星新一っぽいショートショートを作るスレat MITEMITE
星新一っぽいショートショートを作るスレ - 暇つぶし2ch696:創る名無しに見る名無し
09/07/02 14:30:44 t8Js9ah9
 「二度寝」


N氏は数百年ぶりに目覚めた。
サナギのような機械から身を脱して立ち上がり、研究所を見渡す。誰もいない。
N氏はすぐさま行動に出た。まずは研究所を出て街へ向かうのだ。
数百年前、マッドサイエンティストの間で或る計画が持ち上がった。一人がタイムマシンのある時代に行って、そこから手紙をよこすというものだ。
その派遣員がN氏である。
その中で眠っていれば永久に生存できるという「サナギ」の中で数百年を過ごした。自分の体はまったく衰えを見せていない。
過去の世界にいる研究仲間は今か今かと自分からの手紙を待ち構えているだろう。なるべく急ぎたい。N氏は薄ら笑いを浮かべて街へ向かう。
思ったとおり、街は大きな変貌を遂げていた。文明は発達し、車にタイヤが無かったり、子供が空を飛んでいたり、ロボットが歩いていたりする。
N氏は通りすがりのロボットに話しかけた。
「やあ、この時代にタイムマシンはあるかい?」
 田舎者でも見るようにN氏を眺め、ロボットは答える。
「SFじゃあるまいし、そんなものあるわけないだろう。俺がロボットだからってからかうなよ」
 言い終わると、ロボットはそそくさと去ってしまった。
タイムマシンはまだ開発されていないらしい。
N氏は不機嫌になりながらも再び研究所に戻った。
「タイムマシンがない時代に起きたんじゃ話にならない」
 N氏はサナギの中へ身を投げて、また眠りについた。……

さらに数百年が経って、サナギからN氏が這い出てきた。
前と同じようにすぐさま研究所から出た―が、なにやら外の様子がおかしい。
街へ向かうと、活き活きしていたはずのビル郡は腐敗しきっており、まるで荒城を見ているようである。
 焦ってうろうろとしている内に、N氏の目の前に、人間の頭ほどの大きさのボールが転がってきた。
ボールは時々震えて、その度に少しずつヒビが入っていく。
やがて、見たこともない生物が産声をあげた。


次ページ
続きを表示
1を表示
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch