09/05/02 22:20:44 scdZeMUa
結局、カレンに返事を返せないまま、東京決戦は始まった。
いつもなら僕とカレンはペアを組み戦うのだが、今回の戦いは味方の数が多いうえに寄せ集めという状態。
そのため、指揮系統を統一化する為に僕もカレンも別々の部隊を率いなければならなかった。
いつもは傍にいるはずの彼女がいないだけで、こんなにも不安になるとは思いもしなかったが、やるしかない。
そう自分に言い聞かせ、戦いに飛び込んだ。
激しい戦いが繰り広げられていった。
戦いは、序盤こそ黒の騎士団が優勢であったが、ゼロの戦線離脱により形勢は逆転されてしまう。
それでも勝利を信じ、奮戦する仲間達。
だが、僕の目の前で多くの仲間たちが倒れていく。
そして……。
「危ないっ、井上さんっ……」
僕の叫びも虚しく、爆参する井上さんの無頼。
ああ……なんで……。
また一つ、大切なものが消えていく。
僕の両腕からするりと抜け落ちるかのように。
なんでだっ。
なんでなんだよっ。
心にズキリと鋭い痛みが走り、僕の精神を切り刻んでいく。
その痛みが僕の正常な判断を狂わしていく。
畜生っ。
僕の……。
僕の大切な仲間たちをっ……。
そして、僕の中で何かが切れた。
「死ねよ……」
ぽっりと口から言葉が漏れる。
一度、漏れた言葉はより強い思いが篭ってまた漏れた。
「しねぇぇぇぇーーーーーーっ!!」
僕の心が殺意で満たされる。
目の前にいる敵が、いつしか人と認識できなくなったいく。
ただ、目の前の敵を殺して、壊して、潰していくことだけ。
そう、オレの大切なものを消し去っていく貴様らには、死んでいくのが相応しい。
ゾクゾクした刺激が背中を走り抜けていく。
それは、まるで本来の自分に戻ったかのような感覚だった。
記憶が戻ったのではない。
そう、身体が覚えている感覚といった方が正しいのかもしれない。
それがますます僕を変えていこうとする。
オレはそれに逆らわない。なぜなら、逆らう理由がないのだから。