THE IDOLM@STER アイドルマスター part2at MITEMITE
THE IDOLM@STER アイドルマスター part2 - 暇つぶし2ch323:創る名無しに見る名無し
09/06/18 01:31:47 boc+7sa1
ちょっと規制で書けないでいたら、なんかえらいことになってるし

>>284
これまたなかなかデリケートな話をもってきたものだと。
祖母が亡くなったのが生まれるひと月ほど前でなく生まれたひと月ほど後だったら、
5月5日の誕生花であることが先にきて、祖母がそれをもって祖父に想いを授けた・・・
という方向になりそうですが、それでもひと月ほど前なわけで
とはいえ、そういう解釈をそれぞれにやってみて、自分の中で答えを探してみることの方が
ただ正解の解釈をもらってしまうよりも楽しいことかもしれません

うちの母方の婆さまも、私のことを自分の息子、私にとっての伯父に当たる人の名で
よく呼んでいたものでした。
 まあ、それでも息子との混同なわけでそういう意味で面影があったにしろ14の娘さんを
捕まえて妻の名で呼ぶというのは確かに実感としてはあれな気もしないでもないですが
それでも割と似たようなこと自体はあるものだそうです。呼ばれた側の複雑な気分もなんとなく
わからないでもないですし。
代用、というのとも少し違って、どちらかと言えば同一化らしいとも聞きますけども
その辺りは詳しいわけでもなし、そうであったとしても突き詰めるだけ野暮。
伊織が少しオトナになったことと、あずささんの「感覚の人」ぶり、それに水瀬祖父が
優しい人で、きっとこの世界ではそうであったからこそ伊織がああいう表現こそひねくれては
いても優しい心根を持った娘に育ったであろうこと、そういうところ味わってごちそうさま
しておくってところで

>>297
ヘンに敏腕オーラをまとっちゃってるよりも冴えない人の方が「プロデューサーさん」っぽいw
資料を出されたものの、この時点で会っているのはやよいとあずささんの二択
・・・って言っても、もう出会いイベントを踏襲した状況は少しだけ違うけれども
既に起こしているわけで
このまま、ちょっとだけダメアレンジされた出会いイベントを次々こなす流れかと
思いきやって感じですな
むしろここからどんな流れになるのやら、Go To First Produce!ってとこですか

>>321
ガ・サ・イ・レ、キターッw
ていうか、春香さん美希ちゃん、ちょっと落ち着きなされw
そんなだとそのうち芸人コンビとして売り出されちゃうぞって、もう手遅れ?と
ラジオから流れる声を聞くたびに思ったりなんかしてみたり
そしていおりんもあずささんも実に情報提供が行き届いてる方々ですな
結構ラブコメっぽい話になるはずなのですが、ハートフルよりもスラップスティック
寄りというか、うまいこと重くなりすぎない話にしているのがいい感じです

ただプランB発動とか、発動前から美希に全くその気がないのが描写されてしまっていたのは
ちょっともったいなかったかも。どうやら伝わったらしいこと、だがなにも起こらず、
そこでようやく美希的思考が読み手に伝わる、あるいは美希には伝わってない描写にも
関わらず春香さん伝わっているのが前提になる手を打って、一人で空回り・・・みたいな
なにかは欲しかったかも

・・・ついでに、安田の勝ち馬はテキーラと見たw

324:創る名無しに見る名無し
09/06/18 02:04:37 boc+7sa1
>>321
そーいや、JCBホールで謎あだ名を付ける流れから本人がエリザベスを自称して
総スルーされてような覚えが・・・

325:創る名無しに見る名無し
09/06/18 07:51:22 x1+m7eKQ
レシPですが現在メイン回線サブ回線はおろか会社に内緒の予備回線まで
規制を食らい、これはいよいよカネで解決するレベルかなーと頭を抱えて
おります。携帯は従量制だしおとなしくSS書く日々。
>>321
おもしろかったー!
小鳥さん頑張りながらもアイドルたちと真っ向勝負を選ぶ心意気は称賛に
値します。あなたの書く小鳥さんは俺のSSに出てくるよりまっすぐで
かっこいいですね。余計なひとネタかました甲斐はありました、ありがとうございます。
……ついては7/8と8/8の間に2時間くらい時間経過があったことにして
よいぞお二人さんw

326:創る名無しに見る名無し
09/06/19 11:11:21 +U0yZP51
>>325
7/8と8/8の間に、そんな時間があったら、それこそ

ガシャーーーーン
「話は聞かせてもらいました。
つまり、プロデューサーさんは私が大好きなんですね!」

という展開じゃないかなw?

327:創る名無しに見る名無し
09/06/19 23:18:36 CGjBI7wJ
ここはpixivネタもおkですかね?

【fairyt@le】というタグ企画が面白かったので、それ絡みでSSを考えてみました
企画の概要は途中に差し込みたいと思います

【SS2レス】+【企画概要1レス】+【SS2レス】+【終了宣言1レス】 計6レスになります

328:【太陽の鳥】 1/2
09/06/19 23:19:31 CGjBI7wJ
「社長どこだー? オウムの散歩おわったぞー?」
「おお、ありがとう我那覇君。捜しものをしていて、君たちの帰りに気づけなかったよ」
「この子、大人しくてすごくいい子だなっ。オウ助よりお利口さんだったぞ!」
「なかなか外に出してあげられなくてね。今日はいい気晴らしになっただろう」
「自分、また散歩つれてくよ! あ、そうだ。ここにいる鳥って、この子だけ?
 黒井社長が欲しがってた鳥って、この子のことかな」
「……はて? この子はそれほど珍しいオウムではないが……」
「自分、前に聞いたことあるんだ。『あの765プロには勿体ない!』って言ってた。
 そんなに珍しい鳥がいるのかーって、自分、ずっと見てみたかったんだ!」
「そうだったか。ならば、それはおそらく、このオウムのことではないな。
 我那覇君には済まないが、あの鳥はもう、どこにもいなくなってしまったのだよ」
「えっ、いないの? そっかー。残念だな」
「もし我那覇君がその鳥に会いたかったのならば、少しだけ昔話をしようか」
「ホント!?」
「ああ。少し待っていてくれるかね。まずはこの書類を戻さなくてはならん。
 大事なオウムの散歩に行ってくれた、そのお礼をしなくてはね」

***

「待たせたね、我那覇君。お茶が冷めてはいないかな」
「うん平気! それ、どんな鳥だったの? 翼は立派? どんな声で啼くんだ?」
「あれは、実に見事な鳥だったよ。姿も声も、まさに七色の虹のようでね。
 大勢の人がこぞって褒めてくれた。あんなに素敵な歌声を、私はほかに知らないな」
「それって、やっぱり黒井社長も聴いてたんだよね。いいなあっ!
 そんなにすごい話を聞いちゃうと、ますます一目見たくなっちゃうよ!」
「ところで我那覇君。君は、金の卵をうむニワトリの話を、知っているかね」
「ん?…えーと、1日1つ、金の卵をうむんだよね。それで、大金持ちになる話だったっけ?」
「そうだ。やがて欲が出てきた男は、どんどんニワトリを急かすようになった。
 1日の卵が2つになり、3つになり、欲が止まらなくなった男は、こう考えたのだ。
 『このニワトリの腹の中には、さぞかし立派な金塊が入っているに違いない』とね」
「ええー!? なっ、何考えてんだ!? 大事な家族なんじゃないのか!?」
「結局、欲深い男は、ニワトリも卵も失うことになってしまったというわけだ」
「むー。すごくダメな飼い主だったんだなっ。そんな奴に飼われたニワトリが可哀想だぞ!」
「はっはっは。その通りだよ。そしてあの鳥の周りにも、そんな大人がたくさん居たのだ。
 私も黒井も、その中の1人だった。―鳥が居ない理由は、もう何となく解ってもらえたかな」

***

「音無君、書類保管庫のカギは、この場所でよかったかな」
「あ、はい。社長の捜し物は見つかりましたか?」
「いや……確かに一度見た気もするのだが、あれは私の見間違いだったのかな。
 顔も名前も覚えているというのに、あれだけが何処にも見つからないのだ」

***

「やいやいプロデューサー! ニワトリが可哀想だぞ! なんであんな酷い目に合うんだ!」
「い、いきなりどうした響。酷い目に合ってるのは俺のほうだぞ。
 社長のオウムの散歩から戻ったあとは、レッスンに行く約束だったじゃないか」
「う……そ、それはいろいろと深い事情があるんだ!」
「事情ってなんだ。そもそも、ニワトリって何なんだ?」
「悪い大人につかまってたニワトリだよっ。金の卵をうむニワトリ!
 働くだけ働かされて、最後には殺されちゃうなんてあんまりだぞ!」
「あれっ。そんな話だったか? 俺が知ってる話では、あれは助けてもらったはずなんだが……」


きょとんとした響は、すぐに続きをねだりました。詳細を知らなかったPは、響をつれて外に出ます
響から社長の話を聞いたPもまた、響と同様、疑問に思った点があったのです

「ここならきっと、ニワトリの話は全部わかるはずだ」そう言ってPは、とある建物に響をつれていきました
 

329:【太陽の鳥】 2/2
09/06/19 23:20:24 CGjBI7wJ
目的地を訪れた響が、やがてそこにPをつれて何度も通うようになっても
社長はずっと、捜し物をつづけていました

社長が響に鳥の話をしてから、何日か経ったある日のことです


「おや我那覇君。今日は何の御用かな?」
「社長、前に話してくれたよね。あの鳥は、欲を出した大人たちがダメにしちゃったって」
「うむ。それは本当だよ。だから私も、あの話を忘れないよう、常に自戒しているのだ」
「でもさ、自分、その話聞いたとき、なんか変だなーって思ったんだ。
 あんなにオウムに懐かれてる社長が、他の鳥に可哀想なことなんて出来たの?」
「黒井は君に教えていなかったかな。『高木はルールを破ってばかりの悪いやつだった』と」
「言ってた。黒井社長のルールって、結構きびしいのばっかりだもんね。
 それでプロデューサーと話したんだ。社長はやっぱり鳥を逃がしたんじゃないかって」
「どうしてそう思ったのだね?」
「ニワトリの話だよ。金の卵をうむニワトリでも、ちゃんと助かった子もいたんだぞ。
 プロデューサーが自分にきかせた話って、ジャックと豆の木だったんだ」
「おお。そういえば、あれはそんな感じの話だったな。
 豆の木をのぼって、いろんな財宝をうばってくる少年の話だろう?」
「ちがうよ社長。あれはドロボウしてる話じゃなくて、大事なものを取り返しにいく話なんだ。
 自分、図書館でぐーぐー寝ちゃったけど、大事なとこはちゃんと覚えてきたぞ!」
「ほう?」
「とってくる財宝は、ニワトリと金貨と竪琴で。閉じ込められた場所は、雲の上にある城なんだ。
 ね、社長。空で巨人が独り占めしてた財宝って、何の事なのかわかる?」

***

「…………天気かね?」
「大正解! すごいな社長!」
「空に存在できるものは限られている。ならば、ニワトリが象徴するのは太陽ではないかな。
 太陽は、財宝などではない。もとより皆の所有物ではないか」
「そーなんだよ! 太陽がなくちゃ困るし、雨も風も同じさ。だから何度も雲の上に向かったんだ!
 危ない目にあっても、豆の木をのぼったのは、それが本当の居場所じゃないからなんだって」
「そうだったのか。私はすこし勘違いしていたようだな。
 太陽を独り占めされた人々が、自分たちのところに天気を取り戻す話だったのか」
「それもあるけどさ。やっぱり、間違ってる場所に、居続けなくちゃいけないのは可哀想だよ。
 鳥のほんとうの居場所だって、鳥籠の中じゃなくて空の上だって思うし。それに―」
「それに?」
「わるい大人につかまってた自分を、あの場所から逃がしてくれたのは社長じゃないか。
 だから思ったんだ。社長は、その子のことも逃がしてあげたんじゃないかなって」
「……参ったな。我那覇君、まさか君は本当に、鳥の気持ちが理解できるのかい?」
「あはははっ! 自分、鳥なんかじゃないぞ? 765プロの立派なアイドルだよ!
 だからもう、その鳥の話は聞かない。秘密にしておく方が、その子は一番安全だもんね!」
「ありがとう。我那覇君。―本当にありがとう」

***

「音無君。カギを返しにきたよ。捜しものはもう終わったからね」
「あっ。とうとう見つかったんですか? 何年も前に見かけた、あの女の子の履歴書」
「いや、見つからなかった。けれどもう良いのだよ。
 黒井が彼女を見つけたのだとしても。あるいは全く別の子だったのだとしても。
 私に向かって、自分は我が社のアイドルだと言ってくれた、彼女の言葉を信じることにしたんだ」
「響ちゃんに良く似た子だったんですよね。沖縄出身の、元気で明るい女の子。
 逃がした鳥はやっぱり、立派に見えるものですか?」
「私は欲張りでズル賢くて悪い大人だからね。ルールを破ってばかりなのは昔から変わらぬよ。
 だから黒井に文句を言われてばかりなのだ。小鳥君は、それも、嫌というほど見てきたではないか」


小鳥さんは笑い、社長はカギを差し出します。逃がした鳥の過去を探ることは、恐らくもうありません
虹色の鳥が、あるべき場所にカギをしまって―765プロの明かりが、ひとつ消えました

330:企画概要
09/06/19 23:21:46 CGjBI7wJ
参考タグ【fairyt@le】
URLリンク(www.pixiv.net)
(企画期間は既に終了しております)


上記タグのルールに乗っ取って書いたプロトタイプが、次のSSになります
おとぎ話、いわゆるIFの話になりますので、2作のSSに確実な繋がりはありませんが
先に投下した作品の、オマケ程度に読んでいただけたら幸いです

331:【虹色の鳥】 1/2
09/06/19 23:22:38 CGjBI7wJ
あるところに、トップアイドルを夢見る女の子がいました。
歌が好きで、ちょっぴりドジな、ごくごく普通の女の子。

女の子の歌を聴きとめたのは、プロデューサーの青年です。
自分の歌を褒められて、嬉しくなった女の子は、毎日毎日レッスンに励みました。

レッスンのコーチが、審査員の先生が、
その頑張りと歌を、だんだん認めるようになりました。
数えきれないほど大勢のファンが、女の子に夢中になっていったのです。

拍手と共に女の子が戻るたび、「すごいなあ」と青年は言いました。
その嬉しそうな一言で、疲れは吹き飛び、また次のステージに登れるのです。

女の子はステージに立ちつづけました。周りの期待以上に眩しく輝いていました。
その歌声を聴いて笑顔にならなかった人なんていません。
間違いなく、たくさんのファンを幸せにする、夢のトップアイドルになったのです。

七色の歌声で皆を夢中にさせるアイドルは、いつしか虹色の鳥と称えられていました。

*****

ある日、女の子は青年の元気がないことに気づきました。
ステージを降りたあとも、心配なあまり、疲れが吹き飛びませんでした。

(どうしたんだろう。私の歌が下手になっちゃったのかな……?)

不安になった女の子は、事務所の人たちに尋ねてまわりました。
事務所の皆はつとめて明るく応えます。

『大丈夫。君の歌は最高さ』 『心が安らぐ素敵な歌声だ』 『皆が幸せになるからね』

気を取り直した女の子はステージに向かい、仕事に励みつづけました。
七色の歌声は今なお色褪せることなく、海外にまで届きそうな勢いなのです。
そうなればきっと、プロデューサーの青年は、もっともっと喜んでくれるはず。

全力を出し切ってステージを降りた女の子は、青年の元へ向かいます。
「すごいなあ」と喜んでもらいたくて。そうしたらまた笑ってくれると思って。

―けれど。

「すごいなあ」と言った青年は、どこか申し訳なさそうな表情になりました。
そんな顔を見るのは、初めてのことです。女の子はすっかり戸惑ってしまいました。

青年は言いました。

「こんなに頑張って長いこと無茶をさせて。君はすっかりくたびれてしまったというのに。
 他の皆は、今よりもっともっと君を働かせるべきだと言うんだ。
 アイドルを売り出して有名にすることが、プロデューサーの仕事だと皆は言うけれど、
 この先もずっと君に無理強いさせるのを、黙って見ているしかできないことが辛いんだ……」

女の子は何も言えません。青年はずっと前から悩んでいたのです。

明らかに女の子が無理をしていることも。
周りの期待に応えつづけて、それがいつしか重い枷になっていることも。

そして、

飛ぶのに疲れた虹色の鳥が、普通の女の子に戻りたがっていることも。

*****

332:【虹色の鳥】 2/2
09/06/19 23:23:26 CGjBI7wJ

青年は何度も何度も説得しましたが、周りは誰も受け入れてくれませんでした。
鳥が歌をうたわなくなることも、その翼を休ませることも、認めてもらえなかったのです。

いつまでもカゴに閉じ込めて歌わせれば、鳥は空に戻れることなく死んでしまいます。
このままステージから降りられなくなる前に、どうにかしてあげたかったのです。

プロデューサーの青年は、いつしか自分の仕事に自信を失いかけていました。
そしてそれに気づかない女の子ではありませんでした。
やがて虹色の鳥が、自ら七色の歌声を閉ざすようになるまで、大した時間は要しません。

*****

歌わなくなった女の子と、歌わせられなくなった青年を前に、事務所の皆が声を荒げます。

『それ見たことか』 『早くしないと手遅れになるぞ』 『君はもうプロデュースから手を引くんだ』

女の子は頑なに拒否しました。他人の傍で歌っても、七色の歌声は出てこなかったからです。
青年もまた一歩も引きませんでした。誰かに預けた後の女の子のことが心配だったからです。

目を光らせた同僚が、『彼に代わって彼女を担当したい』と社長に直訴していることを知り、
もはや一刻の猶予もないと悟った青年は、女の子を連れて事務所を飛び出しました。

*****

それからというもの、青年は必死に働きました。
女の子に申し訳が立たなかったのです。
古い親友の助力をうけて、小さな芸能事務所を設けました。
階下に居酒屋がある、オンボロなビルです。

女の子は、青年が始めた仕事を手伝いました。
青年に何か恩返しがしたかったのです。
たくさんの候補生たちが集まってくるよう、事務所の宣伝に力を尽くしました。
歌うことが好きな女の子たちが、いつかここを賑やかにしてくれることを信じて。

月日は流れ、七色の歌声など、誰もが幻のように思いはじめていました。

*****

虹色の鳥のうわさが、小さな事務所に届いたのは、それからずっと後のこと。

「審査員の先生に言われちゃったんです。
 『未熟な歌声ですね。それでは虹色の鳥と称えることはできませんよ。
  あなたはまだまだ殻をかぶった、虹色の小鳥も同然です』って」
「はっはっは。天海君、虹色の鳥は、幻の鳥だよ。
 それはそれは見事な七色の歌声で、何百万もの観客を沸かせたという話だ」
「わ、すごく素敵な鳥なんですね! 社長は、見たことがあるんですか?」
「ああ。よく知っているとも。とても綺麗な歌をうたう鳥でね。
 公園を歩いていたら、偶然その歌声が聴こえてきたんだよ」

すっかり年を取った青年は、目前の女の子に語りかけます。
まだ見ぬ虹色の鳥に憧れる、明るくて元気な赤い小鳥でした。

あのときの願いを叶えた女の子は今、賑やかな小鳥たちに囲まれてお仕事をしています。
青年があちこち歩き回って見つけ出した小鳥たちは、1人として同じ色の羽をもっていません。
けれど2人の目には、どの子もみんな、虹色の鳥になるように映って仕方ないのです。


その小さな事務所には、今も虹色の鳥がいます。
                                        (おしまい)

333:創る名無しに見る名無し
09/06/19 23:25:43 CGjBI7wJ
以上で終了になります。
【太陽の鳥】/【虹色の鳥】どちらも原作は「金の卵をうむニワトリ」と「ジャックと豆の木」です。

原作のストーリー優先で流れを組み立てたので、あちこち(年齢表記的に)粗が目立つかと思われますが、
おとぎ話ということで目を瞑っていただけたらと思います。




以下、かなり前に頂いたレス返しになります。

>>176
ありがとうございます。あずささんはやよいと組ませてみたら何だか超癒しペアになりました。
長文SSの書き手さんは素晴らしい方々がたくさん居られるので、短文レス内で頑張ろうと思う所存であります。

>>183
あれから何本も投下されてトリじゃなくなってしまいましたw
沢山の作品を拝見できて自分も読んでて楽しかったです。
絵本のような言い回し~と言われたのが嬉しかったので、次回はそちらを重視しようとずっと思っていました。
褒めて伸ばしていただいて(笑)ありがとうございます!

>>184
あずささんが迷子キャラで本当に良かった……遅刻しても皆さん優しいなあ……
時間軸ずらしで時々見かけるのは律子Pですかね。あずさPという作品も見かけたことがあります。
年長組+年少組は、時間軸をずらせば結構いろいろすれ違えそうな気もします。ピヨ。

>>185
いつも濃厚なレスありがとうございます。頂いたレスから有り難くもテーマを拝借させていただきましたw
「継承」と聞いて最初に浮かんだのは、後継者がたくさんいる事務員さんだったのですが、
そもそも後継者をさがしていたのは社長も同じだったな、と思い出して、二パターン考えてみました。
2人の過去話は、あまりはっきりしていない方が好きというか、いっぱいあった方が楽しいと思っている派なので
今回のような昔話準拠のSSに限らず、いろいろ案が浮かんだらまた別の話を書こうかなと思います。




それでは今回はこのへんで。長々と読んでいただいてありがとうございました。寓話Pでした。

334:創る名無しに見る名無し
09/06/20 18:03:12 1g2zbhTc
そうだよなー寓話Pがfairyt@leに食いつかないはずないもんなー。
企画者さまの生産能力も瞠目でしたが今見たら合計50作!
同じくアレ見てて「文字書きは参加できんのか……ッ」と思ったもんです。そうかここでやりゃいいのかw



>太陽の鳥
種明かしは不要ですが、社長の探し物がなんだったのやら。ブラフでもなさそうだし、響を見て誰かを思い出した
ようでもあるけど彼女が鳥の話を聞く前から探してるし。響が765に来た時からなにかティンときて探していた
ものがあるのかな。
主軸のお話はいいですね。金の卵の2つの話は、知識にはあるけれどなかなかリンクしないポイントをついた
ナイスアイデアって感じです。響はこういう役回りに適任ですねw
さすが寓話Pと思ったのは(細かい部分なのですが)かわいそうな方のニワトリがどうなったか描写せずに
表現している部分でしたね。俺ならあっさり切るだの裂くだの書いちゃうでしょう。書き手氏の優しさを感じました。

しかし
>「やいやいプロデューサー!(ry」
なんという超トバッチリ(ノД`゚)



>虹色の鳥
こちらの方が明快で個人的には好きですね。やはり童話はわかりやすさが重要です。
虹色の鳥は、歌を歌うことや、歌を歌えなくなることや、お金や地位や名声は重要ではなかったのでしょう。
青年と共にあることが、鳥にとっての幸せだったのでしょう。
虹色ではなくなったのかもしれませんが、鳥はいま幸せですし、青年には虹色の羽根が見えているようです。
他の誰でもなく、本人たちが幸せなのはなによりのことですね。



美味しくいただきました。ごちそうさまです。

335: ◆DqcSfilCKg
09/06/21 10:59:58 SoM/lWpH
前作への多くのご感想、ご意見ありがとうございました。
今回は寓話P様の【fairyt@le】に参加させていただきます。
題名は「100万回アイドルだった女の子」。使用レスは4レス。
ニコ動ネタが多数ですので、閲覧には注意してください。
投下後、終了宣言+レスのお返しです。


以下、感想です。
>>328
読者にそれとなく示唆する難しさというのは嫌と言うほど味わっているのですが、
この作品はそれが無粋になる一歩手前で表現できてて、読んでて気持ち良かったです。
後者のお話と比べると読者の想像に任せる比重が高く、とっつきにくい印象もあるのですが、
先述した一歩手前の表現が上手く働いていてすんなりと物語に入れました。
あと響が可愛く書けるのが羨ましい限りです。

>>331
>>334様も申しておりますが読みやすさではこちらが優れており、世界観もしっかりしていて、
さすが寓話P様と言うべきでしょうか。童話独特の筆致が大きな時間経過をしっかりと支えていて、
伝えられていくものがハッキリとしているのが良かったです。
赤い小鳥もいずれ、七色以上の歌声を響かせてくれることを期待しております。

336:100万回アイドルだった女の子(1/4) ◆DqcSfilCKg
09/06/21 11:00:41 SoM/lWpH

100万回もアイドルだったおんなのこがいました。
100万回も いんたいして 100万回も デビューしたのです。
りっぱな アイドルでした。
100万人の 人が そのおんなのこを かわいがり
100万人の人が そのおんなのこが いんたいしたとき なきました。
おんなのこは 1回も なきませんでした。

