ジョジョの奇妙なバトルロワイアル2nd第四部at MITEMITE
ジョジョの奇妙なバトルロワイアル2nd第四部 - 暇つぶし2ch2:創る名無しに見る名無し
08/12/27 20:22:27 JaivTWtq
【第一部:ファントムブラッド】8/11
○ジョナサン・ジョースター/○ディオ・ブランドー/○ロバート・E・O・スピードワゴン/○ウィル・A・ツェペリ/
○エリナ・ペンドルトン/○ジョージ・ジョースター1世/●ダイアー/○黒騎士ブラフォード/○タルカス/●ワンチェン/
●ジャック・ザ・リパー

【第二部:戦闘潮流】5/10
○シーザー・アントニオ・ツェペリ/○シュトロハイム/●リサリサ(エリザベス・ジョースター)/●スージーQ/
●ドノヴァン/●ストレイツォ/●サンタナ/○エシディシ/○ワムウ/○カーズ

【第三部:スターダストクルセイダース】13/15
○ジョセフ・ジョースター/●モハメド・アヴドゥル/○花京院典明/○J・P・ポルナレフ/○イギー/
○ホル・ホース/○ラバーソール/○J・ガイル/○エンヤ婆/○ンドゥール/
○オインゴ/●マライア/○アレッシー/○ダニエル・J・ダービー/○ヴァニラ・アイス

【第四部:ダイヤモンドは砕けない】10/12
●東方仗助/○空条承太郎/○虹村億泰/○広瀬康一/○岸辺露伴/○山岸由花子/
●矢安宮重清(重ちー)/○トニオ・トラサルディー/○川尻早人/○片桐安十郎(アンジェロ)/○音石明/○吉良吉影

【第五部:黄金の旋風】13/15
○ジョルノ・ジョバァーナ/○ブローノ・ブチャラティ/○グイード・ミスタ/○レオーネ・アバッキオ/
○パンナコッタ・フーゴ/●トリッシュ・ウナ/○サーレー/○ホルマジオ/○ペッシ/○プロシュート/
●ギアッチョ/○リゾット・ネエロ/○ティッツァーノ/○チョコラータ/○ディアボロ

【第六部:ストーンオーシャン】 10/15
○空条徐倫/●エルメェス・コステロ/○F・F/○ウェザー・リポート/○ナルシソ・アナスイ/
●エンポリオ・アルニーニョ/●ロメオ/○グェス/○サンダー・マックイイーン/●ラング・ラングラー/●ケンゾー/
○ヴィヴィアーノ・ウエストウッド/○ミュッチャー・ミューラー/○ドナテロ・ヴェルサス/○エンリコ・プッチ

【第七部:スティール・ボール・ラン】 8/10
○サンドマン/○マウンテン・ティム/○リンゴォ・ロードアゲイン/○マイク・O/●オエコモバ/
○スカーレット・ヴァレンタイン/○ブラックモア/○フェルディナンド/○ミセス・ロビンスン/
●ベンジャミン・ブンブーン

【残り67人】

3:創る名無しに見る名無し
08/12/27 20:24:25 JaivTWtq
【基本ルール】
全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が勝者となる。
勝者のみ元の世界に帰ることができる。
ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はない。
ゲーム開始時、プレイヤーはスタート地点からテレポートさせられMAP上にバラバラに配置される。
プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる。
開催場所は、荒木のスタンドで作られた異次元世界であり、外に逃れることは不可能である。
開催場所は、杜王町ベースのJOJOワールド。
MAPはこちら>URLリンク(rowvj6pbm.ame-zaiku.com)

【首輪と禁止エリア】
プレイヤーは全員、荒木のスタンドで作られた首輪を取り付けられている。
首輪の爆弾が発動すると、そのプレイヤーは死ぬ。(例外はない。爆発後にC・ダイヤモンドで治す等は不可能)
この首輪はプレイヤーの生死を常に判断し、荒木にプレイヤーの生死と現在位置のデータを送っている。
また、プレイヤーには説明されないが、実は盗聴機能があり音声・会話は荒木に筒抜けである。
首輪が爆発するのは、以下の条件の時である。

* 荒木が放送で指定した禁止エリア内に、プレイヤーが入ったとき。(首輪が自動で爆発)
* 首輪を無理やり取り外そうとしたとき。(〃)
* 24時間で、一人も死者が出なかったとき。(全員の首輪が一斉に自動で爆発)
* プレイヤーが、荒木に不利益な行動をとろうとしたとき(荒木本人がスイッチを押すことで、手動の爆発が可能)

4:創る名無しに見る名無し
08/12/27 20:24:59 JaivTWtq
【主催者】
荒木飛呂彦。ジョジョロワ1stの荒木飛呂彦とはまた違う荒木である。

【参加者】
参加者は、上記の通りこれ以上の増員は絶対に認められません。
参加者の容姿、記憶、能力は、そのキャラクターを最初に書いた人に委ねられます。
(例:ディオ・ブランドー:ラグビー終了後 ジョルノ・ジョバーナ:ブチャラティに会う前)
そのキャラクターを最初に書く人はいつから来たのか明言を、
続けて書く人は前の話をよく読み時間軸の矛盾が起こらないように注意してください。
また、「作中で死亡したキャラクターが生き返った」は無しです。
あくまで死亡する前の時間軸から連れてきただけになります。
(例外として、殺されたのに永遠に死ねないディアボロがいます)

【能力制限】
スタンドは、スタンド使い以外でも視認可能。ただし、接触・破壊はできない。
柱の男は、頭を潰されれば死ぬ。
肉の芽、GER、バイツァダスト、メイド・イン・ヘブンは使用不可能。
カーズの究極生命体化も不可。

【支給品】
プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収。
ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側から以下の物を支給される。
「食料(パン数個)」「飲料水」「懐中電灯」「開催場所の地図」
「鉛筆と紙」「方位磁石」「時計」 「デイパック」「名簿」「ランダムアイテム」
以上の9品。

【ランダムアイテムについて】
「ランダムアイテム」は『ジョジョ作中に登場するアイテム』『日用品』『現実の武器』等から選択。
猫草、ココ・ジャンボなどのスタンド能力を持つ支給品を登場させてもOK。
『参加者に能力を付与してしまう可能性』のあるアイテム、
つまり石仮面・弓と矢・聖人の遺体などは不可。




5:創る名無しに見る名無し
08/12/27 20:26:16 JaivTWtq
【予約】
キャラ被りを防ぐため、自分の書きたいキャラクターを予約することができます。
例 【予約】:空条承太郎、ディオ・ブランドー
期間:予約当日から3日間。予約期間後は、他の人が予約または投下してもOKです。
予約しなくても投下することはできますが、
その際は他に予約している人がいないか十分に確認してから投下しましょう。
延長制度
①期間→1週間。その後は他の人が投下してもOK(一言断って貰えると助かる)。
②権利→本編で2作以上採用されている作者のみ。新人はまず2回採用を目指そう。
③途中報告→2~3日目に1回と、5~6日目にもう1回。
④間に合わなかったときのペナルティ→次回だけ予約の期限が3日以内に。
{間に合わなくても、投下しても構わない。その代わり、なるべくお早めに。
その際も、途中報告をちゃんとする。}

【トリップ】
投下後、作品に対しての議論や修正要求等が起こる場合があります。
書き手は必ずトリップをつけてください。

【投下宣言】
投稿段階で被るのを防ぐため、
投稿する前には必ず議論スレで 「投下します」 と宣言をして下さい。
いったんリロードし、誰かと被っていないか確認することも忘れずに。

【キャラクターの参加時間軸】
このロワでは登場キャラクターがいつの時点から召集されたかは
「そのキャラクターを最初に書いた人」にゆだねられます。
最初に書く人は必ず時間軸をステータスにて明言してください。ステータスについては下記。

【ステータス】
投下の最後にその話しに登場したキャラクターの状態・持ち物・行動指針などを表す
ステータスを書いてください。
テンプレはこちら。
【地名・○○日目 時間(深夜・早朝・昼間など)】
【キャラクター名】
[スタンド]:『名前』
[時間軸]:ここはキャラの登場時間軸。できるだけわかりやすく
[状態]:(ダメージの具合・動揺、激怒等精神的なこともここ)
[装備]:(武器・あるいは防具として扱えるものはここ)
[道具]:(ランタンやパソコン、治療道具・食料といった武器ではないが便利なものはここ)
[思考・状況](ゲームを脱出・ゲームに乗る・○○を殺す・○○を探す・○○と合流など。
      複数可、書くときは優先順位の高い順に)

【作中での時間表記】
深夜:0~2
黎明:2~4
早朝:4~6
朝:6~8
午前:8~10
昼:10~12
日中:12~14
午後:14~16
夕方:16~18
夜:18~20
夜中:20~22
真夜中:22~24


6:創る名無しに見る名無し
08/12/27 20:36:26 JaivTWtq
おまけ

【愉快な被害者達】4/?
●ダニー/●アヌビス神/●宮本輝之輔○ポルポ/○ココ・ジャンボ/○スコリッピ/○サヴェジ・ガーデン/●DアンG/●とある海洋冒険家のワイフ/
Coming Soon..

7:創る名無しに見る名無し
08/12/27 20:37:44 JaivTWtq
という訳でスレ立て終了~
最後変なの入ってるけど気にしない方向で~

8:創る名無しに見る名無し
08/12/27 20:42:09 USLe3nxL
こいつに「お疲れ様」の言葉を送りたいんですが構いませんねッ?!

テンプレの間違いの訂正、あと予約についてもお疲れ様でした

さて後は投下に備えて待っとくか………

9: ◆xrS1C1q/DM
08/12/27 21:00:56 ojzDQooU
>>1乙!

では鉄塔組みの投下行きます
支援の言葉は>>1乙でお願いしますねww

10:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:01:51 JaivTWtq
ではこの>>1も支援に参加させて頂こうッ!

11:ヤツは空にいる ◆xrS1C1q/DM
08/12/27 21:02:38 ojzDQooU
「随分かっこいいこと言ってくれるじゃないか神父様よぉ。漫画だったら名ゼリフ確定なんじゃないのか?」

沈みかけた月に照らされて夜の闇とは対照的な色を映し出す漫画のページ達。
サーレーの能力により宙に“固定”された紙は何十枚の領域で表す事が限界に近付いてゆく。
ビリッと軽快な音を立て再びコミック本体からページが千切り取られた。
この漫画の作者である岸辺露伴が見れば一発でプッツンするに違いない。

「でもよぉ。アンタは空を飛ぶ能力でも持ってるのかい? 持ってねぇんだろ?
 そんな能力あったらわざわざヘリになんて乗るわけねぇもんな!
 だったら俺の有利が揺るぐ事は絶対にないんだよぉ!」

眼前で滞空しているヘリコプターの搭乗者を挑発する言葉を飛ばし続けるサーレー。
しかし、ヘリのパイロットであるエンリコ・プッチは眉一つ動かさない。
ヘリをホバリングさせ操縦席に座りながら己の半身、ホワイトスネイクを発現した。
が、あくまでも傍に立たせているだけでサーレーに攻撃を加える様子は一切見て取れない。
“固定”の能力ならば近寄らない限りは問題ない、
むざむざ相手のテリトリーである空中に踏み込んでいくよりは待ちに徹したほうが賢明だと判断したからだ。

(こっちに攻撃しねぇってことはヤツには飛び道具がないと判断してもいいな、
 あったとしても俺の優位は絶対に崩れる事はないんだけどよ。
 仕方ない、あの気味悪いスタンドのスペックでも確認しておくか……)  

得体の知れない相手に無策で突っこんでいくのは自殺志願者か自信過剰の馬鹿位だろう。
本来サーレーは後者であったのだが、自らの油断が敗北を招いたミスタとの戦いにより多少の慎重さを得たのだ。
ズボンの右ポケットを漁り、あらかじめ地上で拾っておいた小石を数個掴み取る。
湿った石の冷たさが興奮して火照った掌に気持ちよい。
付近にある紙の“固定”を一時的に解除し、一枚一枚丁寧に回収していく。
そして、自分の真下で再度“固定”し五十センチ四方ほどの足場を作り出した。
強度を確認するかのように二、三回強く踏みしめた後、野球の投手とよく似た構えを取りスタンドの腕を自分の腕と重ね――

「お手並みを拝見させてもらおうじゃねぇか。えぇ?」

スタンド、それも近距離パワー型が投擲すればただの小石であろうと凶器と化す。
サーレーの手元からプッチへと飛んでいった小石の数は四。
それぞれが銃弾並みのスピードを持つそれを一発でも喰らえば重症は必至。
しかし、それでもプッチは微動だにしない。いや、そもそも人間の視力では視認できるはずが無い。そう……人間の目では。
ヘリの中にいるのは人間であるプッチだけではない。
四回、きっかり四回だけ傍らに立つ者、ホワイトスネイクは腕を振った。

「なるほど。どうやらパワーの面では貴様のスタンドは中々の優れものらしいな」

プッチの意思でホワイトスネイクが握られた手を開く。
小さな塊が四つ、掌から開放されたとこにより重力の影響を受けてヘリの床へと落下していく。
カツンと言う音を立てて軽くバウンドした物体はサーレーが投げた石。

「やっぱりパワー型のスタンドだったか。外見で大体予想は出来ていたんだがなぁ!」

足場の上からサーレーが吼えた。

「うぉりゃぁ!」

左手に握られたコミックを両手に持ち替えた後、
再びクラフト・ワークの腕を己の腕に重ね、雄叫びを上げながら力任せに背表紙を引きちぎる。
そして、やけにさまになる感じで左手に残った背表紙を背後へと投げ捨てた。
無残にも千切り取られた背表紙は徐々に小さくなっていき、二人の視界から消える。
彼の手に残るは紙の束へと成り果てた哀れな『本だった』もののみ。

12:ヤツは空にいる ◆xrS1C1q/DM
08/12/27 21:05:22 ojzDQooU

(こいつ……何をする気だ?)

眉を少しだけ吊り上げ、プッチの表情が初めて変化を見せた。
疑問の回答はすぐに彼の眼前に広がることとなる。
サーレーがスタンドの腕で紙の束をヘリの上空へと投げたのだ。
が、スタンドの力で投げたといっても紙は所詮紙に過ぎない。
表面積の広さと質量の不足により紙はローターの真上で失速し、ヘリの真上から白い雨を降らせる結果に終わった。

(なるほど…ヤツの能力、降り注ぐ紙、そしてこの環境。
 空っぽの頭の持ち主なりに考えているらしいな)

ホワイトスネイクの目から自分の脳へと伝達される光景がサーレーの策を伝えていた。
白い雨の半分以上は何も無い空間で固定されている。
しかし、一部の紙はヘリのローターへと吸い込まれていく。
別に魔法やスタンドを使ったわけではない。
ただ、浮力を得るためにプロペラが回転する際に発生する下降気流にのまれていっただけだ。

「神父様。とっととヘリのエンジンを止めな! 死にたくなかったらよぉ~」

ローターに絡みついた紙が“固定”されることにより回転を妨げる。
行き場の無くなったエネルギーが付け根を破壊しようと押し寄せ、金属が軋む不吉な音がプッチの耳へと届いた。
やれやれ。
友人を殺害した忌々しき男の口癖を呟き、プッチは鍵穴にささったキーを捻り完全にヘリの動きを停止させる。
ヘリが墜落しないと分かった以上コクピットに座っている必要は無い。
ゆっくりと育ちのよさを表すような優雅さで立ち上がるプッチ。

「ヘリを固定してくれたおかげで私は自由に動けるようになったよ。
 貴様は極度の自信家か? それとも単なる馬鹿か?
 ……どっちでもいいな。私の手で貴様を始末するという事項はすでに決定されている」
「おいおい、自信家って言うのは自分のことじゃないのか?
 動けるってもヘリの中だけだろ? 神学ばっか勉強して頭脳がマヌケになったか?」

サーレーとプッチの行動は同時、コンマ一秒のズレも無く始まった。

13:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:05:55 JaivTWtq
僕の漫画をどうしてくれる!このスカタンがァーッ
ではなく支援

14:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:06:39 456egYiG
支援だ1乙

15:ヤツは空にいる ◆xrS1C1q/DM
08/12/27 21:07:50 ojzDQooU


先程と同じくポケットから小石を取り出して宙へとばら撒き始めたサーレー。
彼は一度だけでは飽き足らず何度も何度も、一切の光沢を持たない小石を夜空にばら撒き続けた。
掌から銀色に輝くDISCを一枚発生させたホワイトスネイク。
このDISCに書き込まれた命令は『気絶する』という事。

(殺してもいい……。が、エシディシにスタンドを与えると約束したからな……。
 出来るだけ殺さずにコイツは確保するッ! そう! 羽虫を潰さず捕らえるようにだ!)

さっきのお返しだと言わんばかりにフリスビーを投げる要領でサーレーヘ円盤を飛ばす。



行動自体は同時に始まったが、終了までにかかる時間には大きなズレがある。
当然、単一の動作で終わるホワイトスネイクの方が反復させているサーレーよりも速い。
神業的なコントロールにより、DISCはまっすぐにサーレーの頭へと突き進んだ。

(何故ガードをしない?)

プッチは疑問に思う。
あくまでもこれは牽制としての一撃であり、ヘリにおびき寄せるための捨石にすぎなかった。
だが、目の前の男はガードの姿勢すら見せずにひたすら小石を漁っている。

「ルールを変えない限りはじゃんけんのグーにはチョキじゃ勝てねぇよな?
 どうやらこの場合は俺のクラフト・ワークがグーの方だったみてぇだなぁ!」

奇跡的にばら撒かれた小石に掠ることすらなくDISCはサーレーの元へと辿り着いた。
それでも彼の精神の化身は弾き飛ばす動作すら見せずに異物を見送る。
回転する円盤はついにサーレーの額の皮へと触れ体内へ侵入しようと―――。








16:ヤツは空にいる ◆xrS1C1q/DM
08/12/27 21:10:23 ojzDQooU
「うぇっ! 何だこれ!? ただの飛び道具じゃないのかよ畜生!!」

DISCは5分の1も入らずに“固定”の能力により侵攻を止められた。
直後、彼は悲鳴に近い叫び声を上げ慌ててDICSを頭から引き抜く。
サーレーも驚いていたが、驚いたのは彼だけではない。
プッチも表面上は冷静さを保ちながらも内心では冷や汗を流していた。

(スタンドではなく本体も触ったものを固定する能力……だと?)

一般的な能力はスタンドの拳、広くてもスタンドの体に触れることでしか発動しない。
しかし、目の前の男は本体。それもど身体のどこに当たったとしても固定することが可能のようだ。
更に、高速で飛来してきた上に強制的に体内へと侵入しようとする作用を持ったDISCをストップさせるほどの固定の強さ。
驚愕がやった後に心の中で静かに燃え出したのは好奇心と歓喜。

(もし、もしこの能力をエシディシが得たとしよう。
 彼の回復力に攻撃が深く食い込む前に完全にストップさせるこの能力が加わったとしよう。
 ……素晴しい。彼も喜んでくれるのではないだろうか?
 結婚式は何度も見て来たが結婚指輪をプレゼントする男の気持ちを欠片でも理解したのは初めてだよ)

「おいおい? 自慢の能力が効かなくって変になっちまったか?
 ただのフリスビー遊びじゃない事は分かったが、その程度じゃこのサーレーに勝つのは1000年早いぜ!」

サーレーの指摘で知らず知らずにホワイトスネイクの口元が緩んでいたという事に初めて気が付く。
自分らしくないなと軽く自嘲気味な息を漏らし、再び口元を引き締める。
DISCが通じなかったのはこの際目を瞑る事にした。
今、最も気にしなければならないことはサーレーの目の前にある“固定”された数十個の石。
サーレーの能力には未だ未知数な部分がある。プッチはそう判断していた。

「で、神父様はもう攻撃しないのかい? 冥土の土産としてやりたいだけやってもいいぜ。
 俺に当たる可能性が万に一つでもあれば奇跡だろうがなぁ~」

油断をしないという教訓は完全に頭の中から吹き飛んでいる。
彼の頭にある光景は自分の勝利ただ一点のみ。
サーレーは既にヘリを使って何処に行くかという事を考え始めていたのだ。

「じゃあ、そろそろ俺のターンでいいんだよな?」

サーレーの宣言に自然と体が勝手に警戒態勢を取り始めた。
自身の体を庇うようにホワイトスネイクを前面に配置する。
本体に近ければ近いほどパワーが増していく特異な性質を持つホワイトスネイクが最も力を発揮できる位置だ。
後ろからの奇襲も警戒すべきだが、“固定”の特性上背後から来る可能性は低いと考え、最低限の注意を向けるのみに留める。

「減らず口を叩くのはいい加減にしたらどうだ?
 知性の欠片すら見て取れない発言を聞いていると頭が痛くなってくるんだよ……。 
 さっきまでの会話の相手がマトモだった分余計にね」

別に手を出せない悔しさで悪態を吐いているのではない。
チンピラ全開のサーレーに心底嫌気がさしているだけなのだ。
だが、一人勝ち誇るサーレーにそんな感情の機微が伝わるわけもなく……。

「負け惜しみは終わったな? じゃあ一つだけ今からやることのヒントをやるよ。
 俺のスタンド、クラフト・ワーク。こいつで固定してる物に力を加えたらどうなると思う?」

プッチに問いかけると同時にサーレーは“攻撃”を開始した。

17:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:10:49 JaivTWtq
固定した相手に怪焔王の流法・・・
グロ死体を量産しそうな組み合わせだ・・・

18:ヤツは空にいる ◆xrS1C1q/DM
08/12/27 21:12:56 ojzDQooU



トントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントン
トントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントン
トントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントン
トントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントン

何も知らない者の視線になると、歯を剥き出しにした無機質な人型が両手の人差し指で延々と宙に浮く小石をノックするというシュールな映像となっただろう。
しかし、全てを悟ったプッチはこのシュールでありどこか不気味さを感じさせる光景に戦慄した。
自身の身に降り掛かることになるであろう恐るべき現実に気が付いてしまったのだ。



――――この場にいるのはマズイ!


プッチの足がヘリの床から離れる。
そしてその足を後部にあるスペースへと着地させようと――

「賢い神父様は気が付いたみたいだな? 俺の行動と周りにある小石の恐ろしさがよ~。
 だが、場所を移動するのは『許可』しない。まぁ墜落死したいなら話は別だがな。
 あまりお勧めしないぜ? 俺のヘリはぶっ壊れるし、お前も恐怖を味わいながら死に行くことになるしよ。
 俺は慈悲深い。抵抗しなきゃ即死させてやるから安心して神に祈りを捧げてていいぜ」
「2…3……5…7………11…13……17………」

ゆっくりと足の着地地点を変更し、元の場所と寸分違わぬ所へと置く。
プッチの口から漏れ出すのは素数。
ここからでは十メートルほど離れたサーレーに抵抗する術がない。
そう、エンリコ・プッチはこれから起こるであろう運命を覆す事は不可能なのだ。
天国へ辿り着くことが出来た彼は言った。
「未来を知り『覚悟』ができるというのが『幸福』であると」
プッチは『サーレーの攻撃を確実に喰らう事』を覚悟したのだ。
このことがこの戦いにどのような変化をもたらすかは本人にすら分からないことであったが。

「ん~よくよく考えたらこんだけ残弾があるのにチマチマやるのも無駄じゃねえか!
 思いっきりぶん殴ればよぉ~多少コントロールが狂うがショットガンみたいになるよなぁ?」

二つの小石をずっと叩き続けていたサーレーが指を止めた。
一本だけ立てていた人差し指をそっと折り曲げ、拳を作る。
そして、眼前に散らばる小石という名のサンドバッグを―――

19:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:14:34 JaivTWtq
支援

20:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:14:36 456egYiG
柱の男とクラフト・ワーク!
これほど相性の(ry

21:ヤツは空にいる ◆xrS1C1q/DM
08/12/27 21:15:24 ojzDQooU

「クラフトッ・ワアアアアアアアアアアアアアクッッ!!」

滅茶苦茶に殴りつけた。
一撃一撃が人間を死に追いやる破壊の嵐を喰らってもビクともしない小石。
エネルギーはどれ程溜まったのだろうか?
プッチ、そして本人であるサーレー自身にすら分からない。
“固定”から小石を解放したとき初めて理解するのだ。

「ふぅ……そろそろいいだろ。
 俺からも祈っておいてやるぜぇ~。第一実験者のアンタが天国に行けるようになぁ~」

死刑宣告と共にサーレーは脳内で『固定を解除する』という信号を発した。
小石が自由と取り戻すと共に、内に秘められた行き場の無いエネルギーが解き放たれる。
そのベクトルの矛先はヘリコプター。
飛礫の雨が風を切り裂いて夜空を駆け抜ける。



小石のうち幾らかはヘリに当たることなく暗闇へと姿を消した。
だが、小石は4分の3近く残っていた。
掠った際に機体の外側を削り取り線状の傷を何本も作る。
金属、ガラスと素材を問わずに穴を開けヘリの内部へと飛び込む。
固いシートにめり込み動きを止める物。そのまま貫通して彼方へ消え去る物。
一発が危うくプロペラをへし折りそうになった時は流石のサーレーもヒヤッとした。

「ウオシャアアア!」

自分に当たる小石だけを選択してホワイトスネイクのラッシュで弾き飛ばす。
何処へ飛んでくるか分からない危うさはあるものの飛んでくるスピードはほぼ一定。
数発弾き返せば体がスピードに慣れてくる。

(この異常な環境で……私の目も狂ってしまったみたいだ……
 こんなカスを過大評価してしまうとはな……)

22:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:17:56 JaivTWtq
神父~~~~
ジョジョにおいて自分の視点で相手を貶すことは負けフラグだぞッ!

23:ヤツは空にいる ◆xrS1C1q/DM
08/12/27 21:18:12 ojzDQooU











「うぐっ!?」

何が起こったかプッチには分からなかった。
咄嗟に両腕で頭を庇ったおかげで頭部に目立った傷は見当たらない。
だが、頭部を庇ったが故に小石を止めるものが無くなる。
幸い胴体に当たる分は弾ききっていたものの、四肢は凄惨な状態となっていた。
濃紺色の神父服には穴が開き、そこから対照的な色の液体が滲み出る。
服が下にある褐色の皮膚と共に抉り取られ、一部では肉体を支える白い塊が露となった。

……これらの『軽症』は気にしないでもいいだろう。
肉が削げた、体に穴が開いた。確かにダメージは大きいはずだ。
しかし、主要の血管には傷が付いていないので失血死する可能性も低い。
ならば遥かに軽い傷なのだ。


左胸にハッキリと残る弾痕が表す傷に比べれば。


ホワイトスネイクが動きを止め、色を失っていく。
プッチは動かない。
徐々にホワイトスネイク越しに背後の景色が見えるようになってきた。
瞬き一つしない。
ついに、ホワイトスネイクの存在が消えた。
初めてプッチが動く。
ゆっくりと後ろへと倒れこんでいく体。
ハッキリと目で捉えられる動作で床へと近付いていく。
無音だった。
ある程度の体重がある成人男性が一人倒れこんだのにも関わらず、終焉は非常に静かな物であった。


24:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:18:33 456egYiG
今更だがタイトルうしとらか支援

25:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:19:41 JaivTWtq
おおしんぷよディオが近くにいたのにしんだとはなさけない

26:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:19:48 456egYiG
神父ううううううううう!!
途中で勝利を確信しちゃうから・・・

27:ヤツは空にいる ◆xrS1C1q/DM
08/12/27 21:20:49 ojzDQooU

「Amen.だったよな?
 カトリックとかプロテスタントとかは詳しくねーからな!
 まぁ、精々成仏することを……って、それは仏教だった」

彼の言葉には人を殺したという重みは全く無い。
ただ、ヘリを奪うのに邪魔だったから殺した。
チンピラといえど危ない橋を幾度も渡ってきたサーレーにとってはその程度の認識でしかなかったのだ。
足場にしていた紙の固定を解除し、底の見えない奈落へ落ち行く最中で再びその紙のうち一枚を“固定”。
クラフト・ワークの右手で固定された紙を掴み、左手で宙を舞う紙を回収。
その紙を再固定することにより、前方に掴まる物を生み出し
そして、空いた左手で一番近くにある紙へ掴まる。
更に、右手で握っていた紙の固定を解除した後、前方へ突き出し再固定。
丁度、うんていと呼ばれる遊具と同じ要領で着々とヘリの方へと前進していくサーレー。
欲望にまみれた目をギラギラさせながら、ヘリを操縦する自分を想像して口元が緩む。

