09/04/10 22:19:56 r5QcIaBH
>>137
乙です酸性雨卿。男の中の男として逝った仙波大尉に総員敬礼!
<(д)ビシッ!
151:創る名無しに見る名無し
09/04/10 22:34:16 Tm+ltOPF
>>137 このSSの仙波さんのように年を取るのが俺の理想です
>>150 俺も続くぜ! <(д)ビシッ!
152:創る名無しに見る名無し
09/04/10 22:40:11 PwTUlzew
>>137
もはやどんな言葉もいらないな。ただ一言、GodJob!
>>150
<(д)ビシッ!
153:創る名無しに見る名無し
09/04/10 22:44:55 I/44WsS9
>>137
お疲れ様です酸性雨卿!すばらしい!
154:創る名無しに見る名無し
09/04/10 22:48:50 CXNylhf2
……なぜみんな137にレスしてるんだ?
>>134 GJでした!
155:創る名無しに見る名無し
09/04/10 22:50:36 I/44WsS9
>>149-153
志村ー!アンカアンカ!
>>131
GJです。連載ものもあわせて卿の次回作を楽しみにしています!
>>150
<(д)ビシッ!
156:創る名無しに見る名無し
09/04/10 22:52:33 I/44WsS9
>>155は>>153の補足です。今回のもそうですが卿の話は全て楽しみにしているので。
本当にお疲れ様です!
157:創る名無しに見る名無し
09/04/10 23:05:23 jLkto2Gq
>>131
乙。これは泣けるわ…
158:創る名無しに見る名無し
09/04/10 23:09:47 iiCtKgmq
>>131
最初に謝っておこう。あしっど・れいん卿すいません!ライカレよりも手紙の方がずっとインパクト強かったです!
159:創る名無しに見る名無し
09/04/10 23:17:43 13S8Y5mz
あしっど卿お疲れ様です。仙波大意の遺した手紙、指輪。このくだりは涙腺崩壊ものでした…
160:創る名無しに見る名無し
09/04/10 23:38:02 T34M9NyI
>>131
あしっど。れいん卿GJ!
しかし本当に凄い人だ。クオリティと速度をこのレベルで維持し続けるとは。
貫禄と言うか風格すら感じられます。
かつてこのスレの一番のキワモノもといツワモノは他でもないトーマス卿と思っていましたが、世の中にはまだまだ凄い人がたくさんいるものだと実感します。
161:創る名無しに見る名無し
09/04/11 00:35:03 UNrN+tkV
>>131
GJやー!
162:創る名無しに見る名無し
09/04/11 02:07:52 L8nXj4FK
>>134
お疲れ様です。158卿と同じく、手紙で他が全て霞んでしまいました…涙で…
163:創る名無しに見る名無し
09/04/11 19:59:28 WB1vJwOV
>>134
いつも楽しく読ませて貰ってます。応援してます。
164:BLUEDESTINY ◆tr.t4dJfuU
09/04/12 00:15:47 UJPSqVR0
すいませんSS描くのもうやめます
腐女子の分際でいままで迷惑ばかりかけてすいませんでした
おわびしますもうしまえん
165:創る名無しに見る名無し
09/04/12 00:48:41 UMXa2HpO
>>164
それ、何の冗談ですか?それとも別人?
166:創る名無しに見る名無し
09/04/12 00:59:33 9c2+WI5L
>>165
本物 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y
偽物 BLUEDESTINY ◆tr.t4dJfuU
以後、完全スルーでお願いします。
167:創る名無しに見る名無し
09/04/12 01:05:06 elZq1RKm
>>134
投下お疲れ様でした酸性雨さん。次回作を楽しみにしています。
168:創る名無しに見る名無し
09/04/12 01:06:57 irWj6JQZ
>>134
乙です!
169:創る名無しに見る名無し
09/04/12 18:00:22 Zcj663u2
職人そしてこれを読んでいる皆様に質問なのですが、他の漫画やアニメの
キャラクター等をコラボさせるのは有りなのでしょうか?
酸性雨卿、あしっと・れいん卿の作品は本当にいつも脱帽するほどの素晴らし
さです!
170:創る名無しに見る名無し
09/04/12 19:31:35 tfp4VruS
>>169
コラボ関係は、ここではやらない方がいいと思いますよ。
クロスSSもしかり。
あくまでコードギアスロストカラーズのゲームのSSスレですので。
171:POPPO
09/04/12 22:39:44 hpyCqAUX
POPPOです。
今から
コードギアス LOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」
TURN00 「終わる日常」(後編5)
を投下します。
毎度すいませんが、後編5を書いている内に文章があまりにも長くなってきたので、
予定していた後編5を二つに切って、後編6を「終わる日常」の最終話にしようと思います。
当初は、最高に長い文章でTURN00「終わる日常」を完結するつもりだったですが、皆さんが読みやすいようにするために分割することにしました。
それではどうぞ。
支援は要りません。
設定資料の追加もありません。
172:POPPO
09/04/12 22:41:30 hpyCqAUX
ゲイボルグのブレイズルミナスコーンが斬月を捕らえた。
甲高い回転音が、斬月のコクピット内にも伝わる。
「…ぐっ!」
藤堂は歯を食いしばり、迫り来るゲイボルグを睨み付けていた。
大破した藤堂のナイトメアフレームに抗う術は無い。睨み付けることしか、彼には出来なかった。
地べたで仰向けになっている斬月は翼を失い、両腕をもがれている。
ガウェイン・ラグネルだけはベディヴィエールを突破し、政庁へ向かったが、四聖剣と藤堂ですら歯が立たなかったべディヴィエールに、2機だけで太刀打ちできるはずも無い。
狙いを定めたノネットは何の躊躇いも無く、ゲイボルグを斬月の胸部へと直進させた。
(…ここまで、か)
死を悟った藤堂は、額を血で濡らしながら瞳を閉じた。
志半ばで散る自分を許してくれ、と四聖剣に心中で呟いた。そして、同志たるゼロと、自分を越える器を持った若き名将、ライに対しても同様の謝罪を述べる。
(日本の、君たちの行く末を、見てみたかったものだ…)
しかし、それは身に余る贅沢と言えよう、と藤堂は思った。
7年前の戦争で、そして今までのテロ活動で散っていた多くの仲間と日本人がいる。将来を期待された若き芽が、戦火に飲み込まれる光景を、藤堂は幾多も見てきた。
(―――?)
しかし、いくら待っても天に召されない。
疑問に思い、まぶたを開けた藤堂鏡士郎が目にしたのは、遠ざかるベディヴィエールの後姿だった。
ベディヴィエールのコクピットに低い声が響く。怒気と殺気を孕んだ声だった。
騎士としては当然だろう。腕のある戦士を死の淵まで追い詰めておきながら、命をとらずに身を引かなければならないのだから。
「…おォい。何の冗談だこれはぁ…」
モニターに映し出されているオペレーターは身を震わせた。
ノネットの歪んだ形相をまともに受け止められる人間はそういない。
怯えた口調で中年男のオペレーターは告げた。
『「即時撤退せよ」と…こ、皇帝陛下のご命令です…』
173:POPPO
09/04/12 22:49:52 hpyCqAUX
『ナナリーが攫われた!』
コーネリアから情報を聞き終えたルルーシュの耳にC.C.の声が聞こえた。
庭園がナイトメアの戦闘によって荒らされていた。彼女のグロースターは大破し、アンドレアス・ダールトンはギアスによって操られ、ハドロン砲で葬られた。
結局、真相を掴めなかった苛立ちからルルーシュはC.C.を一蹴する。
「そんな冗談を聞いている暇は無い」
ガウェイン・ラグネルのオープンチャンネルからC.C.が叫んだ。
『冗談ではない!ナナリーは、お前が生きる理由なのだろう!?』
彼女の声色から真実味を感じ取ったルルーシュの心に、暗雲が立ち込めた。
ナナリーが攫われただと?
いったい誰が?何の目的で?ナナリーの側には生徒会の皆がついているはず…
トウキョウ租界陥落作戦の思考は停止し、ナナリーの安否のことで脳内が一色になる。
その時、ルルーシュの通信機に連絡が入った。
『総司令!』
「何だ?」
『5時方向からフロートシステムを装備したナイトメアが多数接近!数は100を超えています!』
「ブリタニアの援軍か…所属は何処だ?」
『い、いえ…それがブリタニアのデータから照合しても該当がありません。正規のブリタニア軍では無いようで…』
「なんだと?」
ガウェイン・ラグネルはゼロを右腕に乗せると、接近してくる多数のナイトメアを暗闇の上空で捕捉した。
黒いナイトメアフレームが群れる中、中心に一際異彩の放った巨大なナイトメアフレームがあった。それを見たC.C.は目を細める。
「何だ?あれは…」
政庁から10キロ離れた上空で光学カメラからゼロとガウェイン・ラグネルを捉えた男、ジェレミア・ゴットバルトはナイトギガフォートレスのコクピット内で狂喜した。
改造された肉体、物々しい機械で体を纏ったその姿はもはや人間ではなかった。緑色に輝く左目が、爛々と光を放ち始める。
「おおおおっ!ゼロ!ゼロォ!我が宿敵、ゼロが眼前に!…ああっ、感謝いたします!V.V.様!」
芝居ががった仕草で両手を合わせた。
ナイトギガフォートレスのコクピット内のモニターに通信が入った。口元を白い仮面で覆った兵士がジェレミアに声をかける。
『ジェレミア卿、本当に良かったのですか?陛下の勅命だとおっしゃって…』
「心配ない!団の命令は皇帝陛下の命令も同然!そんなことより、任務遂行こそ真の忠義と思わないかね!同志諸君!」
『…イエス、マイロード』
ジェレミア・ゴットバルトは高らかと腕を振り上げた。
「では、ガレス隊!攻撃態勢を入れ!勝利は我らブリタニアにあり!オールハイル・ブリタァーニア!!」
ガレスに乗っている黒服のパイロットたちの瞳には、赤い光が宿っていた。
まるで何かに操られているように、その表情は狂気に彩られていた。張り裂けそうな大声がスピーカーを通して夜空に響き渡っていく。
ガレスの両腕からハドロン砲の赤黒い光が輝き始めた。
『オールハイル・ブリタニア!』
『オールハイル・ブリタニア!』
『オールハイル・ブリタニア!』
『オールハイル・ブリタニア!』
174:POPPO
09/04/12 22:51:30 hpyCqAUX
コードギアス LOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」
TURN00 「終わる日常」(後編5)
ギギギギッ!!
MVSの大剣と蒼天の短刀が火花を散らし、大気を揺らす超音波が周囲に響き渡った。
パロミデスの力に押され、徐々に蒼天が体を仰け反らせる。
しかし、その体勢を利用して蒼天は、MVSを持っているパロミデスの右腕を蹴り上げた。
『ふんぬっ!』
パロミデスの巨体は上半身を急回転させ、MVSの一線の太刀筋が迸る。
蒼天の膝から下の右足が斬り落とされた。
『ちッ!』
蒼天は上部から、パロミデスの頭部を殴り潰した。
蒼天の指が飛び散ると共に、パロミデスの顔面が鈍い音を立てて歪む。赤い巨体が吹き飛ばされ、2機のナイトメアフレームは距離をとった。
だが一瞬で2機は距離をつめ、鋼鉄をぶつけ合う肉弾戦を繰り広げた。
空中での蒼天とパロミデスの戦いを、カレンは呆然と見上げていた。
周囲には多数の月下が大破した紅蓮を取り囲んでいた。紅蓮可翔式のコクピット内に通信が入る。
『無事か!カレン!』
「あ…杉山さん。…ええ。大丈夫。でも、紅蓮はもう駄目みたい…」
『紅蓮は置いていく!早く腕に乗れ!補給地に戻るぞ!』
「……わ、分かったわ!」
カレンはライの戦いを最後まで見届けたかった。
いや、世界最高とも言えるナイトメアフレームのパイロット同士の死闘を見たいという、一人の騎士としての感情もあった。
しかし、何も出来ない自分がただ佇んでいるだけなどライの足枷にしか無い。それだけは許せなかった。
彼のパートナーとして、恋人として。
カレンは咄嗟にマニュアルレバーを引いた。
紅蓮の背部がスライドし、ハッチが開く。
そのままカレンは月下の掌に跳び乗った。それを確認した杉山は、月下のランドスピナーを一気に回転させた。
杉山が乗る月下が動き出すと同時に、他の月下もランドスピナーを走らせた。
その周りを10機近くの月下が取り囲んでいた。
遠ざかるナイトメアフレームの激戦を見ながら、カレンは叫んだ。
「ライッ…絶対に、絶対に死なないで!」
『心配するな。カレン。あいつは勝つさ。なんたって、ゼロより凄い奴だからな!』
杉山の声がオープンチャンネルでカレンの元へ届いた。
吹き付ける風がカレンの髪を揺らす。その髪を押さえながら、カレンは月下を見据え、微笑んだ。
「……うんっ!」
175:POPPO
09/04/12 22:54:31 hpyCqAUX
カレンが無事に救出されたことを確認できた僕は安堵した。
けれど、息をつく暇は無い。モニター前面にパロミデスが接近してくる。
ペダルを交互に踏み、操縦桿を前に倒した。蒼天の機体は小刻みに揺れ、パロミデスが振りかぶる大剣を紙一重で回避した。
飛び道具がスラッシュハーケンしか残されていない今、これを使う機会が勝敗を分ける。それは敵側も同じだ。
だからといって、接近戦でダメージを被ればそこで終わりだ。距離を離しすぎると戦いにはならず、かといって距離が近ければ剣が交差する激戦となる。
リーチが長い剣をパロミデスは所持しているので、武器に関してはセルゲイが優位にあった。
しかし、小回りが利く短刀を持っている蒼天も、機敏な機動力を考えれば引けを取らない。
まさに、拮抗していた。
テロリストの騎士と、ブリタニア最強と畏怖される騎士が。
その姿を周囲にいる月下はモニターを通して見ていた。機能が停止したサザーランドから降り、拘束されたブリタニアの兵士たちも目を奪われていた。
2機のナイトメアフレームの一挙一動の攻防に、どれほど洗練された戦術が練りこまれているのか、ナイトメアフレームを乗る者には、その片鱗だけでも感じ取れた。
自分たちが演じていた死闘がどれほど幼稚なものであったかを感じさせるほど、2人の決闘は熾烈を極めた。
そして、決闘は最終局面を迎える。
パロミデスが大きく振りかぶった大型MVSを、蒼天は正面から短剣で受け止めた。
パロミデスの出力が急激に上がった。
大型MVSの刃が蒼天の短刀を斬り裂き始めた。
蒼天の機体も徐々にパロミデスのパワーに圧されていった。そして、遂に蒼天の短刀は折れ、再び振り上げる剣先に当たり、柄まで粉々に砕け散った。
それを見たセルゲイは勝利を見出した。
彼は、サブバッテリーである予備電源を先ほどまで使っていなかったのだ。メインバッテリーを最後まで使い切り、そしてサブバッテリーの最大出力と共に一気に決着をつける。これがセルゲイの編み出した策だった。
互いの戦術が拮抗している。このままでは両者ともエナジーフィラーを使い切って終わってしまう。だから、相手も時期を見計らって勝負に出るはずだ。
そして、相手が勝負を仕掛ける前に手を打つ。蒼天のパイロット、ライは自分よりも頭が切れる人間、それを肌で感じ取っていたセルゲイは心を殺意に染め上げた。
(終わりだっ!若き獅子よっ!)
大型MVSは蒼天のコクピットを完全に捉えた。
両手に武器を持っていない。そして、左足に残っているスラッシュハーケンも動いていない。
振り切れば、コクピットごと斬り裂き、確実に少年の息を止めることが出来る。避けきれたとしても、右腕は斬り落とされ、胸部のダメージは免れない。
セルゲイは躊躇いも無く、操縦桿を横に振った。
大剣は空回った。
『なっ!?』
セルゲイが驚くのも無理はない。
なぜなら、眼前から『蒼天』の姿が消えたのだ。
刹那、パロミデスのコクピット内にアラームが鳴った。
『背後だと!?』
ガンッ!!
パロミデスに強い衝撃が走る。即座に背後に回るがまたもや衝撃がコクピット内に伝わる。
ガッ!ガッ、ガガン!
一撃、二撃、三撃、次々と機体の全身が衝撃に襲われる。
パロミデスのモニターは縦横無尽に動き回るナイトメアを捉えているが、機体の捕捉が追いついていなかった。
『なっ、何だ!この速さは!?』
セルゲイの表情が驚愕に染まった。
176:POPPO
09/04/12 22:55:34 hpyCqAUX
『君ってやつは本当に、幸運の女神だよっ!…シャーリー!』
僕は操縦桿を強く握りながら、止まっているように見えるパロミデスに猛攻を加えていった。コクピット内には、Gの過負荷とAランクの機体損傷、そしてエナジーフィラーの限界時間を知らせるアラームが鳴り響いていた。
コクピットの機構内に、シャーリーから受けとったUSBメモリが、プラチナスターのストラップを付けたまま刺さっていた。
パロミデスは蒼天の四方八方から来る攻撃を防ぎきれず、損傷箇所を表示するモニターに次々とダメージが表示され、さらにはパネルの表示が歪み始めた。
ドルイドシステムにもダメージが及んでいる。
セルゲイの額に汗が滲んだ。
中央モニターに、青白いフォトンラインが輝く蒼天のナイトメアフレームが映った。
そして、そのまま蒼天は突進してきた。
その姿を見たセルゲイは咄嗟に剣を下から振り上げる。
パロミデスの大型MVSが、蒼天の右腕を肩から斬り落とした。
それから、ライはセルゲイの予想を超えた行動に出た。
セルゲイは目を見開く。
蒼天は斬り落とされた右腕を左手で掴むと、それをパロミデスの右腕にたたきつけた。
鈍い金属音と共に、肘の部分からパロミデスの右腕が捻じ曲がった。
左足のスラッシュハーケンをパロミデスの胸部に打ちつけ、MVSごと右腕をパロミデスから引きちぎった。
大型MVSを奪った蒼天はパロミデスに斬りかかる!
「貴方は人の身体(からだ)をよく知っている…」
バシュ!と、パロミデスの胸部から2本のスラッシュハーケンが発射された。
ライは超絶的なスピードでペダルや操縦桿に入力する。
近距離で発射されたにも関わらず、スラッシュハーケンを『蒼天』は紙一重で避け、スラッシュハーケンの鉄線をぶった斬った。
一瞬の内にセルゲイは操縦桿を縦に振った。パロミデスは身を翻す。
MVSの直撃を免れたが、右肩と一緒にフロートシステムの右翼を斬り裂かれた。
「僕はただ、人の性(さが)をよく知っているだけです…」
翼を失ったパロミデスは徐々に高度を下げ、轟音と共に地面に倒れこんだ。
辺りには粉塵が舞い上がった。
『蒼天』は左手に大型MVSを携えたまま、パロミデスを見下ろしていた。
勝敗は決した。
177:POPPO
09/04/12 22:56:48 hpyCqAUX
『うっ、うおおおおおおおおおおおおおっ!!!』
突然、地上から歓声が聞こえた。
決闘を見守っていた黒の騎士団の団員たちが、月下から身を乗り出して叫びだした。
『す、すげぇ!!副指令が、ラウンズに勝った!』
『さすが、隊長ぉ!ブリタニア最強の騎士に、勝ったぞおお!!』
『万歳!副指令!!…副指令!万歳!!』
拘束されたブリタニア兵もその光景を見ていた。絶句して声を発することが出来ない兵士たちも多くいた。
「馬鹿な!…ナイトオブツー様が、負けるなんて…」
「…何者だ?あの青いナイトメアのパイロットは……」
178:POPPO
09/04/12 22:57:49 hpyCqAUX
皆が歓喜する光景を、僕はモニターで見ていた。
額から垂れた汗が目に落ち、視界が滲む。安心した瞬間、胸からこみ上げてくるものがあった。
「ふぅ、ふぅ……か、勝った、のか?……うっ、ごぼっ、ごはっ!」
大量の真っ赤な血を吐き出した。
手で口元をこするが、手が震えて満足に拭うことも出来なかった。
蒼天の『オーバードライブモード』。
通常、僕は蒼天の出力は40%程度しか出していない。なぜなら、その出力で十分に他のナイトメアを圧倒するし、紅蓮をサポートするには適した出力だからだ。
では、『出力100%(オーバードライブ)』であればどうなるか?
蒼天は、この機体のベースとなった『神虎(シェンフー)』というナイトメアの改良型であり、コンセプトは「最強のナイトメア」だ。
それも人が扱える範囲内での最強ではなく、ナイトメアフレームという人型ロボットの規格の範囲内での究極を目指したものだった。
パイロットを考慮しない最強のナイトメア。常軌を逸した性能ゆえに、『神虎(シェンフー)』と呼ばれるナイトメアは未だに乗り手がいないという。
並みのパイロットなら20%が限界だ。カレンですら、僕と同じ40%に体がついていけなかった。
一度、模擬戦で蒼天を100%の出力をだしたところ、紅蓮可翔式を瞬殺したのはいいが、それと同時に体が悲鳴を上げ、一分も持たずに気を失ってしまった。
それを知ったルルーシュは、蒼天の出力を最大60%までしか出せないようにロックした。
僕を気遣ってのことで、小規模の活動なら蒼天をフルに使うことなど無かったので気にしていなかったが、『大戦』の前にはルルーシュを説得して、万が一の場合のために受け取った。
本当は気休め程度の代物だったが、まさか本当に使用する場面が来ようとは思ってもいなかった。
僕は徐々に息を整えながら、出力を30%に落とした。
蒼天の機体の隅々まで輝いていたフォトンラインが光を失う。蒼天のモニターに表示されたエナジーフィラーの残量は底をつき、フロートユニットに付けられている予備のミニバッテリーが作動した。
周囲からは悲鳴に近い歓声が沸き起こり、大型MVSを持ったまま蒼天が降下している最中に、パロミデスのオープンチャンネルでセルゲイ・サザーランドの声が聞こえた。
『……止めを刺せ』
『…僕は……』
『騎士の誇りまで奪う気か?……若き獅子、ライよ』
決闘とは騎士の誇りをかけて戦う命の奪い合い。
世界の頂点に立つブリタニアで、最も野蛮で崇高と言われる儀式。
決闘は貴族や平民を問わず、ブリタニア人であれば誰もが出来る勝負。それゆえに、敗者には生殺与奪すら勝者の思い通りになる。
彼は決闘に負けた。
それに殉じようとしているのだ。
その声から、僕は悟った。
彼は騎士に生き、騎士に死ぬ覚悟なのだと。
僕は、決闘が終わった今では、殺すつもりなど無かった。
しかし、生かすことは彼にとって死より重い拷問だった。
『生きていれば、必ず良いことがある』
そう言った人がいるが、僕はそうは思わない。
生き恥を晒して生き延びるよりも、人生の絶頂が覚めないまま終わったほうが結果的に最良である時もある。
死というものは、後世に残る人々に強い衝撃を与える。
そのタイミングを見計らい、自分の死をコントロールできる人間は、すでに人としての感情や理性といったものを凌駕している。
そのような人々を、我々は『英雄』、または『狂人』と呼ぶ。
『…分かりました。セルゲイ・サザーランド卿』
サブバッテリーで動いているものの、左腕を動かし、MVSでパロミデスの胸部を貫くことはできる。
僕は蒼天をパロミデスにゆっくり近づいていった。
ブリタニア軍の兵士から怒号が聞こえた。しかし、僕はそれを無視する。
179:POPPO
09/04/12 23:00:17 hpyCqAUX
モニターには接近する蒼天の姿が映っていた。エナジーフィラーはすでに尽きている。パロミデスは完全に沈黙する。オープンチャンネルと映像のみに電力を絞った。幾度と無く入電してくる部下の声を遮った。
セルゲイは深く目をつぶる。
脳裏に様々な出来事が蘇った。
軍人としての青春時代。第一世代型ナイトメアに乗り込み、心躍らせた日々。度重なる戦争での仲間の死。前線から身を引き、ナイトメア開発に没頭した日々。
サザーランドが完成した記念すべき日。
妻との出会い。
我が娘の誕生。父としての日々。
そして、ビスマルクからの推薦を受け、ラウンズとして過ごした今の日常。
「辺境で果てるこの身をお許しください。シャルル皇帝陛下……そして…」
心の中で、妻と娘に謝罪した。
(…すまない。お前たちには、いつも泣かせてばかりだな……)
スピーカーから、蒼天のパイロットの声が聞こえた。
『サザーランド卿。僕は、貴方を殺したくはありません…』
セルゲイは一瞬、呆気に取られた。
自分を負かすほどの腕前と、ブリタニア軍を出し抜くほどの知略を兼ね備えた少年は、やはり少年だった。
年相応の『甘さ』がある。
まるでミスター枢木のようだ、とセルゲイは心中で述べた。
セルゲイは目を開く。彼はライの言葉には答えなかった。それが、すべてを物語るのだから。
眼前に、パロミデスの大剣が迫っていた。
その時だった。
頭に激痛が走った。
『蒼天』が空中で唐突に止まる。
頭が割れるような痛みが、脳を刺激する。
思考が停止した。
「うぐっ…うああああああっ!!」
僕の脳裏に見覚えの無い光景が蘇った。
僕の視界じゃない。
視線が低い。
焚き火の近くにいた黒の騎士団の団員がナイトメアのキーを手渡し、突然、目の前で頭を撃ちぬいた。
崩れ落ちた体は焚き火に倒れ込み、徐々に火は体に燃え移っていった。
(な、何だ。この記憶は…?)
僕は無意識に頭を押さえた。
モニターが霞んで、視界が眩んでいる。
(こ、この痛みは…オーバードライブの反動じゃないっ。…これは)
意識が朦朧としていて、操縦桿を握ったときだった。
『蒼天』のコクピット内に衝撃が伝わる。
ドンッ!!
蒼天の頭部が爆発した。
『ぐあああっ!!?』
セルゲイは驚愕する。
「!?」
蒼天は銃撃を受けていた。それも黒の騎士団のナイトメア、『月下』のコイルガンを浴びていたのだ。
MVSはパロミデスを貫く事なく地面に落ち、蒼天は黒煙を上げながら再び空に舞った。そのまま、夜空に消えて後退していく。
パロミデスの周囲に3機の月下が囲った。突然、緊急通信が入った。モニターにブリタニア軍の制服を着た一人の青年の顔が映った。
青年の勇んだ声が、静寂なパロミデスのコクピット内に響いた。
『ご無事ですか!ナイトオブツー様!イレブンの兵士からナイトメアを強奪してきました!お助けします!』
『ラウンズ様!後は私たちが…』
「……が」
『はっ?今なん…ブツッ』
セルゲイは怒りに身を任せ、モニターを殴り壊した。
「騎士の決闘に水を差すな!この大馬鹿者があああああっ!!!」
180:POPPO
09/04/12 23:04:01 hpyCqAUX
シズオカ前線から遠く離れた上空で、武器と両足を失ったランスロットはフロートユニットを最大展開し、撤退していた。
エナジーフィラーの残量を確認しながら、コクピット内でスザクは戦況を確認し、モニターの先にいるロイド・アスプルントとやり取りをしていた。
『だーかーらー、非常にマズい状態なんだよぉ~。ニーナ君がガニメデに積んだ兵器が今にも起動しそうでさぁ~!』
「ニーナが?学園はどうなったんです?」
『黒の騎士団に占拠されちゃってたんだけど、民間人はアヴァロンに収容したから大丈夫。でも、今はそれどころじゃないんだよ~』
「……分かりました。補給を終えて、直ぐにそちらに向かいます。少なくとも1時間は…」
唐突に、ロイドとの交信が切れた。
「えっ?」
何度もキーボードを押すが一向に画面が表れない。
灰色の画面の右下に、小さく文字が表示された。
その文字に、スザクは少し目を見開いた。
「…ロイヤルプライベート通信?」
スザクは直ぐに通信をつないだ。
『…枢木か?』
そこには額から血を流したコーネリア総督の姿が映し出されていた。
コーネリア・リ・ブリタニア総督の負傷に、スザクは驚いた。
「こ、コーネリア様!?ご無事ですか!?」
『私は、大丈夫だ……それよりも、枢木よ。貴殿に…話さなければならないことがある』
「…お話、ですか?」
『……ユフィのことだ。こんな形で、お前に伝えるとは…思ってもみなかったな…』
「お話というのは、一体…?」
そして、コーネリア総督は告げた。
話を聞き終えたスザクは、頭が真っ白になった。
181:POPPO
09/04/12 23:05:06 hpyCqAUX
トウキョウ租界外部東北部。
遠くからナイトメアのランドスピナーと銃声が絶え間なく鳴り響いていた。
戦争は既に始まっている。
私は痛む体を押さえながら、隠れ家に向かっていた。
擦り傷を覆っていた包帯は、汗で濡れて気持ち悪い。
体中湿布を貼った状態で、制服の下は誰にも見られたくない。太ももにも包帯が巻かれてて、今の外見でも痛々しいのに…
私は頭に巻かれている包帯に手を当てた。羽織っている桃色のカーディガンを片手で押さえる。
パンパンに張った足を引きずりながら、私は歩いた。
あともう少しで着く。
もうアパートは目の前に迫っていた。痛みを堪えながら、裸足で小走りに走っていた。
そして、角を曲がった時だった。
私は息を呑んだ。
目の前に、薄汚い服を着た四人の男がいた。
私の足音に気づいて、四人とも振り返った。その男たちの手には何かしらの武器らしきものを持っていた。
曲がった鉄パイプや木刀、切れ味が悪そうなナイフ…
彼らの目つきが下品に歪む。
その目つきがとても不快だった。
「あはっ♪女の子か。それも上玉だなぁ」
「ブリキ野郎っ!…見てるだけでも腹が立つ…」
「怪我してるみたいだけど…さっさとやっちまおうぜ」
よく見ると、鉄パイプに血がこびりついていた。
私の背筋に怖気が走った。
(―――――っ!!)
無意識に左目を押さえて、再び気付いた。
私は『王の力(ギアス)』を失った―――
体と共に頭が急激に冷めた。
思考力を停止させないために場を逃れる方法を考えるが、策が思いつかない。
後ずさるが、体中に痛みが走り、思うように動かなかった。
今の私では、逃げ切ることも…
こんな奴ら、ギアスがあれば何も恐れることは無いのにっ!
…なんで、何でこんなことばっかりなの?
私が抵抗する素振りを見せない為か、男たちの表情がさらに歪んだ。
私は地面にへたり込んだ。
「へぇ…結構可愛いじゃん。ただ殺すだけにはもったいないなぁ」
「…俺は、ブリキ野郎は好かん。勝手にやってろ」
「オッケイ。んじゃ…」
欲情した男たちの目つきが酷く勘に触る。
泥に汚れた手が、私の手を掴んだ。
振り払おうとすると、強い力が私の腕にこもった。そして、もう一人の男が私の肩を掴んだときだった。
その時、私の脳裏に悪夢がフラッシュバックした。
『盤上の騎士』様が私の手を掴み、首筋に舌を這いずった悪夢を――
「…ひっ!!」
全身が凍りつくような拒絶反応が起こった。
手が無意識に震えだす
男たちの吐息が聞こえると共に、強烈な口臭が鼻につく。
182:創る名無しに見る名無し
09/04/12 23:19:12 vGt5dpi0
支援
183:創る名無しに見る名無し
09/04/12 23:32:28 9c2+WI5L
猿か?
184:創る名無しに見る名無し
09/04/12 23:48:02 F4kR2/pM
しえん
185:POPPO
09/04/12 23:52:47 hpyCqAUX
血と泥で汚れた手…
それは――――私も、同じ…
ゼロを殺すためにイレブンを騙し、陥れ、殺した。
一人、二人ではない。何百、何千の命がこの両手に染み付いていた。
そして、私のたいせつな親友の命も、この手を赤く染める血に混じっている。
私の白い肌に泥を血がこびりついた。
それを死人のような目つきで、私は見ていた。
私は、彼らを『汚らわしい』と、言えるの―――――?
全身から力が抜ける。
男たちの生暖かい手の温度が、私の肌に直に伝わってきた。
氷のナイフが心臓を突き刺したような怖気は止まらないが、私はなすがままに男たちの行為を受け入れていた。
(私の罪が、こんなことで少しでも償えるなら…私は)
ふいに、涙がこぼれる。
こんなところで、私の貞操が散らされることではない。
罪の意識に心を殺されていて、一歩も前に踏み出せない自分の弱さにだ。
それでも、もう一人の冷徹な自分がささやく。
男たちを余計に刺激して、怪我を負ってしまってはいけない。
時間は押しているが、私が犯された後でも、怪我が無ければ自分の目的は達することは出来る。
私は、自分の部屋にある目的物の場所を立体的にシュミレートしていた。
(私の部屋には、ゼロの仮面が……)
186:POPPO
09/04/12 23:55:16 hpyCqAUX
パンッ!
地面に一発の銃弾が飛んだ。
「何をやってるんですか!貴方たちは!」
女性の声が暗闇に響いた。
その声が、私の耳に鋭く突き刺さる。
男たちは私の服に触れていた手を止め、銃声に驚きながら、その声の元に目を向けた。
そこには、一見、少女にも見える黒いジャケットを羽織った小柄な女性がいた。
耳には通信機のような機械を取り付けていて、右手には拳銃が握られていた。
一人の男が声を発する。
「く、黒の騎士団?」
「そんな少女に襲い掛かるなんて…日本人として恥ずかしくないんですか!」
「こ、こいつはブリタニア人だぞ!」
「やめなさい!あなた達は野蛮なブリタニア人と一緒ですか!?民間人への危害は、黒の騎士団が許しません!」
黒の騎士団の女性団員は大声で警告し、ピストルを彼らに突き付けた。
男たちは大きく舌打ちをした。
「……ちッ!」
そして、私の襟元を強引に掴むと、
「いだっ!」
私を地面に叩きつけ、私の顔につばを吐いて去っていった。
耳元に砂利を踏みしめる音が小走りに近づいてきた。
頬に付いた、透明な液を私は右手で触った。
手をかざして見るが、暗くてよく見えない。ただ、生温かい粘着性だけが手に残っている。
(……気持ち悪い)
そして明かりと共に、視界いっぱいに少女の顔が広がった。
「大丈夫ですか!?」
大きな声が鼓膜を震わせる。
少しうるさかった。
「………ええ」
私は無表情で返事をした。
背中に手がまわされ、ゆっくりと上半身を起こしてくれた。
ブリタニア人であるにもかかわらず、このイレブンは私を守ってくれた。
(…私は、たくさんのイレブンを殺したのに……)
彼女の行為に感謝しながらも、私は心の中で呟いた。
複雑な感情が、私のこころに渦巻く。
そんな私の心情も知らず、イレブンの女の声は私の耳にとどいていた。
「ここ一帯は戦闘区域です。あなた、ブリタニア人でしょ?なら早くトウキョウ租界に戻りなさい。黒の騎士団が……あれ?」
ふと、彼女の言葉が止まる。
その後、今度は私の顔をじろじろと見てきた。
彼女の視線に心地悪さを感じた私は、恐る恐る口をひらいた。
「………あの、私の顔に、何かついてます?」
わたしの言葉を無視して彼女は私の顔を見続けた。そして、目を見開いたと思ったら、素っ頓狂な声を上げた。
「あっ!…貴女、もしかして!」
「!貴女は、あの時の…」
小柄な体に青に近い黒髪、そして幼さを残す容姿と黄色の瞳。
オペレート用の小型通信機と、黒の騎士団の服を身に纏っているが、私は見覚えがあった。
幼い容姿に合った声が私の耳に届いた。
「エルネスタ・ラウディス様?」
そう、かつてあのカジノで私とやりとりをしたイレブンのバニーガール―――――双葉綾芽が、リリーシャ・ゴットバルトの顔を覗き込んでいた。
187:POPPO
09/04/12 23:58:53 hpyCqAUX
申し訳ありません。
185、186を少し修正したものを投下します。
ダブり、すいません。
188:POPPO
09/04/12 23:59:58 hpyCqAUX
だが、彼らの薄汚い手を見た瞬間、私の思考は逆転した。
血と泥で汚れた手…
それは――――私も、同じ…
ゼロを殺すためにイレブンを騙し、陥れ、殺した。
一人、二人ではない。何百、何千の命がこの両手に染み付いていた。
そして、私のたいせつな親友の命も、この手を赤く染める血に混じっている。
私の白い肌に泥を血がこびりついた。
それを死人のような目つきで、私は見ていた。
私は、彼らを『汚らわしい』と、言えるの―――――?
全身から力が抜ける。
男たちの生暖かい手の温度が、私の肌に直に伝わってきた。
氷のナイフが心臓を突き刺したような怖気は止まらないが、私はなすがままに男たちの行為を受け入れていた。
(私の罪が、こんなことで少しでも償えるなら…私は)
ふいに、涙がこぼれる。
こんなところで、私の貞操が散らされることではない。
罪の意識に心を殺されていて、一歩も前に踏み出せない自分の弱さにだ。
それでも、もう一人の冷徹な自分がささやく。
男たちを余計に刺激して、怪我を負ってしまってはいけない。
時間は押しているが、私が犯された後でも、怪我が無ければ自分の目的は達することは出来る。
私は、自分の部屋にある目的物の場所を立体的にシュミレートしていた。
(私の部屋には、ゼロの仮面が……)
189:POPPO
09/04/13 00:01:03 hpyCqAUX
パンッ!
地面に一発の銃弾が飛んだ。
「何をやってるんですか!貴方たちは!」
女性の声が暗闇に響いた。
その声が、私の耳に鋭く突き刺さる。
男たちは私の服に触れていた手を止め、銃声に驚きながら、その声の元に目を向けた。
そこには、一見、少女にも見える黒いジャケットを羽織った小柄な女性がいた。
耳には通信機のような機械を取り付けていて、右手には拳銃が握られていた。
一人の男が声を発する。
「く、黒の騎士団?」
「そんな少女に襲い掛かるなんて…日本人として恥ずかしくないんですか!」
「こ、こいつはブリタニア人だぞ!」
「やめなさい!あなた達は野蛮なブリタニア人と一緒ですか!?民間人への危害は、黒の騎士団が許しません!」
黒の騎士団の女性団員は大声で警告し、ピストルを彼らに突き付けた。
男たちは大きく舌打ちをした。
「……ちッ!」
そして、私の襟元を強引に掴むと、
「いだっ!」
私を地面に叩きつけ、私の顔につばを吐いて去っていった。
耳元に砂利を踏みしめる音が小走りに近づいてきた。
頬に付いた、透明な液を私は右手で触った。
手をかざして見るが、暗くてよく見えない。ただ、生温かい粘着性だけが手に残っている。
(……気持ち悪い)
そして明かりと共に、視界いっぱいに少女の顔が広がった。
「大丈夫ですか!?」
大きな声が鼓膜を震わせる。
少しうるさかった。
「………ええ」
私は無表情で返事をした。
背中に手がまわされ、ゆっくりと上半身を起こしてくれた。
ブリタニア人であるにもかかわらず、このイレブンは私を守ってくれた。
(…私は、たくさんのイレブンを殺したのに……)
彼女の行為に感謝しながらも、私は心の中で呟いた。
複雑な感情が、私のこころに渦巻く。
そんな私の心情も知らず、イレブンの女の声は私の耳にとどいていた。
「ここ一帯は戦闘区域です。あなた、ブリタニア人でしょ?なら早くトウキョウ租界に戻りなさい。黒の騎士団が……あれ?」
ふと、彼女の言葉が止まる。
その後、今度は私の顔をじろじろと見てきた。
彼女の視線に心地悪さを感じた私は、恐る恐る口をひらいた。
「………あの、私の顔に、何かついてます?」
わたしの言葉を無視して彼女は私の顔を見続けた。そして、目を見開いたと思ったら、素っ頓狂な声を上げた。
「あっ!…貴女、もしかして!」
「!貴女は、あの時の…」
小柄な体に青に近い黒髪、そして幼さを残す容姿と黄色の瞳。
オペレート用の小型通信機と、黒の騎士団の服を身に纏っているが、私は見覚えがあった。
幼い容姿に合った声が私の耳に届いた。
「……エルネスタ・ラウディス様?」
そう、かつてあのカジノで私とやりとりをしたイレブンのバニーガール―――――双葉綾芽が、リリーシャ・ゴットバルトの顔を覗き込んでいた。
190:創る名無しに見る名無し
09/04/13 00:22:23 BGPCZHQa
支援、猿か?
191:創る名無しに見る名無し
09/04/13 00:46:21 LBYTlpQ6
猿かな?支援
192:POPPO
09/04/13 01:03:39 dJcPdQ9e
申し訳ありません。猿を食らってしまいました。その上、致命的なストーリーのミスを発見してまったので修正していました。
支援をしてくださった皆さん、ありがとうございます。
ご迷惑をかけて申し訳ありません。
コードギアス LOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」
TURN00 「終わる日常」(後編5)
投下終了です。
173のジェレミアのセリフ。
攻撃態勢を入れ!→攻撃態勢に入れ!
ID:msyLJnwEさん。
ありがとうございます!
誤 なんとか巻いた
正 なんとか撒いた
ID:YVta+Lb6さん。
ありがとうございます!
48の『…さぁって、コーネリア様の手見上げにゼロの首を持っていくとするか』
↓
手土産
誤字修正お願いします…
「終わる日常」最終話は3日以内に投下します。
193:創る名無しに見る名無し
09/04/13 06:32:31 WMlhyBYb
GJ!朝からフルコースを食べた気分だ!
194:創る名無しに見る名無し
09/04/13 08:07:33 +I6ryacd
POPPO卿乙です。次回で最終回!?
195:創る名無しに見る名無し
09/04/13 08:34:35 CdoybA2w
>>192
POPPO卿、GJでした!
息つく暇もない怒濤の展開、読んでいてドキワクでした。
蒼天が斬られる!? と思ったら消えて敵を後ろから攻撃。
量子化!? いや、トラン○ム!?
と、普通に別作品の設定が頭を過りました。
出力100%、聖天八極とかアルビオンを考えると結構妥当かな、と思いました。
それにしても、ライの頭に浮かんだ記憶は……
リリーシャの今後にも期待です。
長い時間をかけて調整されたであろうジェレミア卿、言語はキチンとしていました。
その思考、目的ははたして……
TURN00終わる日常、は次回で完結。
しかし00ということは――期待しています。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
196:創る名無しに見る名無し
09/04/13 09:40:18 2V8aZ7H8
ただこの言葉を送らせてください。
POPPO卿、GJ!
197:創る名無しに見る名無し
09/04/13 18:28:34 fZ+PPXKA
>>192
GJ!…しかし次で終わりか。感慨深いものものがありますね。
ラストがどんな展開になるのかwktkしつつ、全力でお待ちいたします!
198:創る名無しに見る名無し
09/04/13 19:21:24 BGPCZHQa
GJです!
戦闘描写がカッコイイですね
次で最終回ですか
落とし所が楽しみです
次回投下お待ちしてます
後、投下間隔は均一にされた方が良いと思います
199:酸性雨 ◆6yugqI8E3U
09/04/13 22:01:53 Ml6FT87t
こんにちわ。
今回も読みきりです。
気軽に読んでいただければ幸いです。
タイトル 告白
カップリング ライ×ミレイ
ジャンル ラブコメ?
では始めます。
200:酸性雨 ◆6yugqI8E3U
09/04/13 22:04:08 Ml6FT87t
告白
「はぁ~……」
思わず大きな溜息が出てしまう。
無意識なだけに自分自身が少し驚く。
だからだろうか。
さっきからリヴァルがこっちをちょろちょろと気にして見ていた。
「ん? どうしたんだい、リヴァル……」
さすがに声をかけるべきだろう。
そう思ってこっちから声をかける。
「あ…、あはははは……。いやぁ、さっきから溜息ばかりだし、どうしたんだろうって思ってさ」
リヴァルが苦笑しながら答えた。
「えっ? そんなに溜息してたか?」
思わずそういうと、今度は思いっきりリヴァルが呆れた表情で溜息をついた。
「無自覚すぎるのも駄目だと思うぜ、ライ」
うーーーん。
さっきの大きいのは、自覚したけど、そんなに溜息ばかりだったろうか。
少し考えてみると……ああ、多いな。
納得してしまう。
「どうしたんだよ…。俺でよければ相談に乗るぜ」
僕の顔を覗き込むようにリヴァルが言う。
それは多分、友人して心配してくれたからに違いない。
だが、その浮かぶ笑顔の中に邪気が混じっているような気がするのは気のせいだろうか……。
いかん、いかん……。
最近は、ミレイさんにいいように遊ばれてしまっているから、ついつい被害妄想的な考えが浮かび上がってくる。
友人を信用しないと駄目じゃないか。
そう思いなおし、リヴァルに笑顔を向けた。
「いや…、気にしないでくれ……。大した事……」
そこまで言いかけて、リヴァルの言葉がその先を言わせない。
「そんなわけあるかよ……。ここ最近、ずっとじゃないかっ」
真剣な表情になったリヴァルの顔が間近にある。
その表情に圧倒された。
「俺じゃ…たいした事出来ないと思うけどさ。相談ぐらいなら乗ってやれるぜ。俺ら友達じゃないかっ」
その言葉に胸が少し熱くなった。
いいもんだな……、友達って。
だからだったのかもしれない。
僕は、今、心の大半を占める悩みを彼に話してしまっていた。
201:酸性雨 ◆6yugqI8E3U
09/04/13 22:07:13 Ml6FT87t
「告白したいだってっ?」
リヴァルの大きな声に思わず唇に指を立てて、静かにというゼスチャー。
それで慌てて自らの口に手を当ててまわりを見回すリヴァル。
もちろん、僕もきょろきょろと周りを見回している。
「で……誰だよっ」
表情が完全に興味津々モードになっている。
うううっ。
言うんじゃなかったかな。
ちと後悔が頭をもたげる。
それに気が付いたのだろうか。
「まぁ、いいや……。誰にも言いにくい事ってあるからなぁ」
リヴァルが慌てて無関心を装う。
多分、聞きたいんだろうけど、その変は空気を読んだのだろうか。
リヴァルににしてはとても、いや本当に珍しいと思う。
「で…、何に悩んでいるんだ?」
その言葉に、僕はおずおずと話す。
「実は、どうすればより確実にOKがもらえるかと思って……」
その言葉にリヴァルも考え込む。
「うむー……」
納得できるのだろう。
ちなみに、確実にOkをもらえるというそんな方法があれば、彼にだって彼女の一人か二人は出来ているに違いない。
「どんな方法でも、ミレイさんだったら冗談で流されそうなんだよなぁ……」
無意識のうちに言葉が漏れる。
「なにーっ……。会長相手なのかっ」
驚愕の表情でリヴァルが固まった。
しまったーっ。
だから、言わないようにしていたのに。
彼だってミレイさんを狙っているライバルなのだ。
なんで言ったんだよ。
自分自身がなさけなくなくなってしまう。
そして、心の中で後悔が大きくなっていく。
だが、そんな僕を気にしたのだろう。
リヴァルがポンポンと肩を叩く。
「確かに、そうなってくると問題だよな」
その言葉がますます僕の中の後悔を大きくさせていく。
「でもさ、恋はライバルだけど、ライとは友人でもあるからな」
少し無理したような明るい声。
すまなくなって謝罪の言葉が口から漏れた。
「ご、ごめん……」
「なぁに気にするなって」
そういうと大きく笑う。
少し悔しそうな笑いだと僕は思った。
そして、言葉を続ける。
「正々堂々と勝負だからな、恋に関してはっ。でも……、今はライの友人の一人として相談に乗るぜ」
思わず、その言葉に泣きそうになる。
リヴァル、君って奴は。
感動して言葉にならない
そんな僕を気にせず、リヴァルは話し続ける。
「確実じゃないけど、この国のすごく好感度を与える告白の方法を教えるよ。それでやってみたらいいよ」
その言葉に、僕はますます感動してしまう。
リヴァル、今、僕の中では、君は親友に格上げされたよ。
ありがとう。
本当に、ありがとう。
僕は、そんなリヴァルに最大限の感謝を感じながら、彼の話をしっかりと聞いたのだった。
202:酸性雨 ◆6yugqI8E3U
09/04/13 22:09:29 Ml6FT87t
そして、それから2日後……。
すべての準備が揃い、僕はついに決心する。
告白しょう……。
リヴァルには申し訳ないけど、彼の言うとおり恋は戦いなのだ。
ごめん……。
心の中で何回もリヴァルに謝った後、僕は彼女の元に向かった。
そして、運良く屋上で一人佇むミレイさんを見つける。
よしっ、チャンスだ。
僕は、彼女に近づいた。
ギクシャクした動きになってしまうのは、緊張しているためだろうか。
いかん、いかんっ……。
落ち着くように自分自身に言い聞かせるが、なかなか難しい。
今度、自己暗示でも練習しようかなと思ってしまう。
いやいや、今はそれどころではない。
僕は、本気なのだ、
そして、今こそ正念場。
よしっ。
やるぞっ。
そう決心したのはいいのだが、怪訝そうなミレイさんの顔が、僕を見ている。
いかん。
ともかく話して雰囲気を作るなり、流れを作らなければ。
「や、やぁ……。いい天気だね」
まずは、きっかけを作らないと。
そう思って、軽く挨拶をする。
「そうね……って、この天気が?」
ますます怪訝そうな顔になるミレイさん。
よく考えたら、今日は、曇っている。
いかんっ……。
別の話題をっ……。
慌ててそう考えるものの、パニックになった僕の頭でいい考えが浮かぶはずもない。
ただ、告白しなきゃ…という思いだけが空回りを続けている。
だからだろうか、思わず口走ってしまっていた。
「ミレイさんに告白しなきゃいけないんだっ」
その言葉に、ドキリとなったのだろう。
驚いた表情のミレイさんが目に入る。
しまったっ。
なんてストレートな事を口走ってしまったんだよ、僕はっ。
馬鹿っ。
大馬鹿じゃないかっ。
こう、すーっと何気ない感じで話に持っていくはずだったのに。
だが、焦っても慌てても仕方ない。
僕は考え直す事にした。
そう、現状は、刻一刻と変化しているのだ。
臨機応変。
現状をうまく利用しなければ。
だが、そうは思っても、うまくいかないのが人生だったりする。
言わなきゃと思う心と迷う心がごちゃごちゃになって、心臓がパクパク言っている。
えーいっ。どうすればいいんだよ。
僕は、混乱の極致だった。
203:酸性雨 ◆6yugqI8E3U
09/04/13 22:11:21 Ml6FT87t
だが、助け舟は、ミレイさんの口から出た。
「告白って……」
そう、僕がテンパっている間に、ミレイさんの方が先に落ち着いたのだろう。
恐る恐るといった感じだが、聞いてきてくれる。
ううっ……。
ありがとう、神様。
思わず、拝みたい心境になった。
これでもう言うしかない。
こうなったら、開き直りという訳ではないのだが、心が落ち着いてくる。
「実は、ミレイさんに言わなきゃいけない事があるんだ」
ドキリとするミレイさん。
「もしかして……来週の買い物につき合わせて、荷物持ちさせてやろうとか考えていたの、バレた?」
「へ?」
「それとも、今度、女装させてルルーシュとどっちが色っぽいか競わせようと計画しているの知っているとか……」
「はぁ?」
僕のリアクションにしまったという表情のミレイさん。
多分、今、彼女の中ではすごく後悔しているに違いない。
「そうですか……。そんな事考えていたんですかっ。大変いい情報、ありがとうございます」
思わず皮肉っぽく礼の一つも言ってしまう。
また、いろいろ考えていたんですねっ。
本当に、貴方って人はっ。
そうは思ったが、それでも好きになってしまったんだよなぁ。
そんな事を考えている僕を余所にあちゃーという表情で苦笑して誤魔化そうとするミレイさん。
「じ、じゃあ、何?……」
そう言われ、僕は本来の目的を思い出す。
そうだ。
僕は、ミレイさんに告白しょうと思ったんだった。
すっかり、忘れかけていた。
何やってんだよ、僕は。
深呼吸をして、心を落ち着ける。
さっきのミレイさんの告白で、なんかすっかり緊張が抜けていい感じだ。
一瞬、もしかしたら、ガチガチの僕の事を思って言ってくれたのかもしれないって思ってしまいそうになる。
まず、絶対にありえないと思うのだが……。
だが、今はそれよりも大事な事がある。
「ミレイさんっ」
声が普段より一段と大きくなってしまうのは、仕方ないのかもしれない。
どうしてもそうなってしまうのだ。
「は、はいっ」
思わず返事をしてしまうミレイさん。
普段の姿から想像できないほど、彼女も実は緊張しているようだ。
「僕は、ミレイさんのこと……が……」
深呼吸を入れる。
落ち着け、落ち着けっ。
そして一気に言ってしまう。
「……好きなんだっ……。だから、僕と交際して欲しい」
よしっ。
言えた。
言ったぞ。
そして、すかさず用意したものを彼女の目の前に差し出す。
それは1つの封筒だった。
204:酸性雨 ◆6yugqI8E3U
09/04/13 22:13:56 Ml6FT87t
いきなりの告白に、私はドキドキしながら封筒を受け取った。
まさか、彼から告白されるなんて……。
心が激しく動悸を繰り返す。
だが、疑問があった。
告白はいいとして、この封筒は何?
ラブレターとは違うだろうし……。
疑問に思いながら、私は封筒の中身を確認した。
「にゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」
無自覚で出たとはいえ、我ながら変な声だとは思う。
だが、それほど封筒の中身は、予想外のものだった。
封筒の中にあったもの。
それは、自分の記入分はしっかり書き終わった婚姻届だった。
えーっと……これって……。
告白じゃなくてプロポーズ?
そう考えたが、彼は「付き合ってくれ」とはっきり言っていた。
だとすると……。
もしかして……。
ライの表情をすばやく観察する。
彼は、私のへんな声に驚いてきょとんとしている。
いや、唖然としているのかもしれない。
それに、まったく今の状況を把握しきれていないようだ。
それで納得した。
ああ、そういう事か……。
「この告白の方法は、誰から聞いたの?」
私は、自然を装って聞いてみる。
私の質問に、ますますきょとんとなる彼。
ああ、なんて可愛いんだろう。
ふとそんな思いが胸の奥から沸き起こる。
「えっ、リヴァルからだけど……」
そんな私の思いを知らず、母性本能をくすぐるかのような表情のまま答えるライ。
あーんっ。やっぱりかわいいっ。
でも、今は我慢だ、我慢っ。
それにしても、本当に予想通りの相手の名前が出てくるとはねぇ。
だから、私は笑いながら真実を告げる事にした。
「ライっ。貴方、リヴァルにからかわれているのよ。交際お願いするのに婚姻届なんて普通はいらないって……」
まぁ、この方法のほうが確実にゲット出来る場合もあるけど、多分、それはほんの少数だし。
リヴァルもそこまでは考えていないだろう。
「大体、交際する前にプロポーズしてどうするのよっ」
その言葉に真っ赤になるライ。
多分、やっと彼も自分が何をやったのか理解したのだろう。
「まんまと引っかかったわね。本当にしょうがないんだからっ」
私がそう言うと、ますます真っ赤になる。
それも可愛いと思ってしまう私。
「くそっ、リヴァルに文句言ってくるっ」
ついに場の雰囲気に耐えられなくなったのだろう。
そう言って彼は逃げる様に駆け出していった。
本当にもう……。
苦笑が漏れたが、それは決して嫌なものではなかった。
いや、どちらかというとほんわりとした心地よい気分だ。
そして、ますます彼のことが好きになっている自分に気が付く。
なんか、こういうのもいいかな。
そんな気持ちだった。
205:酸性雨 ◆6yugqI8E3U
09/04/13 22:17:55 Ml6FT87t
そして、彼が去った後に気が付く。
私の手元には、しっかりとライの記入済みの婚姻届が残される事に。
しばらくそれを呆然と見ていたが、いつの間にか私の頭の中にある考えが浮かんでいた。
これがあれば……合法的に、ライはあたしのもの。
そうだわ。
そうなのよね。
ふふふふっ……。
頭に浮かぶその考えに、私はゾクゾクした。
実際、彼を狙っている女性は、とても多い。
だが、これさえあれば……。
いつの間にか、私は笑い出していた。
そして、初めてリヴァルに感謝した。
リヴァル、ありがとね。
こんなにいいものが手に入るようにしてくれて。
だが、そう思ったのはほんの少しの間だけだった。
なぜなら、すぐにこれをどううまく活用するかを考え始めていたからだ。
そして、ライの受難な日々が始まった。
《おわり》
206:創る名無しに見る名無し
09/04/13 22:20:07 Ml6FT87t
以上で終了です。
書いてて、だんだん某シリーズのミレイさんに変わりそうなのを抑えて書きました。
でも、少しは染まっているかも……ww
まぁ、それでも楽しく書けたことは変わりがありませんがね。
後は、皆様も楽しめればいいのですが……。
では、また別のSSでお会いしましょう。
207:創る名無しに見る名無し
09/04/13 22:28:08 h2ZcqczO
GJ!リヴァル、哀れだ……。そして、ラストのミレイさんがどうしても黒く見えてしまうw
ライに待ち構える受難、どんなんだろう。
次回投下をお待ちしています。
208:創る名無しに見る名無し
09/04/13 22:32:24 CdoybA2w
>>206
あしっど・れいん卿、GJでした!
