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【リクエスト】こんな物語が読みたい!【受付】 - 暇つぶし2ch2: [―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し
09/01/27 01:35:57 Xo/f7ij9
1乙
常駐スレにするさー

3:創る名無しに見る名無し
09/01/27 05:31:09 dy5OffgV
>>1
文章書きは多いから賑やかなスレになるといいねぇ

4:創る名無しに見る名無し
09/01/27 19:41:45 5d1AVbDq
こんな話が読みたいんですけど、この板にありますか?
といった感じでもいいかもね
読む人がいるってわかるなら、やる気の出る人はきっといるはず

5:創る名無しに見る名無し
09/01/27 22:10:19 EU6ioZPG
ヤンデレ、そしてツンデレ

6:創る名無しに見る名無し
09/01/27 22:39:28 5d1AVbDq
いきなり濃い依頼が来たよ!

7:創る名無しに見る名無し
09/01/27 23:57:49 s1LknThl
矢作俊彦の文章でのジャック・ヒギンズのショーン・ディロンシリーズが読みたい

8:創る名無しに見る名無し
09/01/29 00:13:37 AdJdzG3S
おまいらいくらなんでもそれはきつすぎだろ常識的に考えて…

9:創る名無しに見る名無し
09/01/29 18:22:14 Ybz9KKDF
ここに書けばいいの?

10:創る名無しに見る名無し
09/01/29 18:24:18 zYnj2mJZ
>>9
他にどこに書くのさ

11:創る名無しに見る名無し
09/01/29 18:27:45 Ybz9KKDF
>>10
いや、一応確認。書く時困らないように。

12:創る名無しに見る名無し
09/01/29 20:48:22 Wyzodack
リクエスト募集中!マニアックすぎたり、リクエストが漠然としてると対応しにくいですが

13:創る名無しに見る名無し
09/01/29 21:54:03 g9L7NxCQ
不器用な少年が、クラスのアイドルに恋悩むストーリー…とか、ベタですか?

14: ◆91wbDksrrE
09/01/29 21:56:28 Ybz9KKDF
>>5に挑戦 ちょっと気持ち悪い描写あるかもしれないので、
相手に自分のアレとかそれとかを飲ませたり食わせたりしちゃう
描写や、拉致監禁描写や、薄皮一枚カッターナイフでピッとやっちゃう
ような描写が苦手な人は注意。

15: ◆91wbDksrrE
09/01/29 21:57:05 Ybz9KKDF

 気づけば、俺は見知らぬ部屋にいた。
「あの……なんで俺、君の家に?」
 俺は彼女を刺激しないように、笑顔すら浮かべながら尋ねた。
「なに? あたしの家は貧相で兎小屋みたいでみすぼらしいかしら?」
「いや、そういう事じゃなくてさ……」
 ……なんでそんな反応が返ってくるんだろう。頭痛い。というか、頭が
痛いのは最初からだ。何しろ、温かい物が額の辺りから頬辺りまで
垂れてるのを感じるのだから。……当然、額、切れてるよな、これ。
「どうして俺が今ここにいるのかなぁ、と」
「べ、別にあたしが連れて来たかったわけじゃないんだから!
 そう、たまたまよ、たまたま! たまたまアンタが歩いてたの見かけた
 から、たまたま持ってたとんかちで」
「とんかちを? たまたま?」
「そう、たまたまよ、たまたま! 別にアンタをあたしの部屋に拉致監禁して、
 それで思うがままにしてやろうとか、そんな事思ってないんだから!」
「という事は、この縄も?」
「そうよ! たまたま持ってただけ! 別にアンタをその縄で縛ってここまで
 連れてきて、それで椅子にくくりつけて動けなくしてやろうなんて、全然思って
 なかったんだから!」
 ……肉体的な意味でも痛い頭が、精神的な意味でも痛くなってきた。
大声でわめきちらして、何もかもをなかった事にしてしまいたくなる。
 彼女は、俺の同級生。三枝(さえぐさ)由枝(ゆえ)と言う名を持ち、端整な
容姿と、一通りなんでもできる優秀さをもった彼女は、だがしかし、とんでもない
欠点故に、全校に……もとい、ここら一帯全方位にその名を知られている……
そう、噂されていた。
 そう、あくまで噂だ。今この時まで、俺も噂だと思っていた。優等生で
人気者な彼女に対する、嫌がらせのような噂でしかないと。
 だが、現実は非情である。
 たまたまとんかちを持ってる女子高生がいるか? 否。
 たまたま荒縄を持ってる女子高生がいるか? 否。
 たまたま持っていたとんかちで同級生を殴り、荒縄でふんじばって家に
連れ込み、椅子にくくりつけて監禁する女子高生がいるか? ……。
 ……いるんだよな、目の前に。

16: ◆91wbDksrrE
09/01/29 21:57:47 Ybz9KKDF
「聞きしに勝る、とはこの事か……」
 “ツンデレにしてヤンデレ”。噂に聞く彼女の二つ名は、傍で聞く分には
荒唐無稽なで笑ってしまいそうなものだった。当事者でなかった頃の俺も、
確かに笑っていた覚えがある。
 彼女は別に、好きになった男以外には人畜無害だ。むしろ、アネゴ肌で
面倒見がよく、同性異性問わずに人気はある。
 だがその一方で、好きになった男には……ご覧の通り、というわけだ。
 それが噂などではなく、真実に相違いないと、俺は身をもって味合わっていた。
 今にして思えば彼女に全く寄り付こうとしない男共が何人かいたが、
あいつらは彼女の“被害者”だったんだな……何があったのか聞こうと
しても口を割らずにただ黙って首を振るばかりだったが……。
 ……という事はつまり、今回の被害者……彼女に好かれた男は、俺、
という事、だよな? ……うわー、マジかよ、ホントにマジかよー!
「……あ、あのさ、三枝」
「あたしの事は由枝って呼びなさい!」
「は、はい……由枝、さん」
「さんづけ無しで!」
「ゆ、由枝」
「……はぁ♥」
 俺が名前を呼ぶと、彼女はうっとりと瞳を細め、どこか遠くを見つめ始めた。
「……ど、どうかした?」
「あ? ん……あ、ああ、べ、別にアンタに名前で呼んでもらったのが
 嬉しかったとか、そんな事無いんだからねっ!」
「そ、そうですか……」
 その割には満面の笑みなんだが……これがツンデレ分か。彼女の整った、
ともすればモデルにすらなれそうな―そのためにはもう少しタッパがいるか―
顔でそんな表情をされると、なんだかこっちもまんざらではない気分に
なってきてしまう。
「さて、それじゃあ、せっかくあたしの家に来たんだし、お茶くらいはご馳走して
 あげるわよ。別に、アンタにお茶飲ませてあげたいから出すんじゃないわよ。
 礼儀として出すだけだから、勘違いしないでねっ!」
 こうやって椅子にふんじばられて、額から血を垂れ流してる状況じゃなきゃ、
思わず惚れてしまいかねないくらい、今の彼女は可愛い。快活で、気風のいい
普段の姿からは想像できない、照れて顔を赤らめた姿は、同級生として
とても新鮮だった。
「……ヤバイ、ちょっといいかも」
 だが、俺はそんな自分の考えが甘かった事を、即座に思い知らされる事になる。
「待った? まあ、少しくらい待つわよね、せっかくお茶出してあげようって言うんだから」
「あ、いや、別に待っては……え?」
「はい。その格好じゃ飲めないだろうし、飲ませてあげるわね。も、もちろん、
 仕方なく飲ませてあげてるんだから、勘違いはしないでちょうだい」

17: ◆91wbDksrrE
09/01/29 21:58:21 Ybz9KKDF
「……すいません、三枝さん」
「由枝」
「由枝……その、あの、さ……聞きたくないけど、聞きたくないけどどうしても
 聞かなくちゃいけない事が、今目の前にあると思うんだ、俺」
「なによ。ま、別に聞いてあげなくもないけど?」
「……お茶から、何か、黒くて長い物が見えるんだけど、それって……」
「あたしの出したお茶が飲めないって言うの? へえ……そう、飲めないんだ……」
「そうじゃなくて、その黒くて長くて、やけに艶めいた、丁寧にトリートメントや
 コンディショナーでケアしてるっぽい感じの物体は何なのかなぁって!?」
「なによ、見ればわかるでしょう」
「……見た、まんまなんだ」
「疑問は解消した? じゃあぐいっと飲んでね、ぐいっと。ま、別にあたしは
 アンタに飲んで欲しいわけじゃないけどね。でも出すんだから飲みなさいよ」
 ……やっぱりコレ、髪の毛なんだ。髪の毛が、それこそ容量の三分の二くらい
入ってるお茶なんだ……っていうかもうこれお茶じゃないよ、髪の毛だよ!
「飲まないの?」
「飲みます! 飲ませていただきます!」
「そんなに飲みたいなら、飲ませてあげるわよ。じゃあ、はい」
 俺は目を瞑って、息を止め、それがやってくるのを待った。
「……んぐぅっ!?」
 か、髪が喉に詰まるっ!? 幸いというか何というか、お茶と呼称している
割りに、そんなに熱くはなかったのでやけどをする事はなさそうだが……
「……うふふ……これで窒息したら、あたしが人工呼吸してあげるから、安心してね」
「んごぉっ!?」
 何か結構ヤバイ呟きが聞こえた気がしたんですけどっ!?
 俺は背筋を伝う悪寒とも戦いながら、必死で髪の毛を……お茶を飲み下した。
「……ぷはぁっ!」
「……ちっ」
 ……舌打ちですか、おい。
 甘かった。少しいいかも、とか思ってた俺、甘すぎて最近離婚した某井戸田
さんにツッコミ受けるくらい甘かったよ……つくづくそれを思い知らされた。
「な、なあ、由枝」
「おいしかった、お茶?」
「あ、ああ……美味しかったと、思う」
「ちょっと容れすぎちゃったから、おかわりしたければしてもいいわよ」
「あ、ああ……と、とりあえずは、いいよ。ありがとう」
 引きつってはいるけども、こんな状況で笑える俺って、実は結構凄いのかもしれない。
「ところで……」
 俺は何とか話を変えようとした。とにかく、このままだと危険だ。何をする
にしても、とりあえず身体の自由は確保しておかなければ……。
「ああ、そうね。ごめん、忘れてたわ、あたしとした事が」
 そう言って彼女は傍らにあった机の引き出しを開け、そこからカッターナイフ
を取り出した。まさか、何も言わなくても俺の言いたい事を察してくれたのか!?
 そんな俺の考えは、またしても甘かった。甘すぎた。太ってしまうくらいに
スリムアップシュガーを入れた紅茶レベルに。

18: ◆91wbDksrrE
09/01/29 21:58:38 Ybz9KKDF

「それでこの縄を切ってくれるのか!?」
「どうしてそんな事をしなきゃいけないの?」
 彼女は、俺の輝く表情とは対照的に、きょとんとした顔を見せる。
 ……違、う? じゃあ、なんでカッターナイフなんか……。
「これは、“お話”するのに使うだけじゃない。当たり前の事、聞かないでよ」
 笑顔に戦慄するという事が、実際にあるのだと、俺はその時初めて知った。
「さあ、“お話”しましょう。せっかく我が家に招いて、お茶まで振舞ったんだから、
 少しくらい“お喋り”しても、バチは当たらないと思うわよ」
「……お、お喋、り?」
 お喋りをするのに、何故彼女は俺の喉元にカッターナイフを当てるのだろう。
 何故、口は半月の形に歪んでいるのに、目はちっとも笑ってないんだろう。
「ま、別に“お話”なんかしたくないって言うなら、仕方が無いわよね……
 あたしは別に、アンタなんかと話したいわけじゃないし……でも、お茶まで
 振舞ったお客さんにそんな態度とられちゃうと、悲しくて手元が滑っちゃう
 可能性については否定できないわ……」
 ……姐さん、それ、脅迫です。
「“お話”、して、くれるわよね?」
 や、ヤンデレ分が本領を発揮し始めたっ!
 俺は目で何度も頷いて見せた。下手に頷いて首を動かせば、その瞬間
スパッと逝ってしまいかねない。誤字ではなく。
「よかった……ま、別にあたしは嬉しくないんだけどね」
 その表情は、つい数分前まで少しいいかもと思って、状況さえまともなら
惚れてしまいそうだと思ったその表情は、今は俺に恐怖しかもたらさなかった。
「じゃあ、“お話”しましょう……仁藤(にとう)さんと、楽しく喋ってたの、あれ、何?」
 ……姐さん、これ、尋問です。
「べ、別に何でも……に、仁藤は、同じ、委員会、だし」
 喋る度に小さく揺れる喉を、突きつけられたカッターナイフが圧迫する。
「嘘ね。あんな楽しそうな顔……あたしの前じゃ見せなかったじゃない」
「そ、そりゃ……お前とは、今日までそんな、親しく……」
「そうね、確かにそう。でも、今日からはもっと親しくなれるわよね?」
「……」
「ね?」
「は、はい!」
 ヤバイ。もう、どうにかなってしまいそうだ。身体がではなく、心が。
「もちろん、あたしは別にアンタの事なんかどうでもいいの。でも、仁藤さんは
 がアンタみたいなロクデナシに引っかかって不幸になるのは、友人として
 見過ごすわけにはいかないから、仕方が無くあたしが仁藤さんの代わりを
 してあげようって言うのよ。光栄に思いなさい」
 もう、ツンデレとかどうでもいい。何とかして、この状況から脱出しないと、
俺は駄目になってしまう。
 三枝に近づこうとしない男連中の、冷凍イカのような濁った瞳を思い出した。
このままでは、俺もあいつらと同じ……
「逃げようと、思ってる?」
「……! そ、そんなわけ……!」
「良かった……逃げようなんて思ってたとしたら……あたし、アンタを殺して、
 自分も死ななきゃいけなかったんだから……うふふ」
「な、なんでっ!?」
「でないと、仁藤さんに迷惑がかかっちゃうでしょう? それに、アンタを殺したら
 アタシも殺人犯。もう生きてる価値なんて無いわ。理屈でしょ?」
 ……狂った、理屈を、彼女は朗々と詠じるように口にする。
 本当に、彼女は―
「や……病んでる……っ!」
「今日は……ゆっくり……“お話”、しましょ?」

19: ◆91wbDksrrE
09/01/29 21:59:52 Ybz9KKDF







「おはよー、仁藤さん」
「あ、おはよう、三枝さん」
「どうしたの、浮かない顔して?」
「あ、うん……ちょっと、ね」
「何か悩み事あるんなら聞くけど?」
「……誰にも言わない?」
「あたしの口堅いの知ってるでしょ?」
「そうだね、三枝さんなら……あのね、三木本君の事なんだけど」
「ん? 彼がどうかしたの?」
「なんだか今日、おかしいのよ……私がおはよーって挨拶しても、何か怖い
 物を見るような目で見た後、自分の席まで走っていって、それから突っ伏
 したまま動かないの」
「失礼な奴ねぇ……何かトラウマになるような事でもあったのかしら」
「……私、何もした覚えないけど」
「それなら尚更失礼よね。うん、わかった。後で私がきつく言っておいてあげる」
「……元気になってくれるといいんだけど」
「あれ? 仁藤さん……もしかしてぇ?」
「あ……うん……そ、そうなの」
「ま、やめときなさいよ、アイツは。なんか色々素行悪かったりするみたいだし、
 仁藤さんみたいな真面目な娘には合わないって」
「……そ、そうかなぁ」
「ま、そこら辺もそれとなく聞いておいてあげる……けど、多分付き合ってる
 娘とか、いるんじゃないかなぁ」
「あ……うん、ありがとう、三枝さん。だとしたら、諦められるし……お願い」
「そろそろ授業始まるよ。準備できてる?」
「あ、そうだね。ありがとう、三枝さん。それじゃ」
「んじゃねー」

「……危なかったわね。先手打って大正解。でも……三木本君も、“あの程度”で
 壊れちゃうとは予想外だったわー。結構丈夫そうだと思ったのになぁ。これじゃ、
 …………また、新しい恋、探さないといけないかも、ね……うふ……うふふふ」

20: ◆91wbDksrrE
09/01/29 22:00:32 Ybz9KKDF
ここまで投下です。

>>5の要望に沿えたかどうかわかりませんが、
お納めください。

21:創る名無しに見る名無し
09/01/30 07:05:49 WyaSkm9A
リクエスト
「萌える女装少年」

22: [―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し
09/01/30 07:27:01 UAFdZ5an
うお
ハードル高ぇw

23:創る名無しに見る名無し
09/01/30 08:11:53 YheKGlrK
文でやるのはハードル高いな

24:創る名無しに見る名無し
09/01/30 14:28:27 c2QpAp+d
萌えているのは誰?

25:創る名無しに見る名無し
09/01/30 16:26:02 UTjkSFhu
読む人が思わず萌えるような女装少年とオレは理解した。
その線で挑戦してみるから何日か待ってね。

26:創る名無しに見る名無し
09/01/30 23:00:22 ZrgTpRFd
・時代設定は、昭和30年の東京。
・名探偵・明智小五郎が調査した怪奇事件の未公開ファイル。
・タイトル『明智小五郎 怪奇事件簿』

27:創る名無しに見る名無し
09/01/31 05:13:26 HyWOhoIT
夜の学校での身も凍る出来事
旧校舎での怪異
黄昏時の校庭での不思議体験

みたいな、いわゆる学校の怪談をリクエスト。

28:創る名無しに見る名無し
09/01/31 13:16:15 hC4BvSJW
それなら、萌える女装少年(中学生)が夜の学校で奇怪な事件に巻き込まれて、それを明智小五郎が解決っていう話でも書くか

29:創る名無しに見る名無し
09/01/31 13:34:11 0zPAe4/O
小林少年があられもない姿になるのですな

30:創る名無しに見る名無し
09/01/31 14:37:46 qhhhYSkF
小林少女か

なんか拳法の話みたいに見えるな、字面がw

31:創る名無しに見る名無し
09/01/31 16:07:00 RBlesTQF
>それを明智小五郎が解決っていう話でも書くか

解決せずに、ホラーにしてしまう、という手も・・・

32:創る名無しに見る名無し
09/01/31 19:37:06 dxGSE00Q
明智「私にだって……解けない事件くらい……あるっ!」

33:創る名無しに見る名無し
09/01/31 21:09:00 RBlesTQF
天才的犯罪者の明智小五郎
超能力者の小林少年
マッド・サイエンティストの二十面相

34:創る名無しに見る名無し
09/02/02 20:11:46 2OXOM8Z3
>>5
ツンデレでヤンデレいきます

外灯もない暗い夜道。光を求めて舞い飛ぶアゲハモドキのシルエットが
かすかに浮かぶ。
静寂に満ちた空間に俺の足音だけが不気味に響く。
民家は最短でも百メートル以上は離れており、例え通りすがりの者がいても
何かを目撃するのは不可能だった。
人を襲うには申し分のない空間だ。
俺がそう思った時、電信柱に隠れていた人影が俺に向かって躍りかかってきた。
「え、えいっ!」
漆黒に響く、脱力感さえ覚える間の抜けた掛け声と共に刃が降り降ろされる。
そして見事に空を切る。
「あうっ」
襲撃者はそのままバランスを崩して転倒し、俺を狙った凶器はゴン!という
音と共に路上を転がっていった。
雲の切れ間から月の光が差し込み、襲撃者の正体をあらわにする。
子供用をそのまま大きくしたような黒のワンピース。胸いっぱいにあしら
われた逆十字の刺繍。ボブカットの黒髪と処女雪を思わせるような白い肌。
おそらくはハーフかクォーターと思われる端正な顔立ちをした小娘が尻餅を
ついてこちらをにらんでいた。
アスファルトの上に転がる巨大な斧が月の光を反射して鈍い光を放っている。
小娘は俺をにらんだまま、その斧のありかを手さぐりで探し始める。
踏みつければポキリと折れそうな細腕がまったく見当違いの方向を空しく
さまよっていた。
だが、視線をはずせば反撃を受けるとばかりに、決して俺から目を離そうと
はしない。
いつまでたっても斧は見つからず、小娘の顔がだんだん泣きそうになってくる。
俺は胸ポケットから煙草を取り出し、火をつける。
煙が薄闇の中でゆらぐ。
俺は天を見上げ、明日は雨かな、などとどうでもいいことを考えていた。
たっぷり3分。
彼女はようやく武器のありかを探り当てて、それを手にして立ち上がる。
斧を振り上げ、再び俺を襲おうとする。
だが、その斧はあまりに巨大でどう考えても彼女の手には余るものだった。
小娘は斧の重さに負けてそのまま後ろにひっくり返りそうになり、
よろよろと二歩、三歩後ずさったのち、かろうじてその場に踏みとどまった。
俺は煙草をくわえたまま、思わず苦笑した。
その時、思わぬことが起こった。
彼女は俺のその表情を見て赤面し、斧を振り上げたままぷるぷると震えだしたのだ。
最初、斧の重さに耐えかねているのかと思ったが、どうもそうではないらしい。
唐突に彼女は上ずった声で叫んだ。
「か、勘違いしないでよっ!そ、そ、そんなんじゃないんだからね」


35:創る名無しに見る名無し
09/02/02 20:14:11 2OXOM8Z3
最初俺は彼女が何を言っているのかまったく分からなかった。
むしろ分かる奴がいれば教えてほしい。
俺と彼女は初対面ではないが、彼女とのコンタクトはこれまでトータルで
10分足らずだし、今まで口を利いたこともないのだ。
それで一体何を勘違いするというのだろう。
『本当はあなたに危害を加えるつもりはないんです』
とか?
『こう見えてもあたし、凄腕の殺し屋なの。どじっ娘なのは相手を油断させるためよ』
とか?
俺の頭の中で疑問符が乱舞する。
しかし、その後に続く彼女の言葉はさらに俺を驚かせた。
「貴方のことを何度も襲うのは、たまたま貴方が私の待ち伏せているとこ
ろに現れるからであって、別に貴方にき、き、き、気があるとか、貴方を
ひと、ひと、独り占めにしたいとか、そんなことはまったく、ちっとも、
これっぽっちも思ってないんだから。私は冷酷な通り魔で襲う相手は誰
だっていいんだからね!」
俺の口から煙草がすべり落ち、足元で小さな火の粉を上げる。
・・・・。
待て。
いや、ちょっと待て。
この見た目14、5歳の自称、冷酷な通り魔は今、なんと言った?
いや、何を言ってるかは明白だ。
これはどう聞いてもツンデレ娘の愛の告白だ。
・・・・。
いや、だからちょっと待て。
歳の差だとか、お互いのことを良く知らないとか、そんなのことはこの際
どうだっていい。
問題なのは、彼女が俺のことが好きで、しかも俺がその気持ちに気づいたと
彼女が思っているということだ。
どこをどう読めばそんな文脈が出てくる?
まさか・・・。
俺を襲う=愛情表現
苦笑する俺=彼女の気持ちを見透かしたダンディな俺
ということなのか。
だとすればこの小娘の頭の中は見た目以上にクレイジーだ。
とりあえず俺は彼女に返事を返すことにした。
「悪いけど、俺はロリコンじゃないから」
「だから違うってば!」


36:創る名無しに見る名無し
09/02/02 20:17:17 2OXOM8Z3
彼女の顔はますます赤くなり、振り上げた斧を勢いにまかせて振り下ろした。
俺はバックステップでそれをかわそうとしたが、そんな必要はまるでなかった。
彼女は斧の重さに引きずられ、前のめりになり、斧ははるか前方でアスファルトの
地面を叩いた。
その衝撃をもろに手首にくらった小娘は、手にした武器を再度落とし、
うめき声を漏らして、その場にうずくまった。
俺は思わず肩をすくめた。
この街で通り魔殺人がはじまったのは今から1年前のことだ。
最初の被害者は小谷栄太郎という26歳の警察官でかつてオリンピックで
強化選手にも選ばれたことのある猛者だった。そんな彼が巡回中に何者かに
襲われ、あっさりと殺されたのだ。正面から頭を叩き割られ、ほぼ即死だった
ということだ。
警察は身内に対する狼藉に色めきたち、総動員の態勢で捜査に当たったが
何一つ手がかりを得ることが出来なかった。
そのままずるずると1ヶ月がすぎ、迷宮入りの色が強まった頃、第2の事件は
起きた。
今度の被害者は30代の暴力団員で190センチを超える巨漢だった。腕っ節
ひとつで組織の幹部までのし上がった根っからの喧嘩屋だったが、彼も
反撃の跡すら残さないままに正面から一撃によって倒されていた。
その後も事件は続き、1年足らずで小さな街から20人以上の被害者を出すと
いう前代未聞の連続殺人に発展した。
通常、通り魔と言えば女子供といった弱者を狙うものだが、この犯人は
まるでストリートファイトでも仕掛けるように格闘技経験者や暴力に携わる
者たちを狙っていった。しかも、これだけの死者を積み重ねながら犯人は
一度の目撃も許さず、わずかな遺留品も残していないのだ。とても常人の
業とは思えない。
少なくとも目の前でひとり喜劇を演じている小娘がそれをなし得たとは
想像することすら出来なかった。
俺は自分の思惑から外れたこの展開に正直うんざりしていた。
俺が期待していたのはもっとスリリング何かだ。
より明確に言えば人間離れした犯人との対決だ。
そのために俺は依頼を引き受けたというのに。
俺の肩書きは一応探偵ということになっているが、浮気をしている旦那を
尾行して盗み撮りをしたり、行方不明の娘を探して聞き込み調査をしたりはしない。
もっぱら腕力とありとあらゆる危ない橋を渡ってきた経験を生かして物事を
解決するという、要するに荒事解決のスペシャリストだ。
依頼してきたのは5番目の被害者の母親で、資産家の娘として育ったマダムだった。
ナルシストのボディビルダーだった息子を溺愛していて俺の所にやってきた頃には
犯人に対する憎悪でほとんど発狂寸前だった。


37:創る名無しに見る名無し
09/02/02 20:20:08 2OXOM8Z3
子離れできないババアの狂態は見苦しく、思わず殴り飛ばしたくなったが、
報酬額と依頼内容が気に入ったので自重することにした。
ようするに俺が囮になって通り魔の徘徊する街をうろつき、襲い掛かってきた
犯人を返り討ちにしてくれということだ。
俺にとってはまたとない依頼だ。
普段は物静かな俺だが、リアルファイトを開始すると体中が興奮状態になり、
悦楽の中に全身が溶けていくような感覚を覚えるのだ。
相手は強ければ強いほどいい。そしてその相手を叩きのめした瞬間こそが
何よりの至福だ。
今度の相手は人間離れした通り魔。
彼はおそらく強者を求めて人を殺し、俺も強者を求めて依頼を受ける。
似た者同士のふたりだ。
今度の仕事は生涯最高対決のファイトになるに違いない。
そんな期待にわくわくしながらこの街に引越し、人通りのない夜道でこれ
見よがしにトレーニングを繰り返し、時にはどこかで見ているかもしれない
通り魔に強さをアピールするためにゴロツキたちを叩きのめした。
そのあげく網にかかったのが、この小娘だ。
逃げ足だけは速く、今までに2度取り逃がしたがもはや捕まえる気力すら
起こらない。
「や、やったわね」
小娘が手首を押さえて立ち上がる。
いや、俺は何もやってないし。
まったく役者不足もいいとこだ。
俺は柄にもなくため息をつきそうになった。



長くなるのでとりあえずここまです。


38:創る名無しに見る名無し
09/02/03 19:45:58 /+QERobV
ぐっじょぶ!面白くなりそう!

それにしても谷川の影響受けすぎじゃないかなっ?そんなにハルヒが好きなのかい?

39:創る名無しに見る名無し
09/02/03 23:45:10 drZCJNEh
>>38
どうもです。
谷川は5年ほど前にハルヒの1巻を読んだきりなんだが
アニメの方はひと通り見てるからそっちの影響かな?
ハルヒが特に好きというわけではなくて、書く作品の方向性によって
それに適した文章スタイルを記憶の中から探しながら書く癖があるので
似ているのはそのためかも。

40:創る名無しに見る名無し
09/02/04 13:37:05 sz22YsyK
廃墟で小説を書き続ける男(女)とか
孤独な芸術家やクリエータの物語が読みたいです。
気長に待ってますのでよろしくお願いします。

41:創る名無しに見る名無し
09/02/05 11:49:42 9lDHAaEr
廃墟でひとりの男が小説を書いていた。
一週間に一度、編集者を名乗る男がやってきて、原稿を受け取る。
編集者の話によると、男の小説は雑誌に連載されて大評判、だそうだが、
その雑誌なるものを、一度も見たことがない・・・
それどころか、この小説を何十年も書き続けているのか、最近になって書き始めたのか、
記憶があいまいで、それすらはっきりしない。

↓次の人

42:創る名無しに見る名無し
09/02/05 14:32:32 4HK/C8+l
男は今日も小説を書き続ける。身の回りの世話はロボットのように
無表情なメイドがすべてやってくれるので、彼は眠る他はほとんどの
時間を執筆に費やしていた。
「お食事です」
正午きっかりにメイドが部屋に入ってきてサイドテーブルに昼食を置く。
男が振り返るとドアから廊下へ出て行こうとする彼女の後ろ姿が見えた。
必要最低限のことしかしゃべらない彼女を男は半ば本気でロボットでは
ないかと疑っていた。
彼女は編集の男が、執筆に集中できるようにと送ってよこした。
確かそうだったと彼は思うのだが、それもまた記憶が曖昧である。
何か頭の中に白い霧がかかっているみたいだ。
男の生活はどこか現実感に欠け、ふわふわとしてまるで夢の中にいるようだった。
かろうじて小説を書いている時だけ頭の中の霧は晴れ、自分は生きているのだと
いう実感を得ることができた。

↓次の人

43:創る名無しに見る名無し
09/02/05 16:12:19 ZQSnPvPA
複雑な小学生の恋愛ものが読みたいな
自分で書こうとしたが、人物を扱い切れなそうなので断念した


ツンデレ系幼なじみ→恋愛には奥手な主人公→←やや内気な可愛い子←クール少年

44:創る名無しに見る名無し
09/02/05 17:03:50 zpF5gfMt
小学生は難しいな。小学生の心理なんて、もうわからんし。

廃墟で小説を書いている人、っていう設定は面白いね。なぜ廃墟で小説を書かなければいけないのか、どんな過去があるのか
色々と想像が膨らんでくね。既に投下があるようなので、後で読ませてもらいます。

45:創る名無しに見る名無し
09/02/05 22:09:38 9lDHAaEr
ある日、男は編集に言った。

「今まで俺が書いた小説が読みたい」

それは、一週間に一度、編集の男がやって来たときのことだった。
男は、自分が書いた小説を、もう一度読み返してみようと思った。
そうすれば自分が何者なのか、わかるかもしれない、そう考えたからだ。

「それは・・・どうしてですか?」
「小説のストーリーをもう一度、読み返してみたいのだよ。
 最初の設定がどうなっているのか、ちょっと調べたい
 プロットの構成も、考え直す必要があるし・・・」
「わかりました。ご期待に沿えるようにしましょう」

編集の男は帰っていった。
男は自分の部屋の中を眺めて、あることを思い出した。
過去にも、編集に同じことを言ったことを・・・
そのときにも、編集の男は同じことを言った。
だけど編集の男は、いつまでたっても、男が書いたという小説を持ってこなかった。
無駄だ・・・手掛りなし。
男は、自分の書斎の本棚にぎっしりと積み上げられた書物を見た。
おや?
本棚の上に何かノートみたいなものがある。
男は、椅子を持ってくると、その上に乗って、本棚の上のノートを取った。
そのノートには、『構想メモ』と書かれてあった。

↓ 次の人


46:創る名無しに見る名無し
09/02/05 23:25:55 E9sdEIru
ここってリレー小説ありなの?
リレーするなら専用スレでやればいいんじゃないかなとも思うけど…

47:1
09/02/06 01:44:32 UpVQrpp4
リレー小説ではありません

48: [―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し
09/02/06 01:47:23 QvzsPV0Z
ですよねー^^

49:創る名無しに見る名無し
09/02/06 02:19:13 E66VOUmm
単にそういう流れだってだけさー

50:創る名無しに見る名無し
09/02/06 03:01:33 xlUtg9fQ
>>46-48
もちろんここはリレー小説のスレではないですけど、こう考えてみればどうでしょう。
依頼には応えたいけど、ひとりで書き上げるのは大変だからみんなで協力しながら
作品を作っているのだと。
実際、たとえ原稿用紙10枚ぐらいでもひとつの小説を書き上げようとしたら結構な
労力を要します。
まともにやっていたら執筆者がいなくなって過疎化する可能性も出てきます。
だからリクエスト者の望む物語を提供するという根底さえはずさなければ
リレー小説にするもよし、>>34->>37のように途中まで書いて要望があれば
続きを書く形にするもよし、はたまた自分はアイディアとしてあらすじ
だけを提供して執筆者をつのるもよし。
とにかく多くの人が参加しやすいように色々工夫した方がスレも盛り上がる
と思うのですがいかがでしょうか?


51:創る名無しに見る名無し
09/02/06 03:12:57 pcN4DWIN
>>43
小学生なら
恋愛より冒険物がふさわしい

52:創る名無しに見る名無し
09/02/06 03:25:13 kjeLa1PC
>>43
面白そうなので書いてみようかと思います。
ただ、確かにかなりの難物なのでかなり時間がかかりそうな感じですね。
月単位で待っていただければなんとか。

53:創る名無しに見る名無し
09/02/06 07:59:03 kjeLa1PC
>>45
そのノートは埃を被り、かなり黄ばんでいた。慎重に扱わないと
ボロボロと崩れ落ちてしまいそうだ。
かなり古いものであることは明らかだった。
表紙に書かれた『構想メモ』という文字はかなりの達筆でどうも
自分の文字ではなさそうだ。
男はノートを持って椅子に座るとそれをいためぬよう、慎重に開けた。
変色をした紙の上に美しい文字が整然と並んでいる。


『キ印作家のロンド』
自分が小説家だと思い込んでいる男。
男は家に閉じこもり、小説を書いている。
しかし、そう思い込んでいるだけで実際に原稿用紙に書かれているのは
殺人の計画書だ。計画書と言っても犯行を隠蔽するためのものではない。
いかに殺せば相手により苦痛を与えることができるかの詳細な検討を
書き込んでいるのだ。どれも身の毛もよだつ殺害方法だった。
しかし、彼にはそんなものを書いている自覚はない。あくまでも連載用の
小説を書いているつもりだった。
彼はとっくに気が狂っていた。
こうして男は毎週メイドを色々な方法で殺していく。メイドをいくら
殺しても次から次へと新しいメイドが現れる。男はメイドを殺した
ことはおろか、メイドが代わっていることすら分からない。

○どうして男は狂っているのか?
○なぜ、新しいメイドが次々と現れるのか?
○彼は小説など書いていないのに時々、編集者と名乗る男が
 現れる。彼の正体は?

以上3点がこの物語の最大のポイントである。


ノートの1枚目にはそう書かれていた。

↓ 次の人



54:創る名無しに見る名無し
09/02/06 08:09:50 kjeLa1PC
読み直してみると「かなり」使いすぎだ _| ̄|○

55:創る名無しに見る名無し
09/02/06 15:04:24 kjeLa1PC
>>53
男はめまいのようなものを感じた。
背中を走る怖気。
すぐに次のページをめくる勇気はなかった。
(これは一体、なんのなのだ?)
男は考える。
筆跡から見てこれは彼ではない誰かが書いたものだろう。
紙の変色ぐあいから考えると、あるいは数十年前に書かれたものかもしれない。
(自分がここで小説を書き始める以前に誰か他の者が同じように執筆を
していたのだろうか?)
それにしてもと男は思う。
この構想メモに書かれている狂った男と彼自身との共通点は一体何なのかと。
単なる偶然か、それとも誰かのいたずらか(一体誰の?)
男は考えがまとまらないまま、おそるおそる次のページをめくろうとした。
その時、ノックの音がした。
男は反射的にノートを机の引き出しに隠した。
ドアが開く。
「ごしゅじんさまー!!」
元気な声をあげて入ってきたのは見た目幼女で年齢不詳の猫耳メイドだった。
彼女は編集者が、執筆に集中できるようにと送ってよこしたハウスキーパーだ。
確かそうだったと彼は思うのだが、しかし、どうも記憶があいまいだ。
「ごしゅじんさま、お客様だにゃん」
彼女はそう言って猫耳をぴくぴくと動かした。
大変愛らしい仕草だが、どう見ても付け耳には見えない。
彼女は猫又か何か物の怪のたぐいではないだろうかと男は半ば本気で
疑っていた。


56:創る名無しに見る名無し
09/02/06 21:59:12 wFVSZZ12
ブラックホールに住んでる伝説の一族を相手にした話が読みたいです

57:創る名無しに見る名無し
09/02/07 03:12:20 +s+aP0oO
>>52
おお!ありがとう

58:創る名無しに見る名無し
09/02/07 08:40:13 FDP+J5a6
>>56
まずブラックホールに住んでいるという状況が想像もつかないわけだが。
誰かSFに強い奴、ヘルプ。

59: ◆/e.DI9dwo.
09/02/07 09:46:42 VqPPCzf0
>>56
これ予約。ただしブラックホールに住んでるっていう設定は確かに意味不だから俺解釈になるけど。
長門が書いた小説みたいに『なんじゃこりゃ?』ってなるかもしれない

60:創る名無しに見る名無し
09/02/07 10:14:50 liiDgeKE
>>58
サイヤ人が地球の十倍の星に住んでたのを、
更にスケールでっかくしたようなモンなんじゃね?
超重力なんて表現が生易しいレベルだろうけど。
>>59に期待しとく。

61:創る名無しに見る名無し
09/02/07 15:05:48 FDP+J5a6
色々なジャンルのオタクやマニアについての描写をリクエスト。
形態は起承転結のちゃんとした物語でも単なる人物紹介でもOK。

例えばこんな感じで。

袴田和美は17歳の女子高生。
同時に稀代のツンデレマニアである。
彼女の部屋にはツンデレ娘がヒロインのマンガや小説、アニメDVD、ゲームなどが、
壁一面に設置された棚にぎっしりと並べられている。
さらに押入れの中には本来、彼女の年齢では購入できないはずの数々のブツが
隠されていた。
彼女自身には自分が百合だとかレズビアンだとかいう自覚はない。
実際問題、身近な女に「別にあなたのためにやったんじゃないんだからね!」
などと言われれば彼女は本気で怒り出すだろう。
だけど虚構の娘たちが赤い顔をして意地を張っている姿は無性に可愛く
感じられ、思わず彼女たちを抱きしめたくなる衝動にかられるのだった。

62:59
09/02/07 16:56:25 +em2F8ja
wikiで「ブラックホール」について調べたんだけど、すごいんだな……
俺みたいに天文学やら物理学やらに明るくない人はぜひwikiを見てほしいな

なんか異世界のことについて語られている(実際、異世界かもしれない)ようで
すごく興味深いよ 予約とか調子こいたこと言ったけど、wikiを見て何かを感じ取った
人は物語の創作に挑戦してみてくれまいか


63:創る名無しに見る名無し
09/02/07 21:15:10 jktlylUX
ブラックホールに住むってことは重力の干渉を受けない生物が必要だな
つまり質量のない存在
ただそうなると感覚器官に頼る生き方はできない、実体を持たないものであることが好ましい
だったら精神生命体がいいかな



なんて知ったかぶりで語ってみた

64:創る名無しに見る名無し
09/02/07 22:26:29 Ht5L5Pfu
ブラックホールに入るとスパゲッティ化現象が起こるというのを大分昔に聞いたことがある
つまり…ブラックホールに住んでるのはスパゲッティ一族なんだよ!
いや、むしろ空飛ぶスパゲッティ・モンスター様か

65:創る名無しに見る名無し
09/02/08 07:18:11 xmwmk9CC
>>55
誰が来ているのかと男が尋ねると猫耳メイドは、ご主人様のファンだと答えた。
「ファン?」
男は思わず声を上げる。
「何でも、『地下牢ワルツ』を読んで猛烈に感動して、それでどうしても
作者の方とお話したくなって、三日三晩車を飛ばしてようやく辿り着いた、
ということらしいにゃん」
地下牢ワルツ。
それは男にとって聞き覚えのないタイトルだった。
本当にそれは彼の書いた作品なのか?
男は疑念を覚えたが、すぐに、本のタイトルは編集者に一任していたことを
思い出した。
きっとそれは編集者の男が名づけたタイトルなのだろう。
しかし、それにしてもと男は思う。
そのファンと名乗る人間はどうやってこの場所を知ったのだろうか?
彼の小説を連載している雑誌にここの住所が載っているのだろうか?
それとも・・・。
「それでどうするにゃん?」
男の思索を遮るように猫耳メイドが言う。
「玄関で待たせているのだけどこちらに案内してもいいのかにゃん?」
男は少し考えた後、こちらから出迎えるから君は仕事にもどりなさいと言った。
「ラジャーにゃん」
猫耳メイドは敬礼をし、部屋から出て行った。
男は今までの疑念を整理するかのように天井を見上げて何かを考えていたが、
やがて首を左右に振ると立ち上がり、部屋から出て行った。

66:創る名無しに見る名無し
09/02/08 09:51:29 8JGr6naW
>>64

むしろ、クトゥルーの邪神を連想した。

67:創る名無しに見る名無し
09/02/08 11:10:25 DUaS2jlo
武者小路実篤「友情」の後日談が読みたい

大宮と杉子がどうなるか なにより野島クンがどうなるか

68:創る名無しに見る名無し
09/02/08 14:41:40 xmwmk9CC
>>65
玄関には誰もいなかった。
男は首を傾げながら扉を開け、外に出た。
外にもやはり誰もいない。
青空の下には瓦礫の山が広がっている。
彼の住む4階建ての建物を中心として地平線まで広がる廃墟の
中に人の気配を感じさせるものは何一つなかった。
風が吹き、砂塵が舞う。
ひび割れたアスファルトの路上に突き刺された日章旗が
激しくはためいていた。
男はふと足元を見た。
風に乗って空高く舞い上がろうとする紙切れが小石に
押さえつけられてもがいている。
男は紙切れを拾い上げ、そこに書かれてある文字を見て
ぎょっとした。
そこにはひと言、
「逃げろ」
と書かれてあった。
男は反射的にその紙切れをくしゃくしゃにすると、ポケットに
つっこんだ。
彼の体の中で急速に不安が広がっていく。
一体、誰がこんなことを書いたのだろうか。
男はファンと名乗った者がどんな人間だったかを確認するために
猫耳メイドを呼ぼうとした。
だが、彼は彼女の名前を知らなかった。普段なんと呼んでいたかも
思い出せない。
しかたがないので「おーい、おーい」と言いながら家中を探し回ったが
家の中には彼以外誰もいない。
いつしか不安は恐怖に近いものに変わっていた。
男は書斎に戻り、創作メモに書かれた内容を確かめようと机の引き出しを
開けた。
だが、そこには何も入っていなかった。

69:創る名無しに見る名無し
09/02/08 14:59:04 62zUdwjo
>>68
×創作メモ
○構想メモ

70:創る名無しに見る名無し
09/02/09 08:07:02 EJQCmURM
触手に襲われる美女、お願いします。
18禁に指定されない程度にエロティックに。

71:創る名無しに見る名無し
09/02/09 14:59:51 JIMavf6K
>>61
男は息を殺し、『それ』を待っていた。数年に一度だけ蘇る鋼の化け物を。
その化け物を己が手で捉える、ただそのためだけに数刻もの間、微動だにせず草むらに身を寄せていた。

来た―。化け物のうごめきに地が悲鳴を上げている。ゴウゴウと黒い毒の息を吐きながら、やつは来た。
雌雄は刹那に決する。あと、ほんの数秒で化け物が男の間合いに入ろうかというその時であった。
男の前に荷車を駆る老人ががかかった。

「ゴラァ!そごのドラッグァ邪魔なんだよ!!市ねぇぇえぇえ!」

人は彼を鉄ヲタと呼ぶ。

72:創る名無しに見る名無し
09/02/09 19:31:02 00hPO9Ca
長編と短編、ここでは、やはり短編の方が好まれるだろうか

73:創る名無しに見る名無し
09/02/09 22:54:20 kght9hQw
長さよりも早さじゃない?
リクあってから一か月とか経過しちゃういとどうでもよくなっちゃう気が

>>71
GJ!

74:創る名無しに見る名無し
09/02/10 03:09:27 ti83HG/6
実際、長編は大変なのよ。書く方も待つ方も。
だから長編書く場合は小出しに発表しながら
要望があれば続きを書くという方式がおすすめ。

75:創る名無しに見る名無し
09/02/10 21:23:41 HN34Ld6e
>>71

199x年、世界は核の炎に包まれた。
海は枯れ地は裂け、あらゆる生命体が絶滅したかにみえた。

・・・・・

しかし鉄オタは死滅していなかった。

76:創る名無しに見る名無し
09/02/12 05:27:13 97azbBYi
殺人鬼が主役の話が読みたい

77:創る名無しに見る名無し
09/02/12 05:42:38 GcLlBNEa
>>76
デスノート?

78:創る名無しに見る名無し
09/02/12 16:01:14 97azbBYi
>>77
月もいいけど、もっとおどろおどろしい話がいい

79:創る名無しに見る名無し
09/02/12 21:58:28 47L9cOwM
>>78

もう少し具体的に。

80:創る名無しに見る名無し
09/02/12 22:05:25 ukogC1Cz
十三日の金曜日的なアレですか?

81:創る名無しに見る名無し
09/02/13 01:13:57 5Y1xWUGi
じゃあ具体的に、主人公が復讐の為に人を殺す話
例えば、昔いじめられた仕返しにいじめっこやその家族を殺すとか

82: ◆/e.DI9dwo.
09/02/13 06:56:11 FAmGi4hu
「だめ、今日は来ないで」
「なんでだよ、だってそんな調子じゃ飯だって満足に作れないだろ」
「いいの……」
弱々しい声で奈美が答える。電話越しに伝わる苦しそうな息遣い。どう考えても平気そうではない。
「……いいから、来ないで。私なら大丈夫だから」
そう言い終えると同時に、奈美は咳き込んだ。ゴホッ、ゴホッ、と辛そうな咳だ。
「何が大丈夫なんだよ。いいよ、行く。粥くらいなら俺でも作れるし、看病だって……」
「だめ!」
声を震わせ、奈美は遮った。
「今日は来ないで、お願い。本当にお願い……。心配してくれてありがとう。でも私は大丈夫だから。じゃあね」
「ちょっと待てよ、奈……」
電話が切れた。一方的に切られた。どう考えても、普通の様子ではなかった。
咳と体のだるさは、単なる風邪の症状だろう。でもそれ以外に、何かに脅えているような気がした。
以前にも俺は奈美の部屋に行ったことがある。だから俺が部屋を訪れること自体は、問題がないはずだ。
なら、今日、俺が奈美のために看病しに行くことに何の問題があるのか。
部屋の時計を見る。昼前だ。俺は鞄に携帯と財布といった、いつも持ち歩いているものを鞄にしまった。
じっとしてはいられない。今日行くことで、何か迷惑をかけることになるのだとしても。
車のキーを手に持ち、俺は玄関へと向かった。


83: ◆/e.DI9dwo.
09/02/13 06:56:47 FAmGi4hu
少し古いけれど、割と綺麗に手入れされているマンションの一室に、奈美は住んでいる。
閑静な住宅街にたたずんでいる五階建てのマンションで、奈美の部屋は二階にある。
最上階の方が見晴らしがいいのに、と俺が言ったとき、二階は家賃が安いから、と奈美は言っていた。
そんなやりとりを思い出しながら、俺は二階へと続く階段を上った。二階なら階段を使った方が早いのだ。
来る途中に買ったケーキの箱が、手元でカサコソと、どこか怪しげな音を立てていた。


206……。奈美の部屋だ。突然の訪問を、奈美は迷惑に思い、門前払いしようとするだろいか。
それとも、本当は強がっていただけで、こうして訪ねてきたことを喜んでくれるのだろうか。
俺は後者であることを願いながら、インターホンを押そうと、手を伸ばした。
と、そのとき、中で子供が暴れているような物音がしたように感じた。
誰か来ているのだろうか。もしかして……。ふと嫌な予感が頭をよぎった。
あれだけ語調を強めて来るなと言っていたのは、他の男が来る予定だったからではないのか。
しかも、そいつが子連れの男だとしたら……。俺は激怒するだろう。奈美もそれは予想できていたはず。
背筋に、言いようもなく不快な寒気が走った。奈美はかなり均整のとれた顔立ちをしているし、艶やかで長い黒髪が顔の魅力を一層引き立てている。
男からの誘いは、彼氏がいる今でも少なくないのではないか。
嫌な予感が胸の内で膨らみ、次第に心を圧迫しだした。
ドアが開くのは待てない。入ろう。
俺は意を決して、ドアの取っ手に手をかけた。

84: ◆/e.DI9dwo.
09/02/13 06:57:33 FAmGi4hu
幸い、玄関の鍵はかかっていなかった。
「奈美~?俺だけど、来ちゃまずかったかな?」
ここで平静を保てたのは、見知らぬ靴が玄関に置いていなかったからだろう。
最近、奈美がお気に入りだと言っていた茶色の洒落たブーツと、少しくすんだ色のスニーカーが並んでいた。
「奈美……?」
返事がない。さっきは物音がしたのに、今は誰もいないかのように静かだ。
「入らせてもらうよ」
リビングへと続く細い廊下の先に向かって、声を投げ掛けたとき
「何で来たの?!だめ!帰って!」と、奈美の悲痛な叫びが返ってきた。
「なんだ、やっぱりいたのか……。まぁ……そんなに迷惑なら帰るけどさ……」そう言って、ケーキだけを置き、立ち去ろうとしたとき、廊下に付着した血痕が目に入った。
まだ時間があまり経っていないような、鮮明な、赤い色。
廊下に血が?誰の?なぜ?俺はカバンとケーキを置き去りにして、細く短い廊下を駆け抜けた。
そして、信じられない光景を目の当たりにした。
女の子らしい可愛らしい小物が、シンプルな調度類に溶けこんでいる奈美の部屋。
そんな部屋の片隅に、血だらけの男が腹の辺りを押さえて、うずくまっていたのだ。
「何で……何で来たの……?」
そう言って目に涙を浮かべる奈美。淡い青色のパジャマが返り血で紅色に染めあげられていた。
手には、赤い滴を垂らしているナイフが、しっかりと握り締められている。
俺は言葉を失った。


85:創る名無しに見る名無し
09/02/13 11:53:20 XrPJsvaf
>>84

当然、次の展開は

「主人公の『俺』は、奈美の部屋の男の死体を解体して処分。
 それから、奈美から電話がかかってくるたびに、奈美の部屋の死体を解体処分」

だよね?

86:創る名無しに見る名無し
09/02/13 16:24:45 OJoRecjY
すでに投下のあったお題、あるいは予約宣言が出たお題で書いても
大丈夫かな?

87:創る名無しに見る名無し
09/02/13 18:15:52 +iQNG6x4
ダイジョウブダヨー

88:創る名無しに見る名無し
09/02/13 19:44:38 6FwIfjO1
その男はいったい誰なんだ?
気になる気になる

89:創る名無しに見る名無し
09/02/13 19:45:03 XrPJsvaf
>「主人公の『俺』は、奈美の部屋の男の死体を解体して処分。
 それから、奈美から電話がかかってくるたびに、奈美の部屋の死体を解体処分」

その続きは・・・

「昔のいじめっ子を全員殺した奈美は自殺。俺は奈美の死体を解体して下水に流す」

「しかし、事件が発覚。俺は奈美を殺した殺人犯として逮捕。
 調べが進むうちに、奈美の殺人が次々に明るみに出る」

「俺は、奈美との約束を守るため、大量殺人犯の汚名をあえて被る」

90:創る名無しに見る名無し
09/02/13 19:47:33 +iQNG6x4
     ____
   /__.))ノヽ
   .|ミ.l _  ._ i.)  
  (^'ミ/.´・ .〈・ リ   
  .しi   r、_) |   そいつもわしが殺した
    |  `ニニ' /   
   ノ `ー―i


91:創る名無しに見る名無し
09/02/13 20:11:29 vxfHh4gx
ブラックホールはスルーされたという解釈でOKですか?

92:創る名無しに見る名無し
09/02/13 20:15:09 +iQNG6x4
>>91
大丈夫。
俺がリクエストに応えて書いたSSもスルーされたから(ぉぃ

真面目な話、予約入ったにしろ何にしろ、
あらゆるリクエストが流れてしまう可能性をもってると思う。
欲しい時に欲しい作品が来るとは、あまり考えない方が
精神衛生上よろしいんじゃなかろうか。

93:創る名無しに見る名無し
09/02/13 20:27:30 IOUJyra7
某リクスレみたいに定期的にまとめたらいいんでね?

94:創る名無しに見る名無し
09/02/13 20:28:05 6FwIfjO1
ここはふと琴線に触れたお題があったら書いてみようかなーっていうスレだから
絶対にかかれることなんてないのさ
リクエストする側も書かれたらラッキーぐらいの心持ちでいないと

95:創る名無しに見る名無し
09/02/13 21:06:21 vxfHh4gx
わかりました
ブラックホールは脳内アニメの方でやっておくことにします

96: ◆/e.DI9dwo.
09/02/13 23:14:48 FAmGi4hu
ちょっと待ってw いちおーブラックホールなんだけどw

97:創る名無しに見る名無し
09/02/13 23:23:06 vxfHh4gx
>>96
・・・え?

98:創る名無しに見る名無し
09/02/14 00:24:31 NbdIQKC7
続きか!?続きでブラックホールが出てくるんだな!?

99:創る名無しに見る名無し
09/02/14 01:01:30 p0sR4n5r
夜中に書いたレス投下すんのって危険?朝に推敲した方がいいかな?

100:創る名無しに見る名無し
09/02/14 01:13:56 p0sR4n5r
100はもらっておこう

101:創る名無しに見る名無し
09/02/14 01:18:21 q8N9oMUZ
>>99
オナニー直後にファイル消すのと同じくらい危険

102:創る名無しに見る名無し
09/02/14 04:40:26 MXbvi4f4
>>99
勢いのままに投下してしまうのも乙なものじゃぞ

103:創る名無しに見る名無し
09/02/14 04:44:04 Kr5IS3kD
そして勢いで投下して起きてからうわぁぁぁぁ!!
ってなるのも悪くないでござるよ

104:創る名無しに見る名無し
09/02/14 07:59:29 p0sR4n5r
主人公の男の名前何にしよう

105:創る名無しに見る名無し
09/02/14 08:00:18 MXbvi4f4
和風?洋風?中華風?

106:創る名無しに見る名無し
09/02/14 08:11:04 p0sR4n5r
和風でw

107:創る名無しに見る名無し
09/02/15 11:54:59 nz34Lv+F
貴久

108:創る名無しに見る名無し
09/02/15 13:14:36 6QQaVIiS
健一

109:創る名無しに見る名無し
09/02/16 06:26:56 KtibZ4H6
源内

110:創る名無しに見る名無し
09/02/26 14:27:04 7z6+qiMc
このスレ誰もいないの?
今皆長編書いてるとかそういうこと?

111: [―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し
09/02/26 14:30:54 DiN/aHEp
>>2の俺はROMってるよ

112:創る名無しに見る名無し
09/02/26 14:34:18 nhQbHl9w
>>110
住人その①
「すまん、オレはこっちに移った」

架空図書のガイドブックを作ろう
スレリンク(mitemite板)

113:創る名無しに見る名無し
09/02/26 16:04:05 jN1w8my2
今、練ってる最中。まだまだ…

114:創る名無しに見る名無し
09/02/26 18:31:35 xiEc3Ep/
反応すごっw
みんなROMってたのか

115:創る名無しに見る名無し
09/02/26 18:32:56 9UJuvcWy
書きたいと思うようなリクが来るまではROMるしかないんでね?

116:創る名無しに見る名無し
09/02/26 18:35:56 xiEc3Ep/
>>115
まだ人いるのか。俺が見くびってたようだな
ブラックホール待ってるんだけど・・・書いてくれてた人、いるかな?

117:創る名無しに見る名無し
09/02/28 21:32:01 vSBfJNDM
人がいないように見せかけていざとなるといっぱい出てくるのが創発民
1匹みかければ30匹いるとの評判はだてじゃない
ぶっちゃけ誰かの書き込みを待ってるROMがやたら多いってことだな

118: ◆/e.DI9dwo.
09/02/28 23:32:36 ckIXgWll
声帯が潰されたかのような気がした。全身の血の気はひき、部屋に漂う血の香りに
吐きそうになる。奈美は……奈美は何をやったんだ。いや、答えは出ている。
俺はそっと奈美の顔に目をやった。奈美の口元から、小さくフーっと溜息が漏れた。
「バレちゃったか……。こんなに早くバレるはずじゃ、なかったのにな」
「何を……言っているんだ」
俺は目を背けたくなる気持ちを抑え、うずくまる男を静かに見た。
腹の辺りから大量に出血したようで、男の倒れている辺りは血で真っ赤に染まっていた。
もう死んでいるのか、うめき声もあげていない。
その男の顔は(うつむいていてはっきりとは見えないが)とてつもなく美しい男だった。
芸能人でもそうそういないだろうという、20歳くらいの中性的な顔立ち。
恋愛関係のもつれか。俺とっさにそう思った。こんな状況なのに、いや、こんな状況
だからなのか、俺の頭は妙に冴えていた。
「奈美、警察に行こう」
「……いや」
「奈美!」
「あのね、信じられないと思うけど、この人、人間じゃないのよ」
奈美は男にちらりと視線をやり、言った。今まで見せたこともない、冷たい表情で。
「そんなことはない。この男がどんな奴だったかは知らない。でも、人間じゃない奴
なんて……殺してもいい奴なんていない!」
俺がそう言うと、奈美は薄く笑った。
「まぁ、信じてもらえないよね。あと15分……、ううん、10分くらい待って」
「……自首は早い方がいい」
「わかったから、とりあえず10分くらい待ってて。今、お茶出すから」
「こんな部屋でくつろげるわけないだろ」
俺は改めて部屋を見渡した。奈美と男は揉み合ったのか、テーブルの位置はずれていて、
小物が部屋に散乱している。
「こういうのは早い方がいいんだ、早く警察……に……?」
俺は目を奪われた。男の足が、さらさらと消えてなくなる砂のように、形を失っていく。
足先、ひざ、大腿部、腰……、次々と溶けてなくなっていく。
「な……なんだこれは?」
「ん?あれ、もう来たのかな?」
そう言って奈美は台所から戻ってきて顔を覗かせた。そしてくすりと笑った。
「だから言ったでしょ?これは人間じゃないって。自首する必要もないよね?」
奈美がそう言ったときには、男の胸部、いや、鎖骨の辺りまでが消え去っていた。
気づけば、俺の足元にこびりついていた血痕も消えていた。
「これは、夢か……?」


119: ◆/e.DI9dwo.
09/03/01 00:10:26 W+27tMWG
「夢じゃないよ、現実。わかるでしょ?」
奈美はテーブルの位置を戻し、小物を片付け、それからナイフを置いた。
「説明……してくれるか?」
「そうだね、まぁいいかな。さっきの男はね、ブラックホールなの」
「話が見えない」
「だよね……。そうだな、じゃあさ、ブラックホールって知ってる?」
「……宇宙にある、何でも吸い込む黒い……穴?」
「なんだ、よくわかってないんだね」
奈美は笑って、それからソファーに腰掛けた。空いている隣をぽんぽんと手で
叩く。座れということか。俺は奈美の隣に腰掛けた。
「さっきの男は太陽の質量の10倍くらいのブラックホールから生じたの。 
 知ってる?このくらいの規模だとね、恒星の進化の最終段階、って言っても
 いいくらいなの。わかる?進化の最終段階だよ?」
奈美が俺の目を見据えて大真面目な顔で語っている。頭が奈美の話についていけなかった
が、俺は必死に頭を回転させた。からかっているわけではないことくらい、雰囲気と状況
でわかる。
「光ですら逃げ出すことができない、圧倒的な重力を持った究極の天体……であるはず
なのよ、本当はね」
奈美が静かに笑った。
「でも、そんな究極であるはずの天体も、ホワイトホールの存在によって底の破けたバケ
ツみたいに何でも抜け落ちてしまう欠陥品になってしまう」
なかなか先の見えない話に俺は苛立ってきた。奈美のことは何でも理解しているはずだ
った。なのに、この、蚊帳の外に追いやられていたかのような疎外感は何だろう。
俺の知らないところで、何が進行していたのだろう。奈美は、何者なんだ。
「そんな宇宙の話が、一体何だって言うんだ。俺達には関係のないことだろう!」
俺は声を荒立てしまった。気づけば立ち上がり、ソファーに腰掛ける奈美を見下ろす格好
になっている。
「わからないかな、私がホワイトホールなのよ。彼ら、つまりブラックホールを、不完全
なものにしてしまうお邪魔虫ってわけね、向こうから見れば」
奈美を俺を見上げて、事も無げに言った。一瞬、頭が真っ白になる。
血痕も死体も消え、日常を取り戻しつつあるこの部屋に、沈黙が流れた。
「何なんだよ、それ……。わけが、わからない……」
これが何かの冗談だったら、俺はどれだけ救われただろう。でも、目の前で血だらけの
人間が砂になり消え去る現象を見てしまった。現実から逃げるわけにはいかない。


120: ◆/e.DI9dwo.
09/03/01 00:21:35 W+27tMWG
前回との整合性取れてませんが、何とかなるよう努力します
もう少し、需要のあるなしに関わらず続けさせてください

暇ができたので、今後は多少スピードアップできるかと、わっちは思いんす

121:創る名無しに見る名無し
09/03/04 01:19:45 UD7n319X
やっぱりやめた 反応全くないし 

122:創る名無しに見る名無し
09/03/05 05:10:49 rcQhSUk/
>>120
反応は待つものではない。勝ち取るものである。

123:創る名無しに見る名無し
09/03/19 15:00:33 DmVtwqcS
飽きっぽいならショートショートにすればいいのに。
短編ならあんまりアラも目立たないし。

124:創る名無しに見る名無し
09/03/24 20:09:51 97O345hz
暇だし寝る前にリクエストまとめちゃう
漏れや間違いがあったらゴメーヌ
一行にまとまらないのは詳細略ってつけてるから各自確認してね

>>5 ヤンデレ、そしてツンデレ
>>7 矢作俊彦の文章でのジャック・ヒギンズのショーン・ディロンシリーズが読みたい
>>13 不器用な少年が、クラスのアイドルに恋悩むストーリー
>>21 萌える女装少年
>>26 明智小五郎 怪奇事件簿(詳細略)
>>27 学校の階段(詳細略)
>>40 廃墟で小説を書き続ける男(女)(詳細略)
>>43 複雑な小学生の恋愛もの(詳細略)
>>56 ブラックホールに住んでる伝説の一族を相手にした話
>>61 色々なジャンルのオタクやマニアについての描写
>>70 触手に襲われる美女
>>76 殺人鬼が主役の話
>>81 主人公が復讐の為に人を殺す話

125:創る名無しに見る名無し
09/04/12 23:46:45 2GtXBqrF
>>76でもっと詳しくって言われたんで>>81をリクエストしました

126:創る名無しに見る名無し
09/04/30 18:16:39 gUKv3UCP
古典文学を焼きなおしたような小説がほしい

127:創る名無しに見る名無し
09/05/05 18:29:13 kLQNNxI5
>>27
学校の怪談

「先生、怖い話してー」
子供というものは怖い話が好きだ。毎年、新しく子供が進級してくるたびに、私はそう思う。
「うーん、じゃあとっておき、身も凍るような話をしようか」
期待に満ちたキラキラと輝く眼差しに見詰められ、私はゆっくりと話し出した。
―昔、まだ先生がこの学校に着たばかりの頃の話。
まだ校舎の建て替え前で、古い木造の平屋の教室だった。
戦時中は避難所に使われていたため、身寄りのないまま亡くなった人の骨や遺品が
ひっそりと物置の隅に安置されていた。
夜になると、母を呼ぶ子供の声や、子を探す親の声がどこからともなく聞こえてきたりもしていたという。
先生は聞いたことはなかったんだけどね。
宿直で泊まると、時折、飛行機の音や空襲警報が聞こえてくることはあった。
火の玉? いや、そういうものは見たことがない。残念ながら。
「ぜんぜん怖くなーい」
そうだね。もうちょっと待ってね。
冬の夜、いつものように私が学校の宿直室で夜を過ごしていたときのこと。
表で小さな子供の声が聞こえたんだ。
プールに行こう、あそこなら大丈夫、ってね。
大丈夫も何も、冬のプールは薄氷が張った上に雪が積もるから、落ちたらまず助からない。
大人でも、一瞬で心臓が止まる。嘘じゃないぞ、みんなよく気をつけるんだよ。
上着を羽織る間もなく駆けつけると、小さな子供が二人、佇んでいるのが見えた。
そこは危ない、こっちへ戻りなさい、そう言って駈け寄ったときに気がついた。
雪の上に残った足跡は私のものだけ。
子供の足跡は見あたらない。
ぞっとして立ち止まると、子供たちがゆっくりと振り返った。
にい、と笑った顔は土気色で、生気がない。
「先生も、こっちに来たんだ」
言われて思い出した。校長が葬儀に出かけた先は、昨日の空襲で亡くなったこの子たちの家だった、と。
「わわわっ」
私は大声を上げて逃げ出そうとした。その足を、冷たい手が掴んで、水の中へ引きずり込もうとする。
足がずぶっと氷水に浸かった。
あまりの冷たさに、声も出ない―。
しばらくの沈黙があった。聞き入っていた子供たちが魔法からとけたように騒ぎ出す。
「先生?」
「身も凍る、ってそこで終わりかよー」
「そう、これで終わり。夜の学校は怖いから、暗くなったら来ちゃダメだよ。さあ、お帰り」
ぶーぶー文句を言う子供たちを追い出しながら、私は笑った。
明日の朝になれば、あの子たちは身も凍る、を本当の意味で知るだろう。
今の私は、すでにこの学校の教師ではない。
あの夜、水の中で息絶えた私は、ただ霊体となって、ここに居着いているのだから。


128:創る名無しに見る名無し
09/05/05 18:42:00 7yiNAD8z
>>127
おお・・・
パターンとしては想定の範囲内だが、
それでも想像するとゾクッとくるな・・・

129:創る名無しに見る名無し
09/05/05 20:13:14 OqOHNTBv
幽霊の怪談かよ
ゾクっとくるな

130:創る名無しに見る名無し
09/05/06 14:54:54 FU69vAOg
リクエスト
父親は保父さん

131:創る名無しに見る名無し
09/05/06 18:54:47 FP5bi6JQ
リクエストは
F1とかレースもの
公道レースではなくちゃんとサーキットを走る系

132:創る名無しに見る名無し
09/05/06 21:17:02 XEbNEAT0
>>128

ウリは、『学校そのものが存在しなかった』というオチを想像したのだがw

133:創る名無しに見る名無し
09/05/06 21:39:35 Ax/NUQVb
怪談話してる人達というか、出てくる人全部幽霊、っていうw

134:創る名無しに見る名無し
09/05/06 21:56:09 gfEUDRS2
>>40 廃墟で小説を書き続ける男

見渡す限り荒涼とした風景が広がる、小高い丘の中腹にぽつんと机が置いてある。
その机に日がな一日腰を下ろし、男は小説を書き続けている。
眼下には赤土の荒野が、吹きすさぶ風に土埃をたてている。
動くものといえば、背の低い草木から吹き飛ばされた枯れ枝が時たま見られるくらいで、
生命の息吹を感じられるものは何一つとしてなかった。

「せんせい」
背後から声が掛かった。しっとりと落ち着いた女の声だった。作家は振り向き、笑みを浮かべる。
「来てくれたのか。まだ出来上がってはいないのだよ」
「お急ぎになることはありませんわ。わたし、待っていますから」
「いや、もう少しで終わる。―退屈だったら辺りを散歩してくればいい」
女は柔らかな笑みを浮かべ、作家の側に歩み寄った。
白い手をさしのべると、無骨な男の手を細くしなやかな指で包み込む。
「おそばにいますわ。もしお邪魔でなければ」
女の暖かな体温が、ペンを握った指に伝わった。書かなくては、と男は思う。
「何を書いていらっしゃるの」
問われて男は手を止めた。あと少しで書き上がる。少し休憩しても構わないだろう。
「自叙伝だよ。わたしのこれまで生きてきた道筋だ。生まれてから―これまでの」
ごく平凡な人生だった。田舎町のヒラ警官として、日々交通整理に明け暮れた。
他人から見ればつまらない生き方だろう。だが、それで十分じゃないか。
「しあわせでしたか」
彼女が問いかけた。もちろんだ。貞淑で優しい妻がいて、子供たちは育ち、自立した。
妻は車をさばく私の指の動きが素敵だといつも褒めてくれていた。
これから先、定年後の人生は妻と二人、庭いじりでもしながら心穏やかに過ごすのだ。
―これから先?
違和感があった。
「せんせい、作品はまだ途中です」
私は胸を押さえた。
「奥様からの伝言をお預かりしています。―愛するあなた」
差し込むような痛みが走った。目の前が暗くなる。
「仕事をしているあなたの姿が大好きでした」
包み込むような彼女の声が遠く聞こえた。
「せんせい、作品が終わるまで、わたし、待っていますから」

「気がつきましたか」
白衣の女性が横から覗き込んでいた。消毒薬の香りが漂う。
「あなたは十日も眠ったままだったのです。どこか痛いところはありますか」
痛みは全身にあった。だが、それよりも私は聞きたいことがあった。
「あれは……わたしの妻はどうしましたか」
自分のものとは思えない、かすれたうめき声が漏れた。看護婦は逡巡する様子を見せた。
「奥様はお気の毒でした。……即死でした」
何度か息を整え、私から目を逸らしたあと、彼女は低い声で告げた。
私は両手で顔を覆い、ぼろぼろと涙を流した。
そうだ。
全て、思い出した。
二人で庭のバラの手入れをしていたときのことだった。
いきなり庭に飛び込んできた車にはねられ、人形のように宙を舞う彼女の姿も。
そして同時に私もはねとばされた。その一瞬、運転席から振り返った男の顔も……。
「―なんということだ」
何もかも、失ってしまった。
看護婦が呼んだのだろう、後輩の警官が部屋に入ってきた。
散歩中の私たちをはねた車が見つかったものの、車は大破しており、
運転者が誰なのか分からないままなのだと彼は言った。
運転手の顔は覚えている、そう私が言うと、彼は写真を出して見せた。
「この中の誰が運転していたか、証言していただけますか」
私は頷いた。ふと妻の声が聞こえた気がした。
「この男だ」
警官の示す写真の一枚を―私は、指で、さした。

135:創る名無しに見る名無し
09/05/06 22:49:08 eiBgIhEM
? 誰か解説して

136:創る名無しに見る名無し
09/05/06 22:51:27 N+GOaDED
続きがあるんじゃないのか?

137:創る名無しに見る名無し
09/05/06 22:54:50 Ax/NUQVb
犯人の男がどうこうは、単に覚えていただけって事か。
前半の、臨死体験というか走馬灯というかの部分には関係ないんだな。

そこら辺絡めて欲しかったかも。

でも、前半部の雰囲気は好きだなー。

138:創る名無しに見る名無し
09/05/06 22:55:23 Ax/NUQVb
>>136
そうなのかな?

139:創る名無しに見る名無し
09/05/07 19:17:11 5p5fCB3t
>>40 >>81
廃墟で絵を描く女

崩れかけた廃屋と、朽ち果てた柵で囲まれた瓦礫の街。
その中心部の、今は壊れて跡形もない噴水のあとに、ぽつんとイーゼルが置いてある。
女画家が真剣な顔つきで上下左右に絵筆を動かしながら、仕上げに入っている。
しんと静まりかえった町に、イーゼルに向かう女の影だけが小さくゆらめいていた。

「ふう、あと少しだわ」
造形作家は腰を伸ばして、辺りを見回した。そろそろ約束の時間だった。
「せんせい」
衣擦れの音がして、女がいつものように足音もなく現れた。落ち着いた柔らかな声は
いかにもキュレーターの職にふさわしい。
「時間厳守ね。こちらももうじき完成するわ」
画家は振り返って女を見た。逆光の中、黒くシルエットが浮かび上がる。
「おめでとうございます」
女が微笑んだ。
「この絵は……可愛いお嬢さんですね、赤い薔薇に囲まれて」
「ええ、娘のために描いたの。誕生日には薔薇を贈るって約束だったから」
画家は笑みを浮かべた。女手一つで育ててきた自慢の娘だった。
家庭に恵まれなかった画家にとって、娘はやっと手にした憧れであり、宝だった。
この子さえいれば、この子のためなら何でも出来る、そう思っていた。
「掌中の玉ですね」
もちろんそうだ。娘は、あの子は私の全て―だった。
「せんせい?」
ふ、と画家は胸に違和感を感じた。不安とも似た息苦しさに、目の前が暗くなる。
手にした絵筆がずん、と重くなった。
「せんせい、仕上げの署名がまだです」
画家は目を閉じ、両足に力を込める。女の声が遠くで聞こえた。
「署名をお忘れないよう」

「大丈夫ですか」
横から覗き込むように体を支えて、婦警が声をかけた。
「ええ、大丈夫。ちょっと目眩がしただけ」
彼女は気遣うように私を見て、ぎゅっと肩を抱きしめてくれた。
目の前、少し離れた被告席に男が立っている。目があった。
薄ら笑いを浮かべた男は、数え切れない前科を持つ性犯罪者だった。
「子供の方から誘惑してきたんだ、片親で身持ちの悪い母親を見て育ったから
遊ぶ金が欲しかったんだろう。殺す気はなかったんだ」
男が、まるで自身が被害者のような口ぶりで訴える。
何度も、同じ言い訳をしてきたのだ。
そして何度も、軽い罰で許されてきたのだ。
「刑務所に入りますよ、それでいいでしょう」
たった6才の子供を殺してすら、公平な裁きはなされないのだ。
私は立ち上がった。耐えきれずに法廷を出ると思った婦警が気づいて
制止する前に、被告席に駈け寄った。
手の中の銃を構える。
どこからか悲鳴が上がった。私は指に力を込めた。
―赤い薔薇がぱんと散った。これは娘へのプレゼント。
最後に間近で見た男の顔は、ぽかんと口を開けた間抜け顔だった。
数発撃ち込んで、最後に一発残したところで銃を口にくわえた。
制止する声が、駈け寄る足音が、うるさく響く。
すべて、終わったというのに。
目を閉じれば、愛おしい娘の姿がイーゼルの横にぽつんと見える。
「もうちょっと待っててね、署名をしたら一緒に行くから」
娘が笑った。私も微笑んで引き金を引いた。


140:創る名無しに見る名無し
09/05/07 20:33:07 5p5fCB3t
解説ないと分からないのはダメだなあ、と。
反省しつつ、もうちょっと精進します。
意味不明なままだと気持ち悪いだろうな、と思うので書き足します。

一応、解説らしいもの。

この世ではないどこか生と死の狭間のような場所=廃墟です。
そこの管理人というか、案内人というか、狂言回しが、女。
そこに来た人=自分の人生と関係した何かを作りながら気持を整理している。
走馬燈のように。。と臨死体験でありますが、アレです。

>>134
男は交通整理のお巡りさんで一生を終えた、うだつの上がらない人間ですが、
妻との老後を楽しみにしていた矢先に暴走車にはねられ、廃墟にやってくる。
自分史を書き”終わる”=死(のつもり)ですが、犯人が捕まっていない・警察官として最後まで
仕事をして欲しいと妻が願った=交通整理で指さす姿が好き=最後の写真指さしと絡めて、
妻の敵を討ったということで書いてみました。
わかりにくかったですね。

>>139
元ネタがあります。クラウス・グラボウスキー*犯罪者です
URLリンク(www5b.biglobe.ne.jp)

読んで下さって有難うございました。

141:創る名無しに見る名無し
09/05/07 20:41:26 fMVKxwej
>>140
もうちょい、イメージ的な部分を強調した方が
いいんじゃないかと思う。正直、交通整理の警察官とか、
田舎じゃあんまり見なかったりして、イメージわきにくい部分あるしw

交通整理の指差し確認を、もっとイメージ情報として強調しておけば、
すんなり最後のオチが入ってきたんじゃないかと思う。

二本目は、読む前に解説から読んじゃったから、とりあえず感想はパスでw

142:創る名無しに見る名無し
09/05/07 21:22:41 kgTCedXz
二本目、日本語がちょいちょい変だよね

143:創る名無しに見る名無し
09/05/07 23:18:29 5p5fCB3t
マニア

料理研究家にして紅茶マニアである佐藤ひとみ、26才。
彼女の一日は、4時半の目覚ましの音と共に始まる。
きっかり2度目のベル音で飛び起き、窓のカーテンを開ける。
食事前に軽くシャワーを浴びて、ピンク色のバスローブを羽織り、朝食の準備をする。
朝はパン。その日の気分で茶葉を選ぶ。台所の棚にはびっしりと紅茶の缶が並んでいる。
今朝は甘めのフレンチトーストに、ミルクティー。
アッサムの茶葉を一人分3g、300ccの熱湯で蒸らして3分。
ガラス製のポットは、透明な湯が徐々に色づくのを眺めて楽しめる。
ミルクは低温殺菌牛乳を8cc、垂らす程度に。
アッサムはCTC、細かな丸い茶葉がさらさらとこぼれ落ちるのをわくわくしながら眺めた。
「濃厚な中にふんわりと漂うミルクの香り、ほろ苦さがいいわあ」
食後の気分転換には、ストレートティーをおかわりで。
あらかじめ暖めてあったティーポットにダージリン2gときっかり95度の熱湯を注ぎ、
十分にジャンピングさせた香りの良い紅茶をカップに淹れる。
ダージリンのふんわりとした大きな葉がかさかさと揺れ動くのをうっとりと見つめた。
銀色に輝く新芽はゴールデンチップス、高級な茶葉の証でもある。
「うーん、この何とも言えない青い芳香はファーストフラッシュならではよね」
手元には常に温度計と、秤、計量スプーンが用意されている。
もちろんカップも使い分けられるよう、茶葉に会わせていくつも用意してある。
水の種類、硬度、温度、蒸らし時間や、注ぎ方、そればかりではない、
カップの材質形状によってさえ、紅茶の味は変わる。
この奥の深さがなんともたまらない。
同じ農園、同じ時期に取れた茶葉でさえ、比べてみれば味が違う。
こんなことは紅茶マニアとしては当たり前、初歩の知識だ。
「ウバのメントール系の香りもいいけど、ディンブラの薔薇の香りも捨てがたいのよね」
シッキムの優しさは今の気分にはもの足らない。
かと言ってキームンのスモーキーさは今日の気分じゃない。
どちらを水出しアイスティーにしようかと、タルボ茶園のダージリンを飲みながら真剣に悩んだりする。
両方の缶を開けたり閉めたり香りを嗅いだりかき混ぜたりして、ひとみは幸せな時間を過ごす。
朝6時、出勤。
持参の水筒の中には、オンザロックで作ったアイス・ヌワエラリアが入っている。
すっきりとした喉ごしが、仕事の邪魔にならないのだ。
おやつに焼いたクッキーには、ニルギリが練り込まれている。
鞄の中には分厚い紅茶本。
産地や品種、茶園やシーズン、茶葉の写真までもがしっかり網羅されている。
もちろん全て頭の中に入っている。それでも眺めていると幸せな気分になれるのだ。

そのころ警察署では男がいらついた様子で警官に詰め寄っていた。
「何度も言うように、僕はごく普通のマニアにすぎないんです。
それも佐藤ひとみのマニアってだけで、彼女も同じマニア道を極めようとしている者同士、
誰よりもわかり合えると思うんです。
そりゃあ見詰めたり、写真を撮ったり、盗聴器を仕掛けたりはしましたけど、
なにも特別なことではないですし」
「……それはきみ、立派なストーカーだ」
あきれたように警察官が肩をすくめた。


144:創る名無しに見る名無し
09/05/07 23:25:09 fMVKxwej
オチwww

145:創る名無しに見る名無し
09/05/08 18:51:02 mYvRmZ6N
マニアのマニアww

146:創る名無しに見る名無し
09/05/08 19:36:19 0fK8iWqn
>>61>>143

>>70
触手に襲われる美女

透明なアクリルの仕切り窓から、男が一人、閉ざされた室内を覗いている。
狭い部屋の中には、うら若い乙女の姿があった。彼女は突然この場所に連れてこられたのだった。
黒目がちの大きな瞳が不安そうに左右に揺れた。
細く長いしなやかな手足と、ぷりぷりとしたナイスボディー、艶やかに輝く透き通るような肌。
男の欲望を煽りたてる、人間離れした美しさだった。
彼女は困惑しながらも、脱出口を探すためにそろそろと身を起こした。
音を立てないよう、ゆっくりと歩を進める。
辺りを見回しても、見覚えのない室内には灰色の円形オブジェが置いてあるばかり。
と、ぞろり、と床から何かが起き上がった。
それまでは単なる置物にしか見えなかったオブジェが、突然大きく弾け、
粘液に塗れた無数の触手をごぼごぼと吐き出してきたのだ。
互いに絡まり合い、鞭のようにしなりながら狭い部屋の中を四方に向かって伸びて行く。
彼女は悲鳴を上げた。
悲鳴に反応したのか、触手は向きを変え、一斉に彼女に襲いかかってきた。
ぬらりと肌に触れたおぞましい感触に、彼女は思わず飛びすさる。
が、逃れた先にも、ゆらめきながら透明な腕が伸びる。
後ろは壁、もう逃げ場はない。

ぬらつく触手の一本が女の足に絡みついた。
続いて別の一本が、更に数本が足に巻き付き、女の動きを封じた。見る間に全身を触手が覆う。
「いや、いや……ううっ、やめて」
首筋を嬲られて女は叫び声を上げた。
数え切れない触手に搦め捕られ、どうやっても払いのけることができない以上、
悲鳴を上げる他に為す術はなかった。
「ああ、そこは……だめ、よう……」
弾けそうな若い体を、ぴちぴちの肌を、粘ついたミミズ状の管がいやらしく這い回る。
女は逃げ場を探して手足をばたつかせ、ふりほどこうと身をもがく。
「あぅ、あっ、あんっ」
足の付け根に到達した太い触手がむりやり細い隙間を押し広げた。女はいやいやをするが、
粘液で滑る侵入者を押しとどめることは出来なかった。
「や、やめてえ、お願い、だれか助けて……あううっ」
足の付け根の繊毛を楽しげにくすぐり、柔らかなヒダをかき分けて、邪悪なモノが割り入ってくる。
粘つく先端が蛇のように互いに絡まりながら、無理に隙間を広げて、敏感な奥へと潜り込む。
「ら、らめえ……そんなの、らめ……」
女が丸まった体をびくんびくんと痙攣させた。もはや触手の為すがままだった。

ぱこん、と後頭部に軽い衝撃があった。
振り向けば、丸めた新聞紙を手に、白衣を着た鈴木嬢が立っていた。目が怖い。
「い、いつから……」
「あんた馬鹿じゃないの? いい年して触手だの、らめえー! だのって。―ちょっとどいて」
女史はあからさまな軽蔑の眼差しで、足でどん、と乱暴に椅子を横にどけると、
隣に並んで水槽の中を覗き込んだ。
何のことはない、イソギンチャクとカラフルなエビが水流に負けずに元気に動いているだけだ。
「うん、いい調子で共生できてるじゃない。あとさあ、これ、オトメエビじゃなくてモエビだから」
「萌え美ですか。うん、それもなかなか……」
言い終わる前に、もう一度頭を新聞の筒で殴り、彼女はさっさと出て行ってしまった。
つくづく思う。3次元の女性は全くもって難しい、と。


147:創る名無しに見る名無し
09/05/08 19:39:14 qpkea+Gu
うはwww
妄想オチキタコレwww

でもここから恋物語が始まるんですよね!(多分違う

148:創る名無しに見る名無し
09/05/08 22:36:44 1hQ2eKRK
いいよ!いいよ!

妄想癖のある女は俺の大好物w

149:創る名無しに見る名無し
09/05/08 23:02:04 qpkea+Gu
よく読むんだ。
アクリルの仕切り窓から覗いているのは―

150:創る名無しに見る名無し
09/05/09 22:37:28 /2fQ2QFZ
イソギンチャクモエビの別名はセクシーシュリンプっていうんだぜw
いつもお尻をぷりぷり振ってるセクシーガールだw

151:創る名無しに見る名無し
09/05/09 22:57:25 JM29vmR+
>>150
思わず画像検索したw 結構派手なのな。知らなかった。

152:創る名無しに見る名無し
09/05/10 19:14:09 DUErxmZU
>>56
ブラックホールに住んでる伝説の一族を相手にした話

私は決死の思いで宇宙船を操舵し、世界の果てと言われるこの場所―伝説の一族の元へとやってきた。
そう、彼らは金次第でこの世の全てのモノを跡形もなく消し去ることができる、破壊のプロ集団。
私は自分の未来を託すため、ここに来た。
決して人目に触れてはならない、あるものを完全に滅し尽くすために―。

「依頼者というのはあんたか」
突然、モニターに中年男の顔が映った。
年齢に応じた深みのある、苦み走った男の顔だった。
「初めての客には、作業前に説明を兼ねて我々の紹介映像を見て貰うことになってる。
仕事の話はそれからだ」
私は頷いた。
「では、始めよう」
画面が切り替わった。軽快な音楽が鳴り響き、そこに先ほどの男の姿が映った―。

『宇宙で鳴らした俺たち特掃部隊は、巨大隕石を処分し、宇宙塵を掃除させられたが、
銀河系を脱出して古巣に戻った。
しかし故郷でくすぶってるようなおれたちじゃあない。
筋さえ通りゃ金次第でなんでも吸い込んでのける命知らず、不可能を可能にし、
超大質量ブラックホールを使って素粒子レベルで破壊する、
俺たち特(殊清)掃部隊ブラックホール・ファミリー!

俺は父親、ジョン・スミス。通称おとうさん。
降着円盤形成の名人。俺のような天才策略家でなけりゃ、百戦錬磨の強者どものリーダーはつとまらん。

私は母親のエミー・アマンダ・アレン。通称ママ。
チームの紅一点、シュバルツシルト半径からの脱出はお手のもの。

お待ちどう、長男のマードック、通称クレイジーモンキーだ。
産廃処理の腕は天下一品。X線?宇宙ジェット?だから何?

次男のバラカス、通称コング。
重力場の天才だ。超新星でもぶんなぐってみせらぁ。でも、特異点だけは勘弁な!

俺たちは、道理の通らぬ世の中に敢えて挑戦する、頼りになる神出鬼没の
特掃野郎ブラックホール・ファミリー!
助けを借りたい時は、いつでも言ってくれ』

このまま帰ろうかと思った。真剣に。だが、私には他に頼る場所もないのだ。
「で、ブツはなんだい?モノによっちゃあ、かなりの額をいただくことになる」
おとうさん、が身を乗り出した。私は覚悟を決めた。
「この段ボールの中身を処分して貰いたい。極秘に、確実に、全てを、だ」
中には中学の頃に書いた詩集や高校の時に書いた萌え絵や、
学生時代に書いた触手系エログロホモ同人誌がぎっしりと詰まっている。
思い出すだけで首をくくりたくなる黒歴史なのだ。今も、びっしょりと背中に汗をかいている。
「……自分でゴミに出せばタダだよ」
鼻をほじりながらおとうさんが言った。そんな、と立ち上がると、横からママが引き取った。
「気持ちはよーくわかるよ、確かに引き受けた。安心しな―私も腐女子時代には
人外系ふたなり陵辱スカトロものに、どっぷりとはまったことがあったからね、人ごととは思えないのさ」

目をむくお父さん、壁際に下がる二人の息子―伝説の一族の家族会議が開かれたのは、
その夜のことであった。


153:創る名無しに見る名無し
09/05/10 19:30:52 AFu889kY
ワロタw

つかこれ、連載できそうじゃね

154:創る名無しに見る名無し
09/05/10 21:28:12 1NwyVdm9
このノリはいいなw

155:創る名無しに見る名無し
09/05/11 16:25:35 2B+NSTbs
>>56 >>130

両親の夫婦げんかを目の前で見ることくらい、子供にとって辛いことはない。

兄弟は顔を見合わせ、ため息をついた。
さっさと部屋に戻ろうにも、明日の仕事の打ち合わせがまだ終わっていないのだ。

「俺は聞いてないぞ、腐女子でふたなりでスカトロだと?」
「知らなくて当たり前でしょ、人に言えないから黒歴史なんだから」
「ずっとつきあってたのに、気がつかなかった……もしかして、お前、他にも隠し事が?」
「ないない、私の青春はコミケと同人一色だったから」
「青春って……。お、おれと付き合っていながら……」
「付き合うも何も、ずっと一緒にいたじゃない。ほら、空気のような存在って言うか、
家族同然って言うか、お互い緊張感はなかったよねー」
がっくりとおとうさんが肩を落とす。
机に両手をつくと、絞り出すような声で呻いた。
「お、おれは、いつもお前のことしか考えてなかったというのに……。
出会った瞬間に恋に落ちて、それからはずっとお前だけしか見てなかったのに」
お父さんの頭の中に、走馬燈のように、二人の思い出が駆けめぐる。
「今も覚えてるよ。笑顔で駆けてきて、きゅっと抱きついてから今日は何するの?って、
上目遣いで見上げるんだ。―あの頃のママは天使のようだった」
はあー、とママが息をついた。あきれたように吐き捨てる。
「昔のことじゃん」
「昔って……」
ちょっと涙ぐんだおとうさんに、ママが冷たく言い捨てた。
「覚えてるわけないじゃん。だいたい私が幼稚園に入ったとき、あんたいくつだったのよ。
保父が園児に恋するなんて、リアルなロリはエアーな腐より悪いって思わないわけ?」
「あ、愛に年の差は関係ない」
「年の差、じゃなくて年齢の問題! どこの誰が3歳児と恋愛しようと思うわけよ?
君のお漏らしパンツは僕が洗ってあげるからね、なんてにこにこして言いやがって!
恥ずかしくないのか、このド変態のスケベ親父」
「言ってはならないことを……ママ、ひどい」

二人の喧嘩は続く。兄弟はまたため息をついた。
腐女子の母に、リアルロリの父。両親の真の姿をこんな形で知りたくはなかった……。






以上です。

>>124 とその後のリクエストの中で書けそうなお題にチャレンジしました。
また書けたときには投下します。楽しかったです。読んで下さった方、有難うございました。

156:創る名無しに見る名無し
09/05/11 16:27:07 wWxOE9Ua
GJすぐるwおもしろかったw

157:創る名無しに見る名無し
09/05/11 20:33:05 +K/CQv6t
ハイセンスすぐるww
笑わせる文章書けるって羨ましいぜ

158:創る名無しに見る名無し
09/05/11 20:51:38 Q0BXf5RO
兄弟には強く生きてほしいなw

159:創る名無しに見る名無し
09/05/12 00:43:05 k3uYkD47
だが次回、そんな兄からも驚愕の事実が!

160:創る名無しに見る名無し
09/05/12 19:46:18 KacbA9Ec
一体、どうなってしまうのか!

161:創る名無しに見る名無し
09/05/12 21:14:58 HRi8S9zv
>>124 のまとめに追加。これまでの投下作品(未完も含む)も。

>>5 ヤンデレ、そしてツンデレ >>14->>19 >>34->>37
>>7 矢作俊彦の文章でのジャック・ヒギンズのショーン・ディロンシリーズが読みたい
>>13 不器用な少年が、クラスのアイドルに恋悩むストーリー
>>21 萌える女装少年
>>26 明智小五郎 怪奇事件簿(詳細略)
>>27 学校の怪談(詳細略) >>127
>>40 廃墟で小説を書き続ける男(女)(詳細略) >>41>>42>>45>>53>>55>>65>>68 >>134>>139
>>43 複雑な小学生の恋愛もの(詳細略)
>>56 ブラックホールに住んでる伝説の一族を相手にした話 >>82-84>>118>>119 >>152>>155
>>61 色々なジャンルのオタクやマニアについての描写 >>71 >>143
>>70 触手に襲われる美女 >>146
>>76 >>81 殺人鬼が主役の話 主人公が復讐の為に人を殺す話 >>139
>>126 古典文学を焼きなおしたような小説
>>130 父親は保父さん >>155
>>131 F1とかレースもの。公道レースではなくちゃんとサーキットを走る系

162:創る名無しに見る名無し
09/05/13 03:30:26 HskUhP/z
おいしそうなのがいくつか
手付かずで残ってるなw

163:創る名無しに見る名無し
09/05/17 12:15:30 37/TSYDK
ダメ親父が娘のために奮闘する話とかをリクエスト

164:創る名無しに見る名無し
09/05/19 18:28:39 V+SGO79j
誰かコレ↓のストーリーを投下頼んます。
スレリンク(mitemite板:68-75番)

165:創る名無しに見る名無し
09/05/19 18:36:01 aPObPGhJ
>>27  学校の怪談

「夕方にだるまさんが転んだ、をしてはいけないんだって」
ヨッシーが口をとがらせて言った。
「日が沈むときに校庭で『だるまさんが転んだ』をしたらお化けに連れて行かれるよ」
影が長く伸びた校庭で、僕らは最後に何をして遊ぶかを話し合っていた。
短時間でみんなで楽しめる遊びということであれば、だるまさんが転んだ、が手っ取り早かった。
なのにヨッシーがダメだと譲らない。こうして話し合っている間にも時間はドンドン過ぎていく。
じりじりとしたいらだちが蜘蛛の糸のように全員にからみついていた。
「臆病者。そんなの嘘にきまってるだろ」
カズキがどん、とヨッシーの肩をこづいた。だれも、とめようとはしない。
「嘘じゃない、学校の7不思議だよ。お化けが出ても知らないからな」
ヨッシーの声が高くなる。カズキはヨッシーを無視して周囲に笑いかけた。
「どうするよ? 他になければ一回だけやって終わりにしようぜ」
そうだな、と数人が頷いた。ヨッシーは唇を噛んで黙っている。
「じゃあ決まり、さっさと始めようぜ。ヨッシーは見学な」
じゃんけんで鬼を決めた。せーの、で手を出す。数回勝負をしてカズキが鬼に決まった。
「じゃあ、俺が鬼!」
カズキが校門に向かって駆けだした。門に手をつくと、後ろを向いて笑いかける。
「じゃあ、始めるよ……だるまさんが転んだ!」
たたっ、と全員が走り出す。まだ数回は余裕で近づける距離だった。
「だるまさんが転んだ!」
カズキが振り向く。こちらから見ると、夕日の逆光がまぶしくて表情が見えない。
「だるまさんが転んだ」
更に近づいた。カズキの顔が見えた。長い時間その場で待ったが、カズキはぽかんと口を開けていた。
「カズキ?」
呼びかけが聞こえていないのか、何とも言えない表情でこちらを向いたまま固まっている。
「なにやってんだ、続けろよ」
誰かがじれたようにカズキを促した。
「う、うわああああ」
その途端、カズキははじかれたように前を向いて叫びながら走り去っていった。

カズキは見てしまった。最初は見間違いかと思った。ソレは初め、黒い影のようにゆらゆらと校舎の上に立っていた。
次は校舎の窓の中に、更に、校舎の入り口脇に、そして校庭へと次第にカズキに近づいてくる。
振り向くたびに、ソレはくっきりと輪郭を現しながら距離を縮めてきた。
最後に振り向いたときには、ソレが半月型の口を開き、手を伸ばしてきたのが見えた。
にいっと開いた口の中にはギザギザの真っ赤な歯が並んでいた―人間じゃない!
カズキは逃げだした。

「なんだよ、いったい」「変な奴だよな」
残された子供たちはぶつぶつと文句を言いながら荷物を取りに戻った。
「カズキのやつ、荷物もそのままだし。しょうがないな。誰が届ける?」
じゃあ僕が、と手を出したのはヨッシーだった。
「どうせ家の途中だから、届けて帰るよ」
「臆病者、って笑ってやればいいよ。あいつの方がよほどビビってたし」
「んーじゃあそろそろ帰ろうか、また明日なー」「明日ー」
口々に別れを告げて子供たちはそれぞれの家路を急ぐ。ヨッシーも早足で道を進んだ。通りを一つ入ったところがカズキの家だった。
「カズキー、荷物持って、きたよ」
玄関で叫ぶと、ばたばたと足音がした。扉を開けたのはカズキの母親だった。
「あらまあ、ありがとう。懲りずにまた遊んでやってね。これはお礼よ」
にこにこと子供の手にオレンジを持たせて、母親は家に入っていった。
家の中ではカズキの叫び声が続いている。
あいつは友達じゃない、ヨッシーなんて奴、最初から居なかった、そんな奴いないんだ、よせ、来るな、いやだ、助けて―
「いい加減にしなさい」
母親はカズキの居る部屋に向かって叱った。荷物を持って引き戸に手をかける。叫び声がぴたりと止まった。
「お友達に向かって失礼でしょ、こうして荷物まで持ってきて貰って……あら?」
扉を開けた中には誰もいない。ただ、部屋の真ん中に、オレンジが転がっている。母親の手から荷物が落ちた。
「カズキ?……ちょっと、どこに隠れてるの、ふざけるのはやめて」
窓の向こう、暗闇の中で小さく子供の声がした。
だ・る・ま・さ・ん・が・こ・ろ・ん・だ……。

166:創る名無しに見る名無し
09/05/19 23:08:47 dW+p+uvD
上の方でモータースポーツが出たが、俺はスカイスポーツをする少女の話し。事故で死んだ父のことが心の中でトラウマで残っているが、友人に誘われそのスポーツにはまる。

167:創る名無しに見る名無し
09/05/20 06:53:59 NDbLCPCC
>>126
携帯小説バージョン*どこかからの拾いもの

春ってば朝、ぜっっったい朝
それもね、すっごい早く
チョー早起きツラすぎだけどー、でも起きれた日とかサイコー
なんかね、山とかあったりしちゃってさ
でもでも、なんか明るくなっちゃったりしてー、それで白かったりしてー♪
雲なんてね、ウソみたいにパープル!!
やっぱサイコーだよね!

夏ってばー、やっぱ夜だよね!
月とかサイコー♪ あ、でも、月なくってもイイかも~
ホタルとかバーっ!って飛んじゃったりとか、超キレイだしー
べつにさ、1つとか2つとか飛んでも、ダメとかなくてー
どっちもばっちり、みたいな?
雨降っちゃったりしても、マジいい感じ~

秋って夕方! ぜったい!
だって赤いし 山とか~ なんか泣けちゃう?
カラス帰るとか、家あるってマジ?
急いじゃってるし~、でもでもチョトカワイーかも?
鳥とか飛んじゃって、ちっちゃく見えたりとか、文学しちゃったリー
悪くないよね、こんなの♪
あたし文学少女!!
あ、夜とか、虫鳴いちゃうのもイイよね~

冬ってば朝?
チョーさむで起きるのヤだけどー、でもキレイかも?
あれ何? なんか外とか白くなったりー
あと雪はマジイイよね♪ 出るのはヤなんだけど~
それとそれと、手とかー、みーんなであっためるの、スキなんだ
ナカマ!って感じ?
でもさー、昼ってダーって感じでもうダメダメっぽくて、やっぱキライだなー
わかるよねー?


168:パパのヒマワリ 1/8
09/05/22 17:24:40 XU5fqZzN
>>163 思わず長くなり過ぎたので、需要ないなら続きはよしときます

パパのことを思い出すときいつも、ベランダに一本だけ咲いていたヒマワリのことを思
い出す。

 ママが死んだ。私が中学二年生になりたての頃だ。ママは花屋さんで働いていたのだけ
ど、そこの店長さんからママが倒れたことを知らされた。親戚の人が私を連れてすぐに病
院に駆けつけてくれたけど、パパはその日、いつまでも来なかった。そしてママは死んだ。
パパは仕事で忙しかったという。そんなことあるわけないじゃない。私はママが死んだの
はパパのせいだと思った。パパなんか大嫌い。何度も何度も心で叫んだ。
 桜の散る頃、みんなが新しいクラスへの期待に目を輝かせている中、私は一人、悲しみ
に沈んでいた。
「由美、父さん弁当作ってみたぞ、どうだ、うまそうだろ!」
 部屋の中はいつも線香の古めかしい匂いでいっぱいだった。パパは努めて明るく振舞っ
ていたけど、中二の私にもパパは辛そうだということはわかった。そうまでして普通を装っ
ているパパが可哀想と思わなかったのかと言えば嘘になるけど、実際はバカらしいという
気持ちが大きかった。第一、パパの作る弁当はまずくてすぐに嫌いになった。
 パパは普通のサラリーマンで、よく家ではぐずぐずと仕事の愚痴をこぼした。それをマ
マは軽く流しながらも付き合ってあげていた。ママがいたから、私はこの家が幸せな家庭
だったんだと思う。いっそ死ぬのがパパだったら、なんて黒い感情だって浮かぶこともあっ
た。
 でもパパはママが亡くなってからは家で仕事の話をしなくなった。これは最近になって
ようやくわかったことなのだけど、あれは案外パパとママがいちゃついてただけだったの
だと思う。愚痴を言って、それを聞いて軽く相槌をうって酌をする。愚痴の内容になんて
意味がなくて、その漂う空気に二人で酔っていたのだろう。

 私はクラスで浮いてしまった。クラス替えで、新しい友達を見つけないとはじかれるの
はよくあることで、私もそうなってしまった。新学期早々ママが死んでしまって、それで
いつも暗い顔をしていたため、クラスの子たちは近寄ってこなかった。同じクラスだった
子たちも次第に私から離れて行った。でも、私はそれ自体は好都合だと思った。不格好な
パパの弁当を見せずに済んだから。私は毎日食堂に向かう振りをして、それを食堂前のゴ
ミ箱に投げ捨てた。
「おー、おかえり。今日の弁当、どうだった? 由美の好きなハンバーグ入ってただろ?
父さん、ハンバーグには自信があるんだよなぁ」
「……」
 私は黙ってパパを見つめた。
「ん? どうした、由美。そんな怖そうな顔して」
「……なんでもない」
 純朴で悪意のないその眼に思わず口がむずむずと開きそうになった。
「パパごめんなさい。パパの作ってくれた弁当実は今までずっと捨ててたの」
 素直にそう謝ってしまいたくなった。
「そうか。でもなんかあったら言えよ。父さんはいつでも由美の味方だからな!」
 笑いながら手を伸ばし、頭を掻き撫でる。その瞬間にパパの服に染み込んだ線香の匂い
が送られて思い直した。線香の匂いも大嫌いだった。それはパパのずるさの象徴だった。
自分がママを死なせておいて、毎日毎日拝んでいる。そんなことで許されると思っている
のか。
 私はパパの手を力いっぱい叩いてそのまま部屋に駆け込んだ。
「あーあ、何やってんだろう」
 カバンを投げ捨て、バタンとベッドに倒れこみ、枕に顔をうずめる。家中に広がる線香
の匂いが枕からもしてきてうんざりする。
 枕を壁に投げつけようとしていると、ガラガラとベランダの戸をあける音がした。
 すっと枕を掴んだ手を下し、膝に抱える。ちょろちょろと水をやる音が聞こえてくる。
ほんとによくやるものだと思う。パパはヒマワリへの水やりも日課にしていた。まだ5月
も中頃、やっと小さな芽が出てきたくらい。ヒマワリはパパとママにとって大事な花らし
いけど、ママのいない今、もう興味もなかった。ママが生きている間に聞いていればなぁ、
なんて、時々思ってみたりした。

169:創る名無しに見る名無し
09/05/23 17:56:02 GNy5tZw5
良スレ発見!
>>168
かなりの長編になりそうだね、続きに期待


では俺も一つ
生活用品に変身してしまった人の話

170:パパのヒマワリ 2/8
09/05/23 18:55:27 GC1bXqSd
書いてもいいよという方がいらっしゃるので続きを

「おい、森山、なに捨ててんだよ」
 油断をした。梅雨の時期に入ったある日、クラスの男子に弁当を捨てるところを見られ
てしまった。恥ずかしさのあまり、顔から火が噴き出すかと思った。
「おいっ、ちょっと見てみろよ! 森山、弁当捨ててるぜ!」
「ははっ! しっかしすっげぇ弁当だな。これ、本当に食べ物かよ」
「いや、でも森山、これを捨てたくなる気持ちはわかるぜぇ」
「あっ、それは確かに。俺の母ちゃんの弁当もまっじーんだよなぁ。俺も捨てよっかな」
 意外にも彼らの言葉に悪意はなかった。けれど、最後の言葉はどうしても聞き捨てなら
なかった。
「どーしてそんなこと言うの!」
「えっ、えぇ、なんで怒ってんの?」
「そうだよ、俺らなんか悪いこと言ったか?」
「私はママの弁当なんてもう、食べられないのよ!」
 きりっと睨みつけるも目の淵に涙が溜まっていく。私の言葉にはっとして、すまなそう
な顔をする。そんな同情なんていらない!
「最低!」
 私はそう叫んでその場から離れて行った。
「おっ、おいっ」
「ちっ、なんだよ、そこまでゆーか?」
「てゆーか、あいつってなんなんだろ、いるのかいないのかわかんねーよな」
 背後で嫌な笑い声が響いているのが聞こえた。

「おう、お帰り。今日の弁当はど―」
「うるさいっ!」
「! ど、どうしたんだ、由美?」
「パパのせいで恥をかいちゃったじゃない! パパの弁当なんていらない! あんなの不
格好だし、まずくて食べられたものじゃない。知ってた? 私、パパの弁当を食べたくな
くて毎日ゴミ箱に捨ててるんだから!」
 はっと自分の口走ったことに気づいた時には遅かった。パパの眼は大きく見開かれ、動
揺の色が浮かんでいた。
「あっ―」
「そうか、そうだな。父さん、料理下手だもんな。な、何勝手に張り切って弁当まで作っ
てんだよって話だよな。ははは、そ、そう、だよな……はは、気づかなくてごめんな、由
美」
 思わず涙がこぼれるのをなんとかこらえた。こんな傷つけるつもりじゃなかったのに、
ここまでひどいこと言うつもりなんてなかったのに。そんな私の涙をパパは別の意味にとっ
た。
「そ、そんな泣くほど嫌だったのかい? それは本当にすまなかった。でも、もう大丈夫
だ。明日からはこづかいとは別にお金を渡すから、それでパンでも買いなさい」
 ぽんぽんと私の頭を軽く叩くとそのまま居間に戻って行った。そのしょんぼりした背中
は今でも瞼に焼き付いている。私は取り返しのつかないことをしたと気づいて、その場に
へたれ込み、声を抑えて泣きはらした。
 泣きやんで居間に入ると、パパは仏壇のママの写真をじっと見つめていた。私が入って
きたのに気づくと、目を離し、いそいそと動き始める。
「い、いや、ごめんな。父さん、今日ご飯作ってなかったんだ。今からちょっとコンビニ
で弁当買ってくるよ。しっかし、ちょうど良かったな! あ、明日からは毎日それでいい
よな。ははは、実は父さんも料理作るの嫌だったんだよ。だから明日から料理作らなくて
もいいと思うと気が楽なんだよなぁ。はははは。じゃっ、ちょっと行ってくるから待って
ろ」
 妙に饒舌で、言葉でショックを抑えようとしてるのがバレバレだった。台所を覘くと、
今日の夕飯だったであろうカレーが流しに捨てられていて、慌てたのかうまくごまかせて
いなかった。
「今日、ご飯作ってないって言ったじゃない。何が料理作るのが嫌よ。こんなに料理の本
買って、たくさん勉強してたじゃない。パパの嘘つき……」
 その時になって初めて私は声をたてて泣いた。

171:パパのヒマワリ 3/8
09/05/23 18:59:06 GC1bXqSd
 パパが台所に立っていた時のことを思い出す。下手糞だけど一生懸命に作っている後ろ
姿。そして毎日そんなことができた理由を思い出す。パパは会社に必死で頼んでなんとか
残業をなくしてもらい、帰宅時間も早くしてもらったらしい。その全ては私への愛情によ
るものなのに、それに気づきながら、私はパパを傷つけた。
 ひとしきり泣いた後、私はベランダに出た。夕日が赤々と照りつける中、一つのプラン
ターに目を落とす。赤く染め上げられて、ヒマワリはそこにあった。少しずつ伸びてきて、
丈も大きくなっている。若々しく立派な葉を勇壮につけているけれど、まだその様は太陽
の花ではなかった。ここは不思議な空間だ。その花を見ているとママを思い出すのだ。マ
マが綺麗に手入れしていた花々は枯れてうち捨てられたのに、このプランターだけは大切
に育てられている。パパもヒマワリにママを見ているのかもしれない。
 その日の夕食はまずかった。パパが作った料理よりずっとまずく感じた。パパは必死で
言葉をかけるけど、それは宙に浮いて、消えていった。私は何も言えずに黙ってご飯をか
きこんで、逃げるように部屋に戻った。
 その日はなかなか寝付けなかった。頭の中を色々な物がぐるぐる渦巻いていて、混乱し
ていた。何よりもパパを深く傷つけてしまったことが心にしこりのように残り続けていた。
 二時を過ぎた頃だっただろうか。相変わらず呻って寝付けないでいたのだけど、突然、
線香の匂いが漂ってきたように思う。いつもは大嫌いだと思っている匂いなのだけど、今
日はどうしてか懐かしくて、温かい気持ちが胸に広がり、気づくと眠りに落ちていた。

 翌朝から全てが変わってしまった。
「ほれ、これでたりないみたいならまた言ってくれよ」
 チャリンと、百円玉を五枚、手渡された。無機質なそれはなんの温もりも持っていない。
私をパパを結びつけるものが今はそれしかないことを心細く感じた。
 学校では昨日の男子たちが報復してくるようなことはなかったけれど、私はないものと
して扱われた。
「おう、お帰り。学校は楽しかったか」
「う、うん」
 一瞬ためらったのがまずかった。
「おい、由美、学校が楽しくないのか? 学校でなにかあったのか」
「なにもないよ。ホント、今日も楽しかったよ学校」
「……」
 無言の間が肌をチリチリと刺す。パパは私の心を見抜いただろう。
「そうか、ならいいんだ。でもなにかあったら父さんに言うんだぞ。父さんはいつでも由
美の味方だからな」
 それでもかっかっかと、笑いながら私の頭をぐしゃぐしゃと撫でて、ベランダに出て行っ
た。今のパパにとって、そこだけが憩いの場なのだろう。私は次第にパパを慈しむように
なっていた。

 七月の初め、グループ学習で班を作った。相変わらずなきものにされている私はなにも
発言させてもらえないし、なにもできない。邪魔くさそうに男子が私を小突いた。
「うわっ、なんだ森山! おめぇ、めっちゃ臭ぇぞ」
 教室がいきなりざわざわしだす。数人の男子が駆け寄る。
「うっわ~、まじだ! 超臭ぇ!」
「これなんていう臭い?」
「あれじゃない? ほら線香の臭いだよ」
「てか女なのにこの臭いはねーだろ」
 どっと、下品な笑いが起こる。
「お前いつまでも母ちゃんのことなんか気にしてんのかよ」
「いや、むしろあのオヤジの方じゃない? 授業参観の時来てたけどすっげーよな。ハゲ
散らかしてて一人だけバリ浮いてたもんなー。『母ちゃーん、母ちゃーん』って毎日必死
で拝んでんじゃない?」
 思わず周りからも笑い声が漏れてくる。気の弱い先生は何もできずにおろおろしている。
 最低だ! 心で叫ぶ。最低だ! 心が慟哭する。最低だ! 心が血を流す。
 私はどんなのバカにされてもいい。でも死んだ人をバカにするな! 私の自慢のパパを
バカにするな!
 私の大好きなパパとママをバカにされて我慢の緒が切れてしまった。
 机にかけてあったカバンを掴むと、それで目の前でいやらしく笑う男子を殴った。頬を
涙が伝いながら何度も何度も殴りつけた。



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