「さ~て。何処に行こうかね?
 観光旅行と洒落込みたいところだが燃料も不安だしキッチリと決めにかからなきゃなぁ。
 まっ、こんな上空に攻撃できるやつなんざそうそういねぇんだし此処でゆっくり考えるのもありだ」

今後のプランについて考えながら昇降口の縁に手をかける。
軽い掛け声と共についにサーレーは念願のヘリコプターを手に入れた。

「しっかし……快適ってヤツとは程遠い環境になっちまったなクソッ!
 だけどよぉ~幾らあの二つが速いとはいっても近距離型を掻い潜るには弾幕が必要だっただろ?
 うわっ!? 座席とかは完璧にボロボロじゃねーかよ!」

ボヤキながらプッチの元へと近寄り、顔を覗き込む。
年を経ても鈍らぬ輝きをもった瞳は閉ざされ、神の教えを説いたり友と理想を語り合ったりした唇も微動だにしない。
念のために口の上に手を当てるも呼吸はしておらず、胸に手を置くも鼓動は感じられない。
プッチの完全なる死を確認すると、サーレーはコクピットへと向かっていった。

「ヘリの操縦なんて初めてだからチョックラ緊張してきたぜ。
 墜落しても大丈夫だからいいんだけどなぁ」

乱雑に鍵を捻り、再びエンジンを起動させる。
動力源の巨大な唸り声を聞くとサーレーの心中は興奮と歓喜で彩られた。
当然、ローターに絡む紙の解除を忘れるなど間抜けなマネをするはずもない。
が、起こるべくして起こることも存在した。

「うおっ!?」

ヘリを支えていた紙が解除された。
プロペラが全く回転していないのにも関わらずだ。
そうなれば重力に引かれて落下するということなどニュートンでなくても分かる。
しかし、ただでさえハイになってるチンピラの判断力と注意力は小学生と同等程度。
地面へ向かってまっしぐらなヘリの中。彼は操縦桿を握りながら必死な思いでスタンドを発現、ヘリを宙に固定させる。

「あっぶね~! やっぱり車と同じノリで行くのは無理があったな」

何気なく爆弾発言を飛ばすサーレー。
このまま強行してヘリの残骸を一機残すのも馬鹿らしいので彼は頭を使って考えることにする。

28:ヤツは空にいる ◆xrS1C1q/DM
08/12/27 21:23:14 ojzDQooU



………頭を抱え込みながら閃きが出るのを待つ。



………すぐ脇の壁を拳で叩く。



………傍に置いてあったヘルメットを後部座席へと投げる。



………血走った目で自身に溢れる破壊衝動を必死に抑える。



こうして、後一刻遅ければクラフト・ワークでヘリをスクラップにしていたであろう精神状態の中、サーレーの脳内で巨大な電球が輝いた。
『一旦着陸させてから再び飛ばせばいい!』
ちなみに着地法は“固定”を解除して地面すれすれで再び“固定”すること。
時間を取って考えた割にはあまりにも杜撰すぎるが本人は至って満足気。
嬉々とクラフト・ワークの能力を解除しようとして――――





何故かヘリよりも先に墜落している自分に気が付いた。

29:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:24:34 oejLPg+Y
支援

30:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:24:54 456egYiG
何いいいいいいい
さっきからものすごいどんでん返しだな
支援

31:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:25:02 FRa04LH4
 

32:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:25:04 JaivTWtq
あ、ありまま起こったことを(ry
俺は能力を解除しようと思ったら(ry
なにを言ってるのか(ry
もっとおそろしい(ry

33:ヤツは空にいる ◆xrS1C1q/DM
08/12/27 21:25:44 ojzDQooU
妙に気持ちよい風も独特の浮遊感も驚愕の前にかき消されていく。
声を出す事すらまどろっこしい。
スタンドによって方向転換を行い、先程まで自身が乗っていたヘリを見た。
遠ざかっていく二つの人影。
黒い肌に、血に濡れた修道服。
所々にアルファベットの刻まれた白い体。
心臓を貫かれ、死んだはずのエンリコ・プッチが己のスタンドを携えて立つ姿がそこにはあった。

「キリストの復活ってやつか? 本当にあるんだったら俺も帰ったらキリスト教を信仰させてもらおうかね」

ぼやきつつ、ヘリにかけられた“固定”を解除。
落ち行くヘリを眺めつつ、自身も着陸に備え迫る地面との距離を目測で図る。
宙で靴を脱ぎ、クラフト・ワークに握らせる。
爪先が地面から10センチまで近付いた所で靴を“固定”。
その際に生じる衝撃はスタンドの頑丈さで全て受け止める。

「ふぅ~。で、ヘリはどうなったのか……げっ!」

そのまま地面へと難なく着地を遂げたサーレーが空を見上げると、ヘリから飛び出したプッチの姿が見えた。
場所的に考えて、木にでも突っ込んで衝撃を軽減しようとしたのだろう。
だが、そんなことはどうでもいい。
目下最大の危機は無人のヘリがピンポイントで自分の下へとやってきていることだ。
回避は不可能。
それでも、彼の能力を考えればこの程度で死ぬのはありえない。

「俺の手に掛ればよぉ。爆走する機関車ですら指先一本で何とかできんだぜ?
 この程度のことで俺のクラフト・ワークを何とかできるとでも思ったか?」

人差し指のみを立てた指を天へと突き出す。
相手のスタンドは近距離型だから飛び込んだ先からここへ攻撃するのは不可能という油断故の行動だ。
かなりのスピードを持っていたが、指先に触れた瞬間に静止するヘリコプター。

「油断シタナ……確カニ相性ハ最悪ダッタ……ガ、コレデ私ガ一手上ヲイッタ」

直接心に響く声。
それと寸分経たず両頬に当てられる温かいのか冷たいのかよく分からない感触。
咄嗟に“固定”する。
回転する視界、そして暗転。
サーレーの首は180度捻じ曲げられ、中を通る神経系は完全に破壊された。
途絶えた意識と共に解除されるヘリコプターの“固定”。
彼の肉体はヘリコプターと地面にプレスされ、原型を留めずに挽肉となった。

「彼の……言葉を……借りて言うならば……『ヘリコプターだっ!』という感じだろうな……。
 しかし……危ない相手だった……。“これ”がなければ……隙を突く事すらできずに……死んだかもしれんな……」

胸から取り出されたのは一枚の円盤。
壊れないという特性を持った一人の男の記憶の結晶。
本人の知らぬところで“弟”は“兄”を救ったのだ。

「さて……スタンドを奪えなかったのは残念だったが、露払いには成功した。
 エシディシならば大抵の敵は何とか出来るに違いないが万が一という事もある。
 特にスタンドはこっちの方が遥かに熟知してるからな……」

ホワイトスネイクを攻撃に回したため、木で軽減したとは言ってもかなりの衝撃がプッチを襲ったはずだ。
が、麻薬中毒者のように震えながらもプッチは二本足で立ち上がり歩き始める。
休むのは自分達に降りかかる火の粉を一通り払った後。左右に揺れる背中はそう告げていた。


【サーレー死亡 残り66名】

34:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:25:50 FRa04LH4
 

35:ヤツは空にいる ◆xrS1C1q/DM
08/12/27 21:26:31 ojzDQooU
妙に気持ちよい風も独特の浮遊感も驚愕の前にかき消されていく。
声を出す事すらまどろっこしい。
スタンドによって方向転換を行い、先程まで自身が乗っていたヘリを見た。
遠ざかっていく二つの人影。
黒い肌に、血に濡れた修道服。
所々にアルファベットの刻まれた白い体。
心臓を貫かれ、死んだはずのエンリコ・プッチが己のスタンドを携えて立つ姿がそこにはあった。

「キリストの復活ってやつか? 本当にあるんだったら俺も帰ったらキリスト教を信仰させてもらおうかね」

ぼやきつつ、ヘリにかけられた“固定”を解除。
落ち行くヘリを眺めつつ、自身も着陸に備え迫る地面との距離を目測で図る。
宙で靴を脱ぎ、クラフト・ワークに握らせる。
爪先が地面から10センチまで近付いた所で靴を“固定”。
その際に生じる衝撃はスタンドの頑丈さで全て受け止める。

「ふぅ~。で、ヘリはどうなったのか……げっ!」

そのまま地面へと難なく着地を遂げたサーレーが空を見上げると、ヘリから飛び出したプッチの姿が見えた。
場所的に考えて、木にでも突っ込んで衝撃を軽減しようとしたのだろう。
だが、そんなことはどうでもいい。
目下最大の危機は無人のヘリがピンポイントで自分の下へとやってきていることだ。
回避は不可能。
それでも、彼の能力を考えればこの程度で死ぬのはありえない。

「俺の手に掛ればよぉ。爆走する機関車ですら指先一本で何とかできんだぜ?
 この程度のことで俺のクラフト・ワークを何とかできるとでも思ったか?」

人差し指のみを立てた指を天へと突き出す。
相手のスタンドは近距離型だから飛び込んだ先からここへ攻撃するのは不可能という油断故の行動だ。
かなりのスピードを持っていたが、指先に触れた瞬間に静止するヘリコプター。

「油断シタナ……確カニ相性ハ最悪ダッタ……ガ、コレデ私ガ一手上ヲイッタ」

直接心に響く声。
それと寸分経たず両頬に当てられる温かいのか冷たいのかよく分からない感触。
咄嗟に“固定”する。
回転する視界、そして暗転。
サーレーの首は180度捻じ曲げられ、中を通る神経系は完全に破壊された。
途絶えた意識と共に解除されるヘリコプターの“固定”。
彼の肉体はヘリコプターと地面にプレスされ、原型を留めずに挽肉となった。

「彼の……言葉を……借りて言うならば……『ヘリコプターだっ!』という感じだろうな……。
 しかし……危ない相手だった……。“これ”がなければ……隙を突く事すらできずに……死んだかもしれんな……」

胸から取り出されたのは一枚の円盤。
壊れないという特性を持った一人の男の記憶の結晶。
本人の知らぬところで“弟”は“兄”を救ったのだ。

「さて……スタンドを奪えなかったのは残念だったが、露払いには成功した。
 エシディシならば大抵の敵は何とか出来るに違いないが万が一という事もある。
 特にスタンドはこっちの方が遥かに熟知してるからな……」

ホワイトスネイクを攻撃に回したため、木で軽減したとは言ってもかなりの衝撃がプッチを襲ったはずだ。
が、麻薬中毒者のように震えながらもプッチは二本足で立ち上がり歩き始める。
休むのは自分達に降りかかる火の粉を一通り払った後。左右に揺れる背中はそう告げていた。


【サーレー死亡 残り66名】

36:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:27:09 FRa04LH4
 

37:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:28:38 JaivTWtq
サァァァァァレェェェェェ

38:名に棲む鬼 ◆xrS1C1q/DM
08/12/27 21:29:01 ojzDQooU
「何だ貴様は? この俺、ディオ・ブランドーに個人的な用事があるわけではあるまい?
 俺は急いでいるんだ。馴れ合いたいなら次に会う奴とやっているがいい」

抑揚の一切無い冷淡な声。
内に秘めた恐怖と焦燥を覆い隠してディオは目の前の男を睨みつける。
見覚えはある。最初の広場で一、二を争う驚愕の表情を見せたので脳裏に焼きついていたのだ。
それを確認した瞬間、心なしか緊張が解けた気がした。
平静な表情に似合わぬ量の冷や汗はようやく流れ落ちるのを止め、
一生分は稼動したのではないか? と思えるほど鼓動を打っていた心臓も徐々に本来のペースを取り戻していく。
しかし一刻を争うこの状況は冷静さを奪い去り、ディオの口を滑らせた。
それはこの場においては致命的なミスとなりうる。
本来ならカードの一つとして使用できる名前をおめおめと晒してしまった事に彼はまだ気が付いていない。

(威勢だけはよかったものの、ただの臆病者か。
 ……が! そんな奴のせいで俺が一瞬でも恐怖を抱いたのは確か!
 気に食わん……荒木もジョルノもリンゴォもコイツも! この怒りをどうすればいいんだ?)

威圧的に突き放されたときから無言で震える青年を一瞥してディオは鉄塔へと向かう。
ラグビーで培った健脚はここまで走ってきた消耗を問題にせず、再び彼を走らせた。
体力の温存などは気にもかけていない。
一刻も、一刻も早く鉄塔に辿り着く。到達後にどうするかという問題ではない。
ジョルノに一泡吹かせる前に彼が死んでしまうという事態だけは認めるわけにはいかないのだ。
整い始めた呼吸音が再び荒れ始める。
一打ち毎に心臓の鼓動が加速していく。
全身から汗が滲み出し、着ていたシャツを湿らせる。
体温が上がった体に、夜の冷たい風が心地よい。

「てめぇ、確かにディオ・ブランドーっていったよな? そして、名簿にはディオの名は一つしか存在しねぇ。
 つまり……貴様が俺のじいさん、ウィル・A・ツェペリの敵って訳だ!」

最初は感情を押し殺そうとしていたものの溢れる感情の奔流は抑えがたく、
唯一の出口である喉から口内を通り怒声という形で外部へと飛び出していった。

「会いたかったぜ~。何せ俺が貴様の存在を知ったときは既に太平洋の藻屑と消えてたんだからなぁ!」
 
師、リサリサから話を聞いたときからずっと憎んできた、ディオ・ブランドーという名の吸血鬼。
彼は祖父の愛弟子であったジョナサン・ジョースターによって打倒されたはずだった。
幼い頃からディオと過ごし、数多くの大きすぎる物をディオから奪われた彼にこそ復讐の権利があると
ぶつけようが無い熱した鉄のような憎しみを心中に押し込めて波紋の修行に勤しんできた。
だが、本人を目にした瞬間に感情の殻は融点を超える怒りの前にあっさりと溶け落ちる。
今の彼、シーザー・A・ツェペリは理屈ではない。魂が、自分の体に流れる血が肉体を突き動かしているのだ。

39:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:29:01 USLe3nxL
1乙
うわあああサーレェエえーーーッ!

40:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:29:28 456egYiG
あーん!サーレーが(ry

41:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:30:58 JaivTWtq
ディオ!(お前)終わったよ…

42:名に棲む鬼 ◆xrS1C1q/DM
08/12/27 21:31:05 ojzDQooU


何だコイツは?
これがシーザーに対してディオが抱いた感想であった。
それは自らに対する身に覚えが全く無い話の事ではない。
異常な状況下で興奮したが故に、名前だけでどこぞの同姓同名の人物と考えていると彼は判断する。
ディオが真に驚いたのはそこではない。
もしもプライドが無ければ目は限界まで見開かれ、口はだらしなく開いただろう。

(俺は確かに全力で走っていた。それにヤツが走り始めるまでには百メートルは離していたはずだ!
 ならば……ならば何故コイツは俺の隣で走っている?
 しかもあの声……走りながら発したはずなのに途切れるどころか震えすらしなかったぞ!?
 本当にコイツは人間か? 蒸気機関でも積んでるんじゃないだろうな?)

驚異的な脚力と圧倒的なスタミナを見せ付けてきた目の前の男。
更に彼は非常に殺気立っており、握られた拳が何時こっちへ飛んできてもおかしくはない。
限界まで空気を入れた風船よりも一触即発な状況下で彼が選択した答え。
それは足を止めて青年と会話を試みることであった。
選択としては間違っていない。誤解からディオに襲い掛かろうとしているならば誤解を解くだけで話は終わるからだ。
しかしこれは自身の安全をある程度保障すると同時に、ディオのプライドを酷く傷つける選択であった。

(分かっている……この選択は“逃げ”だ!
 恐らくヤツはスタンド使い。能力は身体能力を強化するもの。
 認めざるを得まい……この俺ではどんな手を尽くしたところでコイツには勝てん……。
 ならばこの場において最も優先すべきは何だ?
 ……そう。俺のプライドを守りきることだ。ズタボロに踏みにじられたプライドをなぁ!
 では、薄汚れたプライドを崩壊させる事は何だ?
 このままコイツから逃げることか? 命を乞うことか?
 違う! 断じて否だ! 最も屈辱的なこと、それはジョルノに受けた借りを一つも返さずに終わることだ!)

奥歯を噛み締め屈辱を覆い隠しながらディオはシーザーに語りかける。

「俺は貴様に危害を加える気はない。……これで証明できるだろ?」

ディバッグを投げ捨てて、両腕を頭の上に持っていき抵抗をする気がないという事を示す、
……シーザーの死角を突いてカバン内から引き抜いた紙をズボンに挟んで。

攻撃してくるならば反撃すればよかった。
逃げるのならばその背中にシャボンランチャーを浴びせてやればよかった。
他にも数々の想定をしていたシーザーにとってもディオの対応は完全に計算外であった。
一瞬だけ気が緩み、だらしなく口の開いたマヌケな表情を晒すこととなる。
きつく握られた拳を持つ両腕は脱力して肩から垂れ下がった。
ディオの言った事を理解したのは全身の筋肉が弛緩した寸刻後。

「てめぇ……危害を加える気がねぇだと?何を企んでやがるんだ、おい!」
「何を企んでるだって? はっきり言っておくが会話の目的は貴様の誤解を解くことだ。
 祖父なんざの存在は知ったこっちゃないし、殺す気もさらさらないね。
 お前の言ってるディオ・ブランドーは同姓同名の別人じゃないのか?」
「……ジョナサン・ジョースター、ロバート・E・O・スピードワゴン、ジョージ・ジョースター。
 そしてウィル・A・ツェペリ。このメンバーが揃っていてお前だけが別人だと思うほど俺がヌケサクに見えるかディオ・ブランドー!」

43:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:31:43 456egYiG
ディオさまがヒエラルキーをどんどん落下していく・・・

44:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:33:01 JaivTWtq
ディオ様じゃない・・・あれはただのディオさ・・・
美化されすぎてたんだよ・・・これが本来の姿・・・

45:名に棲む鬼 ◆xrS1C1q/DM
08/12/27 21:33:41 ojzDQooU
(あぁ……本当に貴様はヌケサクだ。訳の分からん妄想で俺を祖父の敵にしたくって仕方がないみたいだからな。
 が、気になる点も幾つかある。何故俺がジョナサンやジョージの関係者だと分かった?
 ……さっきこいつが上げた名は名簿で俺の周辺に書かれた連中の名だったな)

SFという言葉が生まれる前の時代に生きていたうえに、文学に詳しいわけでなかったディオはタイムトラベルという概念すら脳内に持ち合わせていなかった。
だから“未来人”であるシーザーの言葉を説明する事ができず、結果、彼を狂人と判断させるに至る。
が、その反面で府に落ちない点が幾つかあるのがディオを困惑させる。
溢れ出る仮定と思考の渦に囚われた彼がシーザーの拳をかわせたのは完全に偶然だっただろう。

「ちぃっ!」

シーザーが悪態をつくが、本当に不満を漏らしたいのはディオの方であった。

(さっきの一撃は嫌な予感がしたから避けれたものの、こんな幸運は何度も続かん。
 くそっ! 動体視力の限界を越えた拳速を持った相手をこの間合いで何とかしろだと!?
 ……やってやろうではないか! この程度の試練を乗り越えられなくはアイツには一生掛っても届かん!)

シーザーに向き直り、ベルトに挟んだ紙を右手で引き抜く。
長期戦になれば勝ち目がない。
いや正確に言えば、一撃で何とかしなければ圧倒的な身体能力の前に為す術もなく斃されることとなる。
自分を殺そうといきり立つ男の前で、ディオは現状を正確に把握した。
しかし、一般人に毛が生えた程度のディオが一撃で波紋使いを戦闘不能にすることが出来るのか?
常識的に考えれば答えはノーだ。
だが、現在彼の手に持つ紙にはとある物が詰まっていた。
絶望的な状況を引っくり返し得る可能性を持つ切り札。
ディオは天高くそれを突き出し叫ぶ。

「ロ――――――」
「させるかっ!」


ディオの高らかな宣誓は途中で遮られる事となる。
シーザーが間合いを詰めて来るのは視認できた。
そこから先は何が起こったか分からない。
肺から空気が搾り取られるような感覚でようやく自分が殴られたのだと気が付いたディオ。
手から紙は離れ、呼吸が出来きない苦しみに悶絶しようになる。
更に、殴られた痛みがようやく追いついてくる。
この二つだけでも気絶しそうな苦しみとなるのだが、止めとばかりに与えられた拳で触れられた瞬間に感じる謎の痺れ。
後方へと飛んで行く体。
徐々に遠くなっていく意識。
宙に舞っていく紙。
ディオの顔に浮かぶ笑み。
二つ折りの紙が開く。
中から出るは黄色を主体としたボディに灰色のローラー。
最後の力を振り絞り、ディオは“それ”の名を呟く。


46:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:34:21 USLe3nxL
あれ…こんなディオ様も結構好きかも……

47:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:36:01 JaivTWtq
ディオの時代にロードローラーってあったっけ?

48:名に棲む鬼 ◆xrS1C1q/DM
08/12/27 21:36:16 ojzDQooU
「ロード……ロー…ラー……だっ!」

時が止まった。
刹那の硬直、そして落下。
ロードローラーの持つ膨大な質量が大地を揺らす。

(なるほど……ジョルノの言っていた巨大な車というのはこれか……。
 想像とは少し違ったがまぁいいだろう……
 そんな事よりも……あの場所へ……あの場………)

茂みの中へと突っ込み、手足の一部を小枝で切ったらしいが痛みを感じない。
内臓を潰されたような痛みすらも消え始めている。
鉄塔へと向かうという強い意志がここまで意思を保たせていたが、肉体の限界がそれを阻む。
指先を何度も痙攣させ、ついにディオは虚無の世界へと意識を飛ばした。




落下の衝撃で舞い上がった土煙が晴れていく。
まず明らかとなったのは圧倒的存在感を醸し出すロードローラーの姿。
シーザーの姿は何処にも見えない。
地面との激突により生じた轟音が全ての音を攫っていったかのような静寂。
周りに生える木々のみが風に葉を揺らし微弱な音を立てる。
ようやく露となった地面に見えるのは黒い染み。
そしてロードローラーに潰されたシーザー。
流石の波紋も唐突すぎる攻撃と、重機の重みには対抗できなかったらしい。
変わり果てた肉片からは命の液体が滲み出し、地面を湿らせる。
長くもあり短くもあった戦いの歴史に幕は落ちる。

49:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:38:25 JaivTWtq
ああ・・・何故俺の書いたキャラばかり死んでいく・・・

50:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:38:28 USLe3nxL
>>47
エニグマの表面に「ロードローラー」って書いてあったんじゃね?

51:名に棲む鬼 ◆xrS1C1q/DM
08/12/27 21:38:43 ojzDQooU


「っつ、あああああああああああ」

ミンチになった左腕を無理矢理抜き出すシーザー。
彼の腕に手首より先は存在しない。
また左肘から先は肉はほとんど残らず、辛うじて付いている部分もボロキレ同然。
露出したカルシウムの固まりは血に濡れ、白から紅へと染められる。
更に、切断面の幾つかからは千切れた神経と血管が外気に触れ、シーザーの体から血液を奪うと同時に激痛を与えた。

「この程度……俺は…まだ戦えるっ!
 爺さんの敵は討ったがなっ! 俺はまだ父や友の敵を討っちゃいねぇ!」

波紋を腕に流し込んで、痛みを軽減させようとする。
だが、それも気休め程度にしかならない。
出血は波紋の力で大分収まってきたものの、苦痛は未だに彼の体を蝕む。
けれども彼に歩みを止めようという発想はない。
敵討ちの高揚感なのか自身の正義感が動かしているかは不明だが、怪我を意に介せずにシーザーは鉄塔へと向かう。
その瞳に情熱の炎をたぎらせて――――。



★  ☆  ★

52:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:39:16 FRa04LH4
 

53:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:40:08 FRa04LH4
 

54:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:40:49 JaivTWtq
シーザー・・・

55:名に棲む鬼 ◆xrS1C1q/DM
08/12/27 21:41:15 ojzDQooU
何もない平地にそびえ立っているせいか異様な存在感を醸し出す鉄塔。
上空では一人の神父とゴロツキが戦い、付近には帝王や波紋戦士、漫画家に看守。果ては異常性癖の持ち主までもいる。
そして丁度麓では、一人のギャングスターと柱の男がプランクトンとギャンブラーを観客に対峙していた。
機械を連想させるスタンドの眼に黄金の意思を宿した瞳。
二対の目がジョルノの眼前に立つエシディシを射抜くも、彼の双眸からは余裕が見て取れる。
視線がしばし交し、ただでさえ一触即発の空気が更に膨らんでいく。
重厚さを増していく雰囲気の中、一人悩むF・Fにジョルノが不意に声をかけた。

「あなたを悪人ではないと信用してお願いがあります。
 恐らく僕は目の前の男との戦いで精一杯になってしまうでしょう。
 だから、落下してきた彼の治療を貴方にやってもらいたいんです。
 手足はたった今僕の能力で生み出しました。接合面に当てるだけで付くはずですから」
「おい! あたしはまだお前の事を信用してねぇぞ!」
「その辺の件については戦闘後にじっくり話します」

緊張感溢れる現状においてもジョルノの声はあくまでも冷静。
ダービーの事をF・Fに託して彼はエシディシへと飛び掛っていく。

「無駄ァッッ!」

柔らかな会話の時とは打って変わって荒々しい声を張り上げる。
繰り出された拳が向かうのはエシディシの頭部。
寸分の狂いもなく正確無比に固められた拳撃は目標へ飛んでいき、
人間よりも遥かに強力で密度の大きい筋肉の詰まった腕に阻まれる。
が、ガードされようとされまいと彼の能力の前には些細な違いにしかならないだろう。

「ゴールド・エクスペリエンス!」

スタンド名を叫び、触れた拳から生命エネルギーをエシディシの体へと流し込む。
無生物を生物に変化させるほどの現象を起こすのだから当然そのパワーは強力。
それを生物へと流し込めば、感覚が暴走して肉体を置いていってしまう。
分かりやすく言えば『自由に体を動かすことが出来なくなるのだ』
彼自身すらつい最近まで気が付かなかった能力をエシディシへと使用する。
ジョルノの予定通り、彼が腕を引いたにも関わらずエシディシは腕をかざしたままの格好で硬直した。

「残念ですが貴方は僕“達”と志を共に出来る人種でないと思われます。
 なので、軽く再起不能になるまでやらせてもらいますよ。
 ……何かの間違いがあったら僕の能力で治療するんで、まぁ我慢してください。
 あんな挑発的な登場されたら敵かと疑う他はないですから、貴方にも責任はありますからね」

右の拳を高く掲げながら死刑宣告を告げるジョルノ。
自身よりも遥かに背の高いエシディシを見上げる目には感情は無い。
目の前にいる男を半殺しにするのに喜びを感じる訳ではなく、暴力に嫌悪を感じるわけでもなく
ただ障害を排除するだけだという冷徹さを秘めた瞳。
エシディシは動かない。
いや、彼の瞳だけは動いていた。
冷静さと激情という相反する感情を混ぜ合わせた目で自身の腕を見ていた。

「なるほど……スタンドには本当に色々あるようだな………
 実物を見るのは二度目だが実際戦うのは初めてだ。
 精々俺を楽しませて見ろよ……なあああぁぁぁ~~~!」

押し込めていた感情を解き放つ如き声。
最後の言葉を要約すると『異常』この一言に尽きる。
気圧されないように冷や汗を垂らしながらも驚愕を押し隠すジョルノと、ダービーへ向かう足を止めてエシディシを見るF・F。
場の雰囲気がエシディシによって作られていく。

56:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:41:18 FRa04LH4
 

57:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:44:03 USLe3nxL
支援したなら使っていいッ!

58:名に棲む鬼 ◆xrS1C1q/DM
08/12/27 21:44:05 ojzDQooU

「早く彼の治療に向かってください!」

ジョルノが初めて声を荒げた。
いいのかよ!? と聞き返すF・Fに静かに顎を下げて返事。
少し戸惑いながらもF・Fはダービーの下へと辿り着いた。

「通す気は……無いようだな」
「えぇ、当然でしょう?」
「一つだけ警告してやろう。お前のスタンド能力は生命力を注ぐ物だろ?
 “人間”にどのように作用するかは分からぬが俺にとってはエネルギー補給にしかならん」
「警告ありがとうございます。ですが敵にわざわざ告げるということは裏がありますね?」

エシディシの言に対してつれない返事を返すジョルノ。
顎に手を当てて困ったような声で彼はジョルノに問う。

「俺が戦闘狂だからじゃ駄目か?」
「信用に値するかどうかは分かりませんね」
「俺が本当の可能性を言っている可能性は考えていないのか?」
「考慮はしてますが判断するのはあくまでも僕です」

エシディシの口元が緩む。
彼が言っていたのはブラフなのか? それとも真実なのか?
正解は“どちらも”である。
偶然の産物か運命か、彼のスタンドが生み出す生命エネルギーの一部が波紋と酷似していたのだ。
それはあまり多量ではないので肉体を滅ぼすほどの出力にはならないが、柱の男を痺れさせる程度にはなる。
だが、微弱な波紋でも体内で使われれば多大なダメージをあたえうる。
つまりエシディシはジョルノを“食す”ことが出来なくなったのだ。
しかし波紋と同じ作用をするのは本当に僅かな物。
その他のものはエシディシの言ったとおり“栄養”となってしまう。
プラスマイナスで言えばジョルノのマイナスのほうが大きいのだ。
それでもエシディシは警戒することを決めた。

「MM? お喋りしすぎもよくないな」

ダービーの方にちらりと目を向けると、F・Fがダービーの四肢を丁度繋いでいるところだった。
早くしなくては逃げられる。エシディシは表情を変えてジョルノへと襲い掛かる。

59:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:44:11 JaivTWtq
ザ・エシディシ!
時はううううあんまりだあああああああ

60:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:45:46 456egYiG
シーザー痛々しいな・・・
がんがれコロネ様!

61:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:46:22 JaivTWtq
コロネってなに?

62:名に棲む鬼 ◆xrS1C1q/DM
08/12/27 21:47:14 ojzDQooU
「無駄無駄無駄無駄無駄」

残像により拳が無数に見えるほどの嵐。
エシディシは一つ一つを見切り、捌き、反撃の機を窺う。

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」

ジョルノも生命エネルギーを流したり、流さなかったりして様子を探る。
が、目立った反応をエシディシは見せてくれない。
少しの痺れはあるものの気取られぬ様に無理矢理腕を動かす。

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」

所々でエシディシの反撃が混ざるようになってきた。
ジョルノも際どいところに迫る攻撃を叩き落とし、ラッシュを再開する。
優勢を保っているのはエシディシの方だ。
ジョルノのゴールド・エクスペリエンスと彼のスピードは互角、ならばパワーが上のエシディシが勝つのは明らかだろう。
最初の構図とは一転して攻めるエシディシを捌くジョルノ。

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」

激しい撃ち合いの最中、ジョルノの目が細まった。
スタンドの頭部を殴ろうとするエシディシの左腕を右腕で逆に殴りつける。
一瞬、ほんの一瞬であるがエシディシの動きが止まる。

「無駄アアッ!」

速すぎもせず、遅すぎもせずまさに硬直したタイミングでゴールド・Eの拳撃をエシディシの顔面へと叩き込む。
巨体が宙を舞って仰向けに地面へと叩きつけられた。
大きく空気を吐き荒くなった息を整えながら、額に浮かぶ汗を袖で拭う。

「ふぅ、あまりにも短いのでタイミングを取るのも大変でした。さて、治療は終わりましたか?」

何事も無かったかのような様子でF・Fにダービーの容態を尋ねる。

「大丈夫そうだぜジョルノ! 断面が変な黴で覆われていたから一応ぶった切っておいたけどな!
 しかし、スゲーなお前の能力。あたしの一部を繋ぎにすることも考えたんだが全くいらねーじゃんか!」
「えぇ、そ「ジョルノ……なるほど、お前がプッチの友人の息子だったか」
「プッチだと!?」

それぞれが個性を持つ3人の声が広い平地に響いた。

「プッチには悪いが……コイツを見逃しては後々厄介になるからな!」
ダメージを感じさせぬ生きてきた年月に恥じぬ重厚な声に殺意を込めて大気を揺らす。

「そりゃこっちのセリフだこの筋肉達磨! プッチの仲間を見逃すわけにゃいかねぇ!」
人間の声をしているがどこか不自然な怒声が広場に広がる。

「つまり……貴方はコイツと敵対するわけですね?一時的にでもいいので戦線を共にしましょう」
少年の影を残した声が辺りへと染み渡っていく。

一触即発の空気が場に流れ、無言のにらみ合いが続く。
三人の周りに大気が収束し、圧縮されていく錯覚を感じさせるプレッシャー。
沈黙した場を砕いたのはやはりジョルノの言葉であった。

「すみません、先程の発言は嘘でした。貴方は僕と協力しなくていい」


63:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:47:21 USLe3nxL
ジョルノの髪型を見なッ!


64:名に棲む鬼 ◆xrS1C1q/DM
08/12/27 21:49:13 ojzDQooU

唐突な発言に戸惑いを隠せないF・F。
今が隙だと言わんばかりにジョルノへと跳ぶエシディシ。
彼の攻撃を再び捌くものの、上手い具合にタイミングをずらされ先程の方法が使えない。
そこで真意を量りかねたF・Fが加勢しようエシディシの拳を腕で防いで――――。


彼女の右腕は肘から先を完全に失った。


信じられない表情でF・Fは己の腕を見て、ジョルノとエシディシはF・Fを見る。
三人はほぼ同時に我を取り戻した。

「無駄ァ!」

ゴールド・エクスペリエンスの一撃が無防備だったボディにブローを入れる。
ガードの遅れたエシディシは再び数メートル飛んでいくこととなった。

「速く行って下さい! どうやらコイツは貴方の肉体を取り込んだようです! つまり貴方とヤツの相性は最悪!
 ですが、恐らくゴールド・Eの能力が関係して僕は食われずにすむ!
 ヘリが南に落ちるのを僕は見ました! ヤツの口ぶりからしてプッチとやらはそのヘリの中にいます!」

早口で内容を伝える。
F・Fは悩んだようにジョルノと南に交互に顔を向ける。
肩を大きく震わしながらも、自身の決定を告げるために口を開けた。

「お前は大丈夫なんだよな!」
「えぇ、死なないように努力します」

ジョルノの返事が終わる前にF・Fはダービーを背負って南へと走る。
無い左腕は周りのプランクトンを集めることによって代用。
愛する友の敵を討つためにF・Fは走る。
置いていった少年に髪を引かれる思いをしながら。





65:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:49:17 JaivTWtq
?穴が穴が3つ空いてるだけだろ?

66:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:51:13 456egYiG
ジョルノは頭にコロネをのせてる支援

67:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:51:37 JaivTWtq
ダービーってドラゴンボールでいうとアックマンだよな・・・
技の発動条件がリスキーだけど決まれば一撃必殺な所が

68:名に棲む鬼 ◆xrS1C1q/DM
08/12/27 21:51:38 ojzDQooU
地面に倒れ伏したままエシディシはピクリとも動かない。
死んだと判断するかもしれないが、ジョルノは慎重に歩み寄る。
声が聞こえた。濃い声が呟いていた。

「人間ごときに……波紋使いでもない人間に顔面に二発も食らってしまった……」

ジョルノの経験は告げる。
この男はプライドが高すぎるが故に激高して身を滅ぼすタイプだと。
事実、目の前の様子を見れば誰がどう見てもそう思うだろう。
エシディシが上体を常識を逸した速度で持ち上げた。
警戒を強め、ゴールド・Eを構えさせる。
その後の彼の行動は完全にジョルノの予想を覆すこととなった。

「あ……あんまりだ……」

ジョルノの方を見ようともせず、呆然と前を見つめるエシディシ。
双眸に水滴が集まり、一筋の河となって頬を流れ落ちる。
それは涙と呼ばれる液体。
初めは少量、それが量を増していき、ついには滝の如く迸り始める。
同時に発せられる声も徐々に大きくなり、泣いているというよりもむしろ鳴いているといったほうが近いかもしれないほどになった。

「あああああああああああああああああああんまりだああああああああああああああああああああああああ
 HEEEYYYYYYYYYY AHYYYYYYYYYYYYY AHYYYYYYYYYYYYYYYYY」

あまりの光景にジョルノは警戒を薄め、呆然とエシディシを眺める。
彼の様はどう見ても大きな子供。さっきまでの人物には別人としか思えない。

「WHOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!」

攻撃も忘れたジョルノの前でエシディシは鳴き続ける。
しかし、ジョルノもいち早く我を取り戻してエシディシに止めを刺そうと拳を振り上げる。
込められるエネルギーを全て注ぎ込んで流し込む生命エネルギーの量を限界まで増やした拳がエシディシに迫る。

「ふぅ。スッキリしたぜ。そして、お前はミスを犯した! 泣き喚く俺に気を取られ、安直な攻撃を繰り出したな!
 お前が気が付いたように、俺も発見したぞ! お前の能力は拳に触れなければ何も怖くないとなあああああああああああああ!!」 

スタンドと共に伸ばされたジョルノの腕に手刀を入れてジョルノの腕を切断する。
飛び出す鮮血、切断面からは骨が覗く。
即座に残る腕で地面を殴り、失った腕を創造。
生身の腕で拾い上げて、切断面同士を繋ごうと押さえる。
が、この隙を逃してくれるほど目の前の柱の男は甘くは無い。
腕が接合するまでの間、片腕のゴールド・Eでエシディシを相手にしなければいけなく
そしてそれはあまりにも荷が重過ぎる話であった。
ラッシュを掻い潜った突きがジョルノの胴体を狙い――

69:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:52:15 JaivTWtq
ああ、頭がコロネに見える訳ね?
なんか萌えオタくさい仇名で嫌だなあ・・・

70:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:54:39 456egYiG
名言キターーーー

71:名に棲む鬼 ◆xrS1C1q/DM
08/12/27 21:55:25 ojzDQooU


エシディシが後方へと吹き飛んでいった。
ジョルノの手にあるのは蛙。
手を作る際にコッソリと忍ばせておいた蛙だ。
エシディシに見られる前に蛙を小石へと戻し、治した左腕の様子を試すように後ろへ放り投げる。

「ふむ、お前はまだ能力を隠しているようだな。 
 で、次にお前は『答える必要はありません』と言う」
「答える必要は……なかなかすごいですね。よっぽど頭がよくて心理を把握できなければ出来ない芸当ですよ」

ジョルノの無関心そうな褒め言葉にもエシディシは気分を害さない。
ニヤついた気味の悪い笑みを浮かべながら両手の人差し指を立て―――




自分の全身を突き刺した。
傷口からは血液が滴り、自身の体に吸収される。
痛みを感じるどころかむしろ嬉しそうな様子で突き刺すエシディシに流石のジョルノも背筋に嫌なものが走る。
身体に無数の穴ぼこの空くエシディシが叫んだ。

「MUUUUUUUUUU『怪焔王』の流法!
 お前に秘められた能力があったように俺にもまだ隠し玉が残っていたんだよぉ!!」

空洞から蛇使いの蛇のように血管が飛び出してくる。
先端からは鮮血が滴り、地面に生えている草を焦がす。

「なるほど……熱々のシチューのように煮えたぎる血。それが貴方の能力なのですね」

ジョルノが相手にするのはエシディシの四肢と体中から伸びる血管達。
先程までは四肢で精一杯であった。
今回の攻撃はその上、無数の血管が攻撃に加わる。
如何なる策も講じる暇のないジョルノの勝ち目は限りなく薄いだろう。
しかし、彼は信じることにした。自分のスタンドの身体能力と生命を与える能力を。

「ゴールドッッ・エクスペリエンスッッッ!!」

精神を奮い立たせる咆哮と共に彼はエシディシの下へと突っこんでいった。


72:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:55:33 USLe3nxL
まぁ、気にすんな
使う人がいるんだ~、って感じで覚えるぐらいでおk

73:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:55:46 JaivTWtq
ジョルノ相手に頭脳戦は死亡フラグだぜ!

74:名に棲む鬼 ◆xrS1C1q/DM
08/12/27 21:57:42 ojzDQooU















唐突、全てが唐突であった。
ジョルノも目を丸くして驚いている。
恐らく自分の目の前で起こった現象が理解できないのだろう。
臨戦態勢であったエシディシがいきなり崩れ落ちたことに。
次は自分の番なのかと辺りをせわしなく見回し、一人の男を見つけた。
聖職者関係であるのが服装で見て取れた。
しかし、全身に刻まれた傷と昏倒したエシディシが目の前の男が只者でないことを告げる。
二人の間に緊張が走り、お互いに一歩も動かない。

「君が……ジョルノ・ジョバァーナだね」

流れる沈黙を神父服の男が破った。

75:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:57:50 FRa04LH4
 

76:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:58:42 FRa04LH4
 

77:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:58:44 JaivTWtq
なんという衝撃のファーストコンタクト・・・
これは誰でもビックリする・・・

78:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:59:29 Oo9UO9SC
神父ひでぇww

79:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:59:48 JaivTWtq
まぁ、数時間で友好関係を深めようが
所詮プッチの中ではエシヂィシ<ディオだもんなあ・・・


80:創る名無しに見る名無し
08/12/27 21:59:58 456egYiG
なん・・・だと・・・?

