星新一っぽいショートショートを作るスレat MITEMITE
星新一っぽいショートショートを作るスレ - 暇つぶし2ch241:XXX ◆TqnDIIRxZU
09/02/09 23:58:48 vlkfL5JA
星と美女

M氏は伝承研究を生業としていた。
今、草木をわけながら主道から外れた山道を歩いているのもこの地方の人が聖地と崇めている池が山中にあると聞いたからだった。
落ち葉をずしりと踏み締めると、朝の澄んだ空気に土の香りが溶け出す。
澄んだ空に染みるような朝の光が朝露を輝かせる。
小鳥はあちこちで愉快そうにさえずっていた。
M氏は周囲の自然のあまりの美しさに、いっそ仕事の事は忘れようかと考えつつ、聖地と囁かれるのも無理は無いとも思った。

そんなM氏の耳が微かな違和感を感じ取った。
空から何か聞こえてくる、と思った瞬間、違和感は騒音に変わり、騒音は衝撃に転じた。
M氏の体は凄まじい風と振動に吹き飛ばされた。

M氏が気がついたのは、日がすっかり上がりきってからだった。
彼は周囲を見渡し、木々の倒れ方や、衝撃の起き方から、どうやら隕石が落ちたらしいと推測した。
倒木を辿って少し歩くと視界が開け、大きなクレーターが前方に見えた。直径数十メートルはあるだろうか。
もう少し速いペースで進んでいたら、隕石はM氏を直撃していただろう。
ぞっとしながらM氏が目をやると、クレーターの真ん中のまだ蒸気をあげている隕石の脇に誰か立っている。
隕石に興味を持ってやって来た地元民だろうか、M氏は大きな声で呼びかけた。
その人物は、こちらに気がつき振り向いたが驚いたことにそれは女性で、しかも絶世の美女だった。
彼女は静かであるが軽やか且つ速やかな足取りで、その美しさに目を奪われているM氏の目前までやってきて、微笑みながらその口を開いた。

美女「あなたが落としたのは金の隕石ですか?銀の隕石ですか?」
M氏「いや、どちらも落としていない。」
美女「あなたは正直者ですね。」
M氏の体は再度、衝撃に舞った。


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