09/04/13 22:04:08 Ml6FT87t
告白
「はぁ~……」
思わず大きな溜息が出てしまう。
無意識なだけに自分自身が少し驚く。
だからだろうか。
さっきからリヴァルがこっちをちょろちょろと気にして見ていた。
「ん? どうしたんだい、リヴァル……」
さすがに声をかけるべきだろう。
そう思ってこっちから声をかける。
「あ…、あはははは……。いやぁ、さっきから溜息ばかりだし、どうしたんだろうって思ってさ」
リヴァルが苦笑しながら答えた。
「えっ? そんなに溜息してたか?」
思わずそういうと、今度は思いっきりリヴァルが呆れた表情で溜息をついた。
「無自覚すぎるのも駄目だと思うぜ、ライ」
うーーーん。
さっきの大きいのは、自覚したけど、そんなに溜息ばかりだったろうか。
少し考えてみると……ああ、多いな。
納得してしまう。
「どうしたんだよ…。俺でよければ相談に乗るぜ」
僕の顔を覗き込むようにリヴァルが言う。
それは多分、友人して心配してくれたからに違いない。
だが、その浮かぶ笑顔の中に邪気が混じっているような気がするのは気のせいだろうか……。
いかん、いかん……。
最近は、ミレイさんにいいように遊ばれてしまっているから、ついつい被害妄想的な考えが浮かび上がってくる。
友人を信用しないと駄目じゃないか。
そう思いなおし、リヴァルに笑顔を向けた。
「いや…、気にしないでくれ……。大した事……」
そこまで言いかけて、リヴァルの言葉がその先を言わせない。
「そんなわけあるかよ……。ここ最近、ずっとじゃないかっ」
真剣な表情になったリヴァルの顔が間近にある。
その表情に圧倒された。
「俺じゃ…たいした事出来ないと思うけどさ。相談ぐらいなら乗ってやれるぜ。俺ら友達じゃないかっ」
その言葉に胸が少し熱くなった。
いいもんだな……、友達って。
だからだったのかもしれない。
僕は、今、心の大半を占める悩みを彼に話してしまっていた。
201:酸性雨 ◆6yugqI8E3U
09/04/13 22:07:13 Ml6FT87t
「告白したいだってっ?」
リヴァルの大きな声に思わず唇に指を立てて、静かにというゼスチャー。
それで慌てて自らの口に手を当ててまわりを見回すリヴァル。
もちろん、僕もきょろきょろと周りを見回している。
「で……誰だよっ」
表情が完全に興味津々モードになっている。
うううっ。
言うんじゃなかったかな。
ちと後悔が頭をもたげる。
それに気が付いたのだろうか。
「まぁ、いいや……。誰にも言いにくい事ってあるからなぁ」
リヴァルが慌てて無関心を装う。
多分、聞きたいんだろうけど、その変は空気を読んだのだろうか。
リヴァルににしてはとても、いや本当に珍しいと思う。
「で…、何に悩んでいるんだ?」
その言葉に、僕はおずおずと話す。
「実は、どうすればより確実にOKがもらえるかと思って……」
その言葉にリヴァルも考え込む。
「うむー……」
納得できるのだろう。
ちなみに、確実にOkをもらえるというそんな方法があれば、彼にだって彼女の一人か二人は出来ているに違いない。
「どんな方法でも、ミレイさんだったら冗談で流されそうなんだよなぁ……」
無意識のうちに言葉が漏れる。
「なにーっ……。会長相手なのかっ」
驚愕の表情でリヴァルが固まった。
しまったーっ。
だから、言わないようにしていたのに。
彼だってミレイさんを狙っているライバルなのだ。
なんで言ったんだよ。
自分自身がなさけなくなくなってしまう。
そして、心の中で後悔が大きくなっていく。
だが、そんな僕を気にしたのだろう。
リヴァルがポンポンと肩を叩く。
「確かに、そうなってくると問題だよな」
その言葉がますます僕の中の後悔を大きくさせていく。
「でもさ、恋はライバルだけど、ライとは友人でもあるからな」
少し無理したような明るい声。
すまなくなって謝罪の言葉が口から漏れた。
「ご、ごめん……」
「なぁに気にするなって」
そういうと大きく笑う。
少し悔しそうな笑いだと僕は思った。
そして、言葉を続ける。
「正々堂々と勝負だからな、恋に関してはっ。でも……、今はライの友人の一人として相談に乗るぜ」
思わず、その言葉に泣きそうになる。
リヴァル、君って奴は。
感動して言葉にならない
そんな僕を気にせず、リヴァルは話し続ける。
「確実じゃないけど、この国のすごく好感度を与える告白の方法を教えるよ。それでやってみたらいいよ」
その言葉に、僕はますます感動してしまう。
リヴァル、今、僕の中では、君は親友に格上げされたよ。
ありがとう。
本当に、ありがとう。
僕は、そんなリヴァルに最大限の感謝を感じながら、彼の話をしっかりと聞いたのだった。
202:酸性雨 ◆6yugqI8E3U
09/04/13 22:09:29 Ml6FT87t
そして、それから2日後……。
すべての準備が揃い、僕はついに決心する。
告白しょう……。
リヴァルには申し訳ないけど、彼の言うとおり恋は戦いなのだ。
ごめん……。
心の中で何回もリヴァルに謝った後、僕は彼女の元に向かった。
そして、運良く屋上で一人佇むミレイさんを見つける。
よしっ、チャンスだ。
僕は、彼女に近づいた。
ギクシャクした動きになってしまうのは、緊張しているためだろうか。
いかん、いかんっ……。
落ち着くように自分自身に言い聞かせるが、なかなか難しい。
今度、自己暗示でも練習しようかなと思ってしまう。
いやいや、今はそれどころではない。
僕は、本気なのだ、
そして、今こそ正念場。
よしっ。
やるぞっ。
そう決心したのはいいのだが、怪訝そうなミレイさんの顔が、僕を見ている。
いかん。
ともかく話して雰囲気を作るなり、流れを作らなければ。
「や、やぁ……。いい天気だね」
まずは、きっかけを作らないと。
そう思って、軽く挨拶をする。
「そうね……って、この天気が?」
ますます怪訝そうな顔になるミレイさん。
よく考えたら、今日は、曇っている。
いかんっ……。
別の話題をっ……。
慌ててそう考えるものの、パニックになった僕の頭でいい考えが浮かぶはずもない。
ただ、告白しなきゃ…という思いだけが空回りを続けている。
だからだろうか、思わず口走ってしまっていた。
「ミレイさんに告白しなきゃいけないんだっ」
その言葉に、ドキリとなったのだろう。
驚いた表情のミレイさんが目に入る。
しまったっ。
なんてストレートな事を口走ってしまったんだよ、僕はっ。
馬鹿っ。
大馬鹿じゃないかっ。
こう、すーっと何気ない感じで話に持っていくはずだったのに。
だが、焦っても慌てても仕方ない。
僕は考え直す事にした。
そう、現状は、刻一刻と変化しているのだ。
臨機応変。
現状をうまく利用しなければ。
だが、そうは思っても、うまくいかないのが人生だったりする。
言わなきゃと思う心と迷う心がごちゃごちゃになって、心臓がパクパク言っている。
えーいっ。どうすればいいんだよ。
僕は、混乱の極致だった。
203:酸性雨 ◆6yugqI8E3U
09/04/13 22:11:21 Ml6FT87t
だが、助け舟は、ミレイさんの口から出た。
「告白って……」
そう、僕がテンパっている間に、ミレイさんの方が先に落ち着いたのだろう。
恐る恐るといった感じだが、聞いてきてくれる。
ううっ……。
ありがとう、神様。
思わず、拝みたい心境になった。
これでもう言うしかない。
こうなったら、開き直りという訳ではないのだが、心が落ち着いてくる。
「実は、ミレイさんに言わなきゃいけない事があるんだ」
ドキリとするミレイさん。
「もしかして……来週の買い物につき合わせて、荷物持ちさせてやろうとか考えていたの、バレた?」
「へ?」
「それとも、今度、女装させてルルーシュとどっちが色っぽいか競わせようと計画しているの知っているとか……」
「はぁ?」
僕のリアクションにしまったという表情のミレイさん。
多分、今、彼女の中ではすごく後悔しているに違いない。
「そうですか……。そんな事考えていたんですかっ。大変いい情報、ありがとうございます」
思わず皮肉っぽく礼の一つも言ってしまう。
また、いろいろ考えていたんですねっ。
本当に、貴方って人はっ。
そうは思ったが、それでも好きになってしまったんだよなぁ。
そんな事を考えている僕を余所にあちゃーという表情で苦笑して誤魔化そうとするミレイさん。
「じ、じゃあ、何?……」
そう言われ、僕は本来の目的を思い出す。
そうだ。
僕は、ミレイさんに告白しょうと思ったんだった。
すっかり、忘れかけていた。
何やってんだよ、僕は。
深呼吸をして、心を落ち着ける。
さっきのミレイさんの告白で、なんかすっかり緊張が抜けていい感じだ。
一瞬、もしかしたら、ガチガチの僕の事を思って言ってくれたのかもしれないって思ってしまいそうになる。
まず、絶対にありえないと思うのだが……。
だが、今はそれよりも大事な事がある。
「ミレイさんっ」
声が普段より一段と大きくなってしまうのは、仕方ないのかもしれない。
どうしてもそうなってしまうのだ。
「は、はいっ」
思わず返事をしてしまうミレイさん。
普段の姿から想像できないほど、彼女も実は緊張しているようだ。
「僕は、ミレイさんのこと……が……」
深呼吸を入れる。
落ち着け、落ち着けっ。
そして一気に言ってしまう。
「……好きなんだっ……。だから、僕と交際して欲しい」
よしっ。
言えた。
言ったぞ。
そして、すかさず用意したものを彼女の目の前に差し出す。
それは1つの封筒だった。
204:酸性雨 ◆6yugqI8E3U
09/04/13 22:13:56 Ml6FT87t
いきなりの告白に、私はドキドキしながら封筒を受け取った。
まさか、彼から告白されるなんて……。
心が激しく動悸を繰り返す。
だが、疑問があった。
告白はいいとして、この封筒は何?
ラブレターとは違うだろうし……。
疑問に思いながら、私は封筒の中身を確認した。
「にゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」
無自覚で出たとはいえ、我ながら変な声だとは思う。
だが、それほど封筒の中身は、予想外のものだった。
封筒の中にあったもの。
それは、自分の記入分はしっかり書き終わった婚姻届だった。
えーっと……これって……。
告白じゃなくてプロポーズ?
そう考えたが、彼は「付き合ってくれ」とはっきり言っていた。
だとすると……。
もしかして……。
ライの表情をすばやく観察する。
彼は、私のへんな声に驚いてきょとんとしている。
いや、唖然としているのかもしれない。
それに、まったく今の状況を把握しきれていないようだ。
それで納得した。
ああ、そういう事か……。
「この告白の方法は、誰から聞いたの?」
私は、自然を装って聞いてみる。
私の質問に、ますますきょとんとなる彼。
ああ、なんて可愛いんだろう。
ふとそんな思いが胸の奥から沸き起こる。
「えっ、リヴァルからだけど……」
そんな私の思いを知らず、母性本能をくすぐるかのような表情のまま答えるライ。
あーんっ。やっぱりかわいいっ。
でも、今は我慢だ、我慢っ。
それにしても、本当に予想通りの相手の名前が出てくるとはねぇ。
だから、私は笑いながら真実を告げる事にした。
「ライっ。貴方、リヴァルにからかわれているのよ。交際お願いするのに婚姻届なんて普通はいらないって……」
まぁ、この方法のほうが確実にゲット出来る場合もあるけど、多分、それはほんの少数だし。
リヴァルもそこまでは考えていないだろう。
「大体、交際する前にプロポーズしてどうするのよっ」
その言葉に真っ赤になるライ。
多分、やっと彼も自分が何をやったのか理解したのだろう。
「まんまと引っかかったわね。本当にしょうがないんだからっ」
私がそう言うと、ますます真っ赤になる。
それも可愛いと思ってしまう私。
「くそっ、リヴァルに文句言ってくるっ」
ついに場の雰囲気に耐えられなくなったのだろう。
そう言って彼は逃げる様に駆け出していった。
本当にもう……。
苦笑が漏れたが、それは決して嫌なものではなかった。
いや、どちらかというとほんわりとした心地よい気分だ。
そして、ますます彼のことが好きになっている自分に気が付く。
なんか、こういうのもいいかな。
そんな気持ちだった。
205:酸性雨 ◆6yugqI8E3U
09/04/13 22:17:55 Ml6FT87t
そして、彼が去った後に気が付く。
私の手元には、しっかりとライの記入済みの婚姻届が残される事に。
しばらくそれを呆然と見ていたが、いつの間にか私の頭の中にある考えが浮かんでいた。
これがあれば……合法的に、ライはあたしのもの。
そうだわ。
そうなのよね。
ふふふふっ……。
頭に浮かぶその考えに、私はゾクゾクした。
実際、彼を狙っている女性は、とても多い。
だが、これさえあれば……。
いつの間にか、私は笑い出していた。
そして、初めてリヴァルに感謝した。
リヴァル、ありがとね。
こんなにいいものが手に入るようにしてくれて。
だが、そう思ったのはほんの少しの間だけだった。
なぜなら、すぐにこれをどううまく活用するかを考え始めていたからだ。
そして、ライの受難な日々が始まった。
《おわり》
206:創る名無しに見る名無し
09/04/13 22:20:07 Ml6FT87t
以上で終了です。
書いてて、だんだん某シリーズのミレイさんに変わりそうなのを抑えて書きました。
でも、少しは染まっているかも……ww
まぁ、それでも楽しく書けたことは変わりがありませんがね。
後は、皆様も楽しめればいいのですが……。
では、また別のSSでお会いしましょう。
207:創る名無しに見る名無し
09/04/13 22:28:08 h2ZcqczO
GJ!リヴァル、哀れだ……。そして、ラストのミレイさんがどうしても黒く見えてしまうw
ライに待ち構える受難、どんなんだろう。
次回投下をお待ちしています。
208:創る名無しに見る名無し
09/04/13 22:32:24 CdoybA2w
>>206
あしっど・れいん卿、GJでした!
リヴァル涙目w
策士、策に溺れる……いや、生兵法は怪我の元。
ライが記入済みの婚姻届……
いや、読み切りなんだ、気にするほどではない。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
209:創る名無しに見る名無し
09/04/14 01:12:17 ebMJk44w
URLリンク(www.tanomi.com)
ロスカラ2を作って欲しいならみんなもこっちに自分の思いをぶちまけた方が早い。
やり方分からない人いるから教えて欲しい。
携帯からもパソコンからも出来るのか?
スレ汚しスマソ。
まだまだ応援求む。
今現在15人。
210:創る名無しに見る名無し
09/04/14 01:44:13 MkxT1ncg
>>206
ライ…早まったな…w
211:創る名無しに見る名無し
09/04/14 02:28:47 zpBWFabA
>205
さわやかだなーとほこほこしていたら
最後の1レスで突き落とされました。うわあん恐いよ!
>209
いきなり他社が参入できるものでもないだろうし
普通にバンナムとかクラフト&マイスターに
要望や応援のメール送る方がいいんじゃないか?
212:創る名無しに見る名無し
09/04/14 20:45:17 lPJBYB4d
無い物ねだりをしても無駄だ
与えられているカードを駆使して勝利を掴むしかない
ロスカラ2が実現出来る可能性があるのなら、考えるより即行動!
プロ○○ートの兄貴も言っていただろう?
まあ、行動を起こした所為でライはミレイ会長に捕まってしまったな……
酸性雨さんGJです
213:創る名無しに見る名無し
09/04/14 22:25:38 Ju3HnwsS
>>206
ライの署名入りの婚姻届 + あしっど・れいん卿
どう見ても血みどろデスマッチ確定です。本当にありがとうございました。
214:創る名無しに見る名無し
09/04/14 22:38:53 IcnK2Xs7
>血みどろデスマッチ確定です
…この人の場合はマジでシャレにならん展開がありそうだから油断ならないw
215:あしっど・れいん ◆M21AkfQGck
09/04/14 23:02:22 0X2DCaYT
こんばんわ。
血みどろデスマッチはお任せ&大好きなSS職人でございますwww
ただ、今回は、残念ながら、そっち系ではありません。
もうしわけございません。
そっちはそっちで、じっくりと煮込んでおりますので、お楽しみに……。
今回は、2~3回で完結予定の短編のお話です。
タイトル 逃避行 上
カップリング 咲世子×ライ
ジャンル シリアス
では、始めます。
216:あしっど・れいん ◆M21AkfQGck
09/04/14 23:03:44 0X2DCaYT
逃避行 上
僕は、一人、瓦礫の影で蹲っていた。
血が止まらず、頭がくらくらする。
だが、止血する暇はない。
この場所もすぐに連中に見つかるだろう。
くっ。
ガクガクと震える足を何度も叩き、ふらつきながらも移動する。
僕は、こんなところで死ぬことも捕まるわけにも行かないんだ。
その思いだけが今の僕の支えだった。
しかし、出血によって意識が朦朧となっていく。
やばい…。
そう思った瞬間、身体の力が抜けてその場に崩れるように倒れた。
あははは…。
こんなところで死ぬのかっ、僕は…。
走馬灯なのだろうか。
遠くから人の声がするような気がする。
そして、ぼんやりとした目が咲世子さんの顔を映し出す。
ああ、咲世子さんっ…。
それは虚像ともつかないものではあったが、それでも構わなかった。
ただ、僕の思いを伝えたかった。
なぜなら、最後に悔いは残したくなかったから。
「あ、愛してます、咲世子さんっ」
たどたどしい言葉で何とかそれだけを言葉として吐き出す。
そして、僕の意識は暗闇の中に沈みこんでいった。
「はっ…」
僕は目が覚め、跳ね起きる。
身体中に激痛が走るものの、それは僕が生きている証だった。
「僕は……生きているのかっ」
「ええ、生きていますよ、ライ様」
僕を覗き込む咲世子さんのほっとした表情。
「そっか……」
安堵と共に身体中の力が抜けた。
だが、それと同時に現状を知りたいという欲求が湧いてくる。
本当に、現金なものだ。
さっきまで死にかけていたのに……。
「どうなってます?」
それだけで何を聞きたいのかわかったのだろう。
普段見せないような悔しそうな表情が咲世子さんの顔に一瞬浮かぶ。
それだけで判ってしまった。
「そっか……」
沈黙で答える咲世子さん。
そう、それが答えなのだ。
そして、ゆっくりと意識が遠くなっていく。
「ゆっくりおやすみください、ライ様」
そんな中、僕をいたわる咲世子さんの声が聞こえていた。
217:あしっど・れいん ◆M21AkfQGck
09/04/14 23:04:57 0X2DCaYT
あれからどれくらいたったのだろうか……。
ふと気が付くと周りには誰もいなかった。
だが、隣の部屋からだろうか、声がするのがわかる。
小さな声だが静まり返った中では聞こうとしなくても聞こえてしまう。
どうやら、電話か無線の類のようだ。
「復唱できません。彼を見捨てるなんて……」
荒々しいまでに興奮した咲世子さんの声が聞こえる。
「わかっています。ですが、彼はこれからの騎士団に必要な方なんです。ですから、あと2日待ってください」
何度も相手を説得しょうと咲世子さんは言い続けている。
こんな咲世子さんは、初めてだ……。
ぼんやりとした思考の中で、その声を聞きながら考えていた。
僕がいると彼女に迷惑がかかる。
いくらなんでもそれだけは嫌だった。
好きな相手だからこそ、重荷になりたくなかった。
「っ……」
まだ痛みの走る身体を無理やり布団から起こすと部屋を出ようとした。
ずりっずりっ……。
足を引きずりながらもなんとかドアのところまでたどり着く。
そして、ドアに手をかけた瞬間だった。
バランスを失って、僕の身体は簡単にひっくり返った。
ドタンっ……。
派手な音が響き、僕の身体中に激痛が走った。
「ぐっ……」
それをなんとか歯を食いしばって耐え、立ち上がろうとした瞬間にドアが開いて咲世子さんが飛び込んできた。
「駄目ですっ、ライ様っ。まだ動いていい身体じゃありません」
彼女は、必死になって僕を布団に戻そうとする。
だが、僕がいたら足手まといになる。
その思いが僕を突き動かす。
「僕はっ……」
力が入らない身体を何とか動かし、無理やりにでも出ようとした。
だが、そんな僕の目に入ったのは、泣いてしがみ付く咲世子さんの姿だった。
「お願いです……ライ様。お願いしますっ……」
その泣き顔と言葉が、僕の心に突き刺さる。
身体中から力が抜けていく。
泣かせてしまった。
その事実だけで僕は愕然として何も出来なくなっていた。
218:あしっど・れいん ◆M21AkfQGck
09/04/14 23:06:25 0X2DCaYT
再び僕を布団に寝かしつけると、まだ目元が赤いまま彼女は聞いてきた。
「なんで、あんな事をなさったのですか?」
僕は顔を背けた。
彼女の顔が見れなかった。
好きな相手を泣かしてしまったという事実から逃げたかった。
沈黙が周りを包み込んでいく。
その沈黙があまりにも重い。
だが、今の僕には何も出来ない。
そのジレンマがますます僕を苦しめていく。
その時だった。
咲世子さんの細い指が僕の髪を撫でたのは……。
ふわりっ……。
まさにそんな感じだ。
そして、僕の髪を撫でながら咲世子さんは話し始めた。
「ライ様、私は、ライ様がどういう考えであんな行動を取ったのかはわかりませんし、深く追求するつもりもございません。ただ……」
そこで咲世子さんの言葉が途切れる。
言うべきか言わざるべきか。
迷っているという感じだった。
でも、彼女は決意したのだろう。
ゆっくりと続けた。
「ライ様が…死んでもらっては……こ、困るのです。だって…、だって……」
咲世子さんの声が段々と落ち着きがなくなり、小さくなっていく。
僕は我慢し切れなくて、背けていた顔を彼女に向ける。
そして、目に入ったものは、涙を流しながら喋る咲世子さんの姿だった。
目と目が合い、彼女の表情がかすかに動く。
そう微笑みの形に……。
そして、はっきりと言葉を紡ぎ出す。
自分のありったけの思いをのせて……。
「私も、ライ様の事……好きですもの」
その言葉に、僕の心の中のわだかまりが解けていくような感じだった。
219:あしっど・れいん ◆M21AkfQGck
09/04/14 23:08:36 0X2DCaYT
その夜、彼は熱を出した。
看病はしているものの、2日経った今でも熱が下がる気配はない。
無理がたたったのだろうか。
ともかく、何とかしなくてはいけない。
だが、逃走中の我々にちゃんとした医療品があるわけがない。
また、安全地帯ではない以上、暖をとるわけにもいかない。
どうすれば……。
私は、ガタガタと震える彼を見つめているしか方法がないのだろうか。
その時、混濁した意識の彼の瞳が私を捉える。
一瞬ではあったが、ほっとした表情になる彼。
それは、傍にいるだけで安らげるという彼の優しい心が見せたものだろうか。
それで決心がついた。
私は、彼の服を脱がせると、自分の服も脱ぎ捨てる。
そして、震える彼を抱き寄せると二人一緒に布団に包まった。
冷え切った彼の身体が無意識のうちに私の身体をしっかりと抱きしめる。
それは、温かさを求める無意識の行為とわかってはいた。
だが、私は、女としての幸福感に包まれている。
好きな殿方に抱きしめられるというのは、ここまで嬉しいものなのか……。
ふとそんな考えが頭に浮かぶ。
いけない。
何を考えているの。
これは看病なんだから。
そう自分に一生懸命言い聞かせた。
だが、ドキドキが止まらない。
幸福感と興奮が身体中を駆け巡っている。
だんだんと私自身の身体が熱を帯びていく。
多分、今の私は、真っ赤になっているだろう。
そして、私は気付いてしまう。
彼の唇が目の前にある事に。
心臓の動悸がより激しくなる。
意識しだすと、ますます唇から目が離せなった。
苦しそうな荒い息。
時折、唇を舐める舌の色っぽさ。
「……咲世子さん……」
彼の唇が、私の名前を呼ぶ。
その微かな声。
ゾクゾクしたものが背中を走った。
そして、気が付くとその唇に自分の唇を重ね合わせている私がそこにいた。
220:創る名無しに見る名無し
09/04/14 23:10:58 xBy+wCGU
支援
221:あしっど・れいん ◆M21AkfQGck
09/04/14 23:11:00 0X2DCaYT
僕は身体に押し付けられる温かさと柔らかな臭いに包まれて目が覚めた。
焦点のあっていない目が機能を取り戻し、ぼんやりとした意識がはっきりとしていく。
それでも、僕は現状を理解できなかった。
なぜなら、僕は裸で、その僕に抱きつくような感じで咲世子さんも眠っていたからだ。
それも裸で……。
「うーんっ……」
咲世子さんの身体が少し動く。
布団がめくれ、咲世子さんのお椀型の胸が露になる。
ドキンっ。
いけないと思いつつ、それから目が離せない。
大きすぎす、それでいて小さすぎない。
ちようど手に収まるような感じ。
そんな事を考えてしまう。
これは、男の悲しい性なのだろうか。
そして、気が付くと、僕は男として目覚めていた。
ごくりっ……。
唾を飲み込む音が部屋に響くように感じる。
僕の気配の変化に気が付いたのだろうか。
あるいはたまたま目が覚めたのか。
うっすらと咲世子さんの目が開き、僕を捕らえた。
しばしの沈黙がその場を支配する。
どれだけ時間がたったのだろう。
何時間も止まっていたかのように感じる。
だが、もしかしたらほんの数秒なのかもしれない。
どちらにしても、僕にとってはとても長く、そして短い時間だった。
だが、その時間も終わりを告げる。
微笑みながら咲世子さんが囁く事によって。
その声は、とても小さかったが、はっきりと聞こえた。
「ライ様の好きなようになさってください」
一瞬、思考が停止したかのような衝撃を受け、そして、その言葉に、僕は理性を捨て去った。
222:創る名無しに見る名無し
09/04/14 23:11:13 Ju3HnwsS
支援
223:あしっど・れいん ◆M21AkfQGck
09/04/14 23:12:21 0X2DCaYT
行為が終わり、互いに脱ぎ捨てていた服を身につける。
ただ、布ずれの音だけが響く。
「ごめん……」
僕はそれだけしか言えなかった。
よく考えれば、あの行為は熱を出した僕を暖める為にした事だとわかる。
だが、それなのに僕は……。
「いいえ。誘ったのは私ですから……」
「でもっ……」
言いかけた言葉は、僕の唇に重ねあわされた咲世子さんの唇で途切れた。
「私も、ライ様が欲しくなってしまっていましたから……」
真っ赤になってそう告白する咲世子さんはとても可愛かった。
思わず手を伸ばして、彼女の手を強く握り締めた。
その瞬間、身体に痛みが走る。
「つっ……」
そうだ。
そうだった。
愛しい人との行為に夢中になっていたため、自分の身体の状態を忘れかけていた。
それだけ、興奮し、夢中だったのだろうか。
「だ、大丈夫ですか?ライ様」
慌てた様子の咲世子さん。
多分、彼女も僕と同じで忘れていたのかもしれなかった。
でも、それはそれで嬉しいものだ。
それだけ、夢中で僕を求めてくれたのだから……。
だから、僕は微笑んだ。
ほっとしたような表情の咲世子さん。
彼女のその顔を見ながら、僕は気が付いた。
僕は手に入れることが出来たのだ。
絶対に守りたいものを……。
そして、もっとも大切なものを……。
それがすごく嬉しかった。
《続く》
224:創る名無しに見る名無し
09/04/14 23:13:36 0X2DCaYT
以上で 上 終了です。
さて、実は、まだラスト決めかねていたりします。
最初は、この手の話によくある結末を考えていたんだけどなぁ……。
書いていると気分変わってきたんですよ。
だから迷ってたりします。
もし、よかったら、皆さんの意見とかもあったりすると助かります。
まぁ、気軽にでもいいんで書き込んでいただくとうれしいです。
では、また別のSSで会いましょう。
225:創る名無しに見る名無し
09/04/14 23:30:00 xBy+wCGU
>>224
あしっど・れいん卿、GJでした!
