星新一っぽいショートショートを作るスレat MITEMITE
星新一っぽいショートショートを作るスレ - 暇つぶし2ch400:創る名無しに見る名無し
09/03/06 22:50:22 r6RbRAXm
期待オェーーーーッ

401:自殺
09/03/07 14:27:54 NQntGkSh
 男は自殺の名所といわれるA岬にやってきた。この世の全てが嫌になったのだ
 意外なことに、そこには実に多様な人々がいた
「自殺なんてもったいない、我々と一緒にぜひインコ真理教に入りましょう。空中浮遊!」
 数人の男女が手を合わせてピョンピョンと跳ねている
「にいちゃん、どうせ死ぬなら戸籍売ってくれんかのぅ?」
 サングラスをかけた強面の男が肩に手をかけてくる
「死ね、死ね、死ね、呪い殺してやる!」
 枯れ木のようにひょろひょろとした体格の男が血走った目で『祝ってやる』と大きな紙に書きなぐっている
「人生そんな辛いことばかりじゃないんだから。だいたいアナタを産んでくれたお母さんに~~努力すれば誰でも~~死体の処理にたくさんの税金が~~」
 よく肥えた年配の女が長々と説教してくる
 なんだかどっと疲れた男はA岬を後にした。また次があるさ。しかし死ぬのも案外労力がかかるものだなぁ。ひょっとすると、ダラダラと生きたほうがよっぽど楽かもしれないな

402:創る名無しに見る名無し
09/03/07 14:38:32 NQntGkSh
最後に行間空けるの忘れてた……

403:創る名無しに見る名無し
09/03/07 17:45:38 QtfwlhiE
名所すぎるんだなw

404:創る名無しに見る名無し
09/03/08 14:49:35 lmZQD9Vr
おもしろい
意外とこうゆうの書くの難しいんだよな

405:XXX ◆TqnDIIRxZU
09/03/09 20:22:58 RqdjeySx
味があるショートショート
なかなか、書こうと思ってもこうは書けない

(`・ω・´)

406:XXX ◆TqnDIIRxZU
09/03/09 20:51:51 RqdjeySx
童話抽出機


昔々、あるところにお爺さんとお婆さんが住んでいました。
お爺さんは山へ芝刈りに、お婆さんは川へ洗濯に行きました。
お婆さんが川で洗濯をしていると、川上の方から男の子がドンブラコドンブラコと流れてきました。
お婆さんは、
「可哀想に、おおかた間引きにでもあったのか。なんまんだぶなんまんだぶ。」
と手を合わせて男の子を見送りました。


お姫様の駕籠の前を塞いだのは、大きな大きな赤鬼でした。
お姫様の家来は慌てて逃げ出してしまいました。
お姫様を守るために鬼の前に立ちはだかったのは、小さな小さな一寸法師。
鬼は、
「お前みたいな虫けらに何ができる。」と笑って一寸法師を一飲みにしてしまいました。
哀れ、丸腰の一寸法師は鬼のお腹の中で消化されてしまいました。



「こんな物がなんになると言うんだ!」
怒声と共に、絵本がコンクリートの床に叩きつけられた。
「じゃから、ワシの発明したのは童話抽出機というものなのじゃ。」
M博士は話しながら、目の前の男はまるで赤鬼のようだとおもっていた。
「俺が聞いているのはお前の動機だ!」
髭面の真っ赤な顔がM博士の鼻先に迫った。
「じゃから、『桃太郎』に『一寸法師』が挟まっておったのじゃ…。」
そう言って、M博士は申し訳なさそうにうつむく。
「わけのわからん事を言って、精神病を装っても無駄だぞ!
俺は『針入りの桃を路上で売った動機』を聞いているんだ!」
赤鬼のような刑事は、M博士をまだまだ取調室から出す気はなさそうだった。

407:創る名無しに見る名無し
09/03/09 20:56:19 5l4lOINN
そこがオチかw

408:創る名無しに見る名無し
09/03/09 21:24:57 +39KY8x2
うーん…

409:創る名無しに見る名無し
09/03/09 21:44:24 xDoSQu0O
わからんw

410:XXX ◆TqnDIIRxZU
09/03/09 21:51:44 RqdjeySx
微妙でしたか、
次がんばる

(・ω・)/

411:創る名無しに見る名無し
09/03/09 22:04:39 Bt67Bf9r
桃と針を、絵本の中から同時に取りだしてしまったって事なんだろうが
それを博士が路上で売ってたのが謎だな
金が欲しいなら小判とか引っ張り出した方が確実なのに

まあ、白衣の爺さんが
赤ん坊が入るサイズのデカい桃を路上で売ってたってのを想像すると
色んな意味でシュール過ぎるけど

412:創る名無しに見る名無し
09/03/11 19:28:29 lbwX5nkq
混ざったってことか

413:創る名無しに見る名無し
09/03/13 00:33:45 MW0bmWc+
「黒か白」

エフ氏は宇宙開拓局というところに勤めている。
宇宙の様々な場所を調べるためにつくられた局だ。

エフ氏は今日も普段通りに宇宙開拓局へと来た。
「さて、今日はどの惑星の調査だろうか。新型ロケットが次々と開発されたため、銀河系のどの惑星にも1日とかからずに着くからな。気楽な仕事だ。」
エフ氏の仕事は、惑星に行って、空気の測定や、生物の様子を調べて帰ってくるという仕事だった。
「まったく、最初のうちはドキドキしながら行ったものだが、最近は同じ行為の繰り返しばかりで飽きてきたな。たまにはスリルのある仕事をやってみたいものだ。」
そうつぶやいているエフ氏のもとへ、局長がやってきた。
「エフ君。単調な仕事に飽き飽きしているようだね。たまには危険な仕事もやってみるかい?」
「えっ、やらせてもらえるんですか。もちろん、やります。どのような内容ですか?」
「うむ、ブラックホールの調査をしてもらいたい。」
エフ氏は驚いた。
「ブラックホールですって。大丈夫なんですか?」
「分からないが、学者の仮説では、ブラックホールはホワイトホールと呼ばれるところに通じていて、そこへワープするらしい。」
「なるほど・・・」
「もしその仮設が証明されれば、ワープが可能になり、宇宙開拓もかなり進むだろう。もちろん君は昇進するし、かなりの額のボーナスも出る。」
「なるほど。やってみる価値はありそうですね。行かせて頂きます。」

そしてエフ氏の乗った超高速ロケットは、銀河系の中心にあるブラックホールへと向かった。
十数時間後、管制センターへ連絡が入った。
「こちらエフです。ブラックホールに到着しました。これより突入します。」
「幸運を祈る。」

その後数日間、連絡は途絶えていた。
皆があきらめかけた時、通信が入った。
「こちらエフです。ブラックホールはどこかの惑星へと通じていました!」
管制センターが歓声で包まれた。
「おお!素晴らしい。その惑星の様子を詳しく説明してくれ。」
「はい。空気はとても澄んでいます。また、清らかな小川、新緑の森、美しい花畑、それに住民は皆私を歓迎してくれています。美食に美酒、美女までなんでも揃っています。
でもみんな足が無いような・・・まあそういう種族なのでしょう。あれ?僕の足も無くなっている。」
管制センターはため息で包まれた。


414:創る名無しに見る名無し
09/03/13 00:35:35 MW0bmWc+
初投稿です。
見にくくてすいません。

415:創る名無しに見る名無し
09/03/13 03:07:05 zL7T6nB7
>>413
何気にホラーじゃねーかw

416:創る名無しに見る名無し
09/03/13 03:29:42 kusPzRxL
エフ氏……(;ω;)

417:創る名無しに見る名無し
09/03/13 03:53:19 EowO/oLs
コンタクト可能な彼岸の発見
ワープってレベルじゃない大変な功績だw

418:創る名無しに見る名無し
09/03/13 11:55:19 AfwZbM4U
これ好きだなー
ほのぼのしながらもちょっと黒いというかなんというか

419:not星 ◆tHwkIlYXTE
09/03/13 16:16:24 sATNjJDc

『文明』


我々は重大な情報を手にした。地球が我々の星を滅ぼそうとしているらしい。
我がS星は地球よりもかなり文明が発達している。
逆に地球を滅ぼすなど簡単な事なのだ。

この星は無機物で出来ている。我々の体も地球の人間とは異なった素材でできている。
人間などのように痛みに苦しむ事もない。
 
 
『たった今、地球から核ミサイルが発射されました。あと1時間でS星に着弾します。』


とうとう戦争が始まるのか。しかし我々には人を憎むと言うことがない。
だが星を守るためには仕方なかった。

そこで我々は考えた。
数億年前の地球まで遡り、そこで地球を滅ぼせば我々は攻撃をされないし、我々も人類に攻撃をしない事になる。

これは名案だった。
すぐに我々は時空転送機で地球に向かった。
そこで星を壊滅させる爆弾をしかけた。



『あと10分でミサイルが着弾します。』

ついに我々は爆弾のスイッチを押した。




そして地球とS星は消滅した。

420:創る名無しに見る名無し
09/03/13 18:20:32 xVKG0jna
オチがよく分からん

S星がかつての地球だったって事なのか?
てか、時空超えれるレベルの技術力持ってんなら
核ミサイル防ぐくらい楽勝だと思うんだが
そこら辺は文明が歪な発達の仕方をしたって事だろうかね

421:創る名無しに見る名無し
09/03/13 18:57:51 IM36yBAA
おれもさっぱりわからん

422:創る名無しに見る名無し
09/03/13 20:26:18 sATNjJDc
地球がS星を作ったって事だろ
と作者が解説してみる
 
今日の再放送見て考えたから内容はかなり薄いし
わけわからなくてごめん

423:創る名無しに見る名無し
09/03/13 20:35:18 xVKG0jna
地球がS星作ったってのは
古代に超文明があって、その連中が星を作ってたって事なのか?

424:創る名無しに見る名無し
09/03/13 20:37:47 sATNjJDc
古代に作ったって訳じゃないよ 
 
昔の地球ぶっつぶしたら
今の地球もないわけだから
わかりづらいかのう(´・ω・`)

425:創る名無しに見る名無し
09/03/13 20:45:53 xVKG0jna
地球の連中が作ったってんなら
今の地球の文明がS星以下ってのが変でね?と

それがS星の連中の勘違いってんなら
それはそれで「地球が時空転送機に対処出来ないのは何で?」ってなるし

426:創る名無しに見る名無し
09/03/13 20:51:59 sATNjJDc
背景としては
S星が発達しすぎたって言う(´・ω・`)
 
言葉が足らんかったな
出なおしてくるわ

427:創る名無しに見る名無し
09/03/14 00:24:05 bzr0w0aK
「むかしむかし・・・」


「むかしむかし、ある所にお爺さんがおりました……。」
孫と一緒に暮らしている老婆は、童話を話し終えた。
「うわあ、強欲なお爺さんだなあ。欲を出さなければ良いお爺さんのように幸せになれたのにね。」
「そうだねえ・・・。」

そのころ、地球はソル星という惑星と親交があり、お互いに貿易などをしていた。
ソル星には穏やかで優しい種族が住んでいた。
ある日、ソル星から地球に通信が入った。
「もしもし、地球さんですか。ソル星の者です。」
「どうも。何かご用でしょうか?」
「はい、地球さんが欲しがっているウランがたくさん手に入りまして、いつもよりもお安く提供できると思いますよ。」
「ほう。しかしどうやって手に入れたのです?」
「それが、まだ文明の発達していない星を見つけましてね、そこに様々な技術を提供したところ、お礼としてウランをくれたのです。」
「なんだって。ということは、その星にはウランが大量にあるんですね?」
「おそらく。」
「その星の場所を教えてください。ぜひ行ってみたい。」
「わかりました。」

ソル星の人々に教えられ、地球の宇宙船はその星に着いた。
「やあ。我々は地球という星のものです。何か技術を提供するので、ウランをくださいませんか。」
「すみません。ソル星の人達からだいぶ情報を頂いたので、もう要りません。」
「ならばウランと地球の物資を交換しませんか?」
「すみません。ソル星の人達から頂いた物で満足しておりますので・・・。」
「ならば仕方ない。」
「ご期待に添えず、申し訳ありません。」
「いや、帰らないぞ。」
「えっ?」
「ウランをよこせ。さもないと強力な爆弾がお前たちの星を襲うぞ。こんな風にな。」
少し離れた所から、大爆発が起こった。
「ははは。見たか。これが地球の軍事力だ。」
「ど、どうかお助けを。ウランはいくらでも持って行ってください。」
宇宙船は、ウランを積めるだけ積んで帰って行った。
「大収穫だ。これからもちょくちょく来るとしよう。」

「くそう、地球人め、親切だったソル星の人々とは大違いだ。今に見ていろ・・・」

それから数か月たったある日、地球にウランが豊富な星の宇宙船が来た。
「どうも。地球のみなさん。いつかはお世話になりましたねえ。あなた方が帰って行ったあと、我々はあの爆弾を研究し、ウランをつかった爆弾だとわかりました。
ウランは私たちの星に豊富にあるので、たくさん作れましたよ。ふふふ。」
そのすぐ後、地球は強烈な閃光と轟音に包まれた・・・

数百年後、ソル星ではある人が童話を話していた。
「むかしむかし、あるところに、地球という星がありました・・・。」
それを聞いていた子供たちはこう言った。
「うわあ。強欲な星だなあ。欲を出さなければ、僕たちの星のように幸せになれたのにね・・・。」


428:創る名無しに見る名無し
09/03/14 00:26:48 bzr0w0aK
文章が粗くてすいません。
近代的な童話っぽい感じで書きました

429:創る名無しに見る名無し
09/03/14 00:36:09 DVz76AQu
序盤で昔話を入れなかった方が良かったんでないの?
オチが見えてて意外性とかも無かったし

昔話のオチと違って、ソル星も滅ぼされるのかな~とか思いながら読んでた
デモンストレーションにビビって星一つ滅ぼすくらいに気性が荒過ぎる星の住人なら
次は温厚なソル星すらも疑心暗鬼で狙いそうだし

430:創る名無しに見る名無し
09/03/14 01:36:13 bzr0w0aK
なるほど
序盤のやつはタイトルを活かすために入れたんですが、逆効果でしたね。
次がんばります

