09/03/06 18:24:13 Os4AUooA
更新ピタリと止まったね
管理人さんどうしたのかな
351:創る名無しに見る名無し
09/03/06 19:30:50 LsHMlpFY
>>350
間違ってたらスマンのだが、アンチな人か?
352:創る名無しに見る名無し
09/03/06 19:47:57 Os4AUooA
違うよ!心配してるだけ。
353:創る名無しに見る名無し
09/03/06 20:10:01 LsHMlpFY
そうかそら悪かった。なんか深夜に気分悪くなって腹痛くなって病院に運ばれたようだ。
俺も詳しいことはしらんが
354:創る名無しに見る名無し
09/03/06 22:14:17 qPZKTVjS
ではライルルスザの三人組短編投下します
355:創る名無しに見る名無し
09/03/06 22:15:39 qPZKTVjS
ライは絶句した。
必ず、かの悪逆皇帝の王を正さなければならぬと決意した。
ライにはファッションがわからぬ。ライは、一国の王であった。笛を吹き、母と妹と遊んで暮して来た。
けれども劣悪な環境に対しては、人一倍に敏感であった。
今日未明ライは村を出発し、野を越え山越え、十里はなれた此のペンドラゴンの都市にやって来た。
ライには父も、母も無い。女房も無い。十四の、内気な妹も死んでしまった。 ライには竹馬の友があった。枢木スザクである。
・・・・・
「走れメロスだね、懐かしい」
「ああ、スザク。よく来て……くれ……た」
ライは再び絶句した。
ルルーシュの方を見て、もう一度スザクの方を見る。
ルルーシュはそんなライの行動に訝しげに、
「ライ、さっきから何を人をじろじろと」
「だってさ……君達の服装が……」
ライは思わず目を逸らす。
ルルーシュが来ている服。それは彼の皇帝としての服だ。
白を基調としていて、各部には黄色い翼と赤の瞳のイメージが装飾されている。
スザクの方もイメージは似たような物で、こちらは黒や紺といった色調だ。加えてコーネリアのクラゲを逆さにしたようなマント。
ライははっきりと思った。ださい、と。
「似合っているだろう? 俺がギアスをイメージしてデザインしたのだが……」
浮かれた様子のルルーシュ。
本人は気に入ってるらしく、このままでは本気で衆目に晒す事になってしまう。
故に、ライは決断した。彼の愚考を止めるため、自分は悪になろうと。
「ルルーシュ……この際だから言おう」
一息。
「君のセンスはズレている」
「ははっこれはまた可笑しな発言だ。寝言は寝て言うものだぞ、ライ」
「少しは真面目に受け取ろうよ!」
「ふむ……」
少し考え込んだルルーシュはいいか、と前置きして、
「お前は古い時代の人間だから分からないだろうが―」
言ってルルーシュがスザクの方を見る。スザクはああ、と続けた。
「今はこれがトレンドだよ」
「嘘だっ!!」
「因みにライの衣装はこれだ」
ルルーシュが青を基調とした布地を広げた。
他の二人と同じように翼やら瞳のイメージが刻印されている。
一瞬ライは自分がそれを着ている姿を想像し、ぞっと背筋を凍らせた。
「嫌だ、僕はそんな服は着たくない!」
「う~ん……ねえ、ライ」
と、スザクが頑なに拒絶するライに問うた。
356:創る名無しに見る名無し
09/03/06 22:17:06 qPZKTVjS
「君はあの百万人ゼロの時は……」
スザクの言葉にルルーシュは天井に視線を向け、何かを思い起こすように、
「結構ノリノリだったな」
「やはりね」
「違うだろう! 僕は最後まであれに反対したぞ! あんな全身タイツの仮面姿など!」
「ふむ……スザク、お前はゼロレクイエム以降―」
うん、とスザクは笑顔で頷いた。
「実は結構楽しみだ。あれ、格好いいよね」
「だろう?」
「おかしい、おかしいぞ二人とも! ……はっ!」
ライは気付いた。これほどまでに二人をおかしくする原因。そんな物は一つしかない。
周囲に向かってライは叫ぶ。
「新手のギアスだな! 出てこい、悪魔の瞳を持つものよ! 貴様が二人にギアスを掛けた事は分かっている!」
すると、スザクは可哀想な者を見る目でライを見て、ルルーシュに小声で話し掛けた。
「ライはどうしたんだろう?」
「聞こえてるぞスザク! 大体どうかしているのは僕じゃない。君達の方だ!」
はは、とルルーシュは笑って、
「正常でない者は皆そう言うな」
「くそっ、ああ言えばこう言う……!」
相手は詭弁やハッタリの達人、ルルーシュだ。それに天然系のスザクまで加わってしまっては、もはや説得のしようがない。
ライは静かに、かつてルルーシュの語った『俺達二人が揃えば、出来ない事など何も無い』という言葉を思い出した。
(なるほど、正逆の二人が同じ結論を出す事で覆せない物となる訳か)
何とたちの悪い。
「さて、そろそろライにはこれを着てもらおうか」
ルルーシュが蒼の衣装をライに近づける。
ライは反射的に後ろに退きつつ、
「いやだ! そんな物を着たら末代までの恥だ!」
「安心しろ。ブリタニアの血脈は続いている。この服装へと」
思えば、皇族にはいろいろと奇抜なファッションセンスな者が多い。
コーネリアのクラゲ、ギネヴィアの髪留め、カリーヌのリング、皇帝の髪型、シュナイゼルの顎。
後半は少し違うかもしれないが、それらを始めとするけったいな衣装のセンスは自分の中の遺伝子に潜在的に含まれているのかもしれない。
「そんなの嫌だ!」
「往生際が悪いぞ。……スザク」
「イエマジェ」
「略して格好つけてるつもりか! その姿で言うともはやギャグ……はっ、スザクやめ脱がさないでうわーーっ!!」
・・・・・・
「ライ、その格好……」
「言うなC.C.。僕は……僕は……」
「予備の拘束着、いるか?」
357:創る名無しに見る名無し
09/03/06 22:18:53 qPZKTVjS
以上、そろそろネタがなくなってきたとか、次は何のキャラ絡めようとか、色々悩んでますがまあいいです。
358:創る名無しに見る名無し
09/03/06 22:57:36 LsHMlpFY
>>357
すげえな、何者だあんた。
とにかく乙 次も楽しみにしてます
359:創る名無しに見る名無し
09/03/06 22:59:10 3RC/pXZA
>>357
GJでした!
のっけから吹いたwww
ある意味最初からクライマックスw
ルルーシュとスザクのセンスがwww
でも、ゼロスタイルは仮面だけならオシャレだと思うんだ。
そして、顎はちげぇよwww遺伝子的な問題だよwww
ルルーシュ作の衣装<拘束着、ですね、分かります。
貴公の次の投下を全力を挙げて待たせていただきます!
360:創る名無しに見る名無し
09/03/06 23:01:27 BKwd4mqL
駄目だ、「イエマジェ」で吹いたwww
DVDのオマケに出て来ても良いシチュエーションだし、テンポ良く読めました
ギャグ系のSSも良いですね~
楽しい話しをありがとうっ!!
又の投下をお待ちしてます
361:創る名無しに見る名無し
09/03/07 00:38:38 jb/DX3y5
もう爆笑するしかないwwww
C.C.にすら同情されるとは……よほど滅茶苦茶な物だったのかwwww
とりあえず顎は違うでしょ(多分)。皇帝の髪は否定できませんがww
362:創る名無しに見る名無し
09/03/07 01:44:20 CgWVGKzw
シュナイゼルの顎wwwイエマジェwwwww
363:創る名無しに見る名無し
09/03/07 02:07:53 3gZ/pCWw
皇族のファッションセンスは遺伝的なもの。
顎も遺伝的なもの。
問題なし。
364:創る名無しに見る名無し
09/03/07 02:19:52 XHV/bucH
イエマジェはズリィwwwwww
腹筋死ぬwwww
365:創る名無しに見る名無し
09/03/07 20:23:47 fmuDwSsV
管理人いいかげん何してるんだろ
更新が遅れてるのは100歩譲って許してやらんこともないが
連絡もまともにできないのか?
4日前にメール出したのまだ返事こないし
366:創る名無しに見る名無し
09/03/07 20:28:15 bQdLMjA4
ふむ、四日もメールを返せないほどの事が起こっているのか。
……トーマス卿、大丈夫だろうか。
367:創る名無しに見る名無し
09/03/07 20:41:17 KbVZY2V9
あの、また短編投下しますが、今日のはあまり読まない方がいいかもしれません。
ほんの思いつきで書いたので、本当に酷いです。
ネタとか前振りとかじゃなくて、ボツにしようかと何度も思って今でも思ってます。
では、一応ライアニャ短編です。
368:創る名無しに見る名無し
09/03/07 20:42:24 KbVZY2V9
「ん? アーニャがそんな本を読むなんて、珍しいな」
「そう?」
ライはアーニャが読んでいる、何やら子供向けの挿し絵がついている本を見た。
「ウサギと……なんだ、これは?」
「ガメラ」
アーニャは表紙をライの方に向け淡白に言う。
しかし、ライはガメラなるものに関する知識は無い。
「ガメラか……聞いたことないな」
すると意外そうに、
「エリア11……日本の童謡の本だから、ライは知ってるかと思った」
「知らないな…。日本で育った訳じゃないしね。しかし見た目といい名前といい、亀の一種かな?」
「そうみたい。でもガメラは火を吐く」
「火を!?」
そう、とアーニャは頷いた。更にアーニャは挿し絵のついた別のページをライに見せる。
「これはウサギとの競争。ガメラは甲羅に閉じこもり、回転して空を飛ぶ」
「空を!? ではウサギは勝ち目が無いじゃないか……」
「そう。これは生まれによって全ての者の勝敗は決まっているという教訓に基づいている。ウサギはいくら努力してもガメラに勝てない」
「そうか……日本にもブリタニアと同じような価値観があるんだな」
それはブリタニアの思想を好まない自分にとっては悲しい事実だ。
(いや、待てよ……)
そこでライはある事実に気付く。
自分の知る日本人は果たしてそうだったろうか。違うはずだ。
日本にはブリタニアとは明らかに何かが違う文化が確かに根付いていて、それは少しではあるがそこに住むブリタニア人に影響を与えていた。
事実、エリア11におけるブリタニア人のオタク含有率は世界でトップだ。
(だとしたら、かつてブリタニアと同じであった思想を変える何かがあったはず)
それが分かればブリタニアを中から変えるという、雲を掴むような話も実現可能になるかもしれない。
「アーニャ! その後ガメラはどうなったんだ!?」
「わからない。人間の台頭により、ガメラは住む場所を失ってしまったと思う」
「人間による環境破壊か……日本は緑の多い国だから、ガメラの最後の居場所だったのかな」
ブリタニアも、シャルル皇帝が即位するまでは内乱で悲惨な物だったと聞く。
「そうかも。でも、ガメラも人間に屈しなかった。別の文献にその記録が残っている」
それだ。ライは反射的にそう思った。
アーニャは床に置いてあった別の本を開く。
それは同じような絵本で、ブリタニア用に訳された文字にこう書かれていた。
369:創る名無しに見る名無し
09/03/07 20:43:32 KbVZY2V9
「ウラシマタロウ……?」
アーニャは頷いて、
「ガメラが海岸で複数の人間と戦っていた。そこにやってきたウラシマは―人間に加勢する」
それはそうだろう、とライは思った。
何しろ相手は火を吐き空を飛ぶ化け物だ。人間も必死になるというもの。
(なるほど、ブリタニアという大国に屈しない精神はここから来るのか……はっ!)
まさか、とライは心の中で呟く。
『ウサギとガメラ』の話を聞いて、自分は日本にもブリタニアと同じ思想があるのだと、そう思った。
だがそれが間違いだとしたら、
(日本人は、ガメラに抗うウサギであり人間……!)
そしてウサギはガメラに勝てなかった。では人間は果たしてガメラに勝てるのだろうか。
「だけどガメラも負けない。ウラシマを捕まえて、海の中に引きずり込んだ」
「!?」
「そして溺死寸前まで追い込んだ後、海底にある巣で、仲間達と共にウラシマを集団暴行」
「なんて惨い……」
それはまるでブリタニアに蹂躙されるイレヴンのようではないか。
つまり日本人は、強者と弱者の立場というものを、こちらよりも遥か昔から認識していたという事だ。
それでも諦めきれず、彼らは人間としてガメラに立ち向かっている。
(誇り高い民族だ……)
「ガメラは最後に、ウラシマを海岸へと戻した」
「ん? ……ガメラはウラシマを殺さなかったのか?」
アーニャは頷く。そして、悲しげに瞼を伏せた。
「ガメラは光速に近いスピードと強烈な加速度で海岸を行き来した。相対性理論により、ウラシマは日本と異なる時間軸へと、未来の日本へと残された。つまりそこは……」
「エリア、11……」
ライは愕然と、そして力無く膝を折った。
(そんな、それでも彼らは戦っているのか……)
たとえ世界に隔絶されたとしても、ウラシマはガメラに戦いを挑む。
そんな覚悟が自分にあるだろうか、とライは自問した。
「ライ」
心配そうにこちらを支えてくるアーニャに、ありがとう、とライは言って立ち上がった。
「僕にはまだ覚悟が足りなかった。スザクのように、ウラシマのように……!」
「ライ、私も手伝う。ガメラに勝とう」
「アーニャ……」
「ライ……」
・・・・・・
その後、一組の男女が日本を中心にブリタニアを、世界を巻き込む変革を引き起こした。
後世の歴史書は、その一連の世界革命をこう呼んでいた。
―ウラシマレクイエム、と。
370:創る名無しに見る名無し
09/03/07 20:44:01 KbVZY2V9
以上、すいません本当に酷いネタですいませんとか、明日はもう少し真面目にネタを考えますとか、色々謝罪の文言はありますがだって思いついちゃったんだもん。
関係無いですけど、モスラって、地球に衝突する隕石の軌道を変えるという重厚なテーマを、アルマゲドンやディープインパクトより5年以上前に映画で扱っていたんですよね。
凄いですよね。今回の話はそれに匹敵する発想だと個人的には思ってます。言い訳が長くなりました。すいません。
371:創る名無しに見る名無し
09/03/07 21:33:35 bQdLMjA4
>>370
GJでした!
ウサギとガメラwwwシュールすぎるwww
ウラシマタロウwガメラと戦うのかwww
ガメラひでぇwwwというか仲間ってガメラいっぱいいるのかw
発想が凄すぎるwww
腹がwww腹筋が痛いwww
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
372:創る名無しに見る名無し
09/03/07 21:40:10 dKHLXHab
>ウサギとガメラ
多分このセンスには逆立ちしても勝てないw面白過ぎます
楽しい話を有難う
またお待ちしてます
373:創る名無しに見る名無し
09/03/07 21:55:57 HGPRjjhF
コードギアスたまに最初から最後まで全部見直してしまう!やっぱり自分の中ではギアスはまだまだ熱いです!!
ロスカラ2出て欲しいですね!
374:テリー
09/03/08 00:00:32 dyisXwdj
こんばんは!感想が少なくて不満な毎日です。
投下いきます!
「英雄 二章 」
16レス位かかります、支援と感想してください
375:創る名無しに見る名無し
09/03/08 00:36:21 qfvPOkF+
>>370
君は「メテオ」を見ればきっと感動出来ると思う。
376:創る名無しに見る名無し
09/03/08 00:39:03 X2kWyU6t
374の方ちょっと待った!!!!
かってに私の名前使わないでください!!!!!
377:創る名無しに見る名無し
09/03/08 00:49:52 nbQ0/CHX
状況がよく飲み込めないんだが
テリー卿混乱してるんですか?
378:創る名無しに見る名無し
09/03/08 00:52:30 9kqsBEwA
むぅ、どういう状況だ?
あとテリー卿、トリップ使ったらいいんじゃないかな?
379:創る名無しに見る名無し
09/03/08 00:53:43 D74BH4CC
>>376
お前例の荒らしだな
いい加減にしろよ
380:創る名無しに見る名無し
09/03/08 00:54:03 Gvg+FpX9
なんなんだかなぁ……
381:テリー
09/03/08 01:00:36 X2kWyU6t
379の方違います!!376が本物の私です!!英雄はまだ制作途中です!!
第一に自分はまだ未熟で16レスも長いのはまだ書けません!!
382:創る名無しに見る名無し
09/03/08 01:05:38 9kqsBEwA
とりあえず、名前の後ろに半角で#を入れて、好きな文字列を入れるとトリップというものが使えます。
なりすまし防止のためにも使った方がいいかな、と私は提案してみます。
383:テリー" ◆GH6kzC2bvQ
09/03/08 01:08:37 X2kWyU6t
378の方、貴重な助言ありがとうございます。
こんな事になるとは毎度毎度申し訳ないです・・・・・・
384:創る名無しに見る名無し
09/03/08 01:11:07 9kqsBEwA
いえいえ、気になさらずに執筆頑張ってください。
385:創る名無しに見る名無し
09/03/08 01:15:08 D74BH4CC
トリップをつけてもまだ本物と確定したわけじゃないんだよな
386:創る名無しに見る名無し
09/03/08 01:19:17 Gvg+FpX9
結局、SS投下したらわかるんじゃないかな。
人によって書き方とか、キャラ描写とかいろいろ違っているし。
387:創る名無しに見る名無し
09/03/08 01:21:18 Gvg+FpX9
という訳で…374のテリーさん、投下してね。
投下しない時点で、偽者決定。
388:創る名無しに見る名無し
09/03/08 01:22:23 D74BH4CC
だな。猿にしてもちょっと以上だぞ
389:創る名無しに見る名無し
09/03/08 01:35:29 GzPvpy4S
テリーうざい
390:創る名無しに見る名無し
09/03/08 01:46:51 iEdDm4g7
>>390
本当のことでも言わないのが大人ってもんだぜ?
保管庫止まってるせいなのかみんなイラついてないか?少し落ち着こうぜ
391:創る名無しに見る名無し
09/03/08 01:48:53 iEdDm4g7
失敗、>>389だった
392:創る名無しに見る名無し
09/03/08 01:59:22 8HlrTRdY
なんだこの流れは。過疎るだけでなく、こんなに性質の悪い連中まで出るようになったのか?
393:創る名無しに見る名無し
09/03/08 02:14:22 VLEZWu4H
トーマス…なにやってんだ…?見ろよこの惨状…
お前のせいだぞ…
394:創る名無しに見る名無し
09/03/08 05:09:08 Q2MuclkJ
立って二週間足らずでこんだけ大容量埋まるスレが過疎とかないわー。
395:創る名無しに見る名無し
09/03/08 08:09:01 ql4zmXE3
何がなんでも管理人さんに因縁つけたくてマッチポンプで本スレ荒らし、か。
他の保管庫とか見たことない奴なんだろうな。1ヶ月単位とかザラだっつーに。
396:創る名無しに見る名無し
09/03/08 21:05:12 bc1frjoq
日常生活より管理優先しろ的な理屈はあんまりだよな。
貴重な時間を投資してくれてんのにさ。
システムの改良といい、ここまで細やかな対応してくれる保管庫なんて滅多にない。
趣味を楽しむ心の余裕を持とうよ。
397:創る名無しに見る名無し
09/03/08 21:21:56 Sm8/AYPj
じゃあエールの意味も込めてライVでも投下しますか!
398:創る名無しに見る名無し
09/03/08 21:23:12 Sm8/AYPj
外の世界に出ると、そこには闇が広がっていた。
現世から閉ざされた夜の闇には、唯一、星と月の光が輝いている。
その光景を視界に入れつつ、V.V.は両手を組んで、
「ん~~」
伸びをした。
V.V.はここの雰囲気が好きだった。
眼下、エアフィルターの先の地下には嚮団の施設が存在する。
無機質な建造物と自然物が渾然一体とした奇妙な都市だが、嚮主である自分はあまり好きではない。
というより、一ヶ所にじっとしているのが合わないのかもしれない。
「ほ……ちょっと寒いかな」
肌を刺すような痛みと白く濁った息が、自分の存在をこの閉ざされた世界に固定する。
再び思う。この雰囲気はいい、と。
「君はそうは思わないかい、ライ?」
振り向いて問うと、そこには少し不機嫌そうな少年、ライが立っていた。
「思わない。エアフィルターから熱が漏れてなければ、寒さで死んでしまう」
「いや、僕も死なないだけで痛みや寒さはあるんだけどね……」
うん、と頷いて、
「それより君はどうしてここに?」
「それはこっちの台詞だV.V.。君がふらりと席を外すもんだから、僕のところにおろおろと研究者がやって来るんだ」
「で?」
「『黄昏の間に入られたのでしょうか?』なんて聞かれるから困ったよ。確かに僕はあの空間に馴染みはあるが、自由に出入りなど不可能だ」
「コードが無いもんねぇ……ま、君ならそろそろコード保持者になれるんじゃないかな?」
すると、ライは目を伏せ黙り込む。
再び静寂が二人を包み込んで、やがてライは口を開いた。
首を左右に振り、
「僕にはその選択は出来ないよ。誰かを殺し、何かを得るなんて」
コードを手に入れるには、一定のギアスを持った者が、既存のコード保持者を殺さなければならない。
(C.C.はその殺されるのを望んでいるけど……)
しかしそれはC.C.の問題であって、ライがコードを得てしまえばそれは彼にとって許せない事なのだろう。
「難しいね。少なくとも今僕を殺せば……君の反対する『ラグナレクの接続』は止められるよ?」
ライは再び否定。
「それこそ誰かを殺して何かを為した事になる」
「ふ~ん……でも協力する気はない、と。嚮団の孤児の世話はしてくれるのにね」
それを聞いて、ライは少し苦々しい表情を作った。
399:創る名無しに見る名無し
09/03/08 21:25:40 Sm8/AYPj
「あの子達に罪はない」
「だから育てても問題ない? 優しいね“ライお兄ちゃん”」
言うと、ライは眉間にしわを寄せて、
「君に呼ばれると気持ちが悪い」
「はいはい、分かってるよ。……ともかく、計画を直接手伝う気は無いんだね?」
ライは頷いて、
「ああ……それに、僕が今さら何を協力する必要がある。強いてあげるならラグナレク接続時、コードが『アーカーシャの剣』の負荷に耐えられるかが問題だが、」
一息。
「それこそ新たな強いコード保持者を用意するしかない。僕に何が出来る」
「それこそ君の出番じゃないか、強いギアス能力を持つ者」
V.V.は笑顔で言った。
だがライは冷めた表情のまま、こちらの言葉を一蹴する。何度も言った。その気はない、と。
なら、とV.V.は前置きして、
「孤児の女の子達に子供を産ませてみたら? 今は無理だけど、彼女達も成長したら君を受け入れてくれると思うけど。
そうしたら人為的な移植物である彼女達の物と、君の持つ『R因子』が共に遺伝して、より強いギアス能力者が産まれるかもしれない」
嚮団の調査では、近親婚が認められていた時代の皇族は『R因子』を持つ絶対数は多かったらしい。
だがライは冗談、とV.V.の提案を切り捨てた。
「僕にそんな気はないし、子供達に何かを受け継がせる気はない」
ライは視線を上空、真円に輝く満月へと向けた。
「それに、僕にはそんな資格は無いよ―君が計画を後戻り出来ないのと同じように、ね」
「…………」
V.V.は少しの間黙り込んだ。
ライは気付いている。自分がマリアンヌ殺害の犯人である事を―そして恐らく弟であるシャルルも。
V.V.は頷いて、
「そうだね僕はもう後戻りは出来ない。マリアンヌを……。いや、コードの呪いを持った瞬間からかな」
ふ、とV.V.は笑みを作った。今までの外見に相応な陽気な笑顔ではなく、何かを悟ったような、そんな笑みだ。
「僕達は似ているね、ライ。何をしたいのか、ぼんやりとは分かっていても、そこに行ける訳でもない」
ああ、とライは頷いた。
「気付いた時には、もう遅い。何をしてもそこには辿り着けないから……。足掻いて、抗って、結局は何も出来ないんだ」
400:創る名無しに見る名無し
09/03/08 21:26:21 Sm8/AYPj
「うん。でも良かったよ、君を復活させて。……おかげで僕は、シャルル以外の人間と理解しあえた」
それも、ラグナレクの接続を経る事なく、だ。
するとライは何も言わずにエアフィルターを開いた。そのまま地下へと戻ろうとして、しかし足を止めた。
「そろそろ本気で死にそうだ。僕は戻るよ……そしてV.V.、人生の先輩からアドバイスだ」
ライは首だけこちらの方に向け、そして言った。
「後悔だけはしないように。……じゃあ、君もはやく戻ってくるんだぞ」
それだけ言い残して、ライは帰ってしまった。
そしてまたV.V.は一人になる。
静かな冷たい風に晒されながら、V.V.は消え入るような声で呟いた。
「気付いた時には、もう遅い……か。まったくだ」
自嘲するような笑顔を浮かべ、V.V.は嚮団の中へと戻って行った。
―定めは僕が引き受けるよ。
401:創る名無しに見る名無し
09/03/08 21:29:13 Sm8/AYPj
以上、若干小説ネタ入っちゃったとか、もちっと短くまとめたかったとか、色々反省する部分がありますがまあいいです。
402:創る名無しに見る名無し
09/03/08 22:17:09 9kqsBEwA
>>401
GJでした!
ライとV.V.の間の雰囲気が凄くいいかんじ!
いいねぇ、ディモールト・良し!
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
403:テリー" ◆GH6kzC2bvQ
09/03/08 23:41:08 X2kWyU6t
えーーー英雄を書き終えたら投下しようと思ってましたSSを投下
したいと思います。
「鉄の道」
カップ ライ×ア―ニャ
ジャンル 完全100%のオリジナル設定、注意してください
404:テリー" ◆GH6kzC2bvQ
09/03/08 23:42:04 X2kWyU6t
すいません追加ですが7レス位です、念のために支援をどなたか
405:テリー" ◆GH6kzC2bvQ
09/03/08 23:42:41 X2kWyU6t
「鉄の道」
フランス首都パリにある巨大な駅「パリ中央ステーション」
ここは1日約60万人が利用し15ものホームが有る駅ビル、一日の本数は上下
合わせのべ約300本もの膨大な列車がいききし、ここを中心にしてヨーロッパ
各地に向かって旅人が大勢出発し帰って来る。
この広大な鉄道網を一手に受け持っているのが世界最高峰の超一流企業であり
世界最大の鉄道会社「ブリタニア」。100年もの伝統を持つこの会社はヨーロッパ
各国に10もの大きい支社を持っておりその収益はのべ10億ドルは普通にこす
その本社が有るのがここ「パリ中央ステーション」だ。
17:24「パリ中央ステーション」改札口前
会社帰りのサラリーマンや学校帰りの学生達でごった返している改札で
「ママ、早く早く!!」
オシャレな服装に小さなリュックを背負った少年がとても興奮した笑顔で
母親を急かし改札の方へ走って行く。
「こらジン!!危ないですよ、ちゃんと前を見て歩きなさ――」
「わっ!!」
と、大きいトランクを引っ張る母親の注意も空しく少年は大男とぶつかってしまった
その大きさと言ったら遠くからでもわかる位の大きさで少年をみる目も鋭いものがあった
「あ・・・ご、ごめんなさい」
その威圧に怯えてしまうジンにその男はジンの目線まで屈んで
「少年よ、これから旅行かな?」
「え・・・・・うん。これから汽車に乗って行くんだ」
406:テリー" ◆GH6kzC2bvQ
09/03/08 23:43:35 X2kWyU6t
怒られるかと思ったが予想外の言葉に少しキョトンとしてしまう。
「そうか、列車の旅は好きかな?」
優しい笑顔でそう言う男はその大きな手をジンの肩をそっと掴む
「うん、大好き!!」
「そうか・・・ふふふふふふふふ」
ジンの答えに満足したのか男は立ち上がり笑いだした
「ぶははははははははははは少年よ!!!ならば楽しむがいい、私の自慢の鉄道
がきっと楽しませてくれるだろう!!!」
と大声で話す男にびっくりするも笑顔で頷くジン。
この男こそ、かの超一流大企業「ブリタニア」会長にして「ヨーロッパの鉄道王」
シャルル・ブリタニアその人でありこの大声は毎日ここで発せられているため
今となっては名物の一つとなってしまっている。
「あなた、おまたせしました」
「おおマリアンヌ、忘れ物は無いか?」
シャルルの後ろから声をかけたトランクを引く女性はマリアンヌ・ブリタニア
シャルルの妻でまだ社長だった時の秘書だったとても美しい女性、その美貌は
ミス・フランスと言う最高の賞を獲得したほど。
「はい、参りましょう」
「うん、またな少年よ!!旅を存分に楽しむのだぞ」
「うん!!行こうママ」
笑顔で礼をシャルルにしたジルの母親はジルの手を引き改札口へと吸い込まれていった
その後姿をマリアンヌは優しく見守っていた。
「まったく子供好きにも困ったものねぇあなた」
「ふ、解っておろう?そんな事は」
大きな荷物を持ち2人も改札口へと向かった、シャルルとマリアンヌは今回
結婚記念日を祝して旅行に行く事にしている。
「これはシャルル会長、マリアンヌ婦人!ご旅行ですか?」
「ええ、イタリアまで長旅を」
「良いですなぁ、イタリア行きは5番線です!楽しいご旅行を」
「うむ、行って来る!!」
17:34 5番ホーム
407:テリー" ◆GH6kzC2bvQ
09/03/08 23:44:18 X2kWyU6t
そこにはすでに列車が発車時刻になるのを今か今かと静かに待っていた
これからその列車に乗って旅行に行く家族や老夫婦、出張帰りのビジネスマン
とあるツアーの団体客、遊休休暇を利用して乗る公務委員の一団、苦労して
キップを手にしウキウキしているマニアと様々な人がいる。
18:00発 ローマ行き 寝台特急「オリエントエクスプレス」
ブリタニアが誇る世界最高の急行列車、ブルーの車体にゴールドの帯を敷く美しい
スタイルで幅広い世代に人気があるのが売りでキップはプラチナで滅多に手に入る
のが難しい超豪華列車。
「トマトにソフトドリンク、アイスにピザ生地・・・・調理用のワインが無いぞ?」
「すでに積み込んでます料理長」
「カクテル用の酒と混同すんなよ?」
「マスター、あなたこそ間違って“飲む”なんて事の無いようにして下さいよ?」
8号車に食堂車、9号車にバーテン車を連結しているその辺りにはこれからの長旅を
支える食材やお酒が料理人やバーテンダーによって積み込まれている、ちなみに
7号車には調理専用の車両が連結されている。
「この前みたいな事になったら減俸だからな、注意した方がいいぞ?特にお前は
酒好きで有名だしな」
料理長C.C。世界でも10本の指に入る程の料理の腕と味覚を併せ持つコック
でも一番得意とするのはピザ作りだとか。
「うるせえよ、あれは単なるきの緩みだ!同じ過ちは繰り返さねぇよ」
その反応に周りのスタッフは大笑いしC.Cは鼻で笑った。
バーマスター ルキアーノ。ブランデーからワインやカクテルと酒の事には
うるさくその知識は右に出る者はいないほどで彼の作るカクテルは格別、でも
隙あらば酒を楽しむ癖が有るのがキズ。
「17:48、あと12分か・・・・今日も子供でたくさん!にぎやかになるわねぇ」
と大きな懐中時計に目をやり5号車の車掌室からホームを見渡す笑顔な車掌のミレイ
子供好きで長いこのオリエントの旅を最後まで決して退屈にさせないパフォーマンス
にトークショーや企画を思いつくアイディアマン。
「ミレイさん!」
408:テリー" ◆GH6kzC2bvQ
09/03/08 23:45:12 X2kWyU6t
「ナナちゃん!変わりない?後ろは」
「はい、今日もたくさんのお客さんが乗ってくれてうれしいです!」
ミレイと同じ車掌のナナリーがホームからミレイに話しかける、10号車にも
備えてある車掌室が彼女の担当でその可愛らしい姿に加えて美声とも相まって
ブリタニアのマスコット的存在として全女性社員の癒しの一人なのだとか。
とそこへ
「ナナリー、元気にしてる?」
「お母様、お父様!!ようこそオリエントエクスプレスへ」
自分の両親に礼をし笑顔で迎える
「ミレイよ、何時も娘が世話になってるな」
「いえいえとんでもない会長!ナナちゃんには助けてもらってますよ」
その言葉に顔を赤らめるナナリーと微笑むマリアンヌに自然と笑顔になるシャルルと
「18:00発、ローマ行き寝台特急オリエンタルエクスプレスは間もなく発車いたします
ご乗車のお客様は5番線にお急ぎください」
「そろそろですね、では楽しいご旅行をお楽しみください!!」
自分の持ち場に向かって駆け出して行くナナリー、その背中はとても頼もしく見える
「では乗車しようかマリアンヌよ!!」
「はい!ではミレイさんまた」
と列車に乗り込むシャルルとマリアンヌを見届けたミレイは無線を取る
「C.C、全部運び終えた?」
「完璧にな、バーの方も準備は万端だ。何時でもいいぞ?」
「OK!!ジェレミアさん、機関車はどう?」
「準備は整っているぞミレイよ!!」
「元気だなぁジェレミア、楽しみか?」
「そう言うノネット殿こそウキウキしておられるではないか」
14両もの客車を牽引するのは何と蒸気機関車なのだ、ジェレミアとノネットは
この機関車の機関助士として点検を終え発車を待ちどうしにしているところなのだ
「あははははは、当然じゃないか!蒸気機関車を運転できるんだ、毎日が楽しみ
でしょうがないんだ!!」
と笑い合う二人の所に
409:テリー" ◆GH6kzC2bvQ
09/03/08 23:46:11 X2kWyU6t
「ノネット、そろそろ時間だよ」
「お、戻って来たなアーニャ。今まで愛しの彼とデートか?」
「う・・・・そ、それは」
「おふざけもそこまでですよノネットさん、位置について下さい」
2人の機関士ライとアーニャ。恋人同士でもあるこの二人は社内一番のラブラブカップル
として知られるけど、社員に出くわすたびに茶化されてしまうのが二人の悩みの種だとか。
ノネットのせいでアーニャは赤くなってしまう、それがとてつもなく可愛いからこちらも
癒し的存在とされている。
「ジェレミアさん、クラブの調子は?」
「絶好調だ!!最高の力を今日も出してくれるだろう」
クラブと名ずけられた蒸気機関車はアメリカ生のバークシャー型を会社の技術部が改造し
20両の大編成でも最高速度100kmを出すことができる黒い機関車
(機関車のイメージは映画「ポーラーエクスプレス」を参照ください)
その答に満足したライは無線で掛け声の様に言う
「皆さん、今回も頼みましたよ!!」
「「「「「おおおおう!!!!」」」」」
「18:00発、ローマ行き寝台特急オリエンタルエクスプレス発車いたします!
ドアが閉まりますのでご注意ください」
発車のベルが鳴り、ナナリーが列車のドアを一斉に閉め安全を確認する
「OKですミレイさん!!」
その合図にミレイも確認を終え、ライのいる機関車に合図を送る
「こっちもよ、発車おーーーーーらーーーーい!!」
機関車でアーニャがミレイの合図を確認する
「ライ!!」
ポーーーーーーーーー!!!
汽笛を鳴らしライはレバーを前に倒すとクラブは蒸気を勢いよく吐き出しガタン!!
と列車を引っ張り出す。
ノネットとジェレミアが後ろを向き無事に客車が付いて来ているかを確認すると
スピードを上げ列車は駅を離れていく
旅の始まりを告げる汽笛を鳴らす
さあ皆様、旅の始まりです。
410:創る名無しに見る名無し
09/03/08 23:46:23 ZJ3/qhXm
支援
411:テリー" ◆GH6kzC2bvQ
09/03/08 23:48:09 X2kWyU6t
以上です。英雄も近じか投下したいと思っております。
その時はお付き合いを!!では失礼します。410の方支援ありがとうございます!
412:創る名無しに見る名無し
09/03/09 00:31:00 7/uzDfAI
テリー卿 GJです
とりあえず 発車おーーーーーらーーーーい が駄洒落になってて吹いた
このSSは、これで完結ですか? ギアス関係無しなパラレル物は、意見の別れる所でしょうが
自分は、続きを読みたいと思いました
ところで、トリップで # 打つ時、隣の " も押しっちゃったでしょ?
あと >>406 少年の名前 ジン、ジルのどっち?
413:創る名無しに見る名無し
09/03/09 03:03:03 MwncDYPb
>>411
テリー卿、乙でした。
完全なるパラレルワールド。
なんというか、皆幸せそうでなによりです。
今回出てきていないキャラは何をやっているのか気になるところですね。
貴方の次の投下をお待ちしております。
414:創る名無しに見る名無し
09/03/09 07:21:42 0Gp76fxc
いくつか気になった点を
パラレルなのだからと言われればそれまでなのですが、
フランスに本社を持つ会社の名前が「ブリタニア」イングランドの古名というのは
少々違和感を感じました。中央ターミナルという名称も現実にある駅名を用いれば
描写に奥行きやリアリティが生まれたのではないでしょうか
また、これはテリーさんに限った話ではありませんが
恋人同士という、あるいは親友などの人間関係を直接的に「恋人同士である…」と説明文で
表現するのではなく、キャラクター同士のスキンシップやセリフ、第三者キャラクターの視点で
間接的に表現してみてはいかがでしょう
文章の完成度もですが、それ以上に描写と表現が引き締まると思います
人間関係の描写というものは説明文の一言ですませるにはもったいないと思います
以上長々と失礼しました
どうぞよい文章を書けるよう御研鑽ください
415:創る名無しに見る名無し
09/03/09 22:09:29 JxNFk1kb
テリー卿、乙であります。
遅いか、
トーマス卿、保管庫更新ご苦労様です。
リアルに支障をきたさない程度に、がんばってください。
416:創る名無しに見る名無し
09/03/09 22:18:25 1pT/UIVg
さて、短編投下します。本日でラスト
絡むキャラは内緒で
417:創る名無しに見る名無し
09/03/09 22:20:15 1pT/UIVg
「る、ルルーシュ……駄目だよ、こんな事」
ライはいやいやをするように首を左右に振ってルルーシュを退けようとした。
しかしルルーシュはそんなライの手を掴み、耳元で囁いた。
「五月蝿い。お前は俺の言う事を聞けばいいんだよ」
「あっ……」
耳に吹きかけられた吐息に、ライはくすぐったくて身をすくめる。
目の前にあるルルーシュの顔を見ていると、だんだんと―
・・・・
・・・・・・
「―と頬が熱くなっていくのをライは感じた。『ああっルルーシュ!』ルルーシュがライの首筋に……」
「何やってるんですか、咲世子さん?」
「ほあぁっ!?」
背後から掛かった声に、咲世子は思わずルルーシュのような叫び声を上げてしまった。
振り向けばそこにはよく見知った、
「ら、ライ様!? いつからそこに……!」
「いえ、今帰ってきたところですけど……咲世子さんは何をやっていたんですか?」
ライが体を傾けて咲世子の後ろ、机の上の紙束に目をやった。
(い、いけませんっ!)
咲世子は持ち前の瞬発力を活かして即座にライの視線を体で遮る。
これを彼に見せる訳にはいかない。何故ならそれは……、
「漫画か何かですか?」
「え、ええ漫画! そう漫画! 日本の文化! ザ・漫画!」
こくこくと頷く。ぶんぶんと頷く。
そうですか、とライは納得した様子で微笑んだ。
咲世子もつられて笑顔を浮かべ―、
「よかったら見せていただけませんか? 僕、凄く興味があって」
「いいいいぃぃぃえ! ノンノノノン! お見せするほどの物ではございません!」
「大丈夫ですよ。咲世子さんの書いた漫画ならきっと面白いですって。恥ずかしがらずに」
あまり人に何かを強要しない彼が、今日は何故か引き下がらない。
(漫画と言ったのが失敗でした……!)
まさかライが漫画にそれほど興味があったとは。後悔先に立たずか。
漫画に興味を持ってくれているその事実は嬉しい。
機会があれば、あのがさつなブリコミ(注:ブリタニアンコミック)なんかとは全く違う、日本の繊細な漫画を見せてあげたいと思う。
しかし、しかしだ。
咲世子は後ろ手に、机の上の紙束を撫でた。
(いけない……)
これを見せる訳にはいかない。そう何度も咲世子は確認する。
見せた瞬間、自分の人生は終わる。それだけは確実だ。
何故ならそれは―、
(ライ様とルルーシュ様の……同人誌!!)
418:創る名無しに見る名無し
09/03/09 22:22:25 1pT/UIVg
咲世子の同人誌はアッシュフォード学園でかなりの人気を誇り、半年に一度開かれる即売会でも重鎮の個人サークルだ。勿論壁際。
しかし咲世子自身、趣味の一環なので普段なら別段書いた絵に執着はない。
傑作ではあるが、ライに見られるよりかは、
(無理やりにでも回収するべき!)
咲世子はそう結論づけ、即座に行動を開始した。
「たあっ!」
「あっ……」
掛け声一発。一瞬で机に広がる膨大な紙束をかき集め、くしゃくしゃに丸める。
その速度は常人では追いつけない。勿論ライもだ。
咲世子は作業を終え、安心してライの方に向き直った。
「さあ、ライ様。よろしければ私が漫画をってぇぇぇええ!!?」
素っ頓狂な悲鳴が木霊する。無理もない。
何故ならライが自分の書いた同人誌の一枚の紙をまじまじと見つめていたのだから。
「…………咲世子さん、これって」
「ひっ」
咲世子は今度は小さな悲鳴を上げる。もはや動揺は抑えられない。
回収する時に落としたのか。何故気付かなかったのか。後悔の念が溢れ出す。
(仕方ありません。もうこうなったらカミングアウトです)
咲世子は開き直る事にした。腐女子がなんぼのもんだと。ライが魅力的なのがいけないのだと。
しかし、
「咲世子さんが僕をこういうふうに見ていたなんて知りませんでした。意外です……」
しかし。ライの口から紡がれた言葉は軽蔑の言葉ではなかった。
そこで咲世子は見た。ライが持っている絵。それは―、
(ライ様“だけ”が書いてある裸の一枚絵!)
その事実に思い至った時、ライがこちらの手をとった。気のせいか、彼の頬は若干赤らんでいる。
「咲世子さん。いや、咲世子……僕は……」
「ライ様―」
・・・・
・・・・・・
「ライは咲世子の腕を引き、ぐいと体を寄せた。咲世子は若干の抵抗を試みたが、ライがすかさず腰に手を回す。『逃がさないよ、咲世子』『ああっ、ライさまぁ……!」
「何やってるんですか、咲世子さん?」
「へ? ……ほあぁああっ!? ら、ライ様! いつからここに!?」
「いや、今帰ってきたところです。そうしたら咲世子さんが僕を呼んでいたみたいだから……。ところで何ですかそれ?」
「何でも、何でもありません!!」
―アッーーー!
419:ピンクもふもふ ◆Moffuu/mUE @株主 ★
09/03/09 22:23:57 桜 1pT/UIVg
以上、これにて毎夜続けた投下は一先ず終わり。
稚拙な文章をわらわらと書きましたが、どれか一つでも楽しんで頂ければ幸いです。
最近忙しくてまともにSS書く時間もとれなくて、ちょっと間が空くとすぐ書けなくなってしまう。
それもこれも小説なんかに触れない生活をしているからで、流石にラノベだけで文章表現身につけるのは限界がありましたな。少しまともに勉強して、よりよいSSを書けるよう精進いたします。
という訳でこれからはまた暇な時間にゆったりと書くので、その時また読んでいただければと思います。
420:創る名無しに見る名無し
09/03/09 22:38:32 MwncDYPb
>>419
ピンクもふもふ卿、GJでした!
咲世子さん、手がこんでるw
劇中劇中劇に吹いたwww
凄いよ、この咲世子さん! さすがアッシュフォード学園のメイドさん!
全部楽しく読ませていただきました。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
421:創る名無しに見る名無し
09/03/09 22:55:20 91HlMNVF
ピンクもふもふ卿、アナタサマでしたか!
寸鉄ぶっすりなSSの極意、見せてイタダキマシタ!
ここ数夜で腹筋が割れたにも関わらず「イエマジェ」の呪いが今だ解けません!
ゆったりまったりものされた作品も楽しみにお待ちしますデス!
422:創る名無しに見る名無し
09/03/10 00:16:52 JWrYHjGj
突然ですが、とんでもなくカオスなネタが思いつきました。もしよければ
使っていただけませんか。
「閃光の魔法少女マリアンヌ」
:アーニャの中にあるマリアンヌの意識が表面化した状態で変身の呪文を
唱えたとき、アーニャの姿からマリアンヌ本来の姿となり、さらに魔法少女
の衣装を身にまとった姿になることによって、閃光の魔法少女マリアンヌへ
と変身するのである。
・・・色々とすみません。
萌は文化卿の「魔法少女ライマーユニー」のSSと、余暇卿の「虫食い同
好会」のSSを読んでいたときに思いついたものです。もし、お二人の
お気に触ってしまったようでしたら、誠に申し訳ありません。
ネタを思いついておきながら、自分には職人の皆様のような文章表現力が
ありません。他力本願かもしれませんが、このネタを使っていただければ
幸いです。ちなみに元ネタは、「奥さまは魔法少女」からです。
423:簡単に書いてみた
09/03/10 04:35:43 ZMWWziRE
彼女と初めて出会ったのは学園内だった。
僕の親友ルルーシュの妹ナナリーの友人の一人。
それが、彼女、アーニャ・アールストレイム。
だが、今、僕の目の前にいるのは、何者なんだ?
さっきまでそこにいたのは、間違いなく彼女だったはず……。
だが、今、僕の目の前にいるのはまったくの別人。
姿だけではない。
喋り方も性格もまったく違っている。
どういうことなんだ?
訳がわからなかった。
「閃光の魔法少女マリアンヌ」 第1話 変身しちゃう女の子って変じゃないですか?
ら、ライさんに見られたっ……。
私の頭の中でアーニャの思考が悲鳴を上げている。
えーい、うるさいわねぇ…。
後でちゃんと説明しておいてあげるわよ。
私は、アーニャの思考にそう言い切ると目の前の相手に意識を集中させた。
そう言われた事とさすがに戦いの途中でいろいろ言うのは拙いと思ったのだろう。
アーニャの思考が大人しくなる。
ふう…。
これで落ち着いて戦えるわ。
私は、ゆっくりと魔法のロッドを構える。
ランクCか……。
なら、連中の情報も持ってないだろうし、パワーの消費も抑えなきゃいけない現状なら、一気に仕留めて終わらせよう。
そう考えると詠唱を始めた。
もっとも、そのほとんどはロッドでやってくれるから、私はキーワードとパスワード絡ませた一文を唱えるだけだ。
「大いなるブリタニアの光よ、今、我に力を…。そして、不条理なものを送り返す光の門へと閉じ込めよ。イ・セルドーラ!!」
私の詠唱が放たれると、その言葉は光となり、相手の異形のものを包み込む。
そして、その光の中にゆっくりと沈みこんでいく異形のもの。
気味の悪い叫びをあげるものの、ランクC程度の雑魚が術式を敗れるはずもない。
あっという間に、異形のものは光の中に完全に沈みこみ、光が薄れていった。
ふう…終ったっと……。
そう思った瞬間、呆然とこっちを見ている彼の姿が目に入った。
確か…ライって名前だったわよね。
アーニャの友達のおにーさんの友人だったっけ……。
うーーん……めんどくさいなぁ。
でもなー、アーニャに臍曲げられたらこれからが困るんだよなぁ。
そう、アーニャの身体を間借りしているマリアンヌにしてみれば、持ち主であるアーニャのご機嫌取りは必要不可欠であった。
仕方ない……。
感謝してよね。
そう思いつつ、彼に近づいた。
424:簡単に書いてみた
09/03/10 04:38:46 ZMWWziRE
僕は、信じられなかった。
いや、普通だったら絶対信じていないだろう。
別次元からこっちの世界に入り込んできた異形のものを狩る魔法少女のことなど……。
だが、彼女は、僕の目の前で変身し、異形のものを封印してみせた。
信じるしかなかった。
「わ、わかったよ。信じるよ、その話」
僕は頷くと聞き返した。
「で…、貴方の事はどう呼べばいいんですか?」
そう聞かれ、一瞬考え込んだ後、にこやかに彼女は笑うと答えてくれた。
「閃光のマリアンヌ」と…。
ああ…綺麗だな……。
さっきまで怖い思いをしてたのに、彼女の笑顔に僕は見とれてしまっていた。
ふう…。
はいっ、きちんと説明したからね。
後は任せたよ。
私はそう言うと身体の支配権をアーニャに戻した。
えっえっええええーーーーーーーーっ。
慌てるアーニャの思考の声が響いたが、私はさっさと自分の思考を眠らせた。
身体が光に包まれていき、私が目を開けると目の前にはライさんの姿があった。
「えっと……そのぉ……」
何を喋っていいのか、頭の中がぐちゃぐちゃだった。
えーんっ、マリアンヌのばかぁ~っ。
私だって……心の準備がっ…。
慌てふためく私を見ていたライさんは、落ち着かせるためかゆっくりと私の頭を撫でてくれた。
「あの……、今は……アーニャでいいんだよね?」
きちんと確かめるような言葉。
私は、その言葉にこくんと頷く。
なんだが頭を撫でられていると落ち着いてきたみたいだ。
なんでだろう……。
そう思ったけど、今はそんな事は考えないようにしょう。
でも何を話したらいいんだろう……。
迷っている私に、ライさんは微笑みながら言った。
「大変だったね、アーニャ。……あのさ、僕でよかったらだけど……君達の手助けをしてもいいかな?」
その言葉に私は驚いた。
あんな事に遭遇し、あんな出鱈目のような話をされて、まさか手伝おうなんて言ってくれるとは思ってもいなかったから。
だから、私は思わず聞いていた。
「あんな話、信じてくれるんですか?」
「信じるも何も目の前であんな事があった以上、信じるしかないだろう」
そう言って笑い出すライさん。
425:簡単に書いてみた
09/03/10 04:39:47 ZMWWziRE
「で、でもぉっ……変身しちゃう女の子って変じゃないですか?」
私は、恐る恐るそう聞いてみた。
なんだか、ライさんなら、今の私も受け入れてくれそうな気がしたから。
「うん。普通に考えたら変だよね」
その言葉にショックを受ける。
聞くんじゃなかった。
後悔が一気に私の心を塗りつぶしていく。
だが、彼はすぐ言葉を続けた。
「でも、僕はそれは間違いだと思う。アーニャは、ただ普通の人とはちょっと違うだけ。
アーニャは、アーニャさ。僕にとっては何もかわらないよ」
その言葉が一気に後悔に塗りつぶされようとしていた心を開放する。
「ありがとう……ライさん」
自然と感謝の言葉が出た。
そして、目には涙が溢れ零れ落ちた。
そんな私をやさしく抱きしめて頭を撫で続けてくれるライさん。
今まで気味悪がられたり、信じてもらえない事ばかりで理解者が現れる事を諦めかけていた。
だけど……。
私、理解者に出会えたのかのしれない。
私はそう思えてならなかった。
第一話 終了
次回予告
ついに現れるランクAの異形のもの
それを相手に苦戦するマリアンヌ。
あわや敗北かっ…。
そう思われたとき、光と共に現れたのは……。
次回 「閃光の魔法少女マリアンヌ」 第2話 これが絆の強さですぅ にご期待ください。
426:創る名無しに見る名無し
09/03/10 04:42:10 ZMWWziRE
以上です。。
1時間程度で書いたものなので突っ込みどころ満載です。
まぁ、勢いでやっちゃったと笑って許してください。
427:創る名無しに見る名無し
09/03/10 10:49:10 7KylQZoY
>>426
GJでした!
い、一時間で書いただと!?
えぇい、ロスカラSSスレの職人は化け物かッ!
魔法少女……いいね!
続くの文字に期待しつつ、貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
428:創る名無しに見る名無し
09/03/10 11:54:53 JWrYHjGj
このネタを考えついた者です。このネタを使ってSSを書いてくれたお方、
誠にありがとうございます。とてもいいですよ。
一応ネタの補足になりますが、自分の脳内では、
・(その時の服装状態の子供の姿のアーニャ)-変身→(魔法少女の衣装を着た大人の姿のマリアンヌ)
・ルルーシュとナナリーの母親であり、C.C.の知り合いでもあるマリアンヌその人である
・アーニャの身体に居座ることになった流れは、ほぼ本編沿いに近かったりする
てな感じです。・・・今頃になってスミマセン。二つ目と三つ目の補足設定
は無視してもかまいません(特に三つ目は)。あの話でも十分いいですよ。
それではまた、「閃光の魔法少女マリアンヌ」のSSが書かれることを
を楽しみにしています。
429:創る名無しに見る名無し
09/03/10 12:51:59 nkvEVnIQ
>426
おもろかったー
1時間でこんなに書けるものなのか!?素直に感嘆。
マリアンヌもアーニャも可愛いです。
>428
youそこまでネタ詰めてあるなら自分で書いちゃいなyo
430:創る名無しに見る名無し
09/03/10 21:32:14 ZMWWziRE
なんか需要があるようなので、2話投下します。
すみません。
1話、2話続けて勢いで書いてますから、突っ込みどころ満載です。
まぁ、気楽に楽しんでください。
タイトル 「閃光の魔法少女マリアンヌ」 第2話 これが絆の強さですぅ
カップリング ライ×アーニャの予定
ジャンル 未定
注意点
パラレルワールドですので、キャラの性格変わってます。
なお、このSSでのアーニャは、今まで普通の女の子として生活してきて、最近になってマリアンヌに寄生されちゃったって感じでしょうか…。
その為、本編のような性格にはなっていません。
もちろん、他のキャラもそういう感じで変わってしまっています。
ご注意ください。
431:簡単に書いてみた その2
09/03/10 21:33:07 ZMWWziRE
「あのね…ライさん……」
「わかってるよ、アーニャ」
ライさんは、そう言って片目をつぶってウィンクしてくれた。
「あの事は、二人だけの秘密だね」
「うんっ」
思わず、笑顔で答えてしまう私。
ドキドキしてる胸の鼓動。
なんでだろ……。
疑問が湧いたが、今は理解してくれる人が傍にいる。
それだけで私は幸せだと思っていた。
そして、そんなアーニャを頭の中でマリアンヌは面白そうに見ていた。
「若いねえ…」と思いながら……。
「閃光の魔法少女マリアンヌ」 第2話 これが絆の強さですぅ
だが、そんなほのぼののひと時もすぐに終ってしまった。
異形のものが現れたのだ。
「なんで…こんなところに……」
マリアンヌの思考が叫ぶ。
「アーニャ…変わるわよ」
「うんっ、わかった」
そう頭の中のマリアンヌに返事をすると呪文を唱えるアーニャ。
「星よ、月よ、火よ、太陽よ、あらゆる光の源よ。
私、アーニャ・アールストレイムが願います。ここにマリアンヌ・ヴィ・ブリタニアの帰還を……。ルルーディ・ル・フェンドゥ」
そして、その呪文にあわせてアーニャの身体が光に包まれてた。
まだ幼かった少女の身体が、光の中で女の身体へと変化していく。
それにあわせて、服装もこの前着ていた魔法少女のユニフォームに変わっていった。
そして、光が一気に強くなった瞬間に掻き消され、そこには一人の女性の姿があった。
「マリアンヌさんっ……」
ライは思わず声をかけてしまっていた。
ちらりと僕を見たマリアンヌさんは、相変わらず綺麗だった。
432:簡単に書いてみた その2
09/03/10 21:33:47 ZMWWziRE
「は~い、ライくんだったわよね。危ないから下がっててね」
そのマリアンヌの言葉に、ライはすぐに返事をすると後ろに下がった。
うふっ……。
素直ないい子じゃないのっ。
思わず微笑が漏れる。
でも……今は、こっちの方が重要ね。
魔法のロッドを握りなおし、目の前の相手を睨みつける。
この前封印したのとは比べ物にならないほどの妖気だ。
その妖気だけでじりじりと肌が焼かれるような錯覚さえ覚えてしまう。
ランクB、いえ違うわね。
ランクAってところか……。
冷たい汗が流れる。
契約したばかりの私にとって、あまりにも強すぎる相手だ。
確かに勝てない相手ではない。
でも、回復者がいない現状では、消耗の激しい呪文も術式も使えない。
くっ…どうしょう。
一瞬、逃げるかという選択肢が頭に浮かぶ。
だが、私が逃げれば、逃げ遅れるライくんは間違いなくやつに殺されるだろう。
それは出来ない。
いくら知り合ったばかりの相手とはいえ、私だってあの子に情が少しは移っている。
それになによりアーニャを悲しませたくなかった。
ええいっ……。
なんとかなるさっ。
私は、そう決心すると異形のものに突っ込んでいった。
はぁ……はぁ……はぁ……。
荒い息がマリアンヌさんの口から漏れる。
さっきからマリアンヌさんはすごく辛そうだった。
戦いは、確かにマリアンヌさんが押しているようにも見える。
だが、まだ相手は余裕があるように僕には感じられた。
なんか……拙い気がする。
僕の本能がそう警告する。
だが、どうすればいい。
今の僕に出来ることなんてあるのか……。
ちくしょう。
僕に力があれば……。
そうすれば彼女を助けて上げられるのに……。
そして、非力な自分に憤慨しながらも、僕は力を願った。
彼女を助ける事が出来る力を……。
433:簡単に書いてみた その2
09/03/10 21:34:36 ZMWWziRE
さすがランクAね。
この程度の呪文や術式だほとんどダメージ通らないかっ。
予想以上の相手に、私は焦っていた。
だが、現状で出来ることは大抵やりつくした。
やっぱり、リミッター外さないと駄目か。
彼女は決心した。
いくらセーブしても、ここで負けたら意味がない。
「アーニャ、ごめん……。力を貸して欲しいの」
頭の中のアーニャのに声をかける。
「うんっ。……だ、大丈夫だよ」
少し頼りない返事が返ってくる。
だが、迷っている暇はない。
魔法のロッドを構えると私は詠唱をスタートさせた。
「我、マリアンヌ・ヴィ・ブリタニアが命ずる。我の心と共に歩むものの力を我が……」
だが、そこまで詠唱した時だった。
異形のものが一瞬無防備になったマリアンヌに攻撃を仕掛ける。
今の彼女では、その攻撃は回避できない。
駄目だっ…。
その思いが膨らむ。
そして、僕は無意識に叫んでいた。
「やめろぉぉぉぉぉぉぉーーーーっ!!」
するとどうしたのだろう。
びくりと僕の言葉に反応し、異形のものの動きが止まる。
なに?
何が起こった?
それは多分、異形のものも同じなんだろう。
僕には混乱しているように見える。
そして、その間に詠唱は完成した。。
「剣に宿らせ、光の輪廻へと切り捨てよ。ファン・ルーファー・イズシス」
ロッドが光の剣と化していく。
そして、「斬!!」と言う言葉と同時に異形のものが光の剣に切り捨てられた。
光の粒子となって消えていく異形のもの。
そして、その光の剣の中にはぼんやりとアーニャの姿が見える。
「えっ?!アーニャ……なの?」
思わず、光の剣に話しかけていた。
「うんっ、私っ……」
光の剣の中にあるアーニャが僕に向かって微笑む。
驚いている僕にマリアンヌさんが苦笑して説明してくれた。
「リミッターを外す事で、アーニャの力をロッドに宿す事が出来るのよ」
「うんっ、これが絆の強さですぅ~♪」
少しふざけたような言い回しに、僕は吹き出した。
そして、それに釣られみんなも笑い出していた。
「そろそろ戻すよ、アーニャ」
笑いが収まるとそう言って変身を解くマリアンヌ。
434:簡単に書いてみた その2
09/03/10 21:35:41 ZMWWziRE
変身の時のように光が彼女を包み込み、だんだんと小さくなっていく。
そして、完全に光が消えるとそこにはアーニャの姿があった。
「ごくろうさん…。大丈夫か?」
「うん……大丈夫……」
アーニャはそう言いかけたが、足が思うように動かないのか倒れそうになる。
「おっと……。無理しちゃ駄目だよ」
それを支えると僕は優しく彼女を抱き上げた。
「え、え、ええーーーっ……」
アーニャが真っ赤になってじたばたと暴れ始める。
まぁ、いきなりお姫様だっこなんてされたら驚くか……。
だけど、僕はそんなアーニャに微笑んだ。。
「何も出来なかったから、せめてこれぐらいはさせてくれよ、アーニャ」
その言葉に真っ赤になったまま大人しく頷く。
実際、かなりしんどいのだろう。
笑顔を見せようとしているが、汗が止まらないように流れている。
そんな彼女を見ながら僕は心の底から思った。
僕にたいした事は出来ないかもしれない。
でも、少しでも彼女らの力になりたい、と……。
そして、戦いの一部始終を学園の屋上から見ているものがいた。
黒尽くめのマントに黒の仮面をかぶったその姿。
そいつは、その場を離れる二人を見送りながら呟いた。
「こんなところにギアス能力者がいるとはな……」
第二話 終了
次回予告
私たちの前に現れた黒マントに黒マスクの男。
彼はゼロと名乗った。
彼は、敵なの?味方なの?
そして再び襲い掛かってくる異形のもの。
えーいっ、考えるのめんどーね。
次回 「閃光の魔法少女マリアンヌ」 第3話 我名はゼロ にご期待ください
435:簡単に書いてみた その2
09/03/10 21:36:57 ZMWWziRE
以上でおわりです。
まぁ、気軽に楽しんでください。
なお、3話の予定は…………未定です。
436:創る名無しに見る名無し
09/03/10 21:39:25 oAxH7bt+
>>435
乙です。最初違和感あったがパラレルとして割り切るとむしろ新鮮な感じだ。
続き楽しみに待ってます。
437:創る名無しに見る名無し
09/03/10 21:46:39 7KylQZoY
>>436
GJでした!
注意点www >寄生されちゃった 吹いたw
まさかのアーニャ武器化w
そしてゼロktkr
次回予告の微妙な投げやり感もまたいいかんじ。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
438:創る名無しに見る名無し
09/03/11 08:18:55 TmZWW03p
未定…?生殺しもいいところだ…面白いだけに
439:創る名無しに見る名無し
09/03/11 19:44:55 y8KlM9Gm
このスレあと容量どれくらいなんだろ
440:創る名無しに見る名無し
09/03/11 19:49:10 LQhUgji2
現在389kBですね
441:創る名無しに見る名無し
09/03/11 20:33:49 4xQWja0d
代理投下予告。
本日20時50分から、投下いたします。
支援等よろしくお願いいたします。
442:代理投下
09/03/11 20:49:29 4xQWja0d
そろそろ時間なので投下します。
ここから下は、ライカレ厨さんの書かれた文章です。
↓
お久しぶりです。随分と投下間隔が開いてしまいましたが、前作の続きを投下します。
【メインタイトル】コードギアス 反逆のルルーシュ L2
【サブタイトル】~ TURN02 逆襲の処刑台(前編)~
【 CP 】無し、敢えて言うならライ←カレン
【 ジャンル 】 シリアスだと思います。
【 警告 】●根幹は黒騎士ルートを準拠してのR2本編介入ものですが、オリジナル設定と話も多々あります。
●王様ライの性格は自分の考えに依存してます。苦手な方はご注意下さい。
●オリキャラ及びオリジナルの名称が出ます。同じく苦手な方はご注意下さい。
それでは、投下行きます。
443:代理投下
09/03/11 20:51:37 4xQWja0d
シャルルとライ、二人の声が黄昏の間に響く。
二人は互いに顔を会わせる事無く言葉を交わしていた。ただ遥か雲海の先より差し込む夕日をその身に受けながら。
「そうか、ゼロが……」
シャルルが独り言のように言葉を零すと、ライは軽く相槌を打った。
「ああ」
「御主はどう見る?」
「まだ何とも言えない。状況証拠はルルーシュを否定しているからな。だが……」
「申してみよ」
珍しく言葉に詰まるライを尻目に、シャルルが僅かに笑みを含んだ声色で告げると、ライは自身の想いを告げた。
「ルルーシュは目覚めた。いや、これは違うな。私は望んでいるのだ。そうであって欲しいと」
ライはルルーシュが目覚める事を、ゼロの復活を心の片隅で望んでいた。
それは、C.C.を捕らえるにあたり最大の障害に成りうる。本来であれば絶対に避けるべき事項である。
しかし、ライは報告書で知ったゼロのカリスマ性。それに惹かれていた。
端的に言えば、戦ってみたかったのだ。
一方でそれを聞いたシャルルはただ一言、そうか、と告げるのみ。
暫しの間、沈黙が辺りを支配する。
やがて、ライは今後の方針を告げた。
「騎士団の残党の件だが、今は領事館に逃げ込んでいる。なに、直接占拠してしまえば―」
「中華連邦との対立は、現時点では避けよ」
予想だにしていなかったシャルルの言葉にライは僅かに瞳を見開いた。が、そんなライを余所にシャルルは更に続ける。
「あの国とは、シュナイゼルが話を進めておるのでな」
「シュナイゼルか、鼠の親玉だったな」
シャルルが告げた一人の男の名。その名を聞いたライの瞳に鋭さが増した。
この一年の間、シュナイゼルは再三に渡り機情に密偵を送り込んでいた。
正確にはシュナイゼルの命を受けたカノンが送ったのだが、王の力の前ではどれ程優れた密偵であろうとも無力だった。
「煩わしい連中だった。ギアスを使えば駆除は容易かったが……そういえば最近は無くなったな。咎めたのか?」
「何も言ってはおらぬ。何れにせよ、再び挑んで来た時は好きにさせよ」
表向きは宰相という皇帝の右腕たりえる地位を以て、その辣腕振りを発揮しつつも裏では密かに暗躍する。
シュナイゼルのその姿に、嘗ての王宮に蔓延っていた唾棄すべき存在を思い出したライは心底不愉快そうな顔になる。
「ブリタニアらしいな。いや、貴族らしいと言うべきか?私の居た頃と何も変わらない」
だが、それも一瞬の事。直に普段の冷めた表情に戻したライは話題を変える。さっさと忘れたかったからだ。
「ゼロはどうする?」
「未だ真偽が定かでないのであれば、今はC.C.捜索を優先せよ」
「無茶を言ってくれるな。相変わらず何処に居るか分からないのだが?」
不快感を滲ませながら問い掛けるライに対して、シャルルは助言を与えた。
「C.C.は必ずゼロの近くに居る」
だが、それを聞いたライは今度こそ不快感を露わにする。
「そう仮定するなら確率が一番高いのは領事館になるが、お前は対立は避けろという。無理難題を押し付けるな」
「出来ぬと申すか?」
シャルルの口元が弧を描く。その挑発ともいえる笑みを横目に捉えたライだったが、直ぐに視線を戻すと暫しの間押し黙った。が、やがて独り言のように呟いた。
「C.C.はゼロの傍に居る、か。では、ゼロを引き摺り出す方法は任せてもらおうか」
笑いを含んだ口調で呟くライ。それに気付いたシャルルが問い掛ける。
「何を考えておる?」
「簡単な事だ。餌を使う。だが、お前はどうせ私が指揮を取る事は許さないのだろう?そうなると実際に指揮を取る者次第だが、奪われる可能性がある」
「C.C.が何処に居るか。今はそれだけでも分かれば良い」
「では、いいのだな?」
最後にライが釘を刺すと、簡潔な答えが返って来た。
「好きにせよ」
「ああ、そうさせてもらおう」
ライが満足げな笑みを浮かべてその場を後にしようと踵を返した時、不意にシャルルが呼び止めた。
「これを渡しておく」
そう言ってシャルルは外套の下に隠していた二対の剣を取り出した。一方は刀。そしてもう一方は剣。
444:代理投下
09/03/11 20:54:11 4xQWja0d
「お前が持っていたのか」
ライは些か驚いた様子で答えながらも受け取ると手元に視線を落とす。
刀は白鞘に収まっており鍔には見事なまでの装飾が施されている。
だが、もう一方の剣に至っては一切の装飾も施されてはいない。
対照的なそれらを暫しの間無言で見続けたライは、やがて慣れた手つきで刀を鞘より抜き出した。
夕日に照らされて目映く輝くその刀身には美しい刃文が浮かび、そこには一切の錆も見受けられない。
それを認めたシャルルは思わず感嘆した。
「見事なものよ」
その言葉にライはまんざらでも無いといった様子で答える。
「ああ、母が私に与えてくれたのだ。何でも、母の国で作られた剣…刀と言うらしい」
「形見、か……」
そんなシャルルの問い掛けとも取れる呟きに、ライは僅かに眉を顰めた。
しかし、それも一瞬の事。
直ぐに表情を変えると、ライは暫しの間感慨深げにその刀身を眺めていた。
そこには普段の鋭さを秘めた瞳は無かった。嬉しそうでもあり、しかし何処か悲しみを湛えた横顔。それは、年相応とも言える一人の青年の姿だった。
やがてライは刀を鞘へと収め腰に据えると、次に剣を抜き出した。
その剣の刀身は血のように紅く、また先程の刀と同じく一切の錆も見受けられなかった。
が、造形美は明らかに刀より劣るものだった。
「何の意匠も感じられぬな」
そう言って笑うシャルルを余所に、ライは特に気分を害した様子無く淡々とした口調で答える。
「剣は所詮人殺しの道具に過ぎない。装飾など無意味だ」
「ほぅ、では先程の刀はどう説明する?」
その問い掛けに、ライは臆面も無く言い放った。
「これは刀では無く宝だ。そもそも、母より頂いた物を敵の血で汚せというのか?」
「では、その剣は?」
「ああ、これか。これは……V.V.からだ」
「V.V.……」
その言葉を聞いたシャルルの瞳が光る。
「ある日突然現れて、王位に就いた祝いだと言ってこの剣を寄越した。しかし、見た目とは裏腹に切れ味だけは見事なものだぞ?他国を攻める際には大層世話になった」
「そうか、それをV.V.が……」
シャルルが何やら考え込む素振りを見せると、ライは悪戯っぽく笑いながら告げた。
「何なら試してみるか?」
「いや、遠慮しておこう」
一切動じる事の無いシャルル。
それを見てライはつまらなそうな表情を浮かべた。
「件の件だが、取り急ぎ行動を起こすがよい」
「ああ、そうさせてもらう」
ライは剣を鞘に仕舞い込むと再び踵を返す。
「これは有り難く貰って行く」
最後に振り返る事なくそう告げると、今度こそその場を後にした。
ライが立ち去るのを確認すると、一人残ったシャルルは独り言のように呟いた。
「聞いていましたか?兄さん。……ええ、その様に……」
短く言い終わると、シャルルは暫しの間思慮に耽るかの様に瞳を閉じた。
「フフフッ」
やがて、我慢出来なくなったのか愉悦を含んだ笑いが口元から溢れると、シャルルはゆっくりと双眸を開く。
そして、誰に聞かせるでもなく呟いた。
「間違いない。あれこそが真のエクスカリバー」
聖剣エクスカリバー。
それはあらゆるモノを打ち砕く剣。
―神を殺し、世界の嘘を破壊する―
そのシャルルの望みを叶える上で、必要なモノ。ライと同じく無くてはならない鍵の一つ。
「神よ!待っているがいいっ!」
シャルルは心底嬉しそうな、それでいて残酷な笑みを浮かべると両手を広げ天に向かって高らかに吼えた。
445:代理投下
09/03/11 20:55:41 4xQWja0d
―――――――――
コードギアス 反逆のルルーシュ L2
~ TURN02 逆襲の処刑台(前編)~
―――――――――
エリア11、その中心地でもあるトウキョウ租界。
その政庁は突然のゼロ復活という事態に、蜂の巣を突いたような騒ぎになっていた。
「中華連邦は何と言ってる!?」
「何も。領事の独断の可能性も……」
「初めから話しがついていたと言うのか?」
「クソッ!情報が少な過ぎるっ!」
指揮所では兵士達が慌ただしく動き回っている。
その場所で眼鏡を掛けたオールバックの長髪の男、コーネリアの騎士、ギルバート・G・P・ギルフォードはモニターに映る領事館を眺めながら呟いた。
「ゼロが甦ったとは……」
その呟きを聞いたグラストンナイツの一人、クラウディオ・S・ダールトンは他の兄弟を代表するかのように問い掛ける。
「ギルフォード卿、あれは本当にゼロですか?ゼロを語っているだけでは?」
「いや、あの手際の良さは間違いなくゼロだ。私には分かる」
ギルフォードが断定するかのように言い切ると、背後に控えていた他のグラストンナイツの面々は思い思いの言葉を口にする。
「だとしても……」
「ああ、厄介な場所に逃げ込まれた」
「袋の鼠だ。父上の仇を―」
「馬鹿、どうやって誘き出すつもりだ?」
そう、ゼロが逃げ込んだ先は中華連邦総領事館。
そこは中華連邦の領地と同位なのだ。仮に武力を以て制圧しようものなら外交問題は必死。
EUは弱体化したとはいえ、未だブリタニアと戦火を交えている。ここで現場の独断で下手に中華連邦を刺激する事は避けねばならなかった。
「頭が痛いな」
思わず眉間に皺を寄せるギルフォード。
彼自身、ゼロを領事館から誘き出す手立てが全く思い付けないでいた。
それは即ち、主であるコーネリアの仇が討てないという事。ギルフォードは何も出来ない自分に歯痒さを覚えていた。
その頃、彼等の直ぐ近くで慌ただしく作業をしていた兵士の一人が、見慣れないチャンネルからの通信を拾った。
気になった兵士は、報告する前にそれとなく発信元をトレースしてみる。が、不明だった。
気になりもう一度試すと、それは隣の端末から発信されていた。
不思議に思った兵士が次に試すと今度は帝都から。
発信元が目まぐるしく変わりどこが正しいのか皆目検討がつかない。
「何だ、これ」
その時、同僚の戸惑いに気付いたのか隣に座っていた兵士が問い掛ける。
「どうしたんだ?」
「いや、見たこと無い周波数から通信が入ってるんだが……」
「どれどれ?……何だ、帝都からじゃないか」
「いや、さっきはお前の端末からだったんだが……」
すると、兵士達の話し声に気付いたギルフォードが咎める。
「どうした?私語は慎め!」
「も、申し訳ありません!ですが、ギルフォード卿。見慣れない通信が入っております」
「見慣れない通信?出してみろ」
ギルフォードが怪訝な表情のまま命じると、暫しの間を置いて彼等の眼前にその者は現れた。
「「「なっ!!」」」
巨大なモニターに映るその姿を見た彼等は、驚きのあまり言葉を失った。
先程の喧騒さも何処へやら。指揮所が静寂に包まれた時、モニターに映る者が口を開いた。
「オ初ニオ目ニ掛カル、ギルバート・G・P・ギルフォード」
「何だ……お前は……」
それは無知の成せる技と言えた。だが、その者はギルフォードを咎める事無く答える。
「私カ?私ハ"カリグラ"」
その名はその場に居た全員に聞き覚えがあった。
446:代理投下
09/03/11 20:58:39 4xQWja0d
―機密情報局長官カリグラ、それはライのもう一つの顔―
しかし、その姿はつい先程甦ったゼロを前にしては不謹慎以外の何物でもない。
ギルフォードが思わず怒りを孕んだ口調で問う。
「機情の長が、一体何の用ですか?」
「"ゼロ"ガ現レテ喜ンデイルカト思エバ怒ッテイルノカ」
それに気付いたカリグラはそう言って笑いを溢した。
だが、それはギルフォードにとってはまるでゼロに笑われているような錯覚を覚えさせた。
「貴卿のその姿が不愉快なのです」
「噂ニ違ワヌ正直者ダナ」
「一体何の用でしょうか?」
「ソウ突ッ掛カルナ。コノ姿ハ陛下ノ命ダ」
予想だにしていなかったカリグラの答えに、ギルフォードは思わず眉を顰める。
同時に彼の後ろに控えるグラストンナイツは訝しむような眼差しでカリグラを見やる。
が、カリグラの仮面の下、ライはそんな彼等の様子を特に気にした様子も無い。
「ソレヨリモ"ゼロ"ニ対シテ大層思慮シテイル様ダナ?」
「お心遣い感謝します。ですが、これは我々の問題です」
「ソレハ違ウナ。帝国ノ問題ダ。ソコデ一ツ、提案ガアルノダガ?」
「提案、とは?」
「"ゼロ"ヲ、アソコカラ引キ摺リ出シタクハ無イカ?」
「方法があると?」
ギルフォードの問い掛けにカリグラは無言で返すと、それを肯定と受け取ったギルフォードは更に問う。
「お聞かせ願えますか?」
「特収ニ居ル囚人共ヲ殺セ」
特収。それは、特別収容施設の事だ。そして、そこに居る囚人達と言えば―。
「今、なんと?」
ギルフォードは聞き間違いかと思い反芻した。だが、聞き間違いなどではなかった。
「公衆ノ面前デ、アノ者達ヲ処刑シロ」
カリグラから返って来た言葉は、明確な使い道だった。
俄にざわめき出す指揮所内。
しかし、ギルフォードは一人冷静さを失わないでいた。
「ゼロが見捨てる可能性は?」
「無イナ。"ゼロ"デ無クトモ、指揮官デアレバアノ者達ハ喉カラ手ガ出ル程欲シガル」
「しかし、処刑とは……」
ギルフォードは思わず口籠もる。しかし、カリグラはお構いなしといった様子で語り続ける。
「何レニシテモ"ゼロ"ガ復活シタ今、アノ者達ノ利用価値ハソノ程度ダ。仮ニ現レナケレバ処分スレバイイ。ダガ……」
そこでカリグラは敢えてひと呼吸置いた。続きが気になった者達は固唾を呑んで待つ。
指揮所内が再び静寂に包まれる。
それをモニター越しに認めたライは、カリグラの仮面の下で嘲笑いながらも一人の男に狙いを定めると、囁くように告げた。
「"ゼロ"ガ出テクレバ決着ヲ着ケラレルゾ?主ノ汚名ヲ濯グ又ト無イ機会デハ?」
それはギルフォードにとっては甘い誘惑だった。
ブラックリベリオンにおいて、コーネリアは黒の騎士団を退けた。
その事に対して、当初、本国の貴族達はコーネリアを手放しで賞賛していた。
が、彼女はゼロによって手痛い手傷を負った。
そして、その傷が癒えると同時に雲隠れするや否や、貴族達は掌を返して陰口を叩くようになっていた。
曰く、戦う事が恐ろしくなった臆病者だ、と。
彼女の性格を誰よりも知っているギルフォードがそれを聞いて我慢出来る筈も無い。
しかし、コーネリアが行方を眩ませている事は紛れもない事実である。
そして、ここに来てのゼロ復活。情報は瞬く間に世界中に広がった。
今頃本国では一体どんな噂が流れているのか。ギルフォードにとっては想像する事さえも腹立たしい事。
最も好ましいのは、コーネリア自身が今度こそゼロを討つという事だが、前述の通りそれは叶わない。しかし……。
447:代理投下
09/03/11 21:00:20 4xQWja0d
―騎士はその者の鏡―
正に、ゼロを討つのは己しかいないのだ。しかし、ギルフォードは決断出来ないでいた。
一方、ギルフォードの傍で事の成り行きを見守っていたグラストンナイツは違っていた。
彼等にとっては、父と慕ったダールトンの仇を打てる又と無い機会なのだ。
まだ若く、血気盛んな彼等にとってこれ以上の言葉は要らなかった。
しかし、愚直なまでに騎士道に殉ずるギルフォードはあくまでも撥ね除けようとする。
「それは無理です。陛下は今まであの者達の処刑をお認めにならなかった」
そう言って撥ね除けようとしたのだが、続けざまに紡がれた言葉は更に甘美なものだった。
「モウ許可ハ得テイル。ダカラコソ、コウシテ進言シテイルノダ。ダガ、決メルノハ貴公ダ。サテ、ドウスル?」
その言葉を聞いた時、ギルフォードは確かに見た。
銀色の仮面が怪しく光るのを。
それがまるで笑っているかのように感じ取れたギルフォードは念を押す。
「誠、でしょうね?」
「私ガ嘘ヲ言ッテイルト?」
「その容姿で言われれば、誰でもそう思うと思いますが?」
挑発にも似たその言葉に、仮面の下でライは密かに笑った。
「真偽ノ程ハ貴公ニ任セル。ダガ、私ガ機情ノ長トシテ話シテイル事ハ、心ニ停メテオクガイイ」
その言葉と共に通信が切られると、指揮所内は再びざわめき出す。
ギルフォードは未だ信じられないでいた。
だが、皇帝直属である機密情報局。その長が言った言葉ならば事実なのだろうという事は十二分に考えられた。
機情の長が嘘を吐くという事は、それ即ち皇帝が嘘を吐くという事になる。皇帝の名を汚すような、そんな存在が付ける地位では無いという考えからだ。
「ギルフォード卿!!」
突然背後から呼び掛けられた事にハッとなり振り向いたギルフォードが見たのは、自身を決意の眼差しで見つめるグラストンナイツの面々。
その瞳を見ても分かるように、彼等はギルフォードとは打って変わって冷静さを失っていた。余りにも若過ぎたのだ。
しかし、そんな彼等を見たギルフォードは若さに当てられたのか、自分の心が大きく揺れ動いた事に気付く。
が、依然としてカリグラより告げられた策は軍人として到底認める事が出来ないもの。
ギルフォードは、藤堂に対して優れた武人だと一定の評価を下していた。
そんな彼を戦場では無く、よりにもよって道具として使うのだ。
それは余りにも卑怯と言う他無い。
自身が仮にそうされた場合は、一体どれ程の屈辱だろうかと。
しかし、一方でゼロを誘い出せる可能性が有る事も否めないでいた。
―こんな方法が、認められるのか?
彼の軍人としての尊厳がその甘言を必死に阻もうとする。
だが、そこで思い直す。
ギルフォードは確かに軍人である。しかし、それ以前に彼はコーネリアの騎士。
そして主の汚名を濯ぐにこれは又と無い機会。
―姫様の為……ならばっ!
そう思った瞬間、ギルフォードは生まれて初めて誘惑に負けた。
448:代理投下
09/03/11 21:02:10 4xQWja0d
―――――――――
今後の事をC.C.達に任せたルルーシュは学園に戻っていた。
しかし、そんな彼を待ち受けていたのはイベント好きで有名な学園の首魁たるミレイ・アッシュフォードの企みだった。
それは名目上テロ事件より無事に生還したルルーシュとロロを祝う記念パーティーだった。
本来なら主賓である筈のルルーシュは、何故かその準備や片付けに追われゆっくりと今後の事を考える暇もなかった。
そして、やっとの思いでそれらのイベントから解放されたルルーシュは、クラブハウス内の自室で一人ロロについての考察とナナリーの安否について思慮に耽っていた。
結果として分かった事はそう多くない。
ナナリーが偽りの弟にすり替わっている事。
そして、生徒会のメンバーからナナリーの記憶が無くなっている事。
それらを考慮した結果、導き出された答えはブリタニア皇帝がナナリーを握っている可能性が高いという事だった。
しかし、そこでルルーシュの脳裏に一つの疑問が浮かんだ。
「ナナリーだけではなく、何故ライの記憶までも?」
そう、生徒会メンバーはナナリーの事だけでは無くライについての記憶までも奪われていたのだ。
ナナリーに関する記憶を奪った理由について、ルルーシュは直に理解した。
だが、ライの事まで何故消す必要があったのか。
当初、ルルーシュにはそれが全く理解出来なかった。
しかしある仮説を元に考えた時、それは実にあっけなく解消された。
「まさかとは思うが……」
その一つの可能性に気付いた時、ルルーシュの足は自然とある場所へ向けて歩き出していた。
やがて目的の部屋の前まで来ると、ルルーシュは軽く扉をノックする。しかし、反応は無い。
分かっていた反応ではあったが、それはルルーシュの心を物悲しくさせるには十分なものだった。
暫しの沈黙。
やがて、意を決したルルーシュは僅かに震える手でドアノブを掴むとゆっくりと扉を開けた。
その部屋の中は薄暗く、閉め切られたカーテンからは夕日が僅かに差し込んでいた。
ルルーシュは埃っぽい匂いを感じながらも足を進めて行く。
そこは、嘗てライが間借りしていた部屋。
今は、生徒会のイベントで使われた数々の小道具がその部屋の主となっており、生活感の全くない倉庫となっていた。
部屋の真ん中まで歩みを進めたルルーシュは、ふと立ち止まると確かめるかのような言葉を発する。
「ここに、ライが居た」
そう、確かに居たのだ。一年前まで。
その時の光景を思い出した時、ルルーシュの胸に去来したのは悲しみ。
それに心が蹂躙されながらも、じっとそれに耐える。
すると、突然背後から声を掛けられた。
「あれ?ルル、倉庫に何か用でもあるの?」
声をかけたのはシャーリー・フェネット。ルルーシュに恋心を抱く女性だ。
しかし、声を掛けても想い人からの返事は無い。
その事を少々不満に思ったシャーリーは、先程より幾許か大きめの声で問い掛ける。
「おーい、ルルってばっ!」
「あ、ああ。シャーリーか」
その事が功を奏したのか、ようやっと振り向いたルルーシュ。しかし、その表情は芳しく無い。
それが少し引っ掛かったシャーリーだったが、呼んでも直に振り向いてくれなかった事への不満から少し拗ねた様子で重ねて問い掛ける。
「もう、ルル大丈夫?」
「ん?何がだ?」
だが、返って来たのは先程とは打って変わってあっけらかんとした様子でいるルルーシュだった。
449:代理投下
09/03/11 21:03:55 4xQWja0d
その事に少し安堵したシャーリーだったが、続けざまに問われた言葉に不安になる。
「それよりも、シャーリー。ここは倉庫だよな?」
「何言ってるの?ここはずっとそうだったでしょ。ねえ、ルル。本当に大丈夫?」
シャーリーが心配するのも当然だった。
彼女の記憶の中でもこの部屋は倉庫以外の何物でも無く、それはルルーシュも承知している筈だと思ったからだ。
そして、更に言えばタイミングが悪かった。
シャーリーはルルーシュがテロから無事に生還したとはいえ、何処かで頭でも打ったのかと不安になったのだ。
それが想い人であれば尚更だろう。
しかし、朴念仁であるルルーシュがそんなシャーリーの気持ちに気付く筈も無い。
「ああ、済まない。少し疲れてるのかもな」
そう言ってルルーシュはわざとらしくこめかみに手をやる。
「ちょ、ちょっとルル。大丈夫?」
その仕草にシャーリーは心底驚いたようで、慌てて駆け寄ると心配そうにルルーシュの肩に手を置いた。
「大丈夫だ。暫く部屋で横になるから」
「それなら……いいけど」
不承不承といった様子で承知したシャーリー。ルルーシュはそんな彼女に対して、静かに微笑みながら感謝の言葉を口にする。
「ありがとう、シャーリー」
「ど、どういたしまして」
それを間近で見てしまったシャーリーは、頬が紅潮するのが分かり思わず顔を背けた。
しかし、果たしてその行為で誤魔化せるかといえば、答えは否だ。既に耳まで真っ赤なのだから。
普通の男なら女性のこういった反応に何かしらの結論を出しても良いものなのだが、朴念仁たるルルーシュが気付く筈も無い。
それどころか、ルルーシュは全く別の結論を導き出していた。
ライは生きている、と。
―――――――――
ルルーシュとシャーリーが端から見れば青春そのものであった時。
学園地下に設置された機情の一室では、先日現れたゼロとルルーシュの関係性についての考察が行われていた。
しかし、学園内に配置された監視員からの報告はルルーシュがゼロであるという可能性を明確に否定していた。
その為、他の隊員達はあのゼロはルルーシュでは無いだろうと結論を出していた。
が、隊長であるヴィレッタだけは未だに怪しんでいた。機情の中でロロを除いてたった一人、ギアスの恐ろしさを身を以て知っているヴィレッタが慎重になるのも無理は無い事。
片や、それを知らない隊員達はヴィレッタの慎重さを訝しみつつ、今後の方針について会議を続けていた。
だが、そんな彼等を余所に突然それまでの話を聞き流していたロロが口を開く。
「結局、C.C.は何処に居るんです?」
辟易した口調で問われた事に対して、隊員達はロロを睨み付ける。
ヴィレッタも思わず眉を顰めるが、ギアス使いである上に命令系統の違うロロとやり合う気は更々無い。
「ルルーシュと接触していないのなら、領事館に居る可能性は低い」
「つまり、事件前と一緒。何処に居るか分からない」
感想のように告げるロロ。
その口調からヴィレッタは今度は暗に批判されている事を感じ取ったが、あくまでも眉を顰めるのみに停める。その時、短い着信音と共にパネルを操作していた隊員の一人が口を開いた。
「ヴィレッタ隊長。カリグラ卿からです」
「出せ」
ヴィレッタは表情を引き締めると部下にそう命じながら立ち上がる。
同じく他の隊員もそれに習うが、ロロだけは一人ソファに腰掛けたまま立ち上がる事は無かった。
モニターに銀色の仮面が映ると、隊員達は一斉に頭を垂れた。
それを受けてカリグラの仮面を被る男、ライは開口一番問い掛ける。
「"ルルーシュ"ノ状況ニ変化ハ?」
「いえ、今の所は何も。ですが、急にどうされたのですか?報告書の件で何か不備でも―」
定時連絡の時刻までは些か早く、バベルタワーの一件を報告書に纏めて提出したヴィレッタは内心気が気でない。
だが、それは杞憂に終わる。
「イヤ、ソウデハ無イ。早急ニ聞キタイ事ガ出来タノダ」
カリグラはそこまで言うと、我関せずといった様子でソファに座っているロロに視線を移す。
「"ロロ"、何故"ルルーシュ"ノ傍ヲ離レタ?」
皆の視線がロロに集まる。
「不測の事態が起きたんです」
450:創る名無しに見る名無し
09/03/11 21:05:21 LQhUgji2
支援
451:代理投下
09/03/11 21:06:03 4xQWja0d
ロロはそれを一身に受けながらも平然とした様子で答えるが、その言葉で納得するカリグラ、もといライではない。
「ソノ一言デ片付ケルツモリカ?貴様ノ役目ハ何ダ?」
「僕はあなたの部下じゃありませんから」
そう、ロロはモニターに映る銀色の仮面、その下に隠された素顔の持ち主が自分に名を与えてくれた存在、ライだという事を知らないのだ。
「答える必要を認めません」
そう言うと、ロロは冷めた視線を飛ばす。
事の経過を直立不動で見守っていたヴィレッタ達は、それを見た瞬間まるでこの世の終わりだと言わんばかりに顔を蒼くする。
一方でロロの口撃を予想だにしていなかったライは、仮面の下で思わず柳眉を逆立てた。
しかし、ロロの反応は嘗てライが命じた言葉。
―機情と連携を取る必要は無い―
その通りである。従ってこの反応は自業自得といっても仕方無い。
仕方無いのだが、こうも平然と言われて我慢出来るライでも無い。
ライの心に青白い炎が灯ると、モニター越しにそれを感じ取った隊員達はそれ見た事かと思わず顔を強ばらせた。
しかし、ここでライに仮面を取るという選択肢がある筈も無く……。
「……良イダロウ」
僅かな沈黙の後、ライは憎々しく思いながらもそう告げると、ホッと胸を撫で下ろしている隊員達に命じた。
「オ前達ハ引キ続キ餌ノ監視ヲ継続セヨ」
「「「Yes, My Lord!」」」
ヴィレッタを筆頭に隊員達が答えると通信は切られた。
―――――――――
学園に夜の帳が落ちた。ここはロロの部屋。
時計の秒針がその時刻を告げた時、ロロの携帯が震える。
すると、ロロは待ち望んでいたかのように素早く携帯を手に取ると通話ボタンに手を掛ける。
今日はゼロが現れた。
一年前、ゼロ捕縛の一報を聞いたライは自ら帝都に出向いた程。
そのライのゼロに対する関心の高さを知っていたロロは思う。
どんな返答があるだろうか。少なくとも今までの事務的な会話などではないかもしれないと、頬を僅かに緩ませ淡い期待に胸踊らせながら電話に出る。
しかし、そんなロロの表情はライの声を聞いた瞬間凍りついた。
電話口から聞こえてきたのは、今まで聞いた事もないような憤怒の声だったからだ。
「機情の報告を聞いた。ロロ、お前はあの時ルルーシュの傍を離れていたな?何故言わなかった!!」
「そ、それは……」
開口一番に告げられたのは叱責。
ロロはそれ以上何も言えなかった。
あの時、ライが問い掛けた際に正直に言っておけば良かったと後悔したが、もう後の祭。
「ロロ、お前はルルーシュを見失っただけでは無く、私に嘘を吐いた事になる。…お前には失望した」
「っ!?ま、待って」
慌てて携帯を両手で掴んだロロが懇願する。
だが、全ては遅すぎた。怒りに身を任せてしまったライを止める事など誰にも出来ないのだから。
聞く耳持たぬと言わんばかりに通話は切られてしまい、それ以降ロロの携帯が鳴る事は無かった。
「僕は…僕はどうすれば…」
ガクリと床に両膝をつき、瞳に涙を浮かべながら哀しみに打ち震えるロロは絞り出すかのような声でそう呟いたが、その答えが返ってくる筈も無かった。
452:創る名無しに見る名無し
09/03/11 21:07:05 WHLEya4t
支援
453:代理投下
09/03/11 21:08:55 4xQWja0d
―――――――――
ライが通信を切った時、それまで呆然と二人のやり取りを聞いていた子供達は我に返ると囁き出す。
「ロロお兄ちゃん可哀想……」
「だよね」
「シッ。滅多な事言うんじゃないの」
「でも……」
そんな子供達の声が聞こえたライは苛立ちを隠すこと無く告げる。
「子供は寝る時間だ」
「「「は、は~い。お休みなさ~い」」」
慌てた様子で立ち上がると、手を振って立ち去る子供達に対してライは軽あしらうように2、3度手を振り返す。
やがて、その姿が施設の奥に消えて行くと、それを認めたライは側に居たV.V.に視線を移す。
「僕は子供じゃないよ」
「そうだったな」
気勢を制される形となったが、ライは特に異に介した様子も見せず正面に向き直るとそれ以上口を開く素振りを見せ無かった。
そんなライの様子に真意を計り兼ねたV.V.が問い掛ける。
「ねぇ、あの子達が言ってる通り今回の処分は僕も厳し過ぎると思うけど?」
しかし、ライは何も答えない。ただ思慮するかのような瞳で相変わらず真正面を見据えるのみ。
だが、そんな態度にV.V.が納得出来る筈も無い。
「ロロは君に依存してる。それが分からない程君は鈍感なの?」
すると、遂に聞き流すのも億劫になったのかライが口を開く。
「知っている。そう仕向けたのは私だからな」
「なら、尚更ロロを切るのは早いと思うけど?一体何を―」
「切った訳では無い」
ライが言葉を遮ると、V.V.は目で続きを促した。
それを尻目にライは玉座に深く身を委ねる。
余談だが、V.V.は最近になって知ったライの癖がある。
こういった時、ライは決まってある仕草を取るのだ。
それは、足を組み膝の上に両手を重ねて純白の手袋の上から何かを触る行為。
初めてその仕草を見た時、V.V.はライが何に触れているのか分からなかった。
尋ねてみるべきかと迷ったが、ライは自分のその行為を意識的にしているとも思えなかった。
何に触れているのか。
やがて、それを理解したV.V.は心の底から後悔した。
今もまた、その仕草を取りながらライは静かに語り出す。
「ああでも言っておけば、二度とルルーシュの傍を離れたりはしないだろう。次に控えている作戦の事もあるからな。……確かに、少し言い過ぎた感は否めないが―」
最後に珍しく後悔した様子を見せたライだったが、だからと言って謝るという選択肢は端から無い。
「ライ、君はロロの事をどう思ってるの?」
突飛な質問だったが、ライは特に驚いた様子も見せずに向き直ると口元に三日月を浮かべた。
「お前と同じだ、V.V.」
何を言いたいのか分からないといった様子で不思議そうな表情を浮かべるV.V.に対して、ライの三日月が鋭さを増す。
「只の駒だ」
それを受けたV.V.は一瞬呆けたような表情を浮かべたが、次には同じように三日月を浮かべた。
―ライ、君も僕の駒に過ぎないんだよ?
―V.V.。私を利用するならすればいい。ただし、私もお前を利用させて貰うぞ?
両者が互いの心の内を知る由も無い。しかし、考えている事は全く同じ。
二人の視線が交差する。
「フフフッ」
「ハハハッ」
やがてどちらとも無く笑い始めると、それは徐々に大きくなり施設内に木霊する。
「「ハハハハハッ!!」」
二匹の悪魔が其処に居た。
454:創る名無しに見る名無し
09/03/11 21:10:28 LQhUgji2
支援
455:代理投下
09/03/11 21:12:04 4xQWja0d
―――――――――
隊員達が領事館に立て籠ってから早三日。
当初以降、ルルーシュからの指示は完全に途絶えていた。
脱出の際のゴタゴタで、ルルーシュの連絡先を聞く事が出来なかったカレンは連絡手段を持っていない。
その事に一日経って気付いたカレンは慌ててC.C.に訪ねたのだが、彼女がそんな気の利いた事をしている筈も無い。
逆にC.C.は、「連絡先を聞くのは男の義務だ」とまで言い放つ始末。
風呂場から上がったカレンは、これからどうするべきか一人考える。しかし、どれだけ考えてもこれといった手段が見つからない。
活路が見出せない事に歯噛みしながらもカレンは自身の左手の薬指、そこに有る指輪に向かって問い掛ける。
「ライ、ルルーシュは一体どうしたと思う?彼は、ゼロなのに……」
指輪が応える筈も無い。
しかし、カレンにはこれで十分だった。
―ライから貰った指輪―
それを見るだけで、今でもライは一緒に居てくれていると思えるのだから。
先程までの焦りが夢散していくのを感じたカレンは、着替えに手を伸ばす。
すると、脱衣籠に入ったそれを見て思わず手を止めた。
「あっ!そっか…」
先程までの憂鬱な表情も何処へやら。
何かを思い出したのか素っ頓狂な声を上げたカレンは、自身の今の身形の事も忘れてすっ飛んで行った。
―――――――――
所変わってここは領事館の一室。
そこでは中華連邦と黒の騎士団、現時点での互いの代表者が膝を付き合わせていた。
中華側からはここの主、総領事たる高亥と彼に着き従うかのように佇む長髪の武官、黎星刻。
対する黒の騎士団からはC.C.と卜部。
「ブリタニアからの引渡し交渉は遅延させております。一週間程度は保つかと」
「ゼロに伝えておく」
高亥の言葉に、さして興味無く答えるC.C.。それを認めた星刻が僅かに表情を曇らせる。
「いや、大変助かる」
C.Cに代わって律儀な卜部が礼を言った時、慌ただしい足音と共にカレンが飛び込んで来た。
「ちょっとC.C.!考えてみたらあんたがバニーやった方が話し早かったんじゃないの!?」
「紅月…お前って奴は…」
突然飛び込んで来たカレン。
バスタオル一枚という乙女とは思えぬその身形に、卜部は思わず顔を背けた。
「えっ?キャアッ!」
卜部の指摘にここに来て漸く自分の身形を理解したカレンは、慌てて衝立の後ろに身を隠す。
だが、衝立は透けておりその姿が余計に艶めかしく見える事に気付いていない。
それを見てしまった卜部が、服を着て来いと口を開きかけた時、高亥の言葉がそれを遮った。
「ゼロは…女…?」
「そうだ」
「お、おいC.C.」
「違いますっ!!」
間髪入れずに同意したC.C.に、二人は抗議の声を上げる。が、魔女に効果がある筈も無い。
「ばらすのが早過ぎる。全く、遊び心の無い奴等め」
二人の抗議は至極まともだ。しかし、何故か怒られた。その理不尽さに卜部は呆れるのみであったが、対照的にカレンは食って掛かる。
「ゼロで遊ばないで」
「はぁ……」
二人の口論が始まった事に、卜部は溜め息しか出ない。
456:創る名無しに見る名無し
09/03/11 21:13:00 LQhUgji2
支援
457:代理投下
09/03/11 21:13:58 4xQWja0d
「どうでもいいがカレン、見えるぞ?」
「へっ?キャアッ!」
C.C.に指摘され、再び身を隠すカレン。勝敗が決した時、それまで一言も言葉を発する事が無かった星刻が口を開く。
「初めまして。紅月カレンさんですね?」
「えっ?どうして?」
突然自分の名を告げられた事に驚きを隠せないでいるカレンを余所に、星刻は柔和な表情のまま告げる。
「興味があるんです。黒の騎士団のエースにして紅蓮二式のパイロット。そして、双壁の一人」
その呼び名を聞いた3人、卜部は表情を曇らせC.C.は僅かに眉を顰める。しかし、カレンだけは一人抗議の声を上げる。
「その呼び名は止めて」
何故?といった様子でいる星刻に対しカレンは俯きがちに答えた。
「私がそう呼ばれたのは、彼が居たからよ」
「ええ、知っています。ゼロの左腕。何でも、相当に頭の切れる方だとか。その方とも是非一度お会いして―」
「星刻殿、だったか?済まないがあいつの話はやめてくれないか」
そう言って卜部は星刻の言葉を遮ると、カレンが後に続いた。
「彼は、ライは……」
「これは失礼した」
カレンの悲痛な声から全てを理解した星刻が謝罪の言葉を述べた時、血相を変えた一人の隊員が飛び込んできた。
「大変です!扇さん達がっ!!」
―――――――――
「聞こえるか、ゼロよ!私はコーネリア・リ・ブリタニア皇女が騎士、ギルバート・G・P・ギルフォードである。明日15時より国家反逆罪を犯した特一級犯罪者、256名の処刑を行う。ゼロよ!貴様が部下の命を惜しむならこの私と正々堂々と勝負をせよ!」
領事館に向けて高らかに宣言するギルフォード。
「みんな……」
「中佐っ!クソッ!」
対して、遠方より囚われの仲間の姿を認めたカレンと卜部は悔しさを滲ませる。他の隊員達も同じように、何も出来ない事に歯痒さを抱いていた。
「やってくれたな!ギルフォード!」
生徒会室でその映像を見ていたルルーシュは、苦虫を噛み潰したかのような表情を浮かべた。
だが、そんな彼等とは対照的にエリア11より遠く離れた地では、二人の人物がその映像を見ながら笑っていた。
「まさか本当にやるなんてね。これも君の謀った通り?」
薄暗い嚮団の地下施設で、嚮主たるV.V.は嬉しそうに言った。
片や問われたライは、例の仕草を取りながら悠々とした様子で答える。
「愚問だな。あの男は愚直なまでに忠誠心が強い。故に、甘い言葉を囁けばあの通りだ。しかし、よりにもよってゼロと勝負だと?」
「当てが外れた?」
「いや、想定内だが馬鹿正直過ぎる。ギルフォードでは、あのゼロがルルーシュだった場合は勝てない」
「奪われる可能性があるって事?」
「ああ。……しかし、それならそれで楽しみが増えるな」
「遊びじゃないんだよ?」
「ゼロが甦った今、私にとっては遊びとなった」
458:代理投下
09/03/11 21:14:44 4xQWja0d
不満げな様子でいるV.V.に対して、ライは事も無げに言い放ってみせた。
これでゼロが嘗ての力を取り戻し、再びブリタニアに抗うだけの力を得たとしてもそれはライにとっては願ったり叶ったり。
嘗てのライにとって戦いは決して負けてはならないものだった。二人の為にも。だが最早護るべき存在は居ないのだ。
「ゼロを甘く見ない方がいい。下手をすれば殺されるよ?」
「これはテストだ。囚人達を助け出して初めて、ゼロは私のいる場所に立つ力を得る」
「で、そこから先は互いの命を賭けた戦いが始まるって訳?負けたらどうするの」
「勝ち負け等どうでも良い。純粋に戦ってみたいだけだ」
ライは未だC.C.捕縛という使命を忘れた訳では無い。しかし、甦ったゼロを前にしてはその優先順位は下がっていた。
これからは熾烈な情報戦となる。
ゼロはライの目をかいくぐり、ライはゼロの真贋を見極める。
ライは思う。どれ程楽しいだろうか、と。
「ゆっくりとあの仮面を剥いでやろう。その下にある素顔が誰のものか。考えただけで身震いするとは思わないか?」
心底楽しそうに語るライに対して、V.V.が心底不機嫌そうな表情を崩す事は無かった。
それを認めたライが感慨深げに問う。
「成る程、お前は余程ゼロが嫌いなのだな」
が、V.V.からの返答は無い。
「それともルルーシュが?」
「どうでもいいじゃない」
その問いにやっと口を開いたV.V.だったが、これ以上話す気はないとの明らかな拒絶を示した。
「クハハハッ。そういう事にしておこうか」
ライはこの辺りが限界だと悟ると、この事についてはこれ以上問い掛ける事は無かった。
その後、二人はたわいもない会話を交わして暇を潰していたが、その日ゼロが現れる事は終ぞ無かった。
459:創る名無しに見る名無し
09/03/11 21:15:21 WHLEya4t
しえん
460:創る名無しに見る名無し
09/03/11 21:15:39 LQhUgji2
支援
461:代理投下
09/03/11 21:17:14 4xQWja0d
以上で投下終了です。
ここからは、代理人が書いています。
↓
支援、助かりました。
規制がかかっている方も多いと思いますが、皆さんもがんばって下さい。
では…。
ありがとうございました。
462:ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark
09/03/11 21:18:46 WHLEya4t
携帯から失礼します。
代理投下有難うございました。
大変助かりました
463:創る名無しに見る名無し
09/03/11 21:48:11 WRWffvjZ
>>461
代理投下乙でした。
>>462
ライカレ厨卿、GJでした!
やはりこのライはいいねぇ、ゾクゾクするよ。
しかしこのロロ……どうなることやら。
しかし、卜部が生きてるっていいねぇ。
彼の今後の活躍にも期待。
ふぅ……続きが非常に気になってきました!
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
464:創る名無しに見る名無し
09/03/12 00:04:13 AaHeXIbK
>>462
やっと来ましたかっ。
やばいよなぁ…。
何がやばいかって?
そりゃ、続きが早く読みたいという衝動に駆られるところが……。
面白いし、ぐいぐい引っ張られるストーリー。
さらに先が読めない展開にわくわくします。
GJでした。
続き、お待ちしております。
465:創る名無しに見る名無し
09/03/12 00:54:58 OLMdJlAm
容量調べるのってどうやるんでしょ?
どうも今書いてるのが40か50kくらいにはなりそうだから、投下しきれるかちょっと不安なのね
466:創る名無しに見る名無し
09/03/12 01:02:41 veHNwspC
>>465
志村ー! 左下、左下!
467:創る名無しに見る名無し
09/03/12 06:11:18 tuIw9R1B
ギコなら右下ね
468:創る名無しに見る名無し
09/03/12 06:43:54 jyB1t4KE
うわっ! 俺、今まで一々ブラウザで表示し直してたよ
469:創る名無しに見る名無し
09/03/12 07:22:03 hZXOlyiS
お久しぶりです!ライカレ廚卿!長編お待ちしておりました。
ライがキてますねえ。ライカレの婚約から始まったこのシリーズ。再び二人が結ばれる日を期待し、投下を待ち続けます!
また近いうちに卿の作品と会えることを祈っております。
470:簡単に書いてみた その3
09/03/12 11:14:28 AaHeXIbK
どうもです。
未定のつもりでしたが、やっぱり感想の力って大きいですね。
結局、続き書き始めてました。
そういうわけで第3話です。
まぁ、深いことは考えず、気軽に楽しんでいただければ幸いです。
タイトル 「閃光の魔法少女マリアンヌ」 第3話 我が名はゼロ
カップリング ライ×アーニャの予定
ジャンル ラブコメ魔女っ子バトルストーリー(予)
注意
パラレルワールドの為、キャラクターの設定等がオリジナルとは違っています。
ご注意ください。
・アーニャ・ 平凡な家庭で育てられたあくまで普通の中学生。
マリアンヌに寄生されてからは気苦労が耐えない日々を送っている。
最近、親身なってくれるライが気になる様子。恋に恋するお年頃のようです。
・マリアンヌ・ ブリタニアから"異形のもの"を封印する為にこの世界に来た魔法使い。
だが、単身ではこの世界に実体化出来ず、契約を交わしたものの身体を借りている。(寄生しているとも言う)
現在、契約したばかりという事もあり、力を出し切れていないようだ。また、回復者がいないという事も彼女の力を引き出せない原因になっている。
・ライ・ ふとしたことからアーニャやマリアンヌと関わるようになった普通の高校生。
しかし、記憶喪失の為、3年以上前のことは覚えていない。マリアンヌの美しさに惹かれている。
・ルルーシュ・ ライの親友でナナリーの兄。
・ナナリー・ ライの妹でアーニャの友達。最近、アーニャの行動がおかしい事に疑問を抱いており、何も相談してくれない事に寂しさを感じている。
では、第3話スタートです。
471:簡単に書いてみた その3
09/03/12 11:15:23 AaHeXIbK
「ブリタニアの魔女よ、お初にお目にかかる」
黒尽くめの服装、それにマントにマスクをつけた男が私に恭しく頭を下げる。
だが、その丁寧な仕草は、私をカチンとさせるのに十分だった。
「誰よ、あんたっ」
どうしても語尾が怒りに震えてしまう。
そんな私にわざと少し怯えてみせる男。
「おおーっ、怖い、怖いっ…。さすがは閃光のマリアンヌと呼ばれるだけはありますな」
その仕草にますますイライラする私を楽しそうに見ていやがる。
えーいっ、腹立つなぁっ。
異形のものを始末した後で消耗してなかったら、すぐに呪文や術式の一つくらいはぶち当ててやっていたかもしれない。
それほど私は怒りに支配されていた。
だが、私は我慢する。
どうやら、異形のものについて何かしらの情報を知ってそうだ。
そういう確信に似たものがあったからである。
だが、そんな私をいいことに、やつは実に楽しそうに言い切った。
「くっくっくっ……。下手な駆け引きなんて貴方は似合いませんよ。いつもどおりにやったらどうです?」
その言葉に、ついに私はぶち切れた。
「わかったわよ、聞きたいことは、力ずくで聞かせてもらうわ」
そう言い切ると準備しておいた術式を発動させた。
やつの周りに魔方陣が浮かび上がり、いくつもの魔法の鎖がやつを捕らえていく。
ふんっ。これで捕獲したわよ。
その怪しい仮面をひっぺがして、知っていること洗いざらい喋ってもらうから。
そう思った時だった。
ひゅんっ……。
一筋の紅い線が走ったと思うと、すべての魔法の鎖が切り裂かれ、魔方陣が崩壊した。
「な、何っ……。今のっ……」
驚く私が再び術式を走らせようとした時だ。
私の首筋に紅く鋭利な爪が突きつけられた。
「動かないで下さい……」
爪とその言葉に私は用意しかけていた新たな術式の発動を止め、後ろを振り向いた。
そこには、赤毛でサングラスをかけた黒ずくめの女が立っおり、その女の右手にはめられた手袋から伸びる爪が私の首に当てられていたのだ。
「くっ……」
私に察知されないで後ろをとるなんて、なんて奴なの……。
私はそいつを睨みつけたが、そいつは涼しい顔のまま私の視線を無視した。
静寂がその場を支配する。
472:簡単に書いてみた その3
09/03/12 11:16:21 AaHeXIbK
そして、その均衡を破ったのは、マスクをかぶった野郎だった。
「紹介しておこう。私の右腕の『紅蓮』だ」
ぬけぬけとそう言ってマントを翻して去ろうとする。
「こらっ…待ちなさいよっ……」
そう言いかけたが、私の首筋に当てられた爪が皮膚に食い込み、黙るしかない。
だが、それで思い出したかのように仮面の野郎は振り返った。
「そうそう、言い忘れていたね。我が名はゼロ。覚えておきたまえ……。ふっははははははは」
憎たらしいほどの高笑い。
その笑い声が段々と小さくなっていく。
それにあわせるかのようにぼんやりと薄くなっていく奴の姿。
そして、声が消えたのと同時に掻き消すように奴の姿も消え、同時に私の後ろに立っていたものの気配も消える。
そこに残されたのは、私と静寂だけ。
くそっ…。くそぉーーーっ……。
私は、自分の不甲斐なさと怒りでどうにかなりそうだった。
こんな屈辱っ……。
ギリギリとかみ締めた歯が軋み、握り締めた拳が震える。
「マリアンヌ……」
心配そうなアーニャの声が遠慮がちに聞こえた。
だけど、今の私にはそれに答えてあげられる余裕はなかった。
「閃光の魔法少女マリアンヌ」 第3話 我が名はゼロ
「ふむー、さすがは閃光のマリアンヌだな。契約したばかりだというのに、あんな術式を使ってくるとは……」
暗がりの部屋の中で、ゼロはさっきの術式で縛られた部分を手でさすりながら呟いた。
かなりきつかったのだろう。
言葉の節々には驚きが含まれているように聞こえる。
「ゼロ、お戯れは程々にしていただかないと困ります」
さっきまでの無表情とはうって変わって、心配そうな表情で駆け寄ろうとする紅蓮。
それを大丈夫だと手で制するゼロ。
「すまんな…。これも性分だと思ってくれ」
そう言って、苦笑を漏らす。
そして、紅蓮の顎に指を添えて囁いた。
「すまない、カレン。迷惑をかけて……」
その手を両手で包み込み、微笑みながら答える紅蓮、いやこの場合はカレンの方がいいだろうか…。
「迷惑なんて思った事は一度もないよ……」