09/05/03 00:35:53 8vS8LF6Q
ブラックリベリオンの幕切れは、それはもうひどいものだった。
指揮官のゼロはいきなりKMFごと行方をくらますし、当然同乗者のC.C.も然り、
扇副指令は負傷で、戦力の要であるところの紅蓮まで消えた。
あれで状況をどうにかできる人間がいたとしたら、そいつはもう人間ではなく化け物かなにかだろう。
ともあれ、僕らは大惨敗した。
だから混乱の果てに再会した仲間がいくらか情緒不安定になっていたとしても、それは仕方のないことである、はずだ。
はずだったら、はずである。
そんなフォローに思考がまわっていたせいか、ライはしばらく何のリアクションを取ることができなかった。
で、あるからして、ぐぐぐと押しのけながらじろりと男を睨みあげたのもしばしの間の後のことである。
「卜部中尉、苦しいです」
かつて黒の騎士団から離れていた時期に行動を共にした解放戦線の卜部は、ライよりもはるかに長身の男だ。
その身長の割には痩躯といっていい体型ではあるが、それでも抱きつかれたら鬱陶しい体躯の持ち主である。
「あ、すまん、つい」
ライから離れ、卜部がぼりぼりと頭をかきつつ詫びの言葉を口にした。
「まさか、少尉にまた会えるとは思っていなくて」
卜部が浮かべた笑いには、わずかな苦味を含まれている。
無理もないとライもまた苦笑いで応じた。