81:創る名無しに見る名無し
08/12/27 22:00:30 JaivTWtq
プッチよ・・・こいつはウン何とかとかリキエルとかとは違うぞ・・

82:賢なる者は宴に集う ◆xrS1C1q/DM
08/12/27 22:00:53 ojzDQooU
★   ☆   ★

時はプッチvsサーレーが終わって少し後へと遡る。
プッチは自身の傷を意に介せずに鉄塔へと向かっていた。
幸い鉄塔はこの位置からでも見えていたので、迷子になる事は無い。
片足を引きずりながら彼は一歩一歩確実に進んでいった。

「おい……そこの神父……」

不意に聞き覚えのある声が聞こえた。
掠れていて聞き取りづらかったものの、忘れることの無い懐かしい声。
出会うことは想定していた。しかし、こんなに早く会えるとは思わなかったのでプッチは面食らっていた。

「ディオ、君か? 一体何処にいるんだ?」

返事は無い。
シーザーの件があり、ディオは一方的な知り合いに強い警戒心を抱くようになっていた。
息を潜め、人影が去っていくのを木陰で待つ。
当然、彼のプライドは千切れ飛びそうになるものの、理性と言う名の鎖が怒りを繋ぎとめる。
憤怒によって痙攣する手足を必死で押さえて、身を潜める。
切り札をなくした彼が、スタンド使いや波紋戦士に抗う術はない。
何よりも彼自身がその事を自覚していたので、大人しく潜んでいるのだ。

「ディオ! 私だ! エンリコ・プッチだ!」

ここまで呼びかけた所でプッチの頭はとある可能性を導き出した。
死んだはずの旧友と思いがけぬ再開を果たしかけた所為で頭から抜け落ちていたとある可能性を。
それは彼にとってはあまりにも残酷な仮説。
しかし、これは乗り越えなければいけない試練。
プッチは口を開けた。友が友で無いと確認するために。

「まさか……君は私と知り合う前の時代から来たというのか……」

時代と言う言葉が引っかかりつつも、ディオはプッチの言葉を欠かさずに聞く。
プッチも返事が無い事を気にせずに姿の見えないディオに語りかける。

「いいかいディオ。私が今から言うことは嘘偽りの無い事実だ。
 結論から言わせて貰うよ。私達は荒木のスタンド……超能力によって別々の時代から連れて来られたんだよ。
 そして、私は君の未来の友人だ。証拠を言おう、君は父が嫌いだった。君が語ってくれた数少ない思い出さ……」

プッチがキーワードを言い終わった瞬間だった。
慎重な行動やジョルノへと
荒い息をしたディオが、木の陰から飛び出してほうほうの体でプッチへと掴みかかる。

83:創る名無しに見る名無し
08/12/27 22:02:16 FRa04LH4
  

84:創る名無しに見る名無し
08/12/27 22:02:16 JaivTWtq
それじゃただの危ない人だぞ神父よ・・・

85:賢なる者は宴に集う ◆xrS1C1q/DM
08/12/27 22:03:14 ojzDQooU
「貴様ッ……どこでその事を知った! そもそも俺はアイツを父親と認めんッ!」

腹の底から湧き上がる怒りを声に変換して口から搾り出す。
襟を掴んだその手は弱弱しいながらも執念によってきつく握られる。
プッチは友人の怒声に瞳に悲しみを色濃く残すも、表面上は冷静に言う。

「すまない……。その話はまた後にして欲しい。今は火急の用があるからね……。
 が、約束はするよ。未来の君が何をやり、何を遺してきたのか教えると言うね
 だから私に着いてきてくれないか? お願いだ」
「断る! 俺は今から向かわなくてはならん場所がある」

そう言って今にも倒れそうな足取りで鉄塔へと向かうディオ。
だが、ダメージが早々回復するわけもなく、足の力が抜けて大きくバランスを崩す。
倒れ掛かったディオの肩をプッチが支えた。

「余計なことをするなっ! 一人でも歩ける!」

組まれた肩を振り払い、フラフラと歩み始めるディオ。

「何故俺を付回す!?」

後ろを同じペースで歩くプッチに怒りをぶつけるディオ。
静かに、普段から低いトーンを更に低くしながらプッチは答える。

「偶然だが……知り合いが鉄塔に向かっていてね。
 それに、君が何と言おうとも私は君の友であるつもりなんだ」

更に言い返そうとするも体力の消費が激しい上、一刻も早く鉄塔へ向かわなくてはいけなかったので無視して進む。
二人は無言で突き進む。

(未来の俺だと? コイツは気が触れているのか? ……いや、さっきのやつの言動も未来の俺が何かやらかしたと思えば納得がいく。
 ならば頭を下げて未来の俺の事を聞くのか? コイツは俺の未来の友らしいから可能ではあるだろうがな……
 まぁいい。未来の俺とやらの話を詳しく聞くまではコイツの存在は無視しよう)
(ディオ……君が私の事を知らないのは残念だが、此処に君が存在するだけで私は喜びを感じるよ。
 しかし、これからどうするべきか…… 未来のDIOは死んでしまっていてスタンドDISCも記憶DISCもない……)

様々な思惑を内に秘めながら二人は歩いた。
互いに一切の言葉を交わすことは無い。
ただ、傷ついた体を引きずって前へと進んで行くだけだ。
そして、辿り着いた鉄塔。
戦うジョルノとエシディシ。
追い詰められたジョルノ。
エシディシを殴りかねない勢いで飛び出したディオ。
発せられたジョルノという名。
咄嗟にエシディシに『気絶する』という命令のDISCを投げる。


こうして話は現在へと戻った。

86:創る名無しに見る名無し
08/12/27 22:03:16 456egYiG
神父はもうちょっと落ち着けw

87:創る名無しに見る名無し
08/12/27 22:04:39 FRa04LH4
  

88:創る名無しに見る名無し
08/12/27 22:04:56 JaivTWtq
これはもう神父ウハウハだなwwww
自分の知り得なかった部分を補完出来そうだしwwwww

89:創る名無しに見る名無し
08/12/27 22:05:26 456egYiG
さて、残す問題はFFと神父か・・・

90:創る名無しに見る名無し
08/12/27 22:06:09 FRa04LH4
  

91:創る名無しに見る名無し
08/12/27 22:06:55 FRa04LH4
 

92:創る名無しに見る名無し
08/12/27 22:07:13 j6rDWMlT
 

93:創る名無しに見る名無し
08/12/27 22:07:16 JaivTWtq
取りあえず ID:FRa04LH4は空撃ち自重すべきだと思うんだ。
コメントとか支援とか書いてあった方が書き手さんも嬉しいと思うが

94:賢なる者は宴に集う ◆xrS1C1q/DM
08/12/27 22:07:39 ojzDQooU
あなた、誰ですか? という言葉を出そうとして途中で飲み込む。
ジョルノの視界に入る不機嫌そうな顔をした金髪の男。
ついさっきまでは一緒に行動していたパートナーが後方に見えたのだ。

「彼が連れてきてくれたんですね。本当に……助かりましたよ」

心底ホッとした様子でジョルノは右腕を差し出す。
友好の証である右手。
プッチは躊躇うことなくその掌を己の左手で包み込み言った。

「始めまして、私はエンリコ・プッチ。君の父親の親友だ」
「僕の父親とは……?」
「ディオ・ブランドー、私の後ろに立っている人物だ。
 とはいっても君には今更説明する必要も無かったみたいだがね。
 いや、運命と言うのはあるのかもしれないね。
 まさかこの短時間で親子が再開を果たしていたとは思わなかったよ」

人当たりのよさそうな声と顔でジョルノと接するプッチ。
握った手を離し、話の核心へと前置きなく踏み入った。

「ちょっといいですか?」
「どうしたんだい?」

打ち明けられた衝撃的な事実を聞くも、ジョルノに動揺はない。
冷静にプッチへと質問を返す。

「僕の父は左肩に星型の痣があるはずですが、彼にはありませんでしたよ?」
「簡単さ、私たちは時間を越えて集められている。これだけで分かるだろう?」

プッチの返事にジョルノの鉄面皮が剥がれ落ちる。
ジョルノは咄嗟にディオの方を見た。
その態度に口を開くまいと誓っていたディオの唇が激しく動く。

「貴様もコイツの世迷言を信じてると言うのか!? 馬鹿馬鹿しい! 」
「ディオ……口では否定しながらも、君は僕に着いてきているだろう?
 それこそが君が僕の話に興味を持っている証拠じゃないのかい?」
「―――ッッッッッ!」

顔を赤め、ディオは再び押し黙る。


95:創る名無しに見る名無し
08/12/27 22:09:10 456egYiG
まあ、空打ち派とコメント派がいるし、どっちでもいいんじゃない?
書き手さんで「コメント邪魔」とか「空打ち勘弁」って人がいたら遠慮なくそう言っていいと思うし

96:創る名無しに見る名無し
08/12/27 22:09:34 JaivTWtq
ディオは凄く新鮮wwww
DIOじゃこうはいかねえwwwww

97:賢なる者は宴に集う ◆xrS1C1q/DM
08/12/27 22:09:40 ojzDQooU
「しかし、時を越えて集められたと言うのは面白い仮説ですね。
 それに……僕の父のことにも興味があります。
 どこか安全な場所で少しお話がしたいのですが?」
「あぁ、私もそう考えている。が、すまないが彼を起こさないと話は進まないんだ。
 だからホンの少しでいいから待っていてくれ」

言い残し、プッチはエシディシの傍にしゃがみ込む。
この時点でジョルノには悪い予感がした。
そして、それは見事に的中することとなる。
プッチの手がエシディシの頭へと突っこまれると、そのまま銀色の円盤をエシディシの頭から引き抜く。
ジョルノは冷や汗を掻きながら、安堵した精神を再び引き締める。
一秒、二秒、丁度三秒後にエシディシは上体を起こした。

「MM? 俺は気絶していたのか?」
「あぁ。君がジョルノと戦っていたからね。止めるにはこれしかなかったのさ」
「プッチ…お前の仕業だったか。だが、コイツのスタンドは俺たちにとって危険、止めるのは許さん!」

腕を使って体を持ち上げ、臨戦態勢に入る。
自分のことを眼中にも入れないエシディシに内心溜息を吐きつつ、プッチはエシディシの肩に掌を乗せる。

「エシディシ……二対一で勝てると思うかい?」

気が付けば自分の頭にはホワイト・スネイクの手刀が突きつけられており、いつでもDISCが抜ける状態になっていた。
更に目の前では何時でも拳を叩き込めるように構えるジョルノの姿。

「なるほど……これは俺が譲歩せざるを得ないということか……
 貸しが一つ出来たぞプッチ。いや、お前がスタンドを与えてくれるというならば相殺されるのか?
 まぁ、その辺に関しては後々ハッキリさせよう。
 そろそろ日が昇るからな……俺はコロッセオの地下で待つ。
 入り口は真実の口だ。分かったな? 時間が無いから急がせて貰うぞ!」



98:創る名無しに見る名無し
08/12/27 22:10:06 FRa04LH4
ぬ、そうか。感想とかは最後にまとめて書く派なんで
後空のほうが直次撃てるから回数多い方がいいと思ってた
こいつは失礼

99:創る名無しに見る名無し
08/12/27 22:10:53 j6rDWMlT
別にそんなんどっちでもよくね?
俺は空打ちだけど

100:創る名無しに見る名無し
08/12/27 22:11:55 oejLPg+Y
支援

101:創る名無しに見る名無し
08/12/27 22:12:10 USLe3nxL
別にどっちだっていいさ!
みんなジョジョを愛してる、それ以外に何が必要だい?

102:創る名無しに見る名無し
08/12/27 22:12:13 JaivTWtq
いや、俺こそすまん・・・
人のやり方にケチをつけるのは良くないか・・・

103:賢なる者は宴に集う ◆xrS1C1q/DM
08/12/27 22:12:29 ojzDQooU
「しかし、時を越えて集められたと言うのは面白い仮説ですね。
 それに……僕の父のことにも興味があります。
 どこか安全な場所で少しお話がしたいのですが?」
「あぁ、私もそう考えている。が、すまないが彼を起こさないと話は進まないんだ。
 だからホンの少しでいいから待っていてくれ」

言い残し、プッチはエシディシの傍にしゃがみ込む。
この時点でジョルノには悪い予感がした。
そして、それは見事に的中することとなる。
プッチの手がエシディシの頭へと突っこまれると、そのまま銀色の円盤をエシディシの頭から引き抜く。
ジョルノは冷や汗を掻きながら、安堵した精神を再び引き締める。
一秒、二秒、丁度三秒後にエシディシは上体を起こした。

「MM? 俺は気絶していたのか?」
「あぁ。君がジョルノと戦っていたからね。止めるにはこれしかなかったのさ」
「プッチ…お前の仕業だったか。だが、コイツのスタンドは俺たちにとって危険、止めるのは許さん!」

腕を使って体を持ち上げ、臨戦態勢に入る。
自分のことを眼中にも入れないエシディシに内心溜息を吐きつつ、プッチはエシディシの肩に掌を乗せる。

「エシディシ……二対一で勝てると思うかい?」

気が付けば自分の頭にはホワイト・スネイクの手刀が突きつけられており、いつでもDISCが抜ける状態になっていた。
更に目の前では何時でも拳を叩き込めるように構えるジョルノの姿。

「なるほど……これは俺が譲歩せざるを得ないということか……
 貸しが一つ出来たぞプッチ。いや、お前がスタンドを与えてくれるというならば相殺されるのか?
 まぁ、その辺に関しては後々ハッキリさせよう。
 そろそろ日が昇るからな……俺はコロッセオの地下で待つ。
 入り口は真実の口だ。分かったな? 時間が無いから急がせて貰うぞ!」



104:創る名無しに見る名無し
08/12/27 22:13:31 456egYiG
しえーん

105:創る名無しに見る名無し
08/12/27 22:14:45 JaivTWtq
後はFFとダービーだな・・・
万全な状態のダービーならコイン一枚でも凶器になりかねん・・・

106:賢なる者は宴に集う ◆xrS1C1q/DM
08/12/27 22:15:31 ojzDQooU
言いたい事だけ言って、返事を聞かずに東へと走っていくエシディシ。
柱の男の身体能力が生み出す脚力は人智を超え、舞い上がる土を残して彼の姿は消え去る。
最大の壁を何の被害も無く消し去ることが出来た事に安心する二人。

「すみません。貴方とお話をしたいのは山々なのですが、先程ヘリから落とされたあの男。
 何故あのような行為を行ったのですか? 返事によっては――」

あえてそこから先は言わず、スタンドを発現させることによって意思を伝える。
正直に好奇心で、落としたといえば間違いなく火種が炎上し始めるだろう。
だから、プッチは嘘を吐く。

「彼の手足には黴が生えていただろう? あれは誰かのスタンド能力で周りにも感染する物なんだ。
 ただし黴の発生には条件があって、それは低い位置に行くという事。
 私たちは被害を抑えるために高い所、要するにヘリコプターの上から彼をマップ外へと捨てようと思っただけだ」
「では、彼が僕たちの近くへ落ちてきた理由は? ついでに、ヘリコプターが墜落した理由も教えて頂けると嬉しいのですが」

信用を一切見せない冷たい声がプッチを貫く。
彼はジョルノからの信用を勝ち取るために作り話を続ける。

「彼が落ちてきたのは私達がスタンド攻撃を受けたからだ。
 物体を固定する能力の持ち主でね……苦戦したが何とか仕留める事ができたよ。
 その後については大方予想が付くね。エシディシが挑発的な言動を取ったんだろう? 彼のパートナーとして謝罪させてもらうよ」
「………。」

プッチの話に出た固定の能力者にジョルノは心当たりがあった。
チームの仲間であったミスタが戦ったサーレーというゴロツキがそのような能力を持っていたと聞いている。
だが、エシディシの好戦的すぎる態度にはイマイチ納得がいかない。
着いていくかどうするか。
顎に手を当て悩むジョルノがふと顔を上げると、ディオと偶然目が合う。
露骨に嫌悪感を示したディオを眺め、ジョルノは思う。

(この神父が僕の父の知り合いであるというのは確かだろう。父の名を知っているのだから……
 しかし、本当に信用できる人物かと聞かれれば首を傾げざるを得ないな。
 どうする? ……いや、答えは既に決まっている。
 父の話を聞きたいという好奇心もそうだが、コイツは僕が監視しなくてはいけない)

プッチに向き合って、彼の瞳をしっかりと見据える。
強い決意を持っているようだが、それに気圧されない意思を持ってジョルノは言葉を発する。

「いいでしょう。コロッセオで貴方の話を聞かせてもらいます」
「君の理解に感謝する」

今回はプッチが右腕を差し出してきた。
迷うことなく左手を出して、ジョルノはプッチの掌を握る。

「ディオ。君も着いてきてくれるのかい?」

振られた問い掛けに鼻を鳴らすディオであったが、プッチは気にせずに歩き始める。
ジョルノも少しプッチと距離を置きながらも彼の後へ着いていく。
その際に数回後ろを振り向くがディオは動かない。
だが、四回振り向いたところで 非常にいらいらした様子で歩き始めたのでジョルノも振り向かずに歩く。

(確かにあのデカブツはプッチとやらがスタンドを与えることが出来るという旨の話をしたな……。
 スタンドは確かに欲しい! だが、自称未来の友から貰うのも癪だ。クソッ、またこの手の悩みか!)

四人が去った後に残されたのは一本の腕。
プッチに、ディオにさえ黙ってジョルノが作り出した腕のみが暁の空の下に置いていかれた。

107:創る名無しに見る名無し
08/12/27 22:17:32 FRa04LH4
 

108:創る名無しに見る名無し
08/12/27 22:18:05 JaivTWtq
支援

109:賢なる者は宴に集う ◆xrS1C1q/DM
08/12/27 22:19:07 ojzDQooU
【崩れかけた帝王の城】

【D-2/1日目 早朝】
【ディオ・ブランドー】
[時間軸]:大学卒業を目前にしたラグビーの試合の終了後(1巻)
[状態]:内臓の痛み、右腕負傷、体力消耗(大)、プライドがズタズタ(悪化)、スタンド使いへの激しい嫉妬、ジョルノ、シーザー(と荒木)への憎しみ、自分に対する無力感、ストレス
[装備]:なし
[道具]:チャーイ(残量1.5㍑)、基本支給品 不明支給品0~1
[思考・状況]
基本行動方針:なんとしても生き残る。スタンド使いに馬鹿にされたくない。
1ジョルノが憎いが、借りを返すまではジョルノと行動を共にする。返した後は不明(現在は腹を立てているので借りについては保留)
2.勿論ジョルノとの行動の途中でジョナサン、エリナ、ジョージを見つけたら彼らとも合流、利用する
3.なるべくジョージを死なせない、ジョナサンには最終的には死んでほしい(現時点ではジョルノにジョナサンを殺させたい)
4.ジョルノが……俺の息子だと!?(半信半疑)
5.プッチとやらはスタンドを与える能力を持っているようだが、頼むのも癪だ!
[備考]
1.見せしめの際、周囲の人間の顔を見渡し、危険そうな人物と安全(利用でき)そうな人物の顔を覚えています
2.チャーイは冷めません
3.着替えは済んでいます
4.ジョルノからスタンドの基本的なこと(「一人能力」「精神エネルギー(のビジョン)であること」など)を教わりました。
  ジョルノの仲間や敵のスタンド能力について聞いたかは不明です。(ジョルノの仲間の名前は聞きました)
5.ジョナサン、ジョージの名前をジョルノに教えました。
  エリナは9割方死んでいるだろうと考えているので教えていません。(万が一見つけたら合流するつもりではいます)
6.シーザー戦で使用したロードローラ(3部のあれ)はD-3南部に放置されています。
  壊れたか、燃料が入っているかは不明です。
7..参加者が時を越えて集められたという説を聞きました(本人は半信半疑です)


【ジョルノ・ジョバァーナ】
[スタンド]:『ゴールド・エクスペリエンス』
[時間軸]:メローネ戦直後
[状態]:健康(ゴールド・エクスペリエンスで治療済み)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品0~3
[思考・状況]
1.プッチと共にコロッセオへと向かう。
2.仲間を捜す
3.ディオに変な違和感(父という事には半信半疑)
4.ジョナサンの名前が引っ掛かる
5.プッチとエシディシを警戒
[備考]
1.ギアッチョ以降の暗殺チーム、トリッシュがスタンド使いであること、ボスの正体、レクイエム等は知りません。
2.ディオにスタンドの基本的なこと(「一人能力」「精神エネルギー(のビジョン)であること」など)を教えました。
 仲間や敵のスタンド能力について話したかは不明です。(仲間の名前は教えました)
3.彼が感じた地響きとは、スペースシャトルが転がった衝撃と、鉄塔が倒れた衝撃によるものです。
  方角は分かりますが、正確な場所は分かりません。
4.ジョナサン、ジョージの名前をディオから聞きました。ジョナサンを警戒する必要がある人間と認識しました。
5.参加者が時を越えて集められたという説を聞きました

110:創る名無しに見る名無し
08/12/27 22:19:36 j6rDWMlT
 

111:創る名無しに見る名無し
08/12/27 22:19:44 FRa04LH4
 

112:賢なる者は宴に集う ◆xrS1C1q/DM
08/12/27 22:20:23 ojzDQooU
【エンリコ・プッチ】
[時間軸]:JC6(69)巻、ヤドクガエルに“破裂する命令”をした直後
[状態]:健康 腕の辺りの服がちょっと燃えてる
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、ヘリコの鍵(ヘリコプターはコミックス60巻でチョコラータが乗ってたもの)、ウェザーの記憶DISC
    不明支給品0~2(確認はしてます)
[思考・状況]
基本行動方針:ディオ&ジョルノのもとへ、天国へ
1.ジョルノたちとコロッセオへ。
2.こいつ(エシディシ)は良い奴のようだ。しばらく一緒にいてみよう。もっと情報交換をしたい。
3.ディオが違う時代から来ていたことに少しショック。
4.ジョースター一族はチャンスがあれば抹殺(無理はしない)。
5.DISCの確認
6.エシディシに相応しいスタンド探し
備考
※二人ともお互い「気が合う、面白い」といった理由で手を組んでいるので利用する等の発想は現段階ではありません。
※時代を越えて参加者が集められていると考えています。
※日光から逃れれるのなら付近に建物、及びアヴドゥルの隠れ家に戻ってもいいと考えてます。
※C-10、特に隠れ家の周りはダービーの手足と周りの植物を基に繁殖したカビが広がってます(大体はエシディシに焼かれました)。
※スタンドが誰にでも見えると言う制限に気付きました
 彼らはその制限の秘密が首輪か会場そのものにあると推測しています
※未だ朝日が昇ってないため音は聞こえますが、下の様子がわかりません。
※『ジョースター家とそのルーツ』リストには顔写真は載ってません。
※ヘリは墜落しました。残骸はD-2の南部にあります


【エシディシ】
[時間軸]:JC9巻、ジョセフの“糸の結界”を切断した瞬間
[状態]:右手の手の甲が粉砕骨折(回復中)、ちょっとハイな気分。落下の際に脚部に軽いダメージ(戦闘に支障なし)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、『ジョースター家とそのルーツ』リスト(JOJO3部~6部コミックスの最初に載ってるあれ)
    不明支給品0~2(確認済み)
[思考・状況]
基本行動方針:生き残る(乗る乗らないは現段階では不明)
1.日が昇る前にコロッセオへと向かう
2.こいつ(プッチ)はなかなか面白い。しばらく一緒にいてみよう。もっと情報交換をしたい
3.太陽に弱いという意味で無理に出歩く必要はない。
4.自分のスタンドを探す
備考
※二人ともお互い「気が合う、面白い」といった理由で手を組んでいるので利用する等の発想は現段階ではありません。
※時代を越えて参加者が集められていると考えています。
※日光から逃れれるのなら付近に建物、及びアヴドゥルの隠れ家に戻ってもいいと考えてます。
※C-10、特に隠れ家の周りはダービーの手足と周りの植物を基に繁殖したカビが広がってます(大体はエシディシに焼かれました)。
※スタンドが誰にでも見えると言う制限に気付きました
 彼らはその制限の秘密が首輪か会場そのものにあると推測しています
※『ジョースター家とそのルーツ』リストには顔写真は載ってません。

113:創る名無しに見る名無し
08/12/27 22:22:09 JaivTWtq
もう砂のお城レベルになってるなwwwww

114:創る名無しに見る名無し
08/12/27 22:22:16 FRa04LH4
 

115:賢なる者は宴に集う ◆xrS1C1q/DM
08/12/27 22:23:37 ojzDQooU
★   ☆   ★


ダービーを背負って森を走るF・F。
彼女の顔にはくっきりと落胆と焦燥の相が浮かんでいた。

「プッチは……どうやら擦れ違っちまったみてぇだな……
 で、ここは何処だ? がむしゃらに走ったせいで訳ワカンネェ所に来ちまったぜ。
 一旦鉄塔に戻ってジョルノに加勢するか?」

立ち止まり、ダービーを地面へと置いてF・Fは頭を抱える。
肩に見える緑色の影は月明かりがもたらした悪戯か? それとも外道が持ち込んだ悪意か?

【E-2/1日目 早朝】

【ダニエル・J・ダービー】
[時間軸]:本編初登場前
[状態]:気絶、満身創痍。落下による全身へのダメージ(大)
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:これは夢なんだッ!バンザーイッ!
1.・・・?
2.痛みでまともな思考ができない
※自分以外の参加者はみんな死ねばいいのに、と考えてます。
※どうせ死ぬんだから誰かが死ぬためならなんだっていいと考えています。
※他の参加者がヘリコプターの通ったルートの真下を歩いてもカビに感染するとは限りません。
 これはグリーン・ディのカビと地面の距離が充分離れている、つまりカビの媒介物であるダービーが空にいるからです。
 逆に言うとダービーが地面に落とされた地点の周辺に誰かが近づいたらそいつは(ry
※声は出るようになりました。これはプッチとエシディが声で他の参加者が近づいてくれると判断したためです。
【F・F】
[スタンド]:フー・ファイターズ
[時間軸]:DアンG抹殺後
[状態]:健康、黴に感染?
[装備]:なし
[道具]:加湿器、メローネのマスク、支給品一式、壊れた懐中電灯
[思考]:基本行動方針: 徐倫達に会ってホワイトスネイクの正体を教え、共に承太郎のDISCを奪還する。勿論荒木は倒す
1.プッチを探すか? 鉄塔へ戻るか?
2.あとでリゾットと組んで行動し、リゾットを信用していいかその時に見極める
3.ブチャラティチームとプッチの一味は敵と判断
[備考]
※リゾットの能力を物質の透明化だと思いこんでいます
※承太郎はDISCを抜き取られ廃人化した状態だと思いこんでいます
※リゾットの知るブチャラティチームの情報を聞きましたが、暗殺チームの仲間の話は聞いてません
※隕石を落としたのはウエストウッドじゃあない別のスタンド使いだと思っています。
※ジョルノに対しては未だ完全に信頼していません。
※黴に感染したかどうかはハッキリとしていません



116:賢なる者は宴に集う ◆xrS1C1q/DM
08/12/27 22:24:36 ojzDQooU
★   ☆   ★

広場の近くに倒れ伏すシーザー。
出血は抑えたものの失った左腕のダメージはあまりにも大きく、ここまで来れたのが奇跡だといえるような状態。
気力と波紋の力のみで動かしてきた体にも限界は来た。
薄れ行く意識。
酷使した肉体を開放しようと無意識の内に目を閉じてしまう。

「……デンゴン。アナタヲ テキデハナイト ハンダンシタノデ ウデヲ ツクッテオイタ」

掠れ逝く聴覚にこのような言葉が飛び込んでくる。
アクセントは曖昧、発音も怪しい。
聞き取るのが非常に難しかった物の、要するに腕が治るという事らしい。
当然、罠の可能性も考えてはみたが放っておいても死ぬのだからやることはやってみようと最後の力を振り絞り歩く。
靄がかかった視界の中心に見える赤い影――オウムの一種がこのことを伝えたらしい。
オウムが鉄塔の方へと羽ばたいていった。どうやら付いて来いという意味らしい。
棒のような足を一歩一歩踏み出してシーザーはオウムの後を追いかけ、腕の置かれた位置へと辿り着く。
どうすればいいのか? そんな考えを全て振り払い、シーザーは自身の腕の切断面に置かれた腕の切断面を合わせる。
たちまち二つは繋ぎ合わせられ腕が元通りになるも、シーザーは不思議に感じることはなかった。
それと同時に視界にかかる靄が薄れていく。

「まだ……俺は……死なねぇ……」

ジョルノがシーザーを敵でないと判断した理由。
それは優勝狙いの人物が、こんな重傷を負いながらもわざわざ人の集まる場所へ来るわけがない。
穴だらけの論理ではあったが、時間がないのだから仕方がなかった。
幸いにもシーザーはジョルノの予想通り、荒木に反旗を翻そうとする人物だった。

気絶する彼の顔は安らかだった。
戦いで傷ついた男の最初の休息が、固い地面をベッドにした最悪のものであるにも関わらず――――


【シーザー・アントニオ・ツェペリ】
[時間軸]:ワムウから解毒剤入りピアスを奪った直後。
[状態]:首に若干の痛み(戦闘には支障無し)、疲労(大)、ダメージ(大)
[装備]:スピードワゴンの帽子。
[道具]:支給品一式、エリナの人形、中性洗剤。
[思考・状況] 基本行動方針:ゲームには乗らない。リサリサ先生やJOJOと合流し、 エシディシ、ワムウ、カーズを殺害する。
1.・・・(気絶中)
2.荒木やホル・ホースの能力について知っている人物を探す。
3.スピードワゴン、スージーQの保護。
4.ストレイツォは出来れば殺したくない。
5.女の子がいれば助ける。

※シーザーは重傷ですが放置しても死にはしません


117: ◆xrS1C1q/DM
08/12/27 22:26:30 ojzDQooU
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
投☆下☆完☆了!!

ながかった!支援くれた皆!本当にありがとう!
コメントありでも空白でも支援がある時点で俺は幸せですww



118:創る名無しに見る名無し
08/12/27 22:40:13 456egYiG
うおおおおおおおおおおおおおお、投下乙!
さようならサーレー・・・
しかし綺麗にまとまったなあ
バトルも上手い・・・
本当にGJでした!

119:創る名無しに見る名無し
08/12/27 23:00:29 FRa04LH4
投下乙!
多人数を綺麗に捌いて凄いです!!
サーレー死んだーーーー!、でもまっいっかw(サーレーファンの方ごめんなさい)
柱の男は相変わらず身体スペックがチートだぜ
ジョルノ、プッチ、ディオのトリオのこれからに期待。しかしディオ様はそのうちストレスで倒れるのではなかろうか?
FFはダービーをどうするかな
シーザーはあたらしいうでをてにいれた、ジョルノはホント万能だな


120:創る名無しに見る名無し
08/12/27 23:04:52 USLe3nxL
投下乙ッ!
こいつに敬意を表してやりたいんですが構いませんねッ!?

いや、ほんと面白かった。なにより「巧かった」
サーレー対プッチ、ディオ対シーザー。二つの戦いの結末に驚愕、シーザー…そしてサーレェエェエーーッ!
時代が違うというロワならではの設定で組まれたプッチ、ディオ、ジョルノ、エシディシの四人組に痺れた……

それにしてもジョルノはほんと主人公だなwww
スタンドもだけどやつの頭脳は優秀すぎるwww

生き返ったダービーにも注目……って気になるパートがありすぐるッ!

改めて投下乙!ディ・モールトベネ!

121:創る名無しに見る名無し
08/12/27 23:20:18 dvK2XxLE
投下乙!プッチVSサーレー。そしてジョルノVSエシディシ
いいバトルを見させてもらった。
ここは集団が多くできるロワだなあw

122:創る名無しに見る名無し
08/12/27 23:38:50 L2qka3Yy
投下乙!
自分には出来ない“裏の裏を読む戦いの描写”が素晴らしい。
見習いたいものです。。。

123:創る名無しに見る名無し
08/12/28 02:55:19 lmIdBq9W
SUGEEEEE!!
心理描写だけでなく、戦闘までいけるとは……
なんというチート書き手
超GJっした!

124:創る名無しに見る名無し
08/12/28 11:58:35 f+GkyYa8
新スレ乙!そして投下来てる!
なんという凄い話なんだ…ゴクリ

125:創る名無しに見る名無し
08/12/28 16:13:59 LpaKN+8p
予約来てるゥーーッ!
これはディ・モールト楽しみだ!

126:創る名無しに見る名無し
08/12/29 00:36:53 y05Ab1rN
おお、wikiがむちゃんこ更新されてる!
更新した人乙なんだぜ

127: ◆Y0KPA0n3C.
08/12/29 01:28:21 vDk1J0JH
wiki更新された方乙です!

一時投下スレにて投下完了しました。
誤字・脱字、矛盾点・修正すべき点、他気になる点などありましたら指摘お願いします.
一言くださると嬉しいです。ではよろしくお願いします…。



128:創る名無しに見る名無し
08/12/29 23:20:40 jvQjofIy
ディ・モールト乙!

129: ◆xrS1C1q/DM
08/12/30 21:15:57 0dwjCaJv
皆さん、感想ありがとうございました。
感想は私の主燃料なので次回も書く気合が湧いてきます。

で、先日投下したSSの中でアレッシーを登場させるのを完全に忘れていたのですが大丈夫でしょうか?
大丈夫ならばwikiに登録したいのですが、アウトだったら加筆修正させてもらいたいと思います。
アレッシーを書かれた◆wKs3a28q6Qには本当に失礼な行為でした。本当に申し訳ありません。

130: ◆xrS1C1q/DM
08/12/30 21:16:59 0dwjCaJv
ごめんなさい……
◆wKs3a28q6Q氏に敬称をつけるのを忘れてました

131:創る名無しに見る名無し
08/12/30 21:27:37 /lxUJKHz
場所が離れてますし、全然問題ないんじゃないかと
もしかしたら今頃ジョルノ達かFF達を尾行してるのかもしれませんし
ぶっちゃけアレッシーの存在は俺も忘れ(ry

132:創る名無しに見る名無し
08/12/30 21:46:44 JeiKWnJ4
アレッシーなんて『いなかった』。それだけが真実…

133: ◆zQyD4guRRA
08/12/30 22:06:42 gaHRcryO
したらばの一時投下スレに投下しました。
何かありましたらご指摘等よろしくお願いします。

134: ◆Y0KPA0n3C.
08/12/31 10:43:16 FkQwQIMC
規制されそうで怖いなぁ…
少し遅くなりましたが タルカス・リンゴォ 投下します。

135: ◆Y0KPA0n3C.
08/12/31 10:43:47 FkQwQIMC
C-4にあるDIOの館に向かうタルカスの足取りは重かった。現在彼が何より必要としたもの、それは休息であった。
彼がこの殺戮の舞台に呼び出されてから未だ五時間と経過していない。会った参加者も見知らぬ乗り物に乗っていた人物を含めても三人しかいない。
そんな彼が休息を必要とするのか?イエス、なのだ。
どうやら先ほどの出来事は彼にとっていささかショックが過ぎたようである。
小型戦車のように猛スピードを出していた面影はなく、トボトボと歩を進める様はどこか浮浪者にさえ見えた。
血を、肉を求め飢えた野獣のような眼光も鳴りを潜め、俯きがちなその視線は彼の心情を充分に現していた。

何も考えたくない、それが今のタルカスの正直な気持ちであろう。なにも臆したわけではない。殺しに躊躇いがあるわけでもない。ただ、今、この時は心の整理が必要なのだ。
それだから彼は休息を必要としている。
一歩一歩、噛み締めるように館へ向かうタルカス。
彼の背中はどこか寒々としていた。



   ◆



リンゴォが目覚め、何より必要としたのは休息であった。ヨロヨロと起き上がり、全身に響く痛みの合唱に彼の脳はなにより休息を要求したのだった。
その要求を断る理由もあるわけなく、彼は一息ついた後、地べたに座る。楽な体制であるあぐらをかき、両の手で痛む箇所を探り体の点検を開始する。

頭蓋骨、異常なし。
視力・聴力・嗅覚、それに伴う眼球・耳小骨・鼻骨、異常なし。
口内に裂傷確認、依然出血中。血の嫌な味が口内に広がる。
歯、左奥歯を幾つか欠如。
上顎骨・口蓋骨・頬骨、異常なし。
下顎骨に違和感有り。それに伴い額間接に異常有り。損傷は小さい。食事に苦労する程度だろう。
首、軽いむち打ち状態。戦闘に支障なし。

またも一息つく。そのゆっくりと吐き出された息には安堵がこもってるように感じられた。咄嗟に頭部を庇ったおかげだろうか、これだけの負傷ですんだのは幸運だった。
(…いや、本当にそうか?)
ふとリンゴォの中の冷静な自分が問いかける。
あのジョルノ・ジョバーナのスタンドによるラッシュ、確かに感覚が暴走していたこともあり必要以上に損傷を負ったように思えるだろう。しかし………
自分の考えに確証を持つため、体の点検を始める。外れていてくれ、そんな儚い想いを抱きながら。



136:創る名無しに見る名無し
08/12/31 10:44:41 KpJSFGnb




137: ◆Y0KPA0n3C.
08/12/31 10:44:55 FkQwQIMC
胸骨、異常なし。
両肋骨、折れて肺に突き刺さるなんて最悪のことは起きなかったがそれでも相当の圧力がかかったようだ。ヒュ、という呼吸音がそれを物語る。
肩甲骨、試しに大きく腕を回すが何の変化も無し。異常なし。
鎖骨、痛みはあるが折れていることはない。
上腕骨、ひびが入っているのか、わからないが動かしにくい。特に利き手である右手は挙げなくても絶えず鈍い痛みが走る。
前腕骨、同じく右手が酷い状態。握る力が殆どかからない。

焦燥とも焦りとも憎しみと言えない、何ともわからない複雑な感情がリンゴォの中に込み上げてくる。
まだ結論を出すには早い、そう言い聞かせ構わず点検続けようとした。
だがその時気づいてしまった。
(手が動く、腕が動く…。しかも両方とも、だ)
その事実に愕然とした。自分が恐れていたことをこの身を持って証明してしまった。
痛みはある、筋をやったのかうまくは動かすことは出来ない。一秒を争うような戦闘ではとっさに動かすことが出来ないだろう。
だが、しかし。
動かせるのだ。足も動く、手も動く。目も見える、耳も聞こえる、臭いもかげる、話すことだって出来る。それならば一体…
(俺は、自分は、あの青年との戦いで何を賭けたんだッ?!)

『あなたが何を言っているのかよくはわかりませんが……僕は先程言った筈です。あなたをブチのめすと。
 そしてその結果、あなたが生きようが死のうが知ったこっちゃない……僕はそう考えてあなたを殴った 』

そう言ったあの青年は確かにこのリンゴォの求める「漆黒の殺意」を持っていると思っていた。その眼に光り輝く夢を見た。
だからこそあの後自分を殺すようなことが無くても納得した。彼は確かに光り輝く男の道を歩んでいるから、と。
なのに…
(自分は本気を出すまでもない相手だと…。その上情けをかけるほどの相手だと…?)
ジョルノの狙いは的確であった。リンゴォはこの舞台において殺しに戸惑いを覚えない危険人物である。
しかしながらある一定のルール、彼の場合は「男の世界を」乗り越えるというルールだが、を越えない限りはそうとは断言できない。
それどころかそのスタンド「マンダム」の能力から言えば、仲間に出来たら頼りになることこの上ない。
だからである。ジョルノはリンゴォが死なない程度で尚且つ他の人と戦わない程度にぶちのめしたのである。いつかリンゴォを味方に引き込もうと、その思惑から。
最もこれは全てリンゴォの推測でしかない。だがそれでもリンゴォが「今」戦闘不能で、それでいてほかの参加者に会っても問題がないように逃走が可能なように足は無事である。
この事実に気づいたリンゴォは思わず天を仰ぎ、その場に寝そべった。悔しさか、怒りか、はたまた落胆か。何を思ったかはわからない。
夜空を見上げる彼の瞳はどこか空虚であった。



   ◆


138: ◆Y0KPA0n3C.
08/12/31 10:45:27 FkQwQIMC

一体どのぐらいそうやった地べたに寝転がっていたであろう。起きた当初必要としていた休息は充分にとった。
痛みは以前体中に走っているがそれでも体を動かす程度なら大丈夫であろう。ゆっくりと体を起こす。そして立ち上がり、大きく伸びをする。
鼻から夜明け前の澄んだ空気を肺いっぱいに取り込む。ズキンと痛みが走るが、館の周りに生えている緑の芝の臭いが心地よかった。
地面に放り投げられていたデイバッグを拾い上げる。肩にかけるように下げ、比較的痛んでいない左手でナイフを掴む。
先ほどのジョルノとの戦いでリンゴォに何か変化があったのだろうか?自分に情けがかけられたとわかった今、リンゴォの取るべき道は何か?
ジョルノとの協力?ジョルノとのリベンジ?
(協力なんてもってのほかだ…。再戦…奴との戦いを「今」考えると複雑だが奴がこの俺の男の世界を超えたのは紛れもない事実…。すっきりはしないがここで再戦を望むのは野暮だろう…)
結局のところリンゴォの根底である「男の世界」を乗り越えるという部分は変えようがないのだ。ならばやるべきことはひとつ。

   「よろしくお願い申し上げます」



   ◆



ずっと俯いていたタルカスは突然聞こえたその声に顔を上げた。館へと残すところ僅か十数メートル離れた地点。
瞳に写る大きな館の影の中に髭を蓄えた男が一人、殺気を込めて左手にナイフを握り締めている。
男の筋肉が盛り上がる。瞳に宿されている殺意はタルカスが長年見てきた戦士とは違う、それであった。
ビリビリと空気が震える感じに呼応させるようにタルカスはゆっくりとスレッジハンマーを振り回す。
彼の中で先程の屈辱が蘇る。軽々とはじかれた自らのハンマー、砕け散った自信。だがそれを覆す絶好の壁がここにいる。並大抵の相手ではない、そんなことがわからないほどタルカスが馬鹿な男であるはずがない。
(これだ…この感覚だ………ッ!懐かしい戦場の臭いッ!)
常人ならばその空気を震わす緊張感に足を竦ませ、身を震わせるほどの効果があったであろう。
しかしながら、この空気こそがこの二人のホームグラウンド。この空気こそが二人が望んだ世界。

「その言葉、俺は決闘の言葉として受け取った!わが名はタルカス、生前は77の輝輪の試練を制覇した男、そして今は屍生人となった者だ!WRYYYYYYYY!」
「…」

リンゴォの言葉に対し、タルカスは体と言葉で肯定を示す。
その言葉は確かに人ならず者であることがわかるが、名乗りを上げ決闘を望む姿はどこか彼が忘れがちであった人であった時の誇り高き彼の姿、それであった。
片やスタンド使い、片や屍生人。だが共にこの舞台でどこか傷ついたもの同士。
そして共にこの戦いでの目標は一緒。
―『俺のほうが強い』
勝利だけがこの傷を癒してくれる、勝利こそが自らの使命。
例えこの激闘でどちらかが散ろうとも…散るからこそ、この戦いに価値がある。

「…名乗りに感謝する。こちらも遅れたが自己紹介させていただこう………。
名はリンゴォ・ロードアゲイン。 この戦いに使う武器はこのボウィーナイフ。
そして使うスタンド、その名は『マンダム』。能力は時をキッカリ6秒、戻すことができる…。
ほんの6秒。それ以上でもそれ以下でもない。きっかり6秒…6秒間隔さえあければ何度でも時を戻せる…。
そして6秒戻ったという『記憶』だけが残る。これがスタンド、マンダムの能力だ」
「KWAAAA!貴様もスタンド使いか?!だが望むところだ、俺のハンマーの前でそのスタンドで何処まで逃れるかなァ?」

ナイフ構え、ハンマーを固く握る。もはや、交わすべき言葉はない。
一対一、超えるべきは相手。そして敗北の前に散った先頃の自分自身。
賭けるは自らのプライド…そして命。
勝者は一人。敗者も、また、一人。



   ◆



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