あるとき おんなのこは ぐみんの アイドルでした。
おんなのこは ぐみんなんか きらいでした。
ぐみんは どげざが じょうずで いつも ひざまづいていました。
そして おんなのこを りっぱな かっかに して にこにこに つれていきました。
ある日 おんなのこは とんできた あかばんに あたって しんでしまいました。
ぐみんは にこにこの まっさいちゅうに おんなのこを だいて なきました。
ぐみんは どげざを やめて さんじげんに 帰ってきました。
そして おんなのこは アイドルを やめました。

あるとき おんなのこは しんしの アイドルでした。
おんなのこは しんしなんか きらいでした。
しんしは にこにこじゅうの ぱいたっちと にこにこじゅうの へんたいたあれんに おんなのこを つれていきました。
ある日 おんなのこは ねたが なくなっていました。 おんなのこは ぼつこせいだったのです。
しんしが いそいで ぐらびあみずぎを もってくると 
おんなのこは だれからも みむきされなくなっていました。
しんしは ぼろぞうきんのようになった おんなのこを みて
大きな声で なきました。 そして遠い とかちごーるどの
そらの下で アイドルを やめました。

あるとき おんなのこは アケマスの プロデューサーの アイドルでした。
おんなのこは アケマスなんか きらいでした。
あけますぴーは 毎日 きょうたいの中で 
おんなのこを プロデュースしました。
それから Bランクにしようと がんばっていました。
ある日 あけますぴーは きょうたいが なくなっているのに
きづきました。
あけますぴーは つかえなくなった かーどを 両手に だいて
大きな声で なきました。
もうどこにも きょうたいは ありませんでした。
アケマスピーは はこまるを かって かーどを すてました。


337:100万回アイドルだった女の子(2/4) ◆DqcSfilCKg
09/06/21 11:01:24 SoM/lWpH

あるとき おんなのこは にこちゅうの アイドルでした。
おんなのこは にこにこなんか だいきらいでした。
にこちゅうは アイドルと いっしょに 色んなどうがを しずかにみてまわりました。
にこちゅうは ぐっずをかわずに にこにこだけで すませていました。
どうがが けされる までに にこちゅうは どうがを おとしていました。
ある日 アイドルは あきられていました。
にこちゅうは はつねみくをだいて うたわせていました。
夜の部屋を 大きな声で うたわせながら にこにこをめぐっていました。
そして おんなのこは ひっそりと いんたいしました。

あるとき おんなのこは ひとりぼっちの ひきこもりの アイドルでした。
おんなのこは ひきこもりなんか だいきらいでした。
ひきこもりは 毎日 あいますで ずっと あそんでいました。
おんなのこは 一日じゅう ひきこもりの前で うたっていました。
やがて おんなのこは ですりんぐで アイドルをやめました。
にーとの ひきこもりは うつらない がめんをみて
一日じゅう なきました。
おんなのこは いんたいしてしまいました。

あるとき おんなのこは 小さな 女の子の アイドルでした。
おんなのこは 子どもなんか だいきらいでした。
女の子は アイドルを そだてたり しっかり プロデュースしました。
おーでぃしょんに おちても がんばりました。
ある日 アイドルは Eランクで おわってしまいました。
そっけないたいどの アイドルに 
女の子は 一日じゅう なきました。 
そして アイドルは いんたいしてしまいました。

おんなのこは いんたいなんか へいきだったのです。


338:100万回アイドルだった女の子(3/4) ◆DqcSfilCKg
09/06/21 11:02:46 SoM/lWpH

あるとき おんなのこは だれの アイドルでも ありませんでした。
ふつうの おんなのこ だったのです。
おんなのこは はじめて 自分の アイドルに なりました。
おんなのこは 自分が だいすきでした。

どんな プロデューサーも おんなのこを アイドルに したがりました。
たくさんのげいつを プレゼントする プロデューサーも いました。
えむえーを いっぱいかう プロデューサーも いました。
めずらしいのにじゅーすを おみやげにする プロデューサーも いました。
りっぱな うたを ほめてくれる プロデューサーも いました。

おんなのこは いいました。
「わたしは 100万回も いんたいしたの。いまさら おっかしくて!」
おんなのこは だれよりも 自分が すきだったのです。

たった ひとり おんなのこに 見むきも しない
まだ一回もぷれいしていない プロデューサーが いました。
おんなのこは プロデューサーの そばに いって
「わたしは 100万回も いんたいしたのよ!」 と いいました。
プロデューサーは
「そう。」
と いったきりでした。

おんなのこは すこし はらをたてました。
なにしろ 自分が だいすきでしたからね。
つぎの日も つぎの日も おんなのこは プロデューサーの ところへいって いいました。
「あなたは まだ 1回も ぷれい していないんでしょ。」
プロデューサーは
「そう。」
と いったきりでした。

ある日 おんなのこは プロデューサーの前で 
どんがらがっしゃーんと 3回 ころんで いいました。
「わたし みんごすの アイドルだったことも あるのよ。」
プロデューサーは
「そう。」
と いったきりでした。


339:100万回アイドルだった女の子(4/4) ◆DqcSfilCKg
09/06/21 11:03:28 SoM/lWpH

「わたしは100万回も・・・・・・。」
と いいかけて おんなのこは
「そばに いても いい?」
と プロデューサーに たずねました。
プロデューサーは
「ああ。」
と いいました。

おんなのこは プロデューサーの そばに いつまでも いました。

プロデューサーは かわいい どうがを たくさん つくりました。
おんなのこは もう
「100万回も・・・・・・。」
とは けっして いいませんでした。

おんなのこは プロデューサーと たくさんの どうがを
自分よりも すきなくらいでした。

やがて どうがは けんりしゃさくじょで どこかへいってしまいました。
「またあたらしいどうがをつくればいいわよ。」
と おんなのこは プロデューサーを なぐさめました。
「ああ。」
と プロデューサーは いいました。
そして ぐしゃぐしゃと おんなのこを なでました。

プロデューサーは すこし おじいさんに なっていました。
プロデューサーは いっそう やさしく おんなのこを なでました。
おんなのこは プロデューサーと いっしょに いつまでも 生きていたいと 思いました。
ある日 プロデューサーは おんなのこのとなりで しずかに うごかなく なっていました。
おんなのこは はじめて なきました。 夜になって 朝になって
また夜になって 朝になって おんなのこは100万回も なきました。
朝になって 夜になって ある日の お昼に おんなのこはなきやみました。

おんなのこは プロデューサーの となりで しずかに うごかなくなりました。

おんなのこは もう けっして アイドルに なりませんでした。


340: ◆DqcSfilCKg
09/06/21 11:04:51 SoM/lWpH
以上で投下終了です。
元ネタをNHKの某番組で萩原流行が読んでいたのですが、まさか泣かされるとは思いませんでした。
以下、レスのお返しです。

>>295
レスありがとうございます。
なかなかキャラスレに落としにくいものを書きたがる癖がありますので、このスレの皆様には感謝しております。

>>302
ご意見ありがとうございます。ご指摘通り、なかなか一義的な理解に悩む作品になってしまいました。
言い訳に過ぎませんが、今回は自身の実体験を基にしている部分があり、無意識的に言わずともわかって欲しい、といった部分がありました。
次回以降の作品に生かしていきたいと思います。

>>303
レスありがとうございます。そのように言って頂き感謝しております。
このスレでも何度も議論されておりますが、オリキャラの扱いには特に今回、気を使って書きました。
Pを使わないのも自分の中でオリキャラの範疇に入ってしまい、妙な作品ばかりとなっておりますがよろしくお願いします。

>>304>>310>>311
レスありがとうございます。
今回のテーマとして、好意的な解釈というものを意識して書きました。
それこそ、意地悪に受け取ればあずさの花菖蒲のくだりも伊織の解釈も間違っている恐れがあります。それでも尚、という部分を書きたっかたのですが、まだまだ私の筆力不足を露呈するばかりでした。
それにしましても、私の作品をそこまで読み込んでいただいたこと、感謝しております。

>>323
先述しましたが、実体験を基に書いたということが、逆に読者様との共通部分を狭めてしまったことは改めて勉強になりました。
伊織を妻と間違えるくだりですが、間違われた際の微妙な心情を優先して無理くりな感が出ていたことは次回の反省に生かしたいと思います。ありがとうございました。


長々と失礼しました。次回もよろしくお願いします。


341: ◆bwwrQCbtp.
09/06/22 00:04:11 t+DYN7Q7
こんばんわ。みなとPです。
自分から名乗る時は、肩書きのPは外した方が良いと思ってましたが、名乗らないと
誰もそう呼んでくれないと気付いたので、あえて名乗りますw

感想ありがとうございました。
風船祭りの小鳥編で、会話文中心でメリハリが欲しいと言われたので、
次作ではあえてメリハリを強めに付けてみたところ、どうもリズムが悪かった様子。
精進いたします。

以下、あえてトリ付きで感想。

>>333
もしかして、虹色の鳥は1000年生きたり不老不死だったりするのでしょうかw?
という冗談はさておき。
推測の誘導のさせ方、情報の示し方が巧いと思いました。見事です。
響の没キャラ設定の使い方もうまいですね。ニヤリとしました。
「青年」は、当時、すでに青年と呼ばれる年齢の末期にいた、と思えばなんとか
辻褄も合わないことはないのでは、と思います。
(個人的な解釈は前スレでSSにて書いた通りですが。)

>>340
次元を超えた視点がシュールな感じを与える、面白い味付けです。
ただ、ちょっと原作に近寄ろうとし過ぎてないかなあ、と。
この「おんなのこ」には、アイドルでいて欲しい、というのは個人的な希望ですが、
多くのプロデューサーの願いでもあると思います。
前スレの拙作でも、それを(隠し)テーマにしていました。
そういう点で、なんとも言えない感じが残ってしまいました。
あとは、他の100万人を「だいきらい」と言うのも、救われない感じがしました。

342:創る名無しに見る名無し
09/06/22 03:00:57 31VDKh4W
>>328
悔恨、反省、そして継ぐ者。
こういうのの狂言回しをやらせると響は適任ですね。本人の性格や好奇心、ズケズケした物言い
もそうですが、場に馴染み切れてないという負い目というか馴染もうとする努力というかが
ちょうどよくリンクする感じで。
探し物は・・・あの2人の片方でしょうか。見方によっては美希より古株ですしね。
社長は結構、飄々としつつ見えないところで苦悩する人であり、どうでもいいようなとこで
致命的な問題を作ってはその始末を丸投げしてしまう人でもあり……と何気に困った人なのだけど
最後の最後では結構頼れる人なのでは、全部わかってやってるのではと思えてしまう辺りが謎w
なんというか、現役でありながら隠者の雰囲気のある人、といったところでしょうか
なんとなく社長像を考えてしまうというか掘り下げ直してしまうわかりにくさも含めて
ああなんかそんな感じ、という感慨を持てる一作でした

>>331
優しすぎる人たちによる、優しすぎる物語。それでもなお同じ道を歩み出す娘ら
確かに綺麗事かもしれないし、芸能界に限らずそんなでは回っていかないといってしまうのは
簡単ですけども、こんな夢と憧れを積み重ね、そしてそれがまた誰かの夢や憧れにつながっていく
ただそれだけの当たり前の。そんな物語にひたるのも、たまにはいい感じですね

>>340
うーん・・・100万回生きたねこの原文を意識しすぎかなという点、きらいと切って捨てられる
救われなさは既に>>341でも言及されてるわけですが、こういう敢えて視点をゲーム外に
置いてみたメタな話自体はわりときらいじゃなかったり
なにより、選択自体が見事でした。無数の人が何度となく彼女をデビューさせ、活動停止までを
過ごし、そして彼女たちを題材に新たな話を紡いでいく繰り返し・・・おそらくは、シャレでなく
百万回じゃきかないほどの回数はアイドルだったはず。そこでそれ持ってきたセンスにそもそも脱帽ですね
目の付け所は素晴らしいので、もう一つ、ああ、と腑に落ちるなにかがあれば・・・という感じです

343:創る名無しに見る名無し
09/06/22 14:57:03 8zfyL3V2
おお! なんか新しいイベント始まってるー。

よし、じゃ自分は961美希でシンデレラ書いてくる!

……あれ、シンデレラってどんな話だっけ……?

344:100ある961の話なら(1/2)
09/06/22 17:39:11 8zfyL3V2
「あふぅ。今日もお掃除、お留守番、タイクツなの……」
 
 窓を拭く夢を見ながら、夢の中で美希は呟いた。
 
 ゲイノウ国のプリンス『プロデューサー』の『アイドル』を探すオーディション。
 その名も『アイドル・アルティメイト』。今日はその決勝戦がお城で行われている。
 
 “プロデューサーに選ばれたアイドルは、幸せな人生を送る事が出来る”
 ゲイノウ国にはそういう伝承があり、年頃の女の子はみな、プロデューサーのアイドルになる事を夢見た。

「ミキも行ってみたかったな……王子サマ、どんな人なんだろ」

 美希はアイドル候補生であり、アイドル・アルティメイトには美希の先輩達が何人か参加していた。
 だが美希だけは見学も許されず、いつものように事務所で一人、お留守番と雑用を命じられていた。

「ミキだって、ステキな王子サマにプロデュースしてほしいのに……」

 ゲイノウ国は、何故かどの代のプリンスもプリンセス(花嫁)を現役アイドルから選ぶ。
 いつからある伝統か定かではないが、巷では「王家はロリコンの血筋」という黒い噂まで流れている。
 したがってこの国で『アイドル』とは“未来のプリンセス”という意味も含まれているのだ。

 ぐぎゅるるるるる~~。 

「うう、夢の中とはいえお腹減ったの。そういえば今日、何も食べてないの……」

 空腹で目覚める。夜食にとっておいたおにぎりを取りに事務所の冷蔵庫を開ける。
 しかし、そこには―。

「あれあれ!? 無い……ミキのおにぎりが……ないっ!!」

 あるはずのおにぎりが無い。好物であるおにぎりに関して、美希は結構うるさい。
 研ぎ澄まされた思考が、その謎を解き始めた。

「そういえば……社長、出かけるとき、口にごはん粒と海苔がついてたの……」

 美希は己の境遇を嘆いた。アイドルとしてデビューさせてもらえないばかりか、さらにこんな酷い仕打ちを受けるなんて。
 保っていた心の線が切れた。美希は家出を決意し、事務所を飛び出した。

「ひどいよっ! ミキばっかりこんな……今頃みんな、会場のお城でご馳走をタラフク食べてるの!」
 
 夜も更け始めていた。寒空の中、美希はアテもなく孤独な夜を彷徨う。

「おやおや……何を泣いているのかな、子猫ちゃん……?」

 今居る場所も、自分がこの先どうなるかも分からない。
 走りつかれた美希がうずくまり泣いていると、美希の前に怪しげな男が現れる。
 
 それは、黒い魔法使いだった―。

345:100ある961の話なら(2/2)
09/06/22 17:48:43 8zfyL3V2
「何を泣いているのかな、こんな場所で」
「おじさん、誰……?」
「お、おじさんでは無い! 私の名は黒井。魔法使いだ」
「黒い、魔法使い?」
「そうだ。キミはアイドルかね?」
「ううん。ミキはまだ、アイドルじゃないの……」
「まだ、というと?」
「事務所の社長さんがね、ミキはまだ心構えがどうの~とか言ってデビューさせてくれないの。
 それに、ミキに雑用ばっかりおしつけて、おにぎりも食べちゃったんだよ!?」
「ふーむ。それは酷い話だねぇ。それで、美希ちゃんは家出……をしてきたのかね?」

 美希は黒い魔法使いを探るような眼差しを向け、こくりと頷いた。

「ノン! それはいけない。私の見た限り、キミは『トップアイドル』になれる器だ。
 キミをデビューさせなかったのは、そのプロダクションの社長がボンクラだったのだよ」
「そ、そうかな? ジツは、美希もうすうすそう思ってたの」
「フフ。素直な子だね美希ちゃんは。だが逃げ出すのは頂けない。
 欲しいモノは、どんな手段を使ってでも手に入れなければ! 
 どうだね? 私は、キミの願いをかなえられるが。キミが望むなら、ね……。
 今からそいつらをぶっとばしに行かないかね?」

                  ☆★☆

「退屈だな」
「は、すみませんプロデューサー……今年はアイドル不作の年でして……。
 しかし、あの頭のリボンがトレードマークのアイドルはどうでしょう? なかなかいい表情をしますよ」
「あれはウラがありそうだ。嫁にしたら王家滅亡の予感がするぞ、大臣」

 大臣の必死のフォローをプロデューサーは一蹴する。
 それでも大臣はめげず、めぼしいアイドル達を指差し挙げていった。

「ではあのアイドルはどうでしょう。ダンスはいまいちですが、歌唱力とスタイルは図抜けています」
「ふむ……大臣、あのアイドルの名は?」
「は。三浦あずさ、20歳です。いいですな~癒し系お姉さん……!」
「大臣……20歳と申したか?」
「は。それが何か……?」
「残念だと、一言」

 やはり王家のロリコンの血筋は健在だ、と大臣は嘆いた。
 その後の大臣の必死の推挙もプロデューサーはつまらなそうに否定し、
 重い空気のまま、アイドル・アルティメイトは終焉を迎えようとしていた。

「愛してると言われると―まっすぐ過ぎて反吐が出るものね―」

 突如、沈殿した華を蹴り散らすように会場の扉が開かれ、
 アイドルの物とは思えぬ力のある歌と歌詞が、城内に響き渡る。

「なんだこれは、大臣! 余はこんな事聞いていないぞ!?」
「私も存じませぬ。オーディションに乱入……でしょうか、アイドルの」
「ほう。アイドルが乱入とはな……前代未聞だ―だが面白いぞ! そこなアイドル、名を何と申す!?」

 会場中の視線が飛び入りのアイドルに注がれ、
 さっきまでほぼカビていたプロデューサーの生気も復活し、眼に輝きが戻る。

 飛び入りアイドルはプロデューサーを指差し、ゆっくりと、大きくはないが力強い声で言った。

「―ミキの名前は星井美希―見つけたよ。ミキの王子サマ!」

346:100ある961の話なら(あとがき)
09/06/22 17:58:03 8zfyL3V2
一度はノッてみたいさ!

シンデレラって確かこんな話……じゃなかったよね、絶対(ぁ
こんな話に2時間以上かけてる自分は一体……。

もっと色々やりたかったけど、この終わり方が楽―じゃなくて楽しいかなって思った。
まぁイベントはノリが大切って事で大目に……ダメ?
じ、次回こそ本気出す!!

347:創る名無しに見る名無し
09/06/22 18:20:00 87ZEQYGl
>>346
いやいや瞬発力も大事だッ!GJ!話もだいたい合ってるぞw

黒井社長と961美希が主役を張るなんざなかなかありませんな。
欲を言えばこのものすごい配役の末の結末が気になるところだが
……まあよい、こういうのもアリだ。

またよろしく~。

348:創る名無しに見る名無し
09/06/22 23:58:46 31VDKh4W
>>346
元気があって大変よろしいと思いますwっていうか美希前向きすぎて腹抱えて笑いました
黒魔法使いwの胡散臭さもなかなかイイ味出してます
きっちり造り込んだ話はもちろんいいものだと思いますが、時にはこういう勢いで
ひたすら突っ走るだけの話もイイ感じですって言うかだいたい合ってる!
まあ、最初に夢オチなことが明示されてますけども「そういう設定の話なんです!」で
押し切っちゃうのもアリだったかもですね。ラストシーンのいい意味でムダなかっこよさも
含めてかなりウケました。
あと、もちろん次回の本気も期待します。

そういやシンデレラだと至極真面目にプロデューサーを魔法使いに
アイドルをシンデレラに見立てた話なんてものあった気がっていうか、あれ夜Pんとこだったかな?


349:創る名無しに見る名無し
09/06/23 00:19:51 be6N3SRU
シンデレラとか言われると、にひひっ、と笑うツンデレラしか思いつかない発想貧困な俺ですが、
ネタ的に何でもアリっぽいので、参加させていただきます。
空気読めてなかったらすみません。
「芸能界鬼退治譚」2レスで。

350:芸能界鬼退治譚(1/2)
09/06/23 00:21:08 be6N3SRU
「た、助けてくれー!!」
彼はピンチだった。
ピンチと言っても生易しいものではない。川の濁流に呑まれ、流されていた。文字通り生死の境である。
かろうじて、流されていたピンク色の物体に掴まり、その浮力の助けを得て顔を水面上に出してはいるが、
力尽きるのも時間の問題と思われた。

「君、大丈夫か!?これに掴まりたまえ!」
声がした。男は必死で、声のする方から伸びて来た竿に手を伸ばした。
ギリギリ、手がその竿に届いた。

「助かった・・・あ、ありがとうございます!」
「うむ、良かった。ほう・・・何といい面構えだ。」
「は?」
「ピーンと来た!君の様な人材を求めていたんだ!」
命の恩人の頼みとあれば、断れる人間などそうはいない。
彼は、助けてくれた男の芸能事務所で、プロデューサーとして働くこととなった。

「社長、元気がありませんね。どうかなさったのですか?」
ある日、男は命の恩人である社長が元気をなくしているのを見かねて、尋ねてみた。
「うむ。今、芸能界は、悪い961プロに、いい様に荒らされているのだ。何とかしなくてはいかんのだが、
いかんせん奴らは金の力が強く、誰も手を出せないのだよ。」
「わかりました。私が、みんなのために961プロを倒してみせます!」
「そうか、やってくれるか!では、早速よろしく頼むぞ。ついては、我が社にはアイドル候補生がいないので、
スカウトして来てくれ。この、事務員の彼女が作ってくれたキビダンゴを、好きなだけ使っていいぞ!」

男は、近くの公園に行った。すると、女の子が歌を歌っていた。
「あー。あー。ドレミレドー。」
「そこのリボンを付けた君、良かったらアイドルやってみないか?」
「え、あ、アイドルですか?」
「今我が社でアイドルデビューしてくれるなら、特典としてキビダンゴが付いてくる!どうだ?お得だろ?」
「わかりました!私、頑張ります!」

こうして、頼もしいアイドル候補生達が揃った。
「絶対勝ちましょう、プロデューサーさん!」
「兄(c)よろ→」
「歌える機会さえ与えて頂けるなら、私も全力を尽くします。」
「では、いざ、961退治に出発!」


戦いは熾烈を極めた。
そして・・・

『ドキドキするだろ?今回の合格者は・・・・・・・1番!おめでとう!』

「やった!やりましたよ!プロデューサーさん、私たち、勝ちました!」
「ああ、勝ったんだ!あの961プロに!」
「フン、くだらんな。たった一度勝ったくらいで、いい気になってもらっては困る。」
「そうは行くか!やい、黒井め!今まで悪辣な手段で巻き上げた有り金を残らず置いて行け!」
「な、何をバカな事を!」
「さらに、あのアイドルの女の子3人も、ウチの事務所にもらって行くぞ!それ!やっちまえ!」
「ひーっ!暴力反対ー!」



351:芸能界鬼退治譚(2/2)
09/06/23 00:22:04 be6N3SRU

「これで、芸能界にも平和が訪れる・・・。」
「あの、貴方様、私どもを、悪い961プロから救って頂き、ありがとうございました。」
「いえいえ、当然のことをしたまでです。」
「お礼に、私どもの歌謡と舞踊を披露させて頂きます。それと、これは土産品の玉手箱でございます。」
「な、なんかいつの間にか違う話になってないか?」
「その箱は、絶対に開かないで下さいませ。」

「あ、兄(c)、兄(c)、この箱な→に→」
「もしかして、これも優勝商品かな?ちょっと開けて見ちゃおう!んふふ~。」
「こら!ダメだ、開けちゃ・・・くっ、間に合わない?!」

「ダメだよ、二人とも!これはプロデューサーさんが開けちゃダメだって!」
間一髪だった。リボンの彼女が、既に封の紐を解かれた箱を、双子から取り上げる事に成功した。
「え→?ケチ→!」
「ダーメ!じゃあ、プロデューサーさん、この箱はお返ししま・・・あああっ!?」
どんがらがっしゃーん
お約束通り、箱は美しい二次曲線を描いて宙を舞い、その曲線は男の頭部が存在する座標を含んでいた。
男の額に命中した箱は、そのはずみで蓋を開いた。
ぼわん
白い煙が男の周囲を包む。

「うわ→?!兄(c)が、じい(c)になっちゃった→!!」


その後

彼は、961プロから取り上げた資金を元に、芸能事務所を立ち上げた。
苦楽を共にしたアイドル達も、再び候補生に戻り、新たな面々も加えて彼の事務所の所属となった。
しかし、彼女達の記憶からは、彼とともに過ごした日々は存在しなかった。
彼は老いた己の姿を恥じたのか、常にシルエットでしか他人に姿を見せなくなった。
そして今日も、老いた自分に代わって、彼女達をプロデュースする人材を求め続けている。



352: ◆bwwrQCbtp.
09/06/23 00:27:34 be6N3SRU
格好つけてみても、他人の真似してみても、結局自分の力以上の物は書けない。
というわけで、もう自分の文体全開で書きました。
時間をかけなかったんでそうなった、という部分もありますが。

原作には、鬼ヶ島が竜宮にあったとか、宝と一緒に姫を連れ帰ったとか、
そんな話があるらしく、その辺から連想を広げた結果、こんな感じに・・・


最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch