ロボット物SS総合スレ 3号機at MITEMITE
ロボット物SS総合スレ 3号機 - 暇つぶし2ch150:創る名無しに見る名無し
09/06/18 18:42:47 CaJKOHMW
CRクロス用に参考資料欲しいなら簡単な方針と設定まとめたの作るよー
結構、流れや資料が分散してるから、まとめるのに少し時間かかるけどw


>>149
>魔族や鋼獣もそうだけど、なまじ同じ名前なだけにかえってクロスさせにくい。
むしろここが一番の頑張り所だと思う
こういう名前似かよってる所になんだってー!というクロス設定考えるのがスパロボ流クロスオーバー
スパロボWに例えるとガオガイガーとゴライオンの獅子つながりで設定色々クロスさせたり
テッカマンとオーガンはビジュアル似てるからそれつながりで始祖アイバとかやらかしたりと
難しいかもしれんがこういう所は最もおいしいネタだと思うなー

151:tueun ◆n41r8f8dTs
09/06/18 18:49:18 kfTOqhXr
何か凄く面白そうな流れ……

私事が結構忙しく、まだ投下には時間が掛かりそうですorzすみません

152:創る名無しに見る名無し
09/06/18 19:31:35 8Y3hgmIK
>>150
設定よりむしろ本編を一段落するまで進めて欲しいキブン。先を楽しみにしてるぶん、ネタバレが来そうで怖ぇーし。
CRとか複雑化しそうなのは特に、とりあえずの方向性が決まらないとクロスさせようもないからぁー

そりゃー言うは易しってやつだよ

・俺たちは鋼獣(C)をこれまで鋼獣(荒)と同一視してたけど、全くの別のバックボーンがあったんだよ!
・実は鋼獣(荒)もまたアンノウン(C)操る兵器だったんだよ!
・鋼獣(荒)は、アンノウン(C)の命令を聞かなくなった、いわゆるはぐれ鋼獣(C)だったんだよ!

後ろの二つはどう考えても角が立つよなぁ・・・できればやりたくないね。
鋼獣(荒)に公式の黒幕がいて、それがアンノウン(C)と関わりがあるとかできればいいけど、分かんないし。
「あれがゴライオンか。噂どおりだな」みたいな敵のリアクション芸に留めるという手もあるが。

153:創る名無しに見る名無し
09/06/18 19:44:07 CaJKOHMW
>>152
>設定よりむしろ本編を一段落するまで進めて欲しいキブン。先を楽しみにしてるぶん、ネタバレが来そうで怖ぇーし。
それはごもっともな意見だw、頑張ります(´・ω・`)
でも方向性がガチっとするのは結構時間がかかりそう

俺のは扱いに困ったら踏み台にしても良いよーとだけ一応言っておく

154:パラベラム! の人 ◆1m8GVnU0JM
09/06/18 20:01:58 gw018Afa
>>149
こうして見ると、拙作とタウエルンって結構共通点あるんですな


しかし、こういう面白い話が出ると気合い入っちまいますねw

155:創る名無しに見る名無し
09/06/18 23:59:39 8Y3hgmIK
・・・といっておいてなんだが、原作再現は必ずしも必要というわけじゃないんだよな
最低限キャラやロボの把握さえできれば、散発的に原作の敵と戦いながらその決着は「これからだ」エンドにして
スパロボ用にでっち上げたオリ敵を倒す方向で話を収束させるなんて手も使える。
いつ完成するかも分からん作品のクロスなら、そっちの方がいいかもしれん

ただ、それでもまだ参戦できない作品も>>4にはあるけどな

156:創る名無しに見る名無し
09/06/19 00:19:06 EefDTgjy
>>155
スパロボでもいるだけ参戦なんてしょっちゅうだしね

参戦できない作品…


シスターズですね、わかります
アイディアはかなり出てきてるんだけどとりあえずCR書かないとw

157:創る名無しに見る名無し
09/06/19 06:46:42 dTOMMqdG
シスターズも非戦闘シーンの癒しとしてサイドストーリーくらいには関われそうだが
キャラの情報や会話のサンプルが圧倒的に少ないとか、どういうロボットがどういう戦闘をするのか未明なのとか、そういう方が厄介。
CRなら「主人公はしばらく無所属のまま、人類軍にマークされつつも勝手にアンノウンを狩っていきます」程度にでも明らかにされれば割と楽に参戦できる。

そういう条件でいくと、
パラベラムも出会い編の後、旅に出るとか金を稼ぐとか当面の方針が決まれば充分
タウエルンやゼノライファーは戦闘待ち
荒野が三人娘の残り一人の把握と会話サンプルがあれば書けなくはない

直後に急展開が控えていて、「その再現なくして作品なし!」というならまた別だけど

158:荒野に生きる(仮) ◆9MC6FR8UMj7S
09/06/19 19:07:56 QxJd/8MC
そろそろ正式名称決めないと……。

以下数レス頂きます。
今回は前回投下分含めて、1章全部を投下。
早くもかなり修正されて居たりします。すいません。(ボクには良くある事)

159:荒野に生きる(仮) ◆9MC6FR8UMj7S
09/06/19 19:08:40 QxJd/8MC
1章 鋼の体を持つ獣
(0)
 暗闇。
 暖かな液体に包まれている感覚。
 聞こえる音は、心音と小さなモーター音。
 目は開かない。
 いや、開けたくない。
 開けてしまえば、また、あの光景が目に映る。
 恐怖。
 ここに居る限りは安全な筈。ココは世界で一番安全な場所。
 でも、同時に、死と隣り合わせの場所。
 何故ワタシはココに居る?
 何故ココに生まれた?
 エメラルドグリーンの培養液が緩やかに対流する中、脳裏に電気信号が走る。
 ああ、イヤだ。
 目が開く。
 恐怖が視界に広がる。
 痛い、苦しい、熱い―。
 脳ミソが鷲掴みにされ、捏ね繰り回されているかのようだ。
 ココは子宮と同じ筈。
 世界で一番安全な場所の筈。
 なのに何故、ココにはこんなにも苦痛で溢れている?

160:荒野に生きる(仮) ◆9MC6FR8UMj7S
09/06/19 19:11:52 QxJd/8MC
(1)
 エルツは汗と埃に塗れた栗色の前髪を片手でかき上げながら空を見た。
 日はまだ高い所にあり、その日差しは熱く鋭い。
 瀬名龍也率いるヴァドル部隊の初陣―鋼獣土竜型との戦闘に勝利してから2時間。彼女は丁度、
仲間達と無事に第十六都市へと帰還を果たした所だった。
 エルツはパイロットスーツの胸元を大きく開き、バタバタと仰いで涼を取っていた。
 ゴム質のパイロットスーツは厚手で異様なまでの伸縮性を持っており、着心地は悪くないが、高い防寒性の為に、
この様な直射日光の下では直ぐに蒸し暑くなってしまうのだ。
 エルツがスーツの内側に風を送る度に、彼女の二つの未成熟な膨らみがチラチラと覗く。
 しかし、彼女はソレを気にする様子は無い。
 エルツはハンガールームと呼ばれるヴァドル専用の格納庫の前に腰掛けている。巨大なシャッターは半分ほど
閉じているが、それでも、エルツがジャンプをしたくらいでは手が届かない高さまで開いていた。
 ハンガールームの中は慌しく、特に半壊している二号機の修理が最優先で行われていた。
 メカニックは人間が7割、ヒューマニマルが3割と言った所で、その先頭ではヴァドル部隊の隊長である瀬名龍也が、
50人近いメカニック達にそれぞれ的確な指示を出している。
「瀬名さん、疲れて居ないのかな……」
 龍也の後姿をボンヤリと見つめながら、エルツはポツリと呟いた。
 ヒューマニマルの自分でさえ、ヴァドルとの接続を切った後に時間差で襲ってきた疲労感に参っているというのに、
目の前の男は一切その様な素振りを見せないのだ。
 龍也はパイロットスーツを半分だけ脱ぎ、上半身裸の状態でいる。
 高温多湿のハンガールーム内を何度も右往左往し、指示を出している彼は、頭から滝の様に汗を流していた。
鍛え抜かれた逞しい筋肉が汗によって輝やいている。
 そんな龍也を眺めて居る内に、エルツはいつの間にか自分の尾が嬉しそうに振られている事に気付いた。
 自分の気持ちを素直に代弁してくれる尻尾に対し、エルツは少しばかり困ったような表情を浮かべた。
 エルツ自信は全く自覚していないが、彼女はどうやらこの瀬名龍也という男に好意を持っているらしい。
 龍也の傍に居たい、あるいは龍也に触れてみたいと考えている時に限ってこのように尻尾が振れているのだから、
人を好きになるという事は、この様な思考状態にある事を指すのだろうとエルツは客観的に考えている。
 通常ならば、感情を抑制されたヒューマニマルは”好き嫌い”の概念が希薄だ。
 戦争をするに当たっての不要な感情を持たないからこそ、冷静で的確な判断が下せる。戦争をする為に生み出され、
荒野で死ぬ事が運命のヒューマニマルにとって、その様な感情は元より必要ないのだ。
 しかし、エルツは、珍しい事に”好き”という感情が制御されきれて居ないらしい。
 もっとも、その事自体に意味は無い。生まれてくる際に、何らかの要因があって制御し切れなかっただけの事だ。
 他のヒューマニマルには無いモノを持っているという事に、エルツは負い目を感じていない。
 ソレは確かにヒューマニマルという種には不要なものかもしれないが、持っているからと言って、戦えなくなる訳ではない
と彼女は考えている。
 そして、胸の奥で静かに鼓動するソレは不快では無く、むしろ心地良さすらあるのだ。
 龍也の背中をボンヤリと眺めている間、彼女の尻尾は常に左右に振られていた。

161:荒野に生きる(仮) ◆9MC6FR8UMj7S
09/06/19 19:13:34 QxJd/8MC
(2)
「くそっ!」
 頭から熱いシャワーを浴びながら、リートは腹立たしげ声を上げて壁を殴りつけた。
 ミシリと重く鈍い音を立て、シャワー室の壁のタイルにヒビが入る。
 シャワー室には彼女以外に誰も居なかった。
 つい先程までディーネが一緒だったが、彼女は「用事がある」と言い残し、シャワーを浴びると早々に出て行った。
 俯いたリートの鼻先や顎から滴り落ちる水滴が、彼女の大きく膨らんだ胸で跳ねる。
 その胸の内側で渦巻く理解不能の何かが、彼女の苛立ちの原因だった。
 自分が何に悔しがっているのかすら解らない。
 しかし、自分がこうなった要因は分かっている。
(アイツだ。あの、瀬名龍也という人間―)
 思い起こせば、あの男とであった瞬間からこの苛立ちは始まっていた、とリートは考える。
 この不快感、苛立ちの原因は分からないが、あの男との接触によるものなのは間違いが無い。
 リートは人間を嫌っている。
 偶然な事に、リートもまた、エルツと同様に感情の抑制がされていない。
 しかも彼女の場合は、エルツの様に”一部の感情”が抑制状態に無いのではなく、”ほぼ全ての感情”が抑制状態に無い。
その感受性は、殆ど人間と変わらない。

(何故自分達ヒューマニマルが、人間の言いなりにならなければならないのか)

(何故自分達ヒューマニマルが、人間の代わりに戦い、死なねばならないのか)

(何故人間は、無能の癖に、ヒューマニマルに対し傲慢な態度を取るのか)

(何故人間は、ヒューマニマルと共に荒野に出て戦わないのか)

(何故―)

 再生暦119年にヒューマニマルが生み出されて以来、現在までに構築された、人間とヒューマニマルとの関係が、リートには理不尽で仕方が無い。
 リートが人間を嫌うのは、人間の、ヒューマニマルを物として見ている言動と、自分はリスクを背負おうとしないその態度にある。
(ああ、そうか……)
 リートは気付いた。
 あの男は、”人間でありながら荒野に出て、鋼獣と戦っている”。リートの中の「人間」という存在に当てはまらないのだ。
 今日の鋼獣土竜型との戦闘だってそうだ。
 リートの独断での行動により、二号機は中破。
 彼自身も土竜型に喰われかけたというのに、あの男はリートに一切の処罰与えないどころか、ソレを気にした様子すらない。
 彼女の知る人間ならば、真っ先に嫌味を吐き、ここぞとばかりに普段の彼女の単独行動癖を叩いてくるに違いない。
 しかし、彼は違った。
 ただ無言でリートの瞳を覗きこみ、全てを見透かしたように小さく鼻を鳴らしただけだ。
 今の所、ヴァドルを中破させた事も、命令無視の上の単独行動も、一切の処罰を与えられていない。
 そして、あの目―。
(幾つだ? 幾つの感情が混ざっている?)
 瞳を覗きこまれた時に感じた、背筋に寒気が走るほどの強烈な”何か”。
 考えるほどに、胸の内側の何かが刺激され、激しく渦を巻き、不快な思いをさせる。
 リートはシャワーを止め、ノロノロとした動作で水を吸って重くなった尻尾を絞る。
 普段ならば、炎の様に赤い毛の尻尾からボダボダと水滴が滴り落ちる度に、自分の中にある不純物が零れ落ちていくような心地良さがあるのに、
この日に限ってソレが無かった。
「判らない……」
 この思考の末に、自分がどの様な答えを求めているのかが。
 瀬名龍也という男が何を考えているのかが知りたい?
 彼を理解する事で、彼自身と何かを共有したい?
 彼は人間なのに?
 いや、人間だから故か?
 彼にしてもらいたい?
 何を?
 物理的接触?
 それとも、ただ単に、自分の望む言葉をかけてもらいたいだけ?
(わからない……)
 正体不明の苛立ちの中、リートはゼンマイの切れかけた人形の様にゆっくりと天井を仰ぎ見た。

162:荒野に生きる(仮) ◆9MC6FR8UMj7S
09/06/19 19:14:44 QxJd/8MC
(3)
 ハンガールームの喧騒が落ち着いた頃、外では既に日が沈み、冷たい風の吹く漆黒の闇に包まれていた。
 メカニックはその殆どが引き上げ、ハンガールームには人影が殆ど無い。
 巨大な鉄製の台座<ハンガー>に鉄の巨人が5機、吊るされる形固定されている。
 その内の1機、02とプリントされた機体だけは、上半身と下半身が分断された姿をしていた。
 ハンガールームの片隅に設置されたプレハブの中に、1人の男がコンピューターを無表情で操作していた。
 男の名は瀬名龍也。ここに吊るされている鉄の巨人ヴァドルのパイロットの1人であり、部隊の隊長である。
 プレハブは6畳ほどの広さであるが、敷き詰めるように並べられた机とコンピューター類によって、その大半が埋められていた。
 おそらく、4人もパイプ椅子に腰を下ろせば身動きが取れなくなるであろう。
 龍也はコンピューターのスロットに挿入していた携帯端末を抜き取り、自分の懐に戻した。
 仕事に一区切り付いたこともあり、彼は無意識の内に深い溜息をついていた。
 プレハブの窓からハンガールームの様子を窺うと、最後のメカニックが各点検を終えてシャッターを潜って出て行くところであった。
 これから6時間の休憩を挟み、再び修理メンテナンスを再開する予定である。
 プレハブ内は狭かったが、エアコンが取り付けられている為に室内は快適な温度に設定されている。
 横になれずとも、このまま目を閉じていれば、午前中から激務であった龍也は直ぐに深い眠りに落ちてしまうだろう。
「ココならば、あと5時間は誰も来ないか……」
 小さく呟き、龍也はゆっくりと目を閉じた。
 途端にドロリとした感覚が首筋を伝い、全身を包み込んでいく。
 五感が殆ど効かなくなり、ズブズブと溶けた鉛に飲み込まれてゆく様な感覚だけが脳に伝わってくる。
 龍也はこの感覚が好きではなかった。
 まるで自分が死んでいるのだと錯覚するからだ。
 しかし、彼の思いとは裏腹に、肉体はソレを喜んで受け入れていた。極限まで疲労した肉体は、数十時間ぶりの睡眠に狂喜している。
(5時間……5時間だけだ……)
 何度も自分にそう言い聞かせながら、龍也の意識は暗闇に飲み込まれた。

163:荒野に生きる(仮) ◆9MC6FR8UMj7S
09/06/19 19:19:34 QxJd/8MC
(4)
 ディーネは第十六都市自衛軍本部の二十五階の廊下を歩いていた。
 毛足の長いカーペットが敷き詰められた廊下には他の人影は無い。
 長官室と書かれたプレートの掛けられた部屋の前に立つと、程無くしてドアのロックが開く音がする。
「失礼します」丁寧に頭を下げ、ディーネは入室した。
「いらっしゃい、待っていたわ」
 部屋の奥のデスクに腰掛けていたこの部屋の主である女性は、ディーネを笑顔で迎えた。
 彼女の名は天沢香織。
 この第十六都市を管理する自衛軍のトップに立つ人間であり、同時に『新人類派』と呼ばれる、ヒューマニマルに人権を求める立場の数少ない人間でもある。
 日本には現在全部で十六の都市があり、それぞれの都市を長官が纏めていが、無論、彼女以外に長官という立場でありながら新人類派の人間は存在しない。
 本来ならばヒューマニマルを道具として扱う立場の自衛軍に、新人類派は存在してはならない筈なのだ(組織の言動に矛盾が生じる為)。
 しかし、天沢香織という人物はソレを堂々と公言している。
 三十代半ばの、まだ若々しい容姿をした(美人というよりも)可愛らしいその長官は、部屋に入ってきたディーネの姿を見て少しばかり驚いた様子を見せた。
 ディーネは、スカートタイプの軍服に身を包み、髪を一切縛らずにいた。
 普段の彼女は有事の際に即行動出来るように都市迷彩の軍服を纏い、髪を後頭部で纏めている事から、現在のこの姿は非常に珍しいと言える。
「どうしたの、その格好」ニヤニヤと目を細めながら香織はディーネに訊ねた。
「瀬名隊長の命令……というと少々語弊がありますが」
 ディーネは第十六都市に帰還してからの出来事を簡潔に説明した。
「提出した報告書の通り、二号機が中破しました。フレームは無事でしたが、人工筋肉と擬似神経が駄目になったので、新しいパーツと取り替えている最中です。
 ソレに伴い、二号機の修理と他のヴァドルのメンテナンスが完了するまでの間、休養を取れと隊長に命令された訳です」
「なるほど、それでその格好……」
 香織はもう一度「なるほど」と呟き、腕を組んだ。
 要は暇な訳である。
 それも、あえて出撃まで時間がかかる服装に着替えてしまった程に。
 ヒューマニマルは連続で6時間以上の休養を与えられる事が無い。
 彼女達は人間よりも短い時間で体力の回復が可能であるし、荒野に出て鋼獣を狩らずとも、都市を防衛するという重大な任務を抱えている。
 人権を持たない彼女達は、それこそ家畜同様に扱われているのである。
 もっとも、ヒューマニマル自信も、ストレスに強く、不満などの感情を強く持たない事もあり、その事自身に問題はないようだ。
 香織からすれば、この様な現状が認められていること事態が異常なのであるが、鋼獣との戦況がやや劣勢であり、慢性的な人員不足にある現状を考えれば、
仕方のない事だと渋々耐えている。
 故に、香織はヒューマニマル達の一番の娯楽である食事に関しては、特に力を入れている。
 一般市民からは「ヒューマニマルの食事にしては豪華すぎる」との不満の声が度々上がるが、都市を守っているのは他でもない彼女達なのだからと、
その不満に対応している。
「隊長には、この休養自体も任務の一環なのだと言われまして」
「普段なら待機中にする細かな仕事も禁止されていると」
「はい」ディーネは苦笑しながら頷いた。
「それじゃあ、仕方ないわね。隊長の命令に従わないと」
 悪戯っぽく笑う香織に、ディーネは困ったような表情を浮かべて唸った。

164:荒野に生きる(仮) ◆9MC6FR8UMj7S
09/06/19 19:23:43 QxJd/8MC
「ところで……」
 他愛の無い話を一通り済ませた所で、香織が真面目な顔で切り出した。
 普段は笑みを絶やさない、軽いノリの彼女ではあるが、こういった際の切り替えは驚くほどに早く、きっちりしている。
 まるでスイッチが切り替わったかのような香織の雰囲気の変化に、何年もの付き合いで慣れたディーネですら、偶に戸惑う時がある。
「瀬名龍也くんの事だけどね」
 香織はデスクの隅を叩き、エアディスプレイ(空気中に投影されたホログラムのディスプレイ)を出すと、デスクに内蔵してあるキーボードを
操作して一つのファイルを開いて見せた。
「新第一都市自衛軍の総合データベースから調べてみたんだけど、怪しい点は無し」
「戸籍も、ですか?」眉を顰め、ディーネが訊ねる。
「ええ、戸籍も。実在するわ。勿論、DNAチェックも問題無し。彼は正真正銘、瀬名龍也って事になる」
「……そう、ですか」
「納得いかない?」
「……わかりません」ディーネは首を横に振った。「ただ、なんと言うか、納得できない事が多すぎるんです」
「ソレについては私も同感よ」
 香織は自ら淹れた紅茶を啜りながら頷く。
「貴女達ヒューマニマルが鋼獣と戦うようになって以来、人間は種を絶やさない事を第一にするようになった。
 ソレは40年ほど前、丁度ヒューマニマルが荒野に出るようになった少し後の事。
 諸外国との連絡が一切取れなくなり、コレを”日本以外の国が滅びた”と自衛軍は考えたから。
 人間はもう、日本にしか存在しない。人間は例え一人でも数を減らしてはならない。
 その考えが強まり過ぎ、歪になって、今のヒューマニマルを軽視している悲しい現状を作り上げた訳ね」
「ですが、瀬名隊長は荒野に出て、自ら鋼獣と戦っています。それも、自らを囮にするという危険な作戦まで立案して―」
 ソレは酷く不自然な話である。
 自衛軍の思想では、ヒューマニマルに「人間の代わりに戦い、死ぬ事」を任せて居る人間は「絶対に死んではならない」義務を負っているらしい。
 ならば何故、瀬名龍也という人間が荒野に出向き、鋼獣と戦うなど以ての外だ。
「しかし、総官は彼をココに送ってきた。ヴァドルを正規採用するか否かの試験運用部隊の隊長として……」
 それに何の意味があるのだろうか?
(考えるとするならば、荒野に”何か”あるのか、彼が荒野で戦う事に意味があるのか。
 前者の場合は、ヒューマニマルに触れさせたくない物、あるいは動かせない程に大きくて人間にしか扱えない何かが、この第十六都市付近の
荒野に存在する事を意味する。
 後者の場合、意味を成すのは”荒野で彼が死ぬ事”かしら? でも、彼が死ぬ事で何が変わる?)
 香織はカップで揺れる紅茶を眺めながら、思考の海に深く潜っていく。
 無数に浮かび上がる可能性を一つ一つ吟味し、選り分けて、自分の仮説と関係のありそうなワードを幾つか掴んで、水面へと上昇する。
(やはり、彼自身よりも、”上”の方を調べるべきかしらね……。気は進まないけど、もう一度あの狸親父と腹の探り合いをするしかないか)
 考えを纏めた香織は紅茶を一気に飲み干し、ディーネに向き直った。
「ディーネ、貴女にはコレまで通り副隊長として瀬名くんを補佐してもらいます」
「はい」
「彼に気取られない程度でいいから、目を光らせていて。もし何か気付いても、私に報告するまでは彼の指示に背く事はないようにね」
 何かあった場合は後手になるけれど、と彼女は心の中で付け加えた。
 それでもなお現状維持を決めたのは、エルツ同様、香織自身もまた、瀬名龍也が悪人でない様に思えて仕方が無いからだ。
 今、香織がすべき事は、瀬名龍也の……あるいは瀬名龍也を背後から操る存在の真意を掴む事なのだ。
 ソレがハッキリするまでは慎重に行こうと香織は考えている。

165: ◆9MC6FR8UMj7S
09/06/19 19:40:41 QxJd/8MC
以上です。

ココは覗く度に面白い展開になっている気がするw

荒野~は僕自身も手探りなくらい伏線張りまくってる(ケモ耳への愛と伏線の練習の為に書き始めた)作品なんで、
ボクはともかく読者には設定が訳解らないだろうなぁと思うんで、協力(?)ついでに幾つか設定を書いて見ます。

・都市
(新)第一~第十六の16からなる、日本で人間が唯一生活していく空間。
日本以外の国の状況は一切不明になっており(コレは後に判明するけど)、現在は日本以外は絶滅したと考えられている。

・鋼獣
彼?等自身に黒幕は居ません。
あくまでも異常発生・進化した存在で、彼等の正体が実は―とかいう展開は残念ながら存在しません。

・瀬名龍也
がっちりした体系の無表情な男。伏線のメインだから語ること無いw

・エルツ
チームで一番小さな娘。それでもスペックは成人男性に並ぶ。
素直で一途で龍也ラブな設定。

・リート
ある意味一番人間臭い、真っ直ぐな娘。体格は龍也とよりやや背が高く、細い位。
思春期といえばいいか、そんな精神状態。

・ディーネ
容姿も性格も一番大人な娘。リートとディーネはヒューマニマルの中ではイレギュラーなほどの長生き。
それだけ腕と運があるといえる。
ヒューマニマルの模範的な感性や従順度。


こんな感じかしら?
解りにくい本編の補佐程度に捕らえてくれれば。ネタバレはしてないはずなんで。

<投下ココまで>

166: ◆9MC6FR8UMj7S
09/06/19 19:42:15 QxJd/8MC
あれ?
トリまちがえちゃってる?

167: ◆9MC6FR8UMj7S
09/06/19 19:44:13 QxJd/8MC
プレビューじゃあ間違ってないんだけど、書き込むとトリが変わってるなぁ。
コレは一体何事か!?

168:創る名無しに見る名無し
09/06/19 21:12:20 dTOMMqdG
>>165
なんとなく、ファフナーとかの世界観を思い出した
主人公の不自然さが語られていてかなり興味を引かれる。
獣耳娘ズにはもっと惹かれるけどw


えーっと話が大きくなってきたが
本気でスパロボやる気があるなら、参戦作品の条件が揃うのを待って音頭とってもいいけど
ただ、参戦を表明した作者には、世界観を含む設定の刷り合わせを許容してもらうし、SSの一部は請け負ってもらおうよ。
極端なこというと、>>152の下二つみたいなこともあるかもしれん。あるいは「ここだけは絶対に譲れない」というとこを明確にしておいて欲しい。
キャラクターが同じだけの寄り道シナリオとか、「スパロボではこうなってるけど、原作ではもっと強いし、全く別の謎や裏があるんだよ」
ってことにして無礼講にお祭りするのが一番いいんだけどな。

・・・個人的にはキャラ立ちもまだのうちに動かさなくちゃならんので、だいぶ時期尚早って気がするが、
逆に作者のモチベーションが上がるということもあるかもしれん。ダメ元でやってみるか?

169:創る名無しに見る名無し
09/06/19 21:36:27 EefDTgjy
空白入ってるとか?

170:tueun ◆n41r8f8dTs
09/06/20 01:13:46 O7L3Qa3M
やっと出来た……お待たせしましたorz
正直今までの雰囲気と違って凄く……バイオレンスです
それと世界観と主人公、そしてタウエルンについて簡単な設定も作りました。あわせてどうぞ


171:tueun ◆n41r8f8dTs
09/06/20 01:14:39 O7L3Qa3M
<5,本性>

何者かがドアを叩いている。ギーシュは立ち上がり、ドアの付近まで歩み寄った。ロッファの妻が怯えた表情でギーシュを見つめる。
ギーシュは妻が声を出さぬように口元に人差し指を立てるジェスチャーをし、振り返ってドアの前に立った。
「俺だ、ギーシュだ。今ちょっと村長の代わりで留守番しててな。何か用があるなら、俺が村長に伝えておくよ」
ドアの前の何者かに、ギーシュはそう言った。すると、その何者かは低い声で返答した。

「その村長を返しに来た」
「なっ……」
その瞬間、ドアを吹き飛ばすほどの衝撃波がギーシュを襲った。ギーシュは両腕で防ごうとするが、抗えずに背中から壁にぶつかった。
妻は驚愕し、椅子から転げ落ちた。完全に腰が抜けたらしく、両膝を付いて震えている。ドアとその周りの壁は、衝撃波によってガラガラと崩れ巨大な穴を開けていた。
何者か――否、シュワルツの取り巻きである二人組の大男、その片方が、1機の黒騎士を携えてロッファの自宅へと踏み入った。
ちなみにもう片方はタウエルンと対峙中である。

「シュワルツ様からの配達だ。受け取れ」
大男が指を鳴らすと、背後から黒騎士が手で吊り下げた何かを、妻の前にボトリと落とした。それは……。
「あ、貴方……」
妻はその何かに目を見開き、両手を口元で覆った。そこには額に穴を開け、目から光を失ったロッファの亡骸が転がっていた。

大男は壁にぶつかった際に頭を打ち、その痛みで意識が朦朧としているギーシュの方へ歩み、ギーシュの耳元にしゃがむと、用件を伝えた。
「見ての通り、お前達を束ねていた村長は死んだ。これでもう、お前達の支柱は無くなった訳だ。
 薄々感じてはいただろうが、この村は我々が掌握している。ここで村長の死により、この村は完全に我々が掌握した。俺が言っている意味が分かるな?

 明日、我々はこの村をある実験に使う。
 そこでだ、シュワルツ様は、お前達が明日までにこの村から立ち去ればお前達には一切干渉しないという慈悲を与えて下さった。
 俺の言っている言葉の意味が分かるならどうするべきか、よく考えろよ。まぁ……お前達が心中しても、我々は痛くも痒くもないがな」

172:tueun ◆n41r8f8dTs
09/06/20 01:16:09 O7L3Qa3M
大男は立ち上がり、踵を返して外へと向かう。黒騎士はその後ろを幽霊の様にゆったりと浮遊して付いていく。
がらんとした空間には、二度と起き上がらないロッファに寄り添いすすり泣く妻と、壁に寄り掛かり、頭から流血するギーシュしかいない。
朦朧とする頭をどうにか支えながら、ギーシュは立ち上がり、テーブルの上の受話器に手を掛けた。
大男の発言は朦朧とした意識の中ではっきりと聞こえた。一つはっきりしている事は――もはやこの村で生きていく事は出来ないという事だ。

突如、タウエルンの動きが静止した。ショウイチはその様子をじっと見ているだけで、全く黒騎士達に意を示さない。
トニーはショウイチとタウエルンが微動だにしない事に、凄まじい不安を抱いた。距離がまだ遠いとはいえ、黒騎士達は背中にマウントしていた槍を構えて突進してくる。
というより、黒騎士達が扇型に一斉に突っ込んでくる。トニーはあわててタウエルンの背後に隠れ、ショウイチに声を掛けた。
「ショ、ショウイチ君! どうする!?」

「ショウイチ……君?」
返事を返さないショウイチに、トニーは首を傾げた。ショウイチはタウエルンの方を向いて何かぼそぼそと唱えている。
黒騎士達が目前まで迫ってくる。トニーが焦ってショウイチに取りすがる。が、ショウイチはトニーの事を忘れているようにタウエルンに何かを呟いている。
「ショウイチ君! もう敵が迫って……」

「ソーラーキャノン、展開」
ショウイチがそう呟いた瞬間、タウエルンの胸部が両端にスライドし、黒光りする武骨な砲口が姿を現した。
その砲口は上下左右すると、黒騎士達へと狙いを定めた。驚くべき事は、この武装が展開するまでの時間は――僅か0.59秒である。

砲口より繰り出された眩い光のそれに、黒騎士達は巻き込まれた。ショウイチ達に向けていた槍が見る見るうちに融解していく。
レーザーともビームとも違うその攻撃は、まるでバーナーの様に黒騎士達を炙ると、ゆっくりと収束していった。
危険を察知したのか、攻撃範囲に至らなかったのか、2機が素早い動きで後方へとバックステップした。攻撃の余波を受けたのか、持っていた槍の先端が溶けている。
そこには上半身を失い、機能を停止した黒騎士達の脚部が一機、二機と倒れていく。得体の知れないパーツ群が露出したその姿は、どこかグロテスクである。

「ば、馬鹿な……な、何なんだ、おい!」
大男が驚愕と言った表情でタウエルンを見、そう叫んだ。トニーはと言うと、目の前で起こった事が理解できず、ポカンと口を開けている。

「あ……えっと」
首を振って呆けを覚まし、トニーはショウイチとタウエルンに目を向けた。何が何だか正直理解できないが、凄い。
タウエルンはあの黒騎士を一瞬で数機葬ったのだ。その証拠に、上半身を失った黒騎士達が地面に突っ伏している。その時だ。

173:tueun ◆n41r8f8dTs
09/06/20 01:17:23 O7L3Qa3M
「ショウイチ君! 上だ!」
空から黒騎士が、タウエルンに向かって襲いかかってきた。タウエルンを危険な存在と認知した事で、大男の命令より、破壊を優先する様だ。
タウエルンは黒騎士に対して顔さえ向けず、右腕を上げた。すると右腕の装甲が大きくスライドし、中からウエハース状の物体が飛び出した。

瞬間、ウエハースの隙間から、先程の光と同じ物質が黒騎士を貫いた。巨大な板の様に成形されたそれが、黒騎士を蒸発させるのに数秒掛からなかった。
連携攻撃のつもりか、正面から最後の黒騎士が小細工なしでぶつかってくる、が、タウエルンはただ空いている左腕を正面に向けただけだ。
そして、タウエルンは装甲を元の状態に戻し、上げていた右腕を下げると、左腕と同じく、黒騎士に向かって正面に向けた。
黒騎士が両手を広げ、タウエルンの両腕とぶつかる。黒騎士の腕部分が軋む音がする、がタウエルンは微動だにせず、反応もしない。

すると、タウエルンは体勢を低くし、一気に黒騎士の拳を叩き潰した。黒騎士が拳を失い、バランスが揺らいだ瞬間。
タウエルンは一気に黒騎士に接近し、密着すると、展開状態であるソーラーキャノンを押しつけた。そしてタウエルンは呟く。
「……許してくれ。君達に、罪は無い」
一瞬の閃光――そこには黒騎士の姿は無く、ソーラーキャノンを露出させたままのタウエルンが立っていた。

「ま、マジかよ……」
大男は目の前の光景にただただ青ざめるしかなかった。ソーラーキャノンを収納したタウエルンが、一歩、二歩と大男に近づいてくる。
「来るな……来るんじゃない!」

腰元から大きなナイフを取り出し、大男はメルティの頬に当てた。自らを奮い立出せる為でも、最終的な自己防衛でもある。
「もしもこれ以上近づいてみろ。この女の顔に、一生物の傷が付くぞ」
「や、やめろ! メルティに手を出すな!」
トニーは慌てて、大男にそう叫んだ。が、大男は興奮状態で今にもメルティを斬りつけてしまいそうだ。

「ショウイチ君……」
トニーはショウイチに対して、タウエルンを元の状態に戻してほしいと言おうとした瞬間、大男のナイフが、宙に舞った。
気づけば、ショウイチの右手に拳銃が握られている。そしてショウイチは続いて、大男の肩に向かってトリガーを引いた。
大男が呻き声をあげて、抱えていたメルティを話す。ショウイチはトニーに向かって叫んだ。
「トニーさん、今です!」

174:tueun ◆n41r8f8dTs
09/06/20 01:18:46 O7L3Qa3M
ショウイチの言葉に、トニーはハッとすると、直にバランスを崩した大男からメルティを抱きかかえてその場から逃げだした。
「やった……」
黒騎士がいなくなった事で安心したのか、信じられないくらいに軽いフットワークで、トニーはメルティを救い出せた。
メルティはまだ気絶している様だ。早く家に、と言うより安全な場所に避難したい。……そうだ、先ずショウイチに礼を言わねばならない。そう思ってトニーは振り向いた。

そこには、拳銃を構えて、大男の体を足で踏みつけながら、冷徹な表情を浮かべるショウイチがいた。
ショウイチ……いや、あそこに居るのはショウイチという青年だが、ショウイチに見えない。まるで、別の人間が乗り移ったかのようだ。
大男は撃たれた傷口が痛むのか息を荒くしている。が、ショウイチはお構いなく、大きな図体を踏みつけて問答する。
「誰からの命令だ? 黒騎士を所有してるって事はそこらのチンピラじゃないよな?」

「……何者だ、お前……あの自動人形と良い……射撃の……精密さと……」
ショウイチが大男の耳元を威嚇射撃する。その目、雰囲気、全てがさっきまでのショウイチと違う。
「俺は褒めろとは一言も言ってない。死にたくなきゃ吐け。お前をここに送り込んだのは誰だ?」

大男は息を荒げながらも、ショウイチに目を合わせた。その表情には何故だか、穏やかさが漂っていた。まるで死を待っていたかのように。
「……俺は、ただの、雇われた用心棒、だ。クライ、アントの事、何か、知らねえ……」
ショウイチは無言で大男に視線を合わせる。大男は観念したようため息をつくと、言葉を続けた。

「シュ……シュワルツっていう……元、帝国、軍人の野郎、だ。あんたと、同じように……な。場所は……」
その瞬間、大男の頭に風穴が開いた。ショウイチは銃弾が飛んできた方向に目をやると、何者かが逃げていくのが見えた。
大男は完全に撃ち抜かれた様だ。非常に凄惨な光景である。ショウイチは大男から足をどけた。
と、タウエルンがショウイチの肩に手をのせた。ショウイチは疲れたそぶりで、タウエルンの手に、自分の手を重ねた。

「ショウイチ……」
「悪いな、タウ……昔の癖が出ちまったみたいだ」

破壊された黒騎士達と、横たわる大男の死体。戦いはひとまず終わったようだ。
「取りあえず……トニーさん、メルティさんと一緒に家に帰りましょう。ここに居ると危ない」
「あ、あぁ……そうだな」
なるべく、大男の姿を見ない様に、トニーはメルティをおんぶし、自宅へと足を進めた。ショウイチもそれに続く。

と、ショウイチは振り向き、タウエルンに言った。
「タウ、悪いけど……頼むな」
ショウイチの言葉に、タウエルンは無言で背部のブースターを吹かし、あの機能を作動させた。

175:tueun ◆n41r8f8dTs
09/06/20 01:20:25 O7L3Qa3M
森の中を、もう一人の大男が疾走している。肩に狙撃用のライフルを引っ提げて。
「信じられん……あれほど、あれほど強力な自動人形だったとは……」
走りながら大男は腰のホルスターに引っかかっている無線機を取り、通信を入れた。

「レフトだ。シュワルツ様に繋げ。

 ……失礼します、シュワルツ様。異変の原因が分かりました。それと、ライトが……」

トニーは自宅のカギを開けた。幸運な事にこの家に危害は及んでいないようだ。
メルティを寝室に寝かせ、トニーは居間の椅子に座った。何故だが偉く疲れた。一気に疲労感が襲ってくる。
だが、妙な突っかかりが頭の中をぐるぐると回っている。それは全て……。

「……少しいいかい? ショウイチ君?」
目の前で座っている青年、ショウイチ・マーチマンの事だ。今更ながら実感する。この青年は普通じゃない。
あのタウエルンという自動人形も、正確に大男を倒した射撃技術にしても、何もかも普通じゃない

「はい、何でしょう?」
あっけらかんとした明るい口調で、ショウイチはトニーに顔を向けた。奇妙な緊張感が張り詰める。
「君は……君はいったい何者」

その時、激しくドアを叩く音が部屋に響いた。トニーは一瞬体を強張らせると、ショウイチに待っている様に言ってドアに向かった。
訪問者に声を掛ける。
「すまないが今取り込み中なんだ。またの機会にしてく」
「トニーさん、あたし! クレフよ! 早く開けて!」

馴染みのある声に、トニーはドアを開けた。すると目に涙を浮かべたクレフが飛び込んできた。
「ちょ、クレフちゃん!?」

「村長が……村長がシュワルツに殺された!」


続く

176:tueun ◆n41r8f8dTs
09/06/20 01:25:17 O7L3Qa3M
投下終了です。それと設定的な物を。
上から世界観・主人公・主役ロボです

ずっとずっと先の未来、自動人形と呼ばれるロボット同士の戦争で荒廃した世界
人々はその中で残った僅かな資源を活用しながら、畑を耕し、自然と触れ合いながら生きている
時折、前大戦の負の遺産である自動人形が掘り返される。まだ利用できる場合は利用され、不良品の場合はパーツなどをばらされて市場に売られる
完全な状態で利用できる自動人形もあるらしく、内戦等でいまだに戦争の道具として利用される自動人形も、ある事にはある

ショウイチ・マーチマン タウエルンと旅をする不思議な青年。外見は青年だが年齢は不明。
            年齢以前に経歴他も現時点では一切不明。一つ分かる事は、タウエルンとはパートナーである事のみである
       
タウエルン ショウイチと旅をする自動人形。トラクター→人型→戦闘用と三段変形する
      ショウイチと同じく、全てが謎に包まれている。ただ、太陽の光が重要なエネルギーらしい。
      耕作用にも戦闘用にも。

>>168
承諾しました。
まぁ自分のは設定みたいなのは上の三つくらいしかないんで、どうとでもなりますよw

177:創る名無しに見る名無し
09/06/20 05:09:22 s7Emwa6U
スパロボ企画に

瞬転のスプリガン
最強無敵ロボ・ネクソンクロガネ

で参加表明しときます
本編で出してない敵って出していいのかな?
うちなら獣属・鱗属の魔族とか、よそなら作者様の了解や設定を受けて土竜型以外の鋼獣とか、天狼以外のメタビとか。
個人的に、獣属vs獣耳とかやってみたい!

>>176
肥えはスリル・ショック・サスペンス!
タウエルン&ショウイチの強さ、堪能させてもらいました
ソーラーキャノンっていうネーミングがなんか好き。フシギバナー
個性的だからスパロボでも埋もれなさそう

178: ◆46YdzwwxxU
09/06/20 05:16:38 s7Emwa6U
おっと念のため。

179:創る名無しに見る名無し
09/06/20 13:15:53 HcQQO4zo
tes

180: ◆gD1i1Jw3kk
09/06/20 15:20:51 yPbd17U/
ショウイチとタウエルンが悪党共を叩き潰す様がいい。シュワルツを倒すんだ!