キングクリムゾン! ベットシーンを吹っ飛ばす!
こう、想い合って結ばれるっていいよね。
……だが、あしっど卿の作品という不安要素がある。
ハッピーエンドか、バッドエンドか、はたまた……
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
226:創る名無しに見る名無し
09/04/15 00:24:56 SyBgGNnj
GJ!
227:創る名無しに見る名無し
09/04/15 05:41:57 yq6VHYrz
>>224
乙でした!
続くんですか。ひっくり返されるのが恐いような期待してしまうような。
あしっどさんの書く女性は手で触れられそうでどきどきします。
続編、咲世子さんエンドがあるといいなあ。
というか続編があるといいなあ。
228:エノコロ草 ◆svacoLr1WE
09/04/15 05:52:36 yq6VHYrz
画像掲示板投下報告です。
・・・・・・・
「ライとノネット」
ドレス姿のノネットさんをエスコートするライ、
が描きたかったはずなのですが
少し違ったものが出来てしまったような気もします。
>>4の画像掲示板よりご覧いただければ幸いです。
・・・・・・・
229:創る名無しに見る名無し
09/04/15 08:33:11 2RLRruxy
>行為が終わり、互いに脱ぎ捨てていた服を身につける。
咲世子さんが魅力的なのは同意だが、ますます傷に障るんじゃあ…w
230:POPPO
09/04/15 20:07:47 dk1bxdlD
POPPOです。
今から
コードギアス LOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」
TURN00 「終わる日常」(後編6)
を投下します。
支援は必要ありません。
231:POPPO
09/04/15 20:10:43 dk1bxdlD
コードギアス LOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」
TURN00 「終わる日常」(後編6)
シズオカ第1基地。黒の騎士団総司令部『イザナミ』。
ナイトメアフレームの整備専門の格納庫が複数あり、最も南方にある格納庫に前線で故障したナイトメアが集められていた。
そこにガラクタ同然となった『蒼天』を着陸させた僕は、周囲に集まってきた団員たちの声援を聞きながら、格納庫と繋がった多目的ルームに足を運んだ。
僕が多目的ルームに入った瞬間、カレンに抱きつかれた。
同時にわぁっ、と拍手が巻き起こった。
僕がナイトオブツーに勝ったという朗報は、瞬く間に広がっていたらしい。
カレンの笑顔がすぐ側にあって、僕を褒め称える声を聞いているうちに、何かくすぐったい気持ちになった。
雰囲気に乗って、僕はカレンにキスをした。
カレンは顔を赤くなって、唇を手で押さえていた。
その瞬間、黄色い声が上がったのは言うまでも無いだろう。
だが、複雑な表情で、肩を叩く黒髪の女性団員を見て、僕の気持ちはすぐに冷めた。
その場をすぐに立ち去った僕は奥にある情報室へと案内された。
部屋中に張り巡らされたモニターの光だけが僕たちを照らすような、薄暗い空間だった。
僕はそこで予想外の知らせを聞いた。
「ゼロが消えた!?」
「はい。指揮権を藤堂弐番隊長に譲渡したのですが、ブリタニア軍に拿捕されたらしく、指揮系統に乱れが生じています」
声を震わせながら、戦況を報告する連絡員は僕に告げていた。
僕は連絡員の声が遠くに聞こえた。
ゼロが戦線離脱?
ルルーシュ、君は何をやってるんだ!?
よほどのことが無い限り、彼はそのような行動に出ない。それは僕が良く知っている。
それほど重大なことなら、僕に連絡してくれてもよかったはずだ。
…僕に伝える暇も無いほどのことが起こったのか?
それは一体……
一旦思考を停止して、僕は連絡員を見た。
僕が考え込んでいるのを見て、報告を止めていたみたいだ。
「…戦況はどうなっている?」
「〇二三七、突如として100機以上の新型ナイトメアフレームが参戦し、状況は劣勢。損耗率は35%を超えていると報告が…」
35パーセント。
撤退してもおかしくない損耗率だ。
事実、半数の部隊は撤退を開始しているらしい。それに四聖剣の拿捕、加えて総司令ゼロの戦線離脱。
その報告が示すことに気付き、僕は凍りついた。
「…トウキョウ租界陥落作戦は、失敗したのか?」
232:POPPO
09/04/15 20:12:33 dk1bxdlD
「………」
彼女は何も言わなかった。他の連絡員も拳を固く握り締め、口を噤んでいる。
痛いほど、彼らの気持ちが理解できた。
壁一枚向こう側では、シズオカ防衛作戦の成功で団員たちは浮き足立っていた。
国家建国を目指して四苦八苦を共にしてきた仲間たちに、このような報告を口にするのは辛かった。
つかの間の勝利でも、皆の笑顔を曇らせたくはない。
何故なら、トウキョウ租界陥落作戦の失敗は、黒の騎士団の終わりを意味しているのだから。
「…なぜ、紅月隊長には伝えなかった?」
「それは…」
「支持したのは私です。副指令」
黒髪の女性を制したのは、目つきが鋭い20代後半の男だった。
僕を見て、深く頭を下げる。
「お初にお目にかかります。情報部担当の的場と申します」
手短に挨拶を終えた後、彼はすぐに言葉を続けた。
幹部の僕に媚びる素振りすら見せずに、はきはきと物事を述べ、任務に忠実な姿勢に僕は好印象を受けた。
「紅月隊長は総司令ゼロを崇拝に近い忠誠を誓っているとお聞きしています。そのことを鑑みれば、この報告に衝撃を受けた紅月隊長に、適切な判断は困難だと断定しました」
…ぐぅの字も出なかった。
僕が彼と同じ立場なら、同様の判断を下していたと思う。
「…このことを知っているのは?」
「この基地では副指令と我々だけです。他の支部の情報部も情報を得ていますが、副指令の判断を待つという結論に達しました」
「つまり、実質上のトップは僕になったからか?」
「…そうです。ゼロ無き今、黒の騎士団の全指揮権は貴方にあります」
この瞬間、僕の肩に200万人を超える団員の命がのしかかった。
…ルルーシュ。
君は、いつもこんな重みを背負っていたのか?
僕は君の力になれればと思っていたけど……僕は、君の十分の一も肩代わりしてやれなかったんだね。
砂漠の大地にただ一人取り残されたような気持ちになった。
でも、同時になつかしい気持ちにもなった。
かつて王だった頃に味わった孤独感が、僕の心に染み渡る。
自分の一挙一動が人々の命を左右する、重圧の王冠を戴いていた日々が思い起こされた。
兄を殺し、父を殺した。
血塗れた王冠を手にした僕は、愛する妹と母の幸せだけを願って、杖を振るった。
短い間だったが、幸せな日々だった。
だが、血塗られた運命は、血塗られた結末を迎えるだけだった。
そんなことは、かつての僕も分かっていたはずなのに…
ゆっくりと目を開けた。
団員の視線が僕に集まっている。
皆が僕の指示を待っていた。
その光景が、かつての家臣たちの姿と被った。
深呼吸を繰り返して、僕は告げた。
「…ゼロは帰ってくる。これは僕が断言しよう……その間は僕が指揮を取る。総司令代行として命じる。プラン甲を―」
233:POPPO
09/04/15 20:14:12 dk1bxdlD
タァーン…
一発の銃声が鳴り響いた。
「!?」
僕が振り返ると、この情報部の部屋に連れてきた女性の団員がいた。
目を見開き、口から血を流し始めた。
黒髪を揺らせながら、体が崩れ落ちる。
ドアの小さな穴から光が差し込んでいた。
タタタッ、タタタタタタン!
団員たちの悲鳴と共に、無数の銃撃が鳴った。
(―――ッ!!)
一瞬で思考が停止した。
デスクに置いてあったアサルトライフルを手に取って、ドアを蹴り飛ばした。
僕は、彼女のことで頭が一杯になる。
ありったけの声を張り上げた。
「カレンッ!!」
銃弾でコンピュータや書類が音を立てて、吹き飛んでいく。
団員たちは次々に倒れていった。
そして、その奥には銃を構えたブリタニアの兵士がいた。
(あ、あいつらっ!決闘を無視して、刃向かってきたのかッ!?)
全身が怒りで染まった。
デスクを盾にして、トリガーを引く。
ババババババッ!
アサルトライフルが火を噴き、撃たれた兵士たちは体を仰け反らせた。
一瞬で敵を視認する。
(中央に3人!ドアの左右に2人ずつ!武器は団員から奪ったノルトーダR-16!)
僕に気付いたブリタニア軍たちは銃口を向けた。
バババババババババッ!
銃弾が僕に襲い掛かる。
(―――遅いんだよっ!!)
僕は常人を超えた脚力で、地面を蹴り上げた。
抜群の瞬発力は、ブリタニア兵の視界を翻弄した。
銀髪を揺せながら、もの凄いスピードで壁を走り去った。
対応が遅れたブリタニア兵に、僕は容赦なく11.7×99mmブレッドを撃ち込んだ。
鼓膜をたたく銃弾を聞きながら、アサルトライフルの反動で手が震える。
ヘルメットの下で、トマトのようにブリタニア兵の頭が弾けた。
それを目の端で捉えた僕は体を反転させ、最後の一人のブリタニア兵にアサルトライフルを向けた。
ドンッ!
僕がトリガーを引く前に、一発の弾丸がブリタニア兵の眉間をつらぬいた。
鈍い音を立てて、コンクリートの壁に体が叩きつけられる。飛び散った血と共にブリタニア兵の体は力を失った。
振り向くと、両手に大口径の拳銃を手にしたカレンがいた。
赤いパイロットスーツを着たカレンに目立った外傷は無い。
その姿を見て安堵した瞬間、
僕はトリガーを引いた。
234:POPPO
09/04/15 20:15:31 dk1bxdlD
ドドン!
2発の銃声が重なり、僕の背中にあるドアに二つの穴が開いた。
僕とカレンは同時にドアの方向に撃った。
すると、ゆっくりと扉がひらき、一人のブリタニア兵が崩れ落ちてきた。
地面に赤い血がじわじわと広がっていく。
カレンに目線で合図を送り、この部屋にいる団員たちの安否を確認させる。
ブリタニア兵の死体を盾に、廊下に体を素早く乗り出した。
そこで見たものは、幾多に転がる団員たちの死体だった。
こみ上げる怒りを抑えながら、即座に目の届く範囲を見回した。
人の気配が無い。
同時に、生きている人間の気配も皆無だった。
「…くそっ!」
盾に使っていたブリタニア兵を、乱暴に叩き付けた。
怒りまぎれにもう一度その死体に撃ち込もうとしたとき、後ろからカレンの声がした。
「ライ!」
「どうだった?」
カレンは首を振る。
…さっきまで笑い合っていた団員たちは死んだ。
僕は強く歯軋りをする。
「なんでブリタニア兵が『イザナミ』に!?」
「拘束を解いて、反撃してきたみたいだ。……こいつらは、セルゲイとの約束を、無視して…」
カレンは歯を食いしばって、拳を壁に叩きつけた。
鈍い音が、真っ赤に染まった廊下に反響する。
「くそったれがああ!!ブリタニアは……腐ってる!!」
怒りで身を震わせたカレンは大声を上げた。
僕も同じ気持ちだった。
カレンがいなかったら、僕はブリタニア兵士の死体に弾が無くなるまで撃ち続けていただろう。
しかし…
「カレン。ここは危ない。早く安全な場所へ退避しよう…」
銃声と悲鳴、そしてランドスピナーとKMF用のアサルトライフルの銃撃の音が聞こえている。
再びブリタニア兵がやってくるに違いない。
カレンは僕の言葉に、さらに眉間に皺を寄せた。
「何言ってんのよ!ライ!こっちも反撃するわよ!」
「そういうことじゃない!中央情報室に行かないと現状が把握できないんだ!それに武器だって…」
だが、中央情報室までの距離はかなりある。その間にナイトメアの襲撃でも遭えば、生き残る自信は無い。
カレンは、いきなり予備のマガジンを僕の胸に押し付けてきた。
衝撃を吸収するパイロットスーツの上からなのに、結構痛い。
彼女は拳銃のマガジンを交換しながら、僕に言った。
「大丈夫よ。あの防壁を潜り抜けられる敵はいないわ…でも、ナイトメアの攻撃を受けたら一巻の終わりよ!」
「でも、僕たちのナイトメアは…」
「第3格納庫に紅蓮弐式とランスロットがあるの。どさくさに紛れて式典から持ってきたらしくて……」
「…ランスロットは動かせるのか?」
「うん。蒼天のキーで解除できるように、プログラムを書き換えたって技術員が…」
「なら、急ごう!」
第3格納庫までの最短ルートを、即座に頭の中に描き出した。
マガジンを取り外すと、新たな弾を装填する。
僕が先行し、カレンが後方に守りながら、急いで廊下を走り抜けた。
大きな爆音が基地全体を揺らしていた。
235:POPPO
09/04/15 20:19:05 dk1bxdlD
運良くブリタニア兵士を遭遇しなかった僕たちは、予想以上に早く、第3格納庫に到着することが出来た。
第3格納庫には2機の専用ナイトメアフレームと、調整中で腕が外された月下が数機鎮座しており、当たりは眩いほどの明かりが照らされている。
所々には整備士やブリタニア兵の死体が転がっている。銃撃戦を繰り広げた痕跡が壁に生々しく残っている。静寂に包まれ、広々とした空間が広がっていた。
僕の視線の先には2機のナイトメアフレームがあった。
2機の背中には、運搬用のブースターウイングが取り付けてあった。
ランスロットと紅蓮弐式。
ふいに目元が熱くなる。
ほんの少しまで、この2機はブリタニアとの友好を表す象徴だった。
しかし、再び剣を交えてしまった。
また、多くの血が流れる。
(僕たちは手を取り合えてたのに…どうして、どうしてこんなことにっ!)