431:創る名無しに見る名無し
09/03/14 02:00:36 gXr67Xxk
>>419
感想待ってるよ

432:創る名無しに見る名無し
09/03/14 09:59:53 3kDbR5gx
URLリンク(kissho.xii.jp)

まんま何か(『夜の声』でしたっけ?)に似ています。お許しを。

433:創る名無しに見る名無し
09/03/14 10:19:42 gXr67Xxk
はい携帯の俺涙目ww

434:1
09/03/14 10:50:33 3kDbR5gx
 カチ。また腕時計が針音を鳴らす。黒革のベルトに白銀の字盤、針に簡単な細工を施したやや小さめなこの時計。
幼き日から今日の今まで、僕の腕上で動き続けてくれたこの時計をいつ如何にして手に入れたのか、僕は何故か覚えていない。

 この腕時計がどこかおかしいことに気が付いたのは四年ほど前、中学校の運動会の日。個人種目でニ〇〇メートルを走り終え、
空いた教室で友人らと水筒の茶を飲みながら語らいでいる際、ふと静かとなった一瞬に、聞き覚えのある針音が数度聞こえた時である。
違和感があった。時計が一秒を刻む際に鳴らす針音の間隔が、実際の一秒のそれよりもやや短いように思えたのだ。
その時はすぐ会話が再開したためあまり気に止めずにおり、またしばらくして腕時計を見ると時刻に狂いはなかったため、ただの勘違いだと思うことにした。
 翌日、熱を出した。布団にくるまるも眠れずにいると、机の上に置いた腕時計の針音が部屋に響いた。今度はすぐに気が付いた。
明らかに針の音が一秒よりも遅いのだ。試しに手元の携帯電話の時計画面を開いて確認したところ、針の音がニ度鳴るのに三秒近くかかっていた。
これは明らかにおかしい。故障かと飛び起きて時計の針を確認すると、しかし針は携帯電話の時刻表示と同じリズムで、一秒に五度を移動する規則的な運動を繰り返していた。
が、針の鳴らすカチカチという針音は明らかにその動きに合っておらず、遅いのである。僕は腕を組んだ。
 右手がパジャマを越して左胸に触れる、その一瞬に理解した。針音は、等しく僕の拍動に対応していた。

435:2
09/03/14 10:51:38 3kDbR5gx
 僕はその後高校に入った。入学式、式辞を読む際の冷めぬ緊張を腕時計は乾いた音で冷ましてくれた。
またそれは飲酒量の限りを、自らの意識せぬ興奮をその音で伝えてくれた。僕の生活は常に腕時計と共にあった。
遠い昔も、あの日々も、そして初の試験の前日、不治の病と診られた結果、寝たきりとなった今でさえも。

 余命を宣告された瞬間、頭の中は絶え間無い針音に支配された。六ヶ月。あと半年で僕は死ぬのか。やがて暗くなった視界の中に、幼稚園児程度の少年の顔が現れた。
知らぬ顔だが、僕を見て笑っているらしい。その純朴な笑顔に何故か底知れぬ罪悪感と強い敵意を感じると、僕は意識を失った。

 それから五月ほどが過ぎた。先月は医師から自宅療養を勧められ、僕も家族も従った。
掛布団の下の僕の拍動は今にも折れそうな肋骨を弱弱しく叩くのみで、意識して心音を聞こうとしても針音に掻き消されてしまうほどに弱弱しくなっている。
喉の重さを払おうと、溜息をつき、息を吸う。ひゅうと音をたて、詰まる。息が、吸えない。首を左に捻る。針音が止まっている。鼓動も聞こえない。
ふっと揺らいだ視界がやがて薄い闇に落ちると、再びあの少年の顔が浮かんだ。とても嬉しそうな顔をしている。誰なんだ、これは?記憶を探る間もなく、僕の世界から完全に光が消えた。

436:3/3
09/03/14 10:53:01 3kDbR5gx
瞼の裏にぼやりと、あの少年の顔が再び浮かんだ。その表情は醜く歪み、何度もこちらに舌打ちをしている。
やがてその音は僕の鼓動と同化し、やがて針音に掻き消された。息が吸える。瞼を開けた。僕はまだ生きていた。
チューブの刺さった右手を握り締め、母が泣いていた。

 その後、今日まで一週間生きた。喉の重さがあの時を思わせる。今息を吐いてしまえば、次に吸うことは恐らく永久にできないだろう。
怖い。死が怖い。この息を吐きたくない。しかし僕は息を吐いてしまう。息苦しさを覚えると同時に針音が止むと、今度はすぐに闇が訪れた。
いつもの少年の顔に代わり、今度が本当に最期なのだろう、走馬灯が始まった。誕生、両親との日々、幼き日に見たテレビ番組―。
いくつかのシーンののちに、幼稚園の制服を着て、同い年程度の子供たちを引き連れ公園を歩く僕が見えた。小さい頃にガキ大将を気取っていたことなど、今になるまで忘れていた。
 僕はどうやら一人の少年を苛めているようだった。暫しの喧騒、怒号、泣き声の後、そこには顔を覆い嗚咽を零す少年と、彼を背にし、
あの腕時計を手に揚々とはしゃぐ僕の姿があった。ああ、思い出した。あの時計はあの少年から奪ったものだったのだ。近所の名前も知らない少年。
確か彼はその後公園に来ることはなかったため、僕の記憶からも消えてしまったのだろう。
 突如、走馬灯が止まった。泣き顔の少年が顔を上げ、僕を見た。その顔は幾度か闇の中に見た顔と同じだった。
少年は凍りついた僕を舐めるように見上げると、僕を指差し何かを言った。消え入りそうな声だったが、何を言ったかはすぐにわかった。

 「おわりだよ。おしまいだよ」

 僕は少年から目を逸らし、走馬灯の続きを待つ。ふと左腕を見ると、そこにはもうあの腕時計はない。
やがて少年が消えると視界はやがて完全な闇に覆われ、走馬灯の続きはいつまでも始まることはなく、響いてくるのは名前も知らないあの少年の笑い声ばかり…。

437:創る名無しに見る名無し
09/03/14 10:54:05 3kDbR5gx
以上です。今更だけど、星っぽくない・・・。

438:創る名無しに見る名無し
09/03/14 11:40:13 +o0DWJNt
縦書きはこうやって投下する方法もあるのか……

星っぽくはないけどいい短編だったぜ

439:創る名無しに見る名無し
09/03/14 17:05:41 OuN+XXau
宇宙の外側を発見した。
ある研究者の衝撃的な発表は瞬く間に世界に広がった。
それによると、宇宙の外側は真っ白い光に溢れた空間であり、そこと宇宙とは透明な硬い壁で隔てられているらしい。
その真偽を自らの目で確かめるべく、数名の優秀な宇宙飛行士たちが宇宙へ飛び立った。

彼らが出発して数ヶ月が経った頃。
「おい!あれを見ろ!」
宇宙船の中で歓声が上がった。
そこには見たこともないような真っ白に輝く光景が広がっていた。
「素晴らしい!きっとあそこが宇宙の外側に違いない。」
しかしその刹那、船体に激しい揺れが走った。船は制御不能に陥り、光の濁流に呑み込まれて行った。


「それ、棄てるの?」
「ええ、最近光らなくなってきたし。」
「結構古いものね。安物のインテリアにしてはよくもった方じゃない?」
「そうね。ちょっと寂しいわ。でも彼が最新型のを買ってくれたから。」
白いエプロンをつけた女性はくすくすと笑いながらガラスの容器に入った黒い水を台所に流した。

440:創る名無しに見る名無し
09/03/14 17:07:13 OuN+XXau
初投下。
ショートショートって難しい。

441:創る名無しに見る名無し
09/03/15 21:25:47 S6b9SYHC
やっと書き込めた

>>434
息苦しくなるくらい悲しい話だった。いいね。

>>439
たまねぎシステムな宇宙体系はありがちだけど、
みんな一度は考えるよね。

442:創る名無しに見る名無し
09/03/16 03:14:16 BP+CUwnA
宇宙はインテリアだったのか
外の白い空間は女性の部屋ってことだな

443:創る名無しに見る名無し
09/03/16 12:20:05 dSOS1AEn
世界の果てへの想像力こそがSFの始まりなのです

444:創る名無しに見る名無し
09/03/21 00:21:46 zaIW+XnP
保守

445:創る名無しに見る名無し
09/03/21 10:34:14 bOEEoBAF
>>434
幼稚園時代と時計が好きな主人公の結び付きが弱い。

>>439
星っぽくて好き。最後の彼女の台詞がいい。

446:創る名無しに見る名無し
09/03/22 13:54:23 dpBHy0GJ
いまのところ本スレで発表された71作品のリンクまとめてみました。

URLリンク(www6.uploader.jp)

447:創る名無しに見る名無し
09/03/22 19:53:19 wbUO2Zc8
おおーGJ
IDもGJ 書いてみたくなるね ネタないけど

448:創る名無しに見る名無し
09/03/23 12:51:35 DIU7Hf74
まとめwikiも欲しいなぁ

449:フォーティーナイナー ◆WMJUSq/3gY
09/03/23 12:53:46 VuCloGaN
 草一本ない荒野を男が歩いていた。
 彼の頭上には巨大な赤い太陽が、鈍く光っている。男は愚痴をこぼした。
「まったく、行けども行けども何にもない。この地方はどうなっとるんじゃ……おや、建物があるではないか。
ずいぶん大きいが、なにか変わった建物じゃな」
 入ってみると、ひとりでに灯りがついた。
「おお、誰かいるのか。ようやく人に会えたわい」
 そう言って見渡してみるが、誰もいない。ただ大きく、殺風景な壁があるだけである。
と、その壁が急に光りだし、にこやかな青年の顔が映った。
「人ではありませんが、いらっしゃいませ。ようこそ地球へ」
 男はあんぐりと顔をあけて、壁に映った顔を眺めた。
「なんと……これはマーラの技か」
「科学の技です。はじめまして。あなたはどなたですか。宇宙に脱出した人類の生き残りでしょうか。
それともこの星を発見した異星人の方ですか。いずれにしても歓迎します。地球、そして地球人についての
全てのデータがあなたのものです」
「わしは弥勒菩薩だ」
「ミロクボサツさん。あなたは地球人の子孫ですか? それとも別種族の方でしょうか?
残念ながら太陽系の寿命は尽きつつありますが、人類は滅亡前に、地球と地球人についてのあらゆるデータを
私というコンピュータに残しておきました。いつの日か、宇宙人でも異次元人でもいい、誰かがその知識を
受け継いでくれるのを待っているのです。そう、あなたです。感激です。とうとう私の使命を果たせるときが来たのです」
「わしは仏じゃ。天界、極楽浄土からやって来た」
「……はぁ?」
「わしは仏だ。弥勒菩薩じゃ」
「仏のミロクボサツさん……ああ、データにありますね。確かブッディズムという古代宗教の教祖さまの後継者で、
初代のゴータマ・シッダールタ氏が亡くなられてから56億7000万年後に地上に現れ、多くの衆生を救うという。
東アジア文化史の記録に書かれています。確かに現在はAD56億6999万9617年。たしかに予言通りに
来て頂いたんですね」
「その通りじゃ!」
 弥勒菩薩は胸を張って言った。
「ところでこの地上はどうしたことだ。誰もいないし草一本生えておらん。マーラが人間を滅ぼしてしまったのか」
「マーラ……はい、その言葉もデータにあります。サンスクリット語で悪魔のことですね。いや、悪魔は関係ありません。
太陽の寿命のせいです。あなたの先任者、通称お釈迦さまでしたっけ。あの方が亡くなられて」
「亡くなったなどと俗な言い方をするな。入滅と呼べ、入滅と」
 少し不機嫌な声で弥勒は異議を唱えた。
「そうそう、入滅と呼ぶんでしたね。入滅されてから50億年ほどで太陽は膨張期に入っているんです。そのせいで
地球にはとっくに人が住めなくなってますよ」
「なに? では衆生はおらんのか!?」
 弥勒は叫んだ。
「いや、お前がおるではないか。お前を救済し、輪廻の苦しみから解脱させてやろう」
「私はコンピュータです。あなたと会話しているのは、このディスプレイに表示しているグラフィックに過ぎませんからねえ。
もともと輪廻転生なんてしてませんから、解脱とおっしゃられても、もうすでに解脱しているのかもしれません。
それより人類の知識を……」
「そんなものに興味は無い!わしは衆生を救いに来たのじゃ!」
「あ、そうですか」
 プツン。
 知識のリクエストがないとみるや、コンピュータは自ら画面を切った。
 あとに残された弥勒菩薩は、荒野に飛び出した。
「わしを崇める凡夫どもはどこじゃ!わしは救世主なるぞおおお!」
 釈迦の入滅後、56億7000万年後に出現する弥勒菩薩。
 彼は巨大な赤い太陽の下、誰もいない荒野でたった一人、自分を有難がってくれるはずの人間を求め、
いつまでもいつまでもわめき続けるのだった。

450:創る名無しに見る名無し
09/03/23 12:57:13 VuCloGaN
あ、初めて投稿するので題名忘れてました。
『弥勒菩薩』です。

451:創る名無しに見る名無し
09/03/23 13:25:54 DIU7Hf74

シュールで良いね

452:創る名無しに見る名無し
09/03/23 20:02:54 YrECqOPj
弥勒wwww
そりゃ確かに50億年後って人類もういない可能性激高だよなw

453:創る名無しに見る名無し
09/03/23 23:55:11 DIU7Hf74
>>446
今まで何気なく読んでたけど71作品もあったんだ

454:創る名無しに見る名無し
09/03/24 00:52:40 ow8cSIv6
人気投票でもやってみますか?

455:創る名無しに見る名無し
09/03/24 01:53:32 /LQP72zW
してもいいけどスレが荒れるからやめとこうぜ

456:創る名無しに見る名無し
09/03/24 02:34:20 QqNe+nL2
それはつまりしてもよくないのでは

てか普通に放っておいて欲しいですw
気軽に投下したつもりの身としては順位つけられたら泣くしかないがな

457:創る名無しに見る名無し
09/03/24 10:39:32 LxMervw+
人気投票は流石にアレだがwみんなのオススメをいくつか訊くのはありと思える不思議

458:フォーティーナイナー ◆WMJUSq/3gY
09/03/24 18:04:36 VjYxOK1r
『歴史適正化法の歴史的成果』

 西暦2206年、時間移動技術が理論化され、2年後にはタイム・テレポーターが発明された。
 すでに国家は統合されており、地球連邦政府という、国際連合から発展したひねりの無い名前の
単一政府ができていた。地球連邦最高議会は2年前の理論完成段階で、すでに「時間移動装置が
発明された場合、ただちに地球連邦政府の管理下におかれる」という法律を作っていた。
 最高議会の議長モリヤマ氏は、タイム・テレポーターは人類が歴史上で犯した過ちを防ぐために
使われるべきだ、との感動的な大演説をおこなった。
 彼は言った。
「時間移動技術が個人の利益のために使われるとき、それは歴史の単なる破壊を意味する。
公的な管理のもとで、人類が起こしてしまった悲劇を未然に防ぐためにのみ使用されるべきである。
ナチスによるユダヤ人虐殺、ヒロシマとナガサキの悲劇、そして無数の戦争……先祖のあやまちを、
子孫の我々が時を超えて償うのだ。これは人類史にかつてなかった、時間を超えたレスキューである!」
 彼の演説は世界中の賛同を浴びた。
 最高議会では通称タイム・レスキュー法、正式名称「歴史適正化法」がまたたく間に可決した。
そして同法に基づき、修正すべき歴史事件とその方法を割り出す歴史適正化委員会と、その実行部隊である
「タイム・レスキュー」が組織された。
 タイム・レスキューは決して武力を行使しない。「我々の超科学兵器を1000年前に送り込み、騎馬民族や
イスラム帝国と対決させるようなことはすべきでない」とモリヤマ氏は説いた。彼らの任務は現地の社会に
入り込み、当時の重要人物に精神的な影響を与えることで、歴史を悲劇の淵に近づけさせないように
することであった。
 過去の状況によって、任務には若者が適する事態もあれば、老人の意見が重要となる場面もある。
年齢・性別を超えてあらゆる層から、一流の人間だけが選ばれた。人材にはまったく不自由しなかった。
この偉大な任務には、世界中からあらゆる人々が参加したがったのだから。そして地球全土が、選ばれた
タイム・レスキュー隊員に喝采を送ったのだった。
 作戦が開始された。
 歴史適正化委員会の定めたミッションに従い、タイム・レスキューはすぐさま様々な時代へと飛んだ。
 あるチームは学者や聖職者として、魔女狩りのおろかさを説いた。
 あるチームは革命前のフランスへと旅立ち、フランスの財政悪化に歯止めをかけることで重税に苦しむ
多くの民衆を救った。
 十字軍が、世界大戦が、文化大革命が未然に防がれた。

 メンバーたちは任務を終え、自分たちの事故による死や行方不明を演出すると、タイムテレポーターの
帰還スイッチを押した。任務に要した時間は様々だったが、みな同じ日……地球連邦統合記念日の時点に
帰ってくることになっていた。
 ほんの数週間しか過去にいなかった者もいれば、数十年もの主観時間を過ごし、すでに老人となっている
者もいた。不幸にして少数の者は、帰らぬ人となっていた。しかし、メンバーは出発前の懐かしい顔ぶれを見て、
抱き合って喜んだ。自分達は、最も偉大な作戦を成し遂げたのだ。
「さあみんな、早く行こう! 世界中の人々が僕らを待っている! 僕らの偉業は、地球連邦統合以上に
祝われるだろう!」
 たしかに街は歓呼に包まれていた。
 が、それはタイムレスキュー隊の偉業を称える声でもなければ、地球連邦統合の記念日を喜ぶ声でもなかった。
まったく違うことが祝われていたのである。
「一体どういうことだ!」
 若いメンバーが叫んだ。
「まだ分からないのかね?」
 と、レスキュー隊員たちのそばに1人の老人が近づいてきた。モリヤマ氏だった。
「議会制度、違憲審査制度、司法権の独立……権力の横暴を抑止するためのあらゆるシステムは、
悲惨な歴史に対する後悔から誕生したわけだ。ジョン王の愚政からマグナ・カルタが、フランス貴族の
退廃から人権宣言が、世界大戦から国際連合がね。政治システムの進歩は、イコール悲劇から学んだ
結果と言ってもよい。君達はそれらを全て無かったことにしてくれた」
 唖然とする隊員達を尻目にモリヤマは告げた。
「ご苦労だった。ゆっくり休息してくれたまえ。私はこれから、戴冠の儀に出ねばならんのだよ。
大地球帝国皇帝としてのね」

459:創る名無しに見る名無し
09/03/25 00:02:14 PPht7PIf
「違い」

ある日、青年は古びた紙を見つけた。
「ん?なんだこれは。ちょっと見てみるか。」
中を見ると、そこにはこう書いてあった。

私が何年もかけて研究した、悪魔を呼び出す方法についての仮説をここに記す。
まず、どこかに火をつけて、呪文を唱える。そうすれば宇宙の果てから悪魔が来て、願いを3つ叶えてくれる。
ちなみにこの悪魔は、おとぎ話に出てくる悪魔と違い、死んだら魂をもらうなどというふざけたことはしない。
しかし、こいつは、・・・・・・・・・・・・・である可能性が高い。

「おや、一部が読めないな。まあ試してみるか。魂も奪われないようだしな。」
そう言って青年は、マッチをすって火をつけ、紙に書いてある呪文を唱えた。

「おっと、久し振りに俺を呼び出した奴がいるな。ええっと…地球か、聞いたことが無いが行ってみるか。」
そう言って悪魔は、地球へと飛んで行った。
「うーん、このあたりなんだが、見つからないな。イタズラかな。」
悪魔は自分の星へと引き返していった。
自分の足の親指が地球に当たって地球を吹き飛ばしてしまったことに気付かずに。

460:創る名無しに見る名無し
09/03/25 09:54:35 Cl3I+PPr
>>458
はなしのオチ的にはスタンダードだけど、
設定やうんちくの羅列でフンイキでてる。
逆に新鮮でいい。

>>459
全体的にすこしわからなかった。

461:創る名無しに見る名無し
09/03/25 15:03:31 Oi9g/RaE
結婚して五年、子宝には恵まれないながら美人で料理も上手く、近所でも頗る評判の良い妻には満足していた。
結婚したときから、お爺ちゃんお婆ちゃんになっても手を繋いで歩けるような夫婦が理想だった。
子供なんて天からの授かり物。あくまで自然に任せるというのが二人の暗黙のルールだ。

そういえば歴代の彼女たち四人も、誰一人妊娠しなかったことを思い出した。
不安に苛まれた僕は、思い切って不妊検査を受けてみることにした。
さすがに産婦人科に一人で行くのは勇気が要るので、同僚に薦められた総合病院で検査をし、検査結果は会社に送ってもらった。
恐る恐る開けてみると、すべての項目で異常なしであった。僕自身の不安は消えたけれど、徐々に検査したことを後悔するようになった。
いっそのこと僕に原因があればよかったのにとも思った。こんなことで夫婦間に波風は立てたくない。妻が妊娠できない身体でもいいじゃないか。妻を愛する気持ちに変わりはないのだから……。

しかしそれ以来、無意識ではあるが妻に対して何かよそよそしい態度をとるようになっていた。
僕の変化をさとったかのように妻は、検査から一週間が過ぎたある晩、本当のことだと念を押したあと静かに口を開いた。
妻が語りだしたことは、全く想像もしていなかったことだった。
これは事実ではないと信じたい。
しかし、妻は真顔でこんな嘘を言える女性ではないことは、僕がいちばんよく知っている。
だからといって、妻が未来からやって来た機密諜報機関の工作員だなんて信じられるわけがない。

その任務というのが、僕のDNAを後世に残さないことだと言う。
この僕のDNAをだ。
こんなの信じろという方が無理だ。
人類滅亡の原因となるウィルスを開発した男の父親、それが僕だというじゃないか。
つまりその男、即ち僕の息子を誕生させないために、四人の工作員の女性を送り込んだというのだ。
そして妻が最終任務を遂行中だったという。このままなら僕のDNAは残らないことになるが……。


僕は泣きじゃくる妻を強く抱きしめるしかなかった。

462:創る名無しに見る名無し
09/03/25 16:37:44 X+UTTfOh
で? 続きは?

463:創る名無しに見る名無し
09/03/25 21:25:20 yd212kp8
DNAが原因つっても
「特殊なDNAを持った結果、殺人ウィルスを世界中に広める要因となった」ってんならともかく
「将来殺人ウィルスを開発する事になる」ってだけなら
息子が育つ生活環境を変更するだけでどうにかならないのか?

仮に工作員の妻を妊娠させたとしても
母親が人類滅亡の原因となる息子とは別なら
生まれる子供も別人になって普通に任務完了になるんでないの?

父方のDNAが子供を殺人ウィルスの開発者にする最大の要因だってんなら
父親は普通に生活出来てるのは何で?

てか人類の存亡と一人の男の命を天秤に掛けるなら
「僕」を殺害した方が確実なんじゃないのか?
それをしない理由は何かあるのか?

464:創る名無しに見る名無し
09/03/26 01:27:18 ygCKIKSp
あれ、大分解釈違うのな。
俺は楽しめたわよ。解釈の余地があってぐっときた。

折角DNAを強調してるんだから、むしろ"僕の息子を誕生させないために"の下りが解釈の邪魔をしてる感じはするね。
星に限らんけどショートショートではこの手の表現はいっそ省くべきかもしんない。
なんか迂回した表現でもやもやさせると、より深みが増すと思います

殺害しない理由は色々想像できるから文句はないかな
父自体に罪はないだのと長々と議論してる未来の政府とか思い浮かぶw

DNAを安直に理由に紐付けちゃってるせいで、遺伝的な何かのフォローが欲しくなるのかもしんない

例えばどっかに一行「そう言えば父も曾祖父も狂人だった。」とか足しちゃうと、唐突な感じを牽制できるかも。
ラストに置いてアハ体験に期待するのもアリだね。これは諸刃の剣だがw

465:創る名無しに見る名無し
09/03/26 01:59:08 pg0AU6qE
「なぁ、神様は僕達が嫌いなんだろうか?」
仕事の疲れが愚痴を吐き出させる。
「なんだい急に?」
友は、穴を堀るのを辞めて僕を見た。逞しい黒々とした肉体から
労働によって滴り落ちる汗が絶え間なく地面に落ちる。
僕も同じように汗を垂らして続ける。
「この土地では僕等は穴を掘らないと生きていけない。毎日きつい思いをして穴を掘らないと生きる事を許されない」
僕は天を仰いだ。頭上には空洞が広がっていた。
僕達の仕事は穴を堀り地下にシェルターを作る事。とても過酷な仕事だ。だけど怠ける事はできない。
なぜなら僕達の住む土地には、自然災害が頻繁に起こるからだ。
津波が毎日三度も襲い汚染された有害な波が僕達を苦しめ、暴風が突然吹き荒れる。
土地に食べる物なく、唯一の食料は暴風にのって外から流れてくるものだけだ。
必死になって貴重な食料を拾っていると津波にさらわれる。
だから生き残るためには地下にシェルターを作るしかない。
食料をたくさん貯められて、津波に流されないようできるだけ深く深くに。
地球上で一番過酷な土地なのではないだろうか。
「なんで神様なんだよ?」
穴の中で友の声が響く。
「だって自然災害は神様が起こすんだろ?神様は僕達を苦しめてばっかりだ」
僕は声を荒げた。友は目を細めて言った。
「仕方ないだろう。自然災害は防ぎようがない。
過酷な環境だけど必死に生きるしかないんだ。
津波は神の試練ってヤツさ」
僕は納得できない。
「津波だけじゃない。津波ならこうやって穴を掘ってシェルターを作れば防げる。一度穴に避難すればあんなの怖くない。
僕が許せないのは地震だ。ようやく満足の行くシェルターができたと思ったら滅茶苦茶に壊してせっかく掘った穴を土砂で埋めてしまう
こんなに頑張ってる僕達を神様は傷つけてばかりだ。試練だってもんじゃないひどすぎるよ」
本当にこの土地は過酷だ。神様が僕達を虐めるために作った土地みたいだ。
せっかく穴を掘り終え安心なシェルターができたと思ったら地震が全てを壊していく。
また1からやり直しなのだ。
僕は怒り、激しく地面を踏みつける。頭に血が上っているせいか足元がグラグラと揺れた気がした。
友は、なだめるように柔らかい声で言う。
「そうはいうが神様も俺達を苦しめてばかりじゃない。自然災害が神様の仕業なら、
暴風に乗ってくる俺達の食べてるご飯も神様が与えてくれてるもんだ。
頑張って深い穴を掘れば安心して沢山飯が食える。
きちんと働きにご褒美をくれてるんだよ。後ろ向きな事ばかり考えずに前向きにいこう」

僕は納得できなかったが、友になだめられこれ以上は言わない事にした。
そろそろ津波が起こる時間帯だ、シェルターに避難しなくては。
それにしても本当に神様は俺達をどうして苦しめるのだろう?