海上都市姫路守備隊戦記、参戦OKです。

実際やるとして最初から全ての作品世界が融合している普通のスパロボ式か、別々の世界が融合されるスパロボZの多元世界方式とどっちがいいですかね?
>>177
姫路の魔族はジャーク帝国以外敵とみなしていないので、スプリガンの魔族と味方になる事はまずないでしょう。
敵対関係か、同じ魔族同士なのでお互い不干渉を決めているのか、対ジャーク帝国戦のみ協力している、という所です。

181: ◆46YdzwwxxU
09/06/20 21:03:58 s7Emwa6U
>>180
私がやると私情が入りそうだ。
この際(受け持ってくれる作者様がいれば)丸投・・・そっくりお任せしても面白いかもしれませんね。

182:スーパーロボット大戦SH(仮) ◆PMPifNk6WCVg
09/06/21 11:23:04 4EOwdomD
■1 企画概要
2ch創作発表板「ロボットSS総合スレ」発祥作品群によるクロスオーバー

■2 参戦作品(募集中→■3)

☆海上都市姫路守備隊戦記◆gD1i1Jw3kk
☆最強無敵ロボ・ネクソンクロガネ◆46YdzwwxxU
☆瞬転のスプリガン◆46YdzwwxxU
☆Tueun◆n41r8f8dTs

・五十音順
・ここには>>168以降に作家本人による参戦表明が明確になされた作品のみ記載します

■3 参戦作品募集条件等(要議論)
(1)原作者が2ch創作発表板「ロボットSS総合スレ」の住人であるか、また住人となること
(2)原作者がプロローグ募集開始(→【4】)までに、“原作者以外が人物や機体を動かせそう”な程度の設定及びSSの発表をすること
   ・参戦させたい人物の「会話」と、参戦させたい機体の「戦闘」は必須
(3)原作者が最低一本は自作品以外のキャラを使用したクロスオーバーSSを書く意志を持つこと
(4)原作者が自作品及び他作品、そして参加者を尊重できること。また、企画の成功と自作品の完結のために努力できること
   ・以上の条件を全て満たせるなら、いわゆる飛び入りもOKということ

■4 参加資格(参戦作品原作者以外も含む)
(1)2ch創作発表板「ロボットSS総合スレ」の住人であるか、また住人となること
(2)参戦作品そして参加者を尊重できること。また、企画の成功のために努力できること

■5 プロローグ(要議論)
募集準備中
・参戦作品確定後に募集し、参加者による決を取ります(その際、議論による微修正等も検討します)

■6 舞台世界(要議論)
暫定的な方針として、基本となる世界の他に「ファンタジー系作品を包括できる異世界(便宜上「魔界」と呼びます)」を設定することを提案します

・基本世界日本(現代もしくは近未来の日本。作品としては姫路B、ネクソン、スプリガン)
・基本世界荒廃(地理的には中東あたりで。作品としてはタウエルン?)
・魔界(初期は召喚など限られた手段でしか行き来できない。ジャーク魔法帝国(姫)、魔族(姫)、魔族(ス)の勢力圏。作品としては姫路、スプリガンB)

 もちろん、最初期にタウエルン組が日本の農地でオロオロしていたり、スプリガンが(設定上可能なら)魔界で武者修行していてもいいでしょう
 ただし、「魔界」は異世界であることに留意し、明確に基本世界を舞台とする作品のキャラの場合には要議論ということで

まずはこの三つをフィールドに、世界観のやや近い二、三作品くらいでクロス
あとは特に縛りは入れずに作家陣の発想に任せたいかなと。行き詰ったら議論

183:スーパーロボット大戦SH(仮) ◆PMPifNk6WCVg
09/06/21 11:24:06 4EOwdomD
■7 SSについて(要議論)

(1)リレーSS形式で行います
   →形式的にはロワ企画に近い感じで
(2)要予約(→■8)
(3)投下までの期限は大雑把に一週間
   →一言断れば更に一週間延長アリ。つまり予約してから最長二週間。それ以上は“原則として”破棄
(4)文章量の規定はなし。一話一話が短くてもバンバンリレーが進む方がいいかも
   →インターミッションだけ、戦闘だけ、悪人同士の悪巧みだけ、でも結構です
(5)同一作家によるリレーは推奨しませんが、作家が少人数になると予想されるため止むなしか?
(6)参戦作品の原作者以外にも作家募集中!
(7)■3(4)及び■4(2)に違反した場合は議論に掛けます
(8)作家は予約、延長申請、投下の場合にはトリップを付けてください。

■8 予約について(要議論)
「同一時間に同一人物が別の場所にいる」といった矛盾を生じさせないための措置です
予約された人物や機体は、他の作家によって使用できなくなります(量産機等を除く)
予約を行った作家は、人物や機体を独占しているという自覚を持ち、可及的速やかに執筆してください

(1)基本的に作品名(→■2)、集団名、もしくは人物名で、「作品名A、作品名B、人物名1@作品名C、集団甲@作品名D・・・」などという形式で行います
  ・ここでいう「集団」とは、「シュワルツ一味」「村の人々」「セイギベース3」「ドルンドメオン部隊」などで、その構成員全てを含みます
(2)機体はパイロットとなる人物と合わせて登場させることができます
  ・「清水静」で予約すれば、「専用重装甲強化服」がもれなく付いてきます
(3)パイロットなしで単独行動できる機体や、個体名を持つ巨大生物などは人物扱いとします
(4)「予約した作品や組織の中でも、特定の人物や機体だけを他の作家に譲る」といった特殊な状況では追記してください

・あんまりややこしくするのも何なので、他の作家に使われると困るものを書き出す方向で
・フルネームでなくても判別できればいいです
・執筆途中に面白い展開を思いつくこともあるでしょう。宣言すれば途中追加もアリとします

■9 クロスオーバー(要議論)
・時間的な矛盾が出ないようにしながら、作品単位ではなく人物単位で動かすと多作品クロスオーバーの幅が出るでしょう
・情報交換を活発にしつつ、自作品のキャラ以外でも頑張るようにしましょう
・某ディケイドの「虫(ワーム)には虫(クウガ)だ!」といったような、面白い組み合わせを探してもいいでしょう

■10 敵(要議論)
敵は絶対的な種類が少ないので、原作の組み合わせに拘らず、割と自由にシャッフルしてやれたらと思います
世界各地に出現する設定などを上手に使いましょう
・荒廃世界でスプリガンを出さずに「タウエルンVS甲属魔族」とかで害虫駆除バトルをしても、それはそれでOK
・原作未未登場でもいることが明らかな敵は、原作者に設定の提供を依頼するか、勝手に設定したものでも原作者の許可を得ればOKとしたいと思います
・ラスボスは要議論

184:スーパーロボット大戦SH(仮) ◆PMPifNk6WCVg
09/06/21 11:25:24 4EOwdomD
俺の考えた要綱はこんな所。
まだまだ手探りのためとんでもない見落としが山ほどありそうですが、これをひとまずの叩き台に議論してもらえれば。
異議や質問があれば誰でも遠慮なく。
・・・つか別のスレでやった方がいいかのう

185:スーパーロボット大戦SH(仮) ◆PMPifNk6WCVg
09/06/21 11:27:58 4EOwdomD
スレ名間違えた

×ロボットSS総合スレ
○ロボット物SS総合スレ


186:創る名無しに見る名無し
09/06/21 11:32:23 QCDTFrP5
この手の企画は元作品が完結してからじゃないとコケる。ぜっっったいにコケる。
クロスオーバー企画が楽しいのは分かるし、俺もやってみたいと思うけどもうしばらくは我慢した方がいいと思うよ。より楽しく、より良い作品にしたいのなら。

187:スーパーロボット大戦SH(仮) ◆PMPifNk6WCVg
09/06/21 11:37:14 4EOwdomD
完結してもコケるときはコケる
俺は各作品が完結するまで待っていたら一生できないと思うね

188:創る名無しに見る名無し
09/06/21 12:06:02 rRoNYK32
とりあえず、投下や参加表明自体はこのスレでいいとして
そこらへんのルールその他は避難所なりなんなり、別の場所でやったほうがいい

あと言っちゃ悪いが、いきなりトリつけてルールをポンと出してその態度は
傍からすりゃスレの私物化っぽく見えなくもないので、注意したほうがいい
近いうちに企画を動かしたいというのに文句を言うつもりはないが
もう少し我慢して、他の人も交えて色々煮詰めた上でも遅くはないんじゃないかな

189:創る名無しに見る名無し
09/06/21 12:06:13 OlbdlxGd
まぁ取りあえず、各作者さんの意見を聞いてみたいな
後、参戦確定した作品以外の作者さんの参戦意思も

190:創る名無しに見る名無し
09/06/21 12:12:00 QCDTFrP5
主導するのはいいってかむしろ率先して動いてくれるのはありがたいのだが

>俺は各作品が完結するまで待っていたら一生できないと思うね
お前さ、これはちょいと作者さんに失礼なんじゃねーの。暗にどうせ完結しねーんだろって言ってるも同じじゃねぇか。
まぁ言いたいことは分からないでもないんだけど、ね。

191:スーパーロボット大戦SH(仮) ◆PMPifNk6WCVg
09/06/21 12:29:02 4EOwdomD
すまない。いいすぎたし、一人ではりきりすぎた。意見を感謝する。

俺は個人的には、この企画が作家陣の創作意欲の刺激になればいいと思っている。
このスレは基本的に感想が少ない。作者からすれば、自分の作品がどう思われているのか全然分からんはずだ。
それでは完結させるだけのモチベーションも湧かないだろう。
スパロボで作家陣だけでも連携できれば、あるいは活性化につながるんじゃないかと思って強引に進めてみた。
更に言えば、それほど壮大化・長期化させるつもりもない。
一段落付いた作品で楽しく遊ぼうと、そんな感じだ。

それでも時期尚早だというならそれもそうかもしれん。
参戦を表明してくれた作者も、今から撤回してくれても構わん。

192:創る名無しに見る名無し
09/06/21 12:49:45 OlbdlxGd
ま、企画が企画だしゆっくり考えてけば良いよ
まぁ本編間際の息抜きって感じで楽しんでさ

193: ◆klsLRI0upQ
09/06/21 14:30:06 aihB4jXB
CR参戦します、よーわからん場合はキャラ世界観ぶっ壊しまくっても構わんです
赤い光の正体はそれなりに引っ張る予定なので、自分の執筆がそこまでいけてなかったら
なんかよくわからん不思議パワーとして扱ってもらえるとうれしいです
クロスオーバーで新規設定にされると嬉しくなって作者に抱きつきます(富野監督風にw)

とりあえず一応の描写のイメージとばらしてもいい程度の設定だけ
無視、改変いくらでも来いなので参考程度にしてくださいw

・黒峰潤也
あんまりまだ描写してないので詳しく書けないんですが
一言だけ言うと捻くれ者です
一応、SIDE Cの終わりに・・・ゲフン、ゲフン

・リベジオン(ブラックファントム)
いわゆる魔王のイメージです、鋼機をベースにしてますが、操縦方法が鋼機と若干違います
武装は多機能可変の槍(普通に突くのと展開して遠距離射撃をする二つの機能があります)
両方とも赤い光を利用していて突いた対象を消滅させたりします、自己修復機能持ちです
赤い光が漆黒の機体を駆け巡るイメージです(若干、違いますがOFのエネルギーラインのイメージに近い)
ロストテクノロジーが使われていますがベース自体は昔の機体をベースにしてますので、そこら辺をクロス設定に使ってみると面白いかも


・鋼機
作中であんまり説明する余裕が無さそうなので、せっかくなのでここで説明
これ自体はこの間公開した、シャドウミラージュから設定をほとんど変えずに作ってます
共通武装はバイブレーションナイフのみです
コンセプトはシンプルなベースを使ったカスタム機で搭乗者によてMSV並のバリエーションが出来たら良いなーとかいう、儚い願望がありますw
武装に関してはかなり自由です、作中で出す武器はモンハンとMGSの二つをモチーフにしてたりするのでそこら辺から武器をチョイスして貰えれば俺のイメージに近いと思います
弓系の武器とかは爆弾矢を発射するみたいな感じで考えています
出てない武器を使っても俺の中では違和感全然ありません、ビーム兵器は現状ではまだ出す予定が無いのでちょっとイメージとは違うかも知れない
作中に出てきたディールダインというのはエネルギー増幅作用がある特殊な鉱物です
これを用いる事によって、低燃費で高いエネルギーを得る事が出来ます
これを使う事によってアインツヴァインは機体の小型化と多機能化に成功しています
ただし、あんまりにもエネルギー増幅量がピーキーなので、中々実用化には至れませんでした
それをさまざまな研究の末に実用化したのがS-21アインツヴァインになります
形式番号を21にしたのはBJから、アインツヴァインは逆転の意味を含めて


・鋼獣
えーと、SIDE Bの時点で気づいた方もいらっしゃるかもしれませんが
驚異的な能力と引き換えに索敵がゴミ屑レベルです、あとあんまり数がいません
数がいないから政府軍が持ちこたえられているという感じです
ちなみに天狼は鋼獣の中の下ぐらいの能力です
これも本編で説明するか不明なんで言っておきますが特に空中にいるときは聴覚の神経をカットしているので、まったく音が聞こえないなんて状態になってます
その内(といっても今、非常に忙しい状態ですので申し訳ないが少し時間かかると思います)、レポートみたいな形式で政府軍側から見た鋼機に関しての考察みたいなのを投下する予定です。
一度書いてたのがデータ飛んじゃって涙目になってたりはするんですが(´;ω;`)


・秋常譲二
正統派主人公タイプ
熱血漢かつ、頭が良いが熱し易いのが難点
最新鋭機アインツヴァインの開発が彼がいてこその賜物
リベジオンに嫉妬と羨望が混じったような感情を抱いている


・シャーリー・時峰

世界政府第七機関「イーグル」所属で戦闘部隊の隊長、一応この人に関しては説明したのでまあいいかと
シスターズも参戦させたいけど
こっちは現状じゃ背景まったくなくて無理だからな(´・ω・`)
まあ、乱入させやすい設定だけど、無理やりがいくらでもできる設定だし

194:創る名無しに見る名無し
09/06/21 20:12:32 4EOwdomD
反応を見た感じ、みんなが企画の是非も含めてちゃんと意見を出してくれそうなので、俺が仕切る必要もなくなった。
よって俺は一参加者に戻る。不快な思いをさせてすまなかった。
1からみんなでやり直そう。

>>193
感謝する

195: ◆kNPkZ2h.ro
09/06/21 23:01:21 zBUNMCpS
予告どおりリアルロボット系にて参戦!

といってもボトムズとかガサラキとかの様な小サイズのロボットです
そしてガンパレ風味

少女機甲録(仮)

1/15
建物の影に身を屈める様に隠れていた87式機士の頭部センサーアイに光が灯り、ゆっくりと上半身を起こす。
身長4mの人型の装甲騎兵はその鋭敏なセンサーに複数の敵影を捉えていた。
敵の発する熱量、歩行する時の振動を各種のセンサーが関知し、その種類と数が即座に分析される。

「ガールズ・マルヒト(01)よりガールズ・マルマル(00)へ…
タイプA、6 タイプB、4 本町信号機前を通過し国道227号線を南下中…予定通り市営住宅の火点で迎撃する
マルヒトとマルフタ(02)はこれより誘導を開始、3秒間の射撃の後、後退する」

マルヒトの符丁を与えられた87式機士に搭乗するパイロットは10代の少女特有の高いソプラノの、透き通った声で仲間へと通信を行う。
接近してくる敵に電波無線が傍受される恐れは無いが、奴らはこちらと同様に熱や音には鋭敏な感覚センサーを有している。
目前500mにまで接近してきた敵に気付かれないよう慎重に立ち上がったつもりだったが、しかし気づかれてしまったようだ。
舌打ちをして操作グリップに回避行動の命令を入力する。
1秒後には隠れていた建物のコンクリ壁に十数本もの太い槍の様な弾丸が打ち込まれていた。



196: ◆kNPkZ2h.ro
09/06/21 23:02:14 zBUNMCpS
2/15

「マルヒト、射撃開始! 撃(て)っ! マルフタ援護っ!」

87式機士の右腕に装備された25ミリ機関砲がバースト(点射)モードで炎を吹く。
ドンドンドン、ドンドンドン、と2回に分けて三発ずつ打ち込まれた砲弾は敵、タイプAの6本足のうち3本を吹き飛ばし
マルヒトはそのまま背を向けて全力で後退した。
それを援護するマルフタの、同じく25ミリ機関砲のドンドンドンドンドンドンという連続した発射音。
マルフタはどうやらフルオート(連射)で撃ちまくっているらしい。

「マルフタっ! 射撃はバーストでって行ったでしょう!」

後退射撃位置に付いたマルヒトは事前の申し送りをマルフタが無視したのを叱責しながら、マルフタの後退するのを援護するために再度射撃を行う。
マルフタは連射でタイプBの1体の胴体を蜂の巣にすると、迅速に後退行動に入る。
これを繰り返しながら、じりじりと後退を続けるのがマルヒトとマルフタの任務だ。

「火点に到達するまでに敵の数を減らしておくのも大事だと思うけれど」

「そういことは考えなくていいの! 私達は軽装甲なんだから、まともに敵とやり合おう何て考えない!!」


197: ◆kNPkZ2h.ro
09/06/21 23:03:12 zBUNMCpS
3/15

言葉を交わしながら、後退→射撃・援護を交互に繰り返す。
軽騎兵型である87式の装甲防御力は頼りない。 敵の針弾を一発食らっただけでも戦闘不能になることもありえる。
致命部位に損傷を受けたら、それはパイロットの死を意味するのだ。
だから、マルヒトとマルフタの与えられた任務は偵察と、建物から建物へと退きながら敵をこちらが罠を仕掛けているポイントまで誘導する囮だ。
今のところ、被弾は無い。 あと800m後退すれば、火点に到達できるはずだ。
と、後方から白い煙の尾を弾いて一発のミサイルが飛翔してくる。
そのミサイルはおそらく目標にしたであろうタイプAと自身の間にある民家に突っ込み、爆発した。

「マルマルっ、今の誰!? まだ攻撃距離じゃないでしょ!? マルナナ(07)!?」 

マルヒトが怒りの声を上げると、ノイズ交じりの通信にマルナナが答えた。

「私じゃねーよ、初李だよ。 だから言ったじゃん、こっからじゃ当たんないって…」

初李、とはマルハチ(08)のパイロットの名前だ。
マルナナ・マルハチの82式機士は砲撃・火力支援型の砲兵型と言われるタイプである。
砲やミサイルを装備し、遠距離から装甲目標を精密攻撃したり、小型目標を面制圧したりする。

「…87式と82式はデータリンクがあるから、マルヒトかマルフタが照準している目標に誘導が可能だわ」

「何馬鹿なこと言ってんの! 打ち合わせにあったこと以外はしない! それに、81式誘導弾の性能じゃ
市街戦では建造物が邪魔になって当たらない!! ボケてるの!?」


198: ◆kNPkZ2h.ro
09/06/21 23:03:58 zBUNMCpS
4/15

データリンクは情報共有、他者のセンサーで捉えた目標の情報を自分も手に入れることが出来る機能である。
例えば、マルヒトの87式機士が照準に入れた敵は82式のセンサー外にいてロックオンしてなくても、情報共有によって
ミサイルを発射すれば敵に命中させる事が可能である。
しかし、今マルハチの82式機士に装備されている81式誘導弾は障害物を自己判断で回避して目標に命中する機能は持っていない。
そのため開けた場所でしか使えないのだが、マルハチのパイロットは何故か発射してしまった。

もっともイチイチそれを責めていてもしょうがない。
マルマルからマルハチまで、パイロット全員が戦闘に関してはほぼ素人なのだ。
それに今は作戦行動中だ。 言い合いやお説教をしている暇は無い。
戦闘が終わって機士から降りた後にするべき事だ。
マルヒトは小さく舌打ちすると、諦めて任務の続行に専念した。

そして、マルヒトとマルフタが予定のポイントに到達しようとした時だった。

「よし、あと50m…ってちょっとぉぉぉ!?」

「全体、撃てーっ!!」

まだ敵が予定の攻撃圏内に入りきっておらず、マルヒト・マルフタが回避しきっていないのに火点から射撃が開始されてしまったのだ。
仲間たちの放った無数の機銃弾、砲弾、ミサイルの雨に飲まれ、閃光と爆発に囲まれながらマルヒトの操縦室内でモニターがブラックアウトした。


199: ◆kNPkZ2h.ro
09/06/21 23:04:58 zBUNMCpS
5/15

…機士という兵器の始まりは、まだ人類が剣と槍と鉄砲で戦争をしていた頃に遡る。
突如として戦場に革新を与えた新兵器、それは人間が装着する事で何倍もの筋力を得る事が出来、
しかも刃物も矢玉も跳ね返す頑丈な甲冑を纏った歩兵であった。
倍増した筋力によって通常の人間が複数でなければ持ち運び出来ない重火器を携帯でき、
倍増した脚力によって塹壕も障害物も楽々と越え、そして装甲によって銃弾の雨の中でも平然と戦い続けることが出来る。
まさに、絶対に倒れる事の無い不死身の兵士の登場だった。

やがて戦争は、強化服…パワードスーツとも呼ばれた甲冑を纏った兵士同士の戦いへと移行する。
パワードスーツ同士がぶつかり合い、銃弾や砲弾を浴びせあい、敵の火力に対抗するためにより重装甲に、
敵の装甲を打ち破るためにより重火力に、そして増大した装甲と武装の重量を支えられるようにより高出力に、
そうして性能を肥大させていったパワードスーツは通常の等身大サイズから、2m、3m、そして現在の4mに到達した。
それが、「機士」と呼ばれる装甲された巨人、人型兵器の誕生である。

現代では、歩兵の主力はほぼ機士だ。
機士以前の3m以下のサイズのパワードスーツを装備している歩兵部隊もまだ残ってはいるが、二線級の部隊が多い。
あるいは、技術や経済力の追いついていない後進国は旧来のパワードスーツを主力にしている。
しかしユニオン合衆国や日本、ヨーロッパ連合諸国や社会主義連邦などの先進諸国は機士を配備していない軍は
ほぼ存在しないというくらいに常識化している。
そして、戦車等の兵器はほぼ存在しない。
昔から、野戦砲などはパワードスーツで牽引すれば良かったので、車両の発達を促さなかったのだ。
そのため、現在の軍隊の多くは輸送車両や、一部の自走榴弾砲や自走ロケットランチャーを除いて戦闘車両は無い。
装輪式の軽戦車・駆逐戦車というものを配備している軍隊があるのみだ。

200: ◆kNPkZ2h.ro
09/06/21 23:06:20 zBUNMCpS
6/15

このように優秀性を発揮した機士に代表されるパワードスーツ兵器だが、大きな謎があった。
一つは、誰がどのようにしてこのような兵器を発明したのか全く不明である事。
もう一つは、パワードスーツの搭乗した当時、人類はまだ蒸気機関車の黎明期にようやく手が届くという程度の
文明しか持っていなかったにも拘らず、パワードスーツというオーバーテクノロジーを手に入れることが出来たという事。
最後の一つは、パワードスーツを初めとして、この世界でそれらの発達した兵器の製造を担っている
「セントラル」と呼ばれる企業組織について、誰もその詳細を全く知らないという事だ。


そして、その機士という兵器、現代の甲冑を身にまとい北海道は函館を守るために日々訓練している少女達が存在した。

「……全員、そこに正座!!」

コンピューターソフトによる訓練シミュレーションプログラムが終了し、ソフトの自動採点の結果が
Bマイナスという厳しい評価だったことよりも何よりも、訓練中の様々なことがマルヒトのパイロットである
葉倉 玲(はくら れい)の怒りを有頂天に到達させていた。
一つ、僚機であるマルフタのパイロットである井沢 咲也(いざわ さくや)は無駄に弾を撃ちまくる。
一つ、砲兵班のマルナナのパイロット、野礼寺 初李(のれいじ はつり)は攻撃圏外からミサイルを撃つ。
一つ、極め付けに、予定のポイントで攻撃するタイミングが早すぎる。 あまつさえ、自分ことマルヒトと、マルフタが
退避を完了してないのに巻き添えにする。
おかげでマルヒトは大破・戦死判定、マルフタは脚部大破、脱出判定…

「これがシミュレーションじゃなくて本番だったら、私死んでたのよ? そんなに私を殺したいわけ?
敵じゃなくて味方を撃ちたいわけ? だいたい、事前に作戦内容を3回も念入りに説明したよね?
何聞いてたの? 聞いてなかったの? それとも私の説明が足りなかったの? 馬鹿なの? 死ぬの?」


201: ◆kNPkZ2h.ro
09/06/21 23:07:25 zBUNMCpS
7/15

一列に並んで正座させられている陸上自衛軍第28連隊の第4中隊の面々は、顔を下に向けてシュンとしていたり
頭をポリポリ書いていたり、何を怒られているのか理解してなさそうなキョトンとした表情をしていたり、
私は何もしていないのに…と迷惑そうな顔をしていたりと様々だった。
中隊といっても玲を含めて14名、せいぜい2個分隊相当の人数しかいない。
そのうち、機士は8台しか無いので戦闘に出られるのは半分だけで、残りは整備班とか、機士のトランスポーター(輸送車)の担当だ。
戦闘に参加してない(シミュレーターを見ていただけ)のに正座させられた上にお説教もされて不満顔の整備班だがこれも連帯責任という物である。
部隊は規律と結束が必要なのだ。

「えー…でも敵は全滅できたわけだし…ほら、麗は尊い犠牲という奴で」

「私はまだ尊い犠牲とかになるつもりは無いの! それとも今度はあんたが87式に乗って偵察と囮をする!?
でもって味方に撃たれて見なさい! このスカポンタン! 幕の内!」

「ま、まくのうちゆーなー!」

言い訳をしようとして、逆にどなりつけられて涙目になりながらうーうー抗議しているのは暮内 麗美(くれうち れみ)。
重歩兵型の89式機士、符丁マルサンを担当し、一応中隊の隊長を任命されているが隊長としての威厳はあんまり無い。
幕の内という彼女のあだ名は配属初日の顔あわせで名前の暮内を「幕の内」と読み間違えられたのが原因だ。
そして、今のところ中隊長である麗美よりも、先に第4中隊に着任して訓練を始めていた玲の方が「最先任」であり立場が上だ。
中隊長というのは本来、幹部(士官)である。
しかし、軍隊というのは階級よりも「先にいた先輩」の方が立場が強いと言う事がある。
経験者である最先任は中隊長や小隊長の補佐をするサブリーダーであり、時には中隊長に代わって部隊を取りまとめる陰の実力者である。

202:創る名無しに見る名無し
09/06/21 23:10:32 gv19nYhT
支援

203: ◆kNPkZ2h.ro
09/06/21 23:10:37 zBUNMCpS
8/15

加えて、中隊長といっても麗美は配属されたばかりのド素人。
最先任の役目には新米隊長を厳しくも優しく叩き上げて一人前に鍛えることも含まれている。
玲の麗美に対するそれも、中隊長に早く立派になって欲しいという愛の鞭である…はず。

「まあまあ玲、そのへんにしとこーよ。 仮にも中隊長様がかわいそうだ」

「真璃、あんたは82式の装備が打ち合わせと違ったみたいだけど、またシミュレーション設定を勝手に弄ったの?」

助け舟を出そうとした桐嶋真璃(きりしま まり)、マルナナのパイロットが玲に問い詰められて慌てて白々しく目を逸らす。
真璃は作戦内容の用途や役割よりも、自分の好み・趣味で装備を選びたがる傾向がある。
この間も、迅速な機動力と陣地転換を求められる訓練で82式に重量のかさばる105ミリ砲を装備させ、足が鈍って
敵の砲撃で逃げ切れず大破判定をくらっていた。

「せ…戦争は火力だと私は思う! ランチェスター大先生も言っていた!」

「そうね、戦争は火力ね。 ついでに言えば弾幕ね。 でもって敵、『ワーム』は装甲は固いから小銃弾は効かないけど
20ミリ機銃や40ミリ機関砲は有効だから、それらによる銃弾の雨を浴びせるのが一番いい。
単発の威力が大きい105ミリは魅力的なのは私もわかる。 でも徹甲弾を撃つよりも、榴弾の方が効果的。

…そういえば私、今回は105ミリ砲弾を食らって戦死したようだってシミュレーションソフトは分析しているのだけど
真璃、あなた私を狙って撃ったとかそういうのは無いよね? いくらなんでも、味方を狙って撃ってるとかは無いよね?」

玲が般若の様な恐ろしい表情で笑いながらじっと見つめてくるので、真璃は顔を絶対に正面を向けることが出来ない。
しかし、玲は横に回って嫌でも真璃と顔を合わせようとする。 怖い。
ダラダラと嫌な汗が真璃を襲った。

「玲…あんまり真璃を虐めるのはよしなさいよ。 真璃だってわざとやったんじゃ無いんだろうし」

「有理、マルヒトとマルフタのそれぞれの大破判定に合わせて、整備班に両2機の徹夜の完全整備を申し付けようか?」

「OK、真璃の責任ね! 全部真璃が悪い!」

麗美を助けようとして自分の薮蛇状態になってしまった真璃を助けようと整備班の真門 有理(まかど ゆうり)が
口を挟もうとするが、同じように薮蛇になる事は速攻で回避した。
真璃と有理は親友同士ではあるが、玲の怒りの矛先が我が身にも及ぶようなことだけは御免こうむるようだ。
そして真璃は「うらぎりものぉ…」と泣きそうな顔になりながら呟いていた。


204: ◆kNPkZ2h.ro
09/06/21 23:11:33 zBUNMCpS
9/15

「いい!? 兵隊はそれぞれの勝手な判断で動いちゃいけないの!! 一人がチームワークを乱したら、全員が危険になる。
自分が正しいと思う考えを持つなんてのは、綺麗さっぱり捨てなさい!! それは大抵の場合、間違ってるから。
間違った行動を間違ってると気付かずに延々と続けるのが、敵よりも厄介な敵なの。 自己判断よりも、部隊の方針に従うこと!!
以上、解散!!」

小一時間ほど説教されて、痺れた足や軋む腰をさすりながらめいめいが立ち上がる。
機材を片付けて、掃除して、着替えてシャワーを浴びたら休憩時間だ。
休憩時間が終わればまた訓練がある。 軍隊とは訓練に次ぐ訓練の連続だ。
戦時下とあれば、尚更である。

そう、この時代の日本は今、戦争状態にあった。 敵は『ワーム』と呼ばれている。
ワームは80年ほど前に地球上に出現した謎の生命体群であり、人類に敵対行動を取る全世界共通の敵だ。
その正体は宇宙人であるとも、どこかの国が開発した生物兵器であるとも噂されるが、よくわかっていない。
6本あるいは8本の脚を持ち、2m~8mの様々な大きさと種類をもち、頑丈なうろこ状の皮膚の表面には
16個の目の様な感覚器官を持つが、視覚は持たず聴覚・嗅覚、そして赤外線を探知して周囲の環境を把握している。
ワーム同士の主なコミニュケーション手段は一種のフェロモンであり、分泌物質の匂いで意思疎通を行う。
彼らを一言で表現するなら、まるで陸上生活に適応して歩行するタコに似ている。
ワームの目的は、土地の占領だ。
人類に戦いを挑み、その土地の人類を皆殺しにして占領し、そこに共生している菌類の様な植物を移植する。
それを栽培してワームは食料を獲て、そして繁殖している事がわかっている。
ワーム達の繁栄には、共生植物を植える土地が必要ということだ。 同時に、共生植物の養分にするための動物の死骸も。
人間も、その他のあらゆる動物をワームは捕獲し、殺して引きちぎり、共生植物の胞子を植えつけて苗床にする。
ワームにとって人類は敵であり、同時に肥料というわけだ。

日本がワームと本格的な戦争状態に突入したのは、中華民国がワームに破れ台湾に逃げ込んだ30年前からだ。
東アジアはほぼワームの制圧下に置かれ、日本は大陸にあった植民地を失い朝鮮半島まで勢力を後退した。
日本、ユニオン、社会主義連邦の共同による総攻撃もワームの侵攻を食い止めることが出来ず、大陸から完全に撤退したのが20年前。
そして、ついに本土に上陸したワームとの総力戦が開始されたが、大陸撤退戦後に戦力を改編し
防衛に力を注ぐ形で特化した自衛軍はワームの侵攻をよく食い止め、一進一退のこう着状態を作り出すことに成功した。
ワームは上陸するたびに海に追い落とされ、島国日本はその地理的状況を優位に活かし初めて人類にとっての一定の勝利を生み出した。

205: ◆kNPkZ2h.ro
09/06/21 23:12:37 zBUNMCpS
10/15

だが、ワームは突如として西日本からの上陸戦を切り替え、東・北日本への撹乱行動とも言える上陸作戦を仕掛けてきた。
北海道と本州を分断するための津軽海峡制圧戦もその一つである。
本土との連絡を閉ざされた北海道駐留の陸上自衛軍第2・第5・第7師団と第11旅団は窮地に立たされ、
不足する兵員を補充するためについに学生を兵士として動員する政策を北海道地方政府に提案する。
この動員には志願という建前で多くの16歳以上の学生が戦争に身を投じたが、その中にはごく少数の女子学生兵士の姿もあった。


「…まあ、自衛軍の軍人さんたちも、女子が軍隊に志願してくるなんて想定してなかったんでしょうね」

グラウンドの片隅に設置された水飲み場で口を拭きながら一息つくと、整備班の八橋 由香里(やつはし ゆかり)が玲に声を掛けてきた。
水飲み場の周りには運動着を着た中隊の全員がぜいぜいと息を付きながらへばっている。 地面に倒れこんでる者もいる。
10kmのランニングをしただけでこのザマだ。 兵士にとって最も重要な体力が足りない。
それほど苦しそうにしていないのは、彼女らより半年も早く訓練を受けていた玲と、由香里。
元々運動のできる咲也とかぐらいで初李や有理といったインドア派はもう死にそうになっている。
女子というのは体力的に男子より劣るものだ。 だから、兵士としては余り役に立たない。
立つとしても、後方任務等が関の山で、歩兵なんかには通常は配属されない。

しかし、戦う意気に老若の区別なく、志願にも男女の別は無いという建前で学生への呼びかけを行った自衛軍は
彼女達を受け入れざるを得なかった。 結果、持て余している。

「…だからなんなの? 適正があろうと無かろうと、私たちはもう兵士。 与えられた本分を果たすだけでしょ」

玲は平然と…平然を装ってそういうが、由香里はちょっと困ったような苦笑いをして玲に言う。
同い年なのに玲より8センチも背の高い由香里は第4中隊が設立されて以来の同僚だ。
当初、第4中隊には男子・女子合わせて中隊の定数を満たすほどの人員がいた。
学生動員といっても、学生に本気で戦わせるつもりはない。
彼らは一定期間の訓練の後、後備として駐屯地の警備や一般市民の避難誘導に使われるはずだった。
しかし、前線での消耗が大きく人員の磨耗が予想よりも増えてしまったため、急遽第1~第3中隊に大幅に人員を引き抜かれてしまったのである。
本来の中隊長(成人の、正規教育を受けた幹部)も、中隊長の戦死した第3中隊へと移動してしまった。
その後に配属されてきたのが、玲と由香里以外の現在の中隊の人員たちである。

206:創る名無しに見る名無し
09/06/21 23:20:25 gv19nYhT
あるぇ……さるさんバイバイか?
大丈夫かー?

207:創る名無しに見る名無し
09/06/21 23:46:28 H77HV0Mp
>葉倉 玲(はくら れい)の怒りを有頂天に到達させていた。

ブロント語……?

208:創る名無しに見る名無し
09/06/21 23:59:24 aihB4jXB
というか投稿規制避けるためにももうちょい短いレス数にまとめた方が…
一レス、20行ぐらいが平均だし

ここは60行までは大丈夫なんだから
とりあえず40行ぐらいは使って次のレス行った方が良いよ

感想は全部投稿終わってからー

209: ◆kNPkZ2h.ro
09/06/22 00:03:18 FX4CjC2L
11/15A

学生兵士の麗美が中隊長を任命されているのも、その辺の関係で正規軍人を回す余裕がないからだ。
ちなみに、関係ないことだが麗美は玲より5センチも背が低く中隊で一番のチビである。

「真璃、貴女が軍に志願した理由って何だったかしら?」

由香里が唐突に、へばっている真璃に対して問いかける。
真璃は億劫そうな表情で、顔だけ向けて答える。

「えー…? 奨学金がでるからとか? まあ大学に上がるまで生きてればだけど。
うち貧乏だから、学校に行く金ないんだよ」

真璃の実家は雑貨店で昔は函館に観光に来る人々を相手に商売をしているが、ワームが松前半島に上陸し
本州との行き来を分断してから観光どころではなくなったために経営難に陥っていた。
由香里は次に、4台ある89式機士のパイロットを担当しているうちの一人の宵町 留美(よいまち るみ)に質問した。

「軍隊に入ればお腹いっぱいご飯が食べられるって聞いたからー」



210: ◆kNPkZ2h.ro
09/06/22 00:04:31 FX4CjC2L
11/15B

幼児の様な屈託のない笑みを浮かべて留美は答える。
留美も家の財政事情は良くなく、留美の住んでいた道北では一部食料品が配給制になっているため
家族の多い留美は食い扶持を減らす意味でも軍隊に志願したのだった。

「私は機士とか格好いいと思ってたし、触りたかったからかな。 乗れないのは残念だけど」

そう答えるのは整備班で、軍事オタクの川城 翠(かわしろ みどり)。
実家は自動車整備工場であり、機械オタクでもある。
彼女が機士に乗れないのは、車酔いしてしまうからだ。 機士は歩いたり走ったりすると結構揺れるのである。

「あたしはワームをやっつけるためよ! エースパイロットになって、タコの怪物どもをギッタンギッタンにしてやるんだから!!」

「私は散乃ちゃんに引っ張られて…」

勇ましい動機を叫ぶのは氷川 散乃(ひかわ ちるの)。 ロボットアニメやヒーローアニメが好きな、脳がお子様。
ご希望通りに89式のパイロットだ。
その散乃に付き合わされて志願したのはサイドポニーの髪型が可愛らしいにも関わらず、名前の字は女の子らしくないという
コンプレックスを抱える気弱な少女、泉沢 大(いずみさわ ひろ)。 通称だいちゃん。
皆に可愛がられる整備班のアイドルである。


211: ◆kNPkZ2h.ro
09/06/22 00:05:39 FX4CjC2L
12/15A

有理は女子高にいたが、妙に血気と結束にはやる同級生達がクラス丸ごと軍に志願するというので自分も志願せざるを獲なかった。
しかし、何故か自分以外は違う連隊の方に配属されてしまった。
初李は親が自衛軍の将校だったので、体力の無いにも関わらず世間体というので志願させられた。
対照的に麗美も親が自衛軍に所属しているが、彼女は自分からワームと戦うために志願した。
咲也は戦災孤児で、身寄りも無く施設も受け入れ先が少ないため軍に志願するしかなかった。
他にも、音楽大学に進みたいけどお金が無いので真璃同様奨学金目当てという歌川 美鈴(うたがわ みすず)…89式パイロット
好きな男子が志願したため自分も志願したけど、相手が別の中隊に配属されてしまった蛍原 理玖瑠(ほとはら りくる)…整備班
なんだかよくわからない内に「あなたも志願するでしょう?」と勝手に決められてしまった小沢 早苗(おざわ さなえ)…89式パイロット

皆が皆、望んで軍に志願したわけでも、兵士になりたかったわけでも無い。
様々な理由でここにいる。 無理に訓練した所で、命がけで戦えと言って従う方が少ない。

「加えて、たった14人で中隊なんて実質上の『書類上だけ存在する幽霊部隊』…真面目になってやっても馬鹿を見るだけよ?
必死に焦らなくても私達にまともな戦闘任務なんて来ないでしょうね。 もう少し気楽にやってもいいのじゃないの?」

…実際、第4中隊は第1~第3中隊に引き抜かれなかった「余り物」の人員で構成されている部隊だ。
歩兵には必須の装備である機士も8台しか無い。 かといって通常型パワードスーツも無い。


212: ◆kNPkZ2h.ro
09/06/22 00:07:29 FX4CjC2L
12/15B

自衛軍の駐屯地には余裕が無いからと、部隊が駐屯しているのも生徒が疎開して無人になったので徴発した函館市内の高校の校舎である。
言い渡されている任務も「主力部隊の前線が打ち洩らした敵の浸透部隊が函館市内に侵入するのを阻止せよ」であるが、
今のところ出動命令が下された事は無い。 常に待機任務である。

「だからって、訓練をおざなりにしていい理由なんか無い」

玲は不機嫌そうに、自分のタオルを引っつかんで校舎の昇降口へと歩いてゆく。
由香里は、何かに苛立っているかのような玲のそんな後姿を心配そうに見送ったあと、疲れきった表情でいる中隊全員の顔を見回した。
(散乃とか、一部のお子様脳は回復も早かったのか立ち上がって整理体操を始めていたが)

「…私たちは素人もいい所なのよ? こんなペースで訓練につき合わされていたんじゃ、皆が持たないのに」

シミュレーションでも基礎体力練成でも、玲は厳しい。
中隊の最先任として、素人ばかりの中、成人の正規軍人の教官すらいない状況で数少ない、半年分だけ早い経験者として
全員を引っ張っていかなければならないと使命感に燃えているのかもしれないが、それにしても焦りすぎる。
何が彼女を急き立てているのか由香里には理由がわからなかった。


213: ◆kNPkZ2h.ro
09/06/22 00:09:38 FX4CjC2L
13/15A

午前中は教本片手に座学による講義と、実践に即した状況でのシミュレーション。
午後は体力づくりのためのランニングや、小銃での射撃訓練。
これを繰り返したら一日は終わり、日の落ちる頃にはクタクタである。
お風呂に入って汗を洗い流し、当番の者が夕食の準備をする。
暇な者は自分の洗濯物を洗うとか掃除をする。

軍隊生活は共同生活が基本だ。 全員が一つ屋根の下で同じように生活し、規則どおりに寝起きする。
が、それでもそれぞれの自由裁量で出来る部分が無いというわけではない。
特に、大人の軍人がいない第4中隊では規律はそれほど厳しくなく、少女らそれぞれの感性に任される部分も少なくなかった。

「I can't stop listening to Night Bird~♪
 Sing a song with a Curse IF I stop my nars
 Crazy night I just want to listen to a terder curse?
Through the night I just want the voice」

「お、今日の夕食当番はみすちんだったか」

真璃が歌声と漂ってくるいい匂いにつられて食堂兼調理室になっている、元家庭科教室を覗くと美鈴が歌いながらシチューを作っているところだった。


214: ◆kNPkZ2h.ro
09/06/22 00:12:08 FX4CjC2L
13/15B

「材料は缶詰の戦闘糧食だけどね♪ ただ缶を湯煎して出しただけじゃつまらないし、そのままの缶詰糧食って
あんまり美味しくないしさ…ちょっと工夫したらどうかなって」

「いや、いいと思うよ私は。 みすちんって結構いいお嫁さんになりそうだよな」

軍隊生活での数少ない楽しみは食事だ。 暖かく美味しい食事は兵士の士気を維持するのに必要でもある。
そんな会話をしていると、匂いをかぎつけて留美、散乃らもドヤドヤと入ってくる。
食べ盛りの女子たちは食べ物のにおいにはかなり過敏である。

「シチューの匂い…今日はシチューなのかー」

「あたし、みすちんの作るごはん好きだよ! みすちん料理うまいもの!」

「はいはい、あと5分くらいで出来上がるからね。 真璃、そこの棚からお皿出してくれる?」

騒がしい欠食児童たちを抱えて、美鈴はまるでお母さん役の様だ。
やがてまた一人二人と食堂に人が集まり、めいめいに皿を取ってシチューを盛り付け、訓練から解放された楽しい夕食の時間を過ごす。
友人と談笑したり、一人でゆったりと食事をしたり。
散乃と留美がお互いの皿の肉を取り合ってふざけながら走り回り、大ちゃんと理玖瑠が叱って制止したりする一幕もあり。


215: ◆kNPkZ2h.ro
09/06/22 00:15:41 FX4CjC2L
14/15

夕食後は消灯時間までの間が自由時間になる。
自主訓練するのもリラックスするのも個人の自由だが、だいたい休んでいる。
空き教室の一つにソファーやテレビなどを持ち込んだ談話室か、共同の寝室のベッドの上でゴロゴロするのが慣例だ。
ファッション雑誌などを見ながら髪形はあれがいい、服はこれがいいと話しているのは咲也や美鈴、麗美。
ボードゲームに興じている初李と有理、横から観戦している真璃。
早苗は実家に電話をしているし、散乃や留美は相変わらずはしゃぎまわってテレビを見ていた理玖瑠に怒られる。
軍事情報誌のバックナンバーを読みふけっていた翠が、ちょいど理玖瑠が散乃に投げつけて外れたクッションが運悪く当たった。
ふと、由香里は玲の姿が談話室にも寝室にも無いので大ちゃんに尋ねたが、彼女も知らないと答えた。



「…こんな所にいたら、風邪を引かない? 湯冷めしちゃうわよ?」

由香里が玲を見つけたのは、校舎の屋上だった。
玲は手すりに体を寄りかからせ、西の方角の赤く燃える夜空の端をじっと見つめている。
南側には、函館山の方角にキラキラと宝石を並べたように輝く函館市内の輝きが見える。
電力不足で大分その輝きは、平時の4割といった程度に少なくなっていたが、夜景の美しさはまだまだ損なわれていない。
だが、玲の目はその美しい夜景にではなく、ワームとの戦線がある、今も自衛軍の主力が戦い、侵攻を阻止しているであろう
北斗市の方面に向けて注がれていた。


216: ◆kNPkZ2h.ro
09/06/22 00:20:45 FX4CjC2L
15/15A

耳を澄ませれば、砲火の音が風に乗って運ばれてくるのが聞こえるだろう。 その方向には、戦場がある。
函館市内から3キロと少ししか離れていないが、すぐ目と鼻の先に兵士が戦い命を落とし、それと引き換えにして市民を守っている。
そして、玲たちも守られている。
第28連隊の大勢が、半年前に共に志願して入隊し、訓練を共にしてきた学生兵士達も、彼らの後ろにいる全てのものを守るために戦っている。

「あそこにいるのは、戦友なんだ…」

玲は、何かに憤るようなそれでいて悲しげな声を絞り出した。

「私も一緒に戦うはずだったんだ…みんなと…」

由香里は、玲の肩にそっと優しく手を乗せた。
第4中隊は余り物だ。 他の学生兵士の全員は、今あの燃えるような赤い空の下で戦い、傷つき、命を散らしている。
玲は、悔しかった。 許せなかった。 自分たちだけが、戦わずにここにいる事に。
戦う事や死ぬことを賛美するつもりは無い。 だが、共に過ごし、共に訓練し、共に笑いあった仲間が死んでゆくのに
自分だけが『余り物』として戦場に行くことなく、生きている事に玲は例えようの無い罪悪感の様なものと、
そして自分が『余り物』として引き抜かれずに中隊に残された。


217: ◆kNPkZ2h.ro
09/06/22 00:23:48 FX4CjC2L
15/15B

仲の良かった友達も、ほのかに憧れていた男子も、見知った全てが他の中隊に異動になり、玲と由香里だけが中隊に残された。
校舎と、訓練機材と少数の機士だけとともに取り残され、教官もおらず、ただ待機を命じられる日々。
後任の中隊長は適当に任命された学生兵士で、新たに配属された学生兵士を入れても中隊はわずか14名。
全員が女子。 自衛軍は、玲たちに戦わせたくなかったのかもしれない。
欺瞞だとわかっていても、女子を戦場に出したくなかったのかもしれない。
だが、玲は思う。 それなら何故、志願なんかさせたのか。

「どうして…どうして私達だけが? この国のため、家族や街を守るためって勇んで志願したのに…
一緒に訓練した仲間たちが死んで行ってるのに…どうして私達だけは、仲間と一緒に戦えないの?
皆を見捨てて、自分だけ安全な所にいろっていうの? どうして?
ねえ由香里…どうしてなの…教えてよ…」

涙を滲ませ、嗚咽交じりの声で慟哭する玲に由香里は、かけてやる言葉が見つからなかった。
ただ、玲の震える背中をそっと抱きしめてあげる事しかできなかった。

(続く)



218: ◆kNPkZ2h.ro
09/06/22 00:25:50 FX4CjC2L
投下終了 支援感謝
そして連投規制に引っかかった…
気付いても気付かなくてもどうでもいいことだが
登場人物の名前を考えるのが大変だったので
某ゲームのキャラクターから捩って使用しています

>>208
急遽、投稿を再分割
書いてるときはそんなに長くなってるように思わないのに
投稿する時は難儀するとは…

>>207
そんなつもりは無かったが自然とそんな言葉が出てきてしまった
ちょっとのブロントネタにも反応するのは本能的に長生きするタイプ

219:創る名無しに見る名無し
09/06/22 00:34:15 0aUtts4I
投下乙です。さっきは途中でレスしてしまいすみません。
ただ作中のネタという訳でもないブロント語に突っ込まずいられない。

220:パラベラム! の人 ◆1m8GVnU0JM
09/06/22 00:57:30 xzs0oSbi
つまり◆kNPkZ2h.roさんは生粋のブロンティストということ。スミカ・ユーティライネンです(´・ω・`)ノシ


いいですねぇ、こういう学校みたいな雰囲気、好きですよ。


あ、自分もスパロボ参戦してもよろしいでしょうか?
設定のほうは、本編のほうが一段落したらになりますが……

221:創る名無しに見る名無し
09/06/22 01:13:50 IsUxaS+k
>>218
誤解されてるw

やってほしかったのは逆

レス一回に20行の文章を書くんじゃなくて
レス一回に40行ぐらいの文章を書くこと軸にして(そうすると大体長くても50行ぐらいで収まる)
書いていくと、レス数が少なくて済むよという話だったのw

大体、24、5行で次のレスに行ってたから、もうちょっと1レスで行数使って書き込めば
7~9レスで収まったんじゃないかなとw

内容は現代に近いリアルモノで確かにガンパレとかオルタを思い出した><
ベタだけど、面白いね

222:創る名無しに見る名無し
09/06/22 01:22:33 IsUxaS+k
>>221の書くというのは分割するときのカキコの時の意味ね

223: ◆46YdzwwxxU
09/06/22 04:57:36 12YB/ohE
私には参戦を撤回する意志はありません
参戦作品があんまり少なければ、二つのうちどっちかをキャンセルしたかもしれないけど、そんなこともなさそうですし。
スプリガンについてはあとで利用できそうな設定をまとめておきます

>>218
軍隊って大変そうだなァ・・・と思いつつ。
触s・・・ゲフンゲフン、ワームの嫌らしさとセントラルの胡散臭さは異常。

224:創る名無しに見る名無し
09/06/22 08:57:24 xNuhf5Ww
おお,バリバリリアル系ktkr!
描写が面白いけど、ちょっと登場人物多くて把握しづらいかも。ちょっと絞った方がいいかと思ったり思わなかったり

225: ◆gD1i1Jw3kk
09/06/22 11:56:25 Ll0wex67
登場人物の名前がアレだけど、こっちもナフィアの外見を小悪魔同然にしてあるから人の事は言えないか。取り敢えず自分は熱心な桐嶋真璃×野礼寺初李派。

機士は全高4mだから姫路での超重装甲強化服と同じ大きさか。機士と重装甲強化服の設計開発思想も似ている。歩兵が等身大のパワードスーツである軽装甲強化服を纏う軽歩兵へ完全に代替されて生身で戦う事が完全に無くなった時期。
軽歩兵でも技術的には大重量の武装を持たせられるものの、体格的に無理があった。そこで軽装甲強化服より大型で圧倒的な性能を誇る全高3mのパワードスーツ、最初の一式重装甲強化服が開発された。
重装甲強化服は市街地、大きな建物内、砂漠、極寒の雪原、丘陵、山岳、森林、泥濘地、水中(海中)など地球上のあらゆる戦場でも戦え(宇宙と深海でのみ専用の装備を装着しなければならない)
兵装によって対地、対空、対艦、対潜などありとあらゆる敵に対応出来、簡易的な工場機械ともなる人間以上の器用な手先と大重量の荷物を短時間で簡単に運べるパワーによってどんな細かい作業もさせられる、究極の人型汎用兵器である。
軽装甲強化服を着た上で着用するのが前提なので、重装甲強化服でも入れない閉所や屋内での戦闘も全く問題無い。
以上の条件を満たすのに全高3mで十分だった事と、大きさ、重量による輸送の問題などによって、三式重装甲強化服と同時期に一機のみ開発生産された全高4mの試製超重装甲強化服は圧倒的な性能を誇りながらも役立たずの失敗作として、
清水静専用機として改造、復活されるまで海上都市姫路の倉庫に誰からも忘れられて数十年間埃を被っていた。

重歩兵(重装甲強化服)は戦場において主力の兵器ですが、最強ではありません。戦車が陸の王者として君臨しています。確かフロントミッションが似たような設定だったはず。
一時期は重歩兵が主力かつ最強であり各種戦闘車両が消滅しかけた事があったものの、地形に合わせて自在に形状を変化させる自在軌道、自在車輪の採用、対重歩兵用に近接戦闘能力を徹底的に強化した事で生き残った。
ここら辺の設定はスパロボ企画の方ではあえて無視した方がいいだろう。

海上都市連合「正統日本」陸軍主力戦車
全長15m 重量100トン

武装
150mm3連装戦車砲×1
50mm機関砲×2
10連装6.25mm機関銃×4
500cm超振動極熱刀×4
その他長針弾、短針弾多数装備。重装甲強化服の腕を改造した大型マニピュレーターを二基搭載。

重装甲強化服同様に思考制御とコンピュータ補助で操縦する一人乗り。
3連装戦車砲による速射と最大3目標同時攻撃は絶大な威力を発揮する。性能強化が行われる前は懐に入り込めばその時点で重歩兵の勝利が確定したが、今では近付く程危ない。歴戦の戦車兵は熟練の重歩兵ですら「人狩り」と呼び恐れる程である。

226:創る名無しに見る名無し
09/06/22 16:28:02 3e1fM/PH
ストパry) グシャ!

227:創る名無しに見る名無し
09/06/22 19:16:30 TP1NOCGJ
ああ自分も投下したいけど書く時間がない…
しかし少女のみで編成された部隊かぁ
自分は現職の施設MOS持ちの普通科隊員(真っ先に突撃して障害を除去します)
ですけど、WACですら腫れ物扱いされる事が多いのでそういう部隊があったら
扱いは難しいだろうね

228:創る名無しに見る名無し
09/06/22 19:19:20 hTuVkBe2
そういや
警察ロボとか土建ロボとかやったとして
程よく量産されてたり相応に壊れ易ければ
リアルロボ扱いになるんじゃろか

229: ◆46YdzwwxxU
09/06/22 19:27:59 12YB/ohE
設定だけこさえてもいまいちでした・・・
ネタバレになりそうだし、スプリガンの方は近いうちに一気に完結させちまいます
結局鱗属の出番は作れなさそうだけど

>>228
スーパーリアルの区分も難しいですよね
あれは機体のスペックなのか人間ドラマの比重なのか・・・
姫路さん家あたりはスーパーに見えるw

230:tueun ◆n41r8f8dTs
09/06/22 19:52:50 h3QgORXo
自分もスパロボ風SSには参加続行ですよー
ただ今回のエピソードをまず完成させて、一段落ついたらって事で
>>228
パトレイバーは間違いなくリアルロボだとは思いますw運用方法等で

当初はタウエルンはリアルというか、ほのぼの系の話にするつもりだったんですよ
でも他の作者さんの作品に触発されて、いつの間にか今の路線に

231:創る名無しに見る名無し
09/06/22 19:53:06 IsUxaS+k
そもそもスーパーリアルを提唱したスパロボすらもうそんなもの無くなったといってるしなー

232:パラベラム! の人 ◆1m8GVnU0JM
09/06/22 20:15:39 xzs0oSbi
設定的にも、ゲームのステータス的にも微妙なラインの作品が増えてきてますしね

233:創る名無しに見る名無し
09/06/22 21:12:03 hP8i9ool
てか、もとから「っぽい」ものとして使ってただけだしな
見た目ガンダム的な系譜がリアル、マジンガー的な系譜がスーパーってだけ

234:創る名無しに見る名無し
09/06/22 21:19:44 oBxcx08H
ロボを「ヒーロー」として扱うか「兵器・工業製品」として扱うかの違いが
スーパーとリアルの違いではないかと思ったり
そしてその間に明確な区別の無い中間存在もあるし

235: ◆gD1i1Jw3kk
09/06/22 21:44:43 evj4fVE7
Gガンとかかな、リアルとスーパーの中間。リアルよりもスーパー寄りな気はするが。

236:創る名無しに見る名無し
09/06/23 01:45:32 AMCoAB9g
最近ココに流れ着いたんだけど、ss投下してもいいですか?
何か、クロスオーバー企画やってるみたいだけど、参戦する意志無しの方向なんで、どうしたもんかと…

237:創る名無しに見る名無し
09/06/23 01:52:40 p8syjYBh
ばっちこい

238:創る名無しに見る名無し
09/06/23 01:58:29 vdq/SUaN
>>236
参戦は別に全員やるってわけじゃないから全然OK

239:創る名無しに見る名無し
09/06/23 02:01:17 AMCoAB9g
了解、サンクスです
今日にでもまとまったらその分投下させてもらいます

240:創る名無しに見る名無し
09/06/23 05:11:35 TVERJCcY
>>218
>>200で初李さんの機体がナナになってますけど、ハチでいいんですよね?

241: ◆gD1i1Jw3kk
09/06/23 16:32:35 5k0K+jNa
スパロボでよくある冒頭の3D戦闘シーンを想像して書いてみた。
全部書くと七月になっちゃいそうだから書けた最初の方だけ投下。

242:スーパー創作ロボット大戦OP映像風
09/06/23 16:33:39 5k0K+jNa





多元世紀元年、世界は崩壊した。
多元世紀一年。幾多の異なる次元の世界が交わり合って一年が経ち、世界の混迷は極限にまで達していた。

歪んだ闇の世界を破滅から救う為戦い続ける者達がいる。
本当に世界を救えるのか、最後は誰にも分からない。
未来は誰にも見えず、ただ目の前だけを見つめて突き進む。
限界知らずの戦いで、未来を阻む敵をブチのめし切り開く。





Si Vis Pacem, Para Bellum―汝、平和を欲さば、戦への備えをせよ

243:スーパー創作ロボット大戦OP映像風
09/06/23 16:36:19 5k0K+jNa
かつて百万人は住んでいたであろう都市は、廃墟となったビルが墓標のように林立するゴーストタウンになっていた。日々数え切れない程の車が行き交っていた道路は荒れ果てていた。縦横無尽に亀裂が走り、クレーターが幾つもあり、底の見えない穴が点在している。
在りし日の活気を全く感じない都市の荒れ果てた道路に、四体の鉄の巨人が静かに立っていた。
強固な装甲に包まれた無骨なデザインの巨人の名は「対鋼獣用人型兵器」……通称ヴァドル。地球上に蔓延る鋼獣という異形の怪物に対抗する為に開発された、戦闘用ロボットである。
骨組みとなる強化金属フレームを人工筋肉と擬似神経で覆い、ソコにパイロットの神経をダイレクトに接続する事で、あたかも自分の肉体を操るように機体を操縦出来る。
ダイレクトに神経を接続する仕様の為に以前は操縦時の負担や接続を切った後の疲労感など問題もあったが、別の世界の兵器に使用されている思考制御+コンピュータ補助操縦技術を一部導入した事で大幅に改善された。
モーターやエンジンを積まない最新の動力システムを搭載している為に、ヴァドルは全体的にシャープなシルエットをしている。
ヴァドルは全長10メートル程で、やや足が短く、逆に手が少し長い。流線型の装甲タイルが人口筋肉を覆っており、甲冑を纏っているというよりは直接体に鉄板を打ち付けたような容姿をしている。
加えて、僅かな手足のバランスを覗けば殆ど人間に近い造型をしている事や、駆動が静かで滑らかな事から、ヴァドルからはロボットという機械っぽさがあまり感じられない。
隊長機を意味する「00」とプリントされたヴァドルは、砲身だけで4メートルはあるシールド付きの大型ライフルを手に、腰には鉈に近い形状のブレードを装着していた。
四機は何処から攻めてきても対応可能な菱形の陣形で敵を待ち構えていた。隊長である瀬名龍也を先頭に、右後方に一号機を駆る副隊長のディーネ、左後方に二号機のリート、三機の後方、隊長機の真後ろにエルツの三号機という配置。
荒野から都市へ野獣型の鋼獣の大群が迫ってくる。龍也達の世界における人類最大の天敵。人類の生存を脅かす幾多の脅威が存在するこの多元世界において人類最大の天敵とまでは呼べないかもしれないが、今でも脅威に変わりはなかった。
ヴァドルの胸部前面に位置する、衝撃を吸収するゲル状の液体に満たされたコクピット内で、無数のコードが繋がったパイロットスーツとヘルメットを身に着けた男―瀬名龍也は告げた。
「各機へ。作戦を開始する」
『一号機了解』
『フン……。二号機、了解』
『さ、三号機了解です』

244:スーパー創作ロボット大戦OP映像風
09/06/23 16:38:08 T8/tTHT1
それぞれの返事と共に各機との通信が切れ、一斉に攻撃を開始。隊長機と一号機のライフル、二号機と三号機のマシンガンが火を吹く。放たれた砲弾は二足歩行あるいは四足歩行、個体によって姿形が大きく異なる野獣型を次から次へ屠っていく。
四機の巧みな連携攻撃に接近すら出来ず野獣型は一方的に殺戮されていく。優勢でありながらも油断など全くしない。鋼獣の恐ろしさは彼らが最も骨身に染みて理解している。足元に響く微少かつ異常な聞き慣れた音。
「散開!」
龍也の叫びに三号機のみが少し遅れてその場から飛び跳ねる。ヴァドルの足元が盛り上がったかと思うと、地面から巨大な黒い柱が四つ立ち上り宙に舞った。 全長20メートルを越える黒色のソレは、体の大半が口で出来た奇妙な生物だった。
巨大で禍々しい顎を持つ、太く短い胴の、バランスの悪い魚のような容姿をした怪物、土竜型の鋼獣。他の三機は回避と同時に至近距離で攻撃を浴びせられたが、動作が遅れた三号機は持っていたマシンガンを食われてしまった。
魚の様に水中から飛び出した土竜型の一体、三号機を襲った個体は、空中で身を捻り、三号機のヴァドル目掛けて急降下した。
他の三機が攻撃しようとするが間に合わない。三号機の回避も既に遅い。
彼ら四人に手立ては無く、どうする事も出来なかった。だが、戦っているのは彼ら四人だけではない。土竜型が巨大な口を開き、ヴァドルに喰らい付く。その寸前。土竜型の側面に強烈な一撃が撃ち込まれた。
バターに熱したナイフを沈み込ませるように土竜型の体を容易く貫いた砲弾は体の中心で爆発。絶大な振動波と特殊熱によって、三号機を襲おうとした土竜型は塵すら残さず分解蒸発した。
四機の顔が同時に同じ方向を向く。時速150kmで凸凹の荒れた道路を整地された地面のように滑走する、ヴァドルより遥かに小さい人型兵器。
全高4m、基本重量2トン。海上都市姫路守備隊重歩兵小隊隊長、清水静の駆る清水静専用超重装甲強化服改。
土竜型を葬った左肩の50mm折り畳み式狙撃砲を元に戻し、右手に持った主兵装である25mm重機関砲をエルツの三号機に放り投げながら、無駄の無い流水の如き動作で背中の鞘から300cm超振動極熱刀を抜刀する。

245: ◆gD1i1Jw3kk
09/06/23 16:38:48 T8/tTHT1
取り敢えずここまで。

246:創る名無しに見る名無し
09/06/23 19:54:40 TVERJCcY
精力的だなあ・・・

細かい議論は参戦作品が出揃ってからにするとして
今は議題をまとめつつ俺も妄想に励んでおくか

247:瞬転のスプリガン(6) ◆46YdzwwxxU
09/06/24 05:00:53 hp4ula9q

「あれは……」
 成層圏の果てから徐々に高度を下げ、地上からも視認できるようになった浮遊物がある。
 半天の水色を塗り変える、ぞっとするような白。不可思議なことに、地上側を向いた底面には薄っすらとも陰
が生じていない。光を透く幽霊のようだった。
 一体の生物としては到底信じられない巨大さ。それが歴とした鳥影だということにも、ことねはしばらく気づ
けなかった。
 羽毛は群雲、炯眼は肥えた月。
 先に目撃した甲属魔族達はまだしも分かり易い怪物だったが、これはもはやその存在じたいが一種の異常気象
に等しい。
 岩から削り出したような手でひさしを作り、延加拳の天農は空を仰いだ。遮光器を常用する彼には意味がない
はずだったが、遠くを見渡す仕草として体が覚えていたのだろう。
「禽属の魔族か。それも大物だ」
「とりぞく」
 ことねは意味を察しながらも、何とはなしに鸚鵡返しに呟いた。強力なエーテルブラストの影響で鳥肌が浮い
ていたが、今度は気にするようすはない。
 魔族を大別する四大属の一、禽属の「禽」の正確な読みは「キン」である。天農がここで敢えて「トリ」とい
う言い回しをしたのは、先刻の反省がまだ辛うじて心に残っていたからだった。
「魔界の生き物である魔族には、ケモノ、トリ、ウロコ、コウラの四つのグループがある。このうち鳥の仲間に
似た姿をしているのが、禽属だ」
 そこで自分自身を納得させるように、「中身は全くの別物だがな」と付け加えた。
「数が少ないが一体一体が恐ろしく強力で、音速の数倍から十数倍というスピードで空を飛ぶ、敵に回すと一番
厄介なグループでもある」
 説明に不安を煽られ、ことねは不安げに視線を遠くへやった。
 昆虫の魔族らが激戦の末に総崩れになったらしいことは、天農から聞いていた。そこに出現したのが、恐らく
は彼らよりも強いという、あの鳥の魔族である。
 連戦にでもなればと思うと、気が気ではない。
「スプリガンさん、だいじょうぶでしょうか」
「今のスプリガンでは勝てない」
 天農はきっぱりと断じた。
「互いに攻撃が当たらず引き分けか、やられるだけのワンサイドゲームになるだろうな。だいたい、禽属とは相
性が悪すぎる」
 禽属魔族の攻撃は、もっぱら超高空もしくは高空からの広域エーテルブラストに限られる。戦闘中において降
下するという状況が有り得ないため、徒手空拳では攻撃が届かない。
 流派超重延加拳としては、極超音速という速さを乗せた機体そのものを砲弾と化して射ち出す対空の技“昇車
(のぼりぐるま)”が考案されてはいる。
 しかし、地形に恵まれなければ照準合わせすら困難を極め、発動できたとしても足場のない空中では直線的な
動きにならざるを得ない。同等以上の速度で自在に空を舞うことのできる禽属魔族にはまず命中しないだろう。
実戦で使用するには、大幅な改良が必要だった。
(エーテルドライブの出力がもう少し上がれば、あるいは空を飛ぶこともできるだろうが……)
 銃火器もなく飛行能力もない現状のスプリガンには、最初から勝ちの目がないのだ。
「そんな……」
 ことねは胸の奥から漏れそうになる絶望を閉じ込めようというのか、小さな手で口許を覆った。この世の終わ
りのような顔だった。
(果報者だな、スプリガンさん)
 自分がひとまずの安全圏にいることは彼女も分かっているはずで、気にしているのはむしろスプリガンの安否
なのだろう。それが天農には微笑ましい。
(さぁて。それで、どうするかね?)
 雲行きの怪しさを肌に感じながらも、天農はにやにやと締まりなく笑うばかりだった。


248:瞬転のスプリガン(6) ◆46YdzwwxxU
09/06/24 05:02:23 hp4ula9q
今回はここまで。短すぎですねすみません。
しかし、いつも場面転換で切っている都合上、ここできります。

ネクソンの方は・・・難航しています。
ただ、珍しく真面目にやった戦闘シーンがようやく終わったので、
前半だけは来週中までに投下できそうな感じ?

249:創る名無しに見る名無し
09/06/24 16:17:16 zdyZ+WxY
>>248
乙であります
全く人をじらすのが得意なお方だぜ。ネクソン共々続きに期待しております
しかしいつまで経ってもスプリガンがその内合体するんじゃないかと思ってしまう俺は生粋の合体フェチ

250: ◆gD1i1Jw3kk
09/06/24 16:24:18 5Ypz0jSa
>>248
ネクソンクロガネ、あの苦境をどうやって凌ぐのか、今から楽しみです。

OPの続き、投下します。

251:スーパー創作ロボット大戦OP風2
09/06/24 16:25:19 5Ypz0jSa
清水静の超重装甲強化服改が装備している頭部両側の長針弾発射機と左腰の10連装6.25mm機関銃は、本来は放たれた敵弾を迎撃する為の間接防御専用兵器。
主兵装である25mm重機関砲をヴァドル三号機に渡したので、針の穴を射抜く精密さと高度な情報解析と計算で迫り来る高速の多目標へ同時迎撃が可能な間接防御専用兵器を攻撃に使用。
鋼獣に浴びせられる横殴りの豪雨同然の猛射撃は一発一発が急所を貫く必殺の一撃。高い防御力を持つ鋼獣だが、体の全てがそうではない。
弾丸自体に誘導機能があると思わせる程の正確無比な精密射撃で、振動熱効果を伴う長針弾の急所への滅多刺し、6.25mm振動熱徹甲弾が脆い箇所から進入し貫通、口径の十倍以上の穴を穿つ。
ヴァドル隊のライフルとマシンガン、25mm重機関砲から放たれる25mm振動熱徹甲榴弾が加わり、地獄への片道切符大配布は更に果て無く激しくなる。
清水静は射撃を行いながら全速前進し、右手に構えた300cm超振動極熱刀で次から次へ鋼獣を流し斬る。生身の人間ならかすっただけで全身が消滅する刀身を全力で叩き込まれた鋼獣の全てが原型を留めず体積の半分以上を失い、
薄い緑と紫色の蒸気を立ち昇らせる固体とも液体ともつかぬぐちゃぐちゃな泥状の残骸と化す。
地面を覆い尽くすように鋼獣の死骸が散らばり、見渡す限りに生きた敵の姿は無い。
攻撃が止みわずかな静寂、先頭に立ち戦った清水は後ろへ振り返ると300cm超振動極熱刀を構え直し、全速のローラーダッシュで一直線に向かう。ヴァドル隊の隊長、瀬名龍也へ。
一号機から三号機全てがライフルとマシンガン、25mm重機関砲の砲口を隊長機に向ける。高く跳躍した超重装甲強化服改の握る刀の切っ先が真下を向く。
龍也のヴァドルが全力で飛び跳ねる。同時に龍也のヴァドルが立っていた地面に大きな亀裂が走り大きく盛り上がり、特大の土竜型鋼獣が姿を現す。
全体の全てが地表に出る前に、全体重とフルパワーを込めた過負荷出力の300cm超振動極熱刀を頭蓋に根元まで突き刺し、周囲を取り囲むヴァドル四機の十字砲火が叩き込まれる。
巨大土竜は上半身が消滅して下半身が乾いた砂のように崩れ去った。地面に着地した清水静は過負荷出力に耐えられずボロボロになった刀身を柄から取り外し、予備刀身と交換。鋼獣は全て倒した。しかし、休む間も無く新たなる敵が現れる。
空を飛ぶ獣を模した機械兵器、鋼獣(メタルビースト)。十体と数は少ないが、極めて高い戦闘力を持つ恐るべき敵。ヴァドルが砲口を向け、清水は刀を構え直す。その時、鋼獣(メタルビースト)を討つべく一体のロボットが現れた。
悪魔的なフォルムを持つ10m超の漆黒の鎧。黒峰潤也が駆る黒い謎の鋼機(メタルアーマー)リベジオン。その肩に黒髪赤眼、黒衣を纏った外見年齢二十歳程の男、魔王ラウディッツ・バルディウスが両腕を組み仁王立ちになっている。
一機と一人、二つの魔王は鋼機(メタルアーマー)に対して尋常ではない殺気を込めた視線で睨み据えていた。

252: ◆gD1i1Jw3kk
09/06/24 16:27:59 5Ypz0jSa
以上。
この後、スプリガン、タウエルン、パラベラム、ネクソンクロガネを出演させる予定です。

253: ◆gD1i1Jw3kk
09/06/24 16:33:57 5Ypz0jSa
間違えた。最後の行、鋼機(メタルアーマー)じゃなくて鋼獣(メタルビースト)。

254:創る名無しに見る名無し
09/06/24 23:00:47 zdyZ+WxY
人、いないな。どうしたんだろう?

255:tueun ◆n41r8f8dTs
09/06/24 23:30:21 xcBPEcQL
いますよwただまだちょっと投下には時間が掛かりますorzごめんなさい
>>247
スプリガンがどう行動を起こすか気になりますね……
投下乙です
>>251
上のレスから凄いっす!
描写が細かいから脳内に映像が浮かびますねー。wkwkしますよ

256:創る名無しに見る名無し
09/06/24 23:35:32 iD1UkPO/
>>236です。話の導入部分がなかなか纏まらずに四苦八苦…
とりあえず絵でも描いてイメージ先行でのらりくらりと進めてますが、初投下は週末くらいになりそう;

257:パラベラム! の人 ◆1m8GVnU0JM
09/06/25 00:33:06 lsIg/ufd
>>247
乙であります
上空からの広域エーテルブラスト……なんていやらしい攻撃なのかしら
次回も楽しみに待ってますw


>>251
ウヒョー!
二つの魔王って何か痺れますね!
そしてついにパラベラムの出番が……他の二作とどう絡むのか、楽しみで仕方ありませんw

あ、おせっかいかもしれませんが、段落の初めは一文字分空けたほうがいいですよ


>>256
ゆっくり、満足できるまで書き込むのもアリですよ



とか言ってる自分も、邂逅篇は次で終わりなのになかなか纏まらない……


次ページ
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch