星新一っぽいショートショートを作るスレat MITEMITE
星新一っぽいショートショートを作るスレ - 暇つぶし2ch897:創る名無しに見る名無し
09/09/26 18:11:19 /CKpEz0o
「もういやだ」

ある日、エム氏は自宅で電話をかけていた。ちょっとした遊びへの誘いなのだが。
エム氏「行けるか?・・・・・・そうか。残念だ。」
エム氏の友人は都合で行けなく、仕方なく翌日1人で行くことにした。

実はなぜかエム氏はこういう所に運が無い。
誰かを誘おうとすると、必ずといっていいほど断られてしまうのだ。
そんな不運が、彼の唯一のコンプレックスとなっていた。
エム氏自身ももう諦めていたところだった。
・・・おっと、話が反れてしまった。すまない。では、この出来事の続きを話そう・・・

エム氏は電話を切り、部屋でテレビでも見ようとしていたところだった。
だが、電話を切って間もなくのこと・・・突然誰かからの電話がかかってきた。
エム氏は多少憂鬱になったが、しょうがないので電話にでることにした。

エム氏「はい、もしもし、どなたですか・・・」
(電話)「・・・・・・もうだめだ・・・。」
そういって電話は切れてしまった。
エム氏「なんだ?これは。変な嫌がらせをする奴もいるんだな」
エム氏は不思議がったが、同日、同じ電話は二度とかかってこなかった。

翌日、エム氏は一人でボウリング場に来ていた。アベレージは・・・175。エム氏にとっては微妙だった。
家へ帰った後、また部屋のソファに座って休もうとしたその時・・・
またも電話がかかってきた。しかも時計を見ると午後5時30分。昨日と全く同じ時刻にかかってきていた。
エム氏「またか・・・もしもし?」
(電話)「僕はもうだめだ・・・助けてください、誰か・・・」
そう言って電話はまたもや切れてしまった。
エム氏「まったく誰なんだ!今度かかってきたら、文句でも言ってやろう」
昨日とおなじく、同日にはもうその電話はかかってこなかった。

それからも、一日一回その電話はかかってきた。
文句を言っても、こうだった。
「そんなことを言われても、僕はだめなんです・・・」とか、
「なぜそんなことをおっしゃるのですか。残念です・・・」
という返事が返ってくるだけだった。
そしてエム氏はとうとう呆れてこんな手段を思いついた。
エム氏「もうこうなったら・・・奴を励ましてやろう。最初からすればよかったんだ」
エム氏はその電話がかかってくるのを待ち続けた。そしてついに・・・その電話は鳴った。

エム氏「きたな。今度こそ、これで最後にしてやる」
(電話)「・・・・・・助けてください・・・・・・・・・もうだめだ。もうだめなんです!」
エム氏「まあそんなくよくよしてても始まらないぞ。いっそ前向きに考えてみたらどうだ?」
すると、電話からは今までになかったこんな返事が帰ってきた。
(電話)「・・・私を励ましてくれるまで11日・・・遅いですね。普通の人でも7日ぐらいで私を励ましますよ。あなたには思いやりの心が足りません。これは国民全員に行いましたが、あなたが最下位というデータがとれました。それでは、ごきげんよう・・・」

・・・エム氏は電話を切った。そして、何時間かの沈黙が続いた・・・・・・
このことを後のエム氏には話さないで欲しい。彼はこのことがきっかけで、人の悩みを聞く時には随分と緊張してしまうという、新しいコンプレックスが出来てしまったのだ・・・
・・・おや、電話が鳴っている。すまないが、ちょっとあっちの方へ行くよ。

はい、もしもし・・・?え?そんなこといわずに、明るく生きていけばいいじゃないですか・・・ねえ。
え?なんですか?・・・もう20日目?・・・


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