09/03/19 01:27:10 9u/8h4zT
みなさーん、スルー能力検定の時間ですよー
249:創る名無しに見る名無し
09/03/19 01:34:47 QCH2cu8w
>時間があるときにやっていただけたらOKです。
まさかこれを額面どおりに受け取るバカはここにはいないよな?
あのクズは別だけど
あしっどれいんさんの本音は「一刻も早くやってほしい」というのは明らか
250:創る名無しに見る名無し
09/03/19 01:46:14 QCH2cu8w
あしっどれいんさんの怒りは察するにあまりある
職人にストレスを感じさせるクズはいらない
251:創る名無しに見る名無し
09/03/19 01:52:17 QCH2cu8w
つーかあいつってこの前も体調不良とかで我々に何の断りも無くさぼったよな
あげくにそのことにたいして何の謝罪もなし
速く寝るんだったら人を雇えばいいのに
252:創る名無しに見る名無し
09/03/19 02:03:32 QCH2cu8w
多少はスッキリした
ああもちろんこれで終わりじゃないから
また来るわ
PS 職人の気持ちを代弁したメールを大量に送りつけておきました
253:創る名無しに見る名無し
09/03/19 06:53:25 F1HjK0de
ウザキモい読者様だな。
みんな邪魔だと思ってるのに……
ねぇ?
254:創る名無しに見る名無し
09/03/19 09:21:39 8fgZSf8+
何でこのスレこんなにカオスなの?
255:創る名無しに見る名無し
09/03/19 11:17:47 k/7qMYT/
このいつもの奴を通報しようとしたら、もう通報されてたw
256:創る名無しに見る名無し
09/03/19 12:48:43 eiqK5g/m
また荒れてるのかよ。トーマス卿に文句があるなら直接メールを送ればいいだろこんな雰囲気じゃ職人がSSを投下しにくくなる。職人に失礼だ。
257:創る名無しに見る名無し
09/03/19 13:10:09 bhMXRezU
>>256
>>1
258:K.K.
09/03/20 00:35:06 o/XPscMt
皆さん始めまして。K.K.と申します。
今まで見ているだけの者でしたが、前に思いついたSSがあるので、今回思い切って投稿させていただこうと思いました。
初めてなので言葉選びもおかしなところがありますが、感想やアドバイス等をいただけるとありがたいです。
では
タイトル:新しい歌
カップリング:ライ×カレン
ちょいシリアス
259:K.K.
09/03/20 00:44:38 o/XPscMt
望んだ物とは少し違った形で手に入った平和
完全な形ではないが、争いは終わったのだ
ユーフェミア・リ・ブリタニアが宣言した『行政特区日本』は色々とあったが無事に成立し、人々は一時期の平和を満喫していた。
新しい歌
最近ライの様子がおかしい……
カレンは思った
あの神根島の一件以来、1人で悩んだり、何処と無く悲しい目をしている
その後の特区日本での一件……
血だらけで発見されたライはなんとか一命をとりとめた。あの時はライが目覚めるまで生きた心地がしなかったのを今でも覚えている。なんでああなったのか誰も知らないし、ライも教えてくれない。恐らく知っているのはゼロだけだろう。
あの日に結ばれた二人は騎士団の双璧として活躍しながらも、ユーフェミアの計らいで学園に通っている。付き合っていると言うことから二人は常に一緒にいる形となる。
一緒に授業を受け(同じクラスだから当たり前だが)、一緒にお弁当を食べ(ライの手作りだったりカレンの手作りだったり)、一緒に生徒会の仕事をし(ミレイに弄られるのはいつもの事)、特区日本で仕事をしたりと……
だからこそか、カレンはライの微妙な変化に気付いたのだ
何か思い詰めたような表情、時々消えてしまいそうに見える彼……カレンはそれを聞くことの出来ない自分に苛立っていた
260:K.K.
09/03/20 00:45:28 o/XPscMt
そんなことを考えながら、カレンは自分の前に座っている銀髪の少年を見つめる。
その青紫の瞳を黙々と書類に目を通しているライ。今の彼は誰が見ても普通のライにしか見えない。
多分今この場にいる生徒会の誰もが見ても……
カレンの視線に気付いたのか、ライは書類から目を離し、カレンを見る。
「カレン、どうしたんだ?僕の顔に何かついてる?」
「あっ、ううん!何でもないの!」
カレンは慌てて自分の持っていた書類に目を落とした。
「ただ、愛しのカッコイイ彼氏の顔に看取れてただけよ~」
「ミッ、ミレイさん!!////」
カレンの真似をするかの様に発言したミレイにカレンは顔を赤くして声を上げた。
「えっ、違うの?妙にライにあつ~い視線を送ってたからそうだと「違います!!////」
人差し指を口元にあて、考えるような素振りを見せながら言うミレイに、顔の赤いままのカレンが机を叩いて怒鳴った
カレンがむきになって怒鳴ったからか、その場にいる全員が驚いたようにカレンに目を向けている。
「もう、ミレイさんったら、からかわないで下さいよ~////」
みんなの視線に気付き、カレンは縮まる様に席に座り、赤くなった顔を隠すように書類に目を通し始めた。気になってライを見ると、彼は困ったように笑っていた。
261:K.K.
09/03/20 00:47:45 o/XPscMt
「で、お前はどうなのよライ。」
「えっ?何が?」
「だから、何時どうやってカレンにコクったんだよ?」
「「えぇっ!?////」」
ライとカレンは一気に赤くなる。
「きゅっ、急に…なにを……?」
「今まで誰一人として男に気を許さなかったカレンお嬢様。
その心を彗星の如く現れ、そして奪っていった男ライ。
報道クラブが二人を記事にしてからいつから付き合い始めたのかって疑問が至るところで飛び交ってるぜ。」
「あっ、私も気になる!二人とも気が付いたら付き合い始めてたもんね!」
リヴァルの出した話題にシャーリーも興味があるらしく、その話に食い付いた。
「あの時のカレン親衛隊は酷かったしな。」
確かにあれは酷かった。
さりげなく話を聞いていたルルーシュはふと思う。
報道クラブが二人が仲良くお弁当を食べている写真を撮って、さらに二人の仲を問いただした。
その時にライが肯定するような返事をしてしまったためにその記事でアッシュフォード学園が揺れた。
カレン親衛隊やライのファンクラブが生徒会室にまで押し寄せ、事実を説きに来た。
なんとか追い払ったものの、ライとカレンはミレイに尋問(?)され、その事実を認めたのだ。だが肝心の「付き合い始めたのはいつか」は本人以外は知らない……とされている。
まぁ、俺は知ってるが…
262:創る名無しに見る名無し
09/03/20 00:50:47 JcuNFzVl
念のため支援
263:K.K.
09/03/20 00:53:28 o/XPscMt
ルルーシュは苦笑いを浮かべる。
特区日本設立後、傷だらけで発見されたライの様子を見に行ったら、二人がキスしているところを目撃してしまったのだ。
悪気があった訳ではない。ノックをしなかったのは悪かったが。(そのあと少しだけ気まずかった)
「リヴァル、いい加減に二人の仲を探るのは止めた方がいい。プライバシーの侵害だ。」
ルルーシュは困り果てた二人に助け船をだす。(あの時のせめてもの罪滅ぼしのつもりだ)
「えぇ~、お前は知りたくないのかよ?」
「残念だが、答えはYesだ。これは二人の問題だ。俺達が知る必要はない。
それよりお前は早く終わらせろ。後どれくらいかからせる気だ?」
「うっ……」
リヴァルは目の前の書類に目をやる。
ルルーシュのと比べると明らかに多い。リヴァルはぶつぶつとなにかを呟きながら書類に目を通し始めた。
「あら、ルルーシュったら二人を庇っちゃって。二人と何かあったの?」
「別に何もありませんよ。俺は早く終わらして帰りたいだけです。
今日はライと一緒に食事をする事になってますから。会長達がライに絡んで、ライが遅くなったら楽しみにしてるナナリーに迷惑です。」
「むぅ。仕方ないわね。いいわ、いつか必ず聞いてやるから。
いずれ、「ミレイさん、ライさんを私に下さい!」ってカレンが言いにくるはずだから。その時に」
「「ミッ、ミレイさん!!////」」
ライとカレンが顔を赤くする。
「会長、ライは男の子ですよ。どちらかと言ったらカレンが貰われる方ですよ。」
「スザク!////」
スザクの言葉にカレンの顔がさらに赤くなった。
ルルーシュは再び騒ぎ出したみんなを見ながら眉間を押さえ溜め息をつく。
『これはまだまだかかるな』
264:K.K.
09/03/20 01:06:57 o/XPscMt
「ふぅ。やっと終わったわね。みんな、ご苦労様。今日の分はこれで終わりよ。」
「全く。もっと早くに終わったでしょう。」
ルルーシュが溜め息をもらしながら言った。
「お疲れ様。じゃあルルーシュ、また後で。」
「あぁ、待ってるぞ。」
ライはルルーシュに声をかけると生徒会室の扉へと向かう。
カレンはそれを目で追った。すると、ライは部屋を出る直前にカレンを見る。まるで合図を送るかのように
カレンは自分の書類を置くと、「お疲れ様」と一言残してライの後を追った。
ライを追って屋上へやって来たカレン。
ドアを開けると、ライが手すりに寄りかかって空を見ていた。
太陽は既に沈み始めていて、空は赤く染まっていた。
「ライ?」
カレンが声をかけると、ライはゆっくりと振り返り「やぁ、カレン」と微笑んだ。
「気付いてくれたんだね。」
「前に貴方も気付いてもらったものね。」
「そういえばそうだね、懐かしいな。」
ライはハハッと笑った。
「…で、どうしたの?」
カレンが聞く。
するとライは笑みを浮かべたまま黙ってしまった。
その目は、どこか曇って見えた
265:創る名無しに見る名無し
09/03/20 01:14:17 JcuNFzVl
支援
266:K.K.
09/03/20 01:15:58 o/XPscMt
ライは再び手すりに寄りかかって空を見上げる。
「話したい…事があるんだ。君に…」
「私に?」
「…あぁ。」
ライはそっと目を瞑る。吹き付ける風に銀色の髪が揺れた。
「実は………記憶が戻ったんだ」
「………そう…なんだ」
「…驚かないんだ。」
ライが驚いたように振り返る。
「ううん、驚いてる。けど……」
「けど?」
「なんとなくかな……?気が付いてた……」
カレンは胸に手を当てる。
「はっきりとはわからなかった。神根島の時から貴方の様子がおかしかったから、もしかしたらって思ったけど、
記憶が戻ったとしたら、ミレイさん達に話すだろうし、やっと戻ったんだから嬉しそうにするはずなのに……貴方はそうしなかった。
逆に思い詰めた顔をしたり、一人で悩んだりしてる。だから、違うのかなって思ったけど……」
「……」
ライは黙って聞いていた。ライも以前は話そうとしていた。
記憶が戻ったら、真っ先に生徒会のみんなには話そうと……けど
「……話せないんだ」
「えっ?」
267:K.K.
09/03/20 01:18:33 o/XPscMt
ライは静かに話し出す。
「恐いんだ、話すのが……」
「……」
ライが微かに震えているのがカレンにはわかった。
「僕は……この時代の人間じゃない……僕は……昔のブリタニアの領辺国の皇子だったんだ…」
「!」
それからライは話し出した。自分の母親の事、妹の事、“力”の事、そして、国民全員を殺してしまったこと……
「!!」
カレンは驚きのあまりに口を押さえた。とても信じられた話ではない。
命令するだけで人を操れる力。その力のせいで国民全員が死んでしまうなんて……
「……すべて僕の我が儘が引き起こした事なんだ。
母上や妹を護るために兄を殺して、父上を殺して、邪魔するものはみんな殺して…
そして…結局はみんな殺してしまった……母上も、妹も、みんな………」
ライは自分の二の腕を強く握り締めた。
「だから僕は死を望んだ、全てに絶望したから……母上も妹もいない世界に意味はないから……
でも、僕は死ねなかった。契約があったから。だから……僕は眠りについた…二度と目覚めない筈の眠りに……」
カレンは声が出せなかった。出そうとしても、声が震えてしまう。早くしないと彼が消えてしまう……そう思った
268:K.K.
09/03/20 01:21:47 o/XPscMt
「だけど、僕は目覚めた。目覚めてしまった!
目覚めさせられて、体を弄られて、実験されて……その時にはもう過去の事は覚えてなかったけど。
自分の名前以外わからない。なのに毎日実験の繰り返しが嫌だった。
だから、僕は逃げた。逃げて逃げて逃げて……消えたかった……」
最後の言葉は掠れるように発され、消えるように響いた。
もう耐えられなかった。哀しすぎる……カレンは思った。大切な人を自分のせいで失って、何もわからないのに嫌な事を繰り返されて……
ライは自分よりも何倍も辛い事を受けている。
そんな彼が本当に消えてしまいそうだった…
「でも、僕は……」
ライはゆっくりと顔を上げる。
「僕は、君達と出逢った。」
その顔は、“笑顔”だった。曇りのない、本物の笑顔……
「ミレイさん、ルルーシュ、スザク、ナナリー、シャーリー、リヴァル、ニーナ、そしてカレン。
君達と出逢って、君達と過ごして、君達と話して、笑って……僕は変わった。
最初は見えなかった色も、君達のお陰で見えるようになった。
世界はこんなに綺麗だったのに、見えなかったのを世界のせいにしてたんだ。
でも違う、僕が見ようとしてなかっただけだって気が付いたんだ。だから僕には今はっきり見える。この世界の色が……」
ライはカレンに近寄った。
「ありがとう」
269:K.K.
09/03/20 01:23:57 o/XPscMt
そう言って、そっとカレンの髪に指を通した。
「君がいてくれなかったら、今の僕はなかった…」
ライは目を細めた。
カレンはライの頬に手を伸ばす。今なら言える。自分の思いを
「……ライ。私は、あなたが過去の人でも、どんな罪を背負っていてもいいの……あなたはあなただから………」
「……」
ライはカレンの手に自分の手を重ねた。
「だからね、私は…何があっても貴方から離れない。
ずっと傍にいる。ずっと貴方を見てる。ずっと……貴方を愛してる…。」
ライはカレンの言葉に、只、頷いた。
そして、カレンの胸に顔を埋めた。
「!ちょっ、ライ!?」
カレンは急なライの行動に顔を赤らめた。
「ゴメン……もう少し…このまま………」
そう言うと、ライの体が微かに震えた。
カレンはそんなライを優しく抱き締め「大丈夫よ……」と、一言そう言った。
270:K.K.
09/03/20 01:25:06 o/XPscMt
この言葉を待っていたのかも知れない。
カレンの温もりを感じながら、こういう言葉を言ってくれるのを期待していたんだろう。
今はこのまま何も見ないで、只カレンの胸の中で、夢を見たい
昔感じた母上とは違う温もり、違う鼓動……
何をどうして歌えばいいかわからない歌よりも
今聞こえてくる歌を歌おう
彼女から感じる柔らかな鼓動の中で、“新しい歌”がきっと生まれてくるから……
fin
271:K.K.
09/03/20 01:39:27 o/XPscMt
以上です
お読みになってくださった方、どうもありがとうございます
初めて書いたので出来は悪いかと思います。
イメージしている情景を言葉にすることがなかなか出来なくて、何とか終わらせることが出来たSSです。
「ここはこうした方が良いんじゃない?」とかございましたら言ってくださって結構です。
参考にさせていただきたいと思います。
272:創る名無しに見る名無し
09/03/20 01:56:54 fJ/2Q0AD
>>271
初の投下、乙でした~
『////』便利な記号ですが、やはり地の文で表現した方が良いのではないでしょうか?
過去にもそれで注意された人がいました。(その後、その人は改訂版を投下しました)
あと、細かいなと思うかもしれませんが『」』の前に『。』があったりなかったり
統一したらどうかと感じました。
生徒会の面々の雰囲気が良く出ていました。GJ!
273:創る名無しに見る名無し
09/03/20 01:57:39 WaOyRIjQ
GJ!!K.K.卿。新たな職人誕生に祝杯!
あのエンド後の後日談はこんな風ならいいな。
心温まる甘酸っぱい話をありがとう。
初投稿には思えない。
卿にはこれを機に、ぜひこれからも作り続けていって欲しいぞ。
274:創る名無しに見る名無し
09/03/20 02:50:45 me8lZC6v
GJ
ただ基本sage進行だから、それぐらいは守ろうぜ
275:創る名無しに見る名無し
09/03/20 10:56:33 2BlOfLeA
>>271
K.K.卿、初投下乙&GJでした!
出来はなかなかいいと思います。
流れも違和感なくスッと読むことができました。
ただ >>272さんの言うように //// という表現はやめておく方が無難でしょうね。
気になる人は非常に気になると思います。
地の文で「赤くなる」という表現があるので無くても照れてる、恥ずかしがっているというのは読み取れると思いますので。
優しい雰囲気もいいかんじでした。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
あと、>>274さんの言っているsageとはメール欄に半角英数でsageと入力すればOKです。
……念のため。
276:創る名無しに見る名無し
09/03/20 13:34:32 cNT4OSfX
277:創る名無しに見る名無し
09/03/20 13:42:45 sPtBHa1u
>>271
GJでしたっ!!
初めて書かれたとは思えないですよ
普通に情景が頭の中に浮かぶし
またの投下をお待ちしてます!
278:創る名無しに見る名無し
09/03/20 14:20:49 zFw5TE2F
初投下乙でしたK.K.卿。そしてGJ!
あなたのまたの投下を楽しみにまってます。
279:K.K.
09/03/20 22:42:21 o/XPscMt
みなさん、感想やアドバイスの方ありがとうございます!
272さん
「////」は使わない方がいいのですね?ご指摘ありがとうございます!
「。」があったり無かったりというのは僕の確認不足です。すいません。
274さん
初めての投稿で勝手がわからなかったので、すいません。
275さん
sageの説明とアドバイスありがとうございました。これからは気をつけたいと思います。
皆さんのアドバイスを踏まえて、また後日に改訂版と、今回投下し忘れていた後日談の方を投下しようかと思います。
その時はまた、よろしくお願いします
280:あしっど・れいん ◆M21AkfQGck
09/03/22 08:52:27 2U8fgkJ5
おはようございます。
とても短いですか……。
まぁ、ネタ系なので許してくださいwww
タイトル アッシュフォード学園のお弁当事情 ミレイ編
カップリング ライ×ミレイ
ジャンル お弁当事情(笑
では、投下します。
281:あしっど・れいん ◆M21AkfQGck
09/03/22 08:54:06 2U8fgkJ5
アッシュフォード学園のお弁当事情 ミレイ編
「はい。どうぞ~、ライ」
ミレイさんが、ちっょと大き目の可愛い包みを手渡してくれる。
その中には、大きめのランチボックスが入っていた。
「ありがとう、ミレイさん」
僕は、それを受け取ると蓋をあけた。
その中には、いろんな料理が色鮮やかに綺麗に詰められている。
「うわー、おいしそうだ」
思わず、そういってしまうほど見事なものだった。
「ふふん~♪ミレイさんの実力を思い知ったかっ」
鼻高々という表現がぴったりするほど、腰に手をやって元々大きい胸をより反らすミレイさん。
いやぁ、うれしいのはわかるんですけど、それは目の毒です。
勘弁してください。
そっちばっかりに目がいっちゃって困ります。
「んんー。ではいただきます」
胸から離れようとしない目線をなんとかお弁当に戻し、料理を食べ始める。
隣で心配そうに覗き込むミレイさん。
「お、おいしいっ…これ…ほんとにおいしいよ、ミレイさん」
僕の言葉に一瞬ほっとした表情を見せるものの、すぐにさっきまでの表情に戻る。
「うふふ…。どう、これで料理できないというのはガセだとわかったでしょう」
「うん。さすがだよ…」
食べながら、僕はそう言う事しか出来ない。
それほどうまいのだ。
夢中で食べる僕をうれしそうに見守るミレイさん。
おいしいお弁当にもありつけたし、うれしそうなミレイさんの笑顔も見れたし…。
それに…反り返って強調された胸も見れたし…。(これは…秘密だ)
ほんと、変な噂に感謝しないとな…。
そう思いながら食事を続ける。
なお、その変な噂とは、ミレイさんが味覚音痴で料理がまったく駄目というものだった。
誰が流したかは知らないが、いつの間にか広がり僕の耳まで届くようになっていた。
僕が何気なく聞いてみると、ミレイさんは完全否定し、明日お弁当を作ってきてくれるという流れになったのである。
ほんと噂のおかけで、得したな。
そう思ってしまう。
「ほんと、ミレイさんのお弁当、美味しいよ」
思わず、またそう言ってしまう。
「あはははは……。そんなに言っても何もでないんだから~♪」
真っ赤になって照れるミレイさん。
うんうん、かわいいなぁ。
なんか、もっと褒めたくなっちゃうじゃないかっ。
282:あしっど・れいん ◆M21AkfQGck
09/03/22 08:57:37 2U8fgkJ5
「どれも美味しいけど、特に味の染み込んだ肉じゃがとか甘めに味付けされた出汁巻き卵が絶品だね」
千葉さんが、この前作ってくれやつとは味付けが違うけど、これも美味しいや。
そんな事を思いながら食べていたのだが、ふと違和感を感じた。
なんか、ミレイさんの表情が急に戸惑っている様に見えたからだ。
なんか拙い事言ったかな……。
そんな事を思っていたら、ミレイさんが慌てて聞いてきた。
「ね、ねぇ、明日もお弁当作ってきてあげようか?」
「えっ、いいの?」
思わず聞き返す。
「もちろんよ。このミレイさんに任せなさいっ」
再び胸を反らすミレイさん。
本当に大きいよなぁ……。
今、ゆさって揺れたような……。
いかん、いかん……。
目線が胸に行ってしまうのをなんとか弁当に戻す。
そうだ。
どうせなら、リクエストをお願いしておこうかな。
明日も食べたいし……。
そう思って聞いてみる。
「じゃあ、また、肉じゃがと出汁巻き卵をお願いしていい?すごく気にいっちゃって……」
一瞬、ミレイさんの顔が強張ったような気がした。
そして、しばしの沈黙の後に、なんか覚悟を決めたような返事が返ってくる。
「う、うん。わかったわ」
どうしたんだ?
そう思っていると、いいにくそうに聞いてきた。
「ところで、どの料理かしら……。その肉なんとかとだせまけ卵って……」
ちゃんちゃん~♪
283:創る名無しに見る名無し
09/03/22 08:59:20 2U8fgkJ5
以上で終了です。
このネタは、他のキャラでもやってみたいかなとか考えてます。
そう、気が向いた時に……www
284:創る名無しに見る名無し
09/03/22 10:20:32 pnop27fx
>>283
GJです。いろいろ謎な部分があります。
一期でカレンの歓迎会、R2ではルルロロ無事帰還祝い(スザクの歓迎会と混同してるかも?)で
ミレイさんは料理上手のイメージを持っていた自分ですが、記憶違いかもと思い始めてます。
一期では使用人に、R2では結局指示だけしててルルーシュが大半を作っていたのかもと・・・
料理上手だけど、自慢したくて自分で噂を流した。肉じゃがと出し巻き卵だけ他の人に作ってもらった。
噂は真実で、弁当丸々、人に作らせた。
どっちなんだと? そして他の人って誰だ?(やはり咲世子さん?)
ともかく、新たなジャンルを開発した卿に、改めてGJ!
285:創る名無しに見る名無し
09/03/22 11:33:02 ZGQdfg0D
>>283
あしっど・れいん卿、GJでした!
真実は一体……というかんじの話でしたね。
こういう話もまた良いものだ。
というかライ、胸に注目しすぎだろ、どんだけ胸好きなんだよ。
……僕?
フッ、皆大好きだろう? おっぱいが!
おっぱい! おっぱい!
―っと、いかん。
寝起きで生の感情が剥き出しになってしまった。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
286:創る名無しに見る名無し
09/03/23 02:19:46 qNLV7iBR
えーこんな時間ではありますが35分頃に投下します
前書き・本文・後書きの全部で16レスです
287:創る名無しに見る名無し
09/03/23 02:23:06 iWjMch6H
了解です
288:創る名無しに見る名無し
09/03/23 02:25:23 flRwg9I2
支援します
289:ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
09/03/23 02:35:46 qNLV7iBR
どうも、夜分遅くにこんばんわ
お待たせしました(?) 今回は12話をお送りしたいと思います
【タイトル】コードギアス 反逆のルルーシュR2 RADIANT WORLD
【ジャンル】シリアス(長編)
【警告】ギアス篇&黒の騎士団篇の合いの子ルートの
ギアス篇ENDからスタートしています
R2の豪快なifルート&オリジナルのキャラ&メカが
登場しますので苦手な方は御注意下さい
290:創る名無しに見る名無し
09/03/23 02:36:24 J4fZl4kX
火力支援準備完了。いつでもいけます!
291:創る名無しに見る名無し
09/03/23 02:37:24 mETmisJg
支援
292:創る名無しに見る名無し
09/03/23 02:37:30 iWjMch6H
支援
293:ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
09/03/23 02:37:30 qNLV7iBR
失くしたものはもう戻らない。
それを知りながらも探し求めるは、それが大切だからこそなのだろうか。
その想いは織り上がる度に誰かを傷つけていく。
それは現在も綴られている物語のはじまりの一つ―――
ある一人の女性の生涯について少し語ろう。
彼女は古くからの高貴な血筋の娘として生まれる。
その家は脈々と異端の血筋を護り続ける家系でもあった。
『次代の継承は皇の者達であろう、だが血を絶やす事は許されん。海を渡れ、そして護るのだ―――』
彼女はその意を承諾した、しかし快諾はできなかった。
血を護る事に意味などないのにという想い。
その想いを抱いたまま海を渡るが、その目指すべき国でも同じ考えを抱く者はいる。
『我等も血を護らねばならん、生すならば彼奴に―――』
願いは届かず彼女は望んでもいない相手と婚姻する。
なにもない、唯々取り込まれていく生活。
その中でも彼女は宝物を手に入れた。
血は濃くなったのか薄まったのか、幸か不幸か、彼女の家が望んだ子は生まれなかった。
はじめはなにもなかったが我が子達と過ごす日々は彼女の生活の小さな輝きになる。
それすらも奪われたのもきっと我が子のせいではないのだろう。
『母上、僕はやっと母上達を護れる力を手に入れたんだ―――』
あの日、彼女が強く強く願った想い。
我が子だけには継承しないで欲しいと唯々彼女は願っていた、それすらも叶わないならせめて―――
『イ、生き……るのよ……』
我が子の頬に伸ばした手を優しくも力強く握る掌。
眼には涙が溜まっているのだろう、ぽたぽたと幾つも流れ落ちていた。
綺麗な色だと褒めた瞳の一つは忌まわしき赤き色に染め上がっている。
その眼を見て自分だけを責めてはいけない、今すぐそう言ってあげるべきだと彼女は想う。
だが、彼女の喉は言葉よりも違うモノを吐き出す事を望む。
それを叶えて彼女の生涯は終わった。
流され続けた女性の人生、流れていく幾人の記憶と願い。
それを知る魔法使いは記憶と願いを更に垣間見る。
『日本は……どうなったかしら……』
『どれだけ苦しかったか……生き続けるという地獄が……』
「願いは須く麗しき徒華、命は我等が臈たし種」
燃え盛る炎、立ち昇る煙、大地を染め上げる赤き奔流。
力強き王にその手で握り締めた剣を深く突き立てたまま、幼き王は涙すらも枯らしてただうなだれている。
地獄絵図の風景画、それと同じ風貌の風景画が幾多も飾られた世界。
その中に佇む影は一つにして背後に佇むは無数の仮面、無貌にして無限の集合体。
「世界よ、自らが孕み育てたモノに胎を喰い破られるがいい―――」
第十二話『過去 の 残照』
中華連邦の全土を巻き込んだクーデターが終わりを告げて以降、世界のバランスは変革の一つを確かに迎えていた。
オデュッセウスとの婚姻の破談、大宦官達の一掃による政変。
中華連邦の在り方が変わる様にルルーシュ達も変わっていく。
蓬莱島にいる一般人、黒の騎士団の存在定義。
その事の交渉を含めてルルーシュは洛陽の朱禁城に滞在していた。
ただ、目的は他にもある―――
「インドの独立と永世中立国化か。黎星刻、今回のクーデターは随分と根が深そうだな」
「否定はしないでおこう、理由はどうあれ結果はこれだ」
294:創る名無しに見る名無し
09/03/23 02:38:04 QS8g+6aT
しえん
295:創る名無しに見る名無し
09/03/23 02:39:01 iWjMch6H
支援
296:創る名無しに見る名無し
09/03/23 02:39:15 J4fZl4kX
支援開始
297:ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
09/03/23 02:39:22 qNLV7iBR
「インドについてはどうするつもりだ?」
「良い機会にもなる、天子様に出向いていただくつもりだ」
「では、護衛はこちらから出そう。君に交渉を担当してもらわねばならないのでね」
目的は徐々に達成しつつあるが少なからずイレギュラーも発生していた。
インド軍区の独立と中立の宣言、中華連邦の領土内での話とはいえ今回の問題は些か危うい。
黒の騎士団のKMFはインドを主に中東エリアから賄われている。
生産ライン等は中華連邦の幾つかの場所で補えるが肝心の技師達はそうはいかない。
ラクシャータが在籍してはいるものの主な製造工程に関してはインドのチームに依存しているのだ。
つまり、状況如何では黒の騎士団の新しい主戦力となる暁の配備が大幅に遅れかねない。
「扇、蓬莱島で斑鳩の補給と部隊編成をしてインドに行け。中華連邦での鎮圧行動もある、戦力配分に関しては藤堂との相談を忘れるな」
「わかったが……君はどうするんだ?」
「私には交渉の他に済ませておきたい用がある、それも中華連邦が草案を練る期間の間にな。当面の問題はないだろう」
「なるほど、それはわかったが用件は中華連邦内で済む事なのか?」
「ああ、少し探検をしてくるだけだからな」
ライ達を乗せたアヴァロン高速強襲型は一路ロシアへと艦を進めていた。
中華連邦での戦い以降、格納庫では慌しくもラウンズ専用のKMFチームが作業をしている。
ロイドやセシルといったキャメロットのチームもクラブの実戦データの処理に追われている。
対するパイロット達は穏やかなものだ。
ドロテアはヴィンセント・ウォードで得られた実戦データの吟味。
そしてノネットはライの部屋へと足を伸ばしていた。
撤退を済ませロイドやセシルと言葉を交わしてからは一度も部屋から出てこない少年。
ドアの前で彼女は少々悩んだが性分には合わないのだろう。
礼儀としての一応のノックをして彼女は部屋へと足を踏み入れた。
「疲れているみたいだな」
「それなりには……どうかしたんですか……?」
暗い部屋の中でライはベッドに寄りかかりながら床に座っている。
いつもと同じ顔、いつもと同じ声。
その彼から視線をベッドに向けて彼女が見たのはシーツが大きく波打った皺だった。
「……これからどうするつもりだ?」
「中華連邦での用が済めばインドの事で僕も出向こうかとは思います、シュナイゼル殿下は?」
「アヴァロンでカンボジアに行くそうだ」
「カンボジアに? ではインドには誰が……」
「エリア11に滞在している枢木達が代わりに出向する、行政特区の事で総督の手が未だに離せないらしいぞ」
独立と永世中立ともなれば後ろ盾は少なからず必要になる。
中立を謳うにしてもそれは他国との相互の保障があればこそだ。
先の戦いで中華連邦、というよりもインドが生み出したKMF。
紅蓮や神虎の力があればこその他国よりもKMF生産技術が秀でているという優位性。
それを盾にされてはブリタニアも黙ってはいられない。
再三にわたる黒の騎士団の行動、その原動力となるKMF。
現状でそれを一部でも抑えられるならブリタニアには願うべくもない。
「こんなところで降りて本当に大丈夫?」
「大丈夫ですよ、ちょっとした知的好奇心を満たすだけですから」
「好奇心、ね。君も僕の事は言えないんじゃない?」
「そうですね、否定はしませんよロイドさん」
一面が砂漠の中に風化しつつある遺跡が一つ。
そんな場所に興味がある事にセシルは少々疑問を持ったがすぐに払拭されてしまう。
彼女が出会った事があるラウンズのメンバーは例外なく変わり者だった。
他のラウンズより交流があるとはいえ、御多分に洩れずライも少なからずそうなのだろうと。
「クラブをお願いします、それとスザクにもよろしくと」
「ええ、わかったわ。インドでまた会いましょうね」
298:創る名無しに見る名無し
09/03/23 02:40:23 QS8g+6aT
しえん
299:ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
09/03/23 02:41:33 qNLV7iBR
離れていくアヴァロン高速強襲型を見送りながら彼は少々自嘲した。
知的好奇心という表現に関してだ、それが当たらずも遠からずな事。
それは好奇心でありながら欲求にも似ている、どこまでも醜く愚かしいという注釈がつく程に。
そう思いながら彼は遺跡の中へと足を進めた。
自分を待っているであろうV.V.がいる壁画の前へと。
「やあ、随分と遅かったね」
「色々ある、それより誰もいないのか?」
「僕以外はもう誰も残っていないよ、君の忠告通りにしたのに不満かい?」
「別になんとも思わないな、好きにすればいい」
周りの静けさに耳を済ませても彼の耳にはなにも聞こえてこない。
V.V.の言葉に嘘はない、それは確かなのだろう。
だが同時に不可解な事もあった、もう一人いるべきであろう人間がいない事だ。
「ジェレミア卿はどこにいるんだ?」
「彼には黒の騎士団のお仕置きを任せたんだ、君が不甲斐無いからね」
「言い訳はしない、しかしジェレミア卿は―――」
「調整は既に済んでいるよ、これを君に渡してくれと言った彼がしてくれたおかげでね」
V.V.から手渡されたディスクを見て彼は理解した。
ジェレミアを改造して自分の体を調整した人間がここに招かれたであろう事を。
「……始末するつもりか」
「さあ? どちらも僕にとっての不安要素にはならないんだけどね」
「相手次第、とでも言いたいのか?」
「そうだね、あまりに目障りなら―――」
諸共消す、そう言いたげな表情を浮かべてV.V.は彼を見た。
全てを満たす選択肢はない、だが最善を尽くす事はできる。
その不安要素が確実に増える中で彼は自分の余裕の無さを再度痛感した。
神根島に存在する同じ壁画が赤い光を放ちながらV.V.をどこかへと運んでいくのを彼は見届けながら思い悩むしかない。
(ニーナがいたんだったな……それにミレイさんも……)
壁画の前にあるサークルに体を預けて待ち人が来たる時を望みながら、ふと彼は自己嫌悪した。
ルルーシュ達に執心してニーナやミレイを心配できなかった事を。
目指すべき果てに辿り着くまでに幾多の人を傷つけるであろう事を。
その行動のなにが正しく、なにが間違いなのか。
歴史はかつての彼の行動を是とした、しかし今の行動に彼は疑問しかない。
(僕の願いは叶えるべきではない、か……)
『幼き王よ……お前は王になるべきではなかった―――』
蓬莱島での補給の間、そしてインドへ向けて出航してからもカレンは斑鳩内の自室から出なかった。
扇達は心配したがインドに向かう準備もあり誰一人として声をかける事はない。
それをする事ができたのが出航してからという事に扇は自身の無力感を痛感した。
だが、カレンだけがショックだったわけでもない。
大なり小なり他の団員もショックが表れていた、それもあり蓬莱島の一般人にはこの事実は伏せられている。
様々な現状を受け止める者、その一人であるルルーシュは扇にある事を頼んでいた。
「カレン、入るぞ」
閉じ篭り返事もしない彼女を気遣いながら彼は部屋に足を踏み入れて見たのは予想通りの現実。
そしてそ、うあって欲しくはない現実だった。
室内灯もつけずベッドの上で頭から上布団を被って彼女は視線すらも定めず空を見ている。
その現実の拒絶、現実からの隔離にも等しい空間と行動。
先の中華連邦での戦い、その戦いで砕かれたモノは彼女には耐え難いのだと言う様に。
「ライの自室を片付けたんだが……ゼロがこれを渡してくれとの事だ」
「……」
「どうするかはカレンに任せる、ここに置いておくぞ」
300:創る名無しに見る名無し
09/03/23 02:42:40 iWjMch6H
支援
301:創る名無しに見る名無し
09/03/23 02:42:53 J4fZl4kX
支援開始
302:創る名無しに見る名無し
09/03/23 02:43:24 QS8g+6aT
しえん
303:ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
09/03/23 02:43:23 qNLV7iBR
ノートPCを彼女の近くに置いて彼は部屋を後にした。
そうする以外の行動が思い浮かばなかったというのもある。
どう声をかけてやればいいのか、色々な事柄があったにせよライという存在。
かつてのルルーシュと同じく自分達を裏切ったという事実。
その結末を扇はどうしても認められない、それはカレンも同じだ。
一瞥もせず後退していくランスロット・クラブの背中。
そのいるはずのない実像に向かって彼女は渡されたノートPCを投げようとした。
しようとしたが、どうしても投げられなかった―――
『立ち止まってもカレンはちゃんと向き合っているんだろう、僕はそれを弱いとは思わないよ』
「なんなのよ……」
自分と向き合おうとしない彼、彼と向き合おうとする自分。
答えの無い答えを求める様に彼女はノートPCの電源を入れた。
起動した画面では素っ気のないデスクトップにフォルダが数個あるだけ。
彼の性格を生き写した様に無駄な物はなにもない。
その中のKMFというフォルダを開いた彼女の眼に飛び込んできたのは紅蓮と保存されたレポートファイル。
それはテキストで紅蓮可翔式のスペック、運用手段、用途、打開案、欠点をまとめた物。
そして解説用のボイスレポートも同時に再生される。
『紅蓮可翔式。カレンの実力と共に十二分で双方に問題はない、ただカレンの気性が心配ではある』
「これって……」
『暁や斬月、蜃気楼との連携を考慮すれば心配はないかもしれない。だが親衛隊隊長である以上は―――』
彼女や紅蓮の長所を丁寧にまとめて、不安要素も忘れずに注釈してボイスレポートは再生され続ける。
どうやら戦術プランも考えてあり仮想映像で彼女ではおおよそ思い浮かばない。
同時に考えていた動きをシミュレーション動画も再生していく。
その他の斬月や暁についても同様で、同じ様なファイルが存在している。
残っている他のフォルダを開けば騎士団における戦略論を細かにまとめたファイル。
存在するデータは全てが黒の騎士団がブリタニアに対抗する為の手段に関する物。
それを見た時、彼女は総領事館でライの月下の騎乗ログを見た時と同じ高揚を感じた。
その中でファイルの最終更新日に彼女がふと目を向けると、日付は彼が蓬莱島から発つ少し前になっている事に気づく。
『これで紅月も僕の秘密の共有者だな』
『カレン、君はライを信じているか?』
『少なくともあの二人は自分を、己の決断を信じているぞ。その結末がどうなろうとも』
「こんなモノがあるからって……なにを信じろっていうのよ……お母さん……お兄ちゃん……」
それからもカレンは部屋に篭り続けた、唯々ノートPCのデータを見つめながら―――
アッシュフォード学園ではミレイの帰国の報せで賑わっていた。
先の中華連邦のクーデターは他国の民衆であっても気が気でない事態だ。
それが一応の沈静が見えれば日常に戻る者も多い。
だが、戻る場所が曖昧なロロにはある種の圧迫感しかない。
「兄さんはいつ戻ってくるの?」
『インドの動き次第だな。心配するな、それ程長くはならないさ』
「そう……ライさんは裏切ったけど―――」
『問題はない、その時がくるまで放っておけばいいさ。ナナリーと同じくな』
ルルーシュがゼロへの決断を下して以降、彼に大きな変化はない。
しかし周りは静かに変化を続けていく、少なくともロロはそうだ。
