09/07/16 00:18:44 oX6DbJyg
>>546
そういや土用の丑の日が近かったな……ここ最近は鰻なんて食べてないや。
>>549-551
確かに気になるのは分かるけど、一応、絵師にもプライベートと言う物もあるから質問は程々にした方が良いぜ!
553:創る名無しに見る名無し
09/07/16 00:20:15 QbRJ51fE
>>546
不安定な体勢の獅子宮せんせの肩をザッキーが上から押さえて
ザッキー「お茶の借りを返す時がきたようだな……」
554:創る名無しに見る名無し
09/07/16 00:25:07 POLWw6jr
>>553
また懐かしいネタをwww
……いや借りを返すのはもう一人メスフェチが居たような!?
555:創る名無しに見る名無し
09/07/16 00:33:13 oX6DbJyg
>>554
助ける所か事態を更に悪化させたあの人か……
けど、その他にトドメを刺したトリックスターもいるじゃないか!?
まあ、あれは狙ってやった訳じゃなく、本当に只の事故だったけどw
556:創る名無しに見る名無し
09/07/16 00:33:15 4RDTi8rV
きもい
557:創る名無しに見る名無し
09/07/16 00:49:51 2WhVaJns
ところで獅子宮先生って加えてるだけタバコの設定とか無かったっけ?
558:創る名無しに見る名無し
09/07/16 00:55:17 oX6DbJyg
>>557
確か、何時も咥えているタバコに関する詳しい設定とかは無かったな。
まあ、銘柄はラッキーストライク辺りが似合ってそうだとは思う。主にネーミング的な意味で。
559:創る名無しに見る名無し
09/07/16 01:07:36 2WhVaJns
葉巻とかキセルもたまにはどうか
560:創る名無しに見る名無し
09/07/16 01:08:36 sxmoIZBO
健康的にシガレット
561:創る名無しに見る名無し
09/07/16 01:21:28 QbRJ51fE
夜会での鰹節事件に巻き込まれた時がタバコ買いに行った時じゃなかったっけ
562:創る名無しに見る名無し
09/07/16 02:45:34 yAZQ7ZIg
ラッキーストライクだったらなかなか自販機でも売ってないしな
猛はピースとか吸ってそうな気がする。タール・ニコチン量的に。
563:創る名無しに見る名無し
09/07/16 05:20:06 c2/ceAeW
>>546
獅子宮先生カッコでその姿勢はヤバすぎますw
うなぎ~!! つーか丑つながりで土曜日は焼き肉食べに行く予定、待ちどうしいぜ!!
そういえば今年の土用の丑の日って一学期の終業式の日じゃね?
先生方も飲み会とかで盛り上がるんじゃなかろうか
サン先生「猪田先生、ダイエット成功のご褒美に冷えた生ビールと焼肉なんてどうです?」
564:創る名無しに見る名無し
09/07/16 07:38:15 XufTxtzl
そして歴史は繰り返す
565:創る名無しに見る名無し
09/07/16 14:27:58 tcLGJ/cv
どいつもこいつもベタベタ馴れ合いやがって
566:創る名無しに見る名無し
09/07/16 15:27:18 Dk8UB8EC
ベタベタ……毛皮組は汗かかないからベタつかなくてよさそうだ。
しかしみんな舌出してハァハァしまくるだろうから授業どころじゃないかも。
567:創る名無しに見る名無し
09/07/16 15:42:24 XufTxtzl
獣人が汗かくかは非常に気になる
汗で毛皮がべったりなってる獣人とか萌えるし
568:創る名無しに見る名無し
09/07/16 16:07:04 oX6DbJyg
>>566-567
一応、毛皮のある動物でも汗腺は存在する、
けど、犬などの毛皮に存在する汗腺の殆どがアポクリン汗腺と呼ばれる物で
人間の汗腺の殆どを占めるエクリン汗腺と違ってその分泌量はかなり少なく、余り目立たない。
(犬猫等にもエクリン汗腺は存在するが、肉球にしか存在しない)
因みに、アポクリン汗腺はエクリン汗腺と違って臭いが強く、獣臭の原因となっている。
無論、人間にもアポクリン汗腺は脇などに存在し、いわゆるワキガの原因となっている。
569:創る名無しに見る名無し
09/07/16 16:26:22 tcLGJ/cv
天候制御乙
570:創る名無しに見る名無し
09/07/16 17:26:43 Dk8UB8EC
>>568
へぇ、そうなのか。知らなかった。
となると消臭デオドラントが流行るか、それとも欧米みたく個人の魅力の一部として
あまり手を着けずそのままにしておくのかが気になるところ。
学校じゃフェロモン振りまいてる生徒は頭髪チェックよろしく見つかり次第消臭剤ぶっかけられそうだけどw
571:創る名無しに見る名無し
09/07/16 17:29:47 POLWw6jr
そこで女子高生や若い女性に人気のブランド香水やらが出てくるんですね
572:創る名無しに見る名無し
09/07/16 18:15:07 TX4MLG2m
そもそも人間は体臭が少ないからワキガを気にして香水やデオドラントを発達させた
臭わないことが人間の体質としてのスタンダードだからだ
獣はそもそも臭うものだからスタンダードが違うだろうと予想
573:創る名無しに見る名無し
09/07/16 18:23:37 hY0wkvx2
惚れ薬作りが容易だ
574:創る名無しに見る名無し
09/07/16 18:45:07 QbRJ51fE
鼻が利くから後付けの香りは嗅ぎ分けられてしまうかも
だから逆に難しいかも>香水や惚れ薬
575:創る名無しに見る名無し
09/07/16 18:50:11 wlj75EtM
その鼻の良さを利用したピンポイントの麻薬のような惚れ薬
576:創る名無しに見る名無し
09/07/16 21:35:31 KCnh3eUx
ふむ・・・・・・
・・・白先生!どうも私はお脳が病気なようです!
エロパロ向けなイメージしか浮かびません!
577:創る名無しに見る名無し
09/07/16 21:39:25 POLWw6jr
>>576
それはそれで、専用の所に投下してこっちに報告しても問題ないと思うけどねw
578:創る名無しに見る名無し
09/07/16 23:52:52 VjsGb0le
「さて」
「は!はいっ!」
「それではセンセ、説明を聞きましょうか?」
「はい…
えと、奥さんが子供らと御義両親とで連れ立って、
毎年恒例の『梅雨なんかだいっ嫌い!お日様サンサン旅行』に
行ってしまいました」
「今年はラベンダー畑を満喫してきました」
「僕は雨の日の送り迎えでサン先生と一緒に学校に行ったので、
概ね晩ご飯も一緒に食べのですけど、サン先生は安くて美味し
くてその上とてつもなく量の多い店を沢山知っていてですね…」
「…気がついたらその有り様ですか?」
「はい…
とても美味しそうに食べるのを見てると僕もついつい食べ過ぎて…
何故か僕より沢山食べていたのにサン先生はちっとも太らないし…」
「……」
「……」
「~…(溜息)」
URLリンク(loda.jp)
579:創る名無しに見る名無し
09/07/17 00:11:06 +ICw1TbT
>>578
あ、案の定リバウンドしちゃったか、いのりんw
こうなったら太り難い体質を作るべく筋肉をつけるんだ!
580:創る名無しに見る名無し
09/07/17 00:31:45 Qaw7AaNH
奥さん綺麗だのう
581:創る名無しに見る名無し
09/07/17 00:46:56 En46a/kE
自転車通勤から徒歩通勤になるというオチだと思ったら…
例の坂道を毎日歩けば確実に痩せるはずだが流石に酷かな
582:創る名無しに見る名無し
09/07/17 01:18:36 h4HqUvY0
>>578
いのりんには悪いけどやっぱこっちのが落ち着くわw
583:創る名無しに見る名無し
09/07/17 08:04:12 lClnu5b7
やはりここでもサン先生は常識外か……
584:創る名無しに見る名無し
09/07/17 11:07:40 En46a/kE
体小さいのに大食いなやつって以外にいるよな
585:創る名無しに見る名無し
09/07/17 11:13:24 h4HqUvY0
佐倉家にて。
人間友人の海外旅行のお土産に貰ったお香を早速薫いてみる母さん。
何故か変な気分になる姉、美希奈と妹、舞。
そのお香は実は、人間は気付かないが、嗅覚に優れるケモノには
催淫効果を発揮するという非常に嬉し…困った代物だったのだ!
我らがギャルゲ主人公康太の運命や如何に!?
※選択肢を誤ると父ルートに入ります
586:創る名無しに見る名無し
09/07/17 11:56:26 ZPEgDhWY
「とってもいい匂いのお香なんですよ、御堂さんもどうぞ!」
「あら、いいの? ありがとうございますー」
587:創る名無しに見る名無し
09/07/17 14:27:38 1BRJHXNq
正直ギャルゲネタはもうお腹いっぱいッス……
588:創る名無しに見る名無し
09/07/17 19:29:41 ZPEgDhWY
検索用
うまたん ウマタン 馬 メンヘラー キチガイ 獣人 ケモノ バトロワ
糞女を殺してやりたい コケシ バセンジー 偽善者 天候制御
小枝 ホモ ケモホモ チンコ 画像 資料 獣 レオ
ボム bomb ふたば 小説 自演 被害者
589:創る名無しに見る名無し
09/07/17 19:38:22 uKF24erm
>>585
どう考えても父ルート一沢
>>584
超高速消化と伸縮自在胃袋か…
サン先生のスペックどこまであがるんだ
590:創る名無しに見る名無し
09/07/17 20:05:58 Di6zVVaw
>>578
いのりんの薬指見ながら思ったが結婚指輪何されても抜けなさそうだ
591:通りすがり ◆/zsiCmwdl.
09/07/17 20:19:56 +ICw1TbT
(>>586の数時間後……)
「ただいま―……って、あれ?」
色々あってようやく家に帰りついた俺を待っていたのは、不気味なまでに静まり返った玄関であった。
何時もならば、足音で俺が帰ってきた事に気付いた義母さんが出迎えてくれる筈なのだが、それが無い。
無論、何かをしているのならば、それなりの生活音がしていてもおかしくないのだが、今回はそれすらも無いのだ。
そして、親父も義母さんも出掛けている、にしてもおかしい話だ。
何せ、玄関の鍵は掛かってなかったし、更に言えば二人が出掛ける際に何時も履いている靴もそのまま置いてあった。
……これは二人に何かあった、としか思えないだろう。
「……まさか、強盗?」
――最悪の予想が俺の脳裏を過ぎる。
そう言えば朝、学校へ行く前に見たテレビニュースで、ここの近くの質屋が強盗に襲われたとか言っていたような……。
まさか、その強盗が俺の家にも来たと言うのだろうか?
……有り得る話だ、俺の親父はそれなりに有名な小説家。結構稼いでいると思われても仕方ないだろう。
恐らく、何かしらの情報で親父の事を知った強盗が、次のターゲットに親父を選んで……。
「何をバカな事を! くそっ、そんな事あってたまるか……!」
浮かんでいた想像を振り切る様に乱暴に頭を振った後、俺は意を決して家の中を進み始める。
もし、何かが出ても直ぐに対応できる様に、心の準備をした上で。
「……なんだ? この匂い……?」
家の廊下を進み始めた所で、俺は鼻腔に嗅ぎ慣れない匂いを感じた。
何と言うか、線香などとは違う種類の香を焚いた様な、甘ったるい物が混じった匂い。
はて、この匂いは一体……? 義母さんが焚いた物なのだろうか?
嗅ぎ慣れぬ香の薫りに妙な物を感じつつも、俺は慎重に居間の方へと歩を進める。
「ん……あれは……?」
そして、居間に到着した所で、俺はソファとソファの間に転がる奇妙な物に気が付いた。
電気が点いてないから良く分からないが、それはまるで大きなボロ雑巾の様にも――って、
「親父!?」
それはボロ雑巾ではなく、床へ力無く倒れ伏している親父だった!
全身の灰色の毛並みがヨレヨレになっている上に、着ている服もボロボロになっているからそう見えたのだろう。
むろんの事、俺は慌てて倒れている親父へ駆け寄り、身体をゆさゆさと揺り動かしながら呼び掛ける。
「おい、親父! 一体如何したんだ!? 何があったんだ?!」
「……す、卓…か?」
揺り動かされた事で意識を取り戻したのか、
親父は目をゆっくりと開き、弱弱しく尻尾を揺らしながら何処か億劫そうに口を開く。
「ああ、そうだよ、俺だよ! 親父、一体何があったんだ!?」
「……と、利枝が……」
「え? 義母さんが如何したんだ? おい、親父!?」
「…………」
しかし、俺の呼びかけも虚しく、親父は其処まで言った所で力尽きたらしく、揺らしていた尻尾をパタリと倒した。
見た所、規則正しく呼吸をしている所から、ただ単に気を失っただけで大した事は無さそうだが……。
しかし、親父がここまで衰弱するなんて、一体、親父の身に何があったんだ? それに義母さんの身に何が……?
と、俺が様々な事に対して思考を巡らせていたその矢先――
592:通りすがり ◆/zsiCmwdl.
09/07/17 20:22:11 +ICw1TbT
ごと、ごとん!
「――!?」
唐突に2階から響く物音、俺は咄嗟に身構えた。
音が聞えた位置から見て、音の出元はどうやら俺の部屋からの様である。まさかとは思うが……。
再び、嫌な想像が脳裏を過ぎる。――くそっ、そんな事、あって欲しくは無いぞ!
「親父、俺はこれから二階に行って来る。だから其処で大人しくしてくれよ!」
長ソファのクッションの上に寝かせた親父へそれだけを言うと、俺は急ぐ様に二階へと向かう。
どうか、頼むから俺の想像通りの事態にはならないでくれよ! と、様々な存在に対して祈りながら。
自室へ到着した俺の前で、再び響く物音。
音の度合いからして、如何考えても部屋の中で人が暴れている様にしか聞えない!
「ちっ、間に合え―いや、まて」
俺は慌ててドアを蹴破ろうとして―その寸前で思い止まり、蹴り出そうとした足を止めた。
もし、ここでドアを蹴破ったら、その音で犯人を刺激してしまって事態を最悪な方向へ向けてしまう可能性がある。
ましてや、相手はあの親父を気絶するまでに追いやっている犯人だ。行動は慎重さを要する。
ここは先ず、犯人に気付かれない様に静かに、かつゆっくりとドアを開けて部屋の状況を確認するとしよう。
……本当は今直ぐにも部屋に飛び込みたい所だが、義母さんの為を思うならここは我慢だ!
「……」
ドアノブへ手を掛けて、慎重に手に力を掛ける。
どうやら鍵は掛かってなかったらしく、ドアノブを捻ると同時に小さな金属音が響き、ドアがゆっくりと開いて行く。
その開いた隙間へ覗き込むように、俺は物音が鳴り続ける自室の状況を確認し始め―
バタン
それを見た俺は何も言わず、ドアをそっと静かに閉めた。
……えっと、この場合、義母さんが犯人に乱暴されていた方がまだマシだったかもしれない。
いや、まあ、確かに乱暴されている方もかなり大事言っちゃあ大事なのだが、、
少なくとも、先ほど俺が目にした物に比べれば、そのショックの度合いはまだ少ない筈だ。
――俺が見た物、それは義母さんが犯人に乱暴されている姿、では無く
「ああ、卓ちゃんの匂い、もう嗅いでいるだけで身体が火照ってきちゃう! あぁぁ、卓ちゃぁぁん!」
抱き枕の様に俺のベットの掛け布団へ抱き付き、恍惚とした表情で床をゴロゴロと転がる義母さんの姿だった。
しかも、その時の義母さんの格好は、薄手のネグリジェ一枚だけと言う何ともあられもない姿。
自室でそんな物を目にしてしまったら、何も言わずにドアをそっと閉めたくなるだろ、普通は!
―って、もしあの時、俺が思い止まらずそのままドアを蹴破ってたら、一体如何なってた事か?
……正直言って、考えたくも無い。
……その後、意識を取り戻した親父の証言により、
義母さんの痴態の原因が、先程から焚かれているお香による物だと判明。
どうやら、そのお香には、人間には大した影響が無い代わり、
嗅覚に優れるケモノには、ある本能を暴走させる効果を発揮するという、はた迷惑な効果があるそうで、
その事を知った俺が直ぐ様、台所で焚かれていた原因であるお香を処分した上で部屋の換気を行うと、
それから程無くして、義母さんは正気を取り戻したのだった。
その後、義母さんに聞く所によると、お香を焚き始めてからの記憶が無いらしく、
その上、親父自身もまた、その間の事を決して喋ろうとはせず、
結局、そのお香によって暴走した義母さんはあの時、親父へ何をやったのか、
そして何故、俺が発見した時には親父が憔悴しきっていたのかは、最後まで判明しなかったのだった……。
―――――――――――終われ―――――――――――
593:通りすがり ◆/zsiCmwdl.
09/07/17 20:24:28 +ICw1TbT
以上です。
もし、卓が1時間早く帰宅していたらどうなっていたか……それは皆さんの想像にお任せします。
594:創る名無しに見る名無し
09/07/17 20:29:15 Qaw7AaNH
すぐるんちは仲が良いなw
595:創る名無しに見る名無し
09/07/17 21:17:10 ZPEgDhWY
あーID変わってない、せっかく溶け込めると思ったのにやられた。
みんな荒れてしまえ
596:創る名無しに見る名無し
09/07/17 21:18:07 ZPEgDhWY
172 名前:名無しさん@避難中 投稿日: 2009/07/13(月) 01:12:51 ID:5fEzPrro0
(´゜㊤゜)左腕を怪我したら血が止まらなくて病院行ったしもー
173 名前:名無しさん@避難中 投稿日: 2009/07/13(月) 01:13:31 ID:5fEzPrro0
(´゜㊤゜)包帯巻いて帰ってきたら、知人に邪気眼って言われたわん
174 名前:名無しさん@避難中 投稿日: 2009/07/13(月) 01:14:01 ID:5fEzPrro0
(´´㊤`)厨二病なのは図星だ。包帯してる自分、ちょっとイイかもす。
175 名前:名無しさん@避難中 投稿日: 2009/07/13(月) 01:14:43 ID:5fEzPrro0
(´゜㊤゜)愚痴ったらすっきりしたしもー。 ぐっない!
ひょっひょっひょhっひょ呪いは効いたんだわ
597:創る名無しに見る名無し
09/07/17 21:19:13 ZPEgDhWY
>通りすがり
名前変えれば? じゃないと荒らされるよおまえのせいで。
598:創る名無しに見る名無し
09/07/17 21:22:52 ZPEgDhWY
さる
599:創る名無しに見る名無し
09/07/17 21:54:37 lClnu5b7
どうやら雨の日に男友達と下校するとサブイベのフラグが立つようです
凄い久しぶりの投下になってしまった。無理かもしれないがいつかエンディングまで持って行きたいです
600:創る名無しに見る名無し
09/07/17 21:55:40 lClnu5b7
「うっわー……傘差してたのに靴下までグショグショだ」
「こんな土砂降り久しぶりだね。梅雨に入ったって実感するよ」
膝下をぐっしょり濡らしながらも商店街のアーケードへと辿り着いた俺と雅人は、傘を畳んで一息つく。
今朝から降り続けていた雨は、ぽつぽつと長時間続くだけの小雨だったのだが、俺達が学校から帰る途中、突如として土砂降りへと変じたのだ。
いくら傘を差していても大きな雨粒は地面に降り注ぐたびに跳ね、制服の膝下を濡らし、靴へと染み込み、その中の靴下さえも水浸しにしていた。
この状態の靴を玄関に放置してしまうと、鼻の敏感な狼の皆さんから翌朝苦情が来るのだ。
だが、俺は毛皮が無いだけマシだろう。雅人の方が全身の毛皮がじっとりと湿り、非常に居心地の悪そうな表情を浮かべている。
「今アーケードから出てもまた塗れるし、小雨に戻るまで時間つぶさね?」
「うん。そうしよう。またあの土砂降りの中へ飛び込む気にはなれないや」
一歩踏み出すたびに、ぐじゅぅ、と濡れた感触が靴の中から伝わってくる。
俺も雅人に負けず劣らず居心地の悪そうな表情を浮かべながら提案した。雅人も同意する。
俺達はすぐに互いの財布の中を確認し合うと、その軍資金に見合った店を探して、アーケードの中をぶらついた。
軍資金は、俺の財布に1000円、雅人の財布に1300円。ファーストフード店のセットぐらいなら充分に足りる。
となると、俺達が目指すのはただ一点。30メートル先に見える、『M』の文字の看板を掲げた二つの店だ。
アーケード中央の交差点には、二つの大手のファーストフード店が対立するように向かい合わせに店を開いていた。
「雅人はどっち行くつもりだ?」
「僕は特にこだわり無いし、康太に合わせるかな。
強いて言えば、同じ料金で多く食べたい……かも」
「ああ、俺と同じだな」
雅人は顎を右手の人差し指で掻きながら、思案顔で答えるが、それほど考え込むところでもないだろう。
近くで接していると分かるが、雅人は基本的に根の優しい良い奴だけど、底抜けに神経が図太いかと思えば、時にどうでもいい事に深く考え込んだりと、少し変わったところがある。
おっとりして物静かな印象に反して、友達として付き合っていて、あまり退屈をしない。
俺達は、黄色い『M』を掲げた店へと向けて、好きなバーガー談議に花を咲かせながら進んでいく。
他愛も無い会話を続けながら、店の入り口は目の前と迫った時に、不意に女性の声が俺達を呼び止めた。
「あら、雅人君」
透き通った良く響く声だ。雅人と同じように声のした方を見つめると、人間のお姉さんが立っていた。
金髪に染めたパーマをかけたロングヘアーに、露出が多く背中や胸のラインを強調した服装、ブランド物のバッグに綺麗なアクセサリーと、随分派手な格好をした人だ。
明るい色をした化粧は、素材の良さを引き立てていて、何だか凄い美人だ。
帰宅部で読書家。趣味はテレビゲームに映画鑑賞という、地味な男子の代名詞のような生活を送る雅人と、一体どんな接点があるのか不思議なほどである。
「知り合いか?」
「うん。うちのお得意様のトモエさん」
601:創る名無しに見る名無し
09/07/17 21:56:25 lClnu5b7
俺がそう尋ねると、雅人がすぐに説明してくれる。するとトモエさんは苦笑交じりに話しながら、こちらへと歩み寄ってきた。
「こーら。オフの時まで源氏名じゃ堅苦しいわよ」
「あ、すみませんユミさん……。今日こちらにいらしてるのは、やっぱり?」
「堅苦しいから敬語もいらないってーのー。
で、こっちに来た訳だけどそのとーり。いつも通り即転売してOKだから」
少々置いてきぼりをくらってしまったが、二人の会話を聞いていると、大体ユミさんがどういう人か分かってきた。
アーケードを抜けて信号3つほど先に行くと、雅人のじいちゃんが営む質屋がある。
こじんまりして目立たない店だけど、雅人曰く常連さんが多いそうで、食べていく事には困らないらしい。
そして派手な格好をして源氏名があって美人がユミさんが、見たところ二十代前半の歳なのに、質屋のお得意様だというのだから、一つしか思い浮かばない。
もっとも、それを堂々と言うきにもなれないのだが。そんな風に考えていると、笑顔で雅人と話していたユミさんが、不意に俺の方を向く。
「君は……雅人君の友達?」
「あ、はい。雅人のクラスメイトの康太です」
「うんうん……。いいねぇ、青春時代の友情!
中卒から速攻キャバ嬢になって6年以上も代わり映えしない日々を送ってきたきた身にしたら、
君達高校生が羨ましくて堪んないわよもう」
「ゆ、ユミさん、あんまりそう言う話するもんじゃないですって……!」
「いいのよいいのよ。ほら、これお近づきの印にどう? 雅人君とこれからも仲良くしてあげてね」
「えっ、えっ?」
ユミさんは思った以上に随分とさばさばした性格で、身の上に何も負い目を感じている様子もなく快活に笑っている。
かと思うと、ブランド物のポーチから箱に入った腕時計を取り出して俺に差し出してくる。
「30万円するんだって。馬鹿よねー。キャバ嬢に貢いでも転売されるだけなのに」
「さ、さんじゅ……!?」
俺が30万円の腕時計に眼を奪われている側で、雅人は複雑な表情で頭を抱えていた。
おっとりしていて、物事にあまり動じない雅人が、こうも焦ったりする姿もあまり見れる光景ではないな。
「ユミさん、人前でそう言う冗談は……!」
「冗談なんかじゃないわよー。純粋に二人の青春を祈って!」
雅人が慌てるほど、ユミさんは熟練した男のあしらい方を見せて雅人をおちょくっていく。
見ているこっちが同情したくなってくるが、案外と雅人もまんざらではなさそうに見える。
雅人は途中からツッコミを入れることにも疲れたのか、大きな溜め息を吐いて、俺へと愚痴をこぼした。
「ユミさんもだけど、貢物を転売しにキャバ嬢さんが結構来るんだよ。
だけどみんな僕を子供扱いして面白そうにからかってさー……」
心底疲れた様子で雅人がぼやく。確かに来る人来る人におちょくられ手玉に取られていては、雅人も疲れるだろう。
温厚なこいつの事だから、多少のからかいやおちょくりはスルー出来ても、相手は男を手玉に取ることで生計を立てている女性だ。健全な男子高校生が対峙するには分が悪すぎる。
「ま、まあさ、好意的な感じだしいいんじゃないか。雅人がいるから店に来てくれるかもしれないだろ」
602:創る名無しに見る名無し
09/07/17 21:57:22 lClnu5b7
「そうよー。仕事柄オヤジやチャラ男ばっか相手にしなきゃなんないからさー。
雅人君みたいな真面目な年下の男の子と接する機会がないのよね。私も雅人君をからかうの楽しみにしてるし」
「もう……ユミさんに康太まで……ハァ…」
悩むな雅人。真面目で気が優しくて太めで、おまえは弄られキャラの星の元生まれている。俺は哀れむような視線を雅人へと向けながら、心の中で呟いた。
弄ってくれる相手が綺麗なお姉さんなだけでも儲けもんだろう。俺だって伊織さんが男だったら速攻で陸上部を退部している。
俺は軽く笑いながら、雅人の方をポンッと叩いて、「頑張れよ」と呟いた。女性に振り回される苦労を知っている奴がこんなに身近にいたとは、友達として共感できる部分が増えたというものだ。
「あはは、康太君、私だってちゃんと気を使って弄るわ。雅人君に嫌われたら困るもの」
「じゃ、じゃあやめてくださいって!」
ユミさんは、少し背伸びをして雅人の耳に手を伸ばし、楽しそうに弄くっている。女性にしては長身だがが、熊らしく大柄な雅人ほどではない。
雅人は分かり易すぎる反応をして毛皮を逆立てながら照れるが、言葉の割りに強引にユミさんの手を振り払ったりはしない。
まあでも、こんな人通りの多い場所でそれは、確かに恥ずかしいかもしれない。俺は、一歩だけ後ろに下がり、この二人とは関係ありませんよ、と言う振りをしてみる。
雅人が“逃げるつもりなのか”と恨めしそうな視線を投げかけてきたが、俺の関与するところではない。
「ゆ、ユミさん……、もうやめてぇ……」
「ふふ、可愛いー。びっくりするぐらい純なんだから」
いや、純も何も、男子高校生と言うのはそんなものです。普段イケイケ装ってる奴だって、実際に美人のお姉さんにおちょくられたら、今の雅人みたくなっちゃうものです。
嘘だと思うなら塚本君辺りをおちょくってみてください。確実に物凄い勢いで慌てだして混乱し始めるはずですから。
強調された胸の谷間を雅人の背に押し付け、純な青年を弄びながら、ユミさんはとても楽しそうに笑っている。
やがて雅人も、いつまでもここにいたって、果て無きおちょくりがあるだけだと気付いたらしい、大きな溜め息をついて、心の底から疲れた様子を顔に出すと、ユミさんを連れて、商店街の向こうへと歩いていく。
俺も、そんな二人を邪魔する気はないので、少々雅人を不憫に思いながらも、笑顔で手を振って二人を見送った。
さあ、買い食いも未遂に終わって金も余ったし、晩飯のおかずでも買って帰るか。
ああいうのを見せられた後だと、一人の下校が妙に寂しく感じる。いつのまにやら雲間も晴れて、夕焼けに照らされる商店街を、俺は買い物袋を片手に、一人立ち去るのだった。
続く
603:創る名無しに見る名無し
09/07/17 21:58:10 lClnu5b7
短いですがこれで。このシリーズはイベントを消化する感じなので一つ一つの投下は短いかもです
604:創る名無しに見る名無し
09/07/17 22:05:27 1BRJHXNq
もふもしながらでいいので、荒らしのレス削除依頼の協力もよろしく。
スレリンク(saku板)
605:創る名無しに見る名無し
09/07/17 22:06:51 Qaw7AaNH
ひさぶーですね
投下乙です
606:創る名無しに見る名無し
09/07/17 23:03:29 Di6zVVaw
康太、俺たち友達だろ?今日は一緒に帰ろうぜ
607:創る名無しに見る名無し
09/07/18 01:20:37 xGXGVNKP
人妻っていい響きだよね
608:わんこ ◆TC02kfS2Q2
09/07/18 13:08:14 L1DrWfVw
夏休みですねえ。 投下します。
609:夏の途中 ◆TC02kfS2Q2
09/07/18 13:10:35 L1DrWfVw
「ところで、なんでサンがいるのよ」
「ちょっとしたミナへのプレゼントかな…」
「いらないよ。どうせ、イタズラでも仕込んでるんでしょ?」
田舎道を走る軽トラックの窓から吹き込む風が、小さな身体のサン・スーシの毛並みを揺らす。
助手席でのんきにお菓子をぽりぽりとかじっているサンに、時々ちょっかいをだすのは大学の同級生・杉本ミナ。
ハンドルを片手に隙を見て、サンのイヌミミをちょこんと軽く爪立てると、サンは反射的に尻尾を丸める。
荷台のバイクを気にしながら、ネコの毛を風いっぱい受けてミナは、サンと同じように夏の光をガラス窓から感じる。
じっとしていることにしびれを切らしたのか、軽トラがカーブを曲がるとゆっくりとバイクは揺れて存在をアピールした。
ミナがちょっとしたバイクの旅をしている途中、相棒が急に駄々っ子をこねた。スロットルを回しても、うんともすんとも動かない。
幸い街からは遠くなく、軽トラックをよこすようにミナは自宅のバイク屋に連絡をして、日陰で到着を待っていた。
現れたのは店主・ミナの父親と、おまけのサン・スーシ。ヤツは「たまたまだよ」とお菓子を頬張りながら澄ましていると、ミナは眉を吊り上げた。
「オヤジさんさ、この近所の家で人に会う約束してるっていうから、帰りはミナが運転しなよ」
「うん、旅館のおじさんでしょ。サン・スーシ、わたしの運賃は高いから覚悟しなさいよ」
荷台にわがままを言っているバイクを載せる。オヤジさんが約束している人の家に着くまでは、荷台でサンがバイクと共にする。
やがて、オヤジさんを約束の家まで送ると、車内に戻ってきたサンとミナの二人きりになった。
「ミナのエストレヤはよく磨かれてるね。エンジンにぼくの顔が映るよ」
「そうね、しょっちゅ磨いてるしね。そういえば、何年コイツに乗ってるかなあ…」
「長いよね」
「マーキングしたくなっちゃうくらい、お付き合い長いよ」
サンはミナの被っていたヘルメットを抱えて、相変わらずお菓子を頬張っている。ミナに差し出すと、ぱくっと指ごと噛み付いた。
「食べかすをメットに落とすな」と憤るミナは、お菓子の袋から一口分失敬した。
Tシャツにジーンズ姿でさばさばとした口調のミナは、金色の髪の毛と白いネコの毛並みから甘い女の子の香りを風にのせる。
くんくんとサンがその香りを嗅ぎつけると、それを察知したミナはサンの濡れた鼻をぴしゃりと軽く小突く。
しかし、サンもミナもまんざらではないというのは、大学の同級生だから…だろうか。
サンは仕返しとして、軽トラが信号待ちをしている間、シートからはみ出したミナの尻尾を軽く掴もうと画策するが、
ミナはサンのことなら何でもお見通しなんだから、と言わんばかりに尻尾を反対側にするっと避難させた。
「サン・スーシ、まだまだだね。これはイヌの浅知恵って言うのかな…?」
「浅知恵言うなよ」
逆上したサンは、ミナのわき腹に優しく人差し指でつんと突付く。これでも教壇に立つ教師なんだぞ、と憤慨したからでもあるし、
身長のせいで自分には出来ないミナのアクセル捌きを羨ましく思うことも、子どもじみた仕返しの理由だった。
床に届かない足をバタつかせながら、サンは諸手を挙げて背伸びをし、一方慣れた手つきでギアを操るミナは、ペロリと手首を舐める。
ルームミラーに透き通った空色が広がり、白い雲が天に向かうようにそそり立つ。
「あの雲、サンにそっくりだよ。マヌケなところが」
流れの速い夏の雲は空飛ぶ鳥よりも早く、どこぞかへと流れていった。
610:夏の途中 ◆TC02kfS2Q2
09/07/18 13:12:22 L1DrWfVw
車が順調に彼らの街に向かっている中、サンは思い出したかのようにミナにナビゲートを始め、自分の足元のリュックを気にする。
そして、サンの荷物の横には一泊分の旅するミナのリュックが並んでいた。
「ミナ、次の交差点を左に曲がってくれる?」
「え?県道から外れるけど?」
「近道、近道。高性能の『サンナビ』はウソつきません」
空になったお菓子の袋に手を突っ込んでかき回すサンの指示で、ミナはハンドルを左に回す。
ミナは元々のルートから外れることにいぶかしげな顔をしながら、素直にサンの言うとおりに細い農道に軽トラを進める。
きちんと整備された県道から外れただけで、周りは畑ばかりの田舎の風景に変わっていた。
初めて来る土地だというのに、なぜか懐かしくもある風景にミナは飲み込まれ、そして今頃、父親は
昼まっから呑んだくれているのだろうか、とサンとは違う意味で心配していた。
車窓を眺めながら再び足を浮かせてバタつかせるサンを横目に、ミナはギアを上げると
荷台にバイクを載せた軽トラは、踏み込んだアクセルと共に気合を入れて音を上げた。
『サンナビ』は相変わらず、ミナの不思議そうな思いとは裏腹にマイペースな案内を続けている。
「ピンポーン。この先…まっすぐ、まっすぐ」
「この先って、坂道だよ…。ねえ、目的地はまだ?『サンナビ』ってポンコツじゃん」
「そんなことないよ。そのうち分かるって」
周りに畑ばっかりだった細い道を進むと、いつの間にか松林が道の両脇に生え揃う。
ギアを一段下ろし、ゆるい坂を登る軽トラはこの先の風景を知らない。無論、ミナもそうである。サンはイタズラを思い付いたような顔をして、
空になったお菓子の袋をくるくるっと丸めた。坂の頂までもう少し。細い道の両脇には松林が並ぶ。
「海だあぁ!」
窓から潮の香りがお邪魔する。天から太陽が笑い出す。波のざわめきも賑やかに、二人の五感に訴える。
坂の頂を過ぎると松林の隙間から、青い空と、白い波しぶき、そして砂浜が見え隠れし始めたのだ。
ここまで来ればあと一息。一気に軽トラは坂を下り始め荷台のバイクと共に、サンの待ちきれない気持ちと同じように二人を揺らしている。
「ふーん。そうゆうことね」
白い雲の変わりに、波が砕ける白い泡。まだ誰もいない、夏の始めの白い砂浜。星の丸さが嫌でも目に焼きつく水平線。
夏の香りがサンの目を輝かせる。彼のメガネにはきっと、ソフトクリームか何かが映っているのだろうか。
ゆっくりと軽トラは松林のトンネルを潜り抜け、砂浜の入り口で歩みを止めた。
真っ先に軽トラから小さい影が飛び降りた。
「ひゃっほー!いちばん乗りだ!!」
「海に行きたいのなら、はっきり言いなさいよ。サン・スーシ」
まだ何も知らない砂浜にイヌの足跡をつけて、一直線に波打ち際に駆けて行く一人のイヌ。
子どものような声をあたりに響き渡らせ、ミナが軽トラから降りたときには既にサンは浅瀬に立っていた。
611:夏の途中 ◆TC02kfS2Q2
09/07/18 13:13:33 L1DrWfVw
「ミナも来いよ!!」
「やだね」
「気持ちいいってば」
ゆっくりとサンの残した足跡を辿り、波と戯れるサン・スーシを羨ましそうに見つめるミナは海に入れない理由を言いたがらない。
ミナが三歩近づけば、サンは六歩遠ざかる。かごから逃げた小鳥のように、サンは体いっぱいに外の光を受ける。
両手で海水を掬い上げ、あたりにまき散らせるサン・スーシの姿はどう見ても子どもであった。
波打ち際まで近づいたミナは、尻尾を下ろして歩みを止める。尻尾の先が砂に線を描く。
ざざあ、ざざあ…と続けて緩くミナの足元まで波が来るものの、不意に大きめの波がミナの足に飛び掛る。
「もー!!濡れちゃったじゃないの」
ミナは白い毛並みから海の水が垂れる尻尾をニ、三度振りながら、必死に水気を振り飛ばす。
波が落ち着いた隙を狙って、浅瀬ではしゃぐサンに少しでも近づこうと、再び波打ち際まで近寄ると、
海原にからかわれているのか、またも大きめの波に不意打ちをされる。ミナは尻尾が海水にずっと浸っているのに気付かない。
「『なつ』い『あつ』には、海ではしゃぐに限るよね!」
「サン・スーシ!!こっちに戻って来なさい!!海に投げ飛ばしてやるんだからね」
「それじゃあ、ミナがこっちに来いよ」
海風に金色の髪をなびかせながら、ミナはぐっと両手を握り締め、流れ着いたイカの甲羅をサンに投げつけた。
サンの膝ほどの深さの浅瀬さえ、ミナは海に入ることが出来ない。
ミナなら脛ほどの浅さであろうものだが、海を拒む理由はただ一つ。
「わたしがネコだからって…サン・スーシのばかぁ!!」
「ん?聞こえないなあ、はは。ぼくの耳の元で言ってくれなきゃねっ」
砂の中に潜り込むシャコを捕まえながら、サンは尻尾をミナに向かって振る。
海に入ると、何もかも許され子どもに戻るような気がする。
それはまるで胎内に戻ったかのような錯覚を起すからだろうか。そんな小難しい理由はサン・スーシには通用しない。
行くところ訪ねるところ、場所を選ばず遊び場に変えてしまう小さなイヌを言葉で説明することなんか、誰もできやしない。
「うはあ!!海の水、しょっぱああ!!」
跳ねた海水がサンの口に入る。母なる海からのお説教なのだろうが、それでもサンは堪えない。
突如として、サンの足がひんやりと海風にさらされる。急に空に近づいたような気がする。
「ほら…。サンの耳元まで来たよ。脇に爪立てちゃおっかなあ」
海で足が濡れるのを覚悟で、ミナがサンの背後にやって来た。だが、声はいかにも「ガマンしてます」という響きである。
サンの両脇を抱え、ひょいと持ち上げるとイヌの表情は、水をやり忘れた朝顔のような顔になった。
612:夏の途中 ◆TC02kfS2Q2
09/07/18 13:14:53 L1DrWfVw
「それっ!」
小さな体が青空に舞う。太陽の光を浴びてメガネが光る。逆光になって尻尾をくるんと丸めるサン・スーシ。
空は遥かに高く、下には冷たい海が広がる。海風に乗ってそのままどこかに飛んでいってしまおうか。
鳥たちに空を独り占めさせるなら、一口ぐらいは分けて欲しい。もしや、サンの背中に羽根が生えてしまうんじゃなかろうか。
そして、ひらりとどこぞへと飛んでゆき、地上だけならず、空をも征してしまうんじゃなかろうか。
いや、天下無敵のサン・スーシもさすがにそれは無理なこと。いちにのさんを数える前にもんどりうって、地上のケモノへ戻ろうか。
青い星の引力に誘われて、水しぶきの音を耳にしたサン。ところが、激しい音のわりには濡れているのは足元だけとは、これいかに。
「もう、最悪!!びしょびしょじゃないの!!」
「…ミナ、自分でコケたくせに」
髪から塩っ辛い水をたらして、しりもちをついたミナは半分海に体を沈め、不機嫌そうに尻尾を揺らす。
そのたびに水しぶきが飛び散り、男勝りなミナの隙をサンは垣間見た気になる。ニヤリと見つめるサンが気に食わなかったのか、
ミナは濡れたついでだからと手で海水をすくい上げ、えいっとサンに浴びせつけた。
――旅の途中ということもあって、余分にミナは下着の着替えを持っていたことがなによりも幸いであった。
「悪いけど、わたしの着替え…もうないよ。昨日着たのなんか、やだからね!」
「はいはい、ぼくのを貸してあげますよ。しっかし、さっきの着地はよかったなあ。おかげで服を濡らさず…」
「叩くよ」
浜辺近くの松林に建つお手洗いで全身を真水ですすぎ、ミナはタオルで拭きながらの陰から叫んだ。
ミナのまた水に濡れるのを嫌がる姿が、サンの脳裏に映るではないか。それを悟られたのか、
「覗いたら、ビンタをもれなくプレゼント」と、中からミナの低い声がしたが、サンは邪な考えは毛頭ない。
サンはミナと自分のリュックをお手洗い入り口まで運び、ミナが再び戻ってくるのを待っていた。
しばらくすると、濡れた自分の服をビニル袋に入れて手にし、サンの短パンとTシャツを借りたミナがサンに向かって跳んできた。
「あのさ…このシャツさ、丈が小さいんだけど」
「ぼくには丁度いい大きさだよ」
「そんなことを言ってるんじゃないの!わたしのおなかが見えてるじゃない!!尻尾もスースーするし」
「イヌ用の尻尾穴だからちょっと大きめなのかな」
サンより背の高いミナには、サンのTシャツはお子さま用のようである。
恥ずかしげにシャツの裾を延ばすミナの姿を見て、サンはニッと笑うが癪に触ったのか、げんこをサンの頭にぐりぐりとねじり込む。
613:夏の途中 ◆TC02kfS2Q2
09/07/18 13:16:24 L1DrWfVw
「サンはいっつもわたしの邪魔ばかりする!」
「そんなことしてません!」
「だって、わたしが教師になるのをあきらめたのは…。サンのせいだからね」
「…知らないよ」
一瞬、波の音だけが二人の間を通り抜ける。
風がミナの髪を揺らすが、甘い香りはそれほどしない。
照れ隠しにミナは手首を舐めるが、もはや遅い。
「サンと一緒に行った教育実習を見て思ったの。『わたし、この人にはかなわない』って。わたしが頑張っても、サン先生以上になれないって」
「そんなのやってみなきゃわかんないじゃん」
「同じぐらい…いや、それ以上頑張ったんだから、そう言ってるんじゃないの!理屈チビ!!」
「すーがく教師は理屈チビじゃなきゃ務まりません!!」
おなかから出した白い毛並みを揺らしながら、飛ぶように軽トラに駆け込んだミナ。エンジンを掛けるとUターンさせて砂煙を上げる。
残されまいと必死に追い駆けるサンは、海との別れをちょっと寂しく思うのであった。
「サン先生!置いて帰るぞー」
「ねー。もうちょっと、遊ぼうよ!」
――「サン先生、遊びに来たんじゃないんですよー」
「海だあぁ!ひゃっほー!いちばん乗り!!」
猪田先生の運転する車の中で、サン先生は歓喜の声をあげる。
泊瀬谷先生は少し困った顔で、無邪気なコドモな先生をやんわりとたしなめる。
松林を抜け、白い砂浜を見渡す夏の海。さんさんと輝く太陽は、つい先日と変わらない。
車が止まると、真っ先に飛び出したのはサン先生だった。
「サン先生の知り合いのお父さまの紹介の旅館、本当にありがたいです!」
「ええ、ロケーションもバッチリですな。うちの子どもたちにも見せてあげたいくらいの絶景だね」
「こんな素敵なところで林間学校ができるなんて、この夏が楽しみですね」
続いて猪田先生と泊瀬谷先生は周りを見渡しながら、夏風に吹かれていた。その頃、サン先生は既に浅瀬でシャコと戯れていた。
下見そっちのけであるサン先生が、海の中から大きな声で浜辺に向かって叫ぶ。
「ほら!泊瀬谷先生も早く!早く!」
「ええ?わたし…水が苦手なんですよお」
尻尾をたらし、眉を下げて泊瀬谷先生は手を振った。
その答えを聞いてニヤリとサン先生は笑うが突如として、サン先生の足がひんやりと海風にさらされる。急に空に近づいたような気がする。
「サン先生、ここまで来ましたよ。脇に爪立てちゃおっかなあ」
サン先生の背後には、ガマンしながら浅瀬に立っている泊瀬谷先生の姿があった。
泊瀬谷先生はサン先生を抱え上げ、ぽーんと放り投げる。小さな体が青空に舞う。太陽の光を浴びてメガネが光る。
逆光になって尻尾をくるんと…と、この間のような華麗な技は飛び出さなかった。なぜなら泊瀬谷先生、サン先生を投げ飛ばせなかったのだから。
その結果、サン先生はほとんど飛ばずに尻もちついて、水しぶきを上げて被害をこうむる。
「わーん!びしょ濡れだ!!」
――「早く乾かないかなー」
自宅の庭で青い空に並んでなびく洗濯物を杉本ミナは、自宅の畳の居間から眺めていた。
相変わらず太陽は青い星を照らし続け、地上のケモノたちにも夏をお裾分け。風鈴がチリンと小さな音を奏でる。
おかげで洗濯物は乾くのだが、ミナは暑い日差しに心なしか閉口していた。一方、父親はビール片手に夏を楽しんでいる。
庭と繋がっているガレージに止めたミナのバイクは、すっかり元気を取り戻し、ミラーは光を反射させている。
ちらと、ミナは相棒を見つめ呟いた。
「また、サンと海に行きたいな…」
おしまい。
614:わんこ ◆TC02kfS2Q2
09/07/18 13:19:40 L1DrWfVw
投下終了です。
615:創る名無しに見る名無し
09/07/18 17:24:18 Ux5hTk1B
あーもーかわいいなぁ、乙。
616:創る名無しに見る名無し
09/07/18 17:53:52 xGXGVNKP
やっぱなんか一味違う文章だよね
617:創る名無しに見る名無し
09/07/18 21:01:57 soKQoL3R
なんか、なんて褒めたら良いか分からんけど大好きだ!
GJ様!
618:創る名無しに見る名無し
09/07/18 22:31:01 bYuUP1Yg
おぉ、ミナ視点だ。本当に水ダメなんだな。そしてやっぱ好きなんだなぁ、サン先生のこと。
しかし相変わらず描写能力すげー。読んでるだけで海行って気持ちいい気分になったわ。
619:創る名無しに見る名無し
09/07/18 22:43:28 KWTp544F
サン先生、シャコと戯れるのは良いけど、シャコはカニ以上に危ないから気をつけるんだぜ?
何せ、シャコの爪から放たれるシャコパンチは二枚貝の殻を簡単に叩き割る威力があるからな。
高校の頃、修学旅行先の海岸で見つけたシャコを捕まえようとしたら、
シャコパンチの一撃で指の爪が割れて悲鳴を上げる事になった俺からのアドバイスだ。
620:創る名無しに見る名無し
09/07/18 23:41:24 mibupRP8
URLリンク(loda.jp)
621:創る名無しに見る名無し
09/07/19 00:26:03 /aw6x8Jh
>>620
綺麗な景色だなぁ……去年辺りに住んでた家近くの海を思い出すよ。
それとサン先生、海で遊ぶのは良いけど後でシャワーを浴びるのは忘れないでね?
毛皮に付いた塩水が乾燥してとっても痒い事になるから
622:創る名無しに見る名無し
09/07/19 09:26:33 bLiSNc/d
おかしい、なぜグロを書かない?
623:創る名無しに見る名無し
09/07/19 10:44:49 9intH1PG
出来たよ(+o+)
俺の名前は佐藤。狼獣人だ。
俺はギルドの仕事を終え歩いていた。腰にはダガー「赤の血飛沫」。
その時地面が揺れ触手が飛びだしてきた。
俺は赤の血飛沫を構え斬撃を加える・・・手ごたえが無い。
切っても切っても即座に復活しているのだ。
いつの間にか俺は全裸にされ犯されてしまった。
尻がうずいて仕方がない。そこに人間の男が現れる。
「この実験生物はどうだった?淫乱な冒険者さん」
「うう・・・もっと犯してくれ」
「この口調で言う事かな?奴隷は奴隷らしい口調で言ってごらんよあはは♪」
「犯して下さい」
俺の尻に男の肉棒が入れられた。
こうして俺は男の奴隷となってしまった、快楽で俺は気が狂った。肉奴隷(笑)
624:創る名無しに見る名無し
09/07/19 11:29:41 hPCM/i1R
>>620
サン先生はアウトドアが似合うねぇ
625:創る名無しに見る名無し
09/07/19 19:03:51 a1Fec8Ii
うざいねえ
626:創る名無しに見る名無し
09/07/19 19:31:34 a1Fec8Ii
623は私ではありませんよ
627:創る名無しに見る名無し
09/07/19 20:01:58 a1Fec8Ii
このスレは滅びなければならないのです。
悪いのはあいつ。
628:創る名無しに見る名無し
09/07/19 20:23:45 Fq8kv3eq
削除依頼してきました。
629:創る名無しに見る名無し
09/07/19 21:29:09 pAv0l2/f
依頼乙。
>>613
林間学校が出てくるとは思わなかった!またネタが広がっていきそうだ。
630:創る名無しに見る名無し
09/07/19 21:54:19 scgqf9VN
依頼おつん
なんか読んでると林間学校ってより臨海学校って感じだなw
この調子で林間学校ネタも書いてくれるんなら楽しみにしてようかな
631: ◆/zsiCmwdl.
09/07/20 01:00:29 iIHrBw4j
明日は家の近くで夏祭りがあるんだなあ、と思いつつ俺が通りますよ……
これより>>613からリレー?した話を投下します。
632: ◆/zsiCmwdl.
09/07/20 01:01:40 iIHrBw4j
「ひゃっほ―、海だぁぁぁ!」
空に真夏の日差し煌く白亜の海岸、子供の様にはしゃぐサン先生の声が波音を一瞬だけ打ち消す。
その後に少し困り顔で付いて来るのは泊瀬谷先生、そして猪田先生。
そして更にその後には、ビーチマットとビーチパラソルを両脇に抱えた獅子宮先生の姿があった。
今日は佳望学園高等部の臨海学校の下見。海に危険が無いかを確める為に彼らはここに訪れたのだ。
「ほら! 泊瀬谷先生も早く! 早く!」
「ええ? わたし…水が苦手なんですよお」
早速波打ち際で遊んでいるサン先生と泊瀬谷先生を横目に、
獅子宮先生は波打ち際から少し離れた場所にビーチマットを敷いて、その側にビーチパラソルをしっかり立てると、
パラソルを開いてその影にビーチマットが入っているのを確認し、ビーチマットへごろりと横になる。
そして、咥え煙草へ火をつけた獅子宮先生は、空の青と海の蒼の触れ合う水平線を眺めて心地良さ気に呟く。
「……こう言う所で吸う煙草も、一興だな」
「おや? 獅子宮先生も海に入らないのですか?」
「いや、私は結構だ。私は海に入ってキャイキャイと遊ぶ様なガラじゃあないんだ」
隣に座った猪田先生へ言って獅子宮先生は煙草をプカリ。煙は夏風に吹かれて消えていった。
目の前では、勇気を振り絞って海に入った泊瀬谷先生の逆襲によって浅瀬へ尻餅を付いたサン先生が喚く姿。
相当派手に水飛沫を上げたらしく、サン先生は服はおろか尻尾も耳の先もずぶ濡れ。
それを目にした獅子宮先生と猪田先生の顔に、自然と笑みが零れる。
と、其処へ一旦海遊びを切り上げたサン先生と泊瀬谷先生が談話しつつ戻ってきた。
「あーもう、酷い目にあったよ……」
「つまらない事をするからそうなるんですよ? サン先生」
「ふふ、濡れ鼠ならぬ濡れ犬か。中々似合ってるじゃないか、とっつあんぼうや」
「もう、獅子宮先生まで! ちょっと着替えてくる!」
獅子宮先生にからかわれてぷうっと頬を膨らませたサン先生は、
着替えの服でも取りに行くのか浜辺へ止めた猪田先生の車へ一直線。
夏風の様に去り行くサンの尻尾を見送った獅子宮先生はクスリ、とだけ笑うと、再び煙草をぷかぷかと吸い始める。
その横に座っているのはかつての恩師。高校生の頃だったら煙草を咥えるなり即座に注意をされて居た事だろう。
しかし、今の獅子宮先生は毛並みもそろった立派な大人、煙草を吸うかつての教え子に猪田先生も苦笑いを浮べるしかない。
「獅子宮先生、煙草を吸うのも良いですけど、程々にしておいてくださいね?」
「分かってるさ、泊瀬谷。…だが、こう言う時、こう言う場所じゃないとのびのびと煙草を吸えなくてな」
悪く思わないでくれよ? と笑う獅子宮先生に、泊瀬谷先生も仕方ないですねと返す。
近頃、健康増進法のお陰で煙草が吸える場所が減ったと、獅子宮先生は至極残念そうにぼやいていた。
そんな姿を目にしていたら、たまには思いっきり煙草を味あわせてやっても良いかな、と泊瀬谷先生が思うのも無理も無い。
「やはり、こう言う場所で吸う煙草もいい物だな」
純白の言葉をそのまま体現したような白亜の砂浜。
波と共に涼しく優しい海風を送り続ける母なる青い海
眺め続けていたらそのまま吸い込まれてしまいそうな蒼い空。
一つまみして口に入れたら甘い味が広がりそうな白く大きな入道雲
こんな爽快な環境の中でのびのびと吸う煙草は、何時もの肩身の狭い想いをして吸う煙草とは一味も二味も違う。
そう、心地良い気分を味わいながら、獅子宮先生がもう一息煙を吸おうとした矢先。
ばしゃ
――その顔へ不意に掛かる水飛沫。
獅子宮先生は何が起きたのかも分からないまま、咥えている煙草へ目を移すと
すっかり濡れてしまった煙草が途中からボロリと崩れ落ちる様子が見えた。
633: ◆/zsiCmwdl.
09/07/20 01:02:56 iIHrBw4j
「やったぁ! 命中ど真ん中!」
「…………」
突然の事で猪田先生と泊瀬谷先生が硬直する中、
獅子宮先生がぎぎぎっ、とまるで長い間手入れされていないブリキ人形の様に水が飛んで来た先へ振り向く。
其処には、肉球のアップリケをあしらった水着に水玉模様の浮き輪、そして片手に水鉄砲と言うフル装備のサン先生の姿。
どうやら、着替えに行ったと見せかけて、猪田先生の車の中で水遊び装備へフォームチェンジを行い、
そして、こっそりと獅子宮先生の死角へと接近し、その手にした水鉄砲で咥え煙草をスナイプした、と言った所だろうか。
心地良くなっている所で文字通り水を差され、呆然とする獅子宮先生へサン先生は尻尾を振りながら勝ち誇った様に
「へっへん、ボクの事をバカにしたお返しだよ! 獅子宮センセ」
「……やってくれたな、とっつあんぼうや」
「うわ、怒った! やっベー、逃げろー!」
ようやく自分に起きた事を理解した獅子宮先生が、全身に怒気を纏わせつつゆっくりと立ち上がった頃には、
サン先生は子供の様にふざけながらくるりと踵を返し海の方へダッシュ。そのままざぶざぶと海の中へと入る。
そして、浮き輪でぷかぷかと海面に浮かびながら、サン先生は波打ち際で尻尾を振りまわす獅子宮先生へ囃し立てる。
「ほらほら、獅子宮センセ! 悔しかったらこっちまでおいで!」
「……」
しかし、獅子宮先生は隻眼の瞳で睨むだけで海に入ろうとしない。
そう、獅子宮先生の種族である獅子族はネコ族の親類だけあって、水が苦手。
その上、今、サン先生が居る浅瀬は獅子宮先生の胸の辺りの深さがある。
これならば、幾ら獅子宮先生といえど追ってくる事は出来ない。……そう、サン先生は考えていた。
「サン先生、悪い事は言いませんから今直ぐ獅子宮先生へ謝った方が良いですよー?」
「そ、そうですよう? 早く謝らないとこの前みたいに髭を全部抜かれちゃいますよー?」
砂浜の方から必死にサン先生へ呼び掛ける猪田先生と泊瀬谷先生。
むろんの事、トリックスターなイヌの教師は全くもって聞く耳持たず、更に獅子宮先生へ囃し立てる。
「ほらほら、海に入ったら気持ち良いよ―? まあ、獅子宮センセには無理だと…思う…けど…?」
しかし、そのサン先生の言葉は途中から波の音にかき消される事になる。
全く躊躇する事無く、ざぶざぶと海中へ入って行く獅子宮先生の姿を前にした事によって。
634: ◆/zsiCmwdl.
09/07/20 01:04:07 iIHrBw4j
「あ、あれ? 嘘でしょ? 獅子宮センセ、無理しちゃダメだって、ねえ?」
サン先生の言葉を耳にも止めず、海中を行く大魔神の如くサン先生へ迫ってくる獅子宮先生、
当然、激しく狼狽したサン先生は慌てて沖の方へと逃げようとするが、
海は悪戯者の味方にはなってくれず、押し寄せる波は必死に泳ぐ小さなイヌを海岸の方へぐいぐいと押し流す。
それでもサン先生は必死に泳ごうとした所で、手足に感じていた海水の手応えが急に消えたのを感じた。
「よう、とっつあんぼうや。ずいぶんとご機嫌な様だったな?」
直ぐ後にいた獅子宮先生が片手でサン先生の頭を掴み、天高く持ち上げていた。手足が空を切るのも当然である。
その声はどちらかといえば我慢していると言うより、身体の内で煮え滾った怒りを堪えている様な響き。
ポタリ、ポタリ、とサン先生の身体から落ちる水滴の中に、彼の冷や汗が混じっていてもおかしくはない。
「さては、私が水の中に入ってこれないとかハッピーな事を考えていたんだろうな?」
獅子宮先生は掴んでいるサン先生を自分の方向へ向けると、ギタリと牙を見せて笑って見せる。
その時、サン先生の背筋に走った寒気は、決して海水の冷たさだけの物ではないだろう。
ふと海岸の方を見れば、其処には指で十字を切っている猪田先生と、何かに祈る泊瀬谷先生の姿が見えた。
「そんなハッピーな思考のお前に一つだけいい事を教えておいてやる」
「え、えっと、それってナにかな?」
ようやく喉から搾り出したサン先生の問い掛けに、獅子宮先生は「それはな…」と呟くと、
「私は中学の頃に、水は克服済みだ!!」
吼える様に叫びながらサン先生を沖の方へブン投げた!
乱暴な子供に投げられた玩具の様に宙を舞うサン先生、太陽の光を浴びてメガネが煌く。
逆光になって尻尾をくるんと…と、其処までした所でサン先生はふと気付いた。
(あ……そう言えば、海のど真ん中で着地なんて出来っこないじゃん!?)
ざぽばーん!!
しかし、其処まで考えた所で、サン先生は派手な水音と共に意識を失った。
635: ◆/zsiCmwdl.
09/07/20 01:05:23 iIHrBw4j
「ん……あれ、ここは?」
「あ、サン先生、大丈夫ですか? 体の具合は如何ですか?」
「あ、うん、何とか大丈夫…」
―次にサン先生が意識を取り戻した時、
サン先生は海岸のビーチマットの上で泊瀬谷先生に介抱されている所であった。
どうやら、溺れてしまう寸での所で誰かに救助されたらしい。
「全く、獅子宮くん…幾ら頭に来たからってあそこまでする必要はないだろう?」
「………」
ふと、サン先生が横を見ると、其処には猪田先生に正座で説教される獅子宮先生の姿があった。
その様子の余りの滑稽さに、サン先生が思わず笑いを漏らそうとした矢先。猪田先生は衝撃的な事を言った。
「僕が人工呼吸しなければ、危うくサン先生は死ぬ所だったんですよ? 分かってるんですか?」
「…す、すまない…」
(……え゛? じ…じんこうこきゅう? い、猪田先生が、ボクに?)
この時、サン先生は自分の心にピシリと大きな亀裂が入るのを感じていた。
つうこんのいちげき サンの心に875のダメージ、サンは力尽きた。
と言う声が心の何処かで響くと共に、サン先生は再び意識を失った。
「――」
「ちょ、サン先生? 何でまた気絶するんですか? サン先生!? サン先生!?」
「敬語を使いなさい! 獅子宮くん。今、君は教師じゃなくて生徒として僕に叱られている事、分かってるね?」
「ご、ごめんなさい……」
――そして、真夏の太陽が輝く海岸にて。
かつての恩師に叱られる獅子の教師と、衝撃的事実を知って気を失ったイヌの教師の間を
何時もの様に夏の海風が静かに吹き抜けるのであった。
636:創る名無しに見る名無し
09/07/20 01:06:06 +zKU0Aqa
JTの挿絵希望
637: ◆/zsiCmwdl.
09/07/20 01:06:47 iIHrBw4j
以上です。
ここ最近は海に行ってないなぁ(´・ω・`)
638:創る名無しに見る名無し
09/07/20 01:07:27 VSht3lz8
いのりんテラ命の恩人
639:創る名無しに見る名無し
09/07/20 01:14:58 QmNiB6xB
いえいえ天候制御の絵が見たいです
640:創る名無しに見る名無し
09/07/20 04:31:52 os/7Vy86
更に>>635を勝手にリレーするの巻
641:携帯 ◆4c4pP9RpKE
09/07/20 04:36:36 os/7Vy86
「うーむ、完全に挨拶するタイミングを逸してしまった」
サン先生が水際で獅子宮先生を挑発し始めた頃、美術教師水島は少し沖の海に居た。
立ち泳ぎで頭だけ出して浜を観察する姿はさながら海坊主である。
彼はサン先生率いる臨海合宿の前調査とは全く別の目的で、偶然同じ浜を訪れていた。
《夏期休暇限定、黒潮に乗って北上部》の前調査である。
水棲生物な生徒達からは通称《くろのり》で知られる恋の芽生えるチャンス多き人気の
部活だ。
だが水島が実際に泳いでみた結果、一昨年にも増して巨大クラゲが多いため、やむなく
中止を決定したところであった。
夏休みに愛しい生徒達(主に女子)に会えない事を残念に思いながら浜に向かう折、サン
先生一行を見つけた次第である。
水島が浜を見やると、サン先生が獅子宮先生に水を掛けた。
獅子宮先生の毛並みが濡れ、服が濡れ、テラテラと輝く。
「ほほう……」
意味深に呟く水島。
水面下で鼻の下はのびていた。
エロ海坊主である。
サン先生が海へ駆け、挑発する。
獅子宮先生が憤怒し、海へ駆ける。
そして目にも止まらぬうちにキャッチ&スロー。
片腕をぐるりと回した男勝りなピッチングであった。
水島は、外野に高く上がったフライをキャッチするような心持ちで、サン先生の放物線
を眺めていた。
「おー、よく飛んどるのぅ……オーライオーライ」
─ドバチャーーン!
「ぐえっ!」
見事、回転のついた白球(サン先生)が水島にミートした。
ランナーアウト。
ランナーのシャコが悔しがったかは判然としない。
(いててっ!マジ洒落にならんくらい痛かった!)
水島は水中に潜ってサン先生と距離を取った。
が、打ち所が悪かったのか、サン先生は白目を剥いて沈んで来た。
(ちょっ……!起きろ!起きろサン先生!傷は深いか?浅井カー!)
水島はテンパって親父ギャグを飛ばしたが、アザラシの水中話法を犬が解するはずも無
い。
水面に浮上して、サン先生の口をしっかり押さえる。
(戻ってこーい!)
水島はサン先生の口をしっかり押さえたまま、サン先生の鼻先に空気を吹き込んだ。
「ぶはっ!げほっ!し、死ぬかと思った」
サン先生が水を吐いて気を取り戻した。
「大丈夫ですかサン先生?ワシが人工呼吸しなきゃ死んでましたぞ」
「あれ、水島先生?なんでここに……ていうかじ人工呼吸ぅぅ?!せ、先生がやったの?」
「当たり前でしょうが」
「うーん……」
がくっ。
サン先生はまたもや気絶し、水中に沈んでしまった。
水島は慌ててサン先生を引き上げようとしたが、「大丈夫ですかサン先生!今助けます!」
と叫ぶいのりんが猛然とクロールで近付いて来たので、水島はいのりんにサン先生を任せ
て、見つかる前にその場を去ったのだった。
サン先生が獣同士の人工呼吸がマウストゥマウスでは構造的に成立しないのに気付いた
のは、浜辺から帰って口を濯いだ時だったとさ。
お終い
642:創る名無しに見る名無し
09/07/20 10:00:02 bvO/gaKB
黒幕がいたのかw
643:創る名無しに見る名無し
09/07/20 10:29:41 tkB8bgK6
猫とか小犬が溺れて水飲んでた場合、脚掴んで思い切り振り回して吐き出させろ、って聞いたことがある
644:創る名無しに見る名無し
09/07/20 16:12:55 L28ILkzW
話しの流れをぶった切りつつ…
URLリンク(loda.jp)
645:創る名無しに見る名無し
09/07/20 16:13:52 TNM7UEva
ふたば@オスケモ三次会やってるよー!!
URLリンク(jun.2chan.net)
646:創る名無しに見る名無し
09/07/20 16:22:52 Y4orn+fT
水島先生って使いづらいんだよね
作者のトリが某氏だから・・・
647:創る名無しに見る名無し
09/07/20 22:20:43 vpmDUkb7
黒い毛の獣人は日光を吸収しまくって暑そう
648:創る名無しに見る名無し
09/07/20 22:22:25 BvPLfVUZ
黒豹とかどうするんだろう……
649:創る名無しに見る名無し
09/07/20 22:28:48 221KUxE2
焼けただれて苦しんで死ぬ
650:創る名無しに見る名無し
09/07/20 22:31:06 221KUxE2
こんなに登場キャラが居るんだから一人ぐらい死者が出ても可笑しくないわね。
私も小説書こうかしら。
651:創る名無しに見る名無し
09/07/20 22:33:32 221KUxE2
誰からも相手にされなくても良い
復讐しなければならないのです。
652:創る名無しに見る名無し
09/07/20 22:35:07 221KUxE2
ここのスレ民がバトロワスレも見ていることはわかっている。
私に喧嘩を売っていることもな!
653:創る名無しに見る名無し
09/07/20 22:47:08 rArjs8dh
なにこれ・・・
654:創る名無しに見る名無し
09/07/20 22:48:39 VSht3lz8
荒らしに構うのも荒らしと同じだよ。
あとでレスまとめて削除依頼出してくる。
655:創る名無しに見る名無し
09/07/21 00:02:50 bvO/gaKB
修行を積み、心を無にすれば、自ずともふもふ感漂うレス以外は見えなくなるのじゃ
656:創る名無しに見る名無し
09/07/21 00:10:50 7EaneUJk
>>655
スフィンクスの猫人「あの……それだともふもふじゃない僕は見えないって事ですか?」
657:創る名無しに見る名無し
09/07/21 00:12:09 IY5irEzs
ここのスレは荒らしに対するスルースキルかなり良い方で、心強いよw
>>656
すべすべに触られるんですね、わかります。
海ネタで思い出したけど、花火大会や夏祭りネタもまだまだあるよね。
あとは夏休み中の、学校での講習とかもあるなー。
658:創る名無しに見る名無し
09/07/21 01:30:43 Cj8+U4eJ
>>656見てくれに惑わされるでない、もふもふ感とは心で感じるものなのじゃ
659:創る名無しに見る名無し
09/07/21 03:07:43 D12MHvzz
利里「もふもふだぜ!」
堅吾「おう!」
猛「……」
鎌田「ゴツゴツだね」
660:創る名無しに見る名無し
09/07/21 03:53:14 r8uGdcaD
奥さん 「ぶよぶよだねー」
お子さん「だねー」
いのりん「……ごめんなさい」
661:創る名無しに見る名無し
09/07/21 14:17:29 RXFdGP9L
このスレも股間同盟です
▼・ェ・▼
662:創る名無しに見る名無し
09/07/21 18:26:20 qJRQO7q5
>>660
いのりんのお腹は一年を通して周期的に増減します
しかし歳を重ねるごとに少しずつその総量が増しています
663:創る名無しに見る名無し
09/07/21 18:29:37 ZAYDYmJQ
地球温暖化の気温変化のグラフのようにな
664:創る名無しに見る名無し
09/07/21 21:12:11 uasPwyG5
歳の割に少女趣味かしら?
URLリンク(loda.jp)
665:創る名無しに見る名無し
09/07/21 21:56:53 7EaneUJk
>>664
相変わらず利枝さんは美人だなぁ……
これで英先生と同い年とは到底信じられnウワナニ
666:創る名無しに見る名無し
09/07/21 22:11:48 +KYYwkbt
>>664
むしろけしからん、実にけしからん
667:創る名無しに見る名無し
09/07/21 22:14:43 0JOO0yGV
花屋「そろそろ、……結婚したい」
668:創る名無しに見る名無し
09/07/21 22:22:18 eQtac7GJ
そういえば花屋の枯れてる店長も黒豹だっけか
669:創る名無しに見る名無し
09/07/22 01:26:56 Xelkiez1
跳月「晴れろ、晴れろ!」
白倉「跳月先生、空に腕をかかげて何してるんスか?」
跳月「皆既日食が曇りで見られないかもしれないんです、お祈りしてるんですよ、念で」
白倉「天気予報じゃ晴れっぽいッスけど」
跳月「不安なんです」
白倉「跳月先生ともあろう方が、雨乞いだなんて、なんか意外ッス」
跳月「あまごい? 雨乞いじゃないですよ、逆ですよ」
白倉「ん、あれ?」
跳月「そうですよね、こんな非科学的なことをするなんて、僕もどうかしてました」
白倉「いえいえ、一緒にヤりましょう」
跳月「え?」
白倉「晴れろ、晴れろ~~」
跳月「晴れろ、晴れろ!」
校長「ブホッ」
シロ「仕事、しろよ」
670:創る名無しに見る名無し
09/07/22 01:37:59 ancaUuLZ
>>669
「あれ? 獅子宮先生。そんなにてるてる坊主を作って如何したんですか?」
「ああ、泊瀬谷か……なに、滅多に見られない物を見たいと願うのは、誰でも同じって事さ」
「はぁ、そう…ですか?」
671:創る名無しに見る名無し
09/07/22 02:37:33 Z4KMOORW
なにこの流れ…
672:創る名無しに見る名無し
09/07/22 22:43:42 av7/8vsz
雲の隙間から三日月っぽいのが見えた
次は20年後か…
673:創る名無しに見る名無し
09/07/23 00:04:59 CzHcvI/l
天文部は日食見れたかな
674:創る名無しに見る名無し
09/07/23 00:09:30 7GFZV+3l
天候を制御しました
▼・w・▼
675:創る名無しに見る名無し
09/07/23 00:11:30 3PTVNZ4p
直前に日食チェック用の遮光レンズを買い忘れた事を思い出し自転車に乗って近所の店を梯子するいのりん
そして辿り着いた最後の店で何とか見つけるも同じ理由で駆けずり回ってきたマーシャが立ちふさがる
壮絶なジャンケンバトルが開始されたが勝負がついたときにはサン先生がお買い上げしていたのだった
お子さんの方にはサン先生のプレゼントとしてちゃんと遮光レンズは届きましたよ
676:創る名無しに見る名無し
09/07/23 00:37:36 xwYMAP2n
このスレ、クオリティ下がりましたね・・・
とても残念です。
677:創る名無しに見る名無し
09/07/23 00:50:03 LTFSCC19
「そうは言ってもですね、泊瀬谷先生……。次の皆既は何年後だと思ってるんですか。たしか二十……」
「次は、二十六年後の九月二日ですよ」突然二人の足元から朗らかな声がした。
「うわぁ、そら先生いつの間に!」
三人が驚いて飛びのくと、足元には小柄な狸の女性が盆を持って立っていた。
背の丈は泊瀬谷と同じ年とは思えないほど小さく、サンより一寸ばかり高いか、というくらいだ。
かろうじて開いていると分かる細い目に、柔らかな光が宿っている。
そらと呼ばれた彼女、百武そらはにこやかに二人に湯飲みを差し出した。
「白倉さんも跳月さんもそんなに浮かない顔しないで下さいな。まあ、お茶でも飲んで元気を出してください」
「百武先生、アンタ日食って自分の専門分野じゃないスか。何故そんなに落ち着いていられるんスか。
皆既ッスよ?滅多に見られないんスよ!?」
白倉の怒涛の問にも、百武は何時もののんびりした口調で答える。
「皆既日食なんて、生きていればいつかは見れますよぉ。私は皆既より金環食の方が好きですしね。すぐ三年後に見られますし」
「ああ、そうか。金環ももうすぐですね。たしか皆既よりも金環のほうが珍しいんでしたっけ」
「金環っスか……。まあ悔やんでいても天気がどうにかなる筈がないっスね。三年後に期待しますか」
「へぇ、金環ってのも結構すぐに見られるんですね。その頃には私、教師として落ち着いているのかなぁ」
678:創る名無しに見る名無し
09/07/23 00:52:27 LTFSCC19
1番目の文章誤爆した……。
場所変えただけなのに恥ずかしい……。
>>677よりさきにこっちです。
水滴が窓ガラスに当たって弾け、一筋の跡を残して消えていく。
梅雨は明けたというのに、外ではざあざあと雨が降っていた。
「ああ~、何故こういう特別な日に限って雨が降るんスか!」
「まったくですよ、皆既なんて滅多にないことなのに」
佳望学園の職員室では白倉と跳月が愚痴をこぼしながら窓辺で頬杖を付いていた。
いつもはハードボイルドな獅子宮の顔もどことなく曇っているように見える。
職員室では他にも数名が、仕事の合間に、夏休み最終日の小学生のような顔をしながら外を見つめていた。
「て、天気はどうにもなりませんからね……。お二人ともそんなに落ち込まなくてもいいじゃないですか」
二人の傍へ寄り、泊瀬谷が声をかける。
彼女も数十年ぶりだ、と言われている日食を楽しみにしていたのだが、二人の背中を見て、落ち込んではいられないと感じたようだ。
だが楽しみを潰された二人には泊瀬谷の言葉も功を成さず。
跳月がどんよりとした声で呟く。
679:創る名無しに見る名無し
09/07/23 00:53:17 LTFSCC19
百武の言葉に三人はいくらか励まされたようではあった。
その様子を見た百武は胸を撫で下ろしたが、何時もの面子に一人誰かが足りないことに気づいた。
「あれ?そういえばサン先生がいないですね」
「あ、そういえばいないッスね。雨だからプールにはいないはずですし」
「ひょっとしてわざわざ南の島まで見に行ってたりして……」
「泊瀬谷先生、いくらサン先生でもそれはないですよ」
跳月が突込みを入れ、職員室はしばらく暖かい空気に包まれた。
一方その頃、某島にて―
「こんな嵐になるなんて聞いてないよ!こんなんじゃ観測どころじゃ……うわぁぁぁぁ!」
この日、サンは生まれて初めて大空部の力を借りずに空を飛んだという。
680:創る名無しに見る名無し
09/07/23 00:54:37 OYgC+9YB
支援
681:創る名無しに見る名無し
09/07/23 00:56:26 LTFSCC19
日食ブームに乗じて新しい先生(ロリ)投入してみます。
担当は地学。天文部顧問かな?
ちなみに苗字はヒャクタケ。初恋の人はアルタイル。
白先生、なにやってもいいのよ(^q^)
682:創る名無しに見る名無し
09/07/23 00:57:56 OYgC+9YB
い、いやしかし、それは俗にいうババ……後ろから殺気がうわなにをs
683:創る名無しに見る名無し
09/07/23 01:00:09 LJhgvFUJ
>>681-682
新属性ケモロリババァって事ですね、分かり――いえ、分かりません、ハイ(滝汗
684:創る名無しに見る名無し
09/07/23 01:24:09 LJhgvFUJ
>>681
書き忘れていたけど、色々な意味でドンマイだぜ!
失敗は成功の鍵と言うからな、気にスンな!
685:創る名無しに見る名無し
09/07/23 01:59:10 5WI7r92P
>>681
Kさんです?
686:創る名無しに見る名無し
09/07/23 02:18:02 8F4RTUFe
購買のおばちゃん一筋の俺には関係の無い話ですね
687:創る名無しに見る名無し
09/07/23 03:48:07 58Q6k24+
当て付けか
688:創る名無しに見る名無し
09/07/23 12:36:18 6WyVCyeF
>>685
??
689:創る名無しに見る名無し
09/07/23 19:35:23 RzusZly2
>>686
「わたしを持ち上げてご機嫌伺うぐらいなら、1円でもいいから購買部の売り上に貢献しなさいよ。
黄色いクチバシでガッコの古狸を騙くらかそうなんて、あんたさぁ100年早いよ」
690:創る名無しに見る名無し
09/07/23 19:48:23 OYgC+9YB
確かに購買のおばちゃんならこれくらいの勢いないと逆に不安になるなw
691:創る名無しに見る名無し
09/07/23 22:29:27 42mXUoIF
URLリンク(loda.jp)
692:創る名無しに見る名無し
09/07/23 22:32:36 8F4RTUFe
熟専で悪いか!
693:創る名無しに見る名無し
09/07/23 22:37:52 42mXUoIF
>>629
ありゃ…もう少し年齢を上げて描いたほうがよかったですか?
694:創る名無しに見る名無し
09/07/23 22:55:46 8F4RTUFe
スイマセン 無駄に叫びたかっただけです…
695:創る名無しに見る名無し
09/07/24 00:20:05 TH38IHuP
うわ、きもちわる
696:創る名無しに見る名無し
09/07/24 00:27:07 GH798g9N
>>691
何だか二人が血縁関係に見えてきたのは俺だけなのだろうか?
>>692
余りにタイミング良過ぎな書きこみに思わずワロタ
697:創る名無しに見る名無し
09/07/24 00:33:36 TH38IHuP
ざんねん
698:創る名無しに見る名無し
09/07/24 02:59:58 YZuGe22o
日食当日の深夜、ふと思い立って飛行機チケットの予約サイトを調べたら
奄美大島までのチケットが1枚残ってる…思わず衝動に身を任せたくなりました。
きっとサン先生もこんな感じでいっちゃったんでしょうね。
ちなみに復路のチケットは1週間先までありませんでした、あぶねあぶねw
そういえば山野先生もお出かけ中? 二人して同じ島で見てたりして。
>>664
黒い毛並に白のワンピが良くお似合いですよ~、おっきな麦わら帽子も一緒に
合わせたくなりますね。
>>691
そら先生、笑い顔が素敵じゃありませんか。
おばちゃん、やきそばバンとコロッケパンおくれ。
>>686 >>692
(゚∀゚)人(゚∀゚)ナカーマナカーマ
699:見習い ◆zYSTXAtBqk
09/07/24 07:55:23 dt3E8x0Y
ブラウザ上で見ると手抜いてるのがバレバレ
URLリンク(loda.jp)
初期設定
URLリンク(loda.jp)
700:創る名無しに見る名無し
09/07/24 14:19:35 TH38IHuP
天候制御きた!
これで勝つる
701:創る名無しに見る名無し
09/07/24 20:54:56 oW0NGidd
さもなくばモフモフしてやる
702:創る名無しに見る名無し
09/07/24 20:58:18 LK1f5Wf1
>>699
A君がwwww
703:創る名無しに見る名無し
09/07/24 23:46:41 92kl7YDy
>>699
フラッシュアニメktkr
キャラ、かわええ。それにしてもAくんー!!
704:創る名無しに見る名無し
09/07/25 01:04:58 ivHUHP0p
もし、俺が、ケモ学以外のシリーズをスタートさせるとか言い出したら、おまえらどうする?
705:創る名無しに見る名無し
09/07/25 01:07:06 6/1jKfOh
すればいいとおもうよ
706:創る名無しに見る名無し
09/07/25 01:07:54 eI/8EdGZ
全力で応援しつつサイドストーリー書くぜ
707:創る名無しに見る名無し
09/07/25 01:21:49 kPQGs8dw
>>704
早く投下しろーーー!間に合わなくなっても知らんぞーーー!!
あ、普通に支援しますよ。wktk
708:創る名無しに見る名無し
09/07/25 01:23:53 neuqguuh
>>704
別スレ立てたほうがいいと思う
ここはケモ学スレだからね
709:創る名無しに見る名無し
09/07/25 01:28:17 c5heOJPV
>>704
許可する、やれ。
710:創る名無しに見る名無し
09/07/25 01:45:46 pEMPfWJm
>>704
奇遇だな…実は俺もケモ学以外で何か書いて良いものか悩んでたんだ…
711:創る名無しに見る名無し
09/07/25 01:53:40 kPQGs8dw
つーかケモ学以外でも色んな連載作品あるじゃないかw
単品作品も多いし、あまり気にしないでどんどん投下した方が。
712:創る名無しに見る名無し
09/07/25 03:16:46 6/1jKfOh
そういえばどっちの作品もいいとこで止まってたな…
713:「初等部、夏の始まり」1/2携帯 ◆4c4pP9RpKE
09/07/25 04:23:21 wpRduLXO
夏の日差しがジリジリと照り付ける正午ごろ、大場犬太は下校するべく校門から伸びる
下り坂を歩いていた。
「お、重いぃぃ……」
そして、半ば苦悶していた。
彼を小学生然とした外観たらしめる小学生の象徴“ランドセル”が重すぎるからだ。
無限の未来と夢が詰まっているから、ではない。
犬太のパンパンのランドセルには、休み前に怠けたツケが、大量の荷物となって詰まっ
ていた。
本来の容量を超えて詰め込まれたプリントと教科書の山はなおも大量にランドセルから
溢れ、中に納まらなかった分をランドセルの垂れでムリヤリ巻き止めてある。
ランドセルの厚さを絞めるためのベルトにはソプラノリコーダーが刺さっており、交通
安全の黄色手帳をぶら下げるはずのキーホルダーには体育着袋が縛り付けてある。
右手には絵の具セット、左手には裁縫セット。
首から下げたエコバックには、習字セットと夏休み帳と夏休みのしおりが、これでもか
と言うほどぐちゃぐちゃに突っ込まれている。
ミーンミーンミーンジワジワジワジー。
見た目ばかり涼しげで実感の涼しさが伴わない木漏れ日を形作る街路樹の松に取り付く
蝉さえも、犬太を嘲笑うかのようだ。
蝉に悪意は無かったが、通りすがった級友には悪意、あるいは悪戯心が満ちていた。
「ニャハハハ、荷物が歩いてるニャ!」
「犬太……おまえはホントに“大場カ”野郎だニャ」
ミケが笑って、クロが呆れる。
彼女らは学期末になる以前からロッカーに無駄な物を置いていなかったから、ランドセ
ルには夏休み帳だけがパタパタと鳴っていた。
「うるさいっての!僕は明日できる事は明日に回して遊ぶのっ!荷物無いなら手伝え!」
「やなこったニャ。やーい、駄犬太ー」
「くっそぅ!いちいち腹の立つヤツ!」
いつもならここまで言われればクロにとっ組みかかる犬太だが、今日に限っては合計十
キロ超の荷物に押さえ付けられている。焼けたアスファルトに足の裏を熱されて足踏みす
るだけでも、あっちへふらふらこっちへふらふらする状態だった。
ハタから見れば単なるケンカだが、ミケはちょっと違う事が気になった。
(ミケが、大場のこと、ケンタって呼んだニャ。そんな仲良かったかニャ?)
行商人みたいな犬太とそれを茶化すクロから3歩遅れて、小首をかしげるミケ。
クロと犬太には、人に言えない秘密がある。
それは犬太の姉、狗音と、クロの姉、美琴に関することであり、二人の間に何かがある
わけではなかった。姉らのことについて相談しあうために、二人で会うことが多かったか
ら、ちょっと馴々しく呼び合うようになってしまっただけだったのだが……。
(なんか、あの二人怪しいニャ)
二人の秘密はミケに壮大な勘違いをさせてしまったようだ。
714:「初等部、夏の始まり」2/2携帯 ◆4c4pP9RpKE
09/07/25 04:24:59 wpRduLXO
ミケ猫ホームズがむむむとうなる背後から、ゴーーっと何かが駆け抜けた。
「こ、こわいニャ~! 止めて欲しいニャ~!」
「そらあかんわ!こっからの坂がいっちゃん楽しいねんから!めざせアイルトンセナ!」
「あはは!走行中にセナは縁起悪いよ!」
サン先生の手押し荷台(浅井カー)が坂を突っ切る。先頭に泣きっ面のコレッタが座り、
その後ろに楽しげな葉狐が膝立ち、最後尾に舵を取るサン先生が立っている。
「どうだいコレッタ、速いだろう僕の愛車!」
「とーめーてー!」
「ほんま、なんべん乗っても楽しいで!」
「そーだろー!楽しいだろー!」
「とめろニャー!」
ゴーー……。手押し台車は騒音を立てながらノンストップ。
坂を駆け抜ける浅井カーを見送り、クロとミケは顔を見合わせる。
「なんか面白そうじゃなかったかニャ?」とクロ。
「まだ追いつくかもニャ。走るニャ!」とミケ。
さっきまで何をしていたのかも忘れて、クロもミケも駆け出した。
残されたのは犬太一人。
「ま、待ってよぅ。待ってよぉぉう!」
七月後半。
夏休みは始まったばかりである。
終
715:創る名無しに見る名無し
09/07/25 04:38:13 wpRduLXO
訂正が一ヶありました……
×(ミケが、大場のこと、ケンタって呼んだニャ。そんな仲良かったかニャ?)
↓
○(クロが、大場のこと、ケンタって呼んだニャ。そんな仲良かったかニャ?)
716:創る名無しに見る名無し
09/07/26 03:20:51 lmmdhjiK
うわ、夏休み前の重たいランドセルとか懐いわ
そーなるんだよなー普段怠慢してると
やっぱ犬太、いろいろ犬っぽくてかわいいな
717:創る名無しに見る名無し
09/07/26 15:23:02 f/eyojq3
URLリンク(loda.jp)
描き忘れたけど、画板をもって帰るのが大変だった記憶が有るのだけど、その
後画板ってどうしたんだったかしら? 捨てた記憶もないし…?
お人形遊び。
URLリンク(loda.jp)
718:創る名無しに見る名無し
09/07/26 16:12:32 xf+OBs+C
いのりんの目つきとか遺伝しなくて本当に良かったな
俺今ならロリコンの気持ちがなんだか分かる
719:創る名無しに見る名無し
09/07/26 16:29:38 Q0luQLI+
良い姉ちゃん持ったなぁ犬太。
百合なのが惜しいようなむしろ付加価値なような複雑な気分w
720:創る名無しに見る名無し
09/07/26 17:58:55 bNXDNbDo
前から思ってたんだが…
ハーフってどんな条件で生まれるの?
721:創る名無しに見る名無し
09/07/26 19:16:27 4m7QpOCl
お、おまわりさーん!ここに変質者>>718がー!
722:創る名無しに見る名無し
09/07/26 19:59:20 Q0luQLI+
ジョー&ウルフ「俺ら交通課なんで」
723:創る名無しに見る名無し
09/07/26 20:12:09 4m7QpOCl
ヽ(・ω・)/ ズコー
\(.\ ノ
724:創る名無しに見る名無し
09/07/26 20:16:30 n65hCcCA
>>720
両方の種の特性を受け継いだハーフはウン万分の一で産まれる、と俺は勝手に思っている。
725:創る名無しに見る名無し
09/07/26 20:17:08 okBtRSiJ
警察はまさに国家の犬
726:創る名無しに見る名無し
09/07/26 20:25:24 Q0luQLI+
>>724
細かい設定はぼかしておいた方がよかですよ
>>725
www
727:創る名無しに見る名無し
09/07/26 20:32:20 lmmdhjiK
犬の能力と人の頭脳を併せ持つこの世界の警察はきっと捜査能力が半端ない
728:創る名無しに見る名無し
09/07/26 22:14:57 bNXDNbDo
くらえっ!こやし玉!
729:創る名無しに見る名無し
09/07/26 23:22:29 f/eyojq3
URLリンク(loda.jp)
730:創る名無しに見る名無し
09/07/27 00:13:12 u5ZRnyKf
,ィ⊃ , -- 、
,r─-、 ,. ' / ,/ }
{ ヽ / ∠ 、___/ |
ヽ ヾ、 ' ヽ_/ rュ、 ゙、 / く…クマどもめが…
\ l , _;:;::;:;)、! {`-'} Y あくまで…こ…国家権力に…たて…つくきか…
ヽj ,;:;:;ノ' ⊆) '⌒` !
l ;::)-‐ケ } 全員タイーホだこのアフォどもがッ…!!
ヽ. ;:丿‐y /
__,.ゝ、 ~___,ノ ,-、
731:創る名無しに見る名無し
09/07/27 03:06:59 +JhZUIlP
>>729
おっとりした婦警さん萌え
しかし拳銃かまえられるって、視点の人物は何をやらかしたんだろう?w
732:創る名無しに見る名無し
09/07/27 21:13:46 qjae0CNR
たとたけのピクシブハケーン
この人うまいなぁやっぱ
733:創る名無しに見る名無し
09/07/27 21:47:07 Dw+Rp3Ig
さんをつけろよデコ助野郎!
734:創る名無しに見る名無し
09/07/27 21:58:44 ghdw6uP2
おめぇの3時のおやつは1年間おあずけだからな!
735:創る名無しに見る名無し
09/07/27 22:06:16 ciGKqJgC
URLリンク(loda.jp)
736:創る名無しに見る名無し
09/07/27 22:11:14 Hab2MjPA
>>735
おっとりな上にドジッこかw
多分、書かなきゃ行けない始末書の枚数も大変な事にww
737:創る名無しに見る名無し
09/07/27 22:16:04 ozcBtY1F
>>735
一位はバカボンのあの人か
738:創る名無しに見る名無し
09/07/27 22:23:19 g8f1tTCC
尻尾は基本的に足の間なんですね
739:創る名無しに見る名無し
09/07/28 00:18:16 DoGQYno/
やっべ、かーわいいなこの娘
常に丸まってる尻尾萌え
740:創る名無しに見る名無し
09/07/28 00:23:54 k9RcT5Ym
>>739
IDがわんこ。羨ましいなぁ。
741:創る名無しに見る名無し
09/07/28 00:40:00 bwyjgyTG
>>735
惚れた
742:創る名無しに見る名無し
09/07/28 03:00:18 ZBCNoTMh
見事に心まで打ち抜くんですね。
いやあ危ない。
743:創る名無しに見る名無し
09/07/28 09:56:52 hZrZInft
たとたけさんの絵を模写するのが日課になりつつある
ああいう絵描けるようになりたいなぁ
744:創る名無しに見る名無し
09/07/28 10:16:57 QszZ+OhN
いちいち個人名出すのもいかがなものかと
745:創る名無しに見る名無し
09/07/28 13:14:25 ZBCNoTMh
獣人のチャームポインツ
毛
蹄、爪
にくきう
尾
746:創る名無しに見る名無し
09/07/28 14:11:59 Blf1GzKe
志村ー!マズル!マズル!
747:創る名無しに見る名無し
09/07/28 14:19:30 Xyqrg78T
耳を忘れるなんてっ!
748:創る名無しに見る名無し
09/07/28 15:58:23 rvyymdT8
牙がない…だと…!?
749:創る名無しに見る名無し
09/07/28 17:22:14 qHnqPid0
外骨格
750:創る名無しに見る名無し
09/07/28 17:33:17 PqnJ9mUm
つい日常で出てしまう野性の行動
751:創る名無しに見る名無し
09/07/28 18:51:30 egxww3/F
毛繕いしちゃったり
752:創る名無しに見る名無し
09/07/28 19:32:30 W9/C9oUp
八重歯…八重歯が無い!
753:創る名無しに見る名無し
09/07/28 20:34:08 Rd88DMV0
全部言われてしまった
754:創る名無しに見る名無し
09/07/28 21:53:57 Blf1GzKe
空が飛べる
755:創る名無しに見る名無し
09/07/29 00:25:20 7/W3czJS
葵「目が、怖いって言われた」
茜「そんなことないよ」
756:創る名無しに見る名無し
09/07/29 00:27:05 GeiUMr0v
山羊の目、あれは真正面から見ると怖い
757:創る名無しに見る名無し
09/07/29 01:13:35 lHTxsoXe
山羊じゃなくて羊じゃなかったっけ
羊の目を見ると動物のお医者さんを思い出す
758:創る名無しに見る名無し
09/07/29 01:57:11 LbR5sPNe
羊とか医者とか聞くと羊スクレイピーを連想してまう
759:創る名無しに見る名無し
09/07/29 02:58:07 xd/+Tg51
満員電車で獣人にフモ潰されたい
760:創る名無しに見る名無し
09/07/29 12:43:24 GeiUMr0v
回りが水島先生みたいな水系のおっさんばっかりだったら
もふっていうかぬるってしそうだけどな
761:創る名無しに見る名無し
09/07/29 13:00:17 d7SnbII2
それどころか周りが猛や利里の様なトゲトゲゴツゴツした爬虫類な人達ばかりだったら……gkbl
762:創る名無しに見る名無し
09/07/29 18:09:18 xd/+Tg51
ぬる、もふ、ごつ、
パラダイスだw
763:創る名無しに見る名無し
09/07/29 18:24:55 c/HtZT/I
昆虫系では鱗のガサガサ感がないな
だがウブウブ生えた硬めの毛が…
基本的に竹みたいな感触だろうか
ひんやりすべすべ、ときどき痛い
764:創る名無しに見る名無し
09/07/29 18:44:55 UNGrOwZp
電車とか種族別に分かれてそう
765:創る名無しに見る名無し
09/07/29 18:52:59 cXAkwCj8
女性専用車両とかはなくて昆虫用車両とかはありそうだな
クーラーで微妙な温度調節しないと生死に関わりそうだし
766:創る名無しに見る名無し
09/07/29 19:00:38 junExpeX
満員電車=蜂球状態だなw
767:創る名無しに見る名無し
09/07/29 19:19:19 LbR5sPNe
痴漢より捕食が問題に
768:創る名無しに見る名無し
09/07/29 20:32:04 GBwm1npS
鳥人の女性に暗い夜道で頼られたい
769:創る名無しに見る名無し
09/07/29 20:47:34 LbR5sPNe
人間でも肉食系獣人に夜道で襲われたらひとたまりも無さそうだけどw
770:創る名無しに見る名無し
09/07/29 21:03:57 xd/+Tg51
テレビ覧
「海豹人、牛人の角で怪我」
「電車に乗れない毒蛾人への配慮」
「今日の肉球占い」
「特集、流行りの尻尾美容院に密着」
771:創る名無しに見る名無し
09/07/29 22:08:31 obrcVp7/
満員にならなかった…
URLリンク(loda.jp)
772:創る名無しに見る名無し
09/07/29 22:19:27 s2dSG84W
自分ひとりが立ったらニ、三人は座れる状況……
なんか気まずそうな様子だwww
773:創る名無しに見る名無し
09/07/29 22:19:44 XUwVn1G7
>>770
【社会】 電車に乗れない毒蛾人への配慮を…市町村議会が決議検討
2 名無しさん@十周年 sage New! 2009/07/29(水) 19:57:56 ID:G5td+Ph/0
自分で飛べ
3 名無しさん@十周年 sage New! 2009/07/29(水) 19:59:42 ID:fO/XVkSl0
>>2
毒麟粉撒き散らしは迷惑条例違反
4 名無しさん@十周年 sage New! 2009/07/29(水) 19:59:50 ID:CU4TgUnV0
羽根が生えてる奴は全員電車禁止しろ
774:創る名無しに見る名無し
09/07/29 22:46:15 0+g3dKKK
>>773
マジネタかと思って一瞬びっくりしたじゃねーかよwww茶ぁふいたわw
775:創る名無しに見る名無し
09/07/29 22:49:51 GeiUMr0v
sageの後のNew!が萌えポイントだな
776:創る名無しに見る名無し
09/07/29 22:54:39 d7SnbII2
>>771
何この小動物専用車w
ガタイの大きな人だったら余計に肩身が狭いだろうなぁ
>>773
こうやって日々、ケモノ世界の2ちゃんねるの言い争いは繰り広げられる訳ですねw
777:創る名無しに見る名無し
09/07/29 22:58:57 fXV64xGn
つ【学校裏サイト】
778:創る名無しに見る名無し
09/07/30 00:12:25 rGDJZc3L
「ケモ学の七不思議!」とか
「サン先生イタズラ対策スレ」とかありそう
779:創る名無しに見る名無し
09/07/30 00:14:05 QVkSrA/r
もちろんサン先生も見ててまったく意味がないわけですね分かります
>>771
このサイズの人達は満員時に命に関わる事故が起こりそうだぞww
780:創る名無しに見る名無し
09/07/30 00:26:34 EvGGGw54
まさかのサン先生が>1とかだったら面白そうだ>サン先生イタズラ対策スレ
781:創る名無しに見る名無し
09/07/30 00:29:03 EvGGGw54
げえっ!IDがGGGだ!どっかに書き込んでこよう!
782:創る名無しに見る名無し
09/07/30 00:30:50 zKcDF8Qe
ゴキブリ人の園においでw
783:創る名無しに見る名無し
09/07/30 00:41:14 f6hTZavi
ちっちゃい人達可愛いなー
何て動物だろう
784:創る名無しに見る名無し
09/07/30 00:42:06 QVkSrA/r
プレーリードッグじゃないのかい?
785:創る名無しに見る名無し
09/07/30 00:42:48 B+sBNHD9
>>771
こういうファンタジーがあってもいいじゃない
786:創る名無しに見る名無し
09/07/30 18:52:23 UFjLyQqg
時期のタイミングずれたー。も少し早く書けたらよかったんだが…
またキャラ崩壊してるかもしんないです。今回はバイク屋の娘。
相当長いのでよければ支援お願いします。
787:夏の日の邂逅
09/07/30 18:53:18 UFjLyQqg
『夏の日の邂逅』
青々と茂る街路樹の道をバイクで駆け抜ける。
夏の空気がさわやかな風となって、純白を保つわたしの尻尾を吹き抜ける。
大人達はまだまだ仕事に勤しみ、学校を終えた子供達が遊びの計画を立て始める、そんな時間帯。
今日の修理の仕事は予想外に早く終わった。難航すると予想していただけに、とても気分がいい。
さて、これからどうしよう。街に繰り出してみようか。
少し遠出をして、海沿いの道を走るのも気持ちいいだろうな。
アイツと行った、あの海沿いの道。
よし、アイツに会いに行こう。
昨日の今日会ったばかりだって?
いいじゃない。大学時代は毎日のように顔を合わせてたんだから。
あの学園には、アイツからバイク関連の呼び出しを受けて行くのがお決まりのパターンだけど。
用事がなくても、たまにはわたしから会いにいってもいいよね。
アイツってば全然こっちの仕事場には顔を出してくれないんだから。
まあ、それだけ教師の仕事も忙しいんだろうけど。少し待ってみて会えないなら別に何か考えよう。
ふふ、アイツは元気にしてるかな。この暑さにばててたりしないだろうか。
弾むような気分で、わたしは佳望学園へとバイクを走らせた。
788:夏の日の邂逅
09/07/30 18:54:17 UFjLyQqg
学園に人影はまばらだった。本来なら下校を始めているであろう子どもたちの姿も見えない。
おかしいなと疑問に思ったが、すぐに気付いた。そうか、学生はもう夏休みなんだ。
いつもよりだいぶ少ないとはいえ、学園に人の気配は十分に感じられた。
校舎からは管楽器の演奏が、グラウンドからはバットにボールが当たる小気味の良い音が聞こえてくる。
何度かお世話になっている自転車置き場に愛車を止めて、誰かいないかと見回しながら学園の敷地内を歩く。
用もないのにいきなり訪ねていって、アイツの仕事の邪魔をしちゃいけない。
アイツに知られず確認するなら、生徒の誰かに聞くのがいいだろう。
お、あの子は…ちょっと小さいな。あれは…いやもっと真っ白で…
……あれ?
見知った顔を探していたつもりが、いつのまにか白いふさふさの尻尾を探していた。
そんな自分に気付いて苦笑する。わたしったら、あの子にも会いたかったのかな。
毎回毎回、そう都合よくは会えないだろう。
やがて、グラウンドを外れた広場でキャッチボールをする知った顔を見つけた。
あの子達は確か…
「おーいタスクくーん!ナガレくーん!」
投げようとした手を止め、振り返った犬の少年が驚いた声を上げる。
「あれぇ?えっと…すぎも」
「ミナでいいよ!」
前にもこんなやりとりしたなあ。あの少年の真っ白な毛並みを思い出してクスリと笑う。
「いいなあ、夏休みかー。君たち今日はどうしたんだい?」
「今日が終業式だったんです。半日でしたけどまだ残ってる人はいますよ」
「ふーん。あれ、もう一人の…アキラ君は今日は?」
「ああ、それがあいつ…期末の数学でひどい点とって、今サン先生の
『数学の苦手を吹っ飛ばせ!サンのスーパー補習講座!』受けてるんです」
「ははは、そっか。じゃあサンは今忙しいのか」
「えっと、サン先生に用事ですか? できるまで徹底的にやるって言ってたからいつ終わるのかわかりませんよ」
「ん、わかった、ありがと。こっちも大した用事じゃないんだ。ちょっと待っててみるよ」
「待つならあそこのベンチがいいと思いますよ」
タスク君が指さした先には並ぶ植木と、その下にベンチが一つ。あそこなら校庭全体がよく見えそうだ。
「おっ、いいねえ! 気が利く男子は女の子にもてるぞタスク君!」
「やっ、やだなあ…何言ってるんですか」
恥ずかしそうに否定するタスク君とナガレ君に軽く別れを告げて、わたしは彼が教えてくれた場所へ向かった。
普段から多くの人が使っているであろう、空色のベンチ。木陰に吹き抜ける風は涼しく、夏の暑さを感じさせない。
近くに自販機もある。校庭が一望できて、人の出入りも確認できる。いい場所を教えてくれたタスク君に感謝しよう。
さてと、どれくらい待ってみようかな…
789:夏の日の邂逅
09/07/30 18:55:01 UFjLyQqg
「……来ない」
何度思ったかわからない心の声が、つい口から出ていた。
傍らのグローブとボールを見やり、小さく息を吐く。これを使っていた二人はもう帰ってしまった。
返却は運動用具倉庫の隙間から放り込んでおけば問題ないらしい。アバウトな学園だ。
高かった太陽は今は大きく傾き、学園は夕暮れの雰囲気に包まれていた。
吹奏楽部や野球部の音もやがて消え、教師の帰る姿も見られる。
それでもアイツの姿は見えない。
わたしも最初はこんなに待つつもりはなかった。ここに来る前から決めていたことだ。
ある程度時間を決めて、それで会えなかったら今日は諦める。そう決めていたのに…
時間になった。アイツも忙しいんだな。仕方ない、今日は帰ろうか…
でも、もう少し待ってみよう。もうちょっと待てばアイツがひょっこり顔を出す気がする。
いやいや、もう少し。あと十分。あと五分…
そんな感じでもう少し、もう少しが重なって、結局こんな時間まで待ってしまった。
まるで煮え切らない情けない自分に苦笑する。
…なんでだろ。わたし、こんなにもアイツに会いたかったのか。
目をつぶり、大きく息を吸って、吐いた。このもやもやした気持ちごと吐き出すように。
何をやってるんだ、杉本ミナ! お前はもう大人の女なんだろ。
いつまでもうじうじしてるなんて大人失格だぞ!
「よしっ、帰ろう!」
自分を叱咤して、勢いをつけて立ち上がった。暗くなる前に帰ろう。今日はさよならだ、佳望学園。
大きく伸びをして、最後の挨拶のつもりで学園を見やった。
ふと、ある一点で目が止まった。教職員出入り口辺りに佇む人影がひとつ。
アイツではない。スラリと背筋の伸びた犬の女性。実際に会ったことはないけど、わたしはその姿に心当たりがあった。
そうだ、あの人は…
自然と、わたしの足はそちらへ向かっていた。
790:創る名無しに見る名無し
09/07/30 18:55:51 hwaBsRVM
支援
791:創る名無しに見る名無し
09/07/30 18:56:22 zKcDF8Qe
792:夏の日の邂逅
09/07/30 18:56:33 UFjLyQqg
近づく背中。はっきりしていく姿。
結わえた後ろ髪に、ゆったりと揺れる尻尾。
「………」
「…あ、あの、はじめまして!」
少しの間躊躇ったが、思い切って声をかけた。
耳を倒さないよう、尻尾を太らせないように強く意識する。
振り返る彼女の前髪がふわりと揺れる。
「あら、あなたは…」
「無断で学園に入って申し訳ありません!
あのわたしサン…先生の知り合いで杉本ミナっていいます、はじめまして」
正直緊張していたわたしは、必要なことを一気にまくしたてた。
大丈夫だよね。言ってること間違ってないよね。
「前にも学園に来てたわね。はじめまして杉本さん、私は教師の英です」
やっぱり。この人が英先生だ。
部外者のわたしが学園にいることで注意されないか不安だった。
柔らかく微笑む英先生の姿に、わたしは心の底から安堵する。
「サン先生に用事かしら? 生憎彼はまだ仕事中なのよ。そろそろ終わるころだと思うんですけど…」
「いえ、いいんです。大した用事ではないので」
「もう終わってるかもしれないわね。職員質に帰っているようなら呼んできましょうか?」
「いえいえ! お仕事を邪魔してはいけないので!」
「そう…わざわざ来てくださったのに悪いわね」
「わたしは大丈夫ですので…その…」
言葉に詰まる。今言うべきことがあるのに、その言葉が出せない。
初対面のこの人に失礼にあたるのではないか。迷惑をかけてしまうのではないか。
でも、今を逃したら次のチャンスはいつになるかわからないのだ。
今だ。今言わなければ…
「…あ、あの!」
意を決して声を出した。英先生は少し驚いた顔を見せる。
「なにかしら?」
「英 美王先生…ですよね」
「あら…?名前まで言ったかしら?」
「その…あなたのことは前から知ってたんです。サン先生に聞いてました」
「あら、そう、彼が…」
「それでずっと、直接お会いして話してみたいと思ってたんです」
今言うべきことは言った。わたしは不安に押しつぶされそうになりながら、黙って答えを待つ。
「そうでしたか…」
英先生は少し考えた後、わたしの隣を抜けて歩きだした。慌てて目で追う。
「え? あの!」
「ここで立ち話もなんですから。そうね、あそこのベンチでいいかしら?」
「あ、ありがとうございます!」
「いえいえ、私も少し休憩しようと思っていたのよ。ちょうどよかったわ」
793:創る名無しに見る名無し
09/07/30 18:59:30 zKcDF8Qe
794:夏の日の邂逅
09/07/30 19:00:13 UFjLyQqg
英先生を先に少し歩いて、先程まで座っていたベンチに今度は二人で座った。
どう切り出せばいいか困っていたわたしに気付いて、英先生が先に口を開いてくれた。
「改めてはじめまして。英語教師の英美王です」
「あ、はい、はじめまして。サン先生の知り合いの杉本ミナです。父とバイク屋をやってます」
「サン先生と知り合ったのはバイク関係で?」
「いえ、大学時代からの友人です」
「え…あなたは…?」
「…?」
何か疑問を感じたようで、英先生の言葉が止まる。わたしはなんのことかわからず首を傾げる。
「…あ、いえ、なんでもないわ。ごめんなさい、忘れてちょうだい」
「あ、はい」
少し考えて自己解決したようだった。
「それであなたは…サン先生から私のことを聞いていた、と?」
「はい。結構よく話してました」
「厳しくて口うるさい人?」
「えっ、ええっとその……はい。そんなことも言ってましたけど…
でっでもその全然そんなことないですよ!わたしはとっても優しくていい人だと思ってます!」
慌てて否定するわたしを見て、英先生は優しく微笑む。
「ふふっ、ありがとう。でもいいのよ、その通りなんだから。
何が良くて何が悪いかなんて、結局その人の価値観でしかないわ。
彼の判断で良かれと思ってやっていることも、私はきっと否定してしまっている。
そんな私ですもの、嫌われても仕方ないと思うわ」
「そんなことありません!!」
思いもよらない一言に、つい声が大きくなってしまった。英先生ははっきりと驚いた顔でわたしを見ている。
「あっ、ごめんなさい…」
「そんなことって?」
「その…英先生が嫌われているなんて…そんなことないです」
そんなことない。
アイツはこの人のことを悪く言わない。直接話してこの人から受けた印象は、アイツの話から受けた印象のままだった。
話の内容こそ愚痴でも、どこか嬉しそうな調子を感じる。
サンは英先生のことを決して嫌っていない。いや、むしろ………
795:創る名無しに見る名無し
09/07/30 19:01:54 zKcDF8Qe
796:創る名無しに見る名無し
09/07/30 19:02:15 EvGGGw54
しえーん
797:夏の日の邂逅
09/07/30 19:02:24 UFjLyQqg
「英先生は…サンのことをどう思ってるんですか?」
ほとんど無意識に、ポツリと言葉が出た。
「え…?」
言葉が出て、英先生の小さく驚く声を聞いて…やっと気付いた。
「あ…!」
耳がカッと熱くなるのを感じる。なんてこと聞いてるんだわたしは。
確かに聞きたかったことではあるが、これはさすがに直接的すぎる。
「あ、いえあのそのっ! サッ、サンの仕事って直接見たことないので!
教師としてのサンはどんななのかなって思って!」
慌てて手を振りながら、なんとかフォローした。
英先生は、ふふっ、っと小さく笑って答えてくれた。
「そうね…たまに提出が遅れたりするけれど、基本的に仕事は真面目にやってるわ。
関係ないことをやっているように見えても、ほとんどの場合期限までにはきっちり仕上げてくる。仕事の効率がいいのね。
初中高等部を兼任していて誰よりも忙しいはずなのに、そんな様子は全く感じさせない。
授業もわかりやすいって生徒にも大人気。私よりもずっと優れた教師よ、彼は」
「そう…なんですか…」
サンがすごいヤツということは大学時代からよく知っていた。
そう、わたしがどうやってもこの人には敵わないと、教師になることを諦めるほどに。
しかし、わたしとは経験が違う現役のベテラン教師からも、そこまで評価されていたとは…
「…驚きました」
「ふふっ、そうね。私も最初はそう思ったわ。
あ、私がこう言っていたことはサン先生には内緒にしてね。あの人きっと調子に乗っちゃうから」
「あはは、そうですね。サンには内緒にしておきます」
改めて思った。すごいヤツだったんだ、アイツ。
「彼のことは……そうね、尊敬、してるわ」
「尊敬…ですか」
「ええ」
尊敬…か。
どこかほっとしたような、嬉しいような気持ち。驚きと、ほんの少しの疑惑。
それらの感情がぐるぐるとわたしの中で渦を巻く。
798:創る名無しに見る名無し
09/07/30 19:03:01 EvGGGw54
799:夏の日の邂逅
09/07/30 19:04:50 UFjLyQqg
「…不思議な人」
「…え?」
考え呆けていたわたしは、英先生が続けて発した言葉に反応するのに、少しの時間を要した。
それに気付いていたんだろう、英先生は一呼吸おいてから、言葉を続けた。
「普段の彼とは違う別人のような一面、感じたことはあるかしら?」
「あ…あります!」
想定外の言葉に驚いたが、確かに、そういうことがあった。
何度か感じたことがある。例えば、中睦まじい母子を見たとき。若いカップルを見たとき。
それ以外にも時折。アイツの顔が、言葉が、まるで別人のように感じることがあった。
わたしの答えを受けて英先生は、そうね、彼は…と続ける。
「子供みたいな人かと思えば、不意に別の…大人の顔を見せることもある。
まるで別人のようだけれど、それもまた紛れもなく彼自身で。
まだ若いのに、私よりもずっと深く複雑な人生を歩んでいる…」
英先生。この人…
「彼のことを、もっと知りたい。私はそう思っているわ」
この人は…もしかして…
「…どう? 質問の答えになったかしら?」
「あ…」
そこまで言われてはっと気付く。英先生はつい出てしまった最初の質問に答えてくれていたんだ。
「は、はい! ありがとうございました!」
またしても耳に熱が集まるのをわたしはじんじんと感じていた。
「その…すみません。失礼なことを聞いてしまって…」
「ふふっ、いいのよ。なんだか学生時代を思い出したわ」
「そう…ですか…」
この状況でまた聞くというのは気がひけた。
でもそれ以上に、新たに生まれた疑問を聞かずにはいられなかった。
「英先生。あなたは…」
「…?」
「あなたはサンの過去…フリードリヒのこと…知っているんですか?」
わたしは知らない。噂はいくつかあったけど…
ドイツ出身。本名はフリードリヒ。確かなのはそれだけだ。
わたしが何度聞いてもはぐらかされてしまう。たぶん誰にも話していなかった、サンの過去。
この人はもしかして、それを知っているんじゃないだろうか。
800:創る名無しに見る名無し
09/07/30 19:05:05 zKcDF8Qe
801:夏の日の邂逅
09/07/30 19:06:01 UFjLyQqg
しばらく考えていた英先生が、やがて口を開いた。
「……知っているわ」
「それは…サンから…?」
「ええ。彼から聞いた話よ」
…やっぱり。
この人はわたしとは違う。サンにとって、特別な人なんだ。
予想はしていたので、驚くことはなかった。しかし…
「そう…ですか…」
感じた落胆は小さくなかった。
俯いていたわたしの耳の付け根に何かが触れる。
柔らかく頭を撫でるそれは英先生の手だった。
「あなたは…本当にサン先生のことが好きなのね」
顔を上げると、微笑む英先生。まるで母のようだ、そう感じた。
「えっ…と…その…」
「わかるわよ。私だって元、女の子ですもの」
「…はい」
わたしを撫でる手から、英先生の優しさが伝わってくる。気持ちいい。心が安らぐ。
「大丈夫よ。あなたの気持ちはきっと彼に届くわ」
「………」
わたしはしばらくの間、彼女の優しさに身を委ねていた。