09/06/04 23:09:06 nXTIMzl3
小国の苦悩 第四話
「アテンション!」
その場にいた兵士達が固まる。
「私が諸君らを教育する事になった帝國陸軍第二特別教導団のロジャー大尉であるっ!」
後手を組んでウロウロしながら怒鳴る。
「私の任務は! 貴様らを誇るべき大英帝国のソルジャーにする事であるっ!」
「大尉、帝国は帝国でも大日本帝國です」
「それと彼らはゴンザレス王国の兵士です」
帝國人の少尉と中尉がツッコミを入れる。
ロジャー中尉は2人を睨みつける。
「ふん! 私は英国軍人だ! 例え本国に帰れなくてもな!」
強がっているが、顔が赤い。
「これから貴様らには! このPIAT・・・三式対竜擲弾筒の扱い方を教えるっ」
ロジャー大尉が筒状の物を取り出した。
「この三式は名前の通り、竜を討ち取れる優れものだ!」
兵士の間から響めきが広がる。
「大陸同盟の主力竜を一撃で葬る威力を持っている!」
反帝國陣営は帝國のチハに対抗するため、鉄をも溶かすと言われる史上最強の生命体ドラゴンの実戦投入を図った。
結局、成功したのは下位も良いところの火も吐けないトカゲだったが、歩兵にとっては十分に驚異であった。
「使い方は簡単!」
ロジャーは肩に担いでいた三式を地面に下ろす。
「まず圧縮レバーを立てる!」
筒の側面が割れ、そのまま大型のレバー状になる。
「次にレバーを最後まで引きロックする!」
レバーを引く事で内部のスプリングが圧縮され、最後に金具でロックされるガチャンという音が響いた。
「次に弾を装填する!」
筒の端から、対竜擲弾が装填される。
「敵に向けて発射レバーを引く!」
遠くの的に向けられた筒からガキョ! と言う音とともに弾頭が飛び出し・・・ゆっくりと着弾爆発した。
兵士達は再び響めいた。
「有効射程は50帝國メートルだ! 接近して撃て!」
ロジャーは三式を脇にいた帝國兵に渡すと
「これから貴様らにはこの武器の使用訓練を行ってもらう!」
「全員!駆け足! 向こうの軍曹から三式と訓練弾を受け取れ!」
少尉が声を張り上げた。
兵士達は慌てて向こうに向けて走り出していった。
「訓練がなっとらん!」
ロジャーが怒鳴る。
「大陸の兵士は基本的に常備軍ではありませんから仕方ないでしょう」
中尉の一人が弁解するように言った。
「あれではドイツ軍に勝てんぞ!」
「大尉、ドイツはここには居ません」
ロジャーはまた生意気な2人を睨み付ける。
「わかっておる! 少尉! ティータイムだ!」
「はっ!」
すでに用意されていた紅茶が差し出される。
「・・・うむ・・・そう言えば疑問があるのだが・・・」
「は?」
「なぜ帝國の戦車には湯沸かし器が付いていないのだ! お茶が出来んではないか」
「は?」
帝國人にとって彼の思考は理解不能だった。
185:創る名無しに見る名無し
09/06/04 23:09:49 nXTIMzl3
PIAT見て衝動的に書いた。
今は反省して米国製兵器を導入してる。
186:創る名無しに見る名無し
09/06/04 23:11:56 c/sVzHDQ
>>180
ここまで書いておいて続きを書かないのは生殺しなんだぜ。
もちろん続編希望。
投下乙でした!
187:創る名無しに見る名無し
09/06/04 23:13:41 c/sVzHDQ
>>184
大英帝国www
こんなところでも英国、お茶を欠かさない痺れる憧れるゥ!
188:創る名無しに見る名無し
09/06/04 23:17:42 uUtaOjhN
なんだこの投下ラッシュw
189:創る名無しに見る名無し
09/06/05 00:08:04 Vwxl0KPc
つか誰がどの話の作者か解らんからちゃん鳥位付けろや
190:創る名無しに見る名無し
09/06/05 00:45:47 XaPRuxz0
>>176
なんで投下宣言後にレスするん?
191:創る名無しに見る名無し
09/06/05 01:05:48 Os7KaDY7
>>189
なんで偉そうなん?
192:創る名無しに見る名無し
09/06/05 01:09:02 wtcQfDU7
>>190
少しでも連投規制に掛かりにくくなるようにと思ってね。
5レス続いたら次の支援をしようと思っていたが無用だったようだ。
193:創る名無しに見る名無し
09/06/05 01:28:07 SW1ntxjx
天皇が公選首相を任命してるんだから、
政治に殆ど関わっては居ないが、王が居ないわけじゃないだろ。
194:創る名無しに見る名無し
09/06/05 01:50:35 3n/s69EP
それはそうだが彼等がそれを知っているかどうかは別問題だ。
195:創る名無しに見る名無し
09/06/05 02:08:49 lg9JL3mG
まあ、日本の事まるで知らない人間に、日本の政治体制を教えるなら
立憲君主制が云々ってとこから教えるより、単純に民主主義の部分だけ
伝えた方が早いだろうな。
つか皇帝(王)がいるのに政治には関与しない、けど承認は必要、だけど
傀儡政権ではない、とか言っても理解できんのじゃないか?
むしろ連中にとっては危険思想もいいところだろうから、あえて教えてないとか
196:創る名無しに見る名無し
09/06/05 03:19:32 Os7KaDY7
皇帝(王)が実際の政務は行わず、判子だけ押すってのは成熟期の国家に良く見られる特徴で然程疑問に思われないんじゃないかな?
中世以前に民主主義の原型である共和制を布いていたローマ帝国というものもあるからそこまで拒絶されないと思われ。
食料自給率が50%切ってるのは・・・理解されないだろうなw
197:創る名無しに見る名無し
09/06/05 13:21:01 vsRRDxfr
>>196
>>食量自給率が50%未満
独立国じゃなく広大な国の「一部」が転移してきた、と無理矢理納得するとかな
工業と商業に特化した地域ならF世界でもあり得る
198:創る名無しに見る名無し
09/06/05 15:37:43 wRvo0pen
>>177
当たり前なのかもしれんが、F世界側がかなりまともというか、随分と冷静だ。
最大の問題の食料もちゃんと輸出するみたいだし、日本がF世界側と戦う光景が全く思い浮かばない。元からそういう物語?
そういう展開も面白いかもしれないな。
199:創る名無しに見る名無し
09/06/05 15:48:57 Os7KaDY7
もしこの世界の中世に転移したら阿鼻叫喚だろうな。
現実路線で日本と同盟を組む国、パニックを起こした挙句宗教に走る国
ローマ教皇が自体の収集に慌てそうだ
200:創る名無しに見る名無し
09/06/05 16:55:53 czoMAXsW
>>198
飢えた国民を宥めるのに国家がどういう行動をとるか
それを分かってるんだろうね
201:創る名無しに見る名無し
09/06/05 18:41:06 T4q+lX3g
>>199
アメリカや豪州にはインディアンやアボリジニーが居なくてドワーフやDAが居たら面白いな
史実の魔女狩り=エルフ狩り
タンカー型の赤十字船を見たら十字軍は驚くだろうな
ハワイ向かう練習艦隊がアメリカに向かうコロンブスに遭遇して日本に向かう事で
史実のアメリカ発見がジパング発見になる。
日本にある鉄屑やレアメタルを求めて訪れる白人国家軍
史実のゴールドラッシュはボルトラッシュになる
一番の問題は転移時にバチカン教皇とイラク・イスラエル首相が来日してる時だと
ややこしい事になる
202:日本が国ごと召喚
09/06/05 19:01:08 ObByNp01
ある程度書いたので投下開始しまっす。
203:日本が国ごと召喚
09/06/05 19:03:16 ObByNp01
海上自衛隊二尉、青谷勇はリンゴをひと齧りして、そう呟いた。唇をリンゴから離し、
息を吐くと白くなった息が待機に溶け込んで、消えた。これでまだ秋だというのだ、この世界は酷く寒い。
商船団の護衛という立場上『輸入物』のリンゴを真っ先に味わう機会に恵まれたのだが、
日本のものとは比べ物にならなかった。品種改良は殆どされておるまい。酸味ばかりで、甘味は僅かだ。
「だが、馴れなくては」
ここはもう別の世界だ。戻れるかどうか怪しいのだから。
そう思えば、護衛艦『ひえい』から見下ろす海の色まで違って見える。
日本が見も知らぬ異世界に転移して一月、青谷たち自衛官にとっては忙しい日々が続いた。
ある日前触れもなくこの世界―この世界の人間はヴェルデと呼んでいる―に日本が転移した事は、当たり前だが
向こうにもこちらにも多くの混乱をもたらした。
「あの日―」
気象衛星からの映像は消えうせ、水平線の向こうの景色は変化し、
温度は急激に低下、周囲の海には霧まで出ていた。
混乱した政府は一時、機能停止状態に陥りかけたが、
それまでどちらかといえば低い評価しかされてこなかった吉田首相が
強力なリーダーシップを発揮し、何はともあれ状況を把握することだ、と民間船舶・旅客機の航行を禁止し、
海上自衛隊と航空自衛隊に周囲の偵察を命じた。無論、領海・領空には十分な注意を払って。
青谷もまたその日、護衛艦『ひえい』に乗り込み、状況把握のための探索の任についていた。
しかし西に派遣された航空自衛隊はいけどもいけどもユーラシア大陸の姿は見ることはなく、思い切って領空を越えて
引き返せるギリギリまで飛んでみたものの、広がる海にただ唖然とし、
代わりに東に派遣された海自艦隊はすぐにユーラシア級の大陸を発見した。
一体これは何の冗談だ。
あの時の騒動は今でも青谷の記憶に新しい。鍛え上げられた海自隊員達が一様に呆然としたのだ、自分も含めて。
本国と通信を繰り返すも、当の本国が半ばパニック状態なのだから始末に終えない。上陸すべきか、いや、
何がいるかわからないから一旦引き返し、
陸海空総出で探索に当たるべきだと本国も海自艦隊も大騒ぎをしていたその時、
大陸側から数多の木造船舶が現れ、海自艦隊を包囲した。逃げることも当然、海自艦隊には容易かったが、
砲門は向けども発砲はしない様子に交渉の余地ありと判断し、そのまま包囲されるに任せたのだ。
互いに砲を向け合い、にらみ合うことしばし、
大陸から現れた艦隊から一艘のボートが下ろされ、青い旗を掲げつつ海自の護衛艦に
近づく。後で聞いたところ、青はこちらの世界での白旗に当たるらしい。
ボートを漕ぐ人間と比べて豪華な衣装から艦長はこれを使節と判断し、
警戒は保たれたままにこちらの世界の人間とのファーストコンタクトが始まった。
それが、一月前の話である。
204:日本が国ごと召喚
09/06/05 19:04:52 ObByNp01
なぜ最初の一文が抜けたんだ……
上のなしです、修正……
205:日本が国ごと召喚
09/06/05 19:05:45 ObByNp01
「不味い」
海上自衛隊二尉、青谷勇はリンゴをひと齧りして、そう呟いた。唇をリンゴから離し、
息を吐くと白くなった息が待機に溶け込んで、消えた。これでまだ秋だというのだ、この世界は酷く寒い。
商船団の護衛という立場上『輸入物』のリンゴを真っ先に味わう機会に恵まれたのだが、
日本のものとは比べ物にならなかった。品種改良は殆どされておるまい。酸味ばかりで、甘味は僅かだ。
「だが、馴れなくては」
ここはもう別の世界だ。戻れるかどうか怪しいのだから。
そう思えば、護衛艦『ひえい』から見下ろす海の色まで違って見える。
日本が見も知らぬ異世界に転移して一月、青谷たち自衛官にとっては忙しい日々が続いた。
ある日前触れもなくこの世界―この世界の人間はヴェルデと呼んでいる―に日本が転移した事は、当たり前だが
向こうにもこちらにも多くの混乱をもたらした。
「あの日―」
気象衛星からの映像は消えうせ、水平線の向こうの景色は変化し、
温度は急激に低下、周囲の海には霧まで出ていた。
混乱した政府は一時、機能停止状態に陥りかけたが、
それまでどちらかといえば低い評価しかされてこなかった吉田首相が
強力なリーダーシップを発揮し、何はともあれ状況を把握することだ、と民間船舶・旅客機の航行を禁止し、
海上自衛隊と航空自衛隊に周囲の偵察を命じた。無論、領海・領空には十分な注意を払って。
青谷もまたその日、護衛艦『ひえい』に乗り込み、状況把握のための探索の任についていた。
しかし西に派遣された航空自衛隊はいけどもいけどもユーラシア大陸の姿は見ることはなく、思い切って領空を越えて
引き返せるギリギリまで飛んでみたものの、広がる海にただ唖然とし、
代わりに東に派遣された海自艦隊はすぐにユーラシア級の大陸を発見した。
一体これは何の冗談だ。
あの時の騒動は今でも青谷の記憶に新しい。鍛え上げられた海自隊員達が一様に呆然としたのだ、自分も含めて。
本国と通信を繰り返すも、当の本国が半ばパニック状態なのだから始末に終えない。上陸すべきか、いや、
何がいるかわからないから一旦引き返し、
陸海空総出で探索に当たるべきだと本国も海自艦隊も大騒ぎをしていたその時、
大陸側から数多の木造船舶が現れ、海自艦隊を包囲した。逃げることも当然、海自艦隊には容易かったが、
砲門は向けども発砲はしない様子に交渉の余地ありと判断し、そのまま包囲されるに任せたのだ。
互いに砲を向け合い、にらみ合うことしばし、
大陸から現れた艦隊から一艘のボートが下ろされ、青い旗を掲げつつ海自の護衛艦に
近づく。後で聞いたところ、青はこちらの世界での白旗に当たるらしい。
ボートを漕ぐ人間と比べて豪華な衣装から艦長はこれを使節と判断し、
警戒は保たれたままにこちらの世界の人間とのファーストコンタクトが始まった。
それが、一月前の話である。
206:日本が国ごと召喚
09/06/05 19:07:04 ObByNp01
「青谷二尉か」
物思いに耽りながら手元のリンゴを見つめていた青谷に声がかけられる。
「如何かな、帝国のリンゴのお味は」
見れば、赤と白の瀟洒な衣装に身を包み、腰には細剣(レイピア)とマインゴーシュを下げた、
三銃士の世界から抜け出てきたような女がそこにいた。
波打つ金髪はこちらの翳る太陽に比べれば地球の太陽のように輝かしく、
白皙の美貌は衣装と相まって見るものに強い印象を与える。
「ロゼッタ中尉」
ロゼッタ・ランダース中尉は、青谷同様ファーストコンタクトの場に居合わせた人間だ。
女ながらユグドラ帝国近衛隊の旗手を務めており、
軍人の他、外交官、領主、狩猟長官など様々な肩書きを持つ、絵に描いたような名門貴族だという。
突如として現れた鋼鉄の艦隊(要するに海自だ)にボート一隻で接近し、使者の役割を果たしたのも彼女だ。
使者として艦長ら高級将校とも言葉を交わしたが、艦の案内と、世話係を担当した青谷とは比較的親しい間柄である。
無論比較的であって、男女の仲に発展したわけではない。
単に艦長らと接するときは公人としての性格が強くなるだけで、
そうでない時は、彼女は誰と仲良くするのにも躊躇しないだけだ。
「正直に申し上げますと、酸味がきつい」
「だろうな、貴公は正直だ」
ロゼッタはリンゴを青谷から奪い去ると、自らも口に含んだ。
「このフネで饗応を受けたときの衝撃は忘れんよ。海軍の食い物ときたら例え貴人用であれ、
不味いのが相場と踏んでいたのに、宮廷で出されたどの料理よりも美味いのだからな」
だがその美味い食事もいつまで出せるのだろう、と青谷は思う。
気候が違いすぎる。言うまでもなく今年も来年も不作だろう。そのまた次の年も。
というより今までと同じ作物は最早取れまい。これからはこの気候に合わせた作物を品種改良して
作ることになろうが、さて、何年かかることやら。まずかろうがなんだろうが食料の輸入は目下の急務である。
「にしても見れば見るほど立派なものだな、このゴエイカンというのは」
ロゼッタが憧れるように『ひえい』の艦橋を見上げる。
「図体だけなら我が方も似たようなものは作れるが、とても敵わん。威風が船から滲み出るようだ」
『ひえい』はどちらかといえば旧式である。それを知っている青谷は半ば誇りに思う一方で苦笑せざるをえないが、
それでもナポレオン時代ぐらいの戦列艦しか知らないロゼッタにはオーバーテクノロジーもいいところだろう。
『ひえい』は日本の代表として、帝国側の軍艦と共同で商船の護衛についている。
たかが商戦の護衛……とはいえ、お互いに信頼関係もなく、そもそも国交もない。更に海賊が出没するという話も
あれば、このように物々しい警備も当然といえた。ロゼッタは無論帝国側の人間だが、外交官としての特権を
活かしてこちらに潜り込み、視察という名の日本見物を楽しむ気だという。名門貴族の割には、いや、だからこそと
言うべきだろうか、彼女は優秀な反面無邪気なところがある。
207:日本が国ごと召喚
09/06/05 19:07:48 ObByNp01
「にしても、大したものですね。この世界の人たちは」
「ん、何がだ?」
飽きずに『ひえい』を見つめていたロゼッタが首を傾げる。
「我々への対応です。正直、もっと混乱したものを予想していました。
ですが蓋を開けてみれば、使節団を派遣してから列国を召集しての会議、その後で合同で我々と交渉に乗り出し
僅か一月で制限つきとは言え貿易にこぎつけています。普通は、こうも足並みは揃いません」
「ふむ、貴公の世界ではそうだったのか」
ロゼッタが誇らしげに胸を反らす。
「これも皇帝陛下のご威光のお陰、と言いたいところだが実は違う。この世界の支配層は
貴族が殆どだが、貴族たちは一千年以上の政略結婚で殆どが親戚同士になっていて、言わば領土や国家を超越している。
勿論お互いで戦争や陰謀も起すが、大きなことが起こった場合はスムースに全員が協議できる体制にあるのだ」
宮廷外交という奴か、と青谷は見当をつけた。国益よりも親戚づきあい。個人個人の繋がりが優先される、
17世紀から19世紀ヨーロッパのお家芸とも言える外交である。
共通の階級意識、価値観、文化的基盤を持つからこそ成り立つ絶対主義時代の国際外交手段だが、
国民国家の時代には最早時代にそぐわないものとして退けられ。しかし今回はそれが幸いしたらしい。
大陸内の陰謀に日本が巻き込まれたりしては目も当てられないのだ。
もっとも日本はその輪から外れた位置にあるわけであり、青谷は今後の外交に若干の困難を感じた。
「さてと」
ロゼッタが興味深そうな目で青谷を見る。
「硬い話はここまでだ。わたしに艦内を案内しろ。色々と興味深いことがありすぎる。
日本につくまで退屈しそうにないな」
208:日本が国ごと召喚
09/06/05 19:09:01 ObByNp01
以上で投下を終了します。更に日本編続きます。今度は政治家と本土。
説明くさいかな?かなり説明くさいと本人も自覚してますが、よろしければ応援の程を。
209:創る名無しに見る名無し
09/06/05 19:44:08 T4q+lX3g
>>貴族が殆どだが、貴族たちは一千年以上の政略結婚で殆どが親戚同士になっていて、言わば領土や国家を超越している。
なんだか感動するな、2600年も続いて未だに憎み合う地域が沢山ある日本と比べると
まぁ、日露米戦争とか見ると共通の敵に対しては一億総攻撃状態に突入するからな
「ひえい」は武装やレーダーは古いが5050tという大型駆逐艦だからな
逆に巨大な飛龍群とかがいなければイージスよりDEやLCSの開発に力を入れた方がいいよな
210:創る名無しに見る名無し
09/06/05 19:53:13 yZoOZW1y
まとめwiki、余計なページを2ページも作っちまった・・・吊ってくる orz
管理人氏、見てたら削除おながいします
211:創る名無しに見る名無し
09/06/05 20:17:13 Os7KaDY7
>>209
いがみ合う地域なんてあった?
212:創る名無しに見る名無し
09/06/05 20:32:02 FfLroYd3
>>208
乙ー
しかし寒くなると日本の主食である米も大打撃ですなー
小麦やジャガイモに転換する必要に迫られるのか
213:創る名無しに見る名無し
09/06/05 20:54:08 bPgrTpF+
>>199
メジャーな物だと豊田有恒の『タイムスリップ大戦争』なんかがその類だな。
時間的地滑りにあって日本列島ごとタイムスリップする話。
別の時空に列島ごと飛ばされることをテーマにしたはしりみたいな作品だし。
214:創る名無しに見る名無し
09/06/05 22:12:21 RCdU5DVD
>>211
信州人ですが信州南北戦争でぐぐると・・・今でも対抗意識ありますよ。
まぁ、北は青森県の旧南部領と津軽領で、西は長州藩と岩国領とか、色々ありますな。
215:創る名無しに見る名無し
09/06/05 22:55:55 wtcQfDU7
>>208
投下乙です、しかしできればトリップをお願いしたいところ!
続きにwktk
216:日記より ◆im0Hwg82eM
09/06/05 23:40:08 CXm34lTS
某年 某月某日 日曜日
目が覚めたら、夜が明けていた。昨日頭を使わなかったせいか、5時前まで寝ていたようだ。
急いで顔を洗って井上食堂に駆けつけたが、先客の顔を見る事になってしまった。
食材は持ち込みだし食事の量や質に差が出る訳ではないのだが、何となく悔しい思いがする。
出社して資料室への入室手続きをしていたら、記入欄のすぐ上に知った名前を見つけた。
また先客がいるらしいと思って特別資料室に入ると、確かに入江が座っていた。
涼しい顔をしてペンを走らせている。そして、その手許には「魔法場の統一理論」があった。
話を聞くと、偵察用機材に使う新しいプログラムを任されたので、その参考にするのだという。
仕方が無いので関係ありそうな開発資料などを読んで本が空くのを待つ事になった。
1時間後、やっと「魔法場の統一理論」に向かう。
一緒に読んでいた開発資料の欄外に書き込み。特徴的で見覚えのある、微妙に縦長の文字。清水の筆跡だ。
奴の専門は回路の設計だったから、本に纏まる前の統一理論を研究していたのかもしれない。
書き込みの内容が統一理論の理解を助けてくれた。天上の清水に感謝する。
昼食は林亭で。入江も一緒だった。先週の日曜日にも入江に貸しを作っているので
一品奢ってもらう事にした。しかし後で言われたのが「出張手当が入ったら、お返しに2品ほど宜しく」の一言。
何か言い返そうかとも思ったのだが、あの場で反論していたら大人気無かったろう。何も言えなかった。
午後からは入江がそのままプログラミングに入り、松本先輩も会社に現れたので電力が不足した。
そのため送電量を増やしてもらったが、手続きに1時間近くかかってしまった。
勉強が進むにつれ、魔法場というものが何となく理解できそうな物に思えてきた。
魔法を使う者にしか理解できないであろう事柄もあるが、魔法を使えば周辺に様々な影響が出る事は確かだ。
センサに使われているという、魔石の特徴というのも何となく掴めてきた。水晶に近い特性を持っていて
圧力や振動ではなく、魔法の影響を受けると電流を発生するようなのだ。開発中の魔法センサはおそらく、
影響を受ける魔法によって魔石の挙動が違うという特性を利用しているのだろう。
本来の使用方法は魔力を封じ込めておいて、様々な魔法の力を増幅させるというものらしい。
生成には高温高圧と長い時間と継続した魔力が必要で、人工的に合成するには厳しい条件が
揃っているようだ。水晶に似た鉱物だというから、圧力容器に魔力を送り込む事で合成できそうな気も
するのだが、自分が思いつく位なのだから、技本の誰かが思いつかない筈が無い。
おそらくそう簡単にはいかないのだろう。あるいは今頃、合成の実験でもやっているのかもしれない。
217:日記より ◆im0Hwg82eM
09/06/05 23:41:50 CXm34lTS
某年 某月某日 月曜日
今日の仕事はプログラミングの手伝いだった。昨日、入江が話していたプログラムらしい。
PC上の仮想環境で動かしてみる。魔法による影響を想定した外乱を送り込むと、動作が一瞬乱れた。
引き続いて他の外乱を加えると、動作が停止して「装置の不具合発生により任務に遅延発生」と判定された。
この状態から外乱に強いプログラムに練り上げていくのだという。
自衛隊撮影による、敵の策源地攻撃の映像が公開されていた。公開されたのは金曜日だ。
センサ試験の後片付けでニュースも見れず、その後もばたばたしていたので気付くのが遅れてしまったようだ。
滑走路へ進んでいく迷彩模様の機体。RF-4EJが飛び立っていった。画面が切り替わった。
航空写真が映り、拡大される。森の中に開けた場所があった。草葺き屋根らしい円形が数十戸。
空に星が輝き、暗い森の中を進む自衛隊員たち。草が激しく擦れる音がして、急に映像が横へ流れた。
カメラの動きが収まり、映し出されたのは顔に迷彩を施した隊員と、その足元で粗末な服を着て横たわる
欧米風の顔をした男。敵の歩哨だろうか、傍らには鈍く光る刀が落ちていた。映像が切り替わり、
柵で囲まれた広場のような場所が映し出された。奥には建物も見える。これが敵の策源地らしい。
空が白み始めている。そこへ力強く空気を叩く音が響いた。AH-64DJ改の登場だ。
空からの映像に切り替わった。白黒画面でやや粗い映像だが、むしろそれが新鮮に思えた。
ロケット弾が打ち込まれ、建物が白い光に包まれる。音に驚いて飛び出してきたらしい不運な奴が
30mm機関砲を浴びて、それほど明るくもない飛沫になった。勇敢にも、弓矢と思われるもので
応戦しようとする敵がいた。数秒後、それは原形を留めていなかった。ヘリからの射撃は止まったが
空からの目で見る限り、敵兵は次々と倒れていく。どうやら地上の部隊から射撃が行なわれているらしい。
木製らしい柵は、既に銃撃でバラバラになっているようだ。あちこちで薄明るい飛沫が飛び散っている。
こういうのはあまり鮮明な映像では見たくない気がする。
森の中へ逃げ込もうとした敵には周辺警戒を行なう自衛隊員からの銃撃が待っている。
木の陰に隠れて、周囲の様子を窺う隊員たち。周り中から断続的に発砲音が聞こえてくる。
遠くから誰かが画面に向かってきた。画面横に棒状のものが見え、破裂音と共に彼は地面に転がった。
戦闘帽にものものしい装備を装着した隊員が何かに気付き、合図をした。
それを受けて樹の上に向けて銃撃が行なわれると、湿った音を立てて大きな物体が落下した。
ヘリの音が遠ざかって行きカメラが向きを変えると、突入する隊員たちの姿が映った。
軽機関銃のものと思われる発砲音も聞こえる。ヘリからの映像で見た射撃の主はこれだったのだろうか。
日が昇り始めた頃、カメラは焼け残った建物に踏み込んだ。後に敵の武器庫と判明した建物だそうだ。
映し出されたのは、投石器だったと思われる大きな消し炭。近くには焼けた岩も幾つか転がっていた。
今回の映像は少し生々しかった。再生する前に確認画面が出たのも無理はない。
テレビでは戦闘時の映像は流さず、ショッキングな映像が含まれる旨も告知されていたようだ。
この作戦で殺害した敵の数は386名。これは意外と少ないらしい。前回討ち漏らしたと見られる負傷者もいた。
たぶん敵方は前回の戦闘で、かなり消耗していたのだろう。そして態勢が整う前に殲滅されたと思われる。
我が方にも負傷者が出ている。木の上に潜む敵に襲われて、隊員2名が重傷を負ったそうだ。
死者が出なかったのは幸いだった。負傷した隊員も、治療すれば現役復帰できる程度の怪我で済んだらしい。
まあ何にせよこの戦果なら、今後の交渉も非常に有利に進むだろう。
上手くすれば、緩衝地帯の森の向こうに広がる草原を手に入れられるかもしれない。
そうなれば適性作物の調査を行なって、来年か再来年には大陸からの食料が増えて、国内での
食料価格も安定する事になるだろう。ついでに鶏肉の値段も少しは下がってくれると嬉しいのだが。
218:日記より ◆im0Hwg82eM
09/06/05 23:43:33 CXm34lTS
某年 某月某日 火曜日
以前提案した、グライダーによる移動計測試験を行なう事が決定した。
この案の他には、センサを馬に乗せて走らせて計測する試験や、ロケットで加速した後に小型の
木製グライダーを分離させる計測試験などが採用されたそうだ。試験の日程などは追って通達が来るとの事。
こうやって見ると、馬に乗せる方法は60km/h以下、羽布グライダーはおそらく300km/h以下、そして
ロケットで加速するグライダーはそれ以上の速度で試験を行なえる。たぶん速度の違う3種類の方法を
比較するという意味合いがあるのだろう。
なお、会社で提案した空挺投下による試験は引き続き検討を続ける事になったそうだ。
で、試験を行なう予定の場所というのが……矢臼別演習場。北海道だ。
確かに、周囲に人工物が無くて平坦な地面がある環境など、なかなか国内にあるものではない。
東富士演習場も候補に挙がったらしいが、機密保持の観点から矢臼別演習場に決定したそうだ。
という事は、である。近いうちに北海道に出張という事になるのだろうか。
この試験は自分が言いだしっぺなのだから、やはり自分が参加することは確実なのだろう。
北海道まで船を使って1日ちょっと。試験に5日間。帰りは親潮に乗って1日弱。丸1週間は
見ておかねばなるまい。ひょっとして東京で過ごしている時間の方が短いんじゃないか?
