09/01/31 19:35:14 NFiF2Pji
あまりの人類の数の多さに、ある日、人類以外の動植物の意志が合意に至った。
魚も鳥もペンギンもアホウドリも、テレパシーで心を交わし、人類を合理的計画的に減らしていこうということになった。
生物たちは増え過ぎた人間にうんざりしていた。
まずは人間を大幅に減らすことになった。
尖兵となったウイルスは、人間社会を良くするような有能で善良な人間から襲っていった。
ばたばたと「よい人」が死んでいった。
次々とよい人が天に召されるのを世界中の人間が嘆く間もなく、医師や、才能に溢れる子供、他人のために働く人間、活動的で意欲に溢れる者、借金の多い働き者などが死んでいった。
残ったのは宿無し、無法者、殺人者、人に寄生して生きるもの、社会的弱者などであった。
一人では生きることの出来ないものは死に、また嘆きの余り自死し、殺し合い、
地球はより「きれい」になった。
そこで生き物のうちの、まだ多数を占めていた犬猫やカラスや鳩、鼠や人間に寄生する生物からの運動が起こった。
「このまま人間が死に絶えてしまうと困ってしまう。ぜひ少数の人間には生き残ってもらわねばならない」
ウイルスや寄生虫も小さな声でこれに同意し、ペットたちが付け加えた。
「この決定を人間が知らないのは不公平ではないのか?」
皆が「それもそうだ」と思ったが、人間たちとテレパシーの疎通を計ることは出来ない。
総意を伝えるのはペットたちではなく、害虫達に任され、言い渡すのはまず最後まで生き残りそうな者ということになった。
その晩、地球上の多くの場所でこういうことが起こった。
ある宿無しの前に得体の知れない何かが現れた。
そしてこれまで人間が減ってきたことを述べ、最後に
「おまえは人間の中で生き残ることを許された」
と言い残し闇に消え去った。
「生存」を許された者にはやる気の無い、頑健でずるがしこい者たちや、頭のにぶい者も居た。
大抵の者は害虫の合体を神か啓示だと考え、生きる気力を取り戻し正直で勤勉になっていった。
そして進んで人助けをするようになった。
生物どうしの意見は混乱し二度とまとまることは無かった。
徐々に人類はまた地を覆うように繁栄の道を歩んでいった。
終