リヴァル涙目w
策士、策に溺れる……いや、生兵法は怪我の元。
ライが記入済みの婚姻届……
いや、読み切りなんだ、気にするほどではない。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
209:創る名無しに見る名無し
09/04/14 01:12:17 ebMJk44w
URLリンク(www.tanomi.com)
ロスカラ2を作って欲しいならみんなもこっちに自分の思いをぶちまけた方が早い。
やり方分からない人いるから教えて欲しい。
携帯からもパソコンからも出来るのか?
スレ汚しスマソ。
まだまだ応援求む。
今現在15人。
210:創る名無しに見る名無し
09/04/14 01:44:13 MkxT1ncg
>>206
ライ…早まったな…w
211:創る名無しに見る名無し
09/04/14 02:28:47 zpBWFabA
>205
さわやかだなーとほこほこしていたら
最後の1レスで突き落とされました。うわあん恐いよ!
>209
いきなり他社が参入できるものでもないだろうし
普通にバンナムとかクラフト&マイスターに
要望や応援のメール送る方がいいんじゃないか?
212:創る名無しに見る名無し
09/04/14 20:45:17 lPJBYB4d
無い物ねだりをしても無駄だ
与えられているカードを駆使して勝利を掴むしかない
ロスカラ2が実現出来る可能性があるのなら、考えるより即行動!
プロ○○ートの兄貴も言っていただろう?
まあ、行動を起こした所為でライはミレイ会長に捕まってしまったな……
酸性雨さんGJです
213:創る名無しに見る名無し
09/04/14 22:25:38 Ju3HnwsS
>>206
ライの署名入りの婚姻届 + あしっど・れいん卿
どう見ても血みどろデスマッチ確定です。本当にありがとうございました。
214:創る名無しに見る名無し
09/04/14 22:38:53 IcnK2Xs7
>血みどろデスマッチ確定です
…この人の場合はマジでシャレにならん展開がありそうだから油断ならないw
215:あしっど・れいん ◆M21AkfQGck
09/04/14 23:02:22 0X2DCaYT
こんばんわ。
血みどろデスマッチはお任せ&大好きなSS職人でございますwww
ただ、今回は、残念ながら、そっち系ではありません。
もうしわけございません。
そっちはそっちで、じっくりと煮込んでおりますので、お楽しみに……。
今回は、2~3回で完結予定の短編のお話です。
タイトル 逃避行 上
カップリング 咲世子×ライ
ジャンル シリアス
では、始めます。
216:あしっど・れいん ◆M21AkfQGck
09/04/14 23:03:44 0X2DCaYT
逃避行 上
僕は、一人、瓦礫の影で蹲っていた。
血が止まらず、頭がくらくらする。
だが、止血する暇はない。
この場所もすぐに連中に見つかるだろう。
くっ。
ガクガクと震える足を何度も叩き、ふらつきながらも移動する。
僕は、こんなところで死ぬことも捕まるわけにも行かないんだ。
その思いだけが今の僕の支えだった。
しかし、出血によって意識が朦朧となっていく。
やばい…。
そう思った瞬間、身体の力が抜けてその場に崩れるように倒れた。
あははは…。
こんなところで死ぬのかっ、僕は…。
走馬灯なのだろうか。
遠くから人の声がするような気がする。
そして、ぼんやりとした目が咲世子さんの顔を映し出す。
ああ、咲世子さんっ…。
それは虚像ともつかないものではあったが、それでも構わなかった。
ただ、僕の思いを伝えたかった。
なぜなら、最後に悔いは残したくなかったから。
「あ、愛してます、咲世子さんっ」
たどたどしい言葉で何とかそれだけを言葉として吐き出す。
そして、僕の意識は暗闇の中に沈みこんでいった。
「はっ…」
僕は目が覚め、跳ね起きる。
身体中に激痛が走るものの、それは僕が生きている証だった。
「僕は……生きているのかっ」
「ええ、生きていますよ、ライ様」
僕を覗き込む咲世子さんのほっとした表情。
「そっか……」
安堵と共に身体中の力が抜けた。
だが、それと同時に現状を知りたいという欲求が湧いてくる。
本当に、現金なものだ。
さっきまで死にかけていたのに……。
「どうなってます?」
それだけで何を聞きたいのかわかったのだろう。
普段見せないような悔しそうな表情が咲世子さんの顔に一瞬浮かぶ。
それだけで判ってしまった。
「そっか……」
沈黙で答える咲世子さん。
そう、それが答えなのだ。
そして、ゆっくりと意識が遠くなっていく。
「ゆっくりおやすみください、ライ様」
そんな中、僕をいたわる咲世子さんの声が聞こえていた。
217:あしっど・れいん ◆M21AkfQGck
09/04/14 23:04:57 0X2DCaYT
あれからどれくらいたったのだろうか……。
ふと気が付くと周りには誰もいなかった。
だが、隣の部屋からだろうか、声がするのがわかる。
小さな声だが静まり返った中では聞こうとしなくても聞こえてしまう。
どうやら、電話か無線の類のようだ。
「復唱できません。彼を見捨てるなんて……」
荒々しいまでに興奮した咲世子さんの声が聞こえる。
「わかっています。ですが、彼はこれからの騎士団に必要な方なんです。ですから、あと2日待ってください」
何度も相手を説得しょうと咲世子さんは言い続けている。
こんな咲世子さんは、初めてだ……。
ぼんやりとした思考の中で、その声を聞きながら考えていた。
僕がいると彼女に迷惑がかかる。
いくらなんでもそれだけは嫌だった。
好きな相手だからこそ、重荷になりたくなかった。
「っ……」
まだ痛みの走る身体を無理やり布団から起こすと部屋を出ようとした。
ずりっずりっ……。
足を引きずりながらもなんとかドアのところまでたどり着く。
そして、ドアに手をかけた瞬間だった。
バランスを失って、僕の身体は簡単にひっくり返った。
ドタンっ……。
派手な音が響き、僕の身体中に激痛が走った。
「ぐっ……」
それをなんとか歯を食いしばって耐え、立ち上がろうとした瞬間にドアが開いて咲世子さんが飛び込んできた。
「駄目ですっ、ライ様っ。まだ動いていい身体じゃありません」
彼女は、必死になって僕を布団に戻そうとする。
だが、僕がいたら足手まといになる。
その思いが僕を突き動かす。
「僕はっ……」
力が入らない身体を何とか動かし、無理やりにでも出ようとした。
だが、そんな僕の目に入ったのは、泣いてしがみ付く咲世子さんの姿だった。
「お願いです……ライ様。お願いしますっ……」
その泣き顔と言葉が、僕の心に突き刺さる。
身体中から力が抜けていく。
泣かせてしまった。
その事実だけで僕は愕然として何も出来なくなっていた。
218:あしっど・れいん ◆M21AkfQGck
09/04/14 23:06:25 0X2DCaYT
再び僕を布団に寝かしつけると、まだ目元が赤いまま彼女は聞いてきた。
「なんで、あんな事をなさったのですか?」
僕は顔を背けた。
彼女の顔が見れなかった。
好きな相手を泣かしてしまったという事実から逃げたかった。
沈黙が周りを包み込んでいく。
その沈黙があまりにも重い。
だが、今の僕には何も出来ない。
そのジレンマがますます僕を苦しめていく。
その時だった。
咲世子さんの細い指が僕の髪を撫でたのは……。
ふわりっ……。
まさにそんな感じだ。
そして、僕の髪を撫でながら咲世子さんは話し始めた。
「ライ様、私は、ライ様がどういう考えであんな行動を取ったのかはわかりませんし、深く追求するつもりもございません。ただ……」
そこで咲世子さんの言葉が途切れる。
言うべきか言わざるべきか。
迷っているという感じだった。
でも、彼女は決意したのだろう。
ゆっくりと続けた。
「ライ様が…死んでもらっては……こ、困るのです。だって…、だって……」
咲世子さんの声が段々と落ち着きがなくなり、小さくなっていく。
僕は我慢し切れなくて、背けていた顔を彼女に向ける。
そして、目に入ったものは、涙を流しながら喋る咲世子さんの姿だった。
目と目が合い、彼女の表情がかすかに動く。
そう微笑みの形に……。
そして、はっきりと言葉を紡ぎ出す。
自分のありったけの思いをのせて……。
「私も、ライ様の事……好きですもの」
その言葉に、僕の心の中のわだかまりが解けていくような感じだった。
219:あしっど・れいん ◆M21AkfQGck
09/04/14 23:08:36 0X2DCaYT
その夜、彼は熱を出した。
看病はしているものの、2日経った今でも熱が下がる気配はない。
無理がたたったのだろうか。
ともかく、何とかしなくてはいけない。
だが、逃走中の我々にちゃんとした医療品があるわけがない。
また、安全地帯ではない以上、暖をとるわけにもいかない。
どうすれば……。
私は、ガタガタと震える彼を見つめているしか方法がないのだろうか。
その時、混濁した意識の彼の瞳が私を捉える。
一瞬ではあったが、ほっとした表情になる彼。
それは、傍にいるだけで安らげるという彼の優しい心が見せたものだろうか。
それで決心がついた。
私は、彼の服を脱がせると、自分の服も脱ぎ捨てる。
そして、震える彼を抱き寄せると二人一緒に布団に包まった。
冷え切った彼の身体が無意識のうちに私の身体をしっかりと抱きしめる。
それは、温かさを求める無意識の行為とわかってはいた。
だが、私は、女としての幸福感に包まれている。
好きな殿方に抱きしめられるというのは、ここまで嬉しいものなのか……。
ふとそんな考えが頭に浮かぶ。
いけない。
何を考えているの。
これは看病なんだから。
そう自分に一生懸命言い聞かせた。
だが、ドキドキが止まらない。
幸福感と興奮が身体中を駆け巡っている。
だんだんと私自身の身体が熱を帯びていく。
多分、今の私は、真っ赤になっているだろう。
そして、私は気付いてしまう。
彼の唇が目の前にある事に。
心臓の動悸がより激しくなる。
意識しだすと、ますます唇から目が離せなった。
苦しそうな荒い息。
時折、唇を舐める舌の色っぽさ。
「……咲世子さん……」
彼の唇が、私の名前を呼ぶ。
その微かな声。
ゾクゾクしたものが背中を走った。
そして、気が付くとその唇に自分の唇を重ね合わせている私がそこにいた。
220:創る名無しに見る名無し
09/04/14 23:10:58 xBy+wCGU
支援
221:あしっど・れいん ◆M21AkfQGck
09/04/14 23:11:00 0X2DCaYT
僕は身体に押し付けられる温かさと柔らかな臭いに包まれて目が覚めた。
焦点のあっていない目が機能を取り戻し、ぼんやりとした意識がはっきりとしていく。
それでも、僕は現状を理解できなかった。
なぜなら、僕は裸で、その僕に抱きつくような感じで咲世子さんも眠っていたからだ。
それも裸で……。
「うーんっ……」
咲世子さんの身体が少し動く。
布団がめくれ、咲世子さんのお椀型の胸が露になる。
ドキンっ。
いけないと思いつつ、それから目が離せない。
大きすぎす、それでいて小さすぎない。
ちようど手に収まるような感じ。
そんな事を考えてしまう。
これは、男の悲しい性なのだろうか。
そして、気が付くと、僕は男として目覚めていた。
ごくりっ……。
唾を飲み込む音が部屋に響くように感じる。
僕の気配の変化に気が付いたのだろうか。
あるいはたまたま目が覚めたのか。
うっすらと咲世子さんの目が開き、僕を捕らえた。
しばしの沈黙がその場を支配する。
どれだけ時間がたったのだろう。
何時間も止まっていたかのように感じる。
だが、もしかしたらほんの数秒なのかもしれない。
どちらにしても、僕にとってはとても長く、そして短い時間だった。
だが、その時間も終わりを告げる。
微笑みながら咲世子さんが囁く事によって。
その声は、とても小さかったが、はっきりと聞こえた。
「ライ様の好きなようになさってください」
一瞬、思考が停止したかのような衝撃を受け、そして、その言葉に、僕は理性を捨て去った。
222:創る名無しに見る名無し
09/04/14 23:11:13 Ju3HnwsS
支援
223:あしっど・れいん ◆M21AkfQGck
09/04/14 23:12:21 0X2DCaYT
行為が終わり、互いに脱ぎ捨てていた服を身につける。
ただ、布ずれの音だけが響く。
「ごめん……」
僕はそれだけしか言えなかった。
よく考えれば、あの行為は熱を出した僕を暖める為にした事だとわかる。
だが、それなのに僕は……。
「いいえ。誘ったのは私ですから……」
「でもっ……」
言いかけた言葉は、僕の唇に重ねあわされた咲世子さんの唇で途切れた。
「私も、ライ様が欲しくなってしまっていましたから……」
真っ赤になってそう告白する咲世子さんはとても可愛かった。
思わず手を伸ばして、彼女の手を強く握り締めた。
その瞬間、身体に痛みが走る。
「つっ……」
そうだ。
そうだった。
愛しい人との行為に夢中になっていたため、自分の身体の状態を忘れかけていた。
それだけ、興奮し、夢中だったのだろうか。
「だ、大丈夫ですか?ライ様」
慌てた様子の咲世子さん。
多分、彼女も僕と同じで忘れていたのかもしれなかった。
でも、それはそれで嬉しいものだ。
それだけ、夢中で僕を求めてくれたのだから……。
だから、僕は微笑んだ。
ほっとしたような表情の咲世子さん。
彼女のその顔を見ながら、僕は気が付いた。
僕は手に入れることが出来たのだ。
絶対に守りたいものを……。
そして、もっとも大切なものを……。
それがすごく嬉しかった。
《続く》
224:創る名無しに見る名無し
09/04/14 23:13:36 0X2DCaYT
以上で 上 終了です。
さて、実は、まだラスト決めかねていたりします。
最初は、この手の話によくある結末を考えていたんだけどなぁ……。
書いていると気分変わってきたんですよ。
だから迷ってたりします。
もし、よかったら、皆さんの意見とかもあったりすると助かります。
まぁ、気軽にでもいいんで書き込んでいただくとうれしいです。
では、また別のSSで会いましょう。
225:創る名無しに見る名無し
09/04/14 23:30:00 xBy+wCGU
>>224
あしっど・れいん卿、GJでした!
キングクリムゾン! ベットシーンを吹っ飛ばす!
こう、想い合って結ばれるっていいよね。
……だが、あしっど卿の作品という不安要素がある。
ハッピーエンドか、バッドエンドか、はたまた……
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
226:創る名無しに見る名無し
09/04/15 00:24:56 SyBgGNnj
GJ!
227:創る名無しに見る名無し
09/04/15 05:41:57 yq6VHYrz
>>224
乙でした!
続くんですか。ひっくり返されるのが恐いような期待してしまうような。
あしっどさんの書く女性は手で触れられそうでどきどきします。
続編、咲世子さんエンドがあるといいなあ。
というか続編があるといいなあ。
228:エノコロ草 ◆svacoLr1WE
09/04/15 05:52:36 yq6VHYrz
画像掲示板投下報告です。
・・・・・・・
「ライとノネット」
ドレス姿のノネットさんをエスコートするライ、
が描きたかったはずなのですが
少し違ったものが出来てしまったような気もします。
>>4の画像掲示板よりご覧いただければ幸いです。
・・・・・・・
229:創る名無しに見る名無し
09/04/15 08:33:11 2RLRruxy
>行為が終わり、互いに脱ぎ捨てていた服を身につける。
咲世子さんが魅力的なのは同意だが、ますます傷に障るんじゃあ…w
230:POPPO
09/04/15 20:07:47 dk1bxdlD
POPPOです。
今から
コードギアス LOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」
TURN00 「終わる日常」(後編6)
を投下します。
支援は必要ありません。
231:POPPO
09/04/15 20:10:43 dk1bxdlD
コードギアス LOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」
TURN00 「終わる日常」(後編6)
シズオカ第1基地。黒の騎士団総司令部『イザナミ』。
ナイトメアフレームの整備専門の格納庫が複数あり、最も南方にある格納庫に前線で故障したナイトメアが集められていた。
そこにガラクタ同然となった『蒼天』を着陸させた僕は、周囲に集まってきた団員たちの声援を聞きながら、格納庫と繋がった多目的ルームに足を運んだ。
僕が多目的ルームに入った瞬間、カレンに抱きつかれた。
同時にわぁっ、と拍手が巻き起こった。
僕がナイトオブツーに勝ったという朗報は、瞬く間に広がっていたらしい。
カレンの笑顔がすぐ側にあって、僕を褒め称える声を聞いているうちに、何かくすぐったい気持ちになった。
雰囲気に乗って、僕はカレンにキスをした。
カレンは顔を赤くなって、唇を手で押さえていた。
その瞬間、黄色い声が上がったのは言うまでも無いだろう。
だが、複雑な表情で、肩を叩く黒髪の女性団員を見て、僕の気持ちはすぐに冷めた。
その場をすぐに立ち去った僕は奥にある情報室へと案内された。
部屋中に張り巡らされたモニターの光だけが僕たちを照らすような、薄暗い空間だった。
僕はそこで予想外の知らせを聞いた。
「ゼロが消えた!?」
「はい。指揮権を藤堂弐番隊長に譲渡したのですが、ブリタニア軍に拿捕されたらしく、指揮系統に乱れが生じています」
声を震わせながら、戦況を報告する連絡員は僕に告げていた。
僕は連絡員の声が遠くに聞こえた。
ゼロが戦線離脱?
ルルーシュ、君は何をやってるんだ!?
よほどのことが無い限り、彼はそのような行動に出ない。それは僕が良く知っている。
それほど重大なことなら、僕に連絡してくれてもよかったはずだ。
…僕に伝える暇も無いほどのことが起こったのか?
それは一体……
一旦思考を停止して、僕は連絡員を見た。
僕が考え込んでいるのを見て、報告を止めていたみたいだ。
「…戦況はどうなっている?」
「〇二三七、突如として100機以上の新型ナイトメアフレームが参戦し、状況は劣勢。損耗率は35%を超えていると報告が…」
35パーセント。
撤退してもおかしくない損耗率だ。
事実、半数の部隊は撤退を開始しているらしい。それに四聖剣の拿捕、加えて総司令ゼロの戦線離脱。
その報告が示すことに気付き、僕は凍りついた。
「…トウキョウ租界陥落作戦は、失敗したのか?」
232:POPPO
09/04/15 20:12:33 dk1bxdlD
「………」
彼女は何も言わなかった。他の連絡員も拳を固く握り締め、口を噤んでいる。
痛いほど、彼らの気持ちが理解できた。
壁一枚向こう側では、シズオカ防衛作戦の成功で団員たちは浮き足立っていた。
国家建国を目指して四苦八苦を共にしてきた仲間たちに、このような報告を口にするのは辛かった。
つかの間の勝利でも、皆の笑顔を曇らせたくはない。
何故なら、トウキョウ租界陥落作戦の失敗は、黒の騎士団の終わりを意味しているのだから。
「…なぜ、紅月隊長には伝えなかった?」
「それは…」
「支持したのは私です。副指令」
黒髪の女性を制したのは、目つきが鋭い20代後半の男だった。
僕を見て、深く頭を下げる。
「お初にお目にかかります。情報部担当の的場と申します」
手短に挨拶を終えた後、彼はすぐに言葉を続けた。
幹部の僕に媚びる素振りすら見せずに、はきはきと物事を述べ、任務に忠実な姿勢に僕は好印象を受けた。
「紅月隊長は総司令ゼロを崇拝に近い忠誠を誓っているとお聞きしています。そのことを鑑みれば、この報告に衝撃を受けた紅月隊長に、適切な判断は困難だと断定しました」
…ぐぅの字も出なかった。
僕が彼と同じ立場なら、同様の判断を下していたと思う。
「…このことを知っているのは?」
「この基地では副指令と我々だけです。他の支部の情報部も情報を得ていますが、副指令の判断を待つという結論に達しました」
「つまり、実質上のトップは僕になったからか?」
「…そうです。ゼロ無き今、黒の騎士団の全指揮権は貴方にあります」
この瞬間、僕の肩に200万人を超える団員の命がのしかかった。
…ルルーシュ。
君は、いつもこんな重みを背負っていたのか?
僕は君の力になれればと思っていたけど……僕は、君の十分の一も肩代わりしてやれなかったんだね。
砂漠の大地にただ一人取り残されたような気持ちになった。
でも、同時になつかしい気持ちにもなった。
かつて王だった頃に味わった孤独感が、僕の心に染み渡る。
自分の一挙一動が人々の命を左右する、重圧の王冠を戴いていた日々が思い起こされた。
兄を殺し、父を殺した。
血塗れた王冠を手にした僕は、愛する妹と母の幸せだけを願って、杖を振るった。
短い間だったが、幸せな日々だった。
だが、血塗られた運命は、血塗られた結末を迎えるだけだった。
そんなことは、かつての僕も分かっていたはずなのに…
ゆっくりと目を開けた。
団員の視線が僕に集まっている。
皆が僕の指示を待っていた。
その光景が、かつての家臣たちの姿と被った。
深呼吸を繰り返して、僕は告げた。
「…ゼロは帰ってくる。これは僕が断言しよう……その間は僕が指揮を取る。総司令代行として命じる。プラン甲を―」
233:POPPO
09/04/15 20:14:12 dk1bxdlD
タァーン…
一発の銃声が鳴り響いた。
「!?」
僕が振り返ると、この情報部の部屋に連れてきた女性の団員がいた。
目を見開き、口から血を流し始めた。
黒髪を揺らせながら、体が崩れ落ちる。
ドアの小さな穴から光が差し込んでいた。
タタタッ、タタタタタタン!
団員たちの悲鳴と共に、無数の銃撃が鳴った。
(―――ッ!!)
一瞬で思考が停止した。
デスクに置いてあったアサルトライフルを手に取って、ドアを蹴り飛ばした。
僕は、彼女のことで頭が一杯になる。
ありったけの声を張り上げた。
「カレンッ!!」
銃弾でコンピュータや書類が音を立てて、吹き飛んでいく。
団員たちは次々に倒れていった。
そして、その奥には銃を構えたブリタニアの兵士がいた。
(あ、あいつらっ!決闘を無視して、刃向かってきたのかッ!?)
全身が怒りで染まった。
デスクを盾にして、トリガーを引く。
ババババババッ!
アサルトライフルが火を噴き、撃たれた兵士たちは体を仰け反らせた。
一瞬で敵を視認する。
(中央に3人!ドアの左右に2人ずつ!武器は団員から奪ったノルトーダR-16!)
僕に気付いたブリタニア軍たちは銃口を向けた。
バババババババババッ!
銃弾が僕に襲い掛かる。
(―――遅いんだよっ!!)
僕は常人を超えた脚力で、地面を蹴り上げた。
抜群の瞬発力は、ブリタニア兵の視界を翻弄した。
銀髪を揺せながら、もの凄いスピードで壁を走り去った。
対応が遅れたブリタニア兵に、僕は容赦なく11.7×99mmブレッドを撃ち込んだ。
鼓膜をたたく銃弾を聞きながら、アサルトライフルの反動で手が震える。
ヘルメットの下で、トマトのようにブリタニア兵の頭が弾けた。
それを目の端で捉えた僕は体を反転させ、最後の一人のブリタニア兵にアサルトライフルを向けた。
ドンッ!
僕がトリガーを引く前に、一発の弾丸がブリタニア兵の眉間をつらぬいた。
鈍い音を立てて、コンクリートの壁に体が叩きつけられる。飛び散った血と共にブリタニア兵の体は力を失った。
振り向くと、両手に大口径の拳銃を手にしたカレンがいた。
赤いパイロットスーツを着たカレンに目立った外傷は無い。
その姿を見て安堵した瞬間、
僕はトリガーを引いた。
234:POPPO
09/04/15 20:15:31 dk1bxdlD
ドドン!
2発の銃声が重なり、僕の背中にあるドアに二つの穴が開いた。
僕とカレンは同時にドアの方向に撃った。
すると、ゆっくりと扉がひらき、一人のブリタニア兵が崩れ落ちてきた。
地面に赤い血がじわじわと広がっていく。
カレンに目線で合図を送り、この部屋にいる団員たちの安否を確認させる。
ブリタニア兵の死体を盾に、廊下に体を素早く乗り出した。
そこで見たものは、幾多に転がる団員たちの死体だった。
こみ上げる怒りを抑えながら、即座に目の届く範囲を見回した。
人の気配が無い。
同時に、生きている人間の気配も皆無だった。
「…くそっ!」
盾に使っていたブリタニア兵を、乱暴に叩き付けた。
怒りまぎれにもう一度その死体に撃ち込もうとしたとき、後ろからカレンの声がした。
「ライ!」
「どうだった?」
カレンは首を振る。
…さっきまで笑い合っていた団員たちは死んだ。
僕は強く歯軋りをする。
「なんでブリタニア兵が『イザナミ』に!?」
「拘束を解いて、反撃してきたみたいだ。……こいつらは、セルゲイとの約束を、無視して…」
カレンは歯を食いしばって、拳を壁に叩きつけた。
鈍い音が、真っ赤に染まった廊下に反響する。
「くそったれがああ!!ブリタニアは……腐ってる!!」
怒りで身を震わせたカレンは大声を上げた。
僕も同じ気持ちだった。
カレンがいなかったら、僕はブリタニア兵士の死体に弾が無くなるまで撃ち続けていただろう。
しかし…
「カレン。ここは危ない。早く安全な場所へ退避しよう…」
銃声と悲鳴、そしてランドスピナーとKMF用のアサルトライフルの銃撃の音が聞こえている。
再びブリタニア兵がやってくるに違いない。
カレンは僕の言葉に、さらに眉間に皺を寄せた。
「何言ってんのよ!ライ!こっちも反撃するわよ!」
「そういうことじゃない!中央情報室に行かないと現状が把握できないんだ!それに武器だって…」
だが、中央情報室までの距離はかなりある。その間にナイトメアの襲撃でも遭えば、生き残る自信は無い。
カレンは、いきなり予備のマガジンを僕の胸に押し付けてきた。
衝撃を吸収するパイロットスーツの上からなのに、結構痛い。
彼女は拳銃のマガジンを交換しながら、僕に言った。
「大丈夫よ。あの防壁を潜り抜けられる敵はいないわ…でも、ナイトメアの攻撃を受けたら一巻の終わりよ!」
「でも、僕たちのナイトメアは…」
「第3格納庫に紅蓮弐式とランスロットがあるの。どさくさに紛れて式典から持ってきたらしくて……」
「…ランスロットは動かせるのか?」
「うん。蒼天のキーで解除できるように、プログラムを書き換えたって技術員が…」
「なら、急ごう!」
第3格納庫までの最短ルートを、即座に頭の中に描き出した。
マガジンを取り外すと、新たな弾を装填する。
僕が先行し、カレンが後方に守りながら、急いで廊下を走り抜けた。
大きな爆音が基地全体を揺らしていた。
235:POPPO
09/04/15 20:19:05 dk1bxdlD
運良くブリタニア兵士を遭遇しなかった僕たちは、予想以上に早く、第3格納庫に到着することが出来た。
第3格納庫には2機の専用ナイトメアフレームと、調整中で腕が外された月下が数機鎮座しており、当たりは眩いほどの明かりが照らされている。
所々には整備士やブリタニア兵の死体が転がっている。銃撃戦を繰り広げた痕跡が壁に生々しく残っている。静寂に包まれ、広々とした空間が広がっていた。
僕の視線の先には2機のナイトメアフレームがあった。
2機の背中には、運搬用のブースターウイングが取り付けてあった。
ランスロットと紅蓮弐式。
ふいに目元が熱くなる。
ほんの少しまで、この2機はブリタニアとの友好を表す象徴だった。
しかし、再び剣を交えてしまった。
また、多くの血が流れる。
(僕たちは手を取り合えてたのに…どうして、どうしてこんなことにっ!)