夕方のニュース、太平洋を航行中の自衛艦「しんげつ」が外国船を拿捕した。
試験運用を兼ねて周辺警戒中だった新型艦載ヘリ「SH-60L」が、不審な航跡を発見したため接近した所
弓矢および火球魔法による攻撃を受けた。この攻撃による損害は無く、これを受けて「SH-60L」は
直ちに搭載機銃による反撃を開始。敵方に死傷者を出した。この際、海上に数名が落下するところを
ヘリの搭乗員が目撃したそうだ。その後「しんげつ」乗員が乗り移って船内を制圧、乗員を拘束した。
当該船舶は「しんげつ」に曳航されて最寄の沖縄基地に向かっているそうだ。
当該船舶は黒潮に乗っており、拿捕されていなければ2日程度で九州から四国、3日から4日もあれば
房総半島の沿岸部まで到達していた可能性があったらしい。
当該船舶に搭乗していたと思われる魔法の術者は行方不明。周辺の捜索が行なわれたが、
海上にそれらしきものは確認されなかったという。たぶん溺れて海中に沈んだかしたのだろう。
しかし国内に潜入する可能性も捨てきれないため、警察や自衛隊は警戒態勢を強化したそうだ。
このところ外国船に関するニュースが多いような気がする。
「毛の無くなった毛生えクッシー」に関する情報はすっかり影を潜めてしまった。まあ、話題の主が
姿を消してしまったので仕方の無い事ではあるのだが。今頃、釧路の商店街はどうなっているのやら。
219:日記より ◆im0Hwg82eM
09/06/05 23:45:19 CXm34lTS
某年 某月某日 水曜日
4時前に起床、5時に朝食。このところ雨続きで、夜明け空が見えない。
もう梅雨入りなのだろうか。天気予報の精度はまだ高くない。気象衛星の6機体制が整うのはまだ先の話だ。
入江の作ったプログラムは、ひとまず形になったそうだ。
そんな訳で、それを実装した機材の試験に取り掛かった。かなり大掛かりな機材で、試験項目も多い。
今日だけでは終わらせることが出来ず、明日に持ち越しとなった。今のところ動作に問題は無さそうではある。
しかし明日は外乱を大きくした状態での試験だ。泉さん謹製の外乱てんこ盛りに、どこまで耐えられるやら。
昼過ぎに技本から車が来ていた。何か会議が行なわれていたが、自分には何の通達も無かった。
矢臼別での試験に関するものではなかったという事なのだろうか。初夏とは言え、北海道は寒そうだ。
まだ東京の気候に慣れ始めたばかりの自分にしてみると、出来れば夏になってからとかにして欲しい。
まあもうすぐ梅雨だからその間じめじめしない北海道で過ごすのも悪くない、という気もしないではないのだが。
高校の元同級生で、神主の伊東が夕方のニュースで紹介されていた。
毎年、神社の畑で収穫した野菜を氏子たちに分け与えているそうだ。インタビューに答える顔は
幸せそうというか、妙に微笑んでいた。どうもあの手の表情は好きじゃない。なんとなく、後ろにある
感情や考えを隠しているような気がしてしまう。単に自分が宗教嫌いだという事もあるのかもしれないが。
得体の知れない怪物が、かつてフィリピンがあった辺りに存在するドンゴワナ諸島付近の海上に
出没しており、退治するために護衛艦2隻が出動したそうだ。あわよくば捕獲して持ち帰るために、
「第6図南丸」と「第170日東丸」が同行しているという。怪物退治のために自衛隊が出動するという事案は
年に数回あるが、その度に巨大な烏賊や蛸だったり、凶暴な鯨や海竜だったり、様々な怪物が現れる。
今回の出動は友好関係にある現地住民の要望を受けてのもので、現地住民の証言によると
なんとも気味の悪い怪物だとの事。現地の言葉では「プス・サイギツム」と呼ばれているそうだ。
いったい、どんな化け物が出てくるのやら。まさか「毛の無くなった毛生えクッシー」じゃないだろうな……
ネットサーフィンしていたら、さっそく「プス・サイギツム」の正体についての様々な考察が飛び交っていた。
海竜派と巨大軟体動物派が真っ向から対立して、賑やかな事この上ない。
やっぱり皆、ナマモノ話が大好きである。これから察するに毛生えクッシー騒動の時はどんな状態だったか、
大方の見当がつく。気になる人にはちょっと見せたくないものだったろう。
30分程度だったが、楽しませてもらった。19時を回ったので切り上げて、日記を書いて寝る事にする。
220:日記より ◆im0Hwg82eM
09/06/05 23:47:05 CXm34lTS
某年 某月某日 木曜日
昨日に引き続き試験を行なう。プログラムの練り直しとなりそうだ。
入江に結果を伝え、データを渡した。午後からは部内会議があった。
18時、薄暮の公園へ風呂上りの散歩に出かけた。梅雨に入る前の貴重な晴れ間だと考えたからだ。
それにその公園にいれば周囲は自然な光景で、落ち着いて過ごせるという事もあった。
自転車を自宅に置いて公園を散歩していると、外人が通りかかった。会釈してすれ違おうとしたのだが、
その見覚えのある外人に話しかけられた。だから足を止めて話を聞こうとした。
彼は近所で見かける、在日ドイツ人のはずだった。その彼が突然、異様な気配を漂わせ始めた。
あの気配には覚えがある。九州にいた頃にすれ違い、そして10日ほど前の日曜日にも見かけた奴だ。
もう一度その顔を見ると、そいつは違う顔をしていた。目つきも、口元も、顔の輪郭も、そして髪の色も。
自分が何か叫んだかは覚えていない。公安が5~6人駆けつけてきて、そいつの周りを取り囲んだ。
そいつは不敵な笑みを浮かべて言った。
「我が名はジャック・キール・ブラウン。以後、お見知り置きを……もしも可能であるならば」
次の瞬間、その姿が突然消えた。向こう側でそいつを取り囲んでいた公安が一人、宙を舞った。
あれはおそらく隠蔽魔法だろう。姿を隠しておいて、囲みを破ったに違いない。
その後は大騒ぎだった。人通りも落ち着き始めた時間帯で、一般人には気付かれていなかっただろうが
静かな公園と住宅地が緊張した雰囲気に包まれていた。発砲音や叫び声こそ聞こえなかったが、
車が辺りを走り回ったり公安が盛んに連絡を取り合ったりしていた。
新島まで付いてきていた公安が自分を家まで送ってくれた。
その際、部屋で幾つか状況を聞かれた。出来るだけ正確に答えたつもりだが、どこまで正確に伝わったか
自信が持てない。その後で、明日はいつも通りに出勤するように、と言われた。
むろん今日の騒ぎについては口外無用である。そして何かあった時にはここに連絡するように、と
電話番号とメールアドレスを書いた紙を渡されたので、携帯端末に登録しておいた。
あの異世界の男は一般人になりすまして潜伏していたのだろうか。
しかし、だとしたら何故あの男に一般在留許可が出されていたのだろうか。パスポートの提示や
大使館の記録との照合、身辺調査も行なわれるから、怪しい人物はそこで引っ掛かったはずである。
ひょっとして、許可された人物と入れ替わったりでもしたのだろうか。だとしたら、本来許可された人物は
どこに消えたのだろうか。考え始めるときりがなくなってくる。
とにかく今は、山本と名乗ったあの公安の言った通りにするしかない。
今の自分にできるのは、深く考え過ぎずに普段どおりの生活を送る事だけなのだろう。
221:日記より ◆im0Hwg82eM
09/06/05 23:49:00 CXm34lTS
投下終了です。
保存庫に収められているネタを一部拝借しました。「仮題◆7ekwL0V8mo」氏に感謝します。
まとめサイトに掲載されると、何かこそばゆい感じがするものですね……まとめ人さんに感謝です。
222:創る名無しに見る名無し
09/06/06 00:29:33 0Ixx1jmR
投下乙です。
これ明らかに入られてるじゃないですかァー!
223:創る名無しに見る名無し
09/06/06 01:12:57 Qwciasp7
投下乙
淡々とした日常描写にかいま見られる非日常の怪異が
ゾクゾクとした肌の粟立つ新鮮なホラー小説を読んでる感じでバッチグーです
224:創る名無しに見る名無し
09/06/06 01:38:57 SBRoORPu
えらい投下ラッシュだなw
取り合えずまとめられたみたいだからこれから読んでくる
職人さんと編集した人と乙
225:創る名無しに見る名無し
09/06/06 03:01:54 1SAv8qus
とりあえず日記氏、本日投下分までまとめ完了。
◆8b20lCD.o.氏は現在書き直しされてるようなので、しばし様子見しております。
他の職人様方も暇ができたら順次まとめて行く所存。
載せるの待って!って職人様は書き込んで下さると助かります。
マジで無駄ページ+リンク不備すまんかった・・・orz
226:創る名無しに見る名無し
09/06/06 06:11:08 ojPG/Ena
>>208
乙でした。
しっかし、温室栽培と寒冷地用作物を甘く見過ぎですな
収量は兎も角、味は問題有りますまい
>>219静止軌道だから、気象衛星は一機で十分の筈ですよ。
問題はデータの蓄積かと
227:日記より ◆im0Hwg82eM
09/06/06 07:47:44 csZ45C/f
>>226
より多くの観測データを集めるのには全球観測が望ましいので、そのためには常用3機、
予備機含めて6機体制。という意味だったんです。
まあその場合リレー衛星なんかも必要になってきますが。
ちょっと言葉足らずでしたね……申し訳ない
228:創る名無しに見る名無し
09/06/06 12:31:52 Qwciasp7
赤道上空三万六千キロに三機は欲しいとこだな、宇宙分野の予算次第だが
いままで「いざとなればアメリカ頼り」でけちってたつけが先ほどの「ひまわり騒動」だった
食料安全保障の観点からすれば海流、海水温のデーター収集の地球観測衛星も欲しいとこだが
229:日本が国ごと召喚 ◆mGG62PYCNk
09/06/06 23:03:39 fiR9Li4/
ビニールハウスを忘れていた罠。
そしてリンゴは寧ろ寒冷地で育つ罠。輸入しなくていいね!
書くごとに現実との齟齬が出ますが、もう書いちゃったものはしょうがない、
開き直って書いていきますので、生暖かく応援をお願いします。
薦めに従ってトリ付けてみました。ちゃんとつけられているかな?
とりあえず本日の投下ー、超ウザい世界観説明。
230:日本が国ごと召喚 ◆mGG62PYCNk
09/06/06 23:08:20 fiR9Li4/
日本は、奇跡的に平穏を保っていた。
元より諸国の中でもとりわけ高い治安を誇る国である。
国民は何か事があろうとも、基本的には政府を信頼している。
加えて転移直後に政府が積極的に周囲の状況を把握しようと努め、
極めて早期に大陸諸国と国交を結んだことが幸いした。
『我々は孤立していない。海一つ隔てた向こうには人がいる』
日々テレビやラジオ、インターネットを通して行われる政府の宣伝に、
国民はパニックに陥る前に落ち着きを取り戻した。
こうして、多少の例外を別にすれば、このような異常事態を経たにもかかわらず、日本は平穏だった。
「さて、会議を始めようか」
日本国内閣総理大臣、吉田一郎は細長い机に居並ぶ閣僚たちを前に不機嫌そうな顔で宣言した。
奇しくも大陸を代表する国家の長であるルクツァが同じ台詞で会議を始めたことを彼は当然知らない。
彼の前に居並ぶのは各省庁の長たち。この日本を動かす頭脳たちだ。
だが彼らは一人の例外もなく青ざめた顔をしていた。
「食料の生産状況はどうなんだ」
指名を受けた農林水産大臣が起立して報告する。
「絶望です」
閣僚たちの間にざわめきが広がりかけるのを、吉田は視線一つで制した。
「従来から生産している農産物はほぼ壊滅です。
季節のリズムが大きく狂ったのも最悪です。
転移する前は初夏だったのが、こちらでは我々の世界の冬に相当する秋。
これから冬になると思えば、背筋が凍る思いです。
品種改良を進めていますが、従来の作物は以後、
ビニールハウスなどでの少量生産に止まる覚悟をしたほうがいいと思われます」
「備蓄は?」
「もって、三ヶ月かと……このような事態、完全に想定外です」
想定できる人間などおるまい。神ならざる人であれば。だが。
「予測していなかったで済まされないのが政治家ってものだ。大陸諸国との輸入を更に進めろ」
吉田は政治家の家系に生まれた、正に政治家のエリートである。
であればこそ、彼は国民に対して一切の言い訳はしない。
全ての餓死者、全ての暴動の責任は明確に自分にあると思えばこそ、
このような事態にも冷静に対処できるのだ。
231:日本が国ごと召喚 ◆mGG62PYCNk
09/06/06 23:09:09 fiR9Li4/
「次、警察庁長官。国内状況は?」
「表面的には平穏無事です。連日の報道が功を奏しています」
閣僚たちが胸を撫で下ろす。暴動こそは命取りだ。
「ですが、内心は不安を押し隠していると思われます。
やはり食料についての不安は消え去らないようで、
各所の商店から食料が消えています」
「念のために聞くが略奪か?」
「いえ、正当な売買によるものです」
とはいえ、空になった棚は人心を不安にする。
いつ食べ物が買えるかわからない、と思えば誰しも不安になろう。
「食料備蓄はまだ十分だ。買う側から山ほど陳列すれば、いずれ国民も安心する。
警察はこの機に乗じて略奪や暴動を起そうとする動きを絶対に許すな。法の健在を示せ」
はっ、と応えて長官が着席する。
実のところこの一月で犯罪件数が激増していた。元が少ないゆえに大きな騒ぎにはならず、
日ごとに減少の傾向にあるものの、何か火種があればすぐに表面化しよう。彼の責任は重い。
「外務大臣、各国首脳との交渉は?」
「今のところは順調です。おぼろげながら大陸の国際関係も見えてきました」
よろしければ、と前置きして外務大臣は地図を指す。吉田は軽く頷いた。外務大臣はそれを受け、
テーブルに地図を広げる。大陸の地図ということはすぐにわかった。だがかなり簡略化された印象を受ける。
「測量技術の未発達と軍事的な機密のために詳細な地図を調達することはできませんでした。
現段階においてはこの地図が最も詳細な大陸の地図です。無論彼らから提供されたものです」
詳細な地図を手渡せば軍事侵攻の材料となる。当然の警戒だった。
232:日本が国ごと召喚 ◆mGG62PYCNk
09/06/06 23:09:53 fiR9Li4/
「このファルデア大陸には大きく分けて3つの国が存在します。
まず、大陸の最西端に存在し、最大の版図と歴史を誇る
ユグドラ帝国。次にその隣に位置するリディア王国。最後に最も東に位置するラウジッツ連合王国。
我々と最初に接触したのはユグドラ帝国で、その名の通り皇帝を頂点とする帝政国家です」
地図に赤線で国境線を書き込みつつ、外務大臣が説明を続ける。
「ただしユグドラ帝国は我々の歴史における神聖ローマ帝国に相当する国で、
内実は中央の皇帝領と、ユグドラ四天王と呼ばれる東西南北の4貴族領に分かれています。
同国内とはいえ小競り合いは頻発しており、事実上5つの国がこの地域の中に
存在していると見ていいと思われます」
「他の二国は?」
「リディアは強固な絶対王政を保っている模様です。総体としての国力はユグドラに及びませんが、
ユグドラが統制の取れない諸権力の集合体であることも思えば、実力はこちらが上でしょう。
ラウジッツは逆です。百とも二百とも言われる群小貴族が内部で絶えず争いあい、
外部からの脅威にのみ対応する状態です。
我々の出現にも我関せずといった態度で内部抗争に明け暮れており、使節も出してきません」
「上出来だ、ありがとう外務大臣」
貴族ばかりだな、この世界は、と吉田は思った。
このような世界では民主主義は危険思想にも程がある。
彼らが貿易や国民の出入国に枷を嵌めたがるのも当然だ。
元の世界のどこぞの国なら民主主義の輸出を始めるのだろうが、吉田にはそんな積もりはない。
互いに必要最低限な部分だけを補い合い、後は無視する。
そんな関係が互いにとって上等だろうと吉田は考えていた。
(それに、交渉をする上では相手が貴族のほうが便利だ)
伝統によって聖別された王侯達は強い批判や、引き摺り下ろそうとする動きに晒されることがないため、
場合によっては暴走し、戦争と恐怖を撒き散らすが、
一度方針を決めれば、長期にわたってその方針が堅持される。またその視野もまた遥かに長期的である。
個人の好悪に左右されるという欠点もあるが、懐に入れば交渉はしやすい。
「最後に、防衛大臣」
立ち上がる防衛大臣に、吉田は一息置いて質問した。
「国防について見解を聞かせてくれ」
「それに関しては自身を持って可能とお答えすることができます。
ですが、この先エネルギーの供給が細ることを思うと、
時を経るごとに防衛戦力は減少すると思われます。
また劣化した武器弾薬の更新も、資源の調達が望めない現状では厳しいといわざるをえません」
つまり日本の戦力は彼らが思うほどに絶対的ではない、ということか。吉田は頭痛がした。
現状、彼らが交渉に応じてくれているのは自衛隊の圧倒的な戦力があればこそだ。
そうでなければこちらの言い分などまともに取り上げまい。
ところが自衛隊の攻撃力は今すぐ発揮したとしても一過性の台風のようなもので、
更に日毎に減少するのだ。ハイテク兵器は補給を絶たれると弱い。
「もっとも、更に1年2年が、いえ、10年が経過したとしても国防そのものには自信が持てます」
「では、例えば」
吉田は少し躊躇したが、吐き出すように言った。
「今すぐ打って出たとして、彼らを支配下に置くことは、可能か?」
233:日本が国ごと召喚 ◆mGG62PYCNk
09/06/06 23:12:20 fiR9Li4/
以上で本日の投下を終了します。
説明くせー!
というか自衛隊は何処に?
そんな批判を受けつつ、お話は続きます。
234:創る名無しに見る名無し
09/06/06 23:16:27 /L6+14YZ
乙ー
有能な日本も好きよ
235:創る名無しに見る名無し
09/06/07 00:32:58 jI5+lfYl
>>229
果樹はしっかり養分やら無いといけんくてね、あと病虫害の管理とかあるから難しいんよ。
吉田首相って言葉でもうあの人しか思い浮かばん。
ともあれ投下乙でした。
最初typoってとうま乙と書いた、インデックスに本の栞にされてきます・・・
236:創る名無しに見る名無し
09/06/07 00:38:40 jr7Oc8PS
うってでたとしても自衛隊は広範囲の地域を維持する為の兵員足りないですからね
攻撃や狭い範囲の防御には向くけど広い範囲の防御には向かない こっちから吹っかけるのは無謀でしょ
でもそれだと戦いが起きず「読者が喜ばない」って事で何らかの形であるとは思いますが 敵がゲリラ戦やってきたら怖いですね
237:創る名無しに見る名無し
09/06/07 00:42:02 B+D8VbAn
そこで徴兵制復活ですよ。
>>227
ぶっちゃけ、今の精度をだすなら一機体制で十分です。
地球シミュレータ級の何年後の気温予想とかなら兎も角、
短期の予報は衛星一機(予備なし)で十分こと足ります。
現在の技術では日本上空以外の衛星のデータなんぞ
取得できても、日本への影響は予想できません。
>>229
概出の植物工場が出ないのはどうかと思いました。
238:創る名無しに見る名無し
09/06/07 01:05:41 jI5+lfYl
野菜工場が本格的に稼働する前の話じゃね?
239:創る名無しに見る名無し
09/06/07 06:06:40 uuuq9Fwd
数年後、その種の技術を持った企業の株を所有していた投資家が、ハイパーウハウハタイムでこの世の春を謳歌しちゃうのですね。<野菜工場とか省エネ技術とか
240:創る名無しに見る名無し
09/06/07 06:14:58 jInrmmkt
転移後の食料難の中、全く新しい方法で食料生産の確保をしようとした中小企業があったー(BGM地上の星
241:創る名無しに見る名無し
09/06/07 08:58:28 tZyacsw2
徴兵したってまともに使えるようになるまで時間が掛かるだろが。
使えるようになるまで金も掛かるし。
242:創る名無しに見る名無し
09/06/07 09:50:50 q/20Rmtf
精鋭にするんじゃなければ使い道はあるんでね
243:創る名無しに見る名無し
09/06/07 10:54:52 jInrmmkt
後方の警備に使うなら徴兵でもなんとか
244:創る名無しに見る名無し
09/06/07 11:36:00 GaIIlqPo
異世界との戦力差がどこまでかにもよるが
最新ハイテク兵器でなくWW2直後のローテク兵器レベルにまで主力兵器を落としても
十分戦えそうだけどな
あぁもちろん現代技術でリファインしているという前提だが
245:創る名無しに見る名無し
09/06/07 11:48:51 WlrSxj8N
資源の確保をしないとスペックダウンもままならんぞ。
246:創る名無しに見る名無し
09/06/07 12:31:42 jInrmmkt
資源なら国内にアホみたいに転がってるから何とか
石油さえ何とかなるなら国内資源で10年位は持つと思われ
247:創る名無しに見る名無し
09/06/07 12:44:19 ksx3wdlt
神と霊魂・死後の世界 カトリック教会の奇跡
スレリンク(psy板:54番)
248:創る名無しに見る名無し
09/06/07 13:20:24 q/20Rmtf
レアメタルの再利用が本格的になりそう
249:創る名無しに見る名無し
09/06/07 13:23:42 rBooJPaq
仮に徴兵制が復活するとすれば、戦力確保よりもむしろ雇用の確保と失業者による治安悪化の防止が大きな理由になるだろうね。
250:創る名無しに見る名無し
09/06/07 13:24:33 CQyXtVA9
>>246
完全に自給できるのはセメントくらいじゃ
それとも石油不足で動かない民間車を回収・分解して弾にするとか?
251:創る名無しに見る名無し
09/06/07 13:43:16 A+F/sww5
>>250
破砕物埋め立て所をあさればかなりのレアメタルが確保できると聞いた。
252:とあるドワーフの日記 ◆8b20lCD.o.
09/06/07 14:43:36 V70BFzQc
('A`)Q:ナゼ作中ニ適当ナ名前ガ多イカ
A1:ソレッポイ名前ヲ考エルノガメンドウ
2:モデルトナルモノガアレバ読ミ手ガイメージシヤスイ
3:ネタデアル
4:ゼンブアリ得ナイ名前ニシテオケバ 後テ名前ノ付ケ方ガ ゙アリエナイト文句ヲ言ワレナイ
5:異世界デアル
・・・ノドレカ
253:とあるドワーフの日記 ◆8b20lCD.o.
09/06/07 14:44:23 V70BFzQc
△月×日
しぐをバラし、部品の組み合わせと加工の意味を考えているだけで、いつの間にか昼になってしまっていた。
昼食は鮭の塩焼きと味噌汁、醤油で煮たジャガイモの煮付けと葉物を使ったサラダにチーズ。
塩と醤油をたっぷり使ったニホン風料理。
此処の工匠はニホン軍の基地内なので出てくる食べ物は皆ニホン流になっている。
料理は魚が中心で、味噌や醤油を使うなど西側料理に近い。
朝から晩まで醤油醤油塩塩塩。
塩が主要な輸出品のニホンであるが、限度を知ってほしい。
幾ら、国の一つや二つ余裕で支えるだけの塩があるからといって使いすぎは良くないと思う。
たまには肉を食いたい。
ニホン人は一度に沢山の食品を買い付ける割りに食生活は意外と質素である。
彼らの料理を食べて驚いたのが、畑に撒く雑魚を食べるということだ。
エルブは貿易港の他に優秀な漁港があり、毎日多くの魚が水揚げされる。
通常、マグロやカシオ、アキアジなどは食用。
イワツなどの腐りやすい魚や小さな魚は纏めて肥料にされている。
肥料に出来る魚は大量に取れる代わりに腐りやすい。
ニホンが来る前までは集めて天日干しにして砕き、高級肥料として畑に撒いていた。
彼らはそれを買い取った。大量の塩にものをいわせて店ごと市場ごと。
沢山買い取って腐りやしないだろうか?
焼いたものを出してくれているがイワツを食べるのは心配だな。
254:とあるドワーフの日記 ◆8b20lCD.o.
09/06/07 14:45:09 V70BFzQc
△月◎日
今日は休日だ。
久々に工匠から出て外の空気を吸おう。
頭が詰まった時は気分転換に限る。
外にはニホンの面白いものが沢山転がっているだろうし、新たな発見を得られるかもしれない。
基地の中はニホン人だらけである。
黒エルフやドワーフの姿は要所に少し見えるだけで、
殆どが茶や緑のモザイク服と白衣を着た人種で占められている。
この基地はニホンの自治する街であり、
ギルドが許可した一部の商人と軍人、研究者以外は出入りが制限されている。
特に魔道関係の検査は厳しく、手形の提示とニホン人が使うアーティファクトの検査を抜けた後、
黒エルフの身体検査とドワーフ族の物品検査を通らなくてはならず、人と物の出入りは別だ。
大抵の魔道道具の持込は許可されるが、予め申請していない道具を持って入ろうとすると酷い目にあう。
前に同行していた黒エルフが飼っていた使い魔が不申請なだけで
ゲート前に許可が出るまで待たされた。丸半日もだ!
まったく!ロイの奴、面倒掛けてくれる。
研究棟の集まった食堂街を抜けると
白い四角い建物の群れの向こうに、四六時中頂上から火を噴く銀色のパイプが絡まりあった塔が見える。
呪われた地から毒を吸い出すそうで、黒エルフやドワーフ達も二つ返事で許可したニホン主導の大事業だ。
読売板(よみうりいた)によると黒エルフ派閥であるアカマル派とドワーフ族のユーミル派が
主導で行っていて、新たな利権が絡んでいるそうな。
なんでも、ニホン製の高品質な金属をどちらが手に入れるかで揉めているらしく、
黒エルフはニホンと強力なパイプを持っていて鉄の利権を言い張り、
ドワーフ族は古来からの慣例通り鉄やアーティファクトは我らが仕切ると主張し対立している。
今回の発端は大幹部であったアカマルがバッサン軍から無事脱出し凱旋帰国、
大国ニホンとの友好条約を締結した件で黒エルフ族の発言力が増し、ドワーフ利権に手を出したようだ。
それにしたって、エルフもドワーフも景気がいいものだと空高く伸びる塔を見て思った。
255:とあるドワーフの日記 ◆8b20lCD.o.
09/06/07 14:46:06 V70BFzQc
△月◎Ш日
今日も休みだ。ジェダイの桑井雁路(くわいがんじ、以下雁路)に聞いたら、太陽の日だから休みだとか。
ドワーフ職人に休みはない。エルフや人間とは違うのだ。
仕事が出来ないと思った日には仕事は進まないし、仕事を進んでしないと良い作品は出来ない。
思ったときには休日で仕事日だ。
職人は期日までに依頼を仕上げればいい。
だから明確な休日を決められるとドワーフは暇を持て余す。
そうだ。市場へ行こう。ニホン族の市場が開いているはずだ。
研究者や職人が集まる長屋から十数メール歩くと小さな広場に出る。
屋根といくつかの椅子が置かれた待合室の横にはレールと動力付きトロッコ、
“鉄道”が置いてあり、これで街の各所へ向かえるようになっている。
歩いて行っても良いのだが付くまで片道1時間以上は掛かる。
市場で商品を買い込んで、長屋へ帰るには少し遠い。
たった1時間歩くのを長いと感じるのはニホンの感覚に慣れたからだろうか。
いや、鉄道が便利すぎるせいだな。
鉄道を使うと歩くのが馬鹿らしくなる。
鉄道は乗合馬車に似た行き先が決まっている交通機関で、馬並の速度が出る。
しかも荷物は積み放題、途中で通行人に邪魔されないし目的地まで最短距離で行ける。
人込みの中を走るゴーレム力車より遥かに速く、私は街の住民であるため金も掛からない。
それにしても、トロッコ一台一台に動力を付けるのは無駄ではなかろうか。
ゴーレム一体に荷運びや列車引きを任せれば楽であろうに。
ゴーレム力車やゴーレム飛脚はちょっとした街ならどこでもあるのに。
ニホン人は妙なところで面倒だ。
ガタンゴトンと揺れるトロッコに乗って舗装された外を眺めた。
ジェダイの住む草木の色をしたテントに混ざって、
薄い茶色の金属板で覆われた金属の箱や、白い滑らかな表面をした壁の店が立ち並ぶ。
大小様々な色の家が建ち、雑多な印象を受ける。
256:とあるドワーフの日記 ◆8b20lCD.o.
09/06/07 14:46:52 V70BFzQc
ニホン街には変わったものが数ある。
金属で出来た箱型の建物も名物の一つだ。
しかし特色は何と言っても、道が綺麗で清潔なことであろう。
道路は白い家と同じく漆喰に似た黒い素材で塗り固められており、滑らかで石一つ雑草一本生えてない。
どの道も大きく、最も大きい道などは幅の広さで有名なバッサン帝都のゲンサク通り、その倍以上はある。
面白いのは、それほど大きな通りに関わらず糞や塵が一個も落ちていないことである。
なぜなら馬や牛が一匹も歩いていないからだ。
では代わりに何が走っているか?
“鋼の馬”油で走るオートマタ、自動車が走る。油とは明かりに使うアレだ。
当然、機械は竜や魔物と違って糞をしない。だから道は綺麗なのだ。
自動車とはゴーレムの一種で、人型ではない。形は牛や馬が引く台車に似ている。
これも鉄道と同じく個別に動力が付いていて魔力がなくても使える。
このようにニホンのものは殆どが魔力なしで動いていて、
物造りに携わるドワーフとしてはとても興味深い。
いくつかの小さな駅を過ぎると広場に出る。ジオダイクン城前にある青の広場ぐらい大きい。
昼になるといつも人でごったがえしていて、気をつけないと人込みで迷子になる。
背丈が低いドワーフにとって人間の人込みに混ざるのは大変だ。
買い物袋を持って歩くのは面倒なので背負い袋を持っていくのをオススメしたい。
箱型の自動車や鉄道、飛竜の乗り換えが出来る竜屋が集まっている。
広場から少し奥に行くとオオサカ名物オルドロス焼き(小麦粉で出来た丸い焼き物、足が入っている)や
トンカツ(豚に小麦を付け揚げた物)などの食べ物屋が軒を連ね、
カイナッツオ鍋の店は連日、非番のジェダイや研究者達が行列を作っている。
商店街を通るとやっと市場だ。
手前が街人向けの市場で最奥が商人用市場と港。
エルブの市場から直接、鉄道を通して運ばれた荷物を降ろすクレーン。
山と積まれた木箱や積み下ろし作業に従事するゴーレム、上も見えないほど積まれた金属の箱。
道にニホンの不可思議な自動車が忙しく行き交う。
257:とあるドワーフの日記 ◆8b20lCD.o.
09/06/07 14:47:38 V70BFzQc
ふらふらと歩いている内に商人用の市場まで来てしまった。
市場では妙な光景が繰り広げられている。
黒エルフ達とニホン人が激しく競り合っている、と思いきや
黒エルフがニ、三言話しただけでニホン人は頷き取引が終わってしまう。
同じ光景は他の場所でも起こっていて、市場の競り場にしては静か過ぎた。
チェス板状に区切られた道と吊るされた看板、水の満たされた箱に入ったカイナッツオや
ルビカンテ製の魔法具、バルバシリアから取れた鉱石、所々に置かれた見本用の品々。
目立つ場所にはガラスケースが置かれ、スーツ姿のニホン人や
露出が多い礼服を着た黒エルフ達が互いの商品を売り込みあっている。
彼らは皆仕立ての良い服を着ていて、私服で来た私はどうにも居心地が悪い。
そろそろ帰ろうかと思ったら帰り道が判らない。
ああ困った。広すぎなんだよここの市場は!
さて、どうしたものか。
道を聞こうにも壁際に立つジェダイに話しかけるのはちょっと怖い。
彼らは見た目こそただの人間と変わりないが、一人で飛竜を屠る猛者達なのだ。
「はい。買取は以上で?二級品でも三級品でもあるだけ欲しいと?はは、判ってますよ。今後ともごひいきに」
聞き覚えのある声。ロイだった。
今日の取引が終わったらしく、書類を秘書に渡して帰ろうとしていた。
「おおおっ。ロイ!ちょうど良いところに!案内板がなくて困ってたんだ!」
無事に帰れた。
彼曰く、案内板は頭上にあって背の低い私は気づかなかったらしい。
とんだ恥をかいた。
目安箱にドワーフ用の低い案内板も設置して欲しいと書いた手紙を入れた。
258:とあるドワーフの日記 ◆8b20lCD.o.
09/06/07 14:51:22 V70BFzQc
投下終了
保管庫の方。書き直す前の文も入れてくだすってもよかですよ。
前に書いていたのは現在の叩き台でもありますので。
259:創る名無しに見る名無し
09/06/07 17:22:41 jI5+lfYl
投下乙です。
いつ読んでも異人の目線の日本には妙にナゴナゴしてしまうw
元ネタはアカマルだけわからなかったよ続きwktk
260:創る名無しに見る名無し
09/06/07 17:24:32 UkEAaHo2
投下乙!
それにしてもジェダイってwwライトセーバーと作り始めそうだw
261:創る名無しに見る名無し
09/06/07 17:31:38 q/20Rmtf
熟練の技術者はミクロン単位の誤差を感じることができるというがドワーフはどうなんだろう
ナノ単位くらいは感知できるんだろうか
262:創る名無しに見る名無し
09/06/07 18:11:30 jInrmmkt
多分マイクロ止まりだと思われ
剣作るのにミクロン精度必要ないし
263:創る名無しに見る名無し
09/06/07 19:24:32 KHbbRlL7
太陽の日だから休みだとか。
ドワーフ職人に休みはない。エルフや人間とは違うのだ。
ドワーフって昔の日本人(キリストに関心ない)みたいだな
すっかり日付や結婚式場とかキリスト式になってしまった
異世界にも大安吉日や盆帰りとかあるのだろうか?
広場から少し奥に行くとオオサカ名物オルドロス焼き
タコはオルドロスと呼ぶのですか。
264:創る名無しに見る名無し
09/06/07 19:25:53 aLkd3O8V
カブあたりでもエンジン分解させたら熱中するだろな
265:創る名無しに見る名無し
09/06/07 21:22:10 D08FFYJy
◆8b20lCD.o.氏、改訂前分編集完了。
どうもスマートに編集できない・・・
更新履歴は華麗にスルーして下さると助かります('A`)・・・
266:日本が国ごと召喚 ◆mGG62PYCNk
09/06/07 23:12:43 X8qF8L+z
野菜工場の存在そのものを知らなかったよ!
書くんじゃなかった。無知が恥ずかしい。
これからも無知を晒すことになると思いますが、生暖かい目で優しくスルーをお願いします。
「この世界ではこうなんだ」フィルターを通してみてくださいまし……
なお、気付いたかもしれませんが米軍は存在しません。扱うとややこしいからです。
よってこの日本に存在する軍事力は自衛隊だけです。ご承知の程を。
では、投下開始。
267:日本が国ごと召喚 ◆mGG62PYCNk
09/06/07 23:14:14 X8qF8L+z
「ほうほう、これがテレビというものか」
興味深げに右から左からテレビカメラを眺め回すのはロゼッタだ。カメラマンが困惑した表情を浮かべている。
「中尉、それはカメラです。テレビに映すための道具です」
「なんと、ではわたしは今お茶の間にこの姿を晒しているという事か」
解説を入れる青谷。上陸以来何度こうやって解説したかわからない。
ちなみに使節は彼女一人ではない。というよりかなり大規模である。無駄に多いと言い換えていい。
大陸に存在するラウジッツ以外の主な国家は元より、
星の数ほど存在する小領邦が片っ端から使節を送り込んで来たのだ。
その中でもロゼッタの好奇心たるや凄まじいものがあり、
日本に上陸してからは嵐のような勢いで説明をぶつけてくる。付き合う青谷はへとへとだ。
『使節としての仕事はどうしましたか』
と皮肉を言えば、
『大使がいるぞ!』
と元気に返された。
じゃあ一体貴女の役割は何なのかと青谷は問い詰めたかったが、ハンバーガーを片手にコーラをがぶ飲みする
女三銃士を見ていると脱力の余りに何も言えなくなった。上陸一時間で馴染みすぎである。
もしやと思っていたが物見遊山が大きな目的だったらしい。
目立つ格好で自衛官を引き連れ、うろうろとその辺をぶらつく姿は容易に目立ち、
駆けつけてきたマスコミがカメラとマイクを突きつけるに至って、青谷はもうどうにでもしてくれという気分になった。
「初めまして! 日本人の諸君! わたしは帝国の使者ロゼッタだ!」
よく通る声でカメラに向かって語るロゼッタ。
「この世界へようこそ! 我々はあなた方を歓迎する。仲良くしよう!」
だが、国民向けの使者としてはこれ以上の適材はないかもな、と思い、青谷は苦笑した。
この分なら大陸との関係も楽観視していいのかもしれない。青谷も、テレビを見る人たちも皆そう思った。
吉田の戦場は行政の場だけではない。国会もまたそうだった。
転移という異常事態にも関わらず吉田率いる与党の動きは早く、これほどの事態にも関わらず国内の治安が保たれ、
外交的にも成功を収めているのは、外交下手を指摘されてきた日本政府としては異例なまでの優秀さといって
よかったが、それでも社会に歪みは出る。
貿易商社の類は大打撃を受けた。多国籍企業もまた壊滅的被害を蒙っている。
中小企業の多くは経営が立ち行かなくなった。
また、抱えていた外国資産が全て紙くずと化した衝撃は極めて大きく、
総じて経済界は大混乱である。首を括るものも多数出た。
それらに対する対処は、今のところ未定である。そして、何よりも食料への不安。
当然、野党は与党を攻撃した。
268:日本が国ごと召喚 ◆mGG62PYCNk
09/06/07 23:15:03 X8qF8L+z
「総理! 総理はこの未曾有の大混乱の責任をどう取られるお積りですか!?」
ヒステリックに叫ぶのは野党連合第二席に位置する民社党の党主。きゃんきゃんと吼える姿は
躾けもされず、甘やかされ放題で育ったプードルやスピッツを思わせる。だが顔は遥かに醜悪だ。
「食料の備蓄はもう僅かしかないって言うじゃないですか! それにエネルギーも!
普段からキチンと蓄えておかなかった政府の責任じゃないですか!? えぇ!?
巷じゃ食料不安から暴動が起こったり犯罪が頻発したりして、国民は不安な夜を過ごしているんですよ!?」
殆どヤクザじみた口調にあわせ、そうだそうだ、責任を取れ。という怒号が沸き起こる。
(なら普段からお前らもそう主張しておけ)
責任を回避するつもりはない。だが事が起こってから鬼の首でも取ったように正義の味方気取りで
問題を指摘するのはどういう根性なのだろうか。大体テレビ中継もされている場で、食料不安だの
暴動だのとがなり立てて国民を不安にさせるのが吉田には腹立たしい。
内心の怒りを隠しながら答える。
「その件に関しましては全責任は我々にあると強く認識しております。
ゆえに、この問題の解決に全力を尽くし、大陸との貿易を強化することによって、
国民の皆様に変わらぬ日々を送っていただけるよう、尽力する次第で御座います」
責任をとれていない、詭弁だ、辞めちまえ。という野次の中、吉田は着席する。
「総理! それに自衛隊です! この世界の人たちは酷く遅れてるんでしょう!?
だったら自衛隊のような過剰な戦力は不要です! 不要! とっとと軍備を縮小したらどうですか!?
彼らに無用の脅威を抱かせる原因になります! それとも総理は大陸侵攻でも企てているのですか!?」
「そのような事実は一切存在しません。また自衛隊は大陸諸国との協議を経た後、
十分な信頼関係が醸成されたと判断されれば、段階的に必要なレベルまで縮小する予定であります」
やはり馬鹿だ。大陸侵攻を企てているのか、だと。
企てているに決まっている。ただし飽くまで可能性のひとつとして、だ。
突如として外交が完全に行き詰まり、食糧供給が止まって緊張が高まったならば、
1億2千万の人口を食わせることは不可能になる。もしそうなったなら吉田は悪名を被ろうと、
大陸に侵攻することをためらうつもりはなかった。
無論、吉田としては大陸との協調が最善と信じているが、
オプションの一つとして、その考えは常に頭に置いているのである。
(もっとも、防衛大臣の言によれば難しいようだが)
兵力が足りません。無理です。その一言につきた。自衛隊の兵力は25万。予備を併せても30万程度。
日本を防衛するにも若干の不足を感じるのに、増してや大陸に侵攻して土地を占領するなど夢物語だった。
もっとも大陸は自衛隊の戦力の実態を掴めず、過剰評価している。
現状では戦わないほうがブラフとして有効ゆえ、その意味でも戦争はありえなかった。
269:日本が国ごと召喚 ◆mGG62PYCNk
09/06/07 23:16:36 X8qF8L+z
(しかし、野党がヒステリックなのはいつものことだが、ここのところは特に酷いな)
異常事態なのだから当然と言えば当然、と思う一方、やはり腹立たしくもある。
このような時なのだから批判を繰り返すだけでなく、何か建設的な意見を言うべきではないか。
今は与野党共に難局に立ち向かうべき時なのに。
へこましてやる。そう思いながら吉田はマイクの前に進み出た。
「ご批判を色々と頂戴いたしましたが、さて、では野党にお聞きしたい。
この危機を乗り切るため、野党としてはどのような案をお持ちでしょうか?」
「それはですね! 自衛隊を削減して! 憲法九条を死守して! 無駄遣いを減らして!」
「自衛隊の削減は現在検討中です。また無駄遣いとは何でしょうか? 具体的に仰って下さい。
そして憲法九条は本件には無関係と考えます」
醜悪なプードルが口をぱくぱくさせている。吉田は少し溜飲が下がった。
「政府としては食料の輸入のほか、野菜工場に品種改良など、多角的にこの問題に取り組んでおります。
エネルギー問題に関してはそもそも大陸側に我々にとって有益なエネルギー資源を採掘する技術がないため、
難航しておりますが、当面は電力供給の時間的制限などで乗り切り、
技術供与とその後の貿易で解決する予定であります。もっとも、同じ資源が存在すれば、ですが。
さて、野党としてはいかがお考えですか? 是非お聞かせ願いたい」
プードルは何も言い返せない。視線で殺してやると言わんばかりの顔で睨むばかりだ。
吉田は冷笑し、着席しようとして、
「案ならあります」
横合いからの声に引き止められた。
「民栄党の田中です。発言をさせていただきたい」
(野党連合のリーダーか)
厄介な奴が来たな、と思う一方、案があるのなら是非聞かせて欲しいと吉田は思った。
民社党のプードルとは違う。田中は実力ある政治家だ。
かなり強引な手も使うが、政治家としての手腕は吉田も評価している。
「首相、輸入だ何だといっても、それでは国民は安心しません」
「どういうことでしょうか?」
「国民は気付いてしまったのですよ。自分たちの国がいかに危うい基盤に載っているかを」
確かにそうだ。今まで何の心配もなく食料が手に入り、電気を無制限に使って何の疑問も覚えなかった
国民は、今回の一件で自分たちの国の欠陥を認識した。
この国だけでは、食料を供給できない。エネルギーもだ。国際社会とはそういうものだが、もうそれがない。
新たな世界で生活するに当たって、国民は自給自足を望むようになってきている。
だが現実問題としてそれが不可能だからこそ、吉田は大陸との協調を望んでいるのだ。
「仰る事は正しいと思いますが、では我々はどうすれば?」
「簡単なことです」
田中は自信満々といった様子で答えた。
「我々には自衛隊があるじゃないですか、アレを有効活用するのですよ」
270:日本が国ごと召喚 ◆mGG62PYCNk
09/06/07 23:18:14 X8qF8L+z
アンシャム伯領は大陸でもっとも小さな独立国である。
その面積は日本で言う和歌山市の半分程度、人口は一万人にも届かず、これといった産業もない。
だが、その歴史は大陸でも最も古く、権威もまた皇帝家を越える程であり、外交交渉の地として幾度も選ばれてきた。
そのアンシャムはこの日、ひとりの客人を迎えていた。
「我が家の蔵書室はお気に召しましたか、皇帝陛下」
館の主人アンシャム伯爵が林立する本棚の森の中に佇む客人に挨拶をする。
ユグドラ帝国皇帝、ルクツァ一世がそこにいた。手元には数冊の本がある。
「ああ、帝都の図書館もこれほどのものはない。流石、古代帝国の末裔だけはある」
行政府で執務を行っていたアンシャムは不意の訪問を受けていた。事前の連絡もなければ、供回りも僅か、
お忍びであることは明らかである。相手が相手ゆえ、先に自分の城館で待って貰うよう伝えていたが、
行政府から駆けつけてみれば、何故か皇帝はたった一人で蔵書室にいた。
「それで、ご用向きはいかに? まさか我が家で本探しではありますまい」
「いや、そのまさかだ。わたしは望んでいた本を貴公の蔵書室から見つけたよ。これだ」
ルクツァが手元の本を示す。『トールボット物語』、『ファルデアの神話』と記された古めかしい本がそこにあった。
「貴公はこの本を知っているか?」
「はぁ、一応は。しかし荒唐無稽で、とても皇帝陛下のご興味をひくとは」
「少し読んでみろ」
気は進まなかったが、アンシャムは差し出された『トールボット物語』を開く。
ルクツァの示した二冊の本は何れも遥か太古にまとめられた神話や民話の類だ。
『トールボット物語』は英雄騎士物語。『ファルデアの神話』は古代に信仰されていた神々の話である。
中々面白いエピソードもあるが、総体として幼稚であり、
子供の寝物語には丁度いいが、立派な大人の読む本ではない。
だが、読み進めるうちにアンシャムは目を見開く。
「ご冗談を、これは新しく書き下ろされたものではないですか」
その本は見かけこそ古めかしいが、中身は彼の知る物語とは別物だった。
読み物として面白い。苦難、裏切り、友情、逆転、勝利。様々な困難に打ち勝ち、
勝利する英雄トールボットが活き活きと描かれている。
オリジナルがエピソードの集合体だったのに対して、こちらは海の向こうからやってきた
国ほどもある悪竜との対決という点で首尾一貫しているらしく、読み応えがありそうだ。
271:日本が国ごと召喚 ◆mGG62PYCNk
09/06/07 23:19:34 X8qF8L+z
「その通り。こちらの本も少し目を通せ」
言われて『ファルデアの神話』をぱらぱらとめくる。
(やはり、違う)
意味不明で未整理、矛盾が多かった上にエピソードがそれぞれ独立していたオリジナルの神話より
遥かに読みやすく、体系的に整理されている。
何より、善なるファルデア神と悪なる海神との善悪二分論が旧来の神話との決定的な違いだ。
「皇帝陛下、こんなものが我が家で見つかるわけがありません」
「だろうな、だが、これは貴公の家で見つかったものなのだよ。貴公がその保障をしろ」
「仰る意味がわかりかねます。それでは神話伝説の捏造、歴史の捏造です」
「今まで誰も省みることのなかった過去だ。捏造して何が悪い」
ルクツァの怜悧な目がアンシャムを貫く。アンシャムの背に冷たい汗が流れた。
ルクツァは25歳。アンシャムより20程若い。だが、時折見せる視線は確かに皇帝のそれだ。
「詰まらなさの余りに図書室に放置された神話など不要だ。これから新しく古い神話を我々は研究する必要がある。
私はその二冊の本を始め、多くの『古い』本を国中、いや、大陸中の大学にばら撒き、いずれは農夫の子でも知る
程のものとする」
「何故、そのようなことをする必要が? こんな古い物語だというのに」
「転ばぬ先の杖という奴だ」
ルクツァは不機嫌そうに眉を寄せた。
「『この世界の人たちは酷く遅れてるんでしょう!?』か。舐めたことを言ってくれる。
だが我々が奴らに対抗するには、団結する必要がある。個別ではとても勝てない……」
272:日本が国ごと召喚 ◆mGG62PYCNk
09/06/07 23:22:54 X8qF8L+z
投下終了でっす。
にしても皆さんの先読みの力にはびっくり。
自分としては「自衛隊が今すぐ大陸に侵攻!?圧倒的じゃ」と思わせて、
「でも兵力的に占領が無理、自衛隊はそんなに圧倒的じゃない」と読者に悟らせる予定でしたが、
言われるまでもなく皆承知していたようで。
つーか書くごとに作者の無能が露呈?
ガラスの心臓なので書く度に批判がきたらどうしようかとびくびくしています。
では、本日の投下はこれにて。
273:創る名無しに見る名無し
09/06/07 23:37:49 NTy2LQbX
乙でした
これからの展開に期待するぜ!
274:創る名無しに見る名無し
09/06/07 23:44:02 q/20Rmtf
召喚したとき地殻変動が起こってて近くの海底に鉱床がありましたとかあったりして
275:創る名無しに見る名無し
09/06/07 23:57:47 jI5+lfYl
投下乙でした。
さーてここからどう転がっていくかな~?
wktk
276:創る名無しに見る名無し
09/06/08 00:39:32 Bkd5sg2p
兵力的に無理と言うのも勿論だが、自衛隊は防衛戦力って言う性質上、兵站能力が貧弱だから
異世界に転移なんていう、物資が乏しい状態じゃまず戦い続けるということが出来ないだろうね
やるなら全てを一撃で決する戦いしなきゃ駄目だろうなあ
その準備にしてもかなり時間がかかるだろうし、地形の把握、敵拠点の割り出し、占領後の運営プラン
現実的なこと言い出したら限がないな
277:創る名無しに見る名無し
09/06/08 00:46:40 LgPvdEka
情報戦略かー・・・日本に気付かれなきゃ良いけど
十分広まる前に気付かれたら同じ手使われて「もう駄目だー日本に勝てる訳ねー」になりかねないから
本を印刷する技術、本を運搬する技術は日本が断然上だし
問題は本を作る技術だけど「魔法などの超テクノロジー」もなく文化的に地球の過去の物とそんなに変わりが無ければ
文化人類学者など動員して作成は可能ですね
278:創る名無しに見る名無し
09/06/08 00:53:55 LgPvdEka
ふと思った日本なら本に頼らなくても「映像」って手がある事を
相手が欧州の中世レベルなら義務教育無い以上、農民などの識字率低い訳だし
本バラ撒いても読めなきゃ意味無い まあ吟遊詩人とかで分かりやすく「語りで」教えるって手もありますが
279:創る名無しに見る名無し
09/06/08 02:13:01 ANJwOD0N
思ったんだけど、中世並みの文明だとすると、余剰食糧はほとんど無いんじゃなかろうかw
1億を超える人口じゃ貿易したって焼け石に水というか。。。
近代に入る前の欧州の都市人口は首都であっても数十万人がいいとこで、100万を超える人口でさえなかなか養えなかったわけで。
穀物だけで年間3000万トン近く輸入してるから・・・大陸が飢餓状態になるほど輸出しても足りないんじゃなかろうかw
結局広大な土地で機械を大規模に入れてやらないとどーしようもない気がするw
まぁ急場しのぎの方法としては、戦時中みたいに公園でも学校の校庭でも土と言う土に芋を植えまくる
あとうまい具合に漁場が見つかれば、漁船フル稼働で底引き網で全部掻っ攫ってくるw
ここまでやってもたぶん飢えるかもしれないw
野菜工場もLEDを光源にするならエネルギーも何分の一とかになるらしいし、面積辺りの収穫量も全然高いらしい
穀物も栽培可能らしいけど、収穫まで時間がかかるからエネルギー効率悪すぎて採算が取れないらしい
まぁエネルギーが余るほどあれば解決するんだろうけど
280:創る名無しに見る名無し
09/06/08 04:42:34 MREURaoX
チート設定思いついた
・転移の十数年前にまず東北某所に異世界とのゲートが開く
・異世界のダークエルフが巨大な群島の転移予兆を察知
・ダークエルフがゲートを突破、マナの状態から日本列島全体が転移対象と判断する。
・ダークエルフ、日本政府要人との接触に成功。政府は極秘裏に転移に備えを行うことを決断
・減反政策の緩和・休耕地の復活・農業技術者の大量育成といった自給率向上策
・老人医療縮小・不法残留外国人の取締り強化・在日特権の撤廃といった人口削減策
・資源リサイクル強化、レアメタル備蓄強化といった資源確保
・これらを10年かけて行っていく。転移数ヶ月前から日本国内で異常現象が多発し始め、日本は転移の日を迎える・・・。
とりあえず準備期間置いて諸問題を緩和させるという設定。ダークエルフの魔法使って国民を軽く洗脳しとくのも一考か?
陰謀ばっかりになって黒い話になりそうだけど。
281:創る名無しに見る名無し
09/06/08 10:18:57 lAJdTqmx
>>280
突っ込みどころ満載だぞwww
282:創る名無しに見る名無し
09/06/08 12:00:28 Tcb5SNJa
日本神話からほとんど消えた紙、月読尊は実は異世界に行っていた!
ダークエルフなど闇に住まう物をまとめた彼。
地球を襲う大カスタトロフを予想した彼は、その瞬間日本を転移させる。
そして転移した日本のあちこちにレアメタルなどの塊、自衛隊糧食2号などがどかどか
おかれていた・・・
そして月読尊の啓示を受けたダークエルフの長が日本へ・・・その頃今上天皇も啓示を受け取っていた
283:創る名無しに見る名無し
09/06/08 12:23:34 nhdugHnp
>>280
石油の大量備蓄が抜けてる。
油がなきゃ食料自給率はどうやったって上がらんよ。
284:創る名無しに見る名無し
09/06/08 12:56:05 MREURaoX
突っ込みどころ満載なのはわかってる。思いつきで箇条書きしただけだしねぇ。
石油の大量備蓄については真っ先にやるだろうとおもって書くの忘れてたw
情報察知から転移までだけでもひとつ作品が出来上がりそうだなぁ。
数年先に消える国とまともに外交しようなんて国は無く、多国籍企業は逃げ出す。
285:創る名無しに見る名無し
09/06/08 13:17:18 U3KUd5MX
>>272
投下乙
ルクツァ皇帝が日本の野党第二党党首の発言を知って不快に思ってるてことは
まさか国会中継をF世界の人々が見てる状況で流しているのか?
だとしたら吉田首相も野党のお花畑状態を笑ってられる資格は無いな
286:創る名無しに見る名無し
09/06/08 13:28:24 lAJdTqmx
まあそんな突っ込みどころ満載の日本無双ssも見てみたいな
287:創る名無しに見る名無し
09/06/08 13:38:40 LgPvdEka
>>285
人づてだと思う 放映だったら「もう勝てる気しねーよやってらんねーよ」になりかねない
軍事技術で一番重要なのは兵器の性能より情報収集とその伝達手段の向上だから
288:創る名無しに見る名無し
09/06/08 13:57:05 LVxuXKw1
>>279
>まぁ急場しのぎの方法としては、戦時中みたいに公園でも学校の校庭でも土と言う土に芋を植えまくる
北朝鮮軍みたいに農業始める自衛隊が浮かんだ
289:創る名無しに見る名無し
09/06/08 14:25:52 Dc3aWCDB
>>280
情報が漏れたらえらいことになる。
レッドサンなんとかにそんな話がなかったかな?
日本列島が転移するならこれまでのお礼とばかりに攻撃するとかなんとか。
290:創る名無しに見る名無し
09/06/08 15:18:43 k25GDBeX
どこの国がそんな暇な事やるんだ?
朝鮮人くらいしかんな無意味な事やりそうにないが
291:創る名無しに見る名無し
09/06/08 16:06:04 Bkd5sg2p
まあな、いなくなる国に戦争吹っかけたからって、旨みがまるでないしな
つかあのゼロ魔SSは、キャラがウザい上にやたらと歴史や小説やらからの引用台詞があって萎えた
292:創る名無しに見る名無し
09/06/08 16:44:27 mnlfUXqF
日本が消えたら大混乱なわけで戦争なんかしてる暇ないだろ
むしろ消えてから戦争が始まるのかもしれないが
293:創る名無しに見る名無し
09/06/08 17:45:51 Dc3aWCDB
国外の在留邦人は国土が無くなった時点で無国籍状態となるのだろうか?
となると亡命したい国に行けないし何よりパスポートが証明されず国外にも出られないということか?
294:創る名無しに見る名無し
09/06/08 18:03:49 LgPvdEka
そう言えば分家にアメリカが転移する奴 転移後もソ連対英主導の連合軍が戦争してると書いてあるけど
無理でしょ 北アメリカの大半が消えたら海流が滅茶苦茶になって気象の大変動が発生して戦争どころじゃない
295:創る名無しに見る名無し
09/06/08 18:26:17 nhdugHnp
アメリカ転移は陸戦描写が出鱈目すぎて萎えた。
296:創る名無しに見る名無し
09/06/08 18:35:27 8jFdPZx2
敵が剣と弓で戦ってたのにいきなり機関銃使ってくるのはかなりアレだけど、内容は面白いよ。
297:創る名無しに見る名無し
09/06/08 20:23:56 k25GDBeX
AKなら刀鍛冶でも作れそうな気がしないでもない
298:創る名無しに見る名無し
09/06/08 20:25:55 YMbJhW+j
>>294
北アメリカ大陸の合衆国部分自体が消えるのではなく
アメリカ合衆国の地下1000mが消える程度なら
巨大な窪んだ平地ができるだけで問題はないと思う
ただ転移した合衆国は地下資源が一部しか採れなくて困るがな
逆にアメリカが転移して喜ぶ国はあるのかな?
その場合、在日米軍基地はどうなるんだ?
在日米軍基地の範囲も含めて転移したら沖縄を含めた各国各地が涙目だわ
299:創る名無しに見る名無し
09/06/08 20:32:59 U3KUd5MX
>>293
漂着民じゃあるまいし、旅行者にせよ出張中にせよ
国を出るときと相手国に入国するときに手続き踏んで居るわけだろ?
「母国の庇護を受けられなくなる」て意味合いは大きいが
近代国家に滞在してる限りでは移動と難民申請は出来るだろう
法治国家じゃなくミンチ国家にいたら悲劇だが
300:創る名無しに見る名無し
09/06/08 21:03:18 /j7/y37+
>>272
中世を高く見過ぎかと。
常備軍20万居れば大陸落とすのも現実的な範囲かと。
占領維持も赤軍的に思想の流布で、貴族を徹底的に敵と教えて……
装備は小銃と小銃擲弾、カール君にM2が有れば十分でしょうね。
失業者が溢れるでしょうから、その吸収にも
301:日本が国ごと召喚 ◆mGG62PYCNk
09/06/08 21:45:49 LdjNi4hd
これより投下開始します。
今回はいつも以上に突っ込みどころが多いと思いますが、フィルターのご用意を。
大陸側のスペックについて書く必要があるかな?簡単に。
公開するとフレキシブルに変形できないので自分の首を絞めるかもしれませんが。
302:日本が国ごと召喚 ◆mGG62PYCNk
09/06/08 21:47:06 LdjNi4hd
ここのところは艦に乗ることが少なくなったな、と青谷は思う。
燃料節約のために艦艇の多くが出航を禁止され、ドッグ入りを余儀なくされている。
旧式の『ひえい』など真っ先にドッグ入りさせられた。
エネルギー調達の目処は二ヶ月が過ぎた今でも立たない。当然だ、大陸側は重油など使わないのだ。
しかし燃える水として認識してはいたようで、政府が必死に交渉を行っているらしい。
なるべく早く動かせるようになるといいが、と切に思う。お陰で海自も空自も腐ってきている。
別に暇というわけではなく、仕事はあるのだが海自も空自も極論すればフネと飛行機が全ての軍である。
フネや飛行機に乗らない人間も結局はそれらに関わるのが仕事である以上、
それらが動かなければ腐るのもしょうがなかった。
「青谷二尉、何を思い悩んでいる。」
そんな腐った日々にロゼッタを見ると思わず顔が綻びそうになる。慌てて青谷は表情を引き締めたが、
どうやら遅かったようだ。
「おや? いま少し顔が緩んだぞ。わたしに会えるのが嬉しかったか?」
「からかわないで頂きたい。大体、自分は貴女より6つも上ですよ」
「承知している。17と23だろう。ところでわが国では15で成人とみなされ、
20以上歳の離れた夫婦も貴族間ではそう珍しくはない」
「それは政略結婚でしょう」
「違いない」
そのまま微笑するロゼッタ。どきっとするほど魅力的だが、
青谷は謹厳実直な自衛官の振りをすることに今度は成功した。
好奇心旺盛で明るいロゼッタは妹のようにも見える。だが青谷とて男だ、女として彼女を時折見てしまう。
しかし会話の中で時に大きな断絶を感じることもあり、付き合うことは様々な意味でないだろうと思っていた。
「それで、業務の終了を見計らってわざわざ基地にきたのは何故ですか?」
青谷は既にロゼッタの世話役の任を解かれている。
実際のところ『ひえい』が動かないのだし、そのまま任についていてもよかったのだが、
いつまでも17歳の少女の後を追いかけているのは流石に彼の矜持が許さなかった。
「ああ、本国から召喚要請が届いた。今すぐというわけではないが、一月か二月中には戻る。
それを報告しに来たのだ。貴公には世話になったからな」
「それはまた律儀に」
一抹の寂しさを覚えないではなかったが、当然の事である。17歳とは言えロゼッタは貴族だ。
大陸を動かしているのが貴族である以上、彼女のような人間とていつまでも遊んでいるわけにはいるまい。
それに彼女は基本的に軍人だ、友好的とはいえ、大陸の軍隊は日本に備えなければならないはず。
恐らく大陸側では大幅な軍組織の改編が起こっているのではないだろうか?
ならば最精鋭である近衛隊がその最新モデルになることは疑いなく、
その旗手である彼女がここにいていいはずがない。
「礼には礼で報いるのが貴族というものだ。しかし、貴公の国は面白い国だな」
いつもどおり、明るく、そして心底不思議そうに彼女は言う。
「農奴が一人もいないのだからな。作物も機械で作れるのか?」
303:日本が国ごと召喚 ◆mGG62PYCNk
09/06/08 21:48:27 LdjNi4hd
こういうとき、青谷は彼女との断絶を感じた。農奴、土地に束縛された農民。土地を持つことを許されず、
生産物の全てを賦役として取られる存在が、彼女の描く世界にはいて当然なのだ。疑問にも思わない。
貴族がいて、農奴がいる。両者が交わることはない。それは彼女にとって当然のことだが、
平等の精神が息づく民主主義国家で育った青谷にはひたすら異質だ。
とは言え、彼女を啓蒙しようという気にはならない。
彼女とて日本を面白がっても、この体制を否定したりはしない。
それはそれ、これはこれ。
例え相容れない存在だとしても相手を否定する行為に正義はない。
それを理解していればこそ、仲良くできるのだ。ただし、最後の溝は容易には埋まらない。
(いずれ、貿易が活発になれば彼らの世界も我々の来た道を辿るはず。
そう、鎖国を解かれた日本のように)
それがいつかはわからないが、それまで互いに敬意を持ち続ければ、きっといつかは溝も埋まる。
青谷はそれを信じて、ロゼッタとその日は別れた。
「冗談ではありません!」
経済産業大臣は、吉田の前で開口いちばんにそう言った。
「何もかもが異質すぎます! とても貿易相手にはなりません!」
「どういうことだね、大臣」
大臣には今後の貿易について当たらせていた。そろそろ経済界が市場を確保してくれと絶叫し始めている。
雇用はガタガタ、失業者は激増、力のあった企業ほど絶望が濃い。
なるべく早くに大陸の通貨と円の交換レートを設定し、限定的であれ彼らに市場を提供しなければ、
多くの企業が倒産し、日本の経済産業は壊滅、国内には失業者の群れが溢れ返る。
今は非常時ということで『とりあえず、政府がなんでも面倒を見る』ことで全てを停止させているが、
健全な状態ではないのは明らかなのだ。崖っぷちにも程がある。
304:日本が国ごと召喚 ◆mGG62PYCNk
09/06/08 21:49:32 LdjNi4hd
「どうしたもこうしたも……首相、推定ですが、彼らの人口の9割は農民、農民で構成されています。
また農民のうち8割はまるで購買力のない農奴です。
彼らが食料の輸出に二つ返事で応えた理由がわかりましたよ。余裕があるんです、十分すぎるほど!
通貨にも余り価値がありません。彼らは農業経済主義をとってます。何せ鉄貨です。貨幣そのものにすら価値がない
彼らはトウモロコシとジャガイモと小麦を基本とした段階から脱却していません。取引は困難です」
聞いていて吉田は目が眩む思いだった。
「馬鹿な、では取引相手になるのは残りの一割だけなのか?」
「然様です。しかも都市生活者でも十分な購買力のある人間はごく一部です。
商人達は国家によって富の再投資を制限されており、狭い都市から出ることができず、
経済の発展は抑制されています。
廉価で大量に販売できる商品に関しては制限が加えられています。
この世界の富と権力は人口の1パーセントにも満たない貴族に完全に握られており、
我々は彼らへの高級嗜好品ぐらいしか、売れるものがないでしょう」
視界が、歪んだ。
「首相!?」
大臣が倒れる吉田を助け起そうとする。だが遅い。吉田は椅子から落ち、床に倒れ伏す。
「これが、絶対主義か……」
わかっていたつもりだが、甘かった。
一握りの貴族に全てが握られた社会で、有効需要は見込めない。
貴族がどれだけ金を持っていようと、彼らは少数であり、買うものの数も種類も限られている。
そもそも貨幣経済がどれほど浸透しているかすら怪しい。
これでは市場の形成など、夢のまた夢だ。
(それに、食料だ)
今のところは技術供与を種に食料を引き出しているが、いずれそれも尽きる。
教える種には困らないはずだが、多くの技術は向こうが欲さない可能性が高い。
その時に売るものがない日本はどうやって食糧を買い付ければいいのだ。通貨に兌換性もないのに。
赤字貿易どころではない。取引が成立しない。
(田中の言うとおりに……自衛隊を活用しろというのか)
田中は、圧倒的な攻撃力を誇る自衛隊を傭兵として有効活用するよう提言していた。
『大陸諸国は安定した状態とはいえ、歴史を見ればしばしば戦争を繰り返しています。
こういったところに自衛隊を派遣して平和維持に貢献し、土地を購いましょう。
土地でなくてもいい。金でも食料でもいいでしょう。
昔のスイス傭兵の手法ですな』
その場で怒鳴りつけてやった。あの時は激情を抑えられなかった。
田中は冷徹すぎる。自衛隊を生きた人間の集団ではなく、駒と見ている。
そんな人間が政治家をやっている不快感に吉田は耐えられなかったのだ。
だが、平和的に日本を救う道は閉ざされつつあるように見えた。
(戦争か……? いや、冗談ではない)
まだ手はある。あるはずだ。そんなことを考えながら吉田は医務室へ担ぎ込まれていった。
305:日本が国ごと召喚 ◆mGG62PYCNk
09/06/08 21:50:52 LdjNi4hd
「予算不足のため、当楽団は本日を以って解散することと相成ります。今までご愛顧ありがとうございました。
今日が我々のラストコンサート、そして次の曲が最後の曲となります。
心を込めて演奏いたしますので、どうぞお聞きください。
それでは、ロッシーニ『泥棒かささぎ』より序曲です」
東京フィルハーモニー管弦楽団主席指揮者の言葉。異世界でのラストコンサートに際して。
日本が転移して三ヶ月が過ぎていた。寒い。季節はもう真冬だ。
日本の冬より遥かに寒いこの季節だが、日本人は変わらぬ日常を送っていた。
そしてこの日、ロゼッタがついに本国へ帰る事になり、青谷は見送りのために港まで来ていた。
「出発までは、まだ少しある」
ロゼッタが僅かに寂しさの残る表情で言う。
「共に歩かないか?最後の日本見物だ」
青谷に否のあるはずがない。『姫様の仰せのままに』とおどけて言うと、馬鹿め、本物の姫だぞと笑われた。
厳しい寒さだというのに、街はイルミネーションで飾られ、商店は安売りで客の目を引いている。
「大した騒ぎだ。何か特別な日なのか?」
「いえ、特には。ここのところは連日こうですね、気付きませんでしたか?」
「いつも人が多いからな、東京は。わたしには四六時中祭りをやってるように見える。
今日で見納めと思えば、急に冷静になって物が見えるのだ。しかし何でこんなに騒いでいる?」
「わかりません。或いは寒くなったからクリスマスとでも思っているのやも」
「クリスマス?」
「寒いときのお祭りですよ」
冗談を言いながらも、ここのところの妙な騒ぎを青谷もなんとなく不思議に思っていた。
青谷自身、いまのうちに騒げるだけ騒ぎ、楽しむだけ楽しんでいたほうがいいような、
そんな気がしてならないのだ。恐らく周囲の人たちもそうなのではないか?
行き交う人たちの笑顔はかげりがないように見えて、どこか引きつっている。そして青谷自身の表情も。
(おかしな話だ。全て、上手く行っているのに)
大丈夫、全て上手く行っている。不安もあるが、政府がきっと何とかしてくれる。
そう自分に言い聞かせていると、怪訝な顔のロゼッタに気付いた。
「ご無礼、姫君の前で」
「いやいい。しかし歩くだけというのも芸がないな。
ん、なんだあの音は」
ロゼッタが街の一角に視線を移す、見れば、この寒い中でオーケストラが音合わせをしていた。
「東京フィルですね。無料コンサートのようです。寄って行きますか?」
ロゼッタは一も二もなく頷いた。
306:日本が国ごと召喚 ◆mGG62PYCNk
09/06/08 21:51:42 LdjNi4hd
首相官邸に吉田は一人、佇んでいた。
先ほど経済産業大臣が悲観の余りに首を括ったという知らせが届いたばかりだ。
市場開放、せめて一部の制限の撤廃を強く求めたものの、ついに容れられなかったのだ。
『それは、わが国の支配体制を揺るがす恐れがある。それだけは断じて受け入れるわけにはいかない』
というのが向こうの言い分だった。自由化に伴う競争による商工業者の発展に王侯達は酷く臆病だ。
また、廉価で優秀な日本製品の流入による既得権益の破壊を恐れた商人たちも猛反発したらしい。
八方塞がりとはこの事か。日本には売るものがない。あっても、売れない。共通の価値がある金銀で凌いでも、
いつか限界が来る。
ひとりにしてくれ、と言い残して官邸でテレビを眺める。ニュースでは今日も企業が倒産し、
自殺者と失業者が出たことを報じていた。いたたまれずチャンネルを変えると、野外コンサートの模様が映った。
『泥棒かささぎ』序曲。
小太鼓の連打が響き渡る。主人公のニネッタが死刑台に上るフレーズだ。
ニネッタはこの後、突如現れた召使によって無実を証明されてハッピーエンドとなる。
「……ごふっ」
吐血する。急いで吉田は洗面所に走った。このところ酷く体調が悪い。
眠れない日が続いているのだ。鏡に映る自分の顔は青ざめていた。
(人口を抑制し、自己完結的な国家に改造できるか。
無理だ。今更農業主体の国家体制に切り替えろなどと、
それぐらいなら)
戦争か。
頼まれもしないのに民主主義を輸出して強制的に農奴を解放させ、廉価な製品で大陸を席巻するか。
そのために戦争をするのか。
(いやだ)
そもそも、無理だ。戦争をやっても勝てる保証もない。
そんな戦争に日本を突入させた宰相として歴史に名を残したくない。
(もう手はないのか、何か妙手があるはずだ、何か)
だが何も思いつかない。またしても吉田は吐血する。もう立つことができない。
『泥棒かささぎ』が鳴り響く。吉田は最後まで聞くことなく逝った。
307:日本が国ごと召喚 ◆mGG62PYCNk
09/06/08 21:52:49 LdjNi4hd
ユグドラ帝国皇帝領、サントラルは歴史ある都である。
ここは一千年の長きに渡って帝国の都として栄えており、その人口は20万を超える。
古き都は500年間ほとんど何の変化もしていない。
人口も、町並みも、システムも500年前とほぼ変わることなく今日まで続き、今日も明日も変化を拒んで
続いていく。サントラルは静止した大陸の縮図だった。
その生ける化石の如き都の中心、天を衝く高さの尖塔の中で、華やかな楽の音が鳴り響いている。
「それは?」
「ラジオというものだ。日本人から買い求めた嗜好品だ。
こうも小さいのに遥か彼方からの放送を受信できる。恐ろしいものだな。
我が方は伝書鳩か伝令だが、彼らは瞬時に通信できるというわけだ」
『泥棒かささぎ』が鳴り響く。ルクツァとアンシャムは暫く黙ってそれを聞いていた。
「よい曲ですね」
「ああ、よい曲だ。だが民族の代表者としてはこれから先、耳を傾けるわけにもいかん」
(民族の代表者か)
アンシャムは不満げに目をそらす。
(我々はひょっとして、取り返しのつかないことをしているのではないか)
このひと月で大陸中に大量のパンフレットや冊子がばら撒かれている。
そのうちの幾つかはアンシャムとルクツァが関与してばら撒いたものだが、
その多くは自発的に学生や貴族らが著し、ばら撒いたものだ。
いずれも大陸の共通文化を称揚し、誇張された歴史と神話に基づいて大陸人の優位を訴えたものだ。
最近は血統的な優越にまで話が及んでいるという。早くも事態はコントロール不能になりつつあるが、
ルクツァは気にせずもっと燃えろと言わんばかりに御用学者を動員し、各種冊子をばら撒く。
「無論、余とて自分が何をしているかはわかっている。これは伝統の破壊だ。
たとえ全てが成功したとしても、昨日までの我々ではいられまい。
全ては、勝つためだ」
「本当に戦争になるのですか?」
「その時に備えるのが我々の務めだろう。起こらぬに越したことはないが、
もし起こった場合はなるべく勝ちたい。
アンシャム、民主主義は大衆にとって王政よりも魅力的だよ。
従来の体制を敷く限り、我々は戦う前から負けている。
だからこそわたしは敢えて現体制を放棄する危険性を承知した上で、歴史と神話を捏造し、
下品なパンフレットをばら撒いたのだ」
ルクツァはそこまで語るとラジオを切り、立ち上がる。
「まだ曲の途中ですが」
「ふむ、民族的な音楽の創造も急がせねばな。これは兵器局に回すとしよう。
もっとも理解が及ぶとも思えないが」
扉を開くと、そこには彼の命令を待つ官僚たちが列を作っていた。
「民主主義に勝てるのは、民族主義だけだ」
308:日本が国ごと召喚 ◆mGG62PYCNk
09/06/08 21:54:17 LdjNi4hd
「『泥棒かささぎ』か。陽気な曲だな」
「そうか? 私にはなんだか不安な曲に聞こえるぞ」
そう言われてみれば、と青谷は思う。確かに華やかで陽気な曲だが、どこか影のように後ろから
迫ってくるものを思い起こさせる曲ではないだろうか。
華やか過ぎる曲は、おどろおどろしい曲より余程不気味に聞こえるのかもしれない。
瞬間、視界の全てが色あせ、無価値なものへと変貌するような錯覚を青谷は覚える。
驚いて目を擦ると、全ては元通りになっていた。
「……いや、違う」
「おお、雪か! 雪が降って来たぞ、青谷!」
灰色の空から雪が降る。明日になれば積もっていることだろう。
ロゼッタは青谷の手を取ると、広場に駆け出す。
「どことなく不気味な曲だが、舞踊曲と思えば中々だ!
踊るぞ、青谷!」
「心得はありませんよ、お姫様」
「それでも海軍士官か、情けない。
まぁいい。今日で最後だ。わたしと踊る光栄を授けてやるぞ!」
泥棒かささぎがクライマックスに向かう。二人は雪の降る中を半ば出鱈目に踊る。
次に会えるのはいつの日か。そのときには大陸との間には更に緊密な関係が築かれているだろう。
そんなことを考えながら、青谷とロゼッタは曲が終わるまで踊っていた。
309:日本が国ごと召喚 ◆mGG62PYCNk
09/06/08 21:58:17 LdjNi4hd
以上で本日の投下を終了します。
事実上の第一部、完です。
ここまで書いたからにはちょっとぐらい不評でも最後まで書きたいところですね。
あんまり不評なら男坂を登りますが。
それと、毎日投稿も暫く打ち切りになるやもしれません。
期待してくださっている(いるのか?)読者の方々にはご迷惑をおかけしますが、
構想期間だと思って、生暖かく見守ってください。
そして今気付いたけど纏められてる!他の方の作品と並べられると
急に偉くなった気がしますね!(傲慢)
まとめてくださって感謝します。それでは続きをお楽しみにー……されてるのかな?
310:創る名無しに見る名無し
09/06/08 22:13:58 YMbJhW+j
>>急に偉くなった気がしますね!(傲慢)
謙遜なさらず、アナタは充分偉い人です。
流石に野党(好戦派)の考え方は受け入れられないです。
それこそ野党が主張してきた「先の大戦」への逆戻りです。
一層の事 国号を大日本連邦皇国にして一部地域(無宗主)を大日本協栄圏にするとか?
311:創る名無しに見る名無し
09/06/08 22:14:39 lAJdTqmx
投下乙
しかしただ転移して外交が0からのスタートになっただけでも
貿易立国の日本じゃ壊滅的だというに
気候の変動でただでさえ残り少ない農業が壊滅とは作者殿は鬼だなwww
312:創る名無しに見る名無し
09/06/08 22:27:28 Bkd5sg2p
投下乙
なんか朝鮮みたいな国になりそうだなw
貿易がまともに成り立たないのは、まあ経済基盤が違いすぎるから仕方ないかもね
でもまあ物を売るんでなく、土木作業を引き受けるとか色々あると思うけどね
川の堤防だとか橋だとか、下水道だとか。
あとは加工業を一括して引き受けるとか。中世だと農機具、鍬だとか鎌でさえ木製とか普通にあるし
対価として土地と幾つかの利権を手に入れて、工場でも作って現地で人を雇いつつ、商業を発展させるとかかな?
313:創る名無しに見る名無し
09/06/08 22:28:27 2/M7f17m
問題はそこまで国民が待てるかだな。
314:とあるドワーフの日記 ◆8b20lCD.o.
09/06/08 22:42:42 umDWDU2H
('A`) ベルサイユ体制は歴史的偉業ではない
もっとおぞましい何かだ
315:とあるドワーフの日記 ◆8b20lCD.o.
09/06/08 22:43:47 umDWDU2H
△月ж日
大まかな構造は理解したので、しぐの模造品を創る。
設計以前にいきなり躓いた。“銃”を使うには弾丸が必要である。
銃とは秘薬を衝撃で発破させ吹き飛ばしたものを破片を飛ばす兵器である。
製作にあたって、魔方陣による魔力回路や伝導効率の良い素材の選定などを考えなくていい。
要は秘薬さえあれば我々でも同じものを造れる可能性が高い。
しかし、秘薬は我々には造れない。無論エルフにもだ。
ニホンの学者に聞いてもニヤニヤして答えてくれない。
予め技術を見せつけ、小出しにしようとの魂胆なのだろう。
ドワーフたるもの 部品を見れば
その機械がどのように造られたか おおよその察しはつく
ましてこれは武器・・・
だが部品を削っている者 整えている者の姿が全く見えん
(出来ておる喃 しぐとやらは・・・)
そのため我々は二つの決断に迫られた。
一つは武器と弾をニホンから直接輸入する。
一つは独自開発である。
ちなみに買わぬ選択はありえない。
銃は画期的な武器で“訓練も積んでいない”“女子供に”“魔道師並の火力”を“手軽に”持たせられる。
近年バッサンからの圧力が強まり、呼応してライバーからの圧力も強まってきた。
間にあるエルブとしては力、軍事力を持ちたい。
素早く確実に数に出来る戦力が欲しい。
平和こそ我々ドワーフ、エルフや国内に住む多種族も含めた悲願であろう。
316:とあるドワーフの日記 ◆8b20lCD.o.
09/06/08 22:44:33 umDWDU2H
バッサンからの独立戦争以降、エルブは戦力の強化に努めてきた。
だが満足な軍備を整えるのは並大抵の苦労ではなく、
ライバーとバッサンからの政治干渉や物資統制を受けて戦力強化もままならない。
戦力の中核たる魔道師の入国数や訓練すら規制され、対魔物の戦力すら不安である。
両大国はエルブの独立も軍事力強化も望んでいない。
現在の平和は剣の上でシーソーをしているのと同じで、
簡単に崩れ去ってしまうとエルブ国民は理解している。
エルブ王国。海に面し、大国ライバーとバッサンを繋ぐ交通の要衝。
人口は100万人を超える大陸有数の大都市。
黒エルフが金を産み出し、ドワーフ族の住む金融と工業が発達した地域でもある。
近隣の海域には群島や主要な海路があり軍事的な意味も大きい。
緩衝国としての役割もある。エルブが力を持つと両国も同様に力を付けなくてはいけない。
軍備拡張で財政が厳しいライバー連合にとって頭の痛い話となるだろう。
押さえただけで十分な見返りがある場所。
無視できるほど小さな国ではなく、かといって緩衝国なので軍も送れない。
結果、両国の代理戦争の場となり国は荒廃した。
各国の工作員が入り乱れての暗闘。
大国の傀儡執政官達の着任。
両国に武器を給与された組織の内戦。国粋派の成立。
ルーデル教使節団の魔道力兵器査察と不法所持の濡れ衣。
英雄、デ・キッコ・ナイサの反乱、バッサン軍の再侵攻。
追放されていた赤井・マル・ポーロの帰還と反抗作戦。再度の独立。
平和から遠い国。それがエルブである。
317:創る名無しに見る名無し
09/06/08 22:44:42 k25GDBeX
そこで征服戦争ですよ!
いつの日も国内の不満を逸らすのは軍事手段!
目指すは大東亜共栄圏の確立!
となると脅して市場開かせるのが一番速いな。
軍事的圧力を適当な国にかけて経済植民地化が一番速かったり。
318:とあるドワーフの日記 ◆8b20lCD.o.
09/06/08 22:45:19 umDWDU2H
◎月Θ日
最終的にニホンから独占で銃を購入し、技術指導を受けつつ量産体制を整え、
独自開発を平行に進めていくことになった。
銃の製作は現在の我々の技術では生産するのは無理だからだ。
ゴラムが「くやしぃ…でも…」
と部屋の隅で背中を丸めて指をちゅぱちゅぱしていた。
独身の内弟子であるゴラムが時折このような妄想にふけるのを
見て見ぬふりをする情けが私たちにも存在した。
予定されていた案の両方を採用した結果。
食料輸出や鉱石輸出は既に行い、見返りの技術も相応する適当な交換がなかったため
国際関係に信用のないニホンに対する他国への仲介。口利きを図ったと黒エルフが話していた。
土地譲渡、食料市場の二級品優先販売権、大規模な資源輸出、他国との仲介、
魔法技術支援、魔法軍事技術指導、対魔法犯罪の指導・・・・などなど。
現時点で我々はかなりの譲歩を迫られ、議会では危ぶむ声もある。
とはいえニホンとに支払った代償は、見返りを十分に満たすのも真実である。
悲願であった精強な自衛力の確保。
海上貿易路の保護と魔物の排除。
バッサン、ライバーを除く強力な第三国との防衛協定。
世界魔法条約に抵触しない兵器の入手と量産
(銃は魔法を使わない兵器である、魔道師を増やさない条件も満たす)
農業、工業、衛生面に渡る技術支援。
高品質の金属。周辺国を圧倒する量と品質の塩。
そして・・・
“世界魔法条約を今だ批准していない強力な国家との技術協力”。
これがとても大きい。銃の利益や技術力、工業生産力も並外れた利益である。
それより、パルクール体制の抜け穴を突ける協力的な大国があるのが素晴らしい。
世界魔法条約とは大量破壊魔法兵器の所持を禁止する条約で、
ゾンビや超長距離儀式魔法、B級以上のキメラ製造等を監視するものだ。
大量破壊魔法兵器を持っている大国以外の所持を禁止する不平等条約だ。
加えて査察の際、大量破壊兵器を持っていないことを証明するため、
軍の構成や魔道師数、武器の数や種類を完全に公開しなければならない。
武器の数や種類を把握されるのは大国の操り人形になるのと同意である。