09/02/26 22:05:39 6l9d1eYH
白髪
二日酔い気味の頭を抑えつつ、水差しから水をついで一息に飲み干した。
舌に何かが絡む。ねっとり絡みつくそれを吐き出すと一本の白髪だった。
誰の白髪か心当たりが無い、昨日飲んだバーだろうか?
よく思い出せない。
誰かの白髪入りの水なんか気持ち悪いので、水差しの水を流しにあける。俺は老人だの婆あだのが大嫌いだ。
まだムカムカする。蛇口から直接水を飲んでいると今度は喉に何か絡まった。
せき込みながら吐き出すとやっぱり白髪だった。
きっと、これは白髪のように見えて白髪ではない、と思い当たった。
一月前に取り付けた浄水器の濾過繊維か何かだろう。
「本当に良いものを勧めるなら自分が持たなくてどうする!」
赤ら顔の上司の罵声を逃れるためにいらない買い物をした。
こんなのを買うのは、無駄にニコニコしてる爺さん婆さんだけだろうと思っていたのに、俺も馬鹿の仲間入りか。
水に白髪を混入させるなんて、ゴミみたいな浄水器だ。その性でますますムカムカしてきた。
俺は便所に駆け込む前に我慢できず、洗面台にもどしてしまった。
洗面台に胃液が絡んだ大量の白髪がぶちまけられた。
なんだこれは
俺は理解できずに白髪をみようとしたがむかつきがおさまらない
また喉元からなにかがはいあがってくる
顔を上げると、
洗面台の
鏡の中の
俺の口の中に
真っ黒い笑顔のばばあ