それは、一人の少女が起こした事件がきっかけだった。
兄の無念を晴らすために…
ゼロを殺すために…
彼女が付けた戦火は、今や日本中に燃え広がっている。
でも…
原因を作ったのは…
彼女の運命を捻じ曲げたのは、他でもないゼロ自身だ。
『悲劇は連鎖する』
言葉が、僕の心を埋め尽くしていた。
236:POPPO
09/04/15 20:24:36 dk1bxdlD
そして、僕らの『悲劇』が幕を開けた。
「武器を捨てろ!」
ランスロットと紅蓮弐式が目の前に迫っているときに、唐突に後ろから声が聞こえた。
僕とカレンは足を止める。
背筋が凍りつく。
本来なら、身を翻して敵を射殺するべきだろう。
だが、足音は一つではない。
視認していないが、音から察するに15,6人の人間が僕たちの背後にいる。
それと共に、KMFのランドスピナーが近づき、近距離でブレーキをかける音が耳に届いた。
(反撃は、不可能だ…)
そう悟った僕たちは、アサルトライフルと拳銃を手放した。
「…ゆっくりだ。ゆっくりとこっちを向け」
ドスの利いた低い女性の声が聞こえた。僕たちはそれに従った。
両手を挙げて、体を反転させる。
そこには16人の黒の騎士団の制服を着たブリタニア人がアサルトライフルを向け、大口径のバズーカを構える月下がいた。
中央にリーダーらしき女性が立っている。金髪のショートカットに顔に大きな火傷を負った30代の軍人だった。
その女は、蛇のように丸く見開いた目で僕らの顔を見た。
「赤と青のパイロットスーツだと?……まさか、お前ら…」
歪んだ笑みが顔に宿った。
耳に障る笑い声が響き渡る。
「はははっ!まさか、年端もいかぬガキ共が『ゼロの双璧』だったとは!」
237:POPPO
09/04/15 20:26:10 dk1bxdlD
女兵士のリーダーは銃を構えながら、僕とカレンと睨みつけていた。
この状況を脱する策に思考を巡らせるが、一向に思いつかなかい。
多数の武装した兵士に加え、ナイトメアまでこっちを狙っている。
最悪の状況だ…
「しかも…お前たち、ブリタニア人じゃないか」
その言葉にカレンが吼えた。
「違う!私たちは日本人だ!」
っ!カレンッ!駄目だ!
僕は咄嗟にカレンの口を塞ごうとしたが間に合わなかった。
ドゥン!バガンッ!ドンッ!
KMFのバズーカが火を噴いた。
調整中だった月下に直撃し、次々に爆発する。周囲に火が点った。
「っ!きゃああ!」
「黙れ!反逆者が!!」
軍人がカレンに銃を向けた。
とっさに僕はカレンを前に立ちはだかった。
手を引いて、カレンを僕の胸に引き寄せる。
ありったけの殺気を込めて、銃を構える兵士を睨みつけた。
冷たい視線を見て、少し身震いした兵士は、表情を引き締めると銃を深く構えた。
僕とカレンを交互に見て、口元がいびつに歪む。
「へぇ…もしかして、お前ら、デキてるのか?」
だから、どうしたっていうんだ!
歯を食いしばりながら、僕は心の中で叫んだ。
ピピピ…
女のリーダーの右耳に装着している通信機から連絡が入った。
銃を構えたまま、その女は言葉を発した。
邪悪な笑顔が僕らを見つめる。
「…残念なお知らせだ。トウキョウ租界での戦闘は、我がブリタニアの勝利だ」
「……う、そ」
カレンの体が震えたのを感じとった。
彼女の声が絶望に染まっていた。
238:創る名無しに見る名無し
09/04/15 20:52:47 vPuk5MBe
支援いらないって言ってましたが、一応……。
239:創る名無しに見る名無し
09/04/15 21:05:45 SFc9Tg9Y
猿かな?
240:創る名無しに見る名無し
09/04/15 21:18:12 Yfy8I+jx
○時00分で、規制解除されるはずですが・・・
241:POPPO
09/04/15 21:34:00 dk1bxdlD
「…決闘の約束はどうなった?」
「知らんな…そんなものは」
その女は吐き捨てるように言った。
今度は僕が絶望に染まった。
「ただ、ナイトオブツー様は戦死したそうだ」
「「!!」」
何だって!?セルゲイが戦死!?
「残念だったなぁ……貴様がナイトオブツー様と死闘を演じたのは知っているぞ」
「だ、だが彼はっ!」
「それ以外は何も聞いていないな。連絡員もやられたらしいから、少々、情報伝達が遅れているかもしれないなぁ」
僕は絶句した。
…約束を、握りつぶしたのだ。
撤退した兵士は生き残っても、本国では笑いものになるだけだ。
でも、このまま続けていたら、僕たちの圧勝でブリタニア兵は全滅していただろう。
それを避けるために、
名誉を捨ててでも、彼らの命を助けるために、
セルゲイは戦ったというのに…
僕は悲しかった。
彼ほど崇高な騎士を、ブリタニアが失ってしまったことに…
彼との約束が、こんな形で破れてしまったことに…
ブリタニア人が晒している、欲に塗れた姿に…
セルゲイさん!
貴方が命を賭けて守ったものは、こんなにも醜いものなんですか!?
貴方こそ、仕えるべき主君を、守るべき国家を間違えた!!
女兵士の声が響いた。
「黒の騎士団は終わりだな。さて、『ゼロの双璧』を捕らえるとするか。でも、暴れられても困るしな。死体であったとしても別に問題はなかろう」
「「!!?」」
その軍人はハンマーをゆっくりと下ろした。
鉄槌の音が、強く耳に届いた。
他の兵士が一斉にアサルトライフルのトリガーに指を触れた。
カレンの体が震え、腕に力がこもる。
一瞬で、全身の血の気が引く。
242:創る名無しに見る名無し
09/04/15 21:34:10 c9nwpmRB
1時間過ぎたね
243:POPPO
09/04/15 21:35:38 dk1bxdlD
すいません。
昔の友達から電話があって話し込んでました。
今から、投下します
244:創る名無しに見る名無し
09/04/15 21:36:49 DiRveS0H
電話か……仕方ないな、うん
支援
245:POPPO
09/04/15 21:37:44 dk1bxdlD
僕は、こんなところで終わるのか?
大切な人も、愛する者も守れず、僕は、僕はっ、またっ…!
――――失うのか?
――――――――ドクンッ
頭痛が走った。
「うぐっ!」
「ら、ライ!?」
――――――――ドクンッ
体全体が鼓動するような感覚が僕を襲う。
――――――――ドクンッ
目が眩む。
――――――――ドクンッ
カレンの顔が、よく見えない。
――――――――ドクンッ
カレンの声が、聞こえない。
――――――――ドクンッ
苦しい…
――――――――ドクンッ
熱い…
ドクンッ―――――――――――――ドクッ、ドクンッ!
意識が、闇に落ちた。
246:POPPO
09/04/15 21:40:28 dk1bxdlD
妹が北の蛮族に嫁ぐことになった。
恋も知らない妹には、あまりにも酷なことだった。
私に心配をかけまいと、無理に取り繕った妹の笑顔が何より辛かった。
父上に何度も進言したが、まともに取り合ってくれない。
私は無力だ。
庭園の泉のほとりで、私は泣いていた。
涙を流すときは、いつもこの場所に来ていた。
暗闇の中、青い月が、水面に明々と照らされていた夜だったのを覚えている。
そこで私は、『彼』と出会った。
「力が欲しいか?」
澄んだ声だった。
そして、青い満月を背に、彼は立っていた。
背丈も年齢も自分とほぼ変わらない。
漆黒のマントを風に揺れ、その下には煌びやかな衣装を纏っていた。
身長と同じくらいの、透き通るような白い髪をなびかせて、じっと私をエメラルドのような緑色の瞳が見つめていた。
「だ、誰だ!?」
私は背中にある短剣を取り出し、刃を向ける。
「君が王になり、妹君を救えばいい」
人形のように整った容姿の口から、恐ろしい言葉が返ってきた。
「なっ!?お、お前、何てことを…」
「力が――欲しいのだろう?」
なぜ妹の縁談を知っているのか、という疑問を聞く気にもなれかった。
こいつは全てを知っている。
そんな気がしたのだ。
賊とは到底思えない。
彼が持つ神秘的な雰囲気は、経験したことのない魅惑的な魔力を放っていた。
「…本当に、できるのか?」
無意識に、私はそう問いかけていた。
「できる。だが、その力は強大すぎるがゆえに、君を孤独にする」
「もう一度、問おう」
力が―――――欲しいか?
そう、僕は…
私は…
契約した…
そして
X.X.から、
この、『王の力』を―――
247:POPPO
09/04/15 21:42:29 dk1bxdlD
突然、格納庫の電気が消えた。
「停電か?」
女のリーダーは命令を止め、辺りを見回した。
眼前には暗闇が広がり、ナイトメアの残骸から燃え移った炎が照らしている。
黒の騎士団の終焉を表す、絶景だった。
彼らを見据えて、彼女は邪悪な笑みを浮かべた。
「…何か言い残すことはあるか?反逆者ども」
ライとカレンが、ブリタニア人の血を引いていることが分かった彼女は、皮肉な言葉を投げかけた。
コーネリアの親衛隊ですら退けた凄腕のパイロット、『ゼロの双璧』。
敵といえど、一人のナイトメアの騎士として興味を持っていた彼女は、彼らの最後の声を聞いておきたかったのだ。
しかし、それが命取りとなった。
『魔神』は蘇る。
「黙れ。下郎」
「は?今、なんて言った?」
女は小ばかにした態度で、大げさに耳に手を当てる。
「聞こえなかったか?黙れ、と言ったのだ。愚か者が」
「……おい。テロリストの分際で何言ってんだ。てめぇ」
痛烈な言葉が浴びせられ、女の声に殺気がこもった。
カレンは、ライの異変に気付いた。
痛みで頭を押さえたと思ったら、視線をブリタニア兵に向け、歩み始めた。
彼女がライを止めようと手を掴んだ瞬間、
パンッ…
手を振り払われた。
ライの明確な拒絶にカレンは呆然とした。
銀髪が揺れ、ライは悠然と足を進めた。
「おい、止まれ」
女は躊躇なくトリガーを引いた。
鉄槌が下ろされる。
ガキンッ!
「?」
引き金が途中で止まった。
銃を確認するが、目立った異常は見当たらない。
(銃が、故障したのか?)
その間、『魔神』は歩み続け、全員のブリタニア兵に『魔神』の顔が見える位置に立つと、その場で足を止めた。
248:POPPO
09/04/15 21:46:00 dk1bxdlD
『魔神』は言葉を放つ。
「堕ちたものだな。我がブリタニアの民は……誇りを捨て、力と欲望のみを求める…ただの獣に成り果てたか」
『魔神』は言葉を紡ぐ。
「醜い…実に醜く、嘆かわしいことだ。幾年の月日が経とうとも、人は同じ過ちを繰り返す」
『魔神』は語る。
「だが、ブリタニアは正しい」
『魔神』は述べる。
「誇りも、正義も、国家も、力の上で成り立つものだ」
『魔神』は話す。
「だからこそ私も、我が国是に則ることにしよう」
『魔神』は言う。
「貴様らが『力』で私を阻むのであれば……さらなる『力』で、貴様らを踏み越えるだけだ!」
そして、『魔神』は告げた。
「ラインヴァルト・エス・ブリタニアが命じる――――――――」
「私に牙を向ける者共よ――――――――――――死ね」
ライの透き通るような青い瞳に、赤い紋章が宿る。
見開いた両目に浮かんだ、悪魔の刻印。
妖しい光を放ち、
――――大きく羽ばたいた!
249:POPPO
09/04/15 21:50:26 dk1bxdlD
『声』を聞いた人々は、立ち止まった。
眼前にいる女は『魔神』にゆっくり微笑むと、首筋に銃口を当てた。
兵士たちも互いにアサルトライフルを向け合った。
後ろにいた月下はバズーカを捨て、回天刃刀を胸部に押し付けた。
赤い光に目を縁取られた兵士たちは、声を揃えて叫んだ。
『『『『『『『『イエス・ザ・キング!!!』』』』』』』
そして、声と共に…
パパパパパパパパパンッ!!
乾いた銃撃音と共に、命が散っていった。
直後、月下は回天刃刀で胸部を貫いた。
ドガァァアアアン!!
『魔神』の眼前に、巨大な爆発が生まれた。
爆風は、眩い光と共に爆風が吹き荒れた。
風が『魔神』の銀髪を揺らせる。
目の前には、炎に照らされた夜空が広がっていた。
その一部始終を見ていたカレンは立ち尽くした。
「ラ…ライ?一体……何を…したの?」
だが、彼はその問いに答えない。
彼女はライの背中に、身震いをするような『何か』を感じ取った。
彼はゆっくりと振り向いた。
カレンは、彼の両目に宿る赤い紋章を見てしまった。
鳥のような紋章が羽ばたいた。
「カレン。ゼロの元に行け」
250:POPPO
09/04/15 21:51:53 dk1bxdlD
彼女の目は赤く縁取られた。
しかし…
「!うっ!い、いやっ。今、ライから離れたら…」
カレンは両手で肩を抱き、その場にうずくまった。
(……ギアスに、抗うだと?)
「ライが…ライがっ、どこかに行っちゃう!」
悲痛な叫びと共に、彼女の瞳から涙がこぼれ始めた。
(――――…)
ライはカレンの肩をそっと抱いた。
そして…
口付けを交わした。
数秒たって唇をはなした。
呆然とした表情をするカレンに、告げる。
いつもの笑顔で、彼女に言った。
「お願いだ。カレン」
カレンの抵抗がピタリと止み、『魔神』は彼女の肩から手を離す。
一度、彼女は目を閉じて、『魔神』に言った。
「……分かったわ。ゼロは私に任せて」
赤い目で『魔神』に微笑んだ。
「…………!」
胸に鋭い棘が突き刺さる。
「…ああ、頼んだよ」
『イザナミ』の基地内でも、同様のことが起きていた。
敵対していたブリタニア兵が、突然自らの命を絶ったのだ。
ナイトメアフレームに乗っていた連中も爆死して、一人残らず死んでいる。
団員たちはブリタニア兵の死体を見ながらも、目の前で起きたことが信じられなかった。
「な……何が、起こったんだ?一体…」
だが、その問いに答えられる人間は、誰一人としていなかった。
251:POPPO
09/04/15 21:54:23 dk1bxdlD
トウキョウ租界。
赤黒いハドロン砲の光が、地上にいる月下を容赦なく襲った。
コンクリートの地面が弾け跳び、着弾したナイトメアは爆炎を上げて、散った。
夜空にはガレスの軍勢が舞っていた。
彼らの加勢で、戦局が一気に塗り換わった。
ガレスの圧倒的な火力に加え、指揮官である藤堂はブリタニアに拿捕され、指揮系統が乱れた団員たちは混乱の境地にあった。
次々に放たれる死の閃光を逃れるため、団員たちは必死になっていた。
一機、二機と音を立てて、霧散していく。
玉城はモニターに映る『LOST』の文字が表示されるたびに、泣きそうになっていた。
そして、隣にいた月下が爆散した。
部下の一人が、死んだ。
「荒川!!」
口元がワナワナと震えだす。
死の恐怖が身を焦がし、その緊張の糸は切れてしまった。
「畜生!ゼロは、俺のゼロはどこにいったんだよぉ!ちっくしょうーーーーー!!!」
252:POPPO
09/04/15 21:57:21 dk1bxdlD
紅蓮が飛び立ったのを確認した『魔神』はそのまま、夜空を見上げていた。
両目のギアスは以前、輝いたままだった。
「……?」
ふいに、『魔神』は人の気配を感じた。
(――新手か?)
それを察知し、振り向いた瞬間、
ドンッ…
後ろから衝撃がくる。
「ラァーイっ!」
『魔神』はいきなり少年に抱きつかれて、体をよろめかせた。
身を一回転させ、少年の体は宙を舞った。
『魔神』は驚く。
胸に飛び込んできた白髪の少年は顔を埋め、ぐりぐりと押し付けてきた。
力いっぱい腕を腰に回して、そう簡単に放してくれそうもない。
「…だ、誰だ!お前!」
その言葉に、少年の動きは止まった。
そして、ゆっくりと顔を上げた。
少年の顔を見た途端、『魔神』は表情は驚愕に染まった。
陶器のように透き通る肌に、肩まである白髪、まるで女の子のように整った容姿の少年だった。
右目は金色、左目は銀色の、左右非対称の瞳の色。
貴族のような赤い煌びやかな服を身に纏い、人懐っこそうな顔がそこにあった。
彼の瞳が涙で揺れていた。
「僕だよ。ライ………170年ぶりだね」
「X.X.…なのか?……髪を切ったのか?それに瞳だって…」
「…そうだよ。僕だよ……会いたかった」
『魔神』は警戒を問いた。
しかし、思わぬ再会に、『魔神』は戸惑っていた。
彼が抱いていたイメージとは若干ズレがある。
何から話せばよいのか、いろいろと考えを巡らせていたところ…
突然、X.X.が声を上げた。
「……あれ?」
「どうした?X.X.」
253:POPPO
09/04/15 22:03:03 dk1bxdlD
「『コードR』と契約したの?」
『魔神』は身を震わせた。
X.X.から視線を逸らし、『魔神』は口を濁す。
「…分かるんだな。そういうのは」
「ねぇねぇ…どうしてだよぉ、ライ。僕のギアスじゃ満足できなかったのぉ?」
「…違うよ」
『魔神』は首を振って否定した。
「…これは保険のつもりだったんだ。万が一の場合に備えて、C.C.と契約したんだ」
ルルーシュが撃たれた翌日、私はC.C.と契約した。
もし、彼に何かあった場合、どうしても『絶対遵守』の力が必要だった。
最初、C.C.は反対した。
でも、私の懇願に折れて、契約したのだ。
…だが、結果は予想外だった。
『絶対遵守』の力は現れず、それどころか何をしても力が発動せず、どのような力を授かったのかも分からなかった。
C.C.が言うには、契約は無事に成功し、ギアスも与えたはずらしいのだが…
「ふむふむ…そういう能力か。でも、安心していいよ。ライは一生使うことは無いから♪」
「…分かるのか?」
「うんっ♪でも教えてあげなーい。浮気した罰だよ~」
「浮気って……X.X.がそんな冗談を言うなんて…本当に変わったな……まるで別人みたいだ」
「……僕も変わったけど、もっと変わったのはライの方だよ」
「…そんなに変わったか?」
「うん。昔と比べて、格好良くなったよ。ライ」
「…それは嬉しいな」
『魔神』はX.X.を優しく抱きしめた。
華奢な体が胸に当たる。
なつかしい思いが胸いっぱいにこみ上げてきた。
柔らかい白髪を撫でていると、
視界が揺れた。
「……あ、あれ?」
「あらら…ギアスを思いっきり使っちゃったから、疲れたみたいだね」
「…あ」
『魔神』の両目からギアスが消えると、体から力を失って、少年の体に倒れこんだ。
それを、X.X.は受け止める。
ゆっくりとライの体を地面に横たえさせ、頭を膝の上に置いた。
X.X.は、瞳を閉じたライの表情を見ると、柔らかく微笑む。その表情は恋する乙女のようなものだった。
「会いたかった…ライ。僕は…『私』は……」
X.X.はライの銀髪を愛おしい手つきで、優しく撫でる。
両目に、金と、銀の紋章が浮かんだ。
X.X.の目が見開かれると、目つきが鋭くなり、整った口元が薄く開いた。
そして、彼はライにそっと呟いた。
「行こうか……君と、私が歩むべき…『覇道』を…」
格納庫内は火が燃え盛り、音を立てて物が崩れていく。彼らの周りは既に炎に取りかこまれていた。
彼らの背にある白くナイトメアフレームとの間に、燃え上がった巨大な柱が落ちる
二人の姿は、炎の中に包まれていった。
254:POPPO
09/04/15 22:06:28 dk1bxdlD
(―――――何が、どうなってるの?)
気付いたら、私は紅蓮で飛び立ち、神根島の洞窟にいた。
目の前では…
スザクと、
ゼロの格好をした…
「………………ルルーシュ?…」
ルルーシュは額から血を流し、歪んだ表情で私を見ていた。
スザクは銃を構えたまま、視線をルルーシュから外さない。
これが冗談ではないことは明白だった。
尊敬する上司が、
ゼロが…
「……どうしてっ………」
頭が真っ白になり、全身から力が抜けた。
銃を落として、その場にへたり込んだ。
ルルーシュとスザクがやりとりが洞窟に響く。
ナナリーが何者かに攫われたという話が聞こえきたが、どうでもよかった。
私は呆けていた。
もたらされた事実があまりにも強烈で…
私はただただ見ていることしか出来なかった。
唐突に、スザクが私に矛先を向く。
「カレン!君は俺以上に矛盾している!」
「!?」
その声に、私は体を震わせる。
普段のスザクからは想像も出来ないくらい…スザクの声は怒りに満ちていた。
「君はブリタニア人でありながら、日本人を名乗り、ブリタニアに刃向かった!」
「でも、君が忠誠を誓っている男はブリタニアの皇子でっ!
君が愛している男は…ブリタニアの王様だった男なんだからな!」
私はさらに目を見開いた。
「!?」
「やめろ!スザク!それ以上は言うな!」
「ラインヴァルト・エス・ブリタニア!
ブリタニア史上最悪の暴君、『狂王』と言われた男に、君は身の心も捧げていたんだよッ!!」
255:POPPO
09/04/15 22:08:58 dk1bxdlD
「やめろぉ!!スザァァアク!」
ルルーシュは懐に隠していた銃をスザクに向けた。
毅然たる態度を取っていたルルーシュの動揺ぶりを見て、スザクは声を潜めた。
そして、
私は分かってしまった。
それが『真実』であることを…
ライが狂王?
ほんの先ほどまでなら、鼻で笑っていただろう?
でも、心の隅で私はそれが真実だと訴えていた。
あの口調、
あの態度、
あの瞳…
そして、あの惨劇…
(やめて…)
ライの声が響いてきた。
「ここは…どこだ?」
「僕は…ライ。よろしく」
「しっかりと掴まってくれ。―行くぞ」
「カレン。ありがとう」
「今日もいい天気だな。カレン」
ライと出会って、何気なく過ごしていた日々。
黒の騎士団に加わって、彼と過ごす時間は多くなった。
そして、いつの間にか私の中で芽生えた気持ち。
彼の背中を見ていると、月日が経つごとに、どんどん膨らんで…気付いたら、もう手遅れだった。
いつもライのことを考えていた。
ライが、好きになっていた。
そして、あの日、私たちは思いを通じ合った。
ライも私のことを好きだって言ってくれた。
嬉しかった。
とても嬉しかった。
256:POPPO
09/04/15 22:10:23 dk1bxdlD
そして、恋人として…戦場のパートナーとしてライと過ごした日々、
全てが輝いていた。
苦しいことも、辛いこともあったけど、
ライと一緒なら何でも出来た。
ライと一緒なら何も怖くなかった。
彼と過ごした、蕩けるようなあの夜…
どこまでも私を気遣ってくれる優しさと、私だけを見つめてくれる愛を感じて、胸が一杯になって涙が出た。
ライを、もっと好きになった。
その後も暇を見つけては、いっぱいいっぱい愛し合った。
朝も昼も夜も、ずっとライの側にいたかった。
ライをもっと知って、抱きしめて、そして愛したかった。
「好きだよ」
「大好きだ」
「愛してる。カレン」
「カレン…愛してる。誰よりも、僕は君を愛してる」
「君を守りたいんだ」
「…大好きだよ。カレン」
257:POPPO
09/04/15 22:11:53 dk1bxdlD
(やめてよ……)
ライの表情が浮かぶ。
困った顔…
笑った顔…
恥ずかしがった顔…
照れた顔…
驚いた顔…
私を見つめる顔…
キスするときの顔…
愛し合っているときの顔…
そして、時折見せる、どこか寂しそうな顔…
全て愛おしかった。
彼の全てが、大好きだった。
ライの笑顔が浮かんだ。
私だけに見せてくれる、私の大好きな笑顔が…
突如、景色が暗くなり、ライの笑顔が仮面に変わった。
それが音を立てて落ちた。
そして、その仮面の下にある素顔は…
「……あああ…ああ、ああああああああー…」
カレンは両手で頭を押さえるが、動悸が、震える唇が治まらない。
そうしているうちに、彼女は思考を放棄し、意識は暗闇に落ちた。
少女はコワれてしまった。
258:POPPO
09/04/15 22:16:14 dk1bxdlD
その場にへたり込み、戦意を喪失したカレンを見て、スザクは再びルルーシュに目をやった。
「俺も最初に聞いた時は、信じられなかった……あのライが、『狂王』だなんて…」
「スザク、それを教えた奴は誰だ!?いったい、だ―――」
「お前には関係ないっ!!」
ルルーシュの声を遮るようにスザクは吼えた。
普段の柔和な表情はなく、ルルーシュを見据える瞳は、何処までも冷たかった。
この瞳を見たルルーシュは、背筋に怖気を感じた。
そして、スザクの瞳がもう一度鋭くなると、ありったけの殺意を彼に向けた。
「お前は、ユフィを奪った!……ユフィだけじゃない…ユ、ユフィには…」
ルルーシュは凍りついた。
「待て…まさか……ユフィは…」
スザクの顔が歪み、大粒の涙を零しながら、
咆哮した。
「ユフィのお腹には、…俺とユフィの…子供がいたんだよおおぉ!!!」
「!なっ…!!」
スザクの絶叫が響き渡った。
ルルーシュは絶句する。
「お、お前は…奪った。俺は絶対に許さない…許すものかっ!!」
「お前は…10年前のあの日に、死ぬべきだったんだ!お前の居場所など、この世界に何処にも無い!」
「世界に見放された皇子と、国を滅ぼした王が作る国家などっ…壊れてしまえばいい!!」
否定した。
スザクは、ライとルルーシュを真っ向から否定した。
彼らの意思も、希望も、存在すらも。
(――――――ッ!!!)
ルルーシュの頭から全ての思考が飛び、怒りで我を忘れた。
怒りに身を任せ、二人は銃口を突き付ける。
「スザァァアアク!!」.
「ルルーゥウシュ!!」
バァン!!
彼らの絶叫と共に、二発の銃声は洞窟に木霊した。
259:POPPO
09/04/15 22:19:43 dk1bxdlD
コードギアス LOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」
TURN00 「終わる日常」(後編6)
投下終了です。
いきなり誤字報告。
254のセリフ。
君は身の心も捧げていたんだよッ!!→君は身も心も捧げていたんだよッ!!
TURN00「終わる日常」はついに完結しました。
リリーシャ、X.X.、アンジェリナ、ノエル、ヘンリエット、セルゲイ。
そして、ナイトメアと、オリジナル満載で書き上げたストーリーでしたが、皆さんはどうでしたか?
文章力の乏しさに加え、誤字脱字のオンパレード、投下時にトラブルの続出、アクセス規制…と、
読者の皆さんには、迷惑この上ない作品をご覧になっていただけたどころか、賞賛のコメントと耳の痛い的確なアドバイス、
そして、管理者トーマスさんのご好意を受けてここまで書き上げることが出来ました。
皆さん、本当にありがとうございます。
さて、話しはうって変わりますが、
皆さん、まずは驚いてください。
これで
『序章』
が終わりました。
実は『終わる日常』は当初、前編と後編の2章で終わるはずでしたが、女のギアス使いを一人入れたかったのでリリーシャを登場させました。
そして、中心人物となるオリジナルキャラクターを生かすには、ギアス本編のイメージを壊さないキャラクター作りとそれなりの強い印象付けがいります。
ライたちと上手く絡み合わせるために、人物背景とその土台を描いているうちにどんどん話が長引き、予定されていたストーリーの約『8倍』の長さのプロローグになってしまいました…orz
本当なら今頃、本編TURN14『コード「G」』まで進んでいるはずなのですが…
出来るのなら学校の休み時間にでも書き続けたいのですが、今年は大学受験が控えているので、更新は遅くなりそうです。
一応、第一志望校はA判定が出ているのでそんな心配しなくてもいいと思うのですが、ナメてかかるとロクなことが無いので(センター失敗が怖いです…国立大狙いなんで)、もし成績が下がるようでしたら一時休止という形を取ります。
予告としてTURN01の題名を公表したいのですが、ネタバレになるので言いません。
(TURN02からは公表します)
シナリオは本編と同じく25話編成で、なるべく本編を逸脱しない(?)シナリオになっていて話の大まかな流れはすでに決めています。
そして、終盤のストーリー展開は皆さんのいい意味(かどうかは不明ですが)で裏切れると自負しています。
もし、それをばっちり当ててくれた方がいた場合は、年内に書き上げることを誓います。
批判、中傷、どんなものでも構いません。読者の皆さんの生の声が聞きたい(見たい)です。
ご感想お願いします。