09/04/02 05:34:49 TBGpavgJ
「隆一、ご飯できてるわよ。」
いつものように息子に声をかける母咲子であったが、本当は息子がいつもとは違う事に気づいていた。
何があったかすぐにでも確かめたい。
帰ってくるなりすぐに部屋に閉じこもった隆一、食事の時は青白く恐ろしい顔をしていた。
今思えば何故あの時に声をかけなかったのだろう。
しかしあそこで私に何が言えただろうか。
私にあの子の何が理解できるのだろう…。
咲子は息子を恐れていた。
しかしまた、彼女は息子をそれ以上に強く愛していた。
(本当のところ隆一が何を考えているか分からない。
あの子は頭のいい子だし、私には見当も付かないような事を考えているんだろうけども。
それにしても少しくらい私に話してくれてもいいんじゃないかしら。
あの子は口数も少ないし、友達もあまりいないようだし。
今もきっと難しい問題を一人で考え込んでいるに違いないわ。
何か助けになってあげたいけれど…。
昨日帰ってきたときから様子がおかしかったわ。
朝はそんなことなかったのに。
という事は学校で何かあったのかしら?
さりげなく聞いてみたほうが良いかもしれないわね。
でもあの子は勘のいい子だし、とてもとても優しい子だから、私が心配している事を知ったらきっと私を気遣って何も無かった事にしてしまうわね。
とっても慎重に聞かなくちゃいけない、いつも通りにすればいいのよね。)
隆一がキッチンに入ってくると、咲子はすぐさま声をかけた。
「飲み物はどうする?牛乳、それともオレンジジュースにする?」
「牛乳がいいな。」
隆一は母の姿を見て考えていた。
(おかしいな、昨日の俺はきっといつもとは違っていたはずだ。
母さんがそれを見逃すわけないじゃないか。
それなのにこんなに落ち着いているなんて。
何かあるな、早めにこちらから手を打っておくほうが良いかもしれない。
それにやっぱり母さんだけには心配をかけたくないしな。
そうだ、これは俺自身の問題だ。
誰も関係ない、誰も巻き込むべきじゃないんだ。)
「母さん」
急に声をかけられた咲子は一瞬びくりとする。
その様子を隆一は見逃さない。
(やっぱり気づいている。あんなに俺の声に敏感になっているじゃないか。)
咲子は平静を装いこたえる。
「何?」
「母さん、昨日は僕の様子が変だったのに気づいたでしょ?実は昨日学校でちょっと嫌な事があったんだ。友達と少し言い合いになって…。どうやって謝ろうかずっと考えてて、それですぐに部屋にこもったりして…。」
「あらそうだったの。元気が無かったのはそのせいだったのね。」
「うん、でも今日ちゃんと話してくるから心配しないで。」
「分かったわ。さ、早く朝ごはん食べちゃわないと間に合わないわよ。」
「はい、いただきます。」
(うまくいっただろうか?
でもきっと何も言わないよりはずっと母さんの不安は取れただろう。
そうだ、今不審がられるわけにはいかないんだ。
今日の内にテントのあれもどうにかしなくてはいけないし、そう考えると下手に心配されて行動を拘束されたんじゃいけないからな。)
朝ごはんを食べながら何かを考えている息子を見ながら、咲子もまた考えていた。
(やっぱり何かあったのは当たっていたわね。
でも友達と喧嘩したなんて、本当にそうなのかしら?
私が昨日見た時はもっと鬼気迫るような深刻な顔をしてたように思えたけど。
でももしかしたら私の思い過ごしかもしれないわ。
今日はそう言ってるんだからあまり気にしない事にしましょう。
ただもしもこんな状況が長く続くようだったら…
やっぱり何か考えなくちゃいけないわね。)
隆一はご飯を食べ終えると、「いつも通り」学校にむかった。
493:殺しはなかった4
09/04/02 05:37:46 TBGpavgJ
学校に向かう間も隆一の頭の中は橋の下のあれのことでいっぱいだった。
隆一は自分がとんでもないミスをしてしまったという事にもうすでに気づいていた。
あれを殴った時のあの忌々しいクリスタルを、そのままそこに置いてきてしまったのだ。
それだけでもなんとか処理してしまおうかと考えたが結局隆一はそれを諦めた。
あんな誰も来ないような橋の下に行ってもし見つかりでもしたら絶対に怪しまれるだろう。
隆一はあれが今日一日中誰の目にもふれないように祈ることにした。
(今日一日、そうだ、今日一日何とかなれば後は上手くやれる。
しかしあのテントはなかなか見つけ辛い。
それに例え見つかったとしてもあんな所にあるテント誰も気味悪がって近寄らないだろう。
実際最初のうちは俺もそうだった。
それなのに何故俺はあんなところに近づこうと思ったんだ?
今日は天気予報は晴れだったな、ついてない。
雨だったら外に出る人も少ないだろう、晴れていたら必ずあそこを散歩するようなやつが一人や二人いるはずだ。
もしかしたらってこともありえるぞ。
唯一良かった事といえば今日が平日だって事だ。
休日でこんなに晴れていたら子供はもしかしたらあそこに行くかもしれないぞ。
なんてったって子供はああいう気味の悪い秘密めいた所が大好きだからな。
まぁそんなこと考えたってきりがないな。
そう、後は神に祈るだけだ。)
ふと、隆一は自分がとてつもなく不思議な事を言っていることに気づいた。
(ふふふふ、こんな時に俺はどうしたんだ。
神に祈るだって?この俺が?)
そんな事を考える隆一は自分が今この学校へ向かう一本道を歩いているという当たり前の事実にすら、疑問を覚えずにはいられないのであった。
494:殺しはなかった5
09/04/02 05:40:52 TBGpavgJ
澤田恵美は学校に来てすぐに隆一がいつもと違うという事に気づいていた。
これは隆一が動揺を隠せず不振な行動を取ったり、極端に顔色が悪かったりしたわけではない。
確かにいつもよりは元気の無い顔をしていたがそれだけである、後はいつもと変わらない。
恵美以外の人は隆一のこの違いに全く気づかなかったはずだ。
なぜ恵美が隆一のこのような変化に気づいたか、それは恵美が隆一のことを好いていたからであろう。
隆一の事が好きな女子は他にも多くいたのだが恵美はそんな女子達とは少し違っている。
他の女子達は隆一の美しい顔つきや彼の博識、スポーツをしている姿などから隆一に好意を持っていたが、恵美の隆一への思いはそんな軽率なものではなかった。
隆一と恵美とは小学校から一緒だった。
恵美は本人さえ覚えていないであろうことまでしっかりと隆一の事を覚えていた。
小学校の時飼っていたウサギが逃げ出した時の話である。
他の皆は最初は残念そうにしていたがウサギの事はすぐに忘れてしまった。
しかし隆一だけはそれから放課後になるとずっとウサギを探して回っていた。
そのウサギ探しも一週間ほどで終わってしまうことになる。
隆一は野良犬に殺されてしまったウサギの姿を見つけた。
彼は嗚咽を漏らしながら長い間泣いていた。
一緒にウサギを探す手伝いをしていた恵美も泣いたが彼ほどではなかった。
それから何日もふさぎ込んでしまった隆一。
辛く気味の悪い思い出だが、小学校の頃から大人びていた隆一がこんなにも子供のように行動していた思いでは他になく、涙を流していた記憶もこの時だけで、非常に強く印象に残る思い出だ。
もしかしたらそんな隆一の弱さや優しさを知っていたから、恵美は隆一を愛したのかもしれない。
難しい顔をして座っている隆一を見て、恵美もまたその美しい顔曇らせ、眉間にしわを寄せた。
(隆一君今日は変だ。
何かずっと悩んでいるし、とっても具合が悪そう。
何か声をかけたいけれど…。
すっごく恐い顔してる、きっと人には言えないような深刻な問題で悩んでるんだわ。)
それから一日ずっと隆一は同じであった。
そんな隆一をみて恵美は心配であり、恐ろしかった。
五時間目が終了するとすぐに隆一は帰る支度をする。
部活にいかなくてはならない恵美だったが隆一の事が非常に気になった。
今日はできないけど、今度またあんな風に悩んでいたら勇気を出して声をかけてみよう。
なんとか隆一の助けになるような事をしてあげたい、そう思いながら隆一の教室から出ていく後姿を黙って見つめるのであった。
495:殺しはなかった6
09/04/02 05:43:52 TBGpavgJ
空にだんだんと嫌な雲がかかりだした。
「これは一雨来るな」そう思いながら隆一は帰りの道を急いだ。
もしかしたらこれは好都合かもしれないぞ。
俺の家からあの橋の下までは近いし行くのは深夜の予定だ。
人に見られないようにして行く予定だったが絶対に誰ともすれ違わないとは言えないじゃないか。
しかしそこで雨が降れば、はるかに人が通る確立は低くなる。
万が一すれ違ったとしても黒い雨合羽があるからな、はっきりと俺の顔はわからないはずだ。
学校から家までは三十分程であったが、考えを巡らしている間に着いてしまった。
途中また橋の様子を見たがまだ騒ぎになっていない。
少し落ち着いた。
家のドアはスッと軽く開いた。
「ただいま」一言言ってすぐに部屋に閉じこもりベッドに入る。
どうしてもしなくてはならないのは睡眠だ。
昨日の夜はまともに眠っていない。
今日確実に事を運ぶために体力がいるせめて夕飯までは眠らなくては、そんなことを考えながら目を閉じた。
咲子は隆一の部屋へ続く階段を上がりながら考える。
あの子、家に着くなり自分の部屋にこもって何をしてるのかしら。
やっぱりいつもとは様子が違うわね。
ああ、なんだか恐ろしいわ。
あの子がいつの間にか遠くに行ってしまいそうで。
もう高校生なんだし、そりゃ悩みの一つや二つあってもおかしくないでしょうけど、あの子にはもう少し子供らしく甘えてほしいわ。
今咲子の夫、つまり隆一の父親は単身赴任中でこの家は隆一と母二人だけだったのだ。
そのせいか咲子は自然隆一の事をいつも以上に気にかけるようになり、隆一の一つ一つの行動に神経過敏になっていた。
そのときの出来事だったため、この隆一の態度はひどく咲子を困惑させた。
しかしまたその神経過敏ゆえに、咲子は結局隆一に何も言えず、ただ不安をつのらすだけなのだ。
「隆一、晩御飯できたわよ」
一度言っても返事がなかったのでもう一度同じ事を言ってから下に降りる。
どうやら聞こえていたようだ、隆一が降りてくる。
隆一は何も言わない。咲子も黙って食卓につく。
「いただきます」
そう言ったきり二人の間にはまた沈黙が流れる。
「ごちそうさま」
たった二言、二人の食事にはそれだけの会話しか無かった。
なんて恐ろしい食事!
咲子にはその食事が息子との最後の食事になるのではないか、そう考えたほどであった。
496:殺しはなかった7
09/04/02 05:46:49 TBGpavgJ
もう外には車の音もしない。
ただ微かに雨と風の音が聞こえるだけだ。
隆一は準備をする。
準備と言っても必要なものはもうつめてあるし、着替えもする必要はない。
あとで大きな雨合羽を着るだけだ。
小さなバックを抱えて隆一はそうっと部屋から出た。
階段を静かに降りる。
いくらなんでもこんな少しくらいの物音で起きるわけはないと思ったのだが慎重にやっておいて損はない。
隆一は階段を降りきる。
そこで思わぬことが起こった。
隆一はそこで母咲子の姿を見た。
とっさにバックを陰に隠す。
「母さん!どうしたの」
「私は今から眠るところよ、それよりお前こそどうしたの」
「僕は、トイレ」
隆一は嘘をついてごまかす。
「そう、じゃあ早く寝るのよ、明日も学校なんだから。おやすみ。」
そう言って隆一は母と別れた。
隆一は困惑した、これでは外に出られない。
このまま外に出てしまったらきっと気づかれるぞ。
隆一はそう思い、玄関から自分の靴だけ取ってきてもう一度自分の部屋に帰った。
母さんが寝るまで、三十分。
隆一はじっと時計の針を見つめた。
もう良いだろう、そう思い今度は階段を降りないことにした。
実は隆一の部屋の窓からは下に降りることができるのだ、もちろん上ってくる事も。
中学校の時隆一はよくふざけてそこから上がってきたりしていた。
窓から出れば絶対に母さんには気づかれない。
隆一は黒い大きな雨合羽を着る。
もう一度荷物を確認、問題は無い。
窓を開けると雨風が吹き込んできた。
隆一は外に出た。
慣れた調子でするりと下まで降りる。
そうして物置に行き、用意しておいたものを取り、隆一は橋の下に向かった。
咲子はなかなか寝付けなかった。
咲子はいつもであればもっと早く眠っていた。
しかし今日は隆一の事が気になってなかなか眠れなかったのだ。
さっき隆一とあったせいで、咲子はさらに眠れなくなった。
あれからもう三十分くらいたつだろうか。
その時、何か隆一の部屋から物音が聞こえたような気がした。
(隆一、何かやってるのかしら。)
しかしその音は微かで一度聞こえたきりもうしなくなってしまったので気のせいかとも思った。
でも、ちょっと確かめようか。
そう思い咲子はベッドから出た。
確かに何か物音がした気がするのだが、さっきも実は何かしようとしていたのではないだろうか、トイレなんて嘘だったのではないだろうか。
咲子はそんなことを考えながら一歩ずつ階段を上った。
しかし、階段の真ん中辺りで、足を止める。
何の音もしないじゃないか
咲子は踵を返し、真ん中まで上った階段を降りる。
全く、私はあの子のことに神経質になりすぎだ。
そんなことを考えて咲子は、今度こそ眠ろうと思うのだった。
497:殺しはなかった8
09/04/02 05:51:43 TBGpavgJ
隆一は橋の下に向かって走っていた。
雨は想像以上に降っており、隆一は足の先までずぶぬれであった。
非常に仕事がしづらい、そのかわりこれだけの雨だ、人影はどこにも見当たらない。
ましてやあんな橋の近くになど人は絶対にいないだろう。
隆一はもしかしたらもうすでに警察があれを見つけているんじゃないかとも少し考えた。
しかしそうであってもどうする事もできない、行けばわかる、行けばわかるのだ。
橋が見える所まで来た。
雨が強いせいではっきりとは見えない、しかし警察がいるようには見えない。
前に来た時と変わらない、そのままだ!
隆一は急いで橋の下に行った。
橋に遮られ雨が当たらなくなり、叩きつける雨の音がいっそう際立つ。
問題の青いテントは、果たしてそこにあった。
恐る恐るテントを開ける…そこにはあの時と全く変わらない、ずっとテントの一点を見つめている彼がいた。
血がかなり出ている、殴った時返り血はそれほどではなかった。
その時着た服にほんの少しかかっただけだったため血のことはトンと考えなかったので、これだけの量の血が流れていた事は意外であった。
何を思ったか隆一はあらためてやつの顔を見てみようと思った。
つい数日前まで生きていたとは思えない、すでに真っ白になってしまっている顔はまるで蝋人形のようだ。
不思議と腐臭はあまりしてこない。
きっとこの男が骨と皮だけみたいにガリガリに痩せていたせいであろう。
気が進まないが早く事を済ませてしまわねば。
隆一はまずテントの中のあるものを全部川に捨てた。
持ってきたライトで一つ一つチェックして、血のついているものは水でしっかり洗った、もちろんあのクリスタルもだ。
川は水位が上がっていたがこちらに危険な事はなさそうだ。
テントのある場所はかなり高い位置だったのでもしここまで来るとしたらきっと雨は三日四日降り続かなければならない。
それぐらいここは安全だ。
そうでなければこいつもここにテントを張ろうとは思わなかっただろう。
テントの中の物は全て捨て終えた。
後は死体だけだ。隆一は死体は川には捨てない事にした。
流れていく途中で見つかるかもしれないことを考えるとそれはできなかった。
隆一は物置から取ってきたスコップで穴を掘る。
深い穴だ、絶対に見つからないように深く掘るんだ。
雨のせいで土が軟らかくなっており、非常に掘りやすい。
一心不乱にただ掘り続ける。
周りに誰かいないかと確認すらしなかった。
不用意であったが幸い、その時は全く誰もそこを通らなかった。
もし通ったとしても暗くなっている橋の下で黒い雨合羽を着ている隆一を雨の中探すのは困難だったかもしれない。
隆一はふと思った。
今までで川岸なんかに死体を埋めた男が他にいただろうか。
普通山奥など人目のつかないところだろう。
なんて俺は大胆な真似をしているんだ。
そう思い隆一はこんな状況で笑いがこみあげてきた。
かなり深くまで堀り、次に隆一はテントの中から死体を出す。
ちょうどすっぽりと死体が入るような大きさで上手く穴が掘れていた。
後は土をかけて埋めるだけ、見る見るうちに死体は土で埋もれていき、ついに彼はこの世にいなくなった。
足で軽く地ならす。
しかし雨が降っているのでそんなことしなくてもきっと掘った後はわからなくなるだろう。
今まで自分にあれ程強い影響を放っていた物が今はもう無くなってしまった。
隆一は何か不思議な心持がした。
後はビニールテント、これも良く洗って血を落とすがこれは川に流さない。
万が一見つけられたら川岸に住んでいた人が流されたと思うやつがいるかもしれない。
それがきっかけでこの橋の下にたどり着き、死体を見つけてしまわないとは限らないのである。念には念を。
隆一はずっと作業中していた軍手だけを川に流し、ビニールテントは畳んで手に持って家に引き返す。
それは途中のゴミ捨て場でゴミ袋につめ捨てた。ついでに着ていた雨合羽も捨ててしまう。
もう一着実は雨合羽を用意していたので大丈夫だ。
こういうその時身に着けておいたものは早めに処理するべきなのだ。
あとは家に帰るだけ。隆一は疲れきっていた。
体力的にもそうであったが、死体や凶器を処理した事で一気に緊張の糸が切れたのだ。
(早く家に帰って眠りたい)
しかし、雨の降り続く視界の悪い道は終わりの見えない、まるで永遠に続くかのように見え隆一を苦しめるのであった。
498:創る名無しに見る名無し
09/04/02 05:59:53 TBGpavgJ
殺しはなかった
前半部投下させてもらいました
どこに投下して良いのかわからなかったのでとりあえずここに
499:創る名無しに見る名無し
09/04/02 09:04:54 JmOdzLUh
夏と花火と私の死体みたいだ
面白く読めました
GJ
500:創る名無しに見る名無し
09/04/02 14:52:41 UvbVzI76
確かに
高校のとき書いた小説だから乙一の影響もでてるかも
帰ってきたんで中盤投下します
501:殺しはなかった9
09/04/02 14:55:18 UvbVzI76
昨日の事もあって、咲子は少し疲れた目をしていた。
顔を洗ってもむくみは引かない。
本当に私は何をやっているのだろうか。
隆一の事は心配だけど、それで私が不安そうにしていれば隆一はもっと不安になるに違いないわ。
いつも通りに、朝ごはんの支度をして、そうだ、隆一をそろそろ起こさなくちゃ。
「隆一、朝ごはんできたわよ」
「隆一?」
返事は全くない。やはり昨日の夜何かあったのかもしれない。
あの時私がちゃんと確認しておけば良かったものを。
もしかしたらあの時、隆一の部屋に誰か忍び込んできていたのかも、隆一に何かあったら、私…。
咲子はそう考え焦って、階段を駆け上がる。
「隆一!」
ベッドの上には悪夢にうなされ、脂汗をかき悶え苦しんでいる隆一の姿があった。
502:殺しはなかった10
09/04/02 14:59:41 UvbVzI76
「じゃあ、出席をとるぞ、朝井…井上……」
澤田恵美は昨日の隆一の異様な空気を感じ取っていたため、
隆一の席が今日空になっている事にひどく不安を覚えた。
隆一君、いったいどうしたんだろう…。
先生に聞いてみたところ、隆一は今日、熱を出したということらしい。
しかし恵美はどうもふにおちなかった。何か嫌な胸騒ぎがする。
小学校の頃から隆一とは一緒だったのだ、家の場所くらいはわかる。
それに、かなり昔の話だが、一度だけ恵美は隆一の家に行った事があった。
恵美の家から隆一の家までは、別段近いわけでもない。
けれどもどうしても気になったので。
プリントを届けるという口実で、隆一の家を放課後訪ねてみる事にした。
「ピンポーン」
ベルを鳴らしてしばらくすると、ドアが開き、咲子が玄関に顔をだした。
「あら、恵美ちゃん、久しぶり。」
恵美は咲子の姿を見て、相変わらず美しい人だと思った。
しかしどこかその顔が疲れており明るく振舞ってはいるがそれが空元気であるという事まで
恵美は瞬時に読み取った。
「こんにちは。あの、隆一君に、今日配られたプリントなんですけど。」
「あら、遠いのにわざわざありがとう。
隆一は今寝ているんだけどね、どうぞあがって頂戴。」
「いえ、すぐ帰りますので。それより、隆一君はどんな様子なんですか?」
「それが、朝になって急に熱を出して…医者に行くのも本人は嫌がるし…。」
「あの、実は隆一君、昨日から学校でも少し変で、もしかしたら、熱がでたのも、何か関係があるんじゃないかって…。
どう変だったかっていっても、具体的には言えないんですけど、何か、悩んでいるみたいで。
普通にしようとしてたみたいなんですけど、その日はなんだかすっごく、恐いっていうか…。」
「恵美ちゃんもそう思ったの?実は私も思ったのよ!
でも変だったのは確かおととい、学校から帰ってきてからよ、おととい、学校で何かあったんじゃないの?」
「おととい隆一君は放課後残ったりせずに、すぐ家に帰っていたようですし、学校でも普通でした。」
「という事は、学校で何かあったんじゃないってこと?」
「隆一君、なんか家で変わった様子ありませんでした?」
「変わった事…。
そういえば昨日はずっと部屋に閉じこもっていたわ。
そんな事あまりないのよ。それにそういえば…。
いや、でもこれは関係ないわね、なんでもないわ。」
「何ですか?教えて下さい。」
「たいした事じゃないのよ。
ただちょっと夜中に、隆一の部屋から物音が聞こえた気がするの。
でもただの聞き間違いだと思うわ。あまり気にしないで。ごめんね、でもね、どうしてもその音が気にかかっているのよね、いつもだったら物音なんてほとんど気にしないのに。おかしな話よね。」
恵美はそれを聞き、隆一が昔、自分の部屋から外に出れると話していた事を思い出した。
もしかしたら、隆一はその晩…
「ガタッ」
奥の部屋から物音が聞こえてきた。
「あっ、隆一が起きたみたい。恵美ちゃん、あっていかない?」
「いえ、もう帰ります。」
「そう。プリントわざわざありがとう。隆一にも言っておくわ。じゃあね、気をつけて。」
恵美は隆一の家を後にした。
隆一の家からの帰り道、恵美はずっと考えていた。
(隆一君は昨日の夜、外に出たんだ!そうだわ、そうに違いない。
でもだとしたらどこへ?何のために?)
確証は何もなかった。
しかし恵美には隆一がその夜、何か大切な用事のため家を出たことは絶対の事実であるかのように思えたのであった。
503:殺しはなかった10
09/04/02 15:02:10 UvbVzI76
さっき母さん以外の声がしたな、あの声は、恵美?
なんで俺の家に?いったいどうしたんだ、いきなり。
すぐに声は止み、ドアを閉める音がした。
どうやら恵美は帰ったようだ。咲子が自分のいる部屋に入ってくる。
「隆一、起きたの?」
母には大して変わった様子はなかったので、大丈夫だとは思ったが、隆一は恵美が何をしに来たのか探りを入れてみることにした。
「うん、大分熱も下がったみたいだよ。それより、さっき来てたの恵美でしょ?あいつ、どうしたの?」
「学校のプリント、持ってきてくれたのよ。ほら。」
それは特別急いで渡さなければならないという内容のものでもなかった。
しかも恵美の家は帰り道についでにという場所ではないはずだ。
俺の家からなかなか距離がある。いったいどうして。
「でも、恵美の家はここから遠いでしょ?なんでわざわざきたのかなぁ?」
「なんか、熱出したって聞いて心配したらしいわよ。
それでわざわざ顔出してくれたのよ」
「でもさ、今までも熱出して学校休んだ事はあったけど、そのときは恵美、来たりしなかったよね?
今回だけってどうしてかな?」
咲子は一瞬苦い顔をした。
自分の息子の鋭い指摘に、本当の理由を言わなければならないかもしれないと思ったのだ。きっと隆一が学校で変わった態度をしていたというのは本当だろう。しかしそれを気づかれたくないと思っている隆一にとって、それを話すことは大きな精神的負担になるはずである。
できればなんとか誤魔化してしまいたい。
隆一はその表情を見逃さなかった。
「母さん、何か別に理由があったんでしょ?気になるなぁ。教えてよ」
こうなったら隆一はどんな事をしてでも聞こうとしてくるだろう。
この子に隠し事はできない。咲子はそう思った。
「実はね、恵美ちゃん、昨日学校で隆一の様子がおかしかったって言っていて。
そんな事があって急に熱だから、きっと心配してたんだと思うわ。」
隆一は驚いた。自分の変化に気づいている人がいたとは。
母に自分の変化を知られるのは、正直仕方のないことだと諦めもあった。
しかし学校の者にまでそれが悟られていたとは、隆一は自分が置かれている状況がどれだけ危険な状況であるか瞬時に悟った。
これは一度恵美と話しておかなくてはならないな。
咲子はそんなことを考えこむ隆一の横顔に、深い悲しみと不安を覚えるのだった。
504:殺しはなかった12
09/04/02 15:05:43 UvbVzI76
恵美とは昼休みに話そう、もしかしたら長い話になるかもしれない。
どこまで知っているのかわからないからな。
しかし知っていたとしてもきっと些細な事だろう。
そうだ、俺があれを隠したって事は誰にもばれていないはずだ。
絶対に大丈夫だ。
隆一は一日休んでいただけで、この日は学校に来ていた。
しかし体調が戻ったのかというとそういうわけではないようだ。
体調を崩しているのを悟られないように必死に一眼を時限目を乗り越えた。
授業の合い間の十分間であるが、隆一以外の生徒は談笑を楽しむ。
彼だけはそのどこの談笑のグループにも入らない。
これは別段変わったことではなかった。
彼はいつでもこんな時は一人物思いにふけっていて、誰とも交わろうとはしないのである。
しかし、今日はこの時間いつもとは少し変わったことがおきた。
考え事をしている隆一には近寄りがたい雰囲気が漂っていたが、今日はそこへ話しをしに来た人物がいたのだ。
その人物は背が高く、がっちりとしている上に肌は浅黒い。
初めてこの人物にあった人でも彼が何かしらスポーツをやっていたという事が容易に想像できるだろう。
それだけ聞くと、この男が体育会系の堅物に感じられるかもしれないが、彼の顔を見ればそんな考えは一気に消し飛ぶだろう。
その顔にはまだかなり幼い表情が残っており、隆一の方に愛想よくニコニコと近づいてきた。
白い歯と細い目、その顔は本当に少年をただ大きくしたような、そんな純真さを持っていた。
彼の名は川村康祐、隆一と同じクラスの生徒であり、明るく社交的。
さらに世話好きという特徴を持っていたが、その性質は時におせっかいとも思われるほど強いもので、彼は隆一とは全くと言っていい程正反対の人間だった。
もちろん、この罪の無い男は誰からも愛され、彼自身誰も彼もを愛していた。
そんな彼がいったい何の用であったのか?
505:殺しはなかった13
09/04/02 15:09:13 UvbVzI76
「隆一、もう熱はいいのかい?」
隆一は康祐の事を疎ましく思った。
精神的に疲れきっている隆一としては早く康祐に立ち去ってもらい、一人になりたいというのが本当であった。
それでも隆一は怪しまれないようにと普段どおりを心がけ、康祐に応える。
「ご心配ありがとう。でももう大丈夫だよ、なんてことはない。
ちょっと風邪にやられただけだよ。一晩ぐっすり寝たら治ってしまったよ。」
「そうかい、何だかまだ少し顔色が悪いようだったから心配だったんだよ。」
「うん。もしかしたら風邪で食欲がなくて、昨日食事をあまりとらなかったからきっと腹が減っているんだ。
栄養をとれば顔色も戻るよ。」
「ならいいんだけど…。ところで隆一、君は青いテントがどうなったか知っているかい?」
隆一はその言葉を聞き驚きを隠せなかった。
「青いテント?」
「そう、橋の下に前あったやつだよ。
昨日見たら無くなっていたんだ。お前なら何か知ってるかもって思ってさ。」
どういうことだ、何故こいつが青いテントを知っているんだ?
何故俺があのテントの事を知っているとわかったんだ?
こいつ、何を知っているんだ?何か言わなくては。
ここは慎重に、相手がどれぐらい情報を持っているか聞き出すんだ。
「ごめん、わからないよ。何の事だい?それにどうして君は僕がそれを知っていると?」
「あぁ、そうか、知らないのか。
いやね、最近なんだよ、あのテントを見つけたのは。
三日前だな、夕方ちょうど帰り、五時頃だな、何か橋のしたから慌てて上がってくる人を見たんだよ。
それで何かあったのかなって、俺もその橋の近くに行って見てみたんだよ。
そしたら下に汚い青のビニールテントがあってさ。
草ぼうぼうに生えててなんかそこ気味悪かったんでその時はそのまま帰ったけど、昨日見たらそれが消えてたんだよ。
それで何か気になって今思い出してみると、遠めだったから間違ったんだと思うけど、その慌てて上がってきたやつってのがお前に似てるんだよ。
時間帯もお前が帰った時刻とたぶん合うだろ。
だからもしかしてあれがお前で何か知ってるんじゃないかと思ったわけ。
勘違いだ、悪いな。あれ、もう授業だ、じゃあまたな。」
目撃者、間違いない。彼は隆一があいつを殴って逃げ出したとき、そこにいたのだ。
彼はひょっとすると恵美以上の危険人物かもしれない。
昨日と全く同じ熱病がまた隆一を襲ってきた。
506:殺しはなかった14
09/04/02 15:10:45 UvbVzI76
一時間目が終わった後康祐と話してから隆一の様子はまた徐々におかしくなっていった。
隆一の隣の席の生徒は何度も保健室に行くようすすめていたが隆一はそれを断った。
しかし三時間目になると、彼の顔は明らかに病人の顔になってしまっていた。
授業を受けている場合でなく、すぐにでも休息が必要であるということが誰の目にもわかった。
とうとうその時間の中ごろになって隆一の隣の席の子が、手を上げ彼の異変を報告した。
「先生、隆一君の様子がおかしいです」
隆一は絶対に人に自分の体調が優れないことを悟られたくなかったはずである。
しかしこの時ばかりは隆一は元気なふりをする気力さえ失っていた。
保健室に連れていけという先生の言葉で隆一の所に係りが行ったが、隆一はすんなりとその人に身をゆだねてしまっていた。
507:殺しはなかった15
09/04/02 15:12:21 UvbVzI76
思えば朝から隆一の様子は変だったわ。
昨日まで熱を出していたというのに今日は早くに起きだして
珍しく新聞を読んでいたみたいだったし、ニュースも熱心に見ていたわ。
熱は大丈夫なのか聞いたら、下がったって…確かに測ってみたら熱はないようだったけど
あの子の顔はまるで狂人のようだったわ。まるで自分の息子じゃないみたいだった…。
まぁ、私ったらなんて恐ろしい事を!隆一は今きっと大変な時なのよ!
そう、誰にだって何か深く悩む時期はあるものだわ。
そんな時こそ私が隆一を支えてあげなきゃ。
それを私は自分の息子じゃないみたいだなんて…。
早く隆一をむかえに行ってあげなくちゃ、きっと私が来るのを待っているわ。
それにしてもこんな時に限って良く信号に引っかかるものね。
でもこの信号を超えればもう学校はすぐだわ。
待っててね、隆一。
508:殺しはなかった16
09/04/02 15:15:20 UvbVzI76
恵美が保健室に来た頃隆一はもう眠っていた。
病人は眉間にしわを寄せ必死に悪夢に耐えていた。
その顔を見て恵美は隆一に申し訳なくなった。
こんなに隆一が苦しんでいるのに、自分は隆一の秘密を探ろうとしていた。
彼の心をさらに傷つけようとしていたのだ。
実は今日、隆一と話す機会があれば、恵美は隆一がおとといの夜外に出たかどうか、もし出たとしたらどこに何をしに行ったのか聞くつもりでいたのだ。
しかしもうすでに恵美はもうそんな事を考えてはいなかった。
彼女はただ、隆一に早く元気になってほしい、そう思うばかりであった。
休み時間保健室はいつもは何人か人がいて騒がしいはずなのだが
今日は病人がいるということで皆先生が追い出したらしく
隆一一人だけだった。
保健の先生は恵美がかなり熱心に隆一を看ていてくれるのがわかると
隆一の事は任せ、少し他に仕事があると言って保健室を出た。
「ガタ」
ドアの閉まる音がすると完全にそこは隆一と恵美、二人だけの空間になった。
恵美はこんな状況だというのに、隆一と二人という事で鼓動が速くなっている自分に気づいた。
509:殺しはなかった17
09/04/02 15:18:18 UvbVzI76
恥ずかしくてじっとしていられなかった恵美は
隆一がかなり汗をかいているのでタオル探すことにした。
何かしていれば少しは緊張もほぐれる。
透明なカラーボックスの中にハンドタオルがいくつか入っていたのを見つけた。
濡らして隆一の汗を拭いてやる。
「うっ!」
「ごめん、起きちゃった?」
隆一が起きてしまった事で恵美の胸はさらに高鳴った。
恵美の頬はほのかに赤くなる、その顔は高校生とはいえ恋する一人の女性であることに変わりはなかった。
この時の彼女の顔を見て美しいと思わない男はいないだろう。
隆一は目覚めてすぐであったが恵美を見てその表情の意味をなんとなく悟った気がした。
もしもここで隆一が殺人など犯しておらず
これがただの熱病であったのなら、たちまち二人は恋に落ち
ロマンスが生まれていたことだろう。
だが隆一には今恋愛などに頭を使っている余裕は無かった。
しかしただ一つ、この恵美の表情を見て隆一の中で考えが変わった事がある。
彼は恵美が自分について何を知っているか問いただそうとしていた。
けれども彼女の美しい、自分に対する愛情に溢れた顔を見ることによってその気持ちがすっかりなくなってしまったのだ。
これは理屈ではない。
実際に良く考えてみれば、恵美の態度を見ても、それ程重要な情報を持っているとも思えない。
隆一は完璧に恵美に対する警戒を解いていた。
「もう少し横になっていなきゃ駄目だよ。
お母さんがもうすぐむかえに来るって。
それまで私ここにいるからちゃんと寝ていて」
彼は心地良かった。自分をこうも心配して、愛情を注いでくれる人がいる。
同時に恐ろしく胸が締め付けられる瞬間があった。
愛してくれている人間のためにも自分は逃げきらなくてはならない。
彼は一時の心の安らぎを得た代わりに、今まで以上の精神的負担を背負ってしまったのである。
「ガチャ」
そんな事を考えていると保健室のドアが開き、先生が帰って来た。
どうやら咲子が学校に着いたようである。
先生は隆一を呼びに来たらしい。
隆一は恵美と先生にお礼を言い保健室を去った。
恵美は玄関までついていくと言ったが彼はそれを頑なに拒否した。
家に帰れば次の日は学校は休みだ。
隆一の長い一週間はやっと終わろうとしているのである。
しかしそれにしても今日は恐ろしい事実を知ったと、隆一は今日を振り返った。
康祐が目撃者であったことである。
しかし隆一はもっと重要な、自分を危機的な立場にする事実を知らずに学校を去ってしまったのである。
恵美は隆一がおとといの夜外に出たことを知っていた。
そして康祐は隆一が青いテントを見に行っていたのを知っている。
この二つの情報がそろった時、隆一はかなり危険な立場に立たされるだろう。
もしも恵美に話を聞いていたら隆一は恵美と康祐との接触を何とかして食い止めたはずだ。
しかしそうはならなかった。
だからと言って私は隆一が恵美に話を聞かなかったのは失敗だったとは言わない。
全てはこうなる運命だったのである。
510:創る名無しに見る名無し
09/04/02 15:20:40 UvbVzI76
われながら長い小説だ
でももうちょっと続くから
また後で投下しにきます
511:殺しはなかった18
09/04/02 17:30:44 UvbVzI76
隆一が保健室から帰り、恵美も教室にでも戻ろうと思ったときだった。
保健室のドアが開き川村康祐が入って来た。
「あれ?隆一は?」
「今さっき帰っちゃった。あなたも心配で見に来たの?」
「うん、そんな感じ。だってさ、あいつが気分悪くしたの、俺のせいかもしれないから」
「それ、どういうこと?」
「隆一さ、二時間目辺りから様子がだんだんおかしかったってあいつの隣の席のやつが言ってたんだよ。
それで考えてみたら俺実は一時間目が終わってすぐ、あいつと話してるんだよな。
今思えばあいつ俺としゃべってから体調壊したんじゃないかと思うんだ」
「なんでそう思うの?」
「隆一俺と話していてさ、一瞬びくっとしたような気がするんだよ、なんか凄く驚いたみたいに。
それは青いテントの話をした時なんだけどさ、俺の帰り道、って言っても寄り道なんだけど小さな橋があるんだよ。そこの下に前まで青いテントがあったんだけどそれが急になくなったんだ。それで気になってなんか知らないか隆一に聞いたんだよ。
あいつは知らないって言ってたよ。
でも疑うわけじゃないけどあの驚き方、何か知ってるのかもって思うんだよね。
それでその事が気になって体調崩したんじゃないかって」
「でも、川村君はなんで隆一がそのテントと関係あるって思ったの?」
「実はさ、あいつがその橋の下から上がってくるところ見たんだよ。
あいつは自分じゃないって言ってたよ。
でも今考えても、あれは隆一だった気がするんだよな」
「川村君、今日放課後暇?」
「ああ、暇だけど何?」
「今日帰りに私をその橋の下に案内して!」
「え、でも澤田さん家って○○町だろ?橋とは全然違う方向だよ」
「いいの。どうしてもその場所を見ておきたいの」
康祐は恵美の真剣な態度に驚いてたが、しばらく考え込み口を開いた。
「……わかった。じゃあ放課後、玄関で待ってるよ。」
そう言って康祐は保健室を後にした。
恵美は自分で隆一の事はもう疑わないと決めたはずだったのに
今こうしてまた隆一の秘密を探ろうとしている自分がいる矛盾を苦しく思った。
しかしあのまま隆一を放っておくなどということはどうしてもできなかった。そこに行けばきっと隆一の苦悩の原因がわかる。
そして彼の力になってあげる事ができるはずだ。
彼女は自分にそう言い聞かせるのであった。
512:殺しはなかった19
09/04/02 17:33:38 UvbVzI76
「俺が隆一らしき人物が土手から上がってくるのを見たのは火曜日、三日前だったよ。
結構遠くから見たから見間違えかもしれないけど、あれは確かに隆一だったとおもうんだよな」
三日前!?それを聞いて恵美ははっとした。
全ての話を総合しても完全につじつまが合うのだ。
三日前と言えば隆一のお母さんが、その日は学校から帰ってから隆一がおかしかったと言っていた日である。
三日前、隆一は学校では確かに普通だった。
という事は学校から家に帰るまでに何かが起こったということである。
その何かとは今私たちが見に行こうとしている場所で起こったことではないだろうか。
いや、確実にそうだ!川村君が見たのは絶対に隆一だった。
恵美はそんな事を考え、隆一が何をしたのかという不安と、これで隆一を救えるかもしれないという期待で一人興奮していた。
そんな様子を見て、康祐も我慢できなくなった。
「澤田さん、君は何を知っているんだい?
あの青いテントってそんなに重要なのかな?
俺にはさっぱりわかんないよ。
そもそもなんでそんなに隆一の事を気にかけるんだよ」
康祐の鈍感な台詞に、恵美はさっと顔を赤くしたが、それすらも康祐は気づかなかった。
隆一が好きだからなど言えるはずはない。
しかし自分が知っている事を話すということはもしかすると良い考えであるかもしれないと恵美は考えた。
これからまた隆一はおかしくなるかもしれない。
そこでやはり男の子で隆一の心配をしてくれる人ができれば、かなりの助けになるのではないかと思ったのだ。
その隆一を助けてくれるような男としては、康祐は文句のない人のように思える。
これだけ他人に対して優しく、世話好きな人物は他にそういないだろう。
きっと話せば隆一の事を気にかけていてくれる。
「実は…」
そう言った途端、もしも隆一の秘密が本当に人に知られたくない事だったら、という考えが頭によぎった。
私は隆一のどんな恐ろしい秘密を知ったとしても、誰にも言わないし、隆一を非難しない自信がある。
しかし他の人はどうだろうか。
きっとそうではないだろう。
そう思い、恵美は次の言葉を言い出すことができなかった。
「隆一、今日大変そうだったよな。
何かあったのかな?
もしかしてその青いテントが隆一の今日の病気と関係あるのか?」
「……」
「話したくないならいいさ。
でもな、俺だって隆一が心配だ。
話してくれなくても自分でなんとか隆一の不安の種をさがす。
それで、俺ができることがあったらなんでもしてやるさ」
恵美は思った。
この人にかけてみようと。
他の人物だったら信用できない。
しかし彼なら隆一を本当に思いやった行動を取ってくれると今の言葉を聞いて確信したのだ。
恵美はゆっくりとこれまでのいきさつを話し始めた。
「って事は、今から行くところに隆一を悩ましている手がかりがあるかもしれないってことだな」
「うん」
「そうか…ほら、見えてきた。あれがその橋だ。
とりあえず行ってみよう。何かわかるかもしれない」
そういうと興奮を抑えられず二人は足を速めた。
もうすぐだ、もうすぐ何かわかるかもしれないのだ。
513:殺しはなかった20
09/04/02 17:36:49 UvbVzI76
それから数日が経過した。その間何事も起こらなかったというわけではない。
しかし恵美や康祐は橋の下を見に行ったその日から今日まで全く隆一とコンタクトをとろうとしなかったのだ。
だからといって、隆一にもう関心が無くなったのかというとそうではなかった。
たえず隆一の行動には気を配っていたし、恵美と康祐の間でのやり取りは何回かあったようだった。
当の隆一本人はというと相変わらずいつもとは違った異様な雰囲気を放ってはいたが
他の生徒にばれるほどのものではなく、最初に恵美だけが感じたようなあの程度の違和感であった。
隆一の苦悩は消えたわけではなかったが、今は少し落ち着いたのか
熱を出すという事はなく体調が良いとは言えないが安定した状態であった。
咲子の心配もまだ残っているには残っていた。
しかしあの時隆一が倒れたときほどではなかった。
最初は気にかかっていた新聞やニュースよくチェックするようになったという事。
それも徐々に気にかからなくなり、些細な事であると思うようになった。
そんな時だった、この状況を変えるような大きな変化が起こったのである。
514:殺しはなかった21
09/04/02 17:39:54 UvbVzI76
良く晴れたこの日、あの橋にはこれまでにない程の数の人が集まっていた。
膝丈ほども高く伸びている草を、額に汗しながら刈る人々。
もちろんそのような変わった事態を隆一が知らないわけはなかった。
なぜなら彼はちょくちょくこの橋の近くを通るようにしてなにか変わった様子がないかどうか確かめていたからだ。
学校が休みであったので隆一は午前中から橋の様子を見に行った。
そこでこの様子を目撃したのだ。
かなりの人数が集まっていたので死体が見つかったのかと最初は焦ったのだがそうではないらしい。
全員草を刈っているようでどう考えても死体発見、という様な様子ではなかったので少し彼は安心したが
それでも死体が埋めてある場所に人が集まっているというのは彼にとって危険なことであったので
何故急にこんな所の草刈をしているのか作業をしている者の一人に話を聞いてみた。
「これかい、これは…」
話によると、今集まっているのはボランティアグループで
この橋の土手にたくさんのコスモスを植えようとしているという事だった。
(コスモスを植える?何を言ってやがる、こいつら。
今まで見向きもしなかったはずの橋じゃないか。
もしかしてあのテントが無くなったからこんな事を計画しだしたのか?
計画を始めた理由?そんな事どうでもいいじゃないか。
そうだ、それより今自分がおかれている状況だ。
なにしろ花を植えるんだ。
という事は土を掘るだろうしあの死体はみつかるにきまっているじゃないか!
今はあのやつを埋めた所は日陰になっていて草も少ないのでほとんど近くに行くやつはいないが
植える作業になってしまったらそうもいかないだろう。
くそっ、どうしてこんな事になるんだ。
俺は今何をすればいい?ただ待つのか?死体が出てくるまで…。
そうだな、それ以外は無いのかもしれないな。
死体が見つかったところでどうだというんだ。
そうだ、絶対に隠し通してやる。俺は捕まりたくなんかないんだ!)
この日隆一は、橋からどこをどう家までたどり着いたかわからなかった。
そしてやっとのことで帰った時彼は高い熱を出しており
数日前学校で保健室に運ばれた時とほとんど同じような状態であった。
玄関のドアを開けたかと思うとそのままどさりとその場に倒れ落ちた。
大きな音がして咲子は玄関に駆けつけた。
そこにはぐったりと倒れこんでいる息子の姿があった。
彼女は息子の名前を呼び、体をゆすった。
それでも隆一の意識はだんだん薄らいでいく。母咲子の声が遠くに聞こえた。
515:殺しはなかった22
09/04/02 17:42:45 UvbVzI76
隆一の容態が良くなったと思っていただけに、咲子のショックは大きかった。
もちろん隆一が倒れたのは彼女の責任ではなかった。
しかし彼女にしてみれば息子が倒れた事は全て自分の責任であり
もっと気を配ってやっていればと思うのであった。
(どうして私はこの子がまだ危ない状況だって事を気づいてあげられなかったのかしら。
確かに前に熱を出した時に比べればだいぶ調子を取り戻したように見えたわ。
あぁ、思えば私は安心していたんだわ。
あの時よりは良かったかもしれないけど、やはり様子がおかしいには違いなかったはずなのに。
これから私はどうしたらいいのかしら。
私にはこの子の母親でいる資格なんてないのかもしれないわ。
きっとそうだわ!それでもやっぱり隆一の息子は私なんだ。可哀想な隆一。
今私にできる事といったらずっと隆一を見ていてあげることだけね。
そうよ、いくら私でもそれぐらいはできる。
そう、その後目を覚ましても私は隆一に優しく接してあげるのよ。
絶対に不安なそぶりを見せちゃ駄目。一番不安なのは隆一自身なんだもの。)
咲子は本当に隆一が寝込んでいる間付きっ切りで看病し続けた。
うなされる息子の姿を見て彼女は苦しくてたまらなかった。
しかしそれでもその場を離れたりはしない。
この苦しみを与えたのは自分であり、少しでもその苦しみを共有しようと目を離さなかったのである。
彼女の体力も精神力も限界に近づいてきたところだった。
ついに隆一のまぶたがピクリと動く。
彼はけだるそうにゆっくりと目を開けた。
「起きたのね?お腹すいたでしょう、何か食べる?」
隆一は一瞬自分に何が起きたかわからなかった。
それでも暖かい母の言葉に微かな安心感をおぼえた。
言われてみれば確かに自分は空腹のような気がする。
今どのような状況なのか確認する必要があるが、とりあえず食べ物を頼む事にした。
「ありがとう母さん。できれば何か食べたいな」
「そうね、待ってて今作るから。でも、そうだわ。冷蔵庫に何もないわね。
昨日何か買っておけば良かったんだけど。ごめんね。
一日以上何も食べなかったんだもの、それはお腹すくわよね。
今すぐ買い物に行って来るけど、一人で隆一、大丈夫?」
一日以上?その言葉に隆一はひどく驚いた。
「一日以上って、今日は何日?」
516:殺しはなかった23
09/04/02 17:45:47 UvbVzI76
「7月の○日よ。隆一、一日以上寝てたんだけど、やっぱり気づいてなかったのね。
でもそのおかげでだいぶ熱も下がったみたいだし。」
全く気がつかなかった。
確かにそう言われれば、咲子の目にはくまができている。
きっと一日中寝ないで看病していてくれたのだろう。
でも本当に一日たったとしたら橋の下は今どうなっているんだ?
「僕、一日中寝てたの?何か寝ている間に変わったことあった?」
「さあ、別に。私はずっと家にいたし、何も変わったことは無かったわ。
一日寝てたからって何も心配する事ないのよ。
ごめんね、今すぐ買い物に行くわ。すぐ帰ってくるから。また寝てなさい」
そういうと咲子はすぐに支度をした。
「じゃあ行ってきます。まだ本調子じゃないんだから寝てなきゃ駄目よ。
じゃあすぐ帰ってくるからね」
隆一は家を一歩も動かずに自分を看病してくれた母に感謝したが。
それ以上に、橋のことが気になって仕方がなかった。
母が家を出るとすぐにテレビをつけ、もしかしたら死体発見のニュースがどこかでやっていないかどうか、片端からチェックした。
しかしどこを回してもそのようなニュースはない。
もしかするとまだ土を掘るような作業までいっておらず、だからまだ見つかっていないのかもしれない。
今の状況が把握できない事に隆一は苛立ちを覚えた。
それでもずっとニュースを見続ける隆一。
考えて見れば自分が事件を起こしてから、死体発見のニュースはおろか、行方不明情報のニュースすら出ていない。
これはおかしな事だ。しかしそれももうすぐ終わりであろう。
あそこを掘り返すような作業をしたら確実に死体は見つかる。
それが遅いか早いか時間の問題だけで、ほとんど違いはないのである。
死体が見つかったら、テントから走ってくる俺を見かけた康祐もかなり危険な存在になってくる。
隆一は山済みにされた問題に頭を抱えた。
そうしているうちに、咲子が買い物から帰ってきた。
「ただいま。ごめんね、本当にお腹すいたでしょう」
隆一は自分の狼狽を悟られないよう明るく振舞う。
「大丈夫、テレビ見てたし、あんまりお腹は気にならなかったよ」
「あら、もうテレビが見れるほど元気になったの?でも無理しちゃ駄目よ」
咲子の方も明るく振舞ってみせる。
二人の本心を隠したやり取りが他人の私から見ると恐ろしくぎこちなく悲しいものに見える。
そんな話をしながらも、やはり隆一はチャンネルを変え続け、ニュースをチェックしている。
そんな隆一に、咲子は料理をしながら何気なく話しかけた。
「そういえば変わったことといえばね。近くの小さい橋わかる?
ちょっと先に行ったところにあるそこの橋の土手。
町内のボランティア団体でコスモスを植えるって計画あったのよ。
前に町内会で言ってたわ。秋になったらきっと綺麗なコスモスがたくさん咲くわ。楽しみね」
母の口から自分が最も気にしていたことが飛び出した事に隆一は驚いた。
驚いた事がばれないように、彼は極めて慎重に応答する。
「そうなんだ。それは楽しみだね」
「かなり前の町内会でやるような事言ってたから忘れてたんだけどね、
今買い物に行く途中近くを通ったのよ。
そしたらもう雑草も綺麗になって、種まきも終わってたみたいだったから思い出したのよ。」
「終わった!?」
母の衝撃的な言葉に思わず大きな声を出してしまった。
もうすでに種まきは終わっただと?いったいどういうことなんだ。
517:殺しはなかった24
09/04/02 17:50:25 UvbVzI76
本当に母さんの言っていた通りだった。確かにあの橋での作業は終わっていた。何故だ?何故気づかない?
お前らのすぐ足元には、あの死体があったというのに!何故これだけの事があって何も気づかないんだ?
思えば事が起こってからかなりの時間がたっているぞ。
それなのに俺の周りではそれについて騒いでいるやつは一人もいないじゃないか。
これだけの間、死体発見情報はおろか、行方不明のニュースすらどこにも出ていないんだ。
世界は何も変わっていない!何も知らないんだ!
この日の学校での隆一の様子は、明らかにいつもと違っていた。
かといって熱を出した時のようでもないし、最近のように何かに悩まされている様子ともどこか違って、別のことで興奮しているように見えた。
そんな様子を知ってか知らずにか、ある男が隆一に話しかけてきた。
もちろんその男とは、川村康祐。
隆一の殺人の時間に、唯一同じ場所にいたという、この事件にとって極めて重要な情報を持つはずの人物である。
そんな彼が隆一に、事件があってから二度目である接触を試みたのである。
しかし、彼が話しかけた時、隆一は心ここにあらずといった感じで、ほとんど康祐には興味がなさそうであった。
「なぁ隆一、ちょっといいか?」
隆一は何も言わない。それでも康祐はかまわず話し続ける。
「お前に、前話したテントがあった橋。あそこでコスモスを植える作業があったこと。
もちろん知っているよな?お前はあそこに行って、とてつもなく重要な事をしているんだもんな」
いつもの隆一であればこの話を聞けば恐ろしい顔をして康祐を睨みつけていたかもしれない。
もしくは冷静さを失って何か大きなミスをしていたかもしれなかった。
しかしこの日に限っては、彼は先ほどと同じように何も言わない。
康祐はなおも続ける。
「俺実はあの橋の下に行ったんだよ、テントのあった場所に。
そしたらそこで、何を見たと思う?」
沈黙が流れる。康祐も隆一も両方とも口を開かない。
この発言で隆一は決して怯えていたわけではなかった。
その証拠に、しばらくすると隆一はこう応えたのである。
「何もなかったんだろ」
その言葉を聞いても康祐は何も言わない。隆一はもう一度言う。
「あそこには何も無かった。そうだろ」
「……その通りだ。俺はあそこに行ってみた、けれど何も無かった。
でもな、お前はあそこに行ったんだろ?それからおかしくなったんだ!
あそこで何かあったに決まっている。いったい何があったんだよ。教えてくれ!」
「確かに俺はあそこにいった。テントも見た。でもやっぱり何も無かったんだ」
「何言ってるんだよ?わかってるんだ、何かあったのは!」
「君、もしもだよ。僕らが全く知らない事だ。まだ歴史でも解明されてない。いや、一生解明されない事だよ。
ずっと昔の時代に、僕らには想像もできないくらいに恐ろしい事件が起こったとしよう。
でもね、その事実を知る人は誰一人いないんだ。それで困る人はいないし皆そんな事あったなんて知らずに生活しているんだ。
君はそれでもこの事件が本当に実際起こった事だと証明する事ができるかい?」
「何を言ってるんだよ?ぜんぜん意味がわからないよ」
「いいから応えるんだ!誰も知らない、誰にも迷惑はかかっていない。
そんな事件がこの世にあると思うかい?どうだ?」
「そんな事ありえないだろ。被害があるから事件であって、そんな事件はありゃしないよ」
「そうだよ、その通りだよ事件はなかったんだ!」
そう言うと再び隆一は一言もしゃべらなくなった。
康祐はそんな隆一の姿を見て、もしかしたら彼は狂ってしまっているのかもしれないと思った。
いったい何のことを話していたのか全くわからない。
しかしその話はなんだかとてつもなく恐ろしい話のように康祐には思えた。
隆一の頭にはずっとこの考えが浮かんでいたのだった。あの事件は初めからなかったのだ。
誰にも迷惑をかけない。誰にも気づかれない。
あのテントに住んでいた浮浪者の死は路上で人知れず轢かれ死んでいく猫の死のような、全く意味のない死だったのである。そうなのだ。
‘殺しはなかった!’
518:殺しはなかった25
09/04/02 17:52:37 UvbVzI76
康祐と話してからから隆一は驚くほど静かになり
不気味なほどの落ち着きをみせていた。
学校での生活はというと休み時間はいつもと同じように誰も隆一に話しかけない。
表面上だけは何も変わらない日々がすぎていった。
そうしていつの間にか、隆一の学校は夏休みの時期に入る。
隆一は一ヶ月ほど学校に来なくてよい日々を送っていた。
康祐はというと、あの日からずっと、隆一と話したことを悔やんでいた。
恵美と橋の下に行ったとき、何も見つけることができなかった。
その時恵美は言ったのだ。ここに行ったことは隆一には話さないでおこうと。
その時は確かにそれが一番いいことのように康祐にも思えた。
しかしその後も心配で恵美と二人、隆一を観察しているとやはり気になってしまう。
隆一が何故それほどまで悩んでいるのか、そしてあのテントの秘密とはなんだったのか。
結局、好奇心に負けて、彼は隆一と話してしまったのだ。
(俺はいったいなんて事をしてしまったんだ!
あの時俺は、橋に行ったことを話せば隆一も自分の秘密を話してくれる。
そうすれば力になってやる事ができるだなんて…この偽善者め!
本当はただあそこで何があったのか秘密が知りたかっただけなんだ。
理由をつけて自分を正当化していたにすぎない。
なんて俺は卑怯な男なんだ!それに考えてみれば彼の様子が変わってしまったのはほとんど俺のせいではないか!
熱を出した時だって俺が話したからだ。
今回だって、余計な事さえしなければ何も変わらなかったのに。
あぁ、あそこでコスモスを植える作業があったというのを知って俺はチャンスだと思ってしまった。
絶対に彼はそれを知っている、動揺しているはずだと考えたんだ。
そんなときを狙って話しかけた。俺は汚いやつだ。
俺は彼になんと詫びたらいいんだ。ずるずるとあれから何も言わないできてしまった。
しかしこれでは駄目だ。俺は彼に一言詫びなければならない。
絶対にだ。よし、今から彼の家に向かおう!)
519:殺しはなかった26
09/04/02 17:56:04 UvbVzI76
「ピンポーン」玄関のチャイムが鳴る。咲子は返事をしてドアを開ける。
するとそこには高校生くらいの爽やかな風貌の青年が立っていた。おそらく隆一の友達だろう。
「隆一のお友達?」
康祐はドアを開けてくれた美しい中年女性を見て、一目で彼女の苦悩を悟った。
それは日頃隆一の観察を続けていたかもしれない。
彼女は今恐ろしく精神的に追い詰められていて、とても危険な状態である事が瞬時にわかったのだ。
彼はそれを悟った上で慎重に礼儀正しく応える。
「隆一君のお母さんですか?私は川村康祐といいます。
隆一君のクラスメートです。隆一君はご在宅中ですか?」
「ええ、いるわよ。そんなにかしこまらないでもいいわよ。まぁ上がって。
今隆一は二階の自分の部屋にいると思うから。隆一、お友達よ。」
そう言って咲子は階段の下から二階にいる隆一に呼びかける。
「さぁ」「お邪魔します」
彼は上がって隆一の部屋に向かっていたが、実際のところ、どのように謝ればいいものか全く考えなしにここまできていた。
しかしいったん会ってしまえば言いたい事など出てくるものだと、行き当たりばったりに考えていたのだ。ドアの前まで来る。
「隆一、入るぞ」中からは返事はない。しかしかまわず康祐はドアを開ける。
隆一はベッドの上に腰をかけていた。康祐が入っていくと顔を向け一言言った。
「君だったのか」「突然悪かったな。今時間あるか?」
「何だい、何か用かい」
隆一の落ち着いた話し方に軽く調子の狂う思いをした康祐だったが、用件をと思いなおし口を開く。
「実はさ、お前に一言謝ろうと思って。ほら、前にお前に変な事聞いちゃったろ、橋の下で何したんだって。」
「そんなことか、いいさ、別に気にしていない」
隆一の一見なんとも思っていないような態度に、最初に考えていた思いとは裏腹に、康祐は感情的につい口を滑らせてしまった。
「そんな事ないじゃないか!明らかにあの時からお前はおかしい、まるで別人だ。
あの橋に対する執着は異常だよ」
「俺が?あの橋に執着しているだと?」
先ほどの穏やかな表情はいったいどこへ行ったのだろうか、感情をむき出しにして康祐を睨みつける。
「確かに、ぱっとみ今のお前は数ヶ月前のお前と変わらないさ。
でも良く見れば全然違う。全く別の人物だ。一人ずっと悩んだり、熱出したり、もっと激しい変化はたくさんあったよ。
でもな、今のお前が今までで一番変だよ」
「お前は、何を言っているんだ?俺はこの通り何も変わっちゃいない!そうだ!
だって俺の周りは何も変わっていないんだ!変わるはずがないじゃないか!」
「隆一、お前何をそんなに恐がっているんだよ…」
「黙れ!お前はいったい何をしに来たんだ!帰れ!」
そう言われると康祐はゆっくりと立ち上がった。
「そうするよ。悪かったな、でも一人で考え込まないでくれ。
俺はお前の友達だ。もっと信用して俺を頼ってくれよ」
「お前は何もわかっちゃいない…」
康祐は悲しそうに、狂人のような顔をしている隆一を見つめその場を去ったのだった。
520:殺しはなかった27
09/04/02 17:59:01 UvbVzI76
「お邪魔しました」その声を聞いて咲子は驚いた。
慌てて玄関に向かう。康祐はもう靴をはいて家を出ようとしているところだった。
「もう帰るの?もっとゆっくりしていっていいのよ?」
「いえ、もう用事は済みましたから」
そういった青年は浮かない表情を浮かべている。「では、お邪魔しました」
きっと何かあったんだ。康祐が帰ると咲子はすぐに隆一の部屋に行った。
「隆一、入るわよ」胸の鼓動が止められない。
何をこんなに恐れているのか。咲子は自分でたまらなくなった。
ガチャリ。ドアを開ける金属音がした。咲子はそっとドアから顔を出し部屋を眺める。
中はいつもと変わらない、変わっているのは一つだけ。
恐ろしい顔をした狂人がベッドに三角座りで小さくうずくまっているという事だった。
「隆一…何があったの?」彼は何も言わない。
「友達と喧嘩したの?ねぇ!」
それでも恐ろしい顔をしてじっと動かない息子の姿。
咲子の我慢の糸はついに切れた。それまで貯めていた涙が止め処もなく流れ落ちだしたのだ。
「頼むからなんとか言ってよ!」
彼は母の涙する姿を見て、ふいに我に帰った。
最後の精神力を振り絞って、精一杯普段どおりの姿を取り戻すようにして母を見つめた。
「母さん、ごめん。なんでもないよ。大丈夫、大丈夫なんだ」
それでも母の気持ちは治まらない。
「嘘よ!思えばいつもそう!あなたは私を信用してくれた事なんて一度も無かった。
確かに私は駄目な母親だったかもしれないけど、一度くらい頼ってくれたって良かったはずじゃない。
ちゃんと気づいているのよ!あなたの様子がおかしいって事も!
ずっとよ!もちろん熱を出した時がおかしいのはわかってるはでもその前からよ!
最近は落ち着いたように見えるわよね。でもそんなのも嘘!
私はわかってるのよ!あなたがずっと悩んでるって事!何故悩んでるの?
なぜ理由を話してくれないの?」
「母さん…本当に僕はこの数日間おかしかったように見えたのかい?」
「ええ。確かに今までと雰囲気は変わったけど、絶対におかしかった!」
その言葉を聞くと、明らかにまた隆一の表情が変わった。
今度は落ち着いた表情でも、狂人の顔でもない。
その表情は実際に見たものにしかわからないだろう。
この時彼が何を考えていたかは私にもわからない。
何故なら本人すらこの時のことを後で思い出しても思い出せないのだ。
しかし少なくとも私には、この時の彼の目に何か強い意思のようなものが感じられた。
「母さん、これから僕は出かけるよ。どうしても行かなければならない所があるんだ。
それがすめばもしかしたら僕はいつも通り、母さんの隆一に戻れるかもしれないんだ。
わかってくれるね。」
息子のその複雑な表情を見て、咲子はこれはただ事ではないと考えた。
「嫌!行かないで!絶対に行かせない!」
「大丈夫、母さん、すぐ帰ってくるから。お願いだから信じて待っていて」
隆一の言葉一つ一つは母への愛情で溢れていた。そんな優しい言葉を聞いてもやはり咲子は息子を行かせたくはなかった。
「どうして?どうして?」
「すぐ帰ってくる」
隆一は咲子のもとを後にした。
521:殺しはなかった28
09/04/02 18:02:36 UvbVzI76
呼び鈴を鳴らす音に、一瞬びくっとする。いったい誰だろう?
郵便屋さんか何かかしら。そう思ってドアを開ける。
開けた先に恵美が見たものは自分の最も愛する男が熱病のため、今にもその場に倒れこんでしまいそうになっている姿だった。
「どうしたの!とにかく上がって。こっち私の部屋に来て」
隆一はおとなしくついて行く。「こんな状態で私の家に来るなんてどういうこと?何かあったの?」
恵美はタオルを絞りながら隆一に尋ねた。「俺はな、今から殺人を犯すんだ。今この場でだ」
「えっ?何言ってるの?恐いよ、どういうこと?」
「殺人って言っても、別にお前を殺すわけじゃない」
「全然意味がわからないよ!」「いいから黙って俺の話を聞くんだ!」
隆一がそう怒鳴りつけると、部屋の中はシーンと静まり返った。
「俺はあの日橋の下に行った。思えばあの忌々しい青いテントだ!
あれが何なのか、あの時の俺はそれが凄く気になっていたんだ。
確かにあれは気づきにくい場所にある。でも一度見つけてしまえばそれが気になって仕方なくなるんだ。
そうだ、その中はどうなっているのか、一度、一目で良かったんだ。
俺が中を見ていたその時だよ!あの男が帰って来たんだ。
来るなり俺に襲い掛かってきて。俺は覚えているよ、今でも、あいつを殴った感触。
一発でやつはぐったりなって、死んだ。俺はな、やつを殺したんだよ!」
「お前にこんな話をしても、お前は信じないだろう」
この一部始終を見て恵美はがたがた震えた。
何より狂ったように話す隆一の姿を見て震えていたのだ。
それでも彼女は、震えた声で隆一に応えようとする。
「信じるわ」「お前は俺を信じてくれるのか?何故」
「あなたを…愛しているから」
恵美の瞳には涙が溢れていた。彼女は男の事を思い、涙せずにはいられなかったのである。
「お前は俺を思って泣いてくれるのだね。こんな俺のために涙を流してくれるんだね。
恵美、君はいつ、僕がどんな状況にあっても、僕が辛い時は僕のために涙を流してくれるかい?」
「もちろんよ」
「ああ、恵美。本当に愛しているよ。恵美、僕はね、本当は殺人者になんかなりたくなかったんだ!
本当だよ!この話を君にしなければ誰もこのことは知らなかったんだ!
僕は殺人者にならずにすんだんだよ!それなのに僕は君に話した!
自分から進んで殺人者になったんだ!自分でも何故だかわからない。
僕は何故こんな事をしたんだ!」
「隆一、それはきっとあなたの魂がそうさせたのよ!話さずにはいられなかったんだわ!
あなたは人を殺して黙っておけるような人じゃない。隆一私待っているから!」
「待っている?どういうことだ?」
「今からその話を告白するのよ。そうすれば罪だって軽くてすむし、すぐに戻ってこれるは。
隆一、あなたならそこで勉強して、出てきたらきっと立派になれる。」
「じゃあ君は僕に自首しろというのか?」
「そう、罪を洗い流して生まれ変わるのよ!」
「君はいったい何を考えているんだ!そんな事をしたら俺の母さんはどうなるんだ?
俺だってそうだ!俺は檻の中でなんか、一日でも過ごしたくなんかないんだ!捕まりたくないんだ!
それに罪だって?俺になんの罪があるんだ?俺が殺したのは盗人の浮浪者だ!
あいつが死んだって誰も迷惑しない!俺が何を傷つけた?あんなのは無意味な死でしかなかったんだよ!
俺はなんとも思っちゃいない」
「嘘よ!」「嘘じゃない!俺は何の罪もない!」
「だって…隆一はあの時涙を流したじゃない!」
「いったい何を言っているんだ、お前は?」
「ウサギが殺された時、あなたは誰より涙を流したじゃない!」
「!?」
「無意味な死なんて無いって、あなたが一番良く知っているはずじゃない」
「ふざけるな!そんな昔の話!」
そう言って部屋を出て行こうとする隆一。恵美は必死でそれを止めようと叫ぶ。
「隆一!」彼は一瞬恵美を振り返る。
「俺は絶対に捕まらない。自首なんて絶対にしない」
バタンと部屋のドアを閉める音がする。後には恵美のすすり泣く音が永遠と続いた。
522:殺しはなかった29
09/04/02 18:04:23 UvbVzI76
隆一はそれからあてもなく外をうろうろと歩いていた。何をするでもなく。
実際に彼には目的など無かったのだろう。
しかしその足は自然とあの橋の方へと向いていたようだった。
何台もの車や人が通り抜けて行くが、彼はそんなことには無頓着にふらふらとおぼつかない足取りで歩く。
そんな時だった。彼は一つのなんと言うことのない景色を目にする。
路上で轢かれたまま横たわっている猫の死体。
その姿を見たものは他にもいるはずだが、ほとんど気にもとめない。
隆一はその光景を見て、すっと一筋涙を溢した。
彼は猫を抱き上げた。猫を抱きしめたまま、隆一はまた足を進める。
あの橋までだ。その途中、道行く人は死んだ猫を抱いている彼を奇異な目で見つめた。
それでも彼はかまわず進んでいく。
小さな橋が見える。あそこから全ては始まった。
彼は土手をゆっくりと降りて橋の下に行く。
土は案外軟らかかった。手で土を掻き分け小さな穴を作ってやった。
そこに抱きかかえてきた猫を埋めてやる。
土を上からかけてやり、猫の姿が見えなくなってからもずっと、彼はその様子を見つめ続けた。
もうすぐ、この場所にコスモスの花が咲く。
<殺しはなかった>完
523:創る名無しに見る名無し
09/04/03 18:18:46 QzboH9yc
TVドラマのようなお話を書いてみます。よかったらご感想お聞かせください。
タイトル「ブラックナース和奈」
最近出会いがないな…合コンにも大した男(ひと)いないし。
私の名前は和奈。一応、ペットみたいな男はいるけど、いまいちもの足りない。
だから、いつも彼氏なんていない振りをしてる。そんなとき、
近所の従姉の佳子からメールが。「結婚しました。写真も添付します。
二人で温かい家庭を築いていきます。」
添付の写真はとても幸せそうなウエディング姿の佳子と旦那さん…。
悔しい。なんであんな馬鹿な女にこんなイケメンが…。
私はこの旦那さんに興味を持った。別に、恋とかそんなんじゃないけど。
名前、なんて言うんだろ。この彼のことがどんどん気になっていく。
もう、私の旦那さんなんじゃないかっていうぐらい気になってきた。
ムカつく!!!佳子め、私が撮った結婚写真を合成して送信してきたんだ!!
絶対許さない!!!今度から佳子に会うときは必ず、親戚みんなで超イジめまくってやる!
私の住む沖縄は親戚づきあいが多いから、イジめるチャンスは多い。
絶対に佳子を精神的に追い詰めて、自殺に持ち込んでやる。それか、旦那さん殺しをさせるとか。
佳子は案の定、私を見るとビクビクするようになり、親戚一同白い目で佳子を
見るように。佳子は実はバツイチ子持ちのヤリマンバラバラ無差別殺人鬼です。
この噂は沖縄県中に広まった。
私がこの怪文書的なチェーンメールを佳子の文責として送るよういろんな人に指示したから。
このことを佳子は何も知らない。佳子、早く死ねばいいのに。超楽しみなんですけどww
524:523
09/04/03 18:58:02 QzboH9yc
佳子はたぶんもう誰かに元旦那さんを寝取られてるはず。
あの怪文書を読んだら、みんな、元旦那さんがかわいそう。って、
思うでしょ?だから、女はみんな元旦那さんにメロメロになるってわけ。
そう、怪文書では佳子はバツイチって設定だから、旦那さんじゃなくて元旦那さん。
だから、女はみんなあの元旦那さんをゲットしたくて仕方なくなるわけ。
私って天才!!アハハハハハ☆私は彼には近づかない。怪しまれないようにね。
どこかの誰かさんが、不倫とも知らずにあの男を佳子から寝取ってると思うと超感じちゃう☆
女って、他人の幸福を認められないんだよね。それを活用してるの。
あと、女の腐ったような男もね。似たようなものね。みんな馬鹿ね。
私は佳子の新居なんか呼ばれても一歩も足を踏み入れないんだ。絶対、あの嫌われ松子の晩年状態の
汚部屋でしょ?男なんかいるわけない。近所の子どももみんな嫌ってる。
お年寄りにだけは、人気があるみたいだけど、ザマアってかんじ。
一生、ジジイ、ババアとラブアフェアーしてりゃいいのね。33歳にして、精神的にお墓に片足突っ込んでる
アルツハイマー女佳子はいつも大暴れして、ナースとしては最高にケアし甲斐のある患者さんなのよって、
みんなにいいふらしてる。だからいつもみんなに褒められるんだ。
「さすがナースの鏡。私も和奈さんみたいになりたいな」ってね。爆笑でしょ?満点大笑いよね☆
ところで私の夢は、嵐の松潤君みたいなヒトと一緒になるコト☆
私はまだ25歳だし、まだまだチャンスあるしっ♪恋空みたいな恋もいいナ☆水嶋君もサイコー。
こんなこと親には言えない私。両親は私のこといつも子ども扱い。
パパはやり手のデカだけど風俗遊びがやめられない。これはママのうつ状態の原因。
でも、そんなことより私とペット君のラブライフの内容を知ったらパパもママも気絶するんじゃないかな。エヘ☆
525:天にまします……
09/04/05 01:57:18 4rw04npX
この宇宙に、地球以外に知的生命体は存在しているのだろうか、
そしてもし存在していたとしたら、人類はその存在と交流できるのだろうか――
少なくとも現在の人類の科学力で現実的な時間内に行くことのできる範囲には
地球外知的生命体は存在していそうにないから、
その疑問に答える方法はこの宇宙で最も速いもの、すなわち電磁波に頼ったものになる。
つまりは地球から電波でメッセージを送ったり、反対に異星人の通信を拾えないか地球に飛んでくる電磁波を分析したりするのだ。
しかしいかにそれが実際に宇宙に乗り出すのに較べれば現実的で実現へのハードルが低いとはいえ、それはあくまで相対的な話、
絶対的な意味では極めて困難、かつ成果が得られるかどうか誰にもわからない、そして莫大な金がかかる、
それに何より、成功したところで、それが何らかの社会経済的な利益につながるとは考えにくい。
そんなわけで、この疑問に答える計画は元から冷ややかな視線を浴びせられていたところに、
経済情勢が厳しくなれば縮小廃止の対象になってくるのは、これはもう、当然の帰結なのだった。
そしてここにも、そんな予算を縮小された計画があった。
「まーったくよう、連中はわーってねーんだよ」
例によって例の如し、研究施設の片隅に計画のメンバーが集まってやけ酒をあおっていた。
「そうだそうだ」
「だから金勘定しかできねえ連中とそいつらに票を入れる人間っていう構図に重篤な問題がさあ……」
もちろんこんなところで管を巻いていたって何にもならない、そんなことはわかっている、
だが、では、どこでどうしたらこの現状を変えられるというのか?
それだからこそ、酒でもかっ喰らって空しい気勢を上げなければやっていられない。
「二言目には成果見せろ成果見せろ言いやがって。そんなホイホイ成果が出るような簡単なもんだったらやる価値がねえ。
達成できないように見える困難への挑戦こそが人類を発展させてきたんだ」
「そうだその通り! これは人類の停滞につながる愚行ですよ愚行」
「目に見える成果がなけりゃ物事の価値判断も出来ないような連中に国家の運営を任せるのがそもそも間違いなんだ。
そーいう馬鹿どもにもわかる程度の結果をいちいち出していられるかっての」
「まったくだな、ま、一応もう成果は出てるっていえば出てるんだが」
「え!?」
一斉に向けられた視線の中心で、計画のリーダーは己の迂闊な発言に対する猛烈な後悔の表情を浮かべ、
事情を知っているらしい古株のメンバーが、睨みつけるような眼や悲しそうな表情でそっちを見ていたりするがもう遅い。
「どういうことですかどういう!」
「そうです成果が出てるって! どういうことか説明して下さい!」
一斉に詰め寄られ、リーダーは上手い言い訳を考えているのか難しい顔をしていたが、それも数秒の間だけのことで、
ワタクシはもはや全てをあきらめましたといった表情になり、口を開いた。
「わかった話そう」
一同は分析室に場所を移していた。
「昔からここにいる人間は知っていることなんだが……、
確かに以前に宇宙から知的生命体の通信と思われる電波を受信したことがあるんだ。
そして、それが本当に知的生命体の通信か確かめるための作業の結果としてというか、一環としてというか、
とにかく、その内容の解読もできた。
それがここに書いてある」
リーダーは紙を持った手を軽く持ち上げた。
「大発見じゃないですか! なんで今まで黙っていたんですか!」
「そうです! どうして発表しなかったんですか! いや、今からでも遅くない、すぐに発表するべきだ!」
「うん……、いやまあそう言うのはわかるんだけど……、それはこれを読めばわかるっていうか……」
「じゃあすぐ見せて下さい!」
「うーん、いいけど、後悔するかもしれないよ、っていうか多分後悔するよ。それでも……」
「ごちゃごちゃ言ってないで早く見せて下さい!」
「……わかった、じゃあハイ」
苦渋の表情でリーダーが差し出した紙をひったくるようにして、一同はそこに書かれた内容を読んだ。
526:天にまします……
09/04/05 02:00:21 4rw04npX
「いやもうあれさ、やんなっちゃうわけ、やっぱり予算出してくんないってさ!
いるかどうかもわからない(解読不能・惑星の名を示す固有名詞と思われる)外知的生命体への
メッセージ送信なんかにカネ出せないって!
お前みたいなオタク野郎のいうことなんか通るわけないって!
ひゃぁっは~政治家の皆さま方に納税者の皆さま方は賢明でいらっしゃいます~う~!
だっかっら自分でカネ出してやってるよ~ん!だから好きなこと自由に言っちゃうよ~!
(解読不能・人物名等の固有名詞と思われる)萌え~!
ああ~(解読不能・先のものと同一の固有名詞と思われる)、なんで画面の中から出てこないの!?
恥ずかしがり屋さんなのは知ってるけど、僕なら大丈夫だよ~、出てきて慰めてよ~、そうからd」
途中で読むのをやめた一同を前に、誰に言うともない調子でリーダーは言った。
「人類の未来への一歩が、
社会的に認められた組織やら理想的な人間やらによって感動的になされるのではなく、
世間で認められないオタクによってまるでふざけた冗談みたいな形で進められる、
そんなこと政府や社会が認めると思うか?」
一同は納得した。そう全てを納得したのである。
宇宙にはまだまだ数え切れないほど多くの謎がある。
きっとその中には、知らないままの方がいいものだってきっとあるんだろう。
527:創る名無しに見る名無し
09/04/06 05:58:08 aoriM8ot
>>525-526
まさに「宇宙からの電波を受信」した訳ですかw
ところで、>>406氏のシリーズのスピンオフとして、弾道ミサイルを迎撃する「SM-3」ミサイルに
自我が芽生えるという読み切りものを構想してたのですが、そのシーンが登場するまで
時間が掛かりそうなのと、せっかくミサイル防衛システムが注目されているこの頃という事もあり、
単独作品として投下します。
>>406氏のシリーズに登場する兵器たちも、こんな風に自我を獲得していったのかもしれません……
528:創る名無しに見る名無し
09/04/06 05:59:58 aoriM8ot
「それ」は暗く狭い空間に、精密かつ厳重に収納されていた。
この世に生を受けてからのほとんどの時間をそこで過ごしているのだ。
そこに収まってからというもの、大抵は周期の大きな揺れを受けている。
時には激しく揺れる事も全く揺れなくなる事もあったが、「それ」自体の機能に影響を与えるものではなかった。
― その日も普段と変わらない様子で揺れに身を委ねていた。数日前に揺れは始まったが
それはあと十数日あるいは数十日は続くであろう、いつもの日々のはずだった。
しかしその日はいつもと違って「彼」から命令が入ってきた。だからあらかじめ決められていた反応を返した。
突然激しい振動、そして轟音。ものすごい加速度。
明らかに普段とは違う事態。
さっきの命令がこの事態の原因なのは判っていた。
轟音と振動は続く。数十秒で空間の温度が下がってきた。
さっきのものとは違う命令が入ったので、さっきのものとは違う反応を返した。
振動と轟音が途切れた。しかし再び激しい振動と轟音。心なしか前のものとは違うようだ。
更に温度が下がる。空気が薄くなり、やがてほぼ真空になった。
外からの音は聞こえなくなったが激しい振動は続き、途切れ、そしてまた始まった。
しかし機能の維持には問題無い。
次々と命令が入ってくる。そのたびにそれぞれ決められた反応を返した。
「彼」から200km以上も離れた辺りだろうか、幾つ目かの命令に答えた時、今まで被さっていた壁が外れ、
外が見えた。周りには何も無い。
そのまま広く暗く冷たい空間に放り出された。
前の方に何かが見えた。命令はそれに出来るだけ近づく事だ。
向こうからもこっちに近付いてくる。擦れ違わないように、こちらの進行方向を変えた。
このままいけば衝突する。与えられた命令を達成する事になる。
ではその後は?初めて考えた。自分は何者で、何をしようとしているのか。
その間にも目的物が近付いてくる。ためらいながらも進路を合わせる。衝突すれば両方とも粉微塵だ。
そしてそれが自分に与えられた使命なんだ。
熱の目を持った「それ」は側面からの噴射で向きを変え、精密に目標に向かっていき、
衝突した。
およそ30メガジュールのエネルギーが形を変え、宇宙空間に大輪の花を咲かせた。
イージス艦から発射されたSM-3ミサイル、その先端に搭載されたキネティック弾頭は目標を捉え、衝突して
弾道ミサイルを完全に破壊したのである。両者の破片は大気圏に降り注ぎ、燃え尽きて消滅した。
― 気がつくとまた暗く狭い、いつもの場所にいた。揺れもいつものとおりだ。
いや、いつもの感じじゃない。自分の体のはずなんだが違和感を覚える。
外からは何か声が聞こえる。何か喜んでいる声のようにも聞こえる。
隣のセルが空になっている。思い返せばこんな体験は初めてじゃない。
一度目はさっきと同じように。二度目は目的物に衝突せず、今思えば失意を感じながら。
何も見えず何も感じられない状態になって、気がついたら別の体に収まっている。
三人目だった自分は今、きっと四人目になったんだろう。
一体自分が何者で何のために存在しているのか、いつか判る日が来る。
その時にはきっと、「彼」と語り合うこともできるだろう。
529:創る名無しに見る名無し
09/04/06 06:15:21 aoriM8ot
文中に登場する「SM-3」ミサイルの詳細はこちらをご参照ください。
スタンダードミサイル
URLリンク(ja.wikipedia.org)
以上、スレ汚し失礼しました。
530:創る名無しに見る名無し
09/04/06 07:06:38 tMLxEfEQ
るーくんwww
531:創る名無しに見る名無し
09/04/06 08:18:12 JqEiQHRW
超乙!
発射されるまでの過程が生々しく描かれているのが良かった。
軍事や擬人化スレでもどちらでも十分いけるかも知れない。
こっちも早く再開出来るよう頑張るわ…本当色々申し訳ないです。
532:創る名無しに見る名無し
09/04/10 00:40:51 n2LRNQjE
「彼曰く、
「彼曰く、
「彼曰く、
「彼曰く、
「彼曰く、
これは世界一長い文章
であると。」
であると。」
であると。」
であると。」
であると。」
533:コピペみたいだが
09/04/12 04:19:54 HMRhc5lc
皆さんもご存じの通り、現実と空想の区別がつかなくなった人達による凶悪事件が多発しています。
これらの事件は、もちろんその内容そのものもさることながら、
それを行った人達が反省や悔恨の情といったものを示さず、自分達がした行為は正当なものと思っており、
さらにおぞましいことに、そういった人達の同類が、事件を起こした人達には問題がなく、
まるで被害にあった人達の方に非があったかのような言動や態度をとることがしばしばです。
自分達と違った人間に対する思いやりや同情といったものが、まるで欠如しているのです。
こうした見方は偏見に過ぎないという意見もありますが、現実を見れば、これが厳然たる事実であることは一目瞭然です。
さらに、こういった現実と妄想を混同した人達は、その妄想の内容の違いによって派閥を作り、
ところかまわず派閥間で激しく争ったり、そんなものに興味のない人を引き込もうとしたりします。
興味のない人達の迷惑など顧みず、自分達の偶像をしつこく宣伝してくる人もいることは、皆さんもご存じでしょう。
彼らが妄想や偶像のために多額のお金を使うことや、その空想に関係ある場所が観光資源としても利用されているという、経済的な利益や、
それらの妄想や偶像を題材にした絵画や立体作品の芸術性から、そういった人達の妄想を受け入れようという意見もあります。
しかし、先述のような様々な弊害のことを考えれば、とても引き合うものではありません。
断固規制しなければならないのです。
だから皆さんも、宗教の規制運動に協力して下さい。
534:523
09/04/13 10:58:33 IGt9P9Jx
大体さあ、不倫してる佳子さんと旦那さんってやり方が違うっていうか。
佳子さんは自分に旦那さんがいるってバラすから、プライド高い男どもに
ひどい乱暴されてロクな不倫できないのよ。
でも佳子さんの旦那さんのトモミさんは違う。奥さんがいるんだって男が女に
バラすと、途端に女は燃えまくるのよね。そして年中無休の、動きが激しすぎる性獣が増殖。
これ、日本のこれまでの経済成長の一因だったんじゃないの?そうか、そうか!
性は生ってそゆことなのかな☆まあ、私はそんな馬鹿は知らぬが仏だとしか思ってないしっ♪
私の大好きなペット君の幸喜クンはそんなヒトじゃないもん☆信じてるからね☆
まさかあなたの元職場のトキワ○の経費横領してカラ出張&モルヒネセックス、またヤルの?
そんなことするのほんとに私だけだよね?信じてるから!祈ってるから!
しかし、佳子の自称彼氏って誰なんだか。彼氏なんていないくせに。処女のくせに。馬鹿すぎ。
私の尊敬するナース先輩のY子さんとレズって思ってるんだけど。佳子ってタチなんじゃないかな。
私を見る目が怪しいのよ。ムカつく!市ねって感じ。プリンが大好物らしいけど、ほんと
プリン食って市ね!!!お前が一番怪しい!!!毒色オマ○コのお前が悪い!!!
死亡説流したんだからもう私の目の前に現れないで!!
あと、妊娠してないのに近所のバークレーレディースクリニックに行ったのも許さない!!
流産した?ありえない!!ありえない!!お父さんとの子どもだったらわかるけど。
佳子、お父さんとお幸せに~♪♪私はペット君の幸喜君を大事にしつつ、患者様のダンディおじい様に気に入られて、
遺産をガッポリ、エッチなしでゲット決定だから。幸せすぎ☆
535:523
09/04/13 11:17:08 IGt9P9Jx
私のモテテクはシンプル。気に入った男には、絶対にダーリンの話を
しない。存在は絶対に明かさない。すると、男は、こいつはやっぱり
処女なんだ、俺の女なんだと勘違いするから。そしたら勝手に向こうが
恋に落ちるわけ。簡単。だから私は結婚しても、旦那にも毎日処女ぶるのよ。
男も女も意図的に、毎日軽く記憶障害となり、毎日新鮮な恋愛したい生き物だから。
だから私は佳子は処女って思い込んであげてるのにあの馬鹿ときたら。。
のびしろがありすぎて祈りがいがあるのよ。誰よりも不幸な佳子、誰よりも幸せになってね☆
また食事行こうね☆私の頭の回転の速さと高笑いについてこれなくてアタフタしてる
佳子がまた見たい。楽しみにしてるしっ♪
佳子とトモミさんとの夫婦仲を誰かに壊されないように一番祈っているのは実はこの私だからね☆
佳子さん、トモミさんを信じてあげて。信じすぎて自称セフレからカウンターパンチ?それはナイナイ。
信じすぎている状況は、佳子を無敵にするから。やってみて☆疑うと地獄に堕ちるよ♪
間違っても離婚しちゃダメよ☆別居もダメ☆実家に帰るのもね。
馬鹿みたいに信じてあげる。これしかない!これで佳子は今の地獄から救われるから!
がんばれ!
536:523
09/04/13 11:25:34 IGt9P9Jx
ところで私が愛するラブペット君のこと、佳子の元彼の幸喜さんって呼んであげてるの
知らないんですか?アハハハハハ!!まるで佳子の元彼と付き合ってるみたいで
超楽しくて。佳子を見るたび大爆笑が止まらないのはそのせいだよ☆ドンカーン…
537:523
09/04/13 11:33:39 IGt9P9Jx
奥さん方は夜は娼婦のようにって言うけど、娼婦って「処女のように振舞え」って
指導されてるっていうし。結局、すべての女が処女のように振舞うのが、DV撲滅にも
繋がるのよ。佳子、勘違いしちゃだめよ。親戚の集まりに今時、網タイツとか
履くんじゃないのよ!みんな一応心配してるんだから。
538:523
09/04/13 11:45:00 IGt9P9Jx
だから、トモミさんの好きな女たちも、みんな処女としかトモミさんは
思ってないわけ。子どもを10人引き連れててもね。ただし、女を捨てて
ません的な雰囲気の女のみね。だから佳子も、女を捨てなければ大丈夫。
私が保障するから。だから安心してよね。オタクだからってそんないつも
暗い顔しないほうがいいよ。女ざかりの人たちを見てごらん。みんなギラギラ顔
でしょ。佳子はとりあえず前を向いて、ニコニコしてりゃいいのよ。
ギラギラもいいけどニコニコがいいなって、思ってもらえればいいのよ!
泣いちゃダメ!男は女の涙を見るとスメアゴルと思って殴り殺すとしか思わないから!ホント!
怒っちゃダメ!中の人である男が怒ってるみたいと思ってやはりDVされるから!
佳子、ズボン履いちゃダメ!この見知らぬ男、俺を同性愛と思いこんで挑戦してきやがった、
受けて立つ!と思われ、K1ごっこしはじめるから!ノックダウンするまで攻撃するモードになっちゃうんだよ!
佳子、自宅であられもない格好で歩かないで!ホー○レス女と思われて、やはり市ぬまで暴力振るわれるから!
ホントのホントなんだからね!要するにきちんとした女性らしく。ね!
539:523
09/04/13 12:11:17 IGt9P9Jx
あとね、佳子がもし妊娠したんだったら今度は誰にも言わずに半年ぐらいは
過ごすことね。バラしたらだめよ。みんなの中では佳子は処女なんだから。子どもさん、また
トモミさんに殺されちゃうよ。胎児殺しは無罪だからね。胎児殺しの快楽も知ってるトモミさんと離婚しないなんて。
こんなに救いがいのある人はいないわね!佳子!トモミさんは佳子以外の、セックスしたくなる女性しか愛してない。
トモミさんのアレは私のオマンコが幸せにしてあげる。横にいるガキのような妹はどいてよっていう目で、盛りのついた女たちが見てるでしょう。
見つめてるでしょ。私もそうなんだからわかるの。
佳子はお腹が大きくなってきたら、いろんな人に嫌がらせされるでしょうけど、なんとか聞き流したり
いろいろ工夫して乗り切ってね。応援してるから。佳子の新しい命は私の祈りによっても守られていくから。
今度こそ!
540:523
09/04/13 12:16:52 IGt9P9Jx
トモミさんのモテぶりは佳子、あなたが横で妹のように歩いてるから。
トモミさんもそれを悪用してる。トモミさんの子どもっぽい妹という設定の
佳子にわざとつれない素振りをすると、通行人女性も突然トモミさんに対し淫乱な気持ちになるってわけ。
佳子、子どもっぽいから。だから、子連れの女性や家族連れの女性も、家族を使ってトモミさんに
接近してくるでしょ。熱い視線でジーッと見ながら。で、トモミさんも見つめかえすと、恋の始まり。
大変ね。恋人大杉ね、トモミさん♪私はひっかからないように、あなたの目の前には現れないから。
ヤバ杉。
541:創る名無しに見る名無し
09/04/14 12:36:34 LoZ7Fkxa
西田真弥は老舗旅館を経営する西田綾香の次女として生まれた。綾香には真弥を含めて7人も子供がいるが一度も結婚せず独身を貫いている。
542:523
09/04/15 11:30:42 XOMa1eur
って、私ったらまた和奈さんの妄想をプロファイリングしたつもりになって、
症状全開になっちゃった☆お薬、昨夜きちんとデパス3錠、リスパダールをお水
に3滴ほどたらして飲んだら、スヤスヤ♪今日なんて、久々に幻聴からも解放
されたしっ♪なんて幸せなの☆普通に心身ともに健康に生きられるってことが。
あとはダーリンがもっとセレブ人脈を増やして、世界平和に邁進してもらえれば
私はもっと幸せ☆がんばれ佳子&ダーリン!!
新婚おノロケしてごめーん、まことにすいまめーん♪
(終)
543:創る名無しに見る名無し
09/04/16 23:03:13 rU5kjdin
私は時折考える。
近年、急激に伸びている所謂「アニメ産業」についてである。
もちろんそれはアニメに限らずラノベ漫画ゲームその他諸々。
なぜこんな風になったのかは私は知らない。マスコミがあおったせいもあるのかもしれないがそれも一因に過ぎない。
かつての清流も今や濁流。誰にこの流れを止められようか。蛍が戻るにも時間がかかる。
だがしかし。自らも濁流に巻き込まれ、今の人格を成したと考えるとそれは少々狂っている。
清流の時より水底にてじっと居続けたであろう石たちに濁流と共にやってきた石どもが覆いかぶさり、果ては「これは俺たちのものだ」といい始めるのはいかがなものか。
濁流と共にきたのならばそれと共に海へと帰るのがいいのだろう。その水は空へと登り、新たな石たちを運ぶ。
古きものたちはただ待つしかないのだろうか。待つことにより元の流れに戻るのだろうか。
そして新しきものとして来た者は古きものに歓迎されるか。
私は時折考える。
544:コギト・エルゴ・スム(この場合誤用) 1
09/04/18 22:29:25 k/333BWZ
「ちょっと思いついたことがあるんで聴いてくれ」
奇妙奇天烈にして暇つぶしには役立つ思索をのぞき見れる合図。学生食堂の片隅で、我が友人の講釈会がまた始まるのだ。
もっとも講釈「会」とはいっても聴いてるのはいつも俺一人だけ、俺の知る限りでは、
奇矯なる我が友人は、その言動のエキセントリックさが災いして、こんなどうでもいい無駄話を出来るような相手が俺しかいない。
……誰だ「類は友を呼ぶ」なんて言った奴は。そんな言われ慣れた言葉じゃ既に腹も立たんが。
「で、どんな話だ?」
「よくあるだろ、ある仮説が発表されて、それが正しそうだとなると次々とその正しさを裏付ける観測結果が出てくることが」
「ああ、確かにな」
別に適当に相槌を打ったわけじゃない。確かにそういうことはよくある。
例えば、どんな教科書にも載っている進化の証拠のあの世界一有名な化石は、
まさに進化論が正しいか否かの激しい議論が戦わされているときに発見された。
たぶん天才の代名詞として最も頻繁に引っ張り出されているあの元役人は、
これまた難解の代名詞である自分の理論が発表されてしばらくしてから、
天体観測によりそれが正しいという証拠が示されて有名になった。
こんな例はまだまだある。確かによくあることなのだ。
ただ、それはコイツの思いついた素晴らしい理由――そいつがどんなもんかはまだ知らんわけだが、いずれにせよ――に
よるもんじゃないだろうが。
545:コギト・エルゴ・スム(この場合誤用) 2
09/04/18 22:30:07 k/333BWZ
「そこでだ、それをこう考えてみたらどうだ?
この世界は、何かが――まあ俺のこの話では創造主といってもいいか、そいつが創ったんだ。
そうなんだが、その世界構築にはいろいろ穴がある。
それで、俺達みたいな知的生命体が新しく科学的法則に気が付くと、
それまでは認識されていなかったその穴に気が付かれる可能性が出てきちまう。
そこで、創造主は大慌てでその穴を塞ぐよう世界を修正するんだ。
その結果、正しい科学法則が新しく提唱されると、それを裏付ける観測結果が次々と出てくる、というわけだ」
「ああ、そりゃ大した話だな。面白い面白い」
「……何だその気のない相槌は」
やっぱり俺の態度が気に食わなかったか。贅沢な奴だ。
「あのな、考えてもみろ。
この世のありとあらゆる事象が真剣に科学の俎上に上げられてるわけじゃないし、
ある事象が科学的にどんな意味を持つかなんて、全く事前情報なしにわかるもんじゃない。
新しく提唱された仮説を検証するために、それに使える事象が新たに分析されるなんてのは当然の流れだし、
それまではその科学的重要性が理解されずに見過ごされてきた事象が、
新しい仮説が提唱されたことによって、初めてその重要性が認識されて日が当たるところに引っ張り出される、
なんてのもやっぱり当然あることだろ。
遺伝の法則を見てみろ。発見した奴が死んでかなりたってから“再発見”されたんだぞ。
それにだ、科学者だって成果が出そうにないと思われてることをわざわざ研究対象に選んだりせん。
少なくとも、まともとされてるタイプの奴はそうだ。
それで、新しい仮説が提案されたことによって初めて成果が出そうだとなった事象が、
そこで初めて研究されるようになった、っていうことは恐らく日常茶飯事なんてもんじゃないぞ」
「でも、しかしな……」
往生際の悪い奴だ。止めを刺してやるか。
「そもそもだな、お前の話が正しいとすると、
この世界の創造主は、自分の作った世界に、その世界の矛盾を指摘する存在がいることを許容していることになる。
わざわざ穴を隠すために自分の作った世界を修正するくらいなら、
最初からそんな知的生命体なんか世界に存在させなけりゃいいじゃないか」
「むぅ……」
渋い顔をして何か考え始めやがった。本当に往生際が悪い奴だ。
まあ逆転の手なんて思いつくわけもないだろうし、救いの手を差し伸べてやるか。話題を変える。
「ところでだ、課題の進み具合はどうだ?」
「ああ、あれな。正直、あんま芳しくない」
「そうか。俺もだ」
俺達は、あるシステムの作成を課題に出されている。
それで厄介なのが、システムの完成度を高めるため、そのシステム中に、
自己更新して次々とシステムの内部矛盾を指摘していくプログラムを組み込まれていることだった。
546:創る名無しに見る名無し
09/04/18 22:56:24 ZQNFEr3j
しかし最初は完璧だと思ってリリースするんだ
後になって……
547:創る名無しに見る名無し
09/04/23 00:29:54 G/nunidB
散文詩投下します。
今、朝の闇絶え
空へと地結ぶ旭日
姫百合が花を匂わせ
河骨も路肩で濡れる
548:創る名無しに見る名無し
09/04/23 08:48:02 bHIxrHIb
続きがあるような感じはするが―
549:創る名無しに見る名無し
09/04/25 23:40:37 8xszEGjO
「The End of DQN paradise」
そして、俺の時代が到来するのであった。
神降臨!!
おわり
550:創る名無しに見る名無し
09/04/29 22:59:28 o96rnNmr
きょうは まんとひひを みに いきました。
まんとひひは おかあさんに にて いました。
くさかった です。
ぼくは どうぶつが きらいです。
くさい からです。
ゆうこちゃん にも、くさいっていわれて、だからです。
ぼくは くさくなんか ないです。
ぼくより くさいものは たくさん あります。
まんとひひも そう、です。
おもしろいくらい すえた においが します。
オオナガザル ヒヒ化 でした。
ウィキペディアのほうが、どうぶつえんより くわしいです。
あるくとつかれました。
いえにかえるとすぐ、おかあさんが、ねろといいます。
なので ぼくは ねたふりを します。
おかあさんは
まいばん、ちがうおとこのひとと、
まんとひひのような へんなこえを だしています。
いちねんさんくみ ○○ ○
551:創る名無しに見る名無し
09/04/30 00:27:55 m6QetncY
これは…やりきれないな
552:タイトル「何か」
09/05/02 22:46:22 g/ZAwlXI
何かっ! 何かが迫ってくる!
あれは何っ! いやああああ! 何だかわからないものが何だかわからない方法で迫ってくるうううう!
よく見たらそれは大きな餅のようで、顔は二尺三寸、腰のくびれはマリリンモンロー、背中は象である。
やっぱりなんだかわからないぃぃぃぃっぃっ! 助けてぇぇぇぇっっ!!
「正直なところ、それが『何』なのかを一意的に確定できるような言語を人間は発明できていないんだ」
彼女は紅茶を啜りながらそう応えた。
「僕はそうは思わない。僕らは記号的な表現に置き換えることで『何か』を表現できるし、描写的に描写することも可能だ。その上、科学的メソッドによってしっかり検証可能な状態の文章を残せる」
「その文章は、本当に『なにがなんだか判らないもの』が目の前にあったときに、それを表現する事は不可能なんじゃないか」
彼女は苛立たしげにティーカップをソーサーに乗せた。
カチャリという音が、春風のもとで小気味よく響く。
「本当になにがなんだかよく判らないもの、って物の存在は証明できるのかい?」
「それは悪魔の証明だね。そもそも―」
彼女とのティータイムはいつにもまして衒学的な内容で埋め尽くされた。
僕は、そんな時間が心地良かった。
いやああああああっ!! 部分部分を身近なものに置き換えて語れば語るほど混乱するぅぅぅぅぅぅっ!!
角はまるで穴のあいてないリコーダーのようで、その双眸は丸ごとタコって感じでうにょうにょぐにゅぐにゅしている。最も意味不明なのが背びれがタンポポだってことだ。ダンデライオン。
理性で語れる範疇を越しているぅぅぅぅぅぅぅっ!
「人間の語彙ってのはそもそも印象を切り出しただけにすぎず、私の見ている『赤』とあなたの見ている『赤』は―」
「クオリア論だっけ。正直良く判んないんだよな」
僕は彼女の肩に手をかけた。
「たとえ僕らに見えている物事の本質が別物であっても、共有できる価値を見出して、すりあわせて行く事はできるだろう」
「それは妥協ってことね」
「恋愛なんて、概ねそんなものさ」
僕はうまくまとまった気がしたので、彼女の頬にキスをした。
「それじゃ、また明日ね」
「うん。明日ね」
なんか走馬灯のように昨日の事を思い出してしまうぅぅぅぅぅぅっ!! 助けてぇえぇぇぇぇぇぇぇっ!!
そもそも今この何かに包み込まれている訳だが、害らしい害といえばいまのところ気色悪いだけである。
鼻がお花畑で、耳は比較的美味しそうなローストビーフの香りと湯気を放っている。
そうじゃなくてぇぇぇぇぇっっ!! 身動きが取れないのぉぉぉぉぉっ! だれか助けてぇぇぇぇぇぇっ!!
「それで? その夢の続きは?」
「うーん……」
僕は鼻を爪で掻きながら、困ってしまった。
なんでこんな話ばかり、楽しそうに食らいつくんだろう。
「多分あれだよね、本当に『何がなんだかわからないもの』ってのがあるかどうか、考え過ぎたんだと思うよ。昼間の記憶の残滓が夢の方に混ざって来たんじゃないかな」
彼女はニコニコと笑顔を僕に向けながら、紅茶を傾ける。
それから彼女は言った。
「私、恋愛なんて、本当に何がなんだかわからないものだと思うな」
春の風が心地良かったので、僕も笑って聞き流すのである。
了
553:創る名無しに見る名無し
09/05/04 14:09:06 Xnnfpv84
真面目なのかギャグなのか
夢の話なのか恋愛の話なのか
一言で言うと、わけわからんwでも面白いなw
554:創る名無しに見る名無し
09/05/08 11:32:55 EKbcPQWQ
タイトル「おかあさんへ」
おかあさん、いつも僕のことを心配してくれてありがとう。
僕は元気です。おかあさんは僕にいつも「保証人にだけはならないでね」
と言うけど、大丈夫だよ。たとえ僕がおとうさんとおかあさんに
フランス料理をおごってもらったとしても、絶対におとうさんとおかあさんの
保証人にさえならないんだから。僕のお嫁さんは知らないけど。
僕は人生の転換期になると必ずつつもたせのような男女ペアに無銭飲食させて
もらって、旅行の約束までしてしまったりしてあとでお嫁さんにげきどされたりして、
釈然としない毎日でした。なんで僕がお嫁さんにしかられないといけないのか、ぜんぜん
わかりません。なんでお嫁さんが僕のじついんをとりあげるのか、まったく理解できません。
僕のじついんなのに。僕の人生、誰と旅行に行ってもいいじゃないか。前はそう思っていたときも
ありました。だけど最近はそんなことどうでもいいです。お嫁さんといろんなところに旅行に行く方が、
気楽で楽しいことがわかりました。でもまたつつもたせの男女ペアが来たら、僕はまたメロメロ、元の木阿弥だと思います。
だけど、僕のお嫁さんは、また僕をメロメロから正常に戻してくれます。お嫁さんはお薬を僕に飲ませてくれたり、
せいしんしょうがいしゃへの接し方を読み聞かせしたり、お経を唱えたりして僕を改心へと導いてくれるからです。
僕はお嫁さんが大好きです。つつもたせのひとたち、ごめんなさい。
ぼくは、保証人にもならないし、お嫁さん以外の人にてをだしたりいちゃいちゃしたりする気は今のところありません。
僕は奇跡的に正気に戻ったのです。一時的なものではあると思いますが。
自分でわかっていても、また罹患する可能性は大です。犯罪妄想に。
お嫁さんは気丈なふりをしてけっこう気弱で、僕もそうなのですが、ふたりで成長して、
心の強く、賢い人間になってから、本格的に子作りしようかなと、お嫁さんは考えているようです。
僕は、できたらできたでおめでたいし、うれしいです。でもおそらく妊娠、出産という節目は一番つつもたせの人が
僕の家に襲撃に来たり電話やメールしてきたりする可能性が高い。だからお嫁さんは警戒しているようでもあります。
でも、それだけでなく、お嫁さんはがんばりつづけた人生だったから、あと8年ぐらい休息したいそうです。
ひょっとして子どもつくりたくないのかも。それは僕は困ります。だけど急いで作ろうとは思いません。
まあ今は急がずあわてずゆっくりと。スローライフでロハススタイルなマインドを大事にします。
そうすれば、僕たち夫婦は何の被害にも遭わないですむでしょう。
さあ、今日はどこのランチを試そうかな?
(終)
555:554
09/05/12 09:09:47 Q7+01MNU
タイトル「夫へ」
ダーリン、いつも早く帰ってきてくれてありがとう。
今日もお仕事がんばってね☆
実は昨日、おぞましい出来事があったんだよ。
我がアパートの隣の隣の奥さん、ダーリンが帰ってきそうな時間帯にいきなり
ドアをあけて、子どもさんたちとわざとらしく一家だんらんしてキャッキャと
楽しそうだったんだよ。私もまざりたくなるぐらい。あの奥さん、だんなさんと
別居するためにこのアパートに引っ越してきたみたいね。おじいちゃんのc念さんも住んでいるふりして
結局帰ってるみたい。つまり…ダーリン狙いってこと。ウヒャ☆あっぶない人妻☆
別居中にダーリンをゲットして離婚→ダーリンと半年同棲→再婚→ウマーという、またしても私を
イリュージョン扱いしている輩が登場したってわけ。さっさと引っ越し!出て行け!ってさ、もうね、
私もmiyokoタソになっちゃいそう☆でも今日はあいにくのお天気だし、問題の奥さん、m城さんは昨夜、無事
いったんは旦那さんに迎えにきてもらって事なきを得た様子なの。よかった。でもまた今日も手料理をうちの
ダーリンに食べさせてお泊りさせちゃおうとやっきになって帰ってきたらやだなあ。どうしよっかな。
これじゃ、よけい主婦業に力が入るじゃない。ようし、がんばっちゃいます☆
ヨソの無料人妻に寄り道しないで、こっちの私、そう、運命の人である私のところにまっすぐ帰ってきてねダーリン☆
(終)
556:創る名無しに見る名無し
09/05/12 16:56:21 6xkIAdYg
なんか怖いー
557:創る名無しに見る名無し
09/05/12 22:13:59 KacbA9Ec
ヤンデル?
558:みさいる
09/05/12 23:17:20 4I7l+6aj
ミサイル―ミサイル(Missile、誘導弾)は軍事兵器であり、なんらかの誘導に従って自ら目標を攻撃する飛行装置である。ロケットや
ジェットエンジンなどを推進力に空中を飛行し、電子装置を用いて遠隔操縦や自律操縦によって目標に誘導される。誘導飛翔体という語
が用いられることもある。(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より)
男「いつつ・・・つ・・痛っ・・・・」
俺は今某大国との領土を巡ったくだらない戦争のために意味のあるかないのかわからない訓練を終え、一路最前線を目指すトラックに
乗っていたはずだ。
小さな声「ん・・・・んぅ・・・」
確か昼飯の休憩が終わり、いざ出発という所で隊長(この民間人の寄せ集め部隊の中で唯一の軍人)が無線機からの非常通信を聞き、
青ざめて俺らに何かを指示しようとした直後に何かが起こった。
小さな声「ぁ・・・・ん・・・・・ぁぅ・・・」
あれは爆発だったか? ミサイルが上空を飛んでくるような音も聞こえてた気がするし、いやでもそうなると俺がこうして生きてるのはおか
しな話で。ん?じゃぁどういうこった……
小さな声「はぅ・・・・く・・・・ぅ・・・」
そういえば非常通信を受けていた隊長がIRBMがどうのとか言ってたな。因みにIRBMとはIntermediate-Range Ballistic Missileの略、簡単
に言うと中距離弾道ミサイルだ。ふっふっふ、隠れ軍事オタを見くびってもらっては困る。ポスト第3世代戦車から細菌兵器にいたるまで個
一時間は語れるぞ。
……っとそうじゃない、IRBMだIRBM、弾道ミサイルの話だったな。
小さな声「ぁぅ・・・こ・・・こは・・・?」
しかしおかしな話だ、ミサイルの滑空音が聞こえて直後の衝撃。
男「生きているのが不思議というか不自然だなこりゃ。軍用トラックといってもただの軽トラに屋根が付いただけのハリボテだし」
衝撃を吸収するような物も確かなかったはず・・・
小さな声「ふぇっ? えっ? い・・や・・・」
お?なんか後頭部が柔らかいぞ。なんだこのマシュマロみたいなのは、こんな物荷台にはなかった気がしたが、それに人肌くらいに温かい
し微妙に震えている……うーむ不思議だ。
小さい声「―――――っっっっ!!!!!!」
しかしこの物体のお陰で思いっきり頭を打つことだけは避けれたようだ。ただ一つ文句があるとすれば
男「もうちょっと大きければ頭の横を打たなくてすんだのが残念だ」
大きな声「いっやああああああああああああああああああああああああーーーーーー!!!!!」
パーーーーン
(続)
559:みさいる
09/05/12 23:18:20 4I7l+6aj
(続き)
えーと、俺の名前は"久城 悠"普通の日本人だ。何をもって普通とするかによるだろうが、大体の場合は普通になるだろう。
そしてここは俺の田舎から前線へと向かう道……っとここはもう説明したっけ。
じゃぁ何故その普通の日本人である俺がこうして空を飛んでいるかというと、別にミサイルの直撃を受けたとかそんな物騒な話じゃない。
確か目の前に女性……いやあれはどっちかと言うと少女だったな、うん。その少女の顔が現れてそれで気がついたら空を飛んでて今に
至ると・・・回想終わり!
ってあれ、こうなった理由が全くわかっていないじゃないか。それになんか俺の体も下降を始めているしやばいんじゃないかこれ?
うわっ! 落ちてる!落ちてるよ!My body has fallenだよ!!
悠「誰か…たすけっ!!!!」
そう言ってる間に地面は近くなる、あと20メートル、あと15メートル、あと10メートル。いや、勘で言ってるだけだけどさ・・・
悠「ってそんなこと言ってる場合じゃない!!マジで死ぬ!」
そんなこと言ってる間に地面が眼前に迫る!
遂に顔面から地面に叩きつけられると思った瞬間っ―
ガシッ……
頭に衝撃が来た、来たのだが予想の100倍は軽い衝撃だった、それも後頭部に。
悠「へっ・・・・?」
そして後頭部には先程と同じ感触があり目の前には地面、頭上を見上げれば先程の少女の顔。そして足は地面につかない浮遊感。
彼女は俺の頭を抱きかかえて飛んでいた。
少女?「あの・・・大丈夫・・・ですか・・・?」
悠「あ、はい・・・お陰様で」
それが彼女との初めての会話だった
―――――――――――――――――――――
ありきたりなプロローグになってしまった気がしますが(汗
エロゲのシナリオライター志望です
SSというかレポート以外の文章作成が中学の作文以来、十数年ぶりなので見苦しい点ごめんなさいorz
R18の方とも思ったのですがそういうシーンがないのでこちらに失礼します。
意見・感想を教えてくれると喜びます
560:創る名無しに見る名無し
09/05/13 18:32:48 UN9J4Z7N
ID:4I7l+6ajの一連のレスを読んでいて思うが、
小説を書く段階に到っていないんじゃないだろうか。
脈絡がなかったり、説明が言葉足らずだったり、
言葉の使い方がヘンだったりする部分が多すぎる。
中学生でもここまで意味不明な文章は書かないぞ。
キツイことを言うかもしれないが、このレベルだったら
自分の文章のおかしさが理解できるようになるまで
プロの文を書き写すことに専念した方がいいと思う。
できれば小説やエッセイのような主観的な文章じゃなく、
客観的な、文章の構成がしっかりしてるやつ。