09/06/02 23:26:20 6qB1NhIS
他所の戦記ssの感想は下記スレでどうぞ
【架空戦記】ネット仮想戦記を語ろう2【火葬戦記】
スレリンク(army板)l50
123:創る名無しに見る名無し
09/06/03 00:05:26 TodGRKYj
通常の仮想戦記の分類じゃないし、何より「他所の戦記SSの感想を書いてはいけない」なんてテンプレには無いわけだが
124:創る名無しに見る名無し
09/06/03 00:38:33 coofdgst
>通常の仮想戦記の分類じゃないし
かと言ってスレの主旨に合っているわけでもあるまい
>>122のスレでは全然気にしていないようだし。
>テンプレには無いわけだが
テンプレに載せるまでも無いことじゃねえの?
ss投下スレで、投下されている話を差し置いてスレチの他所の小説話でスレを埋めていく方がはおかしい話じゃない?
なんならテンプレ追加すれば?
125:創る名無しに見る名無し
09/06/03 00:59:54 CzirLoLA
>>116
作者が深く考えてないだけでしょ。
詳しくは覚えてないけど、ありえない速度でミサイルが飛んでたりもした気がするし。
126:創る名無しに見る名無し
09/06/03 00:59:54 TodGRKYj
勝手な想像で載せるまでも無いとか言われてもな
第一、SS投下の間に雑談でもしてないと過疎って、作者まで居なくなるぞ?
そうやって自治厨が滅ぼしたスレ幾つあるよ
127:創る名無しに見る名無し
09/06/03 01:12:18 a7egT7P4
>>126
>勝手な想像で載せるまでも無いとか言われてもな
スレチな話は適当なスレに移動してください、なんてどこもそうじゃん
>第一、SS投下の間に雑談でもしてないと過疎って、作者まで居なくなるぞ?
つまり雑談ならどんな話題でのおkなのかい?
今日の晩御飯からOMGの講釈までさ。
128:創る名無しに見る名無し
09/06/03 01:37:53 VRbu6qhc
629 名前: [´・ω・`] softbank218142232090.bbtec.net[sage] 投稿日:2009/06/03(水) 01:10:10 ID:S+t/6MEP
連続になりますが、よろしくお願いします
【*板名】創作発表
【*スレ名】自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた 第65章
【*スレのURL】スレリンク(mitemite板)l50
【名前欄】
【メール欄】 sage
【*本文】
>>126
>勝手な想像で載せるまでも無いとか言われてもな
スレチな話は適当なスレに移動してください、なんてどこもそうじゃん
>第一、SS投下の間に雑談でもしてないと過疎って、作者まで居なくなるぞ?
つまり雑談ならどんな話題でのおkなのかい?
今日の晩御飯からOMGの講釈までさ。
129:創る名無しに見る名無し
09/06/03 01:38:43 5enLRoWd
>>127
他所の戦記=スレチでもないだろ
それを晩御飯と同列に語るほうがおかしいんじゃね?
それにこのTIWは軍板の頃からたびたび話題に出てるじゃん
130:創る名無しに見る名無し
09/06/03 01:47:51 SCylNxrQ
だからこのスレに関係のない他所様のサイトの作品まで持ってきて紹介以上のことをするな、と。
いつからここはネヲチとか批評スレの類になったんだよ。
131:創る名無しに見る名無し
09/06/03 01:52:55 DukoPFD8
>作者まで居なくなるぞ?
それを言うなら、折角作品を投稿しても二、三回くらい乙って返ってくるだけで
後は他所の話で盛り上がっている方がよっぽど作者のモチベーションに悪いと思うが
>>129
>他所の戦記=スレチでもないだろ
少なくともスレの主旨とは違うでしょうに。ファンタジーでもなんでもないじゃん。
それに>>130の言うようにネットウォッチスレでも批評スレでもないんだから。
>それにこのTIWは軍板の頃からたびたび話題に出てるじゃん
分家で話題になって、管理人から「他所でやれ!」と一喝されてたね
じゃあ、俺は寝るんでオヤスミ
132:創る名無しに見る名無し
09/06/03 01:59:00 WX7snMO0
自治厨乙
133:創る名無しに見る名無し
09/06/03 02:08:19 5enLRoWd
>>131
ここ本家
分家でそこの管理人が怒ってたからって何なんだよw
134:創る名無しに見る名無し
09/06/03 04:41:10 TodGRKYj
もし、ひろゆきが言うなら従うがなぁw
大体SS投稿が本来のスレの目的とか言いつつ、どこにもそんな事書かれていなわ
それ指摘されるとjkとか言い出すわ
反論にはぶっ飛んだ極論を飛ばすだけ
ひたすら根拠レスの自説を強弁するだけ
言いたくないが、自治厨その物だぞ
135:創る名無しに見る名無し
09/06/03 07:14:22 DdpzlE61
2ch規約と運用は昔とくらべると容赦、ためらいがなくなってるからなー
ほどほどにな
136:創る名無しに見る名無し
09/06/03 09:34:34 39bnCOHk
アルカディアや本人のブログにコメすりゃいいのに、更新がある度にわざわざ出張ってきて感想書いてる奴がうざい。
引き合いに出して貶める奴もいたが、どうせ同一人物だろうよ。
137:創る名無しに見る名無し
09/06/03 10:29:22 YJrvdKTW
おいおいなんか荒れてきたな
そんなんだから住民や作者がいなくなるんだぞ
138:創る名無しに見る名無し
09/06/03 13:20:58 jBZL2iPa
粂八さんの「フソウ戦記(仮)」や
作者名失念したが「ゲートアウト」の続きが読みてー
139:創る名無しに見る名無し
09/06/03 16:04:11 TodGRKYj
>>136
俺にとってはお前がウザイわ
スルーすりゃ良いものを煽ってスレ荒らすなカス
・・・と思われてる事もあるんだぜ?
140:創る名無しに見る名無し
09/06/03 16:47:42 DcQNlIJc
スレチな話は他所でやれ、って言うだけで自治厨呼ばわりですか
書いてないから何でもアリだ、の方がよっぽど強弁だと思いますがね
>>133
その通り、分家の話は関係ないね。
だから分家でTIWが話題になったからと言って本スレには関係無い。分家でも「トラブルの原因になる」と窘められたが
軍板時代に本スレでTIWの考察やら批評やらでスレを長々と消費した事なんてあるかい?俺には記憶にないね。
紹介で名前が出たことくらいはあるだろうけどさ。ファンタジーじゃないと一蹴されたよ?
そもそもTIWに限らず軍板時代に本スレが他所のssの批評スレに成ってた事なんてあったかね?
俺の記憶には無い。
141:創る名無しに見る名無し
09/06/03 17:04:06 5enLRoWd
>>140
>軍板時代に本スレでTIWの考察やら批評やらでスレを長々と消費した事なんてあるかい?俺には記憶にないね。
俺もないよ、ないからこそ問題にならない。
別に延々何十もレス消費したわけでもない、わずか数レスの雑談まがいの話題に、いちいち噛み付くから自治厨呼ばわりされるだけだろ。
後ファンタジーの定義なんて人それぞれ。
いきなり異世界に飛ばされて、そこで他の飛ばされてきた世界と戦争ってだけで、俺には十分ファンタジーだわw
142:創る名無しに見る名無し
09/06/03 17:32:58 DcQNlIJc
>>141
>俺もないよ、ないからこそ問題にならない
じゃあ、「過去に度々話題になって」って何よ?
>わずか数レスの雑談まがいの話題に
このスレのレスの1割以上がTIWの話題で占められているのだが。わずか数レス?
そりゃ1、2レスくらいなら誰だって受け流すが、更新の度にやられれば嫌がる人だっているだろうに
「他所のss批評は批評スレでやれ」なにか問題あって?
>後ファンタジーの定義なんて人それぞれ。
そうですね。
「頭の中がファンタジーだから」とか「ファンタジーというよりキチガイ」とか
ここでTIWを語ってる連中はファンタジーものとして見てはいないようだけど
143:創る名無しに見る名無し
09/06/03 17:49:15 5RjsJABB
>>140
だから二度と来ないでね
144:創る名無しに見る名無し
09/06/03 18:01:05 TodGRKYj
これだけ周りから叩かれて、それでも自分は正しいと言い張れるのも凄いな
自分の行動自体がスレ違いだと気づいてないのか?
145:創る名無しに見る名無し
09/06/03 18:11:35 5enLRoWd
>>142
>じゃあ、「過去に度々話題になって」って何よ?
読解力がないのかワザとずれた事を言っているのか……
過去度々話題には出てるが、その話がスレの中心になってしまった事はないし、問題も起きていない、って言ってるんだよ。
今回のTIWの話題にしても何もなければこのまま2,3レス付いてまたいつもの流れに戻ってたろうよ。
146:創る名無しに見る名無し
09/06/03 18:38:41 DcQNlIJc
>>145
こっちだって>>122だけで済んだ話なんだがね
いちいち噛み付いた?こっちは「そういう話題は他に適当なスレがあるからそちらでどうぞ」って一回言っただけなんだけどね
「特殊な戦記だからここでもいい」とか「ヲチ禁止とは書いてない」とか誰かさんが強弁して噛み付いてきたからこの様だけど
147:創る名無しに見る名無し
09/06/03 18:39:47 PlYpRngx
お前らホントに付き合いがいいな。
だけど、態々ここで空気読んでない自治厨気取りに釣られて無駄レス重ねることもねーだろ。
148:創る名無しに見る名無し
09/06/03 18:47:52 WX7snMO0
はあ~
まだやってたのか。もういいよ。スレの空気読まない自治厨の相手は。
149:創る名無しに見る名無し
09/06/03 19:13:32 jBZL2iPa
>>147
>>148
おまいらも給油活動は自重汁w
150:小官 ◆qG4oodN0QY
09/06/03 19:41:41 oKj/fgqn
お、古参の振りして語る馬鹿な子はどいつだ? 説教ならかますぞ?
設定語りで惑星の軌道やらを語ってた子に注意したら噛み付かれたりもした小官だ。
軍事は全てを内包するが、面白いと思う人間だけが特定の話題を繰り返すのは迷惑そのもの。
まるっきり、オタクの感性しか持たんコミュニケーション不全の、社会的死人だろう。
そんなちっこい、ジャンル外の馬の骨なSSなんぞ語られても迷惑なだけとワカラン子は放って置くが吉。
と、狂犬ぶりの健在をアッピールする。
151:創る名無しに見る名無し
09/06/03 19:54:22 XqTstbuK
まぁまぁ仲良くやろうぜ
152:小官 ◆qG4oodN0QY
09/06/03 20:02:27 oKj/fgqn
>>151 愉しくやりたいがために軍板から移動したくせに、これではいけないだろうしなぁ。皆、仲良くが一番だ。
次に古参やら昔はとか抜かす奴がいたら、定期巡回を再開して小官が常駐するから覚悟しろ、と言い残して退却。
153:創る名無しに見る名無し
09/06/03 22:54:38 XLW6zwrs
俺は一切の噛みあいを見ず投下を待ち望む。
あとダークエルフ。
154:創る名無しに見る名無し
09/06/03 23:53:20 39bnCOHk
小官や愚者が名無しで張りこんでんのかと思うと、なんか面白い。
155:創る名無しに見る名無し
09/06/04 00:42:52 nXTIMzl3
小国の苦悩 第三話
騎士団長ピエール男爵は、立ち止まり、廊下の窓から中庭で訓練中の騎士団を難しい顔で見つめていた。
「どうされました騎士団長?」
騎士長の一人が話しかけてくる。
「・・・帝國軍を現有の戦力では抑えきれん」
「・・・戦争になるのですか?」
騎士長の眉が歪む。
「わからん」
男爵は頭を振った。
周辺諸国の戦力を結集し、帝國軍を迎え撃つと言う案はかなり前からあった。
しかし周辺諸国同士の関係は非常に悪く話は全く進展していなかった。
「城の防衛力が決定的に不足しておる」
男爵は廊下を歩き始めた。
「先日の王城防衛用バリスタ調達は予算が結局付かなかった」
財務担当のロエニー男爵は城の防衛強化の予算を全て拒否した。
「この城では篭城してもたかが知れてる」
小国であるゴンザレス王国の王城は立派な砦レベルのものであった。
「しかもチハ騎兵は一撃で城を粉砕するらしい」
帝國による攻城戦の様子を激しく語った商人の姿を思い出した。
「チハ騎兵は列強の騎士団すら手におえないとか・・・」
副騎士団長のシュマイザー子爵が鎮痛な面持ちで呟く様に言った。
「チハと言う連中が使ってるのはどの様な馬なのでしょう」
「一部隊で三国通しを成し遂げた程だ。ドラゴンかも知れんな」
「本物の竜騎士か・・・」
帝國軍は機甲戦術により各国を短時間で次々に攻略して行く様子は、「草」だけではなく商人や旅人などを通じて大陸中に伝えられた。
中でも中原の軍事国家三国を三日で全て降伏に追い込んだ『三国通し』は各国を振るえ上がらせていた。
「・・・何とかしなくてはなるまいっ」
男爵は御前会議の扉を押し開けた。
「・・・・いっその事、帝國に降伏申し込もうか? 楽だし」
国王ゴンザレス5世がボソっと言った一言に全員が固まる。
「それでは110年の歴史を誇るわが国の誇りはどうなるのですか!」
「大体国王陛下は主君としての誇りがかけている!」
「やはり甥のトンザレス公爵を国王にしたほうが良かったのでは?」
「だが、このままでは外交的に遅れをとることに・・・」
「誇りを失って何が貴族か!」
「現実を無視しては・・・」
議場は大騒ぎになる。
そして男爵は扉を押し開けたまま固まっていた。
「騎士団長? 大丈夫ですか?」
156:創る名無しに見る名無し
09/06/04 00:43:38 nXTIMzl3
スレの不陰気を払う為、ギャグ短編なら俺でも書けるとド素人三度参上!
157:創る名無しに見る名無し
09/06/04 01:35:22 0uBnI2XU
超超乙!
俺こういう短編シリーズけっこうすきだな
158:創る名無しに見る名無し
09/06/04 01:43:19 vX/rt5p2
>>「それでは110年の歴史を誇るわが国の誇りはどうなるのですか!」
そういやヨーロッパの王国なんて興こっては亡くなってばかりで、本当に長い伝統のある国
って案外少ないんだよな
日本の歴史教えたら案外簡単に降伏しそうだw
159:創る名無しに見る名無し
09/06/04 06:13:24 /5tiVL70
>>156
何処の低脳がケチつけてるかと思ったらご本人様でしたwww
サーセンwww
殺伐としたスレに救世主が…なノリで今後ともお願いします。
160:とあるドワーフの日記 ◆8b20lCD.o.