男「痛たた。1日3度しっかり歯を磨いても虫歯はできるものだな
明日歯医者に行こう。しかし痛い。虫歯菌というの一体どうして、こんなに俺を苦しめるのだろう?
俺の身体に住ませてやってるのだから俺は神様のようなもんじゃないか」


評価お願いします。

466:創る名無しに見る名無し
09/03/26 04:00:17 VdqhHuZx
>>465
最後までオチが読めなかった。
面白かったです。

467:創る名無しに見る名無し
09/03/26 22:44:59 wKgnSUeW
なるほど虫歯菌かwこれは予想外で面白い

468:創る名無しに見る名無し
09/03/26 23:44:02 Zn4otmj3
「変化」

あるところにエヌ国という国があった。
その国は、働き者で知られた民族が住んでおり、経済大国として栄えていた。
しかし、テレビ番組の充実化や、娯楽機器の発達によって、働かずに家で過ごす人々が増えていた。
これにより経済が退化するのを危惧したエヌ国の首相は、対策を考えるため、エヌ国で天才と呼ばれる博士を呼んだ。
「博士、何か方法はないか。なんとか働かない人々を真面目に働かせたいのだ。」
「わかりました。では人々を真面目に働かせる薬を作ってみましょう。」
「頼んだぞ。」
数か月が過ぎ、博士が首相のもとを訪れた。
「できましたよ。これを働かない人々に飲ませればすぐに真面目に働くようになるでしょう。」
「よくやった。褒美を出そう。」
そして、働かない人々のもとに薬が送られ、人々は真面目になっていった。
「よしよし。これで我が国の経済はさらに発展するぞ。」
働かない人々だけでなく、元々真面目だった人々にも伝わり、エヌ国のほとんどの人々がその薬を飲んだ。

ある日、博士が首相の元を訪ねてきた。
「大変です。人々が真面目になりすぎたため、過労で倒れる人が続出しています。」
「大丈夫だ。それは昔もあったことだ。大した変化ではない。」
その数週間後、また博士が首相の元を訪ねてきた。
「大変です。人々が仕事のことしか考えないため、道端で過労のため倒れている人々を助けていません。」
「なんだ、また君か。君は今までで、道端で死にかけている鳥なんかを助けている人を見たことがあるかね?」
「いえ、ほとんどありませんが。」
「そうだろう。その鳥が人間に変わっただけのこと。大した変化ではないよ。そんなことを気にしてないで真面目に働いたらどうだ?私も飲んでみたが、素晴らしいぞ。」
「すみませんでした。飲んでみます。」
その後も働きすぎの人々が過労死し続けたが、博士は研究に打ち込み、政治家は外交などに打ち込み、誰も他人の事を考えなくなった。

数十年後、エヌ国の隣の国の首相が言う。
「あの国は実に大きな変化をとげたなあ。一時期は景気が低迷していたが、突然すさまじい勢いで経済が発展し、世界トップの経済大国となったな。
どのようにやったのかぜひ教えてほしいものだ。しかし、エヌ国の人々は誰も生きていないので聞けないがな。まるで誰も子孫を残さなかったかのように。」

469:創る名無しに見る名無し
09/03/26 23:53:28 hbKi0IU7
申し訳ないけど、博士と薬ネタはいい加減飽きてきたんだが・・・

470:創る名無しに見る名無し
09/03/27 00:46:27 mWxujpkF
>>468
このオチはw夜を真面目に勤しむような文化ではなかったぽいな

>>469
定番だからしゃーないと思うが、他のアプローチを意識してみるのもありか

471:創る名無しに見る名無し
09/03/27 11:35:42 eUSYn0GL
>>468
最後のまるで~の表現が意味わからん

472:フォーティーナイナー ◆WMJUSq/3gY
09/03/27 21:28:39 38V70FML
『蛍雪の功』

 若い魔女がいた。
 彼女は二十歳の頃、そもそも魔女ではなかった。
魔女になったきっかけは、恋人を伝染病で亡くしたことだった。
 愛する人を生き返らせる、彼女はそのためだけに魔術を学び始めた。
 召喚した最初の悪魔は、そんなことは私の手にあまると言った。だがその悪魔は、名もない下級悪魔であった。
 もっと強力な悪魔なら、あるいは……そう思った若い魔女は研究に研究を重ねた。寝る暇も惜しみ、
生活費を稼ぐ時間も切り詰めて、赤貧の中で修行に励んだ。真夜中まで魔術の研究に没頭した。
蝋燭も灯油も買わずに、ランプの中に蛍を入れて灯りにして学んだのである。その甲斐があり、少しずつ
強力な悪魔を呼び出せるようになった。
 四十歳。
 もはや彼女の肌はみずみずしさを失っていた。もう彼に女として愛されることはできないだろう。
たとえ今、恋人が生き返ったとしても、すぐに彼は年齢の釣り合う新しい恋の相手を求め、去っていくに違いない。
それでもいいと魔女は思っていた。もう一度でもあの人の姿を見ることができたら。あの人の声を聞けるのなら。
 大悪魔アシュタロスにさえ、死んだものを生き返らせることはできないと聞いたとき、彼女は絶望に泣き叫んだ。
 彼女は数百歳を超えるという、中東の偉大な精霊使いを訪ねた。
 精霊使いは、人の生死を操る術を求めることに反対したが、哀れな女の必死の懇願についに折れた。
 しかし、ランプに宿る大精霊もまた、人間の生死は神が司るものだと言ったのである。
だが大精霊はこうも言った。その禁忌を破り、魔の力をもって死者を蘇らせる術を記した書物が、
たった一冊だけある、と。
 その書物を見つけ出したとき、彼女の齢は八十を越えていた。
「ふたつのルシファーが力を合わせて放つ光を浴びながら、以下の呪文を唱えよ……」
 ルシファーとは、大魔王サタンのことだ。
 サタン本人を召喚するのに成功した人間の魔法使いは、ひとりもいない。ふたつのルシファーとは何か。
魔界の帝王サタンは、ただ一柱しかいない。
 どれほど魔法書を読み漁っても、伝説的な魔術師や宗教家を訪ね歩いても、その謎は解けなかった。
あるいは、書物のこの項そのものが「不可能」の婉曲的な修辞であったのかもしれなかった。
 ついに彼女は大魔王サタンを、ルシファーをこの世に呼び出すことに成功した。
 それはどんな大魔術師も成し遂げたことのない、黒魔術の最高の到達点であった。
 だがサタンは答えた。そのような術には何の心当たりもないと。呆然として崩れ落ちる老女の前で、
サタンはふたたび冥界に消え去った。
 視力の衰えた眼から老いた魔女はひたすら涙を流し続けた。無駄だった。
 彼女の一生の努力の全てが無駄だったのだ。

 ある夜、魔女の寿命は尽きた。
 己の寿命を伸ばす術など彼女は知らない。知っていても使おうとは思わない。恋人のいない世界に
長くとどまる術など、彼女にはまったく興味のないものだった。
 机に突っ伏したままの彼女の最期を見届けるものは、ランプの中の蛍たちのみ。
 最期の命の火が消えようとする寸前、老婆はあの呪文を、恋人を生き返らせるはずの呪文をつぶやいた。
ほんのうわごとに。
「あの……すいません。ここはどこですか?」
 遠くなった耳に、誰かの声が聞こえてきた。
 あの恋人の声だった。
 百年のあいだ、片時も忘れたことのない声だった。
 奇跡ではない。夢だと思った。悪魔に仕え続けてきた自分に、神様が奇跡を起こしてくれるわけがない。
「お婆さん、僕はどうしてこんなところにいるんです?」
 その声を聞きながらも、彼の復活を信じないままに老いた魔女は息を引き取った。
 だがその表情は、とても幸せそうだった。

 魔女は最後まで知らなかった。
 蛍の発光器の中で反応し輝く2種の物質が、ルシフェリンとルシフェラーゼと呼ばれることを。

473:創る名無しに見る名無し
09/03/27 23:53:31 3nsrSpvP
>>468
>>471
たしかに最後の日本語はおかしい。

>>472
うますぎる。
タイトル、蘊蓄が見事にかみあってる。
(たしかに星氏っぽくはないけど)

474:創る名無しに見る名無し
09/03/28 00:14:22 CDyhAxha
>>472
これは良作

475:創る名無しに見る名無し
09/03/28 00:30:54 FiIyfN46
>>472
素晴らしい!

476:創る名無しに見る名無し
09/03/28 01:22:22 eHhdqjBy
そんないいか?イマイチだと思うが。

477:創る名無しに見る名無し
09/03/28 15:32:24 j07RY+Pr
うまくはないが
いいはなシーサーくらいだな
 
ルシフェルとか厨くさいけどね

478:創る名無しに見る名無し
09/03/28 16:34:50 kOJePpiT
非建設的なことばっかりいっちゃって

479:自殺
09/03/30 06:34:20 Kn/5j1Ps
「今から死のうと思うんだ」
 俺はポツリとつぶやいた。隣にいる友人が、心配そうに声をかけてくる。
「おいおい、馬鹿なことを言うなよ。一体、原因は何なんだい?」
「俺の体は病気に冒されてるんだ。他に例のない奇病らしい」
 そうなのだ、俺の体は悪性のウイルスとでも呼ぶべき存在によって蝕まれている。突然
変異種であるそいつらは瞬く間に数を増やし、今や俺の体中が奴らのねぐらだ。
「うーん、確かにそりゃ聞いたことの無い例だな。体の具合は悪いのかい?」
「酷いもんだよ、体中が毒まみれなんだ。熱も少しあるみたいだ」
 こいつらの恐ろしいところは、その繁殖力と進化のスピードにある。あっと言う間に体
中に広がり、様々な症状を引き起こす。


480:自殺
09/03/30 06:36:08 Kn/5j1Ps
 おそらく俺の体も長くは持たないだろう、くたばるのは時間の問題。ならせめて、最期
は苦しまないように自分の手で幕を引きたい、尊厳死というやつだ。
 そう告げると、友人は悲しそうにうなずいた。
「分かった、そういう事情なら止めはしない。しかし、君の症例はある意味貴重ともいえ
る。少しもったいない気もするな」
「おいおい、当事者じゃないんだからそんなことを言えるんだよ。なんなら分けてやろう
か? 実際、こいつらは君の体にも興味を持ってるみたいなんだぜ。ほっとくと移り住む
かもしれんぞ」
 そう言うと、さすがの友人も後込みしたようだ。
「すまん、そりゃ勘弁だ……それにしても寂しくなるな、君とは本当に永い付き合いだっ
たもの」
「まあ仕方ないさ。ま、他の連中にもよろしく言っておいてくれよ。じゃあな……」


 ―その日、地球は自殺した。火星の見守る前で……

481:創る名無しに見る名無し
09/03/30 06:37:33 Kn/5j1Ps
前に別の場所に投下したやつの転載
字数制限の関係で2レスに分かれてしまったがあしからず

482:創る名無しに見る名無し
09/03/30 12:58:34 ylLCoauF
久々におもろないのがキター

483:XXX ◆TqnDIIRxZU
09/03/30 22:08:06 pBNVjHwK
侵略者(1/2)


全ては突然だった。
突然、東京の電器街に巨大なUFOが現れ、
突然、街を赤黒い熱線をもって焼き払い、
突然、逆立つ銀髪に大きな瞳をもつ宇宙人の映像がTVをジャックして、
突然、“日本”に対する宣戦布告を行った。

『ワレワレハ ワクセイMカラキタ シンリャクシャデアル ニホン オヨビ ニホンジンヲ ボクメツシニキタ』

片言ながらもはっきりとした日本語でM星人が話した短い言葉は、日本中を大混乱に陥れた。
政府は慌てて対策を練ろうとしたが、そうしている間にもUFOから二射目、三射目の熱線が打ち出され街がなぎ払われた。
自衛隊の戦闘機がようやくスクランブル発進してミサイルを発射したが、UFOから発せられた強い電磁波を浴びたミサイルはUターンして戦闘機を撃墜した。

アメリカは真っ先に動いた、米軍の爆撃機がUFOに新型の熱爆弾を撃ち込んだのだ。
しかし、UFOはビクともしなかった。
さらにM星人は米軍機を無傷で帰したばかりか、今度はアメリカのTVをジャックして、
『シンアイナル アメリカニツグ アナタガタニ キガイヲクワエル ツモリハナイ』
と相変わらず片言の日本語で声明を出した。
これを受けて、アメリカは「これ以上は日本の内政問題」と手のひらを返してUFOに関与しない方針を打ち出す。
他の国々からも、日本との一切の関係を打ち切るという声があがり、日本人の強制送還、海上封鎖、航空封鎖、輸出入の全面禁止など、UFOの襲来を恐れた国々の声明や超法規的措置が次々と打ち出された。
この間にUFOは最初に降り立った街を焼き尽くし、次の街へゆっくり移動を始めていた。UFO出現から一週間がたっていた。
熱線の恐ろしい破壊力にも関わらず、街を焼き尽くすのに一週間もかかった理由は、廃墟に残るわずかな本や電子機器や日用品などに対してもUFOは薬品を散布し、電磁波を浴びせ、執拗に分解したからである。
文字一つ残そうとしない狂気的なUFOの悪意に国外脱出不能という状況も加わり、国内のパニックに拍車がかかった。
暴動、自殺、犯罪、デマ、ノイローゼ、etc……
わずかに人々の心をつなぎ止めていたのは皮肉にも共通の敵であるUFOの存在である。
かって栄華を誇った極東の島国は、突然、国民を閉じこめたまま沈没する巨大な檻となった。


そして、その状況が急変するのもまた突然のことだった。

484:フォーティーナイナー ◆WMJUSq/3gY
09/03/30 23:29:30 Mkc3A2jx
『鏡子~もうひとりの私~』

 小さい頃から、私は鏡を見るのが好きだった。
 そう言うとよく誤解されるのだが、ナルシシズムからではない。
 鏡というものが不思議でしょうがなかったのだ。
 小さい子どもは、無邪気に色々なことを繰り返し質問する。そのなかでも私の問いは鏡に関する
ことが多かった。私自身の名前が鏡子だったせいもあるのだろう。
 どうして鏡にものが映るのか。どうして左と右は逆に映るのか。上と下はなぜ逆にならないのか。
鏡を真横にしてみてもそれが変わらないのはどうしてなのか。
 父はそんな幼い私の質問をわずらわしがって邪険な応対をしたりはしなかった。わざわざ手鏡を
用意して色んな実験をして見せてくれたり、万華鏡というものを手作りしてくれたりもした。合わせ鏡を
二時間ずっと眺めている幼稚園児を母は心配し、外で遊びなさいと部屋を追い出そうとした。私は
父の書斎に二枚の鏡を持って逃げ込み、また合わせ鏡をつくった。父は笑って見守っていてくれた。
 鏡への関心は、優しかった父との思い出に直結しているのかもしれない。
 小学校の頃、『鏡の国のアリス』を買ってくれたのも父だった。
 不思議の国の、の方も一緒に買ってくれたのだが、私は続編の鏡の国のほうがずっと好きだった。
鏡の中の見えない部分に広がっている奇妙な世界。そのイメージは私を強く魅了した。アリスのように
鏡の中に入り込んで、不思議な生き物たちと出会う夢を何度も見た。
 学校の図書室で、朝永振一郎博士が書かれた科学啓蒙書『鏡の中の物理学』を見つけたのは中学
3年のとき。私が理数系に進むことが決定された瞬間だった。
 大学では物理学を専攻し、「光子の反射時に発生する不連続加速現象」に関する研究論文を認められて
助教授の地位についた。またこの論文が、私を生まれて初めてのスウェーデン旅行に連れて行った。
 ノーベル物理学賞を受賞したからだ。 
 
 私の人生を再び変えたのは、アメリカの天才数学者が考案したある宇宙論だった。
 この宇宙と対称をなすもう一つの宇宙が存在し、互いに相手の世界が存在することによってこちらの
宇宙も成り立っている。そしてその世界はこちらの宇宙と全く同じ数の素粒子が存在し、同時に同じ
現象を引き起こしている。つまり、鏡の世界と同じなのだ。
 では、そこへ行くことはできないか。鏡の世界へのゲートを開くことは不可能なのか。
 ある素粒子を使うことによってそれが可能になると気づいた日から、私はひそかに理論家から発明家
に転身していた。
 
 そしていま、目の前に私が創り上げた装置がある。
 スイッチを入れていない今は巨大な装置に接続された、2メートル四方の鉄枠に過ぎない。だが、
スイッチを入れたとき、この枠の中の平面が鏡に変化するはずなのだ。いや、鏡に見えて鏡ではない。
対称宇宙へのゲートへと変わるのだ。
 私はボタンを押した。

 ヒューーーン

 静かな音とともに、鉄板が光る。そして、そこに私の姿が映った。
 成功だ!!
 その向こうに広がっているのは、もちろん不思議な世界などではない。「アリス」のようなチェスの女王も
ハンプティ・ダンプティもいない。この世界とまったく同じ世界が、向こう側にも広がっているだけだ。
 でも、入れるのだ!
 幼い頃から憧れてきた鏡の世界に!!
 自分の目で、対称宇宙を中から見たかった。鏡の中を歩いてみたかった。私はほとんど駆けるようにして
その中に飛び込んだ。

 衝撃と共に弾き返され、私は倒れた。
 いったい何が起こったのか、痛む顔を押さえながら装置を見直す。
 もう1人の鏡子が、こちらを恨めしげに見つめていた。

485:XXX ◆TqnDIIRxZU
09/03/31 07:43:57 6KmEtkGr
侵略者(2/2)


UFOが東京ビックサイトに向けて放った熱線を防いだのは、雷光のように天から現れた銀色の巨人だった。
赤いストライプを身につけたその姿は誰もが知る子供向けの特撮ヒーローであり、それを見た人々はついに自分の気が触れたか、自暴自棄のマスコミが流した虚言と思った。
しかし、銀色の巨人を皮きりに、次々に大気圏を突き破り架空の英雄が現実世界に具現化した。
皆が幼い頃に夢見た機動戦士やスーパーロボが、次々にUFOの前に降り立った。
そして、そのおもちゃ箱から飛び出たかのような無数の英雄らは、自分達の数倍もあるUFOと激戦を繰り広げ始めたのである。
白いロボットは戦闘を見にきた群集を熱線から盾で守って撃ち抜かれた、黒い巨人は火を吹きながらUFOに特攻をかけて散っていった、

戦闘は三日三晩に渡って続き、人々は固唾をのんでそれを見守った。
そして最後にはUFOが大きな火を吹き散らしながら沈み、日本中で歓声が上がった。

かってない驚異から日本を守った勇者等を群集が取り囲み、口々に感謝の意を示した。
すると、十数体の巨体の胸が開き、それぞれの中から何者かが出てきた。
逆立つ銀髪、大きな瞳、顔立ちこそ宣戦布告した者とは別人だったが、それらは紛れもなくM星人だったのである。
驚いて群集は距離をあけたが、やがて中から一人のマスコミ関係者が進み出て、緊張を隠しつつM星人に話しかけた。

「あなた方の行いには非常に感謝している、本当にありがとう。」

これに対してM星人からも代表が一人進み出て、流暢な日本語で答えた、
『親愛なる日本、及び日本の人々よ、感謝しているのはこちらの方だ。
我々は科学を発展させ、ありとあらゆる事ができるようになったが、比例して文化が無くなり、感情が薄れ、緩やかに滅びさろうとしていた。
だが、我々の観測衛星が日本のアニメや漫画、特撮を偶然観測できたため、我々の間に熱い感情が蘇ってきて、文明は再び活気づいた。
今では兵器さえも、このようにあなた方のデザインされた形をしている。礼を言うのはこちらの方だ。』

「なるほど、しかしそうすると何故、最初のUFOは我々に攻撃を加えて来たのですか?悪役に憧れたとかそういうことでしょうか?」
『いいえ、我々の中にも異文明の文化浸透を快く思わない者がいるのです。彼らはあなた方を“文化的侵略者”と読んで忌み嫌っているのです。』

486:創る名無しに見る名無し
09/04/02 20:30:58 mhO/bxdn
>>484
昔似たような事考えたな
鏡の向こうに手を入れられないのは、向こう側の自分が押し返してくるからだ、とか云々

487:創る名無しに見る名無し
09/04/02 23:00:53 hB2nOZJ7
どうでもいい話だけど、鏡って実は左右は逆になってないんだよな。

488:創る名無しに見る名無し
09/04/03 01:45:04 c2EPzUSZ
逆になってるのは前後だっけ

489:創る名無しに見る名無し
09/04/03 02:37:27 14jDy9UG
>>488
>逆になってるのは前後
その通り。前後が逆になってないとしたら、鏡には自分の後ろ姿が映ることになる。

490:創る名無しに見る名無し
09/04/03 18:15:42 rpRoZGlQ
前後?
さっきから本気で考えてるんだが、まったく理解できない。誰か助けてくれ

491:創る名無しに見る名無し
09/04/03 18:24:04 t7mqD+LT
>左右は逆になってない
右側には右半身・左側には左半身が映ってる。
(鏡を左右に割って考えるとわかりやすい)

>逆になってるのは前後
実体は鏡側(↑)を向いてて、
鏡の中の自分はこちら(↓)を向いてる。
前後が逆になっていなかったら、鏡に向かい合った時
自分の背中が映ることになる。

…という話かな?

492:創る名無しに見る名無し
09/04/03 21:40:15 8RcGVXFY
     |  \
      |     \
      |   \
(上)     |    (上) \
Z  |    Z'   \
↑     |     ↑ \
| Y | Y'   |鏡  |
観○―→ | ←─○像   |
測 \ (前) | (前)   \  |
者   X   \      X'  |
    (右) \     (右)  |
           \    |
         \  |
           \     |
             \   |

  観測者の前に鏡面を置いた状態
  (観測者の右上後方から見た図)
目の前に真正面に置いた鏡による鏡像は、上の図の通り物理的には前後を反転させるが左右は反転させない。
日常では目の前でこちらを向いている人と自分とでは左右が反転するはずなのに、鏡で自分の姿を写したとき
に見える鏡像は、物理的には前後だけが反転するものの左右は反転しない。このことが逆に左右が反転するものと
一般に認知されているのである。つまり、自分が右手を動かすと鏡像は左手を動かすというように認知してしまうのである。
上下が重力方向で決まるのに対し、左右は基準となる人や物の向きによって相対的に決まる概念であるため、上下反転とは
認知されず、左右反転と認知されているのである。



493:Y.TAKEO
09/04/05 05:55:06 QCt3/y+9
解説サンキュー
俺は分かったぜ!








自分があほって事が

494:創る名無しに見る名無し
09/04/05 21:45:12 36CMZoq3
超良スレ!!
・・・でも、ここでアイデアを無償提供してしまうのって、もったいなくないですか?
応募してみればいいのに。

495:創る名無しに見る名無し
09/04/05 22:22:42 GR7X9hjN
仕事にするつもりないし
サイト作るつもりもないし

496:創る名無しに見る名無し
09/04/05 23:52:28 QW0YnGCW
>>494
何に応募したらええのんか・・・

497:創る名無しに見る名無し
09/04/06 11:44:12 9Nk+GoHD
ショートショートの広場だっけ?
もう、やってないのか?

498:創る名無しに見る名無し
09/04/06 12:03:08 B3RuTskj
>>496-497
これのこと?

《応 募 要 綱》
◎ 一人一編、自作未発表の作品に限ります。
◎ 原稿は縦書き、四百字詰原稿用紙七枚以内。
   (20×20行詰・ワープロの場合はA4判の無地の用紙にプリントアウトのこと)
◎ 原稿の冒頭に題名と筆名、
   別紙に、住所・氏名(本名)・年齢・職業(または在校名・学年)・電話番号を記入してください。
◎ 選考委員は阿刀田高氏。毎月優秀作5編を選び、締切翌月の小説現代誌上に掲載します。
   掲載作の単行本化、上映、上演権の一切の著作権は講談社が優先権を持ちます。
◎ 掲載作品には御礼として二万円を贈呈します。
◎ 原稿の送り先は、 〒112-8001 東京都文京区音羽2-12-21 講談社
                小説現代編集部 ショートショート・コンテスト係あて。
◎ 応募原稿は返却いたしません。
◎ 応募・選考に関する問合せには応じられません。
◎ 締切は毎月月末。選考の原則は一カ月ですがのびる場合もあります。


499:創る名無しに見る名無し
09/04/06 17:49:08 xUUmL6wJ
『悪戯』

 NとSという二人の青年が机を挟んで向かい合わせに座っていた。
 Nは文庫本を読んでおり、Sは机にの上に置いたノートパソコンで大学のレポートを書いていた。

「実はさ」不意にNが言った。「君にちょっと悪戯をしたんだ」
「どういう悪戯?」Sがキーボードを打つ手をやめ聞き返す。
「まぁリラックスして聞けよ」
「いいけど……うわぁ!!」

 Sが椅子の背もたれに体重をかけた瞬間、背もたれはSの体を支えることなく後ろへ倒れ、Sもまた椅子から転げ落ちてしまった。

「君がさっきトイレに行ったとき、背もたれを壊しておいたんだ」Nが笑いながら言う。
「ひどいなぁ。しかし、僕は怒らないよ」
「どうして?」
「僕も悪戯をしたからさ」Sは椅子に座りなおすとニヤリと笑った。「君がトイレにいってる隙にね」

 二人は互いに大の悪戯好きで、いつもどちらが凄い悪戯をするかを競っていた。
 椅子の背もたれなど、まだかわいい方だ。Sの悪戯でNの家が警察に包囲されたこともあったし、Nの悪戯が原因でSは恋人にフラれてしまったこともある。

「で、君はいったい何をしたんだい?」Nは尋ねる。
「そのうちわかるさ。先に言っちゃあ面白くない」
「まあ、そうかもね。しかしいったい何だろう?」

 そう言ってNはペットボトルのお茶を飲んだ。飲んだ途端Nは顔をしかめる。

「やったな」NはSを睨み付けた。「何を入れた?」
「しょうゆ適量、塩こしょう少々」料理番組の解説みたいにスラスラとSが言う。
「道理でしょっぱいはずだ」Nは毒づく。「しかし、僕の悪戯は背もたれだけじゃないんだぜ」
「僕だってそうさ、他にもある」Sも負けじと言う。「例えば、君のその本」
「これかい?」
「有名な推理小説だよな。その本の謎解きのページを切り取っておいた」
「あ、本当だ」Nはページをめくり叫んだ。「ひどいことをするな、犯人がわからなくなてしまった」
「それなら大丈夫」Sがニヤリと笑う。
「どういうことだい?」
「登場人物紹介のページの、犯人の欄に赤ペンで丸をうっておいた」
「どれどれ……ああ、こいつが犯人だったのか。しかしこれじゃあ読んでいた甲斐がないというものだ」
「まあ、今日のところは悪戯勝負は僕の勝ちだな」Sが勝ち誇ったように言った。
「それはどうかな?」本を閉じるとNは言った。「僕にもまだとっておきの悪戯がある」

 そう言うと、NはSのパソコンを指差した。

「これ?」
「そう、そのパソコンに悪戯をしたんだ」
「どこにだい?」パソコンを調べながらSが首をかしげる。
「実はね、爆弾を仕掛けたんだ。そのパソコンに」
「ええ!?」Sは驚く。「ひどいことをするなあ、これは高かったんだぜ。それに何より、危ないじゃないか」
「大丈夫。この机の近くにいたら危ないだろうけどさ、すぐ逃げれば怪我はしないさ」
「でも、やっていいことと悪いことがあるぞ」
「まあね。しかしこれで僕の勝ちだ」Nは自慢げに言った。「さて、あと一分ほどで爆発するからそそろ逃げようか」
「後悔するぞ」Sが悲しそうに言った。
「どうしたんだい? 確かに爆弾はやりすぎたかもしれないが……」
「実は僕ももう一個悪戯をしたんだ」

 椅子から立ち上がるとSは言った。

「君の椅子とお尻の間にさ、接着剤を塗っておいたんだよね」


500:創る名無しに見る名無し
09/04/06 18:36:00 c1mS2CUR
テロの域ww

501:創る名無しに見る名無し
09/04/06 20:00:44 1AomaQ72
いたずらの域超えてるだろw

502:創る名無しに見る名無し
09/04/06 20:02:02 1AomaQ72
ここ最近のじゃ>>465のやつが好きだなー

503:創る名無しに見る名無し
09/04/06 21:31:14 YNwROUly
>>498
それ応募してみるかな(笑)

504:創る名無しに見る名無し
09/04/06 21:35:17 DOQOa7FZ
いっちゃえいっちゃえ

505:創る名無しに見る名無し
09/04/06 21:45:38 YNwROUly
競争率って激しいの?
てか星新一ぽくなくていいよね?
 
一番気になるのはジャンルなんだが(笑)

506:創る名無しに見る名無し
09/04/06 22:18:16 RRprI69B
競争は激しいがショートショート関連の賞としてはこれ以上ない好条件だと思う。
ショートショート作家の阿刀田高氏が審査してくれるし。

ジャンルは面白ければなんでもおk、ただしエログロとかはさすがに無理っぽい
気になるなら↓のスレを読んでみて

507:創る名無しに見る名無し
09/04/06 22:40:48 YNwROUly
>>498
一人一編って事は
月に1編しか応募できないのか?
 
封筒をいくつかに分ければ平気なのか。
 
小説現代買ってくるわ

508:創る名無しに見る名無し
09/04/06 22:50:07 DOQOa7FZ
>一人一編
こう書いとかないと、大量に送りつける人がいるんだよwきっと
厳選して送るのが良いと思う

509:創る名無しに見る名無し
09/04/07 03:17:54 IFpcVRpU
し、しまった。
俺が余計な質問をしたばっかりに
このスレの職人が減ってしまう!

510:創る名無しに見る名無し
09/04/07 12:14:08 ueEdEUdT
そして俺みたいな低レベルの香具師だけが残るというわけか……

511:創る名無しに見る名無し
09/04/07 22:16:18 rBy2pisH
大丈夫!傑作の1つ以外はここに投下してくれるさ!

512:創る名無しに見る名無し
09/04/07 23:20:40 c75PreCX
>>465
限りなく盗作に近いな。
小説現代のショーショートコンテストで、既存のアイデアがあったよ。
ただし、舞台は『口の中』ではなく『頭の上』だったが。

513:創る名無しに見る名無し
09/04/08 00:38:18 CX9eEJXH
>>499
世にも奇妙なとかストーリーランドでありそうだ

514:創る名無しに見る名無し
09/04/08 06:35:48 OiYpWpkz
実は応募するにあたって大変なのは
博士と見習いとかSF地球消滅とか神様系など舞台設定はある程度に限られていて
ネタが被らないように書くのが難しいんだろうなぁ

515:創る名無しに見る名無し
09/04/08 10:55:11 3qOGCkSw
コンテストのほうは星っぽいとか縛りは無かったと思うよ。結構自由
むしろ星っぽさを外した方がネタ被りを回避できるかも、というか選者自体そういうのも求めてる印象
投稿作がバラエティに富んでいたほうがコンテストとしては面白いしねw

516:創る名無しに見る名無し
09/04/08 11:49:11 5aZ2HDV6
投下させていだきます。

「遅くなりました! 大統領、幸せ測定装置が完成しました! これを使えばその人がどれだけ幸せか一瞬にしてわかるんです」
「ほほぉ、早速測ってみることにしよう」
 二人の幸せ指数を測ってみると、大統領は80で博士は20でした。

「せっかく完成したのに喜こんでおらんな?」
「この発明のおかげで家計が厳しくなりまして……」
「そうか、国防省には内緒でわしのポケットマネーから褒美をやろう」
 大統領が博士に金を渡すと、幸せ指数は変動し、大統領は40博士は60になりました。

「これは大発見です。他人が不幸になると、それだけ自分が幸せになるようです!」
「自分が幸せになるとそれだけ他人が不幸になるんだな……」
 博士は大喜びでしたが、大統領は気落ちして愚痴を漏らしました。

「しかし残念だ。もう少し早くこの装置を開発しておれば、わしは発射ボタンを押さなかったのじゃが……」
 核の炎で更地になった某国の様子をモニターで眺めながら大統領は嘆くのでした。



517:創る名無しに見る名無し
09/04/08 11:57:04 wfrjUo7s
意味がわからない

518:創る名無しに見る名無し
09/04/08 12:39:03 7Qi20e0x
あれ、これ前にも見たような

519:創る名無しに見る名無し
09/04/08 12:43:26 3qOGCkSw
うん?俺もなんかデジャヴ

520:創る名無しに見る名無し
09/04/08 12:49:52 7Qi20e0x
あ、SFSSスレか
転載とがめる訳じゃないけど転載した旨明記してほしいお

あっちでも感想した気がするけど、やはりオチにもう一工夫欲しいかなぁ

521:創る名無しに見る名無し
09/04/08 13:14:36 3qOGCkSw
転載把握。まぁあっちよりこっちの方が……盛り上がってるしねw
んー、しかし俺はあっちの博士&助手の方が好きだったかも知れぬ
会話のコントっぽさが悲惨なオチとの良いギャップになってたとおも

522:創る名無しに見る名無し
09/04/08 18:17:09 hudeTDIr
コンテスト応募する人は、落選したらこのスレに投下してくれw

523:フォーティーナイナー ◆WMJUSq/3gY
09/04/09 00:48:58 JU776ZEj
『ミラーワールド』

「じゃあ、スイッチを入れますよ」
 部屋の中にいるのは、老人と若い男女。
 老人は高名な物理学教授。若い男はその助手。女性は老教授の孫娘だった。
 彼ら3人の目の前には、巨大な金魚すくいのポイのようなものが立てられていた。素人が見ても、サーカスで
ライオンがくぐる輪が置いてあるとしか思えないだろう。輪からはケーブルが引かれ、隣のパソコンに接続されている。
 助手がパソコンのキーを叩くと、輪はヒューと音を立てはじめる。
 やがて、輪の中は鏡のように3人の姿を映し始めた。
「成功だ!」
 青年は感極まった声をあげた。
「待ちたまえ……喜ぶのはまだだ。ただの鏡を力場で作ってみました、じゃあ話にならん。ちゃんと入ってみなければな」
 そう言って老教授は、ゆっくりと片手を輪の中の鏡に突き入れた。片手は何の抵抗もなく、その中に入っていく。
 青年は輪の後ろに回りこんだ。輪の向こう側から教授の手は出てこない。教授の手は輪の中に入ったまま、
切り落とされたようにこの世界から消失していた。
 教授は手を抜いた。もちろん手は切り落とされていない。
「すごいすごい!」
 孫娘が飛び上がって喜ぶ。
「ああ、完成だ。5年に渡る努力がやっと報われたのだ」
 教授は彼女の手を取り、両手で何度も握手を重ねた。そして次に青年のほうを振り返る。
「君もよくやってくれ……」
 そこで教授は言葉を切った。青年の手に、ピストルが握られていたからだ。
「今まで本当にご苦労さまでした、教授。ですが、死んでいただきましょう。もうあなたは必要ありません」
 教授と孫娘は呆気に取られて青年を見た。
 彼の顔から、いつもの穏和な表情は消え失せ、残忍な笑みだけが浮かんでいた。
「この鏡の中に入り込む装置、コアミラー装置は我らN国のものになります。これで我が国の諜報能力は
他国を圧倒的に引き離すことになるわけだ。鏡の中に単身入り込んで諜報活動を行うことができるのだからね。
しかも鏡の外から来た物体の姿は、他の者には見えなくなるときている。完全に安全なスパイ活動だ。さて教授。
あなたには死んで頂きましょう」
 ピストルが火を噴いたと思ったその時、孫娘が男に体当たりした。
 男はわっと叫んで鏡の中に落ちた。すぐに孫娘はケーブルを抜き、接続されているパソコンを叩き壊した。
「おじいちゃん大丈夫?」
「ありがとう……しかし、まだ安心とは言えんよ。鏡の世界にだって機材はある。彼はずっとわしの助手をしていたから、
2ヶ月もあれば新しくコアミラー装置を作って帰ってこられるだろうな」
 大立ち回りをした孫娘はハァハァと息をついていたが、しばらくして祖父の意見に答えた。
「大丈夫じゃないかな。あの人、その前に死んじゃうと思うよ」
「死ぬ? 一体なぜだ?」
 老博士は怪訝な顔をした。
「ひとつ聞くけど、この機械で入れる鏡の中の世界っていうのは、やっぱり左右が逆なんでしょう?」
「もちろんそうだが」
 孫娘はにっこり笑った。
「なら安心よ。なぜってね、人間の体を構成する蛋白質はアミノ酸でできているの……これくらいは知ってるでしょ?」
「ああ、そうか。お前はたしか分子生物学専攻の学生だったな」
「そしてね、アミノ酸にはD体とL体があるの。理由は分かってないけど、人体の蛋白質を構成するアミノ酸はすべて
L体なのよ。自然界にあるほかの生物のアミノ酸のほとんどもね。」
「それがどうしたんだ?」
「人間を含むほとんどの生物は―こっちの世界の生物はと言うべきでしょうね―L体のアミノ酸だけを栄養分として
吸収できるのよ。D体を摂取しても、体外に排出されるだけ。そしてね、D体とL体の違いは、分子構造の左右が
逆だってことなの。鏡像異性体っていうのよ」
「それじゃあ……」
 孫はこっくり頷く。
「鏡の世界にある食べ物は、左右逆の生物の体から作られたもの。つまりD体アミノ酸でできているから、養分として
吸収できない。まあ、間違いなく餓死ね。いくら食べても元気が戻らないのを不思議がりながらね」

524:創る名無しに見る名無し
09/04/09 01:09:04 PAqdIjWg
ショートショートじゃなくてSF小説だね

525:創る名無しに見る名無し
09/04/09 01:10:59 JhuIJLrx
オチが好みじゃない。

526:創る名無しに見る名無し
09/04/09 01:20:42 cSIqCK8A
書き散らすのはいいが、こういう教科書的な説明に面白さはないと思う
むしろ何を面白がらせたかったのかがわからん

527:創る名無しに見る名無し
09/04/09 05:16:27 PnTQnQRY
おお、光学異性体か
そういえばそうだよな、確かに死ぬわ
人為的に合成するとどっちもできるんだがL体しか使えないんだよな
どうやって効率的にL体とD対を仕分けするかが課題だって教授が言ってた

528:創る名無しに見る名無し
09/04/09 11:25:25 z8vkl7bH
先の「逆になってるのは前後」って解釈だと、アミノ酸も前後逆なだけのL対になったりするのかな

529:創る名無しに見る名無し
09/04/09 12:21:38 Dc1DUUFh
アミノ酸の光学異性体ネタか……戦闘妖精雪風でもあったなあ。あっちは代わりにある者を食わされるんだけど。

>>528
鏡像体は、立体構造でX軸Y軸Z軸の一つの軸が他の2つの軸に対して反転しているものだから、
前後軸が逆になっていてもやはり光学異性体になるよ。

>>526
SFには理屈や論理を楽しむって面もあると思うが。特にハードSFは。
推理小説の謎解きシーンで「理詰めの説明はつまらん」とか言ったり
風刺小説で「社会設定を細かく解説されても退屈なだけ」とか言ったりする奴はいないだろう。

530:創る名無しに見る名無し
09/04/09 14:05:55 6KTGnK35
星が編集したショートショートの広場
って文庫見つけたから読んでみたぜ


531:創る名無しに見る名無し
09/04/09 14:34:03 PnTQnQRY
ふと思った
その鏡の中から食べ物もってきたらいくらたべても太らない最高のダイエット食じゃん

532:創る名無しに見る名無し
09/04/09 15:03:02 zo+H5leN
アシモフの科学エッセイでそんなこと言ってたな<D体ダイエット

「鏡の国のフルコース」ってステキな題だった

533:創る名無しに見る名無し
09/04/09 15:12:38 OHwCMmVR
>>529
>>523は構成や文章がよくないんじゃないだろうか。
材料はいいのに調理で失敗した感じ。
同じネタでも上手い人が書けば印象変わりそう。

534:創る名無しに見る名無し
09/04/09 16:42:53 1+kt8v5U
起承転結が起転承結になってると思う

例えば、まず鏡の世界に入りたい
問題は食糧だ
L体を吸収できる薬を作った
裏切り
娘活躍
「奴は薬も作れるぞ?」
「それはないわ。材料も鏡像体だもの」
とかの方が、オチが映えると思う

535:創る名無しに見る名無し
09/04/09 22:24:13 M2QhLK40
>>533
同意。
「すぐに孫娘はケーブルを抜き、接続されているパソコンを叩き壊した。」

コレの後くらいで、鏡の中に場面を移して、青年がちゃんと食べてるのに衰弱するシーンを入れて、
装置の完成と同時に気が付いて、「後はスイッチを入れるだけなのに」
って言って飢え死にしてしまう。

だったら良かったと思う。

536: ◆tHwkIlYXTE
09/04/09 23:04:17 6KTGnK35
>>194
どう?どうなの?

537:創る名無しに見る名無し
09/04/10 00:11:44 NvHQTO8+
ん? どしたん?

538:創る名無しに見る名無し
09/04/10 01:36:31 CMFIF2aG
感想がほしくて‥

539:創る名無しに見る名無し
09/04/10 14:29:35 xJ1ueDqh
たんぱく質・アミノ酸は光学異性体あるけど
脂質はないはず。
炭水化物はどうかなぁ・・・

540:創る名無しに見る名無し
09/04/10 16:47:18 9a4OO5Rw
>>536
面白かったよー
一人称で端的に「彼女」と「自分」の関係と感情をあらわしている
短い行数なのにドロドロした苛立ちと諦めが伝わってきて
最後の二文できれいにオチをつけてる

感じたことを集約すると>>195と同じになってしまうから感想書かなかったけどw

541:創る名無しに見る名無し
09/04/10 17:06:56 9a4OO5Rw
あと、星っぽくなく一レス以内だったら
「一レス以内でおはなしを作るスレ」
スレリンク(mitemite板)
の方があってるかも

542:創る名無しに見る名無し
09/04/11 01:18:15 a4QDnOuB


543:ささき のぶひこ
09/04/11 22:27:03 jRidbPjT
 
「天皇が、ヤスクニ神社を参拝するべきだ」 (福沢諭吉)

「靖国神社の臨時祭には、辱(かたじ)けなくも天皇陛下の御臨席(ごりんせき)さへ(さえ)ありて、・・・。 
・・・大に(おおいに)遺族のものに給与して死者の功労に酬ひん(むくいん)こと我輩の切望・・・」(死者に厚く(あつく)す可(べ)し」  
(1895年 福沢諭吉全集 第15巻341頁)

(天皇陛下が、死者の功労に十分あつくむくいれば、遺族も悲しまないだろう. そうしてほしい. そうすれば国民は、天皇と国のために、喜んで死ぬだろう)

福沢諭吉の時代には、憲法は国の機関の宗教活動を禁じてはいませんでした.

URLリンク(koheina-hoso.blogspot.com)

544:創る名無しに見る名無し
09/04/12 00:48:18 fY9AFSOa
 メルトダウン

ある科学技術で飛躍的に成長した国があった、その国は発展した科学技術によって
世界で一番明るい国と言われた

世界中の科学者たちはこの国の発展を見て科学技術なら何でもできるのではないかと考えた。

世界中の科学者たちは新しいエネルギーを生み出すために、自らの国の技術を持ち寄って
世界共同の技術開発に着手した。

そして実験の日、人々は成功を信じていた「成功する」と
そして実験は始まった

どんどんとメーターの数字は100%に近づいていった
しかし99%になったそのとき、突然機械が止まった。

すると途端に実験装置が大爆発を起こし、実験場は炎上した。

人々は「まさか失敗するなんて・・・!」と絶望した

しかしそれ以上に大変なのは、その実験場から世界中に放射能が放たれたことだった・・・



545:創る名無しに見る名無し
09/04/12 01:11:12 fuiFz7yl
なんだこれは。
面白みのない文明批判で終わってるな。

546:創る名無しに見る名無し
09/04/12 06:16:39 4PtElL3G
今から図書館で借りたショートショート1001を読んで創作力を鍛えるぜ!

547:XXX ◆TqnDIIRxZU
09/04/12 13:03:38 D4UuhhUz
追憶


私がN君に電話すると、「すぐ伺います!」の声と共に、車の激しいブレーキ音とクラクションの音が聞こえた。急なUターンでもしたのだろう。
まあ、新薬の価値からすればそれも当然だと言える。
なにしろ新薬を吹きかければ、移植の際に拒絶反応を完全に押さえ込むばかりか、回復力を極度に高めることもできる、さらには人工心肺やペースメーカー手術も飛躍的に進歩するのだから。

俺は車のドアに鍵も掛けずに博士の研究所に飛び込んだ。
今朝方、新薬の開発に成功したと博士から連絡があったからだ。
研究所の扉を開けて飛び込んだ俺を驚かせたのは、新薬ではなく博士の右手にべったり癒着した携帯電話だった。

N君は研究所に飛び込むなり、私の右手に視線をやると目を丸くして固まってしまった。
私の右手には何も握られていないし、右手の携帯電話は特に問題なく動いている。
ははん、どうやら他社に電話していると思ったんだろう。
私はN君に落ち着いてソファーに座るように促した。

驚く俺を見ても博士は笑っていたが、近づくと見間違いで無いのがはっきりわかった。
画面の裏には血管が脈打ち、テンキーの上には親指が溶けたあべかわ餅のようになって広がっている。
画面自体にも、うっすら皮膜のようなものがかかって見える。

ソファーに座ってもN君は青白い顔をして私の右手を凝視したままである。
流石におかしい、と思った時、ふと視界が桃色がかってる事に気がついた。
しまった、朝からバルブの調子が悪いと思っていたが、ひょっとして新薬が漏れ出しているのかもしれない。
そう思ったとき、足元がグラリと揺れた。

博士は新薬について、“本人に移植されたことを気づかせない”と豪語していた。
その時は言葉のあやだと思っていたが、博士の素振りを見るとどうやら本当らしい。右手の状態に全く気づいていない。
兎も角、そうなるとなんとか説明をしなければ。
口を開いたその瞬間、足元がグラリと揺れた。


…記憶が混乱しているようで、断片的に思い出した記憶は支離滅裂で、ピースの混ざったジグソーパズルのようだ。
ただ、地震が起きた事ははっきり覚えている。それも、相当大きな地震だったように思う。
まずは周囲の状況を把握しなくては。

そう考えて、博士とN氏と研究所だった“モノ”は表面に血管の脈打つ体を揺らしながら、その巨体を起こした。


548:創る名無しに見る名無し
09/04/12 13:34:36 U8dVMWGg
おお、この視点の切り替えはいいね
オチまでの効果が立派w

549:創る名無しに見る名無し
09/04/12 22:40:45 5KXc3awg
これはなかなか上手いな。面白い。

…この薬がさらに広がると地球人類みんながくっつくんだろうな…

550:創る名無しに見る名無し
09/04/13 00:32:09 iPT3J9uT
その後火の鳥のコミューンみたいになりそう

どうでもいいことかもしれないけど、携帯の文字盤ってテンキーと言うのか?

551:創る名無しに見る名無し
09/04/13 00:33:04 1f5jC9ij
昼前。エヌ博士から電話がかかってきた。
「ついに完成したよ」
「何がです?」
「タイム・マシンだ」
「タイムマシンですか」
「タイム・マシンだ」
「ですからタイムマシンでしょう?本当ならあなたは一躍、時の人ですよ。タイムマシンだけに」
「タイム・マシンだ」
「あぁ。タイムで区切ってマシンですね」
「まぁどちらでもいいよ。とりあえず急いで研究所まで来てくれ」
エヌ博士の理不尽な態度に少々の怒りを覚えたものの、好奇心が勝った。
慌てて研究所の前まで行くと、全長4m程の鉛色をした細長い筒のような機械が置かれており、その横にエヌ博士が立っていた。
「これがタイム・マシンですか」
「そうだ。あそこの窓の部分を見ていてくれ」
「あの四角い切れ目のようなところですか?へぇ。あれが窓なのですか」
「そろそろ時間だな…」
エヌ博士が言い終わるが早いか。タイム・マシンの窓からは平和の象徴が飛び出し、それと同時にお昼を告げる軽快な音楽が流れだしてきた。

552:創る名無しに見る名無し
09/04/13 00:45:22 v1j+TGhd
うわ、これ好きw

553:創る名無しに見る名無し
09/04/13 01:11:01 BX+qEobO
どんどん星的な作風の品が埋まって来た予感ww
しかも良策揃いだから困るw

554:創る名無しに見る名無し
09/04/15 10:02:31 HYljyS3h
>>553
 そんなこと言われちゃうと、投稿しずらいなぁ……。

555:創る名無しに見る名無し
09/04/17 01:53:03 r9HTKf3u
はと時計かよw

556:靴下 ◆L0fX2oZiZI
09/04/18 21:39:22 mAIGXDs/
【神と願い】

 エス氏が夜道を歩いていると、後ろからスーツの男に呼び止められた。
 「なんでしょうか?」
 エス氏が尋ねると、スーツの男は軽く笑みをつくり、こう言った。
 「いえ。少し、後ろ姿が、寂しげに見えたものですから。何か悩み事でも?」
 「悩みと言えなくもないが。わざわざ、他人に話すような事でもないのです」
 「どんな些細な悩みでも、吐き出せば楽になるものです。ささ。遠慮せずに、話してみて下さい」
 「そうですか。なら」
 エス氏と男は、近くにあった公園の中に入り、ベンチに腰掛けた。
 「では。聞かせてください」
 「はあ。実はここ最近、生きているという実感が、どうしてもわいてこないのです」
 「と、申しますと?」
 「自分に、何か意味があるとは到底思えません。なら、生きている価値はないのではないか?と思い悩んでしまうのです」
 「では。どうすれば価値がうまれると思いますか」
 「徒歩で日本列島一周、いや。紙で造った船に乗って世界一周、いやいや」
 「もっと大きな事をなさりたい」
 「そうですね。子供じみていますが、神様のように、世界を自由に操れたら面白そうだ」
 「例えば、このような具合にですか?」
 そう言うと。男は、スーツの左ポケットから、妙な形をした機械を取り出し、スイッチらしきものを押した。
 すると、突然のどしゃぶり。しかし、エス氏と男の周りだけは、雨粒が落ちてこない。
 「これは一体どうなっているんだ?」
 エス氏が驚きに満ちた表情で聞くと、男は笑いながら言った。
 「天候を操ったんですよ。実をいうと、わたしは神なのです。この機械はあなたにあげます。どうか、楽しく生きてください」
 言い終わると、男は、機械をエス氏に渡し。天に向かって飛び立ってしまった。
 「まさかあの男が神様だったとは。まぁ、いい。さっそくこの機械を使ってみよう」
 しかし、どのスイッチを押しても、ダイアルを回しても、レバーを動かしても、機械はなんの反応も示さない。
 「しまった。使い方がわからない。いや、それ以前に、この機械は、人間には扱えないのかも知れないぞ」
 渋い顔をしながら、エス氏は未練がましく機械をいじり続ける。
 「なんとかして使い方を知る事が出来ないものか。もう一度、神様が地上に降りてきて、教えてくれればいいのだが。いや、もし。もう一度会えたら、次は別の願いをしてみよう」
 生きる意味を見つけたエス氏は、公園を出ると、どしゃぶりの中、家路を急いだ。

557:創る名無しに見る名無し
09/04/18 23:46:59 4ykS0eaf
このオチ好きだわぁ( ´∀`)

558:創る名無しに見る名無し
09/04/19 02:05:52 tttNslyb
句読点が多いのは気になったけどいい話だわ

559:創る名無しに見る名無し
09/04/19 08:51:46 1Xy7x15S
結局機会は使えないけど生きる意味を見つけたのね

560:創る名無しに見る名無し
09/04/19 12:19:09 V1e6BJNw
生き甲斐って案外こういうもんだよなぁwこれはいいよ

561:創る名無しに見る名無し
09/04/19 21:52:49 RECzSvgm
ほんとこのスレ、良作が多いな

562:創る名無しに見る名無し
09/04/20 00:03:05 iABWM07I
うん本当に

563:創る名無しに見る名無し
09/04/20 01:20:39 Djp7pU47
ここにも荒らしがいるのね
いけしゃあしゃあと

564:創る名無しに見る名無し
09/04/20 04:23:34 D49gpAeo
かがやかしいみらい

文明の発達。
それはこの世に存在するありとあらゆる地点への移動を可能にした。
この世に存在するすべての情報や知識が手に入るようになった。
かつて科学者が夢見た何億光年も先の銀河への移動が可能になったし、
哲学者が思いに耽った存在の本質の答えも明かされてしまった。
どうしたものか。人々は困ってしまった。
知識欲という、人類特有の欲求を満たしてくれるものが無くなってしまったからだ。
そうだ、あそこへ行けばいいんだ。ある時人々はひらめいた。
あそこならば未知の世界が広がっているに違いない。
そのことに気づいた者は次々と「あそこ」へ旅立っていった。
それから間もなく、人類は滅亡した。


どっかで見たことあるような気がするなぁ

565:創る名無しに見る名無し
09/04/20 14:09:36 8ctctv+r
黄泉の世界逝っちゃったんですねw

確かにありがちな着想かも。
その手の不安に苛まされた時は、捻りどころを熟考する良い機会かもしれませぬ

566:創る名無しに見る名無し
09/04/20 16:37:33 iABWM07I
いや空想妄想の世界かもしれぬ

567:創る名無しに見る名無し
09/04/20 20:15:01 YKXYYX6g
二次元世界に逝けたのかも知れない。

568:創る名無しに見る名無し
09/04/21 01:25:46 Qrvr7Qi3
その夜男は奇妙な夢を見た。
血のような赤黒い土が足元に広がり鋭角に尖った山が辺りに広がっている。

最近仕事ばかりで疲れて変な夢を見ているのだろう、
最近ニュース番組で過労死という言葉を良く聞く。他人事ではない。
しかしここはいったいどこなのだ?
振り向くと恐ろしい姿の鬼が男を睨んでいた。
「私は地獄に住む鬼だ。お前を食べに現れた」
怯えた男は暴れようとしたが体に力が入らない。

「安心しろ。食べるといってもお前の身体をむしゃむしゃといただくわけではない。
鬼は人間の感じる負の感情を食べるのだ。
そこでお前に尋ねたい事がある」
悪魔の指先から炎が飛び出て、ある道具の形になった。
「人間の事を調べると、どの人間もこの道具を持っている事に気が付いた。
また地球上のあらゆる場所にこの道具はあり、人間はこの道具が故障するとすぐに修理をするか、別の新しいのを用意する。
よほど大切なものなのか?」
男は震えた声で応えた。
「確かにとても大切だ。それがないと大変困る。しかしどうしてそんな事を聞くのだ?」
鬼は残酷な笑みを浮かべた。
「いっただろう?鬼は人間の負の感情を食べると。
俺は中でも人間が大切なものを失った時に感じる絶望が好みでな。
くくく、今夜この道具を地球上から消し去ってやる。朝起きた時、お前ら人間は絶望するだろうな。
毎日大切にしてきた道具がいきなり全てなくなるのだから。
もう腹が減ってたまらん。早く食べないと俺が餓死してしまう。お前は用済みだ目を覚まして絶望するがいい」



男が目を覚ますと確かにその道具はなくなっていた。
幼い頃から毎日隣にあった道具が地球上から無くなったのだ。
しかし男は絶望どころか歓喜していた。
この様子だと、今日は仕事を堂々と遅刻できる。久しぶりにゆっくり眠れる。
しかしあの道具がなくなって困る人間はいても絶望する人間などいないのではないのだろうか?
むしろ我々人間はあの道具に支配されているせいで絶望しているのではないだろうか?
うるさく出勤をせかす時計のない朝は思いの外幸せだった。


569:創る名無しに見る名無し
09/04/21 01:28:12 ID3uO/Ay
目覚まし時計かww
最後まで携帯だと思い込んでたから意外だった

570:創る名無しに見る名無し
09/04/21 16:33:04 /YAsOlty
この話運びはいいねw
博士と発明並に汎用性高そうだ

571:創る名無しに見る名無し
09/04/22 21:16:13 hkxaW9I/
【酒と不幸】

私はその日長年連れ添った女房と別れ、絶望に打ちひしがれていた。
感傷に浸りながら街を歩いていると一軒のバーが目に留まった。

店の看板には“Bar Unhappiness 不幸な方には無料でお酒をお出しします”と書かれていた。
丁度いい、私は今不幸の絶頂だ。入ってみよう。

「いらっしゃいませ。お客さん、貴方は今不幸なんですね?」
「えぇ、長年連れ添った女房と別れてしまったんです」
「それなら無料でお酒をお出しします」

そこで私はウォッカ・トニックを何杯か注文した。
そして四杯目のウォッカ・トニックを飲み干した頃には、私はもう酔ってしまっていた。

「どうです?酒を飲んでいると不幸なんてものは忘れてしまうでしょう?」と、マスターが尋ねる。
「えぇ、もう僕の不幸なんて何処かへ消えてしまったみたいです」

そう言うとマスターは笑みを浮かべ、私に言った。

「そうですか。ではお代の方はきちんと払って頂きます」

世の中には上手い商売があるものだ。

572:創る名無しに見る名無し
09/04/22 21:19:38 evx3Zvsu
タイトル「悪夢」
URLリンク(www8.uploader.jp)
寄生虫なのでjpgです、携帯の方ごめんなさい。

573:創る名無しに見る名無し
09/04/22 21:24:38 hkxaW9I/
>>571
あ~「私」は「男」の方が良かったな…orz

574:創る名無しに見る名無し
09/04/22 21:29:00 /Ss1i6SV
>>571
ひどい口車や、gdりにバー行く時は注意しようw
短さとタイトルがいい感じ

575:創る名無しに見る名無し
09/04/22 21:30:02 0cR/dDjz
>>573
>>571は、地の分では「私」なのに、喋るときは「僕」って方が気になった。
でも、それ以外はいい

>>572
分からん。
夢の登場人物たちは、主人公を怖がってたり恨んでたりするのに、
なんで、目が覚めなくなる薬を飲まして、ずっと夢の世界に居るようにしようとしてるの?

576:創る名無しに見る名無し
09/04/22 23:25:41 SKDgq515
>>573
外国のジョーク小噺みたいだw

577:創る名無しに見る名無し
09/04/23 20:48:41 RKJ42cgG
「お、お前はだれだ!?」
「ふふふ、私はタイムパトロールですよ」
「タイムパトロール!? 俺に何の用があるんだ!? さっさとこの家から出て行ってもらいたい」
「あなたには死んでもらいます」
「なに!?」
「あなたは30年後、独裁者となるので死んでもらいます」
「なんだって! 冗談じゃない!? それじゃタイムパラドックスの問題はどうなるんだ!?」
「それは並行宇宙解釈で解決ずみです」
 そう言うと彼はレーザーガンを取り出し、壁に向かって引き金を引いた。青いビームが壁を焦がした。
「おい! なんで可視光線が壁を焦がすんだ!?」
 俺は抗議した。
「ビームが目に見えなきゃ舞台効果に欠けますからね」
 彼はそう言うと俺に向かってレーザーガンの銃口を向け、引き金を引いた。

578:創る名無しに見る名無し
09/04/23 21:57:43 n9kNwQO8
>>577
おわり? 俺が読解力ないのかもしれないが意味がわからない。
だからなんなのって感じだ。

579:創る名無しに見る名無し
09/04/24 00:15:46 aByw8VqY
読解力ないわけじゃないと思う。
明らかにオチがない。

580:創る名無しに見る名無し
09/04/24 00:30:58 97IPPOz6
なんだろうね。
作品になってない感じ。

581:創る名無しに見る名無し
09/04/24 11:12:54 Xs4nCi0V
これはSSではないよな……
って、誤爆?

582:創る名無しに見る名無し
09/04/24 21:55:51 kumSVrC6
この文章、
創作文芸板の「あなたの文章、無理して誉めます」ってスレの
>>67の文章を貼ったやつだな

583:創る名無しに見る名無し
09/04/24 23:33:56 kJelDm1x
絶対安全装置

「はあ、借金は減らないし給料も増えない。ギャンブルでもしてお金を稼ごうにも元手がない。
はあ、どうしようか。」
そう嘆いている男の足もとに、小さな箱のようなものが落ちていた。
「おや、これはなんだろう。宝石なんかが入ってたら嬉しいのだが。」
男は箱のなかから紙と球形の物を取り出した。
「なになに…。
これは絶対安全装置です。人間が起こすことのできる最大のスピードを想定して作っているので、
剣でも矢でも防ぎます。
へえ、でも字が相当古いな。だいぶ昔に作られた物なんだな。」
男の思ったとおり、それは約1500年前に作られたものだった。
「そうだ!これを持っていれば無敵ということは、強盗をしても警官に殺されたりする心配がないわけだ。
よし、やってやろう。これで借金が返せるぞ。」
男はしっかりと計画を立て、絶対安全装置とモデルガンを持って銀行へ強盗へ入った。
しかし、駆け付けた警官に足を撃たれ、あっさりと男は捕まってしまった。
「何が絶対安全装置だ。くそっ。」

まさか自分たちの子孫が、想像もできないようなスピードを持つ凶悪な兵器を開発するとは、
1500年前の人々は思ってもみなかっただろう。

584:創る名無しに見る名無し
09/04/25 00:23:57 v1icOGcg
これは俺の読解力が足りない所為なのかも知れないが
細かい点を指摘するのであれば、その“絶対安全装置”の具体的な使用法が分からない
一瞬防弾スーツの様な物かとも思ったけど、小さな球体の物質のようだし

それを持っているだけで何か特殊な防護壁が持ち主を守る、という解釈でいいのか?

585:創る名無しに見る名無し
09/04/25 02:17:49 hAwAJJgY
もしそうだとしたらそれだけの科学力を持っていた昔の人が
銃弾ほどの殺傷能力を持った武器の存在を想像できないのは違和感がある。

だけど、ネタは面白いから俺は好き。なんか星の地球人が善良な宇宙人に、鍵を通して悪い発想を教える話を思いだした。

586:創る名無しに見る名無し
09/04/25 19:54:27 MgKXHrUc


「もう駄目でしょう。軍はほぼ壊滅状態です」
大尉は敵性宇宙生命体との戦争の総指揮をとる元帥にぽつりと言った。
かつて60億存在した人類は、現在5億にも満たない。
スライムのような姿の宇宙生命体は突如現われ、
人に覆い被さって一瞬で骨に変えてしまうという恐ろしい生き物だった。
人肉を自身の糧にしてどんどん膨れ上がり、
どんな攻撃をしてもふよふよと分裂するだけで人間は手も足も出なかった。
 「いや まだだ!優秀な博士が奴等を殺す薬をようやく開発したのだ。
  もうこれしか方法は無い!この薬を奴等の体に浴びせれば溶けて液状になるはずだ」
元帥はポケットから赤色の液体のサンプルを取り出し、大尉に差出した。
 「…しかし、どのように?あれは大小様々、地球全土に行き渡って増え続けていますよ」
 「ヘリで上空から撒けばいい。薬は大量に用意した。地球にスプレーして
  奴等を駆除するんだ!害虫だらけの地球をこの薬で治してやる!」

そして軍は大陸、島にまんべんなく薬を撒き、宇宙生命体は薬が降り掛かると
ただの無色透明な液体になった。その様子を確認すると人々は両手を上げて喜んだ。

数日後の夜、大尉は元帥と空を見上げながら話をしていた。
 「元帥、やりましたね。これで地球は元に戻るでしょう。
  奴等のせいで人口はかなり減りましたが…全滅ではありません」
 「あの薬のおかげだな。博士に感謝しなければ……ん?何か降ってきたぞ」
スポイトで落とす水のような勢いで雨が降り始めた。
 「雨が赤い……?うわっ!なんだこれは!?い、痛い!」
2人の肌に雨粒が当たると火傷するような痛みが走った。「な、なんなんだ一体…」
急いで軍の施設の中に入ると、雨はざあざあという音に変わった。
同時に部屋から電話の音が聞こえ、大尉がその音を止めた。
 「もしもし…え?人が死んでいっている?何故…死んだ人達に
  何か共通点はないのか?……赤みがかった野菜を食べたって?そんな馬鹿な!」
元帥の頭の中であの薬の行方が映像の早送りのように再生された。
赤い液体のたっぷり染み込んだ土で植物は育つ。
川に混ざり海に流れ蒸発して雲になり水滴となって落ちる。
元帥は大尉から電話を奪い取り、博士の研究室の番号を打ち込んだ。
 「博士!どういうことだ!あの薬が人体に有害なんて聞いていないぞ!
 …(頼まれた通りあの生物を殺す薬を作ったんだからいいだろう)だと?ふざけるな!
 あれは薬じゃなかったのか!地球を治すための!人が生きるための!」

その後人類がどうなったのかは わからない。

587:創る名無しに見る名無し
09/04/25 20:01:08 0YDZMOKQ
うーむ、救いがないw

博士に要件定義して発注しろよとか、副作用を綿密に確認してから使えよとか突っ込もうと思ったんだけど、
博士に地球滅亡の意図があったと解釈すると、地味に深いなと思った

588:創る名無しに見る名無し
09/04/26 01:11:41 otL11dAU
てっきり敵が小さな分子になって人間の体内から食ってるのかと思った

589:創る名無しに見る名無し
09/04/26 14:20:55 OHEg0+xZ
>>587-588
レスありがとうございます
農薬をイメージして膨らましていったんですけど、何かまとまり無かったですね
自分でも突っ込み入れたんですが まあいいかとスルーしてしまいました
後味悪いものに挑戦してみましたが…難しいっすね

590:創る名無しに見る名無し
09/04/26 14:57:07 SmoY55zZ
>>583

安全装置と言われると、どうしても拳銃の誤動作防止装置を
思い出します。完全防御装置とかの方が良いと思います。

急展開すぎるというか、主人公の動機が短絡的すぎます。
こういう展開の時は、オチで笑わせる位が良いと思いました。
笑えるネタとしては、けして悪くないので、
真面目なオチよりも、ユーモア路線、、、

591:創る名無しに見る名無し
09/04/26 15:13:52 SmoY55zZ
>>586
薬は人体には無害だけど、
薬を含んだ土壌で植物が育つと非常に毒性の強い実がなる
の方が良いと思います。


592:創る名無しに見る名無し
09/04/26 20:09:48 4qg8jrVn
薬は人体とその怪物には有害だが、植物には無害でその科学者が地球を無に還す為に
敢えてそういう薬を開発した、とかも良いかもな

593:創る名無しに見る名無し
09/04/26 21:06:42 COwNfbV4
元帥「博士!どういうことだ!あの薬が人体に有害なんて聞いていないぞ!」
博士「頼まれた通りの薬を作ったんだがな」
元帥「ふざけるな! あれは地球を治すための!人が生きるための薬じゃなかったのか!」
博士「おいおい、あんたは『あの生物を殺して地球を治す薬をつくれ』って言ったじゃないか。二つの効果をもたせるのには苦労したんだぞ」

594:創る名無しに見る名無し
09/04/26 21:34:52 VikKRFri
これはいい落ちだw

595:創る名無しに見る名無し
09/04/30 15:55:49 ChPQzUuI
あかない箱

つい先日、怪しげな露天商で奇妙な箱を見つけた
その箱は店主曰く「絶対にあかない箱」らしい
酔った勢いもあって深く考えずに購入した
そして私は箱と手に取り開けようと必死になった
しかし、箱はうんともすんとも言わなかった
どうやっても開かない事に怒った私はので工具を使って箱を分解して中を見た
箱の中は何もなく内側の壁がそれぞれ青、藍、緑、黄色、黒、白、灰色に塗られていた
何も入っていないことに落胆した私はそのまま箱を捨ててしまった

後日、友人にその事を話したら一人で納得した顔で笑っていた
何故笑っているのか?と聞くと友人は一言だけ言った
その言葉を聞いた私は納得をしてしまった
そうあの箱は…
「あの箱は「絶対に赤無い箱」だったんだよ」」

お後がよろしいようで…

596:創る名無しに見る名無し
09/04/30 16:03:47 ChPQzUuI
×どうやっても開かない事に怒った私はので工具を使って箱を分解して中を見た

○どうやっても開かない箱に怒った私は工具を使って箱をバラバラにした


少し落ち着いてから書き込んだほうが良かったですね

597:創る名無しに見る名無し
09/04/30 16:08:39 gmxDyFow
推敲なんて適当でいいのです(暴論

これはダジャレスレの方が適切かもw下らなくて素敵ww

598:創る名無しに見る名無し
09/05/05 02:35:50 70F/Qx7P
>>595
星さんはまぁ置いて
低学年層とオヤジ層という限られた枠だろうが俺にはイケてる作品だ。



599:創る名無しに見る名無し
09/05/05 02:46:39 5zgSAPWJ
ニヤリとしてしまったwいいねこのオチ
でもダジャレー婦人の方が適切には同意w

600:創る名無しに見る名無し
09/05/05 17:38:43 OqOHNTBv
確かにダジャレー婦人向きだなw

601:創る名無しに見る名無し
09/05/05 18:50:56 s1egmn2Y
メガネ

 国立医科学眼鏡センターでは、博士が秘密裏にある発明を進めていた。
「いいかね。メガネというものは、もともと視力を矯正するための道具だ」
 博士が新米の助手に、研究の内容を説明する。
「しかし100年前の技術革新以来、この地球の医療技術は非常に発達してしまった。
 今では近視・遠視・乱視・老眼すべてを義眼の埋め込み手術によって回復することができてしまう」
「はい。博士」助手は言った。「しかし、それではメガネの出番がありませんね」
「そのとおり!」と博士。
「私も昔は使っていたが、メガネというものは手入れが大変な道具なのだ。そのうえ常に携帯していなければ不安になるし、
 身につけているときゅうくつで、下を向けばすぐにずれてしまう。こんな前時代的なものを人々が欲しがるわけがない」
「そうですね」と助手。「それじゃあ、ここでは何を研究しているのですか?」
「良い質問だ。ずばり、メガネの新しい可能性について研究している」
「新しい可能性?」
「そう。メガネが商品として売れるために、これまでにはなかった新機能を取り入れる。
 100年前の技術では実現不可能だった機能でも、今ならいくらでも実装可能だからな」
「なるほど。たとえばどんな機能を」
「私が参考にした昔のアニメでは、犯人にとりつけた発信機を追跡する機能が付いていた。
 ダイヤル式変声機も超小型麻酔銃も現在では商品化され大ヒットになったが、これはまだ誰も作っていない」
「感動しました! それなら同じシリーズですから、大ヒット間違いなしですね!」

 二人は早速研究にとりかかり、マイクロ型発信機と追跡メガネを商品化した。
 メガネには助手のアイデアで盗聴機能も加え、安価で売り出したのだが、まったく売れなかった。
「なぜだ! 私は消費者のニーズにちゃんと合わせたはずだ!」
「とくに警察関係者が欲しがらなかったのは疑問ですね。犯人を追うのに便利なのになぁ……」
 当惑する博士と助手のもとへ、一人の警察官がやってきて言った。
「あなた方をプライバシー侵害罪の幇助犯として逮捕します。
 おっと、逃げても無駄ですよ。こちらにはナノ型発信機と追跡義眼がありますからね」

602:創る名無しに見る名無し
09/05/05 20:16:17 OqOHNTBv
もうあるんじゃんw
メガネはファッション小物として進化すべきだと思うよ、うん

603:創る名無しに見る名無し
09/05/09 10:31:08 AHd+CMA8
「肉」

目の前に分厚いステーキがある。
単なるステーキではない、高級なレストランのステーキなのだ。
そのステーキを一口食べると……不味い!
肉は臭味がまだ残っており塩や胡椒、ハーブやソースなどでは全然消えない臭みだ。
油も油でギトギトしておりとても食べられて物ではない。
私はこんな物を作ったコックを呼び出し文句を言った。
しかしコックは悪びれる様子もなく平然とこう言った。
「仕方ないでしょう、肉が悪いんですから。」
確かにあの肉がとても悪かったのを思い出した。
コックに一体何の肉か聞いて見ると…

レストランの夢から覚めた私は健康の為に運動を始めた。


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