります。

■SSを投下される方へ
1.投下前後に開始・終了の旨を書いたレスを入れて下さい。(または「何レス目/総レス」を名前欄に)
2.前書き・後書き含めて10レス以上の連投になると同一IDからの投稿が規制されます。(←「さる」状態)
  間に他IDからの「支援」が入ることで規制は回避できますので、規制にかかりそうな長文投稿の際は
  投下前に支援を要請して下さい。逆に、必要ない場合は支援の要らない旨を書いてください。
  前レス投稿から30秒ほどで次レスを投稿することができます。(投稿に関する規制については >>3- あたり参考)
3.投下前は、他作品への割り込みを防ぐ為に必ずリロード。尚、直前の投下完了宣言から15分程度の時間を置いてください。
4.投下許可を求めないこと。みんな読みたいに決まってます!
5.なるべくタイトル・カップリング・分類の表記をして下さい。(特にタイトルはある意味、後述の作者名よりも重要です)
  ・読む人を選ぶような内容(オリキャラ・残酷描写など)の場合、始めに注意を入れて下さい。
6.作者名(固定ハンドルとトリップ)について。
  ・投下時(予告・完了宣言含む)にだけ付けること。その際、第三者の成りすましを防ぐためトリップもあるとベスト。
   (トリップのつけ方:名前欄に「#(好きな文字列)」#は半角で)
  ・トリップがあってもコテハンがないと領地が作れず、??????自治区に格納されます。
7.規制により投下できない場合は>>1の 代理投下依頼専用スレッドに投下し、代理で投下してもらう方法もあります。

前書きの中に、以下のテンプレを含むことが推奨されます。(強制ではありません)
【メインタイトル】
【サブタイトル】
【CP・または主な人物】
【ジャンル】
【警告】
【背景色】
【基本フォント色】

3:誕生日:7/20 リヴァル
09/06/04 11:31:16 RJkJxwb9
■創作発表板での投稿規制について。 参考(暫定)

1レスで投稿可能な容量
 ・X:1行の最大 / 255byte
 ・Y:最大行数 / 60(改行×59)
 ・Byte :最大容量 / 4095Byte
  但し、改行に6Byte使うので注意。例えば60行の文なら59回改行するので
  6Byte×59=354Byte これだけの容量を改行のみで消費する。

さるさん( 過剰数の投稿に対する規制 )
 ・1時間に投稿できる数は10レスまで。それを超えると規制対象に。
 ・毎時00分ごとにリセット。00分をはさめば最長20レスの連投が可能。
 ・規制されるのは2人まで。身代わりさるさん2人で、00分を待たずにリセット。

連投規制( 連続の投稿に対する規制。短い間隔で連続の投稿ができない )
 ・30秒以上の間隔をあければ投稿可。

おしりくさい虫など( 携帯のみ?同一内容の投稿に対するマルチポスト規制 )
 ・「支援」などの同じ言葉を繰り返し投稿することでも受ける規制。
  違う内容を投稿すれば解除される。スペースを挟むだけでも効果あり。

4:誕生日:7/24 ミレイ
09/06/04 11:34:12 RJkJxwb9
■画像投稿報告ガイドライン

ロスカラSSスレ派生画像掲示板
 PC用  URLリンク(bbs1.aimix-z.com)
 携帯用(閲覧・コメントのみ) URLリンク(bbs1.aimix-z.com)

1.タイトルとコテハン&トリップをつけて絵を投稿する。
  尚、コテハン&トリップについては、推奨であり強制ではありません。
 ・挿絵の場合は、誰の何のSSの挿絵と書く。
 ・アニメ他公式媒体などにインスパイアされた場合は、それを書く。(例:R2の何話をみてテンさんvsライを描きました)

2.こちらのスレに以下のことを記入し1レスだけ投稿報告。
  (SSの投下宣言がでている状態・投下中・投下後15分の感想タイムでの投稿報告は避けてください)
  例)「挿絵(イメージ画像)を描いてみました。 画像板の(タイトル)です。
     ~(内容・注意点などを明記)~ よかったら見てください」
 ・内容:挿絵の場合は、SSの作者、作品名等。それ以外のときは、何によってイメージして描いたのかなど。
 ・注意点:女装/ソフトSM(首輪、ボンテージファッションなど)/微エロ(キス、半裸など)
      /ゲテモノ(爬虫類・昆虫など) など(絵はSSに比べて直接的に地雷になるので充分な配慮をお願いします)

 画像掲示板には記事No.がありますので、似たタイトルがある場合は記事No.の併記をおすすめします。
 *ただし、SSの投下宣言がでている状態・投下中・投下後15分の感想タイムでの投稿報告は避けてください。

3.気になった方は画像掲示板を見に行く。
  画像の感想は、原則として画像掲示板に書き、SSスレの投稿報告レスには感想レスをつけないこと。
  画像に興味ない人は、そのレスをスルーしてください。

4.SSスレに投稿報告をした絵師は以下の項目に同意したものとします。
 ・SSスレに投稿報告した時点で、美術館への保管に同意したものと見なされます。
 ・何らかの理由で保管を希望しない場合は、投稿報告時のレスにその旨を明言してください。
 ・美術館への保管が適当でないと判断された場合、保管されない場合もあります。
  (ロスカラ関連の絵とは言えない、公序良俗に反するなど)


----以上、テンプレ終了----

5:創る名無しに見る名無し
09/06/04 12:12:07 HshnMkTY
見事なスレ建てだと感心はするもののどこもおかしくはないな
受けよ!忠義の>>1乙!

6:創る名無しに見る名無し
09/06/04 13:04:26 3Xrt+wCB
>>1乙!
よく見ると誕生日がw

7:創る名無しに見る名無し
09/06/04 15:41:21 ZFBhrKut
お、テンプレ変わってる
乙ですー

8:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
09/06/04 20:45:41 9lSPpW5+
前回の続きを投下したいと思います。

9:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
09/06/04 20:47:15 9lSPpW5+
 ターン11『シャーリー』Bパート


「死んだ? シャーリーが?」
 強化ガラスに包まれた檻の中。スザクに友の死を告げられたカレンは、思わず腰を浮かせた。
「自殺だったよ」
 スザクが淡々と告げる。そんな彼の落ち着きようが、カレンにとっては腹立たしかった。
 カレンは強化ガラスに近寄って、さらにそのガラスを割らんばかりの勢いで手をついた。もちろん、強化ガラスが人の手で割れるわけはなく、軽くしなりもしなかった。
「何言ってるのよ! そんな事をするような子じゃないって言うのはあなただって知ってるでしょ!?」
「……」
 スザクは、そんなカレンの行動をどこか冷めた様子でみつめていた。その温度差に、カレンは益々腹を立てた。
「もっとよく調べなさいよ!」
「調べるさ」
 スザクは強化ガラスに歩み寄る。
「いや、調べるまでもない。この事件に犯人がいるとすれば……」
 カレンは小さく息を呑んだ。
 不可能を可能にする“力”の存在。それを、カレンはよく知っていた。
 スザクは頷いた。
「そう、ギアスだ。そして、ギアスを使えるのは現段階ではルルーシュ一人だけ」
 一歩、二歩と二人の距離が縮まっていく。スザクの足取りはどこまでも落ち着いていた。
 その様子は、とても不気味だった。なぜ、そんなに落ち着いていられるのかカレンには理解できない。死んだのはあのシャーリーだというのに。まるで何かをふっ切ったような。それでいて何かを諦めたような。
 カレンは寒気がした。空調が完全に管理されたこの部屋で、室温が急激に下がることは無い。それでも、勝手に体が震えた。思わず、カレンは自分の体を庇うように抱きしめた。
 スザクがさらに近寄ってくる。彼が強化ガラスの前に辿りつくと、ガラスはなぜかすんなりと両側に開き、彼を受け入れた。
「ちょ、ちょっと……」
 カレンは後ずさった。今まで感じた事のない圧迫感があった。カレンは肉体的にもスザクに匹敵する力を手に入れたはずだった。その自負はあった。しかし、怖い。今のスザクはとても怖い。どこに向けられるか分からない、読めない感情。それがカレンには怖い。
 例えば銃が二丁あったとする。一つは正常な銃。もう一つは撃った後、どこに飛んでいくか分からない壊れた銃。
 どちらが怖いかと言えば、一般人からしてみれば両方怖いが、カレンレベルの達人になると怖いのは断然後者だ。
 正しく撃ちだされる銃をカレンは恐れない、所詮銃は銃身が向けられた先にしか飛ばないからだ。だが、どこに飛ばされるか分からない銃は、回避のし様が無い。ゆえに怖い。
 今のスザクは、言うならば壊れた銃だった。弾丸は強力。しかし、いつ撃ちだされるのか、どこに撃ちだされるのか。その弾は、カレンを傷つけるのか、それともスザク自身を傷つけるものなのか。
 ありえない。
 そんな壊れた銃のような感情を、すました顔で持ち続けているなんてイカれている!
「カレン。今のゼロは誰だ」
「ゼロの正体は知らない。捕まった時にも言ったでしょ」
 スザクの瞳の奥が、鋭い光を発した。
「もう、たくさんだ。これ以上悲劇を生みださないためにも」
 スザクが足を止めた。二人の距離は、手を伸ばせば届く程に近くなっていた。
「できれば自分から話してほしかった。友逹のシャーリーのためにも」
「!」
 カレンは自分の体温が上昇していくのを感じた。
 右手が感情で動く。
 パンという乾いた音。ぶたれたスザクの左ほほは、赤くなった。
「親友を売ったあんたに言える事!?」
「先に裏切ったのはどっちだ!」
 カレンは怒鳴った。スザクも。しかし、彼の方はすぐに口調を静かなものに戻した。
「話してもらうよ」
「ルルーシュの事は知らない! 何度言えば分かるのよ!」
 スザクは一拍置いて、
「シャーリーの亡きがらに誓って、そう言えるのか?」
 不意に、心臓にナイフが突き立てられたかのような感覚がして、カレンは言葉を詰まらせた。
 そこに隙が生じた。スザクは一気にカレンとの距離を詰めた。
「話してもらう。すべて」
 スザクの懐から銃型の注射器が現れる。それを見て、カレンはギョッとした。
 リフレイン。
 間違いなかった。あの薬をカレンはよく知っている。
 カレンの反応は遅れた。それが命取りとなった。カレンはあっという間に腕を取られ、身動きできなくなってしまった。
「やめて、やめてよ。嫌だって!」
 もがいてみるが、スザクの腕は鋼のように固く、動かない。
「恐がらなくてもいい」
 スザクはびっくりするほど安らかな口調で告げる。
「君はすぐに自分の意思を失い。僕の質問に答える」

10:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
09/06/04 20:48:23 9lSPpW5+
 スザクが注射器を構える。
「……い、いや」
「従ってもらう。命令に」
 スザクの腕が動く。注射器がカレンのうなじに近寄っていく。
 あれは悪魔の薬だった。
 今まで生きてきた全てが、文字通り無となる薬。
 痛みは一瞬。その一瞬で、カレンはすべてを失ってしまうのだ。
 兄、母、ルルーシュ、生徒会、黒の騎士団、そして、
「ライ……」
 カレンは目を閉じた。
 しかし、痛みはいつまで経ってもやってこなかった。

 ○

「スザクッ!」
 ロイが走りざまに放った拳は、鋭い角度で同僚の左頬に突き刺さった。手加減は一切しなかった。頭蓋骨に固いものがぶつけられたような鈍い音が響き、スザクの頭は大きく揺れた。
「!」
 スザクは吹っ飛んで、背中を強化ガラスにぶつけて止まった。
「……ロイか」
 俯いていたスザクの顔が上がり、その視界に、肩で息をするロイをとらえる。同時に、スザクの口元から一筋の血が流れる。
 向けられた視線にロイはゾッとした。そこには優しい親友の皮を被った化物がいる。そんな錯覚を起こさせる程、スザクの瞳は極寒の如く冷たいものだった。
 しかし、ロイは心は怯んでも、体では怯まなかった。スザクのした事―しようとした事は、絶対に許容できるものではない。
 ロイは早足で―といっても周りから見たら一瞬で―スザクとの距離を詰めると、いつか自分がされたようにスザクの襟を思いっきり掴み、そのままガラスに押しつける。スザクは無抵抗だった。
「……僕の言いたい事が分かるか?」
 ロイは、感情を抑えるので必死だった。
 スザクは、唇を噛んだ後、叫ぶように言った。
「これ以上、犠牲を出すのは嫌なんだ! だから、俺は」
「……」
 ロイは腕の力をさらに強めた。それに従って腕が震える。とても悔しかった。親友がこんな下らない事を言いだすのが、本当に悔しかった。
「だからって、こんな手段が許されるのか」
「許されない。そんな事は百も承知だ」
「それが分かっていて、なぜだ。なぜ、こんな事をする」
「シャーリーが死んだんだ!」
 ギュッと、心臓が締め付けられたような息苦しさをロイは感じた。あの光景。冷たくなった彼女を発見した時の光景と、その時の感情がロイの中で蘇る。
 いつの間にか、スザクの瞳は滲んでいた。
「これ以上犠牲を出さないために、俺は」
「だからって」
 ロイは歯を食いしばった。そうしなければ、自分も泣いてしまいそうだった。
「僕たちが、テロリストみたいな手段を使っていい理由になるか!」
「テロリスト?」
 スザクは何かに気づいたかのように体を震わせた。
 ロイはさらに言った。
「人の意志を奪って、否定して、服従させて、それでシャーリーが喜ぶものかっ!」
 スザクの瞳は大きく見開かれた。
「人の意志を奪う? 否定する? そ、そうだ。俺は……」
 スザクの手からリフレインが滑り落ちた。注射器は落ちた衝撃で壊れ、床に砕け散った。これでは、もう使い物にならないだろう。当然、中身のリフレインも。
 ロイは腕の力を抜いてスザクを開放した。スザクは力なく床に膝をついた。
「……俺は、そうだ。アイツの、“奴等”のようには……」
 スザクは立ち上がろうともせず、何やら力なく呟いていた。
 ロイは悲しげな瞳でそんなスザクを見つめ、そして逸らした。
 見ていられなかった。
 人の死は―大切な人の死は、時に人を狂気に走らせる。
 だからこそ失ってはいけなかった。守らなければいけなかった。
 しかし、できなかった。
 ロイは、改めてシャーリーを救えなかった事に対する後悔を、抱かざるを得なかった。
 無くしてしまったものは、あまりに大きかった。
「ねぇ」
 声をかけられた。女性の声だが、アーニャではない。彼女はまだ、ここには来ていない。
 そういえば、紅月カレンがいたんだった。ロイは振り返って、紅月カレンのいる方に体を向ける。
「同僚が失礼した。彼に代って僕がお詫びを―」

11:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
09/06/04 20:49:22 9lSPpW5+
 言葉は最後まで言えなかった。
「!!」
 軽い衝撃があった。下を向けば、細やかな赤い髪が目の前にあった。
「充分よ……」
 呟いたのは紅月カレンだった。その声の響きが、なぜかとても心地よかった。
 カレンの腕は、ロイの背中まで回されていた。そして、彼女の顔はロイの胸にしっかりと預けられていた。
 二人の距離は―ゼロだった。
 ロイの鼻孔を、甘い紅月カレンの匂いがくすぐった。
「あなたが生きていると分かっただけで、私は充分」
「……へっ?」
 ロイはまぬけな声を出した。
「ありがとう。生きていてくれてありがとう……」
 抱きしめる力が強くなる。ロイはされるがままになっていた。なぜか、抵抗する気はおきなかった。テロリストに不意に近寄られたというのに危機感はまるで起きない。母親に無条件で抱かれる赤子のように、彼女に包まれるその事実が、ロイには自然の事のように思えた。
 紅月カレンは腕の力を緩めた。力強そうだが、細く少女らしい小さな手が、ロイの頬を挟んだ。
 この間も、ロイは無抵抗だった。
 力が入らないのだ。体の骨という骨が抜かれてしまったかのようで、ロイは紅月カレンのされるがままになっていた。
 紅月カレンは、ロイの目前でほほ笑んだ。少女の綺麗で大きな瞳には、涙がにじんでいた。
 その涙の訳を、ロイは無性に知りたくなった。なぜか、紅月カレンが涙を流しているところを見るのを、ロイは嫌だなと感じたのだ。できるならば、その涙を止めてあげたいとも思った。ただ、その泣き顔は、とても綺麗だな、とも思った。
 ロイは、いつの間にか紅月カレンの瞳に釘付けになっていた。
 すると、その瞳が突如接近した。
「!」
 フワッと小さな風が吹いた後、ロイの唇に、紅月カレンの唇が重なっていた。
 それはぎこちないキスだった。顔は強く寄せるのだが、舌を入れるわけでもなく、ただの見よう見まねの不慣れなキス。しかし、そんなキスでもロイは満たされた。そして数秒後には、ロイは夢中になって、紅月カレンの体が軋むほど強く抱き返していた。
 もっと感じたいと思った。紅月カレンを、ロイはもっと実感したいと、そう強く願った。それは自分から自分への脅迫に近かった。
「んっ」
 密着している紅月カレンの唇から、つややかな声が漏れる。腰にまわされたロイの、腕の締め付けが強すぎるのだろう。しかし、ロイは腕の力を弱めなかった。
 放したくない。
 離したくない。
 そんな欲望がロイを支配していた。
 もはや、ロイは何も考えられなかった。ただ、思うだけ。
 もっと、もっと、と。
 ロイは、それこそ自分と一体化でもさせるような勢いで紅月カレンを引き付ける。紅月カレンは苦しそうだったが、それでもそれを嫌がったりはしなかった。むしろ、彼女も強く抱き返してきた。
「何をしているの」
 冷たい声がした。ロイは冷水をぶっかけられたかのようにハッと我に返り、紅月カレンから体を離した。
 僕は、今一体何を……?。
 自分が一体何をしていたのか。それを気付くのに、ロイは数秒を要した。
「何をしているの、と聞いてる」
 再度の声。ロイが目を向けると、そこにはアーニャがいつも通りの顔で立っていた。
「アーニャ」
「……」
 ロイには答えず、アーニャはその瞳を紅月カレンに向けた。
「!」
 アーニャが懐から取り出したもの見て、ロイは紅月カレンを庇うようにして体を移動させた。紅月カレンはロイの後ろにありながらも、挑発的な態度でアーニャを見返し、その足幅を広げ、自身を完全な戦闘態勢へと移行させていた。
「まてアーニャ。どうするつもりだ」
「ロイどいて。そいつ殺せない」
 アーニャは淡々と恐ろしい事を言った。銃口を突き付けるアーニャの目は本気だった。
「だめだ。勝手に殺すのは」
「でも、そいつ―」
 ロイはアーニャの射線に立ったまま、紅月カレンに向き直った。先ほどの影響で、いまだ高鳴っている心臓を落ち着けるために、一つ咳払いをする。ただ、紅月カレンの顔はまっすぐ見れなかった。
「紅月カレン。何が目的かは知らないが、今回の行動は見逃す。ただ、今後はこのような行動は慎んでもらいたい。さもなければ、次は無警告で射殺することもありうる」
「ねぇ、私が分からない?」
 訳の分からない質問だった。なんか最近そんなのばっかだな、と思いロイは片眉を寄せた。
「分かるよ、紅月カレンだろ」
「違うの。そうじゃなくて!」
 紅月カレンは、先ほどのようにロイに寄り添おうとした。ロイは怯えるようにパッと後ろに下がって、それをかわした。

12:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
09/06/04 20:51:02 9lSPpW5+
「……き、君には聞きたい事があったけど。日を改める事にするよ」
 赤くなった顔を隠すように、ロイは紅月カレンに背を向け、そばのスザクの手を取ると、檻の出口に足を向けた。
 早くこの場を離れたかった。そうでなければ、また自分は我を忘れて何をしでかすか分かったものではない。なぜか、この場はロイにそんな不安を強く抱かせる。
「待って!」
 紅月カレンは手を伸ばした。しかし、それを阻む人影があった。
 アーニャだった。
「ちょっと、どきなさいよ!」
「どくわけないでしょ、馬鹿」
 アーニャの手には銃が握られたままだった。しかし、紅月カレンは引かない。むしろ、やるならやってやるぞ、とでも言わんばかりに相手を睨みつける。
「そうやって、ロイまで籠絡する気?」
「……は?」
 籠絡、という聞きなれない言葉に、カレンは緊張をそがれた。
「あなたが、かつての恋人を、でかいだけの体で仲間に引き入れたのは知ってる。ロイにも同じことをするつもり?」
 アーニャは銃を懐にしまった。そしてロイの後を追うように踵を返す。ただ、アーニャは視線だけをカレンに向け続けて、
「下卑な女」
 と、吐き捨てるように言った。最初、カレンは呆然とその言葉を聞いていたが、すぐに自分がどのように思われていたのか理解したのだろう。顔を真っ赤にして、
「なっ、なんですってぇ! そんな格好してるあんたに言われたく無いわよ!」
 と、アーニャの後を追った。しかし、ラウンズ全員が檻を出た後、すぐにガラスの扉はしまってしまった。
「ちょっと待ちなさいよ! ああ、もう!」
 カレンは、立ちふさがるガラスの扉に蹴りを入れると、そのままガラスに寄り掛かった。
「もう、本当に……」
 ガラスにコツンと額を当てて、そのままうなだれる。
「本当に良かった」
 カレンは誰もいなくなった部屋のなかで、ポロポロと涙をこぼした。

 ○

 ロイが地下でひと騒ぎしているころ、
「ああ、ではまたね」
 ロイ・キャンベルの副官。アルフレッド・G・ダールトンは携帯の通話を切ると、疲労を感じさせる息を吐いた。
「探しましたよアルフレッド卿。それにしてもお疲れのようですねぇ」
 休憩室に細い体格の男が入ってきた。アルフレッドがよく知る男で、名をロイドといった。ロイドはアルフレッドの上官であるロイの専用KMF開発リーダーであり、アルフレッド自身もロイの副官になってからはいろいろお世話になっていた。
「これはロイド伯爵」
 アルフレッドは思わず席を立とうと腰を浮かす。ロイドはアルフレッドのような身分の低い貴族ではなく、伯爵階級の人間だった。
「やめて下さいよぉ。そういうのは無しにしましょ」
 と、いつもと同じ白衣の、その袖を振りながらロイドは言った。
「はぁ」
 アルフレッドは再び腰を下ろした。それを確認すると、ロイドは満足そうに笑い、近くの自販機でジュースを二つ買うとアルフレッドの隣に腰かけた。
「今の電話。もしかして彼女さんとかですかぁ?」
 唐突な質問に、アルフレッドは呆気にとられた。
 そんなアルフレッドの手に、ロイドは缶コーヒーを手渡す。
「ビンゴなのかな?」
「いえいえ、とんでもない。彼女なんていませんし、さっきの電話はアッシュフォード学園の学生からですよ」
「ああ、そう言えばアルフレッド卿は学園で教師役をしておられるんでしたね」
「ええ、キャンベル卿達の護衛のために仕方なくですが」
 そう言って、ほほ笑んだアルフレッドの顔には、強制されている人間特有の陰湿さはない。
 実際のところ、アルフレッド自身、教師というのをけっこう楽しんでいた。
 軍隊に入隊しなければ、こういう生き方もありだったかもしれないなとも思ったりしたほどである。もっとも、アルフレッドは軍人であることに誇りを持っているので、転職、という考えは一切浮かばなかったが。
「さっきの電話も女性のようでしたし、アルフレッド卿はさぞ女子生徒に人気があるんでしょうね。噂ではすでに何人からか告白をうけたとか」
「そ、そんな話をどこから」
「ギルフォード卿と、あとは僕の未来の奥さんですよ~」
「……なるほど。どちらにも困ったものだ」
 アルフレッドは苦笑し、その口元におごってもらった缶コーヒーをもっていく。一口飲んで、
「彼女達はただ単に年上の男性に憧れているだけでしょう。本気ではないだろうし、私もあまり興味はないですね」
「おや、年下の女性には興味がおありでない?」
「無いです」
 アルフレッドは断言した。そして懐かしむようにどこか遠くを見つめた。
「私の好みは、年上です」
「ほう」

13:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
09/06/04 20:52:21 9lSPpW5+
 ロイドが興味深そうに、顎を指でなぞった。
「強く、猛々しく、それでいて思慮深い。勇気と知恵を兼ね備え、時折かけていただけるお言葉には厳しさと、思いやりがあふれる。圧倒的なカリスマと力をお持ちで、それを手に入れるために努力を惜しまない。そんな女性が、私は……」
 そう喋るアルフレッドには、どこか陶酔の色があった。
「私は好きです」
「えっと、それってコーネリア殿下の事じゃ……」
「!」
 アルフレッドの顔が赤く染まった。
「な、なにをおっしゃるのですかロイド伯爵! 私はそんな、姫様に対してそんな、そんな……。そんな滅相もない! 
 確かに姫様のお姿はみ目麗しく、先ほど私が上げた女性像に酷似しているかもしれませんが。そのような目で姫様を見た事は、私は一度もありません! ええありませんとも! 変な言いがかりをするとロイド伯爵でも怒りますよ」
 アルフレッドは椅子から腰を浮かせて抗議した。
「分かりました、分かりましたよ」
 あまりに一生懸命に否定する姿を哀れに思ったのか、ロイドはとりあえず納得して見せた。
「分かっていただければいいのです。分かっていただければ」
 アルフレッドは鼻息荒く、改めて席に腰かけた。
「とにかく、そういう事ですので、私がアッシュフォード嬢に手を出すことはありません。どうぞご安心を」
「へ? そんな事分かってますよ」
 アルフレッドは、眉をピクリと動かした。
「? それを心配していたのではないのですか?」
 ロイドはまさか~、と肩をすくめた。
「そんな事、僕は心配しませんよ~」
「では、ロイド伯爵は私に何の用事があるのですか?」
「おや、なぜ私がアルフレッド卿に用事があると思うのですか? ただ単に休憩室で見かけて声をかけただけかもしれませんよ」
「からかわないで下さい。私を探していた、とさっきおっしゃったではありませんか」
「ハハッ、そう言えばそうでしたね。ええ、実はそうなんですよ。この前頼まれた新型ランスの件ですけど」
 そして、二人は別名“男のロマンがつまった新型ランス”の開発について話し始めた。

 ○

「じゃあ、僕は先に行く」

14:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
09/06/04 20:53:01 9lSPpW5+
 地下からのエレベーターで地上にたどり着くと、スザクは早足で先に降りた。
「スザク」
 ロイが声をかけると、スザクは足を止めた。しかし、体も顔も、視線すらもこちらに向けず、背を向けたまま、
「分かってる。今回の事は僕が間違っていた。もうあんな事はしない」
「……分かってるならいいよ」
「……」
 そのままスザクは歩いて行ってしまった。ロイはすこし寂しげな気分で、一度も振り返らなかった友人を見送った。
 その時、ロイの背中をつつく指があった。アーニャだった。
「以前、私が壊したメガネ。明日には直ってくるから絶対につけて」
 アーニャの第一声がそれだった。ちなみに、メガネとは以前ロイが身につけていた牛乳瓶底眼鏡の事である。
 現在、あのメガネはとある事情で破損し、アーニャ経由で修理に出していた。なんでも、あの眼鏡には希少価値の高いレアメタル製のフレームが使用されているらしく、修理には時間がかかる、とロイは聞いていた。
「ああ、そうなの? そんなに急がなくてもよかったのに」
 正直、ロイはあの眼鏡を気に入っていない。だから無いなら無いで構わない。
 しかし、アーニャは、
「やっぱりロイはメガネをかけてないとだめ。変な女ばっかり引き寄せる」
「変な女って……」
「大体、ロイもロイ。よける事もさける事も、拳で殴り落とすこともできなかったの?」
 言われて、ロイは先ほどの出来事を思い出した。紅月カレンに奪われた唇は今でも熱い。あの事を考えるだけで、欲望に突き動かされた自分が恥ずかしくなる。
「いや、あまりに急だし、不意打ちだったから」
 ロイの頬が再び赤く染まる。それを見て、アーニャは不満そうに眉をひそめ、少し乱暴に腰に手を置いた。
「ノネットの槍捌きはかわせるくせに、紅月カレンのキスはかわせなかったの?」
「それは……」
 ロイはバツが悪そうに頭をかいた。アーニャはずっとムッとした顔をしていたが、その顔が不意に緩む。
「気をつけて。お願い」
 アーニャは切実な様子で言った。
「キスだったからよかったけど。もし紅月カレンがナイフでも持ってたら、ロイは死んでた」
 ロイは驚いてアーニャを見た。そこには何かに脅え、何かを恐れた少女が立っていた。
「だから気をつけて。お願い」
「……アーニャ」
 ロイは不意に笑うと、そっとアーニャの頭に手を置いた。
「分かった。分かったよ。ごめん。心配させたね」
「……うん」
 アーニャは小さくうなずいた。
 ロイは同僚の心遣いをとても嬉しく思い、先ほどとは違った意味で体が熱くなっていくのを感じた。


 ターン11Bパート。終わり。Cパートに続く

15:KOUSEI ◆g9UvCICYvs
09/06/04 20:54:13 9lSPpW5+
投下終了です。
感想・修正等ありましたらよろしくお願いします。

16:創る名無しに見る名無し
09/06/04 21:29:35 ooGrNiiM
KOUSEI卿乙でした! 面白かったー

17:創る名無しに見る名無し
09/06/04 21:37:15 Wd3ZW0UE
お疲れ様です!
前回からあまり経っていないのに、早速の投下速い速い。
物語が佳境を迎えてきてますね。続きが楽しみでなりません。

18:創る名無しに見る名無し
09/06/04 21:49:08 vpeS43z6
>>15
女の闘いににやにや。さてどっちを応援したものやら。

待ちに待ったカレンとの「再会」、なんだかじんとしました。
スザクの疑念は晴れたのでしょうか。壊れかけた彼が心配でもあります。
ロイの明日はどっちだ。ルルーシュたちは彼を奪還できるのか。

楽しみに、続きをお待ちしています。

19:創る名無しに見る名無し
09/06/04 22:45:44 HshnMkTY
>>15
KOUSEI卿、GJでした!
カレンがロイを目の当たりにして感じた安堵。 自分のことが分からないことよりもそのことを実感しているのがなんともまたいいかんじに思えました。
「どいて。そいつ殺せない」……なんだこのヤンデレな妹。 しかしアーニャ視点から見ると大事な人を奪おうとする奴な訳で……
最終的にどういう方向に向かうのか……
>“男のロマンがつまった新型ランス” オラ、すっげぇワクワクしてきたぞ!
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!

20:創る名無しに見る名無し
09/06/04 22:48:43 +zAPO4P9
KOUSEI卿乙でした!
カレンとついに再会!
最初から卿のSSを読んでる者としては感慨深いです。
ライとカレンが本当の再会をする日が楽しみです

21:創る名無しに見る名無し
09/06/04 23:13:34 R5edmC06
>>15
乙です!
カレンとの再会来たー!!!感慨深いです。待ったかいがありました。
しかしアーニャが…ううむ、カレンを殺そうとするアーニャは原作にもありましたが
ロイが絡んで一層憎しみは強く…これからどうなっていくかがとても楽しみです。
また、再び友人を失って深い悲しみに堕ちたままのスザク。はたしてロイは壊れかけた彼を救うことが出来るのか、
これもまた楽しみですね。さらに、新型ランスにも多大な期待を抱いてしまうwロイドさんならやってくれる…はず!

では、次の投下を楽しみにお待ちしております。

22:創る名無しに見る名無し
09/06/05 00:26:35 2etXpl9i
>>15
待っておりました!
Bパートはどうなるのかハラハラしていましたが、いやぁ素晴らしい!
カレンにもアーニャにも不幸にはなって欲しくありませんが、この先
どうなることやら・・・

次回の投下も楽しみにお待ちしております!


23:創る名無しに見る名無し
09/06/05 01:47:08 XgUlcSEL
乙でした!!
GJとしか言いようがないです!!
待ちに待ったカレンとの再会……今後の展開が気になりまくりです!
これからも無理せず頑張って下さい。
次回の投下お待ちしております!

24:創る名無しに見る名無し
09/06/05 07:34:38 WEDXYA15
>>15 KOUSEI卿GJ!遂に果たしたカレンとの再会。キスシーンは突然かつ自然で素晴らしいの一言。個人的にはキスでロイの記憶が戻りそこからハッピーエンドに一直線だと思っていたのですが・・・、まだまだ予断を許しませんね。
次の投下も心からお待ちしております。

25:創る名無しに見る名無し
09/06/05 09:27:57 kWBYeaye
乙!
ついにカレンと再開してしまいましたね。
ロイは今後アーニャとカレンのどっちを選んでいくのか楽しみにしています。

あと、ロイによってくる女にはアーニャは容赦がないですね。
眼鏡をはずしたことで寄ってくる女は「売女」といい、今回のカレンに対しては「下卑な女といった。
恋する少女はすごいですね。

26:創る名無しに見る名無し
09/06/05 12:06:24 6nMoG45I
>「ロイどいて。そいつ殺せない」
あの緊迫した場面でこの名台詞を持って来るKOUSEI卿のセンスに脱帽。

27:創る名無しに見る名無し
09/06/05 13:01:54 WEDXYA15
にしても、KOUSEI卿の描くカレンとアーニャは原作を超えた魅力を感じる。いやこれはライ(ロイ)の力かw


28:創る名無しに見る名無し
09/06/05 13:54:57 jdM8bFrj
悪気はないんだろうが、二次同人作品への感想での「原作を超えた!」は
すまないが、少し控えてもらえないか?もしくは表現を少しはよく考えてくれ。原作の彼女達よりも自分は好きだ、とか
ロスカラや二次同人好きなのはもちろんなんだが、それ以上に原作ファンや原作の彼女達ファンもいるんだ
だから褒めるにしても言葉くらい選んで欲しい。口を挟んですまなかったが

29:創る名無しに見る名無し
09/06/05 14:39:31 wCJpOC5M
>>28すまないけど僕には気持ちが理解出来ない
原作が好きな気持ちは分かるけど、今の言い方だと邪推かもしれないが、原作の方がファンが多いから黙れって言ってるように聞こえる。
自分が大人になってスルーすれば良い問題だと思うけど



30:創る名無しに見る名無し
09/06/05 15:09:33 I/GEaNwr
このところKOUSEIさんが投下するたびに殺伐とした雰囲気になるな。毎回これが続いたら、投下したくなくなるかもよ。
そうしたいなら、もっとやりあえばいいさ。

31:創る名無しに見る名無し
09/06/05 15:16:46 cqv1gIbD
自分は正直>>27は気分の良いものでは無かった
一応スルーしたけれども、>>28の言いたくなる気持ちは分かる
でも、>>27はわざわざ注意するレベルでもないかなと思う、個人的な感想なんだなと思えば
色んな人が居るから気を遣えってのも難しいからね、感想が書き辛くなるのは嫌だろう
>>29の言うとおり、大人になって自分を落ち着かせてみるのが先じゃないかな

>>30
煽るのはイクナイ、自分から殺伐とさせてるよ
え?釣られた?

32:創る名無しに見る名無し
09/06/05 15:50:04 jdM8bFrj
>>31
スマン、我慢出来なかった俺が悪いな
これからはあんたのようになるべくスルー出来るよう努力するわ
でもここは匿名掲示板で、いろんな人間が見る場所だという認識は忘れてはいけないと思うことに変わりはない
間口が広くなることは嬉しいが、基本的なマナーは(ネットについても同人についても)
やっぱり基礎に置いておかないといけないと思うんだよな

>>30
煽りなんだろうが、そういうやり方での言論統制は良くないと思うぞ
釣りだったら釣られてすまない

33:創る名無しに見る名無し
09/06/05 17:17:43 2etXpl9i
感想を書く人もそれに反応する人もなるべく慎重にね、というわけで
この話題はここまでにしておこう

それにしてもさ、このスレの作品を読ませてもらって思ったけど、主人公
であるライ以外の人物の心理描写というか、どんなことを考えてるのかって
のを楽しめるのは、ゲーム本編がほとんどライ視点で進むだけに凄く新鮮だった
仮にロスカラ2が出たとしても、ライ以外のキャラの内面とか多くは描かれない
だろうし

KOUSEI卿の作品を例に挙げるなら、アーニャのロイに対する思いとかね。もう
ニヤニヤが止まらなかった

職人さん達には本当に感謝です

34:創る名無しに見る名無し
09/06/05 19:19:53 MD2/tVdn
KMF乗り達のタッグマッチ編みたいのを考えているんだが、ライと相性の良いキャラクターは誰だと思う?
ライならば誰がパートナーでも合わせると思うが、無双と唄われた皆さんの意見が聞きたい

35:創る名無しに見る名無し
09/06/05 20:47:26 arpj3Jyt
ジノです

36:創る名無しに見る名無し
09/06/05 20:58:07 6nMoG45I
こればっかりは人によって違うし、意見も結構分かれるんじゃない?

37:創る名無しに見る名無し
09/06/05 21:00:48 fmH5c03B
藤堂さんとの生真面目な和風コンビも見てみたい

38:創る名無しに見る名無し
09/06/05 21:11:17 9bGKxXJZ
>>37
神楽耶様と咲世子さんがKMFシミュレータで、騎乗練習を始めました。

39:創る名無しに見る名無し
09/06/05 21:11:47 Z1EGKeHR
ライカレ好きとしてはカレンだけど星刻と組ませたら強そう

40:創る名無しに見る名無し
09/06/06 00:36:21 y1NkhKkh
オールマイティーだからどのキャラと組んでも相手の能力を引き立てそう。
キャラ的には嫌いだけど、装備が似通ってるオールマイティーのスザクあたりは?
普通すぎるか。

41:創る名無しに見る名無し
09/06/06 00:41:29 JkYxq8qk
コーネリアとのタッグも良さそうだなぁ
というか大好きです

42:創る名無しに見る名無し
09/06/06 00:41:36 hd+pBB7b
>>38
千葉さんはどうした

43:創る名無しに見る名無し
09/06/06 00:54:59 wuRx2i4W
狂王のライとルキアーノというのをいいかも。
ひたすら命を奪うものと、大切な人のために命を奪うもの。

ちょっとずれているかな・・・

44:創る名無しに見る名無し
09/06/06 00:59:39 qO8gGxO2
嫌いとかいちいち要らんよ…そういうのはもううんざりだ

俺はCCを推す
原作じゃ軽く一蹴されたvsカレンだったが、ライと組めばリベンジ出来そうだw

45:創る名無しに見る名無し
09/06/06 01:55:05 KAsrihgT
>>42
今更、シミュレータもないだろう?

46:創る名無しに見る名無し
09/06/06 10:10:53 V0xRvkln
やっぱ、オレンジでしょう。

47:創る名無しに見る名無し
09/06/06 11:31:25 V0xRvkln
黒の騎士団だったら、藤堂さん。
ラウンズだったら、ビスマルク。

美青年の隣には渋いおじ様。

48:創る名無しに見る名無し
09/06/06 14:52:20 z+o558aJ
藤堂さんは普通にライの足引っ張りそうなイメージあるなぁ

スペックがやっぱ似てるから星刻かな

49:創る名無しに見る名無し
09/06/06 14:56:49 OaE5/W/9
ライと星刻が組んだら最強だな

50:創る名無しに見る名無し
09/06/06 15:15:07 iIVhZ4zY
自分の質問にいつの間にかこんなに沢山の意見が…みんな、答えてくれてありがとう!



遅筆だが、今月中には投下できるように頑張ります!

51:創る名無しに見る名無し
09/06/06 15:19:32 c1JuO8R7
相棒候補にノネットさんの名前が挙がらないのが不思議でならない。

52:創る名無しに見る名無し
09/06/06 15:25:28 qO8gGxO2
ノネットさんはネリ様と相棒同士ってイメージが強いからなあ
そしてどっちかといえば迎え撃つ方な感じ

53:創る名無しに見る名無し
09/06/06 16:29:32 xTIU8eI6
軍人編、スザクと共闘して初めてノネットさんに勝てた時は嬉しかったなあ。
あそこはつるっと負けても一矢報いても各種エンディング迎えるのに難はないから
ずっと勝てるって知らなかった。

54:創る名無しに見る名無し
09/06/08 23:34:34 SyTpTUOE
トーマスさん見てますかあ?
ほんとにもっともっともっと頑張って下さいねえ!!
熱心な住人からでした!!!

55:創る名無しに見る名無し
09/06/09 00:48:37 CwocSujd
トーマスさん

応援しています。


56:創る名無しに見る名無し
09/06/09 02:04:09 +f/WKtdv
トーマス死ね。お前に生きる価値は無い。

57:創る名無しに見る名無し
09/06/09 23:04:48 rpfWX4RD


運営やめようかな…結構本気で…

58:創る名無しに見る名無し
09/06/10 04:43:52 YZIcjtjZ
2ch運営乙

59:創る名無しに見る名無し
09/06/10 19:36:19 FdGpd4xy
ナオトって髪の色って何色だったけ?
どうでもいいが気になったのでな…

まあスルーしてもかまんけど

60:創る名無しに見る名無し
09/06/10 21:46:41 ylgZUBsQ
エンディングの絵見たら濃い目の茶色だね。>ナオト
お母さん茶色だったっけ?

61:創る名無しに見る名無し
09/06/10 22:05:02 4vX3sc6t
>>59
お母さんは茶色
ナオトは白みがかった茶色

ロスカラのCG GALLERY 1/6 参照

62:創る名無しに見る名無し
09/06/10 22:09:11 327ED8bJ
娘は父親に似るっていうし父親が赤毛だったんだろうなあ

63:創る名無しに見る名無し
09/06/10 23:25:45 FdGpd4xy
どうも有難うございます
気になってたんでね
これで今日はゆっくり眠れますわ!(笑)

64:羽付き羊
09/06/12 02:48:28 B3XMIxon
羽付き羊です。携帯が見つかりました!まさかベッドの下の奥の方に入っていたとは…
感想どうもありがとうございました。
無頼の武器はナックルガードですか、知りませんでしたよ…
訂正ありがとうございます。
トンファンではなくトンファーですか、これからそう書きます。
さて今回のストーリーはぶっちゃけ一番好きなロスカラのシーンを入れました。いつ見てもニヤケテてしまうあの場面を…
まぁ読んでくれたら分かります。
 
・コードギアス LC ~反逆者達の願い~
・Action03 帝国 最強の 騎士
・ジャンル<シリアスとギャグ>
・カップリング<ライカレ>
※注意点
・ライツというオリキャラがいます
・スザクの物分かりが非常に良いです。(何故かそうなりました…)
・オリジナル要素がたくさんあります。
02:55分頃投下します
支援はたぶんいりません

65:羽付き羊
09/06/12 02:55:00 B3XMIxon

誰かが死ぬ 戦争で 餓えで 病気で
しかし地球はただ廻る 何がおきても
それが日常なのだから
Action03 帝国 最強の 騎士
「模擬戦ですか?」
ライツが研究所にやって来たのはスザクがロイドに尋ねているところだった。
「あれ?スザク今日は早いな?」
「ライツが遅いんだよ…君ここに住んでいるのにどうして僕より遅いのさ。」
ライツはここの大学の寮に住んでいる。ここの大学の寮は個室なので、自由に気ままにのんびり過ごしている。
「ははは…朝は苦手なんだよ。今日も6:30に起きたんだけどさ、また寝てしまってな…」
「二度寝したの?ったくもう今9:07だよ?」
「ははは…で何だロイド?今日は12:00からシュミレートじゃなかったのか?」
ライツが話をすり替えるとロイドは答えるのが面倒臭いらしく
「セシル君あとはよろしく、僕は許可もらいに行くからねー。」
と言いさっさとどこかへ行ってしまった。
セシルは軽く溜息をつくと二人の方を見て説明を始めた。
「昨日の夜に総督から連絡が入ったの。『特派の枢木と最近ウワサになっているもう一人を連れてK-12地区の模擬戦場に明日の15:00に来い』って」
「『最近ウワサの』って誰なんだ?」
セシルが答える前にスザクが答えた。
「ライツの事だよ。この前の模擬戦で軍の少佐とKMFの模擬戦で瞬殺してただろう?それが軍じゃウワサになってるんだ。」
「あぁー、弱すぎて手加減が効かなかった奴か!ありゃ、肩書きだけの馬鹿野郎だから仕方ないさ、俺の知る限りじゃ、ギルフォード卿、コーネリア総督、ダールトン将軍ぐらいしか地位と実力が伴っていないからな。」
 