それは、一人の少女が起こした事件がきっかけだった。
兄の無念を晴らすために…
ゼロを殺すために…
彼女が付けた戦火は、今や日本中に燃え広がっている。
でも…
原因を作ったのは…
彼女の運命を捻じ曲げたのは、他でもないゼロ自身だ。
『悲劇は連鎖する』
言葉が、僕の心を埋め尽くしていた。
236:POPPO
09/04/15 20:24:36 dk1bxdlD
そして、僕らの『悲劇』が幕を開けた。
「武器を捨てろ!」
ランスロットと紅蓮弐式が目の前に迫っているときに、唐突に後ろから声が聞こえた。
僕とカレンは足を止める。
背筋が凍りつく。
本来なら、身を翻して敵を射殺するべきだろう。
だが、足音は一つではない。
視認していないが、音から察するに15,6人の人間が僕たちの背後にいる。
それと共に、KMFのランドスピナーが近づき、近距離でブレーキをかける音が耳に届いた。
(反撃は、不可能だ…)
そう悟った僕たちは、アサルトライフルと拳銃を手放した。
「…ゆっくりだ。ゆっくりとこっちを向け」
ドスの利いた低い女性の声が聞こえた。僕たちはそれに従った。
両手を挙げて、体を反転させる。
そこには16人の黒の騎士団の制服を着たブリタニア人がアサルトライフルを向け、大口径のバズーカを構える月下がいた。
中央にリーダーらしき女性が立っている。金髪のショートカットに顔に大きな火傷を負った30代の軍人だった。
その女は、蛇のように丸く見開いた目で僕らの顔を見た。
「赤と青のパイロットスーツだと?……まさか、お前ら…」
歪んだ笑みが顔に宿った。
耳に障る笑い声が響き渡る。
「はははっ!まさか、年端もいかぬガキ共が『ゼロの双璧』だったとは!」
237:POPPO
09/04/15 20:26:10 dk1bxdlD
女兵士のリーダーは銃を構えながら、僕とカレンと睨みつけていた。
この状況を脱する策に思考を巡らせるが、一向に思いつかなかい。
多数の武装した兵士に加え、ナイトメアまでこっちを狙っている。
最悪の状況だ…
「しかも…お前たち、ブリタニア人じゃないか」
その言葉にカレンが吼えた。
「違う!私たちは日本人だ!」
っ!カレンッ!駄目だ!
僕は咄嗟にカレンの口を塞ごうとしたが間に合わなかった。
ドゥン!バガンッ!ドンッ!
KMFのバズーカが火を噴いた。
調整中だった月下に直撃し、次々に爆発する。周囲に火が点った。
「っ!きゃああ!」
「黙れ!反逆者が!!」
軍人がカレンに銃を向けた。
とっさに僕はカレンを前に立ちはだかった。
手を引いて、カレンを僕の胸に引き寄せる。
ありったけの殺気を込めて、銃を構える兵士を睨みつけた。
冷たい視線を見て、少し身震いした兵士は、表情を引き締めると銃を深く構えた。
僕とカレンを交互に見て、口元がいびつに歪む。
「へぇ…もしかして、お前ら、デキてるのか?」
だから、どうしたっていうんだ!
歯を食いしばりながら、僕は心の中で叫んだ。
ピピピ…
女のリーダーの右耳に装着している通信機から連絡が入った。
銃を構えたまま、その女は言葉を発した。
邪悪な笑顔が僕らを見つめる。
「…残念なお知らせだ。トウキョウ租界での戦闘は、我がブリタニアの勝利だ」
「……う、そ」
カレンの体が震えたのを感じとった。
彼女の声が絶望に染まっていた。
238:創る名無しに見る名無し
09/04/15 20:52:47 vPuk5MBe
支援いらないって言ってましたが、一応……。
239:創る名無しに見る名無し
09/04/15 21:05:45 SFc9Tg9Y
猿かな?
240:創る名無しに見る名無し
09/04/15 21:18:12 Yfy8I+jx
○時00分で、規制解除されるはずですが・・・
241:POPPO
09/04/15 21:34:00 dk1bxdlD
「…決闘の約束はどうなった?」
「知らんな…そんなものは」
その女は吐き捨てるように言った。
今度は僕が絶望に染まった。
「ただ、ナイトオブツー様は戦死したそうだ」
「「!!」」
何だって!?セルゲイが戦死!?
「残念だったなぁ……貴様がナイトオブツー様と死闘を演じたのは知っているぞ」
「だ、だが彼はっ!」
「それ以外は何も聞いていないな。連絡員もやられたらしいから、少々、情報伝達が遅れているかもしれないなぁ」
僕は絶句した。
…約束を、握りつぶしたのだ。
撤退した兵士は生き残っても、本国では笑いものになるだけだ。
でも、このまま続けていたら、僕たちの圧勝でブリタニア兵は全滅していただろう。
それを避けるために、
名誉を捨ててでも、彼らの命を助けるために、
セルゲイは戦ったというのに…
僕は悲しかった。
彼ほど崇高な騎士を、ブリタニアが失ってしまったことに…
彼との約束が、こんな形で破れてしまったことに…
ブリタニア人が晒している、欲に塗れた姿に…
セルゲイさん!
貴方が命を賭けて守ったものは、こんなにも醜いものなんですか!?
貴方こそ、仕えるべき主君を、守るべき国家を間違えた!!
女兵士の声が響いた。
「黒の騎士団は終わりだな。さて、『ゼロの双璧』を捕らえるとするか。でも、暴れられても困るしな。死体であったとしても別に問題はなかろう」
「「!!?」」
その軍人はハンマーをゆっくりと下ろした。
鉄槌の音が、強く耳に届いた。
他の兵士が一斉にアサルトライフルのトリガーに指を触れた。
カレンの体が震え、腕に力がこもる。
一瞬で、全身の血の気が引く。
242:創る名無しに見る名無し
09/04/15 21:34:10 c9nwpmRB
1時間過ぎたね
243:POPPO
09/04/15 21:35:38 dk1bxdlD
すいません。
昔の友達から電話があって話し込んでました。
今から、投下します
244:創る名無しに見る名無し
09/04/15 21:36:49 DiRveS0H
電話か……仕方ないな、うん
支援
245:POPPO
09/04/15 21:37:44 dk1bxdlD
僕は、こんなところで終わるのか?
大切な人も、愛する者も守れず、僕は、僕はっ、またっ…!
――――失うのか?
――――――――ドクンッ
頭痛が走った。
「うぐっ!」
「ら、ライ!?」
――――――――ドクンッ
体全体が鼓動するような感覚が僕を襲う。
――――――――ドクンッ
目が眩む。
――――――――ドクンッ
カレンの顔が、よく見えない。
――――――――ドクンッ
カレンの声が、聞こえない。
――――――――ドクンッ
苦しい…
――――――――ドクンッ
熱い…
ドクンッ―――――――――――――ドクッ、ドクンッ!
意識が、闇に落ちた。
246:POPPO
09/04/15 21:40:28 dk1bxdlD
妹が北の蛮族に嫁ぐことになった。
恋も知らない妹には、あまりにも酷なことだった。
私に心配をかけまいと、無理に取り繕った妹の笑顔が何より辛かった。
父上に何度も進言したが、まともに取り合ってくれない。
私は無力だ。
庭園の泉のほとりで、私は泣いていた。
涙を流すときは、いつもこの場所に来ていた。
暗闇の中、青い月が、水面に明々と照らされていた夜だったのを覚えている。
そこで私は、『彼』と出会った。
「力が欲しいか?」
澄んだ声だった。
そして、青い満月を背に、彼は立っていた。
背丈も年齢も自分とほぼ変わらない。
漆黒のマントを風に揺れ、その下には煌びやかな衣装を纏っていた。
身長と同じくらいの、透き通るような白い髪をなびかせて、じっと私をエメラルドのような緑色の瞳が見つめていた。
「だ、誰だ!?」
私は背中にある短剣を取り出し、刃を向ける。
「君が王になり、妹君を救えばいい」
人形のように整った容姿の口から、恐ろしい言葉が返ってきた。
「なっ!?お、お前、何てことを…」
「力が――欲しいのだろう?」
なぜ妹の縁談を知っているのか、という疑問を聞く気にもなれかった。
こいつは全てを知っている。
そんな気がしたのだ。
賊とは到底思えない。
彼が持つ神秘的な雰囲気は、経験したことのない魅惑的な魔力を放っていた。
「…本当に、できるのか?」
無意識に、私はそう問いかけていた。
「できる。だが、その力は強大すぎるがゆえに、君を孤独にする」
「もう一度、問おう」
力が―――――欲しいか?
そう、僕は…
私は…
契約した…
そして
X.X.から、
この、『王の力』を―――
247:POPPO
09/04/15 21:42:29 dk1bxdlD
突然、格納庫の電気が消えた。
「停電か?」
女のリーダーは命令を止め、辺りを見回した。
眼前には暗闇が広がり、ナイトメアの残骸から燃え移った炎が照らしている。
黒の騎士団の終焉を表す、絶景だった。
彼らを見据えて、彼女は邪悪な笑みを浮かべた。
「…何か言い残すことはあるか?反逆者ども」
ライとカレンが、ブリタニア人の血を引いていることが分かった彼女は、皮肉な言葉を投げかけた。
コーネリアの親衛隊ですら退けた凄腕のパイロット、『ゼロの双璧』。
敵といえど、一人のナイトメアの騎士として興味を持っていた彼女は、彼らの最後の声を聞いておきたかったのだ。
しかし、それが命取りとなった。
『魔神』は蘇る。
「黙れ。下郎」
「は?今、なんて言った?」
女は小ばかにした態度で、大げさに耳に手を当てる。
「聞こえなかったか?黙れ、と言ったのだ。愚か者が」
「……おい。テロリストの分際で何言ってんだ。てめぇ」
痛烈な言葉が浴びせられ、女の声に殺気がこもった。
カレンは、ライの異変に気付いた。
痛みで頭を押さえたと思ったら、視線をブリタニア兵に向け、歩み始めた。
彼女がライを止めようと手を掴んだ瞬間、
パンッ…
手を振り払われた。
ライの明確な拒絶にカレンは呆然とした。
銀髪が揺れ、ライは悠然と足を進めた。
「おい、止まれ」
女は躊躇なくトリガーを引いた。
鉄槌が下ろされる。
ガキンッ!
「?」
引き金が途中で止まった。
銃を確認するが、目立った異常は見当たらない。
(銃が、故障したのか?)
その間、『魔神』は歩み続け、全員のブリタニア兵に『魔神』の顔が見える位置に立つと、その場で足を止めた。
248:POPPO
09/04/15 21:46:00 dk1bxdlD
『魔神』は言葉を放つ。
「堕ちたものだな。我がブリタニアの民は……誇りを捨て、力と欲望のみを求める…ただの獣に成り果てたか」
『魔神』は言葉を紡ぐ。
「醜い…実に醜く、嘆かわしいことだ。幾年の月日が経とうとも、人は同じ過ちを繰り返す」
『魔神』は語る。
「だが、ブリタニアは正しい」
『魔神』は述べる。
「誇りも、正義も、国家も、力の上で成り立つものだ」
『魔神』は話す。
「だからこそ私も、我が国是に則ることにしよう」
『魔神』は言う。
「貴様らが『力』で私を阻むのであれば……さらなる『力』で、貴様らを踏み越えるだけだ!」
そして、『魔神』は告げた。
「ラインヴァルト・エス・ブリタニアが命じる――――――――」
「私に牙を向ける者共よ――――――――――――死ね」
ライの透き通るような青い瞳に、赤い紋章が宿る。
見開いた両目に浮かんだ、悪魔の刻印。
妖しい光を放ち、
――――大きく羽ばたいた!
249:POPPO
09/04/15 21:50:26 dk1bxdlD
『声』を聞いた人々は、立ち止まった。
眼前にいる女は『魔神』にゆっくり微笑むと、首筋に銃口を当てた。
兵士たちも互いにアサルトライフルを向け合った。
後ろにいた月下はバズーカを捨て、回天刃刀を胸部に押し付けた。
赤い光に目を縁取られた兵士たちは、声を揃えて叫んだ。
『『『『『『『『イエス・ザ・キング!!!』』』』』』』
そして、声と共に…
パパパパパパパパパンッ!!
乾いた銃撃音と共に、命が散っていった。
直後、月下は回天刃刀で胸部を貫いた。
ドガァァアアアン!!
『魔神』の眼前に、巨大な爆発が生まれた。
爆風は、眩い光と共に爆風が吹き荒れた。
風が『魔神』の銀髪を揺らせる。
目の前には、炎に照らされた夜空が広がっていた。
その一部始終を見ていたカレンは立ち尽くした。
「ラ…ライ?一体……何を…したの?」
だが、彼はその問いに答えない。
彼女はライの背中に、身震いをするような『何か』を感じ取った。
彼はゆっくりと振り向いた。
カレンは、彼の両目に宿る赤い紋章を見てしまった。
鳥のような紋章が羽ばたいた。
「カレン。ゼロの元に行け」
250:POPPO
09/04/15 21:51:53 dk1bxdlD
彼女の目は赤く縁取られた。
しかし…
「!うっ!い、いやっ。今、ライから離れたら…」
カレンは両手で肩を抱き、その場にうずくまった。
(……ギアスに、抗うだと?)
「ライが…ライがっ、どこかに行っちゃう!」
悲痛な叫びと共に、彼女の瞳から涙がこぼれ始めた。
(――――…)
ライはカレンの肩をそっと抱いた。
そして…
口付けを交わした。
数秒たって唇をはなした。
呆然とした表情をするカレンに、告げる。
いつもの笑顔で、彼女に言った。
「お願いだ。カレン」
カレンの抵抗がピタリと止み、『魔神』は彼女の肩から手を離す。
一度、彼女は目を閉じて、『魔神』に言った。
「……分かったわ。ゼロは私に任せて」
赤い目で『魔神』に微笑んだ。
「…………!」
胸に鋭い棘が突き刺さる。
「…ああ、頼んだよ」
『イザナミ』の基地内でも、同様のことが起きていた。
敵対していたブリタニア兵が、突然自らの命を絶ったのだ。
ナイトメアフレームに乗っていた連中も爆死して、一人残らず死んでいる。
団員たちはブリタニア兵の死体を見ながらも、目の前で起きたことが信じられなかった。
「な……何が、起こったんだ?一体…」
だが、その問いに答えられる人間は、誰一人としていなかった。
251:POPPO
09/04/15 21:54:23 dk1bxdlD
トウキョウ租界。
赤黒いハドロン砲の光が、地上にいる月下を容赦なく襲った。
コンクリートの地面が弾け跳び、着弾したナイトメアは爆炎を上げて、散った。
夜空にはガレスの軍勢が舞っていた。
彼らの加勢で、戦局が一気に塗り換わった。
ガレスの圧倒的な火力に加え、指揮官である藤堂はブリタニアに拿捕され、指揮系統が乱れた団員たちは混乱の境地にあった。
次々に放たれる死の閃光を逃れるため、団員たちは必死になっていた。
一機、二機と音を立てて、霧散していく。
玉城はモニターに映る『LOST』の文字が表示されるたびに、泣きそうになっていた。
そして、隣にいた月下が爆散した。
部下の一人が、死んだ。
「荒川!!」
口元がワナワナと震えだす。
死の恐怖が身を焦がし、その緊張の糸は切れてしまった。
「畜生!ゼロは、俺のゼロはどこにいったんだよぉ!ちっくしょうーーーーー!!!」
252:POPPO
09/04/15 21:57:21 dk1bxdlD
紅蓮が飛び立ったのを確認した『魔神』はそのまま、夜空を見上げていた。
両目のギアスは以前、輝いたままだった。
「……?」
ふいに、『魔神』は人の気配を感じた。
(――新手か?)
それを察知し、振り向いた瞬間、
ドンッ…
後ろから衝撃がくる。
「ラァーイっ!」
『魔神』はいきなり少年に抱きつかれて、体をよろめかせた。
身を一回転させ、少年の体は宙を舞った。
『魔神』は驚く。
胸に飛び込んできた白髪の少年は顔を埋め、ぐりぐりと押し付けてきた。
力いっぱい腕を腰に回して、そう簡単に放してくれそうもない。
「…だ、誰だ!お前!」
その言葉に、少年の動きは止まった。
そして、ゆっくりと顔を上げた。
少年の顔を見た途端、『魔神』は表情は驚愕に染まった。
陶器のように透き通る肌に、肩まである白髪、まるで女の子のように整った容姿の少年だった。
右目は金色、左目は銀色の、左右非対称の瞳の色。
貴族のような赤い煌びやかな服を身に纏い、人懐っこそうな顔がそこにあった。
彼の瞳が涙で揺れていた。
「僕だよ。ライ………170年ぶりだね」
「X.X.…なのか?……髪を切ったのか?それに瞳だって…」
「…そうだよ。僕だよ……会いたかった」
『魔神』は警戒を問いた。
しかし、思わぬ再会に、『魔神』は戸惑っていた。
彼が抱いていたイメージとは若干ズレがある。
何から話せばよいのか、いろいろと考えを巡らせていたところ…
突然、X.X.が声を上げた。
「……あれ?」
「どうした?X.X.」
253:POPPO
09/04/15 22:03:03 dk1bxdlD
「『コードR』と契約したの?」
『魔神』は身を震わせた。
X.X.から視線を逸らし、『魔神』は口を濁す。
「…分かるんだな。そういうのは」
「ねぇねぇ…どうしてだよぉ、ライ。僕のギアスじゃ満足できなかったのぉ?」
「…違うよ」
『魔神』は首を振って否定した。
「…これは保険のつもりだったんだ。万が一の場合に備えて、C.C.と契約したんだ」
ルルーシュが撃たれた翌日、私はC.C.と契約した。
もし、彼に何かあった場合、どうしても『絶対遵守』の力が必要だった。
最初、C.C.は反対した。
でも、私の懇願に折れて、契約したのだ。
…だが、結果は予想外だった。
『絶対遵守』の力は現れず、それどころか何をしても力が発動せず、どのような力を授かったのかも分からなかった。
C.C.が言うには、契約は無事に成功し、ギアスも与えたはずらしいのだが…
「ふむふむ…そういう能力か。でも、安心していいよ。ライは一生使うことは無いから♪」
「…分かるのか?」
「うんっ♪でも教えてあげなーい。浮気した罰だよ~」
「浮気って……X.X.がそんな冗談を言うなんて…本当に変わったな……まるで別人みたいだ」
「……僕も変わったけど、もっと変わったのはライの方だよ」
「…そんなに変わったか?」
「うん。昔と比べて、格好良くなったよ。ライ」
「…それは嬉しいな」
『魔神』はX.X.を優しく抱きしめた。
華奢な体が胸に当たる。
なつかしい思いが胸いっぱいにこみ上げてきた。
柔らかい白髪を撫でていると、
視界が揺れた。
「……あ、あれ?」
「あらら…ギアスを思いっきり使っちゃったから、疲れたみたいだね」
「…あ」
『魔神』の両目からギアスが消えると、体から力を失って、少年の体に倒れこんだ。
それを、X.X.は受け止める。
ゆっくりとライの体を地面に横たえさせ、頭を膝の上に置いた。
X.X.は、瞳を閉じたライの表情を見ると、柔らかく微笑む。その表情は恋する乙女のようなものだった。
「会いたかった…ライ。僕は…『私』は……」
X.X.はライの銀髪を愛おしい手つきで、優しく撫でる。
両目に、金と、銀の紋章が浮かんだ。
X.X.の目が見開かれると、目つきが鋭くなり、整った口元が薄く開いた。
そして、彼はライにそっと呟いた。
「行こうか……君と、私が歩むべき…『覇道』を…」
格納庫内は火が燃え盛り、音を立てて物が崩れていく。彼らの周りは既に炎に取りかこまれていた。
彼らの背にある白くナイトメアフレームとの間に、燃え上がった巨大な柱が落ちる
二人の姿は、炎の中に包まれていった。
254:POPPO
09/04/15 22:06:28 dk1bxdlD
(―――――何が、どうなってるの?)
気付いたら、私は紅蓮で飛び立ち、神根島の洞窟にいた。
目の前では…
スザクと、
ゼロの格好をした…
「………………ルルーシュ?…」
ルルーシュは額から血を流し、歪んだ表情で私を見ていた。
スザクは銃を構えたまま、視線をルルーシュから外さない。
これが冗談ではないことは明白だった。
尊敬する上司が、
ゼロが…
「……どうしてっ………」
頭が真っ白になり、全身から力が抜けた。
銃を落として、その場にへたり込んだ。
ルルーシュとスザクがやりとりが洞窟に響く。
ナナリーが何者かに攫われたという話が聞こえきたが、どうでもよかった。
私は呆けていた。
もたらされた事実があまりにも強烈で…
私はただただ見ていることしか出来なかった。
唐突に、スザクが私に矛先を向く。
「カレン!君は俺以上に矛盾している!」
「!?」
その声に、私は体を震わせる。
普段のスザクからは想像も出来ないくらい…スザクの声は怒りに満ちていた。
「君はブリタニア人でありながら、日本人を名乗り、ブリタニアに刃向かった!」
「でも、君が忠誠を誓っている男はブリタニアの皇子でっ!
君が愛している男は…ブリタニアの王様だった男なんだからな!」
私はさらに目を見開いた。
「!?」
「やめろ!スザク!それ以上は言うな!」
「ラインヴァルト・エス・ブリタニア!
ブリタニア史上最悪の暴君、『狂王』と言われた男に、君は身の心も捧げていたんだよッ!!」
255:POPPO
09/04/15 22:08:58 dk1bxdlD
「やめろぉ!!スザァァアク!」
ルルーシュは懐に隠していた銃をスザクに向けた。
毅然たる態度を取っていたルルーシュの動揺ぶりを見て、スザクは声を潜めた。
そして、
私は分かってしまった。
それが『真実』であることを…
ライが狂王?
ほんの先ほどまでなら、鼻で笑っていただろう?
でも、心の隅で私はそれが真実だと訴えていた。
あの口調、
あの態度、
あの瞳…
そして、あの惨劇…
(やめて…)
ライの声が響いてきた。
「ここは…どこだ?」
「僕は…ライ。よろしく」
「しっかりと掴まってくれ。―行くぞ」
「カレン。ありがとう」
「今日もいい天気だな。カレン」
ライと出会って、何気なく過ごしていた日々。
黒の騎士団に加わって、彼と過ごす時間は多くなった。
そして、いつの間にか私の中で芽生えた気持ち。
彼の背中を見ていると、月日が経つごとに、どんどん膨らんで…気付いたら、もう手遅れだった。
いつもライのことを考えていた。
ライが、好きになっていた。
そして、あの日、私たちは思いを通じ合った。
ライも私のことを好きだって言ってくれた。
嬉しかった。
とても嬉しかった。
256:POPPO
09/04/15 22:10:23 dk1bxdlD
そして、恋人として…戦場のパートナーとしてライと過ごした日々、
全てが輝いていた。
苦しいことも、辛いこともあったけど、
ライと一緒なら何でも出来た。
ライと一緒なら何も怖くなかった。
彼と過ごした、蕩けるようなあの夜…
どこまでも私を気遣ってくれる優しさと、私だけを見つめてくれる愛を感じて、胸が一杯になって涙が出た。
ライを、もっと好きになった。
その後も暇を見つけては、いっぱいいっぱい愛し合った。
朝も昼も夜も、ずっとライの側にいたかった。
ライをもっと知って、抱きしめて、そして愛したかった。
「好きだよ」
「大好きだ」
「愛してる。カレン」
「カレン…愛してる。誰よりも、僕は君を愛してる」
「君を守りたいんだ」
「…大好きだよ。カレン」
257:POPPO
09/04/15 22:11:53 dk1bxdlD
(やめてよ……)
ライの表情が浮かぶ。
困った顔…
笑った顔…
恥ずかしがった顔…
照れた顔…
驚いた顔…
私を見つめる顔…
キスするときの顔…
愛し合っているときの顔…
そして、時折見せる、どこか寂しそうな顔…
全て愛おしかった。
彼の全てが、大好きだった。
ライの笑顔が浮かんだ。
私だけに見せてくれる、私の大好きな笑顔が…
突如、景色が暗くなり、ライの笑顔が仮面に変わった。
それが音を立てて落ちた。
そして、その仮面の下にある素顔は…
「……あああ…ああ、ああああああああー…」
カレンは両手で頭を押さえるが、動悸が、震える唇が治まらない。
そうしているうちに、彼女は思考を放棄し、意識は暗闇に落ちた。
少女はコワれてしまった。
258:POPPO
09/04/15 22:16:14 dk1bxdlD
その場にへたり込み、戦意を喪失したカレンを見て、スザクは再びルルーシュに目をやった。
「俺も最初に聞いた時は、信じられなかった……あのライが、『狂王』だなんて…」
「スザク、それを教えた奴は誰だ!?いったい、だ―――」
「お前には関係ないっ!!」
ルルーシュの声を遮るようにスザクは吼えた。
普段の柔和な表情はなく、ルルーシュを見据える瞳は、何処までも冷たかった。
この瞳を見たルルーシュは、背筋に怖気を感じた。
そして、スザクの瞳がもう一度鋭くなると、ありったけの殺意を彼に向けた。
「お前は、ユフィを奪った!……ユフィだけじゃない…ユ、ユフィには…」
ルルーシュは凍りついた。
「待て…まさか……ユフィは…」
スザクの顔が歪み、大粒の涙を零しながら、
咆哮した。
「ユフィのお腹には、…俺とユフィの…子供がいたんだよおおぉ!!!」
「!なっ…!!」
スザクの絶叫が響き渡った。
ルルーシュは絶句する。
「お、お前は…奪った。俺は絶対に許さない…許すものかっ!!」
「お前は…10年前のあの日に、死ぬべきだったんだ!お前の居場所など、この世界に何処にも無い!」
「世界に見放された皇子と、国を滅ぼした王が作る国家などっ…壊れてしまえばいい!!」
否定した。
スザクは、ライとルルーシュを真っ向から否定した。
彼らの意思も、希望も、存在すらも。
(――――――ッ!!!)
ルルーシュの頭から全ての思考が飛び、怒りで我を忘れた。
怒りに身を任せ、二人は銃口を突き付ける。
「スザァァアアク!!」.
「ルルーゥウシュ!!」
バァン!!
彼らの絶叫と共に、二発の銃声は洞窟に木霊した。
259:POPPO
09/04/15 22:19:43 dk1bxdlD
コードギアス LOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」
TURN00 「終わる日常」(後編6)
投下終了です。
いきなり誤字報告。
254のセリフ。
君は身の心も捧げていたんだよッ!!→君は身も心も捧げていたんだよッ!!
TURN00「終わる日常」はついに完結しました。
リリーシャ、X.X.、アンジェリナ、ノエル、ヘンリエット、セルゲイ。
そして、ナイトメアと、オリジナル満載で書き上げたストーリーでしたが、皆さんはどうでしたか?
文章力の乏しさに加え、誤字脱字のオンパレード、投下時にトラブルの続出、アクセス規制…と、
読者の皆さんには、迷惑この上ない作品をご覧になっていただけたどころか、賞賛のコメントと耳の痛い的確なアドバイス、
そして、管理者トーマスさんのご好意を受けてここまで書き上げることが出来ました。
皆さん、本当にありがとうございます。
さて、話しはうって変わりますが、
皆さん、まずは驚いてください。
これで
『序章』
が終わりました。
実は『終わる日常』は当初、前編と後編の2章で終わるはずでしたが、女のギアス使いを一人入れたかったのでリリーシャを登場させました。
そして、中心人物となるオリジナルキャラクターを生かすには、ギアス本編のイメージを壊さないキャラクター作りとそれなりの強い印象付けがいります。
ライたちと上手く絡み合わせるために、人物背景とその土台を描いているうちにどんどん話が長引き、予定されていたストーリーの約『8倍』の長さのプロローグになってしまいました…orz
本当なら今頃、本編TURN14『コード「G」』まで進んでいるはずなのですが…
出来るのなら学校の休み時間にでも書き続けたいのですが、今年は大学受験が控えているので、更新は遅くなりそうです。
一応、第一志望校はA判定が出ているのでそんな心配しなくてもいいと思うのですが、ナメてかかるとロクなことが無いので(センター失敗が怖いです…国立大狙いなんで)、もし成績が下がるようでしたら一時休止という形を取ります。
予告としてTURN01の題名を公表したいのですが、ネタバレになるので言いません。
(TURN02からは公表します)
シナリオは本編と同じく25話編成で、なるべく本編を逸脱しない(?)シナリオになっていて話の大まかな流れはすでに決めています。
そして、終盤のストーリー展開は皆さんのいい意味(かどうかは不明ですが)で裏切れると自負しています。
もし、それをばっちり当ててくれた方がいた場合は、年内に書き上げることを誓います。
批判、中傷、どんなものでも構いません。読者の皆さんの生の声が聞きたい(見たい)です。
ご感想お願いします。
260:POPPO
09/04/15 22:23:06 dk1bxdlD
追伸
コメントの語尾に「貴公の次の投下を全力でお待ちしています!」と書かれている方へ。
いつも細部まで読んでくださっている上に、詳細なコメントと突っ込み、本当にありがとうございます。
実は貴公のコメントの評価を、話の出来栄えを知る基準にしています。
これからも勇気を与えてもらえるコメントをお願いします!