通信が終わり学園地下に機密情報局が設けた司令室で一人、周りを見渡した。
ヴィレッタはライの副官としてラウンズに徴集、機情の指揮権を持つライも同様だ。
スザクはインドへの出向がある為にここは来ない。
これで学園はほぼ自由になった、と表現するのが正しいのだろう。
だが足りない、彼の中での自由という定義に対して不安要素はまだある。
それを確かめるかのように手で玩んでいた携帯電話の短縮に入っている番号を彼はコールした。
304:創る名無しに見る名無し
09/03/23 02:44:50 QS8g+6aT
しえん
305:ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
09/03/23 02:45:29 qNLV7iBR
「やあ、アリス。元気だった」
『……なんの用? こっちは忙しいんだけど』
「大した用じゃないよ、ナナリーは元気なのかなって思っただけ」
『あっそ、あんたが心配しなくても元気よ。それがなに?』
「別に」
短い通話、確かめたかった事は実にシンプルなものだ。
アリスがナナリーの傍にいるのかどうか。
(悔しいけど……アリスの力は僕と相性が悪い……)
閉じられた携帯電話につながっているロケットが静かに動きを止めていく。
(兄さんにとって大事なのはわかっている……)
偽りから真実に、真実は現実に、現実は―――
(でも、兄さんの邪魔になった時にはライさんに消えてもらうだけだ―――)
彼にとってはどこまでも遠く、甘く、切なく、そして儚い。
眠りの淵で彼の耳へ静かに音が響いてくる。
かつん、かつん、とゆっくりと確かに。
足音は二つ、彼が招いた人物達はようやくこの場所へと訪れた。
「……随分と早かったな、ルルーシュ」
「手筈を整えるのに相手にも色々と必要だろうからな、それにしても似合っているじゃないか」
「ん? ああ、ナイトオブラウンズの服の事か……月下と青月の事なんだが」
「問題ない、星刻が用意したルートを通して日本への輸送を頼んである。で、ここがお前の言っていた遺跡か」
「そうだ。これがギアスに関する遺跡、皇帝達はこれがある場所を重点的に侵略していた」
「同じ物が神根島にあったな……なるほど、これが真実の一つという事か」
ライが寄りかかるサークルを見据えながらゼロの仮面を外してルルーシュは壁画を見上げた。
一年前、神根島に存在する同じ壁画の前で彼は敗れた。
そうして幾つもの道を見て、幾つかの道を進み、今ここに辿り着いた。
「それで、誰もいないのか?」
「V.V.はどこかに本拠地を移したんだろう、残っている物もこれだけだ」
「光ディスクのデータだけ、か。ライ、本当に大丈夫なのか?」
「相手は僕を利用している、まだ大丈夫だよ」
ディスクを見つめるルルーシュから視線を変えてライは同行してきたC.C.を見た。
彼女は複雑そうに、それでいて確かな力強さを宿して自分と壁画を見ている。
恐らく考えがあるのだろう、そう思い彼は静かに答えを求めていく。
「壁画に触れてみるといい、君が知りたい真実がわかるかもしれない」
「かも、か。お前でも確証はないのか?」
「ああ。僕も何度かは試みたけど、どうも駄目らしい……」
静かに目を閉じてなにかに胸中を撫でられているのか。
その表情にルルーシュは黙って壁画へと近づいた。
蓬莱時での偽りの袂を分かつ際、ライは敵の下へと戻る時に幾つもの便宜を謀った。
ナナリーの保護、ラウンズの侵攻緩和、ギアスに関わる真実。
その一つであるギアスに関わる真実、C.C.が語らない真実。
それを知る日がようやく訪れたのだと彼は実感した。
「しかし、これでなにを知―――」
彼が壁画に触れた瞬間、壁画を中心に赤い光が遺跡中に拡がり彼をどこかへと連れ去っていく。
それを驚きもせず、ライとC.C.は黙って見送った。
幾つもの物語の一つ、その一つである彼の物語の転換期を見届けるように。
「これで良かったのか?」
「さあ、どうかな……」
感慨もない、ただあるがままだとでも言うように返事をするライへと彼女はゆっくりと近づいていく。
サークルに身を預けたままの彼を通り過ぎてサークルの反対側で彼女も身を預けて壁画を見上げた。
306:創る名無しに見る名無し
09/03/23 02:45:52 J4fZl4kX
支援
307:創る名無しに見る名無し
09/03/23 02:46:08 QS8g+6aT
しえん
308:ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
09/03/23 02:47:05 qNLV7iBR
「お前は私の願いを―――」
「知らない。だが、予想はできる……どうしても死にたいのか?」
「前にも言っただろう、私は長く生き過ぎた―――」
インド軍区の主要都市デリー、ここは地方を統括する軍区の中枢でもある。
そこにある中央政府庁舎には珍しい、しかしこれからは隣人の一つとなるブリタニアからの使者が訪れていた。
「では、マハラジャ氏としてはブリタニアからの要請次第ではKMFの生産にも協力をすると?」
「儂はそう考えております。あくまで市民や中立権を守って頂けるのであれば、ですがな」
「なるほど……概要はわかりました、数日中にインドとの外交担当も来ますの―――」
「失礼致します、マハラジャ様……」
「……わかった、迎賓室で待たせておれ。失礼、枢木卿」
「いえ、お気遣いなく。それでは到着の間までに草案の用意をお願い致します」
礼をしていそいそとマハラジャが部屋から出て行くのを見届けながらスザクはある人物の事を思い出してた。
桐原泰三、今は亡きキョウト六家の重鎮。
交渉事で相対したとはいえ、スザクはマハラジャに彼と同じ気配を感じていた。
桐原と同じ老人でありながら、その老獪から滲み出る気配は小物のそれとは明らかに違うと。
ただ、求めているところは明確だった。
市民とインドの存続、それは本音だと態度で終始表現していた。
(ライにある程度は習ったとはいっても……やっぱり大変だ)
「やっと出てきたな……もう終わったのか?」
「意外に暑い……」
「ああ、ごめんごめん。一応の話はもう終わったから、後はインドからの返答を待つだけになると思うよ」
ジノとアーニャは廊下で待っていたのだろうが、二人はマントを片手に持って汗を少々かいている。
政府庁舎の室温は空調で調整はされているものの、あくまでインドの気温に対して快適な室温というだけだ。
ブリタニア育ちの二人にはこの室温でも暑いのだろう。
「このタイミングで宣誓、それからブリタニアとE.U.に交渉か。相手も相当切れ者だな」
「黒の騎士団のKMFは確かに厄介……」
「でも、これでこちらも主要生産ラインの一つは抑えられるよ。それに……あれ?」
政府庁舎の廊下からは庁舎の庭が見えるのだが、スザクはその庭の噴水の側にいる人物達が気になった。
釣られてジノとアーニャも庭へと視線を向けて彼が注視した理由を理解する。
確かに注視する価値の人物達だと。
「紅月、少しは食事を取ったらどうだ?」
「……大丈夫ですから」
「紅月も自己管理位はできる。千葉も放っておいてやれ」
「しかし―――」
卜部はそれ以降は黙ってしまい政府庁舎へと視線を戻している。
カレンも持ってきたであろうノートPCにから視線を外そうともしない。
関係に軋轢が生じたわけではない、たった一人の人間がいなくなっただけだ。
そう、たったそれだけの事だとしか千葉に考える道はない。
「旗艦が入港しているとは聞いたけど……君も来ていたのか、カレン」
「っ……スザク」
「黒の騎士団のエース……紅蓮のパイロット……」
「太平洋での相手だろ。それにしても手配画像よりずっといいな、こういうのもタイプなんだ」
突如として三人の前に現れたナイトオブラウンズに身構えたが、相手は攻撃の意図を見せようとしない。
ただ、三者三様にカレンを注視している。
ジノは敵意よりも好奇心が勝っていると言う様に。
スザクは明確な敵対の眼差しを押し留める様に。
アーニャは冷たくもなにかを確かめる様に。
迎賓室の中には扇、神楽耶、天子、ラクシャータという異色の組み合わせでマハラジャを待っていた。
ただ、一様に無言で時計の針の音だけが刻々と時を告げるだけの空間。
その中でラクシャータは落ち着く事ができないのか、ソファーに座らず部屋を右往左往している。
その静寂に終わりを告げる様にマハラジャの従者がドアを開いていく。
309:創る名無しに見る名無し
09/03/23 02:47:11 QS8g+6aT
しえん
310:ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
09/03/23 02:49:11 qNLV7iBR
「マハラジャのジジイ!」
「ラクシャータ! お前はまたその様な―――」
「よい、いつもの事ではないか。そして当然の怒りであろう」
悠悠自適な立ち振る舞いをしてはいるが、その行動には傲慢よりも尊厳を晒してマハラジャはソファーに腰を掛けた。
そこから座っている三人と詰め寄ろうとしたラクシャータを一瞥するのを見て彼女も渋々とソファーに腰を下ろす。
ただの口論では折れないと態度で示されてしまったからだ。
「中華連邦の代表である天子様まで来られたのは意外ですな、それに皇の姫君まで」
「あ、あの……どうしてあの様な宣誓を……?」
「先日のクーデターが起きた同じ理由、我等も傀儡政権を良しとは思わないのですよ」
「その表現だとゼロ様の行動が遺憾だと言いたそうですわね」
「皇姫、ゼロの妻を名乗る貴方は同意すると?」
「当然ですわ」
「国の為ならばその身すら捧げる。なるほど、御立派ですな」
「……流石はマハラジャ様。ですが、それも国を思えばこそですわ」
「ならばこそ我々も志は同じ、ゼロは余りにも戦火を広げすぎる」
ゼロであるルルーシュが行なった行動、それに誰もが同意するとは限らない。
民衆にしても争いを好き好んでする者などそうはいない、それは彼も同じだ。
「ごめん、二人っきりにして貰えないかな」
「別に構わないけど……」
「先に口説くなよ~」
ジノの本気か冗談かの判別がつかずスザクは苦笑いしながらジノとアーニャの二人を下がらせた。
彼はそのまま相手側の千葉と卜部にしても同様に下がってもらうようにと視線を向ける。
その眼には敵対、敵意、を含む意思を彼は覗かせていない。
今のインドは中立であり荒事は早々できない。
お互いが示し合わせたかのようにゆっくりと離れていき庁舎の庭に残された二人。
「君がいるという事はゼロも―――」
「いないわよ。ついでに言っておくけど、今の居場所も知らないから」
「そうか……」
「用件はそれだけ? 悪いけど私はあんたと話す事はな……いいえ、あるわ」
「日本の事か、それともゼロ?」
「それもあるわね、けどもう一つ。ライの事よ、新しいナイトオブラウンズのね」
静寂に包まれた二人はサークルを背に違う方向を見ている。
ライは腰を下ろして眼前に広がる遺跡内の建造物を。
C.C.は悠然と立ったまま眼前に聳え立つ壁画を。
「……なら、どうしてブリタニアから離れたんだ。死を得るだけならブリタニアでもできただろう?」
「そうだな。だが、それではマオを救えなかった」
「それが袂を分けた理由なのか」
「もういいだろう。マオを救えず、願いも叶わずに終わった過去の事だ」
生きてきた数々の時代の事、忘却の積み重ね、それ等を経て彼女はこの壁画の前へと辿り着いた。
結局、彼女は忘れたのではなく忘れたかっただけなのだ。
自分はなにをしても変えられないという現実、呪いと表現した女性から受け継いだ運命の流れ。
それに抗う想いと力、そして自分という存在にピリオドを与えてくれる人物。
その一人である少年は彼女と同じく幾多の過去を超えてここにいる―――
「また少し薄くなったな……」
「いつもの事だ、もう慣れたよ」
「ふっ、強情な男だ。それにしても……私もようやく得る事ができるのだな、自分自身のピリオドを」
壁画を見つめるのを止めて振り返った彼女は手を伸ばして彼の頭を撫でていく。
彼女が覚えている限りでは彼の髪の色は混じり気のないアッシュブロンドだった。
しかし今は明るさが少し増しておりシルバーブロンドと言うのが正しいかもしれない。
311:創る名無しに見る名無し
09/03/23 02:49:18 QS8g+6aT
しえん
312:ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
09/03/23 02:51:12 qNLV7iBR
「なぜ今更―――」
「事態は私にとっても傍観していられなくなったからだ、今全てを失うわけにはいかない」
「そうしてルルーシュに託す、か」
「いいや、あいつでは荷が勝ちすぎる。だからこそ―――」
「僕に継承する気か、その永遠を?」
「お前はまだ死ぬべきではない、世界にとってもあいつにとっても」
サークルが蠢くように赤き光を放ち、その輝きで彼女の体を染め上げていく。
呪いの証である紋章も呼応して彼女の額に浮かび上がる。
ようやく、ようやく手に入る、その充足感にも似た感情の中で彼女は彼へと手を伸ばして―――
「……どうやら来客のようだ、この話はまた後にしよう」
その手をすり抜けて彼が立ち上がると共に赤い光は消える中、彼は暗闇の中に視線を漂わせた。
背中を向けている彼、その背中に彼女はいつかの景色を思い出す。
見送るだけに終わった、淡い憧憬を重ねた景色を。
その場へ足音が一つ、また一つと二人に近づいていく。
「見慣れぬ顔だが……その服、ナイトオブラウンズの者か?」
「そうです。そして御初に御目にかかります、コーネリア・リ・ブリタニア皇女殿下―――」
「これは……なんだ、ホログラムの類か?」
「驚いたな、まさかこんな無謀な事をするとは」
「っ誰だ!?」
「誰、か。随分と無意味な質問をする子だ」
浮遊神殿の様な場所に誘われたルルーシュ。
そこで彼が出会うべき人物をライはシャルルかV.V.を想定していた。
だが、事態は彼の思惑を既に外れている。
彼の前に現れたのはフードで全身を被った正体不明の人物。
「言語変換が上手くいかんな……思考エレベーター、ラグナレク、アーカーシャの剣―――」
「なにを言っている!」
「……そうか、この子も落胤の大切な一片か」
「おい、人の話を―――」
「そう急かすな、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアよ」
中性的な声でルルーシュの名を口に出して制止させた人物。
性別も年齢もその全てを悟らせない、強いて言えば―――
「子供……なのか、お前は?」
「子供か、その表現が正しいかの判断は委ねよう」
「その雰囲気、C.C.に似ているな……ライにギアスを与えた奴なのか?」
「認識が違うぞ。私は開花させただけだ、あれは元来―――」
「生まれ持った力とでも言う気か」
「当然だ。今は絶えた存在。継承者にして依代。力の器」
言葉を繋いでいく人物が語る度に世界は移り変わっていく。
ある時は遥か遠い時代の草原。
ある時は荒廃したゲットー。
ある時はアリエスの離宮。
そうして世界は無数の歯車が広がる場所へと辿り着く。
「あれは世界の真理、そして世界の真実の姿とは―――」
「な、んだここは……それにこれは!?」
胎動し続ける歯車の音は心臓の音に似ておりそれはルルーシュに不快感を超えて恐怖を掻き立てる。
その音と共に無数の仮面がフードの人物を中心にして姿を見せていく。
313:創る名無しに見る名無し
09/03/23 02:51:23 QS8g+6aT
しえん
314:創る名無しに見る名無し
09/03/23 02:52:56 J4fZl4kX
支援
315:ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
09/03/23 02:53:06 qNLV7iBR
「くっ、お前は一体なんなんだ! ギアスとは―――」
『嘘を着飾る者が真実を望むのか、その偽りの名でなにを手にしたのだ?』
「なにをだと!? 力だ! あのままでは得られなかった軍隊、部下、領土を―――」
『その為にユーフェミアを喪い、スザクやナナリーには真実を自ら明そうともしなかった』
『ありのままでいたい、自身を理解してもらいたい』
『そう望みながら嘘を着飾る、そそうしながら真実の欲求をするなどと』
「ここは相も変わらずか、口だけはよく回る。その実、なにもしようともしてもいないのにな」
無数の仮面、それと共に己の幻影が話しかけてくる現象。
ルルーシュはパニックを抑えて対応しようにも状況は不可解すぎた。
だが、それに終わりを告げたのはフードの人物だった。
一声と共に耳鳴りにも似た声は止まり、ルルーシュは元凶とも捉えられる人物を見据える。
解答があるとすれば、問い詰めるとすればこの人物しかいないと。
「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアにも仮面があるのだろう、ゼロという仮面が」
「当然だ、人は誰でも嘘をつき生きている。俺もそれに倣っただけだ!」
「それでなにをしてきた、なにをしている。知りうる限りでは―――」
「このままでは国家間の垣根を超えるものになりましょう、それは望むところではない」
マハラジャは苦渋の色を顔に浮かべて扇達を見渡した。
インド軍区も一枚岩ではなく連邦からの独立を望む者と望まぬ者の両方がいる。
しかしマハラジャは独立を望む側だった、しかしそれはこういう形ではない。
「このまま協力を続けても中華連邦からゼロへと変わるだけ、それでは意味がない」
「それは……マハラジャ氏の言い分はわかりますが、だからってなにもブリタニアでなくても―――」
「扇、といいましたな。民を守る為にも今はこれしかない、聞けばブリタニアでは行政特区を再度施政しておるそうですな」
「それは存じておりますわ、ですが私達はあの様な―――」
「わかっておりますよ。ですがな、民を戦場へ駆り立てる国に未来はあるとお思いなのですかな天子様?」
「そ、それは……その……」
ルルーシュの取った行動、それはいずれ戦う術を持たぬ者。
つまり一般人を鑑みない戦いを強いる事になる、それは既に行なわれてしまったのだ。
「我々の協力はナリタ連山からでしたな、あれからの戦果は確かに素晴らしい。ですが被害はどうです、あれから何人の民が死にましたかな?」
戦争に犠牲はつきものかもしれないだろう。
だが無闇に、無作為に出すものではない。
マハラジャはそれが気懸りだった、ブラック・リベリオンにしても黒の騎士団の再編にしても。
その考えに同調、酷似しているスザクもまた気懸りだった。
「ライの事? なぜ君が彼を気にかけるんだ」
「中華連邦で戦ったから、だけじゃ不満?」
「少しね、それに君にとってはどうでもいいんじゃないのかい」
「どうしてそう思うのよ」
「君はゼロを信じているんだろう、利用されているとわかっていても」
スザクにとってゼロという人物像は使えるもの全てを利用する策略家。
そしてスザクにとってライは同じ様な人間だ。
しかし明確な違いを彼は身近で見た、だからこそカレンが気にかけるというのは不思議だった。
「そうだね……ライは利用できるものは利用するような人だ。でも、それは守る為にだ」
「だからなに、ゼロだって―――」
「ゼロは過程で必要なら全てを壊そうとした、でもライはそれも守ろうとした」
「守るですって? 日本を売った人間が言う台詞?」
「そうだよ。僕は過ちを犯した、そして自分のルールも破った。だから言う資格はないかもしれない」
「なによ、それ……」
「僕もゼロも同じだ、結局壊す事しかしていない。だけどライは違う、僕にもう一度信じてみようと思わせてくれた」
「笑わせないで、なにが信じられるって言うのよ。大体―――」
「彼はハーフだ、君と同じ。それでも彼はブリタニアの中で戦い続けてきた、相手のルールの中で」
316:創る名無しに見る名無し
09/03/23 02:54:10 QS8g+6aT
しえん
317:ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
09/03/23 02:55:12 qNLV7iBR
カレンの知らないブリタニア軍でのライの戦い、スザクの知らない黒の騎士団でのライの戦い。
二人の見てきたライという少年の遍歴、それが二人の彼に対する信頼に明確な差を生む。
スザクは理想の影を背負い続ける姿を、カレンは理想の果てを求める姿を。
同じ理想を目指す二人が見たのは表と裏、だがそれはどちらも彼の真実の姿だ。
「君の考えが変わっていないのはよくわかったよ」
「違うわ。私は認められないだけよ、こんな世界を……」
「僕も同じだ、でも君達のやり方はやっぱり認められない」
想いは同じだとスザクは言う、それにカレンも少しは同調できる。
だが生きる世界も見える景色もこれ程までに違う、だからこそ二人は未だに相容れられない。
「なぜラウンズがここにいる?」
「殿下と同じですよ、ギアスについて少々調べていただけです」
「なんだと?」
コーネリア・リ・ブリタニア、ブラック・リベリオン以降は行方を知られる事が無かった彼女。
服も以前とは違い、皇族憮然というよりも一介の騎士のそれに近い。
左腕にはギブスらしき物が付けられている。
それを見ながらライはノネットから彼女の行方不明になった話を聞かされた時からある答えを抱いていた。
もし彼女がゼロの正体がルルーシュだと知っているとしたら―――
「殿下は全てを白日の下に晒してゼロに復讐をするつもりですか?」
「……貴公がどこまで知っているのかは知らん、だがその答えは少し違うぞ」
「と、言いますと?」
「ギアスなる卑劣な力、それを我が血族の者が使った。そして―――」
「ユーフェミア皇女殿下を操り、それを理由にして彼女を撃った」
「その通りだ、私はそれが許せん」
「それが皇族としての責務を放棄してまで追いかける理由ですか」
コーネリアという皇族もまた人間だ、しかし誇りは今も尚ある。
だからこそだろう、こうまでしてギアスの真実を知ろうとしている。
しかし、世界と違い真実は人に優しくはない―――
「なるほど、ですがその果てには皇帝陛下を討つ事になりますよ」
「……父上をだと?」
「ユーフェミア皇女殿下を撃ったのはゼロです、しかし事のはじまりの一人は皇帝陛下です」
「な、にを……貴公は一体―――」
「私が話す事を公言しないと言うのであれば知りうる真実を話しましょう―――」
真実を知り偽りの仮面つける者、真実を知らず真理を追い求める者。
しかし、幾多の願いが集結する園に招かれたルルーシュは自身を追い詰められていく。
「破壊、それに尽きる。だから知らない、知りえない。あの者達の真なる願いを」
「願い……っ、お前はC.C.の願いを知っているのか!?」
「知っている、と言うのは語弊があるとは思うがな。簡単な摂理だ。死、自身の生の終わり」
「死ぬ事……だと……待て、お前は今―――」
「そう、落胤もまた死を欲している。言葉に出さなくとも心の奥底で願っている、自身の終わりを」
フードの人物が語る、二人の願いの終局にあるのは死だと。
しかし、それは当然の事だ。
生きていればいずれ死は訪れる、だが二人はそれを待とうとはしない。
自らをそこへ導かれたいのだと。
「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアよ、生きる理由はあるか?」
「……ある、俺にはやらなければならない事が……そして守るものが」
「その為に犠牲を出した、そしてこれからも出すだろう。その中に二人も入る事になる」
「そうはさせない、これ以上はそうしない。そのために俺はこの力を―――」
「あくまで逆らうか、ふっ……そうか」
318:創る名無しに見る名無し
09/03/23 02:55:22 QS8g+6aT
しえん
319:ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
09/03/23 02:57:36 qNLV7iBR
ルルーシュの答えに満足したのか、それとも呆れたのか。
フードの人物が振り返るのに合わせて世界は輝きを増して彼の視界を光が満たしていく。
その光に彼は懐かしい思い出の輝きを見る、それが破滅を招く証だとでもいうように。
「随分と饒舌に話したな」
「これでコーネリアは迂闊には動けなくなる。でもバトレーのところに辿り着き、そしてルルーシュの行動次第では動くかもね」
コーネリアにライが話した内容、シャルルがギアスを保持している事やギアス嚮団との繋がり。
ブリタニアの侵略の裏に潜む真の思惑、それがギアスに関わる事。
その真実に近いのはバトレーだと彼は教えた、しかし代価も無く彼は教えたわけではない。
バトレーは今本国にいるであろう事を付け加えた時に彼はある条件を出した。
ルルーシュの行動を傍観して欲しい、その条件にコーネリアの表情は陰りを覗かせるも了承する。
本国に戻るにも手間は要るだろうという事でノネットに便宜を図る、その申し出の意図。
結局、彼女は知りえた事と見えない真実を抱えてこの場を離れる事になった。
「C.C.の事を問い詰められるかと思ったけど、まだ知らないみたいだな」
「どちらでもいいさ……」
「それもそうだな。そろそろ行くよ、インドの事が気になる」
「待て、まだ私の―――」
「君の願いは違うはずだ、僕には君が死を望んでいるとは思えない」
視線を交わす事もなくライはC.C.の横を抜けて壁画へと近づいていく。
その態度には聞く耳はないとでも言うように。
二人は目指すところは同じかもしれない、しかしお互いの道を違えた。
それは傍観者と介入者という立場を選んだ故かもしれない、それでも―――
「お前も私の願いを叶えてくれないのだな……」
「君の本当の願いはルルーシュが叶えてくれるさ。それに言った筈だ、人は変わり変われると」
「そうだな、そういうお前は確かに変わったよ。だが……その果てになにを望む?」
「それを探しているって事にしておくよ」
壁画が赤色の輝きを放ち彼を戻るべき戦場へと導く。
それを彼女はまた見送るだけに終わった。
「幻想に……過去にしがみついてお前はなにを……」
彼女は彼を見送るだけ、そして彼女は待ち続けた。
「ここは……戻ってきたのか?」
「戻ってきたか。で、誰がいたんだ?」
「あ、ああ……ライはどこだ?」
「行ってしまったぞ、お前との約束を守る為に」
「くっ! C.C.今すぐライを追え、あいつを放っておくわけにはいかなくなった」
「どうしたんだ、なにを慌てている?」
「なんでもいい、今すぐ追え! 俺は中華連邦との会談を早期に済ませてくる!」
焦りながらもルルーシュはC.C.にライの追従を要求した。
その行動に彼女はなにかが違うと感じた。
それは出会うべき人間に出会わなかったとでもいうようだと。
「ルルーシュ、お前は誰と会ったんだ?」
「ライの契約者だ、あいつはライの願いが死だと言った。そしてお前も望んでいると」
「ライの? ……いや、それよりも私の願いを聞いたのか?」
「あいつはそうだと言った……C.C.、まさかお前―――」
「そうだ。私の願いは私自身の死だ、だがライに否定されてしまったよ」
「当たり前だ! 言葉遊びのような事を望んでどうする、それだけの人生に意味などないだろう!」
C.C.の願い、ライの深層意識にある願い。
それをルルーシュは受け入れられないと強く言い放った。
しかし、それは彼女にとってはもう忘れてしまった感覚でもある。
320:創る名無しに見る名無し
09/03/23 02:59:20 J4fZl4kX
支援
321:ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
09/03/23 02:59:32 qNLV7iBR
「では、お前は死のない生に意味はあると思うか? 私は思わないな、それはただの経験と同義だ」
「だとしてもだ。それでも理由はあるはずだ。生きる事に、生まれてきた事に」
「それが奪い続けてきた人間がいう言葉として正しいのか、お前は証明でもする気か?」
「してみせるさ。俺が戦う意味を、お前達の意味も。そしてナナリーの願いもだ」
「そうか……しかし、ライの願いも死というのは一体―――」
相対する二つの組織が中立である場所で出会ってから二日が経過した
その一つはインド軍区に寄港しているアヴァロン高速強襲型、その格納庫でスザクはランスロットを見上げている。
横には先程までランスロット・クラブが待機していたのだが今はインド軍区のドックへと移送されてしまっている。
整備員達も忙しなく右往左往しておりトリスタンとモルドレッドの整備も並行しているようだ。
「スザク君、こんなところにいたのね」
「セシルさん、どうかしたんですか?」
「アルビオンのシミュレーションデータが届いたの、一度目を通してもらえるかしら?」
手渡されたファイルのデータに目は通してみるものの、スザクの頭には中々入ってこなかった。
本国から通達された作戦、そしてカレンとの会話が気になっている。
通達された作戦もそうだが、彼女の意思に変化は無くとも態度の差異が気懸りなのだ。
「どう? これでもエナジーウイングの最終調整がまだだから、あくまで仮想性能になるわ」
「凄いですね、これ……」
「あは~それも彼のおかげなんだけどね~」
「ロイドさん? 彼ってライがですか?」
不意に現れたロイドに二人は驚いたものの、慣れてしまったのか然程驚きもせず流していく。
だが、スザクには気になる点があった。
それはライが新型のランスロット、ランスロット・アルビオンの建造に一役買っているという点だ。
「クラブでの戦闘データなんだけど試験機だから一杯取れてね~」
「そうしたら趣味の世界にちょっと入っちゃって……」
「趣味って……それにこれだと量産には―――」
「不向きだね~ま、どっちでもいいよ。君達なら乗りこなせるだろうからね~」
鼻唄をしながらくるくるとランスロットの周りを回るロイドにセシルがあれこれとアルビオンについて話をしている。
その内容は一介のパイロットには最早未知の世界の会話だ。
それを見ながら近づいてくるジノとアーニャに手を上げて彼は声をかける。
「なあ、この作戦本当にするのか?」
「今の指揮権はスザクに移った……どうする……?」
「ライが外交しているけど、どうだろうね。どちらにしても海上での迎撃戦になるよ、ここじゃ僕達は動けない」
本国から通達された作戦、それは斑鳩の撃沈命令だった。
しかしインド軍区では行動はできない、今はブリタニアと友好的な関係である以上はだ。
その為、現場の判断に任せるという大雑把なものでもあった。
「通常の命令じゃない……」
「どこから出されたんだか、なあ?」
「陛下の近辺じゃないのかな……って、カレン?」
携帯を弄りながら話しているアーニャに視線を向けた時、スザクは見慣れた顔が画面に映っている事に気づく。
撮影したのは政府庁舎の庭で話した時だろうとわかるのだが、なぜ撮ったのかが不思議だった。
「ちょっと気になっただけ……」
「そうだよな~あの紅蓮のパイロットなんだろ。だったら気にもなるさ、それに結構タイプだったしさ」
「そういう事じゃない……」
「ジノ、君はまた……そうか、あっちにはカレンもいるんだったね」
スザク達が撃てと命じられた敵、その旗艦である斑鳩。
斑鳩もまたインド軍区に寄港している、それも目と鼻の先にだ。
その斑鳩の格納庫も忙しなく人が動いている。
出航するという事もあり整備員達はKMFの整備に余念がない。
「卜部は出会い頭に攻めてくると思うか?」
「わからん。だが、この状況で手を出さんとも考えられん」
「KMFの数はほぼ同数か、しかし紅月は大丈夫なのか?」
322:ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
09/03/23 03:00:30 qNLV7iBR
千葉が紅蓮へと視線を向けたのに倣って卜部も視線を向ける。
カレンはインドに来てから部屋でノートPCを弄っているか紅蓮の中に篭るを繰り返していた。
なにかに執り憑かれたように、ただそれだけをしていた。
そして今も紅蓮に篭ってなにかをしており斑鳩に戻ってきていたC.C.はそれを眺めている。
「……なんか言ったら?」
「なにか」
「……あっそ」
「ふぅ……まったく……」
信頼を見失った者、願いを見失いつつある者。
所以、今の二人は似た者同士だ。
だからこそこうしているのだろう、言葉も無く視線を合わす事も無くただ沈黙して。
「ねえ」
「なんだ」
「ラクシャータさん、何処にいるか知らない?」
「政府庁舎だろう、呼ばれていたからな」
中央政府庁舎の迎賓室には二人の人間が黙って座っている。
言葉を切り出すべきか、そんな事を思いながらラクシャータはマハラジャの顔を見た。
彼女が覚えている時よりも皺が増え厳格な風体も今は老人憮然としている。
「覚えておるか、お前がブリタニアへ留学しようとした時の事を」
「忘れるわけないでしょ。周りは大反対、賛成したのはマハラジャのジジイだけ」
「あの後は酷く責められたものでな。だが、ああして良かったと今でも思っておる」
「勝手に飛行機やらを手配した人間がそんな事言うわけ?」
ラクシャータはかつてブリタニアに留学していた。
その時にロイド達と出会い、KMFや医療サイバネティクスの躍進にも一役買っている。
だが彼女の留学をよしとする者は少なかった、彼女はインドで比類なき才覚者だったからだ。
だからこそマハラジャは強引に留学させた。
「夢の意味。秋雲の影響。女の考えと王様の本性は誰にもわからぬと言うであろう?」
「よく聞かされたわ~それ」
「どれ程うねりくねろうと川は結局海に流れ込むともな、儂は今回の選択も正しいと思っておる」
「それで平和に繋がるなら人は争わないでしょ」
この話題、そして今回の中立宣言。
それを散々と二人は話し合った、これ以上は語る事はない。
志す場所は同じでもその為に選ぶ手段は幾つもある。
それが違うだけだった、そういう事だろう。
そんな考えを抱きながら彼女はソファーを離れ部屋を出て行こうとする。
「……ところでさ、裏には誰がいるわけ? マハラジャのジジイだけの考えじゃないでしょ?」
「なぜそう思うのじゃ?」
「この一年の間にさ、黒の騎士団についての意見が分かれていたのが急になくなったら不思議に思うのは当然でしょ」
「それもそうじゃな。とはいえ儂も正確な正体は知らぬ、名もディープ・スロートとしか名乗らんかったからのう」
「ディープスロート、ねぇ」
彼女の中で不思議とその名の意味を反芻してしまう。
ディープ・スロート、その名が示す通りなら随分と皮肉な名前だと。
「ブリタニアの戦艦はまだ追ってきているのか?」
斑鳩が出航して以降、扇はアヴァロン高速強襲型が追跡する事に不安が止まらなかった。
オペレータ三人が現在位置、通過地点、敵艦の現在地を告げていくのを聞きながら彼は判断に迷う。
カレン達がナイトオブラウンズに出会ったという情報、つまり相手には三人のラウンズがいるという事。
323:創る名無しに見る名無し
09/03/23 03:00:51 J4fZl4kX
支援
324:ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
09/03/23 03:02:07 qNLV7iBR
(こちらの戦力は限られている……でも相手はエースが三人、数は同じでも―――)
「扇さん、このまま海に出ましょう。相手も陸地の間は手を出してこないでしょうし」
「カレン!? しかし、それだと……」
「陸地伝いじゃ帰港が大幅に遅れる、だったら相手が動くかどうかを判断するのにこっちがあえて海に出ればいいと思う」
「カレン、お前……」
「私は紅蓮で待機してるから、それじゃ」
「頼りになりますわね、カレンさんも。扇さん、どうされます?」
「うーん……仕方がない、確かに手を出すとも限らないでしょう。よし、斑鳩はこのまま海上へ移動だ」
斑鳩の針路変更のアナウンスが流れる中、更衣室でカレンはパイロットスーツに着替えながら頭の中で考えをまとめていく。
敵の数は恐らく三、こちらはC.C.が戻ってきた事で飛翔できる機体は四。
数で圧せるだろうが相手の実力は侮れない、ましてやこちらには―――
「出撃する気か?」
「戦闘になったらね、相手の出方次第よ」
「随分と手慣れた事を言うな、まるでラ―――」
「それ以上言わないで! 裏切った人間の名前なんか……」
「……だが、そういう判断を下せるようになったのはライの残した物のおかげだろう?」
「わかってるわよ……でも、聞きたくない」
「そうか、受け止めているならいい。だが、もう手は貸してはくれんのだろうな。私にもお前にも……」
『斑鳩はまもなく海上へ出ます。卜部機、紅月機、C.C.機、千葉機はスクランブルの準備を。各団員も所定位置への移動を』
アナウンスと共に斑鳩艦内に緊張が張り詰めていく。
アヴァロン高速強襲型が動くかどうか、カレンにはスザクがどうするのかが判断しきれなかった。
そしてスザクも同じで行動を見送るかどうかを迷っていた。
「どうする……?」
「相手は海上に出たぜ、あれだと誘ってるんだろうな」
「わかってる……」
「アヴァロン高速強襲型もまもなく海上へ―――」
斑鳩が海上に出て数分、これ以上静観すれば相手は加速して追跡戦に移行していまう。
攻めるべきか、傍観するべきか。
今にも迫る海辺、その判断をスザクが下そうとする中で迷い無く進む者は止まろうとはしない。
『オールハイルブリターニアッ!』
『こ、高熱源反応!?』
斑鳩とアヴァロン高速強襲型が同時に発見した反応は砂の大地を切り開いて大空へとその姿を現した。
KGFジークフリート、ジェレミア・ゴットバルトが駆る魔弾の射手は再び彼等の前に姿を曝け出していく。
「黒の騎士団、貴様達にはここで潰えて頂こう!」
歯車ががたん、がたんと音を立てて時を刻む世界。
その中でフードの人物は無数の仮面を背に佇み続けている。
『枢木よ、私は海を渡ります。貴殿の血も絶やさぬようにという当主の言葉もあります』
「願いは徒華、決して咲く事はない」
『に、いさ、ま……だい、じょ、ぶ、だよ……』
「しかし芽吹く時は訪れよう、今はまだ見えなくとも」
眼前に拡がるのは草原、かつて見たであろう景色。
その草原に吹き荒ぶのは風、その風がフードをたわわに揺らして人物の顔を晒していく。
髪の色は混じり気のないアッシュブロンド。
顔立ちは子供、それも少年そのものだ。
その閉じられていた双眼の瞼から深い色の碧眼を覗かせて少年は囁く。
「世界よ、なぜ人に魂という供物を与えたのだ―――」
彼の眼前を馬が駆け抜けていく、その馬上には少年が跨っている。
その背でかつて王はそこにいたのだと語るように。
325:ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k
09/03/23 03:02:55 qNLV7iBR
以上です
えー前回の本編に続きブッチギリなIF展開の連続で申し訳ないです
それと同時に少しづつ色んな事が見えてきたと思ったら見えなくなったりで先行き不安な感じですね
各自好き勝手に病んでおりますが元気になる日は……くるよ?
そんなこんなで次回は前日譚三話です
一周年記念に特になにもお届け出来ない事を先に謝罪しておきます
申し訳ないです、ただ違う場所で遅れながらでも一周年記念品を
笑顔で投下したいと思います
では、失礼しました
326:創る名無しに見る名無し
09/03/23 03:03:57 J4fZl4kX
支援
327:創る名無しに見る名無し
09/03/23 13:26:31 mETmisJg
>>325
ぷにぷに卿、GJでした!
なかなかのボリューム、大変読みごたえがあり、良かったです。
結局、このライはどの勢力に属しているのか、あるいは属していないのか……
そして、大地を貫き現れたジークフリート!
ジェレミア卿ktkr
……ジークフリートは地中に潜れるのか?
―はっ、まさかドリル!? 新武装・ドリルなのか!?
貴公の次の投下を全力を挙げて待たせていただきます!
328:創る名無しに見る名無し
09/03/23 14:47:30 eGXhrHf3
誰もいないかなー?
いませんよねー?
いないならー
投下しちゃいますよー
329:BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y
09/03/23 14:55:47 eGXhrHf3
■タイトル:ライの固有結界FFX
■本文7レス
■元ネタは某動画のアレ
■某職人氏とのチャットリレーを元に書き起こしました
■このSSに限ってはライのCV保志某さんで
■大注意『このSSはみなさんの正常な精神とライのイメージを汚す恐れがあります。その点についてよく考えてからどうぞ』
■筆者にカミソリはおくらないでください
330:1/7 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y
09/03/23 14:56:47 eGXhrHf3
世は事もなく、クラブハウスは今日も平穏無事だった。
「やっほ、カレン。今日は出席できたのね」
「あ、会長。えぇ、今日は体調がよかったので」
ばったり出会ったその場所はクラブハウス、生徒会室の扉の前。
カレンがドアを開け、ミレイがくぐる。
特にどうということもない、当たり前の生徒会室の日常であった。
「ううーん」
部屋に入った二人がまず見たのは机につっぷすシャーリーの姿。聞こえたのはそのシャーリーのうなり声。
雑誌。
机の上に広げられた雑誌を見て、シャーリーがうなっていた。
「どうしたのよ」
疑問に思い声をかけるミレイ。
すると待ってましたとばかりにシャーリーがそちらを向き、語りだした。
「これ見てくださいよっ。女の魅力は胸の大きさに比例するって書いてあるんですよっ!」
雑誌を広げて見せる。
それはよくある少女向け雑誌の特集記事だった。
『あぁ、よくあるよくある』
ミレイ自身興味がないではなかったが、少女という年でもあるまいしと読もうとしたことはない。
「バスト☆マニアックス」
それがその特集記事のタイトルだった。
大変ですよぅ、胸の大きさで女の価値がきまっちゃうなんてぇ! とシャーリーは割と真剣にあたふたしている。
「あなたねぇ」カレンが呆れたようにつぶやいた。
「女性の魅力が胸の大きさなんかだけで決まるとかおかしいんじゃないかしら」
大体ね……となおも否定の言を続けようとするカレンの口が唐突に止まる。
シャーリーの視線が自分の胸の辺りをさまよっているのに気が付いたのだ。
『なにこの鋭い目付き……』
背筋に冷たい物を感じ、カレンは思わず手で胸を隠すポーズをとってしまう。
「な、なによッ……」
思わず怯んでしまった。それでも強気な言葉を口にする。
ニヤリ。
精神的に優位に立った自分を悟ったのか、シャーリーは更にその上をいく超強気な笑みを浮かべた。
「いやあ、説得力ないなぁ~って思ったんだも~ん」
この胸で、胸の大きさなんかって言われてもねぇ~とシャーリーはカレンのソレをぽよんと突っついた。
「ちょ、ちょっとシャーリー?!」
真っ赤になるカレン。だけど言葉にならないのだろう。口がパクパクするばかり。
─ 世は事もなく、クラブハウスは今日も平穏無事だわねぇ~ ─
そんな二人をミレイは楽しそうに見ていた。
331:2/7 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y
09/03/23 14:59:05 eGXhrHf3
だがちょっと待ってほしい。
彼女は誰だ?
そう、ミレイ・アッシュフォードだ。
トラブルを見つけようものならば、猛進─猛襲─猛追の末に予測の斜め上を産み落とす女。
トラブルがなければないで、自らをもって渦巻きの中心と為し、惨劇─悲劇─喜劇を繰り広げる女!。
ルルーシュ・ランペルージは語る。
「彼女こそが災厄の中心(ハート・オブ・メールシュトローム)なのだ」と。
だから、彼女がこのような発言をするのは当然だった。
「じゃあ、さ。聞いてみようじゃない。どっちの言い分こそが正しいのか」
ルルーシュ流に言えば油の池に松明は投げ込まれた──そんな感じであろう。これがその瞬間である。
もっとも、
この時、何の気なしに投げ込んだ言葉が、あんなにも凄惨な災厄を呼び起こすとは………災厄の女王たる彼女さえ……知る由はなかったのだった。
「カレンの胸がいかに説得力のない胸かってことですか?」
ブハッ。
シャーリーに何かを吹き上げるカレン。
「ち、ち、ちがうでしょ! 女の魅力は胸の大きさに比例するかどうかってことにでしょ!!」
びちょ濡れのシャーリーに台拭きを渡しつつ(手近に拭くものがそれ以外なかった)、まぁまぁとカレンをなだめるミレイ。
しかし、その目は笑っていない。
カレンは気が付かない。シャーリーも気が付かない。
『面白い事』を見つけたときの彼女の、目。獲物を追いつめる狩猟者の目に。
「こういう水掛け論なことは第三者の視点っていうのが大事なのよね~。だ~か~ら~聞いてみましょうよ、うちの男衆にッ!」
そこで初めて「うん?」とか「おや?」とか思ったのだろう。
「あの~」とカレンが恐る恐る声をあげ、「えーっと………」とシャーリーもミレイにうかがいをたてる。
「誰に、どんな風に聞くんですか?」
彼女たちにしてみれば、いつのまにか予想外の方向に流れはじめてるこの状況を信じたくないのだろう。
ミレイはにっこりと笑った。
「───────!!!!!」
二人は縮み上がった。
あぁ、これは悪魔の笑みだ。
自分たちが点けてはいけない火を灯してしまったのだとやっと理解したのだ!
「だからぁ~、うちの男衆に聞くのよォ」
繰り返す。
「はたして女の魅力はバストの大きさに比例するのか? 小さなシャーリー、大きなカレン、どっちの胸こそ魅力的なクイーン・オブ・ジ・オッパイであるかをねっ!!!」
後悔とは、後になって悔やむから後悔と書くのだ。
二人はその言葉を多分一生忘れないことだろう。多分。
332:3/7 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y
09/03/23 15:01:19 eGXhrHf3
いまや精肉工場に曳かれていく牝牛の気分の二人を前に、ミレイはテンションMAXでとても嬉しそうだ。
暇つぶしのネタが出来て嬉しいんだろうなァ。
シャーリーは思った。
ちょっとだけ違う。
暇つぶしのネタが出来て“超”嬉しい!
ミレイはそう思っていたからだ。
ここ最近はイベントのネタがなくて退屈していたミレイである。まさに渡りに船!
「たとえばぁ」
その人差し指を形のいい唇にあてて、ミレイは名前をあげる。
「リヴァルとか」
「ヤです」
「遠慮しておきます」
二人の返事は早い。
シャーリーは特に「ヤ」の所に強く韻を踏んだ。ホントにイヤなのだろう。
カレンはなんの感情も込めずに言い切った。例えるならば路上の石ころのごとく。ホントに何の感情も向いていない相手なのだ、リヴァルは。
しかしこんな反応、ミレイも予測の範囲内。まったく動じてなどいない。
「スザクなら?」
「正直あんまり」
「絶対にイヤです」
これまた返事が早い。
ほうほうほう。
その巨大な胸の内で(ほっとけ)ミレイは意外な感触を受けていた。
カレンがこんなにも強くスザクに否定的な感情を発するとは。
『まぁいいや』
だが今回はまず関係ないファクターである、そのうち何かのネタに使うかもしれないにしても。
「ルルーシュ・ランペルージ!」
「え、ルル……ですか?」
シャーリーの返事がつまる。だが、
「会長、いいかげんにしてください」
ようやく一時の動揺から自分を取り戻したらしいカレンが低い声をたてた。
『ルルーシュの名前を持ち出したって反応するのはシャーリーだけよねぇ』
当然のことだ。カレンは冷めた表情でため息をついている。
しかし、ミレイには切り札があった。いわゆる一つのスペードのエースってやつだ。
『ライの名前を出してもそうやって落ち着いていられるかなァ!』
そう思ったその時、部屋の扉が開いた。
「おつかれさまです」「失礼します」入ってくると同時に聞こえた声。
ライとナナリーが仲良く一緒に部屋に入ってきたのだった。
333:4/7 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y
09/03/23 15:03:23 eGXhrHf3
「あ、いいところに………」
言いかけて止める。ライだけならばちょうどよかったトコなのにと、声を掛けかけて言葉に詰まるミレイ。
『ナナリーがいるんじゃいけないかなぁ。教育上ちょおっとよろしくないもんね』
「なんです?」と聞き返すライに「あはははは~」と言葉を濁すミレイだった。
「ヘンなミレイさんだなぁ」と爽やかに笑い、ライはデスクについた。
それが始まりだった。
「うん? なんですか、これ」
ライが手に取り、
「あ、それ私の──?!」
シャーリーが声を上げ、
『あちゃあ』
ミレイはその巨大な胸の内(しつこい)で天を仰ぎ、
『くぁwせdrftgyふじこlp;@:「」』
カレンはあわてふためいた。
「えっと……バスト☆マニアックス?」
ライは雑誌の特集記事のタイトルを大きな声で読み上げる。
「あ、いや。それはね………」
ミレイが声をかけるも間に合わない。ライは読み続ける。
「女性の魅力はバストの大きさに比例する……ですか、なるほど」
ライの表情が変わった。遠い目でどこかを見るような、そんな切ない顔。
そんな表情のライは少女たちの胸のその鼓動を速めてしまう。
「以前聞いたことがあります。ブリタニアという国の強さはバストにこそある。オール・ハイル・おっぱぁい、と」
『ああぁーッ!!!!!』
ミレイ・シャーリー・カレンと三者三様に頭をかかえる。
─ オール・ハイル・おっぱぁい ─
それは神聖ブリタニア帝国、唯一皇帝シャルル・ジ・ブリタニア──またの名をおっぱいエンペラー──が全世界に向けて演説した言葉!!
しかし、まさかそれを肯定する言葉をライの口から聞くことになろうとは……。
まさに現実は予測の斜め上。
ミレイ自身も「そんなわけあるか!」とようつべで何度も見直したあの演説。
「オール・ハイル・おっぱぁい」
あのいかつい顔で、あの渋い声で、あのetc…etc…、とにもかくにも皇帝陛下は確かに言ってのけたのだ!
オール・ハイル・おっぱぁいと!
『ラ、ライはそんなこと言っちゃダメェ!!』
少女たちの声にならない声が世界をかけめぐる。
そんな悶絶する三人に気が付いていないのか、ライは静かに断言した。
「確かに女性のバストは母性の象徴、それをもって国家の力のシンボルであるとする皇帝の持論はもっともなものです」
334:創る名無しに見る名無し
09/03/23 15:05:03 2F0Ng/gz
一応支援
335:5/7 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y
09/03/23 15:06:13 eGXhrHf3
ピシッ
何かが折れた。自分の中の決定的な何かが折れた音を三人の少女たちは聞いた。
ライは遠い目で過去に思いをはせていた。だから彼女らの異常に気が付かなかったのだ。
そう、彼が思いをはせていたのははるかな昔、かつて彼が王だった頃の話。
「ライが命じる。お前たちは我らが母なるおっぱいに仕えよ!」
キュイィィィィン……カシャッ!!
「「「イエス・ユア・マジェスティ!! オール・ハイル・おっぱぁい!!!」」」
母と妹が幸せに暮らせる世界。それは皆が母なる母性の象徴を称える世界だと信じて、かつてライは戦っていた。
もちろんその世界はもはや存在はしない。自分自身の手で、この手で終止符をうってしまったのだから。
失われた時は、命はもう還らない。
だが、数百年の時を経たこの現代に自分が信じたその想いは生きていたのだ!
黒の騎士団に属するライにとってブリタニア皇帝シャルルは確かに敵ではある。
だが、それでも! それでもそれはライにとっていくらかの救いを感じさせるものだったのだ。
『こんなに嬉しいことはない! 許してくれるよね、母上たちにはいつでも会いにいけるから』
一人物思いにふけながら涙を流すライを女たちは遠巻きに見ていることしかできなかった。
だが、スっと一人、ライの前に立つ者がいた。
ナナリーだ。
しばらく考え込んでいたナナリーは意を決した表情でその一言を告げた。
「この、おっぱい星人」
精一杯の一言はしかし、ライにダメージを与えられない!
「違うね、間違っているよ、ナナリー」
優しい微笑みをたたえ、穏やかにライはナナリーにこたえる。
「女性を称えるのに妙なレッテルなんて必要ないんだ。ただ、僕らは母なるものを愛しているだけなんだよ」
百歩ゆずって言ってることはまともと言えなくもない。ただ、その手つきがいやに犯罪的だった。
『どうしたっていうの? ライ!!』
遠巻きにライを観察しながらカレンは思った。そして、ハっとする。
『ライ?! もしかして記憶が!!!』
が、とりあえずそれはこの話には関係ない。
ナナリーはそのライの言葉を聴いて率直に言い返した。
「じゃあ……このマザコンめ」
それは違和感。
普段のナナリーならばこんな刺々しい言い方などしないはずなのに。
まして、おっぱい星人だの、マサコンめだの、ナナリーが口にするにはやや似合わない言葉ばかりだ。その言葉にはどことなく“変態!”というニュアンスが混じっていただけに!
しかし、
バンッ!!! いきなりあがった大きな音に、部屋にいる一同は飛び上がって驚いた。ライが机を叩いて立ち上がったのだ!
336:6/7 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y
09/03/23 15:07:39 eGXhrHf3
「そうさ! 男はみんなマザコン……いや、むしろ変態。変態という名の紳士なのさ! 変態紳士なんだ!!」
『な、な、なんだってー』ミレイは心の中でお約束の一言を棒読みした。
「おっぱいがなぜ最強か? それはおっぱいこそ母性の象徴! おっぱいこそ母なるグレートマザー! 最強たるおっぱいはグレートマザーの象徴だからこそ許されるんだ! グレートマザーだからこそ最強の二つ名に相応しい!!」
その鬼気迫るライに誰もが思考停止に陥っているようだ。
「わかるかい? なぜおっぱいが最強なのか? それはただおっきいとか、形がいいとか、色がきれいとかすべすべしてるとかそんなことじゃないんだ!君たちは何もわかっていない!わかってない!!」
「そもそもおっぱいそのものに萌えなどない!それは絵に描いたおっぱいに意味などないように。それはもう確実だ!コーラを飲んだらゲップが出るように確実この上ないことなんだ!」
「ならばなぜ最強なのか?なぜ変態紳士はおっぱいに憧れ、おっぱいを求めるのか?仮に例えばよしんばよしや、豊胸手術をした男のおっぱいにも変態紳士は憧憬を持つのか!」
「 あ り え な い ! 」
「なぜならばそれは紛い物のおっぱい。所詮は男の厚い胸板の上に生えたシリコンの塊にすぎないからだ!そこにグレートマザーの神性など微塵も存在しないからだ、微塵も存在しないからだぁぁッ!!!」
「大事なことなので二回言いました」
「いいかい、同じおっぱいを取り上げたってその適正にかなうのは母性をもちえた女性のみ!大きいとか小さいとか形とか色とか触り心地とかそんなものに意味はないんだぁッ!」
「ましてマザコンだのおっぱい星人だの変態紳士だのといったレッテルも意味などなさない!ただグレートマザーの母性と神性に捧げる憧憬を言葉と行動で示すことだけが重要なんだぁッ!!」
「それゆえに僕たちにはおっぱいは必要!おっぱいは正義!オール・ハイル・おっぱぁい!オール・ハイル・おっぱぁいッッ!!!」
言い切った。言い切りやがった!
ライは言い切った。ナナリーはそれでも立ち向かう。
「ライさん、ちょっとお聞きします」
「うん、なんだい」
「貴方の論理では、貴方の言うグレートマザー……母性をもたれる方であればどんなおっぱいでもいいとしか聞こえません」
ビシッとナナリーはトドメをさすかのようにライを指差した。
「貴方の言う最強のおっぱいとは、貧乳でもかまわないということではありませんかっ!!!」
唇をかみしめるナナリーにライは
「その通りだけどなにか?」
ポッ
ナナリーは桜色に頬を染めた。
337:7/7 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y
09/03/23 15:08:43 eGXhrHf3
「おっぱいは──平等では……ない」
ナナリーがあらためてライの方へ顔を向ける。
「その大小、美醜、色も形も何もかもが違うからこそ………競い合い、その存在の価値を高めているんだ。だからねナナリー」
ライはニコっとさわやかな笑顔をナナリーに向けた。ナナリーにもそれがわかった。
「ナナリー、僕は君のおっぱいだって愛しているよ。心から」
その一言にナナリーは自分がさらに真っ赤に赤面したことを感じた。それがわかった。「ラ、ライさん………わたし……」
そっと差し伸べられたライの手をとる。彼の真心が伝わってきて、さらにさらにもっと顔が熱く、赤くなっていく。
そして
「ライ、もう思い残すことはないな」
ルルーシュの声が部屋のなかに響き渡ったのだった。
冷たい声とともに振り下ろされる鉄パイプをライはとっさに受け止める。
『おー、真剣白羽取りだー』
何の感慨もなくミレイは初めて見たサムラーイの妙技をデジカメに撮った。
「危ないじゃないかルルーシュ!」
受け止めると同時にルルーシュの腕をとって組み伏せるライ。
「うるさいっ! お前を殺して俺も死ぬーッ!」
「何を言っているんだ君は!」
ぎゃいぎゃいと騒ぐ二人の変態紳士の姿をミレイはやはり無感動にデジカメに撮る。
カシャッカシャッカシャッとシャッター音だけを彼女たちは受け入れる。
それ以外の音など、もう耳に入らなかった。
「さぁて…咲世子さんにお茶でも入れてもらおうかしら。ナナリーも行きましょ」
「はい、ミレイさん」
「あ、部活行かなきゃ~」
「帰宅してもう休もうかしら」
彼女らが部屋を出て行くことに気がつきもしないで変態紳士二人は上になり下になりからみあう。
「このマザコンめ!」「君にだけは言われたくないよ!」同族嫌悪のお手本のような言葉を掛け合うのだ。
立ち上がり対峙する二人。
「お前がこんな変態だなんて思ってもいなかったぞ!」
「変態の先輩は君の方だろ! なんだよあの変態衣装!!」
「な!? 言ってはならんことをー! お前だって一度くらい着てみたいって言ってたくせに!!!」
「やめてよね。僕が本気になったらルルーシュがかなうわけないだろ!」
「ラァァイィィィッッッ!!!」
「ルルーシュウゥゥゥッッッ!!!」
ターンッ
どこかの遺跡の奥で銃声が鳴った………そんな既視感(デジャヴュ)。
それでも…、
世は事もなく、クラブハウスは今日も平穏無事だった。
(デデデデ、デデッ!)新ルート『乳の騎士団ルート』が追加されました。
338:BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y
09/03/23 15:13:47 eGXhrHf3
異常です(割と間違っていない)
某所にて酔っ払った勢いでチャットした時のリレー(?)をベースに書いたものです
相手してくれてた某氏には「チャットの時の文章そのまんまでええやん」とか言ってしまいましたが
結局チャットの内容はベースとしてほとんど丸々書き上げる形にしてしまいました。ごめんなさいです
やっぱりギャグとかコメディは向いてないようです。シリアスの方でがんばります
次回は「手をとりあって」その4.25 篠崎咲世子編にてお会いしましょ
それでは、また
あおいひとでした
339:創る名無しに見る名無し
09/03/23 15:15:11 eGXhrHf3
今気が付いた!
支援してくれた人ありがとーですー
340:創る名無しに見る名無し
09/03/23 15:24:12 2F0Ng/gz
>>338
乙です。
ライがピンク板の住人のようです。見事にライへの幻想を破壊させる問題作w
告白します。私もおっぱい好きです。ゲーキャラスレの6つ目を立てたのは私です。
コードギアス ロスカラのライ 温泉には大きなオッパイが6つ
それでは、次回作を期待して待ってます~
341:創る名無しに見る名無し
09/03/23 15:26:43 8ai4LDAi
>>338
すげーライを媒介にしてキラ山さんとルル山さんの二大人気イケメン主人公対決が実現したw
ルル山さんがんばれwそれはそれとして、やっぱりおっぱいはいい…乙でしたー
342:創る名無しに見る名無し
09/03/23 17:03:49 D5RDZp3P
>>338
蒼い人GJ!!
っていうか大丈夫かブリタニア皇族?!久しぶりに某MADを見たくなりました。
でわでわ
343:創る名無しに見る名無し
09/03/23 17:17:01 QS8g+6aT
>>338
チャットの相手をした某氏です。
蒼運命さんの嘘つきwww
まぁ、冗談はそれくらいにして…。
さすがというか、何と言うか……。
ベースとなった面白さ+アルファですからねぇ。
(ベースになったチャットもかなり壊れててそのままでも面白かったけど)
さらに壊力抜群の面白さでした。
GJです。
なお、機会があったらまた、やりましょう。
あの時の蒼運命さんはすごかったので、今度は私も負けずに酔っ払ってやりたいなと思いますwww
344:創る名無しに見る名無し
09/03/23 17:23:04 iWjMch6H
( ゚∀゚)o彡 ゚ おっぱい! おっぱい! オール・ハイル・おっぱい!
345:創る名無しに見る名無し
09/03/23 17:29:22 mETmisJg
>>338
BLUEDESTINY卿、GJでした!
おっぱい! おっぱい!
おっぱいを全肯定する、ライ、そこにシビレる、アコガレる!
皆大好きだろう? おっぱいが!!
ブリタニア皇帝のおっぱい演説、面白いよね、あれ。
>本気になったらルルーシュが たしかに生身じゃ無理だw
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
346:創る名無しに見る名無し
09/03/23 18:18:52 ZIAKm+Nt
タイトルの意味がわかんなかったんだがググってみて納得
そうかK1も保志だったか
とりあえず乙
347:創る名無しに見る名無し
09/03/23 20:13:50 XVVO7ZKI
チャットって何?
どこにあるの?
348:創る名無しに見る名無し
09/03/23 20:26:18 QS8g+6aT
>>325
ぷにぷに卿、GJです。
いやぁ、話、掘り下げられてますねぇ。
それにキャラクター描写がいい。
そして、IFだからこそ出来る展開の冴え。
いやはや、じっくり読めば読むほど味が出てきますね。
この話でライやカレンはどうなるのか。
すごく楽しみです。
次回も首を長くして待っています。
349:創る名無しに見る名無し
09/03/24 01:41:32 gKSmf46i
久しぶりに投下します。
350:チュン
09/03/24 01:49:12 gKSmf46i
受験が終わって見事受かったので、久しぶりにきました。
もう忘れているでしょうが、「優しいもうひとつの世界」その2、別名「ルルーシュの災難、ナナリーの制裁」
大体8レスくらいです。
351:創る名無しに見る名無し
09/03/24 01:53:11 SggDgL7o
支援
352:優しいもうひとつの世界
09/03/24 01:53:11 gKSmf46i
クラブハウスの私の部屋で、私は自分が何故ここにいるのかを説明をしました。
「待ってくれ、全く理解出来ないんだが」
お兄さまは頭は良いけどスザクさんと同じぐらい頭が固いのが難点です。
「……僕は信じるよ」
ライさん…ありがとうございます。
「おい!そんな簡単に!」
「いいじゃないか、それにルルーシュ、君はナナリーの言うことが信じられないのか?」
「うっ!!……」
凄いです、あの、お兄さまが押されています。ライさんはお兄さまの弱い所を知っているようですが、
「あ、あの、ライさん」
「なんだい?ナナリー」
「お兄さまを余りいじめないでください」
353:優しいもうひとつの世界
09/03/24 01:56:15 gKSmf46i
「「!?」」
………あれ?空気固まった?
「な、ナナリィィィ!!」
「キャ!?」
お兄さまがなぜか抱き付いてきました。
「ナナリー!良かった!やっぱりナナリーは俺の味方なんだな!」
……お兄さまは何を言ってるんですか?
「最近、冷たかったから俺、俺……」
この世界の私はお兄さまに冷たい?どうして?
「それはお兄さまがライ さんに対して余りに酷い事をするからです!」
もう一人私が言った
え?というか私の思考を読んだ?それとも未来を読んだのですか?
「うふふ、それは秘密です」
また!?また読まれました!凄いです!
「?……ナナリー、さっきから何言ってるんだい?」
不思議そうにライさんが訪ねました。
「うふふ、何でもありませんよ。ライさん」
私……怖いです。よく分かりませんが怖いです。
「ただいま帰りました」
懐かしい声を聞き、私は振り向きました
バサッ!
咲世子さんが持っていた物が落ちたようです。
「ナナリー様が2人!?……まさか、ナナリー様陰分身が出来るのですか!?」
354:優しいもうひとつの世界
09/03/24 02:03:12 gKSmf46i
「「えっ?」」
咲世子さん…何言ってるんですか?
「私ですら、会得出来なかった陰分身を……ナナリー様、今度よろしければお手合わせしてくださいませんか!?」
駄目です!咲世子さんが暴走しています!
「ふぅ、咲世子さん、実は………」
ライさんが咲世子さんに事情を説明してくれています。
でも。信じて下さるでしょうか?自分でいうのもなんですが、かなり私の説明は怪しかったですし……
「あぁ、なるほど、そうでしたか。勘違いしてしまいました」
……あれ?何だか普通信じてくれてる? 「咲世子さん!?今の話を信じるんですか!?」
お兄さまが驚いたように尋ねました 「信じるもなにもナナリー様の言う事を疑う事などできません」
私、泣きそうです。信じられない事を言っているのに信じて貰えて……。
355:優しいもうひとつの世界
09/03/24 02:10:38 gKSmf46i
「ほら、ルルーシュ君だけだよ。ナナリーを疑っているのは」
「なっ!?おい!俺は疑うなんて一言も言ってないぞ!」
「ルルーシュ様がナナリー様を疑うなんて…あなたはシスコ・・妹思いが良いところだったのに」
咲世子さんが明らかに軽蔑しているようです。って言うかシスコンって言かけましたよね?
「だから!俺は疑ってなどいない!」
「お兄さまは私を信じてくれないんですね…お兄さまに信じてもらえないなんて私どうしたらいいんですか!?」
もう一人の私まで…でも、何だか笑ってるような……。
「だから俺の話を聞いてくれ!」
「お兄さまは私を信じてくれないんですね…」
もう一人の私まで…でも、何だか笑ってるような……。
「だから俺の話を聞いてくれ!」
なんだかショートコントを見ているみたいで
「うふふ」
思わず笑ってしまうほどお兄様は慌てていました。
「ナナリー、どうする?君の事を疑っている悪いお兄様を許すかい?」
356:優しいもうひとつの世界
09/03/24 02:17:38 gKSmf46i
ライさんが尋ねてました。
「だから、俺は」
「ナナリー様が望むなら、多少心が痛まなくもありませんが、ルルーシュ様にお仕置きをしますわ」
咲世子さんがお兄様にお仕置き!?…何をするんでしょうか?
「だか・・」
「それはいいな。咲世子さん手伝いますよ…ルルーシュには日頃の嫌がらせで酷いめに合わされてばかりですからね」 お兄さま……ライさんに日頃どんな嫌がらせをしているんですか? 「おい、ライここは穏便に…な」
なんだか流石にお兄様がかわいそう思えてきました。
「ライさん、咲世子さん」
「なんだい?」
「はい」
2人が私の方を向きました。
「私はお兄様をゆ「許しません!」
「「はいわかりました」」 待ってましたとばかりにクラブハウスへと向かう執行人と受刑者。
「ナナリー!?っておい!離せ!両脇を持ってはこぶな!止めろ!止めてくれ!」
バタン!
357:創る名無しに見る名無し
09/03/24 02:25:13 n1L3T8Rd
一応支援
358:優しいもうひとつの世界
09/03/24 02:34:13 gKSmf46i
「ナァナァリィー!!!!!」本当に何をされたのでしょうか?
あの後お兄様は
「ナナリーは絶対、ナナリーは絶対…」
と呟いていました。
その日クラブハウスに生徒会副会長の悲鳴が渡った。
オマケ
「ライ様これなどいかがでしょうか」
「いいね、可愛く映ってるじゃないか」
「頼むから、その写真だけは」
咲世子が持っている写真これはミレイに頼まれて盗撮していた、男女逆転祭りの写真
「ナナリーのもあるんだ、貰って良いかい?咲世子さん?」
「どうぞどうぞ。何枚でも差し上げます」
「ダメだ!ナナリーは、ナナリーだけは」
「そのナナリーを信じてあげなかったのは誰かな」
「くっ!、俺は俺は………ナァナァリィー!!!!!!」
359:チュン
09/03/24 02:39:30 gKSmf46i
あ、8レスいかなかったか、やっぱり一時間やそこらじゃこれくらいにしかならないよな。
とりあえず、今回はこれで終わりです。支援ありがとうございました。
受験が終わって志望校に受かり気持ちに余裕が出来たのでたまに投下しにきます。
最後に本当にありがとうございました。
360:創る名無しに見る名無し
09/03/24 02:40:58 bif7Bfl8
しえん
361:創る名無しに見る名無し
09/03/24 10:20:43 SggDgL7o
ここのロスカラSSを読むと安心するな。まだまだロスカラ熱は冷めてないと再確認。関係ないかもしれないがライのキャラスレはもうダメかもなひどい荒れようだもの。ここもあっちのように荒れないことを祈るばかりだ。
362:創る名無しに見る名無し
09/03/24 11:09:24 2Wz1sJu1
陰分身って卑猥すぎるww
影分身じゃね?
363:創る名無しに見る名無し
09/03/24 12:13:06 8so9UOPT
>>359
チュン卿、乙でした。
さ、咲世子さんが影分身を使えないだと!?
……いや当たり前か、使えたら人としておかしい。
写真―罰は写真を見られること、だったのかな?
貴公の次の投下をお待ちしております。
364:創る名無しに見る名無し
09/03/24 12:38:08 yWbrMMnb
>>361
他スレに突撃したり拒否されてる動画直リンする馬鹿が粘着してるからなぁ
365:チュン
09/03/24 13:44:00 gKSmf46i
>>362
本当だ影分身が陰分身になってる。確かに卑猥ですね。
……ネタが来たけど、ここじゃ無理ですよね。
366:創る名無しに見る名無し
09/03/24 18:05:23 L5ejQl9E
>>361
本当だよ
どこぞのアホが他スレに迷惑かけたせいか余計な連中まで来てしまってさ
とにかく職人様たちGJ!
367:創る名無しに見る名無し
09/03/24 23:38:56 XeE3dqqI
職人さん達にはいつもいつもSSを投下していただきありがとうございます。これからも頑張ってください。それにしてもキャラスレは酷い有り様だこっちにまで飛び火しなきゃいいけどな。
368:蒼い鴉 ◆F.9o83kBbA
09/03/25 01:52:09 8Ipk7wAM
作品投下を行いたいと思います。
お暇な方は支援をよろしくお願いします。
タイトル:LOVE×VS
ジャンル:ギャグ
369:創る名無しに見る名無し
09/03/25 01:52:43 Cj6dy5Bf
しえん
370:蒼い鴉 ◆F.9o83kBbA
09/03/25 01:53:25 8Ipk7wAM
LOVE×VS
今日もいつもと変わらない日だ
そう、いつもと変わらない日
ただ……
少しいつもよりも五月蝿い日かもしれない
黒の騎士団の一員であるライは部屋で明け方から始まった仮眠と称した熟睡を思う存分に味わっていた。
時刻は既に十一時を過ぎており、普通の人ならば寝すぎている時間だ。
しかし、突然の大声によって起こされた。幻聴だと思ったがその声は今も外から響いている。
日本でもブリタニアでも見かけることは難しい灰銀色の髪を掻き、寝ぼけ眼を覚ます。起き上がり、扉に向かう。
声からして、誰のかは大方予想がついていた。
溜息にも似た息を吐き、ライは大声の原因のいる場所に向かった。
ラウンジの近くまで来ると声の五月蝿さは一層に増してきた。
ライはまたもや、溜息にも似たモノを口から静かに吐き出した。何故なら、ライはその声に聞き覚えがある。というよりもその声の持ち主を確実に特定していた。
部屋の中に入ると案の定の事その原因となっている二人が口論していた。
「私です!」
「いいえ!私ですわ!」
大声の発生源―片方は、卓越なKMFの操縦技術で紅蓮弐式を駆る少女、紅月カレン。そして、もう片方は黒の騎士団最大の援助組織であるキョウトの姫君、皇神楽耶である。
二人は口論。扇と井上は二人を止めようと必死だ。横では玉城が五月蝿そうに、寧ろ切れる寸前という感じで雑誌を読んでいる。
ディートハルトとゼロは喧騒を聞こえないものとしているのか、テキパキと次の作戦に関する話し合いを行っていた。
できるならば、この二人を止めて欲しいと願うがそれは期待するだけ無駄であると悟ったライは視線を動かす。
視線の先にいたのは積み重なったピザを黙々と食べているC.C.。ゼロのように聞こえない振りでもしているのかカレンと神楽耶の口論に興味を示している様子はなかった。
「…どうしたんだい、二人とも?」
371:創る名無しに見る名無し
09/03/25 01:53:55 Cj6dy5Bf
しえん
372:蒼い鴉 ◆F.9o83kBbA
09/03/25 01:55:41 8Ipk7wAM
喧嘩などを好まないライは少し呆れたように言いながらラウンジに入ると二人の口論はハタと止まった。他は各々の事をしている。
カレンと神楽耶の言い争いは何も今回が初めてというわけではない、神楽耶がアジトにちょこちょこと視察に来るようになってから二人の口論が聞こえてくるようになり、ライが二
人がいる部屋に近づこうとすると、口論はピタリと止むのでライは原因が分からずじまいなのであった。
「ライ!」
「ライ、丁度良いところに来ました。答えてもらいたいことがあるのです、キチンと答えてくださいまし!」
神楽耶の言葉からして、どうやら二人の話題はライの事で持ち越しているようだ。
「え?何で?それにしても、二人とも何を喧嘩しているんだ…カレン、何があったんだ?」
神楽耶の気迫にやや圧されながらもライは疑問の声をカレンに言いながらは二人の下に歩み寄る。
「私じゃない、彼女が……」
「私ではありませんわ、彼女からです」
そう言うと、二人は互いに指を指し合う。
そんな二人の言葉はほったらかにしてライは頭を掻きながら、他の傍観者に何かを求める視線を向けた。
しかし、その傍観者達は一人としてライと目を合わせようとしなかった。
一瞬、疑問符を浮かべたがすぐに取り払った。仕方無しに次は二人に訊いてみる事にした。
「……で、何が原因なんだ?」
「その前に、ライ。私の質問に答えてくれる?」
「ん?……別にいいけど」
それを聞いて、安心したのか。二人は深呼吸のような事をしている。
そして、二人同時に