他に行き場所の無い作品を投稿するスレat MITEMITE他に行き場所の無い作品を投稿するスレ - 暇つぶし2ch■コピペモード□スレを通常表示□オプションモード□このスレッドのURL■項目テキスト600:創る名無しに見る名無し 09/06/04 22:59:04 qZUdsfpc 高校の時に書いたやつを発掘したんで記念に投下。 タイトル「七夕の夜」 傘をさした男の子は、女の子に会いました。 女の子は不思議な歌を歌いながら、逆さまに広げた傘をくるくるくるくる、回していました。 しとしと雨が、傘の中で水たまりになっています。 「何してるの」 女の子がびっくりして振り向きました。ぱちゃん、傘の水たまりが揺れて、ちょっとだけ零れたみたいです。 「あ……、おどかして、ごめんね」 女の子は首を振って、男の子の手をとりました。 そうして、びっくりしている男の子を見つめて、可愛らしくほほえみました。 「ううん、私こそ。こうしないと、あなたと話もできないの」 女の子が体を動かして喋るたび、髪から頬から、細かな雨の粒が散ってゆきます。 それなのに、女の子は傘をひっくり返そうとはしないのです。 男の子はそれを尋ねました。 「空のお水を集めているの」 女の子が答えます。 「天の川が渇いてしまっているから、空のお水を集めなくてはならないの」 成る程、そうなんだろうな。男の子は思いました。 これだけ雨が降るのですから、天の川だって渇くのに違いありません。 男の子は、手伝ってあげることにしました。 * * * 霧のような雨が降る中で、男の子と女の子が笑っています。 二人はしっかり手をつなぎ、逆さまに傘を持ち、それぞれの言葉で歌を歌っています。 段々と濃く深くなっていく霧の中、二つの歌は一つに混ざり、高く高く響きます。 やがて、宵闇と霧とで二人の姿が見えなくなった頃――男の子は、女の子と同じ歌を 歌っていることに気がつきませんでした。 * * * 七夕の夜が明けて、一つの町から、子どもが一人消えました。 たくさんの人が何日も探していましたが、消えた子はどこにも見つかりません。 そして誰も、天の川に増えた小さな一つの星には気づかないのでした。 次ページ最新レス表示レスジャンプ類似スレ一覧スレッドの検索話題のニュースおまかせリストオプションしおりを挟むスレッドに書込スレッドの一覧暇つぶし2ch