THE IDOLM@STER アイドルマスター part2at MITEMITE
THE IDOLM@STER アイドルマスター part2 - 暇つぶし2ch334:創る名無しに見る名無し
09/06/20 18:03:12 1g2zbhTc
そうだよなー寓話Pがfairyt@leに食いつかないはずないもんなー。
企画者さまの生産能力も瞠目でしたが今見たら合計50作!
同じくアレ見てて「文字書きは参加できんのか……ッ」と思ったもんです。そうかここでやりゃいいのかw



>太陽の鳥
種明かしは不要ですが、社長の探し物がなんだったのやら。ブラフでもなさそうだし、響を見て誰かを思い出した
ようでもあるけど彼女が鳥の話を聞く前から探してるし。響が765に来た時からなにかティンときて探していた
ものがあるのかな。
主軸のお話はいいですね。金の卵の2つの話は、知識にはあるけれどなかなかリンクしないポイントをついた
ナイスアイデアって感じです。響はこういう役回りに適任ですねw
さすが寓話Pと思ったのは(細かい部分なのですが)かわいそうな方のニワトリがどうなったか描写せずに
表現している部分でしたね。俺ならあっさり切るだの裂くだの書いちゃうでしょう。書き手氏の優しさを感じました。

しかし
>「やいやいプロデューサー!(ry」
なんという超トバッチリ(ノД`゚)



>虹色の鳥
こちらの方が明快で個人的には好きですね。やはり童話はわかりやすさが重要です。
虹色の鳥は、歌を歌うことや、歌を歌えなくなることや、お金や地位や名声は重要ではなかったのでしょう。
青年と共にあることが、鳥にとっての幸せだったのでしょう。
虹色ではなくなったのかもしれませんが、鳥はいま幸せですし、青年には虹色の羽根が見えているようです。
他の誰でもなく、本人たちが幸せなのはなによりのことですね。



美味しくいただきました。ごちそうさまです。

335: ◆DqcSfilCKg
09/06/21 10:59:58 SoM/lWpH
前作への多くのご感想、ご意見ありがとうございました。
今回は寓話P様の【fairyt@le】に参加させていただきます。
題名は「100万回アイドルだった女の子」。使用レスは4レス。
ニコ動ネタが多数ですので、閲覧には注意してください。
投下後、終了宣言+レスのお返しです。


以下、感想です。
>>328
読者にそれとなく示唆する難しさというのは嫌と言うほど味わっているのですが、
この作品はそれが無粋になる一歩手前で表現できてて、読んでて気持ち良かったです。
後者のお話と比べると読者の想像に任せる比重が高く、とっつきにくい印象もあるのですが、
先述した一歩手前の表現が上手く働いていてすんなりと物語に入れました。
あと響が可愛く書けるのが羨ましい限りです。

>>331
>>334様も申しておりますが読みやすさではこちらが優れており、世界観もしっかりしていて、
さすが寓話P様と言うべきでしょうか。童話独特の筆致が大きな時間経過をしっかりと支えていて、
伝えられていくものがハッキリとしているのが良かったです。
赤い小鳥もいずれ、七色以上の歌声を響かせてくれることを期待しております。

336:100万回アイドルだった女の子(1/4) ◆DqcSfilCKg
09/06/21 11:00:41 SoM/lWpH

100万回もアイドルだったおんなのこがいました。
100万回も いんたいして 100万回も デビューしたのです。
りっぱな アイドルでした。
100万人の 人が そのおんなのこを かわいがり
100万人の人が そのおんなのこが いんたいしたとき なきました。
おんなのこは 1回も なきませんでした。

あるとき おんなのこは ぐみんの アイドルでした。
おんなのこは ぐみんなんか きらいでした。
ぐみんは どげざが じょうずで いつも ひざまづいていました。
そして おんなのこを りっぱな かっかに して にこにこに つれていきました。
ある日 おんなのこは とんできた あかばんに あたって しんでしまいました。
ぐみんは にこにこの まっさいちゅうに おんなのこを だいて なきました。
ぐみんは どげざを やめて さんじげんに 帰ってきました。
そして おんなのこは アイドルを やめました。

あるとき おんなのこは しんしの アイドルでした。
おんなのこは しんしなんか きらいでした。
しんしは にこにこじゅうの ぱいたっちと にこにこじゅうの へんたいたあれんに おんなのこを つれていきました。
ある日 おんなのこは ねたが なくなっていました。 おんなのこは ぼつこせいだったのです。
しんしが いそいで ぐらびあみずぎを もってくると 
おんなのこは だれからも みむきされなくなっていました。
しんしは ぼろぞうきんのようになった おんなのこを みて
大きな声で なきました。 そして遠い とかちごーるどの
そらの下で アイドルを やめました。

あるとき おんなのこは アケマスの プロデューサーの アイドルでした。
おんなのこは アケマスなんか きらいでした。
あけますぴーは 毎日 きょうたいの中で 
おんなのこを プロデュースしました。
それから Bランクにしようと がんばっていました。
ある日 あけますぴーは きょうたいが なくなっているのに
きづきました。
あけますぴーは つかえなくなった かーどを 両手に だいて
大きな声で なきました。
もうどこにも きょうたいは ありませんでした。
アケマスピーは はこまるを かって かーどを すてました。


337:100万回アイドルだった女の子(2/4) ◆DqcSfilCKg
09/06/21 11:01:24 SoM/lWpH

あるとき おんなのこは にこちゅうの アイドルでした。
おんなのこは にこにこなんか だいきらいでした。
にこちゅうは アイドルと いっしょに 色んなどうがを しずかにみてまわりました。
にこちゅうは ぐっずをかわずに にこにこだけで すませていました。
どうがが けされる までに にこちゅうは どうがを おとしていました。
ある日 アイドルは あきられていました。
にこちゅうは はつねみくをだいて うたわせていました。
夜の部屋を 大きな声で うたわせながら にこにこをめぐっていました。
そして おんなのこは ひっそりと いんたいしました。

あるとき おんなのこは ひとりぼっちの ひきこもりの アイドルでした。
おんなのこは ひきこもりなんか だいきらいでした。
ひきこもりは 毎日 あいますで ずっと あそんでいました。
おんなのこは 一日じゅう ひきこもりの前で うたっていました。
やがて おんなのこは ですりんぐで アイドルをやめました。
にーとの ひきこもりは うつらない がめんをみて
一日じゅう なきました。
おんなのこは いんたいしてしまいました。

あるとき おんなのこは 小さな 女の子の アイドルでした。
おんなのこは 子どもなんか だいきらいでした。
女の子は アイドルを そだてたり しっかり プロデュースしました。
おーでぃしょんに おちても がんばりました。
ある日 アイドルは Eランクで おわってしまいました。
そっけないたいどの アイドルに 
女の子は 一日じゅう なきました。 
そして アイドルは いんたいしてしまいました。

おんなのこは いんたいなんか へいきだったのです。


338:100万回アイドルだった女の子(3/4) ◆DqcSfilCKg
09/06/21 11:02:46 SoM/lWpH

あるとき おんなのこは だれの アイドルでも ありませんでした。
ふつうの おんなのこ だったのです。
おんなのこは はじめて 自分の アイドルに なりました。
おんなのこは 自分が だいすきでした。

どんな プロデューサーも おんなのこを アイドルに したがりました。
たくさんのげいつを プレゼントする プロデューサーも いました。
えむえーを いっぱいかう プロデューサーも いました。
めずらしいのにじゅーすを おみやげにする プロデューサーも いました。
りっぱな うたを ほめてくれる プロデューサーも いました。

おんなのこは いいました。
「わたしは 100万回も いんたいしたの。いまさら おっかしくて!」
おんなのこは だれよりも 自分が すきだったのです。

たった ひとり おんなのこに 見むきも しない
まだ一回もぷれいしていない プロデューサーが いました。
おんなのこは プロデューサーの そばに いって
「わたしは 100万回も いんたいしたのよ!」 と いいました。
プロデューサーは
「そう。」
と いったきりでした。

おんなのこは すこし はらをたてました。
なにしろ 自分が だいすきでしたからね。
つぎの日も つぎの日も おんなのこは プロデューサーの ところへいって いいました。
「あなたは まだ 1回も ぷれい していないんでしょ。」
プロデューサーは
「そう。」
と いったきりでした。

ある日 おんなのこは プロデューサーの前で 
どんがらがっしゃーんと 3回 ころんで いいました。
「わたし みんごすの アイドルだったことも あるのよ。」
プロデューサーは
「そう。」
と いったきりでした。


339:100万回アイドルだった女の子(4/4) ◆DqcSfilCKg
09/06/21 11:03:28 SoM/lWpH

「わたしは100万回も・・・・・・。」
と いいかけて おんなのこは
「そばに いても いい?」
と プロデューサーに たずねました。
プロデューサーは
「ああ。」
と いいました。

おんなのこは プロデューサーの そばに いつまでも いました。

プロデューサーは かわいい どうがを たくさん つくりました。
おんなのこは もう
「100万回も・・・・・・。」
とは けっして いいませんでした。

おんなのこは プロデューサーと たくさんの どうがを
自分よりも すきなくらいでした。

やがて どうがは けんりしゃさくじょで どこかへいってしまいました。
「またあたらしいどうがをつくればいいわよ。」
と おんなのこは プロデューサーを なぐさめました。
「ああ。」
と プロデューサーは いいました。
そして ぐしゃぐしゃと おんなのこを なでました。

プロデューサーは すこし おじいさんに なっていました。
プロデューサーは いっそう やさしく おんなのこを なでました。
おんなのこは プロデューサーと いっしょに いつまでも 生きていたいと 思いました。
ある日 プロデューサーは おんなのこのとなりで しずかに うごかなく なっていました。
おんなのこは はじめて なきました。 夜になって 朝になって
また夜になって 朝になって おんなのこは100万回も なきました。
朝になって 夜になって ある日の お昼に おんなのこはなきやみました。

おんなのこは プロデューサーの となりで しずかに うごかなくなりました。

おんなのこは もう けっして アイドルに なりませんでした。


340: ◆DqcSfilCKg
09/06/21 11:04:51 SoM/lWpH
以上で投下終了です。
元ネタをNHKの某番組で萩原流行が読んでいたのですが、まさか泣かされるとは思いませんでした。
以下、レスのお返しです。

>>295
レスありがとうございます。
なかなかキャラスレに落としにくいものを書きたがる癖がありますので、このスレの皆様には感謝しております。

>>302
ご意見ありがとうございます。ご指摘通り、なかなか一義的な理解に悩む作品になってしまいました。
言い訳に過ぎませんが、今回は自身の実体験を基にしている部分があり、無意識的に言わずともわかって欲しい、といった部分がありました。
次回以降の作品に生かしていきたいと思います。

>>303
レスありがとうございます。そのように言って頂き感謝しております。
このスレでも何度も議論されておりますが、オリキャラの扱いには特に今回、気を使って書きました。
Pを使わないのも自分の中でオリキャラの範疇に入ってしまい、妙な作品ばかりとなっておりますがよろしくお願いします。

>>304>>310>>311
レスありがとうございます。
今回のテーマとして、好意的な解釈というものを意識して書きました。
それこそ、意地悪に受け取ればあずさの花菖蒲のくだりも伊織の解釈も間違っている恐れがあります。それでも尚、という部分を書きたっかたのですが、まだまだ私の筆力不足を露呈するばかりでした。
それにしましても、私の作品をそこまで読み込んでいただいたこと、感謝しております。

>>323
先述しましたが、実体験を基に書いたということが、逆に読者様との共通部分を狭めてしまったことは改めて勉強になりました。
伊織を妻と間違えるくだりですが、間違われた際の微妙な心情を優先して無理くりな感が出ていたことは次回の反省に生かしたいと思います。ありがとうございました。


長々と失礼しました。次回もよろしくお願いします。


341: ◆bwwrQCbtp.
09/06/22 00:04:11 t+DYN7Q7
こんばんわ。みなとPです。
自分から名乗る時は、肩書きのPは外した方が良いと思ってましたが、名乗らないと
誰もそう呼んでくれないと気付いたので、あえて名乗りますw

感想ありがとうございました。
風船祭りの小鳥編で、会話文中心でメリハリが欲しいと言われたので、
次作ではあえてメリハリを強めに付けてみたところ、どうもリズムが悪かった様子。
精進いたします。

以下、あえてトリ付きで感想。

>>333
もしかして、虹色の鳥は1000年生きたり不老不死だったりするのでしょうかw?
という冗談はさておき。
推測の誘導のさせ方、情報の示し方が巧いと思いました。見事です。
響の没キャラ設定の使い方もうまいですね。ニヤリとしました。
「青年」は、当時、すでに青年と呼ばれる年齢の末期にいた、と思えばなんとか
辻褄も合わないことはないのでは、と思います。
(個人的な解釈は前スレでSSにて書いた通りですが。)

>>340
次元を超えた視点がシュールな感じを与える、面白い味付けです。
ただ、ちょっと原作に近寄ろうとし過ぎてないかなあ、と。
この「おんなのこ」には、アイドルでいて欲しい、というのは個人的な希望ですが、
多くのプロデューサーの願いでもあると思います。
前スレの拙作でも、それを(隠し)テーマにしていました。
そういう点で、なんとも言えない感じが残ってしまいました。
あとは、他の100万人を「だいきらい」と言うのも、救われない感じがしました。

342:創る名無しに見る名無し
09/06/22 03:00:57 31VDKh4W
>>328
悔恨、反省、そして継ぐ者。
こういうのの狂言回しをやらせると響は適任ですね。本人の性格や好奇心、ズケズケした物言い
もそうですが、場に馴染み切れてないという負い目というか馴染もうとする努力というかが
ちょうどよくリンクする感じで。
探し物は・・・あの2人の片方でしょうか。見方によっては美希より古株ですしね。
社長は結構、飄々としつつ見えないところで苦悩する人であり、どうでもいいようなとこで
致命的な問題を作ってはその始末を丸投げしてしまう人でもあり……と何気に困った人なのだけど
最後の最後では結構頼れる人なのでは、全部わかってやってるのではと思えてしまう辺りが謎w
なんというか、現役でありながら隠者の雰囲気のある人、といったところでしょうか
なんとなく社長像を考えてしまうというか掘り下げ直してしまうわかりにくさも含めて
ああなんかそんな感じ、という感慨を持てる一作でした

>>331
優しすぎる人たちによる、優しすぎる物語。それでもなお同じ道を歩み出す娘ら
確かに綺麗事かもしれないし、芸能界に限らずそんなでは回っていかないといってしまうのは
簡単ですけども、こんな夢と憧れを積み重ね、そしてそれがまた誰かの夢や憧れにつながっていく
ただそれだけの当たり前の。そんな物語にひたるのも、たまにはいい感じですね

>>340
うーん・・・100万回生きたねこの原文を意識しすぎかなという点、きらいと切って捨てられる
救われなさは既に>>341でも言及されてるわけですが、こういう敢えて視点をゲーム外に
置いてみたメタな話自体はわりときらいじゃなかったり
なにより、選択自体が見事でした。無数の人が何度となく彼女をデビューさせ、活動停止までを
過ごし、そして彼女たちを題材に新たな話を紡いでいく繰り返し・・・おそらくは、シャレでなく
百万回じゃきかないほどの回数はアイドルだったはず。そこでそれ持ってきたセンスにそもそも脱帽ですね
目の付け所は素晴らしいので、もう一つ、ああ、と腑に落ちるなにかがあれば・・・という感じです

343:創る名無しに見る名無し
09/06/22 14:57:03 8zfyL3V2
おお! なんか新しいイベント始まってるー。

よし、じゃ自分は961美希でシンデレラ書いてくる!

……あれ、シンデレラってどんな話だっけ……?

344:100ある961の話なら(1/2)
09/06/22 17:39:11 8zfyL3V2
「あふぅ。今日もお掃除、お留守番、タイクツなの……」
 
 窓を拭く夢を見ながら、夢の中で美希は呟いた。
 
 ゲイノウ国のプリンス『プロデューサー』の『アイドル』を探すオーディション。
 その名も『アイドル・アルティメイト』。今日はその決勝戦がお城で行われている。
 
 “プロデューサーに選ばれたアイドルは、幸せな人生を送る事が出来る”
 ゲイノウ国にはそういう伝承があり、年頃の女の子はみな、プロデューサーのアイドルになる事を夢見た。

「ミキも行ってみたかったな……王子サマ、どんな人なんだろ」

 美希はアイドル候補生であり、アイドル・アルティメイトには美希の先輩達が何人か参加していた。
 だが美希だけは見学も許されず、いつものように事務所で一人、お留守番と雑用を命じられていた。

「ミキだって、ステキな王子サマにプロデュースしてほしいのに……」

 ゲイノウ国は、何故かどの代のプリンスもプリンセス(花嫁)を現役アイドルから選ぶ。
 いつからある伝統か定かではないが、巷では「王家はロリコンの血筋」という黒い噂まで流れている。
 したがってこの国で『アイドル』とは“未来のプリンセス”という意味も含まれているのだ。

 ぐぎゅるるるるる~~。 

「うう、夢の中とはいえお腹減ったの。そういえば今日、何も食べてないの……」

 空腹で目覚める。夜食にとっておいたおにぎりを取りに事務所の冷蔵庫を開ける。
 しかし、そこには―。

「あれあれ!? 無い……ミキのおにぎりが……ないっ!!」

 あるはずのおにぎりが無い。好物であるおにぎりに関して、美希は結構うるさい。
 研ぎ澄まされた思考が、その謎を解き始めた。

「そういえば……社長、出かけるとき、口にごはん粒と海苔がついてたの……」

 美希は己の境遇を嘆いた。アイドルとしてデビューさせてもらえないばかりか、さらにこんな酷い仕打ちを受けるなんて。
 保っていた心の線が切れた。美希は家出を決意し、事務所を飛び出した。

「ひどいよっ! ミキばっかりこんな……今頃みんな、会場のお城でご馳走をタラフク食べてるの!」
 
 夜も更け始めていた。寒空の中、美希はアテもなく孤独な夜を彷徨う。

「おやおや……何を泣いているのかな、子猫ちゃん……?」

 今居る場所も、自分がこの先どうなるかも分からない。
 走りつかれた美希がうずくまり泣いていると、美希の前に怪しげな男が現れる。
 
 それは、黒い魔法使いだった―。

345:100ある961の話なら(2/2)
09/06/22 17:48:43 8zfyL3V2
「何を泣いているのかな、こんな場所で」
「おじさん、誰……?」
「お、おじさんでは無い! 私の名は黒井。魔法使いだ」
「黒い、魔法使い?」
「そうだ。キミはアイドルかね?」
「ううん。ミキはまだ、アイドルじゃないの……」
「まだ、というと?」
「事務所の社長さんがね、ミキはまだ心構えがどうの~とか言ってデビューさせてくれないの。
 それに、ミキに雑用ばっかりおしつけて、おにぎりも食べちゃったんだよ!?」
「ふーむ。それは酷い話だねぇ。それで、美希ちゃんは家出……をしてきたのかね?」

 美希は黒い魔法使いを探るような眼差しを向け、こくりと頷いた。

「ノン! それはいけない。私の見た限り、キミは『トップアイドル』になれる器だ。
 キミをデビューさせなかったのは、そのプロダクションの社長がボンクラだったのだよ」
「そ、そうかな? ジツは、美希もうすうすそう思ってたの」
「フフ。素直な子だね美希ちゃんは。だが逃げ出すのは頂けない。
 欲しいモノは、どんな手段を使ってでも手に入れなければ! 
 どうだね? 私は、キミの願いをかなえられるが。キミが望むなら、ね……。
 今からそいつらをぶっとばしに行かないかね?」

                  ☆★☆

「退屈だな」
「は、すみませんプロデューサー……今年はアイドル不作の年でして……。
 しかし、あの頭のリボンがトレードマークのアイドルはどうでしょう? なかなかいい表情をしますよ」
「あれはウラがありそうだ。嫁にしたら王家滅亡の予感がするぞ、大臣」

 大臣の必死のフォローをプロデューサーは一蹴する。
 それでも大臣はめげず、めぼしいアイドル達を指差し挙げていった。

「ではあのアイドルはどうでしょう。ダンスはいまいちですが、歌唱力とスタイルは図抜けています」
「ふむ……大臣、あのアイドルの名は?」
「は。三浦あずさ、20歳です。いいですな~癒し系お姉さん……!」
「大臣……20歳と申したか?」
「は。それが何か……?」
「残念だと、一言」

 やはり王家のロリコンの血筋は健在だ、と大臣は嘆いた。
 その後の大臣の必死の推挙もプロデューサーはつまらなそうに否定し、
 重い空気のまま、アイドル・アルティメイトは終焉を迎えようとしていた。

「愛してると言われると―まっすぐ過ぎて反吐が出るものね―」

 突如、沈殿した華を蹴り散らすように会場の扉が開かれ、
 アイドルの物とは思えぬ力のある歌と歌詞が、城内に響き渡る。

「なんだこれは、大臣! 余はこんな事聞いていないぞ!?」
「私も存じませぬ。オーディションに乱入……でしょうか、アイドルの」
「ほう。アイドルが乱入とはな……前代未聞だ―だが面白いぞ! そこなアイドル、名を何と申す!?」

 会場中の視線が飛び入りのアイドルに注がれ、
 さっきまでほぼカビていたプロデューサーの生気も復活し、眼に輝きが戻る。

 飛び入りアイドルはプロデューサーを指差し、ゆっくりと、大きくはないが力強い声で言った。

「―ミキの名前は星井美希―見つけたよ。ミキの王子サマ!」

346:100ある961の話なら(あとがき)
09/06/22 17:58:03 8zfyL3V2
一度はノッてみたいさ!

シンデレラって確かこんな話……じゃなかったよね、絶対(ぁ
こんな話に2時間以上かけてる自分は一体……。

もっと色々やりたかったけど、この終わり方が楽―じゃなくて楽しいかなって思った。
まぁイベントはノリが大切って事で大目に……ダメ?
じ、次回こそ本気出す!!

347:創る名無しに見る名無し
09/06/22 18:20:00 87ZEQYGl
>>346
いやいや瞬発力も大事だッ!GJ!話もだいたい合ってるぞw

黒井社長と961美希が主役を張るなんざなかなかありませんな。
欲を言えばこのものすごい配役の末の結末が気になるところだが
……まあよい、こういうのもアリだ。

またよろしく~。

348:創る名無しに見る名無し
09/06/22 23:58:46 31VDKh4W
>>346
元気があって大変よろしいと思いますwっていうか美希前向きすぎて腹抱えて笑いました
黒魔法使いwの胡散臭さもなかなかイイ味出してます
きっちり造り込んだ話はもちろんいいものだと思いますが、時にはこういう勢いで
ひたすら突っ走るだけの話もイイ感じですって言うかだいたい合ってる!
まあ、最初に夢オチなことが明示されてますけども「そういう設定の話なんです!」で
押し切っちゃうのもアリだったかもですね。ラストシーンのいい意味でムダなかっこよさも
含めてかなりウケました。
あと、もちろん次回の本気も期待します。

そういやシンデレラだと至極真面目にプロデューサーを魔法使いに
アイドルをシンデレラに見立てた話なんてものあった気がっていうか、あれ夜Pんとこだったかな?


349:創る名無しに見る名無し
09/06/23 00:19:51 be6N3SRU
シンデレラとか言われると、にひひっ、と笑うツンデレラしか思いつかない発想貧困な俺ですが、
ネタ的に何でもアリっぽいので、参加させていただきます。
空気読めてなかったらすみません。
「芸能界鬼退治譚」2レスで。

350:芸能界鬼退治譚(1/2)
09/06/23 00:21:08 be6N3SRU
「た、助けてくれー!!」
彼はピンチだった。
ピンチと言っても生易しいものではない。川の濁流に呑まれ、流されていた。文字通り生死の境である。
かろうじて、流されていたピンク色の物体に掴まり、その浮力の助けを得て顔を水面上に出してはいるが、
力尽きるのも時間の問題と思われた。

「君、大丈夫か!?これに掴まりたまえ!」
声がした。男は必死で、声のする方から伸びて来た竿に手を伸ばした。
ギリギリ、手がその竿に届いた。

「助かった・・・あ、ありがとうございます!」
「うむ、良かった。ほう・・・何といい面構えだ。」
「は?」
「ピーンと来た!君の様な人材を求めていたんだ!」
命の恩人の頼みとあれば、断れる人間などそうはいない。
彼は、助けてくれた男の芸能事務所で、プロデューサーとして働くこととなった。

「社長、元気がありませんね。どうかなさったのですか?」
ある日、男は命の恩人である社長が元気をなくしているのを見かねて、尋ねてみた。
「うむ。今、芸能界は、悪い961プロに、いい様に荒らされているのだ。何とかしなくてはいかんのだが、
いかんせん奴らは金の力が強く、誰も手を出せないのだよ。」
「わかりました。私が、みんなのために961プロを倒してみせます!」
「そうか、やってくれるか!では、早速よろしく頼むぞ。ついては、我が社にはアイドル候補生がいないので、
スカウトして来てくれ。この、事務員の彼女が作ってくれたキビダンゴを、好きなだけ使っていいぞ!」

男は、近くの公園に行った。すると、女の子が歌を歌っていた。
「あー。あー。ドレミレドー。」
「そこのリボンを付けた君、良かったらアイドルやってみないか?」
「え、あ、アイドルですか?」
「今我が社でアイドルデビューしてくれるなら、特典としてキビダンゴが付いてくる!どうだ?お得だろ?」
「わかりました!私、頑張ります!」

こうして、頼もしいアイドル候補生達が揃った。
「絶対勝ちましょう、プロデューサーさん!」
「兄(c)よろ→」
「歌える機会さえ与えて頂けるなら、私も全力を尽くします。」
「では、いざ、961退治に出発!」


戦いは熾烈を極めた。
そして・・・

『ドキドキするだろ?今回の合格者は・・・・・・・1番!おめでとう!』

「やった!やりましたよ!プロデューサーさん、私たち、勝ちました!」
「ああ、勝ったんだ!あの961プロに!」
「フン、くだらんな。たった一度勝ったくらいで、いい気になってもらっては困る。」
「そうは行くか!やい、黒井め!今まで悪辣な手段で巻き上げた有り金を残らず置いて行け!」
「な、何をバカな事を!」
「さらに、あのアイドルの女の子3人も、ウチの事務所にもらって行くぞ!それ!やっちまえ!」
「ひーっ!暴力反対ー!」



351:芸能界鬼退治譚(2/2)
09/06/23 00:22:04 be6N3SRU

「これで、芸能界にも平和が訪れる・・・。」
「あの、貴方様、私どもを、悪い961プロから救って頂き、ありがとうございました。」
「いえいえ、当然のことをしたまでです。」
「お礼に、私どもの歌謡と舞踊を披露させて頂きます。それと、これは土産品の玉手箱でございます。」
「な、なんかいつの間にか違う話になってないか?」
「その箱は、絶対に開かないで下さいませ。」

「あ、兄(c)、兄(c)、この箱な→に→」
「もしかして、これも優勝商品かな?ちょっと開けて見ちゃおう!んふふ~。」
「こら!ダメだ、開けちゃ・・・くっ、間に合わない?!」

「ダメだよ、二人とも!これはプロデューサーさんが開けちゃダメだって!」
間一髪だった。リボンの彼女が、既に封の紐を解かれた箱を、双子から取り上げる事に成功した。
「え→?ケチ→!」
「ダーメ!じゃあ、プロデューサーさん、この箱はお返ししま・・・あああっ!?」
どんがらがっしゃーん
お約束通り、箱は美しい二次曲線を描いて宙を舞い、その曲線は男の頭部が存在する座標を含んでいた。
男の額に命中した箱は、そのはずみで蓋を開いた。
ぼわん
白い煙が男の周囲を包む。

「うわ→?!兄(c)が、じい(c)になっちゃった→!!」


その後

彼は、961プロから取り上げた資金を元に、芸能事務所を立ち上げた。
苦楽を共にしたアイドル達も、再び候補生に戻り、新たな面々も加えて彼の事務所の所属となった。
しかし、彼女達の記憶からは、彼とともに過ごした日々は存在しなかった。
彼は老いた己の姿を恥じたのか、常にシルエットでしか他人に姿を見せなくなった。
そして今日も、老いた自分に代わって、彼女達をプロデュースする人材を求め続けている。



352: ◆bwwrQCbtp.
09/06/23 00:27:34 be6N3SRU
格好つけてみても、他人の真似してみても、結局自分の力以上の物は書けない。
というわけで、もう自分の文体全開で書きました。
時間をかけなかったんでそうなった、という部分もありますが。

原作には、鬼ヶ島が竜宮にあったとか、宝と一緒に姫を連れ帰ったとか、
そんな話があるらしく、その辺から連想を広げた結果、こんな感じに・・・


最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch