09/03/09 17:17:34 /7H4pcvJ
― 告 ―
これは、幻想郷の存亡に関る緊急の通告である。
結界の守り手の名において、八雲紫並びに博麗霊夢が全ての人妖に命ずる。
以下の者を確実に捕らえよ。右腕さえ残れば、生死は問わない。
数日前、この幻想郷に現れた外来人、“幻想殺し”を名乗る我らの天敵である。
その右手に触れし人間はたちまちに幻想の力を失い、人外の者はその存在すら霧散する。
能力の詳細は不明。幻想殺しの目的も不明。侵入したのか、迷い込んだのかも不明。
確かなのは、この者がその恐るべき右腕をもって博麗大結界に接触すれば、幻想郷は確実に崩壊すると言うことである。
繰り返す、この者を確実に捕らえよ。右腕さえ残れば、生死は問わない。
「畜生、一体何なんだこの場所は!!」
この俺、上条当麻は追われていた・・・不幸だ。
気付くと変な森の中にいて・・・更に気付けば⑨そうな氷の化け物に襲われていたのだ。
幸い俺は真正面にいたため、攻撃を外した隙を突いてイマジンブレイカーを叩き込んだが
・・・どうやらそれが仲間を刺激したらしく、こうして俺はあちこちから襲い掛かる化け物から逃げ続けている。
連中の話を聞く限りではどこかにある結界かをぶっ壊せば元の世界に戻れるようだ。
頭が悪そうなのは気にかかったが重要そうに話していたし、まあ間違いは無いだろう
「頭弱そうな奴ばかりなのが地獄に仏ってとこか」
ヒュッ
「生憎、仏はいませんが・・・メイドでもいかがでしょう?」
「ナイフ付だけどね」
背後の木に刺さる銀のナイフ。頬から一筋の血が流れる。
現れたのはメイド服を着た少女と、大きな本を持った少女。
見た目は随分と可憐だったが、明らかに雰囲気が違う。敵なのは確かみたいだ。
「あまり手荒なことはしたくないの。大人しくしてついて来てもらえるかしら?」
「お嬢様も妹様も吸血鬼ですから、身の安全は保障できませんけどね」
「でも、このまま夜になったら保障されるのはあなたの最期よ。強制的にね」
不幸だ。早くもボスキャラって奴に当たってしまったらしい。
「なあ、メイドさん。結界って奴を壊せば帰れるのか?」
「・・・どうやら、その右腕は宿泊料として頂いた方がいいみたいですね。
やれますね、パチュリー様?」
「触らなければどうということはないわ。咲夜こそ気をつけなさい。
一瞬でも能力を失ったら、私の図書館はおしまいなのよ」
ビンゴだ!やはり、結界とやらは実在するらしい。
だったら、そこまで行けば元の世界に帰れるかもしれない。
・・・この場を切り抜ければの話だが。