09/06/04 18:39:41 UMBJhZaK
('A`) リハビリト イキヌキニ テキトウニ ハナシカイテミルネ
◆im0Hwg82eM サン タナカサン ダシテクレテタネ ウレシイネー
小国サンモ オツネー
161:とあるドワーフの日記 ◆8b20lCD.o.
09/06/04 18:40:44 UMBJhZaK
魔力を使わず非常に大きな破壊力を出せるのも“しぐ”の利点で、
場合によっては国家魔導師が使うファイヤボールを凌ぐ殺傷能力を発揮する。
連射速度は魔法を使うよりずっと速いし、まがじんやだんそうと呼ばれる
特殊な構造によって弾が尽きた後の交換も楽だ。
破壊力も申し分ない。騎士の鎧を正面から貫通できる性能を有している。
問題は破壊できる面積が指先一つの穴だけで非常に少ない点だが、これも問題ないと私は思っている。
相手を殺すのに全身を大火傷させる必要も、氷の槍で貫く必要もない。
必要なのはただ一点、急所を破壊するだけで足りる。
郡体であるスライムやブロブ、ミストやヒトクイソウなどに効果は少ないだろうが、
ゴブリンやジャイアントなど魔物の大半に対して威力は大いにある。
この武器の利点は非常に破壊力の大きい武器であるにも関わらず誰でも使えるのだ。
通常、共通魔法であるファイヤボールを満足に使えるようになるには3年の月日が必要である。
戦闘で使えるようになるには5年だ。ちなみにこれは魔道の素質がある者に限った話で、
魔法が使える者は100人に1人もいない。
最も数の多い人間族でもそうであるのだから他の種族も推して知るべしである。
唯一エルフだけは例外であるが、全体として魔法を使えるものは殆どいないだろう。
全く無力な魔法が使えない種族や訓練をせずとも女子供でも、しぐがあれば狼や魔物に対抗できる。
夜に城門を閉めずともいいし、旅商人は安全を約束される。
バッサンから独立したてで軍事力を必要としていて、貿易が主たる我がエルブ国にとって価値は計り知れない。
今はニホン国のジェダイが軍事面で我々の後ろ盾に立ってくれていてくれるが、
いつ手のひらを返すとも知れず、全くの異世界人相手では気も抜けない。独立した力が欲しい。
近年では国境沿いのバッサン帝国軍とライバー連合の動きが活発化しつつあり早急な強化が必要であった。
黒エルフ達がニホンの魔法杖を欲しがったのも理解できる。
エルブ国はニホンからの“銃”研究にかなりの金を使うようだ。
銃研究の代償として東に広がる腐臭漂う呪われた土地を売り、その土地の川沿いに街を造るのを許可した。
銃の独占研究と購入権を得て、魔法研究の協力を申し出たのだ。
たった一種の魔法杖の製造法と広大な土地の交換、本来ならありえない選択である。
だが渡すのは“呪われた”水が黒く汚染され、沼地だらけの草木も育たない腐臭漂う不毛の大地。
しかもバッサンとの国境沿いである。くれてやるのは要らない土地。
国際情勢が微妙なこの時期にあわよくばニホン国を防波堤にしようと考えているのだろう。
魔法研究についてもエルブには大した魔法技術はない、民間で使われる程度の技術と
極めて使用困難なエルフ達の精霊魔法しかない。
前者は幾らでも手に入るもので渡しても問題はない。後者は基本的に黒エルフ達しか使えないものである。
エルフの精霊魔法を解読させられるニホン国の技術者に同情する。
黒エルフの考えはいつもながら黒い。
162:とあるドワーフの日記 ◆8b20lCD.o.
09/06/04 18:41:31 UMBJhZaK
△月△日
精霊魔法(彼女達曰く、精霊とは異なるものだが通称として呼ぶ)は解読困難だ。
『「ミボルを」「エフィドで」「ポズデクする」』などエルフ独自の専門用語が多い。
しかも翻訳出来たところでメイジ魔法(人間達の使う魔法)とは違い、使えるまでに苦労するのは間違いない。
メイジ魔法は順序だてて魔術を行使するのに対し、精霊魔法は過程を飛ばして結果が来る。
例えば魔法で火を出すとする。
メイジ魔法なら万物の根源はマナであると定義していて、マナが震えることで熱さが出ると考えている。
火を出すには一定周期のマナを震わせる必要であったり、一定の濃さが必須であったりして
様々な条件が必要だ。しかし最終的にはマナを震わせる条件に行き着く。
精霊魔法はメイジ魔法と根本が違うとされている。
条件が極めてあいまいだ。精霊魔法は歌で世界を直接書き換える。
翻訳できても使用するのは不可能だと考えられている理由の一つだ。
条件は使い手の言葉に左右され、火を出す際にホムラや炎、火炎、焔、などの言葉を詩に組み入れ
歌い終わると指定した場所に火が付く。もちろん指定する箇所も歌詞に組み入れなければならない。
鍵となる言葉の定義は極めてあいまいで、全て結果は同じである。
更に違う人物が同じ歌を歌っても違う結果になる場合も多く、結果は必ずしも一定しない。
精霊魔法には魔力や力の条件や制約といったものは個人によるものと考えられていて、
マナに代わる表現がない。力の根源が何か使っている彼女ら自身も把握していないのだろう。
一部の歌詞は伝わっているものを使っているらしいが殆どが即興だ。
前に黒エルフにどうして魔法を使えるのかと聞いたら「頭の中に聞こえてきた詩を歌った」と話した。
何処から歌詞が出るのか、どうして紡がれるのか彼女達も判っていない。
その上、音程や術者の資質、心なども魔法の行使に大きく関わって来るのだ。
ましてや、精霊魔法を他の種族が発音するのは非常に困難だ。
一人で三重奏五重奏できる腕が必要になる。
無論、そんなことが出来る種族はエルフ以外にはいない。
「彼女らの魔法言語はぷろぐらむ的文法でかつ詩的曖昧さを併せ持つ」
まるでヒュムノスだと視察に来たニホン人の偉いさん、田中が嬉しそうに話していた。
彼らの世界にも似た魔法があるのだろうか?
きっとこれだけ素晴らしい魔法の杖を造れるのだからあるのだろうな。
ジェダイの桑井の話では、ニホンは魔法使いに頼らずに暮してゆけるのだという。
ゴーレムより遥かに効率の良いアーティファクトや
魔法を超える魔法を使わない機械がたくさんあるらしい。
海の向こう、まだ見ぬニホンの姿に興味は尽きない。
無理難題を押し付けられたニホン人の健闘を祈る。
163:とあるドワーフの日記 ◆8b20lCD.o.
09/06/04 18:42:19 UMBJhZaK
△月□日
実験用に捕獲しておいたイービルアイを使って、早速日本式魔道杖の威力を見物する機会が来た。
イービルアイは危険な魔物である。
形はだ円状、大きさは馬と同じ位。
体の半分もある巨大な口とドワーフの握り拳程の目が体中に付いた、浮遊する目玉の魔物だ。
前文明、古代王国期に造られた偵察用の魔物で軍事目的に使われていたもので、
現在は野生化し、人々を脅かしている。
成人男性のドワーフほどもある大きさの岩を動かす念力と、牙の生えた巨大な口による噛み付き。
3~5体で群れる習性と体に無数に生えた眼による視覚のなさもあいまって恐ろしい魔物である。
出現の際は街の警備部隊が一丸となって退治に乗り出し、魔道師までが出る。
実験に使うイービルアイは幼生で、大きさはドワーフの子供程度。
事前に餌として馬を与えておいたおかげで動きは活発だ。好ましい。
鎖に繋がれたイービルアイがギーギーと金属をすり合わせた耳に付く声で鳴いている。
「念力対策は大丈夫なのか?この刻印拘束は信頼できるのか」
壁際の出口に立つジェダイ達、その代表である桑井が疑い深そうに聞いてくる。
彼らはしぐの上位に当たる杖を持っており、逃げた際の保険だ。
イービルアイを捕まえたのも彼らジェダイで、150人の兵士が必要なところを僅か30人で鎮圧した。
無敵を誇るジェダイでもイービルアイは恐ろしいようだ。
今回は訓練に来ているらしい。
黒エルフの対魔物戦術を参考に訓練を施したニホン式対魔部隊なのだとか。
「問題ありません。クラス2までの魔道師でも十分な拘束力があります」
「こんな刻印で封じれるなんて信じられん」
ニホンから来た人々は疑い深い。
特に刻印と魔術に関しては誰もが信じられないといった風である。
「我々の間で長く使われてきた術式で効果は実証されています」
「信じるしか……ないか。だが我々でも対策は取らせてもらう」
「どうぞ。お好きなように。では、始めます」
ゆっくりと拘束刻印の光が弱くなり、力を取り戻した5体の幼生イービルアイがふらふらと宙に浮かび上がる。
164:とあるドワーフの日記 ◆8b20lCD.o.
09/06/04 18:43:12 UMBJhZaK
「訓練を開始する、今回の課題は室内における魔物との近接戦闘だ。
的は魔物だ、人間じゃない。遠慮せずに撃て。
内容は事前の打ち合わせどおり、武器弾薬は好きに使っていいと許可が出ている。
あとは適当にやれ。以上」
桑井の声に部下のジェダイ達は整然と動く。
国旗と聖剣、不死鳥とオリーブの葉が合わさった紋章を付けた兵達14名は
箱に似たニホン人風家屋を模した建物の中、イービルアイを殲滅した。
手振りだけで連絡を取り合い、常に視覚を補い合う動きは練度の高さを感じさせる。
素早い動きはまるで噂に聞く西洋のカゲだ。
彼らは僅か開始6分で5体のイービルアイの幼生を屠り、
後に投入された成体を接触後5分で殺してしまったらしい。
らしいというのは人づてに聞いたからである。
少し眼を離している間に戦闘は終わってしまっていた。
馬鹿な、イービルアイは弱い部類に入るが古代王国期の魔物だぞ!?
彼らはどんな魔術を使ったのだろうか。
改めてニホンの技術力に脅威を感じる。
ジェダイは恐ろしい。
遠距離から一撃で倒すことが出来る武器もだが、
戦闘人形のごとく無言で淡々と仕事をこなす姿を見ると寒気がした。
彼らが敵に回らなくて本当に良かった。
165:とあるドワーフの日記 ◆8b20lCD.o.
09/06/04 18:45:28 UMBJhZaK
投下終了
練習に来てるのは特殊作戦郡の方々っぽい
166:とあるドワーフの日記 ◆8b20lCD.o.
09/06/04 18:48:14 UMBJhZaK
>>161
△月◎日
先日、ニホン国より評価試験用に譲り受け、黒エルフを通して
我々ドワーフに貸与された魔法の杖“しぐ・ぴー220”を調べてみる。
“しぐ”とは対人攻撃用に開発された武器で、大きさはジャイアントの握り拳程。
僅か300人でバッサン兵3万名からランゲルハンス島を守りきり、
1万名もの死傷者を出した“異世界の武器”である。
ブーメラン型の金属塊で、片手剣並みに重い。我々が使う魔法の杖とは全く異なる。
発破する秘薬によって押し出された弾が目標を破壊するという非常に単純な原理で出来た物だ。
秘薬の製造法は不明。薬に詳しい黒エルフ達が話すのだからそうなのだろう。
簡単な原理に対して造りは複雑で難解だ。
壊れないよう慎重に解体するだけで一週間も要した。
同僚のゴラムやフロドが無理に部品を外そうとするせいで、5丁の内3丁が壊されてしまった。
残るは見本用に解体せずとってある一丁と、現在私が解体しているものだけである。
最初の取引では設計図が付いてくる予定だったのだが、
ニホンの外交官が最後まで渋ったせいで自力で解体することになった。
技術の不明な点については、三日に一度開かれる技術交流交換会で互いに話し合うことになっている。
螺旋状に曲げられた金属の棒“螺子”を外す際にとても苦労した。
まさか外すのに部品の一部を差し込んで回転させるなんて思ってもみなかった。
ニホン製のアーティファクトの大半には螺子が使われているらしい。
はめ込みと融接以外の新しい接着法である。
自在に取り外せて付けるのも容易、釘と違い再利用も簡単。素晴らしい技術である。
内部構造が判明してからは驚きの連続である。
髪の毛一つの狂いさえない全く同じ形の部品や金属棒の中に刻まれた螺旋状の溝。
どうやって彫りぬいたのか、一つの金属塊で出来ている小さな部品。
我々でも再現は難しいだろう細工の数々。
特に興味を惹いたのは螺旋状に曲げられた“バネ”(と向こうでは呼ぶらしい)だ。
これは力を入れられるともとの形に戻ろうとする部品である。
時計に使われている巻貝型の物とは違い縦長である。
応用すれば現在のバリスタの大きさを半分に縮められる素晴らしいものだった。
167:とあるドワーフの日記 ◆8b20lCD.o.
09/06/04 18:49:12 UMBJhZaK
ジュンバンマチガエタ・・・
168:創る名無しに見る名無し
09/06/04 19:07:10 nXTIMzl3
乙
ところで中世でも板ばねならあるんで内海?
弓もバネの一種だし
169:創る名無しに見る名無し
09/06/04 19:07:13 n3fLGRJE
どんまいw
170:創る名無しに見る名無し
09/06/04 19:19:17 vX/rt5p2
ところで新しいwiki全然編集されねーけど
勝手にやっちまっていいのか?
編集されてからまとめて読もうと思ってたんだが、なかなか編集されないし
171:創る名無しに見る名無し
09/06/04 20:12:51 c/sVzHDQ
投下乙でしたw
物理攻撃の効く相手ならそりゃ特戦の敵じゃあないわなw
問題は効かない相手か・・・
172:創る名無しに見る名無し
09/06/04 20:36:42 ElCCMQCY
>>170
いいんでねーかい?