管理者トーマス様へ。
再度になりますが、ゲイボルグの件は本当にありがとうございました。
設定資料がこれからもどんどん加えていくつもりなので、協力お願いいたします。
この際に言わせていただきますが、保管庫の編集が(中編6)で止まっているので更新をお願いします。
あと、出すぎたマネかもしれませんが、領地一欄に「POPPO」を加えていただけないでしょうか?
(トーマス様の事情や移転の関係でご迷惑がかかるようでしたら、この意見を却下してもらっても構いません)
261:POPPO
09/04/15 22:25:05 dk1bxdlD
それと、思い切って今までの誤字修正をお願いします!
(ウザく感じたら、スルーしてください)
前編1
シャーリーの初登場のシーン。
フィネット→フェネット
前編3
3分の1くらいの前半。
ライの心中でのスザクへのメッセージ。
スザク。そのぎこちない笑顔。よく分かるよ。→そのぎこちない笑顔、よく分かるよ。
(「スザク。」は消してください)
中盤。
スザクとライの話。
「黒の騎士団は軍備拡大を続けているだろ」→「黒の騎士団は軍備拡張を続けているだろ」
君たちは光の当たる場所を歩んでくれ→君たちは光の当たる道を歩んでくれ
後半。
ルルーシュとユフィの会話。
「…それは言うな」→「…それを言うな」
で、ライについてどうしてなの?→で、ライについてはどうして?
俺の知ったときは自分の目を疑った。→俺も知ったときは驚いたさ。
中編1
中盤。
トウキョウ疎界→トウキョウ租界
リリーシャとタクシー運転の会話と、『盤上の騎士』に連れ去れられる時のリリーシャの独白。あと、中編2のリリーシャとX.X.の会話の初めにもあります。
中編3
題名の文字の拡大をお願いします。
後半。
リリーシャがサザーランドに乗り込み、発進するところ。
久しぶりに感覚に私は少し緊張した。→久しぶりの感覚に私は少し緊張した。
中編4
リリーシャがX.X.に「新日本党」の利用価値について説明する場面。
「ようするにスパイ退治ね。それは組織の中で一番重要な職種でありながら、内部の人間からは1番忌み嫌われる職種。テロリスト内部のネズミ狩りなんて熾烈を極めるわ」
職種→役職
中編5
前半。
リリーシャとX.X.の会話。
「それに、美味しいものをたくさん食べて病気になれるなんて、とっても贅沢じゃないか」
「…私は遠慮するわ。そんな贅沢は」
↓
「それに、美味しいものをたくさん食べて病気になれるなんて、とっても幸せじゃないか」
「…私は遠慮するわ。そんな幸福は」
…できたら、お願いします。
ではでは、TURN01でお会いしましょう。
262:創る名無しに見る名無し
09/04/15 22:50:12 L/efLdWp
>>260
POPPO卿、GJでした!
感想の前にとりあえず投下方法に関して言わせていただきます。
基本的に支援なしだと10レス投下で猿となります。
猿は00分になればとけるので、時間の変わる前あたりに10レス投下し終わるようにするとだいたい20レス投下出来ます。
今回の場合、貴公が必要としたレス数は26、十分支援が必要な量だと思います。
あと、成り済まし(他者の語り)を防ぐためにトリップをつけた方がよろしいかと。
半角で#の後に好きな文字列でつけることが出来ます。
#○○○○○ といった具合です。
それでは感想を……
騎士団に帰還したライ。
前回の決闘の決着からここまでシーンが飛ばされているのが気になりますね。
ナイトオブツー死去……何があったんだろうか?
かのライのギアス……相手を限定して、そして効果範囲もかなりの広さ……絶対遵守、なのか?
しかし、X.X.との会話では……
大事なものが、信じていたものが崩れ去るカレン。
原作より衝撃が大きいカレン。 ユフィも……
悲劇は遥かに大きくなり、加速していっていますね。
まぁ、無理をせず頑張ってください。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
263:創る名無しに見る名無し
09/04/15 23:41:28 vPuk5MBe
POPPO卿、お疲れ様でした。
今回はいつもに増して気合いが入っているように思いました!
魔神として蘇ったライや心の支えを失ってしまったカレン。
そして、対立するルルーシュとスザク。
原作をなぞりつつも、オリジナル要素などから原作とはまた別の魅力を感じられます。
今ここで『序章』が終わり、物語がまた新しく変わっていくことが楽しみです!
ではでは。
264:創る名無しに見る名無し
09/04/16 00:32:46 aQToSkjv
>>260
POPPO卿、投下乙&GJでした!
構想の八倍の長さのプロローグというとんでもない発言が飛び出しましたが
プロローグからこれで本編は一体どのくらいの物になるのか期待が止まりません
原作を追いながらも微妙にオリジナル要素を加えて変化していく物語
いっそう憎しみ会うルルーシュとスザク、魔神となったライ、ギアスの二重契約という隠しネタまで出てきて
続きが想像できません、いったい変わってしまった物語の上で彼らはどのように動いていくのでしょうか
貴公の次回の投下を全力全霊でお待ちします!
あと受験頑張ってください。
265:創る名無しに見る名無し
09/04/16 07:14:16 jLij2Ql+
POPPO卿GJです!なんと、今までの大作が序章に過ぎないと!?今からワクワクしてきます!
266:創る名無しに見る名無し
09/04/16 11:29:21 9S5/Hxdr
POPPO卿GJです!
まさかこれが序章とは!
スザクとルルーシュの憎しみは原作以上に深くカレンのショックもまた原作以上に深い
そして何より王の時の非情さとこの世界で手にした優しさが絡み合ったライがたまりません!
それにしても貴公がまだ高校生だというのが何よりの驚きです
あんたどんだけ文才あるんだよ!
267:創る名無しに見る名無し
09/04/16 15:18:49 6t/+HEXx
以前、ライ×カレンを語るスレでSS禁止という事を忘れて投下してしまったSSを再投下いたします。
設定は、ライとカレンが結婚し、子供二人とカレンの母親と一緒に暮らしているという感じでしょうか。
268:創る名無しに見る名無し
09/04/16 15:20:21 6t/+HEXx
「あれ? ライったらどこ行ったのから……」
思わず、きょろきょろと周りを見回して呟く。
「パパ、女の人とお話してたよ。ねーっ」
お兄ちゃんが楽しそうに報告してくる。
「うん。たのしそーに……」
そして、妹もそれに相槌を打つ。
わが子ながら、絶妙のコンビネーション。
まるでかっての私とライのようだ。
そう思ったが、今は「女の人とお話」という部分がすごく引っかかる。
「どこでっ、だれとっ……」
思わず、そう聞き返した。
「ジュースのみたい」
「うんっ。のみたい、のみたい」
くっ……。
なんか、こういう駆け引きの強いところは、ライ譲りなのかしらと思う。
だが、今は、背に腹はかえられない。
「いいわ。ジュース、買ってあげる。で、パパは?」
にこにこと嬉しそうな兄弟はとても微笑ましかったが、今は、それよりも優先事項がある。
「「あっちーーっ」」
私は、二人に急いでジュースを買ってあげると子供達が指差す方に走り出した。
「「がんばってー」」
子供達の声を背に受けて……。
269:創る名無しに見る名無し
09/04/16 15:21:24 6t/+HEXx
「ライっ……」
確かにその場所には、ライと女性がいた。
じつに楽しそうに会話している。
間違ってはいない。
ただ……その女性は、私の母だった。
そして、気が付く。
しまったーーーっ。
ハメられた……。
わが子ながら、末恐ろしさを感じてしまう。
「うん? どうしたのカレン……」
ライが少し驚いて聞いてくる。
「あ、いえ……。そのね……」
言葉に詰まる。
顔が真っ赤になっていくのがわかる。
頭がパニックになっていく。
怪訝そうな二人の顔が目に入る。
どうかしなくては……。
思いだけが空回る。
するとそんな私が心配になったのだろう。
すーっとライが私を抱きしめる。
「もう大丈夫だから……。ね、落ち着いて……」
優しいライの声が耳元で囁かれた。
それだけでほっとしてしまう。
「うふふふ……。お邪魔みたいだから、子供達と先に帰ってますからね」
そう母は言うと、走り寄ってくる子供達をつれて帰ってくれた。
なんか、その母の気遣いが、とても嬉しくて恥ずかしかった。
ありがとう……。
そう思ったが、子供たちに説明する台詞を聞いて感謝の気持ちが薄れてしまった。
だって……、「今から、パパとママは、ラブラブしちゃうから先に帰ってましょうね」って言わないでよっ。
そして、子供達もお願いだから「いつものやつだね」とか「熱々なんだよね」とか言わないでっ……。
本当に、はずかしいんだからーーっ……。
270:創る名無しに見る名無し
09/04/16 15:23:12 6t/+HEXx
以上です
ライ×カレンを語るスレの皆さん、その祭は、ご迷惑をおかけしました。
では、失礼します。
271:創る名無しに見る名無し
09/04/16 18:14:59 TBQHh2w5
>>270
投下乙でした!
子供達が可愛い……
軽いいたずらって微笑ましいですね。
それにしてもカレン母、ノリノリである。
貴公の次の投下を全力でお待ちしております!
272:創る名無しに見る名無し
09/04/16 19:29:07 0OgSmOTY
なんか読んでてこっちまで幸せになりそう。乙です
273:保管者トーマス ◆HERMA.XREY
09/04/16 21:36:21 CvUO1sXN
POPPO卿、投下GJ&お疲れ様でした。
>>261で言われていた修正は全て処置が完了しました。
あと、別に見つけた誤字も挙げておきます(修正済み)。
>>232
その間は僕が指揮を取る。 → その間は僕が指揮を執る。
>>254
君は身の心も捧げていたんだよ → 君は身も心も捧げていたんだよ
重ねて申し上げますが、誤字修正についてはいつでもどんなに古いものでも受け付けております。遠慮なくお申し付けください。
274:創る名無しに見る名無し
09/04/17 14:37:20 um7Nnc4g
>>トーマス卿へ
誤字脱字ではなく、領地の編集や更新、及び領地の追加を言われているみたいですよ。
現在出来ないと以前言われていたようなので、彼にもはっきりとそう言った方がいいのではないでしょうか。
どうやら、以前、何度もスレッドに書き込まれた分やこの前の質問に答えた部分は、まったく読んでおられていないようですので。
275:創る名無しに見る名無し
09/04/17 14:54:07 4kQnUkvX
ROM専住人から感想と批評と苦言をいくつか
まずBLUEDESTINYさんへ
BLUEさんの作品を見るに、多分書きたいのはSSではなくて小説なんだろうと感じました
以前書き込みのあった
「コードギアスのキャラを使ったオリジナルなのに」という指摘は正鵠を射ているのではないでしょうか?
そういえばスレ外ですが、二次創作としてはかなり面白いと評されながら「1.5次創作」と評されたこともあったようです
ご本人はご存知のことと思われますが
作品(この場合は新手をとりあってとさせていただきます)については、これもご本人は承知のことと思いますが、
語彙が少ない、表現のパターンが少ない、一つの話の中での展開が時系列順という形にとらわれているという幾つかの難点があるものの
それらを感じさせない勢い、流れ、物語のベクトルとでも申しましょうか・・・がそれらの弱点を感じさせにくいようにしていると感じます
アイデアの勝利と言いますか、次を期待させる物語には秀逸なものがあると評価できると思います
それと、これは苦言ですが
自分が他人に必要とされている実感がなければ立ち上がれないというのは悪いことではありません。むしろ共感できるようなものではあります
しかし、貴方に対する声を感じられない、気が付こうとしないで引き篭もるようにするのは良いことではないと断言いたします
このSSスレ、この板への再登場を祈願しております
あしっど・れいんさんへ
貴方さまの多作には非常に驚きを禁じえません
作品への熱意と愛情には本当に賞賛すべきものを感じます
それだけにいくつかの辛辣とも受け取られかねない言葉をお許しください
あしっど・れいんさんの作品について見受けられるものでいささか違和感を感じるものがいくつかあります
ひとつの文を文節で区切って改行するという表現についてなのですが、これはもちろん表現としてはよく見られるものです
区切った文節や単語を強調する際に用いる表現です
ただ、あしっど・れいんさんの場合、それの多用が鼻に付くことが多いと感じます。また、強調することに意味がないと思われる部分での使用も見られるのです
これらは文章のテンポを崩し、多用されることによって本来強調すべき部分を埋没させてしまうことになりかねません
これに関係することですが、次にのそして」「そう~」「だが」などの多用について
短い文節で区切ったあと、「そう、~~」や「そして~~」とつながることが非常に多いのですが
やはりこれは表現としてあまり褒められるものではありません。
ある本に「接続詞はなくて普通、あるのが特別だ」という言葉がありまして、文豪の推敲は本文よりも接続詞などに集中するなどといったお話があります
消したり書き直してある箇所を見ると、その原稿は一たん清書して三べんが四へんくらい読みなおしてあると推定できた。
その加筆訂正でいじくってあるある箇所は、「・・・何々何々であるが」というようなところの「が」の字と、語尾と、
語尾の次に来る「しかし」または「そして」という接続詞とにほとんど限られていた。
その本からです。例え文豪と呼ばれる方であっても気をつけ、注意せざるを得ない接続詞について一考する機会としていただければ幸いです
あしっど・れいんさまのSSについては
・一行ですむ文章をあえて分ける表現
・接続詞のあまりの多用
これらの見直しでかなり完成度があがるものと感じます。今後ともどうぞご研鑽ください
最後にPOPPOさま
先のお二人について長くなってしまいましたので次レスにて
276:創る名無しに見る名無し
09/04/17 14:55:15 4kQnUkvX
POPPOさまについてです
少々きつい言い方になってしまうかもしれませんが、どうぞ虚心にお聞きください
映像媒体と文字媒体は違うものです
SSを小説と同じ文字媒体であるとするならば、アニメやマンガは映像媒体であると規定できます
少し話がズレますが、
小説を丸々マンガにすると大体どれくらいの分量になると思われるでしょうか?
