THE IDOLM@STER アイドルマスター part2at MITEMITE
THE IDOLM@STER アイドルマスター part2 - 暇つぶし2ch344:100ある961の話なら(1/2)
09/06/22 17:39:11 8zfyL3V2
「あふぅ。今日もお掃除、お留守番、タイクツなの……」
 
 窓を拭く夢を見ながら、夢の中で美希は呟いた。
 
 ゲイノウ国のプリンス『プロデューサー』の『アイドル』を探すオーディション。
 その名も『アイドル・アルティメイト』。今日はその決勝戦がお城で行われている。
 
 “プロデューサーに選ばれたアイドルは、幸せな人生を送る事が出来る”
 ゲイノウ国にはそういう伝承があり、年頃の女の子はみな、プロデューサーのアイドルになる事を夢見た。

「ミキも行ってみたかったな……王子サマ、どんな人なんだろ」

 美希はアイドル候補生であり、アイドル・アルティメイトには美希の先輩達が何人か参加していた。
 だが美希だけは見学も許されず、いつものように事務所で一人、お留守番と雑用を命じられていた。

「ミキだって、ステキな王子サマにプロデュースしてほしいのに……」

 ゲイノウ国は、何故かどの代のプリンスもプリンセス(花嫁)を現役アイドルから選ぶ。
 いつからある伝統か定かではないが、巷では「王家はロリコンの血筋」という黒い噂まで流れている。
 したがってこの国で『アイドル』とは“未来のプリンセス”という意味も含まれているのだ。

 ぐぎゅるるるるる~~。 

「うう、夢の中とはいえお腹減ったの。そういえば今日、何も食べてないの……」

 空腹で目覚める。夜食にとっておいたおにぎりを取りに事務所の冷蔵庫を開ける。
 しかし、そこには―。

「あれあれ!? 無い……ミキのおにぎりが……ないっ!!」

 あるはずのおにぎりが無い。好物であるおにぎりに関して、美希は結構うるさい。
 研ぎ澄まされた思考が、その謎を解き始めた。

「そういえば……社長、出かけるとき、口にごはん粒と海苔がついてたの……」

 美希は己の境遇を嘆いた。アイドルとしてデビューさせてもらえないばかりか、さらにこんな酷い仕打ちを受けるなんて。
 保っていた心の線が切れた。美希は家出を決意し、事務所を飛び出した。

「ひどいよっ! ミキばっかりこんな……今頃みんな、会場のお城でご馳走をタラフク食べてるの!」
 
 夜も更け始めていた。寒空の中、美希はアテもなく孤独な夜を彷徨う。

「おやおや……何を泣いているのかな、子猫ちゃん……?」

 今居る場所も、自分がこの先どうなるかも分からない。
 走りつかれた美希がうずくまり泣いていると、美希の前に怪しげな男が現れる。
 
 それは、黒い魔法使いだった―。

345:100ある961の話なら(2/2)
09/06/22 17:48:43 8zfyL3V2
「何を泣いているのかな、こんな場所で」
「おじさん、誰……?」
「お、おじさんでは無い! 私の名は黒井。魔法使いだ」
「黒い、魔法使い?」
「そうだ。キミはアイドルかね?」
「ううん。ミキはまだ、アイドルじゃないの……」
「まだ、というと?」
「事務所の社長さんがね、ミキはまだ心構えがどうの~とか言ってデビューさせてくれないの。
 それに、ミキに雑用ばっかりおしつけて、おにぎりも食べちゃったんだよ!?」
「ふーむ。それは酷い話だねぇ。それで、美希ちゃんは家出……をしてきたのかね?」

 美希は黒い魔法使いを探るような眼差しを向け、こくりと頷いた。

「ノン! それはいけない。私の見た限り、キミは『トップアイドル』になれる器だ。
 キミをデビューさせなかったのは、そのプロダクションの社長がボンクラだったのだよ」
「そ、そうかな? ジツは、美希もうすうすそう思ってたの」
「フフ。素直な子だね美希ちゃんは。だが逃げ出すのは頂けない。
 欲しいモノは、どんな手段を使ってでも手に入れなければ! 
 どうだね? 私は、キミの願いをかなえられるが。キミが望むなら、ね……。
 今からそいつらをぶっとばしに行かないかね?」

                  ☆★☆

「退屈だな」
「は、すみませんプロデューサー……今年はアイドル不作の年でして……。
 しかし、あの頭のリボンがトレードマークのアイドルはどうでしょう? なかなかいい表情をしますよ」
「あれはウラがありそうだ。嫁にしたら王家滅亡の予感がするぞ、大臣」

 大臣の必死のフォローをプロデューサーは一蹴する。
 それでも大臣はめげず、めぼしいアイドル達を指差し挙げていった。

「ではあのアイドルはどうでしょう。ダンスはいまいちですが、歌唱力とスタイルは図抜けています」
「ふむ……大臣、あのアイドルの名は?」
「は。三浦あずさ、20歳です。いいですな~癒し系お姉さん……!」
「大臣……20歳と申したか?」
「は。それが何か……?」
「残念だと、一言」

 やはり王家のロリコンの血筋は健在だ、と大臣は嘆いた。
 その後の大臣の必死の推挙もプロデューサーはつまらなそうに否定し、
 重い空気のまま、アイドル・アルティメイトは終焉を迎えようとしていた。

「愛してると言われると―まっすぐ過ぎて反吐が出るものね―」

 突如、沈殿した華を蹴り散らすように会場の扉が開かれ、
 アイドルの物とは思えぬ力のある歌と歌詞が、城内に響き渡る。

「なんだこれは、大臣! 余はこんな事聞いていないぞ!?」
「私も存じませぬ。オーディションに乱入……でしょうか、アイドルの」
「ほう。アイドルが乱入とはな……前代未聞だ―だが面白いぞ! そこなアイドル、名を何と申す!?」

 会場中の視線が飛び入りのアイドルに注がれ、
 さっきまでほぼカビていたプロデューサーの生気も復活し、眼に輝きが戻る。

 飛び入りアイドルはプロデューサーを指差し、ゆっくりと、大きくはないが力強い声で言った。

「―ミキの名前は星井美希―見つけたよ。ミキの王子サマ!」

346:100ある961の話なら(あとがき)
09/06/22 17:58:03 8zfyL3V2
一度はノッてみたいさ!

シンデレラって確かこんな話……じゃなかったよね、絶対(ぁ
こんな話に2時間以上かけてる自分は一体……。

もっと色々やりたかったけど、この終わり方が楽―じゃなくて楽しいかなって思った。
まぁイベントはノリが大切って事で大目に……ダメ?
じ、次回こそ本気出す!!

347:創る名無しに見る名無し
09/06/22 18:20:00 87ZEQYGl
>>346
いやいや瞬発力も大事だッ!GJ!話もだいたい合ってるぞw

黒井社長と961美希が主役を張るなんざなかなかありませんな。
欲を言えばこのものすごい配役の末の結末が気になるところだが
……まあよい、こういうのもアリだ。

またよろしく~。

348:創る名無しに見る名無し
09/06/22 23:58:46 31VDKh4W
>>346
元気があって大変よろしいと思いますwっていうか美希前向きすぎて腹抱えて笑いました
黒魔法使いwの胡散臭さもなかなかイイ味出してます
きっちり造り込んだ話はもちろんいいものだと思いますが、時にはこういう勢いで
ひたすら突っ走るだけの話もイイ感じですって言うかだいたい合ってる!
まあ、最初に夢オチなことが明示されてますけども「そういう設定の話なんです!」で
押し切っちゃうのもアリだったかもですね。ラストシーンのいい意味でムダなかっこよさも
含めてかなりウケました。
あと、もちろん次回の本気も期待します。

そういやシンデレラだと至極真面目にプロデューサーを魔法使いに
アイドルをシンデレラに見立てた話なんてものあった気がっていうか、あれ夜Pんとこだったかな?


349:創る名無しに見る名無し
09/06/23 00:19:51 be6N3SRU
シンデレラとか言われると、にひひっ、と笑うツンデレラしか思いつかない発想貧困な俺ですが、
ネタ的に何でもアリっぽいので、参加させていただきます。
空気読めてなかったらすみません。
「芸能界鬼退治譚」2レスで。

350:芸能界鬼退治譚(1/2)
09/06/23 00:21:08 be6N3SRU
「た、助けてくれー!!」
彼はピンチだった。
ピンチと言っても生易しいものではない。川の濁流に呑まれ、流されていた。文字通り生死の境である。
かろうじて、流されていたピンク色の物体に掴まり、その浮力の助けを得て顔を水面上に出してはいるが、
力尽きるのも時間の問題と思われた。

「君、大丈夫か!?これに掴まりたまえ!」
声がした。男は必死で、声のする方から伸びて来た竿に手を伸ばした。
ギリギリ、手がその竿に届いた。

「助かった・・・あ、ありがとうございます!」
「うむ、良かった。ほう・・・何といい面構えだ。」
「は?」
「ピーンと来た!君の様な人材を求めていたんだ!」
命の恩人の頼みとあれば、断れる人間などそうはいない。
彼は、助けてくれた男の芸能事務所で、プロデューサーとして働くこととなった。

「社長、元気がありませんね。どうかなさったのですか?」
ある日、男は命の恩人である社長が元気をなくしているのを見かねて、尋ねてみた。
「うむ。今、芸能界は、悪い961プロに、いい様に荒らされているのだ。何とかしなくてはいかんのだが、
いかんせん奴らは金の力が強く、誰も手を出せないのだよ。」
「わかりました。私が、みんなのために961プロを倒してみせます!」
「そうか、やってくれるか!では、早速よろしく頼むぞ。ついては、我が社にはアイドル候補生がいないので、
スカウトして来てくれ。この、事務員の彼女が作ってくれたキビダンゴを、好きなだけ使っていいぞ!」

男は、近くの公園に行った。すると、女の子が歌を歌っていた。
「あー。あー。ドレミレドー。」
「そこのリボンを付けた君、良かったらアイドルやってみないか?」
「え、あ、アイドルですか?」
「今我が社でアイドルデビューしてくれるなら、特典としてキビダンゴが付いてくる!どうだ?お得だろ?」
「わかりました!私、頑張ります!」

こうして、頼もしいアイドル候補生達が揃った。
「絶対勝ちましょう、プロデューサーさん!」
「兄(c)よろ→」
「歌える機会さえ与えて頂けるなら、私も全力を尽くします。」
「では、いざ、961退治に出発!」


戦いは熾烈を極めた。
そして・・・

『ドキドキするだろ?今回の合格者は・・・・・・・1番!おめでとう!』

「やった!やりましたよ!プロデューサーさん、私たち、勝ちました!」
「ああ、勝ったんだ!あの961プロに!」
「フン、くだらんな。たった一度勝ったくらいで、いい気になってもらっては困る。」
「そうは行くか!やい、黒井め!今まで悪辣な手段で巻き上げた有り金を残らず置いて行け!」
「な、何をバカな事を!」
「さらに、あのアイドルの女の子3人も、ウチの事務所にもらって行くぞ!それ!やっちまえ!」
「ひーっ!暴力反対ー!」



351:芸能界鬼退治譚(2/2)
09/06/23 00:22:04 be6N3SRU

「これで、芸能界にも平和が訪れる・・・。」
「あの、貴方様、私どもを、悪い961プロから救って頂き、ありがとうございました。」
「いえいえ、当然のことをしたまでです。」
「お礼に、私どもの歌謡と舞踊を披露させて頂きます。それと、これは土産品の玉手箱でございます。」
「な、なんかいつの間にか違う話になってないか?」
「その箱は、絶対に開かないで下さいませ。」

「あ、兄(c)、兄(c)、この箱な→に→」
「もしかして、これも優勝商品かな?ちょっと開けて見ちゃおう!んふふ~。」
「こら!ダメだ、開けちゃ・・・くっ、間に合わない?!」

「ダメだよ、二人とも!これはプロデューサーさんが開けちゃダメだって!」
間一髪だった。リボンの彼女が、既に封の紐を解かれた箱を、双子から取り上げる事に成功した。
「え→?ケチ→!」
「ダーメ!じゃあ、プロデューサーさん、この箱はお返ししま・・・あああっ!?」
どんがらがっしゃーん
お約束通り、箱は美しい二次曲線を描いて宙を舞い、その曲線は男の頭部が存在する座標を含んでいた。
男の額に命中した箱は、そのはずみで蓋を開いた。
ぼわん
白い煙が男の周囲を包む。

「うわ→?!兄(c)が、じい(c)になっちゃった→!!」


その後

彼は、961プロから取り上げた資金を元に、芸能事務所を立ち上げた。
苦楽を共にしたアイドル達も、再び候補生に戻り、新たな面々も加えて彼の事務所の所属となった。
しかし、彼女達の記憶からは、彼とともに過ごした日々は存在しなかった。
彼は老いた己の姿を恥じたのか、常にシルエットでしか他人に姿を見せなくなった。
そして今日も、老いた自分に代わって、彼女達をプロデュースする人材を求め続けている。



352: ◆bwwrQCbtp.
09/06/23 00:27:34 be6N3SRU
格好つけてみても、他人の真似してみても、結局自分の力以上の物は書けない。
というわけで、もう自分の文体全開で書きました。
時間をかけなかったんでそうなった、という部分もありますが。

原作には、鬼ヶ島が竜宮にあったとか、宝と一緒に姫を連れ帰ったとか、
そんな話があるらしく、その辺から連想を広げた結果、こんな感じに・・・


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