173:創る名無しに見る名無し
09/06/04 20:53:02 e0npvvFN
>>170
別の板だが職人愚痴スレで作品がまとめwikiに登録されない(´・ω・`)ショボーンってしてた人がいるからやってあげた
174:創る名無しに見る名無し
09/06/04 21:15:54 W+A7ucwW
投下乙です。
>バネ
>バリスタ
F世界版PIAT誕生か?w
175:日本が国ごと召喚
09/06/04 22:27:54 6LGc86To
初心者ですが、投下開始します
176:創る名無しに見る名無し
09/06/04 22:28:45 c/sVzHDQ
ばっち来い!
177:日本が国ごと召喚
09/06/04 22:31:48 6LGc86To
「さて、会議を始めようか」
ファルデア大陸で最大の版図を誇るユグドラ帝国皇帝ルクツァ一世は居並ぶ諸侯を前に静かにそう宣言した。
彼と共にテーブルにつくのはリディア王国国王、ノーザン公、サザーン侯、エステン伯を始めとする
そうそうたる面々、何れも大陸で指折りの貴族である。
円形に配置された巨大なテーブルには、大陸の行方を左右する首脳達が残らず揃っていた。
歴史的に複雑な利害関係によって離合集散を繰り返し、
今でも領地や名誉をめぐって対立中の諸侯が集う理由は、一つしかなかった。
「異邦人『日本』についての会議を」
日本、その言葉がルクツァの口から出ると、諸侯らは例外なく緊張した。一瞬、沈黙が場を支配する。
「幸いな事に彼らは我々と同じ、話せば通じる人間です。
圧倒的な軍事力に物を言わせる気は今のところ、ないと見ました
我々同士の争いに介入する気もまた、ないと思われます」
大陸側の代表として日本と交渉を続けていたアンシャム伯が口火を切った。
彼は大陸で最も弱体な独立諸侯であるが、古代に栄えた大帝国の後継者であり、
そのために貴族たちで何か話し合いをする際には中立性を見込まれて仲立ちに立つのが常であった。
ゆえに今回の騒動でも彼が代表として出向き、この場でも司会をしている。
「彼らも混乱しているようですが、この上は我々と末永い友好関係を築きたいとの言葉に、嘘はないと思います」
その言葉に諸侯は一斉に安堵の息を漏らした。それはルクツァとて同様である。
『日本』に交渉のために行った時の恐怖は今でも忘れない。天を衝く巨大な建築物に、網の目の如く張り巡らされた高架道路、
充実した上下水道に、清潔な町並み、美味い食事。ひとつとて大陸には真似できまい。
そしてそれ以上に驚き、また恐怖したのが、その軍隊である。
鋼鉄の装甲に鎧われた大砲。信じがたい事に自ら人間を越える速度で動くという。
大陸にある如何な攻城砲とてあれを貫徹することは敵わないのではないか?
それが視界いっぱいに広がり、砲を高々と翳す姿にルクツァが腰を抜かさなかったのは、
彼の矜持が並外れていたからに過ぎない。
その脅威が当面振るわれることがないと思えば、安堵も当然だった。
178:日本が国ごと召喚
09/06/04 22:34:33 6LGc86To
「だが彼らの軍事力は圧倒的だ。彼らがその気になれば我々などすぐに踏み潰されよう」
諸侯は一斉に頷いた。彼らの軍隊の最新兵器はここ500年変化していない。
即ち1分に3発撃てれば御の字のマスケットだ。
1分に6000発の弾丸をばら撒く武器を持つという日本軍に勝てるわけがない。
そもそも何故そんな桁外れに強力な兵器が必要なのかすらわからなかった。
「やはり彼らと取引し、技術供与を受けては?」
ノーザン公が発言する。
「互いの技術格差が近くなれば、より正常な外交も望めましょう。
また、彼らもそれを望んでいる節があります」
ノーザン公の考えはこの場の大半の人間の考えを代弁していた。
軍事力こそ脅威だが、その技術力には憧憬を覚える。同じ人間同士なのだから、地下資源などで取引を行い、
一足飛びに発展するいい機会ではないかと。それがわかっていたから、ルクツァは言下に否定した。
「それは真に正論だが、問題がある」
「問題と申しますと?」
「彼らの道具は、大陸に争乱を招きかねない」
諸侯はわけがわからない、というように顔を見合わせた。
「わからないか。道具を採用するのならばシステムごとの採用が必要だ。
彼らが上に王を置かず、全て議会とやらで決議する商人の国ということを忘れたのか?」
民主主義。彼らにとっては異質すぎる体制。
貴族も王も置かず、数年ごと、或いは数ヶ月ごとに国家方針が変化し、多種多様な意見がまかり通る。
絶対主義に慣れた彼らにしてみれば、それは恐怖だった。
「彼らの体制は我々の支配を危うくする。いや、それだけではない。
我々の戦争など可愛く思える程の戦争が大陸に巻き起こる可能性がある。
技術の導入には慎重になったほうがいいと私は考える」
「では、無視するべきでしょうか」
「わたしとしてはそうしたいと考えるが」
そうもいかない相手だろう、と続けると、誰もが目を伏せた。
無視するにしては魅力がありすぎる。協調するには危険が多すぎる。
厄介者、と日本は言われていた。
179:日本が国ごと召喚
09/06/04 22:37:11 6LGc86To
「その件に関してですが」
アンシャムが口を開く。
「彼らから、申し出がありました。至急を要するため、返事はなるべく早くにと」
「なんだ、その申し出とは」
「食料です」
「食料?」
諸侯は再びざわついた。
「可及的速やかに貿易を開始し、食料だけでも供給して欲しいとのことです」
「あれほどの大国が、食料ひとつ自侭にできないのか?」
諸侯にとっては意外だった。彼らの国はどこでも、完全に自給自足できている。
「我々の国の民全てを合わせたのとほぼ同じだけの人間があの狭い国内に生活しているそうです。
また、その国土の半数は都市で、民の半数以上が商人です」
「馬鹿な」
ノーザンが呻く。
「それでは餓死者が毎年出よう……そんな無計画な指導者に支配されているのか?」
「これも民主主義ということだろう、ノーザン公。我々とは全く異質なのだよ、彼らは」
ルクツァは顎に手をやってしばし沈思すると、再び口を開いた。
「帝国は彼らとの制限貿易を行おうと思う。さし当たっては彼らが主張する食料だ。
代わりに我々は農業技術について学ばせてもらう。諸君はどうする」
諸侯にも否はなかった。それが一番無難に見えたからだ。
解散していく諸侯はその表情に何れも不安の色を浮かべつつ、帰路についた。
180:日本が国ごと召喚
09/06/04 22:38:58 6LGc86To
投下終了です。次は日本サイドの対応を書こうと思います。
……好評なら。
181:創る名無しに見る名無し
09/06/04 22:48:30 iLrpuHPP
>>161
腐臭の黒泉...ありがたや ありがたや
ドワーフ族の人 やさしいな
182:創る名無しに見る名無し
09/06/04 22:56:03 W+A7ucwW
おお、新作が来た!
投下乙です。
183:創る名無しに見る名無し
09/06/04 22:56:14 vX/rt5p2
>>180
投下乙
なんかこれだと普通に抜け駆けする国とか出てきそう
184:創る名無しに見る名無し
09/06/04 23:09:06 nXTIMzl3
小国の苦悩 第四話
「アテンション!」
その場にいた兵士達が固まる。
「私が諸君らを教育する事になった帝國陸軍第二特別教導団のロジャー大尉であるっ!」
後手を組んでウロウロしながら怒鳴る。
「私の任務は! 貴様らを誇るべき大英帝国のソルジャーにする事であるっ!」
「大尉、帝国は帝国でも大日本帝國です」
「それと彼らはゴンザレス王国の兵士です」
帝國人の少尉と中尉がツッコミを入れる。
ロジャー中尉は2人を睨みつける。
「ふん! 私は英国軍人だ! 例え本国に帰れなくてもな!」
強がっているが、顔が赤い。
「これから貴様らには! このPIAT・・・三式対竜擲弾筒の扱い方を教えるっ」
ロジャー大尉が筒状の物を取り出した。
「この三式は名前の通り、竜を討ち取れる優れものだ!」
兵士の間から響めきが広がる。
「大陸同盟の主力竜を一撃で葬る威力を持っている!」
反帝國陣営は帝國のチハに対抗するため、鉄をも溶かすと言われる史上最強の生命体ドラゴンの実戦投入を図った。
結局、成功したのは下位も良いところの火も吐けないトカゲだったが、歩兵にとっては十分に驚異であった。
「使い方は簡単!」
ロジャーは肩に担いでいた三式を地面に下ろす。
「まず圧縮レバーを立てる!」
筒の側面が割れ、そのまま大型のレバー状になる。
「次にレバーを最後まで引きロックする!」
レバーを引く事で内部のスプリングが圧縮され、最後に金具でロックされるガチャンという音が響いた。
「次に弾を装填する!」
筒の端から、対竜擲弾が装填される。
「敵に向けて発射レバーを引く!」
遠くの的に向けられた筒からガキョ! と言う音とともに弾頭が飛び出し・・・ゆっくりと着弾爆発した。
兵士達は再び響めいた。
「有効射程は50帝國メートルだ! 接近して撃て!」
ロジャーは三式を脇にいた帝國兵に渡すと
「これから貴様らにはこの武器の使用訓練を行ってもらう!」
「全員!駆け足! 向こうの軍曹から三式と訓練弾を受け取れ!」
少尉が声を張り上げた。
兵士達は慌てて向こうに向けて走り出していった。
「訓練がなっとらん!」
ロジャーが怒鳴る。
「大陸の兵士は基本的に常備軍ではありませんから仕方ないでしょう」
中尉の一人が弁解するように言った。
「あれではドイツ軍に勝てんぞ!」
「大尉、ドイツはここには居ません」
ロジャーはまた生意気な2人を睨み付ける。
「わかっておる! 少尉! ティータイムだ!」
「はっ!」
すでに用意されていた紅茶が差し出される。
「・・・うむ・・・そう言えば疑問があるのだが・・・」
「は?」
「なぜ帝國の戦車には湯沸かし器が付いていないのだ! お茶が出来んではないか」
「は?」
帝國人にとって彼の思考は理解不能だった。
185:創る名無しに見る名無し
09/06/04 23:09:49 nXTIMzl3
PIAT見て衝動的に書いた。
今は反省して米国製兵器を導入してる。
186:創る名無しに見る名無し
09/06/04 23:11:56 c/sVzHDQ
>>180
ここまで書いておいて続きを書かないのは生殺しなんだぜ。
もちろん続編希望。
投下乙でした!
187:創る名無しに見る名無し
09/06/04 23:13:41 c/sVzHDQ
>>184
大英帝国www
こんなところでも英国、お茶を欠かさない痺れる憧れるゥ!
188:創る名無しに見る名無し
09/06/04 23:17:42 uUtaOjhN
なんだこの投下ラッシュw
189:創る名無しに見る名無し
09/06/05 00:08:04 Vwxl0KPc
つか誰がどの話の作者か解らんからちゃん鳥位付けろや
190:創る名無しに見る名無し
09/06/05 00:45:47 XaPRuxz0
>>176
なんで投下宣言後にレスするん?
191:創る名無しに見る名無し
09/06/05 01:05:48 Os7KaDY7
>>189
なんで偉そうなん?
192:創る名無しに見る名無し
09/06/05 01:09:02 wtcQfDU7
>>190
少しでも連投規制に掛かりにくくなるようにと思ってね。
5レス続いたら次の支援をしようと思っていたが無用だったようだ。
193:創る名無しに見る名無し
09/06/05 01:28:07 SW1ntxjx
天皇が公選首相を任命してるんだから、
政治に殆ど関わっては居ないが、王が居ないわけじゃないだろ。
194:創る名無しに見る名無し
09/06/05 01:50:35 3n/s69EP
それはそうだが彼等がそれを知っているかどうかは別問題だ。
195:創る名無しに見る名無し
09/06/05 02:08:49 lg9JL3mG
まあ、日本の事まるで知らない人間に、日本の政治体制を教えるなら
立憲君主制が云々ってとこから教えるより、単純に民主主義の部分だけ
伝えた方が早いだろうな。
つか皇帝(王)がいるのに政治には関与しない、けど承認は必要、だけど
傀儡政権ではない、とか言っても理解できんのじゃないか?
むしろ連中にとっては危険思想もいいところだろうから、あえて教えてないとか
196:創る名無しに見る名無し
09/06/05 03:19:32 Os7KaDY7
皇帝(王)が実際の政務は行わず、判子だけ押すってのは成熟期の国家に良く見られる特徴で然程疑問に思われないんじゃないかな?
中世以前に民主主義の原型である共和制を布いていたローマ帝国というものもあるからそこまで拒絶されないと思われ。
食料自給率が50%切ってるのは・・・理解されないだろうなw
197:創る名無しに見る名無し
09/06/05 13:21:01 vsRRDxfr
>>196
>>食量自給率が50%未満
独立国じゃなく広大な国の「一部」が転移してきた、と無理矢理納得するとかな
工業と商業に特化した地域ならF世界でもあり得る
198:創る名無しに見る名無し
09/06/05 15:37:43 wRvo0pen
>>177
当たり前なのかもしれんが、F世界側がかなりまともというか、随分と冷静だ。
最大の問題の食料もちゃんと輸出するみたいだし、日本がF世界側と戦う光景が全く思い浮かばない。元からそういう物語?
そういう展開も面白いかもしれないな。
199:創る名無しに見る名無し
09/06/05 15:48:57 Os7KaDY7
もしこの世界の中世に転移したら阿鼻叫喚だろうな。
現実路線で日本と同盟を組む国、パニックを起こした挙句宗教に走る国
ローマ教皇が自体の収集に慌てそうだ
200:創る名無しに見る名無し
09/06/05 16:55:53 czoMAXsW
>>198
飢えた国民を宥めるのに国家がどういう行動をとるか
それを分かってるんだろうね
201:創る名無しに見る名無し
09/06/05 18:41:06 T4q+lX3g
>>199
アメリカや豪州にはインディアンやアボリジニーが居なくてドワーフやDAが居たら面白いな
史実の魔女狩り=エルフ狩り
タンカー型の赤十字船を見たら十字軍は驚くだろうな
ハワイ向かう練習艦隊がアメリカに向かうコロンブスに遭遇して日本に向かう事で
史実のアメリカ発見がジパング発見になる。
日本にある鉄屑やレアメタルを求めて訪れる白人国家軍
史実のゴールドラッシュはボルトラッシュになる
一番の問題は転移時にバチカン教皇とイラク・イスラエル首相が来日してる時だと
ややこしい事になる
202:日本が国ごと召喚
09/06/05 19:01:08 ObByNp01
ある程度書いたので投下開始しまっす。
203:日本が国ごと召喚
09/06/05 19:03:16 ObByNp01
海上自衛隊二尉、青谷勇はリンゴをひと齧りして、そう呟いた。唇をリンゴから離し、
息を吐くと白くなった息が待機に溶け込んで、消えた。これでまだ秋だというのだ、この世界は酷く寒い。
商船団の護衛という立場上『輸入物』のリンゴを真っ先に味わう機会に恵まれたのだが、
日本のものとは比べ物にならなかった。品種改良は殆どされておるまい。酸味ばかりで、甘味は僅かだ。
「だが、馴れなくては」
ここはもう別の世界だ。戻れるかどうか怪しいのだから。
そう思えば、護衛艦『ひえい』から見下ろす海の色まで違って見える。
日本が見も知らぬ異世界に転移して一月、青谷たち自衛官にとっては忙しい日々が続いた。
ある日前触れもなくこの世界―この世界の人間はヴェルデと呼んでいる―に日本が転移した事は、当たり前だが
向こうにもこちらにも多くの混乱をもたらした。
「あの日―」
気象衛星からの映像は消えうせ、水平線の向こうの景色は変化し、
温度は急激に低下、周囲の海には霧まで出ていた。
混乱した政府は一時、機能停止状態に陥りかけたが、
それまでどちらかといえば低い評価しかされてこなかった吉田首相が
強力なリーダーシップを発揮し、何はともあれ状況を把握することだ、と民間船舶・旅客機の航行を禁止し、
海上自衛隊と航空自衛隊に周囲の偵察を命じた。無論、領海・領空には十分な注意を払って。
青谷もまたその日、護衛艦『ひえい』に乗り込み、状況把握のための探索の任についていた。
しかし西に派遣された航空自衛隊はいけどもいけどもユーラシア大陸の姿は見ることはなく、思い切って領空を越えて
引き返せるギリギリまで飛んでみたものの、広がる海にただ唖然とし、
代わりに東に派遣された海自艦隊はすぐにユーラシア級の大陸を発見した。
一体これは何の冗談だ。
あの時の騒動は今でも青谷の記憶に新しい。鍛え上げられた海自隊員達が一様に呆然としたのだ、自分も含めて。
本国と通信を繰り返すも、当の本国が半ばパニック状態なのだから始末に終えない。上陸すべきか、いや、
何がいるかわからないから一旦引き返し、
陸海空総出で探索に当たるべきだと本国も海自艦隊も大騒ぎをしていたその時、
大陸側から数多の木造船舶が現れ、海自艦隊を包囲した。逃げることも当然、海自艦隊には容易かったが、
砲門は向けども発砲はしない様子に交渉の余地ありと判断し、そのまま包囲されるに任せたのだ。
互いに砲を向け合い、にらみ合うことしばし、
大陸から現れた艦隊から一艘のボートが下ろされ、青い旗を掲げつつ海自の護衛艦に
近づく。後で聞いたところ、青はこちらの世界での白旗に当たるらしい。
ボートを漕ぐ人間と比べて豪華な衣装から艦長はこれを使節と判断し、
警戒は保たれたままにこちらの世界の人間とのファーストコンタクトが始まった。
それが、一月前の話である。
204:日本が国ごと召喚
09/06/05 19:04:52 ObByNp01
なぜ最初の一文が抜けたんだ……
上のなしです、修正……
205:日本が国ごと召喚
09/06/05 19:05:45 ObByNp01
「不味い」
海上自衛隊二尉、青谷勇はリンゴをひと齧りして、そう呟いた。唇をリンゴから離し、
息を吐くと白くなった息が待機に溶け込んで、消えた。これでまだ秋だというのだ、この世界は酷く寒い。
商船団の護衛という立場上『輸入物』のリンゴを真っ先に味わう機会に恵まれたのだが、
日本のものとは比べ物にならなかった。品種改良は殆どされておるまい。酸味ばかりで、甘味は僅かだ。
「だが、馴れなくては」
ここはもう別の世界だ。戻れるかどうか怪しいのだから。
そう思えば、護衛艦『ひえい』から見下ろす海の色まで違って見える。
日本が見も知らぬ異世界に転移して一月、青谷たち自衛官にとっては忙しい日々が続いた。
ある日前触れもなくこの世界―この世界の人間はヴェルデと呼んでいる―に日本が転移した事は、当たり前だが
向こうにもこちらにも多くの混乱をもたらした。
「あの日―」
気象衛星からの映像は消えうせ、水平線の向こうの景色は変化し、
温度は急激に低下、周囲の海には霧まで出ていた。
混乱した政府は一時、機能停止状態に陥りかけたが、
それまでどちらかといえば低い評価しかされてこなかった吉田首相が
強力なリーダーシップを発揮し、何はともあれ状況を把握することだ、と民間船舶・旅客機の航行を禁止し、
海上自衛隊と航空自衛隊に周囲の偵察を命じた。無論、領海・領空には十分な注意を払って。
青谷もまたその日、護衛艦『ひえい』に乗り込み、状況把握のための探索の任についていた。
しかし西に派遣された航空自衛隊はいけどもいけどもユーラシア大陸の姿は見ることはなく、思い切って領空を越えて
引き返せるギリギリまで飛んでみたものの、広がる海にただ唖然とし、
代わりに東に派遣された海自艦隊はすぐにユーラシア級の大陸を発見した。
一体これは何の冗談だ。
あの時の騒動は今でも青谷の記憶に新しい。鍛え上げられた海自隊員達が一様に呆然としたのだ、自分も含めて。
本国と通信を繰り返すも、当の本国が半ばパニック状態なのだから始末に終えない。上陸すべきか、いや、
何がいるかわからないから一旦引き返し、
陸海空総出で探索に当たるべきだと本国も海自艦隊も大騒ぎをしていたその時、
大陸側から数多の木造船舶が現れ、海自艦隊を包囲した。逃げることも当然、海自艦隊には容易かったが、
砲門は向けども発砲はしない様子に交渉の余地ありと判断し、そのまま包囲されるに任せたのだ。
互いに砲を向け合い、にらみ合うことしばし、
大陸から現れた艦隊から一艘のボートが下ろされ、青い旗を掲げつつ海自の護衛艦に
近づく。後で聞いたところ、青はこちらの世界での白旗に当たるらしい。
ボートを漕ぐ人間と比べて豪華な衣装から艦長はこれを使節と判断し、
警戒は保たれたままにこちらの世界の人間とのファーストコンタクトが始まった。
それが、一月前の話である。
206:日本が国ごと召喚
09/06/05 19:07:04 ObByNp01
「青谷二尉か」
物思いに耽りながら手元のリンゴを見つめていた青谷に声がかけられる。
「如何かな、帝国のリンゴのお味は」
見れば、赤と白の瀟洒な衣装に身を包み、腰には細剣(レイピア)とマインゴーシュを下げた、
三銃士の世界から抜け出てきたような女がそこにいた。
波打つ金髪はこちらの翳る太陽に比べれば地球の太陽のように輝かしく、
白皙の美貌は衣装と相まって見るものに強い印象を与える。
「ロゼッタ中尉」
ロゼッタ・ランダース中尉は、青谷同様ファーストコンタクトの場に居合わせた人間だ。
女ながらユグドラ帝国近衛隊の旗手を務めており、
軍人の他、外交官、領主、狩猟長官など様々な肩書きを持つ、絵に描いたような名門貴族だという。
突如として現れた鋼鉄の艦隊(要するに海自だ)にボート一隻で接近し、使者の役割を果たしたのも彼女だ。
使者として艦長ら高級将校とも言葉を交わしたが、艦の案内と、世話係を担当した青谷とは比較的親しい間柄である。
無論比較的であって、男女の仲に発展したわけではない。
単に艦長らと接するときは公人としての性格が強くなるだけで、
そうでない時は、彼女は誰と仲良くするのにも躊躇しないだけだ。
「正直に申し上げますと、酸味がきつい」
「だろうな、貴公は正直だ」
ロゼッタはリンゴを青谷から奪い去ると、自らも口に含んだ。
「このフネで饗応を受けたときの衝撃は忘れんよ。海軍の食い物ときたら例え貴人用であれ、
不味いのが相場と踏んでいたのに、宮廷で出されたどの料理よりも美味いのだからな」
だがその美味い食事もいつまで出せるのだろう、と青谷は思う。
気候が違いすぎる。言うまでもなく今年も来年も不作だろう。そのまた次の年も。
というより今までと同じ作物は最早取れまい。これからはこの気候に合わせた作物を品種改良して
作ることになろうが、さて、何年かかることやら。まずかろうがなんだろうが食料の輸入は目下の急務である。
「にしても見れば見るほど立派なものだな、このゴエイカンというのは」
ロゼッタが憧れるように『ひえい』の艦橋を見上げる。
「図体だけなら我が方も似たようなものは作れるが、とても敵わん。威風が船から滲み出るようだ」
『ひえい』はどちらかといえば旧式である。それを知っている青谷は半ば誇りに思う一方で苦笑せざるをえないが、
それでもナポレオン時代ぐらいの戦列艦しか知らないロゼッタにはオーバーテクノロジーもいいところだろう。
『ひえい』は日本の代表として、帝国側の軍艦と共同で商船の護衛についている。
たかが商戦の護衛……とはいえ、お互いに信頼関係もなく、そもそも国交もない。更に海賊が出没するという話も
あれば、このように物々しい警備も当然といえた。ロゼッタは無論帝国側の人間だが、外交官としての特権を
活かしてこちらに潜り込み、視察という名の日本見物を楽しむ気だという。名門貴族の割には、いや、だからこそと
言うべきだろうか、彼女は優秀な反面無邪気なところがある。
207:日本が国ごと召喚
09/06/05 19:07:48 ObByNp01
「にしても、大したものですね。この世界の人たちは」
「ん、何がだ?」
飽きずに『ひえい』を見つめていたロゼッタが首を傾げる。
「我々への対応です。正直、もっと混乱したものを予想していました。
ですが蓋を開けてみれば、使節団を派遣してから列国を召集しての会議、その後で合同で我々と交渉に乗り出し
僅か一月で制限つきとは言え貿易にこぎつけています。普通は、こうも足並みは揃いません」
「ふむ、貴公の世界ではそうだったのか」
ロゼッタが誇らしげに胸を反らす。
「これも皇帝陛下のご威光のお陰、と言いたいところだが実は違う。この世界の支配層は
貴族が殆どだが、貴族たちは一千年以上の政略結婚で殆どが親戚同士になっていて、言わば領土や国家を超越している。
勿論お互いで戦争や陰謀も起すが、大きなことが起こった場合はスムースに全員が協議できる体制にあるのだ」
宮廷外交という奴か、と青谷は見当をつけた。国益よりも親戚づきあい。個人個人の繋がりが優先される、
17世紀から19世紀ヨーロッパのお家芸とも言える外交である。
共通の階級意識、価値観、文化的基盤を持つからこそ成り立つ絶対主義時代の国際外交手段だが、
国民国家の時代には最早時代にそぐわないものとして退けられ。しかし今回はそれが幸いしたらしい。
大陸内の陰謀に日本が巻き込まれたりしては目も当てられないのだ。
もっとも日本はその輪から外れた位置にあるわけであり、青谷は今後の外交に若干の困難を感じた。
「さてと」
ロゼッタが興味深そうな目で青谷を見る。
「硬い話はここまでだ。わたしに艦内を案内しろ。色々と興味深いことがありすぎる。
日本につくまで退屈しそうにないな」
208:日本が国ごと召喚
09/06/05 19:09:01 ObByNp01
以上で投下を終了します。更に日本編続きます。今度は政治家と本土。
説明くさいかな?かなり説明くさいと本人も自覚してますが、よろしければ応援の程を。
209:創る名無しに見る名無し
09/06/05 19:44:08 T4q+lX3g
>>貴族が殆どだが、貴族たちは一千年以上の政略結婚で殆どが親戚同士になっていて、言わば領土や国家を超越している。
なんだか感動するな、2600年も続いて未だに憎み合う地域が沢山ある日本と比べると
まぁ、日露米戦争とか見ると共通の敵に対しては一億総攻撃状態に突入するからな
「ひえい」は武装やレーダーは古いが5050tという大型駆逐艦だからな
逆に巨大な飛龍群とかがいなければイージスよりDEやLCSの開発に力を入れた方がいいよな
210:創る名無しに見る名無し
09/06/05 19:53:13 yZoOZW1y
まとめwiki、余計なページを2ページも作っちまった・・・吊ってくる orz
管理人氏、見てたら削除おながいします
211:創る名無しに見る名無し
09/06/05 20:17:13 Os7KaDY7
>>209
いがみ合う地域なんてあった?
212:創る名無しに見る名無し
09/06/05 20:32:02 FfLroYd3
>>208
乙ー
しかし寒くなると日本の主食である米も大打撃ですなー
小麦やジャガイモに転換する必要に迫られるのか
213:創る名無しに見る名無し
09/06/05 20:54:08 bPgrTpF+
>>199
メジャーな物だと豊田有恒の『タイムスリップ大戦争』なんかがその類だな。
時間的地滑りにあって日本列島ごとタイムスリップする話。
別の時空に列島ごと飛ばされることをテーマにしたはしりみたいな作品だし。
214:創る名無しに見る名無し
09/06/05 22:12:21 RCdU5DVD
>>211
信州人ですが信州南北戦争でぐぐると・・・今でも対抗意識ありますよ。
まぁ、北は青森県の旧南部領と津軽領で、西は長州藩と岩国領とか、色々ありますな。
215:創る名無しに見る名無し
09/06/05 22:55:55 wtcQfDU7
>>208
投下乙です、しかしできればトリップをお願いしたいところ!
続きにwktk
216:日記より ◆im0Hwg82eM
09/06/05 23:40:08 CXm34lTS
某年 某月某日 日曜日
目が覚めたら、夜が明けていた。昨日頭を使わなかったせいか、5時前まで寝ていたようだ。
急いで顔を洗って井上食堂に駆けつけたが、先客の顔を見る事になってしまった。
食材は持ち込みだし食事の量や質に差が出る訳ではないのだが、何となく悔しい思いがする。
出社して資料室への入室手続きをしていたら、記入欄のすぐ上に知った名前を見つけた。
また先客がいるらしいと思って特別資料室に入ると、確かに入江が座っていた。
涼しい顔をしてペンを走らせている。そして、その手許には「魔法場の統一理論」があった。
話を聞くと、偵察用機材に使う新しいプログラムを任されたので、その参考にするのだという。
仕方が無いので関係ありそうな開発資料などを読んで本が空くのを待つ事になった。
1時間後、やっと「魔法場の統一理論」に向かう。
一緒に読んでいた開発資料の欄外に書き込み。特徴的で見覚えのある、微妙に縦長の文字。清水の筆跡だ。
奴の専門は回路の設計だったから、本に纏まる前の統一理論を研究していたのかもしれない。
書き込みの内容が統一理論の理解を助けてくれた。天上の清水に感謝する。
昼食は林亭で。入江も一緒だった。先週の日曜日にも入江に貸しを作っているので
一品奢ってもらう事にした。しかし後で言われたのが「出張手当が入ったら、お返しに2品ほど宜しく」の一言。
何か言い返そうかとも思ったのだが、あの場で反論していたら大人気無かったろう。何も言えなかった。
午後からは入江がそのままプログラミングに入り、松本先輩も会社に現れたので電力が不足した。
そのため送電量を増やしてもらったが、手続きに1時間近くかかってしまった。
勉強が進むにつれ、魔法場というものが何となく理解できそうな物に思えてきた。
魔法を使う者にしか理解できないであろう事柄もあるが、魔法を使えば周辺に様々な影響が出る事は確かだ。
センサに使われているという、魔石の特徴というのも何となく掴めてきた。水晶に近い特性を持っていて
圧力や振動ではなく、魔法の影響を受けると電流を発生するようなのだ。開発中の魔法センサはおそらく、
影響を受ける魔法によって魔石の挙動が違うという特性を利用しているのだろう。
本来の使用方法は魔力を封じ込めておいて、様々な魔法の力を増幅させるというものらしい。
生成には高温高圧と長い時間と継続した魔力が必要で、人工的に合成するには厳しい条件が
揃っているようだ。水晶に似た鉱物だというから、圧力容器に魔力を送り込む事で合成できそうな気も
するのだが、自分が思いつく位なのだから、技本の誰かが思いつかない筈が無い。
おそらくそう簡単にはいかないのだろう。あるいは今頃、合成の実験でもやっているのかもしれない。
217:日記より ◆im0Hwg82eM
09/06/05 23:41:50 CXm34lTS
某年 某月某日 月曜日
今日の仕事はプログラミングの手伝いだった。昨日、入江が話していたプログラムらしい。
PC上の仮想環境で動かしてみる。魔法による影響を想定した外乱を送り込むと、動作が一瞬乱れた。
引き続いて他の外乱を加えると、動作が停止して「装置の不具合発生により任務に遅延発生」と判定された。
この状態から外乱に強いプログラムに練り上げていくのだという。
自衛隊撮影による、敵の策源地攻撃の映像が公開されていた。公開されたのは金曜日だ。
センサ試験の後片付けでニュースも見れず、その後もばたばたしていたので気付くのが遅れてしまったようだ。
滑走路へ進んでいく迷彩模様の機体。RF-4EJが飛び立っていった。画面が切り替わった。
航空写真が映り、拡大される。森の中に開けた場所があった。草葺き屋根らしい円形が数十戸。
空に星が輝き、暗い森の中を進む自衛隊員たち。草が激しく擦れる音がして、急に映像が横へ流れた。
カメラの動きが収まり、映し出されたのは顔に迷彩を施した隊員と、その足元で粗末な服を着て横たわる
欧米風の顔をした男。敵の歩哨だろうか、傍らには鈍く光る刀が落ちていた。映像が切り替わり、
柵で囲まれた広場のような場所が映し出された。奥には建物も見える。これが敵の策源地らしい。
空が白み始めている。そこへ力強く空気を叩く音が響いた。AH-64DJ改の登場だ。
空からの映像に切り替わった。白黒画面でやや粗い映像だが、むしろそれが新鮮に思えた。
ロケット弾が打ち込まれ、建物が白い光に包まれる。音に驚いて飛び出してきたらしい不運な奴が
30mm機関砲を浴びて、それほど明るくもない飛沫になった。勇敢にも、弓矢と思われるもので
応戦しようとする敵がいた。数秒後、それは原形を留めていなかった。ヘリからの射撃は止まったが
空からの目で見る限り、敵兵は次々と倒れていく。どうやら地上の部隊から射撃が行なわれているらしい。
木製らしい柵は、既に銃撃でバラバラになっているようだ。あちこちで薄明るい飛沫が飛び散っている。
こういうのはあまり鮮明な映像では見たくない気がする。
森の中へ逃げ込もうとした敵には周辺警戒を行なう自衛隊員からの銃撃が待っている。
木の陰に隠れて、周囲の様子を窺う隊員たち。周り中から断続的に発砲音が聞こえてくる。
遠くから誰かが画面に向かってきた。画面横に棒状のものが見え、破裂音と共に彼は地面に転がった。
戦闘帽にものものしい装備を装着した隊員が何かに気付き、合図をした。
それを受けて樹の上に向けて銃撃が行なわれると、湿った音を立てて大きな物体が落下した。
ヘリの音が遠ざかって行きカメラが向きを変えると、突入する隊員たちの姿が映った。
軽機関銃のものと思われる発砲音も聞こえる。ヘリからの映像で見た射撃の主はこれだったのだろうか。
日が昇り始めた頃、カメラは焼け残った建物に踏み込んだ。後に敵の武器庫と判明した建物だそうだ。
映し出されたのは、投石器だったと思われる大きな消し炭。近くには焼けた岩も幾つか転がっていた。
今回の映像は少し生々しかった。再生する前に確認画面が出たのも無理はない。
テレビでは戦闘時の映像は流さず、ショッキングな映像が含まれる旨も告知されていたようだ。
この作戦で殺害した敵の数は386名。これは意外と少ないらしい。前回討ち漏らしたと見られる負傷者もいた。
たぶん敵方は前回の戦闘で、かなり消耗していたのだろう。そして態勢が整う前に殲滅されたと思われる。
我が方にも負傷者が出ている。木の上に潜む敵に襲われて、隊員2名が重傷を負ったそうだ。
死者が出なかったのは幸いだった。負傷した隊員も、治療すれば現役復帰できる程度の怪我で済んだらしい。
まあ何にせよこの戦果なら、今後の交渉も非常に有利に進むだろう。
上手くすれば、緩衝地帯の森の向こうに広がる草原を手に入れられるかもしれない。
そうなれば適性作物の調査を行なって、来年か再来年には大陸からの食料が増えて、国内での
食料価格も安定する事になるだろう。ついでに鶏肉の値段も少しは下がってくれると嬉しいのだが。
218:日記より ◆im0Hwg82eM
09/06/05 23:43:33 CXm34lTS
某年 某月某日 火曜日
以前提案した、グライダーによる移動計測試験を行なう事が決定した。
この案の他には、センサを馬に乗せて走らせて計測する試験や、ロケットで加速した後に小型の
木製グライダーを分離させる計測試験などが採用されたそうだ。試験の日程などは追って通達が来るとの事。
こうやって見ると、馬に乗せる方法は60km/h以下、羽布グライダーはおそらく300km/h以下、そして
ロケットで加速するグライダーはそれ以上の速度で試験を行なえる。たぶん速度の違う3種類の方法を
比較するという意味合いがあるのだろう。
なお、会社で提案した空挺投下による試験は引き続き検討を続ける事になったそうだ。
で、試験を行なう予定の場所というのが……矢臼別演習場。北海道だ。
確かに、周囲に人工物が無くて平坦な地面がある環境など、なかなか国内にあるものではない。
東富士演習場も候補に挙がったらしいが、機密保持の観点から矢臼別演習場に決定したそうだ。
という事は、である。近いうちに北海道に出張という事になるのだろうか。
この試験は自分が言いだしっぺなのだから、やはり自分が参加することは確実なのだろう。
北海道まで船を使って1日ちょっと。試験に5日間。帰りは親潮に乗って1日弱。丸1週間は
見ておかねばなるまい。ひょっとして東京で過ごしている時間の方が短いんじゃないか?
夕方のニュース、太平洋を航行中の自衛艦「しんげつ」が外国船を拿捕した。
試験運用を兼ねて周辺警戒中だった新型艦載ヘリ「SH-60L」が、不審な航跡を発見したため接近した所
弓矢および火球魔法による攻撃を受けた。この攻撃による損害は無く、これを受けて「SH-60L」は
直ちに搭載機銃による反撃を開始。敵方に死傷者を出した。この際、海上に数名が落下するところを
ヘリの搭乗員が目撃したそうだ。その後「しんげつ」乗員が乗り移って船内を制圧、乗員を拘束した。
当該船舶は「しんげつ」に曳航されて最寄の沖縄基地に向かっているそうだ。
当該船舶は黒潮に乗っており、拿捕されていなければ2日程度で九州から四国、3日から4日もあれば
房総半島の沿岸部まで到達していた可能性があったらしい。
当該船舶に搭乗していたと思われる魔法の術者は行方不明。周辺の捜索が行なわれたが、
海上にそれらしきものは確認されなかったという。たぶん溺れて海中に沈んだかしたのだろう。
しかし国内に潜入する可能性も捨てきれないため、警察や自衛隊は警戒態勢を強化したそうだ。
このところ外国船に関するニュースが多いような気がする。
「毛の無くなった毛生えクッシー」に関する情報はすっかり影を潜めてしまった。まあ、話題の主が
姿を消してしまったので仕方の無い事ではあるのだが。今頃、釧路の商店街はどうなっているのやら。
219:日記より ◆im0Hwg82eM
09/06/05 23:45:19 CXm34lTS
某年 某月某日 水曜日
4時前に起床、5時に朝食。このところ雨続きで、夜明け空が見えない。
もう梅雨入りなのだろうか。天気予報の精度はまだ高くない。気象衛星の6機体制が整うのはまだ先の話だ。
入江の作ったプログラムは、ひとまず形になったそうだ。
そんな訳で、それを実装した機材の試験に取り掛かった。かなり大掛かりな機材で、試験項目も多い。
今日だけでは終わらせることが出来ず、明日に持ち越しとなった。今のところ動作に問題は無さそうではある。
しかし明日は外乱を大きくした状態での試験だ。泉さん謹製の外乱てんこ盛りに、どこまで耐えられるやら。
昼過ぎに技本から車が来ていた。何か会議が行なわれていたが、自分には何の通達も無かった。
矢臼別での試験に関するものではなかったという事なのだろうか。初夏とは言え、北海道は寒そうだ。
まだ東京の気候に慣れ始めたばかりの自分にしてみると、出来れば夏になってからとかにして欲しい。
まあもうすぐ梅雨だからその間じめじめしない北海道で過ごすのも悪くない、という気もしないではないのだが。
高校の元同級生で、神主の伊東が夕方のニュースで紹介されていた。
毎年、神社の畑で収穫した野菜を氏子たちに分け与えているそうだ。インタビューに答える顔は
幸せそうというか、妙に微笑んでいた。どうもあの手の表情は好きじゃない。なんとなく、後ろにある
感情や考えを隠しているような気がしてしまう。単に自分が宗教嫌いだという事もあるのかもしれないが。
得体の知れない怪物が、かつてフィリピンがあった辺りに存在するドンゴワナ諸島付近の海上に
出没しており、退治するために護衛艦2隻が出動したそうだ。あわよくば捕獲して持ち帰るために、
「第6図南丸」と「第170日東丸」が同行しているという。怪物退治のために自衛隊が出動するという事案は
年に数回あるが、その度に巨大な烏賊や蛸だったり、凶暴な鯨や海竜だったり、様々な怪物が現れる。
今回の出動は友好関係にある現地住民の要望を受けてのもので、現地住民の証言によると
なんとも気味の悪い怪物だとの事。現地の言葉では「プス・サイギツム」と呼ばれているそうだ。
いったい、どんな化け物が出てくるのやら。まさか「毛の無くなった毛生えクッシー」じゃないだろうな……
ネットサーフィンしていたら、さっそく「プス・サイギツム」の正体についての様々な考察が飛び交っていた。
海竜派と巨大軟体動物派が真っ向から対立して、賑やかな事この上ない。
やっぱり皆、ナマモノ話が大好きである。これから察するに毛生えクッシー騒動の時はどんな状態だったか、
大方の見当がつく。気になる人にはちょっと見せたくないものだったろう。
30分程度だったが、楽しませてもらった。19時を回ったので切り上げて、日記を書いて寝る事にする。
220:日記より ◆im0Hwg82eM
09/06/05 23:47:05 CXm34lTS
某年 某月某日 木曜日
昨日に引き続き試験を行なう。プログラムの練り直しとなりそうだ。
入江に結果を伝え、データを渡した。午後からは部内会議があった。
18時、薄暮の公園へ風呂上りの散歩に出かけた。梅雨に入る前の貴重な晴れ間だと考えたからだ。
それにその公園にいれば周囲は自然な光景で、落ち着いて過ごせるという事もあった。
自転車を自宅に置いて公園を散歩していると、外人が通りかかった。会釈してすれ違おうとしたのだが、
その見覚えのある外人に話しかけられた。だから足を止めて話を聞こうとした。
彼は近所で見かける、在日ドイツ人のはずだった。その彼が突然、異様な気配を漂わせ始めた。
あの気配には覚えがある。九州にいた頃にすれ違い、そして10日ほど前の日曜日にも見かけた奴だ。
もう一度その顔を見ると、そいつは違う顔をしていた。目つきも、口元も、顔の輪郭も、そして髪の色も。
自分が何か叫んだかは覚えていない。公安が5~6人駆けつけてきて、そいつの周りを取り囲んだ。
そいつは不敵な笑みを浮かべて言った。
「我が名はジャック・キール・ブラウン。以後、お見知り置きを……もしも可能であるならば」
次の瞬間、その姿が突然消えた。向こう側でそいつを取り囲んでいた公安が一人、宙を舞った。
あれはおそらく隠蔽魔法だろう。姿を隠しておいて、囲みを破ったに違いない。
その後は大騒ぎだった。人通りも落ち着き始めた時間帯で、一般人には気付かれていなかっただろうが
静かな公園と住宅地が緊張した雰囲気に包まれていた。発砲音や叫び声こそ聞こえなかったが、
車が辺りを走り回ったり公安が盛んに連絡を取り合ったりしていた。
新島まで付いてきていた公安が自分を家まで送ってくれた。
その際、部屋で幾つか状況を聞かれた。出来るだけ正確に答えたつもりだが、どこまで正確に伝わったか
自信が持てない。その後で、明日はいつも通りに出勤するように、と言われた。
むろん今日の騒ぎについては口外無用である。そして何かあった時にはここに連絡するように、と
電話番号とメールアドレスを書いた紙を渡されたので、携帯端末に登録しておいた。
あの異世界の男は一般人になりすまして潜伏していたのだろうか。
しかし、だとしたら何故あの男に一般在留許可が出されていたのだろうか。パスポートの提示や
大使館の記録との照合、身辺調査も行なわれるから、怪しい人物はそこで引っ掛かったはずである。
ひょっとして、許可された人物と入れ替わったりでもしたのだろうか。だとしたら、本来許可された人物は
どこに消えたのだろうか。考え始めるときりがなくなってくる。
とにかく今は、山本と名乗ったあの公安の言った通りにするしかない。
今の自分にできるのは、深く考え過ぎずに普段どおりの生活を送る事だけなのだろう。
221:日記より ◆im0Hwg82eM
09/06/05 23:49:00 CXm34lTS
投下終了です。
保存庫に収められているネタを一部拝借しました。「仮題◆7ekwL0V8mo」氏に感謝します。
まとめサイトに掲載されると、何かこそばゆい感じがするものですね……まとめ人さんに感謝です。
222:創る名無しに見る名無し
09/06/06 00:29:33 0Ixx1jmR
投下乙です。
これ明らかに入られてるじゃないですかァー!
223:創る名無しに見る名無し
09/06/06 01:12:57 Qwciasp7
投下乙
淡々とした日常描写にかいま見られる非日常の怪異が
ゾクゾクとした肌の粟立つ新鮮なホラー小説を読んでる感じでバッチグーです
224:創る名無しに見る名無し
09/06/06 01:38:57 SBRoORPu
えらい投下ラッシュだなw
取り合えずまとめられたみたいだからこれから読んでくる
職人さんと編集した人と乙
225:創る名無しに見る名無し
09/06/06 03:01:54 1SAv8qus
とりあえず日記氏、本日投下分までまとめ完了。
◆8b20lCD.o.氏は現在書き直しされてるようなので、しばし様子見しております。
他の職人様方も暇ができたら順次まとめて行く所存。
載せるの待って!って職人様は書き込んで下さると助かります。
マジで無駄ページ+リンク不備すまんかった・・・orz
226:創る名無しに見る名無し
09/06/06 06:11:08 ojPG/Ena
>>208
乙でした。
しっかし、温室栽培と寒冷地用作物を甘く見過ぎですな
収量は兎も角、味は問題有りますまい
>>219静止軌道だから、気象衛星は一機で十分の筈ですよ。
問題はデータの蓄積かと
227:日記より ◆im0Hwg82eM
09/06/06 07:47:44 csZ45C/f
>>226
より多くの観測データを集めるのには全球観測が望ましいので、そのためには常用3機、
予備機含めて6機体制。という意味だったんです。
まあその場合リレー衛星なんかも必要になってきますが。
ちょっと言葉足らずでしたね……申し訳ない
228:創る名無しに見る名無し
09/06/06 12:31:52 Qwciasp7
赤道上空三万六千キロに三機は欲しいとこだな、宇宙分野の予算次第だが
いままで「いざとなればアメリカ頼り」でけちってたつけが先ほどの「ひまわり騒動」だった
食料安全保障の観点からすれば海流、海水温のデーター収集の地球観測衛星も欲しいとこだが
229:日本が国ごと召喚 ◆mGG62PYCNk
09/06/06 23:03:39 fiR9Li4/
ビニールハウスを忘れていた罠。
そしてリンゴは寧ろ寒冷地で育つ罠。輸入しなくていいね!
書くごとに現実との齟齬が出ますが、もう書いちゃったものはしょうがない、
開き直って書いていきますので、生暖かく応援をお願いします。
薦めに従ってトリ付けてみました。ちゃんとつけられているかな?
とりあえず本日の投下ー、超ウザい世界観説明。
230:日本が国ごと召喚 ◆mGG62PYCNk
09/06/06 23:08:20 fiR9Li4/
日本は、奇跡的に平穏を保っていた。
元より諸国の中でもとりわけ高い治安を誇る国である。
国民は何か事があろうとも、基本的には政府を信頼している。
加えて転移直後に政府が積極的に周囲の状況を把握しようと努め、
極めて早期に大陸諸国と国交を結んだことが幸いした。
『我々は孤立していない。海一つ隔てた向こうには人がいる』
日々テレビやラジオ、インターネットを通して行われる政府の宣伝に、
国民はパニックに陥る前に落ち着きを取り戻した。
こうして、多少の例外を別にすれば、このような異常事態を経たにもかかわらず、日本は平穏だった。
「さて、会議を始めようか」
日本国内閣総理大臣、吉田一郎は細長い机に居並ぶ閣僚たちを前に不機嫌そうな顔で宣言した。
奇しくも大陸を代表する国家の長であるルクツァが同じ台詞で会議を始めたことを彼は当然知らない。
彼の前に居並ぶのは各省庁の長たち。この日本を動かす頭脳たちだ。
だが彼らは一人の例外もなく青ざめた顔をしていた。
「食料の生産状況はどうなんだ」
指名を受けた農林水産大臣が起立して報告する。
「絶望です」
閣僚たちの間にざわめきが広がりかけるのを、吉田は視線一つで制した。
「従来から生産している農産物はほぼ壊滅です。
季節のリズムが大きく狂ったのも最悪です。
転移する前は初夏だったのが、こちらでは我々の世界の冬に相当する秋。
これから冬になると思えば、背筋が凍る思いです。
品種改良を進めていますが、従来の作物は以後、
ビニールハウスなどでの少量生産に止まる覚悟をしたほうがいいと思われます」
「備蓄は?」
「もって、三ヶ月かと……このような事態、完全に想定外です」
想定できる人間などおるまい。神ならざる人であれば。だが。
「予測していなかったで済まされないのが政治家ってものだ。大陸諸国との輸入を更に進めろ」
吉田は政治家の家系に生まれた、正に政治家のエリートである。
であればこそ、彼は国民に対して一切の言い訳はしない。
全ての餓死者、全ての暴動の責任は明確に自分にあると思えばこそ、
このような事態にも冷静に対処できるのだ。
231:日本が国ごと召喚 ◆mGG62PYCNk
09/06/06 23:09:09 fiR9Li4/
「次、警察庁長官。国内状況は?」
「表面的には平穏無事です。連日の報道が功を奏しています」
閣僚たちが胸を撫で下ろす。暴動こそは命取りだ。
「ですが、内心は不安を押し隠していると思われます。
やはり食料についての不安は消え去らないようで、
各所の商店から食料が消えています」
「念のために聞くが略奪か?」
「いえ、正当な売買によるものです」
とはいえ、空になった棚は人心を不安にする。
いつ食べ物が買えるかわからない、と思えば誰しも不安になろう。
「食料備蓄はまだ十分だ。買う側から山ほど陳列すれば、いずれ国民も安心する。
警察はこの機に乗じて略奪や暴動を起そうとする動きを絶対に許すな。法の健在を示せ」
はっ、と応えて長官が着席する。
実のところこの一月で犯罪件数が激増していた。元が少ないゆえに大きな騒ぎにはならず、
日ごとに減少の傾向にあるものの、何か火種があればすぐに表面化しよう。彼の責任は重い。
「外務大臣、各国首脳との交渉は?」
「今のところは順調です。おぼろげながら大陸の国際関係も見えてきました」
よろしければ、と前置きして外務大臣は地図を指す。吉田は軽く頷いた。外務大臣はそれを受け、
テーブルに地図を広げる。大陸の地図ということはすぐにわかった。だがかなり簡略化された印象を受ける。
「測量技術の未発達と軍事的な機密のために詳細な地図を調達することはできませんでした。
現段階においてはこの地図が最も詳細な大陸の地図です。無論彼らから提供されたものです」
詳細な地図を手渡せば軍事侵攻の材料となる。当然の警戒だった。
232:日本が国ごと召喚 ◆mGG62PYCNk
09/06/06 23:09:53 fiR9Li4/
「このファルデア大陸には大きく分けて3つの国が存在します。
まず、大陸の最西端に存在し、最大の版図と歴史を誇る
ユグドラ帝国。次にその隣に位置するリディア王国。最後に最も東に位置するラウジッツ連合王国。
我々と最初に接触したのはユグドラ帝国で、その名の通り皇帝を頂点とする帝政国家です」
地図に赤線で国境線を書き込みつつ、外務大臣が説明を続ける。
「ただしユグドラ帝国は我々の歴史における神聖ローマ帝国に相当する国で、
内実は中央の皇帝領と、ユグドラ四天王と呼ばれる東西南北の4貴族領に分かれています。
同国内とはいえ小競り合いは頻発しており、事実上5つの国がこの地域の中に
存在していると見ていいと思われます」
「他の二国は?」
「リディアは強固な絶対王政を保っている模様です。総体としての国力はユグドラに及びませんが、
ユグドラが統制の取れない諸権力の集合体であることも思えば、実力はこちらが上でしょう。
ラウジッツは逆です。百とも二百とも言われる群小貴族が内部で絶えず争いあい、
外部からの脅威にのみ対応する状態です。
我々の出現にも我関せずといった態度で内部抗争に明け暮れており、使節も出してきません」
「上出来だ、ありがとう外務大臣」
貴族ばかりだな、この世界は、と吉田は思った。
このような世界では民主主義は危険思想にも程がある。
彼らが貿易や国民の出入国に枷を嵌めたがるのも当然だ。
元の世界のどこぞの国なら民主主義の輸出を始めるのだろうが、吉田にはそんな積もりはない。
互いに必要最低限な部分だけを補い合い、後は無視する。
そんな関係が互いにとって上等だろうと吉田は考えていた。
(それに、交渉をする上では相手が貴族のほうが便利だ)
伝統によって聖別された王侯達は強い批判や、引き摺り下ろそうとする動きに晒されることがないため、
場合によっては暴走し、戦争と恐怖を撒き散らすが、
一度方針を決めれば、長期にわたってその方針が堅持される。またその視野もまた遥かに長期的である。
個人の好悪に左右されるという欠点もあるが、懐に入れば交渉はしやすい。
「最後に、防衛大臣」
立ち上がる防衛大臣に、吉田は一息置いて質問した。
「国防について見解を聞かせてくれ」
「それに関しては自身を持って可能とお答えすることができます。
ですが、この先エネルギーの供給が細ることを思うと、
時を経るごとに防衛戦力は減少すると思われます。
また劣化した武器弾薬の更新も、資源の調達が望めない現状では厳しいといわざるをえません」
つまり日本の戦力は彼らが思うほどに絶対的ではない、ということか。吉田は頭痛がした。
現状、彼らが交渉に応じてくれているのは自衛隊の圧倒的な戦力があればこそだ。
そうでなければこちらの言い分などまともに取り上げまい。
ところが自衛隊の攻撃力は今すぐ発揮したとしても一過性の台風のようなもので、
更に日毎に減少するのだ。ハイテク兵器は補給を絶たれると弱い。
「もっとも、更に1年2年が、いえ、10年が経過したとしても国防そのものには自信が持てます」
「では、例えば」
吉田は少し躊躇したが、吐き出すように言った。
「今すぐ打って出たとして、彼らを支配下に置くことは、可能か?」
233:日本が国ごと召喚 ◆mGG62PYCNk
09/06/06 23:12:20 fiR9Li4/
以上で本日の投下を終了します。
説明くせー!
というか自衛隊は何処に?
そんな批判を受けつつ、お話は続きます。
234:創る名無しに見る名無し
09/06/06 23:16:27 /L6+14YZ
乙ー
有能な日本も好きよ
235:創る名無しに見る名無し
09/06/07 00:32:58 jI5+lfYl
>>229
果樹はしっかり養分やら無いといけんくてね、あと病虫害の管理とかあるから難しいんよ。
吉田首相って言葉でもうあの人しか思い浮かばん。
ともあれ投下乙でした。
最初typoってとうま乙と書いた、インデックスに本の栞にされてきます・・・
236:創る名無しに見る名無し
09/06/07 00:38:40 jr7Oc8PS
うってでたとしても自衛隊は広範囲の地域を維持する為の兵員足りないですからね
攻撃や狭い範囲の防御には向くけど広い範囲の防御には向かない こっちから吹っかけるのは無謀でしょ
でもそれだと戦いが起きず「読者が喜ばない」って事で何らかの形であるとは思いますが 敵がゲリラ戦やってきたら怖いですね
237:創る名無しに見る名無し
09/06/07 00:42:02 B+D8VbAn
そこで徴兵制復活ですよ。
>>227
ぶっちゃけ、今の精度をだすなら一機体制で十分です。
地球シミュレータ級の何年後の気温予想とかなら兎も角、
短期の予報は衛星一機(予備なし)で十分こと足ります。
現在の技術では日本上空以外の衛星のデータなんぞ
取得できても、日本への影響は予想できません。
>>229
概出の植物工場が出ないのはどうかと思いました。
238:創る名無しに見る名無し
09/06/07 01:05:41 jI5+lfYl
野菜工場が本格的に稼働する前の話じゃね?
239:創る名無しに見る名無し
09/06/07 06:06:40 uuuq9Fwd
数年後、その種の技術を持った企業の株を所有していた投資家が、ハイパーウハウハタイムでこの世の春を謳歌しちゃうのですね。<野菜工場とか省エネ技術とか
240:創る名無しに見る名無し
09/06/07 06:14:58 jInrmmkt
転移後の食料難の中、全く新しい方法で食料生産の確保をしようとした中小企業があったー(BGM地上の星
241:創る名無しに見る名無し
09/06/07 08:58:28 tZyacsw2
徴兵したってまともに使えるようになるまで時間が掛かるだろが。
使えるようになるまで金も掛かるし。
242:創る名無しに見る名無し
09/06/07 09:50:50 q/20Rmtf
精鋭にするんじゃなければ使い道はあるんでね
243:創る名無しに見る名無し
09/06/07 10:54:52 jInrmmkt
後方の警備に使うなら徴兵でもなんとか
244:創る名無しに見る名無し
09/06/07 11:36:00 GaIIlqPo
異世界との戦力差がどこまでかにもよるが
最新ハイテク兵器でなくWW2直後のローテク兵器レベルにまで主力兵器を落としても
十分戦えそうだけどな
あぁもちろん現代技術でリファインしているという前提だが
245:創る名無しに見る名無し
09/06/07 11:48:51 WlrSxj8N
資源の確保をしないとスペックダウンもままならんぞ。
246:創る名無しに見る名無し
09/06/07 12:31:42 jInrmmkt
資源なら国内にアホみたいに転がってるから何とか
石油さえ何とかなるなら国内資源で10年位は持つと思われ
247:創る名無しに見る名無し
09/06/07 12:44:19 ksx3wdlt
神と霊魂・死後の世界 カトリック教会の奇跡
スレリンク(psy板:54番)
248:創る名無しに見る名無し
09/06/07 13:20:24 q/20Rmtf
レアメタルの再利用が本格的になりそう
249:創る名無しに見る名無し
09/06/07 13:23:42 rBooJPaq
仮に徴兵制が復活するとすれば、戦力確保よりもむしろ雇用の確保と失業者による治安悪化の防止が大きな理由になるだろうね。
250:創る名無しに見る名無し
09/06/07 13:24:33 CQyXtVA9
>>246
完全に自給できるのはセメントくらいじゃ
それとも石油不足で動かない民間車を回収・分解して弾にするとか?
251:創る名無しに見る名無し
09/06/07 13:43:16 A+F/sww5
>>250
破砕物埋め立て所をあさればかなりのレアメタルが確保できると聞いた。
252:とあるドワーフの日記 ◆8b20lCD.o.
09/06/07 14:43:36 V70BFzQc
('A`)Q:ナゼ作中ニ適当ナ名前ガ多イカ
A1:ソレッポイ名前ヲ考エルノガメンドウ
2:モデルトナルモノガアレバ読ミ手ガイメージシヤスイ
3:ネタデアル
4:ゼンブアリ得ナイ名前ニシテオケバ 後テ名前ノ付ケ方ガ ゙アリエナイト文句ヲ言ワレナイ
5:異世界デアル
・・・ノドレカ
253:とあるドワーフの日記 ◆8b20lCD.o.
09/06/07 14:44:23 V70BFzQc
△月×日
しぐをバラし、部品の組み合わせと加工の意味を考えているだけで、いつの間にか昼になってしまっていた。
昼食は鮭の塩焼きと味噌汁、醤油で煮たジャガイモの煮付けと葉物を使ったサラダにチーズ。
塩と醤油をたっぷり使ったニホン風料理。
此処の工匠はニホン軍の基地内なので出てくる食べ物は皆ニホン流になっている。
料理は魚が中心で、味噌や醤油を使うなど西側料理に近い。
朝から晩まで醤油醤油塩塩塩。
塩が主要な輸出品のニホンであるが、限度を知ってほしい。
幾ら、国の一つや二つ余裕で支えるだけの塩があるからといって使いすぎは良くないと思う。
たまには肉を食いたい。
ニホン人は一度に沢山の食品を買い付ける割りに食生活は意外と質素である。
彼らの料理を食べて驚いたのが、畑に撒く雑魚を食べるということだ。
エルブは貿易港の他に優秀な漁港があり、毎日多くの魚が水揚げされる。
通常、マグロやカシオ、アキアジなどは食用。
イワツなどの腐りやすい魚や小さな魚は纏めて肥料にされている。
肥料に出来る魚は大量に取れる代わりに腐りやすい。
ニホンが来る前までは集めて天日干しにして砕き、高級肥料として畑に撒いていた。
彼らはそれを買い取った。大量の塩にものをいわせて店ごと市場ごと。
沢山買い取って腐りやしないだろうか?
焼いたものを出してくれているがイワツを食べるのは心配だな。
254:とあるドワーフの日記 ◆8b20lCD.o.
09/06/07 14:45:09 V70BFzQc
△月◎日
今日は休日だ。
久々に工匠から出て外の空気を吸おう。
頭が詰まった時は気分転換に限る。
外にはニホンの面白いものが沢山転がっているだろうし、新たな発見を得られるかもしれない。
基地の中はニホン人だらけである。
黒エルフやドワーフの姿は要所に少し見えるだけで、
殆どが茶や緑のモザイク服と白衣を着た人種で占められている。
この基地はニホンの自治する街であり、
ギルドが許可した一部の商人と軍人、研究者以外は出入りが制限されている。
特に魔道関係の検査は厳しく、手形の提示とニホン人が使うアーティファクトの検査を抜けた後、
黒エルフの身体検査とドワーフ族の物品検査を通らなくてはならず、人と物の出入りは別だ。
大抵の魔道道具の持込は許可されるが、予め申請していない道具を持って入ろうとすると酷い目にあう。
前に同行していた黒エルフが飼っていた使い魔が不申請なだけで
ゲート前に許可が出るまで待たされた。丸半日もだ!
まったく!ロイの奴、面倒掛けてくれる。
研究棟の集まった食堂街を抜けると
白い四角い建物の群れの向こうに、四六時中頂上から火を噴く銀色のパイプが絡まりあった塔が見える。
呪われた地から毒を吸い出すそうで、黒エルフやドワーフ達も二つ返事で許可したニホン主導の大事業だ。
読売板(よみうりいた)によると黒エルフ派閥であるアカマル派とドワーフ族のユーミル派が
主導で行っていて、新たな利権が絡んでいるそうな。
なんでも、ニホン製の高品質な金属をどちらが手に入れるかで揉めているらしく、
黒エルフはニホンと強力なパイプを持っていて鉄の利権を言い張り、
ドワーフ族は古来からの慣例通り鉄やアーティファクトは我らが仕切ると主張し対立している。
今回の発端は大幹部であったアカマルがバッサン軍から無事脱出し凱旋帰国、
大国ニホンとの友好条約を締結した件で黒エルフ族の発言力が増し、ドワーフ利権に手を出したようだ。
それにしたって、エルフもドワーフも景気がいいものだと空高く伸びる塔を見て思った。
255:とあるドワーフの日記 ◆8b20lCD.o.
09/06/07 14:46:06 V70BFzQc
△月◎Ш日
今日も休みだ。ジェダイの桑井雁路(くわいがんじ、以下雁路)に聞いたら、太陽の日だから休みだとか。
ドワーフ職人に休みはない。エルフや人間とは違うのだ。
仕事が出来ないと思った日には仕事は進まないし、仕事を進んでしないと良い作品は出来ない。
思ったときには休日で仕事日だ。
職人は期日までに依頼を仕上げればいい。
だから明確な休日を決められるとドワーフは暇を持て余す。
そうだ。市場へ行こう。ニホン族の市場が開いているはずだ。
研究者や職人が集まる長屋から十数メール歩くと小さな広場に出る。
屋根といくつかの椅子が置かれた待合室の横にはレールと動力付きトロッコ、
“鉄道”が置いてあり、これで街の各所へ向かえるようになっている。
歩いて行っても良いのだが付くまで片道1時間以上は掛かる。
市場で商品を買い込んで、長屋へ帰るには少し遠い。
たった1時間歩くのを長いと感じるのはニホンの感覚に慣れたからだろうか。
いや、鉄道が便利すぎるせいだな。
鉄道を使うと歩くのが馬鹿らしくなる。
鉄道は乗合馬車に似た行き先が決まっている交通機関で、馬並の速度が出る。
しかも荷物は積み放題、途中で通行人に邪魔されないし目的地まで最短距離で行ける。
人込みの中を走るゴーレム力車より遥かに速く、私は街の住民であるため金も掛からない。
それにしても、トロッコ一台一台に動力を付けるのは無駄ではなかろうか。
ゴーレム一体に荷運びや列車引きを任せれば楽であろうに。
ゴーレム力車やゴーレム飛脚はちょっとした街ならどこでもあるのに。
ニホン人は妙なところで面倒だ。
ガタンゴトンと揺れるトロッコに乗って舗装された外を眺めた。
ジェダイの住む草木の色をしたテントに混ざって、
薄い茶色の金属板で覆われた金属の箱や、白い滑らかな表面をした壁の店が立ち並ぶ。
大小様々な色の家が建ち、雑多な印象を受ける。
256:とあるドワーフの日記 ◆8b20lCD.o.
09/06/07 14:46:52 V70BFzQc
ニホン街には変わったものが数ある。
金属で出来た箱型の建物も名物の一つだ。
しかし特色は何と言っても、道が綺麗で清潔なことであろう。
道路は白い家と同じく漆喰に似た黒い素材で塗り固められており、滑らかで石一つ雑草一本生えてない。
どの道も大きく、最も大きい道などは幅の広さで有名なバッサン帝都のゲンサク通り、その倍以上はある。
面白いのは、それほど大きな通りに関わらず糞や塵が一個も落ちていないことである。
なぜなら馬や牛が一匹も歩いていないからだ。
では代わりに何が走っているか?
“鋼の馬”油で走るオートマタ、自動車が走る。油とは明かりに使うアレだ。
当然、機械は竜や魔物と違って糞をしない。だから道は綺麗なのだ。
自動車とはゴーレムの一種で、人型ではない。形は牛や馬が引く台車に似ている。
これも鉄道と同じく個別に動力が付いていて魔力がなくても使える。
このようにニホンのものは殆どが魔力なしで動いていて、
物造りに携わるドワーフとしてはとても興味深い。
いくつかの小さな駅を過ぎると広場に出る。ジオダイクン城前にある青の広場ぐらい大きい。
昼になるといつも人でごったがえしていて、気をつけないと人込みで迷子になる。
背丈が低いドワーフにとって人間の人込みに混ざるのは大変だ。
買い物袋を持って歩くのは面倒なので背負い袋を持っていくのをオススメしたい。
箱型の自動車や鉄道、飛竜の乗り換えが出来る竜屋が集まっている。
広場から少し奥に行くとオオサカ名物オルドロス焼き(小麦粉で出来た丸い焼き物、足が入っている)や
トンカツ(豚に小麦を付け揚げた物)などの食べ物屋が軒を連ね、
カイナッツオ鍋の店は連日、非番のジェダイや研究者達が行列を作っている。
商店街を通るとやっと市場だ。
手前が街人向けの市場で最奥が商人用市場と港。
エルブの市場から直接、鉄道を通して運ばれた荷物を降ろすクレーン。
山と積まれた木箱や積み下ろし作業に従事するゴーレム、上も見えないほど積まれた金属の箱。
道にニホンの不可思議な自動車が忙しく行き交う。
257:とあるドワーフの日記 ◆8b20lCD.o.
09/06/07 14:47:38 V70BFzQc
ふらふらと歩いている内に商人用の市場まで来てしまった。
市場では妙な光景が繰り広げられている。
黒エルフ達とニホン人が激しく競り合っている、と思いきや
黒エルフがニ、三言話しただけでニホン人は頷き取引が終わってしまう。
同じ光景は他の場所でも起こっていて、市場の競り場にしては静か過ぎた。
チェス板状に区切られた道と吊るされた看板、水の満たされた箱に入ったカイナッツオや
ルビカンテ製の魔法具、バルバシリアから取れた鉱石、所々に置かれた見本用の品々。
目立つ場所にはガラスケースが置かれ、スーツ姿のニホン人や
露出が多い礼服を着た黒エルフ達が互いの商品を売り込みあっている。
彼らは皆仕立ての良い服を着ていて、私服で来た私はどうにも居心地が悪い。
そろそろ帰ろうかと思ったら帰り道が判らない。
ああ困った。広すぎなんだよここの市場は!
さて、どうしたものか。
道を聞こうにも壁際に立つジェダイに話しかけるのはちょっと怖い。
彼らは見た目こそただの人間と変わりないが、一人で飛竜を屠る猛者達なのだ。
「はい。買取は以上で?二級品でも三級品でもあるだけ欲しいと?はは、判ってますよ。今後ともごひいきに」
聞き覚えのある声。ロイだった。
今日の取引が終わったらしく、書類を秘書に渡して帰ろうとしていた。
「おおおっ。ロイ!ちょうど良いところに!案内板がなくて困ってたんだ!」
無事に帰れた。
彼曰く、案内板は頭上にあって背の低い私は気づかなかったらしい。
とんだ恥をかいた。
目安箱にドワーフ用の低い案内板も設置して欲しいと書いた手紙を入れた。
258:とあるドワーフの日記 ◆8b20lCD.o.
09/06/07 14:51:22 V70BFzQc
投下終了
保管庫の方。書き直す前の文も入れてくだすってもよかですよ。
前に書いていたのは現在の叩き台でもありますので。
259:創る名無しに見る名無し
09/06/07 17:22:41 jI5+lfYl
投下乙です。
いつ読んでも異人の目線の日本には妙にナゴナゴしてしまうw
元ネタはアカマルだけわからなかったよ続きwktk
260:創る名無しに見る名無し
09/06/07 17:24:32 UkEAaHo2
投下乙!
それにしてもジェダイってwwライトセーバーと作り始めそうだw
261:創る名無しに見る名無し
09/06/07 17:31:38 q/20Rmtf
熟練の技術者はミクロン単位の誤差を感じることができるというがドワーフはどうなんだろう
ナノ単位くらいは感知できるんだろうか
262:創る名無しに見る名無し
09/06/07 18:11:30 jInrmmkt
多分マイクロ止まりだと思われ
剣作るのにミクロン精度必要ないし
263:創る名無しに見る名無し
09/06/07 19:24:32 KHbbRlL7
太陽の日だから休みだとか。
ドワーフ職人に休みはない。エルフや人間とは違うのだ。
ドワーフって昔の日本人(キリストに関心ない)みたいだな
すっかり日付や結婚式場とかキリスト式になってしまった
異世界にも大安吉日や盆帰りとかあるのだろうか?
広場から少し奥に行くとオオサカ名物オルドロス焼き
タコはオルドロスと呼ぶのですか。
264:創る名無しに見る名無し
09/06/07 19:25:53 aLkd3O8V
カブあたりでもエンジン分解させたら熱中するだろな
265:創る名無しに見る名無し
09/06/07 21:22:10 D08FFYJy
◆8b20lCD.o.氏、改訂前分編集完了。
どうもスマートに編集できない・・・
更新履歴は華麗にスルーして下さると助かります('A`)・・・
266:日本が国ごと召喚 ◆mGG62PYCNk
09/06/07 23:12:43 X8qF8L+z
野菜工場の存在そのものを知らなかったよ!
書くんじゃなかった。無知が恥ずかしい。
これからも無知を晒すことになると思いますが、生暖かい目で優しくスルーをお願いします。
「この世界ではこうなんだ」フィルターを通してみてくださいまし……
なお、気付いたかもしれませんが米軍は存在しません。扱うとややこしいからです。
よってこの日本に存在する軍事力は自衛隊だけです。ご承知の程を。
では、投下開始。
267:日本が国ごと召喚 ◆mGG62PYCNk
09/06/07 23:14:14 X8qF8L+z
「ほうほう、これがテレビというものか」
興味深げに右から左からテレビカメラを眺め回すのはロゼッタだ。カメラマンが困惑した表情を浮かべている。
「中尉、それはカメラです。テレビに映すための道具です」
「なんと、ではわたしは今お茶の間にこの姿を晒しているという事か」
解説を入れる青谷。上陸以来何度こうやって解説したかわからない。
ちなみに使節は彼女一人ではない。というよりかなり大規模である。無駄に多いと言い換えていい。
大陸に存在するラウジッツ以外の主な国家は元より、
星の数ほど存在する小領邦が片っ端から使節を送り込んで来たのだ。
その中でもロゼッタの好奇心たるや凄まじいものがあり、
日本に上陸してからは嵐のような勢いで説明をぶつけてくる。付き合う青谷はへとへとだ。
『使節としての仕事はどうしましたか』
と皮肉を言えば、
『大使がいるぞ!』
と元気に返された。
じゃあ一体貴女の役割は何なのかと青谷は問い詰めたかったが、ハンバーガーを片手にコーラをがぶ飲みする
女三銃士を見ていると脱力の余りに何も言えなくなった。上陸一時間で馴染みすぎである。
もしやと思っていたが物見遊山が大きな目的だったらしい。
目立つ格好で自衛官を引き連れ、うろうろとその辺をぶらつく姿は容易に目立ち、
駆けつけてきたマスコミがカメラとマイクを突きつけるに至って、青谷はもうどうにでもしてくれという気分になった。
「初めまして! 日本人の諸君! わたしは帝国の使者ロゼッタだ!」
よく通る声でカメラに向かって語るロゼッタ。
「この世界へようこそ! 我々はあなた方を歓迎する。仲良くしよう!」
だが、国民向けの使者としてはこれ以上の適材はないかもな、と思い、青谷は苦笑した。
この分なら大陸との関係も楽観視していいのかもしれない。青谷も、テレビを見る人たちも皆そう思った。
吉田の戦場は行政の場だけではない。国会もまたそうだった。
転移という異常事態にも関わらず吉田率いる与党の動きは早く、これほどの事態にも関わらず国内の治安が保たれ、
外交的にも成功を収めているのは、外交下手を指摘されてきた日本政府としては異例なまでの優秀さといって
よかったが、それでも社会に歪みは出る。
貿易商社の類は大打撃を受けた。多国籍企業もまた壊滅的被害を蒙っている。
中小企業の多くは経営が立ち行かなくなった。
また、抱えていた外国資産が全て紙くずと化した衝撃は極めて大きく、
総じて経済界は大混乱である。首を括るものも多数出た。
それらに対する対処は、今のところ未定である。そして、何よりも食料への不安。
当然、野党は与党を攻撃した。
268:日本が国ごと召喚 ◆mGG62PYCNk
09/06/07 23:15:03 X8qF8L+z
「総理! 総理はこの未曾有の大混乱の責任をどう取られるお積りですか!?」
ヒステリックに叫ぶのは野党連合第二席に位置する民社党の党主。きゃんきゃんと吼える姿は
躾けもされず、甘やかされ放題で育ったプードルやスピッツを思わせる。だが顔は遥かに醜悪だ。
「食料の備蓄はもう僅かしかないって言うじゃないですか! それにエネルギーも!
普段からキチンと蓄えておかなかった政府の責任じゃないですか!? えぇ!?
巷じゃ食料不安から暴動が起こったり犯罪が頻発したりして、国民は不安な夜を過ごしているんですよ!?」
殆どヤクザじみた口調にあわせ、そうだそうだ、責任を取れ。という怒号が沸き起こる。
(なら普段からお前らもそう主張しておけ)
責任を回避するつもりはない。だが事が起こってから鬼の首でも取ったように正義の味方気取りで
問題を指摘するのはどういう根性なのだろうか。大体テレビ中継もされている場で、食料不安だの
暴動だのとがなり立てて国民を不安にさせるのが吉田には腹立たしい。
内心の怒りを隠しながら答える。
「その件に関しましては全責任は我々にあると強く認識しております。
ゆえに、この問題の解決に全力を尽くし、大陸との貿易を強化することによって、
国民の皆様に変わらぬ日々を送っていただけるよう、尽力する次第で御座います」
責任をとれていない、詭弁だ、辞めちまえ。という野次の中、吉田は着席する。
「総理! それに自衛隊です! この世界の人たちは酷く遅れてるんでしょう!?
だったら自衛隊のような過剰な戦力は不要です! 不要! とっとと軍備を縮小したらどうですか!?
彼らに無用の脅威を抱かせる原因になります! それとも総理は大陸侵攻でも企てているのですか!?」
「そのような事実は一切存在しません。また自衛隊は大陸諸国との協議を経た後、
十分な信頼関係が醸成されたと判断されれば、段階的に必要なレベルまで縮小する予定であります」
やはり馬鹿だ。大陸侵攻を企てているのか、だと。
企てているに決まっている。ただし飽くまで可能性のひとつとして、だ。
突如として外交が完全に行き詰まり、食糧供給が止まって緊張が高まったならば、
1億2千万の人口を食わせることは不可能になる。もしそうなったなら吉田は悪名を被ろうと、
大陸に侵攻することをためらうつもりはなかった。
無論、吉田としては大陸との協調が最善と信じているが、
オプションの一つとして、その考えは常に頭に置いているのである。
(もっとも、防衛大臣の言によれば難しいようだが)
兵力が足りません。無理です。その一言につきた。自衛隊の兵力は25万。予備を併せても30万程度。
日本を防衛するにも若干の不足を感じるのに、増してや大陸に侵攻して土地を占領するなど夢物語だった。
もっとも大陸は自衛隊の戦力の実態を掴めず、過剰評価している。
現状では戦わないほうがブラフとして有効ゆえ、その意味でも戦争はありえなかった。
269:日本が国ごと召喚 ◆mGG62PYCNk
09/06/07 23:16:36 X8qF8L+z
(しかし、野党がヒステリックなのはいつものことだが、ここのところは特に酷いな)
異常事態なのだから当然と言えば当然、と思う一方、やはり腹立たしくもある。
このような時なのだから批判を繰り返すだけでなく、何か建設的な意見を言うべきではないか。
今は与野党共に難局に立ち向かうべき時なのに。
へこましてやる。そう思いながら吉田はマイクの前に進み出た。
「ご批判を色々と頂戴いたしましたが、さて、では野党にお聞きしたい。
この危機を乗り切るため、野党としてはどのような案をお持ちでしょうか?」
「それはですね! 自衛隊を削減して! 憲法九条を死守して! 無駄遣いを減らして!」
「自衛隊の削減は現在検討中です。また無駄遣いとは何でしょうか? 具体的に仰って下さい。
そして憲法九条は本件には無関係と考えます」
醜悪なプードルが口をぱくぱくさせている。吉田は少し溜飲が下がった。
「政府としては食料の輸入のほか、野菜工場に品種改良など、多角的にこの問題に取り組んでおります。
エネルギー問題に関してはそもそも大陸側に我々にとって有益なエネルギー資源を採掘する技術がないため、
難航しておりますが、当面は電力供給の時間的制限などで乗り切り、
技術供与とその後の貿易で解決する予定であります。もっとも、同じ資源が存在すれば、ですが。
さて、野党としてはいかがお考えですか? 是非お聞かせ願いたい」
プードルは何も言い返せない。視線で殺してやると言わんばかりの顔で睨むばかりだ。
吉田は冷笑し、着席しようとして、
「案ならあります」
横合いからの声に引き止められた。
「民栄党の田中です。発言をさせていただきたい」
(野党連合のリーダーか)
厄介な奴が来たな、と思う一方、案があるのなら是非聞かせて欲しいと吉田は思った。
民社党のプードルとは違う。田中は実力ある政治家だ。
かなり強引な手も使うが、政治家としての手腕は吉田も評価している。
「首相、輸入だ何だといっても、それでは国民は安心しません」
「どういうことでしょうか?」
「国民は気付いてしまったのですよ。自分たちの国がいかに危うい基盤に載っているかを」
確かにそうだ。今まで何の心配もなく食料が手に入り、電気を無制限に使って何の疑問も覚えなかった
国民は、今回の一件で自分たちの国の欠陥を認識した。
この国だけでは、食料を供給できない。エネルギーもだ。国際社会とはそういうものだが、もうそれがない。
新たな世界で生活するに当たって、国民は自給自足を望むようになってきている。
だが現実問題としてそれが不可能だからこそ、吉田は大陸との協調を望んでいるのだ。
「仰る事は正しいと思いますが、では我々はどうすれば?」
「簡単なことです」
田中は自信満々といった様子で答えた。
「我々には自衛隊があるじゃないですか、アレを有効活用するのですよ」
270:日本が国ごと召喚 ◆mGG62PYCNk
09/06/07 23:18:14 X8qF8L+z
アンシャム伯領は大陸でもっとも小さな独立国である。
その面積は日本で言う和歌山市の半分程度、人口は一万人にも届かず、これといった産業もない。
だが、その歴史は大陸でも最も古く、権威もまた皇帝家を越える程であり、外交交渉の地として幾度も選ばれてきた。
そのアンシャムはこの日、ひとりの客人を迎えていた。
「我が家の蔵書室はお気に召しましたか、皇帝陛下」
館の主人アンシャム伯爵が林立する本棚の森の中に佇む客人に挨拶をする。
ユグドラ帝国皇帝、ルクツァ一世がそこにいた。手元には数冊の本がある。
「ああ、帝都の図書館もこれほどのものはない。流石、古代帝国の末裔だけはある」
行政府で執務を行っていたアンシャムは不意の訪問を受けていた。事前の連絡もなければ、供回りも僅か、
お忍びであることは明らかである。相手が相手ゆえ、先に自分の城館で待って貰うよう伝えていたが、
行政府から駆けつけてみれば、何故か皇帝はたった一人で蔵書室にいた。
「それで、ご用向きはいかに? まさか我が家で本探しではありますまい」
「いや、そのまさかだ。わたしは望んでいた本を貴公の蔵書室から見つけたよ。これだ」
ルクツァが手元の本を示す。『トールボット物語』、『ファルデアの神話』と記された古めかしい本がそこにあった。
「貴公はこの本を知っているか?」
「はぁ、一応は。しかし荒唐無稽で、とても皇帝陛下のご興味をひくとは」
「少し読んでみろ」
気は進まなかったが、アンシャムは差し出された『トールボット物語』を開く。
ルクツァの示した二冊の本は何れも遥か太古にまとめられた神話や民話の類だ。
『トールボット物語』は英雄騎士物語。『ファルデアの神話』は古代に信仰されていた神々の話である。
中々面白いエピソードもあるが、総体として幼稚であり、
子供の寝物語には丁度いいが、立派な大人の読む本ではない。
だが、読み進めるうちにアンシャムは目を見開く。
「ご冗談を、これは新しく書き下ろされたものではないですか」
その本は見かけこそ古めかしいが、中身は彼の知る物語とは別物だった。
読み物として面白い。苦難、裏切り、友情、逆転、勝利。様々な困難に打ち勝ち、
勝利する英雄トールボットが活き活きと描かれている。
オリジナルがエピソードの集合体だったのに対して、こちらは海の向こうからやってきた
国ほどもある悪竜との対決という点で首尾一貫しているらしく、読み応えがありそうだ。
271:日本が国ごと召喚 ◆mGG62PYCNk
09/06/07 23:19:34 X8qF8L+z
「その通り。こちらの本も少し目を通せ」
言われて『ファルデアの神話』をぱらぱらとめくる。
(やはり、違う)
意味不明で未整理、矛盾が多かった上にエピソードがそれぞれ独立していたオリジナルの神話より
遥かに読みやすく、体系的に整理されている。
何より、善なるファルデア神と悪なる海神との善悪二分論が旧来の神話との決定的な違いだ。
「皇帝陛下、こんなものが我が家で見つかるわけがありません」
「だろうな、だが、これは貴公の家で見つかったものなのだよ。貴公がその保障をしろ」
「仰る意味がわかりかねます。それでは神話伝説の捏造、歴史の捏造です」
「今まで誰も省みることのなかった過去だ。捏造して何が悪い」
ルクツァの怜悧な目がアンシャムを貫く。アンシャムの背に冷たい汗が流れた。
ルクツァは25歳。アンシャムより20程若い。だが、時折見せる視線は確かに皇帝のそれだ。
「詰まらなさの余りに図書室に放置された神話など不要だ。これから新しく古い神話を我々は研究する必要がある。
私はその二冊の本を始め、多くの『古い』本を国中、いや、大陸中の大学にばら撒き、いずれは農夫の子でも知る
程のものとする」
「何故、そのようなことをする必要が? こんな古い物語だというのに」
「転ばぬ先の杖という奴だ」
ルクツァは不機嫌そうに眉を寄せた。
「『この世界の人たちは酷く遅れてるんでしょう!?』か。舐めたことを言ってくれる。
だが我々が奴らに対抗するには、団結する必要がある。個別ではとても勝てない……」
272:日本が国ごと召喚 ◆mGG62PYCNk
09/06/07 23:22:54 X8qF8L+z
投下終了でっす。
にしても皆さんの先読みの力にはびっくり。
自分としては「自衛隊が今すぐ大陸に侵攻!?圧倒的じゃ」と思わせて、
「でも兵力的に占領が無理、自衛隊はそんなに圧倒的じゃない」と読者に悟らせる予定でしたが、
言われるまでもなく皆承知していたようで。
つーか書くごとに作者の無能が露呈?
ガラスの心臓なので書く度に批判がきたらどうしようかとびくびくしています。
では、本日の投下はこれにて。