もちろん色々と誤差はあるでしょうし、タイトルにもよるのですが、某小説によれば小説一巻と少々がマンガ5冊分になったそうです
関係がないと言われればそうなのですが、同じ物語を表現媒体を変えて表現するとこれだけの差が生まれてしまうということとご理解ください
私が感じたのはPOPPOさまもマンガないし、アニメのような映像媒体として考えた物語をそのまま小説のような文字媒体に置き換えて書かれていたのではないかと言うことです。
SSを書かれる方ではそう珍しくないことだと私などは思うのですが、それゆえに無駄な表現、無駄な改行、無駄なetcが増えるとなると書き手としてはマイナスに他ならないと思うのです
具体的に例をあげるとするならば、
39スレの245 同248 などでしょうか
もちろんこれらは小説としてはナシであっても、SSそしてはアリの表現なのかもしれません。あくまでSSも小説などに含まれる文字媒体としての指摘です。そこはご勘弁を
しかし、シチュエーションの理解を完全に読み手に丸投げしてしまうような表現、あえて言わせていただければ画面に写った映像をそのまま文字に写し取ったような文章などは
書き手としては厳に慎むべきものであると私は思うのです。
もうひとつあげようと思っていた点は物語そのものについてです
起点となるのは行政特区日本がうまく運営されているところ
物語が集約される終点となるのはアニメ第一期とおなじルルーシュとスザクの対峙
物語のキモはライと彼のかつての契約者X.X.の邂逅でしょう
それにケチをつけるわけではありません
ただ、物語があっちいきこっちいきという印象を禁じえなかった部分に少々首をかしげていました
冒頭主人公として(?)登場したリリーシャですが、彼女の立ち位置がはっきりせず、本当に事態を引っ掻き回しただけの人物になってしまったことが残念に感じられます
・ゼロにうらみがある
・アッシュフォード学園の生徒である
・知能が高く、行動力がある(女性版ルルーシュ)
・ジェレミアの妹
結局のところ、彼女の物語→日本・黒の騎士団とブリタニア軍の戦い→ライとX.X.の邂逅&ルルーシュとスザクの撃ちあい
上記の設定の豪華さに対して、その次の物語の流れを鑑みるに、人物の活かし方が彼女に関しては上手くいってないように感じたわけです
今後も続く中で活かされてくるというのであれば話は変わってくるのですが、現状00話によってのみで感じたことについて述べさせていただきました。
最後にもう二つ程苦言なのですが
この際に言わせていただきますが、保管庫の編集が(中編6)で止まっているので更新をお願いします。
あと、出すぎたマネかもしれませんが、領地一欄に「POPPO」を加えていただけないでしょうか?
(トーマス様の事情や移転の関係でご迷惑がかかるようでしたら、この意見を却下してもらっても構いません)
これは少々いかがかと思います。わかっていらっしゃるのにあえて言うというのはどうでしょう
よく出没する荒らしについてもそうですが、トーマスさんは保管庫の管理人であって、スレ全体の奉仕者ではありません
「してくれない!」ではなく「してもらえたらいいな」くらいのつもりであるべきなのではないでしょうか
もう一つ
6.作者名(固定ハンドルとトリップ)について
・投下時(予告・完了宣言含む)にだけ付けること。その際、第三者の成りすましを防ぐためトリップもあるとベスト。
トリップについてはスレ冒頭でも注意書きがあり、以前にも投下の後の感想に指摘があったはずですが、トリップは付けられていらっしゃらないですね
それに関してだけではないですが、指摘に対して謙虚に受け止めるということはやはり大事なことではないでしょうか
同じ意味で先の友人からの電話に出ていて投下できなかったというのも、やはりマナー云々で非常に失礼なことではないかと思います
高校生ということですが、未成年だから社会のマナーについては疎くても仕方ないなどということはありません
指摘や注意を聞く。自分の行いを省みる。同じ場にいる方への配慮を怠らない。全て今の自分に、これからの自分に有益なことです
かなり説教染みたことを申し上げましたが、受け入れていただければ幸いです
277:創る名無しに見る名無し
09/04/17 20:38:26 V8+OYs4F
そういやトリップつけろってもともとトーマスさんが言い出したことなんだけど。
卿はトリップについてどう思っているのかな?意見を聞いてみたい
278:創る名無しに見る名無し
09/04/17 21:20:44 nG5C3w9D
言い方悪いけど、トリップ付けずに何か問題が起こった場合、一番被害を受けるのはスレッドです。
そして、彼以外の名前付きの方は、ほとんどトリップをつけている。(名無しを除く)
まぁ、新人さんならいざ知らず、POPPOさんはもう何回の投下している方であり、感想と一緒にアドバイスもあったと思うのだがそれを付けていない。
それが問題であり、別にトーマスさんが言い出したという事は関係ないと思うのだが。
トリップというのは、このスレッドを大切に思っている証だと思うし、このスレを楽しんでいる人たちに対しての敬意だと私は思っている。
だから、よほどの事が無い限り、つけるべきだと思う。
実際、問題起こりましたよね。
最近、テリーさんの成りすましがあって、少しスレッド荒れかけました。
さらに、蒼姐さんの偽者が出てきましたけど、トリップのおかげで問題なくスルー出来ましたよね。
そういう事を考えてみてください。
279:保管者トーマス ◆HERMA.XREY
09/04/17 21:29:16 CztzcyE7
>>274
ふむ…、ご自身で気付かれるかと思いましたので敢えて書かなかったのですが…
>>277
すいません、ちょっと突っ込み入れさせて下さい。
>トリップつけろ
この文言だと、あたかも私が強制しているように読めてしまいます。嘗て私がやったのは「提案」レベルです。
細かいかも知れませんが…
さて、こう言うのもなんですがいい機会ですので、トリップについて私個人の意見をこの場を借りて述べさせていただきます。
トリップとは確かに個人識別に於いて非常に有効な手段であるが、強制ではなくあくまで「任意」という形でした。(276氏、言ったそばから誠にすみません)
元々2ch自体が名無しが基本ということもありましたしね。
ただしかし、職人を騙る心ない人が実際に出てきた以上、「コテハンを持っている職人様は可能な限りトリップを付けてほしい」と言うのが私の本音でございます。
偽物だと判りやすくまた不快レベルで済むならともかく、例えばそう―
トリップのない職人の名を騙り「一身上の都合により作品を全て消してください」
などと言われた日には…。私もスレも大混乱は避けられないでしょう。ですので、非難を覚悟で申し上げます。
コテハンを用いる時点でその人は既に「名乗っている」。ならばトリップも付けたほうがあらゆる意味で好ましい
と、言いきってしまいます。反論その他色々ございますでしょうが、この際ですので。
後ほどちょっと重要なお知らせを致します。
280:保管者トーマス ◆HERMA.XREY
09/04/17 22:56:15 CztzcyE7
お待たせしました。
~業務連絡~
4月20日0時頃から21日24時頃までの約48時間、現在の保管庫のアドレス(>>1に張ってあるやつです)が使えなくなります。
その間は下記のアドレスをお使い下さい
URLリンク(anime.geocities.jp)
また、それと同時に、20日の深夜(2200~ぐらいを予定)保管庫の全機能が停止します。
トップ画面のみ残し、リンクの代わりに「工事中」という表記が出ます。
具体的な日程は次のような日程になります
URLリンク(anime.geocities.jp)
期間中ご不便をお掛けしますが、ご了承のほどよろしくお願い致します。
ついでに。久しぶりになりますが、アンケートを取りたいと思います。
Q. 皆様はどれぐらいの頻度でPCのON/OFF(厳密にはOSのON/OFF)をしていますか?
1. 1日数回
2. 1日1回程度
3. 2・3日に1回程度
4. 1週間ぐらい点けっぱなし
5. もしくはそれ以上長いスパン
6. 基本的に切らない
「保管庫関係ないじゃん」と御思いでしょうが、結構重要だったりします。例の如く数字で構いませんので(コメントがあればそれはそれで参考になります)、
感想や雑談の末尾にでも入れていただければと。宜しくお願い致します。>>279と合わせて長文失礼しました。
281:創る名無しに見る名無し
09/04/17 23:00:31 kg9J9hiQ
自分は2番です。20、21日は投下も出来ないと言うことですか?
282:創る名無しに見る名無し
09/04/17 23:05:35 nG5C3w9D
>>281
いや、投下は問題ないかと。
スレッドではなく、倉庫の運営が止まるだけなので。
私は、4番。
283:保管者トーマス ◆HERMA.XREY
09/04/17 23:07:22 CztzcyE7
>>281
>>282氏の仰る通りです。
284:創る名無しに見る名無し
09/04/17 23:09:01 ZaoQ4L20
トーマス卿がこれだけの長文書いてるの久々に見た。常日頃の精力的な更新本当にお疲れ様です。
アンケについては4でお願いします。
285:創る名無しに見る名無し
09/04/17 23:12:02 x6ySAprT
>>270
かわいいです。
お母さん、元気になったんだなとほっこり。良かった。
親になったカレンとライ、見てみたくなりました。
>>280
2です。
たまに1です。
286:創る名無しに見る名無し
09/04/17 23:13:04 5Pc4LxCi
>>280
トーマス卿、お疲れ様です。3でお願いします
287:創る名無しに見る名無し
09/04/17 23:15:34 W9EYdM76
>>280
乙です。アンケは2で。
288:創る名無しに見る名無し
09/04/17 23:19:48 kg9J9hiQ
トーマス卿、これにはどんな意味が有るんですか?回答ありがとうございます。
289:創る名無しに見る名無し
09/04/17 23:21:19 KugUB5w3
おおートーマス卿のアンケ久しぶりに見た!しかも重要事項とな?
基本3、時々2です。よろしくおねがいします!
290:創る名無しに見る名無し
09/04/17 23:24:42 6p4C9ABu
>>280
いつもお疲れ様です。3でお願いします
291:創る名無しに見る名無し
09/04/17 23:30:40 MMgDCZwP
>>280
う~んほとんど2かな?あ、いつも乙です。停止期間とありますが、改装でもなさるんでしょうか?なんだか楽しみです。
292:創る名無しに見る名無し
09/04/17 23:35:54 AJ6bVjBg
トーマス卿、GJです!アンケートについてですが、自分は3であります!
いつも応援してます!これからも頑張ってください!
293:創る名無しに見る名無し
09/04/17 23:38:26 YYz9KoSj
>>280
3
べ、別にトーマスのためなんかじゃないんだから!保管庫のためなんだから勘違いしないでよねっ!
294:創る名無しに見る名無し
09/04/17 23:43:27 0xh1zV+I
>>280
乙です。2でお願いします。
>>288
俺も気になってる。が、そこはあのトーマス卿のことだ、そのうち話してくれるだろう。ゆっくり待とうぜ。
295:創る名無しに見る名無し
09/04/17 23:47:37 JDRNal84
>>280のアンケは俺は4。結構少数派なのかな
296:創る名無しに見る名無し
09/04/17 23:50:27 QwTAQ2by
お疲れ様ですトーマス様。
私の場合は2でお願いします
>>295 すごいですねえ
297:創る名無しに見る名無し
09/04/17 23:55:35 IlhvcffX
>>280
3。うむ、貴公には乙とGJを贈ろう。
298:創る名無しに見る名無し
09/04/17 23:58:46 SWjMCjNH
>>280 4です!
299:創る名無しに見る名無し
09/04/17 23:59:29 BEbqdpwn
アンケートは2でお願いします
トーマス卿お疲れ様です。貴方の常日頃のこのスレへの貢献振りにはただひれ伏すのみの者です。
いつも応援しています。これからも頑張ってください。
300:創る名無しに見る名無し
09/04/18 00:02:22 yO4Sf4Q3
>>280
乙&GJ。
アンケは2で頼むっす
301:創る名無しに見る名無し
09/04/18 00:05:09 wRvMc/El
>>280
お疲れ様です。アンケートは久しぶりですね。私は基本1、時々2です。よろしくおねがいします
302:創る名無しに見る名無し
09/04/18 00:09:40 +Xn1xs/V
乙であーるトーマス卿!我は2であーる!
>>291
大改装フラグktkr
303:創る名無しに見る名無し
09/04/18 00:21:17 LNeZ6k41
>>280
いつも頑張ってるトーマスさんに全力で賞賛と感謝を
あんけは3でお願いしますね。あと大改装ってマジですか!?
304:保管者トーマス ◆HERMA.XREY
09/04/18 00:21:20 CPBkLeT5
えー…早速の大盛況ありがとうございます。でもほんとに「ついで」でいいんですよ。あ、あと以前と同じで本アンケートは現スレのみでお願い致します。
>>288
ちょっと説明しずらいですね…ただ、重要な案件であるのは本当で近いうちに説明したいと思いますのでしばらくお待ちください。
>>302
いや、大改装とかないです。残念ながら。マジで。ちょこっとメンテナンスするだけです。
305:創る名無しに見る名無し
09/04/18 00:23:59 LNeZ6k41
あらら…そうですか。でもなんにせよ乙なことには変わりないですよ。無理せず頑張ってくださいね。
306:創る名無しに見る名無し
09/04/18 00:25:32 LNeZ6k41
あらら…そうですか。でもなんにせよ乙なことには変わりないですよ。無理せず頑張ってくださいね。
307:創る名無しに見る名無し
09/04/18 00:33:58 zluIP5Yn
でも期待せずにはいられない。だってトーマス卿だから。
アンケは3です。
308:創る名無しに見る名無し
09/04/18 00:54:07 Hufvp44X
だよね。なんてったってあのトーマス卿ですもんね!
アンケートは2で頼みます
309:創る名無しに見る名無し
09/04/18 01:11:45 zIL9fUzN
あんま期待のしすぎは重荷になるからしないほうが良いと思う
でも期待してしまう、トーマス卿だもの
アンケートは2です
310:創る名無しに見る名無し
09/04/18 01:23:48 DyIV2waV
ではさっそくなので。
2ですー。
311:創る名無しに見る名無し
09/04/18 01:47:07 T0IFFRXg
トーマス卿、お久しぶりです。いえ、ちょくちょくお見かけはしていましたが今回のような形ではという意味です。
本当にいつもお世話になっています。ありがとうございます。
アンケートは3ですね。ますますのご活躍を期待しております。
312:ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark
09/04/18 02:40:35 sLNxhb1R
夜分遅くにこんばんわ。前作の続きを投下します。13レス程度使用しますので
支援の程よろしくお願いします
【メインタイトル】コードギアス 反逆のルルーシュ L2
【サブタイトル】~ TURN02 逆襲の処刑台(後編)~
【 CP 】無し
【 警告 】●根幹は黒騎士ルートを準拠してのR2本編介入ものですが、オリジナルな設定と話も多々あります。
●王様ライの性格は自分の考えに依存してます。苦手な方はご注意下さい。
●オリジナルの名称が出ます。同じく苦手な方はご注意下さい。
それでは、投下行きます。
313:創る名無しに見る名無し
09/04/18 02:41:10 l0QZ4vxP
314:創る名無しに見る名無し
09/04/18 02:41:33 l0QZ4vxP
315:創る名無しに見る名無し
09/04/18 02:41:46 yqihdlSs
しえん
316:ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark
09/04/18 02:41:47 sLNxhb1R
―――――――――
コードギアス 反逆のルルーシュ L2
~ TURN02 逆襲の処刑台(前編)~
―――――――――
ショッピングモールにて、ミレイ達と共にルルーシュとシャーリーを尾行していたロロは、突然起きたパニックにより又してもルルーシュを見失ってしまった。
前回の二の舞だけは何としてでも避けたかったロロは、状況を確認するべく機情の地下施設に向けて全力で駆けていた。
だが、やっとの思いで辿り着いたロロが見たのは無人の施設。
「誰も…居ない?」
困惑しながらもロロが歩みを進めると、突然背後から銃口が向けられた。
「C.C.を探しに行ったんだよ」
その言葉にハッとなったロロは、ゆっくりと顔を動かすと自身に銃を突き付けている存在、ルルーシュに対して告げた。
「……やっぱり記憶は戻っていたんだね」
「ああ。尾行者を俺の奴隷に、絶対支配下に置かせてもらった。やはりお前達はC.C.の捕獲が最優先らしい。例え間違った情報でも……フッフフフ」
嘲笑いながらルルーシュは語る。
しかし、ロロは内心嘲笑いながら気取られない様に冷笑を浮かべると、ギアスを発動させた。
訪れる王の時間。ルルーシュの動きが止まる。
ロロは慣れた手つきでルルーシュから銃を奪うと悠々とした足取りで背後に回る。
そして、ルルーシュの頭部に狙いを定めた時、王の時間は終わりを告げた。
「何っ!?」
突如として眼前からロロが消えた事に一瞬ルルーシュは困惑したが、続いて後頭部に冷たい感触を感じた時、ギアスを使われたのだと瞬時に理解した。
「お前のギアスは、時を止める能力か」
確認するかのように吐き捨てるルルーシュだったが、ロロに自身のギアスの効果を教える気など更々無い。
代わりに、ロロは死に逝く者への最後の手向けとでも言わんばかりに語る。瞳を暗殺者のそれにして。
「答える理由は有りません。僕に与えられた指令は2つ。一つはC.C.の捕縛。そしてもう一つは、ルルーシュ・ランペルージの記憶が戻ったなら、ゼロが復活したなら抹殺する」
「16…17…18…19…」
「何です?その数字は?」
ルルーシュの生殺与奪はロロが握っている。にも関わらず、ルルーシュは当然意味不明な数字を読み上げ出した。
それに対して怪訝な表情でロロが問うと、ルルーシュが告げた言葉はロロのギアスの効果そのものであった。
ロロはこんな短時間で見抜かれた事に内心驚きつつも、皮肉めいた言葉を浴びせる。
「今更分かったところで、何が出来ると言うんです?」
その答えに、自身の仮定が正しかったと理解したルルーシュは籠絡するべく行動を開始した。
「ロロ、お前は正しい。直ぐに俺を殺さないのは分かっているからだろう?このままでは2つとも手に入らないと」
「2つ?」
一瞬、何を言っているのか分からなかったロロだったが、2つの内の一つについては直ぐに理解した。
しかし、もう一つは皆目見当が付かなかった。
ロロは視線で続きを促すと、それを認めたルルーシュが語る。
「1つは、この俺を餌に探していたC.C.―」
「それは分かります。もう一つは?」
「お前の命」
「僕の?」
答えを聞いたロロは僅かに眉を顰めた。それを手応え有りと受け取ったルルーシュは、慎重に言葉を選ぶ。
「ロロ、未来とは何だ?」
「未来……」
その言葉を聞いた時、それまで殆どと言っていい程鉄仮面を貫いて来たロロの表情に、明らかな変化が現れた。
唇を噛みしめてジッと哀しみに耐えるかのような表情。それを動揺と捉えたルルーシュは内心ほくそ笑む。
317:創る名無しに見る名無し
09/04/18 02:42:43 yqihdlSs
しえん
318:ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark
09/04/18 02:43:35 sLNxhb1R
「未来とは希望だ。お前の任務の先に希望はあるのか?C.C.を捕まえる事で、お前にはどんな未来が開ける?今のままだ。何も―」
「フッ、フフフフ…」
だが、ロロは突如として俯きがちに笑い出し、ルルーシュの言葉は最後まで聞かれる事は無かった。
今までとは全く違う反応を見せるロロ。その予想だにしていなかった反応にルルーシュは少々面食らった。
「何が可笑しい?」
その瞬間、ロロは勢い良く顔を上げたかと思うとあらん限りの声で叫んだ。
「C.C.を捕らえれば、未来は繋がるんだっ!!」
先程までとは打って変わって、ロロは平静さを失っていた。瞳には涙さえ浮かべている。
それは紛れもないロロの本心だった。
あの日以来、ロロはライに見限られたと思っていたからだ。
とはいえ、未だC.C.捕縛という使命まで失った訳では無い。だからこそ……。
「今は、今は駄目でも捕らえたらきっと……また"あの人"と……!!褒めて貰うんだ!!」
「あの人?誰だそれは?」
感情的になった事で余計な事まで言ってしまったロロだったが、ルルーシュの問いに我に返ると一転して冷え切った瞳を向けた。
「少し、話し過ぎました。ルルーシュ、その悪魔の瞳と伴に……死ね」
―こ、このままではっ!
焦ったルルーシュが咄嗟に口にした一言。それが彼の命を救う事となった。
「俺を殺せばC.C.は捕らえられないぞ!?」
ロロの片眉が一瞬ピクリと動きトリガーを引く指が止まる。それを見逃すルルーシュでは無い。
ロロの言うあの人が誰を指しているのか。今のルルーシュは知る由もない。
しかし、ロロの心に深く入り込んでいる人物だということは容易に想像出来た。
そして、先程の半泣きとも言えるロロの表情を見て、両者の間に何らかのトラブルがあったと想定したルルーシュは餌をちらつかせる。
「俺を見逃してくれたら、C.C.を引き摺り出してやろう」
「売るのか?C.C.を……」
努めて平静に言ってはみたものの、ロロの心は揺れ動いていた。敬語を忘れているのがその証拠だ。
C.C.を捕らえる事が出来れば、それがきっと再び自分とライの架け橋になるとロロは信じていた。
それは先程ルルーシュが言ったロロの未来に他ならない。
一方で、ルルーシュはロロの瞳が揺らいだのを認めると静かに振り返る。
「自分の命とは比べられないからな」
「本当、でしょうね?」
未だ警戒の念を湛えた瞳でロロが問う。
対して、ルルーシュは普段のように優しさを湛えた表情で答える。
「ああ、明日俺がC.C.を引き摺り出してやれば、お前は未来を掴めるんだろう?大丈夫、お前に嘘は吐かないよ。お前にだけは」
その表情を認めたロロは、依然として警戒の念を解くこと無く暫しの間思慮に耽る。
しかし、どれ程考えても最良の答えは同じ。取るべき手段は一つしか無かった。
今はもう、ルルーシュの言葉を信じるしか無かったのだ。
それに、もし仮に嘘だったとしたならば、憂さ晴らしの意味も込めてV.V.から言われた使命を果たすだけ。
その後で時間は掛かるがC.C.を探せばいい。
その考えに到ったロロは、静かに頷くと銃口を降ろした。
しかし、本来ならば魔人の言葉など聞くべきでは無いのだが、今のロロにそれが出来る筈も無い。
知らず知らずの内に魔人の腕がその身に迫っている事に、ロロは気付けないでいた。
―――――――――
時計が夜中の24時を回った頃、機情の地下施設では定時連絡が行われていた。
「それと最新の動きとして、領事館で小規模な爆発がありました。公式発表は未だなされてはおりません」
「ソチラハ"ギルフォード"ニ任セテオケ。ソレデ、ソノC.C.ヲ見タトイウ隊員ノ証言ニツイテハ?」
「はい。それに基づき探してはみましたが、その……申し訳ありません」
ヴィレッタは頭を垂れた。
「ソノ時ノ"ルルーシュ"ノ状況ハ?」
「ロロが尾行していましたが、これといって不審な点は無かったと」
「ソウカ。今度ハ見失ナワナカッタカ」
面を上げたヴィレッタが再度報告すると、カリグラは僅かに肩を揺らした。
319:創る名無しに見る名無し
09/04/18 02:43:42 l0QZ4vxP
320:創る名無しに見る名無し
09/04/18 02:44:05 l0QZ4vxP
321:創る名無しに見る名無し
09/04/18 02:44:25 yqihdlSs
しえん
322:創る名無しに見る名無し
09/04/18 02:44:47 l0QZ4vxP
323:ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark
09/04/18 02:44:55 sLNxhb1R
それを見たヴィレッタは驚きのあまり思わず瞳を見開いた。
―珍しい事もあるものだ。明日は槍でも降るのか?
そうヴィレッタが思うのも無理はない事。
カリグラに仕えて一年近くになるが、彼が喜ぶ様子など初めて見たからだ。
「"ロロ"モヤレバ出来ルトイウ事ダナ」
すると、カリグラが珍しく誉めた事が影響したのか、とある理由でその名前を持つ少年の存在が耐えきれなくなっていた一人の隊員が身を乗り出した。
「カリグラ卿!申し上げたい事があります」
「控えないか」
ヴィレッタは慌てて隊員の肩を掴もうとした。
理由は二つある。
一つは、彼女なりの部下への気遣いだった。
如何にカリグラの機嫌が良いとはいえ、万が一下手な事を言えば部下の身に危険が及ぶ可能性は十二分に考えられるからだ。
二つ目は、普段カリグラはヴィレッタ以外の部下の上申を許す事は無い。言った所で無駄だと思っていた為でもある。
だが、前述の通り機嫌が良かった事が影響したのだろう。カリグラは珍しくそれを許した。
「構ワナイ。何ダ?」
許しを得た隊員は、悲しみを宿した瞳を向けると言った。
「ブルーノが、殺されました」
「ブルーノ?」
その名を聞いたカリグラはあろうことか首を傾げてみせた。
まるで「それは誰だ?」とでも言わんばかりの態度に、隊員達は思わず絶句した。
一方、カリグラはそんな彼等の様子さえもお構い無しといった態度で、暫しの間考え込む素振りを見せる。
やがて、漸く思い出したようでカリグラは僅かに頷くと問い掛けた。
「アノ男カ。誰ニ殺サレタ?」
「あ、あのガキです!彼奴がブルーノを……」
我に返った隊員は憎々しげに答えるが、返って来たのは非情な言葉だった。
「ソウカ。デハ、代ワリヲ送ル」
「それだけ…ですか?」
「他ニ何カアルノカ?」
カリグラは再び首を傾げると、今度こそ皆目検討がつかないといった様子で一向に語ろうとしない。
業を煮やした隊員は思わず拳を机に叩き付けた。
「これで5人目なんですよっ!?」
が、既にその怒りがロロでは無くカリグラ向けられている事は誰が見ても明らかだった。
咄嗟に限界だと悟ったヴィレッタが割って入る。
「いい加減にしないか!その態度は上官反抗罪に当たるぞ!」
その指摘にハッとなった隊員だったが、尚も諦めきれないようで悔しさを滲ませながら呟いた。
「仲間を殺す死神と、チームは組めません」
―死神―
正にロロに打ってつけの二つ名と言えた。
前述の通り、ロロはこれで5人殺した。
しかし、ロロとしてはギアスを知られた可能性がある場合は消せという命に従い、忠実に実行した結果に過ぎない。
確かに、中にはロケットに触ったというだけで殺された不憫な者もいたが……。
だが、彼等は訴えるべき相手を間違えていた。いや、正確には知らなかった。
モニターに映る銀色の仮面。その下に在る素顔の持ち主こそロロを死神にした存在、ライなのだと言う事を。
「何ヲ言イ出スカト思エバ、仲間ダト?下ラナイ」
当然の如くカリグラは吐き捨てる。
すると、今度は余りにも非情なその言葉に堪り兼ねたのか、彼とブルーノの仲を知っていたヴィレッタが叫ぶ。
「カリグラ卿!それは―」
「黙レ!」
だが、一喝されてしまった。
そしてモニター越しに滲み出るえも言われぬ覇気に気圧された彼女は、声を失ったかのように押し黙らされてしまった。
「何レニセヨ、数ガ減ッタノデアレバ補充スル。以上ダ」
カリグラは話は終わりだと言わんばかりに告げると、一方的に通信を切った。