先日の模擬戦はライツが特派に所属して初めてのKMFでの実戦練習であったので軍内で新人いびりで有名な少佐が
『新人には戦場の怖さを勉強させてやれねばな、ははは。』
と言ってライツの相手を買って出たのだが、ライツの一撃で見事に負けた。
その時間は約9秒、ボクシングの試合で実力の違いすぎる相手でもそれだけ短い時間でやられる人間はあまりいない。
彼は哀れであった。
『お、覚えておけよ!今日は睡眠時間が9時間だったから調子が悪かっただけだ!』
という捨てゼリフを吐いたのはその場にいた全員が覚えている。
 
「…まぁ向こうの出会い頭の一撃をカウンターで入れただけだからな…手加減とかそんなのできないわ。」
「確かに分かりやすかったけど、でも凄いよ。」
スザクはライツを褒めながら、微妙に少佐を貶していた
「いやいや、スザクの方が強いから…俺の見立てじゃラウンズクラスだぜ?」
「お世辞でもそう言ってもらえると嬉しいよ。」
「………もう続けていいかしら?」
セシルの顔が笑顔なのにとてつもなく怖い。
「「はい、すみません…」」
声を揃えて謝った。
「まぁ、総督からはそれだけだけど、たぶんKMFの模擬戦になると思うわ。あの人達がエリア11に着いたのが昨日の昼だしね…」
「『あの人達』って?」
「それは僕も知らないよ」
セシルが複雑な表情でこちらを見ながらこう述べた。

66:羽付き羊
09/06/12 02:56:04 B3XMIxon
「帝国最強の12騎士、ナイト・オブ・ナイン、ノネット=エニアグラム卿とナイト・オブ・トゥウェルブ、モニカ=クルシェフスキー卿よ…」
「!!ラウンズの二人が?でも何故僕達を?」
戸惑うスザクにライツは平然と答えた。
「まぁ、暇潰しだろうな…俺達はラウンズ様のオモチャってわけさ。」
「ライツ君!その言い方は…」
「何か違うとでも?セシルだって気づいてるんだろ?」
ライツのその言葉にセシルは黙ってしまったが、スザクの反応は怒りではなくむしろ喜びの表情であった。
「願ってもないチャンスだよ…」
そのスザクの言葉を聞いたライツは包帯の奥から悲しげな表情でスザクに話しかける。
「………スザクお前はまだ組織の中から変えるつもりなのか?」
「あぁ、だってそれが正しいやり方だからね。」
スザクの目はどこか不安にさせるものがあった。
「お前のそれは偽善に近いよ。お前だけで英雄になるにはどれだけの血を流すのか分かってるのか?」
「………」
ライツの問いにスザクは答えることができない。
「お前の言ってる事も分からなくはない。ただ、その矛盾はお前自身を壊してしまうんだ…」
「なら!黒の騎士団の様なやり方が良いと言うのか君は!?」
スザクはライツにくってかかった。
「はぁー、誰がそんな事言ったんだ?俺は『お前だけで』って言ったんだ。」
「え?」
キョトンとした顔になるスザクにライツはこう続けた。
「人は支えがないと強くなんねぇんだよ。お前は自分で背負いすぎ、ロイドもセシルも皆心配してんだぜ?」
「ならどうしたら…」
戸惑うスザクにライツは答えた。
「俺らを頼れ、まずそこから始めよう。それに俺はお前の夢叶えてやりたいと思ってんだ。」
「ライツ…」
「まぁ、包帯で顔を隠している奴を信じろっていうのも無理な話か…」
「………」
「まぁ、お前ならできるって俺は信じてるからな…」
ライツはそう言い残し部屋から出た。

67:羽付き羊
09/06/12 02:56:58 B3XMIxon

「セシルさん…」
「何?」
「僕はどうしたら良いんでしょうか?僕は皆に迷惑を掛けたくないんです。自分のせいでこうなったんだから、自分の手で解決しなきゃいけないんです…」
スザクは悲しみと苦悩が入り混じった表情でセシルを見た。
「スザク君、ライツ君がなんであんな事言ったか分かる?」
穏やかな声でセシル問う。
「いえ、分かりません…」
スザクには理解できなかった。何故ライツがあんな言葉を自分に投げかけたのかを。
「アナタが『自分に似ているから』そうよ」
「僕がライツに?」
スザクはセシルの言葉に驚きを隠せない。どこをどうしたら自分と彼が似ているのかスザクは分からなかったからだ。
「スザク君とライツ君が似ている所はね、『他人を必要としない』ところよ。」
「えっ?」
「『自分が犠牲になって解決できるなら、命すら捨てる。アイツの目はそういう男の目だ。だから人を頼りにしないんだ、俺と同じで………けど本当は誰かに救ってほしいんだよ。自分の犯した罪を』だって。」
その言葉にスザクは気付かされた。
自分の奥底に潜んでいた気持ちを。
自己犠牲の精神なんかじゃない自分が戦場の最前線に立つのは自分を罰してほしいから、殺してほしいからなのだと。
自分は人の為と言いつつ本当は自分の為に戦っているという事を。
これらを気づいた時には、目から薄っすら液体が零れ落ちそうになった。
「スザク君泣きたかったら泣いてい…」
「泣くなスザク!」
セシルの言葉を遮ったのは、ライツだった。
「ライツ君?」
「今泣いてどうするんだ?お前は一体何をし終わったんだ?お前の願いは叶っちゃいない。」
「ライツ…」
「お前にはデッカイ夢があるんだろ?これから辛い事、苦しい事、悲しい事、山ほどあるんだ。それ全部泣いてたらきりがないぜ?それに…」
「「それに?」」
「男が涙を流す時は、全てを終わらせた時だけだ。」
付き合いは短いながらも、セシルもスザクも彼の言いたい事は理解できた。彼の言葉のその一言に彼なりの励ましがあったということを。
「そうだね、泣くのは全てを終わらせて笑った時に流すことにするよ。」
スザクは零れ落ちそうな滴を裾で拭って、真っ赤な目でほほ笑んだ。
「……じゃあ行きましょうか。K-12地区に。」
3人は研究所を出てラウンズの待つK-12地区へと向かった。

68:羽付き羊
09/06/12 02:58:29 B3XMIxon

「カレンとライができている?何だその噂は?」
ルルーシュはバイク好きで噂好きの親友に訪ねた。
「それがさ、この前ゲットーでブリタニア軍によるテロリストの粛清があっただろ?」
「ああ、それがどうした?」
新聞に目を通しながら聞き流すように話を聞く。
「その時あの2人を見た奴らがこの学園にいるんだって。」
「あの2人ゲットーに行ったのか?」
新聞から目を離して噂好きの親友を見つめる。
(一部の生徒に見られていたか…軍にこの情報が届く前に情報操作しておくようにするか…)
言葉と全く違う事を考えながらその事について詳しく聞くことにした。
「ゲットーに行く2人を見た奴とゲットーから帰ってくるのを見た奴らがいてさ。その時間帯的にアイツ等、軍の粛清の時間があった時間と場所が一致しちゃってる訳よ!」
「アイツ等が無事で何よりだな…それで、何故それが“できている”理由になる?」
ルルーシュの問いに呆れたようで手で額を触りながら親友は答えた。
「あ~、やっぱりお前は鈍いな…シャーリーが可哀想だぜ……いいか?2人は元々噂になっていたのは知っているよな?」
「そうなのか?」
「……もういいや、と・に・か・く、そうなの。」
(うむ、そんな情報があったとは…俺もまだまだな)
誰もそんなウワサ話はしていなかったが、見ていればわかるはずである。お世話係だからといってあんなに頻繁に一緒にいる理由にはならない。明かにそれは、彼らの関係が普通ではない特別な関係だという事を教えている。それを分からないルルーシュはかなり鈍い。
生徒会のメンバーからは“The鈍感王”というあだ名が付けられている程に。
「で、今回の事件。たぶんライがカレンを助け出したんだぜ?カレンみたいなか弱い女の子が無事に戻って来てるのが証拠だ。2人の仲をぐっと縮めるには間違いないし、あれから2人余計に仲が良くなったし、だから“できている”って学園中持ち切りなの。」
「そういう訳か…納得はいったが、一つ引っかかる情報があるな。」
(実際は2つだがな…カレンより俺の方がはるかに、か弱い!)
心の中で思っていることを悟られずにルルーシュは新聞を畳んで置いて、親友に問う。
「俺は鈍くないし、仮に俺が鈍いとしたら何でシャーリーが可哀想なんだ?」
「………はぁ~、もういいよ。答えるのが面倒だ…」
青髪の親友は黒髪の親友を可哀想な人を見る目で見る。まるで“残念な人”を見るような眼で。
「あら?アンタ達珍しく早いわね。感心、感心。」
「あっ、本当だ…」
「授業サボったからでしょう?ルルは出席日数危ないんだからちゃんと授業出なさいよ。」
生徒会の女性メンバーが扉を開けてルルーシュ達に対するそれぞれの思いを話したところでリヴァルは待ってましたとばかりに話し出した。
「会長~、聞いて下さいよ。ルルーシュってばカレンとライの噂さっきまで知らなかったんですよ~?信じられます?」
リヴァルの言葉に3人が3人共にルルーシュを“残念な人”を見る目で見た。
「「「やっぱり?」」」
3人が声を揃えて言った。
(何でやっぱりなんだ?)
ルルーシュはそれに対して265通りの答えを導きだし、頭の中で処理している。そんなところで頭を使うべきではないのだが………
「でも、気になるわね~あの2人。」
「ですよね~」
「私も…」
「俺も!」
ルルーシュ以外のメンバーはこの噂が本当だと信じているが、カレンに聞いても否定するし、ライについてはカレンが何も喋らそうとさせないのだ。
「こうなったら、二人に直接聞くしかないわね。」
「「「おぉ~」」」
ミレイの言葉に3人は拍手をするとドアがまた開いた。

69:羽付き羊
09/06/12 02:59:29 B3XMIxon
「何の拍手?」
「あれ?今日はリヴァルとルルーシュが来てる、槍でも降るのかな?」
噂をすればなんとやら。カレンとライが二人一緒に生徒会室に来た。
「何?みんな変な目で見ないでよ…」
一斉にカレンの方を見た。
(…俺が鈍いと仮定すると124通りか…ん?ライとカレンが来たか…今はどうでもいい事だな、さて次に減らせる項目は…)
もちろん“The 鈍感王”は自分の事で頭が一杯だったので、彼らを見ているのは4人だけである。
「カレ~ン、ライとはどこまでいったの?」
ミレイのその言葉にカレンは今日生徒会にライと一緒に来たのはミスだったと悟った。
「何の事ですか?」
カレンは平静を保とうとするが、手には汗をしっかり掻いている。
「またまた~、そんなに2人仲良くずっと一緒にいるんだから。ねぇ~皆?」
「「「ですよね~」」」
明らかに今日は逃げられない。カレンは本能でそう察知していた。
(こうなれば、怒ったふりでもして誤魔化す!)
「そもそもお世話係を私にしたのは会長じゃないですか!」
カレンはミレイ達に向かって睨んだが、それはあまり効果がなかった。
「怒らない、怒らない。」
「そうそう、まんざらでもない、まんざらでもない。」
会長とリヴァルのコンビプレイ、悪だくみをしたこの2人には敵わない。
(ならば、話を逸らす!)
「そういえば、スザク君は?」
「スザクは今週ずっと軍だって、そ・れ・よ・り、どうなの?」
(くっ、こうなった限り誤魔化しは効かないわ……ライに任せるしかないわね……)
「ライも言ってやってよ、正直にはっきりと。」
カレンはライに助け舟を出そうとしてもらおうとした。しかし、それは泥船だった事をカレンはまだ知らない……
「正直に言えばいいのか?」
今までずっと黙っていたライが口を開けた。
「そうよ、言ってやって。」
カレン・シュタットフェルトは知らなかった。ライという青年が先日のKMFの操縦のできもそうだったが、彼は正直にと言われたら本当に正直にいうナチュラル(天然)だという事を…
 
「まんざらでもない。」
一瞬の沈黙。
「ええ!?」
「ライ君やる~」
「こっちが照れます…」
「お前のそういうとこ本気で尊敬するよ……」
ミレイは驚き開いた口が塞がらず、シャーリーは手で顔を隠しながらチラチラ指を開いてこっちを見て、ニーナは顔を赤くし下を向き、リヴァルは尊敬の眼差しを向ける。
「えっ…ちょっ…な、な、何を言ってるのよ!?」
カレンは顔を真っ赤にしながら、病弱設定すら忘れて本気でテンパッていた。もっと言いたいことがあるのだが、テンパリすぎて言葉で表現できずに慌てふためく。
「?だって『正直に』って…」
ナチュラル、あまりにナチュラル、ナチュラルすぎるが故に彼はこの数週間後「フラグ1級建築士」と呼ばれる事になるのだが、ライはその事を一生知ることはないのだろう。
なぜなら彼がナチュラルだから…
(残りは26通りだ。ふふふ、俺が鈍いだと?リヴァルよ、それは間違いだ!フハハハ!!)
この日を境にルルーシュは生徒会内で仲間が増えた。そう、鈍感な仲間が…

70:羽付き羊
09/06/12 03:01:36 B3XMIxon

k-12地区 第3訓練場
広大な森が広がっている。ここは昔、日本軍が森の中でサバイバルの訓練と実戦さながらの訓練をしていた場所として有名だ。
最近ではブリタニアの軍のKMFの訓練によく使用されている。狭い木々の間を通り抜ける技術や、敵兵が隠れている場所を見つけたり、地形を味方につける訓練などもできるからである。
ただ、中堅からベテランの操縦者じゃなければ、満足にKMFを動かせない。それ程この地形はKMFの操縦者の腕を試される場所なのだ。
「ふわぁ~。やっと着いたなぁ。」
大きな欠伸と伸びをしながらライツは言った。
「危なかった…ギリギリだよ…」
ヨタヨタのスザクの言葉の通り約束の時間の5分前に到着した。普通、総督との約束は30分前にはその場に着いておくべきであり、予定では1時間前に着くはずだった。
何故こんなに到着が遅くなってしまったのかというと…
「セシルが道に迷ったからな…だからあの道は左って言ったのに。」
「ううぅ…ごめんなさい。だってナビゲーターが故障して使えなかったし…看板は右って書いてあったし…」
セシルはくちゃくちゃの髪を触りながら言った。
そう、不幸にも車のナビゲーターが途中で故障したのだ。しかも二手に道が分かれていて、右の方の看板に「第3訓練場」書いてあったのだ。
「僕も右だと思ってたからセシルさんだけ責めるのは…」
「左の方にはランドスピナーの跡もあったからな、看板が何かの拍子で逆になったんじゃねぇの?」
ライツは左だと言い続けていたのに、セシルとスザクは右だと言い張り結果、多数決によりライツは負けた。
あそこにロイドがいたらまた変わっていたのだが、ロイドは許可と調整の為に先に現場に行った為にこうなってしまい、到着したのは…
「まさかの崖だったな…」
「うん…まさかの崖だったね…」
「そうね…崖だったわね…」
エリア11でも有名な崖の名所だった。
「そこからがもう大変だったわ…」
 


71:羽付き羊
09/06/12 03:02:32 B3XMIxon
セシルは場所を間違えたと大慌て、約束の時間までは残り56分39秒。さっきの分かれ道からここまでかかった時間は約35分、第3訓練場までは分かれ道から車で30分かかると言われていた。
「スザク君!ライツ君!速度だすから噛まないでね!」
「セシリ…痛っ」
「セシルしゃ…舌が…」
スザクとライツの応答の言葉を待たず、セシルは速度を上げた。スザクかライツが代わって運転した方が良いのだが、セシルはテンパリすぎていたのでその判断ができなかった。
…いや、代わらない方が良かったのだろう。人間はピンチになると火事場の馬鹿力がでる。あの時のセシルはまさにそれだった。その顔を2人とも見なかった。いや見れなかった。オーラが凄まじかったし、いつものロイドを叱る時の10倍の負のオーラ、
さらに、スザク以上に上手い車の運転をしたのだ。
あれだけ速度を出していたら普通あの5連続コーナーで車は大破する。しかしセシルは溝にタイヤを引っ掛けて曲がってみせたのだ。
あれを見た時、この人は怒らせてはいけないと2人共思ったのであった。
ライツはそれを見て、それを楽しみながらライツにしてみたら心地良い振動の元に眠り始め、スザクはセシルのオーラに当てられてずっと緊張しっぱなしだった。
そんなやり取りをしているとロイドと総督が現れた。
「ランスロットの許可もらえなかったよ…」
と残念がるロイドの声の後で総督が言った。
「今回の模擬戦は同じKMFでと言ったはずだ。あの白いのを4機作れるのか?」
「予算くれないじゃないですか…」
小さな声でとてつもない事を言い放った。
「うん?何か戯言が聞こえた気がするが?」
総督が回りをキョロキョロしながら言った。
「いえ、何も聞こえなかったですよ~」
ロイドは笑顔で誤魔化した、流石に総督に面と向かって文句は言えないようだ。
「……兄上の直轄でなければ、すぐに首を切るところだがな。さぁさっさと用意しろ、30分後この場所で開始する」
首を切るという言葉は2つの意味に聞こえたのは、気のせいではないだろう。
「あれが、コーネリア総督か…智将にして武将でもあると聞くが…」
「あはぁ~、普通のKMF使いじゃ相手になんないよ。だけどその総督もラウンズの前じゃぁ、子供のお遊戯と思えるくらいにレベルが違う。」
ロイドは淡々と続けた。
「ラウンズの身体能力はスザク君クラスだし、KMFに乗る機会は君たちの数十倍以上あるだろうから圧倒的に場数が違うんだしね。とりあえず今はデータだけ充分だから頑張ってね。」
その言葉に悪意はない、事実だから。しかし彼らは勝ちたいのだ今後の為にも…
「スザク」「ライツ」
「「勝とう」」
彼らはグロースターのある方向へ歩きだした。
彼らの願いを叶える為に。

72:羽付き羊
09/06/12 03:04:53 B3XMIxon

お・ま・け
「そういえば、あの時はピッタリのタイミングで出てきたね。」
「あぁ~~~~~~、それは…………」
「え?何か理由があるの?」
「あははは……実はさ、研究室出たのは良かったんだけどさ、K-12地区の場所知らなかったから聞こうとしたら…」
「盗み聞きしてたって事?」
「怒んなよ…だってセシルがあんな、こっぱずかしいセリフ言うもんだから、タイミングがずれたんだよ…」
「へぇ~?そうなんだ?」
「うぅ……すまん」
「別にいいよ、たださ……」
「ただ?」
「その後のセリフの方が恥ずかしいと思うよ。」
「うぐっ…ぐぐぐ………」
「じゃあグロースターに乗り込もうか。」
「根に持ってる……確実に………」

お・ま・け SIDE B
「やっと、3通りまで絞れたぞ…ん誰もいない?なぜだ?」


73:羽付き羊
09/06/12 03:06:45 B3XMIxon
「では………模擬戦開始!!」
戦いは何の為にあるのか? どうして男は戦うのか?
それは己のプライドにかけて譲れぬものがあるからだ
 
次回 コードギアス LC ~反逆者達の願い~ 
Action04 円卓 学生 詐欺師
 
「これで終いだ!」
「タイミングはベストだよ。」
 
男は男の意地のために戦場へ赴く


74:羽付き羊
09/06/12 03:08:05 B3XMIxon
Action03 帝国 最強の 騎士 終わりました。早くあの緑髪の人を出したいですね。
あの人をだすタイミングが一番難しいです。
今回は、スザクとライツの信頼が徐々に深まっていく事をテーマにしているんですが、無理でした…
一気に深まっちまった………
シリアス組とコメディ組で別れてしまった形になりました。おそらく次々回で緑髪はでます。
次回は戦闘重視です。駄文に付き合ってもらいありがとうございました。
今回は一番の駄作だと思われます…
批判でも感想でも聞けたら嬉しいです(それでも批判はお手柔らかにw)

75:創る名無しに見る名無し
09/06/13 19:25:20 obshZJda
復旧確認中

76:創る名無しに見る名無し
09/06/13 20:38:30 noS1o1pz
>>74
乙でした
「まんざらでもない」はやっぱり良いw
ニヤニヤしちまったw

77:創る名無しに見る名無し
09/06/13 21:03:41 f916vQKM
>>74
羽付き羊郷、乙でした。
>睡眠時間が9時間 長く寝すぎて体が動かなかったのか、短すぎたのか……後者なら色んな人に謝れと言わざるを得ない。
きっとドチラかというと文官タイプだったんだよ、この小佐は! とよくわからないフォローをしてみる。
ラウンズ増えとる!? 戦闘に参加されたらヤバいね……「やめてーゼロのライフがストレスでマッハよー」みたいな


78:創る名無しに見る名無し
09/06/14 00:08:10 8hlHyqEp
今回のサーバー故障でログが欲しいとか保管庫で言っていたが
普段からこまめにやっとくべきだよな?
最近のトーマスの怠慢ぶりと保管庫のちょう落は目を追おうものがある
住人として本当に悲しい

79:創る名無しに見る名無し
09/06/14 00:12:51 r32akHXa
すげえ久しぶりにここに来たけど未だに管理人氏に粘着してる奴いんのな。
その根気をもっと別の方向に活かしゃいいのに

80:創る名無しに見る名無し
09/06/14 00:24:43 8hlHyqEp
粘着とは聞こえが悪いな
指導を兼ねた叱咤激励といってくれ
最近はスレに来ないから主にメールだけどな

81:創る名無しに見る名無し
09/06/14 00:35:04 vHXb9RyI
>>74
投下乙
原作とは違い同じ機体で模擬戦は燃えますね!
モニカと戦うにしても同じ機体ならなんとかなるのかな?
貴公の次の投下をお待ちしてます

>>78
ここで言うべきではない
文字にするな
自分がしないくせに人に頼ってるだけなら
赤ん坊にもできる簡単な事だろ?
やってもらってる事に感謝はしても
批判はするべきじゃない
そして何よりこんな話が続くからいなくなった住民もいるんだ

文字にするならそれなりの責任が必要だよく考えろ
他人が嫌な思いをしないようにするのがマナー

それだけ守れ

82:創る名無しに見る名無し
09/06/14 00:47:47 8hlHyqEp
じゃあどこで言えと
住人がいなくなったのは19か20個目のスレが原因だろうが
知らんのか

83:創る名無しに見る名無し
09/06/14 00:49:31 TwrH99Jb
>>82
君の……心の中でさ

84:創る名無しに見る名無し
09/06/14 00:50:11 Yk652+6p
そんなに管理人さんを追い出したいのなら、その後の事を考えてるんだろうね?
例えば変わりに保管庫の管理人をやるとか、新たに保管庫を作って現管理人以上のこと
をするとかさあ。
具体的にスレや保管庫を良くする万人が認めるプランも提示せずただ文句のみなら。
81さんの言うとおり赤ん坊でも出来る事だ。まぁ今までの書き込み見てるかぎり
そんなことが出来るとは到底思えないけどね。


85:創る名無しに見る名無し
09/06/14 00:56:43 8hlHyqEp
>そんなに管理人さんを追い出したいのなら
まずこれが間違っている。トーマスにはこれからも働いてもらうつもりだ。自分で志願したんだから当たり前だけどな。
ずっと前に要望は遠慮なく言ってくれってことだし
不具合はどんどん指摘してやるつもりだ
重ねて言うが追い出すつもりなんてないむしろ逆だ
一言で言うなら愛のムチってやつさ

86:創る名無しに見る名無し
09/06/14 01:01:36 vHXb9RyI
>>82
俺の言いたい事は
投下しにくい雰囲気つくるな
ってことだけ
大体こんな話し合いしてたら投下しにくいだろう?
ss読みたいからここにいるなら投下しにくい雰囲気にするな
それがマナーだ
ってこと
そんな人の文句言っても批判されてまた雰囲気悪くなるんだから
そんな事は他でやってくれ

87:創る名無しに見る名無し
09/06/14 01:02:47 Yk652+6p
じゃあその不具合とやらを書いてみてください。それが納得できる内容なら協力します。
もし、ただの悪口や独りよがりなケチ付けなら。止めてください。判定はここの住人にしてもらい
ましょうね。普段から住人の総意とか言ってるんですから。

88:創る名無しに見る名無し
09/06/14 01:09:17 rJw07Yd2
ここはSSスレです。
文句を言い合うところではありません。
皆さん、ネチケットを守っていきましょう。
それに職人が投下しやすい環境を作り、他の住人に迷惑をかけないのが、ここの住人の最低限のマナーでありルールだと思います。
守れない方は、ss投下か感想以外書き込まないようにしてください。
文句がある方は、別のところなり、自分のプログやHPで好きなだけ愚痴や文句を書いてすっきりしてください。
ここで文句を書き込んだり、メールで非常識なことをしてみたりするのは迷惑なだけです。
以上。


89:創る名無しに見る名無し
09/06/14 01:30:49 TnfrnMW/
「……どうした、ライ? 何か難しい顔をしているが」
ルルーシュが生徒会室でパソコンの前で右肘をつき顎に手を当てていたライにたずねる。
ライの視線の方向、モニタに目をやり原因を究明しようとしながら。
「ああ、実はこれなんだけど……」
ライの指し示す先にはネット上の大型掲示板「ブリタニアちゃんねる」通常「ブちゃん」のとあるスレッドが開かれていた。
「ふむ……少し荒れているな」
ルルーシュの言葉通り荒らしとは言えない、ごく他愛もない書き込みが続いていた。
「気に入らないならスルー、落ち着いた対処を心掛ける、そういうのが出来ていない人が多いと思わないか?」
その言葉に軽く頷き―むしろお前のスルースキルが異常だ、とも思わなくも無かったが―ルルーシュはどう言うべきか思考を走らせた。
「そうだな……人は自分とは違う考えを排斥したい、自分の考えを知って欲しい、と思う生き物だからじゃないか?
 まぁ、たまによく分からない書き込みもあるが」
埋め荒らしとか埋め荒らしとか埋め荒らしとか、と呟きながらルルーシュは話終える。
「……結局の所、見てるだけっていうのが一番だな」
そう言いライはスレの続きを見る、【全力で】オレンジ追求スレその59【見逃した】の続きを。
「……やっぱり最近勢いがおさまりつつあるな」
仲間の評判がマシになりつつあることに安堵しながら。

90:79
09/06/14 01:39:12 r32akHXa
当初は78じゃなくて、56のこと指してたつもりだったけど何やら大事に…
いや、まったくもって申し訳ない、皆さん。火注いだの俺なんで、消えうせます。

91:感想@代理投下
09/06/14 20:59:14 tWmusc4A
>>89
俺の言いたいことをライに代弁してもらえた。
ナイスだ。GJ!

92:テリー"卿@代理投下
09/06/14 21:01:47 tWmusc4A
どうも、続編の投下行きます。
少しのあいだお付き合いお願いします。


「鉄の道」 過去編


完全オリジナルです注意を
カップル ライ×アーニャ(基本)
10レス位です。

93:テリー"卿@代理投下
09/06/14 21:03:56 tWmusc4A
その夢はちょうど3年前の事だっただろうか・・・・


「鉄の道 三章 過去の涙」


ライが機関士になる前の年までライは本社幹部としてその剛腕をフルに発揮していた
そんな中で行われた世代交代でブリタニアは新任の社長シュナイゼル、新体制誕生と同時に新しい列車の建造計画を打ち出した。
新造列車の条件としては
1高速(もしくわ中速)列車
2乗客の大量輸送
3安全なシステム
と言うもので、設計部の技術者は張り切っていたがなかなか上手くはいかず
そのせいか発表から3ヵ月もの間一つも最良案が出てこなかった。
「付けた条件が厳しすぎたかな?」
「そうですね、今旅客数が多いのは一番の難所と言われるイタリア方面のアルプス越え
ですから」
シュナイゼルの問いかけに秘書であるカノンが答える、アルプス山脈を越える路線は
イレギュラーが非常に多く事故が他の路線よりも断然多いし越えるだけでも列車は
かなりのパワーを持つ事が絶対とされる。
「オリエントなどが限界か・・・・あれの後継機がそろそろ欲しいところではありますが」
「しかし看板列車を易々と引退させるわけにもいくまい」
「そうです、創業から今まであの困難な路線を支えてきた“英雄”ですもの、人気も高く
何より伝統が有る!」
「さよう、あれに変わる列車などほぼ無きに等しいでしょう」
会議室にいるブリタニアの重役達はそれぞれの意見を言い出してみるもの中々まとまらず
先行きは暗いように思われていた、策士として名高いシュナイゼルも困り果てているくらいなのだから。
「お困りのようですな、シュナイゼル兄上」
「・・・・ルルーシュ、何かいい策でもあるのかい?」
本社総合統括室室長ルルーシュ、つまりは副社長の立場にある彼はシュナイゼルに負けじ劣らずの策士でかなりの切れ者でもある、会社の経営も彼の功績により大きくなった部分もある。
「無論です、この時をどれだけ待ち望んだ事か!今その設計図をご覧にいれましょう」
得意げに話すルルーシュが宣言すると後ろに率いていた部下が資料の配布と
モニターの準備を進める。

94:テリー"卿@代理投下
09/06/14 21:05:24 tWmusc4A
配布と準備が終わるとルルーシュ以下部下達はモニター横にあるマイクの所に集まると
シュナイゼル達に説明を始めた、まずルルーシュが切りだす。
「これをご覧ください、重役の皆様がた」
そこに映し出された列車の外見はあの夢の超特急と言われた新幹線“0系ひかり“に似ていたがどちらかと言えばアメリカのペンシルバニア鉄道(PRR)で最も有名な電気機関車「GG-1」と、寝台客車列車「ブロードウェイ リミテッド」に近い形だろう。
「最高時速250km、最大牽引可能車数じつに30両、万席時では200人もの乗客
を運ぶことが出来その際の最高速度も150は軽く行くほどの馬力を兼ね揃えた機関車」
ルルーシュがそう説明すると重役達もさすがにざわつきだす。
「アルプスをそんな重量で引っ張れるのかね?」
在席している重役の一人が質問すると
「御心配には及びません、その為のテストも行った結果出た数字です」
そう説明するのはルルーシュの右腕と称される男、枢木スザクは自信を持ってそう答える。
「客車の豪華さもかつてないレベルにまで跳ね上がらせる事も出来ています!二階建て式の客車を採用したため乗車率も向上する事ができました」
左腕と称される紅月カレンが説明、スザクと合わせて“紅白の騎士”なんて呼ばれたりもしている。
「実際にこちらもテスト済みであり、すでに試作の車両を開発済みです。今現在
中央車両基地に保管されています」
ルルーシュの秘書を務めているシャーリー・フェネットは付け足しと言う形で発言するとその親玉であるルルーシュが
「この事による経済効果も絶大な数字を吐き出すと確信します、わが社の収益も今の
状態よりも20%増加する事が可能でしょう」
もしこれが実現すれば会社にとっても大きなプラスになる、しかし重役がここで
待ったをかける。
「しかしルルーシュ副社長、生産コストはどうなのですか?かなりかかるのでは?」
「その点については心配ご無用、機関車を含め総ての車両にアルミを大量に使用いたしますのでコストは削減できましょう」
と答えるとそれを裏ずける資料を見せる、さらにこのプロジェクトに参加した
ルルーシュの部下である妹のユーフェミアが
「さらに最高速度の状態でも安全に走行出来るよう、線路に電磁波を流し続けそれを
センサー変わりとします。もし線路上に何か障害物が有ればそれを10km手前で
機関車に備えてありますコンピュータが認識し自動ブレーキをかける仕組みとなっております」
「つまり、急ブレーキの必要はもういらないと言う事です!」
ユフィの説明の後にスザクが付け足す、その後も色々な質問やら説明やらでたっぷり2時間近くはすぎた。

95:テリー"卿@代理投下
09/06/14 21:06:49 tWmusc4A
ここで新型の列車の利点をまとめると次のとうり
1つ、時速200kmを超える高速
2つ、乗車可能客数は従来の約2倍
3つ、基準値の倍以上のアルミを使用
4つ、ドアの開閉や運転等全てコンピューター任せ、運転士不必要
5つ、10km先の危険を感知できるセンサー搭載によるブレーキシステム
6つ、徹底的な人員削減による人件費減
7つ、急ブレーキの不要による快適な運転
が主にあげられる
「以上の点を踏まえましても、この列車が極めて安全である事が解るかと思います。
そしてこの列車最大の特徴は運行管理も制御もすべてコンピュータが全自動で行う
と言うすぐれものである事です」
スザクが最後の締めを言うと重役からは質問が飛び交う
「コンピュータによる全自動ですか、何か不安なところが有りそうな感じを受けるのですが」
「御心配には及びませんミスターゴードン、すでにあらゆる状況下でのテストも想定して実証済みです、このデータのとうりに」
「・・・・・・・・・・」
このルルーシュの最後の言葉を含めた一連の説明をうけたシュナイゼルは一人沈黙を
貫いていた。
「兄上、いかがでしょう?直にでも採用の価値が有るかと思いますが」
「ルルーシュ、一つ聞かせてくれないかい・・・・君は列車とは何だと思う?何が一番
必要だと感じる?」
シュナイゼルの問いかけにルルーシュはこう答える


「速さ、快適さが必要でありそれ以外など不要でしょう、ただたんに人や物を運び
利益を生む道具こそが鉄道です。余分なものも極力は省くのも大切でしょう?そうでなければ利益など得られない、要らない機関士などいても変わりはありませんから」


「・・・・そうか、説明御苦労。後の査定を待て」


96:テリー"卿@代理投下
09/06/14 21:09:17 tWmusc4A
シュナイゼルの指示にルルーシュ達は礼し会議室を後にする。
「・・・・社長、先の計画案が一番いいと思われますが」
「私もそう思います・・・・しかし」
「危険ですね・・・・何か嫌な感じを覚えます」
「前線の兵士の命を考えない指揮官も様に思えますな・・・・」
口々に発言する重役達の顔はどれもこれも険しい顔しかしていなかった、重役の全員は
機関士や車掌、駅員を経て就任した者ばかり。
「皆も解ってくれ、ルルーシュはそう言うのを経験しないで今の任に付いている
現場の気持ちなど理解できないでいる・・・・」
シュナイゼルはルルーシュをかばうがやはり解せない部分が有るのか、晴れやかでは無い気持ちだ。
「ではどうするのです?」
「エレン、仕方あるまい。あれ以上の発案は無さそうだからな・・・・カノン
すぐにでも通達を頼む」
「心中お察しいたしますシュナイゼル社長、かしこまりました」
決定したは良いものの、会議室の空気は重いままであった・・・・


翌日、全社に通達が出されすぐに車両の製作がスタートしようとした、が・・・・
その計画に反対する者が出ていた。
「断固認められない!!コンピュータの全自動なんて信頼のかけらも無い!!」
ルルーシュのデスクをバン!!と叩きアーニャが猛抗議する、それに続き
「貴様気でも狂ったか!?利益を優先させ過ぎるとロクな事がないんだぞ!!
そもそもテスト環境が晴天下のみとは手抜きにもほどが有る!!」
とC.Cが怒鳴り
「車両の耐性も低すぎるぞ!!脱線でもしたら通常の車両よりもメチャメチャで生存率なんて微々たるものだ!!」
ノネットも鬼の形相に近い表情をして詰め寄り
「あなたは現場の気持ちを考えた事は有るの!?これじゃあ経営理念も何も完全に
無視じゃない!!」
ミレイもかなりの大声で詰め寄り
「ルルーシュ殿の策には賛同しかねます!!安全を考慮に入れないでどうします!?」
アーニャ達より勢いは抑えているが明らかに不満の表情のジェレミアではあるが実はここにいる4人だけでなく今回の計画に反対の者は多くこの4人は全員を代表して詰め寄っている。

97:テリー"卿@代理投下
09/06/14 21:10:59 tWmusc4A
「何を言うの?この計画はすでにシュナイゼル社長の了承を得た正式な計画なのよ?
計画の中止なんて認められないし変更、改良の必要も無いわ」
落ち着き払った態度で答えるカレンにアーニャが
「改良なんてあり過ぎる!!こんなの欠陥だらけで目も当てられない位!!」
噛みつくとスザクが
「アーニャ、それならどんな所が改良すべきだと言うんだ!?」
聞き返すとすかさずノネットとミレイが言い返す。
「そんな事も解ってないのかお前たちは!?ドアの開閉も運転操作も何もかも
コンピュータ任せでは緊急時の時にはどうするつもりだ!?」
「これが高速列車TGV用の線路ならまだ良かったでしょうけど一般の路線なら何が起こるかもわからない、そんな中でこの安全性は低すぎる!!非常ブレーキも無い手動操作も出来ないじゃあイレギュラーに対応できない!!」


「黙らないか!!」


と一閃、ルルーシュが言うと部屋はしんと静まり返った。
「お前達のほうが解っていないな、すべての条件はクリアされていると言うのに
何を喚く必要が有ると言うのだ?」
何を言う!!と言わんばかりの呆れた表情の4人に嘲笑うかのごとくルルーシュは
言葉を続ける。
「ふ、甘いな。現場の意見よりもデータの方が信頼が有るのが解っていない様だ。
計画の変更は無い、以上だ!!」
悔しさをにじませてルルーシュの部屋を後にするアーニャ達の後姿をいいきみと言わんばかりの視線でルルーシュ、スザク、カレン、シャーリーは見る。
「ねえルル、今後もこんな事になるなら見せしめが必要なんじゃない?」
とんでもない事を言うシャーリーにルルーシュはニンマリと
「ふむ、いい考えだ。しかしまだ早い」
「全てを奪うまではって事?」
カレンもニヤリと薄ら笑いを浮かべ問いかける
「ああ、あいつにはこの本社から消えてもらわなければならないからな」
と不敵に笑うルルーシュにカレン、スザク、シャーリーが不気味な空気をかもしだしている。

98:テリー"卿@代理投下
09/06/14 21:12:12 tWmusc4A
翌日、本社内に出された通知は誰もが目を疑う内容の通知だった。



以下の者を解雇処分とす
  技術・運転部門所属 重役 アーニャ・アールストレイム
  同部門       重役 C.C
同部門       重役 ノネット・エニアグラム
  同部門       重役 ミレイ・アッシュフォード
  同部門       重役 ジェレミア・ゴットバルト
以下同部門社員10000名



技術・運転部門とはこのブリタニア経営の核となる運転士、車掌及び車両開発など最前線で働く部門である。
この通知の意味するものは社員の大量解雇、見方を変えればリストラともとれるがここにあげられる人物には今回の計画に反対していると言う共通点があった。
「君は会社を潰すつもりか!?」
「経営方針にのっとった正当な判断だ」
さも当たり前と言わんばかりの態度のルルーシュ
「ふざけるな!!だたの見せしめの為じゃないか、こんな事が許されるはずがない!!」
「見せしめ?何の根拠が有る?証拠でも有るのかライ」
技術・運転部門統括部長であるライは自分の部下の大量解雇を許すわけにはいかない。
「ルルーシュ・・・・貴様」
奥歯を噛みしめ必死に冷静さを保とうとするライ
「それもこれもライ、貴方の監督不届きが原因なのよ。貴方がしっかりと部下の管理を
していればこんな事にはならなかったんだから」
人を上から見下ろす様なカレンの発言
「何を言う!?技術部の意見も何も聞かず、あまつさえ勝手に推し進めた計画に対して
反対を言うのは当たり前だろう!!」
反論するライの声には凄まじい怒りが込められているも彼等には届かない。
「ライ、この計画はシュナイゼル社長がOKを出したんだ。その中での反論だなんて
許されるわけがないだろ?」
キッとスザクを睨むも動じないスザクはライに冷たい目を向ける。

99:創る名無しに見る名無し
09/06/14 21:14:17 tWmusc4A
「それでライ、君に取引が有るの。まぁ呑むしかないでしょうけどね」
しれっと言うシャーリーにルルーシュが続く
「もし部下の解雇を取り消したくばお前の持つ権限と現在の地位、その他会社に関する
全てをよこしてもらおうか?」
その驚愕な要求にさらに怒りがこみ上げてくるライの心は破裂しそうなほどだった。
(最初からこれが狙いか!?僕をとうざける事でさらに自分の力を確かにするために)
副社長の立場はこの会社内では意外と弱い、現場重視の経営方針を貫き通し此処まで来ている、そのためライが付いている統括部長が実質的なNo2なのだ。
ルルーシュはずっとこの地位を狙っていたが中々お呼びがかからずそれをライに取られたと言うから後が悪い、その座を奪わんと色々画策や探りを入れていたが隙のない
ライにお手上げだった。
(けど・・・・いったい何がルルーシュ達をこうさせたんだろう?大学時代はこんなのじゃなかったのに)
権力の魔力か・・・・高みの味を知り抜けられなくなったのか・・・・ライには知る由が無い。
大学時代、同じサークルだったライ、ルルーシュ、スザク、カレン、シャーリー
アーニャ、C.C達の中の良さは有名であったほどだったと言うのに今はこのとうり
大きな溝が出来てしまっている。
「黙っているようだが、答えはどうなんだ?」
ルルーシュが急かす様に問いかける、ライはその重い口を開け答える・・・・
「・・・・・解った、その提案を受け入れよう。ただし!!あと一回だけ権限を使わせてもらう、それを受け入れてくれるのなら」
「まぁいいだろう、承認しよう。ライ、お前は機関士として働いてもらう。
要は降格処分だ、いいな?」
「ああ、だがこれだけは覚えておいてくれルルーシュ。何時か必ず君は後悔する事になるだろうこの計画の中での最大の見落としの為に起こる事に」
そう言い放ったライは契約書にサインすると部屋を後にした、その背中は悲しみを奏でているかのように暗く沈み、それを表現するかの様にライの頬には一筋の涙が伝うのだった。


「・・・・・またあの時の夢か」
目を覚ましたライは揺れる天井をみて呟いた。
あの次の日、社内に解雇の取り消しと人事移動の通達がなされ事態は収束したが
アーニャ達は心に深い憎しみを内に抱える事となった、でもこれ以上何か事を起こしてはライに迷惑がかかると黙っているしかなかった・・・・。

100:創る名無しに見る名無し
09/06/14 21:14:37 vHXb9RyI
支援

101:テリー"卿@代理投下
09/06/14 21:15:18 tWmusc4A
ライ本人はその後、変りはて、もはや友人とさえ見られなくなったルルーシュや
スザク達との決別に深く傷ついていたがC.Cやノネット、ライを慕う大勢の部下達
の励ましとアーニャの優しさで立ち直る事は出来たもののこの時の事を夢に見るようになってしまったのだ、その度にライは涙を流している・・・・
(・・・・・今は夜中の0時か、バーにでも行ってみるかな)
暗くなった気持ちを吹き飛ばす為にライは8号車に向かった。


カランとウイスキーと氷の入ったグラスを回しながら考え込んでいるミレイと
ワイングラスを切なげな顔で見つめるノネット、カクテル独特の細いグラスを
ちょんと溜息をつきながら悲しみの表情でこつくC.Cの3人は並んでシンミリと
していた、その空気に耐えかねたルキアーノはグラスを拭きながら尋ねる。
「3人らしくも無いな、そんなにシンミリと」
「それはそうなるわよ、せっかくいい気分でいた所にあいつの事を聞かされちゃそうなるわよ」
片腕をひじ掛けに膨れっ面になったミレイが不満を漏らすに従い
「あれから2年間、仕事としては充実しているがあの時の憎しみは消えずにいる」
ワインを口に含み自らの心の内を曝け出すノネットに賛同するように
「それがもうお披露目の時期にきてしまった、あの時を思い出させおってからに」
自らの中にある憎しみを押し殺すように唇を噛むC.C。
「お前ら・・・・」
「お揃いでしたか皆さん」
何と言っていいやら解らずにいたルキアーノの所に現れたライをみて3人の表情にも
ほんの少しだけではあるが笑顔がこぼれた。
「ようライ、十分に休まったのか?」
「おかげさまで。ルキアーノさん、バーボンをロックで」
「よしきた」
ライはC.Cとノネットの間の席に腰掛ける
「よく眠ってたな、中々可愛い寝顔だったぞ?なぁ2人とも」
頷く2人はとても満足そう、それに溜息を漏らすのは誰であろうルキアーノさん
「そ、そうですか?それよりもここに来た時空気が重かった気がするんですけど何かあったんですか?」
「そ、それは・・・・」
ミレイが口ごもるとライはその意味を瞬時に悟った。
「ゼロですか・・・・確か今日がお披露目でしたよね・・・・」
「知っていたのか?」

102:テリー"卿@代理投下
09/06/14 21:16:38 tWmusc4A
「当たり前だよC.C、嫌でも覚えてるさ・・・・あの時は忘れようとも忘れられないから」
友情を何よりも大切にするライにとって最大の悪夢に等しかった出来事を簡単に忘れるなどできはしない・・・・。
「ごめんなさいライ、あの時あたし達があんな事しなければ今頃は出世街道ばく進
だったのに・・・・」
沈黙を破ったのはミレイの心からの謝罪だった。
「そんなミレイさん、謝る必要なんて――」
「そんな事はない、私達がいらぬ事をしたばっかりにこんな事になってしまったんだ
責任は私達にある」
ノネットは悔しさを押し殺すように言うも手に持っているグラスは小刻みに震えている。
「例え抗議に行かなくても僕は行ってましたよ、だから謝る事なんてないんです」
「しかしよくオリエントや他の急行廃止を止める事が出来たな?」
「シュナイゼル社長にイタリア方面の路線に関する総ての権限を渡したんです」
C.Cの問いに答えるライは顔をしかめる、あのサインをしてから何日かした時に聞いた
噂でルルーシュ達はイタリアに向かう全ての急行の即時廃止を打ち出したのだ。
「それぞれの急行や特急が上げた巨額な収益の何パーセントかわ発案者が頂けるからな
ルルーシュのやつはそれが狙いだったのかもしれねぇ」
ルキアーノは冷静な態度で自分の考えを述べる、いついかなる時でもクールにがモットー
の彼だからこその姿勢だった。
「それにもしこれが通っていたら何百という職員が消えていた事になったからな」
「ノネット、それ本当の話?」
「ああ、話によると運行のみならずそれに関わった技術者にいたる全てだったそうだ」
ミレイの質問に答えるノネットは情報網が多くこういった情報はすぐ入って来る。
「ルルーシュめ、何を考えているのか・・・・」
「C.C、それに皆さんももういいじゃないですか。例えどんな事になろうとも
更なる地獄は避けられませんでしたよ僕の犠牲なしにはね、それに――」
そこで一旦言葉を切り、淡く波打つバーボンを眺め
「僕は機関士になった事を後悔はしていません、皆とこうして一緒に仕事が出来るし
同じ時間をすごす事が出来るんですから」
静かに、そして優しく言うライの言葉は3人の心を優しく照らす。
「ふっ、まさかお前に励まされるとは思わなかったぞ」
「いいじゃないか、ライは優しすぎるんだから」
「だがそれがキズ物であるんだぞ?今までどれだけのフラグをこいつが建てて来た事か」
いつもの調子に戻ったC.Cとノネットの会話に?となるのは朴念仁のライであった。
「いよっしゃ!皆元気になったところで、このミレイさんが一曲歌いますか!!」
「あ、僕が歌いますよ。ちょうど一曲歌いたいのが有りましたし」
ライはカラオケボックスの前まで行き曲を入力し歌い始める。


103:テリー"卿@代理投下
09/06/14 22:01:35 tWmusc4A


その歌声に反応してか、さっきまで吹雪だった外が嘘のように穏やかになっていったのだ


「あ、吹雪が止んだ」
「本当だな、まるで誰かの心を表しているかのようだな」
この現象に機関車でコーヒーを飲むアーニャとジェレミアは自然と笑顔になる。
「・・・・・・ライ」
目を細めて呟くアーニャは愛しい人を想いながら夜空を見上げる。
「心の底から愛しているのだなアーニャ」
「もちろん、私の全部をあげたいと思える人だから」
首にかかっている銀色をした猫の形をしたロケットを取り出しライの写真を愛おし様に
見つめるアーニャをジェレミアは娘を見守る父親の様に見るのであった。



TO BE CONTENYU


104:テリー"卿@代理投下
09/06/14 22:03:13 tWmusc4A
以上で3話過去編終了!あえて王道?と言われるライカレを嫌なムードにしてみました。
名前テリーからパラレルに変えようかな?この後書きたいと思ってるのも
全部パラレル物なんですよね・・・・ギアス関係ないのってやっぱり
マズイでしょうか?皆さんはどう思われます?
ライが歌う曲は皆様がライにぴったりだと思う曲を聴きながらをお勧めします。
ちなみに自分はEXILの「someday」や主にラブソング系ですけど、皆さんはどんな曲でしょうか?
うーーーん、過去はどうも上手く書けませんね・・・・解りずらかったかと思います。
ご指摘、感想待ってます。
では失礼いたします。

代理投下ありがとうございます、これからも迷惑かけますがお願いします。

105:創る名無しに見る名無し
09/06/14 23:10:42 8hlHyqEp
このスレでライカレは多数派だ
だがそれを否定するような作品だってあってもいいと思うのよ
まあ一言で言うならGJってやつです

106:創る名無しに見る名無し
09/06/14 23:15:03 LRb64bAV
正直多数派とかそういう言い方は好きでない
だからこういう作品を読むとスカッとするというか、新鮮で楽しい
まあつまりはやっぱりGJってことです

107:創る名無しに見る名無し
09/06/14 23:21:08 4Q593ne9
>>104
大変面白かったです。
テリーさんらしさがすごく出ています。
それに挑戦的だwww
すごいと思う。
後、パラレルでも問題ないんじゃないでしょうか。
これはこれで、すごく味があると思います。
歌の部分は、うまいですね。
こういうやり方は、誰も文句出ないと思います。
私だったら、洋楽のロックになりそうな気がします。
ジャーニーのバラードとかいいかもとか思いました。
GJです。
次回も規制がかかって大変だとは思いますが、全力でお待ちしております。

なお、気が付いた点を
・段落が中途半端に切れているので読みにくい。
・点や丸が抜けている箇所が多い。
誤字、脱字と思われる部分
96 >>シュナイゼルの指示にルルーシュ達は礼し会議室を後にする。→敬礼し会議室を後にする。
気が付いたのは、以上です。
もっとチェックすれば、もっともっと読みやすく、いいものになると思います。
がんばってください。

108:創る名無しに見る名無し
09/06/14 23:31:09 TnfrnMW/
>>104代理投下乙です。
とりあえずまず一言
>TO BE CONTENYU   CONTINUEですよ。
そして >剛腕をフルに発揮 会社で剛腕発揮する機会はなかなかないかと。 発揮するのは手腕です。
あと、随所に見られる「とうり」というのは多分「とおり」ですよ。
個人的にワードとかに文章つっこむことをオススメします。 誤用とかある程度分かります。

世界がパラレルなのは正直、何でもありなのか? と思ったりもしますが、まぁ、これは好みの問題ですね。
というか公式である意味パラレルとかやってるし。
・設定がしっかりしている
・読みやすい文章
この二つがあれば基本大丈夫かと。


109:創る名無しに見る名無し
09/06/15 00:53:16 zclS0mWl
「重役」なんて役職は存在しない
パラレルを書くならしっかり調べてから書いたほうがいい

110:POPPO@代理投下
09/06/15 02:47:03 J1ThsHyP
以下、代理投下行きます

・・・・・・・・・
お久しぶりです。
POPPOです。一か月ぶりでしょうか?
代理投下をお願いします。
人が少なくなってきたこのスレに再び活気が蘇ることを切に願ってこのSSを投下したいと思います。
コードギアス LOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」

TURN03 「ナイト オブ ラウンズ」

それではいきます。


111:POPPO@代理投下
09/06/15 02:48:46 J1ThsHyP
日が沈み、中華連邦総領事館の広場は暗闇に包まれていた。そして、黒の騎士団の団員達も混乱の境地に陥っていた。困惑が支配する中、ゼロは姿を現した。
団員達の話声は止み、彼らの視線はゼロへと集まっていった。壇上にはゼロを中心に、左右には扇と藤堂が肩を並べていた。団員達の最前列にいた四聖剣の一人、千葉は言葉を紡いだ。
「ゼロ、とりあえず今回のことは感謝する…一年前のことも含めてな」
「…ああ。あの離脱はEU亡命の脱出ルートを確保するためじゃったと聞いた。二〇一七事件は仕組まれた戦争だった…最初から負け戦だと知っておったのじゃな?」
『君たちが何を思おうが構わない。私はただ、ブリタニアに勝つためにやっただけだ』
ゼロは何の謝罪もなく言い放った。その言葉に千葉がゼロに迫ろうとしたが、彼女の肩を朝比奈が掴んだ。
「朝比奈!何故止める!?」
千葉は彼の方に振り返って叫んだが、彼女は息をのんだ。朝比奈はゼロに対する明確な敵意を向けていた。そして、彼も口を開いた。
「……ライ君は、どうして君を裏切ったんだい?」
朝比奈は、団員達を困惑に陥れた驚愕の事実を、ゼロに重い口調で問いただした。他の幹部たちもせきを切ったように声を上げはじめた。その中で、一際大きな叫び声が団員達に響いた。
壱番隊の副隊長だった杉山は叫んだ。
「答えろ!ゼロ!ライはっ、なんでブリタニアなんかに味方してるんだっ!あいつが…あいつが俺たちを裏切るなんてあり得無い!」
「おいっ!なんとか言えよ!ゼロ!」
「そうだ!俺たちが納得のいく説明をしろぉ!!」」
彼らの声は益々大きくなっていく。ゼロの隣にいた藤堂も、ゼロに鋭い視線を向けながらゼロに声をかけた。
「……ゼロ。私も聞きたい。彼は…ライ君は、なぜ、ブリタニアの騎士に、それも帝国最強の騎士、ナイトオブラウンズになったのだ?」
「…まさか、ライがブリタニアのスパイだった、なんてことは…ない、よな?…ははは、カレンを裏切るなんてこと、彼がするはず……っ!」
扇は下に俯き、身を震わせていた。カレンの心情を考え、身が引き裂かれるような思いを味わっているのだろう。彼は唇を強くかみしめた。
『詳しい事情は話せない。だが、これだけは言っておく』

『ライは、敵だ』

ゼロの言葉に、団員達は息を呑んだ。動揺する団員達を見ながら、ゼロは拳を握り締めた。
その姿を見た団員たちもゼロの心情を察し、ゼロにそれ以上追及しなかった。
仮面の下にいる男、ルルーシュ・ランペルージは激しい激怒に身を焦がしていた。
(シャルル…お前は、ナナリーだけではなく、ライまで俺から奪ったのか!!くそっ!何が敵だ!ライは俺の仲間であり、親友だ!)
ルルーシュは全身が凍えるような罪の意識を感じていた。
それもそのはず、ギアスのことを説明できず、黒の騎士団の困惑を鎮めるためとは言え、親友であるライを『敵』と口にするのは身を引き裂かれる思いをしていた。
彼の心に宿った復讐の炎は、より激しさを増す。
(…いずれ、取り戻してみせる。待っていろ。シャルル…)


112:POPPO@代理投下
09/06/15 02:49:50 J1ThsHyP
中華連邦領事館の一室で、大きなベッドに横になっているカレンにC.C.が付き添っていた。
カレンの瞳に力はなく上半身を起したまま、頭を項垂れていた。重い空気が漂うなか、C.C.はカレンに声をかけた。
「薬は飲んだか?」
「…ええ」
活発な彼女からは想像できないほど弱々しい返事だった。
カレンはC.C.と目を合わせない。C.C.はカレンから目を離し、窓に映る夜景に視線を向けていた。月が見えない夜を、ただ見つめていた。幾ばくか時間が経ち、今度はカレンから話を切り出した。
「…ねえ、C.C.」
「…ん?どうした」
C.C.は微笑みながらカレンを見た。だが、カレンはうつむいたまま、視線を合わせない。
「C.C.…私、これからどうすればいいの?」
C.C.は答えなかった。ただ、無言でC.C.は椅子に座ったままカレンを見つめ続けた。
「私は…ライを探すために、黒の騎士団にいる……そして、EUで戦った、あの青いランスロットが…」
「…リリーシャが想定していた、最悪のケースだったな」
その言葉にカレンは両腕を握り締め、体を震わせ始めた。唇も震えだし、C.C.は彼女の異変を察知し、テーブルにあるバッグの中身を見た。そして、ゴミ箱の中身が目に入り、C.C.は驚いた。
「…お前、一日に一体何錠飲んでっ…!」

その時、自動扉が開き、制服姿のリリーシャが部屋に入ってきた。足音が響き、マントを靡かせながらC.C.たちに近づいた。
「カレンさん。具合はどう?」
リリーシャはバッグを担いだまま、カレンに歩み寄った。そして、両手でカレンの手を取った。彼女はカレンに微笑んだが、反対にカレンの表情は険しくなった。突然、カレンの手に力が篭った。
「返してよ…」
カレンの声は震えていた。そして、冷たく、殺気が込められた口調で。
「貴女が、特区日本を…壊さなければ、私はライと…ずっと一緒に、いられたのに…」
彼女はナイトメアのエースパイロットであり、身体能力は平均男性より遙かに上回っている。握力も他の女性とは比較にならないほど強い。その握力で握られたリリーシャは表情を歪めた。
だが、リリーシャはカレンから手を離す事もなく、カレンから目を離さなかった。カレンは一方の手でリリーシャの制服をつかみ、零れおちる涙も拭わずに叫んだ。
「返してよ…ライを返してよぉ!」
リリーシャの隣にいたC.C.は、カレンがリリーシャに暴行を加える気配を感じ取り、カレンの肩を強引に掴んだが、リリーシャはそれを視線で制した。
「カレン!」
リリーシャはカレンの背中に手をまわした。腕に力を入れて、彼女を安心させるために強く抱きしめた。
「返してよぉ…」
体の震えを止めたカレンは、ゆっくりと瞼を閉じていく。リリーシャはカレンの赤い髪を撫でながらも、眠りについた彼女を抱きしめたままだった。
「カレンさん…ごめんね。ごめんなさい…」
C.C.はカレンの赤色のバックから緑色のケースを取り出し、テーブルの上に置いた。その中には数錠の白いカプセルが入っていた。
「カレンは薬なしでは眠られない体になっている。だが、この睡眠薬も限界だ…」
リリーシャはカレンの体をベッドに横たえさせた。彼女の目元にある涙の跡をそっと拭った。ようやく睡眠薬の効果が効いてきたらしい。
緊張で張り詰めていた表情が徐々に消えていく。リリーシャは毛布をかけた。
「リリーシャ…お前はこれからどうする?私との契約は果たした。だからといってギアスが無くなるわけではないが…お前が黒の騎士団にいる理由は…」
「あるわ」
C.C.の声を、リリーシャは強い口調で遮った。
バッグを肩に掛け直し、意思が宿った琥珀色の瞳が、魔女を射抜いた。
「ライ先輩を取り戻す…これは、私とカレンさんとの、契約だから」
C.C.はリリーシャにそれ以上、何も言わなかった。


113:POPPO@代理投下
09/06/15 02:52:04 J1ThsHyP
コードギアス LOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」

TURN03 「ナイト オブ ラウンズ」




2機のナイトメアフレームの剣が交差する。
一機はナイトオブワンのナイトメア、『ギャラハット』のエクスカリバーであり、もう一機はナイトオブツー、ライ・アッシュフォードが駆る専用機、ランスロット・クラブ・イスカンダルが持つ「黄金の剣」だった。
出力が拮抗し、白い粉塵が一瞬遅れて舞い上がった。
その時、大きな笛の音ともに御前試合終了の合図が鳴った。スピーカーから低い大声が聞こえた。
『そこまでっ!』
『双方、剣を収めよ!只今の勝負、2対2の引き分けとなる!』
周囲から歓声が上がった。
コクピットから降り立ち、ビルマスクと握手を交わすライを、名のある貴族たちは強化ガラスの向こうから見ていた。背もたれの高い椅子に深く腰掛け、使用人からワインの入ったグラスを受け取っていた。
「おおっ、ナイトオブワンと互角とは…」
「武術だけではなく、政治の腕も長けているようで…あのシュナイゼル殿下と並ぶ腕前と聞きますぞ?」
「いやはや…陛下のお目にかなうだけのことはありますな」
「ふん!平民風情が出しゃばりおって…」
また、一方の貴族の令嬢たちはライを見ながら、心を躍らせていた。いくら身分が高いと言えど、所詮は話が好きな少女たちだ。純粋に強く、聡明で美しい人間に心惹かれるのは当然である。
「きゃーっ!あれがライ様よ。女の子のような綺麗な顔立ち。9つの国家を征服した軍人とは、とても思えないわぁ」
「ラウンズ最強、とも名高いって噂よ。あの若さでヴァルトシュタイン卿と肩を並べる実力だなんて…」
「はぁ…ライ様、なんて素敵な殿方なのかしら」

114:POPPO@代理投下
09/06/15 02:53:21 J1ThsHyP
皇帝陛下が御前試合を見物する中央のフロアの真下に、強化ガラスを使用したマジックミラーで覆われている席があった。
飾り立てられた12の椅子があり、ガラス張りの観覧鏡の上下には先ほどの戦いがあらゆる角度でリピートされていた。
その中には帝国最強の騎士、ナイトオブラウンズの面々が異なる色のマントを羽織い、先ほどの決闘を観察していた。
12人の席と一人一人に仕える使用人がいるのだが、誰一人として席に座っていない。ラウンズたちは皆、席を立ち、食い入るように見入っていた。
それもそのはず、両者とも帝国の頂点に立つナイトオブラウンズの中でも最強と言われる騎士の頂上決戦なのだ。
戦いを好み、直の殺し合いに身を投じてきた者にとってはこれほど胸を高鳴らせる試合は他には無いだろう。模擬戦と言えど、ナイトメアの戦いは真剣そのものだ。
電子音が鳴る。小型のデジタルカメラにライの笑顔が写っていた。
ピンク色のマントを羽織う帝国最強の騎士の一人、ナイトオブシックス、アーニャ・アールストレイムはデジタルカメラを操る手を止めた。
他のラウンズと比べて露出度の高い服を着ている桃色の髪の少女は不満げな顔で、黄色い声を上げている女性たちを見ながら呟いた。
「……あいつら、うるさい」
緑色のマントに身を包む長身の青年、ナイトオブスリー、ジノ・ヴァインベルグは彼女の言葉に苦笑を漏らす。
「おいおい…貴族の令嬢に向かってそれは無いだろ。アーニャ」
反対側と真上から映し出されているモニターを交互に見ながら、ナイトオブナイン、ノネット・エニアグラムは、両腕を組んで思案する褐色肌の女傑、ナイトオブフォー、ドロテア・エルスントに声をかけた。
「…ライに可変ハドロンブラスターを持たせてたらどうだったかな?なぁ、ドロテア」
「ビスマルクの勝ちだ……とは、断言できないな」
彼女たちの年齢は比較的に近いが、性格は正反対である。ノネットは融通が利くお調子者に入るが、ドロテアは融通が利かない真面目な軍人だ。
水色のマントを羽織る彼女は冗談など口にしない性格である。ゆえに、彼女がノネットの話に答えた意見は彼女の本心そのものだった。
ラウンズのメンバーがライの実力を目の当たりにし、競争心を燃やす視線、または好奇の視線を送る中、ナイトオブセブンの枢木スザクは、彼らとはまた違った感情を込めた眼差しで見据えていた。
嫉妬でも、競争心から来る感情でもない。相手を冷静に分析し、彼の一挙一動から何かを探るような視線、そう、敵と対峙したときに見せる敵意に近かった。
スザクの纏う雰囲気を敏感に感じ取った金髪の青年は、彼に陽気な声で話しかけた。頭一つ高い体をのしかけて、甘えるような態度で肩をスザクの頭に乗せた。
「スザクー。どうしたんだよ?そんな怖い顔して」
スザクは瞬時に表情を変え、まだ強張っている部分があるものの、年齢相応の柔和な表情をつくった。
「ん…いや、ライはまた腕を上げたな、と思って…」
桃色の髪の少女は携帯を操作する手を止めて、スザクを細い視線で見つめた。アーニャはスザクが時折ライに向ける表情が嫌いだった。
アーニャの横で手すりに寄りかかりながら、足元の近くにあるモニターを見つめる女性が呟いた。そこには真上から映された御前試合が流されていた。彼女が羽織る黄緑色のマントが揺れる。
「…そうねぇ。フロートユニットの導入でナイトメアも大きく様変わりしてるし、もっと訓練に身を入れなきゃね」
「あははっ。モニカさん。模擬戦なら私がお相手しますよ?もちろん、今夜のパーティーのエスコートも」
「うふふっ。あと3年たったらお相手してあげるわ♪」
「ありゃ…それは残念」
誘いを失敗したジノを見て、スザクは苦笑の表情をつくった。ジノは少しも気にしていないのか、辺りを見回してナイトオブトゥエルブ、モニカ・クルシェフスキーに違う話題を振った。


115:POPPO@代理投下
09/06/15 02:54:22 J1ThsHyP
「うん?そういや、ブラッドリー卿はどうした?」
「血が騒ぐって…」
モニカはそう言うと、黒のグローブを付けた手の親指で、ガラス越しに見えているコロッセウムを指した。
それに皆は彼女の意図することに気づいた。その建物はラウンズとその直属部隊、そしてロイヤルガードだけが使用できるトレーニングルームが設備されている場所だった。
白い自動扉が開き、一人の兵士が赤い絨毯で覆われているこの部屋で、膝を折った。
「ナイトオブラウンズ様。食事の席が用意されております。先ほど、ナイトオブファイブ様とナイトオブイレブン様は前線に戻るとのことで、欠席されました」
「…さっきの戦い当てられたのが、3人ってとこか」
ジノが指す人々は、ナイトオブファイブとナイトオブイレブン、そしてナイトオブテンの3人の騎士である。
「4人だよ。ジノ」
ノネット・エニアグラムは唐突につぶやいた。ジノ・ヴァインベルグは呆けた声を出してしまった。
「へ?」
「私の『ヴァンガード』と、ライの『イスカンダル』…どちらが強いか試してみたくなった」
顎に手を当て、口を歪にしながら、ノネットはモニターに映されている先ほどのランスロット・クラブ・イスカンダルの動きをじっくりと観察していた。
彼女の表情を見たモニカ・クルシェフスキーは小さくため息をついた。
「…あらあら」
「物好きな奴らだ。私は先に行ってるぞ」
ふん、と鼻を鳴らせた後、ドロテアは不敵な笑みを浮かべた。そのまま水色のマントを靡かせて、ドロテア・エルスントは膝を返し、純白の観覧席から出て行った。 
ドロテアが通り過ぎる時、モニカは彼女の横顔から隠しきれない闘争心を見抜いた。
モニカは皆の予想通りの反応に、今度は大きなため息をついた。彼女とて、ナイトオブワンとの接戦を見せつけられ、戦士としての闘争本能が駆り立てられなかったわけではない。むしろ逆だ。
彼女のノネットや他のラウンズ達と同様に、心にともった火は今だに燻っている。
だが、彼女にはそれよりも気になることがあった。モニカは膝を折ったまま仕えている兵士に声をかけた。
「ねえ、控室は空いてるかしら?」
彼女の声に、アーニャが携帯の画面から目を離して反応した。彼女にしては珍しく、瞳には多少の驚きが浮かんでいた。
「…え?モニカ」
「は。空いておりますが…」
「ほら、アーニャ。ライが戻ってくる前に、早く行ってきなさい。持ってきてるんでしょ?『あ・れ』」
「…う、うん」
モニカはアーニャの背中を押すと、兵士と一緒に観覧室を退出する彼女を見送った。ジノとノネットはアーニャの後ろ姿を見ながら、意地悪い笑顔を浮かべていた。スザクも彼らの笑顔の意味を察し、苦笑いをつくる。
モニカは今日何度目か分からない溜息をつくと、彼女の後ろで事態を把握してニヤニヤしている二人に話しかけた。
「見てられないのよね。アーニャの不器用さは」
「そうか?私は好きだぞ。それに、マリーカも加われば賑やかになるじゃないか」
「ははっ、会食の席が楽しみになってきた。なぁ、スザク」
「……重いんだけど」

116:POPPO@代理投下
09/06/15 02:56:01 J1ThsHyP
中華連邦領事館の会議室で、中華連邦の国旗を背に高亥は席に座っていた。星刻は彼の側に立ち、ソファーに座っているC.C.を見ていた。
高亥は痺れを切らしたのか、緑色の髪を持つ少女に声をかけた。
「ゼロは?ゼロは何所にいるのですぅ?」
「もう少し待て。直に来る」
「そういえば、紅月カレンさんはどちらに?」
「今は休ませているが…何だ。あの女に興味があるのか?」
C.C.の冗談混じりの言葉を受け、微笑みながら星刻は返事をした。彼の長い髪が揺れる。
「ええ。貴方達、黒の騎士団にね。特に、二〇一七事変でナイトオブラウンズを、それもあのセルゲイ・サザーランドを倒したという「ゼロの双璧」とは、ぜひお会いしたい」
その言葉に、C.C.は声を潜めた。だが、沈黙が訪れることなく、一人の男が扉から彼らの目の前に現れた。3人の視線がその男に注がれた。
その男の背丈は190cmを超え、金髪の長髪を後ろで結わえていた。黒の騎士団の制服を身にまとい、精悍な容姿に鋭い緑色の瞳が宿っている。
高亥に一礼すると、手元にある資料に目を向けながら、容姿に似合わない低い声でC.C.に声をかけた。
「C.C.様。紅蓮可翔式『改』の整備も無事に終わりました。それと…」
星刻は、まだ20代に見える30後半の西洋風の男を見ながら、C.C.に話しかけた。
「レナード・バートランド…もしや貴方が、もう一翼の『ゼロの双璧』で?」
C.C.は星刻の言葉に、敏感に反応した。
「それはっ!…」
「いえ、私は…」

『違うな。彼は『ゼロの双璧』ではない』

星刻の言葉は、レナードの後から入室した『ゼロ』が返事をした。
「おおぅ!ゼロぉ!」
ゼロの姿に高亥は歓喜した。黒いマントを靡かせ、ゼロはソファーに座らず、正面から高亥を見据えた。星刻は目を細め、ゼロの姿を見ていた。
『最も、私の右腕であることには変わりは無いがな』
「おほほほ!EU屈指の軍事産業のバートランド社…その御曹司というわけですかぁ。流石はゼロ…」
星刻は高亥に続いて、ゼロに話しかけた。
「なにやら、先ほどのブリタニアの中継の後で、黒の騎士団に妙なざわつきがありますが…」
『ナイトオブツーとは一度、EUで刃を交えたことがある。しかし、あの『蒼の亡霊(ファントム)』が線の細い青年だったとは…団員達も驚きが隠せないようだ』
「今まで非公開にされていたナイトオブラウンズ…か」
星刻は小さな声で呟き、思慮を巡らせた。ゼロは彼の姿を横目に、高亥に要求を突きつけた。
『高亥殿、貴方に一時的にこの領事館の使用と、中華連邦の支援をお願いしたい』
高亥は席から立ち上がり、深く礼をした。仮面の下で、ルルーシュは黒い笑みを浮かべた。ギアスをかけた高亥はすでに彼の傀儡。
裏切ることは万が一にもない。例えどんなに理不尽な要求だろうと。快く引き受けてくれる。予想通り、高亥はゼロの要求を承諾した。
「ははぁ!ゼロ様の仰せのままに」
「高亥様。黒の騎士団に味方をして、我が中華連邦に何の得が…」
「言葉が過ぎるぞ。星刻」
「……は」


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